(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002027
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】樹脂組成物及び有機材料の安定化方法
(51)【国際特許分類】
C08L 23/04 20060101AFI20241226BHJP
C08L 23/10 20060101ALI20241226BHJP
C08K 5/524 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C08L23/04
C08L23/10
C08K5/524
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101931
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】松岡 史哲
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB021
4J002BB031
4J002BB112
4J002EW066
4J002FD036
4J002FD040
4J002FD070
4J002FD170
4J002FD200
4J002GG00
4J002GL00
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物自体の着色が低減され、かつ、流動性に優れる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
上式の化合物1と、ポリエチレン系樹脂2と、ポリプロピレン系樹脂3とを含み、ポリエチレン系樹脂2における全構成単位の量に対するエチレン由来の構成単位の量は67モル%以上であり、ポリエチレン系樹脂2及びポリプロピレン系樹脂3の合計量に対するポリエチレン系樹脂2の量の割合は、60質量%以上100質量%未満である、樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】
[式(1)中、
R
1、R
2、R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキル基、炭素数6~12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7~12のアラルキル基又はフェニル基を表し、
R
3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表し、
Xは、単結合、硫黄原子又は-CH(-R
6)-基(R
6は水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数5~8のシクロアルキル基を表す)を表し、
Aは炭素数1~8のアルキレン基又は*-C(=O)-R
7-基(R
7は単結合又は炭素数1~8のアルキレン基を表し、*は酸素側の結合手であることを表す)を表し、
Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1~8のアルコキシ基又は炭素数7~12のアラルキルオキシ基を表し、他の一方が水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表す]
で表される化合物(1)と、
ポリエチレン系樹脂(2)と、
ポリプロピレン系樹脂(3)とを含み、
ポリエチレン系樹脂(2)における全構成単位の量に対するエチレンに由来する構成単位の量は67モル%以上であり、
ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量に対するポリエチレン系樹脂(2)の量の割合は、60質量%以上100質量%未満である、
樹脂組成物。
【請求項2】
ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量に対する化合物(1)の量は0.01~3質量%である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
ポリプロピレン系樹脂(3)における全構成単位の量に対するプロピレンに由来する構成単位の量は60モル%以上である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
ポリエチレン系樹脂(2)における全構成単位の量に対するエチレンに由来する構成単位の量は80モル%以上である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
樹脂組成物の総量に対する、化合物(1)、ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量は60質量%以上である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量に対するポリエチレン系樹脂(2)の量の割合は、60質量%以上99.9質量%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量に対するポリエチレン系樹脂(2)の量の割合は、80質量%以上99.9質量%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量に対するポリエチレン系樹脂(2)の量の割合は、80質量%以上99.5質量%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
ポリエチレン系樹脂(2)及び/又はポリプロピレン系樹脂(3)において、全構成単位の量に対する、ジエン系モノマーに由来する構成単位の量は、3モル%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
ポリエチレン系樹脂(2)の密度が875kg/m3以上980kg/m3以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
ポリエチレン系樹脂(2)は高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン又は線状低密度ポリエチレンである、請求項1~10のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項12】
ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)を含む有機材料に、式(1):
【化2】
[式(1)中、
R
1、R
2、R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキル基、炭素数6~12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7~12のアラルキル基又はフェニル基を表し、
R
3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表し、
Xは、単結合、硫黄原子又は-CH(-R
6)-基(R
6は水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数5~8のシクロアルキル基を表す)を表し、
Aは炭素数1~8のアルキレン基又は*-C(=O)-R
7-基(R
7は単結合又は炭素数1~8のアルキレン基を表し、*は酸素側の結合手であることを表す)を表し、
Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1~8のアルコキシ基又は炭素数7~12のアラルキルオキシ基を表し、他の一方が水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表す]
で表される化合物(1)を添加する、
ここで、ポリエチレン系樹脂(2)における全構成単位の量に対するエチレンに由来する構成単位の量は67モル%以上であり、
ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量に対するポリエチレン系樹脂(2)の量の割合は、60質量%以上100質量%未満である、
有機材料の安定化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂組成物及び有機材料の安定化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン樹脂、特にポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物は、例えば自動車用途における、バンパー、インスツルメンタルパネル、ドアトリム、ピラー等の内外装部品、家電用途における掃除機、テレビ等の部品、各種住宅設備機器部品、各種工業部品、各種建材部品等の各種工業部品用の材料として、重袋、シュリンク、一般包装、薄物フィルム、プロテクトフィルム(保護フィルム)、押出ラミネートフィルム、押出成形フィルム、発泡成形フィルムなどの多種多様なフィルムとして、使用されている。これらの部品等の製造時、加工時さらには使用時に、該部品等を構成する樹脂組成物が熱や酸素などの作用により劣化し、分子切断や分子架橋といった現象に起因する有機材料の強度物性の低下、流れ性の変化、着色、表面物性の低下等を伴い、商品価値が著しく損なわれる場合がある。
【0003】
ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物に関し、例えば特許文献1及び2には、プロピレン重合体とエチレン-プロピレン共重合体を含む樹脂組成物が記載されている。特許文献2には、熱可塑性ポリマーと特定の相溶化剤を含む熱可塑性ポリマー組成物が記載されている。特許文献3には、エチレン系重合体と、エチレン-α-オレフィン共重合体をと含む重合体組成物が記載されている。特許文献4には、プロピレン単位とエチレン単位とを有するプロピレン系共重合体と、結晶性ポリプロピレン系樹脂を含む、熱可塑性樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-184593号公報
【特許文献2】特開2021-102747号公報
【特許文献3】特開2009-1780号公報
【特許文献4】特開2018-135484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような部品には軽量化が要求される場合があり、軽量化のための1つの方法として部品を薄肉化する方法が考えられる。しかし、樹脂組成物が熱や酸素などの作用により劣化し、流動性が得られない場合、薄肉化された形状の部品を成形しにくい場合があった。また、樹脂組成物フィルムを製造する際には、樹脂組成物の流動性が低い場合、フィルム厚さのばらつきが生じたり、欠陥が発生するなど、製品の品質が損なわれる場合があった。さらに、樹脂組成物の流動性が低いと、上記のような部品等を製造する際の生産性が低下する場合もあった。そのため、上記のような種々の樹脂組成物が検討されてはいるものの、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物の流動性向上に対する要求はなお存在する。特に本発明者らは、ポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物は加工時に流動性が低下しやすいことに着目し、このような樹脂組成物の流動性の低下を抑制することを試みた。さらに、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物は、部品等に求められる特性に応じて、着色せずに、又は、場合により顔料等により着色して使用されるが、いずれの場合においても、黄変等の樹脂組成物自体の変色が抑制されていることが望ましく、樹脂組成物に由来する着色(例えば黄色度)が低減されていることが望ましい。
【0006】
したがって、本発明は、ポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物自体の着色が低減され、かつ、流動性に優れる樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために種々の化合物について詳細に検討を重ね、特定の化合物及び樹脂を含む樹脂組成物が有効であることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
【0008】
〔1〕式(1):
【化1】
[式(1)中、
R
1、R
2、R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキル基、炭素数6~12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7~12のアラルキル基又はフェニル基を表し、
R
3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表し、
Xは、単結合、硫黄原子又は-CH(-R
6)-基(R
6は水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数5~8のシクロアルキル基を表す)を表し、
Aは炭素数1~8のアルキレン基又は*-C(=O)-R
7-基(R
7は単結合又は炭素数1~8のアルキレン基を表し、*は酸素側の結合手であることを表す)を表し、
Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1~8のアルコキシ基又は炭素数7~12のアラルキルオキシ基を表し、他の一方が水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表す]
で表される化合物(1)と、
ポリエチレン系樹脂(2)と、
ポリプロピレン系樹脂(3)とを含み、
ポリエチレン系樹脂(2)における全構成単位の量に対するエチレンに由来する構成単位の量は67モル%以上であり、
ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量に対するポリエチレン系樹脂(2)の量の割合は、60質量%以上100質量%未満である、
樹脂組成物。
〔2〕ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量に対する化合物(1)の量は0.01~3質量%である、〔1〕に記載の樹脂組成物。
〔3〕ポリプロピレン系樹脂(3)における全構成単位の量に対するプロピレンに由来する構成単位の量は60モル%以上である、〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂組成物。
〔4〕ポリエチレン系樹脂(2)における全構成単位の量に対するエチレンに由来する構成単位の量は80モル%以上である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔5〕樹脂組成物の総量に対する、化合物(1)、ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量は60質量%以上である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔6〕ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量に対するポリエチレン系樹脂(2)の量の割合は、60質量%以上99.9質量%以下である、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔7〕ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量に対するポリエチレン系樹脂(2)の量の割合は、80質量%以上99.9質量%以下である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔8〕ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量に対するポリエチレン系樹脂(2)の量の割合は、80質量%以上99.5質量%以下である、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔9〕ポリエチレン系樹脂(2)及び/又はポリプロピレン系樹脂(3)において、全構成単位の量に対する、ジエン系モノマーに由来する構成単位の量は、3モル%以下である、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔10〕ポリエチレン系樹脂(2)の密度が875kg/m
3以上980kg/m
3以下である、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔11〕ポリエチレン系樹脂(2)は高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン又は線状低密度ポリエチレンである、〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔12〕ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)を含む有機材料に、式(1):
【化2】
[式(1)中、
R
1、R
2、R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキル基、炭素数6~12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7~12のアラルキル基又はフェニル基を表し、
R
3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表し、
Xは、単結合、硫黄原子又は-CH(-R
6)-基(R
6は水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数5~8のシクロアルキル基を表す)を表し、
Aは炭素数1~8のアルキレン基又は*-C(=O)-R
7-基(R
7は単結合又は炭素数1~8のアルキレン基を表し、*は酸素側の結合手であることを表す)を表し、
Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1~8のアルコキシ基又は炭素数7~12のアラルキルオキシ基を表し、他の一方が水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表す]
で表される化合物(1)を添加する、
ここで、ポリエチレン系樹脂(2)における全構成単位の量に対するエチレンに由来する構成単位の量は67モル%以上であり、
ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量に対するポリエチレン系樹脂(2)の量の割合は、60質量%以上100質量%未満である、
有機材料の安定化方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、樹脂組成物自体の着色が低減され、かつ、流動性に優れる樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更をすることができる。また、特定の特徴について複数の上限値及び下限値が記載されている場合、これらの上限値及び下限値のうち任意の上限値と下限値とを組合せて好適な数値範囲とすることができる。
【0011】
〔化合物(1)〕
本発明の樹脂組成物は、式(1):
【化3】
[式(1)中、
R
1、R
2、R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキル基、炭素数6~12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7~12のアラルキル基又はフェニル基を表し、
R
3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表し、
Xは、単結合、硫黄原子又は-CH(-R
6)-基(R
6は水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数5~8のシクロアルキル基を表す)を表し、
Aは炭素数1~8のアルキレン基又は*-C(=O)-R
7-基(R
7は単結合又は炭素数1~8のアルキレン基を表し、*は酸素側の結合手であることを表す)を表し、
Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1~8のアルコキシ基又は炭素数7~12のアラルキルオキシ基を表し、他の一方が水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表す]
で表される化合物(1)と、エチレンに由来する構成単位の量が67モル%以上であるポリエチレン系樹脂(2)と、ポリプロピレン系樹脂(3)とを含み、ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量に対するポリエチレン系樹脂(2)の量の割合が60質量%以上100質量%未満の樹脂組成物である。
【0012】
式(1)で表される化合物(1)と、エチレンに由来する構成単位の量が67モル%以上であるポリエチレン系樹脂(2)と、ポリプロピレン系樹脂(3)とを含み、ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量に対するポリエチレン系樹脂(2)の量の割合が60質量%以上100質量%未満である樹脂組成物は、驚くべきことに、該樹脂組成物の加工時に、流動性の低下が生じにくく、かつ、樹脂組成物自体の着色が生じにくい。その理由は明らかではないが、化合物(1)が安定性向上に有効であると共に、ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)との相互作用によって、化合物(1)等が着色物質へ変化することが抑制されていると考えられる。所定のポリエチレンに対して、所定量のポリプロピレンが存在する場合、樹脂組成物中に生じ得るフェノキシラジカルなどのラジカルを、ポリプロピレン又はポリプロピレン由来の成分が補足し、着色の原因となるキノン体の生成を抑制し、そのため着色が抑制されると考えられる。なお、本発明は上記のメカニズムに何ら限定されるものではない。
【0013】
本発明の樹脂組成物は、1種類の式(1)で表される化合物(1)を含有していてもよいし、2種以上の式(1)で表される化合物(1)を含有していてもよい。式(1)中のR1、R2、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキル基、炭素数6~12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7~12のアラルキル基又はフェニル基を表す。なお、複数のR1は互いに同一であっても異なっていてもよい。R2及びR3についても同様である。
【0014】
炭素数1~8のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、t-アミル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、2-エチルプロピル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、イソへプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、及び2-エチルヘキシル基等が挙げられる。
【0015】
炭素数5~8のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及び、シクロオクチル基等が挙げられる。
【0016】
炭素数6~12のアルキルシクロアルキル基としては、1-メチルシクロペンチル基、1-メチルシクロヘキシル基及び、1-メチル-4-i-プロピルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0017】
炭素数7~12のアラルキル基としては、ベンジル基、α-メチルベンジル基及び、α,α-ジメチルベンジル基等が挙げられる。
【0018】
R1、R2及びR4は、好ましくは炭素数1~8のアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキル基、又は炭素数6~12のアルキルシクロアルキル基である。
R1及びR4は、より好ましくは、t-ブチル基、t-アミル基及び、t-オクチル基等のt-アルキル基、シクロヘキシル基又は、1-メチルシクロヘキシル基である。
R2は、より好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基及び、t-アミル基等の炭素数1~5のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基、t-ブチル基、又はt-アミル基である。
【0019】
R5は、好ましくは、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、又は炭素数5~8のシクロアルキル基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、及びt-アミル基等の炭素数1~5のアルキル基である。
【0020】
式(1)中のR3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表す。炭素数1~8のアルキル基としては、上記したものと同一のものが挙げられる。R3は、好ましくは水素原子又は炭素数1~5のアルキル基であり、より好ましくは水素原子又はメチル基である。
【0021】
式(1)中のXは、単結合、硫黄原子又は-CH(-R13)-基(R13は水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数5~8のシクロアルキル基を表す)を表す。R13で表される炭素数1~8のアルキル基、及び炭素数5~8のシクロアルキル基としては、上記したものと同一のものが挙げられる。Xは、好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、及びt-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基が置換したメチレン基、又は単結合であり、より好ましくは単結合である。
【0022】
式(1)中のAは炭素数1~8のアルキレン基又は*-C(=O)-R14-基(R14は単結合又は炭素数1~8のアルキレン基を表し、*は酸素側の結合手であることを表す)を表す。炭素数1~8のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基及び、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン基等が挙げられる。Aは、好ましくはプロピレン基である。*-C(=O)-R14-基における*は、カルボニル基がホスファイト基の酸素原子と結合していることを表す。R14は、好ましくは単結合又はエチレン基である。
【0023】
式(1)中のY及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1~8のアルコキシ基又は炭素数7~12のアラルキルオキシ基を表し、他の一方が水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表す。ここで、炭素数1~8のアルキル基としては、上記したものと同一のものが挙げられる。炭素数7~12のアラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基、α-メチルベンジルオキシ基及び、α,α-ジメチルベンジルオキシ基等が挙げられる。Y及びZは、好ましくはいずれか一方がヒドロキシル基、他の一方が水素原子又は炭素数1~8のアルキル基であり、より好ましくはYがヒドロキシル基、Zが水素原子又は炭素数1~8のアルキル基である。
【0024】
式(1)で表される化合物としては、具体的には、2,4,8,10-テトラ-t-ブチル-6-〔3-(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン、6-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、6-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロポキシ]-4,8-ジ-t-ブチル-2,10-ジメチル-12H-ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、6-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-4,8-ジ-t-ブチル-2,10-ジメチル-12H-ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン等が挙げられる。式(1)で表される化合物は、好ましくは2,4,8,10-テトラ-t-ブチル-6-〔3-(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピンである。
【0025】
式(1)で表される化合物として市販品を用いることもできる。市販品としては、スミライザー(登録商標)GP(住友化学株式会社製)が挙げられる。
【0026】
〔ポリエチレン系樹脂(2)〕
本発明の樹脂組成物はポリエチレン系樹脂(2)をさらに含有し、該ポリエチレン系樹脂(2)は、全構成単位の量に対するエチレンに由来する構成単位の量が67モル%以上であるポリエチレン系樹脂である。樹脂組成物は、1種類のポリエチレン系樹脂(2)を含有していてもよいし、2種以上のポリエチレン系樹脂(2)を含有していてもよい。ポリエチレン系樹脂(2)における全構成単位の量に対するエチレンに由来する構成単位の量は67モル%以上であり、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは85モル%以上、とりわけ好ましくは90モル%以上であり、その上限は100モル%以下であればよい。全構成単位の量に対するエチレンに由来する構成単位の量は、核磁気共鳴法(NMR法)や赤外分光法(IR法)により決定することができる。
【0027】
ポリエチレン系樹脂(2)としては、ポリエチレン(エチレンホモポリマー)、及び、エチレンと他のモノマーとのコポリマーが挙げられる。
【0028】
ポリエチレン系樹脂(2)は、全構成単位の量に対するエチレンに由来する構成単位の量が67モル%以上であれば特に限定されず、全ての構成単位がエチレンに由来するホモポリエチレンであってもよいし、エチレンと1種類又は2種以上の他のモノマーとの共重合体であってもよい。他のモノマーとしては、α-オレフィン、共役ジエン(例えばブタジエンやイソプレン)、非共役ジエン(例えば1,4-ペンタジエン)、アクリル酸、アクリル酸エステル(例えばアクリル酸メチルやアクリル酸エチル)、メタクリル酸、メタクリル酸エステル(例えばメタクリル酸メチルやメタクリル酸エチル)、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0029】
ポリエチレン系樹脂(2)は、例えばエチレン-α-オレフィン共重合体であってよい。また、ポリエチレン系樹脂(2)は、好ましくは、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、又は、高密度ポリエチレン(HDPE)であってよい。
【0030】
ポリエチレン系樹脂(2)の密度は、機械的強度と剛性を高める観点から、好ましくは875kg/m3以上980kg/m3以下、より好ましくは880kg/m3以上970kg/m3以下、さらに好ましくは900kg/m3以上970kg/m3以下である。本明細書において、ポリエチレン系樹脂(2)の密度は、JIS K7112-1980に規定されたA法により測定する。樹脂組成物が上記の範囲の密度のポリエチレン系樹脂(2)を含有する場合、加工時の流動性および耐着色性に優れると共に、機械的物性などが良好な樹脂組成物を提供することが可能であると考えられる。
【0031】
エチレン-α-オレフィン共重合体は、エチレンに由来する構成単位とα-オレフィンに由来する構成単位とを含む共重合体である。該α-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン等があげられ、これらは単独で用いられていてもよく、2種以上を併用されていてもよい。α-オレフィンとしては、好ましくは、炭素原子数3~20のα-オレフィンであり、より好ましくは、炭素原子数4~8のα-オレフィンであり、さらに好ましくは、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンである。
【0032】
ポリエチレン系樹脂(2)のメルトフローレート(MFR)は、0.1~20g/10分である。該MFRは、樹脂組成物の流動性及び加工性の観点から、好ましくは0.3g/10分以上であり、より好ましくは0.5g/10分以上である。また、機械的強度の観点から、好ましくは10g/10分以下であり、より好ましくは5g/10分以下である。該メルトフローレートは、JIS K7210-2014に規定された方法に従い、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。
【0033】
樹脂組成物の総量に対するポリエチレン系樹脂(2)の含有量は、樹脂組成物の流動性、耐着色性、及び機械的強度の観点から、好ましくは60~99.9質量%、より好ましくは70~99.5質量%、さらに好ましくは80~99.0質量%である。
【0034】
〔ポリプロピレン系樹脂(3)〕
本発明の樹脂組成物はポリプロピレン系樹脂(3)をさらに含有する。本明細書において、ポリプロピレン系樹脂とは、該ポリプロピレン系樹脂(3)に含まれる全構成単位のうちプロピレンに由来する構成単位の量が最も多いポリプロピレン系樹脂である。例えば、ある樹脂において、全構成単位の量に対するプロピレンに由来する構成単位の量が50モル%超である場合、該樹脂はポリプロピレン系樹脂(3)である。また、例えば複数種類以上のモノマーに由来する構成単位を有するある樹脂において、各モノマーに由来する構成単位の量を比較してポリプロピレンに由来する構成単位の量が他の構成単位のそれぞれの量と比較して最も多い場合も、該樹脂はポリプロピレン系樹脂(3)である。
【0035】
樹脂組成物は、1種類のポリプロピレン系樹脂(3)を含有していてもよいし、2種以上のポリプロピレン系樹脂(3)を含有していてもよい。ポリプロピレン系樹脂(3)における全構成単位の量に対するプロピレンに由来する構成単位の量は、樹脂組成物の流動性、耐着色性、及び機械的強度の観点から、好ましくは50モル%超、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、さらにより好ましくは80モル%以上、とりわけ好ましくは90モル%以上であり、その上限は100モル%以下であればよい。全構成単位の量に対するプロピレンに由来する構成単位の量は、核磁気共鳴法(NMR法)や赤外分光法(IR法)により決定することができる。
【0036】
ポリプロピレン系樹脂(3)としては、ポリプロピレン(プロピレンホモポリマー)、及び、プロピレンと他のモノマーとのコポリマーが挙げられ、例えば、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、プロピレン-α-オレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・コポリマーなどが挙げられる。
【0037】
ポリプロピレン系樹脂(3)は、該樹脂に含まれるそれぞれの構成単位の量を比較したときにプロピレンに由来する構成単位の量が最も多い樹脂である。このような樹脂であれば特に限定されず、全ての構成単位がプロピレンに由来するホモポリプロピレンであってもよいし、プロピレンと1種類又は2種以上の他のモノマーとの共重合体であってもよい。他のモノマーとしては、エチレン、α-オレフィン、共役ジエン(例えばブタジエンやイソプレン)、非共役ジエン(例えば1,4-ペンタジエン)、アクリル酸、アクリル酸エステル(例えばアクリル酸メチルやアクリル酸エチル)、メタクリル酸、メタクリル酸エステル(例えばメタクリル酸メチルやメタクリル酸エチル)、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0038】
ポリプロピレン系樹脂(3)のメルトフローレート(MFR)は、樹脂組成物の流動性と機械的強度を高める観点から、好ましくは0.1g/10分~150g/10分、より好ましくは0.5g/10分~100g/10分、さらに好ましくは1g/10分~50g/10分である。該メルトフローレートは、JIS K7210-2014に規定された方法に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。
【0039】
ポリプロピレン系樹脂(3)の含有量は、樹脂組成物自体の着色を抑制する観点から、樹脂組成物の総量に対して、好ましくは0.01~50質量%、より好ましくは0.1~40質量%、さらに好ましくは0.5~25質量%、さらにより好ましくは1.0~15質量%である。
【0040】
ポリエチレン系樹脂(2)及び/又はポリプロピレン系樹脂(3)において、全構成単位の量に対する、ジエン系モノマーに由来する構成単位の量は少ない程よく、例えば、好ましくは3モル%以下、より好ましくは2モル%以下、さらに好ましくは1モル%以下である。
【0041】
〔樹脂組成物〕
本発明の樹脂組成物は、上記の通り、式(1)で表される化合物(1)と、全構成単位の量に対するエチレンに由来する構成単位の量が67モル%以上であるポリエチレン系樹脂(2)と、ポリプロピレン系樹脂(3)とを含み、ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量に対するポリエチレン系樹脂(2)の量の割合は、60質量%以上100質量%未満である、樹脂組成物である。
【0042】
樹脂組成物に含まれるポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量に対するポリエチレン系樹脂(2)の量の割合が60質量%未満である場合、及び100質量%である場合、樹脂組成物自体が着色しやすく、樹脂組成物に由来する色みが強くなる傾向がある。樹脂組成物に含まれるポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量に対するポリエチレン系樹脂(2)の量の割合は、樹脂組成物自体の着色を抑制する観点からは、好ましくは60質量%以上99.9質量%以下、より好ましくは80質量%以上99.9質量%以下、さらに好ましくは80質量%以上99.5質量%以下、さらにより好ましくは85質量%以上99.0質量%以下である。
【0043】
樹脂組成物に含まれるポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量に対する化合物(1)の量は、樹脂組成物自体の着色を抑制する観点から、好ましくは0.01~3質量%、より好ましくは0.02~1質量%、さらに好ましくは0.03~0.5質量%、さらにより好ましくは0.05~0.3質量%である。
【0044】
樹脂組成物の総量に対する、化合物(1)、ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量は、樹脂組成物自体の着色を抑制する観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは90質量%以上であり、95質量%以上、98質量%以上、99質量%等であってもよい。
【0045】
本発明の樹脂組成物のYIは、本発明の樹脂組成物から得られる成形体の品質を向上させやすい観点から、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは12以下、さらにより好ましくは10以下、特に好ましくは8以下、最も好ましくは6以下である。樹脂組成物のYIは、例えば樹脂組成物をプレス成形して得た成形体(シート)を測定試料とし、色差計を用いて測定してよく、例えば実施例に記載の方法により測定することができる。
【0046】
〔その他の樹脂〕
本発明の樹脂組成物は、上記の通り、化合物(1)と、ポリエチレン系樹脂(2)と、ポリプロピレン系樹脂(3)とを含み、ポリエチレン系樹脂(2)における全構成単位の量に対するエチレンに由来する構成単位の量は67モル%以上であり、ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量に対するポリエチレン系樹脂(2)の量の割合は、60質量%以上100質量%未満であるが、該樹脂組成物は、ポリエチレン系樹脂(2)及びポリエチレン系樹脂(3)とは異なる、1種又は2種以上のその他の樹脂及び/又は添加剤をさらに含有していてよい。
【0047】
その他の樹脂としては、
(1)エチレンに由来する構成単位の量が67モル%未満であるポリエチレン系樹脂、
(2)ポリプロピレンに由来する構成単位と炭素数4以上の他の構成単位を含むが、プロピレンに由来する構成単位の含有量が炭素数4以上の他の構成単位の総量よりも少ない樹脂、
(3)メチルペンテンポリマー、
(4)EEA(エチレン/アクリル酸エチル共重合)樹脂、
(5)エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、
(6)ポリスチレン類、例えばポリスチレン、ポリ(p-メチルスチレン)、ポリ(α-メチルスチレン)、
(7)AS(アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂、
(8)ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合)樹脂、
(9)AAS(特殊アクリルゴム/アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂、
(10)ACS(アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合)樹脂、
【0048】
(11)塩素化ポリエチレン、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、
(12)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、
(13)メタクリル樹脂、
(14)エチレン/ビニルアルコール共重合樹脂、
(15)フッ素樹脂、
(16)ポリアセタール、
(17)グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂及びポリフェニレンサルファイド樹脂、
(18)ポリウレタン、
(19)ポリアミド、
(20)ポリエステル樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
【0049】
(21)ポリカーボネート、
(22)ポリアクリレート、
(23)ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、
(24)芳香族ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂、
(25)エポキシ樹脂、
(26)ジアリルフタレートプリポリマー、
(27)シリコーン樹脂、
(28)不飽和ポリエステル樹脂、
(29)アクリル変性ベンゾグアナミン樹脂、
(30)ベンゾグアナミン/メラミン樹脂、
(31)ユリア樹脂等の熱硬化性樹脂、
【0050】
(32)ポリブタジエン、
(33)1,2-ポリブタジエン、
(34)ポリイソプレン、
(35)スチレン/ブタジエン共重合体、
(36)ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、
(37)エチレン/プロピレン共重合体、
(38)シリコーンゴム、
(39)エピクロルヒドリンゴム、
(40)アクリルゴム、
(41)天然ゴム、
【0051】
(42)塩素ゴム系塗料、
(43)ポリエステル樹脂塗料、
(44)ウレタン樹脂塗料、
(45)エポキシ樹脂塗料、
(46)アクリル樹脂塗料、
(47)ビニル樹脂塗料、
(48)アミノアルキド樹脂塗料、
(49)アルキド樹脂塗料、
(50)ニトロセルロース樹脂塗料、
(51)油性塗料、
(52)ワックス、
(53)潤滑油など。
【0052】
〔他の添加剤〕
樹脂組成物は、化合物(1)、ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)以外に、必要に応じてさらに他の添加剤、例えばイオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、過酸化物スカベンジャー、ポリアミド安定剤、ヒドロキシアミン、滑剤、可塑剤、難燃剤、造核剤、金属不活性化剤、帯電防止剤、顔料、充填剤、顔料、アンチブロッキング剤、界面活性剤、加工助剤、発泡剤、乳化剤、光沢剤、ステアリン酸カルシウム、ハイドロタルサイト等の中和剤、さらには9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスホフェナンスレン-10-オキシド等の着色改良剤や、米国特許4,325,853号、4,338,244号、5,175,312号、5,216,053号、5,252,643号、4,316,611号明細書、DE-A-4,316,622号、4,316,876号明細書、EP-A-589,839、EP-A-591,102号明細書等に記載のベンゾフラン類、インドリン類等の補助安定剤などを添加することもできる。これらの添加剤の1種類を使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0053】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。フェノール系酸化防止剤として、以下の化合物を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、式(1)に相当する化合物は除く。
(1)アルキル化モノフェノールの例
2,6-ジシクロペンチル-4-メチルフェノール、2-(α-メチルシクロヘキシル)-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジオクタデシル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリシクロヘキシルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メトキシメチルフェノール、2,4-ジメチル-6-(1'-メチルウンデシル-1'-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1'-メチルヘプタデシル-1'-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1'-メチルトリデシル-1'-イル)フェノール及びそれらの混合物など。
【0054】
(2)アルキルチオメチルフェノールの例
2,4-ジオクチルチオメチル-6-t-ブチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-メチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-エチルフェノール、2,6-ジドデシルチオメチル-4-ノニルフェノール及びそれらの混合物など。
(3)ヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノンの例
2,6-ジ-t-ブチル-4-メトキシフェノール、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-t-アミルヒドロキノン、2,6-ジフェニル-4-オクタデシルオキシフェノール、2,6-ジ-t-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルステアレート、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)アジペート及びそれらの混合物など。
【0055】
(4)トコフェロールの例
α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール及びそれらの混合物など。
(5)ヒドロキシル化チオジフェニルエーテルの例
2,2'-チオビス(6-t-ブチルフェノール)、2,2'-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-チオビス(4-オクチルフェノール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(2-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(3,6-ジ-t-アミルフェノール)、4,4'-(2,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ジスルフィドなど。
【0056】
(6)アルキリデンビスフェノール及びその誘導体の例
2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス[4-メチル-6-(α-メチルシクロヘキシル)フェノール)]、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-ノニルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2'-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2'-エチリデンビス(4-イソブチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス[6-(α-メチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、2,2'-メチレンビス[4,6-(α,α-ジメチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、4,4'-メチレンビス(6-t-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4'-メチレンビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、2,6-ビス(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、1,1,3-トリス(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、1,1-ビス(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-n-ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコール ビス[3,3-ビス-3'-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2-(3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-メチルベンジル)-6-t-ブチル-4-メチルフェニル]テレフタレート、1,1-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-4-n-ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5-テトラ(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ペンタン、2-t-ブチル-6-(3'-t-ブチル-5'-メチル-2'-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニル アクリレート、2,4-ジ-t-ペンチル-6-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)エチル]フェニル アクリレート及びそれらの混合物など。
【0057】
(7)O-、N-及びS-ベンジル誘導体の例
3,5,3',5'-テトラ-t-ブチル-4,4'-ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル-4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート及びそれらの混合物など。
(8)ヒドロキシベンジル化マロネート誘導体の例
ジオクタデシル-2,2-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル-2-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル-2,2-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]-2,2-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート及びそれらの混合物など。
(9)芳香族ヒドロキシベンジル誘導体の例
1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン、2,4,6-トリス(3,5-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール及びそれらの混合物など。
【0058】
(10)トリアジン誘導体の例
2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-n-オクチルチオ-4,6-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-n-オクチルチオ-4,6-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-フェノキシ)-1,3,5-トリアジン、トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルエチル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピル)-1,3,5-トリアジン、トリス(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[2-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシシンナモイルオキシ)エチル]イソシアヌレート及びそれらの混合物など。
【0059】
(11)ベンジルホスホネート誘導体の例
ジメチル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル-5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルベンジルホスホネート、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエステルのカルシウム塩及びそれらの混合物など。
(12)アシルアミノフェノール誘導体の例
4-ヒドロキシラウリル酸アニリド、4-ヒドロキシステアリン酸アニリド、オクチル-N-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)カルバネート及びそれらの混合物など。
(13)β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と以下の一価又は多価アルコールとのエステルの例
メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン及びそれらの混合物など。
【0060】
(14)β-(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロピオン酸と以下の一価又は多価アルコールとのエステルの例
メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン及びそれらの混合物など。
(15)β-(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と以下の一価又は多価アルコールとのエステルの例
メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン及びそれらの混合物など。
【0061】
(16)3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル酢酸と以下の一価又は多価アルコールとのエステルの例
メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン及びそれらの混合物など。
(17)β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミドの例
N,N'-ビス[3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、N,N'-ビス[3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミン、N,N'-ビス[3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]トリメチレンジアミン及びそれらの混合物など。
【0062】
イオウ系酸化防止剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。
ジラウリル 3,3'-チオジプロピオネート、トリデシル 3,3'-チオジプロピオネート、ジミリスチル 3,3'-チオジプロピオネート、ジステアリル 3,3'-チオジプロピオネート、ラウリル ステアリル 3,3'-チオジプロピオネート、ネオペンタンテトライルテトラキス (3-ラウリルチオプロピオネート)など。
【0063】
リン系酸化防止剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。リン系酸化防止剤として、以下の化合物を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリル ペンタエリスリトール ジホスファイト、ジイソデシル ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4,6-トリ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4'-ジフェニレンジホスホナイト、2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) 2-エチルヘキシル ホスファイト、2,2'-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フルオロ ホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル) エチル ホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル) メチル ホスファイト、2-(2,4,6-トリ-t-ブチルフェニル)-5-エチル-5-ブチル-1,3,2-オキサホスホリナン、2,2',2''-ニトリロ[トリエチル-トリス(3,3',5,5'-テトラ-t-ブチル-1,1'-ビフェニル-2,2'-ジイル) ホスファイト、6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン及びそれらの混合物など。
【0064】
老化防止剤としては、例えば、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、キノリン系老化防止剤が好ましい。
【0065】
紫外線吸収剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。紫外線吸収剤として、以下の化合物を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(1)サリシレート誘導体の例
フェニル サリシレート、4-t-ブチルフェニル サリシレート、2,4-ジ-t-ブチルフェニル 3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシベンゾエート、4-t-オクチルフェニル サリシレート、ビス(4-t-ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、ヘキサデシル 3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル 3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシベンゾエート、2-メチル-4,6-ジ-t-ブチルフェニル 3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシベンゾエート及びそれらの混合物など。
(2)2-ヒドロキシベンゾフェノン誘導体の例
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン及びそれらの混合物など。
【0066】
(3)2-(2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールの例
2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3',5'-ジ-t-ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(5'-t-ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3'-s-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-4'-オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3',5'-ジ-t-アミル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2'-ヒドロキシ-3',3'-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[(3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)-5'-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]-5-クロロベンゾトリアゾール、2-[3'-t-ブチル-5'-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]-2'-ヒドロキシフェニル]-5-クロロベンゾトリアゾール、2-[3'-t-ブチル-3'-ヒドロキシ-5'-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル]-5-クロロベンゾトリアゾール、2-[3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル] ベンゾトリアゾール、2-[3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル] ベンゾトリアゾール、2-[3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]フェニル] ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5-メチルフェニル] ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3'-ドデシル-2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2-[3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(2-イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル] ベンゾトリアゾールの混合物、2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2,2'-メチレンビス[4-t-ブチル-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、ポリ(3~11)(エチレングリコール)と2-[3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル] ベンゾトリアゾールとの縮合物、ポリ(3~11)(エチレングリコール)とメチル 3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネートとの縮合物、2-エチルヘキシル 3-[3-t-ブチル-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート、オクチル 3-[3-t-ブチル-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート、メチル 3-[3-t-ブチル-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート、3-[3-t-ブチル-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸及びそれらの混合物など。
【0067】
光安定剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。光安定剤として、以下の化合物を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(1)ヒンダードアミン系光安定剤の例
ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-オクトキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-ベンジルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ブチルマロネート、ビス(1-アクロイル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)2,2-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)デカンジオエート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル メタクリレート、4-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-1-[2-(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノール及び1-トリデカノールとの混合エステル化物、
【0068】
1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール及び1-トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノール及び3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール及び3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、ジメチルサクシネートと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[(6-モルホリノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)]、ポリ[(6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)]、N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2-ジブロモエタンとの重縮合物、N,N',4,7-テトラキス[4,6-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、N,N',4-トリス[4,6-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、N,N',4,7-テトラキス[4,6-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、N,N',4-トリス[4,6-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン及びそれらの混合物など。
【0069】
(2)アクリレート系光安定剤の例
エチル α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート、イソオクチル α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート、メチル α-カルボメトキシシンナメート、メチル α-シアノ-β-メチル-p-メトキシシンナメート、ブチルα-シアノ-β-メチル-p-メトキシシンナメート、メチル α-カルボメトキシ-p-メトキシシンナメート及びN-(β-カルボメトキシ-β-シアノビニル)-2-メチルインドリン及びそれらの混合物など。
(3)ニッケル系光安定剤の例
2,2'-チオビス-[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル錯体、ニッケルジブチルジチオカルバメート、モノアルキルエステルのニッケル塩、ケトキシムのニッケル錯体及びそれらの混合物など。
【0070】
(4)オキサミド系光安定剤の例
4,4'-ジオクチルオキシオキサニリド、2,2'-ジエトキシオキサニリド、2,2'-ジオクチルオキシ-5,5'-ジ-t-ブチルアニリド、2,2'-ジドデシルオキシ-5,5'-ジ-t-ブチルアニリド、2-エトキシ-2'-エチルオキサニリド、N,N'-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2-エトキシ-5-t-ブチル-2'-エトキシアニリド、2-エトキシ-5,4'-ジ-t-ブチル-2'-エチルオキサニリド及びそれらの混合物など。
(5)2-(2-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン系光安定剤の例
2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2,4-ジヒドロキシフェニル-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-プロピルオキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(4-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-ブチルオキシプロポキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-オクチルオキシプロポキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン及びそれらの混合物など。
【0071】
金属不活性化剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。
N,N'-ジフェニルオキサミド、N-サリチラル-N'-サリチロイルヒドラジン、N,N'-ビス(サリチロイル)ヒドラジン、N,N'-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3-サリチロイルアミノ-1,2,4-トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オキサリルジヒドラジド、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイルビスフェニルヒドラジド、N,N'-ビス(サリチロイル)オキサリルジヒドラジド、N,N'-ビス(サリチロイル)チオプロピオニルジヒドラジド及びそれらの混合物など。
【0072】
過酸化物スカベンジャーとしては、例えばβ-チオジプロピオン酸のエステル、メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ジブチルジチオカルバミン酸の亜鉛塩、ジオクタデシルジスルフィド、ペンタエリスリトール テトラキス(β-ドデシルメルカプト)プロピオネート及びそれらの混合物等が挙げられる。
ポリアミド安定剤としては、例えばヨウ化物又はリン化合物の銅又は2価のマンガン塩及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0073】
ヒドロキシアミンとしては、例えばN,N-ジベンジルヒドロキシアミン、N,N-ジエチルヒドロキシアミン、N,N-ジオクチルヒドロキシアミン、N,N-ジラウリルヒドロキシアミン、N,N-ジテトラデシルヒドロキシアミン、N,N-ジヘキサデシルヒドロキシアミン、N,N-ジオクタデシルヒドロキシアミン、N-ヘキサデシル-N-オクタデシルヒドロキシアミン、N-ヘプタデシル-N-オクタデシルヒドロキシアミン及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0074】
中和剤としては、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト(塩基性マグネシウム・アルミニウム・ヒドロキシ・カーボネート・ハイドレード)、メラミン、アミン、ポリアミド、ポリウレタン及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0075】
滑剤としては、例えばパラフィン、ワックス等の脂肪族炭化水素、炭素数8~22の高級脂肪酸、炭素数8~22の高級脂肪酸金属(Al、Ca、Mg、Zn)塩、炭素数8~22の脂肪族アルコール、ポリグリコール、炭素数4~22の高級脂肪酸と炭素数4~18の脂肪族1価アルコールとのエステル、炭素数8~22の高級脂肪族アマイド、シリコーン油、ロジン誘導体などが挙げられる。
【0076】
造核剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。ナトリウム 2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート、[リン酸-2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)]ジヒドロオキシアルミニウム、ビス[リン酸-2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)]ヒドロオキシアルミニウム、トリス[リン酸-2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)]アルミニウム、ナトリウム ビス(4-t-ブチルフェニル)ホスフェート、安息香酸ナトリウムなどの安息香酸金属塩、p-t-ブチル安息香酸アルミニウム、1,3:2,4-ビス(O-ベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4-ビス(O-メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4-ビス(O-エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3-O-3,4-ジメチルベンジリデン-2,4-O-ベンジリデンソルビトール、1,3-O-ベンジリデン-2,4-O-3,4-ジメチルベンジリデンソルビトール、1,3:2,4-ビス(O-3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3-O-p-クロロベンジリデン-2,4-O-3,4-ジメチルベンジリデンソルビトール、1,3-O-3,4-ジメチルベンジリデン-2,4-O-p-クロロベンジリデンソルビトール、1,3:2,4-ビス(O-p-クロロベンジリデン)ソルビトール及びそれらの混合物など。
【0077】
充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、珪酸塩、ガラス繊維、アスベスト、タルク、カオリン、マイカ、硫酸バリウム、カーボンブラック、カーボンファイバー、ゼオライト及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0078】
これらの添加剤のうち好ましく用いられるものは、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、過酸化物スカベンジャー及び中和剤である。
特に好ましいフェノール系酸化防止剤としては、以下の化合物が挙げられる。
オクチル-3- (3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラキス-3- (3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エステル、2,2'-チオビス(6-t-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス[4-メチル-6-(α-メチルシクロヘキシル)フェノール)]、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2'-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4'-メチレンビス(6-t-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4'-メチレンビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、エチレングリコール ビス[3,3-ビス-3'-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)ブチレート]、2-t-ブチル-6-(3'-t-ブチル-5'-メチル-2'-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニル アクリレート、2,4-ジ-t-ペンチル-6-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)エチル]フェニル アクリレート、2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-フェノキシ)-1,3,5-トリアジン、トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル) イソシアヌレート、トリス[2-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシシンナモイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ジエチル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジ-n-オクタデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエステルのカルシウム塩、n-オクタデシル 3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ネオペンタンテトライルテトラキス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシシンナメート)、チオジエチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシシンナメート)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,6-ジオキサオクタメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシシンナメート)、ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシシンナメート)、トリエチレングリコール ビス(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルシンナメート)、N,N'-ビス[3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、N,N'-ビス[3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミンなど。
【0079】
また特に好ましいリン系酸化防止剤としては、以下の化合物が挙げられる。
トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリル ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4'-ジフェニレンジホスホナイト、2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) 2-エチルヘキシル ホスファイト、2,2'-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フルオロ ホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル) エチルホスファイト、2-(2,4,6-トリ-t-ブチルフェニル)-5-エチル-5-ブチル-1,3,2-オキサホスホリナン、2,2',2''-ニトリロ[トリエチル-トリス(3,3',5,5'-テトラ-t-ブチル-1,1'-ビフェニル-2,2'-ジイル)ホスファイト、6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンなど。
【0080】
特に好ましい紫外線吸収剤としては、以下の化合物が挙げられる。
フェニル サリシレート、4-t-ブチルフェニル サリシレート、2,4-ジ-t-ブチルフェニル 3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシベンゾエート、4-t-オクチルフェニル サリシレート、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3',5'-ジ-t-ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(5'-t-ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3'-s-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-4'-オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3',5'-ジ-t-アミル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2'-ヒドロキシ-3',5'-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾールなど。
【0081】
特に好ましい光安定剤としては、以下の化合物が挙げられる。
ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-オクトキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-ベンジルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル) 2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ブチルマロネート、ビス(1-アクロイル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル) 2,2-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)スクシネート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル メタクリレート、4-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-1-[2-(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル) 1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、
【0082】
テトラキス(1,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル) 1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノール及び1-トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール及び1-トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノール及び3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール及び3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、ジメチル サクシネートと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[(6-モルホリノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)]、ポリ[(6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)]など。
【0083】
〔樹脂及び樹脂組成物の製造方法〕
ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の製造方法は特に限定されず、例えば、ラジカル重合によって得られたものでもよく、周期表IVb、Vb、VIb又はVIII族の金属を含有する触媒を用いる重合により製造されたものでもよい。かかる金属を含有する触媒としては、1つ以上の配位子、例えばπあるいはσ結合によって配位する酸化物、ハロゲン化合物、アルコレート、エステル、アリール等を有する金属錯体が挙げられる。これらの錯体は、金属錯体そのままであってもよいし、塩化マグネシウム、塩化チタン、アルミナ、酸化ケイ素等の基材に担持されていてもよい。ポリエチレン系樹脂(2)としては、例えばチーグラー・ナッタ触媒、TNZ触媒、メタロセン触媒、フィリップス触媒等を用いて製造されたものが好ましく使用される。
【0084】
ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)として、上記のようなポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)のリサイクル樹脂も適当である。このようなリサイクル樹脂としては、例えば、リサイクルポリエチレン樹脂、リサイクルポリプロピレン樹脂、リサイクルプロピレン-エチレンブロック共重合体などが挙げられる。なお、リサイクル樹脂とは、例えば、フィルム等の形状に一度成形された樹脂を再利用するものであり、例えばフィルム等の成形物から、ペレット状や粉末状に加工して使用されることが多い。
【0085】
リサイクル樹脂においても、化合物(1)と、ポリエチレン系樹脂(2)と、ポリプロピレン系樹脂(3)の量の割合が特定の範囲内になるように調整すること等によって、該リサイクル樹脂を加工する際の着色が抑制され、かつ、流動性に優れる樹脂組成物を提供することができる。
【0086】
(樹脂組成物の製造方法)
式(1)で表される化合物(1)と、ポリエチレン系樹脂(2)と、ポリプロピレン系樹脂(3)と、必要に応じて添加されるその他の樹脂及び添加剤とを、ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量に対するポリエチレン系樹脂(2)の量の割合が60質量%以上100質量%未満となるような量で、公知のあらゆる方法及び装置を用いて均質に混合し、樹脂組成物を製造することができる。例えば、これらの成分を予め乾式混合して得た混合物を溶融混練することにより互いに混合する工程を少なくとも含む製造方法により製造することができる。
【0087】
このようにして得た樹脂組成物は、良好な加工安定性を有すると共に、加工時の樹脂組成物自体の着色を防止することができる。このような有機材料は、製造時、加工時及び使用時の熱劣化及び/又は酸化劣化等に対して安定であると共に、さらに加工時に生じるラジカル等による着色も抑制されていると考えられ、高品質の製品となる。
【0088】
本発明はまた、ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)を含む有機材料に、式(1):
【化4】
[式(1)中、
R
1、R
2、R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキル基、炭素数6~12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7~12のアラルキル基又はフェニル基を表し、
R
3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表し、
Xは、単結合、硫黄原子又は-CH(-R
6)-基(R
6は水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数5~8のシクロアルキル基を表す)を表し、
Aは炭素数1~8のアルキレン基又は*-C(=O)-R
7-基(R
7は単結合又は炭素数1~8のアルキレン基を表し、*は酸素側の結合手であることを表す)を表し、
Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1~8のアルコキシ基又は炭素数7~12のアラルキルオキシ基を表し、他の一方が水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表す]
で表される化合物(1)を添加する、
ここで、ポリエチレン系樹脂(2)における全構成単位の量に対するエチレンに由来する構成単位の量は67モル%以上であり、
ポリエチレン系樹脂(2)及びポリプロピレン系樹脂(3)の合計量に対するポリエチレン系樹脂(2)の量の割合は、60質量%以上100質量%未満である、
有機材料の安定化方法も提供する。本発明の安定化方法に関して、本発明の樹脂組成物に関する上記の記載、好ましい態様が、同様に当てはまる。
【0089】
乾式混合する場合、粉体を袋に入れ手で回して混合してもよいし、ヘンシェルミキサー、サンドミル、エッジランナー、タニナカ式粉砕機等を用いることもできる。溶融混練には、バンバリーミキサー、単軸押出機、二軸押出機等を用いることができ、2台以上の押出機を組み合わせて用いることもできる。生産性を高くしやすい観点からは、溶融混練に二軸押出機を用いることが好ましい。溶融混練する際の温度(例えば押出機の設定温度)は、樹脂組成物自体の着色を低減しやすい観点から、170℃以上、好ましくは180~300℃、より好ましくは190~270℃、さらに好ましくは190℃~250℃である。
【0090】
<樹脂組成物の成形体>
本発明の樹脂組成物を公知の成形方法により成形することにより、成形体を製造することができる。成形方法としては、射出成形法、プレス成形法、真空成形法、真空プレス成形法、圧空成形法、発泡成形法、押出成形法等が挙げられ、これらの成形方法によって、それぞれ、射出成形体、プレス成形体、真空成形体、真空プレス成形体、圧空成形体、発泡成形体、押出成形体等を得ることができる。好ましい成形方法は、多様な成型品に対応でき、汎用性の観点から、射出成形法である。射出成形法としては、例えば、一般的な射出成形法、射出発泡成形法、超臨界射出発泡成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、射出プレス成形法、ガスアシスト射出成形法、サンドイッチ成形法、サンドイッチ発泡成形法、インサート・アウトサート成形法等が挙げられる。
【0091】
例えば上記の成形方法により本発明の樹脂組成物を成形して得た成形体の用途は、特に限定されないが、好ましくは自動車内外装用部品、例えば、バンパー、ドアトリム、ピラー、インスツルメンタルパネル、コンソール、ロッカーパネル、アームレスト、ドアーパネル、スペアタイヤカバー等、家電用途における掃除機、テレビ等の部品、各種住宅設備機器部品、各種工業部品、各種建材部品等の各種工業部品用の材料として、重袋、シュリンク、一般包装、薄物フィルム、プロテクトフィルム(保護フィルム)、押出ラミネートフィルム、押出成形フィルム、発泡成形フィルムなどの多種多様なフィルムである。
【実施例0092】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、特段の記載が無い限り、「部」は「重量部」を意味する。
【0093】
<成分>
実施例及び比較例で使用した成分を以下に記載する。
(熱可塑性樹脂)
・線状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)(MFR値:2g/10分、住友化学社製、エチレンと1-ブテンとの共重合体、エチレンに由来する構成単位の量:96モル%、密度920kg/m3)
・ホモポリプロピレン樹脂(HPP)(MFR値:18g/10分、住友化学社製)
(加工安定剤)
・化合物A:
2,4,8,10-テトラ-t-ブチル-6-〔3-(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン(スミライザー(登録商標)GP、住友化学社製)
・化合物B:3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル(IRGANOX 1076、BASF社製)
・化合物C:亜りん酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)(IRGAFOS 168、BASF社製)
【0094】
ポリエチレン系樹脂(2)のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210-2014に規定された方法に従い、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定した。また、ポリプロピレン系樹脂(3)のMFRは、JIS K7210-2014に規定された方法に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定した。
【0095】
ポリエチレン系樹脂(2)の密度は、JIS K7112-1980に規定されたA法により測定した。
【0096】
(実施例1)
LLDPE 99部、HPP 1部、ステアリン酸カルシウム 0.05部(日東化成工業社製)、化合物A 0.05部をドライブレンドし、得られた混合物を、シリンダー径32mmの二軸押出機(BTN-32、PLABOR社)を用いて、窒素雰囲気下、温度220℃およびスクリュー回転数80rpmの条件で混練して、ペレットを得た。
【0097】
(実施例2~5、比較例1~10)
表1に記載された添加重量部の化合物A、化合物B又は化合物Cをドライブレンドしたこと以外は実施例1と同様にしてペレットを得た。
【0098】
【0099】
得られた実施例1~5及び比較例1~10のペレットを用いて、加工安定性及び耐着色性を次の方法で評価した。得られた結果を表1に示す。
【0100】
(加工安定性)
得られたペレットを、シリンダー径30mmの単軸押出機(VS30-28型押出機、田辺プラスチックス社製)を用いて、空気雰囲気下、温度280℃及びスクリュー回転数70rpmの条件で混練して得られたペレットのメルトフローレート(MFR)を測定した。
MFRはメルトフローインデックステスター(型式No.120-LABOT-50、株式会社安田精機製作所社製)を用いて、JIS K7210-2014に規定された方法に従い、温度190℃及び荷重21.18Nの条件下にて測定した。ポリエチレン系樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物は、熱による加工によって架橋が進行し、そのMFRが低下する。そのため、MFRが大きいほど、その加工安定性は良好である。得られたMFRに基づき、下記基準で加工安定性を評価した。
加工安定性の評価基準
○:MFR 1.5以上
×:MFR 1.5未満
【0101】
(耐着色性)
得られたペレットを、シリンダー径30mmの単軸押出機(VS30-28型押出機、田辺プラスチックス社製)を用いて、空気雰囲気下、温度280℃及びスクリュー回転数70rpmの条件で混練して、混錬後の樹脂組成物のペレットを得た。混錬前後の樹脂組成物のペレットのイエローインデックス(YI)値を色差計(コニカミルタジャパン社製「CM―3500d」)を用いて測定し、混錬前後のYIの変化量を算出した。YIの変化量(ΔYI)が小さいほど、樹脂組成物自体の着色が抑制されており、耐着色性に優れることを意味する。得られたΔYIに基づき、下記基準で耐着色性を評価した。
耐着色性の評価基準
○:ΔYI 2.1未満
×:ΔYI 2.1以上
【0102】
表1に示す結果より、実施例1~5の樹脂組成物は、良好な加工安定性を維持しつつ、樹脂組成物自体の着色が抑制されていることがわかった。これに対し、比較例1~10の場合には、十分な着色抑制効果が得られなかった。特に化合物Aを用いる場合であっても、ポリプロピレン系樹脂の量が本願で特定する範囲外の場合には、十分な着色抑制効果が得られなかった。また、式(1)で表される化合物ではない化合物Bや化合物Cを用いる場合も、十分な着色抑制効果が得られなかった。