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特開2025-2047充電計画策定システム及び充電計画策定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002047
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】充電計画策定システム及び充電計画策定方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20241226BHJP
【FI】
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101956
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大津 智宏
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 秀敏
(72)【発明者】
【氏名】澄川 陽介
(72)【発明者】
【氏名】田尻 力也
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】移動体に対する充電のON/OFFの回数を抑制する。
【解決手段】バッテリを備える移動体の充電計画を策定する充電計画策定システムであって、前記移動体の充電可能時間帯と前記移動体に充電が必要な電力量とを格納するデータベースと、前記移動体に対する充電が継続する時間区間である充電ブロックの数に対する制限を格納可能なデータベースと、前記充電可能時間帯、前記充電が必要な電力量、及び前記充電ブロックの数の制限に基づいて、前記移動体に対する充電計画を策定する充電計画部とを備えたことを特徴とする充電計画策定システム。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを備える移動体の充電計画を策定する充電計画策定システムであって、
前記移動体の充電可能時間帯と前記移動体に充電が必要な電力量とを格納するデータベースと、
前記移動体に対する充電が継続する時間区間である充電ブロックの数に対する制限を格納可能なデータベースと、
前記充電可能時間帯、前記充電が必要な電力量、及び前記充電ブロックの数の制限に基づいて、前記移動体に対する充電計画を策定する充電計画部と
を備えたことを特徴とする充電計画策定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の充電計画策定システムであって、
前記充電計画部は、複数の移動体の各々についての充電可能時間帯と、前記複数の移動体の各々についての必要な電力量と、前記複数の移動体の各々についての充電ブロック数の制限とに基づいて、前記複数の移動体に対する充電計画を策定することを特徴とする充電計画策定システム。
【請求項3】
請求項1に記載の充電計画策定システムであって、
前記移動体の充電を行う拠点の電力消費を示すデータベースをさらに備え、
前記充電計画部は、前記拠点の消費電力をさらに用いて前記充電計画を策定することを特徴とする充電計画策定システム。
【請求項4】
請求項1に記載の充電計画策定システムであって、
前記充電計画部は、前記移動体に対応する充電器の仕様に基づいて前記充電ブロックの数の制約を設定し、当該制約に基づいて前記充電計画を策定することを特徴とする充電計画策定システム。
【請求項5】
請求項3に記載の充電計画策定システムであって、
前記充電計画部は、前記充電ブロックの数を算出し、前記拠点の消費電力と前記充電に供する電力とを合計した合計電力のピーク値が前記充電ブロックの数の上限変更によりどのように変化するかを提示して、前記充電ブロックの数の決定を支援することを特徴とする充電計画策定システム。
【請求項6】
請求項1に記載の充電計画策定システムであって、
前記充電計画部は、電力会社ごとに定義される時間帯別電気料金をさらに用いて前記充電計画を策定することを特徴とする充電計画策定システム。
【請求項7】
請求項1に記載の充電計画策定システムであって、
前記充電計画部は、時刻についての優先度をさらに用いて前記充電計画を策定することを特徴とする充電計画策定システム。
【請求項8】
バッテリを備える移動体の充電計画を策定する充電計画策定方法であって、
充電計画部が、前記移動体の充電可能時間帯と前記移動体に充電が必要な電力量とを取得するステップと、
前記充電計画部が、前記移動体に対する充電が継続する時間区間である充電ブロックの数に対する制限を取得するステップと、
前記充電計画部が、前記充電可能時間帯、前記充電が必要な電力量、及び前記充電ブロックの数の制限に基づいて、前記移動体に対する充電計画を策定するステップと
を含むことを特徴とする充電計画策定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電計画策定システム及び充電計画策定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、温室効果ガス削減やカーボンニュートラル達成に向けて電気自動車(Battery Electric Vehicle)の普及が進んでいる。電気自動車はその他の駆動源を有する車両には無い充電操作が必要であり、充電計画を策定するシステムが求められている。例えば、特許文献1には、「必要なバッテリ残量を確保しつつ、電力コストの最小化や電力需要の平準化を実現することを目的とする。本発明にかかるエネルギーマネジメントシステムは、電気自動車(EV)に電力を供給する電力供給手段としての充電スタンドと、EVの充電スタンドにおける電力受給の予約情報を、EVが当該充電スタンドに到達する前に取得する、予約情報取得部106と、予約情報に基づいて、充電スタンドにおける電力需要を予測し、EVに対する充電計画を作成する充電計画作成部107と、充電計画に基づいて、充電スタンドにおけるEVに対する電力供給を制御する充電制御部108とを備える。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2013/099549
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の充電計画では、乗用車やトラック、特殊機械を含む電気自動車(Battery Electric Vehicle)の充電量と充電時間の優先度、電力負荷を考慮した充電計画を行っている。しかし、車両の充電ON/OFFに関する考慮は行っておらず、システム利用者あるいは充電器の仕様に基づく充電ON/OFFに関する制約の考慮や、充電ON/OFFの制御による電力負荷の低減を行うことができない。
例えば、ある車両について必要な充電を行うまでに充電ON/OFFを何度も繰り返すと、バッテリや充電器に不要な負担をかけ、劣化を早めることが考えられる。このため、充電は、できるだけ連続した時間区間で行うことが望ましい。
そこで、本発明では、移動体に対する充電のON/OFFの回数を抑制することを課題とする。この課題は、電気自動車に限らず、ドローン等、バッテリを動力とする移動体の充電に広く生じているものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、代表的な本発明の充電計画策定システムの一つは、バッテリを備える移動体の充電計画を策定する充電計画策定システムであって、前記移動体の充電可能時間帯と前記移動体に充電が必要な電力量とを格納するデータベースと、前記移動体に対する充電が継続する時間区間である充電ブロックの数に対する制限を格納可能なデータベースと、前記充電可能時間帯、前記充電が必要な電力量、及び前記充電ブロックの数の制限に基づいて、前記移動体に対する充電計画を策定する充電計画部とを備えたことを特徴とする。
また、代表的な本発明の充電計画策定方法の一つは、バッテリを備える移動体の充電計画を策定する充電計画策定方法であって、充電計画部が、前記移動体の充電可能時間帯と前記移動体に充電が必要な電力量とを取得するステップと、前記充電計画部が、前記移動体に対する充電が継続する時間区間である充電ブロックの数に対する制限を取得するステップと、前記充電計画部が、前記充電可能時間帯、前記充電が必要な電力量、及び前記充電ブロックの数の制限に基づいて、前記移動体に対する充電計画を策定するステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、移動体に対する充電のON/OFFの回数を抑制できる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係るサーバを含む充電計画策定システムの構成を示す図。
図2】本発明の実施形態に係るサーバの機能ブロックの構成を示す図。
図3】本発明の実施形態に係るサーバでの充電計画策定に関連するデータベース。
図4】本発明の第一の実施形態に係るサーバの処理を示すフローチャート。
図5】本発明の第二の実施形態に係るサーバの処理を示すフローチャート。
図6】本発明の第三の実施形態に係るサーバの処理を示すフローチャート。
図7】本発明の第四の実施形態に係るサーバの処理を示すフローチャート。
図8】本発明の第一の実施形態に係る充電計画提示画面の一例を示す図。
図9】本発明の第一の実施形態による充電計画の効果の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施例1について図面を用いて説明する。
【実施例0009】
図1は、本発明の実施形態に係る充電計画策定システムを含む車両管理システムの構成を示す図である。図1に示す車両管理システムはシステム利用者端末100と、サーバ200と、充電器300と、複数の車両400とを備えている。
【0010】
システム利用者端末100は、サーバ200に対して、充電計画の算出に必要となる、車両走行情報と、拠点電力利用履歴と、ある車両に対して連続に充電している状態を充電ブロックと定義した充電ブロック数を入力することができる。ここで、拠点とは、充電器300が設置されている場所等であり、充電器300が消費する電力と、拠点自体が消費する電力の合計について、そのピークがなるべく小さくなることが望ましいものとする。
【0011】
サーバ200は、各車両400に充電計画を提示する情報機器であり、例えば、所定の施設内に設置されたコンピュータを用いて実現される。サーバ200は、携帯電話網、無線LAN、有線LANなどにより実現される通信回線500を介して、充電器300と各車両400に対して充電計画を提示する。
【0012】
複数の車両400は、サーバ200で作成した充電計画に従い、手動または自動で充電器300と接合して充電を行う。車両400は、充電器300から出力される充電出力と車両内部バッテリの充電量を監視し、バッテリ容量を超えた充電がなされた場合は充電器300からの充電を遮断する機構を持つ。図1では二台の車両400のみを描画しているが、実際にはこれより多くの車両400が含まれているとしても良い。また、各車両400は外部からの充電を伴う電気車両を対象とし、車両種別に対する制限は設けない。
【0013】
充電器300は、サーバ200で作成した充電計画を取得し、前記充電計画に従って各車両400に対して電力を供給する。図1では二台の充電器300のみを描画しているが、実際にはこれより多くの充電器300が含まれているとしても良い。
【0014】
サーバ200の機能について説明する。図2は、本発明の実施形態1に係るサーバ200の機能ブロック図である。
図2に示すように、システム利用者端末100は、拠点電力利用履歴入力部101、車両走行情報入力部102、充電ブロック数入力部103、利用者側サーバ連携部104を備える。
【0015】
拠点電力利用履歴入力部101では、サーバ200で充電計画を策定するために用いる、拠点電力利用履歴を入力する。拠点電力利用履歴の例としては、例えば30分刻みで取得された拠点での使用電力[kW]履歴が挙げられる。
【0016】
車両走行情報入力部102では、サーバ200で充電計画を策定するために用いる、車両走行情報を入力する。車両走行情報の例としては、車両に充電する充電量、運用を考慮した上で充電可能な時間が挙げられる。
【0017】
充電ブロック数入力部103では、サーバ200で充電計画を策定する際の制約条件として用いる充電ブロック数を入力する。充電ブロック数としては、複数の車両400のそれぞれに対して、1以上の任意の整数を入力することができる。
【0018】
利用者側サーバ連携部104は、システム利用者によって入力された車両走行情報、拠点電力利用履歴および充電ブロック数をサーバ200に通知する機能を備える。
サーバ200は、充電計画表示部201、充電計画部202、サーバ側利用者連携部203、サーバ側充電器連携部204、サーバ側車両連携部205、拠点電力情報データベースDB100、電力料金データベースDB101、充電ブロック数データベースDB102、充電器情報データベースDB103、走行情報データベースDB104、充電計画データベースDB105を備える。サーバ200は、不図示のCPU、メモリ、ストレージを含むハードウェア構成を有しており、これらのハードウェアと所定の機能を実現するソフトウェアを用いて、各機能ブロックを実現することができる。
【0019】
充電計画表示部201は、サーバ200で作成した充電計画結果を表示するものである。
充電計画部202は、充電計画表示部201で表示する充電計画を、拠点電力情報データベースDB100、電力料金データベースDB101、充電ブロック数データベースDB102、充電器情報データベースDB103、走行情報データベースDB104、充電計画データベースDB105の情報に基づいて策定する。
【0020】
サーバ側利用者連携部203は、サーバ200とシステム利用者端末100とを連携する機能を備え、サーバ200からシステム利用者端末100に対して充電計画画面を提示し、システム利用者端末100からサーバ200に対して車両走行情報と拠点電力利用履歴を入力することができる。
【0021】
サーバ側充電器連携部204は、サーバ200と充電器300とを連携する機能を備え、この機能により充電計画部202で作成した充電計画を充電器300に提示することと車両400への充電実績を取得することができる。
【0022】
サーバ側車両連携部205は、サーバ200と車両400を連携する機能を備え、この機能により充電計画部202で作成した充電計画を車両400に通知することと、充電器300から充電された結果の車両内部の充電状態などをサーバ200に通知することができる。
【0023】
充電器300は、充電器側サーバ連携部301と電力出力部302と充電器側車両連携部303を備える。
充電器側サーバ連携部301は、サーバ200と充電器300を連携する機能を備え、策定された充電計画をサーバ200から取得することができる。
【0024】
電力出力部302は、充電器側サーバ連携部301でサーバ200から取得した充電計画に基づいて電力を出力する機能を備える。
【0025】
充電器側車両連携部303は、計画された充電計画を車両400に出力する機能と車両側充電状況を取得する機能を備える。
【0026】
図3に記載のDB100~DB105は、サーバ200に格納するデータベースの詳細について記述したものである。
【0027】
拠点電力情報データベースDB100は拠点電力利用履歴入力部101によって入力された拠点電力利用履歴を格納している。
電力料金データベースDB101は電力プランなどによって定義される時間帯別の電力量料金[¥/kWh]を格納している。
充電ブロック数データベースDB102は充電ブロック数入力部103によって入力された充電ブロック数を格納している。
充電器情報データベースDB103は充電器300のそれぞれの充電出力[kW]と紐づけられる車両400のIDを格納している。
走行情報データベースDB104は、車両走行情報入力部102によって入力された車両走行情報として、複数の車両400のそれぞれに対して、充電電力量[kWh]、充電可能時間帯:開始、充電可能時間帯:終了、充電所要時間[h]などを格納している。
充電計画データベースDB105は、DB100~DB104のデータを用いて策定した充電計画結果を、複数の車両400のそれぞれに対して、時間帯別の充電電力[kW]を格納している。
【0028】
図4は発明の第一の実装形態に係る処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS100で、サーバ200は、サーバ200の管理している充電器情報データベースDB103から充電器情報を取得する。これにより、充電計画で用いる充電器の出力とその充電器に紐づけられる車両が決定する。
ステップS200で、サーバ200は、拠点電力利用履歴入力部101において入力され、拠点電力情報データベースDB100に格納された拠点の電力利用履歴を取得する。
ステップS300で、サーバ200は、車両走行情報入力部102において入力され、走行情報データベースDB104に格納された車両の走行情報を取得する。
ステップS400で、サーバ200は、充電ブロック数入力部103において入力され、充電ブロック数データベースDB102に格納された各車両に対する充電ブロック数を取得する。
【0029】
ステップS500で、サーバ200は、ステップS100からS400において取得した情報に基づいて、充電計画を立案する。ステップS500における充電計画はステップS001からS005で示すステップにより実施される。ステップS001からS005に示す充電計画策定方法は一例であり、充電計画策定を最適化問題以外の方法で行っても良い。以下では、ある時刻での充電負荷の平準化を行うピークシフト充電を行うための定式化の例を示す。
【0030】
ステップS001で、サーバ200は、入力された拠点の電力トレンドから負荷平準化の目的関数を設定する。ピークシフト充電の目的関数の数式例を以下に示す。
【数1】
ここで、iは車両を識別するID、tは時刻コマである。xitは、車両iの時刻コマtにおける充電計画を「充電しない(=0)」または「充電する(=1)」の二値で表現したもの、chargerは車両iに割り当てられた充電器の出力、Nは車両台数、p cntは時刻コマtにおける拠点での使用電力[kW]を示している。この目的関数について最適化を行うことで最適な充電計画xitを策定する。
【0031】
ステップS002からステップS004は充電計画に関する制約条件を設定するステップである。
ステップS002は、車両400の充電量に関する制約条件を設定するステップである。前記充電量はステップS300で取得した車両走行情報から設定される。充電量に関する制約条件の数式例を以下に示す。
【数2】
ここで、charger_timeは車両IDがiの車両に割り当てられた充電器出力chargerで車両を充電した場合の充電所要時間、Kは最適化対象として考慮する時刻コマの総数である。
【0032】
ステップS003は、車両400の充電時間可能時間帯の範囲内で車両400の充電を行う制約条件を設定するステップである。前記充電可能時間帯はステップS300で取得した車両走行情報から設定できる。充電可能時間帯の制約条件の数式例を以下に示す。
【数3】
ここで、xrechargerable_itは車両IDiの車両400について時刻コマtで前記車両IDiの車両400が充電不可能(=0)か充電可能(=1)かを示す二値変数である。xrechargerable_itはステップS300で取得した車両走行情報から取得できる。
【0033】
ステップS004は、車両400の充電ブロック数に関する制約条件を設定するステップである。充電ブロック数に関する制約条件の数式例を以下に示す。
【数4】
ここで、recharge_blockは前記車両IDiの車両400に割り当てられた充電ブロック数であり、充電ブロック数入力部103で入力される。この式は、充電しているコマと充電していないコマの境界、すなわち、充電の開始と終了をそれぞれ「1」として合計し、合計した値を2で割ることで充電ブロック数を算出している。そして、算出した充電ブロック数が割り当てられた充電ブロック数以下であることを制約条件としたものである。
【0034】
ステップS005は、ステップS001からステップS004によって定式化された最適化問題を解くことで充電計画を策定する。策定された充電計画結果を充電計画データベースDB105に格納する。
【0035】
このように、本実施例では、サーバ200は、入力された充電ブロック数の条件を満たす充電計画を策定できる。
【実施例0036】
本実施例は、実施例1における充電ブロック数入力ステップS400で入力される情報をシステム利用者による入力以外から作成するものである。図2図4を参考に、実施例1から変更があるステップのみ以下に示す。
【0037】
本実施例を表現したフローチャート図5におけるステップS400では、充電ブロック数データベースDB400をシステム利用者による入力ではなく、充電器側の製品仕様に基づいて作成する。
本実施例では、サーバ200は、充電器側の仕様によって定まる充電ブロック数の条件を満たす充電計画を策定できる。
【実施例0038】
本実施例は、実施例1における充電ブロック数について、システム側で策定した充電ブロック数をシステム利用者へ提案するものである。図2図4を参考に、実施例1から変更があるステップのみ以下に示す。
【0039】
本実施例を表現したフローチャート図6におけるステップS400では、充電ブロック数データベースDB400をシステム利用者による入力ではなく、システム側の最適化結果に基づいてシステム利用者に充電ブロック数を提案する。
このように、本実施例では、サーバ200は、充電ブロック数の提案が可能である。
【実施例0040】
本実施例は、実施例1における充電計画策定について、充電時刻に関する優先度を考慮した充電計画を策定するものである。図2図4を参考に、実施例1から変更があるステップのみ以下に示す。
【0041】
本実施例を表現したフローチャート図7におけるステップS300では、充電時刻の優先度を取得する。前記充電時刻の優先度を考慮した目的関数をステップS002で作成し、時刻優先度を考慮した充電計画を作成する。時刻コマの総数Kを48(1コマ30分で24時間分)とし、充電時刻の優先度を考慮した充電計画の定式化の数式例を以下に示す。
【数5】
この定式化では、車両IDiの車両400の車両充電可能な時間帯の開始時刻xcsiになるべく近い時刻に充電するほど充電の優先度が高いものとして設定される。また、以下に示す通り、ステップS001で設定した負荷平準化の目的関数とステップS002設定した目的関数とを足し合わせた目的関数を用いて充電計画を行うことで、負荷平準化と時刻の優先度を考慮した充電計画を策定することができる。
【数6】
【0042】
また、時刻優先度として電力プラン毎に定義される電気量料金を用いて電力料金を考慮した充電計画を策定することも可能である。以下に時間帯別の電力量料金costを考慮する場合の目的関数を示す。
【数7】
このように、本実施例では、車両の充電が完了する時刻をなるべく早くする充電計画や、電気料金をなるべく安くする充電計画が策定できる。
なお、優先度については、車両ごとや車種ごとに設定してもよい。すなわち、特定の車両や車種を優先的に充電する計画も策定可能である。
【0043】
次に、各実施例で適用可能な表示画面例について説明する。
図8のD100は充電計画表示部201により表示される充電計画結果を描画する画面の一例である。D101で表示される充電計画表示画面には、充電計画部202によって策定された充電計画が表示される。D101上部に描画される図は、横軸を時刻、縦軸を消費電力[kW]とし、拠点と車両充電による電力消費を描画したものである。D101下部に描画される図は、横軸を時刻、縦軸を車両IDとして、充電計画を描画したものである。濃い色で示している箇所が車両を充電している時刻を示している。D102は拠点電力利用履歴入力部101に対応して、拠点電力利用履歴を入力する画面である。D103は車両走行情報入力部102に対応して、車両走行情報を入力する画面である。D104は充電時刻の優先度を入力するものである。D105は充電ブロック数入力部103に対応して、各車両に対して充電ブロック数を入力する画面である。
【0044】
図9のD200は充電ブロック数を1とした従来のピークシフト充電を行ったものである。D300は本発明に従い充電ブロック数を2以下に設定した場合のピークシフト充電の結果を示している。D200では充電ブロック数が1であるためにピーク電力が47.2[kW]となっているが、本発明を用いた結果のD300では充電ブロック数を2以下に設定した下でピーク電力を44.0[kW]に抑制することが出来ている。なお、図9の「office」は拠点の消費電力を示し、「ev」は車両の充電による消費電力を示す。ピーク電力は、書店の消費電力と車両の充電による消費電力の合計の最大値である。
【0045】
上述してきたように、開示の充電計画策定システムは、バッテリを備える移動体の充電計画を策定する充電計画策定システムであって、前記移動体の充電可能時間帯と前記移動体に充電が必要な電力量とを格納するデータベースDB104と、前記移動体に対する充電が継続する時間区間である充電ブロックの数に対する制限を格納可能なデータベースDB102と、前記充電可能時間帯、前記充電が必要な電力量、及び前記充電ブロックの数の制限に基づいて、前記移動体に対する充電計画を策定する充電計画部202とを備えたことを特徴とする。
このシステムは、移動体に対する充電が継続する時間区間である充電ブロックの数を制約条件とすることで、移動体に対する充電のON/OFFの回数を抑制する充電計画を策定できる。
【0046】
また、前記充電計画部202は、複数の移動体の各々についての充電可能時間帯と、前記複数の移動体の各々についての必要な電力量と、前記複数の移動体の各々についての充電ブロック数の制限とに基づいて、前記複数の移動体に対する充電計画を策定する。
このシステムは、複数の移動体の充電を総合的に効率化する充電計画を策定できる。
【0047】
また、前記移動体の充電を行う拠点の電力消費を示すデータベースDB100をさらに備え、前記充電計画部202は、前記拠点の消費電力をさらに用いて前記充電計画を策定する。
このシステムは、拠点の消費電力と充電による消費電力と考慮して充電計画を策定できる。
【0048】
また、前記充電計画部202は、前記移動体に対応する充電器の仕様に基づいて前記充電ブロックの数の制約を設定し、当該制約に基づいて前記充電計画を策定する。
このシステムは、充電器の仕様に合わせて充電計画を策定できる。
【0049】
また、前記充電計画部202は、前記充電ブロックの数を算出し、前記拠点の消費電力と前記充電に供する電力とを合計した合計電力のピーク値が前記充電ブロックの数の上限変更によりどのように変化するかを提示して、前記充電ブロックの数の決定を支援する。
このシステムは、電力ピークが小さい充電計画の策定を支援できる。
【0050】
また、前記充電計画部202は、電力会社ごとに定義される時間帯別電気料金をさらに用いて前記充電計画を策定する。
このシステムは、電気料金を抑える充電計画を策定できる。
【0051】
また、前記充電計画部202は、時刻についての優先度をさらに用いて前記充電計画を策定する。
このシステムは、車両の充電が早い時刻に完了する充電計画を策定できる。
【0052】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、かかる構成の削除に限らず、構成の置き換えや追加も可能である。
例えば、上記の実施例では、複数の車両400に充電を行う構成を例示して説明を行ったが、1台の車両の充電計画を家庭の消費電力を加味して策定するシステムとすることも可能である。また、車両に限らずバッテリを用いて駆動する任意の移動体に適用可能であるので、1又は複数のドローンを充電するシステムであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
100:システム利用者端末
101:拠点電力利用履歴入力部
102:車両走行情報入力部
103:充電ブロック数入力部
104:利用者側サーバ連携部
106:予約情報取得部
107:充電計画作成部
108:充電制御部
200:サーバ
201:充電計画表示部
202:充電計画部
203:サーバ側利用者連携部
204:サーバ側充電器連携部
205:サーバ側車両連携部
300:充電器
301:充電器側サーバ連携部
302:電力出力部
303:充電器側車両連携部
400:車両
500:通信回線
DB100:拠点電力情報データベース
DB101:電力料金データベース
DB102:充電ブロック数データベース
DB103:充電器情報データベース
DB104:走行情報データベース
DB105:充電計画データベース
DB400:充電ブロック数データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-07-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
図9のD200は充電ブロック数を1とした従来のピークシフト充電を行ったものである。D300は本発明に従い充電ブロック数を2以下に設定した場合のピークシフト充電の結果を示している。D200では充電ブロック数が1であるためにピーク電力が47.2[kW]となっているが、本発明を用いた結果のD300では充電ブロック数を2以下に設定した下でピーク電力を44.0[kW]に抑制することが出来ている。なお、図9の「office」は拠点の消費電力を示し、「ev」は車両の充電による消費電力を示す。ピーク電力は、拠点の消費電力と車両の充電による消費電力の合計の最大値である。