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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020852
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】発光装置及び発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10H 20/857 20250101AFI20250205BHJP
【FI】
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124464
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】酒巻 聡
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA86
5F142BA32
5F142CA11
5F142CD02
5F142CG03
5F142CG24
5F142FA30
5F142FA40
5F142GA28
(57)【要約】
【課題】歩留まりがよい発光装置及び発光装置の製造方法を提供する。
【解決手段】発光装置の製造方法は、第1端子及び第1パッドを備えた実装基板の上に、前記第1端子と前記第1パッドとを導通する第1金属膜を前記第1端子の上面の一部及び前記第1パッドの上面の一部を覆うように形成する工程と、前記第1端子と前記第1パッドとの導通を確保しながら前記第1金属膜の表面側を絶縁化することにより第1絶縁膜を形成する工程と、第1電極を備えた発光素子を、前記第1電極を前記第1端子の上面に接触させて前記実装基板に搭載する工程と、前記第1金属膜及び前記第1絶縁膜が形成された状態のまま前記第1端子及び前記第1電極の表面に第1めっき膜を形成する工程と、前記第1めっき膜を形成する工程の後、前記第1絶縁膜及び前記第1金属膜を除去する工程と、を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子、第2端子、第1パッド及び第2パッドを備えた実装基板の上に、前記第1端子と前記第1パッドとを導通する第1金属膜を前記第1端子の上面の一部及び前記第1パッドの上面の一部を覆うように形成し、前記第2端子と前記第2パッドとを導通する第2金属膜を前記第2端子の上面の一部及び前記第2パッドの上面の一部を覆うように形成する工程と、
前記第1端子と前記第1パッドとの導通を確保しながら前記第1金属膜の表面側を絶縁化することにより第1絶縁膜を形成し、前記第2端子と前記第2パッドとの導通を確保しながら前記第2金属膜の表面側を絶縁化することにより第2絶縁膜を形成する工程と、
第1電極及び第2電極を備えた発光素子を、前記第1電極を前記第1端子の上面に接触させ、前記第2電極を前記第2端子の上面に接触させて前記実装基板に搭載する工程と、
前記第1金属膜及び前記第1絶縁膜が形成された状態のまま前記第1端子及び前記第1電極の表面に第1めっき膜を形成し、前記第2金属膜及び前記第2絶縁膜が形成された状態のまま前記第2端子及び前記第2電極の表面に第2めっき膜を形成する工程と、
前記第1めっき膜及び前記第2めっき膜を形成する工程の後、前記第1絶縁膜、前記第1金属膜、前記第2絶縁膜及び前記第2金属膜を除去する工程と、
を有する、発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1金属膜及び前記第2金属膜を形成する工程は、
少なくとも、前記第1端子、前記第2端子、前記第1パッド、前記第2パッド、前記実装基板の表面の前記第1端子と前記第1パッドとの間に露出する第1部分、及び前記実装基板の表面の前記第2端子と前記第2パッドとの間に露出する第2部分を覆う第3金属膜を形成する工程と、
前記第3金属膜の、前記第1金属膜となる第1領域及び前記第2金属膜となる第2領域の上にマスクを形成する工程と、
前記第3金属膜の前記マスクから露出した部分を除去する工程と、
前記マスクを除去する工程と、
を有する、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1金属膜及び前記第2金属膜を形成する工程は、
前記第1金属膜が形成される第1領域及び前記第2金属膜が形成される第2領域を除く前記実装基板の表面側にマスクを形成する工程と、
前記マスクの表面と、前記実装基板の表面の前記マスクから露出した部分と、を覆う第3金属膜を形成する工程と、
前記マスクと、前記マスクの上に形成された前記第3金属膜と、を除去する工程と、
を有する、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1金属膜及び前記第2金属膜を形成する工程において、
前記第1金属膜及び前記第2金属膜は、複数の層からなり、
前記第1金属膜及び前記第2金属膜の最表面側に位置する層は、アルミニウム、クロム、又は、タングステンとチタンとの合金を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1絶縁膜、前記第1金属膜、前記第2絶縁膜及び前記第2金属膜を除去する工程において、エッチングによって前記第1絶縁膜、前記第1金属膜、前記第2絶縁膜及び前記第2金属膜を除去し、
前記第1端子、前記第2端子、前記第1電極、前記第2電極、前記第1めっき膜及び前記第2めっき膜は、前記エッチングに使用するエッチャントに対して、前記第1金属膜及び前記第2金属膜よりも高い耐性を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1めっき膜及び前記第2めっき膜を形成する工程において、前記第1端子の上面の一部に配置された前記第1金属膜上に前記第1めっき膜を形成するとともに、前記第2端子の上面の一部に配置された前記第2金属膜上に前記第2めっき膜を形成し、
前記第1絶縁膜、前記第1金属膜、前記第2絶縁膜及び前記第2金属膜を除去する工程において、前記第1めっき膜の側面に、前記第1端子の上面の一部を含み、前記第1電極に向かって凹んだ第1凹部を形成するとともに、前記第2めっき膜の側面に、前記第2端子の上面の一部を含み、前記第2電極に向かって凹んだ第2凹部を形成し、
前記第1絶縁膜、前記第1金属膜、前記第2絶縁膜及び前記第2金属膜を除去する工程の後、前記実装基板の上に、平面視で前記発光素子を取り囲むとともに、前記第1凹部及び前記第2凹部に配置される光反射材を形成する工程を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1電極の前記第1端子に対向する面は前記第1端子に向かって凸であり、
前記第2電極の前記第2端子に対向する面は前記第2端子に向かって凸である、請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記発光素子を前記実装基板に搭載する工程と前記第1めっき膜及び前記第2めっき膜を形成する工程との間に、
前記第1パッドと前記第2パッドとの間に電圧を印加して前記発光素子の検査を行う工程と、
前記検査の結果に応じて前記発光素子を前記実装基板から取り外す工程と、
第1電極及び第2電極を備えた他の発光素子を、当該他の発光素子の前記第1電極を前記第1端子の上面に接触させ、前記第2電極を前記第2端子の上面に接触させて前記実装基板に搭載する工程と、
を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記発光素子を前記実装基板に搭載する工程と前記第1めっき膜及び前記第2めっき膜を形成する工程との間に、
前記発光素子に励起光を照射して前記発光素子の検査を行う工程と、
前記検査の結果に応じて前記発光素子を前記実装基板から取り外す工程と、
第1電極及び第2電極を備えた他の発光素子を、当該他の発光素子の前記第1電極を前記第1端子の上面に接触させ、前記第2電極を前記第2端子の上面に接触させて前記実装基板に搭載する工程と、
を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
第1端子、第2端子、第1パッド及び第2パッドを備えた実装基板と、
第1電極及び第2電極を備え、前記第1電極が前記第1端子の上面に接触し、前記第2電極が前記第2端子の上面に接触する発光素子と、
前記第1端子及び前記第1電極の表面に形成された第1めっき膜と、
前記第2端子及び前記第2電極の表面に形成された第2めっき膜と、
前記実装基板の上に形成され、平面視で前記発光素子を取り囲む光反射材と、
を有し、
前記第1めっき膜の側面に、前記第1端子の上面の一部を含み、前記第1電極に向かって凹んだ第1凹部が形成され、
前記第2めっき膜の側面に、前記第2端子の上面の一部を含み、前記第2電極に向かって凹んだ第2凹部が形成されており、
前記第1凹部及び前記第2凹部に前記光反射材が配置されている、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置及び発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具又は照明等に用いられる発光装置として、実装基板に複数の発光素子が搭載され、各発光素子を取り囲む光反射材が設けられた発光装置が知られている。このような発光装置において、実装基板に搭載された複数の発光素子に、点灯しない発光素子が含まれることがある。例えば、複数の発光素子のうちで点灯する発光素子の割合(点灯率)を基準として発光装置の良否を判断する場合、点灯率が基準値未満の発光装置は不良となる。また、実装基板に複数の発光素子が搭載された発光装置の製造過程では、実装基板に複数の発光素子をめっきにより接合していることがあり、めっきによる接合を可能とする実装基板が知られている。しかし、実装基板に発光素子をめっきによって接合する場合、接合後に、点灯しない発光素子を交換することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭52-055391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
点灯しない発光素子を交換可能として歩留まりを向上することが望まれる。また、発光装置においては、光反射材の発光装置からの脱離を抑制し信頼性を向上することで歩留まりを向上することが望まれる。
【0005】
本開示は、歩留まりがよい発光装置及び発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の一態様によれば、発光装置の製造方法は、第1端子、第2端子、第1パッド及び第2パッドを備えた実装基板の上に、前記第1端子と前記第1パッドとを導通する第1金属膜を前記第1端子の上面の一部及び前記第1パッドの上面の一部を覆うように形成し、前記第2端子と前記第2パッドとを導通する第2金属膜を前記第2端子の上面の一部及び前記第2パッドの上面の一部を覆うように形成する工程と、前記第1端子と前記第1パッドとの導通を確保しながら前記第1金属膜の表面側を絶縁化することにより第1絶縁膜を形成し、前記第2端子と前記第2パッドとの導通を確保しながら前記第2金属膜の表面側を絶縁化することにより第2絶縁膜を形成する工程と、第1電極及び第2電極を備えた発光素子を、前記第1電極を前記第1端子の上面に接触させ、前記第2電極を前記第2端子の上面に接触させて前記実装基板に搭載する工程と、前記第1金属膜及び前記第1絶縁膜が形成された状態のまま前記第1端子及び前記第1電極の表面に第1めっき膜を形成し、前記第2金属膜及び前記第2絶縁膜が形成された状態のまま前記第2端子及び前記第2電極の表面に第2めっき膜を形成する工程と、前記第1めっき膜及び前記第2めっき膜を形成する工程の後、前記第1絶縁膜、前記第1金属膜、前記第2絶縁膜及び前記第2金属膜を除去する工程と、を有する。
【0007】
開示の技術の一態様によれば、発光装置は、第1端子、第2端子、第1パッド及び第2パッドを備えた実装基板と、第1電極及び第2電極を備え、前記第1電極が前記第1端子の上面に接触し、前記第2電極が前記第2端子の上面に接触する発光素子と、前記第1端子及び前記第1電極の表面に形成された第1めっき膜と、前記第2端子及び前記第2電極の表面に形成された第2めっき膜と、前記実装基板の上に形成され、平面視で前記発光素子を取り囲む光反射材と、を有し、前記第1めっき膜の側面に、前記第1端子の上面の一部を含み、前記第1電極に向かって凹んだ第1凹部が形成され、前記第2めっき膜の側面に、前記第2端子の上面の一部を含み、前記第2電極に向かって凹んだ第2凹部が形成されており、前記第1凹部及び前記第2凹部に前記光反射材が配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、歩留まりがよい発光装置及び発光装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示すフローチャートである。
図2】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図3】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図4】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図5】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図6】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図7】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図8】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図9】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図10】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図11】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す上面図である。
図12】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す上面図である。
図13】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す上面図である。
図14】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す上面図である。
図15】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す上面図である。
図16】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す上面図である。
図17】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図18】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図19】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図20】第2実施形態の変形例に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図21】第2実施形態の変形例に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図22】金属膜の配置の第1例を示す上面図である。
図23】金属膜の配置の第2例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示を実施するための実施形態を説明する。以下の説明は、本開示の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示を以下の記載に限定するものではない。
【0011】
各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態に分けて示す場合があるが、異なる実施形態や実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後に示す実施形態では、先に示した実施形態との異なる事項について主に説明し、先に示した実施形態と共通の事柄について重複する説明を省略することがある。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合がある。また、以下の説明では、XYZ直交座標系を用いるが、当該座標系は、説明のために定めるものであって、発光装置の姿勢について限定するものではない。また、任意の点からみて、+Z側を上方、上側または上ということがあり、-Z側を下方、下側または下ということがある。
【0012】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態は発光装置の製造方法に関する。図1は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示すフローチャートである。図2図10は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。図11図16は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法を示す上面図である。図2図10は、図11図16中のI-I線に沿った断面を示す。
【0013】
まず、図2及び図11に示すように、基材15と、複数個のP端子11Pと、複数個のN端子11Nと、P給電パッド12Pと、N給電パッド12Nとを備えた実装基板10を準備する工程を行う(ステップS1)。基材15は、XY平面に平行な2つの主面を有し、+Z側の主面にP端子11P、N端子11N、P給電パッド12P及びN給電パッド12Nが設けられている。例えば、基材15は複数の配線層を有する。P給電パッド12P及びN給電パッド12NはY軸に沿って延びる。複数個のP端子11Pは、P給電パッド12PとN給電パッド12Nとの間でY軸に沿って並んでいる。複数個のN端子11Nは、P給電パッド12PとN給電パッド12Nとの間でY軸に沿って並んでいる。P端子11PはP給電パッド12PとN端子11Nとの間にあり、N端子11NはN給電パッド12NとP端子11Pとの間にある。P端子11PとN端子11NとがX軸に沿って隣り合っている。P端子11P、N端子11N、P給電パッド12P及びN給電パッド12Nの材料は、表面が酸化しにくい材料を使用することができる。例えば金(Au)、または、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptなどの白金族である。P端子11Pは第1端子の一例であり、N端子11Nは第2端子の一例であり、P給電パッド12Pは第1パッドの一例であり、N給電パッド12Nは第2パッドの一例である。
【0014】
次いで、図2に示すように、P端子11Pと、N端子11Nと、P給電パッド12Pと、N給電パッド12Nと、実装基板10の表面の第1部分13Pと、実装基板10の表面の第2部分13Nとを覆う金属膜23を形成する工程を行う(ステップS2)。第1部分13Pは、実装基板10の表面のP端子11PとP給電パッド12Pとの間に露出する部分である。第2部分13Nは、実装基板10の表面のN端子11NとN給電パッド12Nとの間に露出する部分である。例えば、金属膜23は複数の層からなり、金属膜23の最表面側に位置する層は、アルミニウム、クロム、又は、タングステンとチタンとの合金を含む。金属膜23の形成では、例えば、チタンタングステン(TiW)層21を形成し、その後にチタンタングステン層21の上にアルミニウム(Al)層22を形成する。チタンタングステン層21に代えて、チタン層を形成してもよく、アルミニウム層22に代えて、クロム層、又は、タングステンとチタンとの合金層を形成してもよい。チタンタングステン層21を設けることで、アルミニウム層22とP端子11P及びN端子11Nが相互に拡散することを抑制することができる。金属膜23の比抵抗は、P端子11P及びN端子11Nの比抵抗と同程度であることが好ましい。金属膜23は第3金属膜の一例である。
【0015】
次いで、図3及び図12に示すように、金属膜23の第1領域27P及び第2領域27Nの上にマスク51を形成する工程を行う(ステップS3)。金属膜23の第1領域27Pは、実装基板10の第1部分13Pと、P端子11Pの上面11PAの一部分と、P給電パッド12Pの上面12PAの一部分とを覆う領域である。金属膜23の第2領域27Nは、実装基板10の第2部分13Nと、N端子11Nの上面11NAの一部分と、N給電パッド12Nの上面12NAの一部分とを覆う領域である。マスク51は、例えばレジストの塗布、露光及び現像によって形成する。
【0016】
次いで、図4に示すように、金属膜23のマスク51から露出した部分を除去する工程を行う(ステップS4)。この結果、金属膜23の第1領域27Pに、P端子11PとP給電パッド12Pとを導通する金属膜20PがP端子11Pの上面11PAの一部及びP給電パッド12Pの上面12PAの一部を覆うように形成される。また、金属膜23の第2領域27Nに、N端子11NとN給電パッド12Nとを導通する金属膜20NがN端子11Nの上面11NAの一部及びN給電パッド12Nの上面12NAの一部を覆うように形成される。例えば、金属膜20Pは、チタンタングステン層21Pと、チタンタングステン層21Pの上のアルミニウム層22Pとを有し、金属膜20Nは、チタンタングステン層21Nと、チタンタングステン層21Nの上のアルミニウム層22Nとを有する。ステップS3においてマスク51を形成した、金属膜23の第1領域27Pは金属膜20Pとなる領域であり、金属膜23の第2領域27Nは金属膜20Nとなる領域である。金属膜23のマスク51から露出した部分を除去する工程では、ドライエッチングを行ってもよく、ウェットエッチングを行ってもよい。金属膜20Pは第1金属膜の一例であり、金属膜20Nは第2金属膜の一例である。
【0017】
次いで、図5及び図13に示すように、マスク51を除去する工程を行う(ステップS5)。更に、P端子11PとP給電パッド12Pとの導通を確保しながら金属膜20Pの表面側を絶縁化することにより絶縁膜25Pを形成し、N端子11NとN給電パッド12Nとの導通を確保しながら金属膜20Nの表面側を絶縁化することにより絶縁膜25Nを形成する工程を行う(ステップS6)。例えば、大気中で200℃程度の温度での熱処理を行うことにより、アルミニウム層22Pの表面に酸化アルミニウム膜を絶縁膜25Pとして形成し、アルミニウム層22Nの表面に酸化アルミニウム膜を絶縁膜25Nとして形成する。この時、アルミニウム層22P及びアルミニウム層22Nの全体を酸化するのではなく、アルミニウム層22PにP端子11PとP給電パッド12Pとの導通を確保する部分を確保し、アルミニウム層22NにN端子11NとN給電パッド12Nとの導通を確保する部分を確保する。なお、絶縁化において、酸化に代えて窒化を行ってもよい。絶縁膜25Pは第1絶縁膜の一例であり、絶縁膜25Nは第2絶縁膜の一例である。
【0018】
次いで、図6及び図14に示すように、基部35、P電極31P及びN電極31Nを備えた発光素子30を、P電極31PをP端子11Pの上面11PAに接触させ、N電極31NをN端子11Nの上面11NAに接触させて実装基板10に搭載する工程を行う(ステップS7)。この時、複数の発光素子30を実装基板10に搭載する。例えば、200℃程度の温度下で10000個以上の発光素子30が全体として600Nの圧力で実装基板10に熱圧着される。例えば、発光素子30は、平面視で一辺の長さが50μm以下のマイクロ発光ダイオード(light emitting diode:LED)である。例えば、P電極31PのP端子11Pに対向する面31PAはP端子11Pに向かって凸であり、N電極31NのN端子11Nに対向する面31NAはN端子11Nに向かって凸である。面31PA及び31NAが凸状の曲面であってもよい。P電極31Pは第1電極の一例であり、N電極31Nは第2電極の一例である。
【0019】
次いで、発光素子30の検査を行う(ステップS8)。検査としては、エレクトロルミネッセンス(electroluminescence:EL)検査及びフォトルミネッセンス(photoluminescence:PL)検査が例示される。
【0020】
EL検査は、P給電パッド12PとN給電パッド12Nとの間に電圧を印加して発光素子30の検査を行う工程を有する。EL検査では、電圧を印加しても発光しない発光素子30を、一定の基準を満たさない発光素子30(以下、不良発光素子ということがある。)とする。
【0021】
PL検査は、発光素子30に励起光を照射して発光素子30の検査を行う工程を有する。PL検査では、P端子11PとN端子11Nとの間を非導通とし、励起光を照射しても発光しない発光素子30を、内部でショート(短絡)が発生していると判断し、不良発光素子とする。なお、P端子11PとN端子11Nとを導通するように金属膜20P及び20Nとは別に金属膜を形成しておき、PL検査において、励起光を照射した時に発光する発光素子30を、内部でオープン(断線)が発生していると判断し、不良発光素子とするようにしてもよい。
【0022】
次いで、ステップS8の検査の結果、不良発光素子があるか否かの判断を行う(ステップS9)。そして、不良発光素子がある場合には、図15に示すように、不良発光素子を実装基板10から取り外す工程を行う(ステップS10)。その後、ステップS7に戻り、他の発光素子30を、不良発光素子が搭載されていた部分において、P電極31PをP端子11Pの上面11PAに接触させ、N電極31NをN端子11Nの上面11NAに接触させて実装基板10に搭載する工程を行う。
【0023】
P電極31Pの面31PAがP端子11Pに向かって凸であると、面31PAが平坦である場合よりも面31PAと上面11PAとの接触面積が小さく、P電極31PをP端子11Pから離しやすい。同様に、N電極31Nの面31NAがN端子11Nに向かって凸であると、面31NAが平坦である場合よりも面31NAと上面11NAとの接触面積が小さく、N電極31NをN端子11Nから離しやすい。従って、P電極31Pの面31PAがP端子11Pに向かって凸であり、N電極31Nの面31NAがN端子11Nに向かって凸であると、不良発光素子を実装基板10から取り外しやすい。
【0024】
そして、不良発光素子がなくなるまでステップS7~S10の処理を繰り返す。ステップS9において不良発光素子がなくなっていると、図7及び図8に示すように、めっき膜41P及びめっき膜41Nを形成する工程を行う(ステップS11)。めっき膜41P及びめっき膜41Nの材料は、例えば金である。めっき膜41P及びめっき膜41Nの形成では、例えば、P給電パッド12P及びN給電パッド12Nからの給電を伴う電解金めっき処理を行う。
【0025】
具体的には、図7に示すように、金属膜20P、金属膜20N、絶縁膜25P及び絶縁膜25Nが形成された状態のまま、P端子11P、N端子11N、P電極31P及びN電極31Nをめっき液47に浸漬する。めっき液47としては、金属膜20P及び金属膜20Nが耐性を有するめっき液が用いられる。金属膜20Pがチタンタングステン層21P及びアルミニウム層22Pから構成され、金属膜20Nがチタンタングステン層21N及びアルミニウム層22Nから構成される場合、アルミニウムは、アルカリ性のめっき液に対して溶解してしまうため、めっき液47は酸性又は中性であることが好ましく、酸性シアン浴であることが特に好ましい。また、めっき処理においては、カバー46によりP給電パッド12P及びN給電パッド12Nにめっき液47が触れないようにしておいてもよい。
【0026】
このようなめっき処理の結果、図8に示すように、金属膜20P及び絶縁膜25Pが形成された状態のままP端子11P及びP電極31Pの表面にめっき膜41Pが形成され、金属膜20N及び絶縁膜25Nが形成された状態のままN端子11N及びN電極31Nの表面にめっき膜41Nが形成される。めっき液47への浸漬前の状態で発光素子30と実装基板10との間に空間があるため、発光素子30と実装基板10との間にめっき液47が入り込みやすく、めっき膜41P及びめっき膜41Nが形成されやすい。めっき膜41Pの一部は、P端子11Pの上面11PAの一部に配置された金属膜20Pの上に形成され、めっき膜41Nの一部は、N端子11Nの上面11NAの一部に配置された金属膜20Nの上に形成される。また、P電極31Pの面31PAがP端子11Pに向かって凸であることで、面31PAと上面11PAとの間に隙間が存在しているが、この隙間はめっき膜41Pにより充填される。従って、P電極31PとP端子11Pとの間に優れた接合強度が得られる。同様に、N電極31Nの面31NAがN端子11Nに向かって凸であることで、面31NAと上面11NAとの間に隙間が存在しているが、この隙間はめっき膜41Nにより充填される。従って、N電極31NとN端子11Nとの間に優れた接合強度が得られる。めっき膜41Pは第1めっき膜の一例であり、めっき膜41Nは第2めっき膜の一例である。
【0027】
その一方で、金属膜20Pの表面には絶縁膜25Pが形成され、金属膜20Nの表面には絶縁膜25Nが形成されている。このため、めっき膜41Pは金属膜20Pから成長せず、めっき膜41Nは金属膜20Nから成長しない。また、アルミニウムは卑金属であるため、仮にアルミニウム層22P又はアルミニウム層22Nからめっき液へアルミニウムが混入したとしても、アルミニウムの電析が生じにくい。
【0028】
次いで、図9及び図16に示すように、絶縁膜25P、金属膜20P、絶縁膜25N及び金属膜20Nを除去する工程を行う(ステップS12)。絶縁膜25P、金属膜20P、絶縁膜25N及び金属膜20Nは、例えばウェットエッチングによって除去することができる。絶縁膜25P、アルミニウム層22P、絶縁膜25N及びアルミニウム層22Nのウェットエッチングでは、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化ナトリウム(NaOH)又は、リン硝酢酸の水溶液をエッチャントとして用いる。リン硝酢酸の水溶液をエッチャントとして用いる場合、例えば、リン酸、硝酸、酢酸、水の混合割合が、80質量%のリン酸、5質量%の硝酸、5質量%の酢酸、および10質量%の水となる水溶液を用いてもよい。チタンタングステン層21P及びチタンタングステン層21Nのウェットエッチングでは、例えば過酸化水素(H)の水溶液をエッチャントとして用いる。P端子11P、N端子11N、P電極31P、N電極31N、めっき膜41P及びめっき膜41Nは、絶縁膜25P、金属膜20P、絶縁膜25N及び金属膜20Nのエッチングに使用するエッチャントに対して、金属膜20P及び金属膜20Nよりも高い耐性を有する。よって、絶縁膜25P、金属膜20P、絶縁膜25N及び金属膜20Nをエッチングする際に、P端子11P、N端子11N、P電極31P、N電極31N、めっき膜41P及びめっき膜41Nは、エッチングされにくい。このため、エッチングが進行することによって発生し得る、発光装置100における硫化起点の形成、発光素子30と実装基板10との接合強度の低下などを抑制することができる。
【0029】
上記のように、めっき膜41Pの一部は、P端子11Pの上面11PAの一部に配置された金属膜20Pの上に形成されている。このため、絶縁膜25P及び金属膜20Pの除去に伴って、めっき膜41Pの側面に、P端子11Pの上面11PAの一部を含み、P電極31Pに向かって凹んだ凹部41PAが形成される。同様に、めっき膜41Nの一部は、N端子11Nの上面11NAの一部に配置された金属膜20Nの上に形成されている。このため、絶縁膜25N及び金属膜20Nの除去に伴って、めっき膜41Nの側面に、N端子11Nの上面11NAの一部を含み、N電極31Nに向かって凹んだ凹部41NAが形成される。凹部41PAは第1凹部の一例であり、凹部41NAは第2凹部の一例である。
【0030】
次いで、図10に示すように、実装基板10の上に、平面視で発光素子30を取り囲むとともに、凹部41PA及び凹部41NAに配置される光反射材50を形成する工程を行う(ステップS13)。光反射材50は、例えば酸化チタンの粉末を含有する白色の樹脂材料を用いて形成する。
【0031】
このようにして、発光装置100を製造することができる。
【0032】
発光装置100においては、その製造過程で不良発光素子が取り外され、一定の基準を満たす発光素子30に交換されている。従って、高い歩留まりを得ることができる。不良発光素子の取り外しは、発光素子30の検査に基づいて行われるが、本実施形態では、金属膜20P及び金属膜20Nが形成されるため、めっき膜41P及びめっき膜41Nの形成前に発光素子30の検査を行うことができる。このため、不良発光素子を容易に取り外すことができる。
【0033】
また、光反射材50が平面視で発光素子30を取り囲むだけでなく、光反射材50が凹部41PA及び凹部41NA内に配置されている。このため、アンカー効果により、光反射材50と実装基板10及び発光素子30との間の密着性が向上し、光反射材50の発光装置100からの脱離を抑制することができる。
【0034】
更に、金属膜20PがP端子11Pの上面11PAの一部及びP給電パッド12Pの上面12PAの一部を覆うように形成されるため、マスク51の位置に若干の位置ずれが生じたとしても、金属膜20PとP端子11P及びP給電パッド12Pとの導通を確保しやすい。同様に、金属膜20NがN端子11Nの上面11NAの一部及びN給電パッド12Nの上面12NAの一部を覆うように形成されるため、マスク51の位置に若干の位置ずれが生じたとしても、金属膜20NとN端子11N及びN給電パッド12Nとの導通を確保しやすい。
【0035】
なお、ステップS9では、不良発光素子の有無を判断しているが、不良発光素子の割合が予め定められた所定値以上であれば、ステップS10に進み、所定値未満であれば、ステップS11に進むようにしてもよい。つまり、例えば、発光装置100において基準値以上の点灯率が得られる場合には、点灯率が100%でなくても、ステップS10に進まず、ステップS11においてめっき膜41P及び41Nを形成するようにしてもよい。
【0036】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、主として金属膜20P及び金属膜20Nの形成方法の点で第1実施形態と相違する。図17図19は、第2実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
【0037】
第2実施形態では、まず、第1実施形態と同様に、実装基板10を準備する工程を行う。次いで、図17に示すように、第1領域27P及び第2領域27Nを除く実装基板10の表面側にマスク52を形成する工程を行う。マスク52は、例えばレジストの塗布、露光及び現像によって形成する。
【0038】
次いで、図18に示すように、マスク52の表面と、実装基板10の表面のマスク52から露出した部分とを覆う金属膜23を形成する工程を行う。金属膜23は、第1実施形態と同様の方法で形成することができる。金属膜23は、マスク52の上面に形成されるが、マスク52の側面には形成されない。
【0039】
次いで、図19に示すように、マスク52と、マスク52の上に形成された金属膜23とを除去する工程を行う。つまり、リフトオフが行われる。この結果、金属膜23の第1領域27Pに、P端子11PとP給電パッド12Pとを導通する金属膜20PがP端子11Pの上面11PAの一部及びP給電パッド12Pの上面12PAの一部を覆うように形成される。また、金属膜23の第2領域27Nに、N端子11NとN給電パッド12Nとを導通する金属膜20NがN端子11Nの上面11NAの一部及びN給電パッド12Nの上面12NAの一部を覆うように形成される。
【0040】
その後、第1実施形態と同様に、絶縁膜25P及び絶縁膜25Nを形成する工程以降の工程を行う。
【0041】
このようにして、発光装置100を製造することができる。
【0042】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、発光装置100の製造過程で不良発光素子が取り外され、一定の基準を満たす発光素子30に交換されるため、高い歩留まりを得ることができる。また、光反射材50の発光装置100からの脱離を抑制することができる。
【0043】
また、マスク52の位置に若干の位置ずれが生じたとしても、金属膜20PとP端子11P及びP給電パッド12Pとの導通を確保しやすく、金属膜20NとN端子11N及びN給電パッド12Nとの導通を確保しやすい。
【0044】
(第2実施形態の変形例)
次に、第2実施形態の変形例について説明する。第2実施形態の変形例は、主としてマスクの形状の点で第2実施形態と相違する。図20図21は、第2実施形態の変形例に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
【0045】
第2実施形態の変形例では、まず、第1実施形態と同様に、実装基板10を準備する工程を行う。次いで、図20に示すように、上面視において第1領域27P及び第2領域27Nを除く実装基板10の表面側にマスク53を形成する工程を行う。マスク53の開口部は、実装基板10に近づくほど広がるテーパ形状を有する。マスク53は、例えばレジストの塗布、露光及び現像によって形成する。
【0046】
次いで、図21に示すように、マスク53の表面と、実装基板10の表面のマスク53から露出した部分とを覆う金属膜23を形成する工程を行う。金属膜23は、第1実施形態と同様の方法で形成することができる。金属膜23は、マスク52の上面に形成されるが、マスク53の側面には形成されない。また、マスク53の開口部がテーパ形状を有するため、P端子11Pの上面11PA、N端子11Nの上面11NA、P給電パッド12Pの上面12PA及びN給電パッド12Nの上面12NAの上で、アルミニウム層22はチタンタングステン層21の上面だけでなく側面も覆う。
【0047】
次いで、第2実施形態と同様に、マスク53と、マスク53の上に形成された金属膜23とを除去する工程を行う。
【0048】
その後、第1実施形態と同様に、絶縁膜25P及び絶縁膜25Nを形成する工程以降の工程を行う。
【0049】
このようにして、発光装置100を製造することができる。
【0050】
第2実施形態の変形例では、アルミニウム層22がチタンタングステン層21の上面だけでなく側面も覆うように形成される。このため、チタンタングステン層21Pの側面が絶縁膜25Pにより覆われ、チタンタングステン層21Nの側面が絶縁膜25Nにより覆われる。従って、チタンタングステン層21P及びチタンタングステン層21Nはめっき液47に接触せず、チタンタングステン層21Pからのめっき膜41Pの成長及びチタンタングステン層21Nからのめっき膜41Nの成長を抑制することができる。
【0051】
(金属膜の配置例)
次に、P端子11Pに接続される金属膜及びN端子11Nに接続される金属膜の配置の例について説明する。図22は、金属膜の配置の第1例を示す上面図である。図23は、金属膜の配置の第2例を示す上面図である。
【0052】
第1例では、図22に示すように、P端子11PとN端子11NとがX軸に沿って交互に配置されている。P端子11P及びN端子11Nの列は2列設けられているが、3列以上設けられていてもよい。図22に示す例では、2列のP端子11P及びN端子11Nの列はY軸に沿って並んでいる。Y軸に沿って2個のP端子11Pが並び、2個のN端子11Nが並んでいる。2列のP端子11P及びN端子11Nの列を間に挟んで、X軸に沿って延びるP給電パッド12P及びN給電パッド12Nが配置されている。例えば、P給電パッド12PがN給電パッド12Nの+Y側に位置する。発光素子30は、X軸に沿って隣り合うP端子11P及びN端子11Nの上に、P電極31PをP端子11Pに接触させ、N電極31NをN端子11Nに接触させて搭載される。また、第1例では、金属膜20Pに代えて金属膜20PA及び20PBが設けられ、金属膜20Nに代えて金属膜20NA及び20NBが設けられる。
【0053】
金属膜20PAは、+Y側に位置するP端子11P及びP給電パッド12Pに接触するように設けられる。金属膜20PBは、+Y側に位置するP端子11P及び-Y側に位置するP端子11Pに接触するように設けられる。P端子11P及びN端子11Nの列が3列以上設けられている場合、金属膜20PAは、最も+Y側に位置するP端子11P及びP給電パッド12Pに接触するように設けられる。金属膜20PBは、Y軸に沿って隣り合う2つのP端子11Pに接触するように設けられる。
【0054】
金属膜20NAは、-Y側に位置するN端子11N及びN給電パッド12Nに接触するように設けられる。金属膜20NBは、+Y側に位置するN端子11N及び-Y側に位置するN端子11Nに接触するように設けられる。P端子11P及びN端子11Nの列が3列以上設けられている場合、金属膜20NBは、最も-Y側に位置するN端子11N及びN給電パッド12Nに接触するように設けられる。金属膜20NBは、Y軸に沿って隣り合う2つのN端子11Nに接触するように設けられる。
【0055】
EL検査においてP給電パッド12PとN給電パッド12Nとの間に順方向の電圧、すなわちP給電パッド12Pの電位がN給電パッド12Nの電位よりも高くなる電圧を印加すると、すべての発光素子30に順方向の電圧が供給される。従って、すべての発光素子30が正常であれば、すべての発光素子30が発光する。
【0056】
従って、第1例では、1回の電圧の印加によってすべての発光素子30の発光状態を確認することができる。
【0057】
第2例では、図23に示すように、P端子11P、N端子11N、P給電パッド12P及びN給電パッド12Nが第1例と同様に配置されている。第1例と同様に、P端子11P及びN端子11Nの列が3列以上設けられていてもよい。発光素子30は、X軸に沿って隣り合うP端子11P及びN端子11Nの上に、P電極31PをP端子11Pに接触させ、N電極31NをN端子11Nに接触させて搭載される。また、第2例では、金属膜20Pに代えて金属膜20SA、20SB、20SC及び20SDが設けられ、金属膜20Nに代えて金属膜20TA、20TB、20TC及び20TDが設けられる。
【0058】
金属膜20SAは、+Y側に位置するP端子11P及びP給電パッド12Pに接触するように設けられる。但し、金属膜20SAは、+Y側に位置するP端子11Pのすべてではなく、X軸に沿って1つおきに+Y側に位置するP端子11Pに接触するように設けられる。金属膜20SBは、金属膜20SAが設けられたP端子11Pと、その-Y側に位置するP端子11Pとに接触するように設けられる。金属膜20SCは、金属膜20SAが設けられたP端子11Pと、その-X側に位置するN端子11Nとに接触するように設けられる。金属膜20SDは、金属膜20SBが設けられ、金属膜20SAが設けられていないP端子11Pと、その-X側に位置するN端子11Nとに接触するように設けられる。
【0059】
P端子11P及びN端子11Nの列が3列以上設けられている場合、金属膜20SAは、X軸に沿って1つおきに最も+Y側に位置するP端子11P及びP給電パッド12Pに接触するように設けられる。金属膜20SBは、Y軸に沿って隣り合う2つのP端子11Pに接触するように設けられる。金属膜20SCは、金属膜20SAが設けられたP端子11Pと、その-X側に位置するN端子11Nとに接触するように設けられる。金属膜20SDは、+Y側に金属膜20SBが設けられたP端子11Pと、その-X側に位置するN端子11Nとに接触するように設けられる。
【0060】
金属膜20TAは、-Y側に位置するP端子11P及びN給電パッド12Nに接触するように設けられる。但し、金属膜20TAは、-Y側に位置するP端子11Pのすべてではなく、X軸に沿って1つおきに-Y側に位置するP端子11Pに接触するように設けられる。より詳細には、金属膜20TAは、金属膜20SBが接触していない、-Y側に位置するP端子11Pに接触するように設けられる。金属膜20TBは、金属膜20TAが設けられたP端子11Pと、その+Y側に位置するP端子11Pとに接触するように設けられる。金属膜20TCは、金属膜20TAが設けられたP端子11Pと、その-X側に位置するN端子11Nとに接触するように設けられる。金属膜20TDは、金属膜20TBが設けられ、金属膜20TAが設けられていないP端子11Pと、その-X側に位置するN端子11Nとに接触するように設けられる。
【0061】
P端子11P及びN端子11Nの列が3列以上設けられている場合、金属膜20TAは、X軸に沿って1つおきに最も-Y側に位置し、金属膜20SBが接触していないP端子11P及びN給電パッド12Nに接触するように設けられる。金属膜20TBは、Y軸に沿って隣り合う2つのP端子11Pに接触するように設けられる。金属膜20TCは、金属膜20TAが設けられたP端子11Pと、その-X側に位置するN端子11Nとに接触するように設けられる。金属膜20TDは、-Y側に金属膜20TBが設けられたP端子11Pと、その-X側に位置するN端子11Nとに接触するように設けられる。
【0062】
EL検査においてP給電パッド12PとN給電パッド12Nとの間に順方向の電圧を印加すると、金属膜20SAを通じてP電極31PがP給電パッド12Pに接続され、金属膜20TAを通じてN電極31NがN給電パッド12Nに接続された発光素子30に順方向の電圧が供給される。一方、金属膜20TAを通じてP電極31PがN給電パッド12Nに接続され、金属膜20SAを通じてN電極31NがP給電パッド12Pに接続された発光素子30には逆方向の電圧が供給される。従って、すべての発光素子30が正常であっても、発光する発光素子30は半分である。
【0063】
EL検査においてP給電パッド12PとN給電パッド12Nとの間に逆方向の電圧、すなわちN給電パッド12Nの電位がP給電パッド12Pの電位よりも高くなる電圧を印加すると、金属膜20TAを通じてP電極31PがN給電パッド12Nに接続され、金属膜20SAを通じてN電極31NがP給電パッド12Pに接続された発光素子30に順方向の電圧が供給される。一方、金属膜20SAを通じてP電極31PがP給電パッド12Pに接続され、金属膜20TAを通じてN電極31NがN給電パッド12Nに接続された発光素子30には逆方向の電圧が供給される。従って、この場合も、すべての発光素子30が正常であっても、発光する発光素子30は半分である。
【0064】
従って、第2例では、第1例と比較して全体的な発光強度が低くなり、発光しない発光素子30を検出しやすい。
【0065】
本明細書は、下記の実施形態を含む。
1.
第1端子、第2端子、第1パッド及び第2パッドを備えた実装基板の上に、前記第1端子と前記第1パッドとを導通する第1金属膜を前記第1端子の上面の一部及び前記第1パッドの上面の一部を覆うように形成し、前記第2端子と前記第2パッドとを導通する第2金属膜を前記第2端子の上面の一部及び前記第2パッドの上面の一部を覆うように形成する工程と、
前記第1端子と前記第1パッドとの導通を確保しながら前記第1金属膜の表面側を絶縁化することにより第1絶縁膜を形成し、前記第2端子と前記第2パッドとの導通を確保しながら前記第2金属膜の表面側を絶縁化することにより第2絶縁膜を形成する工程と、
第1電極及び第2電極を備えた発光素子を、前記第1電極を前記第1端子の上面に接触させ、前記第2電極を前記第2端子の上面に接触させて前記実装基板に搭載する工程と、
前記第1金属膜及び前記第1絶縁膜が形成された状態のまま前記第1端子及び前記第1電極の表面に第1めっき膜を形成し、前記第2金属膜及び前記第2絶縁膜が形成された状態のまま前記第2端子及び前記第2電極の表面に第2めっき膜を形成する工程と、
前記第1めっき膜及び前記第2めっき膜を形成する工程の後、前記第1絶縁膜、前記第1金属膜、前記第2絶縁膜及び前記第2金属膜を除去する工程と、
を有する、発光装置の製造方法。
2.
前記第1金属膜及び前記第2金属膜を形成する工程は、
少なくとも、前記第1端子、前記第2端子、前記第1パッド、前記第2パッド、前記実装基板の表面の前記第1端子と前記第1パッドとの間に露出する第1部分、及び前記実装基板の表面の前記第2端子と前記第2パッドとの間に露出する第2部分を覆う第3金属膜を形成する工程と、
前記第3金属膜の、前記第1金属膜となる第1領域及び前記第2金属膜となる第2領域の上にマスクを形成する工程と、
前記第3金属膜の前記マスクから露出した部分を除去する工程と、
前記マスクを除去する工程と、
を有する、上記1に記載の発光装置の製造方法。
3.
前記第1金属膜及び前記第2金属膜を形成する工程は、
前記第1金属膜が形成される第1領域及び前記第2金属膜が形成される第2領域を除く前記実装基板の表面側にマスクを形成する工程と、
前記マスクの表面と、前記実装基板の表面の前記マスクから露出した部分と、を覆う第3金属膜を形成する工程と、
前記マスクと、前記マスクの上に形成された前記第3金属膜と、を除去する工程と、
を有する、上記1に記載の発光装置の製造方法。
4.
前記第1金属膜及び前記第2金属膜を形成する工程において、
前記第1金属膜及び前記第2金属膜は、複数の層からなり、
前記第1金属膜及び前記第2金属膜の最表面側に位置する層は、アルミニウム、クロム、又は、タングステンとチタンとの合金を含む、上記1から3のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
5.
前記第1絶縁膜、前記第1金属膜、前記第2絶縁膜及び前記第2金属膜を除去する工程において、エッチングによって前記第1絶縁膜、前記第1金属膜、前記第2絶縁膜及び前記第2金属膜を除去し、
前記第1端子、前記第2端子、前記第1電極、前記第2電極、前記第1めっき膜及び前記第2めっき膜は、前記エッチングに使用するエッチャントに対して、前記第1金属膜及び前記第2金属膜よりも高い耐性を有する、上記1から4のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
6.
前記第1めっき膜及び前記第2めっき膜を形成する工程において、前記第1端子の上面の一部に配置された前記第1金属膜上に前記第1めっき膜を形成するとともに、前記第2端子の上面の一部に配置された前記第2金属膜上に前記第2めっき膜を形成し、
前記第1絶縁膜、前記第1金属膜、前記第2絶縁膜及び前記第2金属膜を除去する工程において、前記第1めっき膜の側面に、前記第1端子の上面の一部を含み、前記第1電極に向かって凹んだ第1凹部を形成するとともに、前記第2めっき膜の側面に、前記第2端子の上面の一部を含み、前記第2電極に向かって凹んだ第2凹部を形成し、
前記第1絶縁膜、前記第1金属膜、前記第2絶縁膜及び前記第2金属膜を除去する工程の後、前記実装基板の上に、平面視で前記発光素子を取り囲むとともに、前記第1凹部及び前記第2凹部に配置される光反射材を形成する工程を有する、上記1から5のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
7.
前記第1電極の前記第1端子に対向する面は前記第1端子に向かって凸であり、
前記第2電極の前記第2端子に対向する面は前記第2端子に向かって凸である、上記1から6のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
8.
前記発光素子を前記実装基板に搭載する工程と前記第1めっき膜及び前記第2めっき膜を形成する工程との間に、
前記第1パッドと前記第2パッドとの間に電圧を印加して前記発光素子の検査を行う工程と、
前記検査の結果に応じて前記発光素子を前記実装基板から取り外す工程と、
第1電極及び第2電極を備えた他の発光素子を、当該他の発光素子の前記第1電極を前記第1端子の上面に接触させ、前記第2電極を前記第2端子の上面に接触させて前記実装基板に搭載する工程と、
を有する、上記1から7のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
9.
前記発光素子を前記実装基板に搭載する工程と前記第1めっき膜及び前記第2めっき膜を形成する工程との間に、
前記発光素子に励起光を照射して前記発光素子の検査を行う工程と、
前記検査の結果に応じて前記発光素子を前記実装基板から取り外す工程と、
第1電極及び第2電極を備えた他の発光素子を、当該他の発光素子の前記第1電極を前記第1端子の上面に接触させ、前記第2電極を前記第2端子の上面に接触させて前記実装基板に搭載する工程と、
を有する、上記1から7のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
10.
第1端子、第2端子、第1パッド及び第2パッドを備えた実装基板と、
第1電極及び第2電極を備え、前記第1電極が前記第1端子の上面に接触し、前記第2電極が前記第2端子の上面に接触する発光素子と、
前記第1端子及び前記第1電極の表面に形成された第1めっき膜と、
前記第2端子及び前記第2電極の表面に形成された第2めっき膜と、
前記実装基板の上に形成され、平面視で前記発光素子を取り囲む光反射材と、
を有し、
前記第1めっき膜の側面に、前記第1端子の上面の一部を含み、前記第1電極に向かって凹んだ第1凹部が形成され、
前記第2めっき膜の側面に、前記第2端子の上面の一部を含み、前記第2電極に向かって凹んだ第2凹部が形成されており、
前記第1凹部及び前記第2凹部に前記光反射材が配置されている、発光装置。
【符号の説明】
【0066】
10:実装基板
11P:P端子
11PA:上面
11N:N端子
11NA:上面
12P:P給電パッド
12PA:上面
12N:N給電パッド
12NA:上面
13P:第1部分
13N:第2部分
20P、20PA、20PB、20N、20NA、20NB、20SA、20SB、20SC、20SD、20TA、20TB、20TC、20TD、23:金属膜
25P、25N:絶縁膜
27P:第1領域
27N:第2領域
30:発光素子
31P:P電極
31N:N電極
31PA、31NA:面
41P、41N:めっき膜
41PA、41NA:凹部
50:光反射材
51、52、53:マスク
100:発光装置
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