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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020955
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】発光素子
(51)【国際特許分類】
   H10H 20/814 20250101AFI20250205BHJP
   H10H 20/831 20250101ALI20250205BHJP
   H10H 20/824 20250101ALI20250205BHJP
【FI】
H01L33/10
H01L33/38
H01L33/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124605
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】藤本 拡二
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA03
5F241CA04
5F241CA12
5F241CA35
5F241CA37
5F241CA62
5F241CA74
5F241CA93
5F241CB11
5F241CB15
(57)【要約】
【課題】光取り出し効率を向上できる発光素子を提供する。
【解決手段】発光素子100は、第1貫通孔10hを有する導電部材10と、第1貫通孔10hの内部に配置された反射層20と、導電部材10及び反射層20の上に配置され、平面視において第1貫通孔10hと重ならない位置に配置された第2貫通孔30hを有する絶縁層30と、絶縁層30の上に配置されp型半導体層41、発光層42、及びn型半導体層43を有する半導体構造体40と、n型半導体層43の上に配置されたn電極50と、導電部材10と電気的に接続されたp電極60と、を備える。発光層42が発する光のピーク波長における反射層20の反射率は、発光層42が発する光のピーク波長における導電部材10の反射率よりも高い。導電部材10の一部は、第2貫通孔30hにおいてp型半導体層41と接する。平面視において、反射層20の少なくとも一部は、発光層42と重なる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1貫通孔を有する導電部材と、
前記第1貫通孔の内部に配置された反射層と、
前記導電部材及び前記反射層の上に配置され、平面視において前記第1貫通孔と重ならない位置に配置された第2貫通孔を有する絶縁層と、
前記絶縁層の上に配置されたp型半導体層と、前記p型半導体層の上に配置された発光層と、前記発光層の上に部分的に配置されたn型半導体層と、を有する半導体構造体と、
前記n型半導体層の上に配置され、前記n型半導体層と電気的に接続されたn電極と、
前記導電部材と電気的に接続されたp電極と、
を備え、
前記発光層が発する光のピーク波長における前記反射層の反射率は、前記発光層が発する光のピーク波長における前記導電部材の反射率よりも高く、
前記導電部材の一部は、前記第2貫通孔において前記p型半導体層と接し、
平面視において、前記反射層の少なくとも一部は、前記発光層と重なる位置に配置される、発光素子。
【請求項2】
平面視において、前記反射層は、前記n電極と重なる第1反射部分と、前記n電極と重ならない第2反射部分と、を有する、請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
平面視において、前記n電極は、パッド部分と、前記パッド部分から延びる延伸部分と、を有し、
平面視において、前記n型半導体層は、前記パッド部分と重なる第1半導体部分と、前記延伸部分と重なる第2半導体部分と、を有し、
平面視において、前記第1反射部分は、前記パッド部分及び前記延伸部分と重なる、請求項2に記載の発光素子。
【請求項4】
平面視において、前記導電部材は、前記半導体構造体と重なる第1領域と、前記半導体構造体と重ならない第2領域と、を有し、
前記p電極は、前記第2領域に配置され、
平面視において、前記n電極から前記p電極に向かうにつれて、単位面積当たりにおける前記導電部材の面積に対する前記反射層の面積の割合が低下する、請求項1~3のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項5】
前記反射層は、誘電体多層膜である、請求項1~3のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項6】
基板と、前記基板と前記導電部材との間に位置する接合部材と、前記接合部材と前記導電部材との間に位置する反射金属層と、をさらに備えた、請求項1~3のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項7】
前記導電部材は、金を含む第1導電層と、前記第1導電層の上に配置された酸化インジウム錫を含む第2導電層と、を有し、
前記第1導電層は、前記p電極と電気的に接続され、
前記第2導電層は、前記p型半導体層と電気的に接続される、請求項1~3のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項8】
前記p型半導体層は、GaPを含み、
前記n型半導体層は、GaAsを含み、
前記発光層は、AlGaInPを含む、請求項1~3のいずれか1つに記載の発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子において、発光層を含む半導体構造体の下方に導電部材を設け、発光層から発された光を導電部材により上方に反射させる構造が知られている(例えば、特許文献1)。しかし、このような構造では、発光層から発された光の一部が導電部材により吸収され、光取り出し効率が低下する場合がある。発光素子において、光取り出し効率の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-138007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、光取り出し効率を向上できる発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る発光素子は、導電部材と、反射層と、絶縁層と、半導体構造体と、n電極と、p電極と、を備える。前記導電部材は、第1貫通孔を有する。前記反射層は、前記第1貫通孔の内部に配置される。前記絶縁層は、前記導電部材及び前記反射層の上に配置される。前記絶縁層は、第2貫通孔を有する。前記第2貫通孔は、平面視において前記第1貫通孔と重ならない位置に配置される。前記半導体構造体は、p型半導体層と、発光層と、n型半導体層と、を有する。前記p型半導体層は、前記絶縁層の上に配置される。前記発光層と、前記p型半導体層の上に配置される。前記n型半導体層は、前記発光層の上に部分的に配置される。前記n電極は、前記n型半導体層の上に配置される。前記n電極は、前記n型半導体層と接続される。前記p電極は、前記導電部材と接続される。前記発光層が発する光のピーク波長における前記反射層の反射率は、前記発光層が発する光のピーク波長における前記導電部材の反射率よりも高い。前記導電部材の一部は、前記第2貫通孔において前記p型半導体層と接する。平面視において、前記反射層の少なくとも一部は、前記発光層と重なる位置に配置される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、光取り出し効率を向上できる発光素子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る発光素子を模式的に示す平面図である。
図2】実施形態に係る発光素子の導電部材及び反射層の配置を模式的に示す平面図である。
図3】実施形態に係る発光素子を模式的に示す断面図である。
図4】実施形態に係る発光素子の一部を模式的に示す拡大断面図である。
図5】実施形態の第1変形例に係る発光素子の導電部材及び反射層の配置を模式的に示す平面図である。
図6】実施形態の第1変形例に係る発光素子を模式的に示す断面図である。
図7】実施形態の第2変形例に係る発光素子の導電部材及び反射層の配置を模式的に示す平面図である。
図8】実施形態の第3変形例に係る発光素子の導電部材及び反射層の配置を模式的に示す平面図である。
図9】実施形態の第4変形例に係る発光素子の導電部材及び反射層の配置を模式的に示す平面図である。
図10】実施形態の第5変形例に係る発光素子の導電部材及び反射層の配置を模式的に示す平面図である。
図11】実施形態の第5変形例に係る発光素子を模式的に示す断面図である。
図12】実施形態に係る発光素子の製造方法を模式的に示す断面図である。
図13】実施形態に係る発光素子の製造方法を模式的に示す断面図である。
図14】実施形態に係る発光素子の製造方法を模式的に示す断面図である。
図15】実施形態に係る発光素子の製造方法を模式的に示す断面図である。
図16】実施形態に係る発光素子の製造方法を模式的に示す断面図である。
図17】実施形態に係る発光素子の製造方法を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
また、以下では、説明をわかりやすくするために、XYZ直交座標系を用いて、各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交している。またX軸が延びる方向を「X方向」とし、Y軸が延びる方向を「Y方向」とし、Z軸が延びる方向を「Z方向」とする。また、説明をわかりやすくするために、Z方向のうち矢印の方向を上方、その逆方向を下方とするが、これらの方向は、重力方向とは無関係である。また、Z方向に沿う向きで見ることを「平面視」とする。
【0010】
<発光素子>
図1は、実施形態に係る発光素子を模式的に示す平面図である。
図2は、実施形態に係る発光素子の導電部材及び反射層の配置を模式的に示す平面図である。
図3は、実施形態に係る発光素子を模式的に示す断面図である。
図4は、実施形態に係る発光素子の一部を模式的に示す拡大断面図である。
図3は、図1に示したIII-III線による断面図である。
図4は、図3に示した領域R1の拡大図である。
【0011】
図1図4に表したように、実施形態に係る発光素子100は、導電部材10と、反射層20と、絶縁層30と、半導体構造体40と、n電極50と、p電極60と、を備えている。
【0012】
(導電部材)
導電部材10は、絶縁層30の下に配置されている。導電部材10は、第1導電層11と、第2導電層12と、を有する。第2導電層12は、第1導電層11の上に配置されている。第2導電層12は、第1導電層11の上面に接し、第1導電層11の上面を覆っている。第2導電層12の一部は、第1導電層11と絶縁層30との間に配置されている。第2導電層12の他の一部は、第1導電層11とp型半導体層41との間に配置されている。第2導電層12は、p型半導体層41と接している。第2導電層12は、p型半導体層41と電気的に接続されている。導電部材10の平面視における形状は、例えば、矩形である。導電部材10の後述する第2貫通孔30hの内部に配置される部分を除いた部分の上面及び下面は、X-Y平面に概ね平行な面である。
【0013】
第2導電層12は、第1導電層11の少なくとも一部の上に配置されていればよい。つまり、第2導電層12は、第1導電層11の一部の上には配置されていなくてもよい。第1導電層11とp電極60との間には、第2導電層12が配置されていない。第1導電層11は、p電極60と接している。第1導電層11は、p電極60と電気的に接続されている。
【0014】
導電部材10は、第1貫通孔10hを有する。第1貫通孔10hは、Z方向において、導電部材10を貫通する。第1貫通孔10hの平面視における形状は、円形である。第1貫通孔10hの平面視における形状が円形である場合、第1貫通孔10hの直径は、10μm以上20μm以下である。
【0015】
また、導電部材10は、第1領域10aと、第2領域10bと、を有する。第1領域10aは、平面視において、半導体構造体40と重なる。第2領域10bは、平面視において、半導体構造体40と重ならない。p電極60は、第2領域10bに配置されている。つまり、p電極60は、平面視において、半導体構造体40と重ならない位置に配置されている。p電極60は、第1領域10aに配置されていてもよい。つまり、p電極60は、平面視において、半導体構造体40と重なる位置に配置されていてもよい。
【0016】
また、導電部材10の第1領域10aは、複数の第1部分16を有する。第1部分16は、平面視において、第2貫通孔30hと重なる。第1部分16の一部は、第2貫通孔30hの内部に位置する。第1部分16の平面視における形状は、円形である。第1部分16の平面視における形状は、例えば、多角形などであってもよい。第1部分16の平面視における形状が円形である場合、第1部分16の直径は、10μm以上20μm以下である。複数の第1部分16の平面視における面積は、それぞれ同じである。複数の第1部分16の平面視における面積は、それぞれ同じでなくてもよい。
【0017】
導電部材10の第1領域10aは、平面視において、第2貫通孔30hと重なる位置のみに配置されている。導電部材10の第1領域10aを、第2貫通孔30hと重なる位置のみに配置することで、導電部材10による光吸収を低減し光取り出し効率を向上することができる。
【0018】
また、導電部材10の第1領域10aは、平面視において、n電極50及びn型半導体層43と重ならない位置のみに配置されている。導電部材10の第1領域10aを、n電極50及びn型半導体層43と重ならない位置のみに配置することで、導電部材10による光吸収を低減し光取り出し効率を向上することができる。
【0019】
導電部材10は、金属などの導電性の材料を含む。第1導電層11には、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、ルテニウムなどを用いることができる。第1導電層11は、例えば、金を含む。第1導電層11の厚さは、例えば、300nm以上400nm以下である。第2導電層12には、例えば、酸化インジウム錫、インジウム亜鉛酸化物、ガリウム亜鉛酸化物、アルミニウム亜鉛酸化物などを用いることができる。第2導電層12は、例えば、酸化インジウム錫を含む。第2導電層12の厚さは、例えば、100nm以上200nm以下である。
【0020】
(反射層)
反射層20は、第1貫通孔10hの内部に配置されている。反射層20は、導電部材10に接している。反射層20は、平面視において、第1貫通孔10hが配置されている領域それぞれに配置されている。
【0021】
反射層20は、例えば、誘電体多層膜である。反射層20は、例えば、二酸化ケイ素からなる層と、酸化ニオブからなる層と、を有する誘電体多層膜である。反射層20は、例えば、酸化チタンなどを含んでもよい。反射層20の厚さは、例えば、500nm以上1000nm以下である。
【0022】
発光層42が発する光のピーク波長における反射層20の反射率は、発光層42が発する光のピーク波長における導電部材10の反射率よりも高い。発光層42が発する光のピーク波長における反射層20の反射率は、例えば、70%以上、好ましくは80%以上である。発光層42が発する光のピーク波長における導電部材10の反射率は、例えば、60%以上、好ましくは70%以上である。反射率の値は、例えば、絶対反射率測定装置により測定される。絶対反射率測定装置としては、例えば、「島津製作所製 絶対反射率測定システム」を用いることができる。
【0023】
また、反射層20の少なくとも一部は、平面視において、発光層42と重なる位置に配置される。反射層20の一部は、平面視において、発光層42と重ならない位置に配置されていてもよい。
【0024】
発光層42と重なる位置に反射層20を配置することで、発光層42から発され、反射層20に向かう光を、反射層20によりp型半導体層41側に反射させることができる。これにより、反射層20を配置しない場合と比べて、光取り出し効率を向上させることができる。
【0025】
また、反射層20は、第1反射部分21と、第2反射部分22と、を有する。第1反射部分21は、平面視において、n電極50と重なる。第2反射部分22は、平面視において、n電極50と重ならない。
【0026】
平面視においてn電極50と重なる位置では、n電極50によって発光層42からの光が遮断されやすい。反射層20が平面視においてn電極50と重なる第1反射部分21と、平面視においてn電極50と重ならない第2反射部分22と、を有することで、発光層42からの光が遮断されやすい部分だけでなく、発光層42からの光が遮断されにくい部分でも、光取り出し効率を向上させることができる。
【0027】
(絶縁層)
導電部材10及び反射層20の上には、絶縁層30が配置されている。絶縁層30は、導電部材10及び反射層20に接している。絶縁層30の厚さは、例えば、100μm以上300μm以下である。絶縁層30の上面及び下面は、X-Y平面に概ね平行な面である。絶縁層30は、第2貫通孔30hを有する。第2貫通孔30hは、Z方向において、絶縁層30を貫通する。第2貫通孔30hは、平面視において、第1貫通孔10hと重ならない位置に配置されている。第2貫通孔30hは、反射層20と重ならない位置に配置されている。第2貫通孔30hの内部には、導電部材10の一部が配置されている。
【0028】
第2貫通孔30hの数は、1つとしてよいし、2つ以上としてもよい。複数の第2貫通孔30hが、X方向及びY方向に行列状に配置されている。これに限らず、例えば、複数の第2貫通孔30hが、千鳥状に配置されていてもよい。
【0029】
絶縁層30は、絶縁性の材料を含む。絶縁層30は、例えば、二酸化ケイ素を含む。絶縁層30は、例えば、窒化ケイ素及び酸窒化ケイ素の少なくともいずれかを含んでもよい。
【0030】
(半導体構造体)
絶縁層30の上には、半導体構造体40が配置されている。半導体構造体40は、絶縁層30に接している。半導体構造体40は、p型半導体層41と、発光層42と、n型半導体層43と、を有する。n型半導体層43は、第1層431と、第1層431上に部分的に配置された第2層432とを含む。p型半導体層41は、絶縁層30の上に配置されている。p型半導体層41は、絶縁層30に接している。発光層42は、p型半導体層41の上に配置されている。発光層42は、p型半導体層41及びn型半導体層43の第1層431に接している。導電部材10の一部は、第2貫通孔30hにおいて、p型半導体層41と接している。言い換えれば、導電部材10のうち、第2貫通孔30hの内部に配置された部分は、p型半導体層41と接している。p型半導体層41、発光層42、及びn型半導体層43の上面及び下面は、それぞれ、X-Y平面に概ね平行な面である。
【0031】
半導体構造体40は、例えば、赤色の光を発する。この場合、p型半導体層41は、例えば、GaP(ガリウムリン)を含む。発光層42は、例えば、AlGaInP(アルミニウムインジウムガリウムリン)とGaInP(ガリウムインジウムリン)とを含む。n型半導体層43の第1層431は、例えば、AlGaInPを含む。n型半導体層43の第2層432は、例えば、GaAs(ガリウムヒ素)を含む。p型半導体層41、発光層42、及びn型半導体層43は、これに限定されず、赤色の光を発する他の半導体層の組み合わせであってもよい。発光層42が発する光のピーク波長は、例えば、620nm以上700nm以下である。
【0032】
第2層432のバンドギャップエネルギーは、第1層431のバンドギャップエネルギーよりも小さいため、第2層432は第1層431よりも発光層42が発する光を吸収しやすい。第2層432を第1層431上に部分的に配置することで、第2層432による光吸収を低減することができる。第2層432による光吸収を考慮して、第2層432の厚さは、第1層431の厚さよりも薄くすることが好ましい。第1層431の厚さは、例えば、2μm以上4μm以下であり、第2層432の厚さは、例えば、0.05μm以上0.5μm以下である。
【0033】
(n電極)
n型半導体層43の上には、n電極50が配置されている。n電極50は、n型半導体層43と接している。n電極50は、n型半導体層43と電気的に接続されている。n電極50の上面及び下面は、X-Y平面に概ね平行な面である。
【0034】
また、n電極50は、パッド部分51と、延伸部分52と、を有する。パッド部分51の平面視における形状は、例えば、円形である。延伸部分52は、平面視において、パッド部分51から延びている。n型半導体層43の第2層432は、第1半導体部分43aと、第2半導体部分43bと、を有する。第1半導体部分43aは、平面視において、パッド部分51と重なる。第2半導体部分43bは、平面視において、延伸部分52と重なる。反射層20の第1反射部分21は、平面視において、パッド部分51及び延伸部分52と重なる。
【0035】
平面視において、発光層42とn電極50のパッド部分51及び延伸部分52とが重なる領域では、n電極50のパッド部分51及び延伸部分52によって発光層42からの光が遮断されやすい。平面視において、パッド部分51及び延伸部分52のそれぞれと重なるように第1反射部分21を配置することで、パッド部分51及び延伸部分52と重なる発光層42における発光を低減させつつ反射領域を増加させることができるため、光取り出し効率を向上させることができる。
【0036】
n電極50は、金属などの導電性の材料を含む。n電極50には、例えば、金、銀、プラチナ、チタン、ニッケル、ゲルマニウム、ロジウム、ルテニウムを用いることができる。
【0037】
(p電極)
導電部材10のうち、絶縁層30、半導体構造体40、及びn電極50が配置されていない部分の上には、p電極60が配置されている。p電極60は、導電部材10と接している。p電極60は、導電部材10と電気的に接続されている。p電極60の上面及び下面は、X-Y平面に概ね平行な面である。
【0038】
p電極60は、金属などの導電性の材料を含む。p電極60は、例えば、金、銀、プラチナ、チタン、ニッケル、ゲルマニウム、ロジウム、ルテニウムを用いることができる。
【0039】
n電極50とp電極60との間に電圧が印加されることで、発光層42が発光する。これにより、発光素子100を発光させることができる。
【0040】
また、発光素子100は、基板70と、接合部材72と、反射金属層74と、をさらに備えている。発光素子100は、基板70、接合部材72、及び反射金属層74を、それぞれ、必要に応じて備えることができ、省略可能である。
【0041】
基板70の平面視における形状は、例えば、矩形である。基板70は、例えば、ケイ素及び窒化アルミニウムの少なくともいずれかを含む。基板70は、例えば、サファイア含む基板であってもよい。基板70の平面視における形状が矩形である場合、1辺の長さは、例えば200μm以上1000μm以下である。基板70の上面及び下面は、X-Y平面に概ね平行な面である。基板70の厚さは、例えば、100μm以上500μm以下である。
【0042】
基板70の上には、接合部材72が配置されている。接合部材72は、Z方向において、基板70と導電部材10との間に位置する。接合部材72は、基板70に接している。接合部材72の平面視における形状は、例えば、矩形である。接合部材72の上面及び下面は、X-Y平面に概ね平行な面である。接合部材72は、基板70と反射金属層74とを接合している。
【0043】
接合部材72には、例えば、AuSn、NiSn、AgSnなどを主成分とするはんだ材料を用いることができる。
【0044】
接合部材72の上には、反射金属層74が配置されている。反射金属層74の上には、導電部材10及び反射層20が配置されている。反射金属層74の一部は、Z方向において、接合部材72と導電部材10との間に位置する。反射金属層74の他の一部は、Z方向において、接合部材72と反射層20との間に位置する。反射金属層74は、接合部材72に接している。反射金属層74の一部は、導電部材10に接している。反射金属層74の他の一部は、反射層20に接している。反射金属層74の平面視における形状は、例えば、矩形である。反射金属層74の上面及び下面は、X-Y平面に概ね平行な面である。
【0045】
発光層42が発する光のピーク波長における反射金属層74の反射率は、例えば、発光層42が発する光のピーク波長における導電部材10の反射率よりも高い。発光層42が発する光のピーク波長における反射金属層74の反射率は、例えば、60%以上、好ましくは70%以上である。反射金属層74には、例えば、アルミニウム、金、プラチナ、銀、銅、ロジウム、ルテニウムなどを用いることができる。
【0046】
以下、実施形態の変形例について、説明する。
図5図7図10は、実施形態の第1~第5変形例に係る発光素子の導電部材及び反射層の配置を模式的に示す平面図である。
図6は、実施形態の第1変形例に係る発光素子を模式的に示す断面図である。
図11は、実施形態の第5変形例に係る発光素子を模式的に示す断面図である。
図11は、図10に示したXI-XI線による断面図である。
【0047】
図5図11に表したように、第1~第5変形例では、導電部材10の第1領域10aは、上述の第1部分16に加えて、第2部分17を有する。第2部分17は、平面視において、第2貫通孔30hと重ならない。第2部分17は、X方向及びY方向において隣り合う第1部分16どうしを接続している。言い換えれば、第1~第5変形例では、導電部材10の第1領域10aは、平面視において、X方向及びY方向に延びる格子状に配置されている。格子状に配置された第1領域10aの各格子の交点は、平面視において、第2貫通孔30hと重なっている。
【0048】
導電部材10の第1領域10aを、第2貫通孔30hと重なる位置に加えて、第2貫通孔30hと重ならない位置にも配置することで、半導体構造体40に対してより広い範囲に電流を拡散しやすくなるので、半導体構造体40における電流密度分布をより均一に近づけることができる。
【0049】
また、図5図8、及び図9に表したように、第1変形例、第3変形例、及び第4変形例の各変形例では、導電部材10の第1領域10aは、平面視において、n電極50及びn型半導体層43の第2層432と重ならない位置のみに配置されている。これに対し、図7及び図10に表したように、第2変形例及び第5変形例では、導電部材10の第1領域10aは、平面視において、n電極50及びn型半導体層43の第2層432と重ならない位置に加えて、n電極50及びn型半導体層43の第2層432と重なる位置にも配置されている。
【0050】
導電部材10の第1領域10aを、n電極50及びn型半導体層43の第2層432と重ならない位置に加えて、n電極50及びn型半導体層43の第2層432と重なる位置にも配置することで、p型半導体層41と導電部材10とが導通する領域を増加させ、半導体構造体40に対してより広い範囲に電流を拡散しやすくなる。これにより、半導体構造体40における電流密度分布をより均一に近づけることができる。
【0051】
また、図5図7、及び図10に表したように、第1変形例、第2変形例、及び第5変形例の各変形例では、第1部分16の平面視における面積は、それぞれ同じであり、第2部分17の平面視における幅は、それぞれ同じである。
【0052】
第1部分16の平面視における面積をそれぞれ同じにし、第2部分17の平面視における幅をそれぞれ同じにすることで、半導体構造体40における電流密度分布の偏りを低減することができる。
【0053】
これに対し、図8に表したように、第3変形例では、第1部分16の平面視における面積は、それぞれ同じであり、第2部分17の平面視における幅の一部を異ならせている。より具体的には、第3変形例では、平面視において、n電極50の近くに位置する第2部分17の幅は、p電極60の近くに位置する第2部分17の平面視における幅よりも小さくなっている。これにより、第3変形例では、平面視において、n電極50からp電極60に向かうにつれて、単位面積当たりにおける導電部材10の面積に対する反射層20の面積の割合が低下している。第2部分17の幅は、例えば、10μm以上20μm以下である。
【0054】
また、図9に表したように、第4変形例では、第2部分17の平面視における幅は、それぞれ同じであり、第1部分16の平面視における面積の一部を異ならせている。より具体的には、第4変形例では、平面視において、n電極50からp電極60に向かうにつれて、第1部分16の平面視における面積は、大きくなっている。これにより、第4変形例では、平面視において、n電極50からp電極60に向かうにつれて、単位面積当たりにおける導電部材10の面積に対する反射層20の面積の割合が低下している。
【0055】
また、図10及び図11に表したように、第5変形例では、導電部材10の第1領域10aは、上述の第1部分16及び第2部分17に加えて、第3部分18を有する。第3部分18は、第1貫通孔10hを有さない。第5変形例では、n電極50に近い位置に第1部分16及び第2部分17が配置され、p電極60に近い位置に第3部分18が配置されている。つまり、第5変形例では、n電極50に近い位置のみに反射層20が配置され、p電極60に近い位置には反射層20が配置されていない。これにより、第5変形例では、平面視において、n電極50からp電極60に向かうにつれて、単位面積当たりにおける導電部材10の面積に対する反射層20の面積の割合が低下している。
【0056】
このように、平面視において、n電極50からp電極60に向かうにつれて、単位面積当たりにおける導電部材10の面積に対する反射層20の面積の割合が低下するようにすることで、n電極50に近い位置では、反射層20により光取り出し効率を向上させつつ、n電極50から離れた位置では、電流をより拡散させやすくすることができる。
【0057】
<発光素子の製造方法>
図12図17は、実施形態に係る発光素子の製造方法を模式的に示す断面図である。
図12図15の工程は、例えば、上下の向きを図3とは逆にした状態で行われる。図16及び図17の工程は、例えば、上下の向きを図3と同じにした状態で行われる。各工程における上下の向きは、これに限定されない。
【0058】
実施形態に係る発光素子の製造方法では、まず、図12に表したように、積層体48を準備し、積層体48に絶縁層30を形成する工程を行う。
【0059】
積層体48は、第1基材46と、第1基材46上に位置する第2基材47と、第2基材47上に位置するn型半導体層43と、n型半導体層43上に位置する発光層42と、発光層42上に位置するp型半導体層41とを有する。第1基材46は、例えば、GaAs(ガリウムヒ素)を含む基板である。第2基材47は、例えば、GaInP(ガリウムインジウムリン)を含む半導体層である。
【0060】
積層体48を準備した後、積層体48のp型半導体層41に、第2貫通孔30hを有する絶縁層30を形成する。第2貫通孔30hを有する絶縁層30は、例えば、p型半導体層41上に絶縁層30を形成し、絶縁層30の一部に第2貫通孔30hを形成することで形成することができる。
【0061】
実施形態に係る発光素子の製造方法では、次に、図13に表したように、絶縁層30に、第2導電層12を形成する工程を行う。第2導電層12の一部は、p型半導体層41と接するように第2貫通孔30hの内部に形成される。
【0062】
実施形態に係る発光素子の製造方法では、次に、図14に表したように、第2導電層12に、第1導電層11を形成する工程を行う。そして、第1導電層11の一部及び第2導電層12の一部を除去して、絶縁層30が露出する第1貫通孔10hを形成する工程を行う。また、反射層20を絶縁層30と接するように第1貫通孔10hの内部に形成する工程を行う。
【0063】
実施形態に係る発光素子の製造方法では、次に、図15に表したように、第1導電層11及び反射層20に、反射金属層74を形成する工程を行う。また、反射金属層74に接合部材72を形成する工程を行う。また、接合部材72により、反射金属層74と基板70とを接合する工程を行う。
【0064】
実施形態に係る発光素子の製造方法では、次に、図16に表したように、第1基材46及び第2基材47を除去するとともに、n型半導体層43の一部、発光層42の一部、p型半導体層41の一部、及び絶縁層30の一部を除去する工程を行う。この工程を行うことにより、第1層431と第2層432とを含むn型半導体層43、発光層42、及びp型半導体層41を含む半導体構造体40を形成する。
【0065】
実施形態に係る発光素子の製造方法では、次に、図17に表したように、n型半導体層43に、n電極50を形成する工程を行う。また、第2導電層12の一部を除去して、第1導電層11にp電極60を形成する工程を行う。以上により、発光素子100が製造される。
【0066】
第1導電層11、第2導電層12、反射層20、絶縁層30、n電極50、p電極60、及び反射金属層74は、例えば、スパッタリング法または蒸着法により形成することができる。絶縁層30、第1導電層11、及び第2導電層12の除去には、例えば、ドライエッチングまたはウェットエッチングを用いることができる。第1基材46及び第2基材47の除去には、ウェットエッチングを用いることができる。p型半導体層41、発光層42、n型半導体層43の除去には、例えば、ドライエッチングまたはウェットエッチングを用いることができる。
【0067】
実施形態は、以下の構成を含んでもよい。
【0068】
(構成1)
第1貫通孔を有する導電部材と、
前記第1貫通孔の内部に配置された反射層と、
前記導電部材及び前記反射層の上に配置され、平面視において前記第1貫通孔と重ならない位置に配置された第2貫通孔を有する絶縁層と、
前記絶縁層の上に配置されたp型半導体層と、前記p型半導体層の上に配置された発光層と、前記発光層の上に部分的に配置されたn型半導体層と、を有する半導体構造体と、
前記n型半導体層の上に配置され、前記n型半導体層と電気的に接続されたn電極と、
前記導電部材と電気的に接続されたp電極と、
を備え、
前記発光層が発する光のピーク波長における前記反射層の反射率は、前記発光層が発する光のピーク波長における前記導電部材の反射率よりも高く、
前記導電部材の一部は、前記第2貫通孔において前記p型半導体層と接し、
平面視において、前記反射層の少なくとも一部は、前記発光層と重なる位置に配置される、発光素子。
【0069】
(構成2)
平面視において、前記反射層は、前記n電極と重なる第1反射部分と、前記n電極と重ならない第2反射部分と、を有する、構成1に記載の発光素子。
【0070】
(構成3)
平面視において、前記n電極は、パッド部分と、前記パッド部分から延びる延伸部分と、を有し、
平面視において、前記n型半導体層は、前記パッド部分と重なる第1半導体部分と、前記延伸部分と重なる第2半導体部分と、を有し、
平面視において、前記第1反射部分は、前記パッド部分及び前記延伸部分と重なる、構成2に記載の発光素子。
【0071】
(構成4)
平面視において、前記導電部材は、前記半導体構造体と重なる第1領域と、前記半導体構造体と重ならない第2領域と、を有し、
前記p電極は、前記第2領域に配置され、
平面視において、前記n電極から前記p電極に向かうにつれて、単位面積当たりにおける前記導電部材の面積に対する前記反射層の面積の割合が低下する、構成1~3のいずれか1つに記載の発光素子。
【0072】
(構成5)
前記反射層は、誘電体多層膜である、構成1~4のいずれか1つに記載の発光素子。
【0073】
(構成6)
基板と、前記基板と前記導電部材との間に位置する接合部材と、前記接合部材と前記導電部材との間に位置する反射金属層と、をさらに備えた、構成1~5のいずれか1つに記載の発光素子。
【0074】
(構成7)
前記導電部材は、金を含む第1導電層と、前記第1導電層の上に配置された酸化インジウム錫を含む第2導電層と、を有し、
前記第1導電層は、前記p電極と電気的に接続され、
前記第2導電層は、前記p型半導体層と電気的に接続される、構成1~6のいずれか1つに記載の発光素子。
【0075】
(構成8)
前記p型半導体層は、GaPを含み、
前記n型半導体層は、GaAsを含み、
前記発光層は、AlGaInPを含む、構成1~7のいずれか1つに記載の発光素子。
【0076】
以上のように、実施形態によれば、光取り出し効率を向上できる発光素子が提供される。
【0077】
前述の各実施形態は、本発明を具現化した例であり、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、前述の各実施形態において、いくつかの構成要素又は工程を追加、削除又は変更したものも本発明に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、例えば、照明装置及び表示装置の光源、車載向けの光源等に利用することができる。
【符号の説明】
【0079】
10:導電部材
10a:第1領域
10b:第2領域
10h:第1貫通孔
11:第1導電層
12:第2導電層
16:第1部分
17:第2部分
18:第3部分
20:反射層
21:第1反射部分
22:第2反射部分
30:絶縁層
30h:第2貫通孔
40:半導体構造体
41:p型半導体層
42:発光層
43:n型半導体層
43a:第1半導体部分
43b:第2半導体部分
431:第1層
432:第2層
46:第1基材
47:第2基材
48:積層体
50:n電極
51:パッド部分
52:延伸部分
60:p電極
70:基板
72:接合部材
74:反射金属層
100:発光素子
R1:領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17