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特開2025-21743基板処理方法、半導体装置の製造方法、基板処理装置、およびプログラム
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  • 特開-基板処理方法、半導体装置の製造方法、基板処理装置、およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021743
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】基板処理方法、半導体装置の製造方法、基板処理装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20250206BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20250206BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20250206BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/318 B
H01L21/31 B
C23C16/455
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125677
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(72)【発明者】
【氏名】野々村 一樹
(72)【発明者】
【氏名】小川 有人
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA04
4K030AA05
4K030AA06
4K030AA07
4K030AA11
4K030AA13
4K030AA17
4K030BA01
4K030BA02
4K030BA05
4K030BA08
4K030BA10
4K030BA11
4K030BA12
4K030BA17
4K030BA18
4K030BA20
4K030BA22
4K030BA26
4K030BA29
4K030BB14
4K030EA04
4K030FA10
4K030GA06
4K030HA01
4K030KA41
4K030LA15
5F045AA06
5F045AA15
5F045AB02
5F045AB07
5F045AB11
5F045AB12
5F045AB31
5F045AC02
5F045AC05
5F045AC07
5F045AC11
5F045AC12
5F045AC15
5F045AC16
5F045AC17
5F045AD07
5F045AD08
5F045AD09
5F045AD10
5F045AD11
5F045AE15
5F045AE17
5F045AE19
5F045AE21
5F045AE23
5F045BB02
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EE17
5F045EK06
5F058BA06
5F058BC02
5F058BC03
5F058BC08
5F058BC09
5F058BC14
5F058BD04
5F058BD05
5F058BD10
5F058BD12
5F058BD18
5F058BF04
5F058BF21
5F058BF24
5F058BF27
5F058BF29
5F058BF30
5F058BF37
5F058BJ01
(57)【要約】
【課題】基板表面に形成される膜の均一性を向上させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】(a)第1吸着サイトが存在する所定の表面を有する基板に対して、第2ガスが前記第1吸着サイトに吸着することを阻害する第1ガスを供給する工程と、(b)前記所定の表面への前記第2ガスの吸着量が自己制限的になる条件で、前記基板に対して前記第2ガスを供給する工程と、を有し、(a)は(b)と同時又は(b)より前に開始され、前記第1ガスは前記第2ガスよりも前記所定の表面における吸着量が多い。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1吸着サイトが存在する所定の表面を有する基板に対して、第2ガスが前記第1吸着サイトに吸着することを阻害する第1ガスを供給する工程と、
(b)前記所定の表面への前記第2ガスの吸着量が自己制限的になる条件で、前記基板に対して前記第2ガスを供給する工程と、を有し、
(a)は(b)と同時又は(b)より前に開始され、
前記第1ガスは前記第2ガスよりも前記所定の表面における吸着量が多い、
基板処理方法。
【請求項2】
(a)における前記第1ガスの供給条件によって、(b)において前記所定の表面に吸着する第2ガスの量を制御する、
請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
(a)は、前記所定の表面への前記第1ガスの吸着量が自己制限的になり、前記所定の表面への前記第1ガスの吸着量が不飽和となる条件で行われる、
請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
(b)における前記第2ガスの供給条件によって、(b)において前記所定の表面に吸着する第2ガスの量を制御する、
請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項5】
(b)は、前記所定の表面への前記第2ガスの吸着量が飽和しない条件で行われる、
請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項6】
(b)において、前記第1ガスが吸着していない前記第1吸着サイトの全てに前記第2ガスを吸着させる、
請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記第1ガスは第1元素を有し、
前記第2ガスは第2元素を有し、
(a)と(b)とによって、前記第1元素と前記第2元素とを含む第1層が前記所定の表面上に形成される、
請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項8】
(c)前記所定の表面の少なくとも一部に前記第1吸着サイトを形成する工程をさらに有し、
(a)と(b)との後に(c)を行う第1サイクルを所定回数行う、
請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記第1サイクルと、(a)と(c)とを当該順に行う第2サイクルと、をそれぞれ所定回数行う、
請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記第2元素は前記第1元素と同じ元素であり、
前記第2ガスは前記第1ガスと分子構造が異なるガスである、
請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記第2元素は前記第1元素と異なる元素である、
請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項12】
(c)において、前記基板に対して第3ガスを供給して、前記所定の表面の少なくとも一部に前記第1吸着サイトを形成する、
請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記第3ガスは第3元素を有し、
(c)において、前記第3元素を含み、表面に前記第1吸着サイトを有する第2層を、前記所定の表面の少なくとも一部に形成する、
請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
(d)前記所定の表面に吸着する前記第1ガスのうち少なくとも一部を除去する工程、をさらに有する、
請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項15】
(e)第4元素を有し、前記第1ガスと異なるガスである第4ガスを供給し、前記第2元素と前記第4元素とを有する第3層を前記所定の表面上に形成する工程、をさらに有する、
請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項16】
(b)において、前記第2ガスは前記基板の側方から供給される、
請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項17】
下記(1)又は下記(2)が成り立つ、請求項1~16のいずれか1項に記載の基板処理方法。
(1)前記第1吸着サイトに吸着した前記第1ガスは前記所定の表面に親水性の吸着サイトを形成し、前記第2ガスは親水性のガスである。
(2)前記第1吸着サイトに吸着した前記第1ガスは前記所定の表面に疎水性の吸着サイトを形成し、前記第2ガスは疎水性のガスである。
【請求項18】
(a)第1吸着サイトが存在する所定の表面を有する基板に対して、第2ガスが前記所定の表面に吸着することを阻害する第1ガスを供給する工程と、
(b)前記所定の表面への前記第2ガスの吸着量が自己制限的になる条件で、前記基板に対して前記第2ガスを供給する工程と、を有し、
(a)は(b)と同時又は(b)より前に開始され、
前記第1ガスは前記第2ガスよりも前記所定の表面における吸着量が多い、
半導体装置の製造方法。
【請求項19】
第1吸着サイトが存在する所定の表面を有する基板に対して、第2ガスが前記所定の表面に吸着することを阻害する第1ガスを供給する第1ガス供給系と、
前記基板に対して前記第2ガスを供給する第2ガス供給系と、
(a)前記第1ガスを前記基板に対して供給する処理と、(b)前記第2ガスを供給する処理と、を有し、(a)は(b)と同時又は(b)より前に開始され、前記第1ガスは前記第2ガスよりも前記所定の表面における吸着量が多い処理が行われるように、前記第1ガス供給系と前記第2ガス供給系とを制御することが可能なよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項20】
(a)第1吸着サイトが存在する所定の表面を有する基板に対して、第2ガスが前記所定の表面に吸着することを阻害する第1ガスを供給する手順と、
(b)前記所定の表面への前記第2ガスの吸着量が自己制限的になる条件で、前記基板に対して前記第2ガスを供給する手順と、を有し、
(a)は(b)と同時又は(b)より前に開始され、
前記第1ガスは前記第2ガスよりも前記所定の表面における吸着量が多い手順を、
基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理方法、半導体装置の製造方法、基板処理装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理工程(半導体装置の製造工程)の一工程として、反応阻害ガスを用いて、基板の表面に膜を形成する工程が行われることがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-110465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板表面に形成される膜の均一性を向上させることが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
(a)第1吸着サイトが存在する所定の表面を有する基板に対して、第2ガスが前記第1吸着サイトに吸着することを阻害する第1ガスを供給する工程と、
(b)前記所定の表面への前記第2ガスの吸着量が自己制限的になる条件で、前記基板に対して前記第2ガスを供給する工程と、を有し、
(a)は(b)と同時又は(b)より前に開始され、
前記第1ガスは前記第2ガスよりも前記所定の表面における吸着量が多い、技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板表面に形成される膜の均一性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉202部分を縦断面図で示す図である。
図2図2は、本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉202部分を図1のA-A線断面図で示す図である。
図3図3は、本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置のコントローラ121の概略構成図であり、コントローラ121の制御系をブロック図で示す図である。
図4図4(a)~図4(c)は、本開示の一態様における処理シーケンスの各ステップにおいて形成される物質の一例を示す断面部分拡大図である。図4(a)は、ウエハ200の表面に第1ガスが吸着した後のウエハ200の表面における断面部分拡大図である。図4(b)は、ウエハ200の表面に第1ガスと第2ガスとが吸着して第1層300が形成された後のウエハ200の表面における断面部分拡大図である。図4(c)は、ウエハ200の表面に形成された第1層300が第3ガスにより第2層400へ改質された後のウエハ200の表面における断面部分拡大図である。
図5図5は、本開示の変形例1においてウエハ200の表面に形成された膜の断面部分拡大図である。
図6図6(a)~図6(c)は、本開示の変形例2における処理シーケンスの各ステップにおいて形成される物質の一例を示す断面部分拡大図である。図6(a)は、ウエハ200の表面に第1ガスと第2ガスとが吸着して第1層300が形成された後のウエハ200の表面における断面部分拡大図である。図6(b)は、ウエハ200の表面に吸着していた第1ガスと第2ガスのうち第1ガスが除去された後のウエハ200の表面における断面部分拡大図である。図6(c)は、第1ガスが除去された後のウエハ200の表面に第4ガスが吸着し、第3層600が形成された後のウエハ200の表面における断面部分拡大図である。
図7図7は、本開示の一態様における処理シーケンスを用いて膜を形成する場合における、1サイクルあたりの第1ガスの供給時間と膜中の第2元素の濃度との関係を示す図である。
図8図8は、本開示の一態様における処理シーケンスを用いて膜を形成する場合における、1サイクルあたりの第2ガスの供給量と膜中の第2元素の濃度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本開示の一態様>
以下、本開示の一態様について、主に、図1図3および図4(a)~図4(c)を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0009】
(1)基板処理装置の構成
図1に示すように、処理炉202は温度調整部(加熱部)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、ガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0010】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の下方には、反応管203と同心円状にマニホールド209が配設されている。マニホールド209の上端部は、反応管203の下端部に係合しており、反応管203を支持するように構成されている。マニホールド209と反応管203との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。反応管203はヒータ207と同様に垂直に据え付けられている。主に、反応管203とマニホールド209とにより処理容器(反応容器)が構成される。処理容器の筒中空部には処理室201が形成される。処理室201は、基板としてのウエハ200を収容可能に構成されている。この処理室201内でウエハ200に対する処理が行われる。
【0011】
処理室201内には、第1~第3供給部としてのノズル249a~249cが、マニホールド209の側壁を貫通するようにそれぞれ設けられている。ノズル249a~249cを、それぞれ第1~第3ノズルとも称する。ノズル249a~249cは、例えば石英またはSiC等の耐熱性材料により構成されている。ノズル249a~249cには、ガス供給管232a~232cがそれぞれ接続されている。ノズル249a~249cはそれぞれ異なるノズルであり、ノズル249a,249cのそれぞれは、ノズル249bに隣接して設けられている。
【0012】
ガス供給管232a~232cには、ガス流の上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a~241cおよび開閉弁であるバルブ243a~243cがそれぞれ設けられている。ガス供給管232aのバルブ243aよりも下流側には、ガス供給管232d,232eがそれぞれ接続されている。ガス供給管232b,232cのバルブ243b,243cよりも下流側には、ガス供給管232f,232gがそれぞれ接続されている。ガス供給管232d~232gには、ガス流の上流側から順に、MFC241d~241gおよびバルブ243d~243gがそれぞれ設けられている。
【0013】
図2に示すように、ノズル249a~249cは、反応管203の内壁とウエハ200との間における平面視において円環状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の配列方向上方に向かって立ち上がるようにそれぞれ設けられている。ノズル249a,249cは、ノズル249bと排気口231aの中心とを通る直線Lを、反応管203の内壁(ウエハ200の外周部)に沿って両側から挟み込むように配置されている。ガス供給孔250a~250cは、それぞれが、平面視において排気口231aと対向(対面)するように開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔250a~250cは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられている。
【0014】
ガス供給管232aからは、第1ガスが、MFC241a、バルブ243a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。ここで、第1ガスは、後述する第2ガス等及び第4ガス等がウエハ200上に吸着すること、もしくは第2ガス等及び第4ガス等が第1吸着サイトに吸着することを阻害するガスである。
【0015】
ガス供給管232bからは、第3ガスが、MFC241b、バルブ243b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。
【0016】
ガス供給管232cからは、第4ガスが、MFC241c、バルブ243c、ノズル249cを介して処理室201内へ供給される。
【0017】
ガス供給管232dからは、第2ガスが、MFC241d、バルブ243d、ガス供給管232a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。
【0018】
ガス供給管232e~232gからは、不活性ガスが、それぞれMFC241e~241g、バルブ243e~243g、ガス供給管232a~232c、ノズル249a~249cを介して処理室201内へ供給される。不活性ガスは、パージガス、キャリアガス、希釈ガス等として作用する。
【0019】
主に、ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243aにより、第1ガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243bにより、第3ガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232c、MFC241c、バルブ243cにより、第4ガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232d、MFC241d、バルブ243dにより、第2ガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232e~232g、MFC241e~241g、バルブ243e~243gにより、不活性ガス供給系が構成される。
【0020】
上述の各種供給系のうち、いずれか、或いは、全ての供給系は、バルブ243a~243gやMFC241a~241g等が集積されてなる集積型供給システム248として構成されていてもよい。集積型供給システム248は、ガス供給管232a~232gのそれぞれに対して接続され、ガス供給管232a~232h内への各種物質(各種ガス)の供給動作、すなわち、バルブ243a~243gの開閉動作やMFC241a~241gによる流量調整動作等が、後述するコントローラ121によって制御されるように構成されている。集積型供給システム248は、一体型、或いは、分割型の集積ユニットとして構成されており、ガス供給管232a~232g等に対して集積ユニット単位で着脱を行うことができ、集積型供給システム248のメンテナンス、交換、増設等を、集積ユニット単位で行うことが可能なように構成されている。
【0021】
反応管203の側壁下方には、処理室201内の雰囲気を排気する排気口231aが設けられている。図2に示すように、排気口231aは、平面視において、ウエハ200を挟んでノズル249a~249c(ガス供給孔250a~250c)と対向(対面)する位置に設けられている。排気口231aは、反応管203の側壁の下部より上部に沿って、すなわち、ウエハ配列領域に沿って設けられていてもよい。排気口231aには排気管231が接続されている。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができる。APCバルブ244は、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されている。主に、排気管231、APCバルブ244、圧力センサ245により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
【0022】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。シールキャップ219の下方には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ウエハ200を処理室201内外に搬入および搬出(搬送)する搬送装置(搬送機構)として構成されている。
【0023】
マニホールド209の下方には、シールキャップ219を降下させボート217を処理室201内から搬出した状態で、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシャッタ219sが設けられている。シャッタ219sの上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220cが設けられている。シャッタ219sの開閉動作(昇降動作や回動動作等)は、シャッタ開閉機構115sにより制御される。
【0024】
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25~200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される断熱板218が多段に支持されている。なお、本明細書における「25~200枚」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、例えば、「25~200枚」とは「25枚以上200枚以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。
【0025】
反応管203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0026】
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。また、コントローラ121には、外部記憶装置123を接続することが可能となっている。なお、基板処理装置は、制御部を1つ備えるように構成されていてもよく、制御部を複数備えるように構成されていてもよい。すなわち、後述する処理シーケンスを行うための制御を、1つの制御部を用いて行うようにしてもよく、複数の制御部を用いて行うようにしてもよい。また、複数の制御部は、有線または無線の通信ネットワークにより互いに接続された制御系として構成されていてもよく、後述する処理シーケンスを行うための制御を制御系全体により行うようにしてもよい。本明細書において制御部という言葉を用いた場合は、1つの制御部を含む場合の他、複数の制御部を含む場合や、複数の制御部によって構成される制御系を含む場合がある。
【0027】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に記録され、格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理における各手順をコントローラ121によって、基板処理装置に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、プロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0028】
I/Oポート121dは、上述のMFC241a~241g、バルブ243a~243g、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、温度センサ263、ヒータ207、回転機構267、ボートエレベータ115、シャッタ開閉機構115s等に接続されている。
【0029】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すことが可能なように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC241a~241gによる各種物質(各種ガス)の流量調整動作、バルブ243a~243gの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、シャッタ開閉機構115sによるシャッタ219sの開閉動作等を制御することが可能なように構成されている。
【0030】
コントローラ121は、外部記憶装置123に記録され、格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。外部記憶装置123は、例えば、HDD等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやSSD等の半導体メモリ等を含む。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行うようにしてもよい。
【0031】
(2)基板処理工程
上述の基板処理装置を用い、半導体装置の製造工程の一工程として、基板を処理する方法、すなわち、基板としてのウエハ200上に膜を形成する処理シーケンス例について、主に、図4を用いて説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0032】
本態様における処理シーケンスでは、
(a)第1吸着サイトが存在する所定の表面を有するウエハ200に対して、第2ガスが第1吸着サイトに吸着することを阻害する第1ガスを供給するステップと、
(b)所定の表面への第2ガスの吸着量が自己制限的になる条件で、ウエハ200に対して第2ガスを供給するステップと、を有し、
(a)は(b)と同時又は(b)より前に開始され、
第1ガスは第2ガスよりも所定の表面における吸着量が多い。
【0033】
また、以下では、
(c)所定の表面の少なくとも一部に第1吸着サイトを形成するステップをさらに有し、
(a)と(b)との後に(c)を行う第1サイクルを所定回数(n回、nは1または2以上の整数)行う場合について説明する。
【0034】
また、以下では、
(c)において、ウエハ200に対して第3ガスを供給して、所定の表面の少なくとも一部に第1吸着サイトを形成する場合について説明する。
【0035】
以下では、第1ガスは第1元素を有し、第2ガスは第2元素を有し、第3ガスは第3元素を有する場合について説明する。
【0036】
本明細書では、上述の処理シーケンスを、便宜上、以下のように示すこともある。以下の変形例や他の態様等の説明においても、同様の表記を用いる。
【0037】
(第1ガス→パージ→第2ガス→パージ→第3ガス→パージ)×n
【0038】
本明細書において用いる「ウエハ」という用語は、ウエハそのものを意味する場合や、ウエハとその表面に形成された所定の層や膜との積層体を意味する場合がある。本明細書において用いる「ウエハの表面」という言葉は、ウエハそのものの表面を意味する場合や、ウエハ上に形成された所定の層等の表面を意味する場合がある。本明細書において「ウエハ上に所定の層を形成する」と記載した場合は、ウエハそのものの表面上に所定の層を直接形成することを意味する場合や、ウエハ上に形成されている層等の上に所定の層を形成することを意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0039】
本明細書において用いる「剤」という用語は、ガス状物質および液体状物質のうち少なくともいずれかを含む。液体状物質はミスト状物質を含む。すなわち、第1原料、第2原料、酸化剤のそれぞれは、ガス状物質を含んでいてもよく、ミスト状物質等の液体状物質を含んでいてもよく、それらの両方を含んでいてもよい。
【0040】
本明細書において用いる「層」という用語は、連続層および不連続層のうち少なくともいずれかを含む。例えば、後述する第1層300および第2層400は、連続層を含んでいてもよく、不連続層を含んでいてもよく、それらの両方を含んでいてもよい。
【0041】
本明細書において、第1ガス、第2ガス、第3ガスおよび第4ガスがそれぞれウエハ200表面に対して吸着することや反応することについて述べる場合、それらが未分解のままウエハ表面に対して吸着や反応を起こす態様だけではなく、それらが分解することや、その配位子(リガンド)が脱離することにより生成される中間体がウエハ200表面に対して吸着や反応を起こす態様をも含むことがある。
【0042】
(ウエハチャージおよびボートロード)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、シャッタ開閉機構115sによりシャッタ219sが移動させられて、マニホールド209の下端開口が開放される(シャッタオープン)。その後、図1に示すように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内へ搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。このようにして、ウエハ200は、処理室201内に準備(提供)されることとなる。
【0043】
なお、ボート217に充填されるウエハ200は、第1吸着サイトが存在する所定の表面を有している。本態様では、一例として、ウエハ200の所定の表面に、第1吸着サイトが存在する場合について説明する。なお、ウエハ200は、所定の表面を構成する物質とは異なる物質が露出する表面を有していてもよい。
【0044】
(圧力調整および温度調整)
ボートロードが終了した後、処理室201内、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気(減圧排気)される。このとき、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される。また、処理室201内のウエハ200が所望の処理温度となるように、ヒータ207によって加熱される。このとき、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される。また、回転機構267によるウエハ200の回転を開始する。処理室201内の排気、ウエハ200の加熱および回転は、いずれも、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0045】
(成膜処理)
その後、以下のステップA,B,Cを順次実行する。
【0046】
[ステップA]
本ステップでは、処理室201内のウエハ200に対して第1ガスを供給する。
【0047】
具体的には、バルブ243aを開き、ガス供給管232a内へ第1ガスを流す。第1ガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル249aを介して処理室201内へ供給され、排気口231aより排気される。このとき、ウエハ200の側方から、ウエハ200に対して第1ガスが供給される(第1ガス供給)。このとき、バルブ243e~243gを開き、ノズル249a~249cのそれぞれを介して処理室201内へ不活性ガスを供給するようにしてもよい。
【0048】
本ステップにて第1ガスを供給する際における処理条件としては、
処理温度:350~700℃、好ましくは500~600℃
処理圧力:1~10000Pa、好ましくは10~1333Pa
第1ガス供給流量:0.01~3slm、好ましくは0.1~1slm
第1ガス供給時間:10~120秒、好ましくは20~60秒
不活性ガス供給流量(ガス供給管毎):0~10slm
が例示される。
【0049】
本明細書における処理温度とはウエハ200の温度または処理室201内の温度のことを意味し、処理圧力とは処理室201内の圧力、換言すると、ウエハ200が存在する空間の圧力のことを意味する。また、供給流量に0slmが含まれる場合、0slmとは、そのガス(物質)を供給しないケースを意味する。これらは、以下の説明においても同様である。
【0050】
上述の処理条件下でウエハ200に対して、第1ガスを供給することにより、ウエハ200の表面に存在する第1吸着サイトに第1ガス、第1ガスの分子構造の一部を有する物質、第1ガスに含まれる第1元素、のうち少なくとも1つ以上を吸着させることができる(図4(a)参照)。以下、第1ガス、第1ガスの分子構造の一部を有する物質、第1ガスに含まれる第1元素、のうち少なくとも1つ以上のことを、第1ガス等と称する場合がある。なお、図4(a)~図4(c)では、第1ガス等をαの文字で示している。
【0051】
本ステップは、ウエハ200の表面への第1ガスの吸着量が自己制限的になり、ウエハ200の表面への第1ガスの吸着量が不飽和となる条件で行われることが、後述する理由から好ましい。本明細書において、ガスの吸着量が自己制限的になる条件とは、ガスの吸着量が自己限定的になる条件またはガスの吸着量が、ある一定の値に漸近する条件と同義である。具体的には、ガスの供給時間を長くしていくとガスの吸着量がある量で飽和する、とみなせる条件のことをいう。ガスの吸着量がある量で飽和する、とみなせるとは、ガスの吸着量が実際に飽和している場合だけでなく、実際には飽和していないが時間の経過とともに(将来的に)飽和する場合も含む概念である。また、ウエハ200の表面への第1ガスの吸着量が不飽和となる条件とは、具体的には、ウエハ200の表面の第1吸着サイトの全てには第1ガスを吸着させずに、後述するステップBにおいて供給される第2ガスを吸着させる第1吸着サイトを残存させる条件のことである。
【0052】
不活性ガスとしては、窒素(N)ガスや、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、キセノン(Xe)ガス等の希ガスを用いることができる。不活性ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。この点は、後述する各ステップにおいても同様である。
【0053】
ウエハ200の表面に第1ガスを吸着させた後、バルブ243aを閉じ、処理室201内への第1ガスの供給を停止する。そして、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留するガス状物質等を処理室201内から排除する。このとき、バルブ243e~243gを開き、ノズル249a~249cを介して処理室201内へ不活性ガスを供給する。ノズル249a~249cより供給される不活性ガスは、パージガスとして作用し、これにより、ウエハ200が存在する空間、すなわち、処理室201内がパージされる(パージ)。
【0054】
[ステップB]
ステップAが終了した後、処理室201内のウエハ200、すなわち、表面上に第1ガスを吸着させた後のウエハ200に対して、第2ガスを供給する。
【0055】
具体的には、バルブ243dを開き、ガス供給管232d内へ第2ガスを流す。第2ガスは、MFC241dにより流量調整され、ノズル249aを介して処理室201内へ供給され、排気口231aより排気される。このとき、ウエハ200の側方から、ウエハ200に対して第2ガスが供給される(第2ガス供給)。このとき、バルブ243e~243gを開き、ノズル249a~249cのそれぞれを介して処理室201内へ不活性ガスを供給するようにしてもよい。
【0056】
本ステップにて第2ガスを供給する際における処理条件としては、
処理温度:20~700℃、好ましくは200~600℃、より好ましくは500~600℃
処理圧力:1~10000Pa、好ましくは10~2666Pa、より好ましくは1000~2666Pa
第2ガス供給流量:0.01~4slm、好ましくは0.3~1slm
第2ガス供給時間:1~360秒、好ましくは5~180秒
が例示される。他の処理条件は、ステップAにて第1ガスを供給する際における処理条件と同様とすることができる。ただし、本ステップは、第1吸着サイトが存在するウエハ200の表面への第2ガスの吸着量が自己制限的になる条件で行われる。
【0057】
上述の処理条件下でウエハ200に対して第2ガスを供給することにより、ウエハ200の表面上の第1ガス等が吸着していない箇所、すなわち、ウエハ200の表面に残存する第1吸着サイトに、第2ガス、第2ガスの分子構造の一部を有する物質、第2ガスに含まれる第2元素、のうち少なくとも1つ以上を吸着させることができる。これにより、ウエハ200の表面上に、第1元素と第2元素とを有する第1層300を形成することができる(図4(b)参照)。以下、第2ガス、第2ガスの分子構造の一部を有する物質、第2ガスに含まれる第2元素、のうち少なくとも1つ以上のことを、第2ガス等と称する場合がある。なお、図4(b)と図4(c)では、第2ガス等をβの文字で示している。
【0058】
ここで、第1ガスは、第2ガスが第1吸着サイトに吸着することを阻害するガスである。従って、図4(b)に示されるように、第2ガス等はウエハ200の表面上の第1ガス等の上には吸着しない。ここで、本明細書において「第2ガス等は第1ガス等の上には吸着しない」とは、第2ガス等が第1ガス等の上に全く吸着しない場合に加えて、極めて少数の第2ガス等が第1ガス等の上に吸着する場合も含まれ、例えば、第2ガス等がウエハ200上の第1ガス等のうち1%程度の第1ガス等の上に吸着する場合であって、好ましくは1%以下の第1ガス等の上に吸着する場合も含まれる。
【0059】
ステップAとステップBとを行うことにより、ウエハ200の表面に設けられた第1吸着サイトに、第1ガス等と第2ガス等とを吸着させ、第1元素と第2元素とを含む第1層300を形成することができる(図4(b)参照)。言い換えると、第2元素が添加(ドープ)された第1層を形成することができる。第1層300の表面には、後述するステップCにおいて供給される第3ガスが吸着する所定の吸着サイトが形成されている。
【0060】
上述の処理条件下でステップAとステップBとを行うことにより、ウエハ200の表面における第1ガスの吸着量を、ウエハ200の表面における第2ガスの吸着量よりも多くすることができる。
【0061】
本ステップ(ステップB)は、ウエハ200の表面への第2ガスの吸着量が飽和しない条件で行われてもよく、飽和する条件で行われてもよい。なお、ウエハ200の表面への第2ガスの吸着量が飽和しない条件とは、具体的には、ウエハ200の表面に残存する第1吸着サイトの全てには第2ガスを吸着させない条件のことである。
【0062】
ウエハ200の表面に第1層300を形成した後、バルブ243dを閉じ、処理室201内への第2ガスの供給を停止する。そして、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留するガス状物質等を処理室201内から排除する。このとき、バルブ243e~243gを開き、ノズル249a~249cを介して処理室201内へ不活性ガスを供給する。ノズル249a~249cより供給される不活性ガスは、パージガスとして作用し、これにより、ウエハ200が存在する空間、すなわち、処理室201内がパージされる(パージ)。
【0063】
[ステップC]
ステップBが終了した後、処理室201内のウエハ200、すなわち、その表面に第1層300を形成させた後のウエハ200に対して、第3ガスを供給する。
【0064】
具体的には、バルブ243bを開き、ガス供給管232b内へ第3ガスを流す。第3ガスは、MFC241bにより流量調整され、ノズル249bを介して処理室201内へ供給され、排気口231aより排気される。このとき、ウエハ200の側方から、ウエハ200に対して第3ガスが供給される(第3ガス供給)。このとき、バルブ243e~243gを開き、ノズル249a~249cのそれぞれを介して処理室201内へ不活性ガスを供給するようにしてもよい。
【0065】
本ステップにて第3ガスを供給する際における処理条件としては、
処理温度:20~700℃、好ましくは200~600℃、より好ましくは500~600℃
処理圧力:100~10000Pa、好ましくは1000~10000Pa
第3ガス供給流量:0.1~20slm、好ましくは1~10slm
第3ガス供給時間:1~120秒、好ましくは3~15秒
が例示される。他の処理条件は、ステップAにて第1ガスを供給する際における処理条件と同様とすることができる。
【0066】
上述の処理条件下でウエハ200に対して第3ガスを供給することにより、ウエハ200の表面に形成された第1層300の少なくとも一部に第3ガスおよび/または第3ガスに含まれる第3元素を吸着させることができる(図4(c)参照)。なお、図4(c)では、第3ガスおよび/または第3ガスに含まれる第3元素をγの文字で示している。以下、第3ガスおよび/または第3ガスに含まれる第3元素を第3ガス等と称する場合がある。
【0067】
上述の処理条件下でウエハ200に対して第3ガスを供給することにより、ウエハ200の表面に形成された第1層300の少なくとも一部が第3ガスと反応し、改質される。結果として、ウエハ200の表面の少なくとも一部に、1層300の改質層であり、第1吸着サイトが存在する第2層400が形成される(図4(c)参照)。本ステップにおいて形成された第1吸着サイトは、次のサイクルのステップA、ステップBにおいて供給される第1ガス、第2ガスの吸着サイトとして機能する。
【0068】
ウエハ200の表面上に第2層400を形成した後、バルブ243bを閉じ、処理室201内への第3ガスの供給を停止する。そして、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留するガス状物質等を処理室201内から排除する。このとき、バルブ243e~243gを開き、ノズル249a~249cを介して処理室201内へ不活性ガスを供給する。ノズル249a~249cより供給される不活性ガスは、パージガスとして作用し、これにより、ウエハ200が存在する空間、すなわち、処理室201内がパージされる(パージ)。
【0069】
[所定回数実施]
上述のステップA~Cを、非同時に、すなわち、同期させることなくこの順に行う第1サイクルをn回(nは1または2以上の整数)行うことにより、ウエハ200の表面上に、所定の膜が形成される。上述の第1サイクルは、複数回繰り返すことが好ましい。すなわち、1サイクルあたりに形成される例えば第2層400の厚さを所望の膜厚よりも薄くし、第2層400を積層することで形成される所定の膜の厚さが所望の厚さになるまで、上述の第1サイクルを複数回繰り返すことが好ましい。
【0070】
本態様では、ステップAにおいて供給される第1ガスは、上述の所定の膜の原料およびステップBにおいて供給される第2ガスが第1吸着サイト及びウエハ200の表面へ吸着することを阻害する吸着阻害剤として用いられる、とみなしてもよい。ステップBにおいて供給される第2ガスは、第2元素がドープされた上述の所定の膜を形成するドーパントガスとして用いられる、とみなしてもよい。ステップCにおいて供給される第3ガスは、ステップAとステップBとを行うことにより形成された第1層300を第2層400に改質する改質剤として用いられる、とみなしてもよい。
【0071】
(アフターパージおよび大気圧復帰)
成膜処理が完了した後、ノズル249a~249cのそれぞれからパージガスとしての不活性ガスを処理室201内へ供給し、排気口231aより排気する。これにより、処理室201内がパージされ、処理室201内に残留するガスや反応副生成物等が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0072】
(ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降され、マニホールド209の下端が開口される。そして、処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態でマニホールド209の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。ボートアンロードの後は、シャッタ219sが移動させられ、マニホールド209の下端開口がOリング220cを介してシャッタ219sによりシールされる(シャッタクローズ)。処理済のウエハ200は、反応管203の外部に搬出された後、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0073】
(3)本態様による効果
本態様によれば、上述の効果の他に、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0074】
(a)ステップAにおいて第1ガスを供給した後で、ステップBにおいて第2ガスを供給し、ウエハ200の表面における第1ガスの吸着量を第2ガスの吸着量よりも多くする。これにより、ステップAの開始時における第1吸着サイトの数に対して第2ガスの吸着量が少ない場合においても、第2ガスの吸着量の制御性と、ウエハ200の表面における第2ガスの吸着量の均一性と、を向上させることができる。また、ステップBにおいて、ウエハ200の表面への第2ガスの吸着量が自己制限的になる条件で第2ガスを供給することにより、第2ガスの吸着量の制御性を向上させることができる。以下に、これらについて説明する。
【0075】
ウエハ200の表面に存在する第1吸着サイトに第2ガスを吸着させる場合、第1吸着サイトの数に対して第2ガスの吸着量を少なくしようとするほど、第2ガスの吸着量の多い箇所と第2ガスの吸着量の少ない箇所との差が大きくなる傾向がある。つまり、ウエハ200の表面上における第2ガスの吸着量のバラつきが大きくなる。このため、ウエハ200の表面における第2ガスの吸着量の均一性と、第2ガスの吸着量の制御性と、が低下しやすい。
【0076】
本態様では、ステップAにおいて第1ガスを供給した後で、ステップBにおいて第2ガスを供給し、さらに、ウエハ200の表面における第1ガスの吸着量を第2ガスの吸着量よりも多くしている。すなわち、ステップBを開始する前に、ウエハ200の表面に存在する複数の第1吸着サイトのうちの比較的多くの第1吸着サイトに第1ガスが吸着されている。これにより、ステップBの開始時には、第2ガスが吸着可能な第1吸着サイトの数が少なくなっているので、ウエハ200の表面上における第2ガスの吸着量のバラつきを小さくすることができる。また、第1ガスは、第2ガスが第1吸着サイト又は所定の表面上に吸着することを阻害するガスである。これにより、ウエハ200の表面上に吸着した第1ガス等の上に、第2ガスが吸着しにくくなる。以上から、第2ガスがウエハ200の表面のうち第1ガス等が吸着していない第1吸着サイトに優先的に吸着しやすくなる。そのため、ステップBにおいて、ウエハ200の表面への第2ガスの吸着量が所望の量を超過しにくくすることができる。結果として、ウエハ200の表面における第2ガスの吸着量の均一性と、を向上させることができる。
【0077】
また、本態様では、ステップBにおいて、ウエハ200の表面への第2ガスの吸着量が自己制限的になる条件で第2ガスを供給している。すなわち、第2ガスの供給時間を長くしていくとウエハ200の表面への第2ガスの吸着量がある量で飽和する、とみなせる条件で第2ガスを供給している。これにより、ステップBにおいて、ウエハ200の表面への第2ガスの吸着量が所望の量を超過しにくくすることができる。結果として、第2ガスの吸着量の制御性を向上させることができる。
【0078】
なお、上述の第1吸着サイトに第2ガスを吸着させる場合における第2ガスの吸着量の多い箇所と少ない箇所との差が大きくなる傾向は、ステップBにおいて、第2ガスがウエハ200の側方から供給される場合に顕著になる。本開示の技術は、第2ガスがウエハ200の側方から供給される場合であっても、第2ガスの吸着量の制御性と、ウエハ200の表面における第2ガスの吸着量の均一性と、を向上させることができる。
【0079】
(b)ステップAは、ウエハ200の表面への第1ガスの吸着量が自己制限的になり、ウエハ200の表面への第1ガスの吸着量が不飽和となる条件で行われる。これにより、ステップAにおいて、第1ガスが吸着しない第1吸着サイトの数を制御しやすくなる。その結果、所定の表面への第2ガスの吸着量の制御性を向上させることができる。
【0080】
(c)ステップBは、ウエハ200の表面への第2ガスの吸着量が飽和しない条件で行われることにより、第2ガスの吸着量が飽和する条件で行われる場合と比べて、ステップBを短時間で行うことができる。これにより、スループットを向上させることができる。
【0081】
(d)ステップAとステップBとを行うことにより、ウエハ200の表面上に第1層300を形成することができる。より詳しくは、ステップAとステップBとを行うことにより、ウエハ200の表面上に、均一に第1元素と第2元素とを含む第1層300を形成することができる。また、第1層300に含まれる第2元素の量の制御性を向上させることができる。
【0082】
(e)第2元素は第1元素と異なる元素であることにより、ウエハ200の表面において均一に第2元素が含まれている第1層300を形成することができる。また、第1層300に含まれる第2元素の量の制御性を向上させることができる。
【0083】
(f)ステップCを行うことにより、ウエハ200の表面上に第2層400を形成することができる。より詳しくは、ステップCを行うことにより、第2元素が含まれる量が十分に制御された、第1元素と第2元素と第3元素とを含む膜を形成することができる。言い換えると、主に第1元素と第3元素とから構成される膜に、十分に制御された量の第2元素を添加することができる。
【0084】
ここで、第1元素として、例えば、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、コバルト(Co)、イットリウム(Y)、ルテニウム(Ru)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、リン(P)、炭素(C)等のうち1以上を用いることができる。
【0085】
例えば、第3ガスとしては、例えば、還元ガス、酸化ガス、窒化ガス、硫化ガス、セレン化ガス、テルル化ガス等を含むガスを用いることができる。第3ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。例えば、第3ガスを還元ガスとした場合、第1元素及び第2元素から構成される膜をウエハ200上に形成することができる。例えば、第3ガスを、酸化ガス、窒化ガス、硫化ガス、セレン化ガス、テルル化ガスのうちいずれか1つとした場合、第1元素及び第2元素を含む酸化膜、第1元素及び第2元素を含む窒化膜、第1元素及び第2元素を含む硫化膜、第1元素及び第2元素を含むセレン化膜、第1元素及び第2元素を含むテルル化膜をウエハ200上に形成することができる。
【0086】
第1ガスとしては、例えば、上述したような第1元素と、ハロゲン元素と、を含むガスを用いることができる。このようなガスとしては、例えば、ヘキサクロロタングステン(WCl)、ヘキサフルオロタングステン(WF)、チタニウムテトラクロライド(TiCl)、チタニウムテトラフルオライド(TiF)、モリブデンペンタクロライド(MoCl)、モリブデンペンタフルオライド(MoF)、二塩化二酸化モリブデン(MoOCl)、四塩化酸化モリブデン(MoOCl)、五塩化タンタル(TaCl)、五フッ化タンタル(TaF)、二フッ化コバルト(CoF)、二塩化コバルト(CoCl)、三フッ化イットリウム(YF)、三塩化イットリウム(YCl)、ルテニウムトリクロライド(RuCl)、ルテニウムトリフルオライド(RuF)、ハフニウムテトラクロライド(HfCl)、ハフニウムテトラフルオライド(HfF)、ジルコニウムテトラクロライド(ZrCl)、ジルコニウムテトラフルオライド(ZrF)、アルミニウムトリクロライド(AlCl)、アルミニウムトリフルオライド(AlF)、ジクロロシラン(SiHCl)、1,2―ジクロロジシラン(SiCl)、1,1,1―トリクロロジシラン(SiCl)、1,1,2―トリクロロジシラン(SiCl)、ペンタクロロジシラン(SiHCl)、ヘキサクロロジシラン(SiCl)、テトラフルオロシラン(SiF)等を用いることができる。また、第1ガスとしては、例えば、モノシラン(SiH)、ジシラン(Si)、トリシラン(Si)、テトラシラン(Si10)、三フッ化ホウ素(BF)、三塩化ホウ素(BCl)、三フッ化ガリウム(GaF)、三塩化ガリウム(GaCl)、三フッ化インジウム(InF)、三塩化インジウム(InCl)、三フッ化リン(PF3)、五フッ化リン(PF)、三塩化リン(PCl)、五塩化リン(PCl)、四フッ化炭素(CF)、四塩化炭素(CCl)、トリフロロメタン(CHF)、フルオロメタン(CHF)、トリクロロメタン(CHCl)、クロロメタン(CHCl)等を用いることができる。
【0087】
加えて、第1ガスとしては、例えば、上述したような第1元素と、有機リガンドと、を有するガス、又は上述したような第1元素と、水素基と、を有するガス、を用いることができる。このようなガスとしては、例えば、ヘキサジメチルアミノジタングステン(W[N(CH)、ビスターシャリブチルイミドビスジメチルアミドタングステン((t-CNH)W=(Nt-C)、テトラキスエチルメチルアミノチタニウム(Ti[N(C)(CH)])、ビスエチルシクロペンタジエニルルテニウム(Ru(CHCH)Cp))、ビスシクロペンタジエニルルテニウム(Ru(Cp))、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(Hf[N(CH)(CHCH)])、テトラキスジエチルアミノハフニウム(Hf[N(CHCH)、テトラキスジメチルアミノハフニウム(Hf[N(CH)、トリスジメチルアミノシクロペンタジエニルハフニウム((Cp)Hf[N(CH)、テトラキスエチルメチルアミノジルコニウム(Zr[N(CH)Cp])、テトラキスジエチルアミノジルコニウム(Zr[N(CHCH)、テトラキスジメチルアミノジルコニウム(Zr[N(CH)、トリスジメチルアミノシクロペンタジエニルジルコニウム((Cp)Zr[N(CH)、トリメチルアルミニウム(Al(CH)、トリスジメチルアミノシラン(Si[N(CHH)、ボロン(BH)、トリメチルガリウム(Ga(CH)、トリメチルインジウム(In(CH)、ホスフィン(PH)、メタン(CH)等を用いることができる。
【0088】
ここで、第2元素として、例えば、第1元素の例として挙げられた元素のうち1以上を用いることができる。また、第2ガスとしては、例えば、第1ガスの例として挙げられたガスのうち1以上を含むガスを用いることができる。
【0089】
還元ガスとしては、例えば、水素(H)ガス、重水素(D)ガス、ボラン(BH)ガス、ジボラン(B)ガス、一酸化炭素(CO)ガス、アンモニア(NH)ガス、モノシラン(SiH)ガス、ジシラン(Si)ガス、トリシラン(Si)ガス、モノゲルマン(GeH)ガス、ジゲルマン(Ge)等を含むガスのうち1以上を用いることができる。また、反応ガスとしては、例えば、酸素(O)含有ガスの酸化ガスを用いることができる。酸化ガスとしては、例えば、酸素(O)、オゾン(O)、水蒸気(HO)、H及びOの混合ガス、過酸化水素(H)、亜酸化窒素(NO)、等を含むガスのうち1以上を用いることができる。窒化ガスとしては、例えば、アンモニア(NH)ガス、ジアゼン(N)ガス、ヒドラジン(N)ガス、Nガス等の窒化水素系ガスのうち1以上を用いることができる。硫化ガスとしては、例えば、スルファン(HS)、ジスルファン(H)、ジアンモニウムスルフィド((NHS)、ジメチルスルフィド((CHS)等を含むガスを用いることができる。硫化ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。セレン化ガスとしては、例えば、セラン(HSe)、ジセラン(HSe)、ジメチルセレン((CHSe)等を含むガスを用いることができる。セレン化ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。テルル化ガスとしては、例えば、テラン(HTe)、ジテラン(HTe)、ジメチルセレン((CHTe)等を含むガスを用いることができる。テルル化ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。
【0090】
(4)変形例
本態様における基板処理シーケンスは、以下に示す変形例のように変更することができる。これらの変形例は、任意に組み合わせることができる。特に説明がない限り、各変形例の各ステップにおける処理手順、処理条件は、上述の基板処理シーケンスの各ステップにおける処理手順、処理条件と同様とすることができる。以下、図5および図6(a)~図6(c)を用いて説明するウエハ200の表面上に形成される層(膜)の構成において、上述の図4(a)~図4(c)を用いて説明したウエハ200の表面上に形成された層と異なる要素についてのみ説明し、実質的に同一の要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0091】
(変形例1)
以下に示す処理シーケンスのように、ステップAとステップBとの後に、ステップCを行う第1サイクルを所定回数(n回、nは1または2以上の整数)行い、さらに、ステップAとステップCとを当該順に行う第2サイクルを所定回数(n回、nは1または2以上の整数)行うサイクルを所定回数(n回、nは1または2以上の整数)行うようにしてもよい。
【0092】
{(第1ガス→パージ→第2ガス→パージ→第3ガス→パージ)×n→(第1ガス→パージ→第3ガス→パージ)×n}×n
【0093】
図5は、一例として、第1サイクルと第2サイクルとをそれぞれ1回ずつ行うサイクルを2回行うことにより形成された層(膜)を示している。図5では、第1サイクルをXの文字で示し、第2サイクルをYの文字で示している。また、図5では、第1サイクルを行うことにより形成された層(第2層)に400の符号を付し、第2サイクルを行うことにより形成された層に500の符号を付している。
【0094】
本変形例においても、上述の態様と同様の効果もしくはその一部の効果が得られる。また、本変形例においては、さらに、第2元素を含む第2層400に加えて、第2元素を含まない層500を形成することにより、第2元素の含有量が少ない膜を形成することが可能となる。例えば、第1サイクルの実行回数に比して第2サイクルの実行回数を多くすると、上述の態様よりもさらに第2元素の含有量がより少ない膜を形成することができる。
【0095】
なお、図5には、一例として、ステップCにおいて、第2層400の全面に第1吸着サイトが形成されている場合が示されているが、これに限定されず、第2層400の表面の一部にのみ第1吸着サイトを形成するようにしてもよい。この場合においても上述の態様と同様の効果が得られる。この場合には、ステップCにおいて、第2層400の表面の一部にしか第1吸着サイトが形成されないので、第2層400の表面上の第1吸着サイトの数を少なくすることができる。これにより、次のサイクルにおいて、第2元素の含有量がより少ない第1層300を形成することができる。結果として、第2元素の含有量がさらに少ない膜を形成することが可能となる。
【0096】
(変形例2)
以下に示す処理シーケンスのように、ステップAとステップBとを行った後に、ウエハ200の表面に吸着する第1ガスのうち少なくとも一部を除去するステップDを行うサイクルを所定回数(m回、mは1または2以上の整数)行うようにしてもよい。
【0097】
(第1ガス→パージ→第2ガス→パージ→第1ガス除去→パージ)×m
【0098】
ステップAとステップBとを行うことにより、ウエハ200の表面に第1ガス等と第2ガス等を吸着させて、第1層300を形成する(図6(a)参照)。その後、ステップDを行うことにより、ウエハ200の表面に吸着していた第1ガスのうちの少なくとも一部を除去する(図6(b)参照)。ステップDとしては、例えば、ウエハ200に対して、第1ガスを除去するステップを行うことができる。第1ガスの除去としては、例えば、第1ガスがウエハ200から脱離する温度までウエハ200を昇温することや、除去剤(例えば、後述される還元ガスや、酸化ガス、窒化ガスのうち1つ以上)をウエハ200に供給することが挙げられる。ここで、本ステップにて除去剤を供給する際における処理条件としては、ステップCにて第3ガスを供給する際における処理条件を用いることができる。
【0099】
また、以下に示す処理シーケンスのように、ステップAとステップBとステップDを行い、さらに、第4元素を有し、第1ガスと異なるガスである第4ガスを供給するステップEを行うサイクルを所定回数(m回、mは1または2以上の整数)行うようにしてもよい。
【0100】
(第1ガス→パージ→第2ガス→パージ→第1ガス除去→パージ→第4ガス→パージ)×m
【0101】
ここで、本変形例では、第4元素として、例えば、第1元素の例として挙げられた元素のうち1以上を用いることができる。また、第4ガスとしては、例えば、第1ガスの例として挙げられたガスのうち1以上を含むガスを用いることができる。
【0102】
ステップDが終了した後行うステップEでは、第4ガス供給系により、処理室201内のウエハ200、すなわち、第1ガスが除去され、表面上に第2ガスが吸着しているウエハ200に対して、第4ガスを供給する。
【0103】
本ステップにて第4ガスを供給する際における処理条件としては、
処理温度:350~700℃、好ましくは500~600℃
処理圧力:1~10000Pa、好ましくは10~1333Pa
第4ガス供給流量:0.01~3slm、好ましくは0.1~1slm
第4ガス供給時間:10~120秒、好ましくは20~60秒
不活性ガス供給流量(ガス供給管毎):0~10slm
が例示される。
【0104】
上述の処理条件下でウエハ200に対して第4ガスを供給することにより、ウエハ200の表面上の第2ガス等が吸着していない箇所に、第4ガスおよび/または第4ガスに含まれる第4元素を吸着させることができる(図6(c)参照)。より詳しくは、上述の処理条件下でウエハ200に対して第4ガスを供給することにより、ウエハ200の表面に第4ガス等を吸着させ、第2元素と第4元素とを有する第3層600を形成することができる(図6(c)参照)。なお、図6(c)では、第4ガスおよび/または第4ガスに含まれる第4元素をδの文字で示している。以下、第4ガスおよび/または第4ガスに含まれる第4元素を第4ガス等と称する場合がある。
【0105】
本変形例においても、上述の態様と同様の効果もしくはその一部の効果が得られる。また、本変形例においては、さらに、ステップDにおいてウエハ200の表面上の第1ガスを除去することにより、ウエハ200の表面において均一に第2元素が含まれ、第1元素を含まない層を形成することができる(図6(b)参照)。さらに、ステップEにおいて第4ガスを供給することにより、ウエハ200の表面上に、均一に第2元素と第4元素とが含まれる第3層600を形成することができる(図6(c)参照)。また、第3層600に含まれる第2元素の量の制御性を向上させることができる。
【0106】
(変形例3)
以下に示す処理シーケンスのように、ステップAとステップBとステップEとステップCとを行うサイクルを所定回数(p回、pは1または2以上の整数)行うようにしてもよい。
【0107】
(第1ガス→パージ→第2ガス→パージ→第4ガス→パージ→第3ガス→パージ)×p
【0108】
本変形例においても、上述の態様と同様の効果もしくはその一部の効果が得られる。また、本変形例においては、第1元素と第2元素と第3元素と第4元素とを含む層を形成している。これにより、ウエハ200の表面において均一に、第2元素及び第4元素が含まれる膜を形成することが可能となる。言い換えると、主に第1元素と第3元素とから構成される膜に、十分に制御された量の第2元素及び第4元素とを添加することができる。
【0109】
また、以下に示す処理シーケンスのように、ステップAとステップBとステップCとを行うサイクルを所定回数(p回、pは1または2以上の整数)行い、さらに、ステップAとステップEとステップCとを当該順に行うサイクルを所定回数(p回、pは1または2以上の整数)行うサイクルを、所定回数(p回、pは1または2以上の整数)行うようにしてもよい。
【0110】
{(第1ガス→パージ→第2ガス→パージ→第3ガス→パージ)×p→(第1ガス→パージ→第4ガス→パージ→第3ガス→パージ)×p}×p
【0111】
ここで、本変形例では、第4元素として、例えば、第1元素の例として挙げられた元素のうち1以上であって、第1元素及び第2元素と異なる元素を用いる。また、第4ガスとしては、例えば、第1ガスの例として挙げられたガスのうち1以上を含むガスを用いることができる。
【0112】
本変形例においても、上述の態様と同様の効果もしくはその一部の効果が得られる。また、本変形例においては、第1元素と第2元素と第3元素とを含む層と、第1元素と第4元素と第3元素とを含む層、をそれぞれ形成している。これにより、ウエハ200の表面において均一に、第2元素及び第4元素が含まれる膜を形成することが可能となる。言い換えると、主に第1元素と第3元素とから構成される膜に、十分に制御された量の第2元素及び第4元素とを添加することができる。
【0113】
<本開示の他の態様>
以上、本開示の態様を具体的に説明した。しかしながら、本開示は上述の態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0114】
例えば、ウエハ200の表面における第2ガスの吸着量を、第1ガスの吸着量と第2ガスの吸着量とを合計した量の0.001~30.0%にする場合には、ウエハ200の表面上における第2ガスの吸着量のバラつきが大きくなりやすい。また、第2ガスの吸着量を、第1ガスの吸着量と第2ガスの吸着量とを合計した量の0.005~10.0%以下にする場合には、ウエハ200の表面上における第2ガスの吸着量のバラつきが大きくなりやすい。さらに、第2ガスの吸着量を、第1ガスの吸着量と第2ガスの吸着量とを合計した量の0.010~5.0%にする場合には、ウエハ200の表面上における第2ガスの吸着量のバラつきが顕著になる。これらの場合においても、本開示の技術によってウエハ200の表面への第2ガスの吸着量の制御性を向上させることができる。
【0115】
例えば、上述の態様において、ステップAにおける第1ガスの供給条件によって、ステップBにおいてウエハ200の表面に吸着する第2ガスの量を制御してもよい。第1ガスの供給条件とは、例えば、第1ガスの供給流量、第1ガスの供給時間、第1ガス供給時の処理室201内における第1ガスの分圧、または処理室201内における第1ガスの濃度(第1ガスと不活性ガスの割合)のうち少なくとも1つ以上のことをいう。本態様においても、上述の態様と同様の効果が得られる。
【0116】
図7は、上述の態様で説明した処理シーケンスによって第1元素と第2元素と第3元素とを含む膜を形成する場合における、ステップAでの第1ガスの供給時間と、膜中の第2元素の濃度と、の関係を示すグラフである。図7のグラフの横軸は、1サイクルあたりの第1ガスの供給時間を示している。図7のグラフの縦軸は、膜中の第2元素の濃度を示しており、単位は[原子%(at.%)]である。
【0117】
図7から、1サイクルあたりの第1ガスの供給時間が長くなり、第1吸着サイトに吸着する第1ガスの量が増加するほど、膜中の第2元素の濃度が低くなることがわかる。これにより、ステップAが、ウエハ200の表面への第1ガスの吸着量が不飽和となる条件で行われる場合には、ステップAにおける第1ガスの供給時間を長くするほど、ステップBにおいてウエハ200の表面に吸着する第2ガスの量を少なくすることができる。
【0118】
同様に、ステップAにおいて第1ガスの供給流量を大きくする場合、第1ガス供給時の処理室201内における第1ガスの分圧を高くする場合、又は、処理室201内における第1ガスの濃度を高くする場合には、ステップAにおいて第1吸着サイトに吸着する第1ガスの量が増加する。そのため、これらの場合には、ステップBにおいてウエハ200の表面に吸着する第2ガスの量が少なくなる。このように、ステップAにおける第1ガスの供給条件によって第1吸着サイトに吸着する第1ガスの量を制御することで、ステップBにおいてウエハ200の表面に吸着する第2ガスの量を制御することができる。
【0119】
また、例えば、上述の態様において、ステップBにおける第2ガスの供給条件によって、ステップBにおいてウエハ200の表面に吸着する第2ガスの量を制御してもよい。第2ガスの供給条件とは、例えば、第2ガスの供給流量、第2ガスの供給時間、第2ガス供給時の処理室201内における第2ガスの分圧、または処理室201内における第2ガスの濃度(第2ガスと不活性ガスの割合)のうち少なくとも1つ以上のことをいう。本態様においても、上述の態様と同様の効果が得られる。
【0120】
図8は、上述の態様で説明した処理シーケンスによって第1元素と第2元素と第3元素とを含む膜を形成する場合における、ステップBでの第2ガスの供給流量と、膜中の第2元素の濃度との関係を示すグラフである。図8のグラフの横軸は、1サイクルあたりの第2ガスの供給量を示している。図8のグラフの縦軸は、膜中の第2元素の濃度を示しており、単位は[原子%(at.%)]である。
【0121】
図8から、1サイクルあたりの第2ガスの供給量が多くなり、第1吸着サイトに吸着する第1ガスの量が増加するほど、膜中の第2元素の濃度が高くなることがわかる。すなわち、ステップBにおける第2ガスの供給量を多くするほど、ステップBにおいてウエハ200の表面に吸着する第2ガスの量を多くすることができる。
【0122】
同様に、ステップBにおいて第2ガスの供給流量を大きくする場合、第2ガス供給時の処理室201内における第2ガスの分圧を高くする場合、又は、処理室201内における第2ガスの濃度を高くする場合には、ステップBにおいて第1吸着サイトに吸着する第2ガスの量が増加する。そのため、これらの場合には、ステップBにおいてウエハ200の表面に吸着する第2ガスの量が多くなる。このように、ステップBにおける第2ガスの供給条件によって第1吸着サイトに吸着する第2ガスの量を制御することで、ステップBにおいてウエハ200の表面に吸着する第2ガスの量を制御することができる。
【0123】
例えば、上述の態様では、ステップBが、ウエハ200の表面への第2ガスの吸着量が飽和しない条件で行われる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本開示はこのような態様に限定されない。例えば、ステップBが、第1ガスが吸着していない第1吸着サイトの全てに第2ガスを吸着させるように行われてもよい。本態様においても、上述の態様と同様の効果が得られる。本態様においては、飽和しない条件で行われる場合に比べて、さらに、第2ガスの吸着量の制御性を向上させることができる。
【0124】
例えば、上述の態様では、ステップAは、ステップBよりも前に開始される場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本開示はこのような態様に限定されない。例えば、ステップAは、一部がステップBと同時に行われてもよく、またステップAは、ステップBと同時に開始されてもよい。この場合においても、上述の態様と同様の効果が得られる。
【0125】
一般に、ウエハ200の表面に親水性のリガンドが存在する(親水性の吸着サイトが形成されている)場合、親水性のリガンドを有するガス(親水性のガス)はウエハ200の表面に吸着しにくくなる。同様に、ウエハ200の表面に疎水性のリガンドが存在する(疎水性の吸着サイトが形成されている)場合、疎水性のリガンドを有するガス(疎水性のガス)はウエハ200の表面に吸着しにくくなる。ここで、親水性のリガンドとは、電荷を有する、又は極性が高いリガンドであり、例えば、ハロゲン化物(例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、アルコキシド基(例えば、-O(CH)、-O(CHCH))、アミノ基(例えば、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-NH(CHCH)、-N(CHCH)等である。また、疎水性のリガンドとは、アルキル基(例えば、-CH、-CHCH)、水素基(-H)、シクロアルキル基(例えば、-C、-C、-C、-C11)、炭素環構造を有する官能基、(例えば、フェニル基(-C)、シクロペンタジエニル基(Cp))等である。
【0126】
このことから、例えば、ステップAにおいて、第1吸着サイトに吸着した第1ガスがウエハ200の表面に親水性の吸着サイトを形成する場合には、ステップBにおいて供給される第2ガスは親水性のガスであることが好ましい。また、ステップAにおいて、第1吸着サイトに吸着した第1ガスがウエハ200の表面に疎水性の吸着サイトを形成する場合には、ステップBにおいて供給される第2ガスは疎水性のガスであることが好ましい。これらのうちいずれかが成り立つ場合、第1ガスは、第2ガス等がウエハ200上に吸着することを阻害しやすくなるため、ウエハ200の表面上に吸着した第1ガス等の上に、第2ガスがさらに吸着しにくくなる。従って、ウエハ200の表面のうち第1ガス等が吸着していない第1吸着サイトに、第2ガスがさらに優先的に吸着しやすくなる。そのため、ステップBにおいて、ウエハ200の表面への第2ガスの吸着量が所望の量をさらに超過しにくくなる。
【0127】
ここで、親水性のガスとしては、例えば、第1ガスの例として挙げられたもののうち、親水性のリガンドを有するものを用いることができる。また、親水性のガスとしては、第1ガスの例として挙げられていないガスであっても、親水性のリガンドを有するガスを適宜用いることができる。同様に、疎水性のガスとしては、例えば、第1ガスの例として挙げられたもののうち、疎水性のリガンドを有するものを用いることができる。疎水性のガスとしては、第1ガスの例として挙げられていないガスであっても、疎水性のリガンドを有するガスを適宜用いることができる。
【0128】
例えば、上述の態様では、第2ガスに含まれる第2元素が、第1ガスに含まれる第1元素と異なる元素である場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本開示はこのような態様に限定されない。例えば、第2元素が第1元素と同じ元素であり、第2ガスが第1ガスと分子構造が異なるガスであってもよい。この場合においても、上述の態様と同様の効果が得られる。また、この場合においては、さらに、ウエハ200の表面において均一に第1元素が含まれている第1層300を形成することができる。
【0129】
各処理に用いられるレシピは、処理内容に応じて個別に用意し、電気通信回線や外部記憶装置123を介して記憶装置121c内に記録し、格納しておくことが好ましい。そして、各処理を開始する際、CPU121aが、記憶装置121c内に記録され、格納された複数のレシピの中から、処理内容に応じて適正なレシピを適宜選択することが好ましい。これにより、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の膜を、再現性よく形成することができるようになる。また、オペレータの負担を低減でき、操作ミスを回避しつつ、各処理を迅速に開始できるようになる。
【0130】
上述のレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを変更することで用意するようにしてもよい。レシピを変更する場合は、変更後のレシピを、電気通信回線や当該レシピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールするようにしてもよい。また、既存の基板処理装置が備える入出力装置122を操作し、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを直接変更するようにしてもよい。
【0131】
上述の態様では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、例えば、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。また、上述の態様では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。
【0132】
これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の態様や変形例と同様な処理手順、処理条件にて各処理を行うことができ、上述の態様や変形例と同様の効果が得られる。
【0133】
上述の態様や変形例は、適宜組み合わせて用いることができる。このときの処理手順、処理条件は、例えば、上述の態様や変形例の処理手順、処理条件と同様とすることができる。
【符号の説明】
【0134】
200 ウエハ(基板)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8