(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021895
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】信号処理装置、撮像システム及び信号処理方法
(51)【国際特許分類】
H04N 25/70 20230101AFI20250206BHJP
【FI】
H04N25/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125988
(22)【出願日】2023-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 尚幸
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100171930
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 郁一郎
(72)【発明者】
【氏名】薄井 武順
(72)【発明者】
【氏名】北村 和也
(72)【発明者】
【氏名】菊地 幸大
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 宏平
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024GX02
(57)【要約】
【課題】アーティファクトの発生を抑止する。
【解決手段】信号処理装置は、画素ごと又は共有画素構造ごとに画素値を取得可能なイメージセンサを用いて撮影された第1映像信号に含まれる連続するフレームを比較し、制御単位ごとに、動領域と静止領域とに判定する判定部と、動領域と静止領域とに応じて異なる処理によりフレーム画像を生成するフレーム画像生成部と、フレーム画像生成部により生成されたフレーム画像を用いて、第1映像信号よりフレームレートが高い第2映像信号を生成する映像信号生成部と、を備え、フレーム画像生成部は、1フレームの表示に要するフレーム期間を複数のサブフレーム期間に時分割し、動領域と判定された制御単位については、共有画素構造から取得された画素値をサブフレームごとの画素値とし、静止領域と判定された制御単位については、画素から取得された画素値をサブフレームごとの画素値とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を構成要素とする共有画素構造を複数有し、前記画素ごと又は前記共有画素構造ごとに画素値を取得可能なイメージセンサを用いて撮影された映像信号を処理する信号処理装置であって、
前記イメージセンサを用いて撮影された第1映像信号に含まれる連続するフレームを比較し、複数の画素を含む制御単位ごとに、画素値の変化が大きい領域である動領域と、画素値の変化が小さい領域である静止領域とに判定する判定部と、
前記動領域と前記静止領域とに応じて異なる処理によりフレーム画像を生成するフレーム画像生成部と、
前記フレーム画像生成部により生成されたフレーム画像を用いて、前記第1映像信号よりフレームレートが高い第2映像信号を生成する映像信号生成部と、
を備え、
前記フレーム画像生成部は、
1フレームの表示に要するフレーム期間を複数のサブフレーム期間に時分割し、
前記動領域と判定された前記制御単位については、前記共有画素構造から取得された画素値をサブフレームごとの画素値とし、
前記静止領域と判定された前記制御単位については、前記画素から取得された画素値をサブフレームごとの画素値とする
信号処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記静止領域について、画素値の変化がゼロである完全静止領域であるか、画素値の変化がゼロでないものの所定の閾値以下である準静止領域であるかを更に判定し、
前記フレーム画像生成部は、前記完全静止領域と前記準静止領域とに応じて異なる処理によりフレーム画像を生成する
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記フレーム画像生成部は、前記完全静止領域と判定された前記制御単位については、サブフレームごとに異なる前記画素から取得された画素値を合成することによりフレーム画像を生成する
請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記フレーム画像生成部は、前記準静止領域と判定された前記制御単位については、サブフレームごとに異なる前記画素から取得された画素値と、取得された画素値に基づき補完を行った画素値とを合成することによりフレーム画像を生成する
請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記フレーム画像生成部は、前記準静止領域と判定された前記制御単位について、モザイク状に配置された前記画素から取得された画素値と、画素値が取得されなかった前記画素において補完された画素値とを合成することによりフレーム画像を生成する
請求項4に記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記フレーム画像生成部は、前記準静止領域と判定された前記制御単位について、第1のサブフレームにおいては、モザイク状に配置された前記画素から取得された画素値と、画素値が取得されなかった前記画素において補完された画素値とを合成することによりフレーム画像を生成し、
第2のサブフレームにおいては、前記第1のサブフレームにおいて読み出されなかった前記画素の画素値であって、モザイク状に配置された前記画素から取得された画素値と、画素値が取得されなかった前記画素において補完された画素値とを合成することによりフレーム画像を生成する
請求項5に記載の信号処理装置。
【請求項7】
複数の画素を構成要素とする共有画素構造を複数有し、前記画素ごと又は前記共有画素構造ごとに画素値を取得可能なイメージセンサと、
前記イメージセンサを用いて撮影された映像信号を処理する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の信号処理装置と
を備える撮像システム。
【請求項8】
複数の画素を構成要素とする共有画素構造を複数有し、前記画素ごと又は前記共有画素構造ごとに画素値を取得可能なイメージセンサを用いて撮影された映像信号を処理する信号処理方法であって、
前記イメージセンサを用いて撮影された第1映像信号に含まれる連続するフレームを比較し、複数の画素を含む制御単位ごとに、画素値の変化が大きい領域である動領域と、画素値の変化が小さい領域である静止領域とに判定する判定工程と、
前記動領域と前記静止領域とに応じて異なる処理によりフレーム画像を生成するフレーム画像生成工程と、
前記フレーム画像生成工程により生成されたフレーム画像を用いて、前記第1映像信号よりフレームレートが高い第2映像信号を生成する映像信号生成工程と、
を有し、
前記フレーム画像生成工程は、
1フレームの表示に要するフレーム期間を複数のサブフレーム期間に時分割し、
前記動領域と判定された前記制御単位については、前記共有画素構造から取得された画素値をサブフレームごとの画素値とし、
前記静止領域と判定された前記制御単位については、前記画素から取得された画素値をサブフレームごとの画素値とする
信号処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理装置、撮像システム及び信号処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像素子は、撮像レンズによって結像された光を、二次元平面状に整列したフォトダイードを用いて光電変換し、フォトダイオードに蓄積された光誘起電荷を読み出して光の強度の2次元空間分布を画像として取得する機能を持つ半導体チップである。また、動画像取得用の撮像素子は、画素に蓄積された電荷を周期的に読み出し、連続するフレーム画像を撮像することにより、動画像を撮影する。
【0003】
動画像の撮影では、一般的に水平方向の画素数をH、垂直方向の画素数をV、画像を読み出す周期であるフレームレートをF[fps(frames per second)]とすると、1秒間に読み出す画素数である“画素読み出しレート”は、H×V×F[pixel/sec]の乗算結果により得られる。この“画素読み出しレート”の値が、消費電力、A/D変換回路の性能、さらには、出力データレート等に大きな影響を与える。撮像素子の分野では、微細製造プロセスや三次元積層技術などの先端半導体製造技術の導入に加え、回路技術やチップ上の信号処理を改善して性能向上が図られているが、それらによっても画素読み出しレートを高めることは容易ではない。
【0004】
一般的な動画像取得方式では、撮像素子の構造から取得される動画像の空間解像度(水平および垂直方向の画素数)および時間解像度(フレームレート)は、何れも撮影中は一定となるように設定されているが、動画像の性質に鑑みれば、必ずしも一定である必要はない。すなわち、静止している物体を撮影する場合にはフレームレートを高く維持する必要は無く、低いフレームレートで撮影した場合でも、主観的画質の低下を抑制することが可能である。他方、動いている物体を撮影する場合には、動きぼやけにより空間周波数が低下したものとなっているため、空間解像度を高く維持する必要は無く、低い空間解像度で撮影した場合でも、主観画質の低下を抑制することが可能である。
【0005】
上述した動画像の性質に鑑みると、撮影される物体が静止している場合には空間解像度を高くかつフレームレートを低くし、物体が動いている場合には、空間解像度を低く、かつフレームレートを高くするように撮影ことが可能な撮像素子は、空間解像度とフレームレートを共に高く撮影する撮像素子に比較して、画素読み出しレートを低く抑えながら、主観的画質の低下を抑えることが可能である。また、一般的に、撮影される画面中には、動きの速さが異なる様々な物体が含まれていることから、高空間解像度かつ低フレームレートで撮影される領域(静止領域)と、低空間解像度かる高フレームレートで撮影される領域(動領域)が、互いに組み合わせられて画面が構成されることが望ましい。
【0006】
このような撮影の実現に向けた技術として、特許文献1に記載されている画素並列構造を用いた撮像素子が知られている。この撮像素子は、三次元積層構造を利用して1画素に対して1個のA/D変換回路を画素と同一面積で形成する構造を備えている。このような構造では、各画素に独立して読み出し動作を行うことができることから、空間解像度とフレームレートの制御を実現することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第WO2016/009832号
【特許文献2】特開2022-123539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1に記載された技術においては、画素をA/D変換回路の面積より小さくすることが困難であるため、画素(フォトダイオード:PD)の小型化に限界がある。そこで、小型化を実現するために、1画素あたりのトランジスタ数を抑えることが考えられる。1画素あたりのトランジスタ数を抑えるため、複数の画素が1つのフローティングディフュージョンFD、増幅トランジスタSF、選択トランジスタSLを共有する共有画素構造を採用することによって、1画素あたりのトランジスタの数を抑えることが一般的となっている。例えば、共有画素構造1つあたりに追加するトランジスタを1個に抑制して小型化を図りつつ、空間解像度と時間解像度の2つの要素をより細かく制御し得る構造を備えた撮像素子が提案されている。このような技術を開示した文献として、特許文献2を例示することができる。
【0009】
特許文献2に記載されているような共有画素構造を採用する場合、任意の制御単位ごとに高空間解像かつ低フレームレートでビニングを行わないモード(以下、標準モードと記載する。)と、低空間解像度かつ高フレームレートでビニングを行うモード(以下、高速モードと記載する。)のいずれかを選択して、撮影可能である。標準モードの1フレーム期間をTとすると、高速モードでは、4画素分の電荷を共通FDから同時に読み出すため、T/4(サブフレーム期間)の時間周期で読み出しが可能であり、低解像度ではあるが4倍のフレームレートで撮影することが可能となる。
【0010】
一方、標準モードの場合、1画素あたりのトランジスタの数を抑制するために、信号値の読み出しライン及び、FDが、1つの共有画素構造あたり1つとなっており、第1画素PD1、第2画素PD2、第3画素PD3、及び第4画素PD4で互いに共通となる。T/4の期間で読み出し可能な信号値は、第1画素PD1、第2画素PD2、第3画素PD3、及び第4画素PD4のうち、いずれか1つのPDに限定される。したがって、T/4の期間に1つずつ読み出していき、期間Tの期間に、すべての画素PDからの信号値の読み出しを行う。
【0011】
このことは静止している領域では大きな問題とならないが、物体が撮像面で1フレームあたり1から2画素の範囲で動くような場合、物体が動いているにも関わらず静止領域として標準駆動モードで撮像されると、近傍画素での信号値の読み出しタイミングが大きく異なっているため、アーティファクトが発生してしまうといった問題があった。
【0012】
そこで本発明は、アーティファクトの発生を抑止することが可能な信号処理装置、撮像システム及び信号処理方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、複数の画素を構成要素とする共有画素構造を複数有し、前記画素ごと又は前記共有画素構造ごとに画素値を取得可能なイメージセンサを用いて撮影された映像信号を処理する信号処理装置であって、前記イメージセンサを用いて撮影された第1映像信号に含まれる連続するフレームを比較し、複数の画素を含む制御単位ごとに、画素値の変化が大きい領域である動領域と、画素値の変化が小さい領域である静止領域とに判定する判定部と、前記動領域と前記静止領域とに応じて異なる処理によりフレーム画像を生成するフレーム画像生成部と、前記フレーム画像生成部により生成されたフレーム画像を用いて、前記第1映像信号よりフレームレートが高い第2映像信号を生成する映像信号生成部と、を備え、前記フレーム画像生成部は、1フレームの表示に要するフレーム期間を複数のサブフレーム期間に時分割し、前記動領域と判定された前記制御単位については、前記共有画素構造から取得された画素値をサブフレームごとの画素値とし、前記静止領域と判定された前記制御単位については、前記画素から取得された画素値をサブフレームごとの画素値とする信号処理装置である。
【0014】
[2]また、本発明の一態様は、上記[1]に記載の信号処理装置において、前記判定部は、前記静止領域について、画素値の変化がゼロである完全静止領域であるか、画素値の変化がゼロでないものの所定の閾値以下である準静止領域であるかを更に判定し、前記フレーム画像生成部は、前記完全静止領域と前記準静止領域とに応じて異なる処理によりフレーム画像を生成するものである。
【0015】
[3]また、本発明の一態様は、上記[1]又は[2]に記載の信号処理装置において、前記フレーム画像生成部は、前記完全静止領域と判定された前記制御単位については、サブフレームごとに異なる前記画素から取得された画素値を合成することによりフレーム画像を生成するものである。
【0016】
[4]また、本発明の一態様は、上記[1]から[3]のいずれかに記載の信号処理装置において、前記フレーム画像生成部は、前記準静止領域と判定された前記制御単位については、サブフレームごとに異なる前記画素から取得された画素値と、取得された画素値に基づき補完を行った画素値とを合成することによりフレーム画像を生成するものである。
【0017】
[5]また、本発明の一態様は、上記[1]から[4]のいずれかに記載の信号処理装置において、前記フレーム画像生成部は、前記準静止領域と判定された前記制御単位について、モザイク状に配置された前記画素から取得された画素値と、画素値が取得されなかった前記画素において補完された画素値とを合成することによりフレーム画像を生成するものである。
【0018】
[6]また、本発明の一態様は、上記[5]に記載の信号処理装置において、前記フレーム画像生成部は、前記準静止領域と判定された前記制御単位について、第1のサブフレームにおいては、モザイク状に配置された前記画素から取得された画素値と、画素値が取得されなかった前記画素において補完された画素値とを合成することによりフレーム画像を生成し、第2のサブフレームにおいては、前記第1のサブフレームにおいて読み出されなかった前記画素の画素値であって、モザイク状に配置された前記画素から取得された画素値と、画素値が取得されなかった前記画素において補完された画素値とを合成することによりフレーム画像を生成するものである。
【0019】
[7]また、本発明の一態様は、複数の画素を構成要素とする共有画素構造を複数有し、前記画素ごと又は前記共有画素構造ごとに画素値を取得可能なイメージセンサと、前記イメージセンサを用いて撮影された映像信号を処理する上記[1]から[4]のいずれかに記載の信号処理装置とを備える撮像システムである。
【0020】
[8]また、本発明の一態様は、複数の画素を構成要素とする共有画素構造を複数有し、前記画素ごと又は前記共有画素構造ごとに画素値を取得可能なイメージセンサを用いて撮影された映像信号を処理する信号処理方法であって、前記イメージセンサを用いて撮影された第1映像信号に含まれる連続するフレームを比較し、複数の画素を含む制御単位ごとに、画素値の変化が大きい領域である動領域と、画素値の変化が小さい領域である静止領域とに判定する判定工程と、前記動領域と前記静止領域とに応じて異なる処理によりフレーム画像を生成するフレーム画像生成工程と、前記フレーム画像生成工程により生成されたフレーム画像を用いて、前記第1映像信号よりフレームレートが高い第2映像信号を生成する映像信号生成工程と、を有し、前記フレーム画像生成工程は、1フレームの表示に要するフレーム期間を複数のサブフレーム期間に時分割し、前記動領域と判定された前記制御単位については、前記共有画素構造から取得された画素値をサブフレームごとの画素値とし、前記静止領域と判定された前記制御単位については、前記画素から取得された画素値をサブフレームごとの画素値とする信号処理方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、アーティファクトの発生を抑止することが可能な信号処理装置、撮像システム及び信号処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態1に係る撮像システムの機能構成の一例を示す機能構成図である。
【
図2】実施形態1に係る共有画素構造を有する撮像素子の画素構成の一例について説明するための図である。
【
図3】実施形態1に係る駆動モードの判別チャートの一例である。
【
図4】実施形態1に係る標準駆動モードにおける共有画素構造内の画素値読み出しタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【
図5】実施形態1に係る高速駆動モードにおける画素値読み出しのイメージを記載したイメージ図である。
【
図6】実施形態1に係る高速駆動モードにおける信号処理のイメージを記載したイメージ図である。
【
図7】実施形態1に係る標準駆動モードにおける画素値読み出しのイメージを記載したイメージ図である。
【
図8】実施形態1に係る標準駆動モードにおける完全静止領域における信号処理のイメージを記載したイメージ図である。
【
図9】実施形態1に係る標準駆動モードにおける準静止領域における信号処理のイメージを記載したイメージ図である。
【
図10】実施形態2に係る三板式撮像システムにおける標準駆動モードにおける準静止領域における信号処理のイメージを記載したイメージ図である。
【
図11】本実施形態に係る信号処理装置の内部構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[実施形態]
本発明の態様に係る信号処理装置、撮像システム及び信号処理方法について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。なお、本発明の態様は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、多様な変更または改良を加えたものも含まれる。つまり、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれ、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更を行うことができる。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
【0024】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る撮像システムの機能構成の一例を示す機能構成図である。まず、同図を参照しながら、実施形態1に係る撮像システム1の機能構成の一例について説明する。撮像システム1は、信号処理装置10とイメージセンサ(撮像素子)20とを備える。信号処理装置10とイメージセンサ20とは、1つの撮像装置として1つの筐体に収められていてもよいが、それぞれ異なる装置として構成されていてもよい、信号処理装置10及びイメージセンサ20が、それぞれ異なる装置として構成される場合、信号処理装置10及びイメージセンサ20は、不図示の通信ネットワークにより接続されてもよい。
【0025】
イメージセンサ20は、動画像撮像用の撮像素子である。イメージセンサ20は、例えば、4K60p(すなわち画面解像度が3840×2160[ピクセル]でありフレームレートが30[FPS])又は2K240p(すなわち画面解像度が2560×1440[ピクセル]でありフレームレートが240[FPS])で動画像を撮影可能であってもよい。イメージセンサ20は、不図示の画素値読み出し手段により画素値が読み出され、読み出された画素値は、画素値情報PDIとして信号処理装置10に提供される。画素値読み出し手段は、イメージセンサ20に含まれていてもよい。なお、イメージセンサ20は、所定時間に受光する光の量に変化があった場合にイベント発生トリガ信号を出力するイベントトリガ型の撮像素子であってもよい。
【0026】
図2は、実施形態1に係る共有画素構造を有する撮像素子の画素構成の一例について説明するための図である。同図を参照しながら、イメージセンサ20の画素構成の一例について説明する。イメージセンサ20は、図示するように、共有画素構造CPを複数有する。共有画素構造CPの各々は、マトリックス状に並べられた複数の撮像素子PDから構成される。図示する一例において、1つの共有画素構造CPの中には、4つの画素、すなわち第1画素PD1、第2画素PD2、第3画素PD3、及び第4画素PD4が配置される。共有画素構造CPは、複数の画素PDを構成要素として有するということもできる。イメージセンサ20は、画素PDごと、又は共有画素構造CPごとに画素値を取得可能である。なお、1つの共有画素構造CPの中には、複数の画素が含まれていればよく、例えば、8個の画素、又は16個の画素が含まれていてもよい。
【0027】
なお、本実施形態委においては、4つの共有画素構造CPを、1つの制御単位CUとして、個別に駆動モードを設定することができる。同図には、制御単位CUとして、第1制御単位CU1と、第2制御単位CU2とが示されている。例えば、第1制御単位CU1については高速駆動モード、第2制御単位CU2については標準駆動モードのように、それぞれの制御単位CUごとに異なる駆動モードで駆動することが可能である。なお、1つの制御単位CUの中には、1つ以上の共有画素構造CPが含まれていればよく、例えば、1個の共有画素構造CP、又は4個の共有画素構造CPが含まれていてもよい。
【0028】
図1に戻り、信号処理装置10は、イメージセンサ20から画素値情報PDIを取得する。信号処理装置10は、取得した画素値情報PDIに基づき、映像信号の処理を行う。
信号処理装置10は、イメージセンサ20により撮影された映像信号より、高解像度かつ高フレームレートの映像信号を生成する。具体的に、信号処理装置10は、画素値情報PDIから生成された4K60p又は2K240pの映像信号に基づき、4K240p(すなわち画面解像度が3840×2160[ピクセル]でありフレームレートが240[FPS])の映像信号を生成する。
【0029】
信号処理装置10は、カメラ信号処理部11と、判定部12と、フレーム画像生成部13と、映像信号生成部14と、記憶部15とを機能構成として備える。これらの各機能部は、例えば、電子回路を用いて実現される。また、各機能部は、必要に応じて、半導体メモリや磁気ハードディスク装置などといった記憶手段を内部に備えてよい。また、各機能を、CPU(Central Processing Unit)を有するコンピュータおよびソフトウェアによって実現するようにしてもよい。また、各機能部の全てまたは一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、各機能部の全部または一部は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより実現されてもよい。
【0030】
カメラ信号処理部11は、イメージセンサ20から取得した画素値情報PDIに基づき、第1映像信号VI1を生成する。第1映像信号VI1とは、信号処理装置10が映像信号の生成を行うために用いられる映像信号であって、高解像度かつ高フレームレートに変換前の映像信号である。第1映像信号VI1は、例えば、4K60p又は2K240pの映像信号である。カメラ信号処理部11は、生成した第1映像信号VI1を、判定部12に出力する。
【0031】
判定部12は、イメージセンサを20用いて撮影された第1映像信号VI1に含まれるフレーム画像であって、連続するフレーム画像を互いに比較する。判定部12は、比較した結果、制御単位CUごとに、当該領域についての判定を行う。判定部12は、例えば、当該領域が動領域であるか静止領域であるかの情報を、イメージセンサ20又はカメラ信号処理部11から取得し、静止領域である領域について、完全静止領域であるか、準静止領域であるかについての判定を行う。動領域とは、連続するフレーム画像間において画素値の変化が大きい領域である。静止領域とは、連続するフレーム画像間において画素値の変化が小さい領域である。動領域であるか静止領域であるかは、連続するフレーム画像間における画素値の変化が予め定められた所定の値以下であるか否かに基づいて行われてもよい。
【0032】
完全静止領域とは、連続するフレーム画像間において画素値の変化がゼロであるである領域である。準静止領域とは、連続するフレーム画像間において画素値の変化がゼロでないものの、所定の閾値以下である領域である。当該所定の閾値とは、動領域であるか静止領域であるかを判定するための閾値と同一の値であってもよい。判定部12は、領域について判定した結果を、領域情報AIとしてフレーム画像生成部13に出力する。領域情報AIには、フレーム画像が有する領域(すなわち、制御単位CU)ごとに、領域の種類(すなわち、動領域であるか、準静止領域であるか、完全静止領域であるか)を特定する情報が含まれる。なお、判定部12は、当該領域が動領域であるか静止領域であるかの情報を、イメージセンサ20又はカメラ信号処理部11から取得することに代えて、自身が判定を行うことにより、動領域であるか静止領域であるかの情報を取得してもよい。
【0033】
図3は、実施形態1に係る駆動モードの判別チャートの一例である。同図を参照しながら、判定部12による駆動モードの判定の一例について説明する。判定部12は、まず、領域ごとに動きベクトルVを算出する。判定部12が判定を行う領域とは、すなわち制御単位CUごとであってもよい。動きベクトルVの算出処理では、具体的には、1フレームごとに、フレーム間の差分等が計算される。動きベクトルVとは、すなわちフレーム画像間の画素値の変化量を示すものである。
【0034】
領域ごとの動きベクトルVが算出された結果、動きベクトルVの値が閾値αより大きい場合には、動領域と判定される。動領域と判定された領域においては、高速駆動モードで駆動される。一方、領域ごとの動きベクトルVが算出された結果、動きベクトルVの値が閾値α以下の場合には、静止領域と判定される。静止領域と判定された領域においては、標準駆動モードで駆動される。すなわち、本実施形態によれば、1つのフレーム画像の中で、高速駆動モードで駆動される領域と、標準駆動モードで駆動されるとが、混在することとなる。
【0035】
判定部12は、静止領域のうち、更に動きベクトルVがゼロである場合には、完全静止領域と判定する。更に判定部12は、静止領域のうち、動きベクトルがゼロでないものの十分に小さい場合(閾値α以下の場合)には準静止領域と判定する。なお、閾値αの値は任意に設定することが可能である。閾値αの設定基準としては、概ね、2ピクセル/フレーム以上の動きのある領域は、動領域、それ以下を準静止領域、ほとんど動きのない領域を完全静止領域とするのが好適である。
【0036】
図1に戻り、フレーム画像生成部13は、判定部12により判定された領域に応じた方法により、信号処理装置10が生成する第2映像信号VI2の構成要素となるフレーム画像を生成する。フレーム画像生成部13は、1フレームの表示に要するフレーム期間を複数のサブフレーム期間に時分割し、各サブフレーム期間におけるフレーム画像を生成する。フレーム画像生成部13は、動領域と静止領域とに応じて異なる処理によりフレーム画像を生成する。また、フレーム画像生成部13は、静止領域のうち、完全静止領域と準静止領域とに応じて異なる処理によりフレーム画像を生成する。フレーム画像生成部13は、生成したフレーム画像を、フレーム画像情報FIとして映像信号生成部14に出力する。
【0037】
映像信号生成部14は、フレーム画像生成部13により生成されたフレーム画像を用いて、第1映像信号VI1よりフレームレートが高い第2映像信号VI2を生成する。映像信号生成部14により生成された第2映像信号VI2は、例えば記憶部15に記憶される。記憶部15に記憶された第2映像信号VI2は、例えば撮像システム1外部からの出力命令に応じて、出力されてもよい。
【0038】
図4は、実施形態1に係る標準駆動モードにおける共有画素構造内の画素値読み出しタイミングの一例を示すタイミングチャートである。同図を参照しながら、標準駆動モードにおける画素値読み出しタイミングの一例について説明する。本実施形態において、1フレーム期間Tは、4つのサブフレーム(SF)期間から構成される。換言すれば、フレーム画像生成部13は、1フレームの表示に要するフレーム期間を複数のサブフレーム期間に時分割し、処理を行う。各画素PDからは、それぞれサブフレームごと(すなわちサブフレーム期間T/4間隔)で、画素値の読み出しが行われる。
【0039】
より具体的には、1フレーム期間Tの中で、T/4経過時において第1画素PD1から画素値が読み出され、2T/4経過時において第2画素PD2から画素値が読み出され、3T/4経過時において第3画素PD3から画素値が読み出され、T経過時において第4画素PD3から画素値が読み出される。このように、各画素PDにおける露光期間は、Tとなる。
【0040】
次に、
図5及び
図6を参照しながら、高速駆動モードにおけるサブフレーム画像生成処理の一例について説明する。
図5は、実施形態1に係る高速駆動モードにおける画素値読み出しのイメージを記載したイメージ図である。
図6は、実施形態1に係る高速駆動モードにおける信号処理のイメージを記載したイメージ図である。高速駆動モードとは、動領域と判定された制御単位CUにおいて行われる処理である。
【0041】
高速駆動モードでは、共有画素構造CPから取得された画素値をサブフレームごとの画素値とし、低画素かつ高フレームレートのフレーム画像が生成される。換言すれば、高速駆動モードでは、第1画素PD1、第2画素PD2、第3画素PD3、第4画素PD4がビニングされる。
図5に示すように、1つのサブフレーム期間において、第1画素PD1、第2画素PD2、第3画素PD3、第4画素PD4の全ての画素値が積算された信号値が読み出される。また、
図6に示すように、それぞれのサブフレーム期間内において、第1画素PD1、第2画素PD2、第3画素PD3、第4画素PD4の全ての画素PDからの読み出しが完了し、読み出された信号値が、そのままサブフレームの出力画像(フレーム画像)となる。
【0042】
図7は、実施形態1に係る標準駆動モードにおける画素値読み出しのイメージを記載したイメージ図である。同図を参照しながら、標準駆動モードにおけるサブフレーム画像生成処理の一例について説明する。標準駆動モードとは、静止領域と判定された制御単位CUにおいて行われる処理である。標準駆動モードにおいては、画素PDから取得された画素値をサブフレームごとの画素値とする点において、共有画素構造CPから取得された画素値をサブフレームごとの画素値とする高速駆動モードと異なる。
【0043】
標準駆動モードでは、第1サブフレーム期間SF1の間に第1画素PD1の信号値が読み出され、第2サブフレーム期間SF2の間に第4画素PD4の信号値が読みだされ、第3サブフレーム期間SF3の間に第2画素PD2の信号値が読み出され、第4サブフレーム期間SF4の間に第3画素PD3の信号値が読み出される。すなわち、標準駆動モードでは、1フレーム期間において、共有画素構造CPに含まれる画素PDの全ての信号値がそれぞれ読み出される。したがって、本実施形態においては、1つのサブフレーム期間SFの間、共有画素構造CPに含まれる全ての画素PDに対する信号値を読み出すことができないために、信号値を補完して出力画像を生成する。
【0044】
信号値の補完方法は、静止領域のうち、完全静止領域と、準静止領域とで、それぞれ異なる。完全静止領域及び準静止領域における信号値の補完方法について、
図8及び
図9を参照しながら説明する。完全静止領域及び準静止領域のいずれにおいても、各サブフレーム期間において読み出されたいずれかの画素PDの画素値に基づき、出力画像(フレーム画像)が生成される。
図8及び
図9を参照しながら行う説明において、共有画素構造CPに含まれるそれぞれの画素PDである第1画素PD1、第2画素PD2、第3画素PD3、第4画素PD4から読み出された信号値を、それぞれ第1信号値S1、第4信号値S4、第2信号値S2、第3信号値S3と記載する。
【0045】
図8は、実施形態1に係る標準駆動モードにおける完全静止領域における信号処理のイメージを記載したイメージ図である。まず、同図を参照しながら、完全静止領域における信号値の補完方法の一例について説明する。完全静止領域とは、
図3を参照しながら説明したように、動きベクトルVがゼロである領域である。すなわち、完全静止領域では、画素値の時間的な変化がほぼゼロである。したがって、完全静止領域では時間的な変化がほぼゼロであるため、
図8に示すように、すべてのサブフレーム期間においてそれぞれ読み出された信号値を、時間方向に合成することによりフレーム画像を生成することが可能である。
【0046】
より具体的には、標準駆動モードにおける完全静止領域においては、第1サブフレーム期間SF1において読み出された第1信号値S1と、第2サブフレーム期間SF2において読み出された第4信号値S4と、第3サブフレーム期間SF3において読み出された第2信号値S2と、第4サブフレーム期間SF4において読み出された第3信号値S3とを合成し、1枚のフレーム画像とする。各サブフレームにおけるフレーム画像は、いずれも合成された1枚のフレーム画像となる。完全静止領域と判定された制御単位CUについては、サブフレームごとに異なる画素PDから取得された画素値を合成することによりフレーム画像が生成されるということもできる。
【0047】
図9は、実施形態1に係る標準駆動モードにおける準静止領域における信号処理のイメージを記載したイメージ図である。次に、同図を参照しながら、準全静止領域における信号値の補完方法の一例について説明する。準静止領域とは、
図3を参照しながら説明したように、動きベクトルVがゼロはないものの、所定の閾値以下である領域である。すなわち、準静止領域では、画素値の時間的な変化が緩やかに存在する。このような準静止領域について、上述したような完全静止領域における処理を適用した場合、アーティファクトの問題が発生してしまう場合がある。したがって、本実施形態においては、準静止領域において、アーティストの問題を発生させないような処理方法が行われる。
【0048】
具体的には、第1サブフレーム期間SF1の間は、第1画素PD1の信号値しか存在しないため、第1サブフレーム期間SF1と隣接するサブフレームである第2サブフレーム期間SF2の間に、第4画素PD4から読み出された信号値を利用し、補完処理が行われる。これにより、第1画素PD1の位置における第1信号値S1と第4画素PD4の位置における第1信号値S1が決定される。ここで、第1サブフレーム期間SF1と隣接しないサブフレームである第3サブフレーム期間SF3と第4サブフレーム期間SF4は、第1サブフレーム期間SF1と露光タイミングが大きく異なる。したがって、第3サブフレーム期間SF3及び第4サブフレーム期間SF4において取得される第2画素PD2及び第3画素PD3の位置における信号値である第2信号値S2及び第3信号値S3は、第1サブフレーム期間SF1におけるフレーム画像の生成に使用しない。
【0049】
この第1画素PD1の信号値である第1信号値S1と、第4画素PD4の信号値である第4信号値S4から、第2画素PD2における信号値S2’と第3画素PDの位置における信号値S3’とが補間される。このような補完処理が行われた結果として得られたフレーム画像を、第1サブフレーム期間SF1のフレーム画像、及び第2サブフレーム期間SF2のフレーム画像とする。すなわち、準静止領域と判定された制御単位CUについては、サブフレームSFごとに異なる画素PDから取得された画素値と、取得された画素値に基づき補完を行った画素値とを合成することによりフレーム画像が生成される。
【0050】
なお、補間方法に関しては、単板カメラに用いられるベイヤー配列を補間する際に行う一般的なデモザイキング技術を使用することができる。例えば、上下方向、及び、左右方向で画素間相関を計算し、相関の度合いに応じて、補間処理を行う方法等を使用することができる。
【0051】
なお、第3サブフレーム期間SF3、及び第4サブフレーム期間SF4の期間においては説明を省略するが、第1サブフレーム期間SF1、及び第2サブフレーム期間SF2の期間と同様の処理を行うことにより、各サブフレームの画像データを出力することが可能となる。
【0052】
なお、準静止領域と判定された制御単位CUについては、図示するようにモザイク状に配置された画素PD(例えば第1画素PD1及び第4画素PD4)から画素値を取得し、補完処理を行うことが好適である。モザイク状に配置された画素PDから画素値を取得し、画素値が取得されなかった画素PD(例えば第2画素PD2及び第3画素PD3)において補完処理を行うことにより、より効果的にアーティファクトの問題の発生を抑止することができる。
【0053】
また、本実施形態においては、1つのフレーム期間を分割した4つのサブフレーム期間のうち、隣接する2つのサブフレーム期間においては、互いに同一のサブフレーム画像(例えば第1画素PD1及び第4画素PD4に基づき生成されたフレーム画像)が使用され、他の隣接する2つのサブフレーム期間においても、互いに同一のサブフレーム画像(例えば第2画素PD2及び第3画素PD3に基づき生成されたフレーム画像)が使用されてもよい。すなわち、第1のサブフレームにおいては、モザイク状に配置された画素PDから取得された画素値と、画素値が取得されなかった画素PDにおいて補完された画素値とを合成することによりフレーム画像を生成し、更に、第2のサブフレームにおいては、第1のサブフレームにおいて読み出されなかった画素PDの画素値であって、モザイク状に配置された画素PDから取得された画素値と、画素値が取得されなかった画素PDにおいて補完された画素値とを合成することによりフレーム画像を生成してもよい。
【0054】
なお、上述した実施形態においては、第1サブフレーム期間SF1におけるフレーム画像と、第2サブフレーム期間SF2におけるフレーム画像とを同一のフレーム画像とし、第3サブフレーム期間SF3におけるフレーム画像と、第4サブフレーム期間SF4におけるフレーム画像とを同一のフレーム画像とした。しかしながら、本実施形態は、この一例に限定されず、第1サブフレーム期間SF1から第4サブフレーム期間SF4それぞれにおいて、ことなるフレーム画像を生成してもよい。
【0055】
[実施形態2]
次に、実施形態2について説明する。上述した実施形態1では、赤色(R)用、緑色(G)用、青色(B)用の撮像素子について、それぞれ同じ動作をすることを前提に説明した。しかしながら、R、G、Bの3板式の撮像システムであれば、各撮像素子で露光タイミング、及び読み出しの順番を変えることにより、本実施形態に係る処理を採用いることが可能である。実施形態2は、R、G、Bの3板式の撮像システムについて、本実施形態に係る処理を採用する場合の一例である。以下、
図10を参照しながら、実施形態2について説明する。
【0056】
図10は、実施形態2に係る三板式撮像システムにおける標準駆動モードにおける準静止領域における信号処理のイメージを記載したイメージ図である。同図は、G1、G2、B1、及びR1の画素をベイヤー配列として有する場合の3板式撮像システムの一例である。図示するような3板式の撮像システムの場合、例えば、第1サブフレームSF1の期間では、G用撮像素子は第1画素PD1の位置を、B用撮像素子は第3画素PD3の位置を、R用撮像素子は第2画素PD2の位置を読み出すことにより、R、G、Bそれぞれ異なるPD位置の信号値を得ることができる。
【0057】
第4画素PD4の位置に関しては、第2サブフレームSF2の期間に読み出した信号値が利用される。それぞれ、G1G2B1R1の信号値からデモザイキングすることにより、第1サブフレームSF1における画像を作成することが可能となる。第2サブフレームSF2、第3サブフレームSF3、及び第4サブフレームSF4の期間に関しても同様に、補間処理を行うことができる。このような補正処理を用いた場合、デモザイキングにより、空間方向に補間した際よりも精細度が高く、アーティファクトの発生を抑止した映像信号を生成することが可能となる。
【0058】
[信号処理装置の内部構成]
図11は、本実施形態に係る信号処理装置10の内部構成の一例を示すブロック図である。信号処理装置10の少なくとも一部の機能は、コンピュータを用いて実現され得る。図示するように、そのコンピュータは、中央処理装置901と、RAM902と、入出力ポート903と、入出力デバイス904や905等と、バス906と、を含んで構成される。コンピュータ自体は、既存技術を用いて実現可能である。中央処理装置901は、RAM902等から読み込んだプログラムに含まれる命令を実行する。中央処理装置901は、各命令にしたがって、RAM902にデータを書き込んだり、RAM902からデータを読み出したり、算術演算や論理演算を行ったりする。RAM902は、データやプログラムを記憶する。RAM902に含まれる各要素は、アドレスを持ち、アドレスを用いてアクセスされ得るものである。なお、RAMは、「ランダムアクセスメモリー」の略である。入出力ポート903は、中央処理装置901が外部の入出力デバイス等とデータのやり取りを行うためのポートである。入出力デバイス904や905は、入出力デバイスである。入出力デバイス904や905は、入出力ポート903を介して中央処理装置901との間でデータをやりとりする。バス906は、コンピュータ内部で使用される共通の通信路である。例えば、中央処理装置901は、バス906を介してRAM902のデータを読んだり書いたりする。また、例えば、中央処理装置901は、バス906を介して入出力ポートにアクセスする。また、信号処理装置10が備える各機能部の全てまたは一部は、ASIC、PLD又はFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、各機能部の全部または一部は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより実現されてもよい。
【0059】
本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。また、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0060】
1 撮像システム
10 信号処理装置
11 カメラ信号処理部
12 判定部
13 フレーム画像生成部
14 映像信号生成部
15 記憶部
20 イメージセンサ
CU 制御単位
CP 共有画素
PD 画素