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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022468
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】歯ブラシ
(51)【国際特許分類】
   A46B 5/00 20060101AFI20250206BHJP
   A46B 9/04 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
A46B5/00 A
A46B9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127081
(22)【出願日】2023-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 美優
(72)【発明者】
【氏名】大久保 みのり
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA06
3B202AB15
3B202BA15
3B202CA02
3B202DB01
3B202EA01
3B202EB04
3B202EB14
3B202ED05
3B202ED06
3B202EE01
3B202EF06
3B202EG08
(57)【要約】
【課題】操作性が良好な幅広ヘッドの歯ブラシの提供を目的とする。
【解決手段】歯ブラシ1は、複数の短尺毛束7と、短尺毛束7よりも毛丈が長い複数の長尺用毛12,13を含む複数の長尺毛束8,9と、を備え、ヘッド部3の横方向の最大長さが15mm以上であり、長尺用毛12,13の毛丈が12mm以下であり、ヘッド部3の厚みを長尺用毛12,13の毛丈で除した値が0.23以上である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド部に形成された複数の植毛穴に複数の用毛を束ねた毛束がそれぞれ植え込まれた歯ブラシであって、
複数の短尺毛束と、前記短尺毛束よりも毛丈が長い複数の長尺用毛を含む複数の長尺毛束と、を備え
前記ヘッド部の横方向の最大長さが15mm以上であり、
前記長尺用毛の毛丈が12mm以下であり、
前記ヘッド部の厚みを前記長尺用毛の毛丈で除した値が0.23以上である、歯ブラシ。
【請求項2】
前記長尺用毛の太さが6mil以下である、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項3】
前記ヘッド部の厚みが2.5mm以上3.5mm以下である、請求項1に記載の歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一回のブラッシングによって広い範囲で歯を磨くことができる幅広ヘッドの歯ブラシ(本開示では、「幅広歯ブラシ」という。)が普及している。幅広歯ブラシは、通常のコンパクトヘッドの歯ブラシよりもヘッド部の縦方向及び横方向の寸法が大きく、歯との接触面積が広い。そのため、歯ブラシによるブラッシングが上手ではなく、歯ブラシを細かく動かくことが苦手な人にとっては、簡単に効率よく歯磨きができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-185447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、幅広歯ブラシは、ヘッド部が大きいためにヘッド部を口腔内で動かしにくく、ユーザにより操作がしにくいとの課題がある。幅広歯ブラシの操作性が悪いと、歯磨き時に口腔内に歯垢が残る可能性がある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するため、操作性が良好な幅広ヘッドの歯ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の歯ブラシは、上記課題を解決するため、以下の項1に記載の歯ブラシを主題として包含する。
【0007】
項1.ヘッド部に形成された複数の植毛穴に複数の用毛を束ねた毛束がそれぞれ植え込まれた歯ブラシであって、
複数の短尺毛束と、前記短尺毛束よりも毛丈が長い複数の長尺用毛を含む複数の長尺毛束と、を備え
前記ヘッド部の横方向の最大長さが15mm以上であり、
前記長尺用毛の毛丈が12mm以下であり、
前記ヘッド部の厚みを前記長尺用毛の毛丈で除した値が0.23以上である、歯ブラシ。
【0008】
また、本開示の歯ブラシは、上記項1に記載の歯ブラシの好ましい態様として、以下の項2に記載の歯ブラシを包含する。
【0009】
項2.前記長尺用毛の太さが6mil以下である、項1に記載の歯ブラシ。
【0010】
また、本開示の歯ブラシは、上記項1から項2に記載の歯ブラシの好ましい態様として、以下の項3に記載の歯ブラシを包含する。
【0011】
項3.前記ヘッド部の厚みが2.5mm以上3.5mm以下である、項1又は2に記載の歯ブラシ。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、操作性が良好な幅広ヘッドの歯ブラシを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示の一実施形態の歯ブラシの概略構成を示す平面図である。
図2図2は、図1の歯ブラシのヘッド部を拡大して示す平面図である。
図3図3は、図1の歯ブラシのヘッド部を拡大して示す側面図である。
図4図4は、図1の歯ブラシのヘッド部における前端部の面積を説明する図である。
図5図5は、第一毛束、第二毛束及び第三毛束のそれぞれに含まれる用毛を説明するための断面図である。
図6図6は、第二毛束に含まれる長尺用毛のねじれを説明するための図である。
図7図7は、図1の歯ブラシの使用を説明する図である。
図8図8は、図1の歯ブラシの使用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の歯ブラシの実施形態について添付図面を参照して説明する。なお、本開示では、特に断らない限り、図1に示す縦方向は柄部2及びヘッド部3の長手方向に一致し、横方向は柄部2及びヘッド部3の幅方向(長手方向に直交する方向)に一致する。また、縦方向及び横方向のいずれにも直交する方向が高さあるいは厚み方向である。なお、縦方向においては、柄部2にヘッド部3が連接されている先端側が「前側」であり、その反対側が「後側」である。
【0015】
図1は、本実施形態の歯ブラシ1の外観を示す。図2は、歯ブラシ1のヘッド部3の外観を拡大して示す。歯ブラシ1は、長尺な棒状の柄部2と、柄部2の先端に連接された厚みの薄い平板状のヘッド部3と、ヘッド部3に設けられた複数の毛束7-9と、を備える。
【0016】
図1に示すように、柄部2は、ユーザが歯ブラシ1を使用する際に把持する部分である。柄部2は、ヘッド部3よりも縦方向に長い寸法を有する。柄部2は、ヘッド部3と一体成形されてもよいし、ヘッド部3と別部材で形成されてヘッド部3が柄部2の先端に接合されていてもよい。本実施形態の柄部2は、例えばポリプロピレン樹脂を素材としており、ヘッド部3と一体成形されている。柄部2の外形及び横断面(柄部2の縦方向に直交する断面)の形状は、特に限定されるものではなく、従来から公知の種々の形状を採用できる。
【0017】
図2に示すように、ヘッド部3は、平面視で例えば長方形の四隅をなだらかに切り落とした縦方向に長い略八角形状を呈する。ヘッド部3は、縦方向に平行でありかつ横方向の中央を通って延びる中心線を対称軸として線対称(左右対称)であることが好ましい。
【0018】
ヘッド部3における縦方向の前端側の一部分である前端部4は、平面視において、前方に向かうに連れて横方向の長さ(横幅)が次第に短くなる先細り状に形成されている。つまり、前端部4の左右の側縁40,41が前方に向かうに連れて互いに近付くように延びている。前端部4の左右の側縁40,41は、先端縁42(ヘッド部3の先端)に連結されている。前端部4の先端縁42は左右方向に直線的、あるいは、凸状、凹状又はジグザグ状の曲線的に延びており、前端部4は、例えば平面視で三角形状(先端の角が丸められた略三角形状を含む)あるいは台形状(先端の2つの角が丸められた略台形状を含む)を呈する。前端部4は、必ずしも平面視で三角形状、台形状に形成されている必要はなく、半円状又は半楕円状などの全体的に湾曲しながら先細り状に形成されていてもよい。
【0019】
ヘッド部3における縦方向の後端側の一部分である後端部5は、平面視において、後方に向かうに連れて横方向の長さ(横幅)が次第に短くなる括れ状に形成されている。つまり、後端部5の左右の側縁50,51が後方に向かうに連れて互いに近付くように延びている。後端部5は、特に限定されないが、例えば略逆台形状を呈する。後端部5の左右の側縁50,51は、柄部2の左右の側縁に連結されている。ヘッド部3と柄部2との境界は、明確に境界線が示されている場合は境界線の位置となる。一方で、ヘッド部3と柄部2がシームレスに一体成形されている場合、ヘッド部3と柄部2との境界は、内側に最も括れた位置、あるいは、ヘッド部3と柄部2とで厚みが異なる場合は厚みが変わる位置などに基づき規定できる。
【0020】
ヘッド部3における前端部4と後端部5の間の中間部6は、平面視において、左右の側縁60,61が互いに平行に前後方向に延びている。ヘッド部3の中間部6は、特に限定されないが、例えば略矩形状を呈する。
【0021】
ヘッド部3の前端部4が先細り状に形成されていることで、歯ブラシ1の口腔内への進入力が高まり、歯ブラシ1により奥歯まで良好に清掃できる。また、ヘッド部3の先端が頬に当たることによりユーザが受ける不快感を軽減できる。なお、ヘッドの3の平面視の形状は、略八角形状に限定されず、種々の公知の形状を採用できる。
【0022】
ヘッド部3の前端部4は、歯ブラシ1の口腔内への進入力を良好に高めるとの観点から、平面視における面積が以下のとおり設定されることが好ましい。具体的には、図3に示すように、平面視において、前端部4の縦方向の長さL1を短辺の長さとしかつ前端部4の横方向の最大長さL2(=ヘッド部3の横方向の最大長さW)を長辺の長さとした仮想の長方形16の面積に対する割合で、前端部4の面積(図3において灰色に塗られた部分の面積)が75%以下であることが好ましく、65%以下であることがより好ましい。これによれば、前端部4は、平面視において、両側縁40,41のテーパーの角度(各側縁40,41の勾配の角度)を大きくできる。よって、歯ブラシ1の口腔内への進入力が良好に高まり、歯ブラシ1により奥歯まで良好に清掃できる。
【0023】
なお、本開示において、ヘッド部3に関する面積は、全て、植毛面となるおもて面30の面積を指す。
【0024】
図2に示すように、ヘッド部3の横方向の最大長さW(本実施形態では中間部6における横方向の長さ)は、15mm以上20mm以下であり、好ましくは15mm以上18mm以下である。横方向の最大長さWが15mm以上の幅広のヘッド部3であると、ヘッド部3において横方向に並べて配置できる毛束7-9の数が多くなり、ヘッド部3による清掃面積を大きく確保できる。最大長さWが15mm以上の幅広のヘッド部3であれば、横方向に好ましくは6つ以上、より好ましくは7つ以上の毛束7-9を配置できる。一方、最大長さWが20mm以下であることで、ヘッド部3が幅広であっても口腔内での取り回しを良好にできる。
【0025】
ヘッド部3の厚みは、好ましくは2.5mm以上3.5mm以下であり、より好ましくは2.8mm以上3.3mm以下である。ヘッド部3をある程度の強度を維持しながら薄く形成することで、歯ブラシ1の口腔内への進入力が高まり、歯ブラシ1により奥歯まで良好に清掃できる。
【0026】
ヘッド部3のおもて面30は、植毛面をなしている。ヘッド部3のおもて面30には、複数の植毛穴10(図4に示す)が形成されている。複数の植毛穴10は、ヘッド部3のおもて面30に、縦方向及び横方向に間隔をあけて配置されている。植毛穴10の形状は、特に限定されず、平面視で円形、楕円形、多角形等を例示できる。複数の植毛穴10の形状及び寸法は、全て実質的に同一であることが好ましい。植毛穴10の寸法は、例えば植毛穴10の形状が平面視で円形であれば、直径で1.40mm以上1.60mm以下、好ましくは1.45mm以上1.55mm以下を例示できる。
【0027】
図4に示すように、複数の植毛穴10のそれぞれには、複数の用毛を束ねた毛束7-9が植え込まれている。例えば、それぞれの毛束7-9は、複数の用毛が束ねられ、二つ折りにされた状態で、折り目の部分に公知の平線18が取り付けられ、折り目の部分が平線18とともに植毛穴10に打ち込まれて固定されることで、各植毛穴10に植え込まれる。用毛の素材は、例えばポリブチレンテレフタレートなどの飽和ポリエステル樹脂、ナイロン等を挙げることができるが、耐久性が高いとの観点から、ポリブチレンテレフタレートを用毛の素材に用いることが好ましい。
【0028】
図2に示すように、複数の毛束7-9は、ヘッド部3のおもて面30において、複数の植毛穴10の配列に応じて、ヘッド部3の縦方向及び横方向に間隔をあけて配置されている。複数の毛束7-9は、本実施形態では、3種類の毛束、すなわち、複数の第一毛束7、複数の第二毛束8、及び複数の第三毛束8を含んでいる。図2においては、説明の便宜のため、毛束の種類ごとに着色しており、第一毛束7を黒色の丸で、第二毛束8を白色の丸で、第三毛束8を灰色の丸で示している。
【0029】
複数の第一毛束7は、ヘッド部3の横方向の中央に配置されている。複数の第一毛束7は、ヘッド部3の縦方向に沿って連続して配置されており、縦方向に延びる第一毛束群を形成している。第一毛束7は、歯磨き時に歯面を清掃するのを主な目的としてヘッド部3に設けられている。
【0030】
第一毛束群は、ヘッド部3の先端(前端部4の先端縁42)から縦方向に所定の長さ離れた位置から、ヘッド部3及び柄部2の境界近傍まで延びている。第一毛束7は、ヘッド部3の横方向に沿って少なくとも1つ配置されており、ヘッド部3の縦方向の位置に応じて横方向に並ぶ第一毛束7の数が異なる。本実施形態では、ヘッド部3の縦方向の前側から順に、第一毛束7が横方向に3つ、3つ、4つ、4つ、4つ、2つ、1つ、1つで配置されている。なお、第一毛束7は必ずしも横方向に一直線で並ぶ必要はなく、本実施形態のように凸状に湾曲して並んでいてもよいし、その他に、凹状又はジグザグ状に湾曲して並んでいてもよい。
【0031】
複数の第二毛束8のうち、一部は第一毛束群よりもヘッド部3の横方向の両方の外側に配置されている。つまり、複数の第二毛束8の一部は、第一毛束群を横方向から挟むように配置されている。第一毛束群を横方向から挟む第二毛束8は、歯磨き時に歯周ポケットを清掃するのを主な目的としてヘッド部3に設けられている。第一毛束群を横方向から挟む第二毛束8は、ヘッド部3の横方向に沿って少なくとも1つ配置されており、ヘッド部3の縦方向の位置に応じて横方向に並ぶ第二毛束8の数が異なる。本実施形態では、ヘッド部3の縦方向の前側から順に、第二毛束8が横方向に1つ、1つ、1つ、1つ、1つ、2つ、2つで配置されている。
【0032】
また、複数の第二毛束8のうち、他の一部は第一毛束群よりも前方に存在する前端部4の先端領域43(図5に示す)に配置されている。第一毛束群よりも前方に配置された第二毛束8は、歯磨き時に歯間、奥歯を清掃するのを主な目的としてヘッド部3に設けられている。
【0033】
なお、本開示において、前端部4の先端領域43とは、図5に示すように、ヘッド部3の先端(前端部4の先端縁42)から、縦方向に所定の長さ離れた位置にまでわたる領域である。つまり、先端領域43は、前端部4の前端縁42と、前端部4の左右の側縁40,41と、前端部4の左右の側縁40,41の間を横方向に延びる仮想線とで囲まれる領域(図5において灰色に塗られた領域)である。
【0034】
本実施形態では、第一毛束群における最前列の3つの第一毛束7の前方に先端領域43が存在する。先端領域43には少なくとも1つの植毛穴10、好ましくは複数の植毛穴10が形成されており、それぞれの植毛穴10に第二毛束8が植え込まれている。本実施形態では、先端領域43に6つの第二毛束8が配置されている。
【0035】
先端領域43の複数の第二毛束8は、横方向に一列で並ぶように配置されてもよいが、横方向に並ぶ少なくとも1つの第二毛束8による横列が縦方向に少なくとも2つ並ぶように配置されることが好ましい。本実施形態では、先端領域43の6つの第二毛束8は、前側から順に横方向に2つ、4つ並ぶように配置されている。これにより、歯磨き時に先端領域43に配置された第二毛束8により奥歯を良好に清掃できる。
【0036】
前端部4の先端領域43は、詳細は後述するが、歯ブラシ1により奥歯を良好に清掃できるとの観点から、平面視における面積が以下のとおり設定されることが好ましい。具体的には、平面視において、ヘッド部3の面積に対する割合で、先端領域43の面積が8%以上15%以下であることが好ましく、8%以上11%以下であることがより好ましい。ヘッド部3において、前端部4の先端領域43は、歯ブラシ1を口腔内へ進入させた際に奥歯に到達する部位である。先端領域43の面積が大きいと、その分、奥歯を清掃するための第二毛束8を数多く配置できるため、先端領域43に配置された第二毛束8により奥歯を良好に清掃できる。一方、ヘッド部3の面積に対して先端領域43の面積が15%以下であることで、奥歯を良好に清掃できる。
【0037】
図2に示すように、複数の第三毛束9は、複数の第二毛束8よりもヘッド部3の横方向の両方の外側に配置されている。つまり、複数の第三毛束9は、複数の第二毛束8の一部を横方向から挟むように配置されている。本実施形態では、複数の第三毛束9は、ヘッド部3において最も幅広の中央部6の左右の側縁60,61に沿って縦方向に1つずつ連続して並んでいる。第三毛束9は、3種類の毛束7-9の中でヘッド部3の横方向において最も外側に配置されている。第三毛束9は、歯磨き時に歯茎に刺激を与えることを主な目的としてヘッド部3に設けられている。
【0038】
なお、本開示では、第一毛束7を「内側毛束」と称し、第二毛束8及び第三毛束9を合わせて「外側毛束」と称する場合がある。
【0039】
上述したように、第一毛束群内の複数の第一毛束7の左右には複数の第二毛束8及び複数の第三毛束9が配置されているとともに、第一毛束群における最前列の第一毛束7の前方には、複数の第二毛束8が配置されている。一方で、第一毛束群における最後尾の1つの第一毛束7の後方には、第二毛束8及び第三毛束9が存在していない。
【0040】
そのため、複数の第二毛束8及び第三毛束9は、第一毛束群の周囲のうち、ヘッド部3の縦方向の最後部を除いて、第一毛束群を囲むように配置されている。つまり、第一毛束群は、複数の第二毛束8及び第三毛束9により完全には囲まれておらず、第一毛束群において最も柄部2の近くに配置されている最後尾の第一毛束7が、複数の第二毛束8及び第三毛束9の囲みから露出している。
【0041】
最後尾の第一毛束7は、最後尾の2つの第二毛束8と横方向に並ぶ位置にあってもよいが、最後尾の2つの第二毛束8よりも後方に突き出ていることが好ましい。
【0042】
最後尾の第一毛束7は、第一毛束群の中で、横方向に並ぶ第一毛束7の数が最小数であることが好ましい。本実施形態では、第一毛束群は、ヘッド部3の縦方向に沿って、前側から順に、横方向に並ぶ第一毛束7の数が3つ、3つ、4つ、4つ、4つ、2つ、1つ、1つであり、最後尾及び最後尾から2番目において横方向に並ぶ第一毛束7の数が最小数となっている。
【0043】
また、第一毛束群において最後尾に近い一部の第一毛束7は、後方に向かって、横方向に並ぶ第一毛束7の数を前記最小数まで減らしながら、ヘッド部3の縦方向に並んでいることが好ましい。本実施形態では、例えば最後尾から4番目以降は、横方向に並ぶ第一毛束7の数を4つ、2つ、1つ、1つと、緩やかに最小数である1つまで減らしている。これに合わせて、第一毛束群を横方向から挟む複数の第二毛束8及び第三毛束9は、第一毛束群の最後尾の第一毛束7の近傍で横方向の内側に侵出しており、第一毛束群の最後部に狭窄部17を形成している。
【0044】
なお、横方向に並ぶ第一毛束7の数は、例えば最後尾から4番目以降において、4つ、3つ、2つ、1つと、次第に最小数まで減っていて、最後尾と最後尾から2番目とで横方向に並ぶ第一毛束7の数が異なっていてもよい。また、横方向に並ぶ第一毛束7の数は、例えば最後尾から4番目以降において、4つ、4つ、3つ、1つ、あるいは、4つ、4つ、1つ、1つなどのように、急に最小数である1つまで減っていてもよい。
【0045】
前記最小数は、本実施形態のように、1つであることが好ましい。第一毛束群において、複数の第二毛束8及び第三毛束9により囲まれていない第一毛束7の数が1つと少ないことで、複数の第二毛束8及び第三毛束9によって限りなく狭窄部17を小さくして第一毛束群を囲むことができる。
【0046】
上述した第一毛束7、第二毛束8及び第三毛束9のそれぞれは、多数本の用毛の集合体であるが、第一毛束7は毛丈の短い複数の短尺用毛11により構成されており、第二毛束8及び第三毛束9は主に毛丈の長い複数の長尺用毛12,13により構成されている。
【0047】
なお、本開示では、複数の短尺用毛11により構成された第一毛束7を「短尺毛束」と称し、主に複数の長尺用毛12,13により構成された第二毛束8及び第三毛束9を合わせて「長尺毛束」と称する場合がある。
【0048】
図4に示すように、第一毛束7に含まれる短尺用毛11は、第二毛束8及び第三毛束9に含まれる長尺用毛12,13よりも毛丈が短い。第一毛束7を構成する複数の短尺用毛11は、歯磨き時に均一に歯面を清掃できるとの観点から、全て毛丈が同じ長さであることが好ましい。なお、毛丈が同じ長さであるとは、完全に同じ長さである場合に加えて、実質的に同じ長さ(例えば毛丈の差異が1mm程度)である場合も含む概念である。
【0049】
第一毛束7に含まれる短尺用毛11の毛丈は、歯磨き時に良好に歯面を清掃できるように、好ましくは8mm以上12mm以下であり、より好ましくは8mm以上10mm以下である。
【0050】
なお、本開示において、各種の用毛11-15の毛丈は、ヘッド部3のおもて面30からそれぞれの用毛の先端までの長さである。複数の用毛の毛丈にばらつきがある場合には、複数の用毛の毛丈の平均を用毛の毛丈とする。
【0051】
第一毛束7に含まれる短尺用毛11は、全長に亘って概ね均一な太さを有するフラット毛、先端が丸みを帯びているラウンド毛、先端側の一部分が分岐した分岐毛、少なくとも先端側の一部分がテーパー加工されることで先細るテーパー毛など、歯ブラシに使用される用毛について公知の種々の形態を採用できる。短尺用毛11は、屈曲しにくく、かつ、歯面に付着した歯垢を効果的に除去できるとの観点からは、ラウンド毛であることが好ましい。
【0052】
第一毛束7に含まれる短尺用毛11の横断面の形状は、歯磨き時の短尺用毛11による清掃効果を向上させるとの観点から、好ましくは多角形状であり、正四角形状、正六角形状などであることが好ましい。なお、短尺用毛11の横断面の形状は、円形状などであってもよい。
【0053】
第一毛束7に含まれる短尺用毛11の太さは、清掃効果と歯茎への刺激の観点から、好ましくは6mil以上9mil以下(0.1524mm以上0.2286mm以下)であり、より好ましくは6mil以上8mil以下(0.1524mm以上0.2032mm以下)である。
【0054】
なお、本開示において、各種の用毛11-15の太さは、用毛の根元部分(ヘッド部3のおもて面30から5mm離れた部分)で計測される太さである。また、用毛の太さは、用毛の横断面における最大の太さである。用毛の横断面形状が、例えば円形状の場合は直径が最大の太さであり、正四角形状及び正六角形状の場合は対角線の長さが最大の太さである。用毛の太さは、デジタルシックネスゲージを使用して用毛の根元部分を挟んで計測することができる。
【0055】
第一毛束7に含まれる短尺用毛11の数は、好ましくは16本以上30本以下であり、より好ましくは16本以上24本以下である。
【0056】
図4に示すように、第二毛束8に含まれる長尺用毛12の毛丈は、第一毛束7に含まれる短尺用毛11の毛丈よりも長い。長尺用毛12の毛丈は、歯磨き時に長尺用毛12が良好に歯周ポケット又は歯間に入り込んで歯周ポケット又は歯間を清掃できるように、好ましくは9mm以上であり、より好ましくは10mm以上である。また、長尺用毛12の毛丈は、12mm以下と一般的な幅広歯ブラシに設けられた長尺用毛の毛丈よりも短いことで、歯ブラシ1の総高さ(ヘッド部3の厚みと、第二毛束8及び第三毛束9に含まれる長尺用毛12,13の毛丈との和)を抑えることができる。これにより、歯ブラシ1の口腔内への進入力が高まり、歯ブラシ1により奥歯まで良好に清掃できる。
【0057】
第二毛束8に含まれる長尺用毛12と第一毛束7に含まれる短尺用毛11との毛丈の差は、好ましくは1.0mmより大きく3.0mm未満であり、より好ましくは1.5mm以上2.5mm以下である。長尺用毛12及び短尺用毛11の毛丈の差が小さいと、歯磨き時に長尺用毛12が歯周ポケット又は歯間に入り込みにくくなり、長尺用毛12及び短尺用毛11の毛丈の差が大きいと、歯磨き時に短尺用毛11が歯面に当たりにくくなる。長尺用毛12及び短尺用毛11の毛丈の差が上記範囲内であることで、歯磨き時に第二毛束8に含まれる長尺用毛12が歯周ポケット、歯間に入り込みやすくなり、第一毛束7に含まれる短尺用毛11が歯面に当たりやすくなるので、歯面、歯間及び歯周ポケットなどを効果的に清掃できる。
【0058】
第二毛束8に含まれる長尺用毛12は、全長に亘って概ね均一な太さを有するフラット毛、先端が丸みを帯びているラウンド毛、先端側の一部分が分岐した分岐毛、少なくとも先端側の一部分がテーパー加工されることで先細るテーパー毛など、歯ブラシに使用される用毛について公知の種々の形態を採用できる。長尺用毛12は、歯磨き時に歯周ポケット又は歯間に良好に入り込むとの観点からは、テーパー毛であることが好ましい。
【0059】
第二毛束8に含まれる長尺用毛12は、歯磨き時に歯周ポケット又は歯間に良好に入り込むとの観点から、図6に示すように、長さ方向にねじれを有するスパイラル毛であることが好ましい。長尺用毛12がねじれを有することで、長尺用毛12の毛腰が高まり、長尺用毛12が歯周ポケット又は歯間に入り込む際の角度が安定する。よって、長尺用毛12が歯周ポケット又は歯間に良好に入り込む。
【0060】
なお、第二毛束8を主に構成する複数の長尺用毛12の全てについてスパイラル毛であってもよいし、第二毛束8に含まれる複数の長尺用毛12の大部分(例えば80%程度)がスパイラル毛であってもよい。
【0061】
第二毛束8に含まれる長尺用毛12の横断面(用毛の長さ方向に直交する断面)の形状は、歯磨き時の長尺用毛12による清掃効果を向上させるとの観点から、好ましくは多角形状であり、正四角形状、正六角形状などであることが好ましい。
【0062】
第二毛束8に含まれる長尺用毛12の太さは、清掃効果の観点から、好ましくは5mil以上7.5mil以下(0.1270mm以上0.1905mm以下)であり、より好ましくは5mil以上6.5mil以下(0.1270mm以上0.1651mm以下)である。また、毛丈が12mm以下の長尺用毛12は、一般的な幅広歯ブラシに設けられた長尺用毛よりも毛丈が短い分、しなりが損なわれるために硬く感じられ、歯磨き時に歯茎などへの当たりが悪くなることから、歯茎などを痛めるおそれがある。そのため、長尺用毛12の太さを6mil以下にすることにより、歯磨き時に歯茎などに対する長尺用毛12の当たりを優しくできる。
【0063】
第二毛束8に含まれる長尺用毛12の数は、好ましくは25本以上45本以下であり、より好ましくは28本以上40本以下である。
【0064】
図4に示すように、第二毛束8は、長尺用毛12よりも毛丈の短い複数の短尺用毛14を含んでいてもよい。つまり、第二毛束8は、複数の長尺用毛12を束ねて構成されている他に、複数の長尺用毛12及び複数の短尺用毛14を束ねて構成されていてもよい。
【0065】
第二毛束8が短尺用毛14を含んでいると、短尺用毛14を含んでいない場合と比較して、短尺用毛14が長尺用毛12を支えることで、長尺用毛12が倒れにくくなる。そのため、長尺用毛12が歯周ポケット又は歯間に入り込む際の角度が安定し、歯磨き時に毛丈の長い長尺用毛12が歯周ポケット又は歯間に入り込みやすくなる。よって、長尺用毛12によって歯周ポケット又は歯間を効果的に清掃できる。
【0066】
第二毛束8に含まれる短尺用毛14は、全長に亘って概ね均一な太さを有するフラット毛、先端が丸みを帯びているラウンド毛、先端側の一部分が分岐した分岐毛、少なくとも先端側の一部分がテーパー加工されることで先細るテーパー毛など、歯ブラシに使用される用毛について公知の種々の形態を採用できる。また、第二毛束8に含まれる短尺用毛14は、長尺用毛12と同様に、長さ方向にねじれを有するスパイラル毛であってもよい。
【0067】
第二毛束8に含まれる短尺用毛14の毛丈は、第一毛束7に含まれる短尺用毛11の毛丈よりも長くてもよいし、短くてもよいし、あるいは、同じであってもよい。第二毛束8に含まれる長尺用毛12及び短尺用毛14の毛丈の差は、好ましくは1.5mm以上2.5mm以下であり、より好ましくは1.7mm以上2.3mm以下である。
【0068】
第二毛束8に含まれる短尺用毛14の横断面の形状は、特に限定されないが、長尺用毛12と同じ形状であることが好ましい。
【0069】
第二毛束8に含まれる短尺用毛14の太さは、特に限定されないが、長尺用毛12と同じ太さであることが好ましい。
【0070】
図4に示すように、第三毛束9に含まれる長尺用毛13の毛丈は、第一毛束7に含まれる短尺用毛11の毛丈よりも長く、好ましくは第二毛束8に含まれる長尺用毛12の毛丈と同じ長さである。長尺用毛13の毛丈は、歯磨き時に長尺用毛13が良好に歯茎に当たって歯茎を清掃できるように、好ましくは9mm以上であり、より好ましくは10mm以上である。また、長尺用毛13の毛丈は、12mm以下と一般的な幅広歯ブラシに設けられた長尺用毛の毛丈よりも短いことで、歯ブラシ1の総高さ(ヘッド部3の厚みと、第二毛束8及び第三毛束9に含まれる長尺用毛12,13毛丈との和)を抑えることができる。これにより、歯ブラシ1の口腔内への進入力が高まり、歯ブラシ1により奥歯まで良好に清掃できる。
【0071】
第三毛束9に含まれる長尺用毛13と第一毛束7に含まれる短尺用毛11との毛丈の差は、好ましくは1.0mmより大きく3.0mm未満であり、より好ましくは1.5mm以上2.5mm以下である。長尺用毛13及び短尺用毛11の毛丈の差が小さいと、歯磨き時に長尺用毛13が歯茎に当たりにくくなり、長尺用毛13及び短尺用毛11の毛丈の差が大きいと、歯磨き時に短尺用毛11が歯面に当たりにくくなる。長尺用毛13及び短尺用毛11の毛丈の差が上記範囲内であることで、歯磨き時に第三毛束9に含まれる長尺用毛13が歯茎に当たりやすくなり、第一毛束7に含まれる短尺用毛11が歯面に当たりやすくなるので、歯面及び歯茎を効果的に清掃できる。
【0072】
第三毛束9に含まれる長尺用毛13は、全長に亘って概ね均一な太さを有するフラット毛、先端が丸みを帯びているラウンド毛、先端側の一部分が分岐した分岐毛、少なくとも先端側の一部分がテーパー加工されることで先細るテーパー毛など、歯ブラシに使用される用毛について公知の種々の形態を採用できる。長尺用毛13は、歯磨き時に歯茎への当たりを優しくして歯茎の損傷を抑制し、歯茎に対するマッサージ効果が高いとの観点からは、テーパー毛であることが好ましい。
【0073】
第三毛束9に含まれる長尺用毛13の横断面(用毛の長さ方向に直交する断面)の形状は、特に限定されないが、好ましくは円形状である。
【0074】
第三毛束9に含まれる長尺用毛13の太さは、好ましくは第二毛束8に含まれる長尺用毛12の太さよりも小さい。つまり、第二毛束8に含まれる長尺用毛12よりも、第三毛束9に含まれる長尺用毛13の方が細いことが好ましい。これにより、第三毛束9に含まれる長尺用毛13が柔らかくなるため、歯磨き時に長尺用毛13が歯茎に接触した際の歯茎への当たりを優しくできる。よって、歯茎の損傷を抑制しつつ、歯茎の清掃及びマッサージができる。
【0075】
長尺用毛13の太さは、長尺用毛13を柔らかくして歯磨き時の長尺用毛13による歯茎への当たりを優しくするとの観点から、好ましくは4mil以上7mil以下(0.1016mm以上0.1778mm以下)であり、より好ましくは4mil以上6mil以下(0.1016mm以上0.1524mm以下)である。また、長尺用毛13は、一般的な幅広歯ブラシに設けられた長尺用毛よりも毛丈が短い分、しなりが損なわれるために硬く感じられ、歯磨き時に歯茎などへの当たりが悪くなることから、歯茎などを痛めるおそれがある。そのため、長尺用毛13の太さが6mil以下であることにより、歯磨き時に歯茎などに対する長尺用毛13の当たりを優しくできる。
【0076】
第三毛束9に含まれる長尺用毛13の数は、好ましくは30本以上60本以下であり、より好ましくは35本以上55本以下である。
【0077】
第三毛束9は、長尺用毛13よりも毛丈の短い複数の短尺用毛15を含んでいてもよい。つまり、第三毛束9は、複数の長尺用毛13を束ねて構成されている他に、複数の長尺用毛13及び複数の短尺用毛15を束ねて構成されていてもよい。
【0078】
第三毛束9が短尺用毛15を含んでいると、短尺用毛15を含んでいない場合と比較して、短尺用毛15が長尺用毛13を支えることで、長尺用毛13が倒れにくくなる。そのため、長尺用毛13が歯茎に当たる際の角度が安定し、歯磨き時に毛丈の長い長尺用毛13が歯茎に当たりやすくなる。よって、長尺用毛13によって歯茎を効果的に清掃及びマッサージできる。
【0079】
第三毛束9に含まれる短尺用毛15は、全長に亘って概ね均一な太さを有するフラット毛、先端が丸みを帯びているラウンド毛、先端側の一部分が分岐した分岐毛、少なくとも先端側の一部分がテーパー加工されることで先細るテーパー毛など、歯ブラシに使用される用毛について公知の種々の形態を採用できる。
【0080】
第三毛束9に含まれる短尺用毛15の毛丈は、第一毛束7に含まれる短尺用毛11の毛丈よりも長くてもよいし、短くてもよいし、あるいは、同じであってもよい。第三毛束9に含まれる長尺用毛13及び短尺用毛15の毛丈の差は、好ましくは1.5mm以上2.5mm以下であり、より好ましくは1.7mm以上2.3mm以下である。
【0081】
第三毛束9に含まれる短尺用毛15の横断面の形状は、特に限定されないが、長尺用毛13と同じ形状であることが好ましい。
【0082】
第三毛束9に含まれる短尺用毛15の太さは、特に限定されないが、長尺用毛13と同じ太さであることが好ましい。
【0083】
ヘッド部3の厚みと、第二毛束8及び第三毛束9に含まれる長尺用毛12,13の毛丈との和は、歯ブラシ1の総高さを規定する。歯ブラシ1の総高さは、歯ブラシ1の口腔内への進入力を高めるとの観点からは、好ましくは12.0mm以上16.0mm以下であり、より好ましくは12.0mm以上15.5mm以下である。
【0084】
また、ヘッド部3の厚みを長尺用毛12,13の毛丈で除した値が大きいと、歯ブラシ1の総高さに占めるヘッド部3の厚みの割合が大きくなる(長尺用毛12,13の毛丈の割合が小さくなる)。そのため、歯ブラシ1の総高さが低くなり、歯ブラシ1が届きにくい奥歯を効率的に磨くことができる。よって、ヘッド部3の厚みを長尺用毛12,13の毛丈で除した値は0.23以上であり、0.25以上であることが好ましい。
【0085】
ヘッド部3の平面視における面積に対して、長尺用毛12,13を含む第二毛束8及び第三毛束9が占める面積の割合は、好ましくは10%以上40%未満であり、より好ましくは10%以上25%以下である。ヘッド部3において、上述した範囲を、長尺用毛12,13を含む第二毛束8及び第三毛束9が占めると、歯面、歯周ポケット及び歯茎を一度で効率的に磨くことができる。
【0086】
なお、第二毛束8及び第三毛束9の面積の割合の算出に際しては、第二毛束8及び第三毛束9の面積は、第二毛束8及び第三毛束9が植え込まれている植毛穴10の面積と同じとみなせる。
【0087】
次に、上述した本実施形態の歯ブラシ1の使用方法について、図7及び図8を参照して説明する。第一毛束7に含まれる短尺用毛11の毛丈は短く、かつ、ヘッド部3の横方向の中央に複数配置されている。図7に示すように、複数の第一毛束7の先端部が歯面に当たるように歯ブラシ1を口腔内に挿入する。そして、ヘッド部3が歯の並ぶ方向に移動するように歯ブラシ1を縦方向に動かして歯磨きすると、ヘッド部3の横方向において第一毛束7よりも外側にある毛丈の長い第二毛束8の先端部が歯周ポケットに入り込むとともに、第二毛束8よりも外側にある毛丈の長い第三毛束9の先端部が歯茎に当接する。加えて、図8に示すように、ヘッド部3の縦方向において第一毛束7の前方にある毛丈の長い第二毛束8が歯間に入り込む。よって、歯磨き時に、歯面の清掃とともに、歯間、歯周ポケット、歯茎を清掃でき、かつ、歯茎をマッサージできる。
【0088】
さらに、歯ブラシ1を口腔内の奥の方まで進入させると、ヘッド部3の縦方向において第一毛束7の前方にある毛丈の長い第二毛束8が奥歯に届く。これにより、奥歯の方まで歯面、歯間、歯周ポケット、歯茎を清掃できる。
【0089】
なお、歯の咬合面を清掃する場合には、ヘッド部3を咬合面と平行にして、毛束7-9を咬合面に押しつけつつブラッシングすればよい。
【0090】
また、ヘッド部3の横方向の中央に配置された毛丈の短い複数の第一毛束7が、その周囲を毛丈の長い複数の第二毛束8及び第三毛束9により一部を除いて概ね囲まれている。そのため、歯磨き時には、毛丈の長い複数の第二毛束8及び第三毛束9の内側において、空気が取り込まれながら歯磨き剤が攪拌されるので、歯磨き剤が泡立ちやすくなる。よって、歯磨き剤が広い範囲に行き渡りやすくなるため、効果的に歯を清掃できる。
【0091】
ここで、複数の第一毛束7について、複数の第二毛束8及び第三毛束9により、複数の第一毛束7の最後尾に近い部分に狭窄部17を形成しながら、囲むことにより、複数の第二毛束8及び第三毛束9によって複数の第一毛束7の周囲をより多く囲むことができる。よって、歯磨き時に、複数の第二毛束8及び第三毛束9の内側で歯磨き剤を良好に泡立たせることができる。
【0092】
さらに、複数の第二毛束8及び第三毛束9が複数の第一毛束7の周囲を完全に囲んでいると、複数の第二毛束8及び第三毛束9の毛腰が強くなり過ぎて、歯磨き時に毛丈の短い複数の第一毛束7の先端部が歯面に届きにくく歯面を清掃しにくくなる。これに対して、複数の第二毛束8及び第三毛束9が複数の第一毛束7の周囲の最後部を除いて、複数の第一毛束7を囲むことで、複数の第二毛束8及び第三毛束9の毛腰を適切に低下できるので、歯磨き時に毛丈の短い複数の第一毛束7の先端部が歯面に届きやすくなる。さらに、複数の第一毛束7の最後尾の第一毛束7が複数の第二毛束8及び第三毛束9の囲みから露出していることで、歯ブラシ1を縦方向に動かして歯磨きする際に、最後尾の第一毛束7の先端部は歯面に届きやすい。よって、最後尾の第一毛束7をきっかけに複数の第一毛束7の先端部が歯面に届きやすくなるため、第一毛束7により歯面を良好に清掃できる。
【0093】
なお、複数の第一毛束7の最後尾において横方向に並ぶ第一毛束7の数が1つであると、複数の第二毛束8及び第三毛束9によって複数の第一毛束7の周囲をより多く囲むことができる。よって、歯磨き時に、複数の第二毛束8及び第三毛束9の内側で歯磨き剤を良好に泡立たせることができる。
【0094】
また、複数の第一毛束7の最後尾の第一毛束7が第二毛束8及び第三毛束9よりも縦方向の後方に突き出ていると、歯ブラシ1を縦方向に動かして歯磨きする際に、最後尾の第一毛束7の先端部は歯面に容易に届く。よって、最後尾の第一毛束7をきっかけに複数の第一毛束7の先端部が歯面により届きやすくなるため、第一毛束7により歯面を良好に清掃できる。
【0095】
次に、本実施形態の歯ブラシ1による作用、効果を説明する。
【0096】
本実施形態の歯ブラシ1は、複数の短尺毛束(第一毛束7)と、短尺毛束(第一毛束7)よりも毛丈が長い複数の長尺毛束(第二毛束8及び第三毛束9)とを備え、ヘッド部3の横方向の最大長さが15mm以上の幅広歯ブラシである。本実施形態の歯ブラシ1は、幅広歯ブラシにおいて、長尺毛束(第二毛束8及び第三毛束9)に含まれる複数の長尺用毛12,13の毛丈が12mm以下であり、ヘッド部3の厚みを長尺用毛12,13の毛丈で除した値が0.23以上であることを特徴とする。
【0097】
本実施形態の歯ブラシ1によれば、上記特徴により、歯ブラシ1の先端における総高さ(ヘッド部3の厚みと長尺用毛12,13の毛丈との和)を抑えることができる。よって、歯ブラシ1の口腔内への進入力が高まり、奥歯の方まで良好に清掃できる。
【0098】
また、本実施形態の歯ブラシ1は、長尺用毛12,13の太さが6mil以下であることを特徴とする。
【0099】
本実施形態の歯ブラシ1によれば、上記特徴により、長尺用毛12,13は、一般的な幅広歯ブラシに設けられた長尺用毛よりも毛丈が短い分、しなりが損なわれるために硬く感じられ、歯磨き時に歯茎などへの当たりが悪くなるおそれがあるが、長尺用毛12,13の太さが6mil以下と細いため、歯磨き時に歯茎などに対する長尺用毛12,13の当たりを優しくできる。よって、歯磨き時に歯茎の損傷を抑制できる。
【0100】
また、本実施形態の歯ブラシ1は、ヘッド部3の厚みが2.5mm以上3.5mm以下であることを特徴とする。
【0101】
本実施形態の歯ブラシ1によれば、上記特徴により、ヘッド部3が薄く形成されるため、歯ブラシ1の口腔内への進入力が高まり、歯ブラシ1により奥歯まで良好に清掃できる。さらに、ヘッド部3の口腔内での取り回しが良くなり、歯ブラシ1の操作性を向上できる。さらに、幅広で面積が大きいヘッド部3であっても使用者が受ける頬の不快感を軽減できる。
【0102】
以上、本開示の歯ブラシの一実施形態について説明したが、本開示の歯ブラシは上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変形ができ、以下のように変形できる。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせ可能である。
【0103】
ヘッド部3のおもて面30(植毛面)における毛束7-9の数は特に限定されず、適宜変更可能である。また毛束7-9の配置も、本開示の課題を解決するために必要な配置を除いて、適宜変更可能である。
【0104】
毛束7-9を構成する用毛の数、用毛の太さ、毛束の太さ(=植毛穴10の大きさ)は特に限定されず、適宜変更可能である。
【0105】
植毛穴10に対する各毛束7-9の植毛の方法は特に限定されない。
【符号の説明】
【0106】
1 歯ブラシ
2 柄部
3 ヘッド部
7 第一毛束(短尺毛束、内側毛束)
8 第二毛束(長尺毛束、外側毛束)
9 第三毛束(長尺毛束、外側毛束)
10 植毛穴
11 短尺用毛
12 長尺用毛
13 長尺用毛
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8