(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023519
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
B24B 49/12 20060101AFI20250207BHJP
B23Q 17/20 20060101ALI20250207BHJP
B23Q 17/24 20060101ALI20250207BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20250207BHJP
B24B 19/02 20060101ALI20250207BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20250207BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20250207BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
B24B49/12
B23Q17/20 A
B23Q17/24 B
B23Q17/00 D
B24B19/02
B24B27/06 M
H01L21/78 B
G01B11/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127702
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 芳昌
(72)【発明者】
【氏名】高木 宏
(72)【発明者】
【氏名】新井 紀生
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 翔平
【テーマコード(参考)】
2F065
3C029
3C034
3C049
3C158
5F063
【Fターム(参考)】
2F065AA06
2F065AA24
2F065AA25
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3C158DA17
5F063AA48
5F063BA13
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5F063CC37
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5F063DE17
5F063DE35
(57)【要約】
【課題】撮像手段で撮像される画像では、加工痕の内部のコントラストが不明確になるような場合であっても、該加工痕の内部の形状や深さを正確に確認することができる加工装置を提供する。
【解決手段】ウエーハWを保持する保持手段7と、保持手段7に保持されたウエーハWに加工を施す切削手段8と、保持手段7と切削手段8とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段と、保持手段7と切削手段8とをX軸方向に直交するY軸方向に相対的に割り出し送りするY軸送り手段と、保持手段7に保持されたウエーハWの表面高さを検出するレーザー測長手段11と、表示手段14と、制御手段20と、を含み構成され、保持手段7に保持されたウエーハWに切削手段8によって施された加工痕にレーザー測長手段11を位置付けてレーザー光線LBを照射すると共に、該X軸送り手段又はY軸送り手段を作動して該加工痕の形状、深さを表示手段14に表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物に加工を施す加工装置であって、
被加工物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物に加工を施す加工手段と、該保持手段と該加工手段とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段と、該保持手段と該加工手段とをX軸方向に直交するY軸方向に相対的に割り出し送りするY軸送り手段と、該保持手段に保持された被加工物の表面高さを検出するレーザー測長手段と、表示手段と、制御手段と、を含み構成され、
該保持手段に保持された被加工物に該加工手段によって施された加工痕に該レーザー測長手段を位置付けてレーザー光線を照射すると共に、該X軸送り手段又はY軸送り手段を作動して加工痕の形状、深さを該表示手段に表示させる加工装置。
【請求項2】
該レーザー測長手段が照射するレーザー光線の繰り返し周波数をT[Hz]とし、X軸方向に加工送りする際の送り速度をV[mm/秒]とした場合、
該制御手段は、
V/Tの分解能で加工痕の幅と深さとの2次元画像を生成する請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
該制御手段は、割り出し送り量をWとし、該割り出し送り量W毎に2次元画像を生成して複数の該2次元画像を組み合わせることで、3次元画像を生成する請求項2に記載の加工装置。
【請求項4】
該加工手段は、切削ブレードを回転可能に備えた切削手段であり、該加工痕は被加工物に施されたY軸方向に延在する切削溝である請求項2、3に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物に加工を施す加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハは、ダイシング装置、レーザー加工装置によって個々のデバイスチップに分割され、携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
ダイシング装置は、ウエーハを保持する保持手段と、該保持手段に保持されたウエーハを切削する切削ブレードを回転可能に備えた切削手段と、該保持手段と該切削手段とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段と、該保持手段と該加工手段とをX軸方向に直交するY軸方向に相対的に割り出し送りするY軸送り手段と、該保持手段に保持されたウエーハを撮像して加工すべき領域を撮像する撮像手段と、制御手段とを含み構成されていて、該ウエーハを高精度に個々のデバイスチップに分割することができる(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
また、レーザー加工装置は、レーザー光線を照射するレーザー光線照射手段を上記の切削手段に置き換えて配設する点を除けば、略ダイシング装置と同様に構成され、ウエーハを高精度に個々のデバイスチップに分割することができる(例えば特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-26402号公報
【特許文献2】特開2004-322168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ダイシング装置を使用して分割予定ラインに沿って溝を形成する加工を実施する場合、最初に比較的幅の広い切削ブレードで分割予定ラインに沿って溝を形成し、その後、比較的幅の狭い切削ブレードを、幅の広い切削ブレードによって既に形成した溝の中央に位置付けて切削する場合がある。この場合、幅の広い切削溝の中央に幅の狭い切削溝が正確に形成されているか確認する必要があるが、アライメントで使用する撮像手段によって得られた画像情報からでは、幅の広い切削溝の中央に幅の狭い切削溝が正確に形成されているかを確認できないという問題がある。
【0007】
アライメントで使用する撮像手段を切削溝に位置付けて撮像した場合、幅の広い切削溝の縁部形状は確認できるものの、溝の内部はコントラストが不明確であることにより、幅の広い切削溝の内部に形成された幅の狭い切削溝が、該幅の広い切削溝の内部に埋もれてしまって、幅の狭い切削溝の形状や深さを確認することは困難である。
【0008】
このような問題は、上記したように、切削ブレードによって幅の広い切削溝を形成し、該切削溝の中央に幅の狭い切削ブレードによって幅の狭い切削溝を形成する場合に限定されず、例えば、ウエーハの分割予定ラインに積層されたLow-k膜(低誘電率絶縁体被膜)にレーザー光線を照射して溝を形成し、その後、溝の中央に切削ブレードを位置付けてウエーハを切削する場合、さらには、ウエーハを収容する開口部を備えた環状のフレームに該ウエーハを位置付けてテープを配設し、該ウエーハが該テープを介して該フレームに保持された状態で、ウエーハを切削ブレードにより個々のデバイスチップに分割すべく、該テープを該切削ブレードでハーフカットするように切り込み送りしてハーフカット溝を形成した場合に、該ハーフカット溝とテープとのコントラストが不明確で分割予定ラインに対応しているか、適切な深さで形成されているか否かを確認する場合等にも生じ得る問題であり、被加工物に形成した加工痕の内部の形状や深さを正確に確認したい場合全般に言える問題である。
【0009】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、撮像手段で撮像される画像では、加工痕の内部のコントラストが不明確になるような場合であっても、該加工痕の内部の形状や深さを正確に確認することができる加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、被加工物に加工を施す加工装置であって、被加工物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物に加工を施す加工手段と、該保持手段と該加工手段とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段と、該保持手段と該加工手段とをX軸方向に直交するY軸方向に相対的に割り出し送りするY軸送り手段と、該保持手段に保持された被加工物の表面高さを検出するレーザー測長手段と、表示手段と、制御手段と、を含み構成され、該保持手段に保持された被加工物に該加工手段によって施された加工痕に該レーザー測長手段を位置付けてレーザー光線を照射すると共に、該X軸送り手段又はY軸送り手段を作動して加工痕の形状、深さを該表示手段に表示させる加工装置が提供される。
【0011】
該レーザー測長手段が照射するレーザー光線の繰り返し周波数をT[Hz]とし、X軸方向に加工送りする際の送り速度をV[mm/秒]とした場合、該制御手段は、V/Tの分解能で加工痕の幅と深さとの2次元画像を生成することができる。また、該制御手段は、割り出し送り量をWとし、該割り出し送り量W毎に2次元画像を生成して複数の該2次元画像を組み合わせることで、3次元画像を生成するようにしてもよい。さらには、該加工手段は、切削ブレードを回転可能に備えた切削手段であり、該加工痕は被加工物に施されたY軸方向に延在する切削溝であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の加工装置は、被加工物に加工を施す加工装置であって、被加工物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物に加工を施す加工手段と、該保持手段と該加工手段とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段と、該保持手段と該加工手段とをX軸方向に直交するY軸方向に相対的に割り出し送りするY軸送り手段と、該保持手段に保持された被加工物の表面高さを検出するレーザー測長手段と、表示手段と、制御手段と、を含み構成され、該保持手段に保持された被加工物に該加工手段によって施された加工痕に該レーザー測長手段を位置付けてレーザー光線を照射すると共に、該X軸送り手段又はY軸送り手段を作動して加工痕の形状、深さを該表示手段に表示させることから、撮像手段によって撮像しても切削溝の内部のコントラストが不明確で、該切削溝の内部の形状が明確に捉えられない場合であっても、切削溝の形状、深さを正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態のダイシング装置の全体斜視図である。
【
図2】
図1に示すダイシング装置に装着される切削手段を拡大して示す斜視図である。
【
図3】
図1に示すダイシング装置に装着されるレーザー測長手段により切削溝の形状、深さを検出する態様を示す斜視図である。
【
図4】(a)
図3に示すレーザー測長手段によって検出される幅の広い切削溝の2次元画像を示す概念図、(b)
図3に示すレーザー測長手段によって検出される複数の幅の広い切削溝の2次元画像を複数組み合わせて生成される3次元画像を示す概念図である。
【
図5】(a)
図3に示すレーザー測長手段によって検出される幅の狭い切削溝を含む切削溝の2次元画像を示す概念図、(b)(a)
図3に示すレーザー測長手段によって検出される複数の幅の狭い切削溝を含む切削溝の2次元画像を複数組み合わせて生成される3次元画像を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に基づいて構成される加工装置に係る実施形態について、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の加工装置の一つの実施形態として示すダイシング装置1の斜視図である。本実施形態のダイシング装置1は、図示のウエーハWを保持する保持手段7と、保持手段7に保持されたウエーハWに加工を施す加工手段として配設された切削手段8と、保持手段7と該切削手段8とを相対的にX軸方向に加工送りする図示を省略するX軸送り手段と、保持手段7と切削手段8とをX軸方向に直交するY軸方向に相対的に割り出し送りする図示を省略するY軸送り手段と、保持手段8に保持されたウエーハWの表面高さを検出するレーザー測長手段11と、表示手段14と、制御手段20と、を少なくとも含み構成される。
【0016】
ダイシング装置1は、略直方体形状のハウジング2を備え、ハウジング2のカセットテーブル3に載置されるカセット3aと、カセット3aからフレームFに保護テープPを介して支持された未加工のウエーハWを仮置きテーブル5に搬出する搬出入手段4と、仮置きテーブル5に搬出されたウエーハWを保持手段7のチャックテーブル7aに搬送する旋回アームを有する搬送手段6と、上記したチャックテーブル7a上に保持されたウエーハWを撮像し切削手段8よって切削すべき領域を検出するアライメントを実施するための撮像手段10と、
図1においてチャックテーブル7aが位置付けられた搬出入位置からウエーハWを洗浄装置12に搬送する洗浄搬出手段13と、を含む。レーザー測長手段11は、上記した撮像手段10に対しY軸方向に隣接して配設されており、チャックテーブル7aに保持されたウエーハWに対して所定の繰り返し周波数T(例えば5000Hz)のレーザー光線を照射して反射光を受光し、照射したレーザー光線と反射光の位相差によってウエーハWの表面Waの高さを計測する手段である。
【0017】
保持手段7を構成するチャックテーブル7aは、図示を省略する回転駆動手段によって回転駆動され、チャックテーブル7aの周囲には、上記したウエーハWを支持するフレームFを固定するためのクランプ7bが均等な間隔で複数(図示の実施形態では4つ)配設されている。
【0018】
ダイシング装置1には、上記したX軸送り手段、Y軸送り手段に加え、保持手段7と切削手段8とを相対的にX軸方向及びY軸方向に直交するZ軸方向(上下方向)に切り込み送りするZ軸送り手段と、が配設されている(いずれもハウジング2の内部に構成されており、図示されていない。)。該X軸送り手段は、該保持手段7をX軸方向に移動させる手段であり、Y軸送り手段及びZ軸送り手段は、切削手段8をY軸方向及びZ軸方向に移動させる手段である。
【0019】
図2には、
図1に示すダイシング装置1に配設された切削手段8の主要部を拡大して示している。切削手段8は、スピンドルハウジング82と、スピンドルハウジング82に回転自在に保持されたスピンドル83と、スピンドル83の先端部に固定された切削ブレード81と、切削ブレード81を保護する複数の部材により構成されたブレードカバー84とを備えている。ブレードカバー84には、切削ブレード81を挟み隣接するように一対の切削水供給ノズル85(反対側は見えていない)が配設されており、ブレードカバー84を介して導入される切削水を切削位置に向けて供給する。スピンドルハウジング82の他端側には図示を省略するモータ等の回転駆動源が収容されており、該回転駆動源はスピンドル83を回転させることで切削ブレード81を矢印R1で示す方向に回転させる。なお、図示はされていないが、上記した撮像手段10及びレーザー測長手段11は、スピンドルハウジング82に配設されており、切削手段8と一体的にY軸方向及びZ軸方向に移動させられる。
【0020】
本実施形態の切削ブレード81は、スピンドル83に対して着脱可能に構成され、本実施形態では、例えば、直径が50mm、厚みが50μmの環状の切り刃を有するダイヤモンド砥粒をレジンボンドで固定したブレード、または、直径が50mm、厚みが20μmの環状の切り刃を有するダイヤモンド砥粒をニッケルメッキで固定した電鋳ブレードから選択可能であり、以下に説明する切削加工を実施するに際しては、最初に、ウエーハWの表面WaのデバイスDが形成された層を切削するのに好適なダイヤモンド砥粒をレジンボンドで固定した厚みが50μmのブレードが切削ブレード81として選択されている。なお、本発明において選択される切削ブレード81の材質、寸法はこれに限定されるものではない。
【0021】
制御手段20は、コンピュータにより構成され、制御プログラムに従って演算処理する中央演算処理装置(CPU)と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)と、検出した検出値、演算結果等を一時的に格納するための読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)と、入力インターフェース、及び出力インターフェースとを備えている(詳細についての図示は省略する)。制御手段20は、上記したX軸送り手段、Y軸送り手段、Z軸送り手段、切削手段8、チャックテーブル7aの回転駆動手段、撮像手段10、レーザー測長手段11等が少なくとも接続され、制御手段20に記憶された複数の制御プログラムによって作動させられる。なお、
図1では、制御手段20が、説明の都合上、ハウジング2の外部に示されているが、実際はハウジング2の内部に配設される。
【0022】
本実施形態のダイシング装置1は、概ね上記したとおりの構成を備えており、このダイシング装置1の機能、作用効果について、
図1、2に加え、
図3~5を参照しながら説明する。
【0023】
上記したダイシング装置1の被加工物であるウエーハWは、例えばシリコンのウエーハであり、厚みが200μm、直径が300mmであって、
図2に示すように、複数のデバイスDが分割予定ラインLによって区画され表面Waに形成されたものであり、ウエーハWを収容可能な開口部Faを備えたフレームFの中央に位置付けられて、保護テープPを介して環状のフレームFに支持されている。
【0024】
上記したウエーハWは、カセット3aに複数収容されダイシング装置1に搬入される。ウエーハWを加工するに際しては、上記した搬出入手段4によってカセット3aから仮置きテーブル5上に搬出して位置合わせを行い、搬送手段6によってフレームFを吸引して、チャックテーブル7a上に搬送して載置し、上記したチャックテーブル7aに負圧を生成してウエーハWを吸引すると共に、クランプ7bによってフレームFを把持してウエーハWを保持する。
【0025】
上記したようにチャックテーブル7aにウエーハWを保持したならば、X軸送り手段を作動してウエーハWを撮像手段10の直下に位置付けて、ウエーハWの表面Waを撮像し該分割予定ラインLをX軸方向に整合させると共に、加工すべき分割予定ラインLの位置を検出する。そして、Y軸送り手段を作動して、ウエーハWの加工すべき所定の分割予定ラインLと切削手段8の切削ブレード81との位置合わせを実施する。
【0026】
次いで、上記したZ軸送り手段を作動して、
図2に示すように、X軸方向に整合させた分割予定ラインLに、矢印R1で示す方向に高速回転させた切削ブレード81を位置付けて、所定の深さ(例えば85μm)Z軸方向に切り込ませると共に、上記したX軸送り手段を作動して、ウエーハWをX軸方向に加工送りして切削溝100を形成する。さらに、Y軸送り手段を作動して、切削溝100を形成した分割予定ラインLとY軸方向で隣接し切削溝100が形成されていない未加工の分割予定ラインLとの間隔(例えば5mm)にしたがって切削手段8の切削ブレード81をY軸方向に割り出し送りして、未加工の分割予定ラインLに切削ブレード81を位置付けて、上記と同様にして切削溝100を形成する切削加工を実施する。これらを繰り返すことにより、X軸方向に沿うすべての分割予定ラインLに沿って切削溝100を形成する。次いで、ウエーハWを保持するチャックテーブル7aを90度回転し、先に切削溝100を形成した方向と直交する方向をX軸方向に整合させる。そして、上記した切削加工を、新たにX軸方向に整合させたすべての分割予定ラインLに対して実施することで、
図2の右下側に示すように、ウエーハWに形成されたすべての分割予定ラインLに沿って切削溝100を形成する。
【0027】
上記したように、ウエーハWの分割予定ラインLに沿って切削溝100を形成したならば、上記したレーザー測長手段11を使用して、切削溝100の表面高さ、すなわちその形状、深さを検出することができる。
【0028】
切削加工の加工痕である切削溝100の形状、深さを検出すべく、X軸送り手段を作動して、
図3に示すように、切削溝100が形成されたウエーハWを、上記したレーザー測長手段11側に移動し、レーザー測長手段11を、加工痕の形状、深さを検出するターゲット溝100’(図中破線で囲った領域に形成された切削溝100)上に位置付ける。本実施形態においては、該ターゲット溝100’は、Y軸方向に延在する切削溝100から選択される。該検出箇所は、ウエーハW上のデバイスDに対応して設定され、例えば、該ターゲット溝100’に沿う図中一番手前側のデバイスDの側方に設定される。次いで、レーザー測長手段11から、検出用のレーザー光線LBを照射すると共に、上記したX軸送り手段を作動して、レーザー光線LBがウエーハWのターゲット溝100’を跨ぐように、例えば100μmの範囲で反射光を受光し、該ターゲット溝100’の形状、深さを検出する。
【0029】
レーザー測長手段11から照射されるレーザー光線LBの繰り返し周波数Tは、上記したように5000Hzであり、X軸送り手段のX軸方向に加工送りする際の送り速度Vは10mm/秒に設定されていることから、検出分解能は、V/T=2μmであり、制御手段20は、100μmの検出範囲において、50ポイントで表面高さを検出することができる。そして、上記した検出範囲において該50ポイントにおける検出データから、
図4(a)に示すような、ターゲット溝100’の形状、深さを示す2次元画像G1を生成する。
図4(a)では、X軸にX軸方向の長さ寸法を示し、Z軸にZ軸方向の長さ寸法を示しており、ウエーハWの表面Waの高さを基準(0μm)として、ターゲット溝100’の形状、深さを示す2次元画像G1が生成されており、制御手段20を介して、表示手段14に表示される。図示のように、ターゲット溝100’の溝幅は、50μmであり、深さは85μmである。
【0030】
上記したように、2次元画像G1を生成したならば、Y軸送り手段を作動して、上記した切削手段8と共にレーザー光線11を、所定の割り出し送り量W、例えば100μm間隔で、矢印R2で示す方向(Y軸方向)に割り出し送りして、ターゲット溝100’においてレーザー測長手段11により形状及び深さを検出する位置を移動する。次いで、上記した2次元画像G1を検出したのと同様の手順により、レーザー光線LBがウエーハWのターゲット溝100’を跨ぐように、100μmの範囲で照射して反射光を受光し、ウエーハWの表面Waの高さを検出し、2次元画像G2を生成する。このような手順を繰り返すことで、所定の割り出し送り量W毎に複数の2次元画像を生成することができ、例えば
図4(b)に示すように、複数の2次元画像G1~G5を組み合わせることで、X軸、Y軸、Z軸方向の寸法に基づく3次元画像G0を生成し、表示手段14に表示することができる。
【0031】
上記したように、レーザー測長手段11によってウエーハWに形成されたターゲット溝100’の形状、深さを検出し、2次元画像G1~G5、3次元画像G0を生成し、表示手段14に表示させることで、切削ブレード81によって形成された切削溝100の品質を確認することができ、例えば、切削ブレード81の欠けや経年劣化等により、切削溝100が所望の寸法で生成されなかった場合には、即座に対処することが可能になる。
【0032】
上記したように、切り刃の厚みが50μmの切削ブレード81によって切削溝100が形成され、レーザー測長手段11によって、その形状、深さが検出されたならば、上記した洗浄搬送手段13によってチャックテーブル7aから洗浄装置12に搬送して、洗浄・乾燥処理が施され、その後、搬送手段6、搬出入手段4によって、カセット3の所定の位置に収容される。そして、上記したような加工処理をカセット3に収容された全てのウエーハWに対して実施する。その後、本実施形態のダイシング装置1においては、切削手段8に装着された50μmの厚みの切り刃を備えた切削ブレードを、シリコンウエーハを切削するのに好適なダイヤモンド砥粒をニッケルメッキで固定した厚みが20μmの電鋳ブレードに交換する。
【0033】
上記したように、切削ブレード81を、上記した20μmの厚みの切り刃を備えた切削ブレードに交換したならば、上記した切削加工と同様の手順を実施して、該切削溝100に沿って、幅の狭い切削溝を形成する。該幅の狭い切削溝の深さは、ウエーハWの表面Waから保護テープPをハーフカットする深さとなる220μmになるように設定され、先に形成した切削溝100の中央に形成されるように切削加工が実施される。該幅の狭い切削溝を形成する手順は、上記した幅の広い切削溝100を形成する手順と略同様であるので、詳細な手順については省略する。
【0034】
上記したように、幅の広い切削溝100に沿って幅の狭い切削溝を形成したならば、先に説明した幅の広い切削溝100の形状、深さを検出したのと同様の手順により、X軸送り手段を作動して、ウエーハWを、レーザー測長手段11側に移動し、レーザー測長手段11を、Y軸方向に延在する切削溝100から選択されたターゲット溝上の検出箇所に位置付ける。該ターゲット溝は、例えば、上記したターゲット溝100’でよい。該検出箇所は、ウエーハW上のデバイスDに対応して設定され、例えば、該ターゲット溝100’に沿う図中一番手前側のデバイスDの側方に設定される。次いで、上記したX軸送り手段を作動して、レーザー測長手段11から照射するレーザー光線LBが、幅の狭い切削溝が形成されたターゲット溝100’を跨ぐようにして、ウエーハWの表面Waの高さ、すなわちターゲット溝100’の形状、深さを検出する。
【0035】
上記した検出範囲において検出される50ポイントにおける検出データから、
図5(a)に示すような、狭い幅の切削溝110を含むターゲット溝100’の形状、深さの2次元画像H1を生成する。
図5(a)では、X軸にX軸方向の長さ寸法を示し、Z軸にZ軸方向の長さ寸法を示しており、このように生成された2次元画像H1は、制御手段20を介して、表示手段14に表示される。図示のように、ターゲット溝100’の溝幅は50μm、幅の狭い切削溝110の溝幅は20μm、深さは220μmであることが確認され、さらには、幅の狭い切削溝110が、幅の広い切削溝100の中央に形成されていることが確認される。
【0036】
上記したように、2次元画像H1を生成したならば、Y軸送り手段を作動して、切削手段8を、所定の割り出し送り量W、例えば100μm間隔でY軸方向に割り出し送りして、検出位置を移動する。次いで、上記した2次元画像H1を検出したのと同様の手順により、レーザー光線LBをウエーハWのターゲット溝100’を跨ぐように、100μmの範囲で照射して、反射光を受光し、ウエーハWの表面Waの高さ、すなわちターゲット溝100’の形状、深さを検出し、2次元画像H2を生成する。このような手順を繰り返すことで、所定の割り出し送り量W毎に複数の2次元画像H1~H5を生成することができ、
図5(b)に示すように、該2次元画像H1~H5を組み合わせることで、X軸、Y軸、Z軸方向の寸法に基づく3次元画像H0を、表示手段14に表示することができる。
【0037】
上記した実施形態によれば、撮像手段10によって撮像しても幅の広い切削溝100の内部のコントラストが不明確で、幅の広い切削溝100の内部に形成された幅の狭い切削溝110が明確に捉えられない場合であっても、上記したレーザー測長手段11を使用することで、幅の広い切削溝100の中央に幅の狭い切削溝110が形成されているか否かを確認することができる。
【0038】
また、図示は省略するが、分割予定ラインにLow-k膜が積層されたウエーハを加工対象とし、該ウエーハの分割予定ラインに積層されたLow-k膜をレーザー加工により除去して溝を形成し、その後、該溝の幅よりも狭い切削ブレードを該溝の中央に位置付けてウエーハを切削した場合にも、上記したレーザー測長手段11を使用することにより、該溝の形状、深さを表示手段14に表示して、該溝が所望の形状、深さで形成されているか否かを確認することができる。
【0039】
さらに、図示は省略するが、ウエーハを収容する開口部を備えた環状のフレームに該ウエーハを位置付けてテープを配設し、該ウエーハが該テープを介して該フレームに支持された状態で、ウエーハを切削ブレードにより切削して個々のデバイスチップに分割する際、該テープを該切削ブレードでハーフカットするように切り込み送りしてハーフカット溝を形成した場合に、該ハーフカット溝とテープとのコントラストが不明確であったとしても、上記したレーザー測長手段11を使用することにより、該ハーフカット溝が、分割予定ラインに沿って所望の形状、深さで形成されているか否かを確認することができる。
【0040】
なお、上記した実施形態では、レーザー測長手段11を使用して、切削溝100の形状、深さを検出する際に、ターゲット溝100’を、Y軸方向に延在する切削溝100から選択し、X軸送り手段を作動することにより、該切削溝100の形状、深さを検出するようにしたが、本発明はこれに限定されず、例えば、X軸方向に延在する切削溝100からターゲット溝を選択し、Y軸送り手段を作動して、レーザー測長手段11からレーザー光線LBを照射して、切削溝100の形状、深さを検出することもできる。ただし、Y軸送り手段を作動する場合、レーザー測長手段11から照射されるレーザー光線LBが、Y軸送り手段を作動する駆動機構の振動等によりブレる可能性があるため、ターゲット溝100’は、Y軸方向に延在する切削溝100から選択することが好ましい。
【符号の説明】
【0041】
1:ダイシング装置
2:ハウジング
3:カセット
4:搬出入手段
5:仮置テーブル
6:搬送手段
7:保持手段
7a:チャックテーブル
7b:クランプ
8:切削手段
81:切削ブレード
82:スピンドルハウジング
83:スピンドル
84:ブレードカバー
85:切削水供給ノズル
10:撮像手段
11:レーザー測長手段
12:洗浄装置
13:洗浄搬送手段
14:表示手段
20:制御手段
100:切削溝
110:切削溝
F:フレーム
P:保護テープ
W:ウエーハ