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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023557
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/013 20120101AFI20250207BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20250207BHJP
   B24B 37/30 20120101ALI20250207BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20250207BHJP
   B24B 37/005 20120101ALI20250207BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20250207BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
B24B37/013
B24B37/10
B24B37/30 E
B24B49/12
B24B37/005 Z
B24B55/06
H01L21/304 622S
H01L21/304 622R
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127806
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】木下 将毅
(72)【発明者】
【氏名】塩川 陽一
(72)【発明者】
【氏名】田上 景太
【テーマコード(参考)】
3C034
3C047
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034BB93
3C034CA02
3C034CA22
3C034CB03
3C034CB14
3C034DD10
3C047FF08
3C047FF19
3C047HH11
3C158AA07
3C158AB04
3C158AC02
3C158AC04
3C158AC05
3C158BA07
3C158BB02
3C158BB06
3C158BB08
3C158BC01
3C158BC02
3C158CB01
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158EB14
3C158EB15
5F057AA20
5F057AA21
5F057BA13
5F057BA15
5F057CA12
5F057DA03
5F057DA26
5F057DA29
5F057EB11
5F057FA36
5F057FA45
5F057GA01
5F057GA12
5F057GA27
5F057GB02
5F057GB13
5F057GB20
(57)【要約】
【課題】研磨液の砥粒やワークピースの研磨屑が光学センサヘッドに付着すること防ぎ、ワークピースの膜厚の測定精度を向上させることができる研磨装置を提供する。
【解決手段】研磨装置は、通孔4が形成された研磨パッド2を支持する研磨テーブル3と、研磨テーブル3に取り付けられた光学センサヘッド25を有する光学膜厚測定システム20と、通孔4に透明液を供給する透明液流入路50と、通孔4に連通する投光側透明液流出路51および受光側透明液流出路52を備える。光学センサヘッド25は、光を斜め上方に発する投光面71と、ワークピースWからの反射光を受ける受光面72を有しており、投光面71は投光側透明液流出路51に面しており、受光面72は受光側透明液流出路28に面している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通孔が形成された研磨パッドを支持する研磨テーブルと、
ワークピースを前記研磨パッドに押し付ける研磨ヘッドと、
前記研磨テーブルに取り付けられた光学センサヘッドを有する光学膜厚測定システムと、
前記通孔に透明液を供給する透明液流入路と、
前記通孔に連通する投光側透明液流出路および受光側透明液流出路を備え、
前記光学センサヘッドは、光を斜め上方に発する投光面と、前記ワークピースからの反射光を受ける受光面を有しており、
前記投光面は前記投光側透明液流出路に面しており、前記受光面は前記受光側透明液流出路に面している、研磨装置。
【請求項2】
前記投光面および前記受光面は、斜め上方を向いている、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記投光面は前記投光側透明液流出路内に位置し、前記受光面は前記受光側透明液流出路内に位置している、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記透明液流入路は、前記投光側透明液流出路と前記受光側透明液流出路との間に位置している、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記投光側透明液流出路および前記受光側透明液流出路は、前記透明液流入路に関して対称に配置されている、請求項4に記載の研磨装置。
【請求項6】
前記透明液流入路は、透明液供給源に連結されており、前記透明液供給源は、純水供給源または薬液供給源である、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項7】
前記透明液流入路を流れる前記透明液に超音波を印加する超音波振動子をさらに備えている、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項8】
前記透明液流入路に連結された流量調節弁と、
前記流量調節弁の動作を制御する動作制御部をさらに備え、
前記動作制御部は、前記ワークピースの研磨中において前記ワークピースが前記通孔上にあるときに前記流量調節弁に指令を与えて前記透明液を第1の流量で前記通孔に供給させ、前記ワークピースの研磨中において前記ワークピースが前記通孔上にないときに前記流量調節弁に指令を与えて前記透明液を第2の流量で前記通孔に供給させるように構成されており、前記第2の流量は前記第1の流量よりも小さい、請求項1に記載の研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハ、配線基板、角基板などのワークピースを研磨するための技術に関し、特にワークピースを研磨するための研磨パッドの通孔を通じて光をワークピースに導き、ワークピースからの反射光のスペクトルに基づいてワークピースの膜厚を測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程では、ウェーハ等のワークピースの表面を研磨する化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)装置が使用されている。CMP装置は、研磨パッドが貼り付けられた研磨テーブルと、ワークピースを研磨パッドの研磨面に押し付けるための研磨ヘッドを備えている。CMP装置は、研磨液(例えば、スラリー)を研磨パッド上に供給しながら、研磨ヘッドによりワークピースを研磨パッドの研磨面に押し付けて、ワークピースの表面と研磨パッドの研磨面を摺接させる。ワークピースの表面は、研磨液の化学的作用と、研磨液に含まれる砥粒および/または研磨パッドの機械的作用によって研磨される。
【0003】
ワークピースの研磨は、その表面を構成する膜(絶縁膜、シリコン層など)の厚さが目標膜厚に達したときに終了される。研磨装置は、ワークピースの膜厚を測定するために、光学膜厚測定システムを備える。光学膜厚測定システムは、研磨テーブル内に配置された光学センサヘッドにより、ワークピースに光を照射し、ワークピースからの反射光を受け、反射光の強度から反射光のスペクトルを生成し、反射光のスペクトルに基づいて、ワークピースの膜厚を決定するように構成される。
【0004】
光学膜厚測定システムによる膜厚測定を安定させるためには、光の経路が清浄に保たれていることが必要である。例えば、特許文献1には、光の経路を透明液により満たすことで研磨液や研磨屑の侵入を制限することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-197587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、研磨液に含まれる砥粒やワークピースの研磨屑は、通常、透明液よりも大きな比重を有しており、砥粒および研磨屑が光学センサヘッドに付着することがある。砥粒および研磨屑が光学センサヘッドに付着すると、ワークピースからの反射光の強度の測定値が低下し、光学膜厚測定システムは膜厚を正確に測定することができない。
【0007】
そこで、本発明は、研磨液の砥粒やワークピースの研磨屑が光学センサヘッドに付着すること防ぎ、ワークピースの膜厚の測定精度を向上させることができる研磨装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、通孔が形成された研磨パッドを支持する研磨テーブルと、ワークピースを前記研磨パッドに押し付ける研磨ヘッドと、前記研磨テーブルに取り付けられた光学センサヘッドを有する光学膜厚測定システムと、前記通孔に透明液を供給する透明液流入路と、前記通孔に連通する投光側透明液流出路および受光側透明液流出路を備え、前記光学センサヘッドは、光を斜め上方に発する投光面と、前記ワークピースからの反射光を受ける受光面を有しており、前記投光面は前記投光側透明液流出路に面しており、前記受光面は前記受光側透明液流出路に面している、研磨装置が提供される。
【0009】
一態様では、前記投光面および前記受光面は、斜め上方を向いている。
一態様では、前記投光面は前記投光側透明液流出路内に位置し、前記受光面は前記受光側透明液流出路内に位置している。
一態様では、前記透明液流入路は、前記投光側透明液流出路と前記受光側透明液流出路との間に位置している。
一態様では、前記投光側透明液流出路および前記受光側透明液流出路は、前記透明液流入路に関して対称に配置されている。
一態様では、前記透明液流入路は、透明液供給源に連結されており、前記透明液供給源は、純水供給源または薬液供給源である。
一態様では、前記透明液流入路を流れる前記透明液に超音波を印加する超音波振動子をさらに備えている。
一態様では、前記研磨装置は、前記透明液流入路に連結された流量調節弁と、前記流量調節弁の動作を制御する動作制御部をさらに備え、前記動作制御部は、前記ワークピースの研磨中において前記ワークピースが前記通孔上にあるときに前記流量調節弁に指令を与えて前記透明液を第1の流量で前記通孔に供給させ、前記ワークピースの研磨中において前記ワークピースが前記通孔上にないときに前記流量調節弁に指令を与えて前記透明液を第2の流量で前記通孔に供給させるように構成されており、前記第2の流量は前記第1の流量よりも小さい。
【発明の効果】
【0010】
透明液供給路から研磨パッドの通孔内に供給された透明液は、投光側透明液流出路および受光側透明液流出路に向かう流れを形成する。光学センサヘッドの投光面および受光面は、投光側透明液流出路および受光側透明液流出路にそれぞれ面しているので、投光側透明液流出路および受光側透明液流出路内の透明液の流れは、光学センサヘッドの投光面および受光面に接触し、投光面および受光面を洗浄することができる。光学センサヘッドは、光をワークピースに導き、ワークピースからの反射光を受け、光学膜厚測定システムは、ワークピースからの反射光の強度に基づいて、ワークピースの膜厚を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】研磨装置の一実施形態を示す模式図である。
図2】光学膜厚測定システムの詳細な構成を示す断面図である。
図3】光学センサヘッド、透明液流入路、投光側透明液流出路、および受光側透明液流出路の一実施形態を示す拡大断面図である。
図4】研磨装置の他の実施形態を示す拡大断面図である。
図5】研磨装置のさらに他の実施形態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、研磨装置の一実施形態を示す模式図である。図1に示すように、研磨装置は、通孔4が形成された研磨パッド2と、研磨パッド2を支持する研磨テーブル3と、ワークピースWを研磨パッド2に押し付ける研磨ヘッド1と、研磨テーブル3を回転させるテーブルモータ6と、研磨パッド2上にスラリーなどの研磨液を供給するための研磨液供給ノズル5と、研磨装置の動作を制御するための動作制御部9を備えている。
【0013】
研磨パッド2の上面は、ワークピースWを研磨する研磨面2aを構成する。通孔4は、研磨パッド2を貫通している。ワークピースWは、その表面を構成する膜を有する。研磨対象のワークピースWの例としては、半導体デバイスの製造に使用されるウェーハ、配線基板、角基板などが挙げられる。
【0014】
研磨ヘッド1はヘッドシャフト10に連結されており、ヘッドシャフト10は研磨ヘッド回転装置15に連結されている。研磨ヘッド回転装置15は、研磨ヘッド1をヘッドシャフト10とともに矢印で示す方向に回転させるように構成されている。研磨ヘッド回転装置15の構成は特に限定されないが、一例では、研磨ヘッド回転装置15は、電動機、ベルト、プーリなどを備えている。研磨テーブル3はテーブルモータ6に連結されており、テーブルモータ6は研磨テーブル3および研磨パッド2を矢印で示す方向に回転させるように構成されている。研磨ヘッド1、研磨ヘッド回転装置15、およびテーブルモータ6は動作制御部9に電気的に接続されている。
【0015】
ワークピースWは次のようにして研磨される。テーブルモータ6および研磨ヘッド回転装置15は、研磨テーブル3および研磨ヘッド1を図1の矢印で示す方向に回転させながら、研磨液が研磨液供給ノズル5から研磨テーブル3上の研磨パッド2の研磨面2aに供給される。ワークピースWは研磨ヘッド1によって回転されながら、研磨パッド2上に研磨液が存在した状態でワークピースWは研磨ヘッド1によって研磨パッド2の研磨面2aに押し付けられる。ワークピースWの表面は、研磨液の化学的作用と、研磨液に含まれる砥粒および/または研磨パッド2の機械的作用により研磨される。
【0016】
動作制御部9は、プログラムが格納された記憶装置9aと、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する演算装置9bを備えている。動作制御部9は、少なくとも1台のコンピュータから構成される。記憶装置9aは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの主記憶装置と、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などの補助記憶装置を備えている。演算装置9bの例としては、CPU(中央処理装置)、GPU(グラフィックプロセッシングユニット)が挙げられる。ただし、動作制御部9の具体的構成はこれらの例に限定されない。
【0017】
研磨装置は、ワークピースWの膜厚を測定する光学膜厚測定システム20を備えている。光学膜厚測定システム20は、光を発する光源22と、光源22の光をワークピースWに照射し、ワークピースWからの反射光を受ける光学センサヘッド25と、光学センサヘッド25に連結された分光器23と、ワークピースWからの反射光のスペクトルに基づいてワークピースWの膜厚を決定するスペクトル処理部30を備えている。光学センサヘッド25は、研磨テーブル3に取り付けられており、研磨テーブル3とともに回転する。
【0018】
スペクトル処理部30は、プログラムが格納された記憶装置30aと、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する演算装置30bを備えている。スペクトル処理部30は、少なくとも1台のコンピュータから構成される。記憶装置30aは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの主記憶装置と、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などの補助記憶装置を備えている。演算装置30bの例としては、CPU(中央処理装置)、GPU(グラフィックプロセッシングユニット)が挙げられる。ただし、スペクトル処理部30の具体的構成はこれらの例に限定されない。
【0019】
動作制御部9およびスペクトル処理部30のそれぞれは、複数のコンピュータから構成されてもよい。例えば、動作制御部9およびスペクトル処理部30のそれぞれは、エッジサーバおよびクラウドサーバの組み合わせから構成されてもよい。一実施形態では、動作制御部9およびスペクトル処理部30は、1台のコンピュータから構成されてもよい。
【0020】
図2は、光学膜厚測定システム20の詳細な構成を示す断面図である。光学センサヘッド25は、研磨テーブル3内に配置されており、光源22および分光器23は研磨テーブル3に取り付けられている。光学センサヘッド25、光源22、および分光器23は、研磨テーブル3および研磨パッド2とともに一体に回転する。光学センサヘッド25の位置は、研磨テーブル3および研磨パッド2が一回転するたびに研磨パッド2上のワークピースWの表面を横切る位置である。光学センサヘッド25は、光源22および分光器23に接続されており、分光器23はスペクトル処理部30に接続されている。
【0021】
光学膜厚測定装置20は、光源22から発せられた光をワークピースWの表面に導く投光用光ファイバーケーブル27と、ワークピースWからの反射光を受け、反射光を分光器23に送る受光用光ファイバーケーブル28を備えている。投光用光ファイバーケーブル27の端部27aおよび受光用光ファイバーケーブル28の端部28aは、光をワークピースWの表面に導き、かつワークピースWからの反射光を受ける光学センサヘッド25を構成する。投光用光ファイバーケーブル27の他端は光源22に接続され、受光用光ファイバーケーブル28の他端は分光器23に接続されている。分光器23は、ワークピースWからの反射光を波長に従って分解し、所定の波長範囲に亘って反射光の強度を測定するように構成されている。
【0022】
投光用光ファイバーケーブル27の端部27aおよび受光用光ファイバーケーブル28の端部28aから構成される光学センサヘッド25は、研磨パッド2の通孔4の下方に位置しており、通孔4を向いている。光源22により発せられた光は、投光用光ファイバーケーブル27を通り、光学センサヘッド25から通孔4を通ってワークピースWに導かれる。ワークピースWからの反射光は、通孔4を通って光学センサヘッド25によって受けられ、受光用光ファイバーケーブル28を通じて分光器23に送られる。分光器23は、反射光をその波長に従って分解し、各波長での反射光の強度を測定することで反射光の強度測定データを生成する。反射光の強度測定データは、分光器23からスペクトル処理部30に送られる。
【0023】
スペクトル処理部30は、反射光の強度測定データから、ワークピースWからの反射光のスペクトルを生成するように構成されている。反射光のスペクトルは、反射光の波長と強度との関係を示す線グラフ(すなわち分光波形)として表される。反射光の強度は、反射率または相対反射率などの相対値として表わすこともできる。
【0024】
スペクトル処理部30は、反射光のスペクトルに基づいてワークピースWの膜厚を決定するように構成されている。スペクトルに基づいてワークピースWの膜厚を決定する方法には、公知の方法が使用される。例えば、スペクトル処理部30は、反射光のスペクトルに最も形状が近い参照スペクトルを参照スペクトルライブラリの中から決定し、この決定された参照スペクトルに関連付けられた膜厚を決定する。他の例では、スペクトル処理部30は、反射光のスペクトルに対してフーリエ変換を実行し、得られた周波数スペクトルから膜厚を決定する。
【0025】
研磨テーブル3は、通孔4に連通する透明液流入路50、投光側透明液流出路51、および受光側透明液流出路52を有する。透明液流入路50、投光側透明液流出路51、および受光側透明液流出路52は、研磨テーブル3内に設けられており、研磨テーブル3と一体に回転する。研磨装置1は、透明液流入路50に連結された透明液供給ライン35と、投光側透明液流出路51および受光側透明液流出路52に連結された透明液排出ライン36と、透明液供給ライン35に連結された供給ポンプ37および流量調節弁41を備えている。
【0026】
透明液供給ライン35の一端は透明液流入路50に連結され、他端は透明液供給源55に連結されている。透明液流入路50は、透明液供給ライン35と一体に構成されてもよい。透明液供給源55の例としては、透明液として純水を供給する純水供給源が挙げられる。透明液である純水は、透明液供給ライン35および透明液流入路50を通って研磨パッド2の通孔4内に供給される。
【0027】
研磨パッド2の通孔4内に供給された純水は、投光側透明液流出路51および受光側透明液流出路52を通って通孔4から排出され、さらに透明液排出ライン36を通って排出される。投光側透明液流出路51および受光側透明液流出路52は、透明液排出ライン36と一体に構成されてもよい。
【0028】
一実施形態では、透明液は、光の透過を妨げない限り、純水以外の液体であってもよい。供給ポンプ37は、透明液供給ライン35を流れる純水を加圧するように構成されている。供給ポンプ37によって加圧された純水は、透明液供給ライン35および透明液流入路50を通じて通孔4に供給される。
【0029】
流量調節弁41は、電動弁、電磁弁、またはエアオペレート弁などのアクチュエータ駆動型弁である。流量調節弁41は、動作制御部9に電気的に接続されており、流量調節弁41の動作は、動作制御部9により制御される。
【0030】
図3は、光学センサヘッド25、透明液流入路50、投光側透明液流出路51、および受光側透明液流出路52の一実施形態を示す拡大断面図である。図3に示すように、投光用光ファイバーケーブル27の端部27aおよび受光用光ファイバーケーブル28の端部28aから構成される光学センサヘッド25は、研磨パッド2の通孔4の下方に位置している。投光用光ファイバーケーブル27の端部27aは、上方に傾斜しており、受光用光ファイバーケーブル28の端部28aも、同じ角度で上方に傾斜している。
【0031】
光学センサヘッド25は、光を発する投光面71と、ワークピースWからの反射光を受ける受光面72を有する。本実施形態では、投光面71は、投光用光ファイバーケーブル27の先端面から構成され、受光面72は、受光用光ファイバーケーブル28の先端面から構成されている。一実施形態では、投光面71および受光面72は、投光用光ファイバーケーブル27および受光用光ファイバーケーブル28の先端面に対向して配置されたレンズまたはガラスまたは鏡などの光学要素から構成されてもよい。
【0032】
投光面71および受光面72は、同じ角度で斜め上方を向いている。より具体的には、投光面71および受光面72は、研磨パッド2上のワークピースWの表面上の同じ測定点MPを向いている。したがって、光学センサヘッド25の投光面71は、斜め上方に光を発し、ワークピースWの表面上の測定点MPに光を導く。測定点MPからの反射光は、光学センサヘッド25の受光面72に向かって斜め下方に進行し、受光面72に入射する。
【0033】
透明液流入路50、投光側透明液流出路51、および受光側透明液流出路52の上端は、研磨テーブル3の上面で開口し、通孔4に連通している。透明液流入路50、投光側透明液流出路51、および受光側透明液流出路52は、研磨テーブル3の上面から下方に延びている。透明液流入路50は透明液供給ライン35に連結され、投光側透明液流出路51および受光側透明液流出路52は透明液排出ライン36に連結されている。
【0034】
ワークピースWの研磨中、通孔4は透明液である純水で満たされている。投光用光ファイバーケーブル27の端部27aおよび受光用光ファイバーケーブル28の端部28aから構成される光学センサヘッド25から発せられた光は、通孔4を満たす純水を通過して、研磨パッド2上のワークピースWに照射される。ワークピースWからの反射光は、通孔4を満たす純水を通過して、光学センサヘッド25によって受けられる。
【0035】
光学センサヘッド25を構成する投光用光ファイバーケーブル27の端部27aは、投光側透明液流出路51に接続されており、光学センサヘッド25の投光面71は、投光側透明液流出路51に面している。光学センサヘッド25を構成する受光用光ファイバーケーブル28の端部28aは、受光側透明液流出路52に接続されており、光学センサヘッド25の受光面72は、受光側透明液流出路52に面している。
【0036】
透明液流入路50は、ワークピースWの測定点MP(すなわち、光学センサヘッド25からの光の照射点)の直下に位置している。透明液流入路50は、投光側透明液流出路51と受光側透明液流出路52との間に位置しており、透明液としての純水は透明液流入路50から上方に流れる。投光側透明液流出路51および受光側透明液流出路52は、透明液流入路50に関して対称に配置されている。
【0037】
透明液である純水は、透明液流入路50から通孔4に流入し、研磨パッド2上のワークピースWの表面上の測定点MPに向かって流れる。純水は、通孔4内で方向を変えて、投光側透明液流出路51および受光側透明液流出路52内に流入する。投光側透明液流出路51および受光側透明液流出路52内の純水の流れは、光学センサヘッド25の投光面71および受光面72に接触し、研磨液に含まれる砥粒およびワークピースWの研磨屑が投光面71および受光面72に付着することを防止することができる。したがって、光学センサヘッド25の投光面71および受光面72を清浄に保つことができる。
【0038】
光学センサヘッド25の受光面72は、ワークピースWの測定点MPからの反射光を受ける。光学膜厚測定システム20は、ワークピースWからの反射光の強度に基づいて、ワークピースWの測定点MPでの膜厚を正確に測定することができる。
【0039】
図3に示す実施形態では、純水の流れによる光学センサヘッド25の投光面71および受光面72の洗浄効果を向上させるために、投光用光ファイバーケーブル27の端部27aは、投光側透明液流出路51内に突出しており、光学センサヘッド25の投光面71は投光側透明液流出路51内に位置している。同様に、受光用光ファイバーケーブル28の端部28aは、受光側透明液流出路52内に突出しており、光学センサヘッド25の受光面72は受光側透明液流出路52内に位置している。純水は、投光側透明液流出路51および受光側透明液流出路52内で速い流れを形成し、この純水の流れにより、光学センサヘッド25の投光面71および受光面72の清浄度を維持することができる。
【0040】
ワークピースWの研磨中は、流量調節弁41は開かれており、透明液としての純水は透明液供給ライン35および透明液流入路50を通じて通孔4内に供給される。ワークピースWの研磨中は、研磨パッド2は、研磨テーブル3とともに回転するのに対して、研磨ヘッド1に保持されたワークピースWは、研磨テーブル3とともには回転しないので、ワークピースWが通孔4上にある時間と、ワークピースWが通孔4上にない時間が存在する。すなわち、研磨パッド2および研磨テーブル3が回転しながら、ワークピースWは通孔4を周期的に覆う。
【0041】
流量調節弁41は、透明液供給ライン35を介して透明液流入路50に連結されている。この流量調節弁41は、通孔4内に供給される純水の流量を調節することができる。流量調節弁41の動作は動作制御部9によって制御される。一実施形態では、ワークピースWの研磨中、通孔4内に供給される純水の流量は、流量調節弁41により一定に維持される。他の実施形態では、動作制御部9は、ワークピースWの研磨中においてワークピースWが通孔4上にあるときに、流量調節弁41に指令を与えて純水を第1の流量で通孔4に供給させ、ワークピースWの研磨中においてワークピースWが通孔4上にないときに、流量調節弁41に指令を与えて、純水を第1の流量よりも小さい第2の流量で通孔4に供給させるように構成されている。
【0042】
ワークピースWが通孔4上にあるとき、通孔4はワークピースWにより閉じられる。したがって、純水を第2の流量よりも大きい第1の流量で通孔4に供給することで、純水の速い流れを投光側透明液流出路51および受光側透明液流出路52に形成することができる。この純水の速い流れは、光学センサヘッド25の投光面71および受光面72の洗浄効果を向上させることができる。
【0043】
図3に示す実施形態では、光学センサヘッド25の投光面71および受光面72は、研磨パッド2よりも下方に位置している。一実施形態では、図4に示すように、研磨テーブル3は、研磨パッド2の通孔4内に位置する突出部3aを有し、光学センサヘッド25の投光面71および受光面72、透明液流入路50の上端、投光側透明液流出路51および受光側透明液流出路52の上端は、突出部3a内に位置してもよい。突出部3aは、上方に突出し、通孔4の下部に嵌合している。透明液流入路50、投光側透明液流出路51、および受光側透明液流出路52は、突出部3aの上面で開口している。
【0044】
図4に示す実施形態は、光学センサヘッド25の投光面71および受光面72は、投光側透明液流出路51および受光側透明液流出路52内に位置している点では、図3に示す実施形態と同じであるが、光学センサヘッド25の投光面71および受光面72は、研磨パッド2内に位置している点で異なっている。
【0045】
図4に示す実施形態においても、投光側透明液流出路51および受光側透明液流出路52内の純水の流れは、光学センサヘッド25の投光面71および受光面72に接触し、研磨液に含まれる砥粒およびワークピースWの研磨屑が投光面71および受光面72に付着することを防止することができる。したがって、光学センサヘッド25の投光面71および受光面72を清浄に保つことができる。
【0046】
図5は、研磨装置のさらに他の実施形態を示す拡大断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図1乃至図3を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0047】
図5に示す実施形態では、研磨装置は、透明液流入路50を流れる透明液としての純水に超音波を印加する超音波振動子80を備えている。超音波振動子80は、研磨テーブル3内に設置されており、透明液流入路50に隣接している。
【0048】
本実施形態によれば、超音波振動子80によって超音波が印加された純水は通孔4を満たし、その後、投光側透明液流出路51および受光側透明液流出路52を流れ、光学センサヘッド25の投光面71および受光面72を効果的に洗浄することができる。超音波振動子80は、図4を参照して説明した実施形態にも適用することができる。
【0049】
一実施形態では、透明液供給源55(図2参照)は、純水供給源に代えて、薬液供給源であってもよい。透明液は、純水に代えて、透明な薬液が使用される。薬液の例としては、エッチング作用のある水酸化カリウム(KOH)溶液が挙げられる。
【0050】
透明液として薬液を使用する場合には、薬液がワークピースWの研磨中に研磨パッド2上に流れることを防止するために、光学センサヘッド25の投光面71および受光面72の洗浄は、ワークピースWの研磨前または研磨後に行われてもよい。
【0051】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0052】
W ワークピース
1 研磨ヘッド
2 研磨パッド
2a 研磨面
3 研磨テーブル
4 通孔
5 研磨液供給ノズル
6 テーブルモータ
9 動作制御部
10 ヘッドシャフト
15 研磨ヘッド回転装置
20 光学膜厚測定システム
22 光源
23 分光器
25 光学センサヘッド
27 投光用光ファイバーケーブル
28 受光用光ファイバーケーブル
30 スペクトル処理部
35 透明液供給ライン
36 透明液排出ライン
37 供給ポンプ
41 流量調節弁
50 透明液流入路
51 投光側透明液流出路
52 受光側透明液流出路
71 投光面
72 受光面
80 超音波振動子
図1
図2
図3
図4
図5