(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023786
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】回転コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
H01R 35/04 20060101AFI20250207BHJP
【FI】
H01R35/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023204050
(22)【出願日】2023-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2023128118
(32)【優先日】2023-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】山越 健司
(72)【発明者】
【氏名】竿谷 尚志
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 博文
(57)【要約】
【課題】回転軸に対して何れかの方向において、占有領域を削減し得る回転コネクタ装置を提供する。
【解決手段】本発明の回転コネクタ装置は、平面視で、周方向における一部の領域A2において、他の領域の少なくとも一部B2を円弧とする円21aの半径rより、当該円弧の中心Oからの距離d1~d3が短い筒状の固定体21と、固定体21の内側であって、円21aと同心円の円筒状の外周面を有し、回転可能に取り付けられる円筒状の回転体22と、固定体21の内周面と回転体22の外周面との間の収容空間Sに収容され、かつ回転体22を中心に巻かれる1つ以上のフラットケーブル23a~23cと、を備え、フラットケーブル23a~23cが、回転体22に対して一方向に巻かれ、かつ固定体21に対して他方向に巻かれるとともに回転方向が反転する反転部23Ra~23Rcを有し、反転部23Ra~23Rcは回転体22の回転に応じて移動可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で、周方向における一部の領域において、他の領域の少なくとも一部を円弧とする円の半径より、当該円弧の中心からの距離が短い筒状の内周面を有する固定体と、
前記固定体の内側であって、前記円と同心円の円筒状の外周面を有し、回転可能に取り付けられる円筒状の回転体と、
前記固定体の内周面と前記回転体の外周面との間の収容空間に収容され、かつ前記回転体を中心に巻かれる1つ以上のフラットケーブルと、
を備え、
前記フラットケーブルが、前記回転体に対して一方向に巻かれ、かつ前記固定体に対して他方向に巻かれるとともに、一方向に巻かれる回転方向と他方向に巻かれる回転方向とが反転する反転部を有し、
前記反転部は、前記回転体の回転に応じて、移動可能である、回転コネクタ装置。
【請求項2】
前記フラットケーブルとともに、前記回転体に対して一方向に巻かれ、かつ前記固定体に対して他方向に巻かれ、一方向に巻かれる回転方向と他方向に巻かれる回転方向とが反転するダミーケーブル反転部を有し、前記ダミーケーブル反転部が前記回転体の回転に応じて移動可能な1つ以上のダミーケーブルを備える、請求項1に記載の回転コネクタ装置。
【請求項3】
前記収容空間に、
前記フラットケーブルのエッジに少なくとも一部が当接するリング部と、
前記フラットケーブルにおける、前記回転体の前記円筒部に巻かれた領域を円弧状に囲うように前記リング部から立設する第1のリブと、
前記フラットケーブルうちの少なくとも1つのフラットケーブルにおける前記反転部の内側に位置し、軸が前記リング部に回転自在に固定される円柱体と、
内側に前記円柱体が位置する前記反転部の外側に位置し、前記円柱体の周面に倣った円弧状で、前記フラットケーブルを挟んで前記円柱体に対向するように前記リング部から立設する第2のリブと、
を備える、請求項1に記載の回転コネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車に搭載されているステアリングには、中立位置から時計回りと反時計回りとにそれぞれ2.5回転程度に回転することが要求されている。それに伴い、ステアリングと車両とを結ぶ回転コネクタ装置についても、中立位置から時計回りと反時計回りとにそれぞれ2.5回転程度に回転することが要求されている。
【0003】
ところで、ステアリングとタイヤとを機械的につながずに、電気信号でタイヤ角を制御するシステムであるステアバイワイヤが近年注目されている。ステアバイワイヤでは、ステアリングに要求される回転数が中立位置から時計回りと反時計回りとにそれぞれ0.5~0.8回転程度である。そのため、ステアリングとタイヤとを機械的につなぐシステムに採用される回転コネクタ装置と異なり、ステアバイワイヤのステアリング回転数減に対応した回転コネクタ装置が望まれる。
【0004】
例えば、マルチテープUターンタイプの回転コネクタ装置の一例として、特許文献1には、主に、筒状の固定部材と、固定部材の内側であって、回転可能に取り付けられる円筒状の回転部材と、固定部材と回転部材との間に形成された環状の空間に配置される、第1のフラットケーブルと、第2のフラットケーブルと、移動部材と、第1の接触部材と、第2の接触部材とを備える継電装置が記載されている。特許文献1の継電装置において、第1のフラットケーブルは、巻き方向を反転させた第1の反転部を境に正方向の空間の内周から逆方向の空間の外周に巻かれ、第2のフラットケーブルは、巻き方向を反転させた第2の反転部を境に逆方向の空間の内周から正方向の空間の外周に巻かれる。また、移動部材は、回転部材の回転に応じて空間を移動する。第1の接触部材は、移動部材に配置され、回転部材が逆方向に回転する場合、第1のフラットケーブルが内周に巻き付けられることによる第1の反転部の接触により移動部材を逆方向に移動させる。また、第2の接触部材は、移動部材に配置され、回転部材が正方向に回転する場合、第2のフラットケーブルが内周に巻き付けられることによる第2の反転部の接触により移動部材を正方向に移動させる。
【0005】
特許文献1を含めたマルチテープUターンタイプの回転コネクタ装置の従来技術では、回転コネクタ装置の筐体内部にフラットケーブルを周回動するための環状空間(収容空間)が全周に等間隔で設けられている。そのため、自動車のインパネ周りの特にステアリングホイール周辺には、回転コネクタ装置のための所定の領域を確保しなければならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、回転コネクタ装置の回転軸に対して少なくとも何れかの方向において、回転コネクタ装置のために確保する領域を削減し得る回転コネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、以下の本発明の態様により達成される。即ち、本発明の一態様である回転コネクタ装置は、平面視で、周方向における一部の領域において、他の領域の少なくとも一部を円弧とする円の半径より、当該円弧の中心からの距離が短い筒状の内周面を有する固定体と、
前記固定体の内側であって、前記円と同心円の円筒状の外周面を有し、回転可能に取り付けられる円筒状の回転体と、
前記固定体の内周面と前記回転体の外周面との間の収容空間に収容され、かつ前記回転体を中心に巻かれる1つ以上のフラットケーブルと、
を備え、
前記フラットケーブルが、前記回転体に対して一方向に巻かれ、かつ前記固定体に対して他方向に巻かれるとともに、一方向に巻かれる回転方向と他方向に巻かれる回転方向とが反転する反転部を有し、
前記反転部は、前記回転体の回転に応じて、移動可能である。
【0009】
上記一態様においては、前記フラットケーブルとともに、前記回転体に対して一方向に巻かれ、かつ前記固定体に対して他方向に巻かれ、一方向に巻かれる回転方向と他方向に巻かれる回転方向とが反転するダミーケーブル反転部を有し、前記ダミーケーブル反転部が前記回転体の回転に応じて移動可能な1つ以上のダミーケーブルを備えていてもよい。
【0010】
同様に上記一態様においては、前記収容空間に、
前記フラットケーブルのエッジに少なくとも一部が当接するリング部と、
前記フラットケーブルにおける、前記回転体の前記円筒部に巻かれた領域を円弧状に囲うように前記リング部から立設する第1のリブと、
前記フラットケーブルうちの少なくとも1つのフラットケーブルにおける前記反転部の内側に位置し、軸が前記リング部に回転自在に固定される円柱体と、
内側に前記円柱体が位置する前記反転部の外側に位置し、前記円柱体の周面に倣った円弧状で、前記フラットケーブルを挟んで前記円柱体に対向するように前記リング部から立設する第2のリブと、
を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、回転コネクタ装置の回転軸に対して少なくとも何れかの方向において、回転コネクタ装置のために確保する領域を削減し得る回転コネクタ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の例示的態様である第2の実施形態にかかる回転コネクタ装置を示す模式断面図である。
【
図2】従来のマルチテープUターンタイプの回転コネクタ装置の一例を示す模式断面図である。
【
図3】第2の実施形態にかかる回転コネクタ装置の動きを説明するための模式断面図であり、ステアリングホイールを左方向に切った状態である。
【
図4】第2の実施形態にかかる回転コネクタ装置の動きを説明するための模式断面図であり、ステアリングホイールを右方向に切った状態である。
【
図5】本発明の例示的態様である第3の実施形態にかかる回転コネクタ装置を示す模式断面図である。
【
図6】本発明の例示的態様である第4の実施形態にかかる回転コネクタ装置を示す模式断面図である。
【
図7】本発明の変形例1にかかる回転コネクタ装置における、固定体の内周面の形状と、固定体と回転体との位置関係を示す模式説明図である。
【
図8】本発明の変形例2にかかる回転コネクタ装置における、固定体の内周面の形状と、固定体と回転体との位置関係を示す模式説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の例示的態様である3つの実施形態にかかる回転コネクタ装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態にかかる回転コネクタ装置20を示す模式断面図である。
図1は、回転コネクタ装置20の回転軸と垂直方向の断面にかかる断面図になっていて、後述する固定体21を平面視した形状が現れている。本実施形態にかかる回転コネクタ装置20は、マルチテープUターンタイプである。
図1は、ステアリングホイールが中立位置に位置する状態を示している。
【0015】
図1に示されるように、本実施形態にかかる回転コネクタ装置20は、固定体21と、回転体22と、3つのフラットケーブル23a,23b,23c(詳しくは、第1のフラットケーブル(FC1)23a、第2のフラットケーブル(FC2)23b及び第3のフラットケーブル(FC3)23c)と、を備える。
【0016】
なお、
図1において、固定体21は主として筒状の部材の内周面の形状が現れている。固定体21の外周面も内周面に準じた形状ではあるが、多少の凹凸や部品の出っ張り、筒状の部材に付属する台座や、車体など他の部材への取付部等があっても構わない。以下、形状において単に「固定体21」といった場合には、特に断りのない限り筒状の部材の内周面の形状を指すものとする。
【0017】
また、
図1において、回転体22は主として円筒状の部材の外周面の形状が現れている。回転体22には、筒状の部材に付属する軸受やステアリングシャフトなど他の部材への取付部等があっても構わない。以下、形状において単に「回転体22」といった場合には、特に断りのない限り筒状の部材の外周面の形状を指すものとする。
【0018】
回転コネクタ装置20は、自動車に搭載され、固定体21側に設けられる電子機器と回転体22側に設けられる電子機器とを電気的に接続する装置である。固定体21は、車体側に固定され、不図示のステアリングの回転に応じては回転しない。一方、回転体22は、不図示のステアリングの回転に応じて回転する。ステアリングは、不図示の車両に対して回転可能に搭載されている。
【0019】
固定体21は、内周面の形状が筒状であり、平面視で、周方向における一部の領域A2において、他の領域B2を円弧とする円21aの半径rより、当該円弧の中心Oからの距離d1,d2,d3が短い。即ち、固定体21は、平面視で、完全な円形(円21a)に対して、領域A2の範囲が削られた形状になっている。
【0020】
固定体21における一部の領域A2の形状は、固定体11における一部の領域A1の形状とは異なり、段差部21xを有している。そのため、環状の収容空間Sの内壁において、段差部21xに相当する位置が角になっている。
【0021】
回転体22は、円筒状であり、固定体21の内側であって、他の領域B1の円弧を包含する円21aと同心円で、回転可能に取り付けられている。固定体21の内周面と回転体22の外周面との間には、環状の収容空間Sが形成されている。
【0022】
回転体22の内側には、不図示のステアリングに連結している不図示のステアリングシャフトが挿設される。ステアリングの回転に応じて、ステアリングシャフトが回転軸Xを中心に回転し、ステアリングシャフトの回転に応じて、回転体22が固定体21に対して中心点Oを中心に回転する。回転体22は、中立位置から、時計回りと反時計回りとにそれぞれ0.5~0.8回転程度回転する。ステアリングシャフトが回転しても、固定体21は回転しない。
【0023】
図1に示されるように、フラットケーブル23a,23b,23cは、収容空間Sに収容され、かつ回転体22を中心に巻かれていて、固定体21と回転体22との間を繋いでいる。フラットケーブル23a,23b,23cは、内周側で回転体22に対して一方向に巻かれ、かつ、外周側で固定体21に対して他方向に巻かれる。ここでは、フラットケーブル23a,23b,23cは、回転体22に対して時計回りに巻かれ、固定体21に対して反時計回りに巻かれている。
【0024】
フラットケーブル23a,23b,23cの外周側(固定体21側)の端部は、同じ固定体接続部24で固定体21に接続されている。一方、第1のフラットケーブル23aと第2及び第3のフラットケーブル23b,23cの内周側(回転体22側)の端部は、それぞれ、周方向において180°離れた回転体接続部25a,25bで回転体22に接続されている。なお、実際には、フラットケーブル23a,23b,23cの両端は、不図示のコネクタに接続されているが、
図1においては、接続部を模式的に固定体接続部24及び回転体接続部25として表している(以降の
図2~
図6において同様)。
【0025】
図1に示されるように、フラットケーブル23a,23b,23cは、一方向に巻かれる回転方向と他方向に巻かれる回転方向とが反転する反転部23Ra,23Rb,23Rcを有する。反転部23Ra,23Rb,23Rcは、いわゆるUターン部である。反転部23Ra,23Rb,23Rcは、回転体22の回転に応じて、時計回りおよび反時計回りに移動可能である。
【0026】
図1に示されるステアリングが中立位置に位置しているときに、第2のフラットケーブル23bの反転部23Rbは、中心点Oのおよそ直下(以下、周方向位置を表す際に、アナログ時計の文字盤を用いて表現する場合がある。本位置はおよそ「6時の位置」になる。また、以降「およそ」は省略する。)に位置している。そして、第1のフラットケーブル(FC1)23aの反転部23Ra及び第3のフラットケーブル(FC3)23cの反転部23Rcは、それぞれその前後の比較的近接した位置(「7時の位置」及び「5時の位置」)に位置している。
【0027】
図2に、従来のマルチテープUターンタイプの回転コネクタ装置20′の一例を模式断面図にて示す。なお、
図2において、本実施形態にかかる回転コネクタ装置20と同様の構成及び機能の部材には
図1と同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。従来例にかかる回転コネクタ装置20′は、固定体21′の形状が本実施形態にかかる回転コネクタ装置20とは異なっている。即ち、回転コネクタ装置20′は、
図2に示されるように、固定体21′の形状が平面視で円形であり、収容空間Sがドーナツ状に360°どの方向も同じ幅になっている。そのため、自動車のインパネ周りの特にステアリングホイール周辺には、回転コネクタ装置20′を取り付けるための所定の領域を確保しなければならない。
【0028】
また、従来のマルチテープUターンタイプの回転コネクタ装置20′では、2つのフラットケーブル23a,23bと、2つのダミーケーブル(DC)26と、が収容空間Sに収容されている。そして、第1のフラットケーブル23aの反転部23Ra、第2のフラットケーブル23bの反転部23Rb及び2つのダミーケーブル(DC)26のダミーケーブル反転部26Rが、順に、「6時の位置」、「3時の位置」、「12時の位置」及び「9時の位置」に位置している。
【0029】
ダミーケーブル(DC)26とは、電線を含まないシートのみの部材である。ダミーケーブル26は、マルチテープUターンタイプの回転コネクタ装置20′において、回転体22に巻き付いている部分のフラットケーブル23a,23bを回転体22に押し付けて、回転体22からフラットケーブル23a,23bが浮き上がるのを抑制するために設けられている。ダミーケーブル26のフラットケーブル23a,23bを回転体22に押し付ける作用は、ダミーケーブル26のダミーケーブル反転部26Rにおいて、曲率半径が大きくなろうとする反作用によって奏されている。
【0030】
本実施形態にかかる回転コネクタ装置20では、
図1に示されるように、固定体21の形状が、円21aに対して領域A2の範囲が削られた形状になっている。そのため、領域A2の範囲においては収容空間Sが狭くなっており、その分だけ回転コネクタ装置20を取り付けるために確保する領域を削減することができる。例えば、回転コネクタ装置20を領域A2の範囲が上になるように車両にステアリングを取り付けると、円21aの内側の削られた領域まで、モニターなどの他の装置や各種機器等を配することができる。
【0031】
図3に、本実施形態にかかる回転コネクタ装置20において、ステアリングホイールを左方向に切って、回転体22が反時計回りに回転した状態を示す。また、
図4に、本実施形態にかかる回転コネクタ装置20において、ステアリングホイールを右方向に切って、回転体22が時計回りに回転した状態を示す。
【0032】
図3に示す通り、ステアリングホイールを左方向に切って、回転コネクタ装置20の回転体22が反時計回りに回転すると、反転部23Ra,23Rb,23Rcは、矢印L方向に移動する。このとき、本実施形態では、回転体22の回転が、中立位置から両回転方向に1回転未満と少ないため、反転部23Ra,23Rb,23Rcの移動も小さい。本実施形態では、
図3に示すように、反転部23Ra,23Rb,23Rcは、反時計回りにおよそ90°移動して、順に「4時の位置」、「3時の位置」及び「2時の位置」に位置した状態になる。
【0033】
すると、第3のフラットケーブル23cの反転部23Rcは、収容空間Sが狭くなっている領域A2の範囲に近づくため、その影響を受けて、曲率半径がやや小さくなっている。ただし、反転部23Rcは、収容空間Sが狭くなっている領域A2の範囲には達していないため、第3のフラットケーブル23cに与える負荷は大きくない。
【0034】
逆に、第3のフラットケーブル23cの反転部23Rcの小さくなった曲率半径が大きくなろうとする反力によって、他のフラットケーブル23a,23bを回転体22に押し付ける作用が働くので、フラットケーブル23a,23bが回転体22からの浮き上がるのが抑制される。
【0035】
一方、
図4に示す通り、ステアリングホイールを右方向に切って、回転コネクタ装置20の回転体22が時計回りに回転すると、反転部23Ra,23Rb,23Rcは、矢印R方向に移動する。このとき、ステアリングホイールを左方向に切った
図3と同様、反転部23Ra,23Rb,23Rcの移動が小さい。本実施形態では、
図4に示すように、反転部23Ra,23Rb,23Rcは、時計回りにおよそ90°移動して、順に「10時の位置」、「9時の位置」及び「8時の位置」に位置した状態になる。
【0036】
すると、第1のフラットケーブル23aの反転部23Raは、収容空間Sが狭くなっている領域A2の範囲に近づくため、その影響を受けて、曲率がやや小さくなっている。ただし、反転部23Raは、収容空間Sが狭くなっている領域A2の範囲には達していないため、第1のフラットケーブル23cに与える負荷は大きくない。
【0037】
以上のように、本実施形態では、収容空間Sの狭くなっている箇所があっても、反転部23Ra,23Rb,23Rcの移動が小さく、その狭くなっている箇所の影響をあまり受けないので、フラットケーブル23a,23b,23cに与える負荷は大きくない。そのため、フラットケーブル23a,23b,23cの耐久性に与える影響も大きくない。
【0038】
また、収容空間Sの狭くなっている箇所が、フラットケーブル23a,23b,23cの一部の反転部23Rcの曲率半径を小さくするため、その反作用でフラットケーブル23a,23bを押し付けて回転体22からの浮き上がるのが抑制される。この作用は、耐久性の向上に寄与する。
【0039】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態にかかる回転コネクタ装置30を示す模式断面図である。
図5は、回転コネクタ装置30の回転軸と垂直方向の断面にかかる断面図になっていて、後述する固定体31を平面視した形状が現れている。本実施形態にかかる回転コネクタ装置30は、マルチテープUターンタイプであり、第1の実施形態にかかる回転コネクタ装置20の変形例である。
【0040】
本実施形態にかかる回転コネクタ装置30を示す
図5において、第1の実施形態にかかる回転コネクタ装置20と同様あるいは近似した構成の各部材には、回転コネクタ装置20における各部材と一の位が同一で十の位が30番台の符号を付すことで、各部材について共通する構成についての説明を省略する。以下、主として第1の実施形態との相違点を説明する。
【0041】
図5に示されるように、本実施形態にかかる回転コネクタ装置30は、固定体31と、回転体32と、3つのフラットケーブル33a,33b,33c(詳しくは、第1のフラットケーブル(FC1)33a、第2のフラットケーブル(FC2)33b及び第3のフラットケーブル(FC3)33c)と、3つのダミーケーブル(DC)36と、を備える。
【0042】
本実施形態においては、固定体31の形状が異なる点、及び、3つのダミーケーブル(DC)36を追加で備える点が第1の実施形態と異なっている。固定体31は、筒状であり、平面視で、周方向における一部の領域A3において、他の領域B3を円弧とする円31aの半径rより、当該円弧の中心Oからの距離d1,d2が短い。即ち、固定体31は、平面視で、完全な円形(円31a)に対して、領域A3の範囲が削られた形状になっている。
【0043】
3つのダミーケーブル36は、フラットケーブル33a,33b,33cとともに、内周側で回転体32に対して一方向に巻かれ、かつ、外周側で固定体31に対して他方向に巻かれる。ここでは、3つのダミーケーブル36は、回転体32に対して時計回りに巻かれ、固定体31に対して反時計回りに巻かれている。
【0044】
3つのダミーケーブル36の外周側(固定体31側)の端部は、同じ固定体接続部34bで固定体31に接続されている。この固定体接続部34bは、フラットケーブル33a,33b,33cの外周側(固定体31側)の端部が接続される固定体接続部34a(第1の実施形態における固定体接続部24に相当)とは別の独立した接続部である。
【0045】
一方、3つのダミーケーブル36の内周側(回転体32側)の端部は、同じ回転体接続部35cで回転体32に接続されている。この回転体接続部35cも、フラットケーブル33a,33b,33cの内周側(回転体32側)の端部が接続される回転体接続部35a,35b(第1の実施形態における回転体接続部25a,25bに相当)とは別の独立した接続部である。
【0046】
図5に示されるように、3つのダミーケーブル36は、一方向に巻かれる回転方向と他方向に巻かれる回転方向とが反転するダミーケーブル反転部36Ra,36Rb,36Rcを有する。ダミーケーブル反転部36Ra,36Rb,36Rcは、いわゆるUターン部である。ダミーケーブル反転部36Ra,36Rb,36Rcは、回転体32の回転に応じて、時計回りおよび反時計回りに移動可能である。
【0047】
図5に示されるステアリングが中立位置に位置しているときに、3つのダミーケーブル36のダミーケーブル反転部36Ra,36Rb,36Rcは、順に「9時の位置」、「12時の位置」及び「3時の位置」に位置している。本実施形態においては、フラットケーブル33a,33b,33cの反転部23Ra,23Rb,23Rcが「6時の位置」の周辺に集中している。そのため、「8時の位置」から時計回りに「4時の位置」までは、第1の実施形態のように何も手当てが無ければ、フラットケーブル33a,33b,33cが回転体22から比較的浮き上がりやすい。
【0048】
この「8時の位置」から時計回りに「4時の位置」までの領域に、3つのダミーケーブル36のダミーケーブル反転部36Ra,36Rb,36Rcを効果的な間隔(約90°)で設けることで、回転体32にフラットケーブル33a,33b,33cを押し付けて、フラットケーブル33a,33b,33cが浮き上がるのを抑制している。したがって、本実施形態にかかる回転コネクタ装置30は、フラットケーブル33a,33b,33cの巻き崩れを抑制することができる。
【0049】
ステアリングホイールを左右に切っても、収容空間Sにおける幅が狭くなっている領域A3の範囲に、フラットケーブル23a,23b,23cの反転部23Ra,23Rb,23Rcは入り込まない。ただし、3つのダミーケーブル36のうち真ん中のダミーケーブル36のダミーケーブル反転部36Rbだけが、領域A3の範囲を通過する。ダミーケーブル36のダミーケーブル反転部36Rbは、収容空間Sにおける幅が狭い領域を通過するときに、曲率半径が極めて小さくなる。しかし、ダミーケーブル36は、電線を含まないシートのみの部材であるため、負荷が与えられても電線回路には影響を与えないし、フラットケーブル33a,33b,33cよりも高負荷に耐えられる。
【0050】
以上のように、本実施形態にかかる回転コネクタ装置30は、耐久性に優れたものとなる。領域A3の範囲においては収容空間Sが狭くなっており、その分だけ回転コネクタ装置30を取り付けるために確保する領域を削減することができる効果は、第1の実施形態にかかる回転コネクタ装置20と同様に奏される。
【0051】
本実施形態では、ダミーケーブルを3つ備える例を挙げているが、少なくとも1つ備えていれば、その1つのダミーケーブルによるフラットケーブルの浮き防止効果を期待することができる。
【0052】
なお、固定体の形状は、本実施形態における固定体31の形状に限定されるものではないが、特に、本実施形態の如く収容空間Sにおける幅が狭くなっている領域A3の範囲をダミーケーブルの反転部が通過する場合には、本実施形態のように当該領域の内周面が滑らかであることが好ましい。第1の実施形態の固定体21のように段差部21xを有すると、ダミーケーブルの反転部がスムーズに通過しにくくなるので注意が必要である。
【0053】
[第3の実施形態]
図6は、第3の実施形態にかかる回転コネクタ装置40を示す模式断面図である。
図6は、回転コネクタ装置40の回転軸と垂直方向の断面にかかる断面図になっていて、後述する固定体41を平面視した形状が現れている。本実施形態にかかる回転コネクタ装置40は、マルチテープUターンタイプであり、第1の実施形態にかかる回転コネクタ装置20の変形例である。
【0054】
本実施形態にかかる回転コネクタ装置40を示す
図6において、第1の実施形態にかかる回転コネクタ装置20と同様あるいは近似した構成の各部材には、回転コネクタ装置20における各部材と一の位が同一で十の位が40番台の符号を付すことで、各部材について共通する構成についての説明を省略する。以下、主として第1の実施形態との相違点を説明する。
【0055】
図6に示されるように、本実施形態にかかる回転コネクタ装置40は、固定体41と、回転体42と、3つのフラットケーブル43a,43b,43c(詳しくは、第1のフラットケーブル(FC1)43a、第2のフラットケーブル(FC2)43b及び第3のフラットケーブル(FC3)43c)と、リング部50と、第1のリブ(以下、「第1リブ」と称する。)47と、円柱体48と、第2のリブ(以下、「第2リブ」と称する。)49と、を備える。
本実施形態においては、収容空間Sに、リング部50、第1リブ47、円柱体48及び第2リブ49を追加で備える点が第1の実施形態と異なっている。
【0056】
リング部50は、収容空間Sにおいて、フラットケーブル43a,43b,43cのエッジに少なくとも一部が当接するリング状かつ板状の部材である。リング部50は、回転体42の周囲を取り囲んで配置されている。円盤状の形状から「6時の位置」及びその周方向の周辺が、固定体41に向かって延出した形状をしている。リング部50は、固定体41及び回転体42の何れとも独立して、中心点Oを中心に回転できるようになっている。
【0057】
第1リブ47は、フラットケーブル43a,43b,43cにおける、回転体42に巻かれた領域を円弧状に囲うようにリング部50から立設するリブ状の部材である。第1リブ47は、フラットケーブル43a,43b,43cを介して回転体42の円筒部に対向配置されている。第1リブ47は、リング部50からの立設高さが、フラットケーブル43a,43b,43cの幅と同程度になっている
【0058】
円柱体48は、第2のフラットケーブル43bにおける反転部43Rbの内側に位置し、不図示の軸がリング部50に回転自在に固定されている。円柱体48は、リング部50からの軸方向の高さが、フラットケーブル43a,43b,43cの幅と同程度になっている。
【0059】
第2リブ49は、内側に円柱体48が位置する第2のフラットケーブル43bの反転部43Rbの外側に位置し、円柱体48の周面に倣った円弧状で、フラットケーブル43bを挟んで円柱体48に対向するようにリング部50から立設するリブ状の部材である。第2リブ49は、リング部50からの立設高さが、フラットケーブル43a,43b,43cの幅と同程度になっている。
【0060】
リング部50に設けられた第1リブ47、円柱体48及び第2リブ49は、中心点Oを中心にして一緒に回転する。また、フラットケーブル43a,43b,43cは、中心点Oを中心にしてほぼ一緒に移動する。
【0061】
ステアリングホイールを左方向に切って、回転コネクタ装置40の回転体42が反時計回りに回転すると、反転部43Rbは、矢印L方向に移動する。すると、第2のフラットケーブル43bにおける反転部43Rbの内側の面が円柱体48に当接し、巻き付いて、円柱体48を回転させながら引っ張って、リング部50を反時計回りに回転させる。即ち、第2のフラットケーブル43bの反転部43Rbと、リング部50と、が反時計回りに一緒に回転する。すると、フラットケーブル43a,43b,43cの反転部43Ra,43Rb,43Rcと、第1リブ47と、円柱体48と、第2リブ49と、が全て一緒に反時計回りに回転する。つまり、これら相互の位置関係が変わらない。
【0062】
一方、ステアリングホイールを右方向に切って、回転コネクタ装置40の回転体42が時計回りに回転すると、反転部43Rbは、矢印R方向に移動する。すると、第2のフラットケーブル43bにおける反転部43Rbの外側の面が第2リブ49に当接し、第2リブ49の円弧の内周面を摺擦しながら押して、リング部50を時計回りに回転させる。即ち、第2のフラットケーブル43bの反転部43Rbと、リング部50と、が時計回りに一緒に回転する。すると、フラットケーブル43a,43b,43cの反転部43Ra,43Rb,43Rcと、第1リブ47と、円柱体48と、第2リブ49と、が全て一緒に時計回りに回転する。つまり、これら相互の位置関係が変わらない。
【0063】
第1リブ47は、回転体32からフラットケーブル43a,43b,43cが浮き上がるのを抑制している。円柱体48及び第2リブ49は、第2のフラットケーブル43bの反転部43Rb形状を保持している。真ん中の第2のフラットケーブル43bの反転部43Rb形状が保持されることで、その前後の比較的近接した位置にある第1及び第3のフラットケーブル43a,43cの反転部43Ra,43Rcも形状が崩れにくい。よって、第1リブ47、円柱体48及び第2リブ49の作用によりフラットケーブル43a,43b,43cの姿勢が保持される。しかも、回転コネクタ装置40の回転体42が回転しても、上記のように関連する部材の位置関係が変わらないため、フラットケーブル43a,43b,43cの姿勢の保持効果が維持される。したがって、本実施形態にかかる回転コネクタ装置40は、フラットケーブル43a,43b,43cの巻き崩れを抑制することができる。
【0064】
以上のように、本実施形態にかかる回転コネクタ装置40は、耐久性に優れたものとなる。領域A2の範囲においては収容空間Sが狭くなっており、その分だけ回転コネクタ装置40を取り付けるために確保する領域を削減することができる効果は、第1及び第2の実施形態にかかる回転コネクタ装置20,30と同様に奏される。
【0065】
なお、第2のフラットケーブル43bは、他の第1及び第3のフラットケーブル43a,43cに比して反転部での負荷が大きいことから、これをダミーケーブルにすることもできる。
【0066】
以上説明した3つの実施形態は、本発明の代表的な形態の例を示したに過ぎず、本発明は、これら実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、フラットケーブルを3つ備える例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、フラットケーブルの数は2つ以下でも4つ以上でも構わない。
【0067】
また、上記実施形態では、固定体の内周面の形状として、平面視で、周方向において、円弧状の領域(B2,B3)と、当該円弧の半径rより、当該円弧の中心Oからの距離(d1,d2,d3)が短い領域(A2,A3)と、の組み合わせになっているが、これら形状に限定されない(括弧内は上記実施形態における符号を表す。)。周方向において、円弧状の領域と、当該円弧の半径より、当該円弧の中心からの距離が短い領域と、の間に、円弧の中心からの距離が長い領域を挟む等、様々な形状を適用することができる。
【0068】
即ち、本発明においては、固定体の内周面の形状として、平面視で、周方向における一部の領域において、他の領域を円弧とする円の半径より、当該円弧の中心からの距離が短い筒状の内周面の形状に限らず、平面視で、周方向における一部の領域において、他の領域「の少なくとも一部」を円弧とする円の半径より、当該円弧の中心からの距離が短い筒状の内周面の形状であればよい。
【0069】
本発明においては、平面視で、固定体の内周面が円弧状の領域では、当該円弧と同心円の円筒状の外周面を有する回転体の当該外周面と、固定体の内周面との間の収容空間において、回転体の外周面と、固定体の内周面との距離が一定(「固定体の内周面の半径」-「回転体の外周面の半径」)になっている。回転体の外周面と、固定体の内周面との距離が一定となっている収容空間では、フラットケーブルの反転部の移動がスムーズとなり、フラットケーブルへの負荷が少ない。
【0070】
一方、本発明においては、平面視で、固定体の内周面が円弧状の領域の半径より、当該円弧の中心からの距離が短い領域では、固定体が中心側に後退している(削られている)ため、その分だけ回転コネクタ装置を取り付けるために確保する領域を削減することができる。したがって、当該後退した(削られた)領域に、車両の他の部材や機器等を配するスペースを確保することができる。
【0071】
以下、固定体の内周面の形状が異なる本発明の他の態様である変形例を列挙する。以下の変形例においては、固定体の内周面と回転体の外周面のみを図示し、固定体の内周面の形状と、固定体と回転体との位置関係とを説明する。勿論、固定体の内周面と回転体の外周面との間には環状の収容空間Sが形成され、当該収容空間Sには、回転体を中心にUターン状に巻かれる1つ以上の不図示のフラットケーブルが収容される。
【0072】
[変形例1]
図7は、変形例1にかかる回転コネクタ装置における、固定体11aの内周面の形状と、固定体11aと回転体12との位置関係を示す模式説明図である。
図7は、回転体12の回転軸Oと垂直方向の断面にかかる断面図になっていて、固定体11a及び回転体12を平面視した形状が現れている。
【0073】
変形例1における固定体11aは、内周面の形状が、円筒の全周から所定の中心角(具体的には180°)の部分を切り出した形状である円筒の部分11a-1と、惰円筒の全周から所定の中心角(具体的には長径側の180°)の部分を切り出した形状である楕円筒の部分11a-3と、これら両部分の端部同士を繋ぐ一対の平板状の部分11a-2,11a-4と、からなっている。
【0074】
周方向における領域としては、内周面の形状が、円筒の部分11a-1に相当する領域Baと、楕円筒の部分11a-3に相当する領域Eaと、一対の平板状の部分11a-2,11a-4に相当する一対の領域Da1,Da2と、を有する。
【0075】
固定体11aの内周面と回転体12の外周面との間の環状の収容空間Sにおいて、領域Baでは、回転体12の外周面と、固定体11aの内周面との距離wが一定になっている。そして、領域Baでは、回転軸Oから固定体11aの内周面までの距離が、円筒の部分11a-1の円の半径rになっている。なお、
図7において、楕円筒の部分11a-3上の点a3及び点a5は、それぞれ点a3,a5と回転軸Oとの間の距離da3,da5が、半径rと等しくなる(da3=da5=r)点である。
【0076】
したがって、
図7に示すように、領域Eaにおいて、楕円筒の部分11a-3上の点a3から点a5までの領域Aaは、回転軸Oから固定体11aの内周面までの距離da4が半径rより小さくなる(da4<r)。なお、本変形例及び後述する変形例2において、範囲を定めて半径rとの大小関係を述べるときは、当該範囲の始点及び終点を含まないものとする(例えば、da4については、da4≦rではなくda4<rと表記する。)。
【0077】
領域Eaにおいて、その両端から点a3や点a5までの領域Fa1,Fa2は、回転軸Oから固定体11aの内周面までの距離da2が半径rより大きい(da2>r)。一方、領域Da1,Da2では、回転軸Oから固定体11aの内周面までの距離da1が半径rより大きい(da1>r)。
【0078】
即ち、回転軸Oから固定体11aの内周面までの距離が、円筒の部分11a-1の円の半径rになっている領域Baと、半径rより小さくなっている(da4<r)領域Aaと、の間に位置する領域Ca1,Ca2は、回転軸Oから固定体11aの内周面までの距離da1,da2が半径rより大きくなっている(da1>r<da2)。
【0079】
本変形例1のように、回転軸Oから固定体11aの内周面までの距離が半径rより大きくなっている(da1>r<da2)領域Ca1,Ca2を有していても、半径rより小さくなっている(da4<r)領域Aaを有してさえいれば、当該領域に、車両の他の部材や機器等を配するスペースを確保することができる。
【0080】
[変形例2]
図8は、変形例2にかかる回転コネクタ装置における、固定体11bの内周面の形状と、固定体11bと回転体12との位置関係を示す模式説明図である。
図8は、回転体12の回転軸Oと垂直方向の断面にかかる断面図になっていて、固定体11b及び回転体12を平面視した形状が現れている。
【0081】
変形例2における固定体11bは、内周面の形状が、円筒の部分11b-1と、直方体を構成し得る4つの側面のうちの3つの側面に相当する部分11b-2,11b-3,11b-4と、からなっている。周方向における領域としては、内周面の形状が、円筒の部分11a-1に相当する領域Bbと、円筒の部分11a-1の直径(2r)に相当する長さを有する側面部分11b-3に相当する領域Ebと、円筒の部分11a-1と側面部分11b-3の両端部を繋ぐ一対の側面部分11b-2,11b-4に相当する領域Db1,Db2と、を有する。
【0082】
固定体11bの内周面と回転体12の外周面との間の環状の収容空間Sにおいて、領域Bbでは、回転体12の外周面と、固定体11bの内周面との距離wが一定になっている。そして、領域Bbでは、回転軸Oから固定体11bの内周面までの距離が、円筒の部分11b-1の円の半径rになっている。なお、
図8において、側面部分11b-3上の点b3及び点b5は、それぞれ点b3,b5と回転軸Oとの間の距離db3,db5が、半径rと等しくなる(db3=db5=r)点である。
【0083】
したがって、
図8に示すように、領域Ebにおいて、側面部分11b-3上の点b3から点b5までの領域Abは、回転軸Oから固定体11bの内周面までの距離db4が半径rより小さくなる(db4<r)。そして、領域Ebにおいて、その両端から点b3や点b5までの領域Fb1,Fb2は、回転軸Oから固定体11bの内周面までの距離db2が半径rより大きい(db2>r)。一方、領域Db1,Db2では、回転軸Oから固定体11bの内周面までの距離db1が半径rより大きい(db1>r)。
【0084】
即ち、回転軸Oから固定体11bの内周面までの距離が、円筒の部分11b-1の円の半径rになっている領域Bbと、半径rより小さくなっている(db4<r)領域Abと、の間に位置する領域Cb1,Cb2は、回転軸Oから固定体11bの内周面までの距離db1,db2が半径rより大きくなっている(db1>r<db2)。
【0085】
本変形例2のように、回転軸Oから固定体11bの内周面までの距離が半径rより大きくなっている(db1>r<db2)領域Cb1,Cb2を有していても、半径rより小さくなっている(db4<r)領域Abを有してさえいれば、当該領域に、車両の他の部材や機器等を配するスペースを確保することができる。
【0086】
以上の2つの変形例の固定体の形状は、あくまでも例示であり、平面視で、周方向における一部の領域において、他の領域(変形例1では、領域Ba+領域Ca1+領域Ca2)の少なくとも一部(同、領域Ba)を円弧(同、円筒の部分11a-1)とする円の半径(同、r)より、当該円弧の中心(同、O)からの距離(同、da4)が短い(同、r>da4)筒状の内周面(同、楕円筒の部分11a-3)を有していればよい。
【0087】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の回転コネクタ装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0088】
10,10′,20,20′,30,40:回転コネクタ装置、
11,11′,21,21′,31,41:固定体、
12,22,32,42:回転体、
13a,13b,23a,23b,23c,33a,33b,33c,43a,43b,43c:フラットケーブル(FC1~3)、
21x:段差部、
23Ra,23Rb,23Rc,33Ra,33Rb,33Rc,43Ra,43Rb,43Rc:反転部、
26R,36Ra,36Rb,36Rc:ダミーケーブル反転部、
14,24,24a,24b,34a,34b,44:固定体接続部、
15a,15b,25a,25b,25a′,25b′,35a,35b,35c,45a,45b:回転体接続部、
26,36:ダミーケーブル(DC)、
47:第1リブ(第1のリブ)、
48:円柱体、
49:第2リブ(第2のリブ)、
50:リング部