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特開2025-24874表示装置、電子機器及び表示装置の駆動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024874
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】表示装置、電子機器及び表示装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20250214BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 611A
G09G3/20 660V
G09G3/20 660U
G09G3/20 621F
G09G3/20 624B
G09G3/20 612U
G09G3/20 621D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129222
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 尚幸
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100171930
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 郁一郎
(72)【発明者】
【氏名】薄井 武順
(72)【発明者】
【氏名】北村 和也
(72)【発明者】
【氏名】菊地 幸大
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 宏平
【テーマコード(参考)】
5C080
5C380
【Fターム(参考)】
5C080AA06
5C080AA07
5C080AA10
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD02
5C080DD06
5C080DD08
5C080DD26
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080KK02
5C080KK43
5C080KK47
5C380AA01
5C380AA03
5C380AB06
5C380AB34
5C380AB41
5C380AC05
5C380AC08
5C380AC10
5C380AC11
5C380AC12
5C380BA02
5C380BA47
5C380BB09
5C380BE07
5C380BE12
5C380CC01
5C380CC26
5C380CC33
5C380CC63
5C380CD013
5C380DA34
5C380DA35
5C380DA43
5C380DA58
5C380FA10
(57)【要約】
【課題】走査時間を短縮することなく、消費電力の増加を抑制しながら、動画ぼやけを改善し、総合的画質を向上させる。
【解決手段】表示装置は、複数の画素ブロックと、前記画素ブロックごとに有効画素を選択する画素選択線とを備える表示装置であって、前記画素ブロックは、複数の画素回路を備え、前記画素回路は、容量と、像形成素子と、前記容量に蓄積された電荷量に応じた電流を前記像形成素子に供給する第1トランジスタと、前記容量に電荷を供給する第2トランジスタと、前記画素選択線により制御され、前記第2トランジスタの駆動の可否を制御する第3トランジスタとを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素ブロックと、
前記画素ブロックごとに有効画素を選択する画素選択線とを備える表示装置であって、
前記画素ブロックは、複数の画素回路を備え、
前記画素回路は、
容量と、
像形成素子と、
前記容量に蓄積された電荷量に応じた電流を前記像形成素子に供給する第1トランジスタと、
前記容量に電荷を供給する第2トランジスタと、
前記画素選択線により制御され、前記第2トランジスタの駆動の可否を制御する第3トランジスタとを備える
表示装置。
【請求項2】
複数の前記画素回路を含む制御単位ごとに、画素値の変化量に応じた領域に関する情報を取得する信号処理部を更に備え、
前記信号処理部は、領域に応じて異なる駆動モードで、前記第3トランジスタの導通状態を制御する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記信号処理部は、連続するフレーム画像を比較し、画素値の変化量に応じた判定を行うことにより、画素値の変化量に応じた領域に関する情報を取得する
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記信号処理部が取得する領域に関する情報には、画素値の変化が大きい領域である動領域と、画素値の変化が小さい領域である静止領域とがあり、
前記信号処理部は、
前記静止領域においては、1フレームごとに画素値を制御する標準駆動モードで駆動することにより、前記第3トランジスタの導通状態を制御し、
前記動領域においては、1フレームを時分割したサブフレーム単位で画素値を制御する高速駆動モードで駆動することにより、前記第3トランジスタの導通状態を制御する
請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記標準駆動モードでは、前記画素ブロックに含まれる複数の前記画素回路が、前記サブフレーム単位で順に制御され、1フレームの期間で前記画素ブロックに含まれる全ての前記画素回路についての画素値が更新される
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記高速駆動モードでは、前記画素ブロックに含まれる全ての前記画素回路が、前記サブフレーム単位ごとに同時に制御される
請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の表示装置を有する電子機器。
【請求項8】
容量と像形成素子とを少なくとも備える画素回路を複数備える画素ブロックであって、複数の前記画素ブロックと、
前記画素ブロックごとに有効画素を選択する画素選択線とを備える表示装置を駆動する駆動方法であって、
前記容量に蓄積された電荷量に応じた電流を前記像形成素子に供給する第1転送工程と、
前記容量に電荷を供給する第2転送工程と、
前記画素選択線により、前記第2転送工程を行うか否かを制御する第3転送工程とを有する
表示装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、電子機器及び表示装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやテレビ向け表示装置として、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等が広く普及している。これらの表示装置は、アクティブマトリックス駆動方式(TFT)を採用しており、1フレームの間、同じ映像を連続表示する。アクティブマトリックス駆動方式を採用した表示装置は、これらの表示装置が主流となる前のCRT等のインパルス型表示装置に対して、ホールド型表示装置と呼ばれている。
【0003】
ホールド型表示装置では、表示されている物体が画面上を移動した場合、人がその物体を追従視するため、目の積分効果により、映像がぼやけて見えることが知られている。このホールドぼやけを防ぐためには、ディスプレイを高フレームレート化する手法や、黒表示を挿入することで、見かけ上のぼやけを抑制する手法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-76034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載されたような黒表示を挿入する方法では、画面がちらついて見える“フリッカー”や、動いている物体が二重に見える“ストロボ効果”等の画質妨害が発生しやすい。したがって、動画質の向上のためには、フレームレートを向上させることが望ましい。
【0006】
アクティブマトリックス駆動方式を採用した表示装置は、1ラインずつ線順次走査することにより、画面の書き換え行っている。したがって、表示装置のフレームレートを向上させるためには、1ラインの走査時間を短縮する必要がある。例えば、2倍速表示であれば2分の1、4倍速表示であれば4分の1に、1ラインの走査時間を短縮する必要がある。一般的にテレビ向けのアクティブマトリックス型表示装置では、画素を駆動するためのバックブレーンに酸化物TFTを用いており、走査時間の短縮には限界があった。また、高速な駆動は消費電力も著しく増加する。したがって、高精細で高フレームレートを実現することは困難であるといった課題があった。
【0007】
そこで本発明は、走査時間を短縮することなく、消費電力の増加を抑制しながら、動画ぼやけを改善し、総合的画質を向上させることが可能な表示装置、電子機器及び表示装置の駆動方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、複数の画素ブロックと、前記画素ブロックごとに有効画素を選択する画素選択線とを備える表示装置であって、前記画素ブロックは、複数の画素回路を備え、前記画素回路は、容量と、像形成素子と、前記容量に蓄積された電荷量に応じた電流を前記像形成素子に供給する第1トランジスタと、前記容量に電荷を供給する第2トランジスタと、前記画素選択線により制御され、前記第2トランジスタの駆動の可否を制御する第3トランジスタとを備える表示装置である。
【0009】
[2]また、本発明の一態様は、上記[1]に記載の表示装置において、複数の前記画素回路を含む制御単位ごとに、画素値の変化量に応じた領域に関する情報を取得する信号処理部を更に備え、前記信号処理部は、領域に応じて異なる駆動モードで、前記第3トランジスタの導通状態を制御するものである。
【0010】
[3]また、本発明の一態様は、上記[2]に記載の表示装置において、前記信号処理部は、連続するフレーム画像を比較し、画素値の変化量に応じた判定を行うことにより、画素値の変化量に応じた領域に関する情報を取得するものである。
【0011】
[4]また、本発明の一態様は、上記[2]又は[3]に記載の表示装置において、前記信号処理部が取得する領域に関する情報には、画素値の変化が大きい領域である動領域と、画素値の変化が小さい領域である静止領域とがあり、前記信号処理部は、前記静止領域においては、1フレームごとに画素値を制御する標準駆動モードで駆動することにより、前記第3トランジスタの導通状態を制御し、前記動領域においては、1フレームを時分割したサブフレーム単位で画素値を制御する高速駆動モードで駆動することにより、前記第3トランジスタの導通状態を制御するものである。
【0012】
[5]また、本発明の一態様は、上記[4]に記載の表示装置において、前記標準駆動モードでは、前記画素ブロックに含まれる複数の前記画素回路が、前記サブフレーム単位で順に制御され、1フレームの期間で前記画素ブロックに含まれる全ての前記画素回路についての画素値が更新されるものである。
【0013】
[6]また、本発明の一態様は、上記[4]に記載の表示装置において、前記高速駆動モードでは、前記画素ブロックに含まれる全ての前記画素回路が、前記サブフレーム単位ごとに同時に制御されるものである。
【0014】
[7]また、本発明の一態様は、上記[1]から[6]のいずれかに記載の表示装置を有する電子機器である。
【0015】
[8]また、本発明の一態様は、容量と像形成素子とを少なくとも備える画素回路を複数備える画素ブロックであって、複数の前記画素ブロックと、前記画素ブロックごとに有効画素を選択する画素選択線とを備える表示装置を駆動する駆動方法であって、前記容量に蓄積された電荷量に応じた電流を前記像形成素子に供給する第1転送工程と、前記容量に電荷を供給する第2転送工程と、前記画素選択線により、前記第2転送工程を行うか否かを制御する第3転送工程とを有する表示装置の駆動方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、走査時間を短縮することなく、消費電力の増加を抑制しながら、動画ぼやけを改善し、総合的画質を向上させることが可能な表示装置、電子機器及び表示装置の駆動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る表示装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る表示パネルに含まれる画素ブロックの構成の一例を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る画素回路の回路構成の一例を示す回路図である。
図4】本実施形態に係る標準駆動モード時の駆動信号の変化の一例を示すタイミングチャートである。
図5】本実施形態に係る高速駆動モード時の駆動信号の変化の一例を示すタイミングチャートである。
図6】本実施形態に係るカラー表示パネルに含まれる画素ブロックの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施形態]
本発明の態様に係る表示装置、電子機器及び表示装置の駆動方法について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。なお、本発明の態様は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、多様な変更または改良を加えたものも含まれる。つまり、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれ、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更を行うことができる。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
【0019】
図1は、本実施形態に係る表示装置の機能構成の一例を示すブロック図である。まず、同図を参照しながら、表示装置10の機能構成の一例について説明する。以下の説明においては、表示装置10が、アクティブマトリックス型の有機EL(Electroluminescence)ディスプレイである場合の一例について説明する。しかしながら表示装置10の実施形態は、この一例に限定されず、その他の方式を用いたアクティブマトリックス型のディスプレイが広く含まれる。表示装置10は、映像入力部11と、信号処理部12と、列駆動ドライバ部13と、行駆動ドライバ部14と、表示パネル15とを備える。
【0020】
映像入力部11には、映像信号が入力される。当該映像信号は、複数のフレーム画像データを含んで構成される。映像入力部11に入力される映像信号は、例えば4K240p(すなわち画面解像度が3840×2160[ピクセル]でありフレームレートが240[FPS])であってもよい。映像入力部11に映像信号が入力されると、当該映像信号に含まれる画像データが、不図示の入力バッファに一時的に格納される。入力バッファに格納された画像データは、処理タイミングに合わせて、順次、後段の信号処理部12へ提供される。入力バッファに一時的に格納される画像データとは、すなわち映像信号を構成するフレーム画像データである。
【0021】
信号処理部12は、所定の制御単位(以下の説明において、所定の制御単位のことを単に領域と記載する場合もある)ごとに、当該領域に関する情報を取得する。当該領域に関する情報とは、当該領域に含まれる画素値の変化量に応じて判定されるものである。当該領域には、複数の画素回路が含まれる。当該領域は、画素ブロック単位であってもよいし、複数の画素ブロックが含まれるものであってもよい。以下の説明において、制御単位が、複数の画素回路(例えば16個の画素回路)を含む画素ブロック単位である場合の一例について説明する。
【0022】
なお、領域に関する情報は、映像信号と同期して映像入力部11に入力されてもよいし、表示装置10が、映像信号を解析することにより判定してもよい。以下の説明においては、信号処理部12が、映像入力部11に入力された映像信号を解析することにより、領域に関する情報を判定する場合の一例について説明する。
【0023】
信号処理部12は、例えば、映像入力部11に入力された映像信号に含まれる連続するフレーム画像を比較し、画素値の変化量に応じた判定を行うことにより、領域に関する情報を取得する。連続するフレーム画像とは、隣接するフレーム画像であることが好適であるが、必ずしも隣接するフレーム画像である必要はなく、同一の映像信号に含まれる複数のフレーム画像のうち、異なるフレーム画像であればよい。信号処理部12は、具体的には、連続するフレーム画像間における画素値の変化量により、当該領域が動領域であるか、静止領域であるかを判定する。動領域とは、画素値の変化が大きい領域である。静止領域とは、画素値の変化が小さい領域である。
【0024】
信号処理部12は、領域に応じて異なる駆動モードで、表示を制御する。具体的には、信号処理部12は、動領域であると判定された領域については高速駆動モードで駆動を行う。また、信号処理部12は、静止領域であると判定された領域については標準駆動モードで駆動を行う。信号処理部12は、高速駆動モード又は標準駆動モードに応じたパネル制御信号及び画像データ信号を生成する。信号処理部12は、生成したパネル制御信号及び画像データ信号を列駆動ドライバ部13及び行駆動ドライバ部14に出力することにより、表示を制御する。
【0025】
列駆動ドライバ部13は、信号処理部12から出力されたパネル制御信号と、画像データ信号とを表示パネル15に伝達する。列駆動ドライバ部13には、具体的には、垂直方向に配される複数の画像データ信号線及び駆動する画素(画素ブロック)を選択する画素選択線が接続される。画素選択線は、画素ブロックごと、又は、画素ごとに、有効画素を選択する。列駆動ドライバ部13は、複数の画像データ信号線のそれぞれに画像データ信号を、複数の画素選択線それぞれに画素ブロック選択信号を供給する。
【0026】
行駆動ドライバ部14は、信号処理部12から出力されたパネル制御信号を表示パネル15に伝達する。行駆動ドライバ部14には、具体的には、水平方向に配される複数の選択信号線が接続される。行駆動ドライバ部14は、複数の選択信号線のそれぞれにパネル制御信号である行選択信号を供給する。
【0027】
図2は、本実施形態に係る表示パネルに含まれる画素ブロックの構成の一例を示すブロック図である。表示装置10には、複数の画素ブロック20が含まれる。複数の画素ブロック20は、表示装置10に、マトリックス状に配置される。同図を参照しながら、1つの画素ブロック20の構成の一例について説明する。以下の説明において、画素ブロック20は、表示パネル15が有機ELパネルである場合の構成の一例を示している。しかしながら本実施形態は、この一例に限定されず、アクティブマトリックス型のディスプレイであればよい。
【0028】
1つの画素ブロック20は、複数の画素回路を含んで構成される。図示する一例において、1つの画素ブロック20には、4×4の画素回路を含んで構成される。さらに、2×2を1つのサブブロックとし、1つのサブブロックには、A、B、C、Dの4つの画素回路が含まれる。以下の説明において、画素回路A1、画素回路B1、画素回路C1、及び、画素回路D1を含んで構成されるサブブロックを、第1サブブロックと記載する場合がある。同様に、画素回路A2乃至画素回路D2を含んで構成されるサブブロックを第2サブブロック、画素回路A3乃至画素回路D3を含んで構成されるサブブロックを第3サブブロック、画素回路A4乃至画素回路D4を含んで構成されるサブブロックを第4サブブロックと記載する場合がある。本実施形態によれば、このサブブロックを1つの制御単位として、標準駆動モードと高速駆動モードとを切り替えることができる。すなわち、信号処理部12は、2×2の画素回路を1つの制御単位として、それぞれの制御単位について、動領域であるか、静止領域であるかを判定する。
【0029】
図示するように、画素ブロック20には、複数のデータラインDATA_E、DATA_Oと、画素選択ラインSL_A、SL_B、SL_C、SL_Dが垂直方向に配させる。データラインDATA_Eは、第3サブブロック、及び、第4サブブロックにデータ信号を供給する。データラインDATA_Oは、第1サブブロック、及び、第2サブブロックにデータ信号を供給する。また、画素選択ラインSL_Aは、各サブブロックに含まれる画素回路A1乃至画素回路A4を選択する。同様に、SL_Bは、各サブブロックに含まれる画素回路B1乃至画素回路B4を選択し、SL_Cは、各サブブロックに含まれる画素回路C1乃至画素回路C4を選択し、SL_Dは、各サブブロックに含まれる画素回路D1乃至画素回路D4を選択する。また、複数の行選択ラインSCNが、水平方向に配される。複数のデータラインDATA及び画素選択ラインSLと、複数の行選択ラインSCNとの交差領域には、画素回路がマトリックス状に配置される。
【0030】
画素選択ラインSL、及び、行選択ラインSCNは、1つのブロック(4×4画素)に1本が接続される。また、データラインは、1つのサブブロック(2×2画素)に1本が接続される。更に、図示はされていないが、各画素は、電源供給のための陽極電圧Vdd、及び、陰極電圧Vssの供給を受けることができる。
【0031】
図3は、本実施形態に係る画素回路の回路構成の一例を示す回路図である。同図を参照しながら、画素回路30の回路構成の一例について説明する。画素回路30は、発光素子Delと、容量C1と、第1トランジスタTr1と、第2トランジスタTr2と、第3トランジスタTr3とを回路構成として有する。
【0032】
発光素子Delとは、具体的には、有機EL素子である。なお、発光素子Delは、発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)等であってもよい。発光素子Delは、カソードが陰極電源線Vssに接続され、アノードが、第1トランジスタTr1のコレクタ-エミッタ間を介して陽極電源線Vddに接続される。なお、本実施形態においては、有機EL素子や、発光ダイオード等の自発光素子を用いる場合の一例に限定されず、光変調素子とバックライトとを含む構成を有する液晶パネル(Liquid Crystal Display;LCD)等にも適用可能である。以下の説明において、有機EL素子、発光ダイオード、及び光変調素子等の像を形成するための画素を広く含む上位概念として、像形成素子と記載する場合がある。また、以下の説明は、像形成素子として、発光素子Delを用いる場合の一例について説明する。
【0033】
容量C1とは、ストレージキャパシタである。容量C1の一端は、陽極電源線Vddに接続され、他端は、第1トランジスタTr1のゲートと、第2トランジスタTr2との間に接続される。容量C1には、第2トランジスタTr2がONである場合に、データラインDATAの値に応じて、容量が蓄積される。
【0034】
第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2、及び、第3トランジスタTr3は、具体的には、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;TFT)であってもよい。なお、第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2、及び、第3トランジスタTr3は、薄膜トランジスタである場合の一例に限定されず、その他の、電気的な導通状態を制御するスイッチング素子であってもよい。
【0035】
第1トランジスタTr1は、容量C1に蓄積された電荷量に応じた電流を、発光素子Delに供給する。第2トランジスタTr2は、第3トランジスタTr3により制御され、データラインDATAの値に応じた電荷を容量C1に供給する。第3トランジスタTr3は、画素選択線SLにより制御され、第2トランジスタTr2の駆動の可否を制御する。具体的に、第3トランジスタTr3の導通状態は、信号処理部12により制御される。信号処理部12は、領域に応じて異なる駆動モードで、第3トランジスタTr3の導通状態を制御する。本実施形態に係る画素回路30は、第3トランジスタTr3、及び、画素選択線SLを備えることにより、画素ごと、又は画素ブロックごとに発光素子Delを制御することが可能となる。
【0036】
表示動作時は、行選択ラインSCNに電圧が印加され、第2トランジスタTr2、及び、第3トランジスタTr3がONの期間に、データラインDATAの値に応じた電圧Vdaが容量C1に充電される。容量C1に充電された電圧Vdaに応じて、第1トランジスタTr1を流れる電流が調整され、発光素子Delに流れる電流が制御される。
【0037】
次に、図4及び図5を参照しながら、本実施形態に係る表示装置10の駆動方法の一例について説明する。ここでは、標準駆動モードを60Hz表示とし、高速駆動モードを240Hz表示とした例を用いる。すなわち、高速駆動モードでは、標準駆動モードの4倍のフレームレートとなる。しかしながら本実施形態はこの一例に限定されず、その他の周波数により駆動制御が行われてもよい。
【0038】
図4は、本実施形態に係る標準駆動モード時の駆動信号の変化の一例を示すタイミングチャートである。同図を参照しながら、標準駆動モード時における表示装置10の駆動方法の一例について説明する。同図には、行選択ラインSCN、画素選択線SL_A、画素選択線SL_B、画素選択線SL_C、画素選択線SL_D、データラインDATA_O、データラインDATA_E、についての、時間ごとの変化を示している。これらの信号は、いずれも2値で表されるデジタル信号である。これらの信号の物理的な接続については、図2を参照することができる。
【0039】
はじめに、行選択ラインSCNに電圧が印加されたタイミングで、画素選択線SL_Aに電圧が印加される。このとき、データラインDATA_O(i)の電圧に応じた電荷が、画素A1の容量に蓄積され、データラインDATA_E(i)の電圧に応じた電荷が、画素A3の容量に蓄積される。画素A1の容量に蓄積された電荷量に応じて、画素A1の発光素子Delに電流が流れ、有機EL素子が発光する。また、画素A3の容量に蓄積された電荷量に応じて、画素A3の発光素子Delに電流が流れ、有機EL素子が発光する。同様に、データラインDATA_O(i+1)の電圧に応じた電荷が、画素A2の容量に蓄積され、データラインDATA_E(i+1)の電圧に応じた電荷が、画素A4の容量に蓄積される。画素A2の容量に蓄積された電荷量に応じて、画素A2の発光素子Delに電流が流れ、有機EL素子が発光する。また、画素A4の容量に蓄積された電荷量に応じて、画素A4の発光素子Delに電流が流れ、有機EL素子が発光する。行選択ラインSCNに印加された電圧は、所定の時間経過後、OFFされる。
【0040】
行選択ラインSCNに電圧が印加され始めてから1/240[sec]後、行選択ラインSCNに再び電圧が印加される。このタイミングで、次は画素選択線SL_Bに電圧が印加される。このとき、データラインDATA_O(i)の電圧に応じた電荷が、画素B1の容量に蓄積され、データラインDATA_E(i)の電圧に応じた電荷が、画素B3の容量に蓄積される。画素B1の容量に蓄積された電荷量に応じて、画素B1の発光素子Delに電流が流れ、有機EL素子が発光する。また、画素B3の容量に蓄積された電荷量に応じて、画素B3の発光素子Delに電流が流れ、有機EL素子が発光する。同様に、データラインDATA_O(i+1)の電圧に応じた電荷が、画素B2の容量に蓄積され、データラインDATA_E(i+1)の電圧に応じた電荷が、画素B4の容量に蓄積される。画素B2の容量に蓄積された電荷量に応じて、画素B2の発光素子Delに電流が流れ、有機EL素子が発光する。また、画素B4の容量に蓄積された電荷量に応じて、画素B4の発光素子Delに電流が流れ、有機EL素子が発光する。行選択ラインSCNに印加された電圧は、所定の時間経過後、OFFされる。
【0041】
画素選択線SL_C、及び、画素選択線SL_Dについては記載を省略するが、このような処理が、1/240[sec]間隔で繰り返し行われていく。このような処理が、表示パネル15の最上段の水平ラインから順次走査されていくことにより、1/240[sec]の間に、画素Aに相当する画素が同様に順次走査され、パネル全体の1/4の画素の書き込みが完了する。また、次の1/240[sec]の間には、画素Bに相当する画素が同様に順次走査され、書き込みが完了する。その次の1/240[sec]で画素Cが、さらに次の1/240[sec]で画素Dが、順次走査され、書き込みが完了する。したがって、1/60[sec]ですべての画素の書き込みを完了することが可能となる。
【0042】
上述したように、静止領域においては、画素A乃至画素Dの各画素値は、1フレームごとに更新されていく。すなわち、静止領域においては、1フレームごとに画素値を制御する標準駆動モードで駆動が行われる。この場合、信号処理部12は、標準駆動モードで第3トランジスタの導通状態を制御する。標準駆動モードでは、画素ブロック20に含まれる複数の画素回路30が、サブフレーム単位で順に制御され、1フレームの期間で画素ブロックに含まれる全ての画素回路30についての画素値が更新されることとなる。
【0043】
図5は、本実施形態に係る高速駆動モード時の駆動信号の変化の一例を示すタイミングチャートである。同図を参照しながら、高速駆動モード時における表示装置10の駆動方法の一例について説明する。図5においても、図4と同様、行選択ラインSCN、画素選択線SL_A、画素選択線SL_B、画素選択線SL_C、画素選択線SL_D、データラインDATA_O、データラインDATA_E、についての、時間ごとの変化を示している。
【0044】
はじめに、行選択ラインSCNに電圧が印加されたタイミングで、画素選択線SL_A、画素選択線SL_B、画素選択線SL_C、画素選択線SL_Dに、同時に電圧が印加される。このとき、データラインDATA_O(i)の電圧に応じた電荷が、画素A1の容量、画素B1の容量、画素C1の容量、及び、画素D1の容量にそれぞれ蓄積される。また、データラインDATA_E(i)の電圧に応じた電荷が画素A3の容量、画素B3の容量、画素C3の容量、及び、画素D3の容量にそれぞれ蓄積される。それぞれの画素に対応する容量に蓄積された電荷量に応じて、それぞれの画素の発光素子Delに電流が流れ、有機EL素子が発光する。同様に、データラインDATA_O(i+1)の電圧に応じた電荷が、画素A2の容量、画素B2の容量、画素C2の容量、及び、画素D2の容量にそれぞれ蓄積される。また、データラインDATA_E(i+1)の電圧に応じた電荷が画素A4の容量、画素B4の容量、画素C4の容量、及び、画素D4の容量にそれぞれ蓄積される。それぞれの画素に対応する容量に蓄積された電荷量に応じて、それぞれの画素の発光素子Delに電流が流れ、有機EL素子が発光する。
【0045】
高速駆動モードでは、このように、1/240秒の間にパネルのすべての画素の書き込みを完了することができる。行選択ラインSCNに電圧が印加され始めてから1/240[sec]後、再度、行選択ラインSCNに電圧が印加されたタイミングで、画素選択線SL_A、画素選択線SL_B、画素選択線SL_C、画素選択線SL_Dに、同時に電圧が印加される。以降の処理については記載を省略するが、以降、同様の処理を繰り返すことにより、240[Hz]で(すなわち、標準駆動モードの4倍の速度で)映像を表示することが可能となる。
【0046】
なお、表示装置10のパネル構成、及び駆動方法では、標準駆動モード及び高速駆動モードのどちらの駆動モードにおいても、行選択ラインSCN、データラインDATA_O、及び、データラインDATA_Eに電圧が印加されるタイミングが同一である。本実施形態によれば、所定の制御単位ごとに、画素選択ラインSL_A、画素選択ラインSL_B、画素選択ラインSL_C、及び、画素選択ラインSL_Dの動作を制御することにより、標準駆動モードと高速駆動モードを選択することが可能となる。
【0047】
上述したように、動領域においては、1フレームを時分割したサブフレーム単位で画素値を制御する高速駆動モードで駆動が行われる。この場合、信号処理部12は、高速駆動モードで第3トランジスタの導通状態を制御する。高速駆動モードでは、画素ブロック20に含まれる全ての画素回路30が、サブフレーム単位ごとに同時に制御されることとなる。
【0048】
このような構成を採用することにより、走査時間を短くすることなく、任意の領域で、適切なフレームレートで映像を表示することが可能となる。よって、本実施形態によれば、消費電力を抑制しながら、総合的な画質を向上させることが可能となる。
【0049】
図6は、本実施形態に係るカラー表示パネルに含まれる画素ブロックの構成の一例を示すブロック図である。同図を参照しながら、カラー表示パネルに含まれる画素ブロック20Aの構成の一例について説明する。画素ブロック20Aは、画素ブロック20の変形例である。画素ブロック20Aは、画素ブロック20の各画素に代えて、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の各色の画素を備える点において、画素ブロック20とは異なる。画素ブロック20Aにおいては、RGB各色の画素に対応するよう、データラインDATA_Oに代えて、データラインDATAr_O、データラインDATAg_O、及び、データラインDATAb_Oを備える。また、データラインDATA_Eに代えて。データラインDATAr_E、データラインDATAg_E、及び、データラインDATAb_Eを備える。
【0050】
図1から図5を参照しながら説明した構成の一例においては、説明の簡素化のために、サブピクセルについては説明を省略した。しかしながら、図6に示すような有機ELパネル構成とすることにより、本実施形態に係る表示装置10が備える構成を、カラー表示パネルにも採用することができる。
【0051】
また、上述した一例では、画素ブロックの単位が4×4画素である場合の一例について説明をしたが、8×8画素等、任意の大きさの領域を画素ブロックの単位として、上述した一例と同様に駆動することが可能である。
【0052】
また、上述した一例では、有機ELパネルに映像信号を表示させる場合の一例について説明したが、本実施形態に係る表示装置10が備える表示素子は、この一例に限定されない。本実施形態によれば、表示素子の種類によらず、液晶パネル(Liquid Crystal Display;LCD)や、発光ダイオード(Light-Emitting Diode;LED)ディスプレイなどにも応用することが可能である。
【0053】
また、本実施形態に係る表示装置10は、コンピュータが映像信号を出力するための出力装置に対して広く適用されることが可能となる。具体的には、表示装置10を備える電子機器の一例として、デジタルカメラを例示することができる。例えば、デジタルカメラの背面に表示装置10が適用されてもよい。また、デジタルカメラの電子ビューファインダー(Electronic View Finder;EVF)に表示装置10が適用されてもよい。また、表示装置10を備える電子機器の一例として、スマートフォンやタブレット端末装置等を例示することができる。例えば、スマートフォンやタブレット端末装置等の表示部に表示装置10が適用されてもよい。
【0054】
また、表示装置10を備える電子機器の一例として、ヘッドマウント・ディスプレイを例示することができる。ヘッドマウント・ディスプレイは、眼鏡と同様にテンプル部、ブリッジ部、レンズ部を有するウェアラブル端末装置である。ブリッジ内側には、左眼用の表示装置10と右眼用の表示装置10とが、それぞれ設けられる。左眼用の表示装置10と右眼用の表示装置10に表示される画像は、光学レンズ系を介して両眼に入射されてもよい。
【0055】
本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。また、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0056】
10 表示装置
11 映像入力部
12 信号処理部
13 列駆動ドライバ部
14 行駆動ドライバ部
15 表示パネル
20 画素ブロック
30 画素回路
Tr1 第1トランジスタ
Tr2 第2トランジスタ
Tr3 第3トランジスタ
C1 容量
Del 発光素子
SL 画素選択ライン
SCN 行選択ライン
DATA データライン
Vdd 陽極電源線
Vss 陰極電源線
図1
図2
図3
図4
図5
図6