(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025297
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】立軸ポンプのための耐水型外軸受装置
(51)【国際特許分類】
F04D 13/00 20060101AFI20250214BHJP
F04D 29/12 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
F04D13/00 D
F04D29/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129946
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】千葉 真
(72)【発明者】
【氏名】小宮 真
(72)【発明者】
【氏名】阿部 豪
(72)【発明者】
【氏名】新井 蒼太
(72)【発明者】
【氏名】山下 大樹
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 拓真
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 孝雄
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AA13
3H130AB13
3H130AB23
3H130AB50
3H130AC10
3H130BA52E
3H130BA52F
3H130DA02Z
3H130DB08Z
3H130DC05X
3H130EA07F
3H130EB02A
3H130ED02F
(57)【要約】
【課題】外部からの水の侵入を防ぐことができる、立軸ポンプ用の耐水型外軸受装置を提供する。
【解決手段】耐水型外軸受装置43は、回転軸15を回転可能に支持する軸受47,48と、軸受47,48が収容される軸受室50を内部に有する軸受ハウジング51と、軸受室50を覆う内側軸受カバー52と、内側軸受カバー52を覆う上側軸受カバー53と、上側軸受カバー53と回転軸15との間の隙間を封止するための上側シール81を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立軸ポンプの回転軸を支持するための耐水型外軸受装置であって、
前記回転軸を回転可能に支持する軸受と、
前記軸受が収容される軸受室を内部に有する軸受ハウジングと、
前記軸受室を覆う内側軸受カバーと、
前記内側軸受カバーを覆う上側軸受カバーと、
前記上側軸受カバーと前記回転軸との間の隙間を封止するための上側シールを備えている、耐水型外軸受装置。
【請求項2】
前記上側軸受カバーから上方に延びる通気管をさらに備え、
前記通気管は、前記上側軸受カバーと前記内側軸受カバーとの間の空間に連通しており、
前記空間は、前記軸受室に連通している、請求項1に記載の耐水型外軸受装置。
【請求項3】
前記上側軸受カバーに連結された通気管と、
前記通気管に連結されたフロート弁をさらに備え、
前記通気管は、前記上側軸受カバーと前記内側軸受カバーとの間の空間に連通しており、
前記空間は、前記軸受室に連通している、請求項1に記載の耐水型外軸受装置。
【請求項4】
前記上側軸受カバーに固定されたバッファタンクをさらに備え、
前記バッファタンクは、前記上側軸受カバーと前記内側軸受カバーとの間の空間に連通しており、
前記空間は、前記軸受室に連通している、請求項1に記載の耐水型外軸受装置。
【請求項5】
前記上側軸受カバーと前記内側軸受カバーとの間の空間に配置された調整ナットと、
前記回転軸に外周面に固定されたジャーナルをさらに備えており、
前記調整ナットは、前記回転軸の外周面に形成されたねじ部に螺合されており、
前記調整ナットは、前記ジャーナルの上面に接触している、請求項1に記載の耐水型外軸受装置。
【請求項6】
前記上側シールの位置を、前記上側シールが前記回転軸の第1外周面に接触する接触位置と、前記上側シールが前記回転軸の第2外周面から離れる非接触位置との間で切り替える上側シール位置決め装置をさらに備えており、
前記第2外周面は、前記第1外周面よりも小さい直径を有している、請求項1に記載の耐水型外軸受装置。
【請求項7】
前記上側位置決め装置は、前記上側シールの上下方向の位置決めをするように構成されている、請求項6に記載の耐水型外軸受装置。
【請求項8】
前記上側シールの上方に配置された少なくとも1つの予備上側シールと、
前記予備上側シールが収容された上側シール保管容器をさらに備えている、請求項6に記載の耐水型外軸受装置。
【請求項9】
前記回転軸の外周面に形成された外周ねじ部に螺合された内周ねじ部を有する上側可動スリーブをさらに備え、
前記上側可動スリーブは、前記上側シールに接触する接触位置と、前記上側シールから離れる非接触位置との間で前記回転軸上を移動可能である、請求項1に記載の耐水型外軸受装置。
【請求項10】
前記上側シールは、磁場を形成する電磁石と、前記磁場内に配置された磁性流体を有する磁性流体シールである、請求項1に記載の耐水型外軸受装置。
【請求項11】
前記上側シールは、前記回転軸に接触し、かつ前記回転軸から離れることが可能な気体膨張シールである、請求項1に記載の耐水型外軸受装置。
【請求項12】
前記軸受ハウジングと前記回転軸との間の隙間を封止するための下側シールをさらに備えている、請求項1に記載の耐水型外軸受装置。
【請求項13】
前記下側シールは、
前記軸受ハウジングに固定された固定側部材と、
前記回転軸に固定された回転側部材と、
前記固定側部材に支持され、前記回転側部材に押し付けられたシール要素を備えている、請求項12に記載の耐水型外軸受装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立軸ポンプの回転軸を回転可能に支持する耐水型外軸受装置に関し、特に軸受室への水の侵入を防止することができる耐水型外軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
雨水排水を行う排水機場では、鉛直方向に延びる回転軸を有する立軸ポンプが使用されている。この立軸ポンプの設置レベルが地表レベルよりも低い排水機場では、大型台風接近時等のポンプ室への浸水被害が懸念される。上記のような排水機場の浸水を想定した場合、立軸ポンプを駆動する駆動機、減速機、電気機器などは地表レベルよりも高い原動機室に設置すれば浸水対策として十分である。
【0003】
しかしながら、立軸ポンプ自体の浸水については、浸水対策(耐水化)技術は未だ確立されていないのが現状である。立軸ポンプが浸水してしまった場合、最も被害を受けると考えられるのが立軸ポンプ上部の外軸受装置である。外軸受装置は、ポンプケーシングの上方に設置されており、立軸ポンプによって汲み上げられた水が接触しない位置に配置されている。
【0004】
外軸受装置の軸受室内部には、立軸ポンプの回転軸を支える軸受が設けられている。軸受室内に水が侵入し、水が軸受に接触すると、軸受の腐食が進行し、いずれは立軸ポンプの運転ができなくなってしまう。そこで、以下に示すように、耐水対策を講じた軸受装置が従来から提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-153541号公報
【特許文献2】特開平11-294690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1には、吐出エルボから冠水設定水位(浸水水位)まで、軸受ケースを囲うように二重円筒部材を立ち上げる構造が開示されている。しかしながら、二重円筒部材の上部は開放されており、浸水レベルが二重円筒部材よりも高い場合には、水は二重円筒部材内に侵入してしまう。加えて、冷却ファンの運転により、二重円筒部材内へ塵や埃等が溜まりやすい構造となっており、さらに、軸受室への油補給のためには二重円筒部材を撤去する必要がある等、普段のメンテナンス作業にも支障をきたすと想定される。
【0007】
上記特許文献2には、ポンプが冠水した際に、水と潤滑液(タービン油等)の比重差と軸受ケースの構造によって、軸受室に侵入した水を一部の潤滑液と一緒に外部へ排出する構造が開示されている。しかしながら、この技術は、軸受室内部への水の侵入が前提となった技術であるため、実際の運用では冠水後に軸受室内の軸受の点検をしなければポンプの運転を再開することはできない。加えて、潤滑液を外部へ排出させる必要があることから環境汚染への懸念が残る。
【0008】
そこで、本発明は、外部からの水の侵入を防ぐことができる、立軸ポンプ用の耐水型外軸受装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、立軸ポンプの回転軸を支持するための耐水型外軸受装置であって、前記回転軸を回転可能に支持する軸受と、前記軸受が収容される軸受室を内部に有する軸受ハウジングと、前記軸受室を覆う内側軸受カバーと、前記内側軸受カバーを覆う上側軸受カバーと、前記上側軸受カバーと前記回転軸との間の隙間を封止するための上側シールを備えている、耐水型外軸受装置が提供される。
【0010】
一態様では、前記耐水型外軸受装置は、前記上側軸受カバーから上方に延びる通気管をさらに備え、前記通気管は、前記上側軸受カバーと前記内側軸受カバーとの間の空間に連通しており、前記空間は、前記軸受室に連通している。
一態様では、前記耐水型外軸受装置は、前記上側軸受カバーに連結された通気管と、前記通気管に連結されたフロート弁をさらに備え、前記通気管は、前記上側軸受カバーと前記内側軸受カバーとの間の空間に連通しており、前記空間は、前記軸受室に連通している。
一態様では、前記耐水型外軸受装置は、前記上側軸受カバーに固定されたバッファタンクをさらに備え、前記バッファタンクは、前記上側軸受カバーと前記内側軸受カバーとの間の空間に連通しており、前記空間は、前記軸受室に連通している。
一態様では、前記耐水型外軸受装置は、前記上側軸受カバーと前記内側軸受カバーとの間の空間に配置された調整ナットと、前記回転軸に外周面に固定されたジャーナルをさらに備えており、前記調整ナットは、前記回転軸の外周面に形成されたねじ部に螺合されており、前記調整ナットは、前記ジャーナルの上面に接触している。
【0011】
一態様では、前記耐水型外軸受装置は、前記上側シールの位置を、前記上側シールが前記回転軸の第1外周面に接触する接触位置と、前記上側シールが前記回転軸の第2外周面から離れる非接触位置との間で切り替える上側シール位置決め装置をさらに備えており、前記第2外周面は、前記第1外周面よりも小さい直径を有している。
一態様では、前記上側位置決め装置は、前記上側シールの上下方向の位置決めをするように構成されている。
一態様では、前記耐水型外軸受装置は、前記上側シールの上方に配置された少なくとも1つの予備上側シールと、前記予備上側シールが収容された上側シール保管容器をさらに備えている。
一態様では、前記耐水型外軸受装置は、前記回転軸の外周面に形成された外周ねじ部に螺合された内周ねじ部を有する上側可動スリーブをさらに備え、前記上側可動スリーブは、前記上側シールに接触する接触位置と、前記上側シールから離れる非接触位置との間で前記回転軸上を移動可能である。
【0012】
一態様では、前記上側シールは、磁場を形成する電磁石と、前記磁場内に配置された磁性流体を有する磁性流体シールである。
一態様では、前記上側シールは、前記回転軸に接触し、かつ前記回転軸から離れることが可能な気体膨張シールである。
一態様では、前記耐水型外軸受装置は、前記軸受ハウジングと前記回転軸との間の隙間を封止するための下側シールをさらに備えている。
一態様では、前記下側シールは、前記軸受ハウジングに固定された固定側部材と、前記回転軸に固定された回転側部材と、前記固定側部材に支持され、前記回転側部材に押し付けられたシール要素を備えている。
【0013】
一態様では、立軸ポンプの回転軸を支持するための耐水型外軸受装置であって、前記回転軸を回転可能に支持する軸受と、前記軸受が収容される軸受室を内部に有する軸受ハウジングと、前記軸受室を覆う軸受カバーと、前記回転軸の外周面に固定されたジャーナルと、前記ジャーナルの上面に接触する調整ナットと、前記調整ナットを収容するナットカバーと、前記軸受カバーと前記ジャーナルの外周面との隙間を封止するための第1シールと、前記ナットカバーと前記回転軸の外周面との隙間を封止するための第2シールと、前記ナットカバーと前記ジャーナルとの隙間を封止するための第3シールを備え、前記調整ナットは、前記回転軸の外周面に形成されたねじ部に螺合されている、耐水型外軸受装置が提供される。
【0014】
一態様では、前記ナットカバーは、ねじにより前記ジャーナルに着脱可能に固定されている。
一態様では、前記耐水型外軸受装置は、前記ジャーナルに取り外し可能に接続された通気管をさらに備えており、前記通気管は、前記ジャーナルの内部に形成された空気抜き通路に連通している。
一態様では、前記耐水型外軸受装置は、前記軸受ハウジングと前記回転軸との間の隙間を封止するための下側シールをさらに備えている。
一態様では、前記下側シールは、前記軸受ハウジングに固定された固定側部材と、前記回転軸に固定された回転側部材と、前記固定側部材に支持され、前記回転側部材に押し付けられたシール要素を備えている。
【0015】
一態様では、立軸ポンプの回転軸を支持するための耐水型外軸受装置であって、前記回転軸を回転可能に支持する軸受と、前記軸受が収容される軸受室を内部に有する軸受ハウジングと、前記軸受室を覆う軸受カバーと、前記回転軸の外周面に固定されたジャーナルと、前記ジャーナルの上面に接触しているシールホルダと、前記軸受カバーと前記ジャーナルの外周面との隙間を封止するための第1シールと、前記シールホルダと前記回転軸の外周面との隙間を封止するための第2シールと、前記シールホルダと前記ジャーナルの前記上面との隙間を封止するための第3シールを備え、前記第2シールおよび前記第3シールは、前記シールホルダに保持されている、耐水型外軸受装置が提供される。
【0016】
一態様では、前記シールホルダは、前記回転軸の外周面に形成されたねじ部に螺合された調整ナットである。
一態様では、前記耐水型外軸受装置は、前記回転軸の外周面に形成されたねじ部に螺合された調整ナットをさらに備え、前記シールホルダは、前記調整ナットと前記ジャーナルとの間に配置されている。
一態様では、前記耐水型外軸受装置は、前記ジャーナルに取り外し可能に接続された通気管をさらに備えており、前記通気管は、前記ジャーナルの内部に形成された空気抜き通路に連通している。
一態様では、前記耐水型外軸受装置は、前記軸受ハウジングと前記回転軸との間の隙間を封止するための下側シールをさらに備えている。
一態様では、前記下側シールは、前記軸受ハウジングに固定された固定側部材と、前記回転軸に固定された回転側部材と、前記固定側部材に支持され、前記回転側部材に押し付けられたシール要素を備えている。
【0017】
一態様では、立軸ポンプの回転軸を支持するための耐水型外軸受装置であって、前記回転軸を回転可能に支持する軸受と、前記軸受が収容される軸受室を内部に有する軸受ハウジングと、前記軸受室を覆う軸受カバーと、前記回転軸の外周面に固定されたジャーナルと、前記回転軸の外周面に形成されたねじ部に螺合されている調整ナットと、前記調整ナットおよび前記回転軸の上端が配置された密閉空間を内部に形成するカップリングと、前記軸受カバーと前記ジャーナルの外周面との隙間を封止するための第1シールと、前記カップリングと前記ジャーナルとの隙間を封止するための第2シールを備えている、耐水型外軸受装置が提供される。
【0018】
一態様では、前記耐水型外軸受装置は、前記ジャーナルに取り外し可能に接続された通気管をさらに備えており、前記通気管は、前記ジャーナルの内部に形成された空気抜き通路に連通している。
一態様では、前記耐水型外軸受装置は、前記軸受ハウジングと前記回転軸との間の隙間を封止するための下側シールをさらに備えている。
一態様では、前記下側シールは、前記軸受ハウジングに固定された固定側部材と、前記回転軸に固定された回転側部材と、前記固定側部材に支持され、前記回転側部材に押し付けられたシール要素を備えている。
【発明の効果】
【0019】
上記一態様によれば、軸受室は、内側軸受カバーと外側軸受カバーの二重壁構造によって覆われており、かつ上側シールにより外側軸受カバーと回転軸との間の隙間が封止されている。このような構成により、浸水レベルが上昇して耐水型外軸受装置が水没しても、軸受室内への水の侵入を防止することができる。
【0020】
上記一態様によれば、軸受カバーとジャーナルの外周面との隙間を封止するための第1シールは、軸受カバーとジャーナルの外周面との隙間を通じて軸受室内に水が侵入することを防止できる。また、ナットカバーと回転軸の外周面との隙間を封止するための第2シールと、ナットカバーとジャーナルとの隙間を封止するための第3シールは、ジャーナルと回転軸との間の隙間を通じて水が軸受室内に侵入することを防止できる。
【0021】
上記一態様によれば、軸受カバーとジャーナルの外周面との隙間を封止するための第1シールは、軸受カバーとジャーナルの外周面との隙間を通じて軸受室内に水が侵入することを防止できる。また、シールホルダと回転軸の外周面との隙間を封止するための第2シールと、シールホルダとジャーナルとの隙間を封止するための第3シールは、ジャーナルと回転軸との間の隙間を通じて水が軸受室内に侵入することを防止できる。
【0022】
上記一態様によれば、軸受カバーとジャーナルの外周面との隙間を封止するための第1シールは、軸受カバーとジャーナルの外周面との隙間を通じて軸受室内に水が侵入することを防止できる。また、カップリングとジャーナルとの隙間を封止するための第2シール、および調整ナットおよび回転軸の上端が配置された封止空間を内部に形成するカップリングは、ジャーナルと回転軸との隙間、および調整ナットと回転軸との隙間を通じて水が軸受室内に侵入することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】立軸ポンプの一実施形態を示す模式図である。
【
図2】耐水型外軸受装置の一実施形態を示す断面図である。
【
図3】上側シールの一実施形態を示す拡大断面図である。
【
図4】上側シールの他の実施形態を示す拡大断面図である。
【
図7】耐水型外軸受装置の他の実施形態を示す断面図である。
【
図8】耐水型外軸受装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【
図9】フロート弁の一実施形態の拡大断面図である。
【
図10】耐水型外軸受装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【
図11】上側シールおよび上側シールホルダを、
図10に示す非接触位置から、上側シールが回転軸の外周面に接触する接触位置に移動させた状態を示す図である。
【
図12】下側シール位置決め装置の一実施形態を示す図である。
【
図13】下側シール位置決め装置の一実施形態を示す図である。
【
図14】耐水型外軸受装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【
図15】上側シールおよび上側シールホルダを、
図14に示す非接触位置から、上側シールが回転軸の外周面に接触する接触位置に移動させた状態を示す図である。
【
図17】下側シール位置決め装置の一実施形態を示す図である。
【
図18】下側シール位置決め装置の一実施形態を示す図である。
【
図19】耐水型外軸受装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【
図20】耐水型外軸受装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【
図21】耐水型外軸受装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【
図22】上側可動スリーブが接触位置まで下降し、上側シールが上側可動スリーブの外周面に接触する状態を説明する図である。
【
図23】耐水型外軸受装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【
図24】下側可動スリーブが接触位置まで上昇し、下側シールが下側可動スリーブの外周面に接触する状態を説明する図である。
【
図25】耐水型外軸受装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【
図26】気体膨張シールから構成された上側シールの一実施形態を示す断面図である。
【
図27】バルーンリングが膨張した状態を示す図である。
【
図28】気体膨張シールから構成された下側シールの一実施形態を示す断面図である。
【
図29】バルーンリングが膨張した状態を示す図である。
【
図30】耐水型外軸受装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【
図31】ねじによってナットカバーをジャーナルに固定した一実施形態を示す図である。
【
図32】耐水型外軸受装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【
図33】耐水型外軸受装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【
図34】耐水型外軸受装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、立軸ポンプの一実施形態を示す模式図である。
図1に示すように、立軸ポンプ1は、吸込水槽2内の液体を汲み上げるためのポンプである。
図1に示す立軸ポンプ1は、上水、雨水、農業用水等を移送するための排水機場に設置される。
【0025】
立軸ポンプ1は、鉛直方向に延びる回転軸15と、回転軸15に固定された羽根車10と、羽根車10によって加圧された水の流路を内部に形成するポンプケーシング27を備えている。ポンプケーシング27は、羽根車10が内部に配置された吐出ボウル24と、吐出ボウル24の下端に接続された吸込みベルマウス22と、吐出ボウル24の上端に接続された揚水管28と、揚水管28の上端に接続された吐出曲管30と、吐出曲管30の吐出側の端部に接続された吐出配管34とを備えている。回転軸15は、カップリング35を介して駆動源7に連結されている。駆動源7の例としては、電動機、ディーゼルエンジン、ガスタービンエンジンなどが挙げられる。駆動源7は、ポンプ据付床3の上方に配置された設置床8上に設置されている。
【0026】
吐出ボウル24および吸込みベルマウス22は、揚水管28によって吸込水槽2内に吊り下げられている。吸込みベルマウス22は、下方に開口した吸込口22aを有しており、吸込みベルマウス22の上端は吐出ボウル24の下端に接続されている。吸込口22aは、ポンプケーシング27の下端に形成されている。
【0027】
揚水管28は、吸込水槽2の上壁を構成するポンプ据付床3に形成された開口5を通して下方に延びている。揚水管28の上端には取り付けフランジ33が固定されている。取り付けフランジ33は、図示しない基礎ボルトによってポンプ据付床3に固定されている。回転軸15は、吐出曲管30および揚水管28内を通って鉛直方向に延びており、回転軸15の下端は、吐出ボウル24内に位置している。
【0028】
立軸ポンプ1は、回転軸15を回転可能に支持するための水中軸受41および耐水型外軸受装置43を備えている。耐水型外軸受装置43は、ポンプケーシング27の流路の外側に配置されており、より具体的には、ポンプケーシング27の一部を構成する吐出曲管30の上部に固定されている。
【0029】
回転軸15は吐出曲管30から上方に突出し、カップリング35を経由して駆動源7に連結されている。耐水型外軸受装置43は、吐出曲管30から上方に突出した回転軸15の部分を回転可能に支持している。水中軸受41は、吐出ボウル24内に配置され、回転軸15の下部を支持している。回転軸15を支持する水中軸受を揚水管28内にさらに配置してもよい。耐水型外軸受装置43の下方には、回転軸15と吐出曲管30との隙間を封止する軸封装置(図示せず)を点検するための点検口45が形成されている。
【0030】
吐出ボウル24の内部には内側ボウル25が配置されており、内側ボウル25は、複数のガイドベーン37によって吐出ボウル24に連結されている。水中軸受41は、内側ボウル25内に配置されている。複数のガイドベーン37は、羽根車10の上方(吐出側)に配置されている。吐出ボウル24の内面と内側ボウル25の外面との間には液体の流路が形成されている。
【0031】
羽根車10は吸込水槽2内に配置されている。駆動源7は、回転軸15および羽根車10を一体に回転させる。羽根車10が回転すると、吸込水槽2内の液体がポンプケーシング27の吸込口22aから吸い込まれる。液体は、羽根車10の回転により、ポンプケーシング27を構成する吸込みベルマウス22、吐出ボウル24、揚水管28、吐出曲管30、および吐出配管34を通って移送される。
【0032】
図2は、耐水型外軸受装置43の一実施形態を示す断面図である。耐水型外軸受装置43は、回転軸15を回転可能に支持する軸受47および軸受48と、軸受47および軸受48が収容される軸受室50を内部に有する軸受ハウジング51と、軸受室50を覆う内側軸受カバー52と、内側軸受カバー52を覆う外側軸受カバー53を備えている。軸受47は軸受48の上方に位置している。回転軸15の上部は、カップリング35に連結されている。より具体的には、カップリング35は、回転軸15に連結された下カップリング35Aと、
図1に示す駆動源7に連結された上カップリング35Bを有しており、回転軸15の上部は、下カップリング35Aに形成された収容穴55内に収容されている。上カップリング35Bと下カップリング35Aは、図示しないボルトおよびナットによって互いに固定されている。カップリング35の全体を覆うカップリングカバーを設けてもよい。
【0033】
回転軸15は、その外周面に形成されたねじ部57を有している。ねじ部57にはセットリングナット58が螺合されている。下カップリング35Aの下面はセットリングナット58に接触している。セットリングナット58を回転させると、セットリングナット58はねじ部57上で上下方向に移動する。このセットリングナット58は、回転軸15とカップリング35全体との上下方向の位置決めのために設けられている。
【0034】
回転軸15は、耐水型外軸受装置43の全体を貫通して上下方向に延びている。回転軸15は、単一の要素から構成されてもよく、あるいは回転軸15は、主軸と、主軸の周囲を囲む軸スリーブとを含む回転組立体から構成されてもよい。軸スリーブは回転軸15の外周面の一部を構成する。
【0035】
耐水型外軸受装置43は、外側軸受カバー53と内側軸受カバー52との間の空間Qに配置された調整ナット60と、回転軸15に外周面に固定されたジャーナル62をさらに備えている。ジャーナル62は、円筒形状を有しており、回転軸15はジャーナル62を貫通して延びている。ジャーナル62は、回転軸15と一体に回転可能である。ジャーナル62の上面は、外側軸受カバー53と内側軸受カバー52との間の空間Q内に位置しており、ジャーナル62の下部は、内側軸受カバー52よりも下方に位置し、かつ軸受室50内に位置している。
【0036】
軸受47の内輪および軸受48の内輪は、ジャーナル62を回転可能に支持している。したがって、回転軸15およびジャーナル62は、軸受47および軸受48によって回転可能に支持される。軸受47の外輪および軸受48の外輪は、軸受ハウジング51に保持されている。本実施形態では、軸受47は回転軸15のラジアル荷重を受けるように構成されたラジアル転がり軸受であり、軸受48は回転軸15のラジアル荷重およびアキシャル荷重を受けるように構成されたアンギュラ転がり軸受である。ただし、回転軸15のラジアル荷重およびアキシャル荷重を受けることができる限りにおいて、軸受47および軸受48の構成は特に限定されない。
【0037】
回転軸15は、調整ナット60を貫通して延びている。調整ナット60は、回転軸15の外周面に形成されたねじ部64に螺合されている。より具体的には、調整ナット60は、回転軸15のねじ部64に螺合された内側ねじ部65を有している。調整ナット60は、ジャーナル62の上面に接触している。調整ナット60を回転させると、回転軸15は耐水型外軸受装置43の全体に対して相対的に上下動する。この調整ナット60は、耐水型外軸受装置43に対する回転軸15の上下方向の位置決めのために設けられている。
【0038】
耐水型外軸受装置43は、ジャーナル62の内側に配置された油筒67を有している。この油筒67は、軸受ハウジング51の下部から上方に延びる円筒形状の部材であり、油筒67の上部はジャーナル62の内側に位置している。油筒67は、軸受47および軸受48のための潤滑油が軸受室50から漏洩することを防止するために設けられている。油筒67は軸受47よりも高い位置まで上方に延びており、かつ軸受48よりも低い位置まで下方に延びている。回転軸15は、油筒67内を通って延びている。油筒67の下端は、シールホルダ68に固定されている。一実施形態では、油筒67の下端は軸受ハウジング51に固定されてもよい。
【0039】
ジャーナル62は、その内部に空気抜き通路70を有している。空気抜き通路70の上端は、外側軸受カバー53と内側軸受カバー52との間の空間Q内で開口し、空気抜き通路70の下端は、油筒67の上部が配置されたジャーナル62の内部空間71内で開口している。
【0040】
耐水型外軸受装置43は、外側軸受カバー53から上方に延びる通気管73を備えている。この通気管73は、外側軸受カバー53に取り外し可能に連結されている。通気管73は、外側軸受カバー53と内側軸受カバー52との間の空間Qに連通しており、空間Qは、内側軸受カバー52に形成された通孔74を通じて軸受室50に連通している。通気管73は、カップリング35よりも高い位置まで上方に延びており、例えば、
図1に示す駆動源7が設置される設置床8よりも高い位置まで上方に延びてもよい。
【0041】
軸受室50内には、回転部と静止部が存在しており、回転部と静止部との間に圧力差が生じる。この圧力差は、軸受室50の外から空気を吸引する力を発生させる。また、軸受47および軸受48の発熱により、軸受室50内の空気が膨張する。このような空気を吸引する力と空気の膨張は、空気抜き通路70および通気管73を通じて軸受室50の内部と外部との間で空気を流通させる。空気抜き通路70は、外側軸受カバー53と内側軸受カバー52との間の空間Qに連通し、通気管73はこの空間Qに連通する。通気管73は、上方に延びているので、耐水型外軸受装置43の全体が水没しても、通気管73を通じて水が空間Qおよび軸受室50内に流入することはない。
【0042】
耐水型外軸受装置43は、外側軸受カバー53と回転軸15との間の隙間を封止するための上側シール81と、軸受ハウジング51と回転軸15との間の隙間を封止するための下側シール82をさらに備えている。上側シール81および下側シール82は、回転軸15の外周面に摺接する摺接シールである。耐水型外軸受装置43は、内側軸受カバー52とジャーナル62との間の隙間を封止するための中間シール83をさらに備えている。この中間シール83は、ジャーナル62の外周面に摺接する摺接シールである。
【0043】
下側シール82は、軸受ハウジング51の底面に配置されたシールホルダ68に保持されている。軸受ハウジング51の底面とシールホルダ68の上面との間には、回転軸15の周囲を囲むシール69(例えばOリング)が配置されている。耐水型外軸受装置43は、外側軸受カバー53と内側軸受カバー52との間に配置された静止シール86(例えばOリング)と、内側軸受カバー52と軸受ハウジング51との間に配置された静止シール87(例えばOリング)をさらに備えている。
【0044】
上側シール81、下側シール82、静止シール86、および静止シール87は、耐水型外軸受装置43の全体が水没したときに、水が空間Qおよび軸受室50内に侵入すること防止することができる。より具体的には、上側シール81は、水が外側軸受カバー53と回転軸15との間の隙間に侵入することを防止し、静止シール86は、水が外側軸受カバー53と内側軸受カバー52との間の隙間に侵入することを防止し、静止シール87は、水が内側軸受カバー52と軸受ハウジング51との間の隙間に侵入することを防止し、下側シール82は、水が軸受ハウジング51と回転軸15との間の隙間に侵入することを防止する。
図1に示す点検口45がない場合、または点検口45が密閉蓋で閉じることが可能である場合には、下側シール82は設けられないこともある。
【0045】
上側シール81が接触する回転軸15の外周面の部分は、表面を滑らかにする加工(例えば表面研磨)により形成された滑面90である。滑面90は、上側シール81との接触を向上させることができ、水の侵入をより確実に防ぐことができる。加えて、滑面90は、摺接シールである上側シール81の摩耗を低減することができる。下側シール82が接触する回転軸15の外周面の部分も、同様に、表面を滑らかにする加工(例えば表面研磨)により形成された滑面91である。滑面90,91は、回転軸15の一部を構成する軸スリーブの外周面に形成されてもよい。
【0046】
図3は、上側シール81の一実施形態を示す拡大断面図である。
図3に示すように、上側シール81は、外側に開口する断面形状を有している。
図3に示す実施形態では、上側シール81は、外側に開口するU字断面を有している。水が外側軸受カバー53と回転軸15との間の隙間に侵入すると、水の圧力が上側シール81に加わり、上側シール81は外側に拡張する。その結果、上側シール81のリップが水圧により回転軸15の外周面に押し付けられ、これにより上側シール81は外側軸受カバー53と回転軸15との間の隙間を封止することができる。
【0047】
上側シール81の断面形状は、水圧を受けるために外側に開口していれば、特に限定されない。例えば、
図4に示すように、上側シール81は、外側に開口するV字断面を有してもよい。図示を省略するが、下側シール82も上側シール81と同じ構成を有してもよい。
【0048】
摺接シールである中間シール83は、上側シール81および下側シール82と同じ構造を有してもよく、あるいはフェルトリングなどの簡素な構造のシールを有してもよい。
【0049】
図5は、下側シール82の他の実施形態を示す図である。
図5に示す実施形態では、下側シール82は、メカニカルシールから構成されている。より具体的には、下側シール82は、軸受ハウジング51に固定された固定側部材94と、回転軸15に固定された回転側部材95と、固定側部材94に支持されたシール要素96と、シール要素96を回転側部材95に押し付けるばね97を備えている。シール要素96は、回転軸15の周囲に配置された環状の形状を有する。
【0050】
図6は、下側シール82のさらに他の実施形態を示す図である。
図6に示す実施形態では、下側シール82は、軸受ハウジング51に固定された固定側部材94と、回転軸15に固定された回転側部材95と、固定側部材94に支持され、回転側部材95に押し付けられたシール要素96を備えている。
【0051】
油筒67の下端は、固定側部材94に接続されている。軸受ハウジング51の底面と固定側部材94との間には、Oリング98が配置されている。Oリング98は、回転軸15を囲むように延びている。軸受ハウジング51と固定側部材94との隙間は、Oリング98によって封止されている。
図6に示す実施形態では、Oリング98は固定側部材94の上面に設けられているが、一実施形態ではOリング98は、軸受ハウジング51の底面に設けられてもよい。
【0052】
シール要素96は、回転軸15の周囲に配置された環状の形状を有する。シール要素96は、固定側部材94と固定側部材94との間に挟まれている。
図6のシール要素96の構成は特に限定されないが、例えば、シール要素96は、
図3および
図4を参照して説明した、水圧を受けるために外側に開口する断面形状を有するシールであってもよい。
【0053】
図7は、耐水型外軸受装置43の他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図2乃至
図6を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図7に示す実施形態では、
図2の通気管73に代えて、バッファタンク100が設けられている。バッファタンク100は、外側軸受カバー53に固定されている。バッファタンク100は、その内部に密閉空間Sを有しており、この密閉空間Sは、外側軸受カバー53と内側軸受カバー52との間の空間Qに連通している。空間Qは、通孔74を通じて軸受室50に連通しており、さらに空気抜き通路70に連通している。
【0054】
バッファタンク100の容量(密閉空間Sの容積)は、立軸ポンプ1の運転中に軸受室50内で発生する空気を吸引する力と空気の膨張によって生ずる空気の流れを許容するのに十分な大きさである。したがって、立軸ポンプ1の運転時には、このバッファタンク100により必要換気量を確保することができる。バッファタンク100は、上記空間Qに通ずる開口以外に開口を有していないので、耐水型外軸受装置43が水没したときであっても、水がバッファタンク100内に流入することはない。バッファタンク100は、以下に説明する実施形態にも適宜適用してもよい。
【0055】
図8は、耐水型外軸受装置43のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図2乃至
図6を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。耐水型外軸受装置43は、外側軸受カバー53に連結された通気管73と、通気管73に連結されたフロート弁102を備えている。フロート弁102の入口は下を向いている。通気管73は、外側軸受カバー53と内側軸受カバー52との間の空間Qに連通しており、空間Qは、内側軸受カバー52に形成された通孔74を通じて軸受室50に連通している。
【0056】
図9は、フロート弁102の一実施形態の拡大断面図である。フロート弁102は、水位がフロート弁102より高くなったときに閉じ、フロート弁102よりも低いときに開くように構成されている。フロート弁102は、通気管73に連結されたボールハウジング104と、ボールハウジング104内に配置されたボール弁103を有する。ボール弁103は、ボールハウジング104内で上下に移動可能である。立軸ポンプ1の通常運転時は、ボール弁103は、その重力によりボールハウジング104の下部に位置しており、フロート弁102は開いた状態にある。通気管73はフロート弁102を通じて大気に連通している。
【0057】
台風や豪雨などに起因して浸水レベルが上昇すると、ボール弁103は浮力によってボールハウジング104内で上昇し、通気管73を塞ぐ。したがって、フロート弁102は閉じられ、水が通気管73内に流入することを防止することができる。フロート弁102の具体的構成は、
図9を参照して説明した実施形態に限定されず、浮力によりフロート弁102が閉じる構造を有していればよい。
【0058】
図10は、耐水型外軸受装置43のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図2乃至
図6を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。耐水型外軸受装置43は、上側シール81の位置を、上側シール81が回転軸15の外周面15aに接触する接触位置と、上側シール81が回転軸15の外周面15bから離れる非接触位置との間で切り替える上側シール位置決め装置110を備えている。外周面15bは、外周面15aよりも小さい直径を有している。
【0059】
上側シール位置決め装置110は、上側シール81を保持する上側シールホルダ111と、外側軸受カバー53の上壁に固定されたボルト113と、ボルト113に螺合された複数のナット(
図10では2つのナット)115,116を備えている。上側シールホルダ111の底面には、Oリング117が取り付けられている。Oリング117は、回転軸15を囲むように延びている。ボルト113は、外側軸受カバー53から上方に延び、かつ回転軸15と平行である。上側シール81は、上側シールホルダ111の内周面に保持されている。ボルト113は上側シールホルダ111を貫通して延びており、上側シールホルダ111は、複数のナット115,116によって挟まれている。したがって、上側シール81および上側シールホルダ111の上下方向の位置は、これらナット115,116によって固定される。ボルト113に螺合されたこれらのナット115,116は、上側シールホルダ111の上下方向の位置決めをする機能を有する。
【0060】
図10では、上側シール81は、回転軸15の外周面15bに対向する非接触位置にあり、上側シール81は、外周面15bから離れている(すなわち、外周面15bに接触していない)。
図11は、上側シール81および上側シールホルダ111を、
図10に示す非接触位置から、上側シール81が回転軸15の外周面15aに接触する接触位置に移動させた状態を示す図である。
図11に示すように、上側シールホルダ111の下にあるナット116をボルト113から取り外し、上側シールホルダ111の上にあるナット115を締め付けることで、上側シールホルダ111は外側軸受カバー53の上壁に押し付けられ、上側シール81は回転軸15の外周面15aに接触する。上側シール81および上側シールホルダ111の上下方向の位置は、上側のナット115によって固定される。上側シールホルダ111の底面に配置されたOリング117は、外側軸受カバー53の上壁に接触し、これにより上側シールホルダ111と外側軸受カバー53との隙間はOリング117によって封止される。
【0061】
図10および
図11を参照して説明した実施形態によれば、通常運転時は、上側シール81は
図10に示す非接触位置にあり、台風や豪雨などで浸水レベルが上がると予想されるときは、上側シール81を
図11に示す接触位置まで移動させる。上側シール81は、緊急時のみ回転軸15に接触するので、上側シール81の摩耗を防ぎ、上側シール81の寿命を伸ばすことができる。
【0062】
図10および
図11を参照して説明した上側シール位置決め装置110と同様の構成を持つ下側シール位置決め装置120を下側シール82にも適用してもよい。
図12および
図13は、下側シール82の位置を、下側シール82が回転軸15の外周面15cに接触する接触位置と、下側シール82が回転軸15の外周面15dから離れる非接触位置との間で切り替える下側シール位置決め装置120の一実施形態を示す図である。外周面15dは、外周面15cよりも小さい直径を有している。
【0063】
図12では、下側シール位置決め装置120は、下側シール82を保持する下側シールホルダ121と、軸受ハウジング51の下壁に固定されたボルト123と、ボルト123に螺合された複数のナット(
図12では2つのナット)125,126を備えている。下側シールホルダ121の上面には、Oリング127が取り付けられている。Oリング127は、回転軸15を囲むように延びている。ボルト123は、軸受ハウジング51の下壁から下方に延び、かつ回転軸15と平行である。下側シール82は、下側シールホルダ121の内周面に保持されている。ボルト123は下側シールホルダ121を貫通して延びており、下側シールホルダ121は、複数のナット125,126によって挟まれている。したがって、下側シール82および下側シールホルダ121の上下方向の位置は、これらナット125,126によって固定される。ボルト123に螺合されたこれらのナット125,126は、下側シールホルダ121の上下方向の位置決めをする機能を有する。
【0064】
図12では、下側シール82は、回転軸15の外周面15dに対向する非接触位置にあり、下側シール82は、外周面15dから離れている(すなわち、外周面15dに接触していない)。
図13は、下側シール82および下側シールホルダ121を、
図12に示す非接触位置から、下側シール82が回転軸15の外周面15cに接触する接触位置に移動させた状態を示す図である。
図13に示すように、下側シールホルダ121の上にあるナット125をボルト123から取り外し、下側シールホルダ121の下にあるナット126を締め付けることで、下側シールホルダ121は軸受ハウジング51の下壁に押し付けられ、下側シール82は回転軸15の外周面15cに接触する。下側シール82および下側シールホルダ121の上下方向の位置は、下側のナット126によって固定される。下側シールホルダ121の上面に配置されたOリング127は、軸受ハウジング51の底面に接触し、これにより下側シールホルダ121と軸受ハウジング51との隙間はOリング127によって封止される。
【0065】
図14は、耐水型外軸受装置43のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図10および
図11を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図14に示す実施形態の上側シール位置決め装置110は、
図10に示す上側シールホルダ111の下側にあるナット116に代えて、スペーサ130が使用されている。ボルト113はスペーサ130を貫通して延びており、スペーサ130は、外側軸受カバー53の上壁と上側シールホルダ111との間に挟まれている。
【0066】
図14では、上側シール81は、回転軸15の外周面15bに対向する非接触位置にあり、上側シール81は、外周面15bから離れている(すなわち、外周面15bに接触していない)。
図15は、上側シール81および上側シールホルダ111を、
図14に示す非接触位置から、上側シール81が回転軸15の外周面15aに接触する接触位置に移動させた状態を示す図である。
図15に示すように、上側シールホルダ111の下にあるスペーサ130をボルト113から取り外し、上側シールホルダ111の上にあるナット115を締め付けることで、上側シールホルダ111は外側軸受カバー53の上壁に押し付けられ、上側シール81は回転軸15の外周面15aに接触する。上側シール81および上側シールホルダ111の上下方向の位置は、上側のナット115によって固定される。上側シールホルダ111の底面に配置されたOリング117は、外側軸受カバー53の上壁に接触し、これにより上側シールホルダ111と外側軸受カバー53との隙間はOリング117によって封止される。
【0067】
図16(a)乃至
図16(c)は、スペーサ130のいくつかの例を示す平面図である。
図16(a)に示すスペーサ130は、
図14に示す複数のボルト113が貫通する複数の通孔131を有している。
図16(b)および
図16(c)に示すスペーサ130は、複数のボルト113が貫通する複数の切り欠き132を有している。さらに、
図16(b)に示すスペーサ130は、複数の部分130A,130B,130C,130Dに分割されており、
図16(c)に示すスペーサ130は、複数の部分130E,130Fに分割されている。したがって、
図14に示すナット115を緩めるだけで、スペーサ130をボルト113から外すことが可能である。
【0068】
図14乃至
図16を参照して説明した上側シール位置決め装置110と同様の構成を持つ下側シール位置決め装置120を下側シール82にも適用してもよい。
図17および
図18は、下側シール82の位置を、下側シール82が回転軸15の外周面15cに接触する接触位置と、下側シール82が回転軸15の外周面15dから離れる非接触位置との間で切り替える下側シール位置決め装置120の一実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図12および
図13を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。外周面15dは、外周面15cよりも小さい直径を有している。スペーサ140は、軸受ハウジング51の下壁と下側シールホルダ121との間に挟まれている。スペーサ140は、
図14乃至
図16を参照して説明したスペーサ140と同じ構成を有してよい。
【0069】
図17では、下側シール82は、回転軸15の外周面15dに対向する非接触位置にあり、下側シール82は、外周面15dから離れている(すなわち、外周面15dに接触していない)。
図18は、
図17に示す下側シール82および下側シールホルダ121を、
図17に示す非接触位置から、下側シール82が回転軸15の外周面15cに接触する接触位置に移動させた状態を示す図である。
図18に示すように、下側シールホルダ121の上にあるスペーサ140をボルト123から取り外し、下側シールホルダ121の下にあるナット126を締め付けることで、下側シールホルダ121は軸受ハウジング51の下壁に押し付けられ、下側シール82は回転軸15の外周面15cに接触する。下側シール82および下側シールホルダ121の上下方向の位置は、下側のナット126によって固定される。下側シールホルダ121の上面に配置されたOリング127は、軸受ハウジング51の底面に接触し、これにより下側シールホルダ121と軸受ハウジング51との隙間はOリング127によって封止される。
【0070】
図19は、耐水型外軸受装置43のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図10および
図11を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。耐水型外軸受装置43は、上側シール81および上側シールホルダ111の上方に配置された複数の予備上側シール145および複数の予備上側シールホルダ146と、複数の予備上側シール145および複数の予備上側シールホルダ146が収容された上側シール保管容器147を備えている。複数の予備上側シール145のそれぞれは上側シール81と同じ構造を有し、複数の予備上側シールホルダ146のそれぞれは上側シールホルダ111と同じ構造を有している。
【0071】
上側シール保管容器147は、ブラケット148により外側軸受カバー53に固定されている。他の例では、上側シール保管容器147は、図示しないカップリングカバーに固定されてもよい。複数の予備上側シール145および複数の予備上側シールホルダ146は、回転軸15が貫通した状態で、上側シール保管容器147内に保管されている。外側軸受カバー53の上面には、Oリング149が取り付けられている。Oリング149は、上側シールホルダ111の底面に対向する位置に配置されている。Oリング149は回転軸15を囲むように延びている。上側シールホルダ111および予備上側シールホルダ146にはOリングは取り付けられていない。
【0072】
上側シール81が摩耗してその寿命に達した場合は、上側シール81および上側シールホルダ111を分解して耐水型外軸受装置43から取り外す。次いで、上側シール保管容器147内に保管されている複数の予備上側シール145のうちの1つおよび複数の予備上側シールホルダ146のうちの1つを下げて、上側シール位置決め装置110に保持させる。より具体的には、予備上側シール145および予備上側シールホルダ146を、ナット115,116およびボルト113に保持させる。浸水レベルが上昇した緊急時には、
図11を参照して説明したように、予備上側シール145および予備上側シールホルダ146を接触位置に移動させて、予備上側シール145を回転軸15の外周面15aに接触させる。予備上側シールホルダ146の底面は、外側軸受カバー53の上面に取り付けられたOリング149に接触し、これにより外側軸受カバー53と予備上側シールホルダ146との隙間が封止される。
【0073】
本実施形態によれば、上側シール81が摩耗してその寿命に達した場合に、耐水型外軸受装置43を分解することなく、摩耗した上側シール81を新たな上側シールに交換することができる。予備上側シール145の数および予備上側シールホルダ146の数は、
図19に示す実施形態に限定されない。例えば、1つの予備上側シール145および1つの予備上側シールホルダ146が上側シール保管容器147内に収容されてもよい。
【0074】
図20に示すように、耐水型外軸受装置43は、下側シール82および下側シールホルダ121の下方に配置された複数の予備下側シール151および複数の予備下側シールホルダ152と、複数の予備下側シール151および複数の予備下側シールホルダ152が収容された下側シール保管容器153を備えてもよい。下側シール保管容器153は、ブラケット154により軸受ハウジング51に固定されている。複数の予備下側シール151のそれぞれは下側シール82と同じ構造を有し、複数の予備下側シールホルダ152のそれぞれは下側シールホルダ121と同じ構造を有している。
【0075】
軸受ハウジング51の底面には、Oリング155が取り付けられている。Oリング155は、下側シールホルダ121の上面に対向する位置に配置されている。Oリング155は回転軸15を囲むように延びている。下側シールホルダ121および予備下側シールホルダ152にはOリングは取り付けられていない。
【0076】
図19の実施形態と同じように、下側シール82が摩耗してその寿命に達した場合は、下側シール82および下側シールホルダ121を分解して耐水型外軸受装置43から取り外す。次いで、下側シール保管容器153内に保管されている複数の予備下側シール151のうちの1つおよび複数の予備下側シールホルダ152のうちの1つを上げて、下側シール位置決め装置120に保持させる。
図13を参照して説明したように、予備下側シール151は回転軸15の外周面15cに接触する。予備下側シールホルダ152の上面は、軸受ハウジング51の底面に取り付けられたOリング155に接触し、これにより軸受ハウジング51と予備下側シールホルダ152との隙間が封止される。
【0077】
本実施形態によれば、下側シール82が摩耗してその寿命に達した場合に、耐水型外軸受装置43を分解することなく、摩耗した下側シール82を新たな下側シールに交換することができる。予備下側シール151の数および予備下側シールホルダ152の数は、
図20に示す実施形態に限定されない。例えば、1つの予備下側シール151および1つの予備下側シールホルダ152が下側シール保管容器153内に収容されてもよい。
【0078】
図21は、耐水型外軸受装置43のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図10および
図11を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。耐水型外軸受装置43は、回転軸15の外周面に形成された外周ねじ部161に螺合された内周ねじ部162を有する上側可動スリーブ160を備えている。上側可動スリーブ160は、円筒形状を有しており、滑らかな外周面を有している。
【0079】
上側可動スリーブ160は、上側シール81に接触する接触位置と、上側シール81から離れる非接触位置との間で回転軸15上を移動可能である。より具体的には、
図21に示す非接触位置では、上側可動スリーブ160は、上側シール81よりも高い位置にあり、上側可動スリーブ160は上側シール81に接触していない。上側シール81は、回転軸15の外周面には接触しない。すなわち、上側シール81の内径は、回転軸15の直径よりも大きい。
【0080】
上側可動スリーブ160を回転させると、
図22に示すように、上側可動スリーブ160は接触位置まで下降し、上側シール81は上側可動スリーブ160の外周面に接触する。これにより、外側軸受カバー53と回転軸15の外周面との隙間は、上側シール81と上側可動スリーブ160によって封止される。
【0081】
図21および
図22を参照して説明した実施形態によれば、立軸ポンプ1の通常運転時は、上側可動スリーブ160は
図21に示す非接触位置にあり、台風や豪雨などで浸水レベルが上がると予想されるときは、上側可動スリーブ160を
図22に示す接触位置まで移動させる。上側シール81は、緊急時のみ上側可動スリーブ160に接触するので、上側シール81の摩耗を防ぎ、上側シール81の寿命を伸ばすことができる。
【0082】
図23に示すように、耐水型外軸受装置43は、回転軸15の外周面に形成された外周ねじ部171に螺合された内周ねじ部172を有する下側可動スリーブ170を備えてもよい。下側可動スリーブ170は、円筒形状を有しており、滑らかな外周面を有している。下側シール82は、軸受ハウジング51の下壁に固定された下側シールホルダ173に保持されている。軸受ハウジング51の底面と下側シールホルダ173との間にはOリング174が配置されている。
図23に示す実施形態では、Oリング174は下側シールホルダ173の上面に配置されている。一実施形態ではOリング174は軸受ハウジング51の底面に配置されてもよい。
【0083】
下側可動スリーブ170は、下側シール82に接触する接触位置と、下側シール82から離れる非接触位置との間で回転軸15上を移動可能である。より具体的には、
図23に示す非接触位置では、下側可動スリーブ170は、下側シール82よりも低い位置にあり、下側可動スリーブ170は下側シール82に接触していない。下側シール82は、回転軸15の外周面には接触しない。すなわち、下側シール82の内径は、回転軸15の直径よりも大きい。
【0084】
下側可動スリーブ170を回転させると、
図24に示すように、下側可動スリーブ170は接触位置まで上昇し、下側シール82は下側可動スリーブ170の外周面に接触する。これにより、軸受ハウジング51と回転軸15の外周面との隙間は、下側シール82と下側可動スリーブ170によって封止される。
【0085】
図25は、耐水型外軸受装置43のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図2乃至
図6を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態の上側シール81は、磁場を形成する電磁石181と、磁場内に配置された磁性流体182を有する磁性流体シールである。電磁石181は、図示しない電力供給装置に接続されている。磁性流体182は、回転軸15の周囲を延びる円環形状を有している。
【0086】
上側シール81と外側軸受カバー53との間にはOリング183が配置されている。Oリング183は、回転軸15を囲むように延びている。外側軸受カバー53と上側シール81との隙間はOリング183によって封止されている。
図25に示す実施形態では、Oリング183は外側軸受カバー53の上面に配置されている。一実施形態では、Oリング183は上側シール81の下面に配置されてもよい。
【0087】
立軸ポンプ1の通常運転時は、電磁石181には電力は供給されていなく、磁性流体182は回転軸15とは非接触である。台風や豪雨などに起因して浸水レベルが上昇することが予想されるときは、電力供給装置から電磁石181に電力が供給される。電磁石181は磁場を形成し、磁性流体182は磁場内で変形する。その結果、磁性流体182は回転軸15の外周面に接触し、外側軸受カバー53と回転軸15との間をシールする。
【0088】
同様に、下側シール82は、磁場を形成する電磁石184と、磁場内に配置された磁性流体185を有する磁性流体シールである。電磁石184は、上記電力供給装置に接続されている。磁性流体185は、回転軸15の周囲を延びる円環形状を有している。下側シール82と軸受ハウジング51の底面との間にはOリング186が配置されている。Oリング186は、回転軸15を囲むように延びている。軸受ハウジング51の底面と下側シール82との隙間はOリング186によって封止されている。
図25に示す実施形態では、Oリング186は軸受ハウジング51の底面に配置されている。一実施形態では、Oリング186は下側シール82の上面に配置されてもよい。
【0089】
立軸ポンプ1の通常運転時は、電磁石184には電力は供給されていなく、磁性流体185は回転軸15とは非接触である。台風や豪雨などに起因して浸水レベルが上昇することが予想されるときは、電力供給装置から電磁石184に電力が供給される。その結果、磁性流体185は回転軸15の外周面に接触し、軸受ハウジング51と回転軸15との間をシールする。
【0090】
図26は、耐水型外軸受装置43のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図2乃至
図6を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態の上側シール81は、回転軸15に接触し、かつ回転軸15から離れることが可能なバルーンリング191と、バルーンリング191を内部に収容するバルーンハウジング192を備えた気体膨張シールである。バルーンリング191は、図示しない気体供給装置に接続されている。バルーンリング191は、回転軸15の周囲を延びる円環形状を有している。
【0091】
上側シール81と外側軸受カバー53との間にはOリング193が配置されている。Oリング193は、回転軸15を囲むように延びている。外側軸受カバー53と上側シール81との隙間はOリング193によって封止されている。
図26に示す実施形態では、Oリング193は外側軸受カバー53の上面に配置されている。一実施形態では、Oリング193は上側シール81の下面に配置されてもよい。
【0092】
立軸ポンプ1の通常運転時は、バルーンリング191には気体は供給されていなく、バルーンリング191は回転軸15とは非接触である。台風や豪雨などに起因して浸水レベルが上昇することが予想されるときは、
図27に示すように、気体供給装置からバルーンリング191に気体が供給され、バルーンリング191は膨張する。その結果、バルーンリング191は回転軸15の外周面に接触し、外側軸受カバー53と回転軸15との間をシールする。
【0093】
同様に、
図28に示すように、下側シール82は、回転軸15に接触し、かつ回転軸15から離れることが可能なバルーンリング195と、バルーンリング195を内部に収容するバルーンハウジング196を備えた気体膨張シールである。バルーンリング195は、上記気体供給装置に接続されている。バルーンリング195は、回転軸15の周囲を延びる円環形状を有している。
【0094】
下側シール82と軸受ハウジング51の底面との間にはOリング197が配置されている。Oリング197は、回転軸15を囲むように延びている。軸受ハウジング51の底面と下側シール82との隙間はOリング197によって封止されている。
図28に示す実施形態では、Oリング197は軸受ハウジング51の底面に配置されているが、一実施形態では、Oリング197は下側シール82の上面に配置されてもよい。
【0095】
立軸ポンプ1の通常運転時は、バルーンリング195には気体は供給されていなく、バルーンリング195は回転軸15とは非接触である。台風や豪雨などに起因して浸水レベルが上昇することが予想されるときは、
図29に示すように、気体供給装置からバルーンリング195に気体が供給され、バルーンリング195は膨張する。その結果、バルーンリング195は回転軸15の外周面に接触し、軸受ハウジング51と回転軸15との間をシールする。
【0096】
図30は、耐水型外軸受装置43のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図2乃至
図6を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、上側シール81は設けられていない。また、外側軸受カバー53は設けられていない。以下に説明する実施形態では、内側軸受カバー52を単に軸受カバー52と称する。
【0097】
耐水型外軸受装置43は、調整ナット60を収容するナットカバー200と、軸受カバー52とジャーナル62の外周面との隙間を封止するためのシール201と、ナットカバー200と回転軸15の外周面との隙間を封止するためのシール202と、ナットカバー200とジャーナル62との隙間を封止するためのシール203を備えている。
【0098】
調整ナット60は、回転軸15の外周面に形成されたねじ部64に螺合されている。より具体的には、調整ナット60の内側ねじ部65は、回転軸15のねじ部64に螺合している。ジャーナル62の上面は、軸受カバー52よりも上方に位置しており、ジャーナル62の下部は、軸受カバー52よりも下方に位置し、かつ軸受室50内に位置している。ジャーナル62は、軸受室50内で軸受47および軸受48により回転可能に支持されている。
【0099】
シール201の構成は特に限定されないが、例えば、シール201は、
図3および
図4を参照して説明した、水圧を受けるために外側に開口する断面形状を有した摺接シールであってもよい。シール201は、台風や豪雨などで浸水レベルが上昇したときに、水が軸受カバー52とジャーナル62の外周面との間の隙間を通じて流入することを防止することができる。
【0100】
シール202およびシール203は、ナットカバー200に保持されている。ナットカバー200、調整ナット60、シール202、およびシール203は、回転軸15と一体に回転する。シール202およびシール203の例としては、Oリングが挙げられる。ナットカバー200は、ジャーナル62の上面の上に配置されており、かつ調整ナット60の全体を囲んでいる。シール202は、ナットカバー200の内周面と回転軸15の外周面との間に配置され、ナットカバー200の内周面と回転軸15の外周面との隙間を封止する。シール203は、ナットカバー200の下面とジャーナル62の上面との間に配置され、ナットカバー200の下面とジャーナル62の上面との隙間を封止している。ナットカバー200自体は、流体の流通を許容しない構造(すなわち穴のない構造)を有している。したがって、ナットカバー200の内側には密閉空間が形成され、調整ナット60はこの密閉空間内に配置される。
【0101】
台風や豪雨などで浸水レベルが上昇しても、水はナットカバー200内の密閉空間には到達しない。したがって、水は調整ナット60には接触せず、さらに水が調整ナット60と回転軸15の隙間、およびジャーナル62と回転軸15の隙間を通って侵入することがない。
【0102】
通気管73は、ジャーナル62の外周面に取り外し可能に接続されている。通気管73は空気抜き通路70に連通している。立軸ポンプ1の通常運転時は通気管73は取り外されている。したがって、立軸ポンプ1の運転中は、空気抜き通路70を通じて空気が出入りする。台風や豪雨などで浸水レベルが上昇することが予想されるときは、回転軸15の回転は停止され、通気管73がジャーナル62の外周面に取り付けられる。通気管73は、カップリング35よりも高い位置まで上方に延びており、例えば、
図1に示す駆動源7が設置される設置床8よりも高い位置まで上方に延びてもよい。したがって、耐水型外軸受装置43の全体が水没しても、通気管73を通じて水が空間Qおよび軸受室50内に流入することはない。
【0103】
図31は、ナットカバー200と調整ナット60の他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図30を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。ナットカバー200はジャーナル62にねじ220により取り外し可能に固定されている。本実施形態では、ナットカバー200は、複数のねじ220によりジャーナル62に着脱可能に固定されている。より具体的には、ナットカバー200は、ジャーナル62の上面に接触するフランジ222を有しており、フランジ222には複数のねじ220が通ることができる複数の通孔(図示せず)が形成されている。複数のねじ220は、フランジ222を貫通してジャーナル62内に形成されたねじ穴223内にねじ込まれている。
【0104】
ねじ220を締め付けると、ナットカバー200は、ジャーナル62の上面に固定され、シール203をジャーナル62の上面に押し付ける。ねじ220を取り外すと、ナットカバー200をジャーナル62から上方に離すことができる。
【0105】
図32は、耐水型外軸受装置43のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図2乃至
図6を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態でも、上側シール81は設けられていない。また、外側軸受カバー53は設けられていない。以下に説明する実施形態では、内側軸受カバー52を単に軸受カバー52と称する。
【0106】
図32に示すように、耐水型外軸受装置43は、ジャーナル62の上面に接触しているシールホルダ230と、軸受カバー52とジャーナル62の外周面との隙間を封止するためのシール201と、シールホルダ230と回転軸15の外周面との隙間を封止するためのシール232と、シールホルダ230とジャーナル62の上面との隙間を封止するためのシール233を備えている。ジャーナル62の上面は、軸受カバー52よりも上方に位置しており、ジャーナル62の下部は、軸受カバー52よりも下方に位置し、かつ軸受室50内に位置している。ジャーナル62は、軸受室50内で軸受47および軸受48により回転可能に支持されている。
【0107】
シールホルダ230は、回転軸15の外周面を囲む形状を有している。回転軸15は、シールホルダ230を貫通して延びている。シール232およびシール233は、シールホルダ230に保持されている。シール232はシールホルダ230の内周面に配置され、シール233はシールホルダ230の底面に配置されている。
【0108】
シールホルダ230は、シール232およびシール233を保持する機能のみならず、今まで説明してきた実施形態の調整ナット(符号60参照)としても機能する。すなわち、調整ナットとしてのシールホルダ230は、回転軸15の外周面に形成されたねじ部64に螺合された内側ねじ部235を有している。シールホルダ230を回転させることで、回転軸15を耐水型外軸受装置43の全体に対して相対的に上下動させることができる。この調整ナットとしてのシールホルダ230は、耐水型外軸受装置43に対する回転軸15の上下方向の位置決めを達成する。
【0109】
シール201の構成は特に限定されないが、例えば、シール201は、
図3および
図4を参照して説明した、水圧を受けるために外側に開口する断面形状を有した摺接シールであってもよい。シール201は、台風や豪雨などで浸水レベルが上昇したときに、水が軸受カバー52とジャーナル62の外周面との間の隙間を通じて流入することを防止することができる。シールホルダ(調整ナット)230、シール232、およびシール233は、回転軸15と一体に回転する。シール232およびシール233の例としては、Oリングが挙げられる。
【0110】
シール232は、シールホルダ(調整ナット)230と回転軸15の外周面との隙間を封止し、シール233は、シールホルダ(調整ナット)230とジャーナル62の上面との隙間を封止している。したがって、台風や豪雨などで浸水レベルが上昇しても、水はシールホルダ(調整ナット)230と回転軸15の隙間、およびジャーナル62と回転軸15の隙間を通って侵入することがない。
【0111】
通気管73は、ジャーナル62の外周面に取り外し可能に接続されている。通気管73は空気抜き通路70に連通している。立軸ポンプ1の通常運転時は通気管73は取り外されている。したがって、立軸ポンプ1の運転中は、空気抜き通路70を通じて空気が出入りする。台風や豪雨などで浸水レベルが上昇することが予想されるときは、回転軸15の回転は停止され、通気管73がジャーナル62の外周面に取り付けられる。通気管73は、カップリング35よりも高い位置まで上方に延びており、例えば、
図1に示す駆動源7が設置される設置床8よりも高い位置まで上方に延びてもよい。したがって、耐水型外軸受装置43の全体が水没しても、通気管73を通じて水が空間Qおよび軸受室50内に流入することはない。
【0112】
図33は、耐水型外軸受装置43のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図32を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、シールホルダ230と調整ナット60は、別々の要素として設けられている。すなわち、
図33に示すように、調整ナット60とシールホルダ230は直列に並んでいる。調整ナット60はシールホルダ230の上に配置されている。
【0113】
シール232はシールホルダ230の内周面に配置され、シール233はシールホルダ230の底面に配置されている。シールホルダ230は、シール232およびシール233を保持する機能を有しており、回転軸15のねじ部64には螺合していない。調整ナット60は、上述の実施形態と同様に、回転軸15のねじ部64に螺合する内側ねじ部65を有している。
【0114】
シール201は、軸受カバー52とジャーナル62の外周面との間の隙間を封止している。したがって、台風や豪雨などで浸水レベルが上昇しても、水が軸受カバー52とジャーナル62の外周面との間の隙間を通じて流入することがない。シール232は、シールホルダ230と回転軸15の外周面との隙間を封止し、シール233は、シールホルダ230とジャーナル62の上面との隙間を封止している。したがって、台風や豪雨などで浸水レベルが上昇しても、水はシールホルダ230と回転軸15の隙間、およびジャーナル62と回転軸15の隙間を通って侵入することがない。
【0115】
図34は、耐水型外軸受装置43のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図33を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0116】
本実施形態の耐水型外軸受装置43は、回転軸15を回転可能に支持する軸受47および軸受48と、軸受47,48が収容される軸受室50を内部に有する軸受ハウジング51と、軸受室50を覆う軸受カバー52と、回転軸15の外周面に固定されたジャーナル62と、回転軸15の外周面に形成されたねじ部64に螺合されている調整ナット60と、調整ナット60および回転軸15の上端15eが配置された封止空間Uを内部に形成するカップリング35と、軸受カバー52とジャーナル62の外周面との隙間を封止するためのシール201と、カップリング35とジャーナル62との隙間を封止するためのシール240を備えている。
【0117】
カップリング35は、ジャーナル62の上面に接触しており、調整ナット60は、ジャーナル62よりも上方に位置している。カップリング35は、回転軸15に連結された下カップリング35Aと、
図1に示す駆動源7に連結された上カップリング35Bと、上カップリング35Bと下カップリング35Aとの間に配置された中間カップリング35Cを有する。下カップリング35Aは、回転軸15が貫通する通孔244を有している。下カップリング35Aの下面は、ジャーナル62の上面に接触している。
【0118】
上カップリング35Bと中間カップリング35Cは、図示しないボルトおよびナットにより連結されている。中間カップリング35Cと下カップリング35Aも、図示しないボルトおよびナットにより連結されている。カップリング35は、中間カップリング35Cと下カップリング35Aとの間の隙間を封止するカップリングシール246を有している。カップリングシール246の例としては、Oリングが挙げられる。
【0119】
中間カップリング35Cは、外周壁251と天井壁252を有しており、外周壁251の下端は下カップリング35Aの上面に接触している。カップリングシール246は、外周壁251の下端と下カップリング35Aとの間の隙間を封止している。したがって、中間カップリング35Cと下カップリング35Aとの間には、カップリングシール246によって封止された封止空間Uが形成される。
【0120】
調整ナット60は、封止空間U内に配置され、下カップリング35Aの上面に接触している。回転軸15の外周面に形成されたねじ部64の少なくとも一部は、封止空間U内に位置している。調整ナット60は、ねじ部64に螺合される内側ねじ部65を有している。回転軸15の上端15eは封止空間U内に位置しており、中間カップリング35Cの天井壁252には接触していない。
【0121】
中間カップリング35Cが下カップリング35Aから取り外された状態で、調整ナット60を回転させると、回転軸15は耐水型外軸受装置43の全体に対して相対的に上下動する。この調整ナット60は、先に説明した実施形態と同様に、耐水型外軸受装置43に対する回転軸15の上下方向の位置決めのために設けられている。
【0122】
シール240は、下カップリング35Aの下面とジャーナル62の上面との間に挟まれており、下カップリング35Aの下面とジャーナル62の上面との間の隙間を封止する。
【0123】
軸受カバー52とジャーナル62の外周面との隙間を封止するためのシール201は、軸受カバー52とジャーナル62の外周面との隙間を通じて水が軸受室50内に侵入することを防止できる。また、カップリング35とジャーナル62との隙間を封止するためのシール240、および調整ナット60および回転軸15の上端15eが配置された封止空間Uを内部に形成するカップリング35は、ジャーナル62と回転軸15との隙間、および調整ナット60と回転軸15との隙間を通じて水が軸受室50内に侵入することを防止できる。
【0124】
上述した実施形態は適宜組み合わせることができる。例えば、
図7を参照して説明したバッファタンク100、および
図8と
図9を参照して説明したフロート弁102は、他の実施形態にも適用することができる。また、
図5,6,12,13,17,18,20,23,24,25,28,29などを参照して説明した下側シール82およびそれに付帯する構造は、
図30乃至
図34を参照して説明した実施形態に適用してもよい。
【0125】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0126】
1 立軸ポンプ
2 吸込水槽
3 ポンプ据付床
5 開口
7 駆動源
8 設置床
10 羽根車
15 回転軸
22 吸込みベルマウス
22a 吸込口
24 吐出ボウル
25 内側ボウル
27 ポンプケーシング
28 揚水管
30 吐出曲管
33 取り付けフランジ
34 吐出配管
35 カップリング
35A 下カップリング
35B 上カップリング
35C 中間カップリング
37 ガイドベーン
41 水中軸受
43 耐水型外軸受装置
45 点検口
47,48 軸受
50 軸受室
51 軸受ハウジング
52 内側軸受カバー
53 外側軸受カバー
55 収容穴
57 ねじ部
58 セットリングナット
60 調整ナット
62 ジャーナル
65 内側ねじ部
67 油筒
68 シールホルダ
69 シール
70 空気抜き通路
71 内部空間
73 通気管
74 通孔
81,82,83 シール
86,87 静止シール
90,91 滑面
94 固定側部材
95 回転側部材
96 シール要素
97 ばね
98 Oリング
100 バッファタンク
102 フロート弁
103 ボール弁
104 ボールハウジング
110 上側シール位置決め装置
111 上側シールホルダ
113 ボルト
115,116 ナット
117 Oリング
120 下側シール位置決め装置
121 下側シールホルダ
123 ボルト
125,126 ナット
127 Oリング
130 スペーサ
131 通孔
132 切り欠き
140 スペーサ
145 予備上側シール
146 予備上側シールホルダ
147 上側シール保管容器
148 ブラケット
149 Oリング
151 予備下側シール
152 予備下側シールホルダ
153 下側シール保管容器
154 ブラケット
155 Oリング
160 上側可動スリーブ
161 外周ねじ部
162 内周ねじ部
170 下側可動スリーブ
171 外周ねじ部
172 内周ねじ部
173 下側シールホルダ
174 Oリング
181,184 電磁石
182,185 磁性流体
183 Oリング
186 Oリング
191,195 バルーンリング
192,196 バルーンハウジング
193 Oリング
197 Oリング
200 ナットカバー
201,202,203 シール
206 内側ねじ部
210 外側ねじ部
212 スペーサ
220 ねじ
222 フランジ
223 ねじ穴
230 シールホルダ
232,233 シール
235 内側ねじ部
240 シール
244 通孔
246 カップリングシール
251 外周壁
252 天井壁
Q 空間
S 密閉空間
U 封止空間