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特開2025-26062医療支援装置、内視鏡装置、医療支援方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026062
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】医療支援装置、内視鏡装置、医療支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/045 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
A61B1/045 622
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131411
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 美沙紀
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD03
4C161HH52
4C161LL02
4C161WW02
4C161WW06
4C161WW13
(57)【要約】
【課題】カメラと体内特徴領域との位置関係が変化したとしても、カメラによって体内が撮像されることで得られた画像の外側で体内特徴領域の存在位置をユーザに対して把握させることができる医療支援装置、内視鏡装置、医療支援方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】医療支援装置は、プロセッサを備える。プロセッサは、カメラによって体内が撮像されることで得られた画像を取得する。プロセッサは、画像と、画像を用いた物体認識処理が実行されることによって認識された体内特徴領域の存在位置を画像の外側で特定可能な存在位置情報とが表示される画面の生成に用いられる画面生成情報を出力する。画面内での画像に対する存在位置情報の表示位置は、カメラと体内特徴領域との位置関係の変化に従って変更される。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
カメラによって体内が撮像されることで得られた画像を取得し、
前記画像と、前記画像を用いた物体認識処理が実行されることによって認識された体内特徴領域の存在位置を前記画像の外側で特定可能な存在位置情報とが表示される画面の生成に用いられる画面生成情報を出力し、
前記画面内での前記画像に対する前記存在位置情報の表示位置は、前記カメラと前記体内特徴領域との位置関係の変化に従って変更される
医療支援装置。
【請求項2】
前記変化は、前記カメラの操作、及び/又は、前記体内の体動によって齎される
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項3】
前記表示位置は、前記変化に従って変更されることにより前記操作及び/又は前記体動に追従する
請求項2に記載の医療支援装置。
【請求項4】
前記存在位置情報の表示態様は、前記変化の特徴に応じて変更される
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項5】
前記特徴は、前記変化の速さ、前記変化の量、及び/又は前記変化の方向を含む
請求項4に記載の医療支援装置。
【請求項6】
前記存在位置情報は、前記体内特徴領域が前記カメラの画角に収まっている場合の前記存在位置を前記外側で特定可能な画角内位置情報と、前記体内特徴領域が前記画角から外れている場合の前記存在位置を前記外側で特定可能な画角外位置情報と、を含み、
前記体内特徴領域が前記画角に収まっている場合に前記画角内位置情報が前記画面に表示され、
前記体内特徴領域が前記画角から外れている場合に前記画角外位置情報が前記画面に表示される
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項7】
前記存在位置情報は、前記体内特徴領域が前記カメラの画角から外れている場合の前記存在位置を前記外側で特定可能な画角外位置情報を含み、
前記体内特徴領域が前記画角から外れている場合に前記画角外位置情報が前記画面に表示され、
前記画角外位置情報の表示態様は、前記変化の特徴に応じて変更される
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項8】
前記表示態様は、表示有無、表示強度、表示時間、及び/又は、前記表示強度を変更する速さを含む
請求項7に記載の医療支援装置。
【請求項9】
前記存在位置情報は、前記体内特徴領域が前記カメラの画角から外れている場合の前記存在位置を前記外側で特定可能な画角外位置情報を含み、
前記体内特徴領域が前記画角から外れている場合に前記画角外位置情報が前記画面に表示され、
前記体内特徴領域は、病変であり、
前記画角外位置情報の表示態様は、前記病変の悪性度、前記病変が存在する部位、前記病変の種類、前記病変の型、前記病変の形態、前記病変と前記病変の周辺との境界の態様、及び/又は、前記病変の粘液の付着態様に応じて変更される
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項10】
前記存在位置情報は、前記体内特徴領域が前記カメラの画角から外れている場合の前記存在位置を前記外側で特定可能な画角外位置情報を含み、
前記体内特徴領域が前記画角から外れたことを条件に、前記画角外位置情報が前記画面に表示される
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項11】
前記体内特徴領域が前記画角に収まっている画角内時間が一定未満の場合の前記画角外位置情報の前記画面への表示は、前記画角内時間が前記一定以上の場合の前記画角外位置情報の前記画面への表示よりも強調される
請求項10に記載の医療支援装置。
【請求項12】
前記存在位置情報は、前記体内特徴領域が前記カメラの画角から外れている場合の前記存在位置を前記外側で特定可能な画角外位置情報を含み、
前記体内特徴領域が前記画角から外れてから既定時間が経過したことを条件に、前記画角外位置情報が前記画面に表示される
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項13】
前記存在位置情報は、前記体内特徴領域が前記カメラの画角から外れている場合の前記存在位置を前記外側で特定可能な画角外位置情報を含み、
前記体内特徴領域が前記画角から外れ、かつ、前記変化の度合いが既定度合いを超えたことを条件に、前記画角外位置情報が前記画面に表示される
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項14】
前記存在位置情報は、前記体内特徴領域が前記カメラの画角から外れている場合の前記存在位置を前記外側で特定可能な画角外位置情報を含み、
前記体内特徴領域が前記画角から外れている場合に前記画角外位置情報が前記画面に表示され、
単位時間内に前記体内特徴領域が前記画角の内外へ出入りしている頻度が既定頻度を超えた場合の前記画角外位置情報の前記画面への表示は、前記頻度が既定頻度以下の場合の前記画角外位置情報の前記画面への表示よりも強調される
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項15】
前記画面生成情報は、前記画像と、前記画面内での前記存在位置情報の位置を指示する位置指示情報と、を含み、
前記位置指示情報は、前記変化に従って更新される
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項16】
前記画面生成情報は、前記画像と、前記存在位置情報と、前記位置指示情報と、を含む
請求項15に記載の医療支援装置。
【請求項17】
前記物体認識処理は、AIを用いることにより、前記画像に基づいて前記体内特徴領域を認識する処理を含む
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項18】
前記体内特徴領域は、病変である
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項19】
前記画像は、前記カメラによって前記体内が撮像されることによって時系列で得られた複数のフレームに含まれており、
前記プロセッサは、
前記複数のフレームに基づいて前記変化を特定し、
特定した前記変化に従って前記表示位置を変更する
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項20】
前記プロセッサは、
前記カメラの前記体内での挙動を検出可能なセンサによる検出結果に基づいて前記変化を特定し、
特定した前記変化に従って前記表示位置を変更する
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項21】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
カメラによって体内が撮像されることで得られた画像を取得し、
前記画像に基づいて生成された医用画像と、前記画像を用いた物体認識処理が実行されることによって認識された体内特徴領域の存在位置を前記画像の外側で特定可能な存在位置情報とが表示される画面の生成に用いられる画面生成情報を出力し、
前記画面内での前記医用画像に対する前記存在位置情報の表示位置は、前記カメラと前記体内特徴領域との位置関係の変化に従って変更される
医療支援装置。
【請求項22】
請求項1から請求項21の何れか一項に記載の医療支援装置と、
前記カメラと、を備える
内視鏡装置。
【請求項23】
カメラによって体内が撮像されることで得られた画像を取得すること、及び、
前記画像と、前記画像を用いた物体認識処理が実行されることによって認識された体内特徴領域の存在位置を前記画像の外側で特定可能な存在位置情報とが表示される画面の生成に用いられる画面生成情報を出力すること、を含み、
前記画面内での前記画像に対する前記存在位置情報の表示位置は、前記カメラと前記体内特徴領域との位置関係の変化に従って変更される
医療支援方法。
【請求項24】
コンピュータに医療支援処理を実行させるためのプログラムであって、
前記医療支援処理は、
カメラによって体内が撮像されることで得られた画像を取得すること、及び、
前記画像と、前記画像を用いた物体認識処理が実行されることによって認識された体内特徴領域の存在位置を前記画像の外側で特定可能な存在位置情報とが表示される画面の生成に用いられる画面生成情報を出力すること、を含み、
前記画面内での前記画像に対する前記存在位置情報の表示位置は、前記カメラと前記体内特徴領域との位置関係の変化に従って変更される
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療支援装置、内視鏡装置、医療支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、検出手段、判定手段、及び通知手段を有する情報処理装置が開示されている。特許文献1に記載の情報処理装置において、検出手段は、体内が撮影された動画から体内の異常領域を検出する。判定手段は、動画の第1動画フレームの所定範囲内から異常領域が検出され、なおかつ第1動画フレームよりも後に生成された動画の第2動画フレームの所定範囲内からはその異常領域が検出されない場合に、所定条件が満たされているか否かを判定する。通知手段は、所定条件が満たされていないと判定された場合に第1通知を行う。
【0003】
特許文献2には、内視鏡による管腔臓器の観察を支援する内視鏡観察支援装置が開示されている。特許文献2に記載の内視鏡観察支援装置は、画像情報取得部、病変情報取得部、判定部、及び通知部を備えている。特許文献2に記載の内視鏡観察支援装置において、画像情報取得部は、内視鏡により撮影された管腔臓器の撮像画像を取得して表示部に表示する。病変情報取得部は、撮像画像に基づいて、所定の病変を検出し、病変に関する病変情報を取得する。判定部は、撮像画像及び病変情報に基づいて病変を追尾し、病変が撮像画像上から消失したか否かを判定する。通知部は、判定部により病変が撮像画像上から消失したと判定されたときに、判定結果を通知する。
【0004】
特許文献3には、内視鏡、内視鏡制御装置、及び医療画像処理装置を備えた内視鏡システムが開示されている。特許文献3に記載の内視鏡システムにおいて、医療画像処理装置は、画像取得部、注目領域検出部、未観察条件判定部、未観察画像記憶部、及び表示信号送信部を備えている。画像取得部は、被検体の観察画像を取得する。注目領域検出部は、観察画像を構成するフレーム画像から注目領域を検出する。未観察条件判定部は、注目領域が検出されたフレーム画像について、ユーザが見逃した注目領域が含まれることを表す未観察条件を満たすか否かを判定する。未観察画像記憶部は、未観察条件を満たす未観察画像を記憶する。表示信号送信部は、観察画像を表す第一表示信号及び未観察画像を表す第二表示信号を表示装置へ送信する。注目領域検出部は、未観察画像の注目領域と観察画像の注目領域との同一性を判定する。表示信号送信部は、未観察画像の注目領域と観察画像の注目領域とが同一であるという判定結果が得られた場合に、第二表示信号の送信を停止させる。
【0005】
特許文献3に記載の内視鏡システムにおいて、未観察条件判定部は、規定期間内に同一の注目領域が含まれるフレーム画像が規定数以下の場合に未観察条件を満たすと判定したり、フレーム画像の間の変化量が規定の閾値以上の場合に未観察条件を満たすと判定したり、規定期間内に同一の注目領域が画面内の任意の領域に留まる場合に未観察条件を満たすと判定したりする。
【0006】
特許文献4には、医療画像取得部、注目領域検出部、及び表示制御部を備える医療画像処理システムが開示されている。特許文献4に記載の医療画像処理システムにおいて、医療画像取得部は、観察対象を撮像して得られる医療画像を取得する。注目領域検出部は、医療画像から注目領域を検出する。表示制御部は、注目領域の検出結果を、少なくとも注目領域の検出位置によって異なる表示態様で、表示部に表示する。
【0007】
特許文献5には、医療画像を取得する画像取得部、医療画像を表示する表示部、医療画像内から注目領域を検出する注目領域検出部、医療画像に基づいて、医療画像を撮像する機器の動き量を推定する動き量推定部、及び注目領域が検出された場合に表示部に表示される医療画像内で注目領域を強調して注目領域の検出を報知し、かつ、報知後に動き量推定部で推定される動き量に応じて注目領域の強調度合を変更する報知部を備えた医療画像処理システムが開示されている。ここで、報知部は、注目領域の検出を報知後、動き量推定部で推定される動き量が閾値以上の場合に注目領域の強調度合を強くしたり、注目領域の検出を報知後、動き量推定部で推定される動き量が閾値未満の場合に注目領域の強調度合を弱くしたり、注目領域の強調をオフしたりする。また、報知部は、表示部に表示される医療画像内で注目領域を枠で囲って注目領域を強調する。ここで、報知部は、枠の太さ、線種、色、形状、点滅度合及び明るさの少なくとも一つを変えて、注目領域の強調度合いを変更する。
【0008】
特許文献5に記載の医療画像処理システムにおいて、報知部は、注目領域が検出された場合に音を発生させて注目領域の検出を報知し、かつ、報知後に動き量推定部で推定される動き量に応じて音の音量を変更する。ここで、報知部は、注目領域の検出を報知後、動き量推定部で推定される動き量が閾値以上の場合に音の音量を大きくしたり、注目領域の検出を報知後、動き量推定部で推定される動き量が閾値未満の場合に音の音量を小さくしたり、音をオフしたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2018/216618号
【特許文献2】特開2019-180966号公報
【特許文献3】特許第7256275号
【特許文献4】国際公開第2020/039968号
【特許文献5】特許第7225417号
【発明の概要】
【0010】
本開示に係る一つの実施形態は、カメラと体内特徴領域との位置関係が変化したとしても、カメラによって体内が撮像されることで得られた画像の外側で体内特徴領域の存在位置をユーザに対して把握させることができる医療支援装置、内視鏡装置、医療支援方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示に係る第1の態様は、プロセッサを備え、プロセッサが、カメラによって体内が撮像されることで得られた画像を取得し、画像と、画像を用いた物体認識処理が実行されることによって認識された体内特徴領域の存在位置を画像の外側で特定可能な存在位置情報とが表示される画面の生成に用いられる画面生成情報を出力し、画面内での画像に対する存在位置情報の表示位置は、カメラと体内特徴領域との位置関係の変化に従って変更される、医療支援装置である。
【0012】
本開示に係る第2の態様は、変化が、カメラの操作、及び/又は、体内の体動によって齎される、第1の態様に係る医療支援装置である。
【0013】
本開示に係る第3の態様は、表示位置が、変化に従って変更されることにより操作及び/又は体動に追従する、第2の態様に係る医療支援装置である。
【0014】
本開示に係る第4の態様は、存在位置情報の表示態様が、変化の特徴に応じて変更される、第1の態様から第3の態様の何れか1つの態様に係る医療支援装置である。
【0015】
本開示に係る第5の態様は、特徴が、変化の速さ、変化の量、及び/又は変化の方向を含む、第4の態様に係る医療支援装置である。
【0016】
本開示に係る第6の態様は、存在位置情報が、体内特徴領域がカメラの画角に収まっている場合の存在位置を外側で特定可能な画角内位置情報と、体内特徴領域が画角から外れている場合の存在位置を外側で特定可能な画角外位置情報と、を含み、体内特徴領域が画角に収まっている場合に画角内位置情報が画面に表示され、体内特徴領域が画角から外れている場合に画角外位置情報が画面に表示される、第1の態様から第5の態様の何れか1つの態様に係る医療支援装置である。
【0017】
本開示に係る第7の態様は、存在位置情報が、体内特徴領域がカメラの画角から外れている場合の存在位置を外側で特定可能な画角外位置情報を含み、体内特徴領域が画角から外れている場合に画角外位置情報が画面に表示され、画角外位置情報の表示態様が、変化の特徴に応じて変更される、第1の態様から第6の態様の何れか1つの態様に係る医療支援装置である。
【0018】
本開示に係る第8の態様は、表示態様が、表示有無、表示強度、表示時間、及び/又は、表示強度を変更する速さを含む、第7の態様に係る医療支援装置である。
【0019】
本開示に係る第9の態様は、存在位置情報が、体内特徴領域がカメラの画角から外れている場合の存在位置を外側で特定可能な画角外位置情報を含み、体内特徴領域が画角から外れている場合に画角外位置情報が画面に表示され、体内特徴領域が、病変であり、画角外位置情報の表示態様が、病変の悪性度、病変が存在する部位、病変の種類、病変の型、病変の形態、病変と病変の周辺との境界の態様、及び/又は、病変の粘液の付着態様に応じて変更される、第1の態様から第8の態様の何れか1つの態様に係る医療支援装置である。
【0020】
本開示に係る第10の態様は、存在位置情報が、体内特徴領域がカメラの画角から外れている場合の存在位置を外側で特定可能な画角外位置情報を含み、体内特徴領域が画角から外れたことを条件に、画角外位置情報が画面に表示される、第1の態様から第9の態様の何れか1つの態様に係る医療支援装置である。
【0021】
本開示に係る第11の態様は、体内特徴領域が画角に収まっている画角内時間が一定未満の場合の画角外位置情報の画面への表示が、画角内時間が一定以上の場合の画角外位置情報の画面への表示よりも強調される、第10の態様に係る医療支援装置である。
【0022】
本開示に係る第12の態様は、存在位置情報が、体内特徴領域がカメラの画角から外れている場合の存在位置を外側で特定可能な画角外位置情報を含み、体内特徴領域が画角から外れてから既定時間が経過したことを条件に、画角外位置情報が画面に表示される、第1の態様から第9の態様の何れか1つの態様に係る医療支援装置である。
【0023】
本開示に係る第13の態様は、存在位置情報が、体内特徴領域がカメラの画角から外れている場合の存在位置を外側で特定可能な画角外位置情報を含み、体内特徴領域が画角から外れ、かつ、変化の度合いが既定度合いを超えたことを条件に、画角外位置情報が画面に表示される、第1の態様から第12の態様の何れか1つの態様に係る医療支援装置である。
【0024】
本開示に係る第14の態様は、存在位置情報が、体内特徴領域がカメラの画角から外れている場合の存在位置を外側で特定可能な画角外位置情報を含み、体内特徴領域が画角から外れている場合に画角外位置情報が画面に表示され、単位時間内に体内特徴領域が画角の内外へ出入りしている頻度が既定頻度を超えた場合の画角外位置情報の画面への表示は、頻度が既定頻度以下の場合の画角外位置情報の画面への表示よりも強調される、第1の態様から第13の態様の何れか1つの態様に係る医療支援装置である。
【0025】
本開示に係る第15の態様は、画面生成情報が、画像と、画面内での存在位置情報の位置を指示する位置指示情報と、を含み、位置指示情報が、変化に従って更新される、第1の態様から第14の態様の何れか1つの態様に係る医療支援装置である。
【0026】
本開示に係る第16の態様は、画面生成情報が、画像と、存在位置情報と、位置指示情報と、を含む、第15の態様に係る医療支援装置である。
【0027】
本開示に係る第17の態様は、物体認識処理が、AIを用いることにより、画像に基づいて体内特徴領域を認識する処理を含む、第1の態様から第16の態様の何れか1つの態様に係る医療支援装置である。
【0028】
本開示に係る第18の態様は、体内特徴領域が病変である、第1の態様から第17の態様の何れか1つの態様に係る医療支援装置である。
【0029】
本開示に係る第19の態様は、画像が、カメラによって体内が撮像されることによって時系列で得られた複数のフレームに含まれており、プロセッサが、複数のフレームに基づいて変化を特定し、特定した変化に従って表示位置を変更する、第1の態様から第18の態様の何れか1つの態様に係る医療支援装置である。
【0030】
本開示に係る第20の態様は、プロセッサが、カメラの体内での挙動を検出可能なセンサによる検出結果に基づいて変化を特定し、特定した変化に従って表示位置を変更する、第1の態様から第19の態様の何れか1つの態様に係る医療支援装置である。
【0031】
本開示に係る第21の態様は、プロセッサを備え、プロセッサが、カメラによって体内が撮像されることで得られた画像を取得し、画像に基づいて生成された医用画像と、画像を用いた物体認識処理が実行されることによって認識された体内特徴領域の存在位置を画像の外側で特定可能な存在位置情報とが表示される画面の生成に用いられる画面生成情報を出力し、画面内での医用画像に対する存在位置情報の表示位置が、カメラと体内特徴領域との位置関係の変化に従って変更される、医療支援装置である。
【0032】
本開示に係る第22の態様は、第1の態様から第21の態様の何れか1つの態様に係る医療支援装置と、カメラと、を備える、内視鏡装置である。
【0033】
本開示に係る第23の態様は、カメラによって体内が撮像されることで得られた画像を取得すること、及び、画像と、画像を用いた物体認識処理が実行されることによって認識された体内特徴領域の存在位置を画像の外側で特定可能な存在位置情報とが表示される画面の生成に用いられる画面生成情報を出力すること、を含み、画面内での画像に対する存在位置情報の表示位置が、カメラと体内特徴領域との位置関係の変化に従って変更される、医療支援方法である。
【0034】
本開示に係る第24の態様は、コンピュータに医療支援処理を実行させるためのプログラムであって、医療支援処理が、カメラによって体内が撮像されることで得られた画像を取得すること、及び、画像と、画像を用いた物体認識処理が実行されることによって認識された体内特徴領域の存在位置を画像の外側で特定可能な存在位置情報とが表示される画面の生成に用いられる画面生成情報を出力すること、を含み、画面内での画像に対する存在位置情報の表示位置が、カメラと体内特徴領域との位置関係の変化に従って変更される、プログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】内視鏡装置が用いられている態様の一例を示す概念図である。
図2】内視鏡装置の全体構成の一例を示す概念図である。
図3】内視鏡装置の電気系のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】医療支援装置に含まれるプロセッサの実施形態に係る要部機能の一例、及びストレージに格納されている情報の一例を示すブロック図である。
図5】認識部及び制御部の処理内容の一例を示す概念図である。
図6】画角に病変が収まっている場合の第1表示領域の表示内容の一例、及び画角から病変が外れている場合の第1表示領域の表示内容の一例を示す概念図である。
図7】制御部によって画面情報が生成され、画面情報により示される画面が表示装置に表示される態様の一例を示す概念図である。
図8】フレームアウト中の病変位置(すなわち、フレームに写っていない病変についての病変位置)が変更された場合の表示内容の一例を示す概念図である。
図9】フレームの中心から病変までの距離が変化した場合のビジュアルアシストマークの表示態様の一例を示す概念図である。
図10】医療支援処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】医療支援処理の流れの第1変形例を示すフローチャートである。
図12】医療支援処理の流れの第2変形例を示すフローチャートである。
図13】医療支援処理の流れの第3変形例を示すフローチャートである。
図14】医療支援処理の流れの第4変形例を示すフローチャートである。
図15】医療支援処理の流れの第5変形例を示すフローチャートである。
図16】病変位置がフレームインしている場合の画面の表示例、及び病変位置がフレームアウトしている場合の画面の表示例を示す概念図である。
図17】画角の内外に複数の病変が存在している場合の画面の第1表示例を示す概念図である。
図18】画角の内外に複数の病変が存在している場合の画面の第2表示例を示す概念図である。
図19】画角の内外に複数の病変が存在している場合の画面の第3表示例を示す概念図である。
図20】画角の内外に複数の病変が存在している場合の画面の第4表示例を示す概念図である。
図21】第2表示領域に病変位置マップとビジュアルアシストマークとが表示されている態様の一例を示す概念図である。
図22】画面に表示されるビジュアルアシストマークの変形例を示す概念図である。
図23】画面に表示されるビジュアルアシストマークの表示態様が病変の特徴に応じて変更される場合の処理内容の一例を示す概念図である。
図24】内視鏡挿入形状観察装置が搭載された内視鏡装置の電気系のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図25】制御部によって画面生成情報が生成されて出力される態様の一例を示す概念図である。
図26】コンピュータがネットワークを介して外部装置に対して処理実行要求を与え、外部装置が処理実行要求に応じた処理を実行し、コンピュータが外部装置から処理結果を受け取るという一連の処理の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面に従って本開示に係る医療支援装置、内視鏡装置、医療支援方法、及びプログラムの実施形態の一例について説明する。
【0037】
先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
【0038】
CPUとは、“Central Processing Unit”の略称を指す。GPUとは、“Graphics Processing Unit”の略称を指す。GPGPUとは、“General-Purpose computing on Graphics Processing Units”の略称を指す。APUとは、“Accelerated Processing Unit”の略称を指す。TPUとは、“Tensor Processing Unit”の略称を指す。RAMとは、“Random Access Memory”の略称を指す。NVMとは、“Non-volatile memory”の略称を指す。EEPROMとは、“Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory”の略称を指す。ASICとは、“Application Specific Integrated Circuit”の略称を指す。PLDとは、“Programmable Logic Device”の略称を指す。FPGAとは、“Field-Programmable Gate Array”の略称を指す。SoCとは、“System-on-a-chip”の略称を指す。SSDとは、“Solid State Drive”の略称を指す。USBとは、“Universal Serial Bus”の略称を指す。HDDとは、“Hard Disk Drive”の略称を指す。ELとは、“Electro-Luminescence”の略称を指す。CMOSとは、“Complementary Metal Oxide Semiconductor”の略称を指す。CCDとは、“Charge Coupled Device”の略称を指す。AIとは、“Artificial Intelligence”の略称を指す。BLIとは、“Blue Light Imaging”の略称を指す。LCIとは、“Linked Color Imaging”の略称を指す。I/Fとは、“Interface”の略称を指す。SSLとは、“Sessile Serrated Lesion”の略称を指す。LANとは、“Local Area Network”の略称を指す。WANとは、“Wide Area Network”の略称を指す。5Gとは、“5th Generation Mobile Communication System”の略称を指す。FIFOとは、“First In First Out”の略称を指す。
【0039】
以下の説明において、符号付きのプロセッサ(以下、単に「プロセッサ」と称する)は、1つの演算装置であってもよいし、複数の演算装置の組み合わせであってもよい。また、プロセッサは、1種類の演算装置であってもよいし、複数種類の演算装置の組み合わせであってもよい。演算装置の一例としては、CPU、GPU、GPGPU、APU、又はTPU等が挙げられる。
【0040】
以下の説明において、符号付きのメモリは、一時的に情報が格納される少なくとも1つのRAM等のメモリ(例えば、揮発性のメモリ)であり、プロセッサによってワークメモリとして用いられる。
【0041】
以下の説明において、符号付きのストレージは、各種プログラム及び各種パラメータ等を記憶する1つ又は複数の不揮発性の記憶装置である。不揮発性の記憶装置の一例としては、フラッシュメモリ、磁気ディスク、又は磁気テープ等が挙げられる。また、ストレージの他例としては、クラウドストレージが挙げられる。
【0042】
以下の実施形態において、符号付きの外部I/Fは、互いに接続された複数の装置間の各種情報の授受を司る。外部I/Fの一例としては、USBインタフェースが挙げられる。外部I/Fには、通信プロセッサ及びアンテナ等を含む通信I/Fが適用されてもよい。通信I/Fは、複数のコンピュータ間での通信を司る。通信I/Fに対して適用される通信規格の一例としては、5G、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等を含む無線通信規格が挙げられる。
【0043】
以下の実施形態において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
【0044】
図1は、内視鏡装置10が用いられている態様の一例を示す概念図である。図1に示すように、内視鏡装置10は、内視鏡検査においてユーザである医師12によって用いられる。内視鏡検査は、看護師14等のスタッフによって補助される。本実施形態において、内視鏡装置10は、本開示に係る「内視鏡装置」の一例である。
【0045】
内視鏡装置10は、通信装置(図示省略)と通信可能に接続されており、内視鏡装置10によって得られた情報は、通信装置に送信される。通信装置の一例としては、電子カルテ等の各種情報を管理するサーバ及び/又はクライアント端末(例えば、パーソナル・コンピュータ及び/又はタブレット端末等)が挙げられる。通信装置は、内視鏡装置10から送信された情報を受信し、受信した情報を用いた処理(例えば、電子カルテ等に保存する処理)を実行する。
【0046】
内視鏡装置10は、内視鏡スコープ16、表示装置18、光源装置20、制御装置22、及び医療支援装置24を備えている。
【0047】
内視鏡装置10は、内視鏡スコープ16を用いて被検体26(例えば、患者)の体内に含まれる大腸28に対する診療を行うためのモダリティである。本実施形態において、大腸28は、内視鏡検査において医師12によって観察される対象である。
【0048】
内視鏡スコープ16は、医師12によって用いられ、被検体26の管腔臓器に挿入される。本実施形態では、内視鏡スコープ16が被検体26の大腸28に挿入される。内視鏡装置10は、被検体26の大腸28に挿入された内視鏡スコープ16に対して、被検体26の大腸28内を撮像させ、かつ、必要に応じて大腸28に対して医療的な各種処置を行う。
【0049】
内視鏡装置10は、被検体26の大腸28内を撮像することで大腸28内の態様を示す画像を取得して出力する。本実施形態において、内視鏡装置10は、大腸28内で光30を照射することにより大腸28の腸壁32で反射されて得られた反射光を撮像する光学式撮像機能を有する内視鏡である。
【0050】
なお、ここでは、大腸28に対する内視鏡検査を例示しているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、食道、胃、十二指腸、又は気管等の管腔臓器に対する内視鏡検査であってもよい。
【0051】
光源装置20、制御装置22、及び医療支援装置24は、ワゴン34に設置されている。ワゴン34には、上下方向に沿って複数の台が設けられており、下段側の台から上段側の台にかけて、医療支援装置24、制御装置22、及び光源装置20が設置されている。また、ワゴン34の最上段の台には、表示装置18が設置されている。
【0052】
制御装置22は、内視鏡装置10の全体を制御する。医療支援装置24は、制御装置22の制御下で、内視鏡スコープ16によって腸壁32が撮像されることで得られた画像に対して各種の画像処理を行う。
【0053】
表示装置18は、画像を含めた各種情報を表示する。表示装置18の一例としては、液晶ディスプレイ又はELディスプレイ等が挙げられる。また、表示装置18に代えて、又は、表示装置18と共に、ディスプレイ付きのタブレット端末を用いてもよい。
【0054】
表示装置18には、画面35が表示される。画面35は、複数の表示領域を含む。複数の表示領域は、画面35内で並べて配置されている。図1に示す例では、複数の表示領域の一例として、第1表示領域36及び第2表示領域38が示されている。第1表示領域36のサイズは、第2表示領域38のサイズよりも大きい。第1表示領域36は、メインの表示領域として用いられ、第2表示領域38は、サブの表示領域として用いられる。なお、第1表示領域36及び第2表示領域38のサイズ関係は、これに限定されるものではなく、画面35に収まるサイズ関係であればよい。
【0055】
第1表示領域36には、内視鏡動画像39が表示される。内視鏡動画像39は、被検体26の大腸28内で内視鏡スコープ16によって腸壁32が撮像されることによって取得された動画像である。図1に示す例では、内視鏡動画像39の一例として、腸壁32が写っている動画像が示されている。
【0056】
内視鏡動画像39に写っている腸壁32には、体内(ここでは、一例として、大腸28内)で特徴を有する領域である体内特徴領域が含まれている。体内特徴領域の一例としては、医師12によって注視される関心領域(すなわち、観察対象領域)が挙げられる。本実施形態では、医師12が、内視鏡動画像39を通して、体内特徴領域を含む腸壁32の態様を視覚的に認識することができる。なお、以下では、体内特徴領域の一例として、少なくとも1つの病変42(例えば、図1に示す例では、1つの病変42)を挙げて説明する。本実施形態において、病変42は、本開示に係る「体内特徴領域」及び「病変」の一例である。
【0057】
病変42には様々な種類があり、病変42の種類としては、例えば、腫瘍性ポリープ及び非腫瘍性ポリープ等が挙げられる。腫瘍性ポリープの種類としては、例えば、腺腫性ポリープ(例えば、SSL)等が挙げられる。非腫瘍性ポリープの種類としては、例えば、過誤腫性ポリープ、過形成性ポリープ、及び炎症性ポリープ等が挙げられる。なお、ここで例示されている種類は、大腸28に対する内視鏡検査が行われる場合の病変42の種類として事前に想定される種類であり、内視鏡検査が行われる臓器が異なれば、病変の種類も異なる。
【0058】
第1表示領域36に表示される画像は、内視鏡スコープ16によって腸壁32が撮像されることによって時系列で得られた複数のフレーム40(すなわち、時系列に沿った複数のフレーム40)を含んで構成される動画像に含まれる1つのフレーム40である。つまり、第1表示領域36には、時系列に沿った複数のフレーム40が既定のフレームレート(例えば、数十フレーム/秒)で表示される。
【0059】
本実施形態において、フレーム40は、本開示に係る「画像」の一例である。また、本実施形態において、内視鏡スコープ16によって腸壁32が撮像されることによって時系列で得られた複数のフレーム40は、本開示に係る「複数のフレーム」の一例である。
【0060】
第1表示領域36に表示される動画像の一例としては、ライブビュー方式の動画像が挙げられる。ライブビュー方式は、あくまでも一例に過ぎず、ポストビュー方式の動画像のように、メモリ等に一時的に格納されてから表示される動画像であってもよい。また、メモリ等の保存されている記録用動画像に含まれる各フレームが内視鏡動画像39として画面35(例えば、第1表示領域36)に再生表示されてもよい。
【0061】
画面35内で、第2表示領域38は、第1表示領域36外に存在している。図1に示す例において、第2表示領域38は、第1表示領域36に隣接しており、画面35内の正面視右側に表示されている。第2表示領域38の表示位置は、第1表示領域36と異なる位置であれば、どこでもよいが、第1表示領域36内に表示される内視鏡動画像39と対比可能な位置に表示されることが好ましい。
【0062】
第2表示領域38には、医療に関する情報である医療情報44が表示される。医療情報44としては、例えば、医師12による医療的な判断等を補助する情報等が挙げられる。医師12による医療的な判断等を補助する情報等の第1例としては、内視鏡スコープ16が挿入されている被検体26に関する各種の可視情報(例えば、名前、性別、服用薬、既往歴、血圧値、及び/又は心拍数等)が挙げられる。また、医師12による医療的な判断等を補助する情報等の第2例としては、内視鏡動画像39に対してAIを用いた処理が行われることによって得られたテキスト及び/又は画像(例えば、特徴量マップ、及び/又は、特徴量マップが加工されて得られた情報)等の可視情報が挙げられる。
【0063】
図2は、内視鏡装置10の全体構成の一例を示す概念図である。図2に示すように、内視鏡スコープ16は、操作部46及び挿入部48を備えている。挿入部48は、操作部46が操作されることにより部分的に湾曲する。挿入部48は、医師12(図1参照)による操作部46の操作に従って、大腸28(図1参照)の形状に応じて湾曲しながら大腸28に挿入される。
【0064】
挿入部48の先端部50には、カメラ52、照明装置54、及び処置具用開口56が設けられている。カメラ52及び照明装置54は、先端部50の先端面50Aに設けられている。なお、ここでは、カメラ52及び照明装置54が先端部50の先端面50Aに設けられる形態例を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、カメラ52及び照明装置54は、先端部50の側面に設けられることにより、内視鏡スコープ16が側視鏡として構成されていてもよい。
【0065】
カメラ52は、被検体26の体腔に挿入されて観察対象領域を撮像する。本実施形態では、カメラ52が、被検体26の体内(例えば、大腸28内)を撮像することにより内視鏡動画像39を取得する。カメラ52の一例としては、CMOSカメラが挙げられる。但し、これは、あくまでも一例に過ぎず、CCDカメラ等の他種のカメラであってもよい。本実施形態において、カメラ52は、本開示に係る「カメラ」の一例である。
【0066】
照明装置54は、照明窓54A及び54Bを有する。照明装置54は、照明窓54A及び54Bを介して光30(図1参照)を照射する。照明装置54から照射される光30の種類としては、例えば、可視光(例えば、白色光等)及び非可視光(例えば、近赤外光等)が挙げられる。また、照明装置54は、照明窓54A及び54Bを介して特殊光を照射する。特殊光としては、例えば、BLI用の光及び/又はLCI用の光が挙げられる。カメラ52は、大腸28内で照明装置54によって光30が照射された状態で、大腸28内を光学的手法で撮像する。
【0067】
処置具用開口56は、処置具58を先端部50から突出させるための開口である。また、処置具用開口56は、血液及び体内汚物等を吸引する吸引口、並びに流体を送出する送出口としても用いられる。
【0068】
操作部46には、処置具挿入口60が形成されており、処置具58は、処置具挿入口60から挿入部48内に挿入される。処置具58は、挿入部48内を通過して処置具用開口56から外部に突出する。処置具58としては、止血鉗子、穿刺針、高周波ナイフ、スネア、カテーテル、ガイドワイヤ、又はカニューレ等が挙げられる。図2に示す例では、処置具58として、止血鉗子が処置具用開口56から突出している態様が示されている。
【0069】
内視鏡スコープ16は、ユニバーサルコード62を介して光源装置20及び制御装置22に接続されている。制御装置22には、医療支援装置24及び受付装置64が接続されている。また、医療支援装置24には、表示装置18が接続されている。すなわち、制御装置22は、医療支援装置24を介して表示装置18に接続されている。
【0070】
なお、ここでは、制御装置22によって行われる機能を拡張させるための外付け装置という位置付けで医療支援装置24を例示しているため、制御装置22と表示装置18とが医療支援装置24を介して間接的に接続されている形態例を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎない。例えば、表示装置18は、制御装置22に直接接続されていてもよい。この場合、例えば、医療支援装置24の機能が制御装置22に搭載されているか、或いは、医療支援装置24によって実行される処理(例えば、後述する医療支援処理)と同じ処理をサーバ(図示省略)に対して実行させ、サーバによる処理結果を受信して使用する機能が制御装置22に搭載されていればよい。
【0071】
受付装置64は、医師12からの指示を受け付け、受け付けた指示を電気信号として制御装置22に出力する。受付装置64の一例として、キーボード、マウス、タッチパネル、フットスイッチ、マイクロフォン、及び/又は遠隔操作機器等が挙げられる。
【0072】
制御装置22は、光源装置20を制御したり、カメラ52との間で各種信号の授受を行ったり、医療支援装置24との間で各種信号の授受を行ったりする。
【0073】
光源装置20は、制御装置22の制御下で発光し、光を照明装置54に供給する。照明装置54には、ライトガイドが内蔵されており、光源装置20から供給された光はライトガイドを経由して照明窓54A及び54Bから照射される。制御装置22は、カメラ52に対して撮像を行わせ、カメラ52から内視鏡動画像39(図1参照)を取得して既定の出力先(例えば、医療支援装置24)に出力する。
【0074】
医療支援装置24は、制御装置22から入力された内視鏡動画像39に対して各種の画像処理を行うことにより医療(ここでは、一例として、内視鏡検査)の支援を行う。医療支援装置24は、各種の画像処理を施した内視鏡動画像39を既定の出力先(例えば、表示装置18)へ出力する。
【0075】
なお、ここでは、制御装置22から出力された内視鏡動画像39が、医療支援装置24を介して、表示装置18へ出力される形態例を挙げて説明したが、これはあくまでも一例に過ぎない。例えば、制御装置22と表示装置18とが接続されており、医療支援装置24によって画像処理が施された内視鏡動画像39が、制御装置22を介して表示装置18に表示される態様であってもよい。
【0076】
図3は、内視鏡装置10の電気系のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、制御装置22は、コンピュータ66、バス68、及び外部I/F70を備えている。コンピュータ66は、プロセッサ72、メモリ74、及びストレージ76を備えている。プロセッサ72、メモリ74、ストレージ76、及び外部I/F70は、バス68に接続されている。プロセッサ72は、制御装置22の全体を制御する。メモリ74及びストレージ76は、プロセッサ72によって用いられる。
【0077】
外部I/F70は、制御装置22の外部に存在する1つ以上の装置(以下、「第1外部装置」とも称する)とプロセッサ72との間の各種情報の授受を司る。
【0078】
外部I/F70には、第1外部装置の1つとしてカメラ52が接続されており、外部I/F70は、カメラ52とプロセッサ72との間の各種情報の授受を司る。プロセッサ72は、外部I/F70を介してカメラ52を制御する。また、プロセッサ72は、カメラ52によって大腸28(図1参照)内が撮像されることで得られた内視鏡動画像39(図1参照)を外部I/F70を介して取得する。
【0079】
外部I/F70には、第1外部装置の1つとして光源装置20が接続されており、外部I/F70は、光源装置20とプロセッサ72との間の各種情報の授受を司る。光源装置20は、プロセッサ72の制御下で、照明装置54に光を供給する。照明装置54は、光源装置20から供給された光を照射する。
【0080】
外部I/F70には、第1外部装置の1つとして受付装置64が接続されており、プロセッサ72は、受付装置64によって受け付けられた指示を、外部I/F70を介して取得し、取得した指示に応じた処理を実行する。
【0081】
医療支援装置24は、コンピュータ78及び外部I/F80を備えている。コンピュータ78は、プロセッサ82、メモリ84、及びストレージ86を備えている。プロセッサ82、メモリ84、ストレージ86、及び外部I/F80は、バス88に接続されている。本実施形態において、医療支援装置24は、本開示に係る「医療支援装置」の一例であり、コンピュータ78は、本開示に係る「コンピュータ」の一例であり、プロセッサ82は、本開示に係る「プロセッサ」の一例である。
【0082】
なお、コンピュータ78のハードウェア構成(すなわち、プロセッサ82、メモリ84、及びストレージ86)は、コンピュータ66のハードウェア構成と基本的に同じなので、ここでは、コンピュータ78のハードウェア構成に関する説明は省略する。
【0083】
外部I/F80は、医療支援装置24の外部に存在する1つ以上の装置(以下、「第2外部装置」とも称する)とプロセッサ82との間の各種情報の授受を司る。
【0084】
外部I/F80には、第2外部装置の1つとして制御装置22が接続されている。図3に示す例では、外部I/F80に、制御装置22の外部I/F70が接続されている。外部I/F80は、医療支援装置24のプロセッサ82と制御装置22のプロセッサ72との間の各種情報の授受を司る。例えば、プロセッサ82は、制御装置22のプロセッサ72から外部I/F70及び80を介して内視鏡動画像39(図1参照)を取得し、取得した内視鏡動画像39に対して各種の画像処理を行う。
【0085】
外部I/F80には、第2外部装置の1つとして表示装置18が接続されている。プロセッサ82は、外部I/F80を介して表示装置18を制御することにより、表示装置18に対して各種情報(例えば、各種の画像処理が行われた内視鏡動画像39等)を表示させる。
【0086】
ところで、内視鏡検査において、医師12は、第1表示領域36に表示された内視鏡動画像39を観察しながら、大腸28内に存在する病変42を視覚的に認識している。しかし、医師12がカメラ52を思う通りに操作できなかったり、体動(例えば、大腸28の動き)が予想以上に大きかったりすると、カメラ52と病変42との位置関係が予想外の位置関係になってしまう。そうすると、カメラ52の画角(以下、単に「画角」とも称する)から病変42が外れることがある。病変42が画角から外れると、医師12は、第1表示領域36を通して病変42を観察することができなくなる。これにより、医師12は、画角から外れた病変42を見失ってしまう。医師12は、病変42を見失うと、見失った病変42に対する医療的処置(例えば、鑑別及び/又は切除等)を忘れてしまう虞がある。このような事態を発生させないためにも、画角から外れた病変42の存在を医師12に意識付けさせることは重要である。
【0087】
そこで、このような事情に鑑み、本実施形態では、一例として図4に示すように、医療支援装置24のプロセッサ82によって医療支援処理が行われる。なお、図4は、医療支援装置24に含まれるプロセッサ82の要部機能の一例、及びストレージ86に格納されている情報の一例を示すブロック図である。
【0088】
ストレージ86には、医療支援プログラム90が格納されている。医療支援プログラム90は、本開示に係る「プログラム」の一例である。プロセッサ82は、ストレージ86から医療支援プログラム90を読み出し、読み出した医療支援プログラム90をメモリ84上で実行することにより医療支援処理を行う。医療支援処理は、プロセッサ82がメモリ84上で実行する医療支援プログラム90に従って、認識部82A及び制御部82Bとして動作することによって実現される。
【0089】
ストレージ86には、認識モデル92が格納されている。詳しくは後述するが、認識モデル92は、認識部82Aによって用いられる。
【0090】
図5は、認識部82A及び制御部82Bの処理内容の一例を示す概念図である。図5に示すように、認識部82A及び制御部82Bは、カメラ52によって撮像フレームレート(例えば、数十フレーム/秒)に従って大腸28内が撮像されることで生成された内視鏡動画像39に含まれる時系列に沿った複数のフレーム40のそれぞれをカメラ52から時系列に沿って1フレーム単位で取得する。図5に示す例では、病変42が写っている複数のフレーム40が認識部82Aによって取得される態様が示されている。また、認識部82Aによってカメラ52から取得されるフレーム40は、制御部82Bによって認識部82Aと同期して取得される。
【0091】
制御部82Bは、時系列に沿った複数のフレーム40を含む内視鏡動画像39を表示装置18に出力する。例えば、制御部82Bは、内視鏡動画像39をライブビュー画像として第1表示領域36に表示する。すなわち、制御部82Bは、カメラ52からフレーム40を取得する毎に、取得したフレーム40を順に表示フレームレート(例えば、数十フレーム/秒)に従って第1表示領域36に表示する。また、制御部82Bは、医療情報44を第2表示領域38に表示する。また、例えば、制御部82Bは、第1表示領域36の表示内容に伴って第2表示領域38の表示内容(例えば、医療情報44)を更新する。
【0092】
認識部82Aは、カメラ52から取得した内視鏡動画像39を用いて、内視鏡動画像39に写っている病変42を認識する。すなわち、認識部82Aは、カメラ52から取得した内視鏡動画像39に含まれる時系列に沿った複数のフレーム40のそれぞれに対して認識処理96を順次に行うことで、フレーム40に写っている病変42を認識する。例えば、認識部82Aは、病変42の有無、病変42を示す画像領域(以下、「病変画像領域」とも称する)の大きさ、フレーム40内での病変画像領域の位置、及び病変42の特徴(例えば、病変42の悪性度、病変42が存在する部位、病変42の種類、病変42の型、病変42の形態(例えば、見た目)、病変42と病変42の周辺との境界の態様、及び病変42の粘液の付着態様等)を認識する。
【0093】
認識処理96は、本開示に係る「画像を用いた物体認識処理」の一例である。認識処理96は、認識部82Aによって、フレーム40が取得される毎に、取得されたフレーム40に対して行われる。認識処理96は、AIを用いることにより、フレーム40に基づいて病変42を認識する処理である。ここでは、認識処理96として、認識モデル92を用いた処理が行われる。認識モデル92は、AIによるバウンディングボックス方式での物体認識用の学習済みモデルである。
【0094】
認識モデル92は、ニューラルネットワークに対して第1教師データを用いた機械学習が行われることによって最適化されている。第1教師データは、第1例題データと第1正解データとが対応付けられた複数のデータ(すなわち、複数フレーム分のデータ)を含むデータセットである。
【0095】
第1例題データは、フレーム40を想定した画像である。フレーム40を想定した画像の第1例としては、実際に大腸内がカメラによって撮像されることで得られた画像が挙げられる。フレーム40を想定した画像の第2例としては、仮想的に作られた画像が挙げられる。第1正解データは、第1例題データに対する正解データ(すなわち、アノテーション)である。ここでは、第1正解データの一例として、第1例題データとして用いられている画像に写っている病変42の幾何特性、病変42の悪性度、病変42が存在する部位、病変42の種類、病変42の型、病変42の形態、病変42と病変42の周辺との境界の態様、及び病変42の粘液の付着態様等を特定するアノテーションが用いられる。
【0096】
認識部82Aは、カメラ52からフレーム40を取得し、取得したフレーム40を認識モデル92に入力する。これにより、認識モデル92は、フレーム40が入力される毎に、入力されたフレーム40に写っている病変42を認識し、認識結果98を出力する。
【0097】
認識結果98には、病変有無情報98Aが含まれている。病変有無情報98Aは、認識モデル92に入力されたフレーム40に病変42が写っているか否かを示す情報である。また、認識モデル92に入力されたフレーム40に病変42が写っている場合、認識結果98には、幾何特性情報98B、病変位置マップ98C、及び病変特徴情報98D等が含まれている。
【0098】
幾何特性情報98Bは、フレーム40内での病変42の大きさ、形状、及び位置を特定可能な情報(例えば、座標)である。病変位置マップ98Cは、フレーム40内での病変42の位置を特定可能なマップである。病変特徴情報98Dは、認識モデル92に入力されたフレーム40に写っている病変42の特徴を特定可能な情報である。ここで、病変42の特徴とは、病変42の悪性度、病変42が存在する部位、病変42の種類、病変42の型、病変42の形態、病変42と病変42の周辺との境界の態様、及び病変42の粘液の付着態様等を指す。
【0099】
病変位置マップ98Cの幾何特性(例えば、外輪郭の形状及びサイズ)は、フレーム40の幾何特性(例えば、外輪郭の形状及びサイズ)に対応している。病変位置マップ98Cには、バウンディングボックスBBが含まれている。バウンディングボックスBBは、フレーム40に写っている病変42のフレーム40内での位置として、認識モデル92によって認識された位置を特定可能な矩形枠(例えば、病変画像領域に対して外接する矩形枠)である。図5に示す例では、バウンディングボックスBBが第1表示領域36に重畳表示されている。バウンディングボックスBBの表示は、第1表示領域36に表示される内視鏡動画像39の表示タイミングに同期して更新される。
【0100】
なお、ここでは、バウンディングボックスBBが表示される例を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、バウンディングボックスBBは表示されなくてもよい。また、バウンディングボックスBBの表示及び非表示が各種条件に応じて切り替えられるようにしてもよい。例えば、受付装置64によって受け付けられた指示に応じてバウンディングボックスBBの表示と非表示とが切り替えられたり、内視鏡装置10によって行われる処理の内容(例えば、医療支援処理の内容)に応じてバウンディングボックスBBの表示と非表示とが切り替えられたりするようにしてもよい。また、バウンディングボックスBBは、あくまでも一例に過ぎず、バウンディングボックスBBに代えて、バウンディングボックスBBに代わる識別子(例えば、コード)が表示されるようにしてもよい。この場合、例えば、制御部82Bは、幾何特性情報98Bからフレーム40内での病変42の位置を特定し、特定した位置の近傍に、バウンディングボックスBBに代わる識別子を表示するようにすればよい。
【0101】
病変位置マップ98Cは、医療情報44の一部として第2表示領域38に表示されてもよいし、画面35内の第2表示領域38以外の領域に表示されてもよい。画面35に表示される病変位置マップ98Cは、第1表示領域36に対して適用される表示フレームレートに従って更新される。病変位置マップ98Cの表示は、第1表示領域36に表示される内視鏡動画像39の表示タイミングに同期して更新される。このように構成することで、医師12は、第1表示領域36に表示される内視鏡動画像39を観察しながら、病変位置マップ98Cを参照することで、第1表示領域36に表示されている内視鏡動画像39内での病変42の概略的な位置を把握することが可能となる。なお、病変位置マップ98Cの表示と病変位置マップ98Cの非表示は、第1表示領域36内でのバウンディングボックスBBの表示及び非表示と同様の要領で切り替えられるようにしてもよい。
【0102】
制御部82Bは、病変特徴情報98Dを画面35に表示する。この場合、例えば、病変特徴情報98Dは、医療情報44の一部として第2表示領域38に表示される。
【0103】
図6は、画角に病変42が収まっている場合の第1表示領域36の表示内容の一例、及び画角から病変42が外れている場合の第1表示領域36の表示内容の一例を示す概念図である。図6に示すように、フレーム40とフレーム40の外周とを含む領域は、画面35に表示されない仮想的な十字ラインVLによって第1~第4象限に区分されている。十字ラインVLは、フレーム40に対して正面視水平方向のラインと、フレーム40に対して正面視鉛直方向のラインとで形成されている。十字ラインVLの中心(すなわち、フレーム40に対して正面視水平方向のラインとフレーム40に対して正面視鉛直方向のラインとの交点)は、フレーム40の中心に位置している。第1~第4象限は、フレーム40の中心を軸として半時計回りに順に設定されている。なお、ここでは、フレーム40とフレーム40の外周とを含む領域が第1~第4象限に区分されている形態例を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、フレーム40とフレーム40の外周とを含む領域は、3つ以下の領域に区分されていてもよいし、5つ以上の領域に区分されていてもよい。
【0104】
制御部82Bは、カメラ52からフレーム40を取得すると、取得したフレーム40を第1表示領域36に表示する。ここで、画角に病変42が収まっている場合、第1表示領域36には、病変42が写っているフレーム40が表示される。図6に示す例では、フレーム40内の第3象限に病変42が写っている。一方、画角から病変42が外れている場合、第1表示領域36には、病変42が写っていないフレーム40が表示される。図6に示す例では、病変42が画角から第1象限側に外れているため、第1表示領域36に表示されるフレーム40には病変42が写っていない。そのため、医師12は、画角から第1象限側に外れている病変42の存在を視覚的に認識することができない。
【0105】
そこで、一例として図7に示すように、制御部82Bは、認識結果98等を用いて、フレーム40に写っているか否かに関わらず、病変42の存在位置(以下、「病変位置」とも称する)を特定し、特定結果を画面35に表示する。これを実現するために、制御部82Bは、カメラ52からフレーム40を取得する毎に、カメラ52から取得したフレーム40から特徴位置座標102を取得する。特徴位置座標102は、フレーム40内での特徴的な箇所を特定可能な座標である。フレーム40内での特徴的な箇所とは、例えば、形状が特徴的な高周波成分領域のエッジ100(例えば、特徴的な曲線のエッジ)を指す。例えば、形状が特徴的な高周波成分領域は、周波数成分フィルタが用いられることによって抽出される。
【0106】
メモリ84には、第1格納領域84Aが設けられており、制御部82Bは、フレーム40から特徴位置座標102を取得する毎に、取得した特徴位置座標102を第1格納領域84AにFIFO方式で格納する。これにより、第1格納領域84Aには、複数のフレーム40のそれぞれから得られた複数の特徴位置座標102が時系列で格納される。なお、ここでは、説明の便宜上、各フレーム40から1つの特徴位置座標102が取得されて第1格納領域84AにFIFO方式で格納される形態例を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、各フレーム40から複数の特徴位置座標102が取得されて第1格納領域84AにFIFO方式で格納されるようにしてもよい。この場合、例えば、形状が特徴的な複数の高周波成分領域のそれぞれから特徴位置座標102が取得されて、形状が特徴的な高周波成分領域毎に特徴位置座標102が第1格納領域84AにFIFO方式で格納されるようにすればよい。
【0107】
制御部82Bは、第1格納領域84Aに時系列で格納されている複数の特徴位置座標102に基づいてオプティカルフロー104(すなわち、時系列に沿ったフレーム40間の動きベクトル)を算出する。例えば、オプティカルフロー104の算出は、勾配法によって実現される。なお、勾配法は、あくまでも一例に過ぎず、オプティカルフロー104の算出は、ブロックマッチング法等によって実現されるようにしてもよい。また、ここでは、オプティカルフロー104の算出にエッジ100が用いられる形態例を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、オプティカルフロー104の算出には、形状が特徴的な高周波成分領域の重心等のように、時系列に沿ったフレーム40間で追跡可能な箇所が用いられればよい。
【0108】
メモリ84には、第2格納領域84Bが設けられており、制御部82Bは、フレーム40毎にオプティカルフロー104を算出して第2格納領域84BにFIFO方式で格納する。これにより、第2格納領域84Bには、フレーム40毎に算出されることによって得られた複数のオプティカルフロー104が時系列で格納される。
【0109】
制御部82Bは、カメラ52から取得したフレーム40に対して認識部82Aによって認識処理96(図5参照)が行われることで得られた認識結果98と、第2格納領域84Bに格納されている1つ以上のオプティカルフロー104(例えば、最新のオプティカルフロー104、及び/又は、最新のオプティカルフロー104を含めた時系列に沿った複数のオプティカルフロー104)とに基づいて病変位置を特定する。例えば、制御部82Bは、認識部82Aから取得した認識結果98に含まれる幾何特性情報98Bから、フレーム40に写っている病変42についての病変位置を特定する。そして、制御部82Bは、フレーム40に写っている病変42についての病変位置と、第2格納領域84Bに格納されている1つ以上のオプティカルフロー104とに基づいて、フレーム40に写っていない病変42(図7に示す例では、画角から第1象限側に外れている病変42)についての病変位置を特定する。制御部82Bによる病変位置の特定は、制御部82Bによる二次元座標の取得によって実現される。ここで、制御部82Bによって取得される二次元座標とは、フレーム40の中心を原点とした二次元座標であって、病変位置を特定可能な二次元座標を指す。
【0110】
制御部82Bは、画面情報105を生成して出力する。画面情報105は、画面35を示す情報であり、画面35の生成に用いられる情報である。画面35には、フレーム40、医療情報44、及びビジュアルアシストマーク106が表示される。ここで、画面情報105は、本開示に係る「画面生成情報」の一例であり、ビジュアルアシストマーク106は、本開示に係る「存在位置情報」及び「画角外位置情報」の一例である。
【0111】
第1表示領域36には、画面情報105に含まれるフレーム40が表示される。第2表示領域38には、画面情報105に含まれる医療情報44が表示される。
【0112】
ビジュアルアシストマーク106は、病変42が画角から外れている場合に画面35に表示される。ビジュアルアシストマーク106は、病変42が画角から外れている場合の病変位置を第1表示領域36に表示されているフレーム40の外側で特定可能な情報である。図7に示す例では、ビジュアルアシストマーク106の一例として、画面35内に表示されるマークであって、第1表示領域36に表示されているフレーム40の外側で病変位置の視覚的な特定を支援するマークが示されている。ビジュアルアシストマーク106の形状は、円弧状である。ビジュアルアシストマーク106は、画面35に象限単位で表示される。ビジュアルアシストマーク106は、象限単位で第1表示領域36の外縁に沿って湾曲している。図7に示す例では、画角から第1象限側に病変42が外れているので、画面35内において、ビジュアルアシストマーク106は、病変42が写っていないフレーム40が表示されている第1表示領域36の外側の第1象限に表示される。
【0113】
図8は、フレームアウト中の病変位置(すなわち、フレーム40に写っていない病変42についての病変位置)が変更された場合の表示内容の一例を示す概念図である。図8に示すように、制御部82Bは、フレームアウト中の病変位置が画角の外側で移動すると、上述した手法(すなわち、1つ以上のオプティカルフロー104を使用する手法)で、画面35内でのフレーム40に対するビジュアルアシストマーク106の表示位置を変更する。
【0114】
画面35内でのフレーム40に対するビジュアルアシストマーク106の表示位置は、カメラ52と病変42との位置関係の変化に従って変更される。カメラ52と病変42との位置関係の変化は、制御部82Bによって、第2格納領域84Bに格納される1つ以上のオプティカルフロー104から特定される。
【0115】
制御部82Bは、第2格納領域84Bに格納される1つ以上のオプティカルフロー104に基づいて、カメラ52と病変42との位置関係の変化を特定し、特定した変化に応じて、画面35内でのフレーム40に対するビジュアルアシストマーク106の表示位置を変更する。カメラ52と病変42との位置関係の変化は、医師12によるカメラ52の操作、及び/又は、大腸28内の体動によって齎される。そのため、ビジュアルアシストマーク106の表示位置は、カメラ52と病変42との位置関係の変化に従って変更されることにより、医師12によるカメラ52の操作、及び/又は、大腸28内の体動に追従する。
【0116】
図8には、医師12によるカメラ52の操作、及び/又は、大腸28内の体動に起因して画角の外側で病変位置が第1象限から第2象限に移動する例が示されている。画角の外側で病変位置が第1象限から第2象限に移動する場合、制御部82Bは、画角の外側で病変位置が第1象限から第2象限に移動する経路をオプティカルフロー104から特定する。そして、制御部82Bは、特定した経路に従って、画面35内でのビジュアルアシストマーク106の表示位置を、病変42が写っていないフレーム40が表示されている第1表示領域36の外側の第1象限から第2象限に変更する。
【0117】
図9は、フレーム40の中心から病変42までの距離が変化した場合のビジュアルアシストマーク106の表示態様の一例を示す概念図である。図9に示すように、フレーム40の中心から病変42までの距離が変化した場合、画面35に表示されるビジュアルアシストマーク106の表示態様が、フレーム40の中心から病変42までの距離に応じて変更される。
【0118】
図9に示す例では、画面35に表示されるビジュアルアシストマーク106の太さがフレーム40の中心から病変42までの距離に応じて変更される。フレーム40の中心から病変位置が離れるほど、画面35に表示されるビジュアルアシストマーク106が一定の範囲内で太くされる。この場合、例えば、制御部82Bが、フレーム40の中心から病変42までの距離に応じてビジュアルアシストマーク106の表示態様(ここでは、一例として、太さ)を変更する。フレーム40の中心から病変42までの距離は、第2格納領域84Bに格納される1つ以上のオプティカルフロー104に基づいて特定される。ここで、フレーム40の中心から病変42までの距離は、本開示に係る「特徴量」及び「変化の量」の一例である。
【0119】
また、ここでは、ビジュアルアシストマーク106の表示態様として、ビジュアルアシストマーク106の太さが変更される形態例を挙げたが、ビジュアルアシストマーク106の表示態様は、これに限定されない。例えば、ビジュアルアシストマーク106の表示態様は、ビジュアルアシストマーク106の少なくとも一部のサイズ、ビジュアルアシストマーク106の少なくとも一部の形状、ビジュアルアシストマーク106の少なくとも一部の色、ビジュアルアシストマーク106の少なくとも一部の輝度、ビジュアルアシストマーク106の少なくとも一部の透明度、ビジュアルアシストマーク106の少なくとも一部の模様、及び/又は、ビジュアルアシストマーク106の少なくとも一部の縁の形態等が挙げられる。
【0120】
ビジュアルアシストマーク106の表示態様がビジュアルアシストマーク106の太さ以外の表示態様であったとしても、フレーム40の中心から病変42までの距離が長くなる程、ビジュアルアシストマーク106が目立つようにビジュアルアシストマーク106の表示態様が変更されるようにすればよい。また、逆に、フレーム40の中心から病変42までの距離が短くなる程、ビジュアルアシストマーク106が目立つようにビジュアルアシストマーク106の表示態様が変更されるようにしてもよい。なお、フレーム40の中心から病変42までの距離が長くなる程、ビジュアルアシストマーク106を目立たせる表示態様による表示、及びフレーム40の中心から病変42までの距離が短くなる程、ビジュアルアシストマーク106を目立たせる表示態様による表示は、各種条件(例えば、受付装置64によって受け付けられた指示等)に応じて切り替えられるようにしてもよい。
【0121】
次に、内視鏡装置10の本開示に係る部分の作用について図10を参照しながら説明する。図10に示す医療支援処理の流れは、本開示に係る「医療支援方法」の一例である。図10に示す医療支援処理は、医療支援処理を開始する条件を満足した場合にプロセッサ82によって実行される。医療支援処理を開始する条件の一例としては、内視鏡装置10に対して、医療支援処理を開始する指示が与えられたという条件(例えば、医療支援処理を開始する指示が受付装置64によって受け付けられたという条件)が挙げられる。
【0122】
図10に示す医療支援処理では、先ず、ステップST10で、認識部82Aは、大腸28内でカメラ52によって1フレーム分の撮像が行われたか否かを判定する。ステップST10において、大腸28内でカメラ52によって1フレーム分の撮像が行われていない場合は、判定が否定されて、医療支援処理は、ステップST28へ移行する。ステップST10において、大腸28内でカメラ52によって1フレーム分の撮像が行われた場合は、判定が肯定されて、医療支援処理はステップST12へ移行する。
【0123】
ステップST12で、認識部82A及び制御部82Bは、カメラ52によって大腸28が撮像されることによって得られたフレーム40を取得する。そして、制御部82Bは、フレーム40を第1表示領域36に表示する。ここで、1フレーム前の撮像によって得られたフレーム40が第1表示領域36に表示されている場合、制御部82Bは、第1表示領域36に表示されているフレーム40を最新のフレーム40に更新する。ステップST12の処理が実行された後、医療支援処理はステップST14へ移行する。
【0124】
ステップST14で、制御部82Bは、ステップST12で取得したフレーム40から特徴位置座標102を取得する。そして、制御部82Bは、フレーム40から取得した特徴位置座標102を第1格納領域84AにFIFO方式で格納する。ステップST14の処理が実行された後、医療支援処理はステップST16へ移行する。なお、以下では、説明の便宜上、第1格納領域84Aに複数の特徴位置座標102が時系列で格納されていることを前提として説明する。
【0125】
ステップST16で、認識部82Aは、ステップST12で取得したフレーム40に対して認識処理96を実行する。ステップST14の処理が実行された後、医療支援処理はステップST18へ移行する。
【0126】
ステップST18で、制御部82Bは、ステップST14によって認識処理96が行われることで得られた認識結果98に基づいて、ステップST12で取得したフレーム40に病変42が写っているか否か(すなわち、認識部82Aによって病変42が認識されたか否か)を判定する。ステップST18において、ステップST12で取得したフレーム40に写っていない場合は、判定が否定されて、医療支援処理はステップST22へ移行する。ステップST16において、ステップST12で取得したフレーム40に病変42が写っている場合は、判定が肯定されて、医療支援処理はステップST20へ移行する。
【0127】
ステップST20で、制御部82Bは、ステップST14によって認識処理96が行われることで得られた認識結果98に基づいて、第1表示領域36内のフレーム40にバウンディングボックスBBを重畳表示する。これにより、第1表示領域36内の病変画像領域の表示位置にバウンディングボックスBBが重畳表示される。また、前回のステップST20の処理が実行されることによって第1表示領域36にバウンディングボックスBBが表示されている場合、制御部82Bは、ステップST14によって認識処理96が行われることで得られた認識結果98に基づいて、第1表示領域36に表示されているバウンディングボックスBBを更新する。ステップST20の処理が実行された後、医療支援処理はステップST10へ移行する。
【0128】
ステップST22で、制御部82Bは、第1格納領域84Aに時系列で格納されている複数の特徴位置座標102に基づいてオプティカルフロー104を算出する。そして、制御部82Bは、算出したオプティカルフロー104を第2格納領域84BにFIFO方式で格納する。ステップST22の処理が実行された後、医療支援処理はステップST24へ移行する。
【0129】
ステップST24で、制御部82Bは、ステップST14によって認識処理96が行われることで得られた認識結果98と、第2格納領域84Bに時系列で格納されている1つ以上のオプティカルフロー104と基づいて病変位置を特定する。ステップST24の処理が実行された後、医療支援処理はステップST26へ移行する。
【0130】
ステップST26で、制御部82Bは、画面35内の第1~第4象限のうち、ステップST24で特定した病変位置に対応する象限に、フレーム40とステップST24で特定した病変位置との位置関係(例えば、フレーム40の中心から病変42までの距離)に応じた表示態様でビジュアルアシストマーク106を表示する。ステップST26の処理が実行された後、医療支援処理はステップST28へ移行する。
【0131】
ステップST28で、制御部82Bは、医療支援処理を終了する条件を満足したか否かを判定する。医療支援処理を終了する条件の一例としては、内視鏡装置10に対して、医療支援処理を終了させる指示が与えられたという条件(例えば、医療支援処理を終了させる指示が受付装置64によって受け付けられたという条件)が挙げられる。
【0132】
ステップST28において、医療支援処理を終了する条件を満足していない場合は、判定が否定されて、医療支援処理はステップST10へ移行する。ステップST28において、医療支援処理を終了する条件を満足した場合は、判定が肯定されて、医療支援処理が終了する。
【0133】
以上説明したように、本実施形態において、画面35を示す画面情報105は制御部82Bによって生成されて表示装置18に出力される。画面情報105により示される画面35には、カメラ52によって大腸28が撮像されることで得られたフレーム40とビジュアルアシストマーク106とが含まれている。フレーム40は、第1表示領域36に表示される(図7参照)。ビジュアルアシストマーク106は、画角から外れた病変位置を、フレーム40が表示されている第1表示領域36の外側で特定可能なマークである(図7参照)。画面35内でのフレーム40に対するビジュアルアシストマーク106の表示位置は、カメラ52と病変42との位置関係の変化に従って変更される(図8及び図9参照)。
【0134】
これにより、カメラ52と病変42との位置関係が変化したとしても、画面35内において、カメラ52によって大腸28が撮像されることで得られたフレーム40が表示されている第1表示領域36の外側で病変位置を医師12に対して把握させることができる。この結果、画角から病変42が外れたとしても、医師12は、画面35に表示されるビジュアルアシストマーク106とフレーム40との位置関係を視認することで、画角外に病変42が存在することを視覚的に把握することができ、かつ、画角外の病変位置も視覚的に推測することができる。また、画面35内において、フレーム40が表示されている第1表示領域36の外側にビジュアルアシストマーク106が表示されるので、画角外に病変位置が存在することを示す情報が第1表示領域36内のフレーム40に重畳表示される場合に比べ、第1表示領域36に表示されるフレーム40に対する視認性を良好に保つことができる。
【0135】
また、本実施形態において、カメラ52と病変42との位置関係の変化は、医師12によるカメラ52の操作、及び/又は、大腸28内の体動によって齎される。従って、医師12によるカメラ52の操作、及び/又は、大腸28内の体動が原因で、カメラ52と病変42との位置関係が変化したとしても、画面35内において、カメラ52によって大腸28が撮像されることで得られたフレーム40が表示されている第1表示領域36の外側で病変位置を医師12に対して視覚的に把握させることができる。
【0136】
また、本実施形態において、ビジュアルアシストマーク106の表示位置は、カメラ52と病変42との位置関係の変化に従って変更されることにより、医師12によるカメラ52の操作、及び/又は、大腸28内の体動に追従する(図8及び図9参照)。従って、医師12によるカメラ52の操作、及び/又は、大腸28内の体動が原因で、カメラ52と病変42との位置関係が変化したとしても、医師12は、ビジュアルアシストマーク106の表示位置を視覚的に追うことができる。
【0137】
また、本実施形態において、ビジュアルアシストマーク106の表示態様は、カメラ52と病変42との位置関係の変化の特徴(ここでは、一例として、フレーム40の中心と病変位置との距離)に応じて変更される(図9参照)。従って、カメラ52と病変42との位置関係の変化の特徴に関わらずビジュアルアシストマーク106の表示態様が常に一定の場合に比べ、医師12に対して、カメラ52と病変42との位置関係の変化の特徴の挙動を視覚的に把握させることができる。
【0138】
また、本実施形態において、ビジュアルアシストマーク106は、病変42が画角から外れたことを条件に画面35に表示される。従って、医師12に対して、病変42が画角から外れたことを適切なタイミングで把握させることができる。
【0139】
また、本実施形態において、病変42が画角から外れている場合にビジュアルアシストマーク106が画面35に表示され、ビジュアルアシストマーク106の表示態様が、カメラ52と病変42との位置関係の変化の特徴(ここでは、一例として、フレーム40の中心と病変位置との距離)に応じて変更される(図9参照)。従って、病変42が画角から外れたとしても、医師12に対して、カメラ52と病変42との位置関係の変化の特徴の挙動を視覚的に把握させることができる。
【0140】
また、本実施形態において、認識処理96は、AIを用いることにより、フレーム40に基づいて病変42を認識する処理である。従って、内視鏡装置10は、医師12等の勘及び/又は経験のみを頼りにして病変42を認識する場合に比べ、迅速に且つ正確に病変42を認識することができる。
【0141】
[変形例]
上記実施形態では、図10に示す医療支援処理がプロセッサ82によって実行される形態例を挙げたが、これは、あくまでも一例に過ぎず、例えば、図11に示す医療支援処理がプロセッサ82によって実行されるようにしてもよい。図11に示す医療支援処理は、ステップST100の処理を有する点が図10に示す医療支援処理と異なる。ステップST100の処理は、ステップST24の処理とステップST26の処理との間に設けられている。
【0142】
図11に示す医療支援処理では、ステップST100で、制御部82Bは、病変42がフレームアウトした時間(以下、「フレームアウト時間」とも称する)が第1既定時間(例えば、数秒~数十秒の範囲内で事前に指定された秒数)以上であるか否かを判定する。すなわち、ステップST100では、病変42が画角から外れている時間が第1既定時間以上であるか否かが判定される。ここで、第1既定時間は、本開示に係る「既定時間」の一例である。
【0143】
ステップST100において、フレームアウト時間が第1既定時間未満の場合は、判定が否定されて、医療支援処理はステップST28へ移行する。ステップST100において、フレームアウト時間が第1既定時間以上の場合は、判定が肯定されて、医療支援処理はステップST26へ移行する。
【0144】
このようにすることで、フレームアウト時間が第1既定時間未満の場合には、ビジュアルアシストマーク106が画面35に表示されず、フレームアウト時間が第1既定時間以上の場合には、ステップST28の処理が実行されることによりビジュアルアシストマーク106が画面35に表示される。これにより、フレームアウトした病変42が医師12によって忘れ去られている可能性が高い場合にビジュアルアシストマーク106が画面35に表示されるので、医師12が画角から外れた病変42の存在を忘れ去られてしまうという事態の発生を抑制することができる。
【0145】
なお、第1既定時間は、病変42が画角から外れている時間であって、医師12によって画角から外れた病変42の存在が忘れ去られる時間として、複数の内視鏡検査を通じて事前に収集された複数のデータを用いた統計学的な手法及び/又はコンピュータ・シミュレーション等によって導き出された時間であることが好ましい。また、第1既定時間は、受付装置64等によって受け付けられた指示に従って定められた時間であってもよい。
【0146】
図11に示す医療支援処理では、ステップST100においてフレームアウト時間が第1既定時間以上であるという条件を満足した場合にステップST26の処理が実行されるが、図12に示す医療支援処理では、複数のマーク表示条件を満足した場合にステップST26の処理が実行される。図12に示す医療支援処理は、ステップST100の処理に代えてステップST200の処理を適用した点が図11に示す医療支援処理と異なる。
【0147】
図12に示す医療支援処理では、ステップST200で、制御部82Bは、複数のマーク表示条件の両方を満足したか否かを判定する。複数のマーク表示条件は、第1マーク表示条件と第2マーク表示条件である。第1マーク表示条件は、図11に示す医療支援処理に含まれるステップST100で規定されている条件、すなわち、フレームアウト時間が第1既定時間以上であるという条件である。第2マーク表示条件は、カメラ52と病変42との位置関係の変化の度合いが既定度合いを超えたという条件である。
【0148】
ここで、カメラ52と病変42との位置関係の変化の度合いの第1例としては、フレーム40の中心から病変42までの距離、すなわち、カメラ52と病変42との位置関係の変化の量が挙げられる。カメラ52と病変42との位置関係の変化の度合いの第2例としては、カメラ52と病変42との位置関係の変化の速さが挙げられる。カメラ52と病変42との位置関係の変化の度合いの第3例としては、カメラ52と病変42との位置関係の変化の量とカメラ52と病変42との位置関係の変化の速さとの組み合わせが挙げられる。カメラ52と病変42との位置関係の変化の量とカメラ52と病変42との位置関係の変化の速さとの組み合わせは、カメラ52と病変42との位置関係の変化の量を示すスコアとカメラ52と病変42との位置関係の変化の速さを示すスコアとを統合したスコアで表現されてもよい。統合したスコアの一例としては、カメラ52と病変42との位置関係の変化の量を示すスコアとカメラ52と病変42との位置関係の変化の速さを示すスコアとの和、又は、カメラ52と病変42との位置関係の変化の量を示すスコアとカメラ52と病変42との位置関係の変化の速さを示すスコアとの積などが挙げられる。
【0149】
既定度合いは、カメラ52と病変42との位置関係の変化の度合いであって、医師12によって画角から外れた病変42の存在が忘れ去られる度合いとして、複数の内視鏡検査を通じて事前に収集された複数のデータを用いた統計学的な手法及び/又はコンピュータ・シミュレーション等によって導き出された度合いであることが好ましい。また、既定度合いは、受付装置64等によって受け付けられた指示に従って定められた度合いであってもよい。
【0150】
ステップST200において、複数のマーク表示条件の両方を満足していない場合は、判定が否定されて、医療支援処理はステップST28へ移行する。ステップST200において、複数のマーク表示条件の両方を満足した場合は、判定が肯定されて、医療支援処理はステップST26へ移行する。
【0151】
このようにすることで、複数のマーク表示条件の両方を満足していない場合は、ビジュアルアシストマーク106が画面35に表示されず、複数のマーク表示条件の両方を満足した場合は、ステップST26の処理が実行されることによりビジュアルアシストマーク106が画面35に表示される。これにより、フレームアウトした病変42の存在が医師12によって忘れ去られている可能性が高い場合にビジュアルアシストマーク106が画面35に表示されるので、画角から外れた病変42の存在が医師12によって忘れ去られてしまうという事態の発生を抑制することができる。
【0152】
なお、図12に示すステップST200では、複数のマーク表示条件の両方を満足したか否かが判定されるが、本開示はこれに限定されず、図12に示すステップST200では、第2マーク表示条件を満足したか否かのみが判定されるようにしてもよい。
【0153】
ところで、フレーム40に一瞬しか写らずフレームアウトする病変42は医師12によって見逃されている可能性が高い。このような病変42の見逃しの可能性を低くするために、図13に示す医療支援処理がプロセッサ82によって実行される。図13に示す医療支援処理は、ステップST300の処理とステップST302の処理とを有する点が図12に示す医療支援処理と異なる。
【0154】
図13に示す医療支援処理に含まれるステップST200において判定が肯定された場合、医療支援処理はステップST300へ移行する。ステップST300で、制御部82Bは、病変42がフレームインした時間(以下、「フレームイン時間」とも称する)が第2既定時間(例えば、事前に指定された数秒)未満であるか否かを判定する。すなわち、ステップST300では、病変42が画角に収まっている時間が第2既定時間未満であるか否かが判定される。ここで、フレームイン時間は、本開示に係る「画角内時間」の一例であり、第2既定時間は、本開示に係る「一定」の一例である。
【0155】
ステップST300において、フレームイン時間が第2既定時間以上の場合は、判定が否定されて、医療支援処理はステップST26へ移行する。そして、ステップST26の処理が実行された後、医療支援処理はステップST302へ移行する。ステップST300において、フレームイン時間が第2既定時間未満の場合は、判定が肯定されて、医療支援処理はステップST302へ移行する。
【0156】
ステップST302で、制御部82Bは、画面35内の第1~第4象限のうち、ステップST24で特定した病変位置に対応する象限(すなわち、病変位置が存在する象限)に、フレーム40とステップST24で特定した病変位置との位置関係(例えば、フレーム40の中心から病変42までの距離)に応じた表示態様でビジュアルアシストマーク106を表示する。ここで、制御部82Bは、フレームイン時間が第2既定時間以上の場合よりも、ビジュアルアシストマーク106を強調して表示する。ステップST302の処理が実行された後、医療支援処理はステップST28へ移行する。
【0157】
このように、ステップST300の処理及びステップST302の処理が行われることで、一瞬しかフレーム40に写らずにフレームアウトした病変42が存在することを医師12に対して視覚的に把握させ易くすることができる。この結果、一瞬しかフレーム40に写らずにフレームアウトした病変42を医師12が見逃してしまうという事態の発生を抑制することができる。
【0158】
なお、第2既定時間は、一時的にフレームインしている病変42を医師12が認識することができ、かつ、病変42がフレームアウトしたとしてもフレームアウト後の病変42の存在を医師12が忘れない時間の下限値として、複数の内視鏡検査を通じて事前に収集された複数のデータを用いた統計学的な手法及び/又はコンピュータ・シミュレーション等によって導き出された時間であることが好ましい。また、第2既定時間は、受付装置64等によって受け付けられた指示に従って定められた時間であってもよい。
【0159】
図14は、図13に示す医療支援処理の変形例である。図14に示す医療支援処理は、ステップST302の処理に代えてステップST400の処理を有し、かつ、ステップST26の処理に代えてステップST402の処理を有する点が図13に示す医療支援処理と異なる。
【0160】
ステップST400で、制御部82Bは、画面35内の第1~第4象限のうち、ステップST24で特定した病変位置に対応する象限(すなわち、病変位置が存在する象限)に、フレーム40とステップST24で特定した病変位置との位置関係(例えば、フレーム40の中心から病変42までの距離)及び変化特徴に応じた表示態様でビジュアルアシストマーク106を表示する。また、制御部82Bは、フレームイン時間が第2既定時間以上の場合よりも、ビジュアルアシストマーク106を強調して表示する。
【0161】
ステップST402で、制御部82Bは、画面35内の第1~第4象限のうち、ステップST24で特定した病変位置に対応する象限(すなわち、病変位置が存在する象限)に、フレーム40とステップST24で特定した病変位置との位置関係(例えば、フレーム40の中心から病変42までの距離)及び変化特徴に応じた表示態様でビジュアルアシストマーク106を表示する。
【0162】
ここで、変化特徴とは、例えば、カメラ52と病変42との位置関係の変化の特徴を指す。変化特徴の一例としては、カメラ52と病変42との位置関係の変化の速さ、及び/又は、カメラ52と病変42との位置関係の変化の方向が挙げられる。カメラ52と病変42との位置関係の変化の速さ、及びカメラ52と病変42との位置関係の変化の方向は、制御部82Bによって1つ以上のオプティカルフロー104から特定される。
【0163】
カメラ52と病変42との位置関係の変化の速さを特定する表示態様の一例としては、ビジュアルアシストマーク106を点滅させ、かつ、カメラ52と病変42との位置関係の変化の速さが大きいほど点滅の時間間隔を短くするという表示態様、又は、カメラ52と病変42との位置関係の変化の速さを示す数値等をビジュアルアシストマーク106に含める表示態様等が挙げられる。なお、ここで例示した表示態様は、あくまでも一例に過ぎず、カメラ52と病変42との位置関係の変化の速さを特定可能な表示態様であれば、如何なる表示態様であってもよい。
【0164】
カメラ52と病変42との位置関係の変化の方向を特定する表示態様の一例としては、カメラ52と病変42との位置関係の変化の方向を指し示す矢印をビジュアルアシストマーク106の模様として用いる表示態様、又は、カメラ52と病変42との位置関係の変化の方向を表すテキスト等をビジュアルアシストマーク106に含める表示態様等が挙げられる。なお、ここで例示した表示態様は、あくまでも一例に過ぎず、カメラ52と病変42との位置関係の変化の方向を特定可能な表示態様であれば、如何なる表示態様であってもよい。
【0165】
このように、ステップST400の処理及びステップST402の処理が行われることにより、医師12に対して、カメラ52と病変42との位置関係の変化の特徴(例えば、フレーム40の中心から病変42までの距離、カメラ52と病変42との位置関係の変化の速さ、及びカメラ52と病変42との位置関係の変化の方向)を視覚的に把握させることができる。
【0166】
図14に示す医療支援処理では、ステップST300においてフレームイン時間が第2既定時間未満であるという条件を満足した場合にビジュアルアシストマーク106が強調表示される形態例を挙げたが、本開示はこれに限定されない。例えば、図15に示すように、複数の強調表示条件を満足した場合にビジュアルアシストマーク106が強調表示されるようにしてもよい。図15に示す医療支援処理は、ステップST200の処理とステップST28の処理との間にステップST500の処理及びステップST502の処理を有する点が図14に示す医療支援処理と異なる。
【0167】
図14に示す医療支援処理では、ステップST500で、制御部82Bは、複数の強調表示条件の両方を満足したか否かを判定する。複数の強調表示条件は、第1強調表示条件と第2強調表示条件である。第1強調表示条件は、図14に示す医療支援処理に含まれるステップST300で規定されている条件、すなわち、フレームイン時間が第2既定時間未満であるという条件である。第2強調表示条件は、単位時間内に病変42がフレームインとフレームアウトとを繰り返している頻度、すなわち、単位時間内(例えば、1秒以内)に病変42が画角の内外へ出入りしている頻度(以下、「出入り頻度」とも称する)が既定頻度を超えているという条件である。
【0168】
既定頻度は、単位時間内に病変42がフレームインとフレームアウトとを繰り返している頻度であって、医師12が病変42を見逃す可能性が高い出入り頻度の下限値として、複数の内視鏡検査を通じて事前に収集された複数のデータを用いた統計学的な手法及び/又はコンピュータ・シミュレーション等によって導き出された値であることが好ましい。また、既定頻度は、受付装置64等によって受け付けられた指示に従って定められた頻度であってもよい。
【0169】
ステップST500において、複数の強調表示条件の両方を満足していない場合は、判定が否定されて、医療支援処理はステップST402へ移行する。ステップST500において、複数の強調表示条件の両方を満足した場合は、判定が肯定されて、医療支援処理はステップST502へ移行する。
【0170】
ステップST502で、制御部82Bは、画面35内の第1~第4象限のうち、ステップST24で特定した病変位置に対応する象限(すなわち、病変位置が存在する象限)に、フレーム40とステップST24で特定した病変位置との位置関係(例えば、フレーム40の中心から病変42までの距離)及び変化特徴に応じた表示態様でビジュアルアシストマーク106を表示する。また、制御部82Bは、複数の強調表示条件の両方を満足していない場合よりも、ビジュアルアシストマーク106を強調して表示する。
【0171】
このようにすることで、複数の強調表示条件の両方を満足していない場合は、ビジュアルアシストマーク106が強調表示されず、複数の強調表示条件の両方を満足した場合は、ステップST502の処理が実行されることによりビジュアルアシストマーク106が強調表示される。これにより、画角に頻繁に出入りしている病変42が医師12によって見逃されてしまうという事態の発生を抑制することができる。
【0172】
なお、図15に示すステップST500では、複数の強調表示条件の両方を満足したか否かが判定されるが、本開示はこれに限定されず、図15に示すステップST500では、第2強調表示条件を満足したか否かのみが判定されるようにしてもよい。
【0173】
上記実施形態では、カメラ52と病変42との位置関係の変化の特徴の一例として、フレーム40の中心から病変42までの距離(すなわち、カメラ52と病変42との位置関係の変化の量)を例示したが、これは、あくまでも一例に過ぎない。カメラ52と病変42との位置関係の変化の特徴としては、例えば、カメラ52と病変42との位置関係の変化の速さ及び/又はカメラ52と病変42との位置関係の変化の方向等が挙げられる。また、カメラ52と病変42との位置関係の変化の特徴は、カメラ52と病変42との位置関係の変化の速さと、カメラ52と病変42との位置関係の変化の量との組み合わせであってもよい。また、カメラ52と病変42との位置関係の変化の特徴は、カメラ52と病変42との位置関係の変化の方向と、カメラ52と病変42との位置関係の変化の量と組み合わせであってもよい。また、カメラ52と病変42との位置関係の変化の特徴は、カメラ52と病変42との位置関係の変化の速さと、カメラ52と病変42との位置関係の変化の方向と、カメラ52と病変42との位置関係の変化の量との組み合わせであってもよい。
【0174】
上記実施形態では、ビジュアルアシストマーク106の表示態様として、ビジュアルアシストマーク106の太さが変更される形態例を挙げたが、ビジュアルアシストマーク106の表示態様は、これに限定されない。例えば、ビジュアルアシストマーク106の表示態様は、ビジュアルアシストマーク106の表示有無、ビジュアルアシストマーク106の表示強度、ビジュアルアシストマーク106の表示時間、及び/又は、ビジュアルアシストマーク106の表示強度を変更する速さ等であってもよい。
【0175】
ビジュアルアシストマーク106の表示態様がビジュアルアシストマーク106の表示有無である場合、例えば、カメラ52と病変42との位置関係の変化の特徴に応じて、ビジュアルアシストマーク106の表示と非表示とが切り替えられるようにする。より詳しく説明すると、例えば、カメラ52と病変42との位置関係の変化の速さが既定の速さ以上の場合に、ビジュアルアシストマーク106が表示され、カメラ52と病変42との位置関係の変化の速さが既定の速さ未満の場合に、ビジュアルアシストマーク106が表示されないようにする。また、例えば、カメラ52と病変42との位置関係の変化の量が既定量以上の場合に、ビジュアルアシストマーク106が表示され、カメラ52と病変42との位置関係の変化の量が既定量未満の場合に、ビジュアルアシストマーク106が表示されないようにする。また、例えば、カメラ52と病変42との位置関係の変化の方向が既定方向の場合に、ビジュアルアシストマーク106が表示され、カメラ52と病変42との位置関係の変化の方向が既定方向以外の場合に、ビジュアルアシストマーク106が表示されないようにする。
【0176】
ビジュアルアシストマーク106の表示態様がビジュアルアシストマーク106の表示強度である場合、例えば、カメラ52と病変42との位置関係の変化の特徴に応じて、ビジュアルアシストマーク106の表示強度が変更されるようにする。より詳しく説明すると、例えば、カメラ52と病変42との位置関係の変化の速さが既定の速さ以上の場合に、ビジュアルアシストマーク106の表示強度が既定強度以上に設定され、カメラ52と病変42との位置関係の変化の速さが既定の速さ未満の場合に、ビジュアルアシストマーク106の表示強度が既定強度未満に設定される。また、例えば、カメラ52と病変42との位置関係の変化の量が既定量以上の場合に、ビジュアルアシストマーク106の表示強度が既定強度以上に設定され、カメラ52と病変42との位置関係の変化の量が既定量未満の場合に、ビジュアルアシストマーク106の表示強度が既定強度未満に設定される。また、例えば、カメラ52と病変42との位置関係の変化の方向が既定方向の場合に、ビジュアルアシストマーク106の表示強度が既定強度以上に設定され、カメラ52と病変42との位置関係の変化の方向が既定方向以外の場合に、ビジュアルアシストマーク106の表示強度が既定強度未満に設定される。
【0177】
ビジュアルアシストマーク106の表示態様がビジュアルアシストマーク106の表示時間である場合、例えば、カメラ52と病変42との位置関係の変化の特徴に応じて、ビジュアルアシストマーク106の表示時間(例えば、ビジュアルアシストマーク106が継続して表示される時間)が変更されるようにする。より詳しく説明すると、例えば、カメラ52と病変42との位置関係の変化の速さが既定の速さ以上の場合に、ビジュアルアシストマーク106の表示時間が一定時間以上に設定され、カメラ52と病変42との位置関係の変化の速さが既定の速さ未満の場合に、ビジュアルアシストマーク106の表示時間が一定時間未満に設定される。また、例えば、カメラ52と病変42との位置関係の変化の量が既定量以上の場合に、ビジュアルアシストマーク106の表示時間が一定時間以上に設定され、カメラ52と病変42との位置関係の変化の量が既定量未満の場合に、ビジュアルアシストマーク106の表示時間が一定時間未満に設定される。また、例えば、カメラ52と病変42との位置関係の変化の方向が既定方向の場合に、ビジュアルアシストマーク106の表示時間が一定時間以上に設定され、カメラ52と病変42との位置関係の変化の方向が既定方向以外の場合に、ビジュアルアシストマーク106の表示時間が一定時間未満に設定される。
【0178】
ビジュアルアシストマーク106の表示態様がビジュアルアシストマーク106の表示強度を変更する速さである場合、例えば、カメラ52と病変42との位置関係の変化の特徴に応じて、ビジュアルアシストマーク106の表示強度を変更する速さが変更されるようにする。より詳しく説明すると、例えば、カメラ52と病変42との位置関係の変化の速さが大きくなる程、ビジュアルアシストマーク106の表示強度を変更する速さを大きくする。
【0179】
このように、ビジュアルアシストマーク106の表示有無、ビジュアルアシストマーク106の表示強度、ビジュアルアシストマーク106の表示時間、及び/又は、ビジュアルアシストマーク106の表示強度を変更する速さが、カメラ52と病変42との位置関係の変化の特徴に応じて変更されることで、病変42が画角から外れたとしても、医師12に対して、カメラ52と病変42との位置関係の変化の特徴を視覚的に認識させることができる。
【0180】
上記実施形態では、フレーム40に写っていない病変42についての病変位置を医師12に対して視覚的に把握させるために、ビジュアルアシストマーク106が画面35に表示される形態例を挙げたが、本開示はこれに限定されない。例えば、図16に示すように、フレーム40に病変42が写っている場合(すなわち、画角に病変42が収まっている場合)であっても、画面35内において、病変42が写っているフレーム40が表示されている第1表示領域36の外側にビジュアルアシストマーク108が表示されるようにしてもよい。ビジュアルアシストマーク108は、病変42が画角に収まっている場合の病変42についての存在位置を、病変42が写っているフレーム40が表示されている第1表示領域36の外側で特定可能な情報である。図16に示す例において、ビジュアルアシストマーク108は、本開示に係る「画角内位置情報」の一例である。
【0181】
ここでは、ビジュアルアシストマーク108が例示されているが、これは、あくまでも一例に過ぎない。例えば、ビジュアルアシストマーク108に代えてテキスト又はコード等が適用されてもよく、病変42が画角に収まっている場合の病変42についての存在位置を、病変42が写っているフレーム40が表示されている第1表示領域36の外側で特定可能な情報であれば如何なる情報であってもよい。
【0182】
病変42が写っているフレーム40が表示されている第1表示領域36の外側にビジュアルアシストマーク108が表示される場合、バウンディングボックスBBが非表示されるようにしてもよい。このようにすることで、バウンディングボックスBBの存在によってフレーム40に対する視認性が悪くならないようにすることができ、かつ、病変42がフレーム40内の何れの象限に写っているかを視覚的に特定することができる。
【0183】
また、ビジュアルアシストマーク108は、ビジュアルアシストマーク106と区別可能な表示態様で表示されるようにすることが好ましい。図16に示す例では、ビジュアルアシストマーク106は、円弧状の細線で表現されており、ビジュアルアシストマーク108よりも目立たない表示態様で表示されている。このようにすることで、医師12に対して、どの病変42が画角に収まっているか、どの病変42が画角から外れているかを視覚的に把握させることができる。
【0184】
上記実施形態では、単一の病変42が画角から外れた場合に単一のビジュアルアシストマーク106が画面35に表示される形態例を挙げたが、本開示はこれに限定されない。例えば、図17に示すように、複数の病変42(図17に示す例では、2つの病変42)が画角から外れた場合、病変42の個数分だけビジュアルアシストマーク108(図17に示す例では、2つのビジュアルアシストマーク108)が画面35に表示されるようにしてもよい。この場合も、上記実施形態と同様に、病変42が存在する象限が視覚的に特定可能となるように、フレーム40が表示されている第1表示領域36の外側で、各病変位置に対応する象限にビジュアルアシストマーク108が表示されるようにする。
【0185】
また、フレーム40に複数の病変42(図17に示す例では、2つの病変42)が写っている場合には、フレーム40に写っている病変42の個数分だけビジュアルアシストマーク106(図17に示す例では、2つのビジュアルアシストマーク106)が画面35に表示されるようにしてもよい。この場合も、図16に示す例と同様に、各病変42が存在する象限が視覚的に特定可能となるように、フレーム40が表示されている第1表示領域36の外側で、各病変位置に対応する象限に各ビジュアルアシストマーク108が表示されるようにする。
【0186】
また、図17に示す例では、病変42の個数分だけビジュアルアシストマーク108が画面35に表示される形態例を挙げたが、これはあくまでも一例に過ぎない。例えば、図18に示すように、画角から外れた複数の病変42が同じ象限(図18に示す例では、第1象限)に存在している場合には、画面35内において、同一の象限(図18に示す例では、第1象限)に1つのビジュアルアシストマーク108が表示され、かつ、病変42の個数を示す記号又はテキスト等(図18に示す例では、2個を示す「×2」というテキスト)が表示されるようにすればよい。
【0187】
また、画角に収まっている複数の病変42が同じ象限(図18に示す例では、第3象限)に存在している場合には、画面35内において、同一の象限(図18に示す例では、第3象限)に1つのビジュアルアシストマーク106が表示され、かつ、病変42の個数を示す記号又はテキスト等(図18に示す例では、2個を示す「×2」というテキスト)が表示されるようにすればよい。
【0188】
上記実施形態では、ビジュアルアシストマーク108が画面35に表示されることによって画角から外れている病変42の存在が医師12によって視覚的に把握されるようにしたが、本開示はこれに限定されない。例えば、図19に示すように、ビジュアルアシストマーク108に代えてコード107が画面35に表示されるようにしてもよい。コード107は、病変42に対して固有に定められた識別子である。そのため、異なるコード107が画面35に表示されることで、異なる病変42が画角外に存在していることを視覚的に把握することが可能となる。また、コード107は、病変42の特徴(例えば、病変42の悪性度、病変42が存在する部位、病変42の種類、病変42の型、病変42の形態、病変42と病変42の周辺との境界の態様、及び病変42の粘液の付着態様等)を特定可能なコードであってもよい。また、上述した変化特徴に応じてコード107の表示態様(例えば、色、輝度、太さ、及び/又は点滅パターン等)が変更されるようにしてもよい。
【0189】
なお、図19に示す例では、ビジュアルアシストマーク106が画面35に表示されている態様が示されているが、ビジュアルアシストマーク106に代えてコード107が画面35に表示されるようにしてもよい。
【0190】
図19に示す例では、コード107が画面35に表示されることによって画角から外れている病変42の存在が医師12によって視覚的に把握される形態例を挙げたが、本開示はこれに限定されない。例えば、図20に示すように、画角から外れている病変42が存在している場合、コード107に代えて、画角から外れている病変42の存在が特定可能な矢印109が画面35に表示されるようにしてもよい。
【0191】
例えば、矢印109の向きは、カメラ52と画角から外れている病変42との位置関係に応じて定められており、カメラ52と画角から外れている病変42との位置関係の変化に従って変更される。例えば、カメラ52と画角から外れている病変42との距離が閾値未満の場合には矢印109の先端を第1表示領域36側に向け、カメラ52と画角から外れている病変42との距離が閾値以上の場合には矢印109の先端を第1表示領域36の外側に向ける。また、カメラ52と画角から外れている病変42との距離が長くなるほど、矢印109の長さも一定の範囲内で長くなるようにしてもよい。また、上述した変化特徴に応じて矢印109の表示態様(例えば、色、輝度、太さ、及び/又は点滅パターン等)が変更されるようにしてもよい。
【0192】
上記実施形態では、ビジュアルアシストマーク106が第1表示領域36の外側に表示される形態例を挙げたが、例えば、図21に示すように、ビジュアルアシストマーク106は、医療情報44の一部として、第2表示領域38に表示されるようにしてもよい。この場合、病変位置マップ98Cが医療情報44の一部として第2表示領域38に表示されるようにしてもよい。病変位置マップ98Cが第2表示領域38に表示される場合、上記実施形態でフレーム40に対してビジュアルアシストマーク106を位置決めしたのと同様の要領で、第2表示領域38内でも、病変位置マップ98Cに対してビジュアルアシストマーク106が位置決めされるようにすればよい。すなわち、病変位置マップ98Cの外側でビジュアルアシストマーク106が表示されるようにすればよい。また、ビジュアルアシストマーク106に代えて、コード107又は矢印109が第2表示領域38に表示されるようにしてもよい。また、図16図18等に示した要領と同様の要領で、ビジュアルアシストマーク108が第2表示領域38に表示されるようにしてもよい。
【0193】
図21に示す例において、第2表示領域38に表示される病変位置マップ98Cは、本開示に係る「画像に基づいて生成された医用画像」の一例であり、第2表示領域38に表示されるビジュアルアシストマーク106は、本開示に係る「存在位置情報」及び「画角外位置情報」の一例である。
【0194】
図21に示す例では、病変位置マップ98Cが第2表示領域38に表示される形態例を挙げたが、病変位置マップ98Cに代えてフレーム40が第2表示領域38に表示されるようにしてもよい。この場合も、上記実施形態と同様の要領で、第2表示領域38内において、フレーム40に対してビジュアルアシストマーク106が位置決めされるようにすればよい。また、病変位置マップ98Cに代えて、フレーム40が加工された画像が第2表示領域38に表示されるようにしてもよい。フレーム40が加工された画像の一例としては、フレーム40が低画質化された画像(例えば、画素数及び/又は階調が減らされた画像)、又は、フレーム40が高画質化された画像(例えば、AIを用いた非線形フィルタによってフレーム40からノイズ等が除去されることによって得られた画像、又は、フレーム40を基にしてAIによって新たに生成された画像)が挙げられる。
【0195】
このように、第2表示領域38に、フレーム40、又は、フレーム40に基づいて生成された画像が表示され、かつ、上記実施形態と同様の要領でビジュアルアシストマーク106及び/又は108が表示されることにより、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0196】
なお、図21に示す例では、第2表示領域38に、フレーム40に基づいて生成された画像の一例として病変位置マップ98Cが表示され、かつ、上記実施形態と同様の要領でビジュアルアシストマーク106及び/又は108が表示される形態例を挙げたが、これは、あくまでも一例に過ぎない。例えば、第1表示領域36に、フレーム40に基づいて生成された画像(例えば、病変位置マップ98C等)が表示され、かつ、上記実施形態と同様の要領でビジュアルアシストマーク106及び/又は108が第1表示領域36の外側に表示されるようにしてもよい。
【0197】
上記実施形態では、象限単位でビジュアルアシストマーク106が表示される形態例を挙げたが、本開示はこれに限定されない。例えば、図22に示すように、フレーム40の中心を仮想的な円VCの中心とした場合、制御部82Bは、1つ以上のオプティカルフロー104に基づいて、画角から外れている病変42の位置に対応する径方向位置(すなわち、円VCの径方向上での病変42の位置)を特定する。また、制御部82Bは、認識結果98に含まれる幾何特性情報98Bに基づいて、画角から外れている病変42の大きさを特定する。そして、制御部82Bは、画面35内において、フレーム40が表示されている第1表示領域36の外側の径方向位置に病変42の大きさに対応する大きさのビジュアルアシストマーク106を表示する。画角から外れている病変42が移動した場合も、同様の要領で、制御部82Bによって、径方向位置及び病変42の大きさが特定され、特定された径方向位置に、病変42の大きさに対応する大きさのビジュアルアシストマーク106が表示される。この場合も、ビジュアルアシストマーク106の表示位置は、フレーム40が表示されている第1表示領域36の外側であるが、上記実施形態のように象限単位で制限されておらず自由度が高いため、医師12は、ビジュアルアシストマーク106の表示位置から、画角から外れている病変42の存在位置を視覚的に精度良く把握することができる。
【0198】
図14に示す例では、変化特徴に応じた表示態様でビジュアルアシストマーク106が画面35に表示される形態例を挙げたが、本開示はこれに限定されない。例えば、ビジュアルアシストマーク106の表示態様は、病変42の特徴に応じて変更されるようにしてもよい。この場合、例えば、制御部82Bは、認識結果98に含まれる病変特徴情報98D(図5参照)に基づいて病変42の特徴を特定する。そして、制御部82Bは、病変42の特徴に応じた表示態様でビジュアルアシストマーク106を画面35に表示する。
【0199】
一例として図23に示すように、病変42の特徴に応じた表示態様は、表示態様テーブル110によって規定されている。表示態様テーブル110は、ストレージ86に格納されている。表示態様テーブル110は、第1~第7表示態様テーブル110A~110Gに類別される。
【0200】
第1表示態様テーブル110Aでは、病変42の悪性度と表示態様とが対応付けられている。病変42の悪性度に対応付けられている表示態様は色である。図23に示す例では、病変42の悪性度のそれぞれに対して異なる色が対応付けられている。制御部82Bは、病変特徴情報98Dから病変42の悪性度を特定する。そして、制御部82Bは、第1表示態様テーブル110Aを参照することで、病変特徴情報98Dから特定した悪性度に対応する色を特定し、特定した色でビジュアルアシストマーク106を画面35に表示する。
【0201】
第2表示態様テーブル110Bでは、病変42が存在する部位と表示態様とが対応付けられている。病変42が存在する部位に対応付けられている表示態様は、ビジュアルアシストマーク106に含める模様である。図23に示す例では、病変42が存在する部位のそれぞれに対して異なる模様が対応付けられている。制御部82Bは、病変特徴情報98Dから病変42が存在する部位を特定する。そして、制御部82Bは、第2表示態様テーブル110Bを参照することで、病変特徴情報98Dから特定した部位に対応する模様を特定し、特定した模様を含むビジュアルアシストマーク106を画面35に表示する。
【0202】
第3表示態様テーブル110Cでは、病変42の種類と表示態様とが対応付けられている。病変42の種類に対応付けられている表示態様は、ビジュアルアシストマーク106を点滅させる点滅パターンである。図23に示す例では、病変42の種類のそれぞれに対して異なる点滅パターンが対応付けられている。制御部82Bは、病変特徴情報98Dから病変42の種類を特定する。そして、制御部82Bは、第3表示態様テーブル110Cを参照することで、病変特徴情報98Dから特定した種類に対応する点滅パターンを特定し、特定した点滅パターンでビジュアルアシストマーク106を画面35に表示する。
【0203】
第4表示態様テーブル110Dでは、病変42の型と表示態様とが対応付けられている。病変42の型に対応付けられている表示態様は、ビジュアルアシストマーク106の形状である。図23に示す例では、病変42の型のそれぞれに対して異なる形状が対応付けられている。制御部82Bは、病変特徴情報98Dから病変42の型を特定する。そして、制御部82Bは、第4表示態様テーブル110Dを参照することで、病変特徴情報98Dから特定した型に対応する形状を特定し、特定した形状に形成されたビジュアルアシストマーク106を画面35に表示する。
【0204】
第5表示態様テーブル110Eでは、病変42の形態と表示態様とが対応付けられている。病変42の形態に対応付けられている表示態様は、ビジュアルアシストマーク106の輝度である。図23に示す例では、病変42の形態のそれぞれに対して異なる輝度が対応付けられている。制御部82Bは、病変特徴情報98Dから病変42の形態を特定する。そして、制御部82Bは、第5表示態様テーブル110Eを参照することで、病変特徴情報98Dから特定した形態に対応する輝度を特定し、特定した輝度でビジュアルアシストマーク106を画面35に表示する。
【0205】
第6表示態様テーブル110Fでは、病変42と病変42の周辺との境界の態様と表示態様とが対応付けられている。病変42と病変42の周辺との境界の態様に対応付けられている表示態様は、ビジュアルアシストマーク106の外形線である。図23に示す例では、病変42と病変42の周辺との境界の態様(図23に示す例では、病変42と病変42の周辺との境界が有りの態様、及び病変42と病変42の周辺との境界が無しの態様)のそれぞれに対して異なる外形線が対応付けられている。制御部82Bは、病変特徴情報98Dから病変42と病変42の周辺との境界の態様を特定する。そして、制御部82Bは、第6表示態様テーブル110Fを参照することで、病変特徴情報98Dから特定した態様に対応する外形線を特定し、特定した外形線のビジュアルアシストマーク106を画面35に表示する。
【0206】
第7表示態様テーブル110Gでは、病変42の粘液の付着態様と表示態様とが対応付けられている。病変42の粘液の付着態様に対応付けられている表示態様は、ビジュアルアシストマーク106の半透明化の有無である。図23に示す例では、病変42の粘液の付着態様(図23に示す例では、粘液の付着の有無)のそれぞれに対して半透明化の有無が対応付けられている。制御部82Bは、病変特徴情報98Dから病変42の粘液の付着態様を特定する。そして、制御部82Bは、第7表示態様テーブル110Gを参照することで、病変特徴情報98Dから特定した付着態様に対応する半透明化の有無を特定し、特定した半透明化の有無に従ってビジュアルアシストマーク106を画面35に表示する。この場合、例えば、病変42の粘液の付着が「有り」の場合、ビジュアルアシストマーク106が半透明化されて画面35に表示され、病変42の粘液の付着が「無し」の場合、ビジュアルアシストマーク106が半透明化されずに画面35に表示される。
【0207】
このように、画角から外れた病変42の特徴に応じてビジュアルアシストマーク106の表示態様が変更されることにより、医師12に対して、画角から外れた病変42の特徴を視覚的に把握させることができる。
【0208】
なお、図23に示した表示態様はあくまでも一例に過ぎず、病変42の特徴が視覚的に特定可能な表示態様であれば如何なる表示態様であってもよい。
【0209】
上記実施形態では、制御部82Bによって1つ以上のオプティカルフロー104に基づいてカメラ52と病変42との位置関係が特定される形態例を挙げたが、本開示はこれに限定されない。例えば、内視鏡挿入形状観察装置(通称:コロナビ)による検出結果に基づいてカメラ52と病変42との位置関係が特定されるようにしてもよい。
【0210】
この場合、一例として図24に示すように、カメラ52には、磁界生成コイル112が設けられており、外部I/F80には、受信器114が接続されている。磁界生成コイル112から発生する磁界は、受信器114によって受信される。プロセッサ82は、受信器114での受信結果に基づいて大腸28内でのカメラ52の挙動(例えば、位置及び向き等)を検出し、検出結果に基づいてカメラ52と病変42との位置関係を特定する。このようにすることで、大腸28内でのカメラ52の挙動が精度良く検出されるので、カメラ52と病変42との位置関係を精度良く特定することが可能となる。
【0211】
ここで挙げた内視鏡挿入形状観察装置は、あくまでも一例に過ぎず、内視鏡挿入形状観察装置以外のセンサが用いられるようにしてもよい。例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、及び/又は磁気センサ等のように、大腸28内でのカメラ52の挙動が検出可能なセンサによる検出結果に基づいて大腸28内でのカメラ52と病変42との位置関係が特定されるようにしてもよい。ここで例示した内視鏡挿入形状観察装置、加速度センサ、ジャイロセンサ、及び磁気センサは、本開示に係る「センサ」の一例である。
【0212】
上記実施形態では、制御部82Bによって画面情報105が生成されて表示装置18に出力される形態例を挙げたが、本開示はこれに限定されない。例えば、図25に示すように、制御部82Bは、画面生成情報116を生成するようにしてもよい。画面生成情報116には、フレーム40と、医療情報44と、ビジュアルアシストマーク106と、レイアウト情報117とが含まれる。ここで、画面生成情報116は、本開示に係る「画面生成情報」の一例であり、レイアウト情報117は、本開示に係る「位置指示情報」の一例である。
【0213】
レイアウト情報117は、フレーム40、医療情報44、及びビジュアルアシストマーク106の画面35内でのレイアウトを規定した情報である。フレーム40の画面35内でのレイアウトを規定した情報の一例としては、画面35内でフレーム40が表示される位置を指示する情報(例えば、画面35内でフレーム40が表示される位置を特定可能な座標を含む情報)が挙げられる。医療情報44の画面35内でのレイアウトを規定した情報の一例としては、画面35内で医療情報44が表示される位置を指示する情報(例えば、画面35内で医療情報44が表示される位置を特定可能な座標を含む情報)が挙げられる。ビジュアルアシストマーク106の画面35内でのレイアウトを規定した情報の一例としては、画面35内でビジュアルアシストマーク106が表示される位置を指示する情報(例えば、画面35内でビジュアルアシストマーク106表示される位置を特定可能な座標を含む情報)が挙げられる。
【0214】
ここで、画面35内でフレーム40が表示される位置とは、第1表示領域36の位置を指す。また、画面35内で医療情報44が表示される位置とは、第2表示領域38の位置を指す。また、画面35内でビジュアルアシストマーク106が表示される位置とは、病変位置を、フレーム40が表示されている第1表示領域36の外側で特定可能な位置を指す。
【0215】
画面35内でビジュアルアシストマーク106が表示される位置は、例えば、上記実施形態と同様の要領で、制御部82Bによって、カメラ52と病変42との位置関係に応じて定められる。カメラ52と病変42との位置関係が変化すると、オプティカルフロー104が更新され、これに伴って、画面35内でビジュアルアシストマーク106が表示される位置は更新される。
【0216】
つまり、制御部82Bは、カメラ52と病変42との位置関係の変化に応じてオプティカルフロー104を更新し、更新したオプティカルフロー104に従って、レイアウト情報117に含まれる一部の情報(すなわち、画面35内でビジュアルアシストマーク106が表示される位置を指示する情報)を更新する。
【0217】
制御部82Bは、画面生成情報116をコントローラ118に出力する。コントローラ118の一例としては、制御装置22、タブレット端末、パーソナル・コンピュータ、又はサーバ等が挙げられる。コントローラ118には、表示装置18が接続されている。コントローラ118は、制御部82Bから入力された画面生成情報116に基づいて画面35を生成して表示装置18に表示する。
【0218】
また、制御部82Bは、カメラ52と病変42との位置関係の変化に応じて画面生成情報116を更新する。この場合、例えば、画面35内でビジュアルアシストマーク106が表示される位置が、カメラ52と病変42との位置関係の変化に応じて更新される。表示装置18には、更新された画面生成情報116に基づいてコントローラ118によって生成された画面35が表示される。
【0219】
このように、フレーム40と、医療情報44と、ビジュアルアシストマーク106と、レイアウト情報117とを含む画面生成情報116が制御部82Bによって生成されて出力される場合であっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0220】
また、図25に示す例では、フレーム40と、医療情報44と、ビジュアルアシストマーク106と、レイアウト情報117とを含む画面生成情報116が制御部82Bによって生成されて出力される形態例を挙げたが、コントローラ118によってビジュアルアシストマーク106が生成されるのであれば、制御部82Bは、画面生成情報116として、フレーム40と、医療情報44と、レイアウト情報117とを含む情報を生成してコントローラ118に出力するようにしてもよい。
【0221】
なお、ここでは、画面生成情報116に医療情報44が含まれる形態例を挙げたが、画面生成情報116に医療情報44が含まれていなくてもよい。
【0222】
また、制御部82Bは、画面生成情報116を分割してコントローラ118に出力するようにしてもよい。例えば、制御部82Bは、フレーム40、医療情報44、ビジュアルアシストマーク106、及びレイアウト情報117を時分割で出力するようにしてもよい。
【0223】
上記実施形態では、画面情報105が表示装置18に出力される形態例を挙げたが、これは、あくまでも一例に過ぎず、画面情報105は、ストレージ76及び/又は86に出力されてもよい。また、画面情報105は、内視鏡装置10の外部に存在する処理装置(例えば、タブレット端末、パーソナル・コンピュータ、及び/又はサーバ等)に出力されるようにしてもよい。また、画面情報105は、プリンタに出力されるようにしてもよい。この場合、例えば、プリンタは、入力された画面情報105により示される画面35を可視化した画像を媒体(例えば、紙)に印刷する。
【0224】
上記実施形態では、本開示に係る「体内特徴領域」の一例として病変42を例示したが、本開示はこれに限定されず、病変42に代えて、切除領域、出血領域、マーキング領域、臓器、又は処置具(例えば、体内に留置された止血用クリップ)等が適用されたとしても、上述した医療支援処理は成立する。
【0225】
上記実施形態では、認識部82Aにフレーム40が入力され、制御部82Bから画面情報105が出力される形態例を挙げたが、本開示はこれに限定されない。例えば、いわゆる生成AIにフレーム40を含む指示データ(いわゆるプロンプト)が入力され、生成AIから画面情報105が出力されるようにしてもよい。生成AIの一例としては、GPT-4(インターネット検索<https://openai.com/gpt-4>)等が用いられたChatGPTが挙げられる。
【0226】
また、画面情報105に含まれる情報の少なくとも一部(例えば、フレーム40及びビジュアルアシストマーク106)を含む指示データが生成AIに対する入力情報として用いられるようにしてもよい。生成AIから出力される情報の一例としては、カメラ52と病変42との位置関係を特定可能な情報、カメラ52と病変42との位置関係の変化を特定可能な情報、カメラ52の操作内容を示す情報、内視鏡検査中に行われることが推奨される医療的処置の内容を示す情報、及び/又は内視鏡検査後に行われることが推奨される医療的処置の内容を示す情報等が挙げられる。生成AIから出力された情報は、各種の格納領域(例えば、ストレージ76及び/又は86)に格納されたり、表示装置18に医療情報44として表示されたり、プリンタによって媒体に印刷されたり、スピーカから音声で出力されたりするようにしてもよい。
【0227】
上記実施形態では、バウンディングボックス方式でのAIを用いた認識処理96を例示したが、これは、あくまでも一例に過ぎず、例えば、バウンディングボックス方式でのAIを用いた認識処理96に代えて、セグメンテーション方式でのAIを用いた認識処理が行われるようにしてもよい。また、AI方式の認識処理に代えて、非AI方式(例えば、テンプレートマッチング方式)の認識処理が行われるようにしてもよいし、非AI方式とAI方式とを組み合わせた認識処理が行われるようにしてもよい。
【0228】
上記実施形態では、コンピュータ78によって医療支援処理が行われる形態例を挙げて説明したが、本開示はこれに限定されず、医療支援処理に含まれる少なくとも一部の処理はコンピュータ78の外部に設けられたデバイスによって行われるようにしてもよい。以下、この場合の一例について図26を参照しながら説明する。
【0229】
図26は、内視鏡装置120の構成の一例を示す概念図である。内視鏡装置120は、本開示に係る「内視鏡装置」の一例である。内視鏡装置120は、上記実施形態で説明した内視鏡装置10に比べ、外部装置122を有する点が異なる。
【0230】
外部装置122は、ネットワーク124(例えば、WAN及び/又はLAN等)を介してコンピュータ78と通信可能に接続されている。
【0231】
外部装置122の一例としては、ネットワーク124を介してコンピュータ78と直接的に又は間接的にデータの送受信を行う少なくとも1台のサーバが挙げられる。外部装置122は、コンピュータ78のプロセッサ82からネットワーク124を介して与えられた処理実行指示を受信する。そして、外部装置122は、受信した処理実行指示に応じた処理を実行し、処理結果を、ネットワーク124を介してコンピュータ78に送信する。コンピュータ78では、プロセッサ82が、外部装置122からネットワーク124を介して送信された処理結果を受信し、受信した処理結果を用いた処理を実行する。
【0232】
処理実行指示としては、例えば、医療支援処理の少なくとも一部を外部装置122に対して実行させる指示が挙げられる。医療支援処理の少なくとも一部(すなわち、外部装置122に対して実行させる処理)の第1例としては、認識処理96が挙げられる。この場合、外部装置122は、プロセッサ82からネットワーク124を介して与えられた処理実行指示に従って認識処理96を実行し、認識結果98を、ネットワーク124を介してコンピュータ78に送信する。コンピュータ78では、プロセッサ82が、認識結果98を受信し、受信した認識結果98を用いて上記実施形態と同様の処理を実行する。
【0233】
医療支援処理の少なくとも一部(すなわち、外部装置122に対して実行させる処理)の第2例としては、制御部82Bによる処理が挙げられる。この場合、外部装置122は、プロセッサ82からネットワーク124を介して与えられた処理実行指示に従って、制御部82Bによる処理を実行し、処理結果(例えば、画面情報105等)を、ネットワーク124を介してコンピュータ78に送信する。コンピュータ78では、プロセッサ82が、処理結果を受信し、受信した処理結果を用いて上記実施形態と同様の処理(例えば、表示装置18を用いた表示等)を実行する。
【0234】
例えば、外部装置122は、クラウドコンピューティングによって実現される。なお、クラウドコンピューティングは、あくまでも一例に過ぎず、フォグコンピューティング、エッジコンピューティング、又はグリッドコンピューティング等のネットワークコンピューティングによって実現されてもよい。サーバに代えて、少なくとも1台のパーソナル・コンピュータ等を外部装置122として用いてもよい。また、複数種類のAI機能が搭載された通信機能付き演算装置であってもよい。
【0235】
上記実施形態では、ストレージ86に医療支援プログラム90が記憶されている形態例を挙げて説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、医療支援プログラム90がSSD又はUSBメモリなどの可搬型のコンピュータ読み取り可能な非一時的格納媒体に格納されていてもよい。非一時的格納媒体に格納されている医療支援プログラム90は、内視鏡装置10のコンピュータ78にインストールされる。プロセッサ82は、医療支援プログラム90に従って医療支援処理を実行する。
【0236】
また、ネットワークを介して内視鏡装置10に接続される他のコンピュータ又はサーバ等の格納装置に医療支援プログラム90を格納させておき、内視鏡装置10の要求に応じて医療支援プログラム90がダウンロードされ、コンピュータ78にインストールされるようにしてもよい。
【0237】
なお、内視鏡装置10に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の格納装置に医療支援プログラム90の全てを格納させておいたり、ストレージ86に医療支援プログラム90の全てを記憶させたりしておく必要はなく、医療支援プログラム90の一部を格納させておいてもよい。
【0238】
医療支援処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで、医療支援処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA、PLD、又はASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。何れのプロセッサにもメモリが内蔵又は接続されており、何れのプロセッサもメモリを使用することで医療支援処理を実行する。
【0239】
医療支援処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、医療支援処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
【0240】
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、医療支援処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoCなどに代表されるように、医療支援処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、医療支援処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
【0241】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。また、上記の医療支援処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0242】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0243】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0244】
10,120 内視鏡装置
12 医師
14 看護師
16 内視鏡スコープ
18 表示装置
20 光源装置
22 制御装置
24 医療支援装置
26 被検体
28 大腸
30 光
32 腸壁
34 ワゴン
35 画面
36 第1表示領域
38 第2表示領域
39 内視鏡動画像
40 フレーム
42 病変
44 医療情報
44A テキスト
46 操作部
48 挿入部
50 先端部
50A 先端面
52 カメラ
54 照明装置
54A,54B 照明窓
56 処置用開口
58 処置具
60 処置具挿入口
62 ユニバーサルコード
64 受付装置
66,78 コンピュータ
68,88 バス
70,80 外部I/F
72,82 プロセッサ
74,84 メモリ
76,86 ストレージ
82A 認識部
82B 制御部
84A 第1格納領域
84B 第2格納領域
90 医療支援プログラム
92 認識モデル
96 認識処理
98 認識結果
98A 病変有無情報
98B 幾何特性情報
98C 病変位置マップ
98D 病変特徴情報
100 エッジ
102 特徴位置座標
104 オプティカルフロー
105 画面情報
106,108 ビジュアルアシストマーク
107 コード
109 矢印
110 表示態様テーブル
110A 第1表示態様テーブル
110B 第2表示態様テーブル
110C 第3表示態様テーブル
110D 第4表示態様テーブル
110E 第5表示態様テーブル
110F 第6表示態様テーブル
110G 第7表示態様テーブル
112 磁界生成コイル
114 受信器
116 画面生成情報
117 レイアウト情報
118 コントローラ
122 外部装置
124 ネットワーク
BB バウンディングボックス
VC 円
VL 十字ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26