IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星エスディアイ株式会社の特許一覧

特開2025-26347レジスト下層膜用組成物およびこれを用いたパターン形成方法
<>
  • 特開-レジスト下層膜用組成物およびこれを用いたパターン形成方法 図1
  • 特開-レジスト下層膜用組成物およびこれを用いたパターン形成方法 図2
  • 特開-レジスト下層膜用組成物およびこれを用いたパターン形成方法 図3
  • 特開-レジスト下層膜用組成物およびこれを用いたパターン形成方法 図4
  • 特開-レジスト下層膜用組成物およびこれを用いたパターン形成方法 図5
  • 特開-レジスト下層膜用組成物およびこれを用いたパターン形成方法 図6
  • 特開-レジスト下層膜用組成物およびこれを用いたパターン形成方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026347
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】レジスト下層膜用組成物およびこれを用いたパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20250214BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/26 511
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024114015
(22)【出願日】2024-07-17
(31)【優先権主張番号】10-2023-0105176
(32)【優先日】2023-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲そう▼ ア ラ
(72)【発明者】
【氏名】崔 有 廷
(72)【発明者】
【氏名】白 載 烈
(72)【発明者】
【氏名】權 純 亨
(72)【発明者】
【氏名】陣 和 英
(72)【発明者】
【氏名】金 聖 振
【テーマコード(参考)】
2H196
2H225
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196KA02
2H196KA19
2H225AE12N
2H225AE40N
2H225AF18N
2H225AF24N
2H225AF28N
2H225AF43N
2H225AF56N
2H225AF64N
2H225AF83N
2H225AM11N
2H225AM57N
2H225AM94N
2H225AM99N
2H225AN05N
2H225AN38N
2H225AN85N
2H225CA12
2H225CB18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】微細パターニング工程でもレジストのパターン崩壊が起こらず、露光光源に対する感度が向上して、パターニング性能およびエネルギー効率の改善が可能なレジスト下層膜用組成物を提供する。
【解決手段】環内に窒素原子を含むヘテロ環基を有する特定構造のポリマー、空気雰囲気下、205℃で熱重量分析を行った際、測定開始時から3分経過後の質量減少率が0%である光酸発生剤、ならびに溶媒を含む、レジスト下層膜用組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される構造単位および下記化学式2で表される構造単位の少なくとも一方を含むポリマー、
空気雰囲気下、205℃で熱重量分析を行った際、測定開始から3分経過後の質量減少率が0%である光酸発生剤、ならびに
溶媒、
を含む、レジスト下層膜用組成物:
【化1】

前記化学式1および化学式2中、
Aは、それぞれ独立して、環内に窒素原子を含むヘテロ環基であり、
~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のヘテロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のヘテロシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~20のアリーレン基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、
~Xは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、-C(=O)-、-(CO)O-、-O(CO)O-、-NR-(ここで、Rは、水素原子、重水素原子、または炭素原子数1~10のアルキル基である)、またはこれらの組み合わせであり、
~Yは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~10のヘテロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~10のヘテロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
*は、連結地点を示す。
【請求項2】
前記化学式1および化学式2中のAは、それぞれ独立して、下記化学式A-1~化学式A-4で表されるヘテロ環基からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物:
【化2】

前記化学式A-1~化学式A-4中、*は、他の原子または基に連結する連結地点を示す。
【請求項3】
前記化学式1および化学式2中のL~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のヘテロアルキレン基、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式1および化学式2中のX~Xは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-C(=O)-、-(CO)O-、-O(CO)O-、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式1および化学式2中のY~Yは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~10のヘテロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項4】
前記光酸発生剤は、下記化学式3で表される化合物であるか、または窒素原子がスルホン酸(塩)基で置換されたイミド誘導体もしくは窒素原子がスルホン酸(塩)基で置換されたシアヌレート誘導体を含む、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物:
【化3】

前記化学式3中、R~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、Zは、1価のアニオンである。
【請求項5】
前記化学式3中のR~Rは、それぞれ独立して、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素原子数1~20のアルキル基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素原子数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである、請求項4に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項6】
前記光酸発生剤は、下記化学式4~下記化学式7で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物:
【化4】

前記化学式4中、
21、R31、およびR41は、それぞれ独立して、ハロゲン原子であり、
n21、n31、およびn41は、それぞれ独立して、0~5の整数のうちの1つであり、
この際、n21、n31、およびn41のうちの少なくとも1つは1以上である;
【化5】

前記化学式5~化学式7中、
51、R61、R62、およびR71は、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-COOH、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
52、R63、およびR72は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数5~30のビシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
n51は、0~2の整数のうちの1つであり、
n71は、0~6の整数のうちの1つである。
【請求項7】
前記化学式1で表される構造単位は、下記化学式1-1で表される構造単位および化学式1-2で表される構造単位の少なくとも一方であり、前記化学式2で表される構造単位は、下記化学式2-1~化学式2-3で表される構造単位からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物:
【化6】

【化7】

前記化学式1-1~1-2、および化学式2-1~2-3中、*は、連結地点を示す。
【請求項8】
前記光酸発生剤は、下記化学式4-1で表される化合物、下記化学式4-2で表される化合物、下記化学式5-1で表される化合物、下記化学式6-1で表される化合物、および下記化学式7-1で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物。
【化8】
【請求項9】
前記ポリマーの重量平均分子量は、1,000g/mol~300,000g/molである、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項10】
前記光酸発生剤は、前記ポリマー100質量部を基準に、10質量部~100質量部の含有量で含まれる、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項11】
前記ポリマーは、前記レジスト下層膜用組成物の総質量を基準に、0.1質量%~50質量%の含有量で含まれる、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項12】
前記光酸発生剤は、前記レジスト下層膜用組成物の総質量を基準に、0.01質量%~30質量%の含有量で含まれる、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項13】
アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ノボラック系樹脂、グリコールウリル系樹脂、およびメラミン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーをさらに含む、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項14】
界面活性剤、熱酸発生剤、可塑剤、またはこれらの組み合わせである添加剤をさらに含む、請求項1に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項15】
基板上にエッチング対象膜を形成する段階、
前記エッチング対象膜上に請求項1~14のいずれか1項に記載のレジスト下層膜用組成物を塗布してレジスト下層膜を形成する段階、
前記レジスト下層膜上にフォトレジストパターンを形成する段階、ならびに、
前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして利用し、前記レジスト下層膜、および前記エッチング対象膜を順次にエッチングする段階、
を含む、パターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト下層膜用組成物およびこれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、半導体産業は、数百ナノメートルの大きさのパターンから数~数十ナノメートルの大きさのパターンを有する超微細技術に発展している。このような超微細技術を実現するためには、効果的なリソグラフィック技法が必須である。
【0003】
リソグラフィック技法は、シリコンウェーハなどの半導体基板上にフォトレジスト膜をコーティングして薄膜を形成し、その上にデバイスのパターンが描かれたマスクパターンを介在させて紫外線などの活性エネルギー線を照射する。その後現像し、得られたフォトレジストパターンを保護膜として基板をエッチング処理することで、基板表面にパターンに対応する微細パターンを形成する加工法である。
【0004】
半導体パターンが順次微細化されることにより、フォトレジスト層の厚さが薄くなることが要求され、そのためにレジスト下層膜の厚さも薄くなることが要求される。レジスト下層膜は、薄い厚さであってもフォトレジストのパターンが崩れてはならず、フォトレジストとの密着力が良く、かつ均一な膜厚で形成されなければならない。その他にも、レジスト下層膜は、フォトリソグラフィに使用される光線に対して高い屈折率と低い吸光係数とを有するなど、感度が改善されることが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2023-0020811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、微細パターニング工程でもレジストのパターン崩壊が起こらず、露光光源に対する感度が向上して、パターニング性能およびエネルギー効率の改善が可能なレジスト下層膜用組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、上記レジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によるレジスト下層膜用組成物は、下記化学式1で表される構造単位および下記化学式2で表される構造単位の少なくとも一方を含むポリマー、空気雰囲気下、205℃で熱重量分析を行った際、測定開始から3分経過後の質量減少率が0%である光酸発生剤、および溶媒を含む:
【0009】
【化1】
【0010】
上記化学式1および化学式2中、
Aは、それぞれ独立して、環内に窒素原子を含むヘテロ環基であり、
~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のヘテロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のヘテロシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~20のアリーレン基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、
~Xは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、-C(=O)-、-(CO)O-、-O(CO)O-、-NR-(ここで、Rは、水素原子、重水素原子、または炭素原子数1~10のアルキル基である)、またはこれらの組み合わせであり、
~Yは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~10のヘテロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~10のヘテロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
*は、連結地点である。
【0011】
上記化学式1および化学式2中のAは、下記化学式A-1~下記化学式A-4で表されるヘテロ環基からなる群より選択される少なくとも1種であり得る:
【0012】
【化2】
【0013】
上記化学式A-1~化学式A-4中、*は、他の原子または基に連結する連結地点を示す。
【0014】
上記化学式1および化学式2中のL~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のヘテロアルキレン基、またはこれらの組み合わせであり、
上記化学式1および化学式2中のX~Xは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-C(=O)-、-(CO)O-、-O(CO)O-、またはこれらの組み合わせであり、
上記化学式1および化学式2中のY~Yは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~10のヘテロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0015】
上記光酸発生剤は、下記化学式3で表される化合物、窒素原子がスルホン酸(塩)基で置換されたイミド誘導体、および窒素原子がスルホン酸(塩)基で置換されたシアヌレート誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい:
【0016】
【化3】
【0017】
上記化学式3中、R~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
は、1価のアニオンである。
【0018】
上記化学式3中のR~Rは、それぞれ独立して、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素原子数1~20のアルキル基、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素原子数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0019】
上記光酸発生剤は、下記化学式4~化学式7で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であり得る:
【0020】
【化4】
【0021】
上記化学式4中、
21、R31、およびR41は、それぞれ独立して、ハロゲン原子であり、
n21、n31、およびn41は、それぞれ独立して、0~5の整数のうちの1つであり、この際、n21、n31、およびn41のうちの少なくとも1つは1以上である:
【0022】
【化5】
【0023】
上記化学式5~化学式7中、
51、R61、R62、およびR71は、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-COOH、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
52、R63、およびR72は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数5~30のビシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
n51は、0~2の整数のうちの1つであり、
n71は、0~6の整数のうちの1つである。
【0024】
上記化学式1で表される構造単位は、下記化学式1-1または化学式1-2で表される構造単位であり得、上記化学式2で表される構造単位は、下記化学式2-1~化学式2-3で表される構造単位からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0025】
【化6】
【0026】
【化7】
【0027】
上記光酸発生剤は、下記化学式4-1で表される化合物、下記化学式4-2で表される化合物、下記化学式5-1で表される化合物、下記化学式6-1で表される化合物、および下記化学式7-1で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0028】
【化8】
【0029】
上記ポリマーの重量平均分子量は、1,000g/mol~300,000g/molであり得る。
【0030】
レジスト下層膜用組成物中の上記光酸発生剤の含有量は、上記ポリマー100質量部を基準に、10質量部~100質量部であり得る。
【0031】
レジスト下層膜用組成物中の上記ポリマーの含有量は、上記レジスト下層膜用組成物の総質量を基準に、0.1質量%~50質量%であり得る。
【0032】
レジスト下層膜用組成物中の上記光酸発生剤の含有量は、上記レジスト下層膜用組成物の総質量を基準に、0.01質量%~30質量%であり得る。
【0033】
上記レジスト下層膜用組成物は、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ノボラック系樹脂、グリコールウリル系樹脂、およびメラミン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーをさらに含むことができる。
【0034】
上記レジスト下層膜用組成物は、界面活性剤、熱酸発生剤、可塑剤、またはこれらの組み合わせである添加剤をさらに含むことができる。
【0035】
他の実施形態によれば、基板上にエッチング対象膜を形成する段階、上記エッチング対象膜の上に一実施形態によるレジスト下層膜用組成物を塗布してレジスト下層膜を形成する段階、上記レジスト下層膜上にフォトレジストパターンを形成する段階、ならびに上記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして利用して上記レジスト下層膜、および上記エッチング対象膜を順次にエッチングする段階、を含むパターン形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、微細パターニング工程でもレジストのパターンの崩れが起こらず、露光光源に対する感度が向上して、パターニング性能およびエネルギー効率の改善が可能なレジスト下層膜用組成物が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面模式図である。
図2】本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面模式図である。
図3】本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面模式図である。
図4】本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面模式図である。
図5】本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面模式図である。
図6】本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面模式図である。
図7】本発明の一実施形態によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態に具現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0039】
図面において、複数の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、明細書全体にわたって類似の部分については、同一図面符号を付けるようにした。層、膜、領域、板などの部分が、他の部分「の上」にある場合、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分がいずれの部分の「直上」にあるという時には、中間に他の部分がないことを意味する。
【0040】
以下、本明細書で特別な定義がない限り、「置換」または「置換された」とは、化合物中の水素原子が、重水素原子、ハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシ基またはその塩の基、スルホン酸基またはその塩の基、リン酸基またはその塩の基、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数2~30のアルケニル基、炭素原子数2~30のアルキニル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数7~30のアリールアルキル基、炭素原子数1~30のアルコキシ基、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、炭素原子数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素原子数3~30のシクロアルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルケニル基、炭素原子数6~15のシクロアルキニル基、炭素原子数2~30のヘテロ環基、およびこれらの組み合わせから選択された置換基で置換されたものを意味する。
【0041】
また、置換されたハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシ基またはその塩の基、スルホン酸基またはその塩の基、リン酸基またはその塩の基、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数2~30のアルケニル基、炭素原子数2~30のアルキニル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数7~30のアリールアルキル基、炭素原子数1~30のアルコキシ基、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、炭素原子数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素原子数3~30のシクロアルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルケニル基、炭素原子数6~15のシクロアルキニル基、および炭素原子数2~30のヘテロ環基のうち隣り合う2つの置換基が互いに縮合して環を形成することもできる。
【0042】
本明細書において、別途の定義がない限り、「ヘテロ」とは、N(窒素原子)、O(酸素原子)、S(硫黄原子)、Se(セレン原子)、およびP(リン原子)からなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を1つ~3つ含むことを意味する。
【0043】
本明細書において、「アリール基」は、芳香族炭化水素モイエティを1つ以上有する基を意味し、広くは芳香族炭化水素モイエティが単結合で連結された形態、および芳香族炭化水素モイエティが直接または間接的に縮合された非芳香族縮合環の形態も含む。アリール基は、単環、多環、または縮合多環(即ち、隣接する一対の炭素原子を共有する環)の官能基を含む。
【0044】
本明細書において、「ヘテロ環基」は、ヘテロアリール基を含む概念である。これに加えて、アリール基、シクロアルキル基、これらの縮合環またはこれらの組み合わせなどの環化合物内で、炭素(C)の代わりにN、O、S、P、およびSiから選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ含むことを意味する。上記ヘテロ環基が縮合環の場合、上記ヘテロ環基全体またはそれぞれの環ごとにヘテロ原子を少なくとも1つ含むことができる。
【0045】
より具体的に、置換もしくは非置換のアリール基および/または置換もしくは非置換のヘテロ環基は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントリル基、置換もしくは非置換のナフタセニル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、置換もしくは非置換のクォーターフェニル基、置換もしくは非置換のクリセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のペリレニル基、置換もしくは非置換のインデニル基、置換もしくは非置換のフラニル基、置換もしくは非置換のチオフェニル基、置換もしくは非置換のピロリル基、置換もしくは非置換のピラゾリル基、置換もしくは非置換のイミダゾリル基、置換もしくは非置換のトリアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサゾリル基、置換もしくは非置換のチアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは非置換のチアジアゾリル基、置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、置換もしくは非置換のピラジニル基、置換もしくは非置換のトリアジニル基、置換もしくは非置換のベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のベンゾイミダゾリル基、置換もしくは非置換のインドリル基、置換もしくは非置換のキノリニル基、置換もしくは非置換のイソキノリニル基、置換もしくは非置換のキナゾリニル基、置換もしくは非置換のキノキサリニル基、置換もしくは非置換のナフチリジニル基、置換もしくは非置換のベンゾオキサジニル基、置換もしくは非置換のベンゾチアジニル基、置換もしくは非置換のアクリジニル基、置換もしくは非置換のフェナジニル基、置換もしくは非置換のフェノチアジニル基、置換もしくは非置換のフェノキサジニル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のカルバゾリル基、ピリドインドリル基、ベンゾピリドオキサジニル基、ベンゾピリドチアジニル基、9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジニル基、これらの組み合わせ、またはこれらの組み合わせが互いに縮合した形態であり得るが、これらに制限されない。
【0046】
本明細書において、特に言及がない限り、「組み合わせ」とは、混合または共重合を意味する。
【0047】
また、本明細書において、「ポリマー」は、オリゴマーおよびポリマーを全て含むことができる。
【0048】
本明細書において、特に言及しない限り、「重量平均分子量」は、粉体試料をテトラヒドロフラン(THF)で溶解した後、Agilent Technologies社製の1200seriesゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)を利用して測定される(カラムは、Shodex社製LF-804、標準試料は、Shodex社製ポリスチレンを使用する)。
【0049】
また、本明細書において、別途の定義がない限り、「*」は、化合物の構造単位または化合物の部分(moiety)の連結地点を示す。
【0050】
半導体産業では、チップの大きさを減少しようとする要求が続いている。このような傾向に応じるため、リソグラフィ技術でパターニングされるレジストの線幅を数十ナノメートルサイズに減少させることが要求される。このように形成されたパターンを利用して、下部の基板にエッチング工程を利用して下層材料にパターンを転写することになる。しかし、レジストのパターンサイズが小さくなると、その線幅に耐えられるレジストの高さが限定され、これにより、レジストがエッチング段階で十分な耐性を持たない場合がある。したがって、レジスト物質を薄く塗布して使用する場合、エッチングしようとする基板が厚い場合、または深さが深いパターンが必要な場合など、これを補償するためにレジスト下層膜が使用されてきた。
【0051】
レジスト下層膜は、レジストの厚さが薄くなるととともに薄くなることが要求され、レジスト下層膜の薄い厚さでもフォトレジストのパターンが崩れてはならない。このため、レジスト下層膜は、フォトレジストとの密着性に優れている必要がある。また、レジスト下層膜を薄く形成するにあたり、レジスト下層膜用組成物のコーティング均一性およびそこから製造されたレジスト下層膜の平坦性が改善され、露光光源に対する感度が改善され、パターン形成性およびエネルギー効率が改善されることが要求される。
【0052】
一実施形態によるレジスト下層膜用組成物は、下記化学式1で表される構造単位および下記化学式2で表される構造単位の少なくとも一方を含むポリマー、空気雰囲気(Air gas)下、205℃で熱重量分析(thermogravimetric analysis、TGA)を行った際、測定開始から3分経過後の質量減少率が0%である光酸発生剤、ならびに溶媒を含む:
【0053】
【化9】
【0054】
上記化学式1および化学式2中、
Aは、それぞれ独立して、環内に窒素原子を含むヘテロ環基であり、
~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のヘテロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のヘテロシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~20のアリーレン基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、
~Xは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、-C(=O)-、-(CO)O-、-O(CO)O-、-NR-(ここで、Rは、水素原子、重水素原子、または炭素原子数1~10のアルキル基である)、またはこれらの組み合わせであり、
~Yは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~10のヘテロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~10のヘテロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
*は、連結地点を示す。
【0055】
なお、上記化学式1~化学式2、ならびに後述の化学式1-1~1-2、および化学式2-1~2-3で表される構造単位は、本発明に係るポリマーに含まれる繰り返し単位である。
【0056】
一実施形態によるレジスト下層膜用組成物は、上記化学式1で表される構造単位および上記化学式2で表される構造単位が環内に窒素原子を含むヘテロ環を含むことによって、これらの構造単位を含むポリマーは、ポリマー間でsp-sp結合が可能である。これにより、上記ポリマーは、高い電子密度を有することができる。電子密度が高いポリマーを含むことにより、一実施形態によるレジスト下層膜用組成物は、緻密な構造の膜を超薄膜形態に実現することができる。また、ポリマーの高い電子密度は、レジスト下層膜用組成物の露光時に吸光効率を向上させる効果を有することができる。また、ヘテロ環骨格を含むことにより、エッチング選択比が優れており、EUV(極端紫外線、Extreme ultraviolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子ビーム)などの高エネルギー線を利用した露光後のパターン形成時のエネルギー効率を向上させることができる。
【0057】
上記化学式1および化学式2中のAは、それぞれ独立して、下記化学式A-1~下記化学式A-4で表されるヘテロ環基からなる群より選択される少なくとも1種であり得る:
【0058】
【化10】
【0059】
上記化学式A-1~化学式A-4中、*は、他の原子または基に連結する連結地点を示す。
【0060】
一実施形態において、上記化学式1および化学式2中のL~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のヘテロアルキレン基、またはこれらの組み合わせであり、例えば、単結合、置換もしくは非置換の炭素原子数1~5のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~5のヘテロアルキレン基、またはこれらの組み合わせであり、これらに限定されない。
【0061】
上記化学式1および化学式2中のX~Xは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-C(=O)-、-(CO)O-、-O(CO)O-、またはこれらの組み合わせであり、例えば、-O-、-S-、-(CO)O-、またはこれらの組み合わせであり、これらに限定されない。
【0062】
上記化学式1および化学式2中のY~Yは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~10のヘテロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、例えば、置換もしくは非置換の炭素原子数1~5のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~5のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~10のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~10のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、これらに限定されない。
【0063】
一例を挙げれば、上記化学式1で表される構造単位は、下記化学式1-1で表される構造単位および下記化学式1-2で表される構造単位の少なくとも一方であることが好ましく、上記化学式2で表される構造単位は、下記化学式2-1~下記化学式2-3で表される構造単位からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0064】
【化11】
【0065】
【化12】
【0066】
上記化学式1-1~1-2、および化学式2-1~2-3中、*は、連結地点を示す。
【0067】
また、本発明の組成物は、光酸発生剤を含むことにより、露光時、フォトレジストの露光部位に酸を選択的に追加提供することができる。これにより、フォトレジストの脱保護反応を増加させ感度を向上させ、パターンの線幅粗さ(Line Width Roughness、LWR)を改善することができる。また、光酸発生剤は、温度205℃の空気雰囲気下で熱重量分析(thermogravimetric analysis、TGA)を行った際、測定開始から3分経過後の質量減少率が0%であるため、高温で分解されたり揮発したりすることなく、フォトレジストの感度を改善することができる。なお、光酸発生剤の熱重量分析の詳細な方法は、実施例に記載されている。
【0068】
当該光酸発生剤は、下記化学式3で表される化合物、窒素原子がスルホン酸(塩)基で置換されたイミド誘導体、および窒素原子がスルホン酸(塩)基で置換されたシアヌレート誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0069】
【化13】
【0070】
上記化学式3中、R~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。例えば、上記化学式3中のR~Rは、それぞれ独立して、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素原子数1~20のアルキル基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素原子数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、これらに限定されない。
【0071】
上記化学式3中、Zは1価のアニオンであり、例えばハロゲン化アニオン、スルホン酸基を含む有機アニオンであり、例えば、フッ化物イオン(F)、CFSO 、またはCSO であり、これらに限定されない。
【0072】
一実施形態において、上記化学式3で表される化合物は、下記化学式4で表される化合物であり得る:
【0073】
【化14】
【0074】
上記化学式4中、R21、R31、およびR41は、それぞれ独立して、ハロゲン原子である。ハロゲン原子の例としては、例えば、フッ素(F)、またはヨウ素(I)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0075】
上記化学式4中、n21、n31、およびn41は、それぞれ独立して、0~5の整数のうちの1つであり、例えば0~3の整数のうちの1つであり、例えば0~2の整数のうちの1つであり、この際、n21、n31、およびn41のうちの少なくとも1つは、1以上の整数である。
【0076】
一実施形態において、上記化学式4で表される化合物は、下記化学式4-1で表される化合物および下記化学式4-2で表される化合物の少なくとも一方である。
【0077】
【化15】
【0078】
窒素原子がスルホン酸(塩)基で置換されたイミド誘導体またはシアヌレート誘導体において、イミド誘導体は、イミド構造を含む直鎖状化合物、イミド構造を含む5員環化合物、イミド構造を含む6員環化合物、またはこれらの誘導体であることもでき、5員環と6員環とは、一辺に一つ以上の環が縮合できる。イミド構造内の窒素原子は、スルホン酸(塩)基で置換される。
【0079】
シアヌレート誘導体は、シアヌレートの窒素原子のうち少なくとも1つがスルホン酸(塩)基で置換される。
【0080】
窒素原子に置換されるスルホン酸(塩)基は、RSO-で表すことができ、Rは、1価の有機基であることができる。
【0081】
窒素原子がスルホン酸(塩)基で置換されたイミド誘導体または窒素原子がスルホン酸(塩)基で置換されたシアヌレート誘導体は、下記化学式5~化学式7で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0082】
【化16】
【0083】
上記化学式5~化学式7中、
51、R61、R62、およびR71は、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-COOH、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり得る。例えば、R51、R61、R62、およびR71は、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換または非置換の炭素原子数2~10のアルケニル基、またはこれらの組み合わせであり得る。例えば、R51、R61、R62、およびR71は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素原子数2~10のアルケニル基であり得る。
【0084】
上記化学式5中のn51は、0~2の整数のうちの1つであり、例えば0もしくは1、または例えば0であることができ、これらに限定されない。
【0085】
上記化学式7中のn71は、0~6の整数のうちの1つであり、例えば0~3の整数のいずれか、例えば0または1、または例えば0であり、これらに限定されない。
【0086】
上記化学式5~化学式7中のR52、R63、およびR72は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数5~30のビシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0087】
例えば、上記化学式5および化学式7中のR52およびR72は、それぞれ独立して、非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数5~30のビシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数5~30のビシクロアルキル基で置換されたアルキル基、またはこれらの組み合わせであり得る。一実施形態において、上記化学式5および化学式7中のR52およびR72は、それぞれ独立して、置換された炭素原子数5~20のビシクロアルキル基で置換された炭素原子数1~20のアルキル基であり得、これらに限定されない。
【0088】
また、上記化学式6中のR63は、例えば、置換または非置換の炭素原子数1~10のアルキル基であり、例えばハロゲン原子で置換された炭素原子数1~10のアルキル基であり、例えばフッ素原子で置換された炭素原子数1~5のアルキル基であり、これらに限定されない。
【0089】
一例として、上記化学式5で表される化合物は、下記化学式5-1で表される化合物であり得る。上記化学式6で表される化合物は、下記化学式6-1で表される化合物であり得る。上記化学式7で表される化合物は、下記化学式7-1で表される化合物であり得る。
【0090】
【化17】
【0091】
上記ポリマーは、1,000g/mol~300,000g/molの重量平均分子量を有し、例えば3,000g/mol~200,000g/mol、例えば3,000g/mol~100,000g/mol、例えば3,000g/mol~90,000g/mol、例えば3,000g/mol~70,000g/mol、例えば3,000g/mol~60,000g/mol、例えば3,000g/mol~50,000g/mol、例えば5,000g/mol~50,000g/mol、例えば5,000g/mol~30,000g/molの重量平均分子量を有することができ、これらに限定されない。上記範囲の重量平均分子量を有することにより、ポリマーを含むレジスト下層膜用組成物の炭素含有量および溶媒に対する溶解度を調節して最適化することができる。
【0092】
本発明の組成物中の上記光酸発生剤の含有量は、上記ポリマー100質量部を基準に、10質量部~100質量部であり得る。当該含有量は、例えば、10質量部~80質量部、例えば10質量部~70質量部、例えば10質量部~60質量部、例えば20質量部~60質量部、例えば30質量部~100質量部、例えば30質量部~70質量部であり得るが、これらに限定されない。光酸発生剤が上記の含有量の範囲で含まれることによって、これらを含むレジスト下層膜用組成物から形成される膜からレジストに提供される酸の量を最適化することができ、露光光源に対する感度が向上し、パターニング性能およびエネルギー効率が改善される。
【0093】
上記ポリマーは、レジスト下層膜用組成物の総質量を基準に、0.1質量%~50質量%の含有量で含むことができる。より具体的には、上記ポリマーは、上記レジスト下層膜用組成物の総質量を基準に、10質量%~50質量%、例えば20質量%~50質量%、例えば20質量%~30質量%の含有量で含まれ、これらに限定されない。ポリマーの含有量が上記範囲内であれば、ポリマーが組成物に含まれることによって、レジスト下層膜の厚さ、表面粗さ、および平坦化特性を調節することができる。
【0094】
光酸発生剤は、レジスト下層膜用組成物の総質量を基準に、0.01質量%~30質量%の含有量で含むことができる。より具体的には、光酸発生剤は、レジスト下層膜用組成物の総質量を基準に、0.1質量%~30.0質量%、例えば1.0質量%~30.0質量%、例えば5.0質量%~30.0質量%、例えば5.0質量%~25.0質量%、例えば8.0質量%~25.0質量%、例えば10.0質量%~25.0質量%であり得るが、これらに限定されない。光酸発生剤が上記の含有量の範囲であれば、光酸発生剤が組成物に含まれることによって、レジスト下層膜の厚さ、表面粗さ、耐薬品性、および平坦化特性を調節することができる。
【0095】
なお、上記のポリマーおよび光酸発生剤は、従来公知の合成方法を適宜参照して合成することができる。より具体的には、実施例に記載の合成方法を参照しながら、当業者であれば容易に合成することができる。
【0096】
一実施形態によるレジスト下層膜用組成物は、溶媒を含むことができる。当該溶媒は、上記ポリマーおよび上記化合物に対する十分な溶解性および/または分散性を有するものであれば特に限定されない。溶媒の具体例としては、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリジノン、メチル2-ヒドロキシイソブチレート、アセチルアセトン、エチル3-エトキシプロピオン酸塩、またはこれらの組み合わせを含むことができ、これらに限定されるものではない。
【0097】
一実施形態によるレジスト下層膜用組成物は、ポリマー、化合物、および溶媒以外にも、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ノボラック系樹脂、グリコールウリル系樹脂、およびメラミン系樹脂から選択される少なくとも1種のポリマーをさらに含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0098】
また、他の実施形態によるレジスト下層膜用組成物は、界面活性剤、熱酸発生剤、可塑剤、またはこれらの組み合わせを含む添加剤をさらに含むことができる。
【0099】
界面活性剤は、レジスト下層膜の形成時、固形分濃度の増加により発生するコーティング不良を改善するために用いることができる。具体的には、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第4級アンモニウム塩などを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
熱酸発生剤は、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸塩、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸などの酸性化合物および/またはベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、その他に有機スルホン酸アルキルエステルなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0101】
可塑剤は特に限定されず、従来公知の様々な系統の可塑剤を利用することができる。可塑剤の例としては、フタル酸エステル類、アジピン酸エステル類、リン酸エステル類、トリメリット酸エステル類、クエン酸エステル類などの低分子化合物、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアセタール系などの化合物などを挙げることができる。
【0102】
添加剤は、レジスト下層膜用組成物100質量部に対して0.001~40質量部の含有量で含むことができる。添加剤の含有量が上記範囲であれば、レジスト下層膜用組成物の光学的特性を変えることなく、溶解度を向上させることができる。
【0103】
また、他の実施形態によれば、上述したレジスト下層膜用組成物を使用して製造されたレジスト下層膜を提供する。レジスト下層膜は、上述したレジスト下層膜用組成物を、例えば、基板上にコーティングした後、熱処理工程を経て硬化した硬化物を含む形態であることができる。
【0104】
以下、上述したレジスト下層膜用組成物を使用してパターンを形成する方法について、図1図7を参照して説明する。図1図7は、本発明によるレジスト下層膜用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面模式図である。
【0105】
図1を参照すると、まずエッチング対象物を用意する。エッチング対象物の例としては、半導体基板100上に形成される薄膜102であり得る。以下、エッチング対象物が薄膜102の場合についてのみ説明する。薄膜102上に残留する汚染物などを除去するために、薄膜表面を洗浄する。薄膜102は、例えばシリコン窒化膜、ポリシリコン膜、またはシリコン酸化膜であり得る。
【0106】
続いて、洗浄された薄膜102の表面上に、前述したレジスト下層膜用組成物を、スピンコーティング法を適用してコーティングする。
【0107】
その後、乾燥およびベーキング工程を行って、薄膜上にレジスト下層膜104を形成する。ベーキング処理は100℃~500℃で行うことができ、例えば100℃~300℃で行うことができる。より具体的なレジスト下層膜用組成物に対する説明は、上記に詳しく説明したので、重複を避けるために省略する。
【0108】
図2を参照すると、レジスト下層膜104上に、フォトレジストをコーティングしてフォトレジスト膜106を形成する。続いて、フォトレジスト膜106が形成されている基板100を加熱する第1ベーキング工程を行う。第1ベーキング工程は、90℃~120℃の温度で行うことができる。
【0109】
図3を参照すると、フォトレジスト膜106を選択的に露光する。フォトレジスト膜106を露光するための露光工程を一例として説明すると、露光装置のマスクステージ上に所定のパターンが形成された露光マスクを位置させ、フォトレジスト膜106上に露光マスク110を整列する。続いて、露光マスク110に光を照射することにより、基板100に形成されたフォトレジスト膜106の所定部位が露光マスク110を透過した光と選択的に反応するようになる。
【0110】
一例として、露光工程で使用できる光の例としては、365nmの波長を有する活性エネルギー線であるi線、248nmの波長を有するKrFエキシマレーザ、193nmの波長を有するArFエキシマレーザなどの短波長光が挙げられる。この他にも、極端紫外線に該当する13.5nmの波長を有するEUV(Extreme ultraviolet)などを挙げることができる。
【0111】
フォトレジスト膜106のうち露光された領域106bは、有機金属化合物間の縮合など架橋反応によってポリマーを形成することにより、フォトレジスト膜106の非露光領域106aと互いに異なる溶解度を有するようになる。
【0112】
続いて、基板100に第2ベーキング工程を行う。第2ベーキング工程は、90℃~200℃の温度で行うことができる。第2ベーキング工程を行うことによって、フォトレジスト膜106の露光された領域106bは、現像液に溶解し難い状態となる。
【0113】
図4に示したように、一実施形態によるレジスト下層膜用組成物から形成されたレジスト下層膜104は、フォトレジスト膜106のうち露光された領域106bに酸(H)107を提供することによって、フォトレジスト膜106の非露光領域106aおよび露光された領域106bの現像液に対する溶解度差をより大きくすることができ、これにより、フォトレジストパターンの線粗さを改善し、優れたパターン形成性を確保することができる。
【0114】
図5を参照すると、2-ヘプタノン等の有機溶媒現像液を利用して、非露光領域に該当するフォトレジスト膜106aを溶解して除去することにより、現像後に残されたフォトレジスト膜106bがフォトレジストパターン108を形成する。
【0115】
上述したように、一実施形態によるパターン形成方法において使用される現像液は、有機溶媒であり得る。一実施形態によるパターン形成方法において使用される有機溶媒の例としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノンなどのケトン類、4-メチル-2-プロパノール、1-ブタノール、イソプロパノール、1-プロパノール、メタノールなどのアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、エチル乳酸、n-ブチル酢酸、ブチロラクトンなどのエステル類、ベンゼン、キシレン、トルエンなどの芳香族化合物、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0116】
ただし、一実施形態によるフォトレジストパターンが必ずネガティブトーンイメージで形成されることに限定されるものではなく、ポジティブトーンイメージを有するように形成することもできる。この場合、ポジティブトーンイメージ形成のために使用できる現像剤としては、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドまたはこれらの組み合わせなどの第4級アンモニウムヒドロキシド化合物などを挙げることができる。
【0117】
上述したように、i線(波長365nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)等の波長を有する光だけでなく、極端紫外線(EUV、Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子ビーム)などの高エネルギーを有する光などにより露光されて形成されたフォトレジストパターン108は、5nm~100nm厚さの幅を有することができる。一例として、フォトレジストパターン108は、例えば、5nm~90nm、5nm~80nm、5nm~70nm、5nm~60nm、5nm~50nm、5nm~40nm、5nm~30nm、5nm~20nm、5nm~10nmの幅で形成することができる。
【0118】
一方、フォトレジストパターン108は、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば20nm以下、例えば10nm以下のハーフピッチ、および5nm以下、3nm以下、2nm以下、1nm以下の線幅粗さを有するピッチを有することができる。
【0119】
続いて、フォトレジストパターン108をエッチングマスクと利用して、レジスト下層膜104をエッチングする。このようなエッチング工程により、図6に示したような有機膜パターン112が形成される。
【0120】
形成された有機膜パターン112はまた、フォトレジストパターン108に対応する幅を有することができる。エッチングは、例えばエッチングガスを用いた乾式エッチングで行うことができる、エッチングガスは、例えば、CHF、CF、Cl、O、およびこれらの混合ガスを使用することができる。上述したように、一実施形態によるレジスト下層膜用組成物によって形成されたレジスト下層膜は、速いエッチング速度を有しているため、短時間に円滑なエッチング工程を行うことができる。
【0121】
図7を参照すると、フォトレジストパターン108をエッチングマスクに適用して露出した薄膜102をエッチングする。その結果、薄膜は薄膜パターン114で形成される。
【0122】
先に行われた露光工程において、活性エネルギー線であるi線(波長365nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)等の短波長光源を使用して行われた露光工程によって形成された薄膜パターン114は、数十nm~数百nmの幅を有し得る。EUV光源を使用して行われた露光工程によって形成された薄膜パターン114は、20nm以下の幅を有することができる。
【実施例0123】
以下、上述したポリマーの合成およびこれを含むレジスト下層膜用組成物の製造に関する実施例を通して、本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例によって本発明の技術的限定されるものではない。
【0124】
[ポリマーの合成]
(合成例1)
500ml 3口丸底フラスコに、1,3-ジアリル-5-(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート 24.9g、2-メルカプトエタノール 7.4g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.7g、およびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)48gを添加し、コンデンサを連結した。温度80℃で16時間反応を進行させた後、反応液を常温(25℃)まで冷却した。反応液を、水800gが入った1L広口瓶に攪拌しながら滴下してガム(gum)を生成させた後、テトラヒドロフラン(THF)80gに溶解させた。得られた溶液に対して、トルエンを添加して沈殿物を形成させ、単量体および低分子を除去し、最終的に下記化学式1-1で表される構造単位で構成されるポリマーAを得た(重量平均分子量(Mw)=10,500g/mol)。
【0125】
【化18】
【0126】
上記化学式1-1中、nは構造単位の数である。
【0127】
(合成例2)
500ml 3口丸底フラスコに、1,3,5-トリアリル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン 24.9g、2-メルカプトエタノール 7.4g、AIBN 0.7g、およびN,N-ジメチルホルムアミド 48gを添加し、コンデンサを連結した。温度80℃で16時間反応を進行させた後、反応液を常温(25℃)まで冷却した。反応液を、水800gが入った1L広口瓶に攪拌しながら滴下してガム(gum)を生成させた後、THF 80gに溶解させた。得られた溶液は、トルエンを使用して沈殿物を形成させ、単量体および低分子を除去し、最終的に下記化学式1-2で表される構造単位で構成されるポリマーBを得た(重量平均分子量(Mw)=8,000g/mol)。
【0128】
【化19】
【0129】
(合成例3)
250mLの4口フラスコに、1,3-ジアリル-5,5-ジメチル-1,3-ジアジナン-2,4,6(1H、3H、5H)-トリオン 20g、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール 8.4g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.5g、およびN,N-ジメチルホルムアミド 50gを添加して反応溶液を準備し、コンデンサを連結した。反応溶液を60℃で5時間加熱して反応を進行させた後、反応溶液を常温(25℃)まで冷却させた。その後、反応溶液を、蒸留水300gが入ったビーカーに攪拌しながら滴下してガム(gum)を生成させた後、THF 30gに溶解させた。得られた溶液は、トルエンで沈殿物を形成させ、単量体および低分子を除去し、最終的に下記化学式2-1で表される構造単位で構成されるポリマーCを得た(重量平均分子量(Mw)=3,700g/mol)。
【0130】
【化20】
【0131】
(合成例4)
1Lの2口丸底フラスコに、1,3,5-トリグリシジルイソシアヌレート 148.6g(0.5mol)、2,2'-チオ二酢酸 60.0g(0.4mol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド 9.1g、およびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)350gを入れ、コンデンサを連結した。温度を100℃に上げ、8時間反応させた後、当該反応液を常温(23℃)まで冷却させた。その後、反応液を1L広口瓶に移し、ヘキサンで3回洗い、続いて精製水を利用して順に洗った。得られたガム(gum)状態のレジンを、THF80gを利用して完全に溶解した後、攪拌中の700gのトルエンにゆっくり滴下した。その後、溶媒を除去することによって最終的に下記化学式2-2で表される構造単位で構成されるポリマーDを得た(重量平均分子量(Mw)=9,100g/mol)。
【0132】
【化21】
【0133】
(合成例5)
250mLの4口フラスコに、1,3-ジアリル-5-(1-ヒドロキシエチル)-イソシアヌレート 20g、エタン-1,2-ジチオール 6.0g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1g、およびN,N-ジメチルホルムアミド 50gを添加して反応溶液を準備し、コンデンサを連結した。反応溶液を50℃で5時間加熱して反応を進行させた後、3,4-ジフルオロベンジルメルカプタン 10g、およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1gを投入して、2時間追加的な反応を進行させた後、溶液を常温まで冷却させた。その後、反応溶液を蒸溜水300gが入ったビーカーで攪拌しながら滴下してガム(gum)を生成させた後、THF30gに溶解させた。溶解したレジン溶液は、トルエンで沈殿物を形成させ、単分子および低分子を除去し、最終的に下記化学式2-3で表示されるポリマーEを得た(重量平均分子量(Mw)=5,500g/mol)。
【0134】
【化22】
【0135】
[光酸発生剤の合成]
(合成例6)
500mLの1口フラスコに、ジフェニルスルホキシド 6g、ヨードベンゼン 6.7g、およびジクロロメタン 200gを添加した。この後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物 9.3gをゆっくり滴下し、-78℃で30分間反応を進行させた後、常温(25℃)で再び4時間反応させた。その後、反応溶液を蒸留水で洗って、有機溶液の部分を取って溶媒を除去した。溶媒が除去された有機物を、ジクロロメタンに溶解させ、ジエチルエーテルをゆっくり滴下した。析出した固体を濾別し乾燥させ、下記化学式4-1で表される化合物を得た。
【0136】
【化23】
【0137】
(合成例7)
ヨードベンゼンの代わりに、フルオロベンゼン 3.2gを使用したことを除いては、合成例6と同様の方法で、下記化学式4-2で表される化合物を得た。
【0138】
【化24】
【0139】
(合成例8)
100mLの1口フラスコに、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド1.6g、ジ-tert-ブチルジカーボネート 4.8g、および4-ジメチルアミノピリジン 0.12gをアセトニトリル 5mlに添加した後、常温(25℃)で反応を進行させた。この後、ヒドロキシルアミン(50質量%水溶液)0.61mlを滴下した後、常温で24時間反応を進行させた。この後、10mlのジエチルエーテルを添加して、生成した固体を濾別した後、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させた。乾燥させた固体を、15mlの蒸留水に添加して、希塩酸をpHが1になるまで添加した。溶解していないヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸イミドの固体を濾別した後、蒸留水で洗浄し、乾燥させた。
【0140】
この後、窒素雰囲気下で、100mLの3口フラスコに、ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸イミド 1.4g、およびトシルクロライド 1.7gを、30mlのTHFに投入して-5℃で冷却した後、トリエチルアミン 1.6gをゆっくり滴下した。24時間反応させた後、常温(25℃)で濾別して乾燥し、固体を得た。当該固体を、酢酸エチルに溶解させて1質量%の炭酸水素ナトリウム水溶液と混合した後、酢酸エチル層を分離した。この後、酢酸エチル溶媒を完全に除去して、下記化学式5-1で表される化合物を得た。
【0141】
【化25】
【0142】
(合成例9)
5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミドの代わりに、1,3-ジアリル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン 2.1gを使用したことを除いては、合成例8と同様の方法で、下記化学式6-1で表される化合物を得た。
【0143】
【化26】
【0144】
(合成例10)
100mLの1口フラスコに、1,8-ナフタルイミド 2g、ジ-tert-ブチルジカーボネート 4.8g、および4-ジメチルアミノピリジン 0.12gをアセトニトリル 5mlに添加した後、常温(25℃)で反応を進行させた。この後、ヒドロキシルアミン(50質量%水溶液)0.61mlを滴下した後、常温(25℃)で24時間反応させた。この後、10mlのジエチルエーテルを添加して生成した固体を濾別した後、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させた。乾燥させた固体を、15mlの蒸留水に投入して、希塩酸をpHが1になるまで添加した。溶解していないN-ヒドロキシナフタルイミドの固体を濾別した後、蒸留水で洗浄し、その後乾燥させた。
【0145】
次に、窒素雰囲気下で、100mLの3口フラスコに、N-ヒドロキシナフタルイミド 1.7g、および7,7-ジメチル-2-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル メタンスルホニルクロライド 2.2gを30mlのTHFに添加して-5℃まで冷却した後、トリエチルアミン 1.6gをゆっくり滴下した。24時間反応させた後、常温(25℃)で濾別し、乾燥させて固体を得た。当該固体を、酢酸エチルに溶解させて、1質量%の炭酸水素ナトリウム水溶液と混合した後、酢酸エチル層を分離した。この後、酢酸エチル溶媒を完全に除去し、下記化学式7-1で表される化合物を得た。
【0146】
【化27】
【0147】
[レジスト下層膜用組成物の製造]
(実施例1)
重合例1で得られたポリマーAおよび光酸発生剤として合成例6で得られた化学式4-1で表される化合物を100:50の質量比率で1.2g、PD1174(架橋剤、東京化成工業株式会社製)0.4g、およびピリジニウムp-トルエンスルホナート(PPTS)0.02gを、プロピレングリコールモノメチルエーテルに3質量%の固形分濃度となるように混合して完全に溶解させた。その後、追加溶媒で希釈して実施例1によるレジスト下層膜用組成物を製造した。
【0148】
(実施例2)
化学式4-1で表される化合物の代わりに、合成例7で得られた化学式4-2で表される化合物を使用することを除いては、実施例1と同様の方法で、レジスト下層膜用組成物を製造した。
【0149】
(実施例3)
化学式4-1で表される化合物の代わりに、合成例8で得られた化学式5-1で表される化合物を使用することを除いては、実施例1と同様の方法で、レジスト下層膜用組成物を製造した。
【0150】
(実施例4)
化学式4-1で表される化合物の代わりに、合成例9で得られた化学式6-1で表される化合物を使用することを除いては、実施例1と同様の方法で、レジスト下層膜用組成物を製造した。
【0151】
(実施例5)
化学式4-1で表される化合物の代わりに、合成例10で得られた化学式7-1で表される化合物を使用することを除いては、実施例1と同様の方法で、レジスト下層膜用組成物を製造した。
【0152】
(実施例6)
ポリマーAの代わりに、重合例2で得られたポリマーBを使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で、レジスト下層膜用組成物を製造した。
【0153】
(比較例1)
重合例1で得られたポリマーA 1.2g、PD1174(架橋剤、東京化成工業株式会社製)0.4g、およびピリジニウムp-トルエンスルホナート(PPTS)0.02gを、プロピレングリコールモノメチルエーテルに3質量%の固形分濃度となるように混合して完全に溶解させた。その後、追加溶媒で希釈してレジスト下層膜用組成物を製造した。
【0154】
(比較例2)
ポリマーAの代わりに、ポリマーBを使用したことを除いては、比較例1と同様の方法で、レジスト下層膜用組成物を製造した。
【0155】
(比較例3)
化学式4-1で表される化合物の代わりに、下記化学式8で表される化合物(NDI-105、みどり化学株式会社製)を使用することを除いては、実施例1と同様の方法で、レジスト下層膜用組成物を製造した。
【0156】
【化28】
【0157】
(比較例4)
化学式4-1で表される化合物の代わりに、下記化学式9で表される化合物(NDI-109、みどり化学株式会社製)を使用することを除いては、実施例1と同様の方法で、レジスト下層膜用組成物を製造した。
【0158】
【化29】
【0159】
[評価:光酸発生剤の熱重量分析(TGA)]
上記化学式4-1、化学式4-2、化学式5-1、化学式6-1、化学式7-1、化学式8、および化学式9で表される化合物それぞれに対して、熱重量・示差熱同時測定装置、TGA/DSC3+(メトラー・トレド株式会社製)を用いて、空気雰囲気下、205℃等温で、10分間維持し、質量減少率(%)を測定した。この際、測定開始から3分経過した時点での質量を測定し、測定前の質量と比較して、質量の減少率(単位:%)の値を下記表1に示した。
【0160】
【表1】
【0161】
[評価:露光特性評価]
実施例1~6、および比較例1~4で製造された組成物を、それぞれスピンコーティング法でシリコンウェーハ上に塗布した後、ホットプレート上で205℃、60秒間熱処理し、50Å厚さのレジスト下層膜を形成した。その後、レジスト下層膜上に、フォトレジスト溶液をスピンコーティング法で塗布した後、ホットプレート上で、110℃で1分間熱処理し、フォトレジスト層を形成した。フォトレジスト層を、電子ビーム露光装置(株式会社エリオニクス製)を使用して、200μC/cm~2000μC/cmの範囲で露光した後、150℃で60秒間熱処理した。次に、フォトレジスト層を、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)2.38質量%水溶液で現像した後、純水で15秒間リンスし、50nmのラインアンドスペース(line and space、L/S)のフォトレジストパターンを形成した。続いて、フォトレジストパターンの最適露光量を評価し、その結果を表2に示した。ここで、50nmのラインアンドスペースのパターンサイズを1:1に現像する露光量を最適露光量(Eop、μC/cm)といい、その値が小さいほど感度が良いことを意味する。また、パターンのライン同士が連結することや崩れることがほとんどなく、パターンがよく形成される最小の大きさを最小CDと定義した。最小CDは、その値が小さいほど解像度が優れていることを意味する。
【0162】
【表2】
【0163】
上記表2を参照すると、実施例による組成物から形成されたレジスト下層膜が、比較例による組成物から形成されたレジスト下層膜に比べて、微細パターン(50nmL/S)の形成性および感度に優れていることが確認できる。
【0164】
[評価:線幅粗さ(LWR)評価]
実施例1~6、および比較例1~4による組成物を、シリコンウェーハ上にそれぞれスピンコーティング法で塗布した後、ホットプレート上で205℃、60秒間の条件で熱処理して、50Å厚さのレジスト下層膜を形成した。その後、レジスト下層膜上に、フォトレジスト溶液をスピンコーティング法で塗布した後、ホットプレート上で、110℃で1分間熱処理して、フォトレジスト層を形成した。得られたフォトレジスト層を、電子ビーム描画装置(株式会社エリオニクス製、加速電圧100keV)を使用して、ライン幅が30nm、ライン間のスペース(space)の幅が30nmの条件で露光した。次に、95℃で60秒間熱処理した後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)2.38質量%水溶液で60秒間現像し、純水で15秒間リンスし、レジストパターンを形成した。
【0165】
線幅粗さ(Line Width Roughness、LWR)は、30nmの幅で形成されたパターンに対して、走査電子顕微鏡(測長SEM)S-9260(株式会社に立ちハイテク製)で観察し、パターンの長さ方向のエッジの2μm範囲に対して、エッジがなければならない基準線から離れた距離を測定した。その結果は、上記表2の通りであり、線幅粗さ(LWR)はその値が小さいほど良好である。
【0166】
上記表2を参照すると、実施例の組成物から得られるレジスト下層膜の場合、比較例の組成物から得られたレジスト下層膜と比べて、LWRが小さい値を有するため、パターンがより均一であることが確認できる。
【0167】
以上、本発明の特定の実施例を説明し、図示したが、本発明は記載された実施例に限定されるものではなく、本発明の思想および範囲を逸脱することなく、様々な修正および変形ができることは、この技術分野で通常の知識を有する者にとって自明なことである。したがって、このような修正例または変形例は、本発明の技術的な思想または観点から個別に理解されるべきではなく、変形された実施例は、本発明の特許請求の範囲に属するべきである。
【符号の説明】
【0168】
100 基板、
102 薄膜、
104 レジスト下層膜、
106 フォトレジスト膜、
106a 非露光領域、
106b 露光された領域、
107 酸(H)、
108 フォトレジストパターン、
110 マスク、
112 有機膜パターン、
114 薄膜パターン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7