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特開2025-26457トレンチ構造内の選択的タングステン堆積
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  • 特開-トレンチ構造内の選択的タングステン堆積 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026457
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】トレンチ構造内の選択的タングステン堆積
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/285 20060101AFI20250214BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20250214BHJP
   H10D 64/60 20250101ALI20250214BHJP
   C23C 16/28 20060101ALI20250214BHJP
   C23C 16/04 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
H01L21/285 C
H01L21/88 B
H01L21/88 R
H01L21/28 301R
C23C16/28
C23C16/04
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024181782
(22)【出願日】2024-10-17
(62)【分割の表示】P 2022542970の分割
【原出願日】2021-12-03
(31)【優先権主張番号】17/110,826
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】シュ イ
(72)【発明者】
【氏名】フ ユーフェイ
(72)【発明者】
【氏名】レン ハー
(72)【発明者】
【氏名】レイ ユ
(72)【発明者】
【氏名】ヨウ シ
(72)【発明者】
【氏名】大東 和也
(57)【要約】
【課題】トレンチ構造内でタングステンを選択的に堆積する方法を提供する。
【解決手段】本開示の実施形態は、選択的タングステン層の側方の成長を低減または無くす方法を提示する。別の実施形態は、トレンチ構造上の選択的堆積タングステンの選択性を向上させる統合された洗浄と堆積の方法を提示する。さらなる実施形態は、改善された膜特性と共に、トレンチ構造に対してより均一で選択的なボトムアップギャップ充填部を形成する方法を提示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料からなるラインを凹ませて、底面および2つの側壁を有するトレンチを形成するステップであって、前記トレンチが、前記金属材料を含む前記底面までの深さ、および誘電体を含む前記2つの側壁間の幅を有する、ステップと、
タングステン膜を陥凹金属材料の上に、前記2つの側壁によって側方に境界を定めて選択的に堆積するステップと
を含む、堆積方法。
【請求項2】
前記金属材料が、銅、コバルト、タングステンまたはルテニウムのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記誘電体が、酸化ケイ素、窒化ケイ素、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属材料からなる前記ラインをウェットエッチングプロセスによって凹ませる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属材料からなる前記ラインをドライエッチングプロセスによって凹ませる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記トレンチが3nm~200nmの範囲内の深さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記トレンチが1:1~20:1の範囲内のアスペクト比を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記タングステン膜を選択的に堆積させるステップが、前記トレンチをWF6およびH2へ曝露するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
金属材料を含む底面と、誘電体を含む2つの側壁とを有するトレンチを複数の化学曝露に曝して、前記金属材料の表面および前記誘電体の表面を洗浄するステップと、
タングステン膜を前記金属材料の前記洗浄された面に選択的に堆積させるステップと
を含む、選択的堆積方法。
【請求項10】
前記複数の化学曝露がプラズマ曝露を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の化学曝露がH2プラズマ曝露およびO2プラズマ曝露を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の化学曝露が熱浸漬を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の化学曝露がAr、H2、O2またはWF6への曝露を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の化学曝露が20℃~400℃の範囲内の温度で実施される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記タングステン膜が、前記複数の化学曝露を行わずに実施された同様のプロセスの少なくとも1000倍大きい選択性によって堆積される、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記タングステン膜は粗さが1nm以下である、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記タングステン膜は粒径が10nm以下である、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
金属材料からなるラインを凹ませて、底面および2つの側壁を有するトレンチを形成するステップであって、前記トレンチが、前記金属材料を含む前記底面までの深さ、および誘電体を含む前記2つの側壁間の幅を有する、ステップと、
前記トレンチを複数の化学曝露に曝して前記金属材料の表面および前記誘電体の表面を洗浄するステップと、
タングステン膜を前記金属材料の前記洗浄された面に選択的に堆積するステップと
を含む、堆積方法。
【請求項19】
前記タングステン膜が前記トレンチの完全に内側に堆積される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記タングステン膜が前記トレンチを充填する、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は一般に、トレンチ構造内でタングステンを選択的に堆積する方法に関する。詳細には、本開示のいくつかの実施形態は、膜特性の改善のために洗浄プロセスと堆積プロセスを統合する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
統合された洗浄プロセスと選択的タングステン堆積プロセスは、多数の半導体用途に使用されてきた。これらの方法により、コンタクト用のライナーフリー、シームフリーのビアフィルの生成が可能になる。しかし、トレンチは通常、ビアよりも底面積が大きい。そのため堆積面積が大きいことにより、均一な膜をトレンチ内に成長させることが困難になり得る。したがって、同じ方法では、トレンチ構造に適用した場合に、適切な堆積選択性および膜特性(たとえば、粗さ、厚さ、均一性)が得られないことが多い。
【0003】
したがって、トレンチ構造内でタングステンを選択的に堆積するための改善された方法が、優れた膜特性と共に必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、金属材料からなるラインを凹ませて、1つの底面および2つの側壁を持つトレンチを形成するステップを含む、堆積方法を対象としている。トレンチは、金属材料を含む底面までの深さと、誘電体を含む2つの側壁間の幅とを有する。タングステン膜を陥凹金属材料の上に、2つの側壁によって側方に境界を定めて選択的に堆積させる。
【0005】
本開示のさらなる実施形態は、金属材料を含む底面と、誘電体を含む2つの側壁とを有するトレンチを複数の化学曝露に曝して、金属材料の表面および誘電体の表面を洗浄するステップを含む、選択的堆積方法を対象としている。タングステン膜を金属材料の洗浄された面に選択的に堆積させる。
【0006】
本開示の別の実施形態は、金属材料からなるラインを凹ませて、底面および2つの側壁を有するトレンチを形成するステップを含む、堆積方法を対象としている。トレンチは、金属材料を含む底面までの深さ、および誘電体を含む2つの側壁間の幅を有する。トレンチは複数の化学曝露に曝して、金属材料の表面および誘電体の表面を洗浄する。タングステン膜を金属材料の洗浄された面に選択的に堆積させる。
【0007】
本開示の上述の特徴が詳細に理解できるように、上で簡潔に要約した本開示のより具体的な説明は、添付の図面にそのいくつかが示されている実施形態を参照することによって得られるであろう。しかし、本開示は、その他の同様に効果的な実施形態を認めることができるので、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態を示すのみであり、したがって、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきでないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の1つまたは複数の実施形態による処理中の基板の断面図である。
図2】本開示の1つまたは複数の実施形態による処理中の基板の断面図である。
図3】本開示の1つまたは複数の実施形態による処理中の基板の断面図である。
図4】本開示の1つまたは複数の実施形態による処理システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示のいくつかの例示的実施形態について説明する前に、本開示は、以下の説明で示される構造またはプロセスステップの細部に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態も可能であり、様々な方法で実践されること、または実行されることも可能である。
【0010】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「基板」という用語は、プロセスが作用する表面または表面の一部分を意味する。当業者にはまた、基板を指すものは、文脈から別に明示されない限り、基板の一部分のみを指すことができることも理解されよう。加えて、基板への堆積を指すものは、裸の基板と、その上に1つまたは複数の膜または特徴が堆積または形成された基板との両方を意味することができる。
【0011】
本明細書で使用される「基板」とは、製造プロセス中に膜処理が行われる基板の上に形成された、任意の基板表面または材料表面を指す。たとえば、その上で処理を実施できる基板表面は、用途に応じて、シリコン、酸化ケイ素、ストレイドシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素ドープされた酸化ケイ素、非晶質シリコン、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガラス、サファイア、ならびに金属、金属窒化物、金属合金、および他の導電材料のような他の任意の材料などの材料を含む。基板には、限定なしで、半導体ウェハが含まれる。基板は、基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、水酸化、アニール、UV硬化、eビーム硬化、および/または焼成するための前処理プロセスを受けることができる。基板自体の表面で直接行う膜処理に加えて、本開示では、開示される膜処理段階のいずれも、以下でより詳細に開示するように、基板上に形成された下地層の上で実施することもでき、「基板表面」という用語は、文脈で示すように、そのような下地層を含むものである。したがって、たとえば、膜/層または部分膜/層が基板表面に堆積された場合には、新たに堆積された膜/層の露出面が基板表面になる。
【0012】
本開示の1つまたは複数の実施形態では、有利には、選択的に堆積されたタングステンの側方の成長を無くすための方法を提示する。本開示のいくつかの実施形態では、金属材料のラインを凹ませてトレンチを形成し、陥凹金属ライン上に、トレンチ側壁によって境界が定められたタングステンを選択的に堆積させる。
【0013】
図1を参照すると、例示的な基板400を処理するための方法100が示されている。基板400は、誘電体420によって境界が定められた金属材料410からなる少なくとも1つのラインを含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、金属材料410は、銅、コバルト、タングステン、モリブデン、またはルテニウムのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態において、金属材料410は本質的にコバルトからなる。いくつかの実施形態において、金属材料410は本質的にタングステンからなる。いくつかの実施形態において、金属材料410は本質的にルテニウムからなる。いくつかの実施形態において、金属材料410は本質的にモリブデンからなる。この関連で、記載の元素から「本質的になる」金属材料とは、記載の元素を原子ベースで95%以上、98%以上、99%以上、または99.5%以上含むものである。
【0015】
いくつかの実施形態において、誘電体420は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、誘電体は本質的に酸化ケイ素からなる。上記の記述語(たとえば、酸化ケイ素)は、何か特定の化学量論比を開示するものと解釈されるべきではないことに留意されたい。したがって、当業者には、「酸化ケイ素」などは、何か特定の化学量論比を開示しなくてもケイ素および酸素から本質的になる材料として理解されよう。
【0016】
110で、金属材料410を凹ませて、陥凹金属材料415を含む底面452と、誘電体420を含む2つの側壁456、458とを有するトレンチ450を形成する。トレンチ450は、底面452までの深さDと、2つの側壁456、458間の幅Wとを有する。いくつかの実施形態において、深さDは、2nm~200nm、3nm~200nm、5nm~100nm、2nm~100nm、または50nm~100nmの範囲内にある。いくつかの実施形態において、幅Wは、10nm~100nm、10nm~20nm、10nm~50nm、または50nm~100nmの範囲内にある。いくつかの実施形態において、トレンチ450は、アスペクト比(D/W)が1~20、5~20、10~20、または15~20の範囲内にある。
【0017】
いくつかの実施形態において、金属材料はウェットエッチング処理によって凹ませる。いくつかの実施形態において、金属材料はドライエッチング処理によって凹ませる。
【0018】
図には示されていないが、トレンチ450は長さLが幅Wよりも大きい。いくつかの実施形態において、長さLと幅Wの比は、2以上、5以上、10以上、20以上、50以上、100以上、または500以上である。いくつかの実施形態において、トレンチ450の長さLは、垂直壁によって境界が定められている。いくつかの実施形態において、トレンチ450の長さLは、基板400の端部によってのみ境界が定められる。
【0019】
次に、120で、タングステン膜430を凹部金属材料415の上に選択的に堆積させる。いくつかの実施形態において、タングステン膜430は、トレンチ450の2つの側壁456、458によって側方に境界が定められる。この関連で、「側方に境界が定められる」とは、堆積された材料が上面と2つの側壁の間の交点を越えて延びないことを意味する。いくつかの実施形態において、タングステン膜430は、トレンチ450の上方に延びる。図1に示すように、いくつかの実施形態において、タングステン膜はトレンチ450の完全に内側にある。この関連で、トレンチの「完全に内側にある」材料は、トレンチの上方には延びず、また、トレンチ450の2つの側壁456、458によって側方に境界が定められている。
【0020】
いくつかの実施形態において、タングステン膜を選択的に堆積させることは、トレンチ450をタングステン前駆体および還元剤に曝すことを含む。いくつかの実施形態において、タングステン前駆体はWF6を含む。いくつかの実施形態において、還元剤は、H2、シラン(SiH4)またはジボラン(B26)のうちの1つ以上を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、基板の温度は、350℃以下の温度に維持される。いくつかの実施形態において、処理チャンバの圧力は、30トール以下の圧力に維持される。
【0022】
いくつかの実施形態において、方法100のプロセスはそれぞれ、同じ処理チャンバ内で実施される。いくつかの実施形態において、方法100のプロセスはそれぞれ、別々の処理チャンバ内で実施される。いくつかの実施形態において、別々の処理チャンバは、処理システムの一部として連結される。いくつかの実施形態において、方法100のプロセスは、真空断絶が介在せずに実施される。
【0023】
図2を参照すると、例示的な基板400を処理するための方法200が示されている。基板400は、陥凹金属材料415を含む底面452と、誘電体420を含む2つの側壁456、458とを有する少なくとも1つのトレンチ450を備える。
【0024】
陥凹金属材料415の表面および誘電体420の表面は、図2にそれぞれOおよびXと示されている汚染物質を含む。いくつかの実施形態において、汚染物質は、有機化合物、高分子化合物、金属酸化物または金属窒化物のうちの1つ以上を、それだけには限らないが含む可能性がある。いくつかの実施形態において、汚染物質は、金属材料415を凹ませるプロセスによって、陥凹金属材料415の表面および誘電体420の表面に生成される。
【0025】
陥凹金属材料415の材料および誘電体420の材料は、方法100に関して上で明らかにされたものと同じであるが、方法200が方法100のプロセスステップによって限定されることはない。言い換えれば、方法200を説明する際に言及した陥凹金属材料415は、任意の適切な方法によって形成することができる。
【0026】
210で、トレンチ450は複数の化学曝露に曝して、陥凹金属材料415および誘電体420の表面を洗浄する。いくつかの実施形態において、複数の化学曝露のうちの少なくとも1つはプラズマ曝露を含む。いくつかの実施形態において、プラズマは誘導結合プラズマ(ICP)である。いくつかの実施形態において、プラズマは容量結合プラズマ(CCP)である。いくつかの実施形態において、プラズマは遠隔で発生させる。いくつかの実施形態において、プラズマは処理チャンバ内で発生させる(直接プラズマ)。
【0027】
いくつかの実施形態において、複数の化学曝露のうちの少なくとも1つは熱浸漬を含む。当業者には、熱浸漬が、プラズマまたは他のラジカルを使用せずにトレンチを化学剤に曝すことを含むものと理解されよう。
【0028】
いくつかの実施形態において、複数の化学曝露は、Ar、H2、O2、またはWF6のうちの1つ以上への曝露を含む。いくつかの実施形態において、複数の化学曝露はArおよびH2を含む。いくつかの実施形態において、複数の化学物質曝露はArおよびO2を含む。いくつかの実施形態において、複数の化学物質曝露はH2およびO2を含む。いくつかの実施形態において、複数の化学曝露はWF6、H2、およびWF6を含む。
【0029】
いくつかの実施形態において、基板の温度は、複数の化学曝露の間中に制御される。いくつかの実施形態において、温度は、20℃~400℃の範囲内、20℃~350℃の範囲内、20℃~300℃の範囲内、20℃~250℃の範囲内、20℃~200℃の範囲内、20℃~150℃の範囲内、20℃~100℃の範囲内、100℃~400℃の範囲内、200℃~400℃の範囲内、または300℃~400℃の範囲内に維持される。
【0030】
220で、タングステン膜430を陥凹金属材料415の洗浄された面に選択的に堆積させる。いくつかの実施形態において、タングステン膜430は、トレンチ450の2つの側壁456、458によって側方に境界が定められる。この関連で、「側方に境界が定められる」とは、堆積された材料が上面と2つの側壁との間の交点を越えて延びないことを意味する。いくつかの実施形態において、タングステン膜430は、トレンチ450の上方に延びる。図2に示すように、いくつかの実施形態において、タングステン膜はトレンチ450の完全に内側にある。この関連で、トレンチの「完全に内側」にある材料は、トレンチの上方には延びず、トレンチ450の2つの側壁456、458によって側方に境界が定められる。
【0031】
タングステン膜430を選択的に堆積させるための方法および材料を、方法100に関して上で説明している。
【0032】
理論に束縛されることなく、複数の化学曝露により、堆積されたタングステン膜430の品質が向上すると考えられる。いくつかの実施形態において、本開示の方法によって堆積されたタングステン膜430は、選択性の増大、表面粗さの低減、および/または粒径の縮小のうちの1つ以上を示す。
【0033】
いくつかの実施形態において、タングステン膜230は、複数の化学曝露を行わずに実施された同様のプロセスの少なくとも20倍大きい、少なくとも50倍大きい、少なくとも100倍大きい、少なくとも200倍大きい、少なくとも500倍大きい、少なくとも1000倍大きい、少なくとも2000倍大きい、または少なくとも5000倍大きい選択性によって、選択的に堆積される。
【0034】
いくつかの実施形態において、タングステン膜230は、タングステン膜230の厚さが10nmであるときに、粗さが1nm以下である。いくつかの実施形態において、タングステン膜230は粒径が10nm以下である。
【0035】
いくつかの実施形態において、方法200のプロセスはそれぞれ、同じ処理チャンバ内で実施される。いくつかの実施形態において、方法200のプロセスはそれぞれ、別々の処理チャンバ内で実施される。いくつかの実施形態において、別々の処理チャンバは、処理システムの一部として連結される。いくつかの実施形態において、方法200のプロセスは、真空断絶が介在せずに実施される。
【0036】
図3を参照すると、例示的な基板400を処理するための方法300が示されている。基板400は、誘電体420によって境界が定められた金属材料410からなる少なくとも1つのラインを含む。
【0037】
310で、金属材料410を凹ませて、陥凹金属材料415を含む底面452と、誘電体420を含む2つの側壁456、458とを有するトレンチ450を形成する。310で実施される方法は、110で実施される方法と類似している。
【0038】
いくつかの実施形態において、金属材料410を凹ませるプロセスは、陥凹金属材料415および/または誘電体420の表面に汚染物質を生成する。図3で、汚染物質は、それぞれOおよびXと示されている。
【0039】
320で、トレンチ450は複数の化学曝露に曝して、陥凹金属材料415および誘電体420の表面を洗浄する。320で実施される方法は、210で実施される方法と類似している。
【0040】
330で、タングステン膜430を陥凹金属材料415の洗浄された面に選択的に堆積させる。いくつかの実施形態において、タングステン膜430は、トレンチ450の2つの側壁456、458によって側方に境界が定められる。いくつかの実施形態において、タングステン膜430は、トレンチ450の上方に延びる。図2に示すように、いくつかの実施形態において、タングステン膜はトレンチ450の完全に内側にある。いくつかの実施形態において、タングステン膜430はトレンチ450を充填する。この関連で、「トレンチを充填する」膜は、トレンチの体積の少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%を占める体積を有する。
【0041】
タングステン膜430を選択的に堆積させるための方法および材料を、方法100に関して上で説明している。堆積されたタングステン膜430の特性を、方法200に関して上で説明している。
【0042】
いくつかの実施形態において、方法300のプロセスはそれぞれ、同じ処理チャンバ内で実施される。いくつかの実施形態において、方法300のプロセスはそれぞれ、別々の処理チャンバ内で実施される。いくつかの実施形態において、別々の処理チャンバは、処理システムの一部として連結される。いくつかの実施形態において、方法300のプロセスは、真空断絶が介在せずに実施される。
【0043】
図4を参照すると、本開示の追加の実施形態は、本明細書に記載の方法を実行するための処理システム900を対象としている。図4は、本開示の1つまたは複数の実施形態による基板を処理するのに使用できるシステム900を示す。システム900は、クラスタツールと呼ぶことができる。システム900は、ロボット912がその中にある中心搬送ステーション910を含む。ロボット912は単一ブレードロボットとして図示されているが、当業者には、ロボット912の他の構成が本開示の範囲内にあることが理解されよう。ロボット912は、中心搬送ステーション910に連結された複数のチャンバ間で1つまたは複数の基板を移動させるように構成される。
【0044】
少なくとも1つの予洗浄/バッファチャンバ920が、中心移送ステーション910に連結される。予洗浄/バッファチャンバ920は、ヒータ、ラジカル源またはプラズマ源のうちの1つ以上を含むことができる。予洗浄/バッファチャンバ920は、個々の半導体基板の保持領域として、または処理用のウェハのカセットの保持領域として使用することができる。予洗浄/バッファチャンバ920は、予洗浄プロセスを実施することができ、または処理のために基板を予熱することができ、または単にプロセスシーケンスのためのステージング領域とすることができる。いくつかの実施形態には、中心移送ステーション910に連結された2つの予洗浄/バッファチャンバ920がある。
【0045】
図4に示す実施形態において、予洗浄チャンバ920は、ファクトリインターフェース905と中心移送ステーション910の間の通過チャンバとして機能することができる。ファクトリインターフェース905は、基板をカセットから予洗浄/バッファチャンバ920へ移動させるための1つまたは複数のロボット906を含むことができる。その場合、ロボット912は、基板を予洗浄/バッファチャンバ920からシステム900内の他のチャンバへ移動させることができる。
【0046】
第1の処理チャンバ930は、中心移送ステーション910に連結することができる。第1の処理チャンバ930は、エッチングチャンバとして構成することができ、また、反応性ガスの1つまたは複数の流れを第1の処理チャンバ930に供給するために、1つまたは複数の反応性ガス源と流体連結していることが可能である。基板は、ロボット912によって、分離バルブ914を通して処理チャンバ930との間で移動させることができる。
【0047】
処理チャンバ940はまた、中心移送ステーション910に連結することもできる。いくつかの実施形態において、処理チャンバ940は洗浄チャンバを備えており、また、反応性ガス流を処理チャンバ940に供給して洗浄プロセスを実施するために、1つまたは複数の反応性ガス源と流体連結している。基板は、ロボット912によって、分離バルブ914を通して処理チャンバ940との間で移動させることができる。
【0048】
いくつかの実施形態において、処理チャンバ960は、中心移送ステーション910に連結される。いくつかの実施形態において、処理チャンバ960は選択的堆積チャンバを備えており、また、反応性ガス流を処理チャンバ960に供給して堆積プロセスを実施するために、1つまたは複数の反応性ガス源と流体連結している。基板は、ロボット912によって、分離バルブ914を通して処理チャンバ960との間で移動させることができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、処理チャンバ930、940、および960のそれぞれは、処理方法の別々の部分を実施するように構成される。たとえば、処理チャンバ930は、エッチングプロセスを実施するように構成することができ、処理チャンバ940は、洗浄プロセスを実施するように構成することができ、処理チャンバ960は、選択的堆積プロセスを実施するように構成することができる。当業者には、ツール上の個々の処理チャンバの数および配置は変えることができ、図4に示された実施形態は、1つの可能な構成を表しているにすぎないことが理解されよう。
【0050】
いくつかの実施形態において、処理システム900は、1つまたは複数の計測学ステーションを含む。たとえば、計測学ステーションは、予洗浄/バッファチャンバ920の内部、中心移送ステーション910の内部、または個々の処理チャンバのいずれかの内部に配置することができる。計測学ステーションは、基板を酸化環境に曝さずに凹部の距離を測定することが可能になる、システム900内の任意の位置とすることができる。
【0051】
少なくとも1つのコントローラ950が、中心移送ステーション910、予洗浄/バッファチャンバ920、処理チャンバ930、940または960のうちの1つ以上に結合される。いくつかの実施形態において、個々のチャンバまたはステーションに接続された複数のコントローラ950があり、一次制御プロセッサが、システム900を制御するための別個のプロセッサのそれぞれに結合されている。コントローラ950は、産業環境において使用できる、様々なチャンバおよびサブプロセッサを制御するための、任意の形の汎用コンピュータプロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどのうちの1つとすることができる。
【0052】
少なくとも1つのコントローラ950は、プロセッサ952と、プロセッサ952に結合されたメモリ954と、プロセッサ952に結合された入出力デバイス956と、様々な電子構成要素間の通信のサポート回路958とを有することができる。メモリ954は、一時的メモリ(たとえば、ランダムアクセスメモリ)および非一時的メモリ(たとえば、ストレージ)のうちの1つ以上を含むことができる。
【0053】
プロセッサのメモリ954、またはコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、または他の任意の形のデジタルストレージなどの、ローカルまたはリモートの容易に入手できるメモリのうちの1つ以上とすることができる。メモリ954は、システム900のパラメータおよび構成要素を制御するためにプロセッサ952によって操作可能な命令セットを保持することができる。サポート回路958は、従来のようにプロセッサをサポートするために、プロセッサ952に結合される。回路は、たとえば、キャッシュ、電源、クロック回路、入力/出力回路、サブシステムなどを含み得る。
【0054】
プロセスは一般に、プロセッサによって実行されるとプロセスチャンバが本開示のプロセスを実施するソフトウェアルーチンとして、メモリに記憶することができる。ソフトウェアルーチンはまた、プロセッサによって制御されているハードウェアから遠隔にある、第2のプロセッサ(図示せず)によって記憶および/または実行することもできる。本開示の方法の一部または全部もまた、ハードウェアで実施することができる。そのため、プロセスは、ソフトウェアとして実装し、コンピュータシステムを使用して、たとえば、特定用途向け集積回路または他のタイプのハードウェア実施態様のような、またはソフトウェアとハードウェアの組み合わせのような、ハードウェアで実行することができる。ソフトウェアルーチンは、プロセッサによって実行されると汎用コンピュータを、プロセスが実施されるようにチャンバ動作を制御する特定目的コンピュータ(コントローラ)に変える。
【0055】
いくつかの実施形態において、コントローラ950は、個々のプロセスまたはサブプロセスを実行して本方法を実施するための、1つ以上の構成を有する。コントローラ950は、中間構成要素を動作させて本方法の機能を実施するように中間構成要素に接続すること、および構成することができる。たとえば、コントローラ950は、ガスバルブ、アクチュエータ、モータ、スリットバルブ、真空制御などのうちの1つ以上を制御するようにこれらに接続すること、および構成することができる。
【0056】
いくつかの実施形態のコントローラ950は、複数の処理チャンバと計測学ステーションの間で基板をロボットによって移動させるための構成と、基板をシステムからロードおよび/またはアンロードするための構成と、金属材料を凹ませるための構成と、陥凹金属材料の表面および誘電体の表面を洗浄するための構成と、タングステンを選択的に堆積させるための構成とから選択される、1つ以上の構成を有する。
【0057】
本明細書全体を通して「1つの実施形態」、「特定の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」、または「一実施形態」について言及することは、その実施形態に関して説明された特別な特徴、構造、材料、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。それゆえに、本明細書全体を通して様々な箇所で「1つまたは複数の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「1つの実施形態では」、または「一実施形態では」などの文言が出てきても、すべてが本開示の同一の実施形態について言及しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0058】
本明細書では本開示を特定の実施形態に関して説明したが、当業者には、説明した実施形態が本開示の原理および適用例を例示するものにすぎないことが理解されよう。当業者には、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な修正および変形を本開示の方法および装置に加えることが可能であることが明らかであろう。すなわち、本開示は、添付の特許請求項およびその等価物の範囲内にある修正形態および変形形態を含み得る。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-12-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料を含む底面と、誘電体を含む2つの側壁とを有するトレンチを複数の化学曝露に曝して、前記金属材料の表面および前記誘電体の表面を洗浄するステップであって、前記底面が前記2つの側壁間の全幅に延在し、前記複数の化学曝露の少なくとも1つが熱浸漬を含み、前記熱浸漬が、プラズマ又は他のラジカルを使用せずに前記トレンチをAr、H2、O2、またはWF6の1つ以上を含む化学剤に曝露することを含む、ステップと、
タングステン膜を前記金属材料の前記洗浄された面に選択的に堆積させるステップと
を含む選択的堆積方法であって、
前記選択的堆積方法が、真空断絶が介在しない統合された処理システムで実施される、選択的堆積方法。
【請求項2】
前記金属材料が、銅、コバルト、タングステンまたはルテニウムのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の選択的堆積方法。
【請求項3】
前記誘電体が、酸化ケイ素、窒化ケイ素、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の選択的堆積方法。
【請求項4】
前記トレンチが1:1~20:1の範囲内のアスペクト比を有する、請求項1に記載の選択的堆積方法。
【請求項5】
前記複数の化学曝露が、少なくとも1つのプラズマ曝露をさらに含み、前記少なくとも1つのプラズマ曝露が、Ar、H2、O2、またはWF6の1つ以上のプラズマへの曝露を含む、請求項1に記載の選択的堆積方法。
【請求項6】
前記複数の化学曝露が20℃~400℃の範囲内の温度で実施される、請求項1に記載の選択的堆積方法。
【請求項7】
前記タングステン膜が、前記複数の化学曝露を行わずに実施された同様のプロセスの少なくとも1000倍大きい選択性によって堆積される、請求項1に記載の選択的堆積方法。
【請求項8】
前記タングステン膜は粗さが1nm以下である、請求項1に記載の選択的堆積方法。
【請求項9】
前記タングステン膜は粒径が10nm以下である、請求項8に記載の選択的堆積方法。
【請求項10】
金属材料からなるラインを凹ませて、底面および2つの側壁を有するトレンチを形成するステップであって、前記トレンチが、前記底面までの深さを有し、前記底面が前記2つの側壁間の全幅に延在し、前記底面が前記金属材料を含み、前記2つの側壁が誘電体を含む、ステップと、
前記トレンチを複数の化学曝露に曝して前記金属材料の表面および前記誘電体の表面を洗浄するステップであって、前記複数の化学曝露の少なくとも1つが熱浸漬を含み、前記熱浸漬が、プラズマ又は他のラジカルを使用せずに前記トレンチをAr、H2、O2、またはWF6の1つ以上を含む化学剤に曝露することを含む、ステップと、
タングステン膜を前記金属材料の前記洗浄された面に選択的に堆積するステップと
を含む堆積方法であって、
前記堆積方法が、真空断絶が介在しない統合された処理システムで実施される、堆積方法
【請求項11】
前記金属材料からなる前記ラインをウェットエッチングプロセスによって凹ませる、請求項10に記載の堆積方法。
【請求項12】
前記金属材料からなる前記ラインをドライエッチングプロセスによって凹ませる、請求項10に記載の堆積方法。
【請求項13】
前記トレンチが3nm~200nmの範囲内の深さを有する、請求項10に記載の滝関方法。
【請求項14】
前記金属材料が、銅、コバルト、タングステンまたはルテニウムのうちの1つ以上を含む、請求項10に記載の堆積方法。
【請求項15】
前記誘電体が、酸化ケイ素、窒化ケイ素、またはこれらの組み合わせを含む、請求項10に記載の堆積方法。
【請求項16】
前記タングステン膜が前記トレンチの完全に内側に堆積される、請求項10に記載の堆積方法。
【請求項17】
前記タングステン膜が前記トレンチを充填する、請求項10に記載の堆積方法。
【請求項18】
前記複数の化学曝露が、少なくとも1つのプラズマ曝露をさらに含み、前記少なくとも1つのプラズマ曝露が、Ar、H2、O2、またはWF6の1つ以上のプラズマへの曝露を含む、請求項10に記載の堆積方法。
【外国語明細書】