(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026837
(43)【公開日】2025-02-26
(54)【発明の名称】平面光学装置用封入材料
(51)【国際特許分類】
G02B 1/02 20060101AFI20250218BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20250218BHJP
G02B 1/04 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
G02B1/02
G02B5/00 Z
G02B1/04
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024180809
(22)【出願日】2024-10-16
(62)【分割の表示】P 2023512648の分割
【原出願日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】17/004,114
(32)【優先日】2020-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】セン, スロボナ
(72)【発明者】
【氏名】ロイ, タパシュリー
(72)【発明者】
【氏名】ゴラディア, プレルナ ソンサリア
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッサー, ロバート ジェイ.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】改良された平面光学装置及び平面光学装置用の封入材料に関する。
【解決手段】1つ又は複数の実施形態は、上に第1の複数の支柱の第1の配列が形成されている基板を含む。第1の複数の支柱の第1の配列は、高さh及び横方向距離dを有する支柱を含む。第1の複数の支柱の第1の配列は、第1の複数の支柱の隣り合う支柱間の距離に相当する間隙gを含む。間隙gと高さhとのアスペクト比は、約1:1と約1:20との間である。第1の複数の支柱の第1の配列の上に、第1の接着促進材が配置される。第1の接着促進材の上に、第1の封入層が配置される。第1の封入層は、第1の複数の支柱の隣り合う支柱間の間隙gを充填する。第1の封入層は、フルオロポリマーを含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の複数の支柱の第1の配列が上に形成されている基板であって、前記第1の複数の支柱の第1の配列が、
高さh及び横方向距離dを有する支柱、及び
前記第1の複数の支柱の隣り合う支柱間の距離に相当する間隙gであって、前記間隙gと前記高さhとのアスペクト比が約1:1と約1:20との間である、前記間隙g
を含む、前記基板と、
前記第1の複数の支柱の第1の配列の上に配置された第1の接着促進材と、
前記第1の接着促進材の上に配置された第1の封入層であって、前記第1の複数の支柱の隣り合う支柱間の前記間隙gを充填し、フルオロポリマーを含む、前記第1の封入層と
を含む装置。
【請求項2】
前記第1の封入層がアモルファスフルオロポリマーを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の封入層が、ポリ(4,5-ジフルオロ-2,2-ビス(トリフルオロメチル)-1,3-ジオキソール-コ-テトラフルオロエチレン)又はペルフルオロ(3-ブテニルビニルエーテル)(PBVE)シクロポリマーのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の封入層がテトラフルオロエチレンコポリマーを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の接着促進材がフルオロシランを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の接着促進材が、トリクロロ(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロオクチル)-シラン、1H,1H,2H,2H-ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H-ペルフルオロデシルトリエトキシシラン、又はトリクロロ(3,3,3-トリフルオロプロピル)-シランのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の接着促進材が疎水性テール基を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の接着促進材に対する前記第1の封入層の接触角が約40°以下である、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の封入層の上に形成された第2の複数の支柱の第2の配列であって、
高さh及び横方向距離dを有する支柱、及び
前記第2の複数の支柱の隣り合う支柱間の距離に相当する間隙g
を含み、前記間隙gと前記高さhとのアスペクト比が約1:1と約1:20との間である、前記第2の複数の支柱の第2の配列と、
前記第2の複数の支柱の第2の配列の上に配置された第2の接着促進材と、
前記第2の接着促進材の上に配置された第2の封入層であって、前記第2の複数の支柱の隣り合う支柱間の前記間隙gを充填し、フルオロポリマーを含む、前記第2の封入層と
をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
基板の表面上に第1の複数の支柱の第1の配列を形成することであって、前記第1の複数の支柱の第1の配列が、
高さh及び横方向距離dを有する支柱、及び
前記第1の複数の支柱の隣り合う支柱間の距離に相当する間隙gであって、前記間隙gと前記高さhとのアスペクト比が約1:1と約1:20との間である、前記間隙g
を含む、前記第1の複数の支柱の第1の配列を形成することと、
前記第1の複数の支柱の第1の配列の上に第1の接着促進材を配置することと、
前記第1の接着促進材の上に第1の封入層を配置することであって、前記第1の封入層が、前記第1の複数の支柱の隣り合う支柱間の前記間隙gを充填し、フルオロポリマーを含む、前記第1の封入層を配置することと
を含む方法。
【請求項11】
スピンコーティングにより、前記第1の接着促進材を堆積させることと、
前記第1の接着促進材を、上昇させた温度でベーキングすることと、
スピンコーティング及びベーキングの操作を2回以上繰り返すことと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の接着促進材が共形に堆積される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
スピンコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、又は蒸気引き抜きのうちの少なくとも1つによって前記第1の封入層を堆積させることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の封入層の表面上に第2の複数の支柱の第2の配列を形成することであって、前記第2の複数の支柱の第2の配列が、
高さh及び横方向距離dを有する支柱、及び
前記第2の複数の支柱の隣り合う支柱間の距離に相当する間隙gであって、前記間隙gと前記高さhとのアスペクト比が約1:1と約1:20との間である、前記間隙g
を含む、前記第2の複数の支柱の第2の配列を形成することと、
前記第2の複数の支柱の第2の配列の上に第2の接着促進材を配置することと、
前記第2の接着促進材の上に第2の封入層を配置することであって、前記第2の封入層が、前記第2の複数の支柱の隣り合う支柱間の前記間隙gを充填し、フルオロポリマーを含む、前記第2の封入層を配置することと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の複数の支柱の上に前記第1の封入層のキャップ部を配置することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
第1の複数の支柱の第1の配列が上に形成されている基板であって、前記第1の複数の支柱の第1の配列が、
前記基板から離れる方向に向く第1の表面、及び隣り合う支柱に向く1つ又は複数の側面を有する支柱、及び
隣り合う支柱間に形成されたトレンチ
を含む、前記基板と、
前記支柱の前記第1の表面上及び前記1つ又は複数の側面上に配置された第1の接着促進材であって、フルオロシランを含む前記第1の接着促進材と、
前記第1の接着促進材の上に配置された第1の封入層であって、前記第1の複数の支柱の隣り合う支柱間の前記トレンチを充填し、アモルファスフルオロポリマーを含む、前記第1の封入層と
を含む装置。
【請求項17】
前記第1の封入層が、ポリ(4,5-ジフルオロ-2,2-ビス(トリフルオロメチル)-1,3-ジオキソール-コ-テトラフルオロエチレン)又はペルフルオロ(3-ブテニルビニルエーテル)(PBVE)シクロポリマーのうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第1の接着促進材が、トリクロロ(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロオクチル)-シラン、1H,1H,2H,2H-ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H-ペルフルオロデシルトリエトキシシラン、又はトリクロロ(3,3,3-トリフルオロプロピル)-シランのうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記支柱が高さhを有し、前記トレンチが、前記第1の複数の支柱の隣り合う支柱間の距離に相当する幅を有し、前記トレンチの幅と前記高さhとのアスペクト比が約1:1と約1:20との間である、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記第1の封入層のキャップ部が、前記第1の複数の支柱の前記第1の表面の上に配置されている、請求項16に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して光学装置に関する。具体的には、本明細書に記載される実施形態は、平面光学装置及び平面光学装置用の封入材料に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]平面光学装置は、面内寸法が光の設計波長の半分より小さく、面外寸法が設計波長のオーダーであるか又はそれより大きな支柱の配列を含む。平面光学装置は、ナノ構造の支柱の単一層又は複数層からなり得る。平面光学装置の支柱は、保護層として機能し、かつ多層配列の連続する層の間のスペーサ層として機能する封入を必要とする。しかしながら、ナノ構造の平面光学装置では、高アスペクト比の開口部への充填は、多くの場合困難で、不均一な隙間充填がもたらされる。さらに、支柱の封入は支柱の高さを増加させ、したがって平面光学装置の総厚を増加させる。平面光学装置の総厚の増加は、伝送効率を低下させ、製造の複雑さ及びコストを増加させる。したがって、当技術分野で必要とされているのは、改良された平面光学装置及び平面光学装置用の封入材料である。
【発明の概要】
【0003】
[0003]1つ又は複数の実施形態において、装置が提供され、この装置は上に第1の複数の支柱の第1の配列が形成されている基板を含む。第1の複数の支柱の第1の配列は、高さh及び横方向距離dを有する支柱を含む。第1の複数の支柱の第1の配列は、第1の複数の支柱の隣り合う支柱間の距離に相当する間隙gを含む。間隙gと高さhとのアスペクト比は、約1:1と約1:20との間である。第1の複数の支柱の第1の配列の上に、第1の接着促進材が配置される。第1の接着促進材の上に、第1の封入層が配置される。第1の封入層は、第1の複数の支柱の隣り合う支柱間の間隙gを充填する。第1の封入層は、フルオロポリマーを含む。
【0004】
[0004]他の実施形態では、方法が提供され、この方法は、基板の表面上に第1の複数の支柱の第1の配列を形成することを含む。第1の複数の支柱の第1の配列は、高さh及び横方向距離dと、第1の複数の支柱の隣り合う支柱間の距離に相当する間隙gとを有する支柱を含む。間隙gと高さhとのアスペクト比は、約1:1と約1:20との間である。この方法は、第1の複数の支柱の第1の配列の上に第1の接着促進材を配置することを含む。この方法は、第1の接着促進材の上に第1の封入層を配置することを含む。第1の封入層は、第1の複数の支柱の隣り合う支柱間の間隙gを充填する。第1の封入層は、フルオロポリマーを含む。
【0005】
[0005]他の実施形態では、装置が提供され、この装置は、上に第1の複数の支柱の第1の配列が形成されている基板を含む。第1の複数の支柱の第1の配列は、基板から離れる方向に向く第1の表面、隣り合う支柱に向く1つ又は複数の側面、及び隣り合う支柱間に形成されたトレンチを有する支柱を含む。装置は、第1の表面及び支柱の1つ又は複数の側面に配置された第1の接着促進材を含む。第1の接着促進材は、フルオロシランを含む。装置は、第1の接着促進材の上に配置された第1の封入層を含む。第1の封入層は、第1の複数の支柱の隣り合う支柱間のトレンチを充填し、アモルファスフルオロポリマーを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
[0006]本開示の上述の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約された本開示の具体的な説明が実施形態を参照することによって得ることができる。それら実施形態のうちのいくつかは添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定するとみなすべきではなく、他の等しく有効な実施形態も許容され得ることに留意されたい。
【0007】
【
図1A】[0007]本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態による平面光学装置の概略透視図である。
【
図1B-C】[0008]Bは、本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態による層スタックの概略断面図である。[0009]Cは、本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態による層スタックの支柱の配置の概略上面図である。
【
図1D-E】[0010]D及びEは、本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態によるフルオロポリマー封入材料の例示的な構造である。
【
図2】[0011]本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態による平面光学装置を形成する方法の図である。
【
図3A-B】[0012]A及びBは、本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態による平面光学装置を形成する方法の間の基板の概略断面図である。
【
図3C-D】C及びDは、本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態による平面光学装置を形成する方法の間の基板の概略断面図である。
【
図4】[0013]A~Dは、本明細書に記載される1つ又は複数の実施形態による接着促進材の例示的構造である。
【0008】
[0014」理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すために同一の参照番号を使用した。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれ得ると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0015]本明細書に記載される実施形態は、平面光学装置及び平面光学装置用の封入材料に関する。1つ又は複数の実施形態は、上に第1の複数の支柱の第1の配列が形成されている基板を含む。第1の複数の支柱の第1の配列は、高さh及び横方向距離dを有する支柱を含む。第1の複数の支柱の第1の配列は、第1の複数の支柱の隣り合う支柱間の距離に相当する間隙gを含む。間隙gと高さhとのアスペクト比は、約1:1と約1:20との間である。第1の複数の支柱の第1の配列の上に、第1の接着促進材が配置される。第1の接着促進材の上に、第1の封入層が配置される。第1の封入層は、第1の複数の支柱の隣り合う支柱間の間隙gを充填する。第1の封入層は、フルオロポリマーを含む。
【0010】
[0016]
図1Aは、少なくとも1つの層スタック(積み重ねられた層)101A、101Bを有する平面光学装置100の概略透視図である。
図1Bは、層スタック101Aの概略断面図である。
図1Cは、層スタック101Aの支柱104の配置の概略上面図である。平面光学装置100は、少なくとも1つの層スタック101A、101Bを含んでいる。本明細書に記載される装置及び方法の態様は層スタック101Aを参照して説明され得るが、本明細書に記載される装置及び方法の態様は、層スタック101Bに同様に適用可能であることを理解されたい。本明細書で提供される図において明確にするために、層スタック101Bの配列について参照数字が省略される場合がある。
【0011】
[0017]本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできる1つ又は複数の実施形態では、平面光学装置100は、層スタック101Aを含む単層スタックの平面光学装置である。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできる他の実施形態では、平面光学装置100は、層スタック101A及び1つ又は複数の層スタック101Bを含む多層スタック光学装置である。層スタック101Aは、基板102の表面上に配置された複数の支柱104Aの配列と、封入層106Aとを含んでいる。封入層106Aは、間隙充填部108Aとキャップ部109Aとを含んでいる。多層スタック光学装置の図示された実施形態では、1つ又は複数の層スタック101Bのうちの第1の層スタックは、層スタック101Aの上に配置される。いくつかの他の実施形態では、1つ又は複数の層スタック101Bは、第1の表面とは反対側の基板102の第2の表面上に配置される。言い換えれば、層スタック101A及び1つ又は複数の層スタック101Bは、基板102の両側に配置される。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできる1つ又は複数の実施形態では、層スタック101Bのうちの第1の層スタックは、封入層106Aのキャップ部109A上に配置された複数の支柱104Bの配列を含む。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできる他の実施形態では、層スタック101Bのうちの第1の層スタックの複数の支柱104Bの配列は、封入層106A上に配置されたスペーサ層(図示せず)上に配置される。スペーサ層を含む実施形態では、スペーサ層は、複数の支柱104Bの配列のための支持を提供するように動作可能であり、平面光学装置100の光学機能に応じて所定の厚さ(例えば、最大約50μm)を有する。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできる1つ又は複数の実施形態では、封入層106A及びスペーサ層は、異なる材料から形成される。他の実施形態では、封入層106Aのキャップ部109Aは、スペーサ層と同じ機能を提供する。封入層106Aがスペーサ層として機能する実施形態では、封入層106Aは、平面光学装置100の光学機能に応じて所定の厚さを有する。
【0012】
[0018]複数の支柱104A、104Bの配列は、高さh及び横方向距離dを有する支柱104A、104Bを含む。支柱104Aの高さhは、基板102の表面から封入層106Aのキャップ部109Aまでの距離と定義される。支柱104Bの高さhは、封入層106A及び/又は封入層106A上に配置されたスペーサ層(図示しない)から封入層106Bのキャップ部109Bまでの距離と定義される。いくつかの実施形態では、複数の支柱104A、104Bは、特徴部密度及びウエハサイズに応じて、4つ以上の、例えば4から約106以上の支柱を含む。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、支柱104A、104Bの断面は正方形及び/又は長方形であり、支柱104A、104Bの横方向距離dは支柱104A、104Bの幅に相当する。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできる他の実施形態では、支柱104A、104Bの断面は円形であり、支柱104A、104Bの横方向距離dは支柱104A、104Bの直径に相当する。間隙gは、支柱104A、104Bの隣り合う支柱間の距離である。1つ又は複数の実施形態において、複数の支柱104A、104Bの配列の各々は、約1:1.5と約1:10との間のアスペクト比(g:h)を有する。他の実施形態では、複数の支柱104A、104Bの配列の各々は、約1:1.5と約1:2.5との間のアスペクト比(g:h)を有する。さらに他の実施形態では、複数の支柱104A、104Bの配列の各々は、約1:1と約1:20との間のアスペクト比(g:h)を有する。
【0013】
[0019]横方向距離d及び間隙gは、動作波長の半分より小さい。動作波長は、波長又は波長範囲に相当する。いくつかの実施例では、波長又は波長範囲は、UV域から近赤外領域(例えば、約300nmから約1500nm)の1つ又は複数の波長を含む。したがって、例えば、波長700nmでは、距離d及び間隙gは350nm未満である。いくつかの実施形態では、間隙gは、約100nm以下であってもよい。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできる1つ又は複数の実施形態では、複数の支柱104Aの各支柱の横方向距離dは、実質的に同じである。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできる他の実施形態では、少なくとも1つの支柱の横方向距離dは、複数の支柱104Aの追加の支柱の横方向距離dとは異なる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできる1つ又は複数の実施形態では、複数の支柱104Aの隣り合う支柱の各々の間隙gは、実質的に同じである。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできる他の実施形態では、少なくとも1組の隣り合う支柱の間隙gは、複数の支柱104Aの隣り合う支柱の追加の組の間隙gとは異なる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできる1つ又は複数の実施形態では、複数の支柱104Aの隣り合う支柱の各々の横方向距離dは、複数の支柱104Aの隣り合う支柱の各々の間隙gより大きい。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、距離dは約100nmから約300nmであり、間隙gは約30nmから約100nmである。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、複数の支柱104Bの配列は、複数の支柱104Aの配列に相当するか、そうでなければ一致する。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできる他の実施形態では、複数の支柱104Bの配列は、複数の支柱104Aの配列に対応していない。
【0014】
[0020]基板102は、動作波長の光を透過するように選択され得る。限定されないが、いくつかの実施形態では、基板102は、光スペクトルのUV域の約50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%以上を透過するように構成される。基板102は、動作波長の光を適切に透過させることができ、かつ少なくとも複数の支柱104Aの配列及び封入層106Aのための適切な支持体として機能することができるならば、任意の適切な材料から形成されてよい。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、基板102の材料は、支柱104A、104Bの各々に使用される材料の屈折率と比較して、比較的低い屈折率を有する。基板の選択は、半導体、ドープ半導体、アモルファス誘電体、非アモルファス誘電体、結晶性の誘電体、酸化ケイ素、ポリマー、及びこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の適切な材料の基板を含むことができる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、基板102は透明な材料を含む。基板102は、吸収係数が0.001未満の透明なものである。例には、限定されないが、酸化物、硫化物、リン化物、テルル化物、及びこれらの組み合わせが含まれ得る。一例では、基板102は、シリカ(SiO2)含有材料を含む。
【0015】
[0021]支柱104A、104Bは、二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、二酸化すず(SnO2)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、フッ素ドープ酸化すず(FTO)、すず酸カドミウム(酸化すず)(CTO)、すず酸亜鉛(酸化すず)(SnZnO3)、及びケイ素含有材料を含むがこれらに限定されない材料を含む。ケイ素含有材料は、窒化ケイ素(Si3N4)又はアモルファスシリコン(a-Si)含有材料の少なくとも1つを含むことができる。支柱104A、104Bは、約1.8以上、例えば約1.8から約6、例えば約1.8から約5、例えば約1.8から約4の屈折率を有し得る。支柱104A、104Bは、約0.001未満、例えば約0から約0.001、例えば約0.00001から約0.001、例えば約0.0001から約0.001の吸収係数を有し得る。
【0016】
[0022]間隙gに対応する間隙充填部108A、108Bの組成物を含む封入層106A、106Bの本明細書に記載される材料、寸法、及びプロセスの利用は、約1500nm以下の支柱104A、104Bの高さhを提供する。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、支柱104A、104Bの高さhは約500nm以下である。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、支柱104A、104Bの高さhは約300nmから約1500nmである。支柱104A、104Bの高さhを低くすることは、層スタック101A、101Bの厚さ110A、110B及び平面光学装置100の総厚を減少させる。減少した平面光学装置100の総厚は、そのままの光学装置と比較して、インピーダンス整合及び装置の対称性により伝送効率を高め、製造の複雑さとコストを低下させる。
【0017】
[0023]本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、封入層106A、106Bの屈折率は、約1.0から約1.5、例えば約1.0から約1.45、例えば約1.0から約1.4、例えば約1.0から約1.3、例えば約1.0から約1.2、例えば約1.0から約1.1、代替的に約1.3から約1.4、代替的に約1.25から約1.35である。いくつかの実施形態では、封入層106A、106Bの屈折率が、全体封入材なしの光学装置の性能に一致する空気の屈折率(例えば、1.0)に近づくことが望ましい場合がある。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、封入層106A、106Bは、約0.001未満の吸収係数を有する。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、封入層106A、106Bは、支柱104Aを外的要因(例えば、水、腐食)から保護するために疎水性である。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、封入層106A、106Bは、均質又は均一で実質的に粒界を含まない。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、封入層106A、106Bは、密な膜(例えば、実質的にボイドを有さず、公称多孔性を有する)を形成する。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、封入層106A、106B及び基板102は、実質的に同じ材料を含む。
【0018】
[0024]本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、封入層106A、106Bは、シリカ含有材料又は非シリカ含有材料、例えばポリマー含有材料、例えば有機フルオロポリマー材料のうちの1つを含む。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、封入層106A、106Bは、アモルファスフルオロポリマーを含む。アモルファスフルオロポリマーは、半結晶性のフルオロポリマーと比較して、高度に光学的に透明である。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、封入層106A、106Bは、
図1D~1Eに示されるフルオロポリマーのうちの1つ、例えば、ポリ[4,5-ジフルオロ-2,2-ビス(トリフルオロメチル)-1,3-ジオキソール-コ-テトラフルオロエチレン](構造107A)又はペルフルオロ(3-ブテニルビニルエーテル)(PBVE)シクロポリマー(構造107B)とすることができるか、又はそれを含むことができる。構造107Aを参照すると、xの値は、約80から約12500、例えば約120から約9000、例えば約200から約5000、例えば約500から約1000、例えば約870とすることができ、yの値は、約80から約30000、例えば約300から約15000、例えば約300から約9000、例えば約500から約1000、例えば約870とすることができる。構造107Bを参照すると、nの値は、約30から約11,000、例えば約50から約2,000、例えば約100から約1,600、例えば約100、代替的に約800、代替的に約1,600とすることができる。他の実施形態では、封入層106A、106Bは、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-2,2,4-トリフルオロ-5-トリフルオロメトキシ-1,3-ジオキソール)とすることができるか、又はそれを含むことができる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、封入層106A、106Bは、1つ又は複数の架橋性アルコキシシラン部分を有するフルオロポリマーとすることができるか又はそれを含むことができる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、封入層106A、106Bは、他のテトラフルオロエチレンコポリマーとすることができるか、又はそれを含むことができる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの他の実施形態では、封入層106A、106Bは、C6フッ化炭素、ペルフルオロポリエーテルポリ-アクリレート官能性オリゴマー、1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート(HDFDMA)、ポリ(tert-ブチルメタクリレート-コ-グリシジルメタクリレート)、ポリ(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルアクリレート)、ポリ(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)、ポリ(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート-コ-グリシジルメタクリレート)、ポリ(2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルアクリレート)、ポリ(2,2,3,4,4,4,-ヘキサフルオロブチルメタクリレート-コ-グリシジルメタクリレート)、ポリ(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート)、ポリ(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート)、ポリ(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート-コ-グリシジルメタクリレート)、ポリ(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルアクリレート)、ポリ(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルメタクリレート)、ポリ(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルメタクリレート-コ-グリシジルメタクリレート)、ポリ(ペンタフルオロスチレン)、ポリ(ペンタフルオロスチレン-コ-グリシジルメタクリレート)、ポリ(ペンタフルオロスチレン-コ-グリシジルメタクリレート)、ポリ(2,2,3,3-テトラフルオロプロピルアクリレート)、ポリ(2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレート)、ポリ(2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート)、ポリ(2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート-コ-グリシジルメタクリレート)、ポリ(2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート-コ-グリシジルメタクリレート)、他の類似のポリマー、又はこれらの組み合わせとすることができるか、又はそれを含むことができる。
【0019】
[0025]1つ又は複数の実施形態では、封入層106A、106Bは、約1.5未満の屈折率、例えば約1から約1.5の屈折率を有する任意のフルオロポリマー材料とすることができるか、又はそれを含むことができる。1つ又は複数の実施形態では、封入層106A、106Bは、約250℃まで熱的に安定である材料を含む。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、封入層106A、106Bは、金属フッ化物、例えばフッ化アルミニウム(AlF3)及びフッ化マグネシウム(MgF2)といったフッ素含有材料とすることができるか、又はそれを含むことができる。
【0020】
[0026]フルオロポリマーベースの封入層106A、106Bは、低い屈折率(例えば、約1.5未満の屈折率)、高い透明性(例えば、約0.001未満の吸収係数)、及び疎水性(例えば、約100°以上の水接触角)を有する平面光学装置のナノ支柱に機械的保護を提供するのために有利であり得る。本明細書で使用される場合、固液界面で測定される接触角は、液体の表面と固体の接触面との間の角度であり、接触角は、完全に濡れている場合の0°から、濡れが不十分である場合の理論上限である180°までの範囲である。加えて、フルオロポリマーベースの全体封入材は、導波路コンバイナのスラント型回折格子の保護及びフレキシブルディスプレイ技術にとって有利であり得る。有益には、フルオロポリマーベースの封入層106A、106Bは、平面光学装置の貯蔵寿命を改善することができる。有益には、フルオロポリマーベースの封入層106A、106B、特にキャップ部109A、109Bは、多層平面光学装置に機械的支持及び間隔を提供することができる。有益には、フルオロポリマーベースの封入層106A、106Bは、比較的高い屈折率の材料(例えば、TiO2)のさらなる堆積プロセス(例えば、原子層堆積)に供することができる。本開示の恩恵を受け得る光学装置には、レンズ、ビームデフレクタ、ホログラムジェネレータ、及びディフューザーが含まれる。
【0021】
[0027]本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、封入層106A、106Bは、フルオロポリマーベースのエアロゲル材料を含む。フルオロポリマーベースのエアロゲル材料は、封入層106A、106Bに空隙を提供するナノスケールの多孔性を含む。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできる1つ又は複数の実施形態では、フルオロポリマーベースのエアロゲル材料は、約95%以上、例えば約95%から約99%のナノスケールの空隙に相当する多孔性を有する。フルオロポリマーベースのエアロゲル材料のナノスケールの多孔性は、フルオロポリマーの屈折率を低下させる。低下した屈折率は、支柱104A、104Bの高さhを減少させる。フルオロポリマーベースのエアロゲル材料は、支柱104Aを外的要因から保護するために疎水性である。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるさらに他の実施形態では、封入層106A、106Bは、フルオロポリマーベースのメソ多孔性コーティングを含む。
【0022】
[0028]本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできる1つ又は複数の実施形態では、間隙充填部108A及びキャップ部109Aは、封入層106Aが均一な屈折率を有するように、同じ材料で形成される。他の実施形態では、間隙充填部108A及びキャップ部109Aは、同じ又は異なる屈折率を有する異なる材料で形成される。いくつかの実施形態では、間隙充填部108Aの屈折率は、キャップ部109Aの屈折率より大きい。他の実施形態では、間隙充填部108Aの屈折率は、キャップ部109Aの屈折率より小さい。いくつかの実施形態では、支柱104Aの減少した高さhは、封入層106Aの屈折率が、間隙充填部分108A、キャップ部109A、又はその両方において減少した値を有する場合に使用することができる。
【0023】
[0029]
図2は、
図3A~3Dに示される平面光学装置100を形成する方法200の図である。操作201において、基板102の表面上に複数の支柱104Aの配列が形成される。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできる1つ又は複数の実施形態では、複数の支柱104Aの配列を形成することは、基板102の表面の上に支柱材料301を配置することと、支柱材料301の一部を除去してトレンチ302を形成することとを含む。トレンチ302は、支柱104Aの間隙g(平面光学装置100の間隙部108Aを含む)に相当し、支柱材301の残りの部分は横方向距離dに相当し、支柱材301の厚さは、高さhに相当する。
【0024】
[0030]操作202において、接着促進材304が、複数の支柱104Aの上に配置される。接着促進材304は、トレンチ302を充填するための封入層306Aの流動性を改善するために、支柱104Aを下塗りする。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、接着促進材304は、疎水性テール基を有する材料を含む。このような実施形態では、複数の支柱104Aの露出表面への接着促進材304の結合は、疎水性テール基を露出したままにして、封入層306Aの表面流動性及び間隙充填を改善し、実質的にボイドを含まない間隙充填をもたらす。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、接着促進材304はフルオロシラン材料を含む。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、接着促進材304は、
図4A~4Dに示される材料の1つ、例えば、トリクロロ(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロオクチル)-シラン(構造400A)、1H,1H,2H,2H-ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン(構造400B)、1H,1H,2H,2H-ペルフルオロデシルトリエトキシシラン(構造400C)、又はトリクロロ(3,3,3-トリフルオロプロピル)-シラン(構造400D)を含み得る。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできる1つ又は複数の実施形態では、接着促進材304は、支柱104Aの上に共形に配置される。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできる1つ又は複数の実施形態では、接着促進材304は単層である。いくつかの実施形態では、単層は、約1nmから約10nmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、平面光学装置100の露出表面は、接着促進材304がその上に配置される前に、イソプロピルアルコールなどの適切な洗浄溶液で洗浄される。いくつかの実施形態では、接着促進材304は、スピンコーティングによって堆積させることができる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできる1つ又は複数の実施形態では、堆積プロセスの間、基板102は、基板102の中心軸103を中心に回転される。いくつかの実施形態では、基板102は、約200rpm以上、例えば約500rpm以上で回転される。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、接着促進材304の堆積後、平面光学装置100は、加熱される、及び/又は上昇させた温度に維持される。いくつかの実施形態では、昇温させた温度は室温よりも高く、例えば約23℃以上、例えば約50℃以上、例えば約80℃以上、例えば約110℃以上である。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、スピンコーティング及び加熱の操作は、2回以上繰り返される。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、接着促進材304は、加熱後に超音波処理される。
【0025】
[0031]操作203において、封入層106Aに相当する封入層306Aが、支柱104Aの上に配置される。封入層306Aを配置することは、スピンコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、蒸気引き抜き、又はエアロゾル化を含み得るが、これらに限定されない。封入層306Aの間隙充填部308Aは、支柱104Aの間隙gに相当するトレンチ302内に配置される。いくつかの実施形態では、封入層306Aを配置する前に複数の支柱104Aの上に接着促進材304を配置することにより、間隙充填部308Aの流動性及び間隙充填が改善される。複数の支柱104Aの露出表面に接着促進材304を適用した後、複数の支柱104Aのコーティング表面上の封入層306Aの接触角を、約40°以下、例えば約30°以下、例えば20°以下に減少させる。封入層306Aのキャップ部309Aは、複数の支柱104Aの上及び上部に、及び間隙充填部308Aの上に配置される。いくつかの実施形態では、キャップ部309Aの膜厚さは、封入材料の溶液濃度を調整することによって変更することができる。いくつかの実施形態では、封入材料の溶液濃度は、約0.1% v/vから約10% v/v、例えば約1% v/vから約5% v/v、例えば約3% v/vであり得る。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできる1つ又は複数の実施形態では、封入層306Aのキャップ部309Aは、約50nm以上、例えば約50nmから約1cm、例えば約50nmから約1mm、例えば約50nmから約100μm、例えば約50nmから約10μmの厚さを有する。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできる他の実施形態では、封入層306Aのキャップ部309Aは、約1μm以下、例えば約50nm~約1μmの厚さを有する。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできる1つ又は複数の実施形態では、堆積プロセスの間、基板102は、基板102の中心軸103を中心に回転される。いくつかの実施形態では、基板102は、約1000rpm以上、例えば約2000rpm以上、代替的に約500rpmから約6000rpmで回転される。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることのできるいくつかの実施形態では、封入層306Aの堆積後、平面光学装置100は、封入層306Aの硬化を促進するために、上昇させた温度(例えば、約275℃以上まで)で加熱される、及び/又は同温度に維持される。他の実施形態では、封入層306Aは、加熱することなく空気中で硬化させることができる。
【0026】
[0032]操作201~203は、層スタック101Aを含む単層スタック平面光学装置100を形成する。操作204において、少なくとも操作201~203が少なくとも1回繰り返され、層スタック101A及び少なくとも1つの層スタック101Bを有する多層スタック光学装置が形成される。層スタック101Bは、少なくとも、封入層306A、複数の支柱104Bの配列、及び封入層306Bを含む。操作201を介して形成された複数の支柱104Bの配列は、封入層306Aの1つの上に配置され、封入層306A上にスペーサ層(図示せず)が配置される。
【0027】
[0033]まとめると、本明細書に記載される実施形態は、平面光学装置及び平面光学装置を形成する方法を提供する。光学装置の1つ又は複数の実施形態は、1つの層スタックを含む単層スタック平面光学装置である。層スタックは、基板の表面上に配置された第1の複数の支柱の第1の配列と、第1の封入層とを含む。光学装置の他の実施形態は、第1の層スタックとその上に形成された第2層スタックとを含む多層スタック光学装置である。1つ又は複数の層スタックのうちの第2の層スタックは、前記第1の層スタックの上に配置される。第2層スタックは、第1の封入層と第1の封入層上に配置されたスペーサ層のうちの1つに配置された第2の複数の支柱の第2の配列を含む。封入層の本明細書に記載される材料、寸法、及びプロセス、並びに間隙に相当する組成は、約1500nm以下、例えば約300nmから約1500nm、例えば約300nmから約500nmの支柱の高さhを提供する。支柱の高さhを低くすることで、層スタックの厚さが減少し、平面光学装置の総厚が減少する。減少した平面光学装置の総厚は、そのままの光学装置と比較して、インピーダンス整合及び装置の対称性による高い伝送効率と、製造の複雑さ及びコストを低減する。
【0028】
[0034]以上の記述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく本開示の他の実施形態及び追加の実施形態を考案することができ、本開示の範囲は、特許請求の範囲によって決定される。
【手続補正書】
【提出日】2024-11-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の複数の構造の第1の配列が上に形成されている基板であって、前記第1の複数の構造の第1の配列が、
高さh及び横方向距離dを有する構造、及び
前記第1の複数の構造のうち隣り合う構造間の距離に相当する間隙g、
を含む、基板と、
前記第1の複数の構造の前記第1の配列の上に配置され、第1の間隙充填部とキャップ部とを含む第1の封入層であって、前記第1の間隙充填部は第1の屈折率を有する第1の材料を含み、前記キャップ部は、前記第1の材料とは異なる、第2の屈折率を有する第2の材料を含み、前記第1の間隙充填部は、前記第1の複数の構造のうち隣り合う構造間の前記間隙gを充填する、第1の封入層と
を含む装置。
【請求項2】
前記第1の複数の構造の第1の配列の上に配置された第1の接着促進材をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の間隙充填部は、フルオロポリマーを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記間隙gと前記高さhとのアスペクト比が1:1と1:20との間である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の封入層がアモルファスフルオロポリマーを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の封入層が、ポリ(4,5-ジフルオロ-2,2-ビス(トリフルオロメチル)-1,3-ジオキソール-コ-テトラフルオロエチレン)又はペルフルオロ(3-ブテニルビニルエーテル)(PBVE)シクロポリマーのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の封入層がテトラフルオロエチレンコポリマーを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の接着促進材がフルオロシランを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の接着促進材が、トリクロロ(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロオクチル)-シラン、1H,1H,2H,2H-ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H-ペルフルオロデシルトリエトキシシラン、又はトリクロロ(3,3,3-トリフルオロプロピル)-シランのうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
基板の表面上に第1の複数の構造の第1の配列を形成することであって、前記第1の複数の構造の第1の配列が、
高さh及び横方向距離dを有する構造、及び
前記第1の複数の構造のうち隣り合う構造間の距離に相当する間隙g
を含む、第1の複数の構造の第1の配列を形成することと、
前記第1の複数の構造の前記第1の配列の上に第1の封入層を配置することであって、前記第1の封入層が、第1の間隙充填部とキャップ部とを含み、前記第1の間隙充填部は第1の屈折率を有する第1の材料を含み、前記キャップ部は、前記第1の材料とは異なる、第2の屈折率を有する第2の材料を含み、前記第1の間隙充填部は、前記第1の複数の構造のうち隣り合う構造間の前記間隙gを充填する、第1の封入層を配置することと
を含む方法。
【請求項11】
前記第1の複数の構造の第1の配列の上に配置された第1の接着促進材を配置することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の間隙充填部は、フルオロポリマーを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記間隙gと前記高さhとのアスペクト比が1:1と1:20との間である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
スピンコーティングにより、前記第1の接着促進材を堆積させることと、
前記第1の接着促進材を、上昇させた温度でベーキングすることと、
スピンコーティング及びベーキングの操作を2回以上繰り返すことと
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
スピンコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、又は蒸気引き抜きのうちの少なくとも1つによって前記第1の封入層を堆積させることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
第1の複数の構造の第1の配列が上に形成されている基板であって、前記第1の複数の構造の第1の配列が、
前記基板から離れる方向に向く第1の表面、及び隣り合う構造に向く1つ又は複数の側面を有する構造、並びに
隣り合う構造間に形成されたトレンチ
を含む、基板と、
前記第1の複数の構造の前記第1の配列の上に配置され、第1の間隙充填部とキャップ部とを含む第1の封入層であって、前記第1の間隙充填部は第1の屈折率を有する第1の材料を含み、前記キャップ部は、前記第1の材料とは異なる、第2の屈折率を有する第2の材料を含み、前記第1の間隙充填部は、前記第1の複数の構造のうち隣り合う構造間の前記トレンチを充填する、第1の封入層と
を含む装置。
【請求項17】
前記第1の複数の構造の第1の配列の上に配置された第1の接着促進材をさらに含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第1の間隙充填部は、フルオロポリマーを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の封入層が、ポリ(4,5-ジフルオロ-2,2-ビス(トリフルオロメチル)-1,3-ジオキソール-コ-テトラフルオロエチレン)又はペルフルオロ(3-ブテニルビニルエーテル)(PBVE)シクロポリマーのうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記第1の封入層の前記キャップ部が、前記第1の複数の構造の前記第1の表面の上に配置されている、請求項16に記載の装置。
【外国語明細書】