IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-基板処理方法 図1
  • 特開-基板処理方法 図2
  • 特開-基板処理方法 図3
  • 特開-基板処理方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027355
(43)【公開日】2025-02-27
(54)【発明の名称】基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20250219BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20250219BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20250219BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/302 101B
H01L21/302 104H
H01L21/318 B
H01L21/30 570
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132102
(22)【出願日】2023-08-14
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 一希
(72)【発明者】
【氏名】藤田 成樹
(72)【発明者】
【氏名】山地 智仁
【テーマコード(参考)】
5F004
5F058
5F146
【Fターム(参考)】
5F004AA03
5F004AA04
5F004BA09
5F004BB26
5F004CA04
5F004DA01
5F004DA04
5F004DA23
5F004DA25
5F004DB23
5F004DB26
5F004EA03
5F004EA04
5F004EA07
5F004EA23
5F004EA28
5F004EB07
5F058BC10
5F058BD13
5F058BF01
5F058BF07
5F058BF37
5F058BJ05
5F146LA18
(57)【要約】
【課題】フォトレジスト膜の上に選択的に窒化膜を形成する基板処理方法を提供する。
【解決手段】下地膜を有する基板を準備する工程と、前記下地膜の上にフォトレジスト膜を形成する工程と、前記フォトレジスト膜に露光処理及び現像処理を施して、前記フォトレジスト膜に開口のパターンを形成する工程と、第1の元素を含有する浸潤ガスにさらし、前記フォトレジスト膜の上部に前記第1の元素を浸潤させ変性層を形成する工程と、前記変性層の上に第2の元素を含有する窒化膜を選択的に形成する工程と、を有する、基板処理方法。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地膜を有する基板を準備する工程と、
前記下地膜の上にフォトレジスト膜を形成する工程と、
前記フォトレジスト膜に露光処理及び現像処理を施して、前記フォトレジスト膜に開口のパターンを形成する工程と、
第1の元素を含有する浸潤ガスにさらし、前記フォトレジスト膜の上部に前記第1の元素を浸潤させ変性層を形成する工程と、
前記変性層の上に第2の元素を含有する窒化膜を選択的に形成する工程と、を有する、
基板処理方法。
【請求項2】
前記第1の元素は、ボロン(B)またはチタン(Ti)である、
請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記浸潤ガスは、ジメチルエトキシボロン、トリイソペンチルボロン、トリメチルボロキシン、トリブチルボレートのいずれかである、
請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記浸潤ガスは、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン、テトラキス(エチルメチルアミノ)チタン、テトラクロロチタンのいずれかである、
請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記変性層を形成する工程において、
プロセス温度は、60℃~200℃の範囲内であり、
圧力範囲は、10Pa~100,000Paの範囲内である、
請求項3または請求項4に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記変性層を形成する工程は、
前記浸潤ガスを供給する工程と、
パージガスを供給する工程と、を繰り返す、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記第2の元素は、ボロン(B)またはチタン(Ti)である、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記第1の元素及び前記第2の元素は、同じ元素である、
請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記窒化膜は、BNまたはTiNである、
請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記窒化膜を形成する工程は、
原料ガスを供給する工程と、
反応ガスを供給する工程と、を繰り返す、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記原料ガスは、
ジメチルエトキシボロン、トリイソペンチルボロン、トリメチルボロキシン、トリブチルボレート、トリクロロボラン、ジボラン、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリ(ジメチルアミノ)ボロン、トリ(ジエチルアミノ)ボロン、トリメチルボラジン、ボラジン、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン、テトラキス(エチルメチルアミノ)チタン、テトラクロロチタンのいずれかである、
請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記反応ガスは、
NHである、
請求項11に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記フォトレジスト膜は、化学増幅型レジスト膜である、
請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記下地膜は、
シリコン含有膜または炭素含有膜である、
請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記窒化膜を選択的に形成する工程の後、前記フォトレジスト膜のパターンを前記下地膜に転写する工程をさらに有する、
請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記下地膜に転写する工程の後、前記窒化膜を除去する工程をさらに有する、
請求項15に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シリコン基板に実質的に垂直な側壁を有する溝を形成するための下記工程を含む半導体デバイスの製造方法であって、(イ)シリコン基板上に、第1のフォトレジスト層を、窒化シリコン層及び上記第1のフォトレジスト層より薄い高感度の第2のフォトレジスト層をこの順に設ける工程と、(ロ)所望のパターンを、上記第2のフォトレジスト層中に形成し、CFを用いた反応性イオンエッチングにより上記窒化シリコン層に転写し、低い圧力の酸素を用いた反応性イオンエッチングにより上記第1のフォトレジスト層に転写する工程と、(ハ)上記(イ)及び(ロ)の工程によって形成きれたマスクの開孔を経て、極めて低濃度の弗素を有するCFプラズマ中で反応性イオンエッチングすることにより、上記シリコン基板中に溝を形成する工程を含む半導体デバイスの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59-013329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一態様は、フォトレジスト膜の上に選択的に窒化膜を形成する基板処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、下地膜を有する基板を準備する工程と、前記下地膜の上にフォトレジスト膜を形成する工程と、前記フォトレジスト膜に露光処理及び現像処理を施して、前記フォトレジスト膜に開口のパターンを形成する工程と、第1の元素を含有する浸潤ガスにさらし、前記フォトレジスト膜の上部に前記第1の元素を浸潤させ変性層を形成する工程と、前記変性層の上に第2の元素を含有する窒化膜を選択的に形成する工程と、を有する、基板処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、フォトレジスト膜の上に選択的に窒化膜を形成する基板処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る基板処理方法の一例を示すフローチャート。
図2】各工程における基板の断面模式図の一例。
図3】ステップS104の現像処理後における基板の一例。
図4】ステップS105で処理された基板における原子濃度の一例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
本実施形態に係る基板処理方法の一例について、図1から図2を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る基板処理方法の一例を示すフローチャートである。図2は、各工程における基板の断面模式図の一例である。
【0010】
ステップS101において、基板を準備する。ここで、準備される基板は、基部200と、ハードマスク210と、を含む。基部200は、例えば、Si、TiN、TiO、SiN等のいずれかである。ハードマスク210は、基部200の上に形成される。ハードマスク210は、SOC(Spin On Carbon)膜211と、SOG(Spin On Glass)膜212と、を含む。SOC膜211は、炭素含有膜である。SOG膜212は、シリコン含有膜である。なお、ハードマスク210の構成は、これに限られるものではない。ハードマスク210は、SOC膜211とSOG膜212のいずれか一方のみであってもよく、他の膜を有していてもよい。例えば、ハードマスク210は、反射防止膜(BARC:Bottom Anti-Reflective Coating)等の膜を有していてもよい。なお、以下の説明において、フォトレジスト膜220の下に配置される膜を下地膜ともいう。図2に示す例において、SOG膜212が下地膜となる。なお、下地膜は、SOG膜212(シリコン含有膜)に限られるものではなく、SOC膜211(炭素含有膜)であってもよく、反射防止膜(シリコン含有膜、図示せず)であってもよい。
【0011】
ステップS102において、基板にフォトレジスト膜220を形成する。ここでは、下地膜であるSOG膜212の上にフォトレジスト膜220を形成する。フォトレジスト膜220は、例えば化学増幅型レジスト(CAR:Chemically Amplified Resist)膜である。化学増幅型レジストは、後述する浸潤ガスと結合する反応基(例えば、-COOR、Rは炭化水素基)を有する。また、フォトレジスト膜220は、ネガ型のフォトレジスト膜であってもよく、ポジ型のフォトレジスト膜であってもよい。
【0012】
ステップS103において、基板に露光処理を施す。ここでは、窒素雰囲気下で、所定のパターンを有するフォトマスクを介して基板のフォトレジスト膜220にEUV(Extreme Ultraviolet:極端紫外線)を照射し、フォトレジスト膜220にEUVが照射された露光部とEUVが照射されていない未露光部を形成する。
【0013】
ステップS104において、基板に現像処理を施す。ここでは、現像処理により、フォトレジスト膜220の露光部または未露光部のいずれか一方を選択的に除去する。また、現像処理は、ウェットプロセス、ドライプロセスのうち少なくともいずれか1つを用いることができる。なお、ネガ型のフォトレジスト膜では、現像処理により未露光部を選択的に除去し露光部を残すことで、フォトレジスト膜に開口のパターンを形成する。また、ポジ型のフォトレジスト膜では、現像処理により露光部を選択的に除去し未露光部を残すことで、フォトレジスト膜に開口のパターンを形成する。図2(a)は、現像処理後における基板の断面模式図の一例である。図2(a)に示すように、フォトレジスト膜220には、開口のパターン225が形成される。
【0014】
ここで、ステップS104の現像処理によって開口のパターン225が形成されたフォトレジスト膜220の一例について、図3を用いて説明する。図3は、ステップS104の現像処理後における基板の一例である。図3(a)は、基板を上方から見た図である。図3(b)は、一の断面方向(B-B断面)から見た基板の断面模式図の一例である。図3(c)は、他の断面方向(C-C断面)から見た基板の断面模式図の一例である。なお、図3において、基板の面方向をX方向及びY方向とし、基板の厚さ方向をZ方向とする。
【0015】
フォトレジスト膜220の形成処理(S102)、露光処理(S103)、現像処理(S104)によって、図3(a)及び図3(b)に示すように、フォトレジスト膜220に開口のパターン225が形成される。ここでは、フォトレジスト膜220に直線状のパターン(ラインアンドスペース)が形成されている。
【0016】
ここで、図3(c)に示すように、現像処理の過程でフォトレジスト膜220に膜厚が減少した減膜部229が発生するおそれがある。SOG膜212にパターンを転写(後述するS107参照)する際、減膜部229を有するフォトレジスト膜220では、好適にパターンを転写することができなくなるおそれがある。例えば、パターンの構造がラインアンドスペースである場合においては、ピンチングが発生するおそれがある。また、パターンの構造がホールである場合には、マージングが発生するおそれがある。
【0017】
図1に戻り、ステップS105において、パターン225が形成されたフォトレジスト膜220の上部に変性層221を形成する。ここでは、基板を収容した処理容器に第1の元素を含有する浸潤ガスを供給し、基板を浸潤ガスにさらす。これにより、フォトレジスト膜220の上部に浸潤ガスの第1の元素を浸潤させ、フォトレジスト膜220の上部に変性層221を形成する。
【0018】
ここで、浸潤ガスが含有する第1の元素は、ボロン(B)、チタン(Ti)のいずれかである。
【0019】
ボロン(B)を含有する浸潤ガスは、例えば、ジメチルエトキシボロン、トリイソペンチルボロン、トリメチルボロキシン、トリブチルボレート、ボラジンのいずれかである。
【0020】
チタン(Ti)を含有する浸潤ガスは、例えば、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン、テトラキス(エチルメチルアミノ)チタン、テトラクロロチタンのいずれかである。
【0021】
また、変性層221を形成する工程(S105)において、プロセス温度は、浸潤ガスがCVD(chemical vapor deposition)反応によって成膜する温度条件よりも低い温度範囲が用いられる。これにより、開口底部のSOG膜212の表面等に第1の元素を含む膜が形成されることを抑制する。
【0022】
変性層221を形成する工程における処理条件の一例を示す。
プロセス温度:50℃~200℃の範囲内、好ましくは100℃前後(80℃~120℃の範囲内)
圧力範囲:10Pa~100,000Paの範囲内
【0023】
図2(b)は、変性層221の形成処理後における基板の断面模式図の一例である。ここで、フォトレジスト膜220は、浸潤ガスと結合する反応基(例えば、-COOR、Rは炭化水素基)を有する。浸潤ガスがフォトレジスト膜220の上部と反応することにより、第1の元素がフォトレジスト膜220の上部に浸潤して変性層221を形成する。また、フォトレジスト膜220は、樹脂で構成されており、浸潤ガスがフォトレジスト膜220の表層に拡散する。一方、SOG膜212は、浸潤ガスと結合する反応基が十分に少なくなっている。また、SOG膜212は、アニール処理が施されガラス状に構成されており、浸潤ガスが拡散し難くなっている。このため、浸潤ガスは、選択的にフォトレジスト膜220の上部と反応し、フォトレジスト膜220の上部に変性層221を形成する。
【0024】
また、ステップS105において、浸潤ガスを供給する工程と、パージガス(例えばNガス)を供給する工程と、を1サイクルとして、このサイクルを繰り返してもよい。これにより、サイクル数を重ねることで第1の元素の浸潤量を増やすことができる。また、SOG膜212の表面等に物理吸着した浸潤ガスをパージガスで除去することができる。また、フォトレジスト膜220の上部と開口内の側壁とにおいて、浸潤ガスの接触頻度は、フォトレジスト膜220の上部の方が開口内の側壁と比較して高くなる。このため、フォトレジスト膜220の上部に選択的に変性層221が形成される。
【0025】
図2(b)は、変性層221の形成処理後における基板の断面模式図の一例である。図2(b)に示すように、フォトレジスト膜220の上部に選択的に変性層221が形成される。また、フォトレジスト膜220の開口内の側壁に変性層221が形成されることを抑制する。また、開口底部のSOG膜212に浸潤ガスが吸着することを抑制する。
【0026】
ここで、ステップS105の処理によって浸潤ガスの第1の元素がフォトレジスト膜220に浸潤する一例について、図4を用いて説明する。図4は、ステップS105で処理された基板における原子濃度の一例を示すグラフである。ここでは、浸潤ガスとしてテトラキス(ジメチルアミノ)チタンを用いてステップS105で処理された基板に対し、X線光電子分光法(XPS)により原子濃度を基板の深さ方向に分析した。横軸は、エッチング時間(Etch time)を示し、基板の深さ方向に対応する。縦軸は、原子濃度(Atomic concentration)を示す。
【0027】
図4に示すように、基板の表層付近(エッチング時間が0付近)において、Tiの原子濃度が高くなっている。即ち、フォトレジスト膜220の表層に第1の元素であるチタン(Ti)が浸潤し、変性層221が形成されていることを示す。
【0028】
図1に戻り、ステップS106において、パターン225が形成されたフォトレジスト膜220の上部に窒化膜230を形成する。窒化膜230は、第2の元素及び窒素(N)を含む窒化膜である。第2の元素は、ボロン(B)、チタン(Ti)のいずれかである。また、第1の元素と第2の元素は、同じ元素であることが好ましい。即ち、第1の元素がボロン(B)である場合、第2の元素もボロン(B)である。また、第1の元素がチタン(Ti)である場合、第2の元素もチタン(Ti)である。また、第1の元素と第2の元素は、異なる元素(例えば、一方がボロンで他方がチタン)であってもよい。窒化膜230は、BN、TiN等のいずれかである。
【0029】
窒化膜230は、原料ガスと反応ガスを用いて窒化膜230を形成する。窒化膜230の形成は、CVD(Chemical Vapor Deposition)、ALD(Atomic Layer Deposition)法、プラズマCVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)、プラズマALD(Plasma Enhanced Atomic Layer Deposition)等のいずれかを用いることができる。
【0030】
例えば、プラズマALDにより、窒化膜230を形成する場合、処理容器内に原料ガスを供給して基板を原料ガスにさらす工程と、パージガスを供給して処理容器内の原料ガス等をパージする工程と、処理容器内に反応ガスを供給し反応ガスのプラズマを生成して、基板を反応ガスのプラズマにさらす工程と、パージガスを供給して処理容器内の反応ガス等をパージする工程と、を1サイクルとして、所定サイクル繰り返す。
【0031】
原料ガスを供給して基板を原料ガスにさらす工程において、原料ガスが変性層221の第1の元素と選択的に吸着する。また、反応ガスを供給し基板を反応ガスのプラズマにさらす工程において、変性層221に吸着した原料ガスを窒化させ窒化膜を形成する。次のサイクルにおいて、原料ガスが窒化膜と選択的に吸着する。これにより、サイクルを繰り返すことで変性層221の上に窒化膜230が選択的に形成される。
【0032】
また、プラズマを生成せずに窒化膜230を形成することが好ましい。これにより、開口底部のSOG膜212の上に窒化膜230が形成されることを抑制することができる。
【0033】
例えば、ALDにより窒化膜230を形成する場合、処理容器内に原料ガスを供給して基板を原料ガスにさらす工程と、パージガスを供給して処理容器内の原料ガス等をパージする工程と、パージガスを供給して処理容器内の反応ガス等をパージする工程と、を1サイクルとして、所定サイクル繰り返す。
【0034】
ボロン(B)を含む原料ガスとして、ジメチルエトキシボロン、トリイソペンチルボロン、トリメチルボロキシン、トリブチルボレート、トリクロロボラン、ジボラン、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリ(ジメチルアミノ)ボロン、トリ(ジエチルアミノ)ボロン、トリメチルボラジン、ボラジン等のいずれかを用いることができる。反応ガスとして、NHを用いることができる。また、反応ガスにN、H、Arを追加してもよい。
【0035】
窒化膜230としてBNを形成する場合おける処理条件の一例を示す。
温度:60℃~400℃、好ましくは60℃~150℃
圧力:1Torr~100Torr、好ましくは1Torr~10Torr
希釈ArまたはN:100sccm~100,000sccm、好ましくは100sccm~20,000sccm
ボロン(B)を含む原料ガス供給流量:1sccm~5,000sccm、好ましくは10sccm~500sccm
反応ガス供給流量:1sccm~5,000sccm好ましくは100sccm~1,000sccm
RFパワー(プラズマを生成する場合):10W~1,000W、好ましくは10W~100W
【0036】
また、チタン(Ti)を含む原料ガスとして、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン、テトラキス(エチルメチルアミノ)チタン、テトラクロロチタン等のいずれかを用いることができる。反応ガスとして、NHを用いることができる。また、反応ガスにN、H、Arを追加してもよい。
【0037】
窒化膜230としてTiNを形成する場合おける処理条件の一例を示す。
温度:60℃~400℃、好ましくは60℃~150℃
圧力:1Torr~100Torr、好ましくは1Torr~10Torr
希釈ArまたはN:100sccm~100,000sccm、好ましくは100sccm~20,000sccm
ボロン(B)を含む原料ガス供給流量:1sccm~5,000sccm、好ましくは10sccm~500sccm
反応ガス供給流量:1sccm~5,000sccm好ましくは100sccm~1,000sccm
RFパワー(プラズマを生成する場合):10W~1,000W、好ましくは10W~100W
【0038】
図2(c)は、窒化膜230の形成処理後における基板の断面模式図の一例である。ここで、窒化膜230は、フォトレジスト膜220の上部の変性層221を起点として成膜する。このため、図2(c)に示すように、フォトレジスト膜220の上部に選択的に窒化膜230が形成される。なお、窒化膜230の膜厚は、SOG膜212の厚みと、窒化膜230とSOG膜212とのエッチング選択比と、から決定され、例えば5nmである。窒化膜230の膜厚を抑えることで、窒化膜230が開口側に左右にせり出してマッシュルーム状に成長することを抑制する。
【0039】
ステップS107において、SOG膜212にパターンを転写する。ここでは、パターン225が形成されたフォトレジスト膜220をマスクとして、CF系ガスを用いてSOG膜212にエッチング処理を施し、SOG膜212に開口のパターン215を形成する。即ち、フォトレジスト膜220の開口のパターン225をSOG膜212に転写して、SOG膜212に開口のパターン215を形成する。
【0040】
図2(d)は、SOG膜212にパターンを転写する処理後における基板の断面模式図の一例である。ここで、窒化膜230は、SOG膜212をエッチングする際に用いられるCF系ガスに対して、エッチング耐性を有している。このため、図2(d)に示すように、SOG膜212が選択的にエッチングされ、SOG膜212に開口のパターン215が形成される。
【0041】
ステップS108において、窒化膜230を除去する。例えば、CCP(Capacitively Coupled Plasma)型のプラズマエッチング装置において、塩素含有ガスを用いて窒化膜230を除去する場合おける処理条件の一例を示す。
使用ガス:CF、Cl、Ar
圧力:0.01Torr~1Torr
上部電極及び下部電極に印加する高周波電力:100W~1,000W(但し、上部電極に印加する高周波電力>下部電極に印加する高周波電力)
【0042】
図2(e)は、窒化膜230の除去処理後における基板の断面模式図の一例である。図2(e)に示すように、フォトレジスト膜220の上部の窒化膜230が除去される。併せて、フォトレジスト膜220の上部の変性層221も除去される。
【0043】
ステップS109において、フォトレジスト膜220を除去する。
【0044】
ステップS110において、SOC膜211にパターンを転写する。ここでは、パターン215が形成されたSOG膜212をマスクとして、SOC膜211にエッチング処理を施し、SOC膜211に開口のパターン216を形成する。即ち、SOG膜212の開口のパターン215をSOC膜211に転写して、SOC膜211に開口のパターン216を形成する。
【0045】
ステップS111において、SOG膜212を除去する。
【0046】
図2(f)は、SOG膜212の除去処理後における基板の断面模式図の一例である。図2(f)に示すように、基板は、基部200の上に開口のパターン216が形成されたSOC膜211を有する。以降、開口のパターン216が形成されたSOC膜211をマスクとして、基部200にエッチング処理を施し、基部200に開口のパターンを形成してもよい。
【0047】
以上の様に、本実施形態に係る基板処理方法によれば、フォトレジスト膜220の上部に選択的に変性層221を形成する処理(ステップS105)及びフォトレジスト膜220の上部に選択的に窒化膜230を形成する処理(ステップS106)を含む。これにより、フォトレジスト膜220の上部を選択的に窒化膜230で補強する。
【0048】
また、SOG膜212にパターンを転写する処理(ステップS107)において、フォトレジスト膜220のエッチング耐性を向上させることができる。よって、フォトレジスト膜220に減膜部229が発生した場合であっても、好適にパターンを転写することができる。
【0049】
また、フォトレジスト膜220を除去(ステップS109)する前に、フォトレジスト膜220の上部に形成された窒化膜230を好適に除去(ステップS108)することができる。
【0050】
以上、本実施形態に係る基板処理方法について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0051】
200 基部
210 ハードマスク
211 SOC膜(炭素含有膜、下地膜)
212 SOG膜(シリコン含有膜、下地膜)
220 フォトレジスト膜
221 変性層
230 窒化膜
215,216,225 パターン
229 減膜部
図1
図2
図3
図4