(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027495
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20250220BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20250220BHJP
G02B 27/28 20060101ALI20250220BHJP
H10K 50/86 20230101ALI20250220BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20250220BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20250220BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20250220BHJP
G02B 17/00 20060101ALN20250220BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G02B27/02 Z
G02B27/28 Z
H10K50/86
H10K59/10
G02B5/30
G09F9/30 365
G02B17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132250
(22)【出願日】2023-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】加茂 誠
【テーマコード(参考)】
2H087
2H149
2H199
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H087KA00
2H087LA12
2H087TA04
2H149AA13
2H149AA17
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2H149FA24W
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2H199AB12
2H199AB42
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2H199AB47
2H199AB52
2H199CA23
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2H199CA63
2H199CA65
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC03
3K107CC32
3K107EE26
5C094AA10
5C094BA23
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5C094ED11
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5C094FA01
5C094FA02
5G435AA03
5G435BB02
5G435BB04
5G435BB05
5G435BB06
5G435BB12
5G435FF03
5G435FF05
(57)【要約】
【課題】光利用効率が高い画像表示装置を提供する。
【解決手段】ディスプレイと第1反射偏光子と第2反射偏光子とを有し、第1および第2反射偏光子は、第1偏光を透過し第2偏光を反射する第1領域と、第2偏光を透過し第1偏光を反射する第2領域とを有し、光軸を通る線で第1領域と第2領域とに分割されており、第1領域と第2領域の形状は光軸に対して点対称であり、ディスプレイは、光軸を通る線で第1偏光を出射する第1表示領域と第2偏光を出射する第2表示領域とに分割されており、第1表示領域と第2表示領域の形状は光軸に対して点対称であり、第1反射偏光子の焦点は、第2反射偏光子に対して第1反射偏光子の逆側に位置し、第2反射偏光子の焦点は、第1反射偏光子と第2反射偏光子との間に位置し、光軸方向から見た際に、ディスプレイの第1表示領域と第1反射偏光子の第1領域と第2反射偏光子の第2領域とが重複している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、第1反射偏光子と、第2反射偏光子と、をこの順に有し、
前記第1反射偏光子と、前記第2反射偏光子とは、前記第1反射偏光子の光軸と、前記第2反射偏光子の光軸とが一致するように配置され、
前記第1反射偏光子は、第1偏光を透過し、前記第1偏光と直交する第2偏光を反射する第1領域と、前記第2偏光を透過し、前記第1偏光を反射する第2領域と、を有し、
前記第1反射偏光子は、前記第1反射偏光子の光軸を通る線で、前記第1領域と、前記第2領域とに分割されており、前記第1領域の形状と、前記第2領域の形状とは、前記第1反射偏光子の光軸に対して点対称であり、
前記第2反射偏光子は、前記第1偏光を透過し、前記第2偏光を反射する第1領域と、前記第2偏光を透過し、前記第1偏光を反射する第2領域と、を有し、
前記第2反射偏光子は、前記第1反射偏光子の光軸を通る線で、前記第1領域と、前記第2領域とに分割されており、前記第1領域の形状と前記第2領域の形状とは前記第1反射偏光子の光軸に対して点対称であり、
前記ディスプレイは、前記第1反射偏光子の光軸を通る線で、前記第1偏光を出射する第1表示領域と、前記第2偏光を出射する第2表示領域とに分割されており、前記第1表示領域の形状と前記第2表示領域の形状とは前記第1反射偏光子の光軸に対して点対称であり、
前記第1反射偏光子の焦点は、前記第2反射偏光子に対して前記第1反射偏光子の逆側に位置し、
前記第2反射偏光子の焦点は、前記第1反射偏光子と前記第2反射偏光子との間に位置し、
前記第1反射偏光子の光軸方向から見た際に、前記ディスプレイの前記第1表示領域と前記第1反射偏光子の前記第1領域と前記第2反射偏光子の前記第2領域とが重複している、画像表示装置。
【請求項2】
前記第1反射偏光子、および、前記第2反射偏光子が、反射型円偏光子である、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記ディスプレイは、画像表示素子と、直線偏光子と、パターン位相差層とをこの順に有し、
前記パターン位相差層が、λ/4板であり、
前記パターン位相差層のパターンが、前記第1表示領域および前記第2表示領域に対応している、請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記画像表示素子が自発光型表示素子であり、
前記直線偏光子が、反射型直線偏光子である、請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記ディスプレイは、画像表示素子と、パターン円偏光板とをこの順に有し、
前記パターン円偏光板のパターンが、前記第1表示領域および前記第2表示領域に対応している、請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記画像表示素子が自発光型表示素子であり、
前記パターン円偏光板が、反射型円偏光子である、請求項5に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記第1反射偏光子および前記第2反射偏光子が、反射型直線偏光子である、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記ディスプレイは、画像表示素子と、パターン直線偏光板とをこの順に有し、
前記パターン直線偏光板のパターンが、前記第1表示領域および前記第2表示領域に対応している、請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記画像表示素子が自発光型表示素子であり、
前記パターン直線偏光板が、反射型直線偏光子である、請求項8に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
実際に見ている光景に、仮想の映像および各種の情報等を重ねて表示する、AR(Augmented Reality(拡張現実))グラス、VR(Virtual reality(仮想現実))グラス、MR(Mixed reality(複合現実))グラスなどのヘッドマウントディスプレイ(HMD(Head Mounted Display))等の仮想現実表示装置は、専用のヘッドセットを頭部に装着し、レンズを通して表示される映像を視認することによって、仮想世界に入り込んだような臨場感を得ることができる画像表示装置である。
【0003】
仮想現実表示装置として、ディスプレイと、2つの部分反射素子と、を有し、ディスプレイから出射された光線を2つの部分反射素子の間で往復させることによってヘッドセット全体の厚みを薄くする、パンケーキレンズ、あるいは、折り返し光学系などと呼ばれる光学ユニットを有する画像表示装置が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、入射光を偏光させて第1の円偏光状態の光にするように構成された第1の偏光子と、第2の偏光子であって、第2の円偏光状態の光を透過させ、第1の円偏光状態の光を反射させるように構成された、第2の偏光子であって、第2の偏光子によって反射された光は、第1の円偏光状態にある、第2の偏光子と、第1の偏光子と第2の偏光子との間に配置された部分反射器であって、第1の偏光子からの光を透過させ、第2の偏光子からの光を反射させるように構成され、部分反射器によって反射された光と第2の偏光子からの光とは異なる偏光状態を有する、部分反射器と、を備える、光学装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような従来の折り返し光学系を有する画像表示装置では、部分反射器(ハーフミラー)は、ディスプレイから出射された光の一部を透過し、透過した光が反射型偏光子によって反射されて、部分反射器(ハーフミラー)で再度反射されるとともに、偏光方向が反射型偏光子を透過する偏光に変換されて、反射型偏光子を透過し、画像表示装置から出射される。
【0007】
このように、従来の画像表示装置では、光の偏光状態を反射型偏光子で反射される偏光から透過する偏光に変換するために、いわゆるハーフミラーを用いる必要があるが、光はハーフミラーを2回通過(透過および反射)する必要があり、その際、それぞれ光量が約半分になってしまうため、ディスプレイが出射した画像光の光量に対する光の利用効率が約25%と低くなってしまうという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、光利用効率が高い画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために、本発明は、以下の構成を有する。
[1] ディスプレイと、第1反射偏光子と、第2反射偏光子と、をこの順に有し、
第1反射偏光子と、第2反射偏光子とは、第1反射偏光子の光軸と、第2反射偏光子の光軸とが一致するように配置され、
第1反射偏光子は、第1偏光を透過し、第1偏光と直交する第2偏光を反射する第1領域と、第2偏光を透過し、第1偏光を反射する第2領域と、を有し、
第1反射偏光子は、第1反射偏光子の光軸を通る線で、第1領域と、第2領域とに分割されており、第1領域の形状と、第2領域の形状とは、第1反射偏光子の光軸に対して点対称であり、
第2反射偏光子は、第1偏光を透過し、第2偏光を反射する第1領域と、第2偏光を透過し、第1偏光を反射する第2領域と、を有し、
第2反射偏光子は、第1反射偏光子の光軸を通る線で、第1領域と、第2領域とに分割されており、第1領域の形状と第2領域の形状とは第1反射偏光子の光軸に対して点対称であり、
ディスプレイは、第1反射偏光子の光軸を通る線で、第1偏光を出射する第1表示領域と、第2偏光を出射する第2表示領域とに分割されており、第1表示領域の形状と第2表示領域の形状とは第1反射偏光子の光軸に対して点対称であり、
第1反射偏光子の焦点は、第2反射偏光子に対して第1反射偏光子の逆側に位置し、
第2反射偏光子の焦点は、第1反射偏光子と第2反射偏光子との間に位置し、
第1反射偏光子の光軸方向から見た際に、ディスプレイの第1表示領域と第1反射偏光子の第1領域と第2反射偏光子の第2領域とが重複している、画像表示装置。
[2] 第1反射偏光子、および、第2反射偏光子が、反射型円偏光子である、[1]に記載の画像表示装置。
[3] ディスプレイは、画像表示素子と、直線偏光子と、パターン位相差層とをこの順に有し、
パターン位相差層が、λ/4板であり、
パターン位相差層のパターンが、第1表示領域および第2表示領域に対応している、[2]に記載の画像表示装置。
[4] 画像表示素子が自発光型表示素子であり、
直線偏光子が、反射型直線偏光子である、[3]に記載の画像表示装置。
[5] ディスプレイは、画像表示素子と、パターン円偏光板とをこの順に有し、
パターン円偏光板のパターンが、第1表示領域および第2表示領域に対応している、[2]に記載の画像表示装置。
[6] 画像表示素子が自発光型表示素子であり、
パターン円偏光板が、反射型円偏光子である、[5]に記載の画像表示装置。
[7] 第1反射偏光子および第2反射偏光子が、反射型直線偏光子である、[1]に記載の画像表示装置。
[8] ディスプレイは、画像表示素子と、パターン直線偏光板とをこの順に有し、
パターン直線偏光板のパターンが、第1表示領域および第2表示領域に対応している、[7]に記載の画像表示装置。
[9] 画像表示素子が自発光型表示素子であり、
パターン直線偏光板が、反射型直線偏光子である、[8]に記載の画像表示装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光利用効率が高い画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の画像表示装置の一例を概念的に示す図である。
【
図2】
図1に示す画像表示装置が有するパターン位相差層を概念的に示す図である。
【
図3】
図1に示す画像表示装置が有する第1反射偏光子を概念的に示す図である。
【
図4】
図1に示す画像表示装置が有する第2反射偏光子を概念的に示す図である。
【
図5】本発明の画像表示装置の他の一例を概念的に示す図である。
【
図6】
図5に示す画像表示装置が有するパターン円偏光板を概念的に示す図である。
【
図7】本発明の画像表示装置の他の一例を概念的に示す図である。
【
図8】
図7に示す画像表示装置が有するパターン直線偏光子を概念的に示す図である。
【
図9】
図7に示す画像表示装置が有する第1反射偏光子を概念的に示す図である。
【
図10】
図7に示す画像表示装置が有する第2反射偏光子を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の画像表示装置について、添付の図面に示される好適実施形態を基に詳細に説明する。
【0013】
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
【0014】
また、以下に示す図は、いずれも、本発明を説明するための概念的な図である。従って、各図において、各部材の形状、大きさ、厚さ、および、間隔などの位置関係等は、必ずしも現実の物とは一致しない。
【0015】
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0016】
本明細書において、例えば、「45°」、「平行」、「垂直」あるいは「直交」等の角度は、特に記載がなければ、厳密な角度との差異が5度未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との差異は、3度未満であることが好ましく、1度未満であることがより好ましい。
【0017】
本明細書において、「同じ」、「一致」等の用語は、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
【0018】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。
【0019】
本明細書において、可視光は、電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、380~780nmの波長域の光を示す。非可視光は、380nm未満の波長域および780nmを超える波長域の光である。
【0020】
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、
ディスプレイと、第1反射偏光子と、第2反射偏光子と、をこの順に有し、
第1反射偏光子と、第2反射偏光子とは、第1反射偏光子の光軸と、第2反射偏光子の光軸とが一致するように配置され、
第1反射偏光子は、第1偏光を透過し、第1偏光と直交する第2偏光を反射する第1領域と、第2偏光を透過し、第1偏光を反射する第2領域と、を有し、
第1反射偏光子は、第1反射偏光子の光軸を通る線で、第1領域と、第2領域とに分割されており、第1領域の形状と、第2領域の形状とは、第1反射偏光子の光軸に対して点対称であり、
第2反射偏光子は、第1偏光を透過し、第2偏光を反射する第1領域と、第2偏光を透過し、第1偏光を反射する第2領域と、を有し、
第2反射偏光子は、第1反射偏光子の光軸を通る線で、第1領域と、第2領域とに分割されており、第1領域の形状と第2領域の形状とは第1反射偏光子の光軸に対して点対称であり、
ディスプレイは、第1反射偏光子の光軸を通る線で、第1偏光を出射する第1表示領域と、第2偏光を出射する第2表示領域とに分割されており、第1表示領域の形状と第2表示領域の形状とは第1反射偏光子の光軸に対して点対称であり、
第1反射偏光子の焦点は、第2反射偏光子に対して第1反射偏光子の逆側に位置し、
第2反射偏光子の焦点は、第1反射偏光子と第2反射偏光子との間に位置し、
第1反射偏光子の光軸方向から見た際に、ディスプレイの第1表示領域と第1反射偏光子の第1領域と第2反射偏光子の第2領域とが重複している、画像表示装置である。
【0021】
図1に、本発明の画像表示装置の一例を概念的に示す。
【0022】
図1に示す画像表示装置(仮想現実表示装置)200aは、ディスプレイ201aと、第1反射偏光子211と、第2反射偏光子213と、をこの順に有する。
【0023】
<ディスプレイ>
ディスプレイは、第1反射偏光子の光軸を通る線で、第1偏光を出射する第1表示領域と、第2偏光を出射する第2表示領域とに分割されており、第1表示領域の形状と第2表示領域の形状とは第1反射偏光子の光軸に対して点対称である。
【0024】
図1に示す例では、ディスプレイ201aは、画像表示素子202と、直線偏光子206と、パターン位相差層208と、をこの順に有する。ディスプレイ201aのパターン位相差層208側が画像光を出射する出射面であり、パターン位相差層208側に第1反射偏光子211および第2反射偏光子213が配置される。
【0025】
画像表示素子202は、公知の表示素子を利用可能である。画像表示素子202としては、一例として、液晶表示素子(LCD(Liquid Crystal Display))、有機エレクトロルミネッセンス表示素子(OLED(Organic Light Emitting Diode))、CRT(cathode-ray tube)、ブラズマ表示素子、電子ペーパー、LED(Light Emitting Diode)表示素子、マイクロLED表示素子、DLP(Digital Light Processing)、および、MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)型表示素子等が例示される。なお、本発明において、液晶表示素子には、LCOS:Liquid Crystal On Silicon等を含む。また、画像表示素子202は、光を透過可能な透明ディスプレイであってもよい。
【0026】
なお、画像表示素子202は、モノクロ画像を表示するものでも、二色画像を表示するものでも、カラー画像を表示するものでもよい。
【0027】
また、画像表示素子202が照射する光は、無偏光であってもよく、直線偏光であってもよく、円偏光であってもよい。
【0028】
画像表示素子202の表示面側には、直線偏光子206およびパターン位相差層208がこの順に配置されている。
【0029】
直線偏光子206には制限はない。従って、直線偏光子206は、反射型直線偏光子でも吸収型直線偏光子でもよく、ヨウ素系偏光子、二色性染料を利用した染料系偏光子、ポリエン系偏光子、ワイヤーグリッド偏光子、および、特開2011-053705号公報等に記載されるような誘電体多層膜を延伸したフィルムなど、公知の各種の直線偏光子が利用可能である。
【0030】
パターン位相差層208は、λ/4板であり、遅相軸の方向が異なる領域が所定のパターンで形成されている。
図2にパターン位相差層208を概念的に示す図を示す。
図2はパターン位相差層208を光軸方向(
図1の左右方向)から見た図である。なお、光軸とは第1反射偏光子211の光軸である。第1反射偏光子211の光軸については後に詳述する。
【0031】
図2に示すように、パターン位相差層208は、面内に第1遅相軸領域208aと第2遅相軸領域208bとを有している。第1遅相軸領域208aにおいて遅相軸は、直線偏光子206の透過軸とのなす角度が45°となるように配置されている。また、第2遅相軸領域208bにおいて遅相軸は、直線偏光子206の透過軸とのなす角度が-45°となるように配置されている。すなわち、第1遅相軸領域208aにおける遅相軸の向きと、第2遅相軸領域208bにおける遅相軸の向きとは直交している。
【0032】
また、第1遅相軸領域208aの形状と第2遅相軸領域208bの形状とは、光軸O方向から見た際に、第1反射偏光子211の光軸Oに対して点対称である。
図2に示す例では、パターン位相差層208は、その上側半分の矩形状の領域が第1遅相軸領域208aであり、下側半分の矩形状の領域が第2遅相軸領域208bである。
【0033】
このようなディスプレイ201aにおいて、画像表示素子202が画像光を出射すると、画像光は直線偏光子206で直線偏光に変換され、直線偏光がパターン位相差層208で円偏光に変換される。その際、パターン位相差層208は、第1遅相軸領域208aと第2遅相軸領域208bとで、互いに直交する偏光に変換する。例えば、第1遅相軸領域208aは、直線偏光を右円偏光に変換し、第2遅相軸領域208bは、直線偏光を左円偏光に変換する。なお、第1遅相軸領域208aが、直線偏光を左円偏光に変換し、第2遅相軸領域208bが、直線偏光を右円偏光に変換する構成であってもよい。
【0034】
ここで、互いに直交する偏光とは、ポアンカレ球上において互いに対蹠点に位置する偏光状態の偏光の事であり、例えば、互いに直交する直線偏光、および、右回り円偏光(右円偏光)と左回り円偏光(左円偏光)などが、これに該当する。
【0035】
したがって、ディスプレイ201aは、第1遅相軸領域208aに対応する第1表示領域から第1偏光(例えば、右円偏光)を出射し、第2遅相軸領域208bに対応する第2表示領域から第1偏光と直交する第2偏光(例えば、左円偏光)を出射する。
【0036】
パターン位相差層208の第1遅相軸領域208aがディスプレイ201aの第1表示領域に対応し、第2遅相軸領域208bが第2表示領域に対応するため、ディスプレイ201aは、第1反射偏光子211の光軸Oを通る線で、第1偏光を出射する第1表示領域と、第2偏光を出射する第2表示領域とに分割されており、光軸O方向から見た際に、第1表示領域の形状と第2表示領域の形状とは第1反射偏光子211の光軸に対して点対称である。
【0037】
<第1反射偏光子>
第1反射偏光子211は、第1偏光を透過し、第1偏光と直交する第2偏光を反射する第1領域211aと、第2偏光を透過し、第1偏光を反射する第2領域211bと、を有し、第1反射偏光子211の光軸Oを通る線で、第1領域211aと、第2領域211bとに分割されており、光軸O方向から見た際に、第1領域211aの形状と、第2領域211bの形状とは、第1反射偏光子211の光軸Oに対して点対称である。
【0038】
図3に第1反射偏光子211を概念的に示す図を示す。
図3は第1反射偏光子211を光軸方向(
図1の左右方向)から見た図である。
【0039】
図3に示すように、第1反射偏光子211は、面内に第1領域211aと第2領域211bとを有している。第1領域211aと第2領域211bとは、第1反射偏光子211の光軸Oを通る線で分割されている。
【0040】
図1および
図3に示す例においては、第1反射偏光子211は、右円偏光または左円偏光を透過して、透過する円偏光とは旋回方向が逆の円偏光を反射する反射型円偏光子である。図示例においては、右円偏光を第1偏光とし、左円偏光を第2偏光としている。この場合、第1領域211aは、第1偏光である右円偏光を透過して第2偏光である左円偏光を反射し、第2領域211bは、左円偏光(第2偏光)を透過して右円偏光(第1偏光)を反射する。なお、
図3では、右円偏光を透過する領域に「R」を付し、左円偏光を透過する領域に「L」を付している。この点は、
図4、
図6も同様である。
【0041】
また、第1反射偏光子211は、光軸O方向から見た際に、第1領域211aの形状と、第2領域211bの形状とが、第1反射偏光子211の光軸Oに対して点対称である。
図3に示す例では、第1反射偏光子211は、光軸O方向から見た平面視において円形状であり、その上側半分の半円状の領域が第1領域211aであり、下側半分の半円状の領域が第2領域211bである。
【0042】
第1反射偏光子211の第1領域211a、および、第2領域211bはそれぞれ、第1反射偏光子211の光軸O方向から見た際に、ディスプレイ201aの第1表示領域、および、第2表示領域と重複するように配置されている。すなわち、第1反射偏光子211の光軸O方向から見た際に、第1反射偏光子211の第1領域211aは、ディスプレイ201aの第1表示領域と重複し、第2表示領域とは重複しないように配置される。また、第2領域211bは、ディスプレイ201aの第2表示領域と重複し、第1表示領域とは重複しないように配置される。
【0043】
望ましくは、第1反射偏光子211の光軸O方向から見た際に、第1反射偏光子211の第1領域211aは、ディスプレイ201aの第1表示領域の全面を覆い、第2領域211bは、ディスプレイ201aの第2表示領域の全面を覆う。
【0044】
また、
図1に示すように、第1反射偏光子211は、反射する偏光を所定の焦点P
1に集光するように湾曲された形状を有する。すなわち、第1反射偏光子211は、凹面鏡として作用する。第1反射偏光子211は、凹面側をディスプレイ201aとは反対側に向けて、すなわち、第2反射偏光子213側に向けて配置されている。従って、第1反射偏光子211は、第2反射偏光子213側から入射した偏光を反射して集光する。
【0045】
本発明において、第1反射偏光子211の光軸とは、凹面鏡としての第1反射偏光子の光軸である。
【0046】
また、凹面鏡としての第1反射偏光子211の焦点P1は、第2反射偏光子213に対して第1反射偏光子211の逆側に位置するように配置される。すなわち、第1反射偏光子211の焦点P1は、第1反射偏光子211からみて第2反射偏光子213よりも遠い位置にある。これにより、第1反射偏光子211で反射された偏光が第2反射偏光子213を透過して、画像表示装置200aから画像光として出射されて使用者に視認可能となる。この点は後に詳述する。
【0047】
<第2反射偏光子>
第2反射偏光子213は、第1偏光を透過し、第2偏光を反射する第1領域213aと、第2偏光を透過し、第1偏光を反射する第2領域213bと、を有し、第1反射偏光子211の光軸Oを通る線で、第1領域213aと、第2領域213bとに分割されており、光軸O方向から見た際に、第1領域213aの形状と、第2領域213bの形状とは、第1反射偏光子211の光軸Oに対して点対称である。
【0048】
図4に第2反射偏光子213を概念的に示す図を示す。
図4は第2反射偏光子213を光軸方向(
図1の左右方向)から見た図である。
【0049】
図4に示すように、第2反射偏光子213は、面内に第1領域213aと第2領域213bとを有している。第1領域213aと第2領域213bとは、第1反射偏光子211の光軸Oを通る線で分割されている。
【0050】
図1および
図4に示す例においては、第2反射偏光子213は反射型円偏光子であり、右円偏光を第1偏光とし、左円偏光を第2偏光としている。この場合、第1領域213aは、第1偏光である右円偏光を透過して第2偏光である左円偏光を反射し、第2領域213bは、左円偏光(第2偏光)を透過して右円偏光(第1偏光)を反射する。
【0051】
また、第2反射偏光子213は、第1領域213aの形状と、第2領域213bの形状とが、光軸O方向から見た際に、第1反射偏光子211の光軸Oに対して点対称である。
図4に示す例では、第2反射偏光子213は、光軸O方向から見た平面視において円形状であり、その上側半分の半円状の領域が第2領域213bであり、下側半分の半円状の領域が第1領域213aである。
【0052】
第2反射偏光子213の第1領域213a、および、第2領域213bはそれぞれ、第1反射偏光子211の光軸O方向から見た際に、ディスプレイ201aの第2表示領域、および、第1表示領域と重複するように配置されている。すなわち、第1反射偏光子211の光軸O方向から見た際に、第2反射偏光子213の第1領域213aは、ディスプレイ201aの第2表示領域と重複し、第1表示領域とは重複しないように配置される。また、第2領域213bは、ディスプレイ201aの第1表示領域と重複し、第2表示領域とは重複しないように配置される。
【0053】
望ましくは、第1反射偏光子211の光軸O方向から見た際に、第2反射偏光子213の第1領域213aは、ディスプレイ201aの第2表示領域の全面を覆い、第2領域213bは、ディスプレイ201aの第1表示領域の全面を覆う。
【0054】
すなわち、画像表示装置200aにおいて、第1反射偏光子211の光軸O方向から見た際に、ディスプレイ201aの第1表示領域と第1反射偏光子211の第1領域211aと第2反射偏光子213の第2領域213bとが重複し、ディスプレイ201aの第2表示領域と第1反射偏光子211の第2領域211bと第2反射偏光子213の第1領域213aとが重複する。
【0055】
また、
図1に示すように、第2反射偏光子213は、反射する偏光を所定の焦点P
2に集光するように湾曲された形状を有する。すなわち、第2反射偏光子213は、凹面鏡として作用する。第2反射偏光子213は、凹面側をディスプレイ201a側に向けて、すなわち、第1反射偏光子211側に向けて配置されている。従って、第2反射偏光子213は、第1反射偏光子211側から入射した偏光を反射して集光する。
【0056】
第2反射偏光子213は、第2反射偏光子213の凹面鏡としての光軸が、第1反射偏光子211の光軸Oと一致するように配置される。
【0057】
また、凹面鏡としての第2反射偏光子213の焦点P2は、第1反射偏光子211と第2反射偏光子213との間に位置するように配置される。すなわち、第2反射偏光子213の焦点P2は、第2反射偏光子213からみて第1反射偏光子211よりも近い位置にある。これにより、第2反射偏光子213で反射された偏光が第1反射偏光子211で反射される。この点は後に詳述する。
【0058】
<画像表示装置の作用>
以下、
図1に示す画像表示装置200aについて説明する。
ディスプレイ201aが画像光を出射する。その際、パターン位相差層208の第1遅相軸領域208aに対応する第1表示領域からは右円偏光(
図1中、太実線で示す)を出射し、第2遅相軸領域208bに対応する第2表示領域からは左円偏光(
図1中、太破線で示す)を出射する。
【0059】
ディスプレイ201aの第1表示領域から出射した右円偏光は、第1反射偏光子211の第1領域211aに入射する。第1反射偏光子211の第1領域211aは右円偏光を透過する領域であるため、入射した右円偏光はほぼ全て第1反射偏光子211を透過して、第2反射偏光子213の第2領域213bに入射する。第2反射偏光子213の第2領域213bは左円偏光を透過し右円偏光を反射する領域であるため、入射した右円偏光はほぼ全て第1反射偏光子211に向けて反射される。
【0060】
第2反射偏光子213は湾曲形状を有し、凹面鏡として作用するものであり、また、その焦点P2が第1反射偏光子211よりも近い位置にあるため、第2反射偏光子213の第2領域213bで反射された右円偏光は、焦点P2を通過して、第1反射偏光子211の第2領域211bに入射する。
【0061】
第1反射偏光子211の第2領域211bは、左円偏光を透過し右円偏光を反射する領域であるため、第1反射偏光子211の第2領域211bに入射した右円偏光はほぼ全て、第2反射偏光子213に向けて反射される。
【0062】
第1反射偏光子211は湾曲形状を有し、凹面鏡として作用するものであるが、その焦点P1が第2反射偏光子213よりも遠い位置にあるため、第1反射偏光子211の第2領域211bで反射された右円偏光はほぼ全て、焦点P1を通過する前に、第2反射偏光子213の第1領域213aに入射する。
【0063】
第2反射偏光子213の第1領域213aは、右円偏光を透過する領域であるため、第2反射偏光子213の第1領域213aに入射した右円偏光はほぼ全て、第2反射偏光子213を透過する。
【0064】
また、ディスプレイ201aの第2表示領域から出射した左円偏光は、第1反射偏光子211の第2領域211bに入射する。第1反射偏光子211の第2領域211bは左円偏光を透過する領域であるため、入射した左円偏光はほぼ全て第1反射偏光子211を透過して、第2反射偏光子213の第1領域213aに入射する。第2反射偏光子213の第1領域213aは右円偏光を透過し左円偏光を反射する領域であるため、入射した左円偏光はほぼ全て第1反射偏光子211に向けて反射される。
【0065】
第2反射偏光子213は湾曲形状を有し、凹面鏡として作用するものであり、また、その焦点P2が第1反射偏光子211よりも近い位置にあるため、第2反射偏光子213の第1領域213aで反射された左円偏光はほぼ全て、焦点P2を通過して、第1反射偏光子211の第1領域211aに入射する。
【0066】
第1反射偏光子211の第1領域211aは、右円偏光を透過し左円偏光を反射する領域であるため、第1反射偏光子211の第1領域211aに入射した左円偏光はほぼ全て、第2反射偏光子213に向けて反射される。
【0067】
第1反射偏光子211は湾曲形状を有し、凹面鏡として作用するものであるが、その焦点P1が第2反射偏光子213よりも遠い位置にあるため、第1反射偏光子211の第1領域211aで反射された左円偏光はほぼ全て、焦点P1を通過する前に、第2反射偏光子213の第2領域213bに入射する。
【0068】
第2反射偏光子213の第2領域213bは、左円偏光を透過する領域であるため、第2反射偏光子213の第2領域213bに入射した左円偏光はほぼ全て、第2反射偏光子213を透過する。
【0069】
以上により、ディスプレイ201aから出射された右円偏光および左円偏光は、第2反射偏光子213および第1反射偏光子211でそれぞれ1回反射されて画像表示装置200aから画像光として出射される。その際、ディスプレイ201aから出射された光を2つの反射偏光子の間で往復させているため画像表示装置200a全体の厚みを薄くすることができる。
【0070】
ここで、前述のとおり、従来の、反射偏光子とハーフミラーとを有する折り返し光学系を備える画像表示装置においては、ハーフミラーを2回通過(透過および反射)する必要があり、その際に、それぞれ光量が約半分になってしまうため、ディスプレイが出射した画像光の光量に対する光の利用効率が約25%と低くなってしまうという問題があった。
【0071】
これに対して本発明の画像表示装置200aは、上述した構成により、ディスプレイ201aの第1表示領域から出射された第1偏光(右円偏光)、および、第2表示領域から出射された第2偏光(左円偏光)をそれぞれ、第1反射偏光子211および第2反射偏光子213で透過または反射する際に、光量の損失なく、透過または反射することができるため、ディスプレイ201aから出射された偏光をほぼ100%、画像表示装置200aから出射させることができる。すなわち、光利用効率をほぼ100%にすることができる。
【0072】
ここで、上述した例では、第1偏光を右円偏光とし、第2偏光を左円偏光としたがこれに限定はされず、第1偏光を左円偏光とし、第2偏光を右円偏光としてもよい。この場合、ディスプレイ201aの第1表示領域は、左円偏光を出射し、第2表示領域は右円偏光を出射し、第1反射偏光子211の第1領域211aは、左円偏光を透過して右円偏光を反射し、第2領域211bは、右円偏光を透過して左円偏光を反射し、第2反射偏光子213の第1領域211aは、左円偏光を透過して右円偏光を反射し、第2領域211bは、右円偏光を透過して左円偏光を反射する構成とすればよい。
【0073】
また、ディスプレイ201aと第1反射偏光子211との距離、および、第1反射偏光子211と第2反射偏光子213との距離には特に限定はなく、画像表示装置に求められる性能、サイズ等に応じて適宜設定すればよい。
【0074】
また、第1反射偏光子211の凹面鏡としての焦点距離、および、第2反射偏光子213の凹面鏡としての焦点距離には特に限定はなく、画像表示装置に求められる性能、サイズ等に応じて適宜設定すればよい。
【0075】
また、
図1に示す例のように、ディスプレイ201aが画像表示素子202と直線偏光子206とパターン位相差層208とを有する構成の場合には、画像表示素子202は、OLED、プラズマ表示素子、マイクロLED表示素子等の自発光型表示素子であるのが好ましく、また、直線偏光子206は、反射型直線偏光子であるのが好ましい。
【0076】
自発光型表示素子は、無偏光の光を出射するため、直線偏光子206が吸収型直線偏光子の場合には、直線偏光子206を透過しない偏光成分(光量の約半分)が直線偏光子206によって吸収される。これに対して、直線偏光子206として反射型直線偏光子を用いることにより、直線偏光子206を透過しない偏光成分が反射されて画像表示素子202に戻り、画像表示素子202の表面等で再度、反射される。この反射の際に、偏光状態が崩れて、再度、直線偏光子206に入射した光の一部が直線偏光子206を透過するため、ディスプレイ201aから出射される光の輝度を向上できる。
【0077】
ここで、
図1に示す例では、画像表示装置200aが有するディスプレイ201aは、画像表示素子202と直線偏光子206とパターン位相差層208とを有する構成としたがこれに限定はされない。
【0078】
図5に本発明の画像表示装置の他の一例の概念図を示す。
図5に示す画像表示装置200bは、ディスプレイ201bと、第1反射偏光子211と、第2反射偏光子213と、をこの順に有する。なお、
図5に示す画像表示装置200bは、
図1に示す画像表示装置200aにおいてディスプレイ201aをディスプレイ201bに代えた以外は同様の構成を有するので、同じ部位には同じ符号を付し、異なる点を主に説明する。また、
図5に示す画像表示装置200bについて、第1偏光を右円偏光とし、第2偏光を左円偏光として説明するが、第1偏光が左円偏光で第2偏光が右円偏光であってもよい。
【0079】
図5に示す画像表示装置200bが有するディスプレイ201bは、画像表示素子202と、パターン円偏光板204と、を有する。
【0080】
画像表示素子202は、ディスプレイ201aが有する画像表示素子202と同様の構成を有するのでその説明は省略する。
【0081】
パターン円偏光板204は、右円偏光または左円偏光を透過して、透過する円偏光とは旋回方向が逆の円偏光を遮蔽する円偏光板であり、透過する円偏光の旋回方向が異なる領域が所定のパターンで形成されている。
図6にパターン円偏光板204を概念的に示す図を示す。
図6はパターン円偏光板204を光軸O方向(
図5の左右方向)から見た図である。
【0082】
図6に示すように、パターン円偏光板204は、面内に右円偏光透過領域204aと左円偏光透過領域204bとを有している。右円偏光透過領域204aは、右円偏光(第1偏光)を透過し、左円偏光(第2偏光)を遮蔽する領域であり、左円偏光透過領域204bは、左円偏光(第2偏光)を透過し、右円偏光(第1偏光)を遮蔽する領域である。すなわち、右円偏光透過領域204aが透過する偏光と、左円偏光透過領域204bが透過する偏光とは直交関係にある。
【0083】
また、右円偏光透過領域204aの形状と左円偏光透過領域204bの形状とは、光軸O方向から見た際に、第1反射偏光子211の光軸Oに対して点対称である。
図6に示す例では、パターン円偏光板204は、その上側半分の矩形状の領域が右円偏光透過領域204aであり、下側半分の矩形状の領域が左円偏光透過領域204bである。
【0084】
このようなディスプレイ201bにおいて、画像表示素子202が画像光を出射すると、画像光がパターン円偏光板204で円偏光に変換される。その際、パターン円偏光板204は、右円偏光透過領域204aと左円偏光透過領域204bとで、互いに直交する偏光に変換する。右円偏光透過領域204aは、画像表示素子202が出射した光を右円偏光に変換し、左円偏光透過領域204bは、画像表示素子202が出射した光を左円偏光に変換する。
【0085】
したがって、ディスプレイ201bは、右円偏光透過領域204aに対応する第1表示領域から第1偏光(右円偏光)を出射し、左円偏光透過領域204bに対応する第2表示領域から第1偏光と直交する第2偏光(左円偏光)を出射する。
【0086】
パターン円偏光板204の右円偏光透過領域204aがディスプレイ201bの第1表示領域に対応し、左円偏光透過領域204bが第2表示領域に対応するため、ディスプレイ201bは、第1反射偏光子211の光軸Oを通る線で、第1偏光を出射する第1表示領域と、第2偏光を出射する第2表示領域とに分割されており、光軸O方向から見た際に、第1表示領域の形状と第2表示領域の形状とは第1反射偏光子211の光軸に対して点対称である。
【0087】
また、画像表示装置200bにおいて、第1反射偏光子211の光軸O方向から見た際に、ディスプレイ201bの第1表示領域と第1反射偏光子211の第1領域211aと第2反射偏光子213の第2領域213bとが重複し、ディスプレイ201bの第2表示領域と第1反射偏光子211の第2領域211bと第2反射偏光子213の第1領域213aとが重複する。
【0088】
このようなディスプレイ201bを有する画像表示装置200bは、ディスプレイ201bがディスプレイ201aと同様に、第1表示領域から第1偏光(右円偏光)を出射し、第2表示領域から第2偏光(左円偏光)を出射する。画像表示装置200bにおいて、第1反射偏光子211および第2反射素子213は、ディスプレイ201bから出射された第1偏光および第2偏光に対して、画像表示装置200aの第1反射偏光子211および第2反射素子213と同様の作用を発揮する。従って、画像表示装置200bにおいても、ディスプレイ201bの第1表示領域から出射された第1偏光(右円偏光)、および、第2表示領域から出射された第2偏光(左円偏光)をそれぞれ、第1反射偏光子211および第2反射偏光子213で透過または反射する際に、光量の損失なく、透過または反射することができるため、ディスプレイ201bから出射された偏光をほぼ100%、画像表示装置200bから出射させることができる。すなわち、光利用効率をほぼ100%にすることができる。
【0089】
また、
図5に示す例のように、ディスプレイ201bが画像表示素子202とパターン円偏光板204とを有する構成の場合には、画像表示素子202は、OLED、プラズマ表示素子、マイクロLED表示素子等の自発光型表示素子であるのが好ましく、また、パターン円偏光板204は、反射型円偏光板であるのが好ましい。
【0090】
パターン円偏光板204として反射型円偏光板を用いることにより、パターン円偏光板204を透過しない偏光成分が反射されて画像表示素子202に戻り、画像表示素子202の表面等で再度、反射される。この反射の際に、偏光状態が崩れて、再度、パターン円偏光板204に入射した光の一部がパターン円偏光板204を透過するため、ディスプレイ201bから出射される光の輝度を向上できる。
【0091】
また、
図1および
図5に示す例では、第1反射偏光子211および第2反射偏光子213が反射型円偏光子であり、ディスプレイが円偏光を出射する構成としたがこれに限定はされない。
【0092】
図7に本発明の画像表示装置の他の一例の概念図を示す。
【0093】
図7に示す画像表示装置(仮想現実表示装置)200cは、ディスプレイ201cと、第1反射偏光子212と、第2反射偏光子214と、をこの順に有する。
【0094】
図7に示す例では、ディスプレイ201cは、画像表示素子202と、パターン直線偏光子207と、をこの順に有する。ディスプレイ201cのパターン直線偏光子207側が画像光を出射する出射面であり、パターン直線偏光子207側に第1反射偏光子212および第2反射偏光子214が配置される。
【0095】
画像表示素子202は、ディスプレイ201aが有する画像表示素子202と同様の構成を有するのでその説明は省略する。
【0096】
画像表示素子202の表示面側には、パターン直線偏光子207が配置されている。
【0097】
パターン直線偏光子207は、直交する直線偏光の一方を透過し、他方を遮蔽する直線偏光子であり、透過軸の方向が互いに直交する領域が所定のパターンで形成されている。
図8にパターン直線偏光子207を概念的に示す図を示す。
図8はパターン直線偏光子207を光軸方向(
図7の左右方向)から見た図である。
【0098】
図8に示すように、パターン直線偏光子207は、面内に第1偏光透過領域207aと第2偏光透過領域207bとを有している。一例として、第1偏光透過領域207aは、図中矢印で示すように左右方向の透過軸を有する。また、第2偏光透過領域207bは、図中矢印で示すように、上下方向の透過軸を有する。すなわち、第1偏光透過領域207aにおける透過軸の向きと、第2偏光透過領域207bにおける透過軸の向きとは直交している。
【0099】
また、第1偏光透過領域207aの形状と第2偏光透過領域207bの形状とは、光軸O方向から見た際に、第1反射偏光子212の光軸Oに対して点対称である。
図8に示す例では、パターン直線偏光子207は、その上側半分の矩形状の領域が第1偏光透過領域207aであり、下側半分の矩形状の領域が第2偏光透過領域207bである。
【0100】
このようなディスプレイ201cにおいて、画像表示素子202が画像光を出射すると、画像光がパターン直線偏光子207で直線偏光に変換される。その際、パターン直線偏光子207は、第1偏光透過領域207aと第2偏光透過領域207bとで、互いに直交する偏光に変換する。第1偏光透過領域207aは、画像表示素子202が出射した光を
図8中左右方向(
図7中、紙面に垂直な方向)の直線偏光に変換し、第2偏光透過領域207bは、画像表示素子202が出射した光を
図8中上下方向の直線偏光に変換する。なお、上記例では、第1偏光透過領域207aが、
図8中左右方向の透過軸を有し、第2偏光透過領域207bが、
図8中上下方向の透過軸を有する構成としたが、これに限定はされず、第1偏光透過領域207aの透過軸と、第2偏光透過領域207bの透過軸とが直交していれば、第1偏光透過領域207aの透過軸、および、第2偏光透過領域207bの透過軸の方向は任意の方向とすることができる。
【0101】
したがって、ディスプレイ201cは、第1偏光透過領域207aに対応する第1表示領域から第1偏光(例えば、
図7中紙面に垂直な方向の直線偏光)を出射し、第2偏光透過領域207bに対応する第2表示領域から第1偏光と直交する第2偏光(例えば、
図7中上下方向の直線偏光)を出射する。なお、以下の説明においては、第1表示領域から出射される、
図7中紙面に垂直な方向の直線偏光を「左右方向の直線偏光」ともいい、第2表示領域から出射される、
図7中上下方向の直線偏光を「上下方向の直線偏光」ともいう。
【0102】
パターン直線偏光子207の第1偏光透過領域207aがディスプレイ201cの第1表示領域に対応し、第2偏光透過領域207bが第2表示領域に対応するため、ディスプレイ201cは、第1反射偏光子212の光軸Oを通る線で、第1偏光を出射する第1表示領域と、第2偏光を出射する第2表示領域とに分割されており、光軸O方向から見た際に、第1表示領域の形状と第2表示領域の形状とは第1反射偏光子212の光軸に対して点対称である。
【0103】
第1反射偏光子212は、第1偏光を透過し、第1偏光と直交する第2偏光を反射する第1領域212aと、第2偏光を透過し、第1偏光を反射する第2領域212bと、を有し、第1反射偏光子212の光軸Oを通る線で、第1領域212aと、第2領域212bとに分割されており、光軸O方向から見た際に、第1領域212aの形状と、第2領域212bの形状とは、第1反射偏光子212の光軸Oに対して点対称である。
【0104】
図9に第1反射偏光子212を概念的に示す図を示す。
図9は第1反射偏光子212を光軸方向(
図1の左右方向)から見た図である。
【0105】
図9に示すように、第1反射偏光子212は、面内に第1領域212aと第2領域212bとを有している。第1領域212aと第2領域212bとは、第1反射偏光子212の光軸Oを通る線で分割されている。
【0106】
図7および
図9に示す例においては、第1反射偏光子212は、左右方向の直線偏光または上下方向の直線偏光を透過して、透過する直線偏光と直交する方向の直線偏光を反射する反射型直線偏光子である。図示例においては、左右方向の直線偏光を第1偏光とし、上下方向の直線偏光を第2偏光としている。この場合、第1領域212aは、第1偏光である左右方向の直線偏光を透過して第2偏光である上下方向の直線偏光を反射し、第2領域212bは、上下方向の直線偏光(第2偏光)を透過して左右方向の直線偏光(第1偏光)を反射する。
【0107】
また、第1反射偏光子212は、光軸O方向から見た際に、第1領域212aの形状と、第2領域212bの形状とが、第1反射偏光子212の光軸Oに対して点対称である。
図9に示す例では、第1反射偏光子212は、光軸O方向から見た平面視において円形状であり、その上側半分の半円状の領域が第1領域212aであり、下側半分の半円状の領域が第2領域212bである。
【0108】
第1反射偏光子212の第1領域212a、および、第2領域212bはそれぞれ、第1反射偏光子212の光軸O方向から見た際に、ディスプレイ201cの第1表示領域、および、第2表示領域と重複するように配置されている。すなわち、第1反射偏光子212の光軸O方向から見た際に、第1反射偏光子212の第1領域212aは、ディスプレイ201cの第1表示領域と重複し、第2表示領域とは重複しないように配置される。また、第2領域212bは、ディスプレイ201cの第2表示領域と重複し、第1表示領域とは重複しないように配置される。
【0109】
望ましくは、第1反射偏光子212の光軸O方向から見た際に、第1反射偏光子212の第1領域212aは、ディスプレイ201cの第1表示領域の全面を覆い、第2領域212bは、ディスプレイ201cの第2表示領域の全面を覆う。
【0110】
また、
図7に示すように、第1反射偏光子212は、反射する偏光を所定の焦点P
1に集光するように湾曲された形状を有する。すなわち、第1反射偏光子212は、凹面鏡として作用する。第1反射偏光子212は、凹面側をディスプレイ201cとは反対側に向けて、すなわち、第2反射偏光子214側に向けて配置されている。従って、第1反射偏光子212は、第2反射偏光子214側から入射した偏光を反射して集光する。
【0111】
また、凹面鏡としての第1反射偏光子212の焦点P1は、第2反射偏光子214に対して第1反射偏光子212の逆側に位置するように配置される。すなわち、第1反射偏光子212の焦点P1は、第2反射偏光子214よりも遠い位置にある。これにより、第1反射偏光子212で反射された偏光が第2反射偏光子214を透過して、画像表示装置200cから画像光として出射されて使用者に視認可能となる。
【0112】
第2反射偏光子214は、第1偏光を透過し、第2偏光を反射する第1領域214aと、第2偏光を透過し、第1偏光を反射する第2領域214bと、を有し、第1反射偏光子212の光軸Oを通る線で、第1領域214aと、第2領域214bとに分割されており、光軸O方向から見た際に、第1領域214aの形状と、第2領域214bの形状とは、第1反射偏光子212の光軸Oに対して点対称である。
【0113】
図10に第2反射偏光子214を概念的に示す図を示す。
図4は第2反射偏光子214を光軸方向(
図7の左右方向)から見た図である。
【0114】
図10に示すように、第2反射偏光子214は、面内に第1領域214aと第2領域214bとを有している。第1領域214aと第2領域214bとは、第1反射偏光子212の光軸Oを通る線で分割されている。
【0115】
図7および
図10に示す例においては、第2反射偏光子214は反射型直線偏光子であり、左右方向の直線偏光を第1偏光とし、上下方向の直線偏光を第2偏光としている。この場合、第1領域214aは、第1偏光である左右方向の直線偏光を透過して第2偏光である上下方向の直線偏光を反射し、第2領域214bは、上下方向の直線偏光(第2偏光)を透過して左右方向の直線偏光(第1偏光)を反射する。
【0116】
また、第2反射偏光子214は、光軸O方向から見た際に、第1領域214aの形状と、第2領域214bの形状とが、第1反射偏光子212の光軸Oに対して点対称である。
図10に示す例では、第2反射偏光子214は、光軸O方向から見た平面視において円形状であり、その上側半分の半円状の領域が第2領域214bであり、下側半分の半円状の領域が第1領域214aである。
【0117】
第2反射偏光子214の第1領域214a、および、第2領域214bはそれぞれ、第1反射偏光子212の光軸O方向から見た際に、ディスプレイ201cの第2表示領域、および、第1表示領域と重複するように配置されている。すなわち、第1反射偏光子212の光軸O方向から見た際に、第2反射偏光子214の第1領域214aは、ディスプレイ201cの第2表示領域と重複し、第1表示領域とは重複しないように配置される。また、第2領域214bは、ディスプレイ201cの第1表示領域と重複し、第2表示領域とは重複しないように配置される。
【0118】
望ましくは、第1反射偏光子212の光軸O方向から見た際に、第2反射偏光子214の第1領域214aは、ディスプレイ201cの第2表示領域の全面を覆い、第2領域214bは、ディスプレイ201cの第1表示領域の全面を覆う。
【0119】
すなわち、画像表示装置200cにおいて、第1反射偏光子212の光軸O方向から見た際に、ディスプレイ201cの第1表示領域と第1反射偏光子212の第1領域212aと第2反射偏光子214の第2領域214bとが重複し、ディスプレイ201cの第2表示領域と第1反射偏光子212の第2領域212bと第2反射偏光子214の第1領域214aとが重複する。
【0120】
また、
図7に示すように、第2反射偏光子214は、反射する偏光を所定の焦点P
2に集光するように湾曲された形状を有する。すなわち、第2反射偏光子214は、凹面鏡として作用する。第2反射偏光子214は、凹面側をディスプレイ201c側に向けて、すなわち、第1反射偏光子212側に向けて配置されている。従って、第2反射偏光子214は、第1反射偏光子212側から入射した偏光を反射して集光する。
【0121】
第2反射偏光子214は、第2反射偏光子214の凹面鏡としての光軸が、第1反射偏光子212の光軸Oと一致するように配置される。
【0122】
また、凹面鏡としての第2反射偏光子214の焦点P2は、第1反射偏光子212と第2反射偏光子214との間に位置するように配置される。すなわち、第2反射偏光子214の焦点P2は、第1反射偏光子212よりも近い位置にある。これにより、第2反射偏光子214で反射された偏光が第1反射偏光子212で反射される。
【0123】
以下、
図7に示す画像表示装置200cについて説明する。
ディスプレイ201cが画像光を出射する。その際、パターン直線偏光子207の第1偏光透過領域207aに対応する第1表示領域からは左右方向の直線偏光(
図7中、太実線で示す)を出射し、第2偏光透過領域207bに対応する第2表示領域からは上下方向の直線偏光(
図1中、太破線で示す)を出射する。
【0124】
ディスプレイ201cの第1表示領域から出射した左右方向の直線偏光は、第1反射偏光子212の第1領域212aに入射する。第1反射偏光子212の第1領域212aは左右方向の直線偏光を透過する領域であるため、入射した左右方向の直線偏光はほぼ全て第1反射偏光子212を透過して、第2反射偏光子214の第2領域214bに入射する。第2反射偏光子214の第2領域214bは上下方向の直線偏光を透過し左右方向の直線偏光を反射する領域であるため、入射した左右方向の直線偏光はほぼ全て第1反射偏光子212に向けて反射される。
【0125】
第2反射偏光子214は湾曲形状を有し、凹面鏡として作用するものであり、また、その焦点P2が第1反射偏光子212よりも近い位置にあるため、第2反射偏光子214の第2領域214bで反射された左右方向の直線偏光は、焦点P2を通過して、第1反射偏光子212の第2領域212bに入射する。
【0126】
第1反射偏光子212の第2領域212bは、上下方向の直線偏光を透過し左右方向の直線偏光を反射する領域であるため、第1反射偏光子212の第2領域212bに入射した左右方向の直線偏光はほぼ全て、第2反射偏光子214に向けて反射される。
【0127】
第1反射偏光子212は湾曲形状を有し、凹面鏡として作用するものであるが、その焦点P1が第2反射偏光子214よりも遠い位置にあるため、第1反射偏光子212の第2領域212bで反射された左右方向の直線偏光はほぼ全て、焦点P1を通過する前に、第2反射偏光子214の第1領域214aに入射する。
【0128】
第2反射偏光子214の第1領域214aは、左右方向の直線偏光を透過する領域であるため、第2反射偏光子214の第1領域214aに入射した左右方向の直線偏光はほぼ全て、第2反射偏光子214を透過する。
【0129】
また、ディスプレイ201cの第2表示領域から出射した上下方向の直線偏光は、第1反射偏光子212の第2領域212bに入射する。第1反射偏光子212の第2領域212bは上下方向の直線偏光を透過する領域であるため、入射した上下方向の直線偏光はほぼ全て第1反射偏光子212を透過して、第2反射偏光子214の第1領域214aに入射する。第2反射偏光子214の第1領域214aは左右方向の直線偏光を透過し上下方向の直線偏光を反射する領域であるため、入射した上下方向の直線偏光はほぼ全て第1反射偏光子212に向けて反射される。
【0130】
第2反射偏光子214は湾曲形状を有し、凹面鏡として作用するものであり、また、その焦点P2が第1反射偏光子212よりも近い位置にあるため、第2反射偏光子214の第1領域214aで反射された上下方向の直線偏光はほぼ全て、焦点P2を通過して、第1反射偏光子212の第1領域212aに入射する。
【0131】
第1反射偏光子212の第1領域212aは、左右方向の直線偏光を透過し上下方向の直線偏光を反射する領域であるため、第1反射偏光子212の第1領域212aに入射した上下方向の直線偏光はほぼ全て、第2反射偏光子214に向けて反射される。
【0132】
第1反射偏光子212は湾曲形状を有し、凹面鏡として作用するものであるが、その焦点P1が第2反射偏光子214よりも遠い位置にあるため、第1反射偏光子212の第1領域212aで反射された上下方向の直線偏光はほぼ全て、焦点P1を通過する前に、第2反射偏光子214の第2領域214bに入射する。
【0133】
第2反射偏光子214の第2領域214bは、上下方向の直線偏光を透過する領域であるため、第2反射偏光子214の第2領域214bに入射した上下方向の直線偏光はほぼ全て、第2反射偏光子214を透過する。
【0134】
以上により、ディスプレイ201cから出射された左右方向の直線偏光および上下方向の直線偏光は、第2反射偏光子214および第1反射偏光子212でそれぞれ1回反射されて画像表示装置200cから画像光として出射される。その際、ディスプレイ201cから出射された光を2つの反射偏光子の間で往復させているため画像表示装置200c全体の厚みを薄くすることができる。
【0135】
また、画像表示装置200cは、上述した構成により、ディスプレイ201cの第1表示領域から出射された第1偏光(左右方向の直線偏光)、および、第2表示領域から出射された第2偏光(上下方向の直線偏光)をそれぞれ、第1反射偏光子212および第2反射偏光子214で透過または反射する際に、光量の損失なく、透過または反射することができるため、ディスプレイ201cから出射された偏光をほぼ100%、画像表示装置200cから出射させることができる。すなわち、光利用効率をほぼ100%にすることができる。
【0136】
ここで、
図7に示す例のように、ディスプレイ201cが画像表示素子202とパターン直線偏光子207とを有する構成の場合には、画像表示素子202は、OLED、プラズマ表示素子、マイクロLED表示素子等の自発光型表示素子であるのが好ましく、また、パターン直線偏光子207は、反射型直線偏光子であるのが好ましい。
【0137】
パターン直線偏光子207として反射型直線偏光子を用いることにより、パターン直線偏光子207を透過しない偏光成分が反射されて画像表示素子202に戻り、画像表示素子202の表面等で再度、反射される。この反射の際に、偏光状態が崩れて、再度、パターン直線偏光子207に入射した光の一部がパターン直線偏光子207を透過するため、ディスプレイ201cから出射される光の輝度を向上できる。
【0138】
以下、本発明の画像表示装置の構成要素について説明する。
【0139】
<<反射偏光子>>
(反射型円偏光子)
反射型円偏光子は、右円偏光または左円偏光を透過して、透過する円偏光とは旋回方向が逆の円偏光を反射するものである。
【0140】
反射型円偏光子としては、一例として、コレステリック液晶層を有する反射型円偏光子が例示される。コレステリック液晶層とは、コレステリック配向された液晶相(コレステリック液晶相)を固定してなる液晶相である。
【0141】
周知のように、コレステリック液晶層は、液晶化合物が螺旋状に旋回して積み重ねられた螺旋構造を有し、液晶化合物が螺旋状に1回転(360°回転)して積み重ねられた構成を螺旋1周期(螺旋周期)として、螺旋状に旋回する液晶化合物が、複数周期、積層された構造を有する。
【0142】
コレステリック液晶層は、螺旋周期の長さ、および、液晶化合物による螺旋の旋回方向(センス)に応じて、特定の波長域の右円偏光または左円偏光を反射して、それ以外の光を透過する。
【0143】
従って、画像表示装置がカラー画像を表示する場合には、反射型円偏光子は、例えば、赤色光に選択的な反射の中心波長を有するコレステリック液晶層、緑色光に選択的な反射の中心波長を有するコレステリック液晶層、および、青色光に選択的な反射の中心波長を有するコレステリック液晶層など、複数層のコレステリック液晶層を有するものであってもよい。
【0144】
また、反射型円偏光子がコレステリック液晶層を有する場合は、支持体と、コレステリック液晶層中の液晶化合物を配向させるための配向膜を有していてもよい。
【0145】
反射型円偏光子の厚さは、反射型円偏光子の種類等に応じて、反射すべき偏光を十分に反射することができ、かつ、透過すべき偏光を十分に透過することができる厚さに適宜調整すればよい。
【0146】
ここで、第1反射偏光子211および第2反射偏光子213、ならびに、パターン円偏光板204としての反射円偏光子は、右円偏光を透過し左円偏光を反射する領域と、左円偏光を透過し右円偏光を反射する領域と、を有する。上記のとおり、反射円偏光子が右円偏光および左円偏光のどちらを反射するかは、液晶化合物による螺旋の旋回方向(センス)に応じて定まる。したがって、第1反射偏光子211および第2反射偏光子213、ならびに、パターン円偏光板204としての反射円偏光子は、液晶化合物による螺旋の旋回方向が互いに異なる領域を有している。
【0147】
(コレステリック液晶層の形成方法)
コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相を層状に固定して形成できる。
【0148】
コレステリック液晶相を固定した構造は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている構造であればよく、典型的には、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、紫外線照射、加熱等によって重合、硬化し、流動性が無い層を形成して、同時に、外場または外力によって配向形態に変化を生じさせることない状態に変化した構造が好ましい。
【0149】
なお、コレステリック液晶相を固定した構造においては、コレステリック液晶相の光学的性質が保持されていれば十分であり、コレステリック液晶層において、液晶化合物は液晶性を示さなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、液晶性を失っていてもよい。
【0150】
コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層の形成に用いる材料としては、一例として、液晶化合物を含む液晶組成物が挙げられる。液晶化合物は重合性液晶化合物であるのが好ましい。
【0151】
また、コレステリック液晶層の形成に用いる液晶組成物は、さらに界面活性剤およびキラル剤を含んでいてもよい。
【0152】
--重合性液晶化合物--
重合性液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよい。
【0153】
コレステリック液晶相を形成する棒状の重合性液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、および、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類等が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
【0154】
重合性液晶化合物は、重合性基を液晶化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、およびアジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基がより好ましい。重合性基は種々の方法で、液晶化合物の分子中に導入できる。重合性液晶化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは1~6個、より好ましくは1~3個である。
【0155】
重合性液晶化合物の例は、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、米国特許第5622648号明細書、米国特許第5770107号明細書、国際公開第95/22586号、国際公開第95/24455号、国際公開第97/00600号、国際公開第98/23580号、国際公開第98/52905号、特開平1-272551号公報、特開平6-016616号公報、特開平7-110469号公報、特開平11-080081号公報、および、特開2001-328973号公報等に記載の化合物が含まれる。2種類以上の重合性液晶化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。
【0156】
また、上記以外の重合性液晶化合物としては、特開昭57-165480号公報に開示されているようなコレステリック相を有する環式オルガノポリシロキサン化合物等を用いることができる。さらに、前述の高分子液晶化合物としては、液晶を呈するメソゲン基を主鎖、側鎖、あるいは主鎖および側鎖の両方の位置に導入した高分子、コレステリル基を側鎖に導入した高分子コレステリック液晶、特開平9-133810号公報に開示されているような液晶性高分子、および、特開平11-293252号公報に開示されているような液晶性高分子等を用いることができる。
【0157】
--円盤状液晶化合物--
円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007-108732号公報や特開2010-244038号公報に記載のものを好ましく用いることができる。
【0158】
また、液晶組成物中の重合性液晶化合物の添加量は、液晶組成物の固形分質量(溶媒を除いた質量)に対して、75~99.9質量%であるのが好ましく、80~99質量%であるのがより好ましく、85~90質量%であるのがさらに好ましい。
【0159】
--界面活性剤--
コレステリック液晶層を形成する際に用いる液晶組成物は、界面活性剤を含有してもよい。
【0160】
界面活性剤は、安定的に、または迅速に、コレステリック液晶相の配向に寄与する配向制御剤として機能できる化合物が好ましい。界面活性剤としては、例えば、シリコ-ン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤が挙げられ、フッ素系界面活性剤が好ましく例示される。
【0161】
界面活性剤の具体例としては、特開2014-119605号公報の段落[0082]~[0090]に記載の化合物、特開2012-203237号公報の段落[0031]~[0034]に記載の化合物、特開2005-099248号公報の段落[0092]および[0093]中に例示されている化合物、特開2002-129162号公報の段落[0076]~[0078]および段落[0082]~[0085]中に例示されている化合物、ならびに、特開2007-272185号公報の段落[0018]~[0043]等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、などが挙げられる。
【0162】
なお、界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0163】
フッ素系界面活性剤として、特開2014-119605号公報の段落[0082]~[0090]に記載の化合物が好ましい。
【0164】
液晶組成物中における、界面活性剤の添加量は、液晶化合物の全質量に対して0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましく、0.02~1質量%がさらに好ましい。
【0165】
--キラル剤(光学活性化合物)--
キラル剤(カイラル剤)はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル剤は、化合物によって誘起する螺旋の捩れ方向または螺旋周期が異なるため、目的に応じて選択すればよい。
【0166】
キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4-3項、TN(twisted nematic)、STN(Super Twisted Nematic)用キラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、イソソルビド、および、イソマンニド誘導体等を用いることができる。
【0167】
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物または面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン、および、これらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であるのが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であるのが好ましく、不飽和重合性基であるのがより好ましく、エチレン性不飽和重合性基であるのがさらに好ましい。
【0168】
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
【0169】
キラル剤が光異性化基を有する場合には、塗布、配向後に活性光線などのフォトマスク照射によって、発光波長に対応した所望の反射波長のパターンを形成することができるので好ましい。光異性化基としては、フォトクロッミック性を示す化合物の異性化部位、アゾ基、アゾキシ基、または、シンナモイル基が好ましい。具体的な化合物として、特開2002-080478号公報、特開2002-080851号公報、特開2002-179668号公報、特開2002-179669号公報、特開2002-179670号公報、特開2002-179681号公報、特開2002-179682号公報、特開2002-338575号公報、特開2002-338668号公報、特開2003-313189号公報、および、特開2003-313292号公報等に記載の化合物を用いることができる。
【0170】
液晶組成物における、キラル剤の含有量は、液晶化合物の含有モル量に対して0.01~200モル%が好ましく、1~30モル%がより好ましい。
【0171】
--重合開始剤--
液晶組成物が重合性化合物を含む場合は、重合開始剤を含有しているのが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であるのが好ましい。
【0172】
光重合開始剤の例には、α-カルボニル化合物(米国特許第2367661号、米国特許第2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、米国特許第2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)、ならびに、オキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。
【0173】
液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、液晶化合物の含有量に対して0.1~20質量%であるのが好ましく、0.5~12質量%であるのがさらに好ましい。
【0174】
--架橋剤--
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、および、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
【0175】
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレートおよびエチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]および4,4-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネートおよびビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ならびに、ビニルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などが挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0176】
架橋剤の含有量は、液晶組成物の固形分質量に対して、3~20質量%が好ましく、5~15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が上記範囲内であれば、架橋密度向上の効果が得られやすく、コレステリック液晶相の安定性がより向上する。
【0177】
--その他の添加剤--
液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、および、金属酸化物微粒子等を、光学的性能等を低下させない範囲で添加することができる。
【0178】
液晶組成物は、コレステリック液晶層を形成する際には、液体として用いられるのが好ましい。
【0179】
液晶組成物は溶媒を含んでいてもよい。溶媒には、制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましい。
【0180】
有機溶媒には、制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、および、エーテル類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が好ましい。
【0181】
コレステリック液晶層を形成する際には、コレステリック液晶層の形成面に液晶組成物を塗布して、液晶化合物をコレステリック液晶相の状態に配向した後、液晶化合物を硬化して、コレステリック液晶層とするのが好ましい。
【0182】
すなわち、配向膜上にコレステリック液晶層を形成する場合には、配向膜に液晶組成物を塗布して、液晶化合物をコレステリック液晶相の状態に配向した後、液晶化合物を硬化して、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層を形成するのが好ましい。
【0183】
液晶組成物の塗布は、インクジェットおよびスクロール印刷等の印刷法、ならびに、スピンコート、バーコートおよびスプレー塗布等のシート状物に液体を一様に塗布できる公知の方法が全て利用可能である。
【0184】
塗布された液晶組成物は、必要に応じて乾燥および/または加熱され、その後、硬化され、コレステリック液晶層を形成する。この乾燥および/または加熱の工程で、液晶組成物中の液晶化合物がコレステリック液晶相に配向すればよい。加熱を行う場合、加熱温度は、200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。
【0185】
配向させた液晶化合物は、必要に応じて、さらに重合される。重合は、熱重合、および、光照射による光重合のいずれでもよいが、光重合が好ましい。光照射は、紫外線を用いるのが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2~50J/cm2が好ましく、50~1500mJ/cm2がより好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下または窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。照射する紫外線の波長は250~430nmが好ましい。
【0186】
ここで、第1反射偏光子211および第2反射偏光子213、ならびに、パターン円偏光板204としての反射型円偏光子のように、右円偏光を透過し左円偏光を反射する領域と、左円偏光を透過し右円偏光を反射する領域と、を有する構成の場合には、右円偏光を透過し左円偏光を反射する領域となるコレステリック液晶層と、左円偏光を透過し右円偏光を反射する領域とをそれぞれ形成して、支持体上に各領域を並べて貼着することで作製することができる。
【0187】
あるいは、右円偏光を透過し左円偏光を反射するコレステリック液晶層となる液晶組成物と、左円偏光を透過し右円偏光を反射するコレステリック液晶層となる液晶組成物とをそれぞれ調製し、支持体上の一部の領域に、右円偏光を透過し左円偏光を反射するコレステリック液晶層となる液晶組成物を塗布、硬化して、右円偏光を透過し左円偏光を反射するコレステリック液晶層を形成し、支持体上の他の一部の領域に、左円偏光を透過し右円偏光を反射するコレステリック液晶層となる液晶組成物を塗布、硬化して、左円偏光を透過し右円偏光を反射するコレステリック液晶層を形成することで、互いに直交する偏光を透過する領域を有する反射円偏光子を作製してもよい。
【0188】
あるいは、液晶組成物として、互いに逆方向の螺旋誘起力(HTP:Helical Twisting Power)を持つ2種のキラル剤を含有し、かつ、一方のキラル剤が光照射によって螺旋誘起力が変化するキラル剤を用いて、液晶組成物の塗布後、硬化前、または、液晶組成物の硬化時に、キラル剤のHTPを変化させる波長の光を、領域ごとに照射量を変えて照射することで、互いに直交する偏光を透過する領域を有するコレステリック液晶層を形成することができる。
【0189】
領域ごとに光の照射量を変える方法には特に限定はなく、マスクを介して光を照射する方法、領域ごとに照射時間を変える方法、あるいは、領域ごとに照射強度を変える方法等が利用可能である。
【0190】
また、第1反射偏光子211および第2反射偏光子213としての反射型円偏光子は、凹面鏡の作用を有する。反射型円偏光子に凹面鏡の作用をもたせるためには、反射型円偏光子自体を凹状の形状にすればよい。
【0191】
反射型円偏光子を凹状に形成する方法には特に制限はない。例えば、上記のようにして作製した反射型円偏光子を真空成形等で曲面に成形すればよい。あるいは、上記のようにして作製した反射型円偏光子をレンズ形状の支持体上に貼着して凹状に形成してもよい。
【0192】
(反射型直線偏光子)
反射型直線偏光子は、互いに直交する直線偏光の一方を透過して、他方を反射するものである。
【0193】
反射型直線偏光子としては、一例として、特開2011-053705号公報等に記載されるような、誘電体多層膜を延伸したフィルム、特開2015-028656号公報等に記載されるような、ワイヤグリッド型偏光子等が例示される。また、反射型直線偏光子は、市販品も好適に利用可能である。市販品の反射型直線偏光子としては、3M社製の反射型偏光子(商品名APF)およびAGC社製のワイヤグリッド偏光子(商品名WGF)等が例示される。
【0194】
ここで、第1反射偏光子212および第2反射偏光子214、ならびに、パターン直線偏光子207としての反射型直線偏光子のように、互いに直交する直線偏光を透過する2種の領域を有する構成の場合には、支持体上に、上述した反射型直線偏光子を、その透過軸が互いに直交するように並べて貼着することで作製することができる。
【0195】
また、第1反射偏光子212および第2反射偏光子214としての反射型直線偏光子は、凹面鏡の作用を有する。反射型直線偏光子に凹面鏡の作用をもたせるためには、反射型直線偏光子自体を凹状の形状にすればよい。反射型直線偏光子を凹状に形成する方法は、上記反射型円偏光子の場合と同様である。
【0196】
<<パターン位相差層>>
パターン位相差層208は、λ/4板であり、遅相軸の方向が異なる領域が所定のパターンで形成されているものである。
【0197】
また、位相差層には制限はない。位相差層は、延伸されたポリカーボネートフィルム、延伸されたノルボルネン系ポリマーフィルム、炭酸ストロンチウムのような複屈折を有する無機粒子を含有して配向させた透明フィルム、支持体上に無機誘電体を斜め蒸着した薄膜、重合性液晶化合物を一軸配向させて配向固定したフィルム、および、液晶化合物を一軸配向させて配向固定したフィルムなど、公知の各種の位相差層が利用可能である。
【0198】
ここで、パターン位相差層208は、遅相軸の方向が互いに直交する領域を有している。このようなパターン位相差層208は、支持体上に、上述した位相差層を、その遅相軸が互いに直交するように並べて貼着することで作製することができる。
【0199】
あるいは、パターン位相差層208は、例えば、特開2012-008170号公報に記載される方法、および、特開2012-032661号公報に記載される方法等、公知の方法で作製してもよい。また、パターン位相差層は、市販品も利用可能である。
【0200】
なお、上述した例においては、第1反射偏光子および第2反射偏光子は、2分割されて、第1偏光を透過する第1領域と、第2偏光を透過する第2領域とをそれぞれ1領域有する構成としたがこれに限定はされない。第1反射偏光子および第2反射偏光子は、第1領域の形状と第2領域の形状とが光軸に対して点対称であれば、第1反射偏光子および第2反射偏光子をそれぞれ複数領域有していてもよい。その際、各領域のサイズは異なっていてもよい。
【0201】
この場合、ディスプレイは、第1反射偏光子および第2反射偏光子の第1領域および第2領域に合わせて、第1偏光を出射する第1表示領域と、第2偏光を出射する第2表示領域とを、それぞれ複数領域有する構成とすればよい。
【0202】
以上、本発明の画像表示装置について詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
【符号の説明】
【0203】
200a、200b、200c 画像表示装置
201a、201b、201c ディスプレイ
202 画像表示素子
204 パターン円偏光板
204a 右円偏光透過領域
204b 左円偏光透過領域
206 直線偏光子
207 パターン直線偏光子
207a 第1偏光透過領域
207b 第2偏光透過領域
208 パターン位相差層
208a 第1遅相軸領域
208b 第2遅相軸領域
211、212 第1反射偏光子
211a、212a 第1領域
211b、212b 第2領域
213、214 第2反射偏光子
213a、214a 第1領域
213b、214b 第2領域