(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027512
(43)【公開日】2025-02-28
(54)【発明の名称】データ処理装置、データ処理方法及び磁気共鳴撮像装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20250220BHJP
【FI】
A61B5/055 382
A61B5/055 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132294
(22)【出願日】2023-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100153822
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 重之
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 翔平
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AA09
4C096AA18
4C096AB37
4C096AC04
4C096AD07
4C096AD27
4C096BB08
4C096DA18
4C096DC22
4C096DD08
4C096DD13
4C096DD15
4C096DD16
(57)【要約】
【課題】心臓静止時相の検出を実行した場合に、この心臓静止時相の検出結果の修正を容易に実行可能なデータ処理装置及びデータ処理方法と、このデータ処理装置を備える磁気共鳴撮像装置と、を提供する。
【解決手段】磁気共鳴撮像装置(MRI装置10)が取得した核磁気共鳴(NMR)信号に基づいて、時系列に沿った複数の心臓の画像22を再構成する再構成部31と、再構成部31が再構成した複数の画像22に基づいて、1つ以上の心臓静止時相を検出する時相検出部32と、心臓静止時相を表示部18に表示させる表示制御部33と、心臓静止時相の修正操作の入力を受け付ける操作部20と、操作部20に入力された修正操作に基づいて、心臓静止時相を修正する時相修正部34と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心電図波形と同期させて心臓の核磁気共鳴信号を1心拍以上の期間で取得する磁気共鳴撮像装置のデータ処理装置において、
前記磁気共鳴撮像装置が取得した前記核磁気共鳴信号に基づいて、時系列に沿った複数の前記心臓の画像を再構成する再構成部と、
前記再構成部が再構成した複数の前記画像に基づいて、1つ以上の心臓静止時相を検出する時相検出部と、
前記心臓静止時相を表示部に表示させる表示制御部と、
前記心臓静止時相の修正操作の入力を受け付ける操作部と、
前記操作部に入力された前記修正操作に基づいて、前記心臓静止時相を修正する時相修正部と、
を備えるデータ処理装置。
【請求項2】
前記心臓静止時相に基づいて前記磁気共鳴撮像装置のスキャンパラメータを設定するパラメータ設定部を備え、
前記パラメータ設定部が、前記操作部に前記修正操作が入力された場合には、前記時相修正部により修正された前記心臓静止時相に基づいて前記スキャンパラメータを設定する請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記操作部が、前記修正操作で修正された前記心臓静止時相の再修正操作の入力を受け付け可能であり、
前記時相修正部が、前記操作部に前記再修正操作が入力された場合には、前記再修正操作に基づいて前記心臓静止時相を再修正し、
前記パラメータ設定部が、前記操作部に前記再修正操作が入力された場合には、前記時相修正部により再修正された前記心臓静止時相に基づいて前記スキャンパラメータを設定する請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記時相検出部が、前記心臓の収縮末期の前記心臓静止時相を示す第1心臓静止時相と、前記心臓の拡張末期の前記心臓静止時相を示す第2心臓静止時相と、を検出し、
前記表示制御部が、前記第1心臓静止時相と前記第2心臓静止時相とを識別可能に前記表示部に表示させ、
前記操作部が、前記第1心臓静止時相の前記修正操作と、前記第2心臓静止時相の前記修正操作と、の入力を受け付け、
前記時相修正部が、前記操作部に前記第1心臓静止時相の前記修正操作が入力された場合には前記第1心臓静止時相を修正し、前記操作部に前記第2心臓静止時相の前記修正操作が入力された場合には前記第2心臓静止時相を修正する請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記心臓静止時相に基づいて前記磁気共鳴撮像装置のスキャンパラメータを設定するパラメータ設定部を備え、
前記操作部が、前記第1心臓静止時相及び前記第2心臓静止時相のいずれか一方を選択する時相選択操作の入力を受け付け可能であり、
前記パラメータ設定部が、前記操作部に前記時相選択操作が入力された場合には、前記時相選択操作で選択された前記一方に基づいて前記スキャンパラメータを設定する請求項4に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記心臓静止時相に基づいて前記磁気共鳴撮像装置のスキャンパラメータを設定するパラメータ設定部を備え、
前記パラメータ設定部が、予め定められた推奨条件に従って前記第1心臓静止時相及び前記第2心臓静止時相のいずれか一方を選択して、前記一方に基づいて前記スキャンパラメータを設定する請求項4に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記表示制御部が、前記心臓静止時相を時間軸に合わせて前記表示部に表示させる請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記表示制御部が、前記心臓静止時相及び前記時間軸を含む時相表示領域と、前記再構成部により再構成された複数の前記画像のいずれかを選択的に表示する画像表示領域と、を前記表示部に表示させ、
前記操作部が、前記時間軸の任意の時間を指定する時間指定操作の入力を受け付け可能であり、
前記表示制御部が、前記操作部に前記時間指定操作が入力された場合には、前記再構成部により再構成された複数の前記画像のうちで、前記時間指定操作で指定された前記時間に対応する前記画像を前記画像表示領域に表示させる請求項7に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
前記表示制御部が、前記心臓静止時相及び前記時間軸を含む時相表示領域と、前記再構成部により再構成された複数の前記画像のいずれかを選択的に表示する画像表示領域と、を前記表示部に表示させ、
前記操作部が、前記画像表示領域に表示する前記画像を選択する画像選択操作の入力を受け付け可能であり、
前記表示制御部が、前記操作部に前記画像選択操作が入力された場合には、前記画像選択操作で選択された前記画像を前記画像表示領域に表示させ、前記画像選択操作で選択された前記画像に対応する時相を前記時相表示領域内の前記時間軸に表示させる請求項7に記載のデータ処理装置。
【請求項10】
前記心電図波形から得られる心拍数に基づいて、前記心拍数に対応した前記心臓静止時相の標準値を決定する標準値決定部と、
前記標準値決定部が決定した前記標準値に基づいて、前記時相検出部が検出した前記心臓静止時相の確度を演算する確度演算部と、
を備え、
前記表示制御部が、前記確度演算部の演算結果を前記表示部に表示させる請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項11】
前記再構成部が、複数の前記画像を一定時間間隔で再構成する請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項12】
前記時相検出部が、前記再構成部により再構成された複数の前記画像ごとに前記画像の信号値の代表値を演算して、前記時系列に沿った前記画像ごとの前記代表値に基づいて前記心臓静止時相を検出する請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項13】
心電図波形と同期させて心臓の核磁気共鳴信号を1心拍以上の期間で取得する計測制御部と、
請求項1から12のいずれか1項に記載のデータ処理装置と、
を備える磁気共鳴撮像装置。
【請求項14】
心電図波形と同期させて心臓の核磁気共鳴信号を1心拍以上の期間で取得する磁気共鳴撮像装置のデータ処理方法において、
前記磁気共鳴撮像装置が取得した前記核磁気共鳴信号に基づいて、時系列に沿った複数の前記心臓の画像を再構成する再構成ステップと、
前記再構成ステップで再構成した複数の前記画像に基づいて、1つ以上の心臓静止時相を検出する時相検出ステップと、
前記心臓静止時相を表示部に表示させる表示制御ステップと、
前記心臓静止時相の修正操作の入力を受け付ける入力受付ステップと、
前記入力受付ステップで受け付けた前記修正操作に基づいて、前記心臓静止時相を修正する時相修正ステップと、
を有するデータ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴撮像装置のデータ処理装置及びデータ処理方法と、このデータ処理装置を備える磁気共鳴撮像装置と、に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴撮像装置[磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置ともいう]は、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをラーモア(Larmor)周波数のRF(Radio Frequency)パルスで磁気的に励起し、この励起に伴って発生する核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)信号から画像を再構成する。この磁気共鳴撮像装置は、心臓検査に用いられる場合には、心臓の心電波形と同期して心臓のNMR信号を取得する心電同期撮像を行うことで、拍動によるアーチファクトの少ない心臓の画像を得る。
【0003】
特許文献1に記載の磁気共鳴撮像装置は、心電波形と同期して2心拍分のプリスキャン(MR信号の取得)を実行し、このプリスキャンで得られたNMR信号に基づいて心臓の1心拍の拡張末期及び収縮末期の心臓静止時相(心臓静止期間の開始時相及び終了時相)を検出する。そして、特許文献1に記載の磁気共鳴撮像装置は、プリスキャンでの心臓静止時相の検出結果と、事前のユーザ設定とに基づいて、心臓MRIの本撮像時の撮像時相(心電波形のR波からのディレイタイム等)を設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載の磁気共鳴撮像装置のプリスキャンで検出された心臓静止時相が、実際の心臓静止時相とは異なる場合がある。この場合に特許文献1に記載の磁気共鳴撮像装置では、プリスキャンで検出した心臓静止時相の修正(調整)を容易に実行することができない。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、心臓静止時相の検出を実行した場合に、この心臓静止時相の検出結果の修正を容易に実行可能なデータ処理装置及びデータ処理方法と、このデータ処理装置を備える磁気共鳴撮像装置と、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係るデータ処理装置は、心電図波形と同期させて心臓の核磁気共鳴信号を1心拍以上の期間で取得する磁気共鳴撮像装置のデータ処理装置において、磁気共鳴撮像装置が取得した核磁気共鳴信号に基づいて、時系列に沿った複数の心臓の画像を再構成する再構成部と、再構成部が再構成した複数の画像に基づいて、1つ以上の心臓静止時相を検出する時相検出部と、心臓静止時相を表示部に表示させる表示制御部と、心臓静止時相の修正操作の入力を受け付ける操作部と、操作部に入力された修正操作に基づいて、心臓静止時相を修正する時相修正部と、を備える。
【0008】
このデータ処理装置によれば、ユーザが表示部に表示される心臓静止時相に基づいて、この心臓静止時相の修正(調整)を容易に実行することができる。
【0009】
本発明の第2態様に係るデータ処理装置は、第1態様において、心臓静止時相に基づいて磁気共鳴撮像装置のスキャンパラメータを設定するパラメータ設定部を備え、パラメータ設定部が、操作部に修正操作が入力された場合には、時相修正部により修正された心臓静止時相に基づいてスキャンパラメータを設定する。これにより、修正操作で修正された心臓静止時相に基づいてスキャンパラメータを設定することができる。
【0010】
本発明の第3態様に係るデータ処理装置は、第2態様において、操作部が、修正操作で修正された心臓静止時相の再修正操作の入力を受け付け可能であり、時相修正部が、操作部に再修正操作が入力された場合には、再修正操作に基づいて心臓静止時相を再修正し、パラメータ設定部が、操作部に再修正操作が入力された場合には、時相修正部により再修正された心臓静止時相に基づいてスキャンパラメータを設定する。これにより、スキャンパラメータ設定後であっても、心臓静止時相を再修正してスキャンパラメータに反映することができる。
【0011】
本発明の第4態様に係るデータ処理装置は、第1態様から第3態様のいずれかにおいて、時相検出部が、心臓の収縮末期の心臓静止時相を示す第1心臓静止時相と、心臓の拡張末期の心臓静止時相を示す第2心臓静止時相と、を検出し、表示制御部が、第1心臓静止時相と第2心臓静止時相とを識別可能に表示部に表示させ、操作部が、第1心臓静止時相の修正操作と、第2心臓静止時相の修正操作と、の入力を受け付け、時相修正部が、操作部に第1心臓静止時相の修正操作が入力された場合には第1心臓静止時相を修正し、操作部に第2心臓静止時相の修正操作が入力された場合には第2心臓静止時相を修正する。これにより、ユーザは、心臓の収縮末期の第1心臓静止時相と、心臓の拡張末期の第2心臓静止時相と、を容易に修正することができる。
【0012】
本発明の第5態様に係るデータ処理装置は、第4態様において、心臓静止時相に基づいて磁気共鳴撮像装置のスキャンパラメータを設定するパラメータ設定部を備え、操作部が、第1心臓静止時相及び第2心臓静止時相のいずれか一方を選択する時相選択操作の入力を受け付け可能であり、パラメータ設定部が、操作部に時相選択操作が入力された場合には、時相選択操作で選択された一方に基づいてスキャンパラメータを設定する。これにより、第1心臓静止時相及び第2心臓静止時相のいずれか一方に基づいてスキャンパラメータを設定することができる。
【0013】
本発明の第6態様に係るデータ処理装置は、第4態様において、心臓静止時相に基づいて磁気共鳴撮像装置のスキャンパラメータを設定するパラメータ設定部を備え、パラメータ設定部が、予め定められた推奨条件に従って第1心臓静止時相及び第2心臓静止時相のいずれか一方を選択して、一方に基づいてスキャンパラメータを設定する。これにより、第1心臓静止時相及び第2心臓静止時相のうちで推奨条件が推奨している方に基づいて、スキャンパラメータを設定することができる。
【0014】
本発明の第7態様に係るデータ処理装置は、第1態様から第6態様のいずれかにおいて、表示制御部が、心臓静止時相を時間軸に合わせて表示部に表示させる。
【0015】
本発明の第8態様に係るデータ処理装置は、第7態様において、表示制御部が、心臓静止時相及び時間軸を含む時相表示領域と、再構成部により再構成された複数の画像のいずれかを選択的に表示する画像表示領域と、を表示部に表示させ、操作部が、時間軸の任意の時間を指定する時間指定操作の入力を受け付け可能であり、表示制御部が、操作部に時間指定操作が入力された場合には、再構成部により再構成された複数の画像のうちで、時間指定操作で指定された時間に対応する画像を画像表示領域に表示させる。これにより、時相検出部が検出した心臓静止時相に対応する画像を表示部に表示させられるので、ユーザは、検出部が検出した心臓静止時相が実際の心臓静止時相と異なるのか否かを判断することができる。
【0016】
本発明の第9態様に係るデータ処理装置は、第7態様又は第8態様において、表示制御部が、心臓静止時相及び時間軸を含む時相表示領域と、再構成部により再構成された複数の画像のいずれかを選択的に表示する画像表示領域と、を表示部に表示させ、操作部が、画像表示領域に表示する画像を選択する画像選択操作の入力を受け付け可能であり、表示制御部が、操作部に画像選択操作が入力された場合には、画像選択操作で選択された画像を画像表示領域に表示させ、画像選択操作で選択された画像に対応する時相を時相表示領域内の時間軸に表示させる。これにより、画像選択操作で選択された心臓静止期間の画像に対応する時相を時間軸に表示させられるので、ユーザは実際の心臓静止時相を把握することができる。
【0017】
本発明の第10態様に係るデータ処理装置は、第1態様から第9態様のいずれかにおいて、心電図波形から得られる心拍数に基づいて、心拍数に対応した心臓静止時相の標準値を決定する標準値決定部と、標準値決定部が決定した標準値に基づいて、時相検出部が検出した心臓静止時相の確度を演算する確度演算部と、を備え、表示制御部が、確度演算部の演算結果を表示部に表示させる。これにより、ユーザの経験が浅い場合であっても、ユーザが心臓静止時相の確度を容易に把握することができる。
【0018】
本発明の第11態様に係るデータ処理装置は、第1態様から第10態様のいずれかにおいて、再構成部が、複数の画像を一定時間間隔で再構成する。
【0019】
本発明の第12態様に係るデータ処理装置は、第1態様から第11態様のいずれかにおいて、時相検出部が、再構成部により再構成された複数の画像ごとに画像の信号値の代表値を演算して、時系列に沿った前記画像ごとの代表値に基づいて心臓静止時相を検出する。
【0020】
本発明の第13態様に係る磁気共鳴撮像装置は、心電図波形と同期させて心臓の核磁気共鳴信号を1心拍以上の期間で取得する計測制御部と、第1態様から第12態様のいずれかのデータ処理装置と、を備える。
【0021】
本発明の第14態様に係るデータ処理方法は、心電図波形と同期させて心臓の核磁気共鳴信号を1心拍以上の期間で取得する磁気共鳴撮像装置のデータ処理方法において、磁気共鳴撮像装置が取得した核磁気共鳴信号に基づいて、時系列に沿った複数の心臓の画像を再構成する再構成ステップと、再構成ステップで再構成した複数の画像に基づいて、1つ以上の心臓静止時相を検出する時相検出ステップと、心臓静止時相を表示部に表示させる表示制御ステップと、心臓静止時相の修正操作の入力を受け付ける入力受付ステップと、入力受付ステップで受け付けた修正操作に基づいて、心臓静止時相を修正する時相修正ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、心臓静止時相の検出を実行した場合に、この心臓静止時相の検出結果の修正を容易に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】MRI装置(磁気共鳴撮像装置)の斜視図である。
【
図2】第1実施形態の制御装置の機能ブロック図である。
【
図3】時相検出部による信号値検出処理の一例を示した説明図である。
【
図4】心臓の1心拍間に亘る時系列画像群の各画像の時相(横軸)と、各画像の信号値(縦軸)と、の関係を示したグラフである。
【
図5】時相検出部による静止時相検出処理の一例を説明するための説明図である。
【
図6】第1実施形態の時相設定UI画面の一例を示した説明図である。
【
図7】修正操作後の時相設定UI画面の一例を示した説明図である。
【
図8】スキャンパラメータの一例を示した説明図である。
【
図9】第1実施形態のMRI装置のデータ処理方法、特にスキャンパラメータ設定の流れを示したフローチャートである。
【
図10】スキャンパラメータの設定後の第1心臓静止時相及び第2心臓静止時相の再修正操作の流れを示したフローチャートである。
【
図11】第2実施形態のMRI装置の制御装置の機能ブロック図である。
【
図12】第2実施形態の時相設定UI画面の一例を示した説明図である。
【
図13】第2実施形態のMRI装置のデータ処理方法、特にスキャンパラメータ設定の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
<MRI装置の全体構成>
図1は、MRI装置10(磁気共鳴撮像装置)の斜視図である。
図1に示すように、MRI装置10は、心電計9と組み合わせられることで心臓MRI検査を実行、すなわち心臓の画像22を生成する。なお、本実施形態では、心臓の画像22として、心臓の左心室を輪切り状に観察可能な短軸断面画像を生成するが、心臓の左心室全体或いは両心房及び両心室を観察可能な長軸断面画像を生成してもよい。
【0025】
心電計9は、被検者に装着された不図示の電極に接続されており、被検者の心臓の心電図波形ECを連続的に測定してMRI装置10の制御装置16へ連続的に出力する。
【0026】
MRI装置10は、寝台12と、計測部14と、制御装置16と、表示部18と、操作部20と、を備える。
【0027】
寝台12には、心臓MRI検査を受ける被検者(患者)が載せられる天板12aを備える。天板12aは、不図示の駆動装置により、上下方向と、計測部14の撮像空間14aに進入する方向(前方向)と、撮像空間14aから退出する方向(後方向)と、に移動可能である。
【0028】
計測部14は、図示は省略するが、静磁場発生磁石、傾斜磁場コイル、送信コイル及び受信コイルなどを備える。静磁場発生磁石は、撮像空間14aに静磁場を発生させる。傾斜磁場コイルは、静磁場発生磁石が発生させる静磁場に対して磁場勾配を与える。送信コイルは、被検者の計測領域(心臓)に対して高周波磁場を発生させる。受信コイルは、被検者の計測領域から生じるNMR信号を受信する。なお、計測部14の各部の詳細構成については公知技術であるので、ここでは具体的な説明を省略する。計測部14は、心臓MRI検査では後述の制御装置16の制御の下、被検者の心臓に対して高周波磁場を印加し、この高周波磁場の印加により心臓から生じるNMR信号を取得して制御装置16へ出力する。
【0029】
制御装置16には、心電計9、計測部14、表示部18及び操作部20が接続されている。この制御装置16は、心電計9から入力される心電図波形ECに基づいて計測部14を制御して、心電図波形ECと同期させた状態で心臓のNMR信号を取得するMRI撮像(心電同期撮像)を実行する。また、制御装置16は、本発明のデータ処理装置として機能することで、計測部14から取得したNMR信号に基づいた心臓の画像22の再構成と、心臓静止時相の検出と、心臓静止時相の表示及び修正操作の受付と、MRI装置10のスキャンパラメータ設定と、を実行する。
【0030】
表示部18には、制御装置16の制御の下、MRI撮像の操作設定画面、制御装置16により再構成された画像22(診断画像)、及びUI(User Interface)画面である時相設定UI画面40などが表示される。時相設定UI画面40は、詳しくは後述するが、心臓静止時相の修正操作とMRI装置10のスキャンパラメータ設定とに用いられる画面であり、画像22及び心臓静止時相の検出結果を含む(
図6参照)。
【0031】
操作部20は、例えばキーボード及びマウスなどにより構成される。この操作部20は、MRI装置10のユーザ(検者)による各種操作の入力を受け付ける。各種操作には、MRI撮像の開始操作の他、詳しくは後述するが、時相設定UI画面40に対する各種操作(修正操作、再修正操作、時相選択操作、時間指定操作及び画像選択操作)が含まれる。また、MRI撮像の開始操作には、後述のスキャンパラメータ28(
図2参照)の設定前などに実行される心臓のシネ撮像の開始操作と、スキャンパラメータ28に基づいて実行される心臓静止期間に合わせた本撮像の開始操作と、が含まれる。
【0032】
<制御装置の機能>
図2は、第1実施形態の制御装置16の機能ブロック図である。
図2に示すように、制御装置16の機能は、各種のプロセッサ(Processor)を用いて実現される。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス[例えばSPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)]等が含まれる。なお、制御装置16の各種機能は、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種または異種の複数のプロセッサで実現されてもよい。
【0033】
制御装置16には、既述の心電計9、計測部14、表示部18及び操作部20の他に、記憶部24が接続されている。
【0034】
記憶部24には、MRI装置10の不図示の制御プログラムの他に、信号記憶部25及び画像記憶部26が設けられている。信号記憶部25には、制御装置16が計測部14から取得したNMR信号が被検者の固有識別情報[ID(Identification)]等に対応付けられて記憶される。画像記憶部26には、制御装置16により再構成された複数の画像22が被検者のID等に対応付けられて記憶される。
【0035】
また、記憶部24には、MRI装置10のスキャンパラメータ28(撮像パラメータ、MRパラメータともいう)が被検者のID等に対応付けられて記憶されている。スキャンパラメータ28は、MRI装置10によるMRI撮像の設定値(撮像条件)であり、被検者の部位ごとに定められている。本実施形態のスキャンパラメータ28は、心臓のMRI撮像に対応した設定値であり、例えば心臓静止時相(心電図波形ECのR波から心臓静止期間までの経過時間)を示す情報を含む。MRI装置10は、スキャンパラメータ28に基づいて、拍動している心臓の拡張末期及び収縮末期の少なくともいずれか一方の心臓静止期間に合わせてMRI撮像(本撮像)を実行する。
【0036】
制御装置16は、記憶部24に記憶されている不図示の制御プログラムを実行することで、計測制御部30、再構成部31、時相検出部32、表示制御部33、時相修正部34及びパラメータ設定部35として機能する。
【0037】
計測制御部30は、操作部20にMRI撮像(シネ撮像、本撮像)の開始操作が入力された場合に作動する。この計測制御部30は、心電計9から入力される被検者の心電図波形ECに基づいて計測部14を制御して、心電図波形ECと同期させて1心拍以上の心臓の核磁気共鳴信号(NMR信号)を取得するMRI撮像を実行する。なお、本実施形態のMRI撮像では、計測制御部30は複数心拍の期間でMRI信号を取得する。
【0038】
計測制御部30は、操作部20にシネ撮像の開始操作が入力された場合には、公知のレトロスペクティブシネ撮像を実行する。レトロスペクティブシネ撮像では、NMR信号と共に心電図波形ECを信号記憶部25に記憶しておき、後処理で後述の再構成部31がNMR信号を並び替えて画像22を再構成する。なお、計測制御部30は、レトロスペクティブシネ撮像を実行する代わりに、心電図波形ECのR波に同期してNMR信号を取得する公知のプロスペクティブシネ撮像を実行してもよい。
【0039】
また、計測制御部30は、操作部20に本撮像の開始操作が入力された場合には、被検者の心電図波形ECと、記憶部24内のスキャンパラメータ28と、に基づいて計測部14を制御して、被検者の心臓静止期間に合わせたNMR信号の取得を実行する。
【0040】
再構成部31は、信号記憶部25に記憶されたNMR信号等に基づいて公知の手法で画像22の再構成を行う。具体的には再構成部31は、計測制御部30によりレトロスペクティブシネ撮像が実行された場合には、複数心拍分のNMR信号及び心電図波形ECに基づいて、心臓の1心拍間に亘る時系列に沿った複数の画像22を一定時間間隔(略一定時間間隔を含む)で再構成する。なお、各画像22の時間間隔については適宜調整が可能である。
【0041】
例えば本実施形態では、再構成部31が、10心拍分の期間で取得されたNMR信号に基づいて、心臓の1心拍間(約1000ms)を30分割した一定時間間隔ごとに画像22を再構成する(
図4参照)。再構成部31が再構成した各画像22(以下、時系列画像群という)は、個々の画像22の時相(心電図波形ECのR波からの経過時間)が既知であるので、後述の時相検出部32による心臓静止時相の検出に用いられる。また、時系列画像群の個々の画像22は、診断用の診断画像としても用いられる。そして、再構成部31は、時系列画像群を被検者のID等に対応付けて画像記憶部26に記憶させる。
【0042】
また、再構成部31は、計測制御部30により本撮像が実行された場合には、被検者の心臓静止期間に合わせて取得されたNMR信号に基づいて画像22を再構成し、この画像22を被検者のID等に対応付けて画像記憶部26に記憶させる。さらに、再構成部31は、レトロスペクティブシネ撮像で取得済みのNMR信号の中から心臓静止期間に対応したNMR信号を選択して画像22を再構成可能である。
【0043】
時相検出部32は、画像記憶部26に記憶されている時系列画像群に基づいて、1つ以上の心臓静止時相を検出する。ここで心臓静止時相は、R波から心臓静止期間の開始までの経過時間(開始時相)と、R波から心臓静止期間の終了までの経過時間(終了時相)と、を含む。そして、時相検出部32は、後述の
図4に示すように心臓静止時相として、心臓の収縮末期の心臓静止時相を示す第1心臓静止時相P1と、心臓の拡張末期の心臓静止時相を示す第2心臓静止時相P2と、を検出する。具体的には時相検出部32は、時系列画像群の各画像22から信号値を検出する信号値検出処理と、信号値検出処理の検出結果に基づいて第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2を検出する静止時相検出処理と、を実行する。
【0044】
図3は、時相検出部32による信号値検出処理の一例を示した説明図である。
図4は、心臓の1心拍間に亘る時系列画像群の各画像22の時相(横軸)と、各画像22の信号値(縦軸)と、の関係を示したグラフである。なお、
図4中の各画像22の信号値は、最初(R波直後)の画像22の信号値を基準として規格化している。
【0045】
図3に示すように、時相検出部32は、画像記憶部26に記憶されている時系列画像群の画像22ごとに信号値を検出する信号検出処理を実行する。例えば、時相検出部32は、画像22ごとに、画像22の中心(観察視野中心)を通る2軸(横軸A1及び縦軸A2)上のピクセルのピクセル信号値の平均値を演算して、この平均値を画像22の信号値(代表値)として検出する。画像22の信号値は、画像22内で血液が占める面積が増加するほど高くなり、逆に血液が占める面積が減少するほど低くなる。従って、画像22の信号値は、心臓の拡張期には増加し、逆に心臓の収縮期には減少する。なお、各画像22の信号値を検出する方法は、上述の方法に限定されるものではなく、公知の各種方法が用いられる。
【0046】
図4に示すように、時相検出部32が画像22ごとに信号検出処理を実行することで、心臓の1心拍間に亘る一定時間間隔ごとの画像22の時相と、画像22ごとの信号値と、の関係が得られる。
【0047】
図5は、時相検出部32による静止時相検出処理の一例を説明するための説明図である。なお、
図5の符号5Aは
図4に示したグラフであり、
図5の符号5Bは心電図波形ECに第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2を重畳表示した図である。
【0048】
図5に示すように、時相検出部32は、心臓の1心拍間に亘る一定時間間隔ごとの画像22の時相と、画像22ごとの信号値と、の関係に基づいて、第1心臓静止時相P1(第1開始時相P1a及び第1終了時相P1b)と、第2心臓静止時相P2(第2開始時相P2a及び第2終了時相P2b)と、を検出する静止時相検出処理を実行する。
【0049】
例えば時相検出部32は、公知のデータ解析法を用いて、時間経過と共に信号値が低下した後で信号値の時間変化が少なくなる第1範囲と、時間経過と共に信号値が増加した後で信号値の時間変化が少なくなる第2範囲と、を検出する。そして、時相検出部32は、第1範囲の一部を第1心臓静止時相P1として決定し、第2範囲の一部を第2心臓静止時相P2として決定する。なお、第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の決定方法は特に限定はされない。また、時相検出部32の検出結果は、被検者のID等に関連付けて記憶部24に記憶してもよい。
【0050】
なお、時相検出部32は、第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の両方を検出する代わりに、予め定められた設定条件に従って第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2のいずれか一方のみを検出してもよい。
【0051】
<時相設定UI画面>
図6は、第1実施形態の時相設定UI画面40の一例を示した説明図である。
図6及び既述の
図2に示すように、表示制御部33は、時相検出部32による第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の検出結果と、画像記憶部26に記憶されている時系列画像群と、に基づいて、時相設定UI画面40を生成して表示部18に表示させる。この時相設定UI画面40は、画像表示領域40Aと時相表示領域40Bとを含む。
【0052】
画像表示領域40Aには、時系列画像群を構成する複数の画像22のいずれかが選択的に表示される。また、画像表示領域40Aには、時相表示領域42及び画像選択アイコン43が含まれる。
【0053】
時相表示領域42は、画像表示領域40Aに表示されている画像22の時相(心位相)を表示する。
【0054】
画像選択アイコン43は、時系列画像群を構成する複数の画像22の中から、ユーザが画像表示領域40Aに表示する画像22を選択する画像選択操作に用いられる。画像選択操作は、例えばカーソル41で画像選択アイコン43を指定する指定操作(マウスのクリック操作等)であり、ユーザにより操作部20に入力される。なお、画像表示領域40Aに複数の画像22を表示して、画像選択操作で選択された画像22の表示態様を他の画像22とは異ならせてもよい。
【0055】
時相表示領域40Bには、検出結果欄44が含まれている。この検出結果欄44には、心電図波形ECと、時相検出部32が検出した第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2と、が共通の時間軸T(ms)に合わせて表示される。また、検出結果欄44には、画像表示領域40Aに表示中の画像22に対応する時間軸T上の時間(時相)を示す時間指標45が表示されている。時間指標45は、例えば、スライダバー及び数値により構成されるが、その表示態様は特に限定はされない。
【0056】
時間指標45は、画像表示領域40Aに表示中の画像22に対応する時間軸T上の時間(時相)を示す他に、ユーザが時間軸T上の任意の時間を指定する時間指定操作に用いられる。時間指定操作は、例えばカーソル41によりスライダバーを時間軸T上の任意の時間まで移動させる移動操作(ドラッグ操作等)であり、ユーザにより操作部20に入力される。
【0057】
また、時相表示領域40Bには、第1開始時相表示欄46、第1終了時相表示欄47、第2開始時相表示欄48、第2終了時相表示欄49、第1選択欄50、第2選択欄51及び設定アイコン52等が含まれている。
【0058】
第1開始時相表示欄46には第1開始時相P1aが表示され、第1終了時相表示欄47には第1終了時相P1bが表示される。第2開始時相表示欄48には第2開始時相P2aが表示され、第2終了時相表示欄49には第2終了時相P2bが表示される。第1開始時相表示欄46、第1終了時相表示欄47、第2開始時相表示欄48及び第2終了時相表示欄49にそれぞれ表示されている時相は、修正操作により修正可能である(後述の
図7参照)。この修正操作は、例えばユーザが修正対象の時相表示欄内に新たな時相を入力する数値入力操作であり、ユーザにより操作部20に入力される。
【0059】
第1選択欄50は、第1心臓静止時相P1に基づいたスキャンパラメータ28の設定を選択する時相選択操作に用いられる。また、第2選択欄51は、第2心臓静止時相P2に基づいたスキャンパラメータ28の設定を設定する時相選択操作に用いられる。これら時相選択操作は、例えばユーザがカーソル41で第1選択欄50及び第2選択欄51をそれぞれ指定する指定操作(マウスのクリック操作等)であり、ユーザにより操作部20に入力される。なお、
図6中では、第2心臓静止時相P2のみに基づいたスキャンパラメータ28の設定を実行する場合を例示している。
【0060】
第1選択欄50及び第2選択欄51のいずれか一方のみに対して時相選択操作を行うことで、第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2のいずれか一方をスキャンパラメータ28の設定用に選択可能である。
【0061】
設定アイコン52は、第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2を確定して後述のパラメータ設定部35によるスキャンパラメータ28の設定を実行させるスキャンパラメータ設定操作に用いられる。スキャンパラメータ設定操作は、例えば設定アイコン52を指定する指定操作(マウスのクリック操作等)であり、ユーザにより操作部20に入力される。
【0062】
(画像選択操作)
表示制御部33は、画像選択アイコン43に対する画像選択操作が操作部20に入力された場合には、画像記憶部26に記憶されている時系列画像群の中から画像選択操作で選択された画像22を取得して画像表示領域40Aに表示させる。また、表示制御部33は、画像選択操作で選択された画像22の時相を時相表示領域42に表示させる。
【0063】
さらに表示制御部33は、画像選択操作で選択された画像22の時相に応じて、時間指標45の表示を変更する。具体的には表示制御部33は、画像選択操作で選択された画像22の時相に合わせて、時間指標45のスライダバーの時間軸T上での表示位置と、時間指標45の数値と、を変更する。これにより、画像選択操作で選択された画像22の時間(時相)が検出結果欄44の時間軸T上に表示される。
【0064】
(時間指定操作)
表示制御部33は、時間指標45(スライダバー)に対する時間指定操作が操作部20に入力された場合には、画像記憶部26に記憶されている時系列画像群の中から、時間指定操作後の時間指標45が示す時間(時相)に対応する画像22を取得して画像表示領域40Aに表示させる。また、表示制御部33は、時間指定操作後の時間指標45が示す時間(時相)を時相表示領域42に表示させる。これにより、時間指定操作で指定された任意の時間に対応する画像22を画像表示領域40Aに表示可能である。
【0065】
(修正操作)
上述の時間指定操作によって、時相検出部32が検出した第1開始時相P1a、第1終了時相P1b、第2開始時相P2a及び第2終了時相P2bにそれぞれ対応する画像22を選択的に画像表示領域40Aに表示可能である。これにより、ユーザは、第1開始時相P1a及び第1終了時相P1bに対応する画像22に基づいて、「時相検出部32が検出した第1開始時相P1a及び第1終了時相P1b」が「実際の第1開始時相P1a及び第1終了時相P1b」とは異なるのか否かを判断可能である。また同様にユーザは、第2開始時相P2a及び第2終了時相P2bに対応する画像22に基づいて、「時相検出部32が検出した第2開始時相P2a及び第2終了時相P2b」が「実際の第2開始時相P2a及び第2終了時相P2b」とは異なるのか否かを判断可能である。
【0066】
図7は、修正操作後の時相設定UI画面40の一例を示した説明図である。
図7に示すようにユーザは、例えば時相検出部32が検出した第1開始時相P1aが実際の第1開始時相P1aとは異なる場合には、上述の画像選択操作で画像表示領域40Aに表示させる画像22を切り替えながら実際の第1開始時相P1aに適した画像22を選択する。これにより、この画像22に対応した時相、すなわち実際の第1開始時相P1a(ここでは350ms)を、時間指標45によりユーザに示すことができる。その結果、ユーザは実際の第1開始時相P1aを容易に把握可能である。
【0067】
時相修正部34(
図2参照)は、例えば第1開始時相表示欄46(第1開始時相P1a)に対する修正操作が操作部20に入力された場合には、この修正操作に基づいて、時相検出部32が検出した第1開始時相P1aを実際の第1開始時相P1aに修正する。また、時相修正部34による修正に応じて、表示制御部33が、第1開始時相表示欄46に表示する第1開始時相P1aを修正する。
【0068】
なお、時相検出部32が検出した第1終了時相P1b、第2開始時相P2a及び第2終了時相P2bがそれぞれ実際の時相とは異なる場合にも同様の方法で、ユーザは実際の第1終了時相P1b、第2開始時相P2a及び第2終了時相P2bをそれぞれ把握して修正操作を実行する。
【0069】
(時相選択操作)
表示制御部33は、第1選択欄50及び第2選択欄51のいずれか一方に対する時相選択操作が操作部20に入力された場合には、この一方の欄の表示態様を変更、例えばチェックマークを表示する。また、表示制御部33は、第1選択欄50及び第2選択欄51の両方に対する時相選択操作が操作部20に入力された場合には、両方の欄の表示態様を変更する。
【0070】
(スキャンパラメータ設定操作)
パラメータ設定部35(
図2参照)は、設定アイコン52に対するスキャンパラメータ設定操作が操作部20に入力された場合、すなわち第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2が確定した場合に作動する。このパラメータ設定部35は、時相設定UI画面40の設定状態に基づいてスキャンパラメータ28の設定を行い、このスキャンパラメータ28を記憶部24に記憶させる。
【0071】
図8の符号8A~8Cは、スキャンパラメータ28の一例を示した説明図である。なお、
図8ではスキャンパラメータ28の各種設定項目(撮像条件)の中で、MRI撮像の開始条件に係る設定項目(「Delay Mode」、「Cardiac Phase」、「Delay[ms]」)のみを示し、他の設定項目については図示を省略している。
【0072】
スキャンパラメータ28の「Delay Mode」には、パラメータ設定部35によるスキャンパラメータ28の自動設定を行う場合には「AUTO」が設定され、ユーザが手動設定を行う場合には「Manual」が設定される。
【0073】
スキャンパラメータ28の「Cardiac Phase」には、収縮末期の心臓静止期間に合わせたMRI撮像を行う場合には「収縮末期」が設定され、拡張末期の心臓静止期間に合わせたMRI撮像を行う場合には「拡張末期」が設定され、収縮末期及び拡張末期の両方の心臓静止期間に合わせたMRI撮像を行う場合には「収縮末期/拡張末期」が設定される。
【0074】
スキャンパラメータ28の「Delay[ms]」には、R波を基準としたMRI撮像開始の遅延時間、すなわち第1開始時相P1a及び第2開始時相P2aの少なくとも一方が設定される。
【0075】
図8の符号8Aに示すように、パラメータ設定部35は、時相選択操作で第1選択欄50のみが選択された場合には、スキャンパラメータ28の「Delay Mode」を「AUTO」に設定し、「Cardiac Phase」を「収縮末期」に設定する。また、パラメータ設定部35は、「Delay[ms]」として、第1開始時相表示欄46内の第1開始時相P1a(ここでは350.0ms)を設定する。これにより、第1開始時相P1aが修正操作されていない場合にはそのまま「Delay[ms]」として設定され、第1開始時相P1aが修正操作されている場合には修正操作後の第1開始時相P1aが「Delay[ms]」として設定される。
【0076】
図8の符号8Bに示すように、パラメータ設定部35は、時相選択操作で第2選択欄51のみが選択された場合には、スキャンパラメータ28の「Delay Mode」を「AUTO」に設定し、「Cardiac Phase」を「拡張期」に設定する。また、パラメータ設定部35は、「Delay[ms]」として、第2開始時相表示欄48内の第2開始時相P2a(ここでは600.0ms)を設定する。これにより、第2開始時相P2aが修正操作されていない場合にはそのまま「Delay[ms]」として設定され、第2開始時相P2aが修正操作されている場合には修正操作後の第2開始時相P2aが「Delay[ms]」として設定される。
【0077】
図8の符号8Cに示すように、パラメータ設定部35は、時相選択操作で第1選択欄50及び第2選択欄51の両方が選択された場合には、スキャンパラメータ28の「Delay Mode」を「AUTO」に設定し、「Cardiac Phase」を「収縮末期/拡張末期」に設定する。また、パラメータ設定部35は、「Delay[ms]」として、第1開始時相表示欄46内の第1開始時相P1aと第2開始時相表示欄48内の第2開始時相P2aとを設定する。
【0078】
なお、図示は省略するが、パラメータ設定部35は、時相設定UI画面40の第1終了時相表示欄47に入力されている第1終了時相P1bと、第2終了時相表示欄49に入力されている第2終了時相P2bと、に基づいて、MRI撮像終了時間もスキャンパラメータ28に設定する。
【0079】
また、パラメータ設定部35が、ユーザによる時相選択操作に関係なく、予め定められた推奨条件に基づいて第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2のいずれか一方を選択して、この一方に基づいてスキャンパラメータ28を設定してもよい。この推奨条件は、例えば、施設方針に基づいて定められたり、或いは心電計9により検出される被検者の心拍数に基づいて定められたりする。この推奨条件に関する情報は予め記憶部24等に記憶されている。なお、推奨条件の設定内容は、操作部20を操作して変更可能である。
【0080】
(再修正操作)
スキャンパラメータ28は、パラメータ設定部35による設定後でも修正可能である。この場合には表示制御部33が、操作部20に対する時相設定UI画面40の表示操作の入力に応じて、表示部18に時相設定UI画面40を再表示させる。これにより、ユーザは、スキャンパラメータ28の設定前に行う修正操作と同様の再修正操作を操作部20に入力することで、時相修正部34による第1開始時相P1a、第1終了時相P1b、第2開始時相P2a及び第2終了時相P2bの再修正が実行される。また、この再修正に応じて表示制御部33が、第1開始時相表示欄46、第1終了時相表示欄47、第2開始時相表示欄48及び第2終了時相表示欄49の表示を更新する。なお、第1開始時相P1a、第1終了時相P1b、第2開始時相P2a及び第2終了時相P2bの再修正操作は複数回実行可能である。
【0081】
また、スキャンパラメータ28の設定前に修正操作が行われていない場合であっても、時相検出部32が検出した当初の第1開始時相P1a、第1終了時相P1b、第2開始時相P2a及び第2終了時相P2bの修正操作を少なくとも1回以上実行可能である。この場合にも時相修正部34による修正及び表示制御部33による表示更新が実行される。
【0082】
パラメータ設定部35は、表示部18に再表示された時相設定UI画面40(設定アイコン52)に対するスキャンパラメータ設定操作が操作部20入力された場合には、時相修正部34による修正後の時相設定UI画面40の設定状態に基づいて記憶部24に記憶されているスキャンパラメータ28を再設定(修正)する。
【0083】
[第1実施形態の作用]
図9は、第1実施形態のMRI装置10のデータ処理方法、特にスキャンパラメータ設定の流れを示したフローチャートである。
図9に示すように、ユーザがMRI撮像(シネ撮像)の開始操作を操作部20に入力すると(ステップS1A)、制御装置16が計測制御部30、再構成部31、時相検出部32、表示制御部33、時相修正部34及びパラメータ設定部35として機能する。
【0084】
最初に計測制御部30が、心電計9から入力される被検者の心電図波形ECに基づいて計測部14を制御して、複数心拍の期間で心臓のレトロスペクティブシネ撮像(心電同期撮像)を実行する(ステップS1B)。これにより、計測部14により取得されたNMR信号と心電計9の心電図波形ECとが信号記憶部25に記憶される。このように複数心拍の期間でデータ(NMR信号、心電図波形EC)を取得するため、データ取得期間が1心拍分しかない従来技術とは異なりデータ取得期間の心拍変動が平均化され、検査中の心拍変動による時相のずれを低減できる。
【0085】
レトロスペクティブシネ撮像が完了すると、再構成部31が、信号記憶部25に記憶された複数心拍分のNMR信号及び心電図波形ECに基づいて、心臓の1心拍間に亘る時系列の画像22を一定時間間隔で再構成する(ステップS2B、本発明の再構成ステップに相当)。そして、再構成部31が一定時間間隔で再構成した複数時相の画像22が時系列画像群として画像記憶部26に記憶される。なお、各画像22は診断画像として用いることができる。この場合には再度のMRI撮像を行う必要がなくなるので、検査時間の延長は発生しない。
【0086】
次いで、時相検出部32が、画像記憶部26に記憶されている時系列画像群に基づいて、既述の
図3に示したように、画像22ごとに信号値(代表値)を検出する信号値検出処理を実行する(ステップS3B)。そして、時相検出部32が、既述の
図4及び
図5に示したように、1心拍間に亘る一定時間間隔ごとの画像22の時相と信号値との関係に基づいて、第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2を検出する静止時相検出処理を実行する(ステップS4B)。なお、ステップS3B及びステップS4Bは、本発明の時相検出ステップに相当する。
【0087】
静止時相検出処理が完了すると、表示制御部33が、時相検出部32の検出結果と、画像記憶部26に記憶されている時系列画像群と、に基づいて、既述の
図6に示した時相設定UI画面40を生成して表示部18に表示させる(ステップS5B、本発明の表示制御ステップに相当)。これにより、第1心臓静止時相P1(第1開始時相P1a及び第1終了時相P1b)と、第2心臓静止時相P2(第2開始時相P2a及び第2終了時相P2b)と、が識別可能に表示部18に表示される。
【0088】
ユーザは、表示部18に時相設定UI画面40が表示されると(ステップS2AでYES)、時相設定UI画面40内の第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2が、実際の第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2とは異なるのか否かを判断する。
【0089】
例えばユーザは、既述の時間指定操作を操作部20に入力して、時相検出部32が検出した第1開始時相P1aに対応する画像22を画像表示領域40Aに表示させる。これにより、ユーザは、画像表示領域40Aに表示される画像22に基づいて、時相検出部32が検出した第1開始時相P1aが実際の第1開始時相P1aと異なるのか否かを判断、すなわち第1開始時相P1aの修正操作が必要であるのか否かを判断可能である(ステップS3A)。
【0090】
ユーザは、第1開始時相P1aの修正操作が必要であると判断した場合には(ステップS3AでYES)、例えば、既述の画像選択操作を操作部20に入力して、画像表示領域40Aに表示させる画像22を切り替えながら実際の第1開始時相P1aに適した画像22を選択する。これにより、表示制御部33が、ユーザにより選択された画像22に対応する時間(時相)に基づいて時間指標45のスライダバーの位置及び数値を調整する。これにより、ユーザは、実際の第1開始時相P1aを把握することができる。
【0091】
ユーザは、実際の第1開始時相P1aの把握した後、第1開始時相P1aの修正操作を操作部20に入力する(ステップS4A、本発明の入力受付ステップに相当)。これにより、時相修正部34が、時相検出部32により検出された第1開始時相P1aを実際の第1開始時相P1aに修正すると共に、この修正に応じて表示制御部33が、第1開始時相表示欄46の表示を修正する(ステップS6B)。なお、ステップS6Bは、本発明の時相修正ステップに相当する。
【0092】
このように本実施形態では、時相設定UI画面40内に画像表示領域40Aと時相表示領域40Bとを並列表示することで、ユーザは両方を参照しながら上述の時間指定操作及び画像選択操作を行うことができる。その結果、ユーザは、第1開始時相P1aの修正操作の要否の判断と実際の第1開始時相P1aの把握とを直感的に行うことができるので、第1開始時相P1aの修正を容易に実行可能である。
【0093】
以下同様に、ユーザは、残りの第1終了時相P1b、第2開始時相P2a及び第2終了時相P2bについてもそれぞれ修正操作の要否を判断して、修正操作が必要な場合には実際の時相を把握して修正操作を実行する。
【0094】
ユーザは、必要な修正操作が全て完了した場合、或いは修正操作が不要である場合(ステップS3AでNO)には、操作部20に対して既述の時相選択操作を入力する(ステップS5A)。これにより、第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の少なくとも一方がスキャンパラメータ28の設定用に選択される。なお、時相選択操作(ステップS5A)を修正操作(ステップS4A)の前に実行してもよい。また、既述の通り、第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の推奨条件が予め設定されている場合には、ユーザによる時相選択操作を省略可能である。
【0095】
次いで、ユーザは、スキャンパラメータ設定操作を操作部20に入力する(ステップS6A)。これにより、第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2が確定する。そして、パラメータ設定部35が、既述の
図8に示したように、時相選択操作の選択結果或いは推奨条件に従って、第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の少なくとも一方に基づいたスキャンパラメータ28の設定を実行して、このスキャンパラメータ28を記憶部24に記憶させる(ステップS7B)。
【0096】
図10は、スキャンパラメータ28の設定後の第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の再修正操作の流れを示したフローチャートである。
【0097】
図10に示すように、ユーザは、被検者の状態が変化した場合、或いはMRI撮像(本撮像)後にスキャンパラメータ28の再調整が必要になった場合には、操作部20に対して時相設定UI画面40の表示操作を入力する(ステップS10A)。この表示操作に応じて、表示制御部33が、時相設定UI画面40を表示部18に再表示させる(ステップS10B)。
【0098】
ユーザは、表示部18に時相設定UI画面40が表示された後(ステップS11AでYES)、例えば第1開始時相P1aの再修正が必要な場合には、画像表示領域40Aと時相表示領域40Bの両方を参照しながら上述の時間指定操作又は画像選択操作を操作部20に入力して、適切な第1開始時相P1aを決定する。次いで、ユーザは、第1開始時相P1aの再修正操作を操作部20に入力する(ステップS12A)。これにより、時相修正部34が再修正操作に基づいて第1開始時相P1aを再修正すると共に、表示制御部33が第1開始時相表示欄46の表示を修正する(ステップS11B)。その結果、先に確定した第1開始時相P1aが適切な第1開始時相P1aに再修正される。
【0099】
以下同様に、ユーザは、残りの第1終了時相P1b、第2開始時相P2a及び第2終了時相P2bについてもそれぞれ再修正操作が必要な場合には適切な時相を把握して再修正操作を実行する。また、ユーザは必要に応じて時相選択操作を操作部20に入力する。
【0100】
そして、ユーザがスキャンパラメータ設定操作を操作部20に入力すると(ステップS13A)、再び第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2が確定する。そして、パラメータ設定部35が、記憶部24に記憶されているスキャンパラメータ28を再設定する(ステップS12B)。
【0101】
以上のように第1実施形態のMRI装置10では、表示部18に時相設定UI画面40に表示させて、この時相設定UI画面40上で第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の修正操作(再修正操作)を実行可能にしたので、ユーザが第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の修正(調整)を容易に実行可能である。その結果、スキャンパラメータ28が従来よりも精度良く設定されるので、MRI撮像(本撮像)で良好な画像22が得られる。
【0102】
さらに、再構成部31が、修正操作後の第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2に基づいて、レトロスペクティブシネ撮像で取得済みのNMR信号の中から心臓静止期間に対応したNMR信号を選択して診断用の画像22を再構成することができる。これにより、再度のMRI撮像を行う必要がなくなるので、検査時間の延長は発生しない。
【0103】
[第2実施形態]
図11は、第2実施形態のMRI装置10の制御装置16の機能ブロック図である。第2実施形態のMRI装置10は、第1心臓静止時相P1(第1開始時相P1a及び第1終了時相P1b)及び第2心臓静止時相P2(第2開始時相P2a及び第2終了時相P2b)の確度を時相設定UI画面40内に表示させる。
【0104】
図11に示すように、第2実施形態のMRI装置10は、制御装置16が標準値決定部36及び確度演算部37として機能する点を除けば、第1実施形態のMRI装置10と基本的に同じ構成である。このため、第1実施形態のMRI装置10と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0105】
標準値決定部36は、心電計9から得られる被検者の心電図波形ECに基づいて被検者の心拍数を検出し、この心拍数の検出結果に基づいて、心拍数に対応した第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の標準値を決定する。例えば、標準値決定部36は、心拍数と、第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の標準値と、の関係を示す対応情報を予め取得している。これにより、標準値決定部36は、被検者の心拍数の検出結果に基づいて、この対応情報を参照することで第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の標準値を決定する。
【0106】
確度演算部37は、標準値決定部36が決定した第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の標準値に基づいて、時相検出部32が検出した第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の確度を演算する。
【0107】
例えば確度演算部37は、標準値決定部36が決定した第1心臓静止時相P1の標準値と、時相検出部32が検出した第1心臓静止時相P1との差(ズレ量)が小さくなるほど確度を高く演算して、逆にこの差が大きくなるほど確度を低く演算する。また同様に確度演算部37は、標準値決定部36が決定した第2心臓静止時相P2の標準値と、時相検出部32が検出した第2心臓静止時相P2との差が小さくなるほど確度を高く演算して、逆にこの差が大きくなるほど確度を低く演算する。
【0108】
なお、第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の確度の演算方法は、上述の方法に限定されるものではない。例えば、公知の機械学習のアルゴリズム(重回帰モデル等)を用いて生成された学習済みモデルを用いて、時相検出部32が検出した第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の確度を演算してもよい。この学習済みモデルは、説明変数である「被検者の心拍数(心電図波形EC)及び時相検出部32の検出結果」を入力として、目的変数である「第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の確度」を出力する。これにより、確度演算部37は、被検者の心拍数及び時相検出部32の検出結果を学習済みモデルに入力することで、第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の確度を演算可能である。
【0109】
また、第1心臓静止時相P1の第1開始時相P1aの確度と第1終了時相P1bの確度とを個別に演算すると共に、第2心臓静止時相P2の第2開始時相P2aの確度と第2終了時相P2bの確度とを個別に演算してもよい。
【0110】
図12は、第2実施形態の時相設定UI画面40の一例を示した説明図である。
図12に示すように、第2実施形態の表示制御部33は、時相検出部32の検出結果と、画像記憶部26に記憶されている時系列画像群と、確度演算部37の演算結果と、に基づいて時相設定UI画面40を生成して表示部18に表示させる。
【0111】
第2実施形態の時相設定UI画面40は、表示制御部33が確度演算部37の演算結果に基づいて生成した第1確度表示領域60及び第2確度表示領域61を含む点を除けば、上記第1実施形態の時相設定UI画面40と基本的に同じである。第1確度表示領域60は、第1心臓静止時相P1の確度を示す。第2確度表示領域61は、第2心臓静止時相P2の確度を示す。
【0112】
図13は、第2実施形態のMRI装置10のデータ処理方法、特にスキャンパラメータ設定の流れを示したフローチャートである。なお、
図13中のステップS1Aの処理と、ステップS1BからステップS4Bまでの処理とは、既述の
図9で説明した第1実施形態と同じであるのでここでは具体的な説明は省略する。
【0113】
図13に示すように、時相検出部32による第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の検出が完了すると(ステップS4B)、標準値決定部36が、心電計9の心電図波形ECから得られる被検者の心拍数に基づいて、この心拍数に対応した第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の標準値を決定する(ステップS4B-1)。次いで、確度演算部37が、第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の標準値に基づいて、時相検出部32が検出した第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の確度を演算する(ステップS4B-2)。
【0114】
そして、表示制御部33が、時相検出部32の検出結果と、画像記憶部26に記憶されている時系列画像群と、確度演算部37の演算結果と、に基づいて、既述の
図12に示した時相設定UI画面40を生成して表示部18に表示させる(ステップS5B)。なお、ステップS5Bの以降の処理については、既述の
図9で説明した第1実施形態と同じであるのでここでは具体的な説明は省略する。
【0115】
以上のように第2実施形態のMRI装置10では、第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の確度を演算して表示部18に表示させるので、ユーザの経験が浅い場合であっても、ユーザが第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の確度を容易に把握可能である。その結果、第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の少なくとも一方の確度が低い場合(例えば所定の閾値未満の場合)には、ユーザに対して第1心臓静止時相P1及び第2心臓静止時相P2の検出のやり直し(ステップS1A、ステップS1B~ステップS4B)を促すことができる。
【0116】
[その他]
上記各実施形態では、時相設定UI画面40に画像表示領域40Aと時相表示領域40Bとが含まれているが、時相設定UI画面40が時相表示領域40Bのみで構成されていてもよい。この場合には、表示部18に時相設定UI画面40とは別に画像22を表示することが好ましい。
【符号の説明】
【0117】
9…心電計
10…MRI装置
14…計測部
16…制御装置
18…表示部
20…操作部
22…画像
24…記憶部
28…スキャンパラメータ
30…計測制御部
31…再構成部
32…時相検出部
33…表示制御部
34…時相修正部
35…パラメータ設定部
36…標準値決定部
37…確度演算部
40…時相設定UI画面