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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025028699
(43)【公開日】2025-03-03
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10H 20/857 20250101AFI20250221BHJP
   H10H 20/831 20250101ALI20250221BHJP
   H10H 20/814 20250101ALI20250221BHJP
   H10H 20/84 20250101ALI20250221BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/38
H01L33/10
H01L33/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133664
(22)【出願日】2023-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】川口 浩史
(72)【発明者】
【氏名】馬場 健
(72)【発明者】
【氏名】島田 幸治
【テーマコード(参考)】
5F142
5F241
【Fターム(参考)】
5F142AA58
5F142BA32
5F142CA11
5F142CB12
5F142CD02
5F142FA30
5F142GA29
5F241CA04
5F241CA40
5F241CA65
5F241CA74
5F241CA77
5F241CA85
5F241CA88
5F241CA93
5F241CA98
5F241CB15
(57)【要約】
【課題】発光素子を基板に接合する際の信頼性を向上可能な発光装置の製造方法を提供する。
【解決手段】発光装置の製造方法は、第1基板と、前記第1基板の上面に配置された半導体構造体と、を有する第1支持基板を準備する工程と、前記半導体構造体上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜上に反射膜を形成する工程と、前記反射膜上に、第1接合部材と第2接合部材と、を形成する工程と、を備える。前記反射膜は、前記半導体構造体の中央部上に配置される中央部分と、前記半導体構造体の周辺部上に配置される周辺部分と、を有し、前記中央部分の厚さは前記周辺部分の厚さよりも厚い。前記第1接合部材は、前記反射膜の中央部分上に位置する第1端部と、前記反射膜の周辺部分上に位置する第2端部と、を有する。前記第1端部の厚さは前記第2端部の厚さよりも薄い。
【選択図】図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、前記第1基板の上面に配置され、第1導電型の第1半導体層、活性層及び第2導電型の第2半導体層とを含む半導体構造体と、を有する第1支持基板を準備する工程と、
前記半導体構造体上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に反射膜を形成する工程と、
前記反射膜上に、前記第1半導体層に接続された第1接合部材と、前記第2半導体層に接続され、平面視で前記第1接合部材と離隔して配置された第2接合部材と、を形成する工程と、
第2基板と、前記第2基板の上面に配置された第1接続部及び第2接続部と、を有する第2支持基板を準備する工程と、
前記第1接続部に前記第1接合部材を接合し、前記第2接続部に前記第2接合部材を接合する工程と、
を備え、
前記反射膜は、前記半導体構造体の中央部上に配置される中央部分と、前記半導体構造体の周辺部上に配置される周辺部分と、を有し、前記中央部分の厚さは前記周辺部分の厚さよりも厚く、
前記第1接合部材及び前記第2接合部材を形成する工程において、
前記第1接合部材は、前記反射膜の中央部分上に位置する第1端部と、前記反射膜の周辺部分上に位置する第2端部と、を有し、前記第1端部の厚さは前記第2端部の厚さよりも薄く、
前記第2接合部材は、前記反射膜の中央部分上に位置する第3端部と、前記反射膜の周辺部分上に位置する第4端部と、を有し、前記第3端部の厚さは前記第4端部の厚さよりも薄い発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1接合部材及び前記第2接合部材を形成する工程において、前記第1接合部材は前記第1接続部と接触する第1面を有し、前記第2接合部材は前記第2接続部と接触する第2面を有し、前記第1面と前記第2面とは同一平面上に位置する請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記反射膜上に、前記第1半導体層に接続される第1導電膜と、前記第2半導体層に接続される第2導電膜と、を形成する工程をさらに備え、
前記第1接合部材及び前記第2接合部材を形成する工程において、2つの前記第1接合部材を前記第1導電膜上に形成し、2つの前記第2接合部材を前記第2導電膜上に形成する請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
第1基板と、前記第1基板の上面に配置され、第1導電型の第1半導体層、活性層及び第2導電型の第2半導体層とを含む半導体構造体と、を有する第1支持基板を準備する工程と、
前記半導体構造体上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に反射膜を形成する工程と、
前記反射膜上に、前記第1半導体層に接続された複数の第1接合部材と、前記第2半導体層に接続され、平面視で前記第1接合部材と離隔して配置された複数の第2接合部材と、を形成する工程と、
第2基板と、前記第2基板の上面に配置された第1接続部及び第2接続部と、を有する第2支持基板を準備する工程と、
前記第1接続部に前記複数の第1接合部材を接合し、前記第2接続部に前記複数の第2接合部材を接合する工程と、
を備え、
前記反射膜は、前記半導体構造体の中央部上に配置される中央部分と、前記半導体構造体の周辺部上に配置される周辺部分と、を有し、前記中央部分の厚さは前記周辺部分の厚さよりも厚く、
前記第1接合部材及び前記第2接合部材を形成する工程において、前記複数の第1接合部材のうち、前記反射膜の前記中央部分上に配置された前記第1接合部材の厚さは、前記反射膜の前記周辺部分上に配置された前記第1接合部材の厚さよりも薄く、前記複数の第2接合部材のうち、前記反射膜の前記中央部分上に配置された前記第2接合部材の厚さは、前記反射膜の前記周辺部分上に配置された前記第2接合部材の厚さよりも薄い発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1接合部材及び前記第2接合部材を形成する工程において、前記反射膜の前記中央部分上に配置された前記第1接合部材が前記第1接続部と接触する第1接合面と、前記反射膜の前記周辺部分上に配置された前記第1接合部材が前記第1接続部と接触する第2接合面と、前記反射膜の前記中央部分上に配置された前記第2接合部材が前記第2接続部と接触する第3接合面と、前記反射膜の前記周辺部分上に配置された前記第2接続部材が前記第2接続部と接触する第4接合面と、は同一平面上に位置する請求項4に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1接合部材及び前記第2接合部材を形成する工程は、
前記反射膜上に、前記第1接合部材が形成される領域に位置する第1孔と、前記第2接合部材が形成される領域に位置する第2孔と、を有するマスクを形成する工程と、
前記第1孔内及び前記第2孔内に導電性材料を配置する工程と、
前記導電性材料の上面と前記第1基板の前記上面とを平行に近付ける工程と、
前記マスクを除去する工程と、
を有する請求項1または4に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記反射膜を形成する工程は、
前記絶縁膜上に、前記反射膜が形成される予定の領域の周囲に配置される第1部分と、前記第1部分の上部から前記周辺部分が形成される予定の領域上に延出し、前記絶縁膜から離れた第2部分とを有し、前記中央部分が形成される予定の領域上には配置されないマスクを形成する工程と、
前記マスク上と前記絶縁膜上とに反射性材料を配置する工程と、
前記マスクを除去する工程と、
を有する請求項1または4に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1支持基板と前記第2支持基板とを接合する工程の後に、
前記第1接続部と前記第1接合部材が接合されて形成された第1導電部材の表面、及び、前記第2接続部と前記第2接合部材が接合されて形成された第2導電部材の表面に、導電層を無電解めっきにより形成する工程をさらに備えた請求項1または4に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1接合部材及び前記第2接合部材、並びに、前記第1接続部及び前記第2接続部は金を含む請求項1または4に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1接合部材及び前記第2接合部材の厚さは、2μm以上30μm以下である請求項1または4に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
平面視で、前記半導体構造体の形状は矩形であり、前記半導体構造体の一辺の長さは50μm以下である請求項1または4に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多数の小型化した発光素子を1枚の基板に搭載した発光装置が開発されている。発光素子が小さくなると、発光素子を基板に確実に接合することが困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-090001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、発光素子を基板に接合する際の信頼性を向上可能な発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法は、第1基板と、前記第1基板の上面に配置され、第1導電型の第1半導体層、活性層及び第2導電型の第2半導体層とを含む半導体構造体と、を有する第1支持基板を準備する工程と、前記半導体構造体上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜上に反射膜を形成する工程と、前記反射膜上に、前記第1半導体層に接続された第1接合部材と、前記第2半導体層に接続され、平面視で前記第1接合部材と離隔して配置された第2接合部材と、を形成する工程と、第2基板と、前記第2基板の上面に配置された第1接続部及び第2接続部と、を有する第2支持基板を準備する工程と、前記第1接続部に前記第1接合部材を接合し、前記第2接続部に前記第2接合部材を接合する工程と、を備える。前記反射膜は、前記半導体構造体の中央部上に配置される中央部分と、前記半導体構造体の周辺部上に配置される周辺部分と、を有し、前記中央部分の厚さは前記周辺部分の厚さよりも厚い。前記第1接合部材及び前記第2接合部材を形成する工程において、前記第1接合部材は、前記反射膜の中央部分上に位置する第1端部と、前記反射膜の周辺部分上に位置する第2端部と、を有し、前記第1端部の厚さは前記第2端部の厚さよりも薄く、前記第2接合部材は、前記反射膜の中央部分上に位置する第3端部と、前記反射膜の周辺部分上に位置する第4端部と、を有し、前記第3端部の厚さは前記第4端部の厚さよりも薄い。
【0006】
本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法は、第1基板と、前記第1基板の上面に配置され、第1導電型の第1半導体層、活性層及び第2導電型の第2半導体層とを含む半導体構造体と、を有する第1支持基板を準備する工程と、前記半導体構造体上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜上に反射膜を形成する工程と、前記反射膜上に、前記第1半導体層に接続された複数の第1接合部材と、前記第2半導体層に接続され、平面視で前記第1接合部材と離隔して配置された複数の第2接合部材と、を形成する工程と、第2基板と、前記第2基板の上面に配置された第1接続部及び第2接続部と、を有する第2支持基板を準備する工程と、前記第1接続部に前記複数の第1接合部材を接合し、前記第2接続部に前記複数の第2接合部材を接合する工程と、を備える。前記反射膜は、前記半導体構造体の中央部上に配置される中央部分と、前記半導体構造体の周辺部上に配置される周辺部分と、を有し、前記中央部分の厚さは前記周辺部分の厚さよりも厚い。前記第1接合部材及び前記第2接合部材を形成する工程において、前記複数の第1接合部材のうち、前記反射膜の前記中央部分上に配置された前記第1接合部材の厚さは、前記反射膜の前記周辺部分上に配置された前記第1接合部材の厚さよりも薄く、前記複数の第2接合部材のうち、前記反射膜の前記中央部分上に配置された前記第2接合部材の厚さは、前記反射膜の前記周辺部分上に配置された前記第2接合部材の厚さよりも薄い。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、発光素子を基板に接合する際の信頼性を向上可能な発光装置の製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す平面図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図9図9は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図10図10は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図11図11は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図12図12は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図13図13は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図14図14は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図15図15は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図16図16は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図17図17は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図18図18は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図19図19は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図20図20は、第1の実施形態における発光素子を示す平面図である。
図21図21は、図20に示すXXI-XXI線による断面図である。
図22図22は、図20に示すXXII-XXII線による断面図である。
図23図23は、第2の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す平面図である。
図24図24は、第3の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図25図25は、第3の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図26図26は、第3の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、適宜簡略化及び強調されている。例えば、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。さらに、本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0010】
<第1の実施形態>
図1図6は、本実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図7は、本実施形態に係る発光装置の製造方法を示す平面図である。
図7図6と同じ工程を示し、図6図7に示すVI-VI線による断面図である。
図8図19は、本実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
【0011】
(第1支持基板を準備する工程)
図1に示すように、第1支持基板100を準備する。第1支持基板100は、第1基板110と、第1基板110の上面110aに配置された半導体構造体10と、を有する。なお、図1図19に示す工程の説明においては、図1図6図8図15に倣い、第1基板110側を「下」といい、半導体構造体10側を「上」という。
【0012】
半導体構造体10は、第1導電型の第1半導体層11、活性層13、及び、第2導電型の第2半導体層12を含む。半導体構造体10は、例えば、窒化物半導体からなる。「窒化物半導体」とは、InAlGa1-x-yN(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)なる化学式において組成比x及びyをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。例えば、第1導電型はn型であり、第2導電型はp型である。
【0013】
第1支持基板100は、例えば、第1基板110の上面110aに、第1半導体層11、活性層13及び第2半導体層12をこの順に形成することで準備することができる。半導体構造体10の各層は、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長法)を用いて形成することができる。この場合は、第1基板110は半導体構造体10の結晶成長用基板であり、例えば、サファイア基板である。また、第1支持基板100は、購入することにより準備してもよい。
【0014】
平面視で、半導体構造体10には、後の工程で発光素子190となる予定の領域R1と、領域R1の内側に位置し、後の工程で反射膜40が形成される予定の領域R2と、領域R2の内側であって半導体構造体10の中央部に位置する領域R3と、が設定されている。領域R2の内部であって領域R3の外部に位置する領域を領域R4とする。半導体構造体10の中央部とは、平面視で半導体構造体10の中心を含み外縁から離れた領域である。図7に示すように、平面視における領域R2の形状は、対向する2辺に凹部を有する略矩形である。なお、第1支持基板100を準備した段階において、領域R1、領域R2、領域R3に対応した構造は存在しなくてもよい。
【0015】
次に、領域R1の一部において、第2半導体層12及び活性層13を除去する。これにより、第1半導体層11に第2半導体層12及び活性層13から露出する表面11bが形成される。但し、図1に示す断面には、第1半導体層11の表面11bは位置していないため、表面11bは図示されていない。図7に示すように、第1半導体層11の表面11bは、領域R1から半導体構造体10の中央部に向かって延在し、後述する第1電極191が形成される。半導体構造体10の除去には、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)法を用いることができる。
【0016】
(透光性電極を形成する工程)
図2に示すように、半導体構造体10上に、透光性電極20を形成する。透光性電極20は、半導体構造体10の上面のうち、上述の領域R1の内側に形成する。透光性電極20は、例えば、ITO(Indium-Tin-Oxide:酸化インジウムスズ)により形成する。透光性電極20は第2半導体層12に接し、第2半導体層12に接続される。透光性電極20は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長法)又はスパッタ法により形成する。なお、本明細書において「接続」とは電気的な接続を意味する。
【0017】
次に、領域R1内において、第1半導体層11上に第1電極191を形成し、透光性電極20上に第2電極192を形成する。第1電極191は第1半導体層11に接続され、第2電極192は透光性電極20を介して第2半導体層12に接続される。但し、図2に示す断面には、第1電極191及び第2電極192は位置していないため、第1電極191及び第2電極192は図示されていない。図7に示すように、第1電極191および第2電極192は、領域R2の凹部に位置する半導体構造体10上に形成される。
【0018】
(絶縁膜を形成する工程)
次に、半導体構造体10上に絶縁膜30を形成する。絶縁膜30は、透光性電極20、第1電極191及び第2電極192を覆う。絶縁膜30は光反射性であることが好ましい。絶縁膜30は、例えば、DBR(Distributed Bragg Reflector:分布ブラッグ反射膜)により形成する。絶縁膜30は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長法)又はスパッタ法により形成する。
【0019】
次に、図3に示すように、半導体構造体10のうち、領域R1の外周領域に溝10bを形成する。平面視において、溝10bの形状は略格子状である。溝10bは半導体構造体10を厚さ方向に貫通しないようにする。つまり、溝部10bと第1基板110との間に、半導体構造体10の一部が残存するように溝部10bを形成する。これにより、第1半導体層11の最下部を除く部分、活性層13の全体、及び、第2半導体層12の全体が、領域R1毎に区画化される。
【0020】
(反射膜を形成する工程)
次に、図4に示すように、絶縁膜30上に、例えばフォトリソグラフィ法によりマスク150を形成する。マスク150は、第1部分151と、第2部分152を有する。例えば、半導体構造体10上にレジストマスクを形成した後、レジストマスク上に開口部を形成する領域を露出させる遮光マスクを形成する。その後、レジストマスクに対して露光処理、現像処理を行うことで、第1部分151及び第2部分152を有するマスク150を形成することができる。平面視で、第1部分151は、反射膜40が形成される予定の領域R2の周囲に配置される。第1部分151の下面は絶縁膜30に接している。平面視で、第1部分151の形状は例えば略格子状であり、領域R2毎に開口部が形成されている。第2部分152は、第1部分151の上部から開口部の内側に向けて延出している。第2部分152は、第1部分151から領域R2の内部であって領域R3の外部に位置する略枠状の領域R4に延出している。第1部分151からの第2部分152の延出量は、略一定である。第2部分152は領域R3上には配置されない。
【0021】
次に、図5に示すように、マスク150上と絶縁膜30上とに反射性材料40aを形成する。例えば、CVD法又はスパッタ法により反射性材料40aを堆積させる。これにより、マスク150上と絶縁膜30上に反射性材料40aが配置される。絶縁膜30上における領域R3及びマスク150上には、反射性材料40aが相対的に厚く配置され、絶縁膜30上における領域R4には、反射性材料40aが領域R3から遠ざかるにしたがって薄くなるように配置される。これは、例えば、反射性材料40aをスパッタ法で形成する際、平面視において第2部分152と重なる部分は、マスク150で覆われていない部分よりも反射性材料40aが形成されにくいためである。絶縁膜30上における領域R2の外側はマスク150の第1部分151に接しているため、反射性材料40aは配置されない。
【0022】
次に、図6に示すように、マスク150を除去する。これにより、マスク150上に配置された反射性材料40aも除去される。この結果、絶縁膜30上の領域R2に反射性材料40aからなる反射膜40が形成される。反射膜40は、例えば、チタン(Ti)層と、アルミニウム銅合金(AlCu)層を含む積層膜である。反射膜40は、第1半導体層11及び第2半導体層12の双方から絶縁膜30によって絶縁されている。なお、反射膜40は、第1半導体層11及び第2半導体層12のうちの一方に接続されていてもよい。マスク150の除去には、例えば、マスク150を溶解させる剥離液などを用いることができる。
【0023】
反射膜40は、半導体構造体10の中央部上、すなわち、領域R3に配置される中央部分41と、半導体構造体10の周辺部上、すなわち、領域R4に配置される周辺部分42と、を有する。中央部分41の厚さは周辺部分42の厚さよりも厚い。周辺部分42における中央部分41との境界に位置する厚さは中央部分41の厚さと略等しいが、中央部分41から遠ざかるにつれて薄くなる。例えば、中央部分41の上面と周辺部分42の上面との境界には稜線は形成されるが段差は形成されない。一例では、反射膜40の中央部分41の最大厚さは200nm以上300nm以下程度とし、周辺部分42の最小厚さは10nm以上100nm以下程度とする。
【0024】
図7に示すように、平面視で、領域R2は、例えば正方形の角部が丸められ、相互に対向する2辺に凹部が形成されたH字形の形状である。領域R3は領域R2内に位置し、領域R2よりも一回り小さい形状である。領域R2の外縁と領域R3の外縁との距離、すなわち、領域R4の幅は略一定である。反射膜40の中央部分41は領域R3に配置され、反射膜40の周辺部分42は領域R4に配置される。
【0025】
なお、反射膜40の形成方法は上述の方法には限定されない。また、中央部分41の上面と周辺部分42の上面との境界には段差が形成されてもよく、稜線も段差も形成されない連続的な曲面になっていてもよい。
【0026】
次に、絶縁膜30に、第1開口部31及び第2開口部32を形成する。第1開口部31は第1電極191の直上の領域に形成し、第1開口部31において第1電極191を露出させる。第2開口部32は第2電極192の直上の領域に形成し、第2開口部32において第2電極192を露出させる。第1開口部31及び第2開口部32は、絶縁膜30の一部を除去することで形成する。絶縁膜30は、例えば、RIE法又はウェットエッチングにより除去することができる。
【0027】
(第1接合部材と第2接合部材を形成する工程)
次に、図8に示すように、半導体構造体10上の全面に絶縁膜50を形成する。絶縁膜50は、例えば、二酸化珪素(SiO)により形成する。絶縁膜50の上面は、反射膜40の形状及び溝10bの形状を反映した形状になる。すなわち、絶縁膜50の上面のうち、反射膜40の中央部分41の直上の領域に位置する領域は第1基板110の上面に対して略平行になり、反射膜40の周辺部分42の直上の領域に位置する領域は周辺部分42の上面に沿って傾斜する。絶縁膜50の上面のうち、溝10b内に位置する領域は溝10bの側面に沿って傾斜する。絶縁膜50は、例えば、CVD法又はスパッタ法により形成する。
【0028】
また、絶縁膜50に、開口部51及び52を形成する。図23に示すように、開口部51は絶縁膜30の第1開口部31内に位置し、開口部52は絶縁膜30の第2開口部32内に位置する。これにより、開口部51において第1電極191が露出し、開口部52において第2電極192が露出する。なお、図8に示す断面には、開口部51及び52は位置していない。開口部51及び開口部52は、絶縁膜50の一部を除去することで形成する。絶縁膜50は、例えば、RIE法又はウェットエッチングにより除去することができる。
【0029】
次に、図9に示すように、絶縁膜50上に、例えばフォトリソグラフィ法により、マスク160を形成する。マスク160は、導電膜60のうち第1導電膜61とする部分の直上の領域を含む領域に配置された第1開口部161と、導電膜60のうち第2導電膜62とする部分の直上の領域を含む領域に配置された第2開口部162とを有する。次に、絶縁膜50上とマスク160上とに導電性材料を、例えばスパッタ法により形成する。これにより、絶縁膜50上及びマスク160上の全面に、導電膜60が形成される。一例では、導電膜60は、チタン層、ロジウム(Rh)層、チタン層が積層された積層構造とする。後述する工程において、導電膜60の一部が第1導電膜61及び第2導電膜62となる。すなわち、導電膜60は第1導電膜61及び第2導電膜62を相互に分離されていない状態で含んでいる。
【0030】
次に、図10に示すように、導電膜60上に、例えばフォトリソグラフィ法により、マスク170を形成する。マスク170は、第1孔171と第2孔172を有する。平面視で、第1孔171はマスク160の第1開口部161内に位置し、第2孔172はマスク160の第2開口部162内に位置する。第1孔171及び第2孔172において、導電膜60が露出する。平面視で、第1孔171は領域R3と領域R4にわたって配置される。第1孔171と同様に、第2孔172も領域R3と領域R4にわたって配置される。
【0031】
次に、図11に示すように、導電膜60を起点として導電性材料を例えば電解めっきにより形成する。これにより、第1孔171内に導電性材料71aが配置され、第2孔172内に導電性材料72aが配置される。導電材料71a及び72aの上面の一部は、反射膜40の形状に対応し、反射膜40の中央部分41から反射膜40の周辺部分42に向かって傾斜している。導電性材料71a及び72aは例えば金(Au)である。なお、図11において、導電性材料71a及び72aの一部は、第1孔171と第2孔172の外側まで形成されているが、第1孔171と第2孔172の外側に形成されず、第1孔171と第2孔172内に形成されるようにしてもよい。
【0032】
次に、図12に示すように、導電性材料71a及び72aの上面と第1基板110の上面とを平行に近付ける。例えば、マスク170の上面と、導電性材料71a及び72aの上面を研削及び/又は研磨により平坦化する。
【0033】
次に、図13に示すように、マスク170及びマスク160を除去する。これにより、導電膜60のうち、マスク160上に配置された部分も除去される。導電膜60のうち、第1開口部161内に配置されていた部分が第1導電膜61となり、第2開口部162内に配置されていた部分が第2導電膜62となる。第1導電膜61は第1電極191に接続され、第2導電膜62は第2電極192に接続される。
【0034】
また、導電性材料71aが露出して第1接合部材71となり、導電性材料72aが露出して第2接合部材72となる。第1接合部材71は第1導電膜61上に形成され、第2接合部材72は第2導電膜62上に形成される。第1接合部材71は第1導電膜61及び第1電極191を介して第1半導体層11に接続され、第2接合部材72は第2導電膜62、第2電極192及び透光性電極20を介して、第2半導体層12に接続される。このようにして、中間体180が作製される。
【0035】
第1導電膜61と第2導電膜62は相互に離れている。第1導電膜61及び第2導電膜62はそれぞれ、絶縁膜50の上面における領域R3から領域R4にわたって配置される。このため、第1導電膜61の上面及び第2導電膜62の上面も平坦ではなく、反射膜40の形状に対応した形状となっている。すなわち、第1導電膜61の上面及び第2導電膜62の上面は、領域R3では反射膜40の中央部分41の上面に沿って平坦に近く、領域R4では反射膜40の周辺部分42に沿って、領域R3から離れるにつれて位置が低くなるように傾斜している。
【0036】
第1接合部材71は、その上面として、第1面71bを有している。第2接合部材72は、その上面として、第2面72bを有している。第1面71bと第2面72bは同一平面上に位置する。平面視における第1接合部材71及び第2接合部材72の形状は、例えば、矩形であり、第1接合部材71及び第2接合部材72の一辺の長さは例えば5μm以上20μm以下である。
【0037】
第1接合部材71は、反射膜40の中央部分41上、すなわち、領域R3に位置する第1端部71dと、反射膜40の周辺部分42上、すなわち、領域R4に位置する第2端部71eと、を有する。第1接合部材71の下面71cは第1導電膜61の上面と接しているため、断面視における第1接合部材71の下面71cの形状は第1導電膜61の形状を反映した形状となっている。中央部分41上に位置する下面71cは平坦に近い面である一方、周辺部分42上に位置する下面71cは、中央部分41上に位置する下面71cに対して傾斜している。一方、第1接合部材71の上面である第1面71bは平坦に近い面である。このため、上下方向において、第1端部71dの厚さは第2端部71eの厚さよりも薄い。第1端部71dの厚さと第2端部71eの厚さの差は、例えば、0.1μm以上0.5μm以下である。
【0038】
同様に、第2接合部材72は、反射膜40の中央部分41上、すなわち、領域R3に位置する第3端部72dと、反射膜40の周辺部分42上、すなわち、領域R4に位置する第4端部72eと、を有する。第2接合部材72の下面72cは第2導電膜62の上面と接しているため、断面視における第2接合部材72の下面72cの形状は第2導電膜62の形状を反映した形状となっている。中央部分41上に位置する下面72cは平坦に近い面である一方、周辺部分42上に位置する下面72cは、中央部分41上に位置する下面72cに対して傾斜している。一方、第2接合部材72の上面である第2面72bは平坦に近い面である。このため、上下方向において、第3端部72dの厚さは第4端部72eの厚さよりも薄い。第3端部72dの厚さと第4端部72eの厚さの差は、例えば、0.1μm以上0.5μm以下である。第1接合部材71及び第2接合部材72の厚さは、2μm以上30μm以下であることが好ましい。
【0039】
次に、図14に示すように、中間体180上に樹脂層181を形成する。次に、樹脂層181を支持基板182に押し当てることで接合する。次に、中間体180から第1基板110を剥離する。これにより、第1半導体層11の下面が露出する。樹脂層181は、例えば、ディスペンサー等を用いて中間体180上に樹脂材料を塗布することで形成する。第1基板110は、例えば、LLO(Laser Lift off:レーザリフトオフ)法により中間体180から剥離する。
【0040】
次に、図15に示すように、第1半導体層11を薄膜化し、図14に示す溝部10bの下方に位置する第1半導体層11を除去する。これにより、半導体構造体10が領域R1毎に個片化される。平面視で、個片化された半導体構造体10の形状は矩形であり、半導体構造体10の一辺の長さは例えば10μm以上100μm以下である。第1半導体層11は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)等により薄膜化することができる。
【0041】
次に、絶縁膜50の端部を保護する保護膜81を形成する。保護膜81は、絶縁膜50上と第1半導体層11の表面11aの外周部上とに連続して形成される。保護膜81は、例えば二酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコンにより形成する。次に、第1半導体層11の表面11aに微細な凹凸構造を形成し粗面化する。これは、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMHA)処理によって行う。次に、第1半導体層11の表面11a上と、保護膜81上とを覆うように保護膜82を形成する。保護膜82のうち粗面化された第1半導体層11の表面11a上に形成される保護膜82の下面は、保護膜82のうち保護膜81上に形成される保護膜82の下面よりも表面粗さが大きくなる。保護膜82は、例えば、二酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコンにより形成する。絶縁膜81、82は、例えば、CVD法又はスパッタ法により形成する。保護膜81の厚さは、例えば、50nm以上200nm以下である。保護膜82の厚さは、例えば、0.1μm以上3μm以下である。
【0042】
図16図19においては、図1図15に対して、図示の上下を反転させている。図16に示すように、半導体構造体10、第1接合部材71及び第2接合部材72等を含む発光素子190を、接着層184を介して支持基板185に配置する。また、樹脂層181を除去する。発光素子190の詳細な構成については、後述する。
【0043】
(第2支持基板を準備する工程)
一方、図17に示すように、第2支持基板200を準備する。第2支持基板200は、第2基板210と、第2基板210の上面に配置された第1接続部221及び第2接続部222と、を有する。第1接続部221及び第2接続部222は、金を含む。第1接続部221及び第2接続部222のうち、第1接合部材71及び第2接合部材72が接触する上面は金である。
【0044】
(第1接続部に第1接合部材を接合し、第2接続部に第2接合部材を接合する工程)
次に、図18に示すように、第2支持基板200の第1接続部221に発光素子190の第1接合部材71を接合すると共に、第2支持基板200の第2接続部222に発光素子190の第2接合部材72を接合する。接合は、例えば、支持基板185を第2基板210に向かう方向に付勢して、第1接続部221と第1接合部材71に押し付け合う力を印加し、第2接続部222と第2接合部材72に押し付け合う力を印加しながら、全体を加熱する。また、必要に応じて、超音波を印加してもよい。
【0045】
これにより、第1接続部221と第1接合部材71が接合されて第1導電部材231が形成されると共に、第2接続部222と第2接合部材72が接合されて第2導電部材232が形成される。
【0046】
なお、接合を仮接合工程と本接合工程の2回に分けて行い、仮接合工程と本接合工程の間に発光素子190の検査及び不良と判定された発光素子190の交換を行ってもよい。より詳細に説明すると、仮接合工程においては、全ての発光素子190を一括で、第1接合部材71及び第2接合部材72を第1接続部221及び第2接続部222に本接合工程よりも弱く接合される条件で接合する。例えば、仮接合工程において印加する押圧力は、本接合工程において印加する押圧力よりも小さい。これにより、発光素子190が第2支持基板200に本接合工程よりも弱く接合される。
【0047】
次に、各発光素子190を検査する。例えば、発光素子190が第2支持基板200の所定の位置に配置されているか否かを外観によって評価したり、発光素子190に対して第2支持基板200を介して電力を供給して発光特性を評価したりする。そして、不良と判定された発光素子190を第2支持基板200から除去し、不良と判定された発光素子190を除去した位置に新たな発光素子190を接合し、仮接合する。その後、第1接合部材71及び第2接合部材72が仮接合工程よりも強く接合される条件で、本接合工程を実施する。このようにすることにより、不良と判定された発光素子190を効率的に除去できる。なお、仮接合工程を実施せず、本接合工程のみで接合工程を行う場合、発光素子190と第2支持基板200との接合力が高く、不良と判定された発光素子190を効率よく除去することが難しい。
【0048】
(無電解めっきする工程)
次に、図19に示すように、第1導電部材231及び第1導電膜61からなる構造体、並びに、第2導電部材232及び第2導電膜62からなる構造体の表面に、導電層240を電解めっきにより形成する。導電層240は、例えば、金である。なお、導電層240を形成する工程は、省略してもよい。
このようにして、第2基板210に複数の発光素子190が接合された発光装置が製造される。
【0049】
(発光素子)
次に、第2支持基板200に接合する前、すなわち、図16に示す工程における発光素子190の構成について説明する。
図20は、本実施形態における発光素子を示す平面図である。
図21は、図20に示すXXI-XXI線による断面図である。
図22は、図20に示すXXII-XXII線による断面図である。
以下の説明においては、図21及び図22に倣い、第1接合部材71及び第2接合部材72側を「下」といい、半導体構造体10側を「上」という。図20は発光素子を下方から見た図である。
【0050】
図20図22に示すように、発光素子190は、半導体構造体10を含む。半導体構造体10は、例えば、窒化ガリウム(GaN)を含んでいる。半導体構造体10においては、下から上に向かって、第2半導体層12、活性層13、第1半導体層11がこの順に積層されている。一例では、第2半導体層12はアクセプタとなる不純物、例えば、マグネシウム(Mg)を含み、導電型はp型である。第1半導体層11はドナーとなる不純物、例えば、シリコン(Si)を含み、導電型はn型である。
【0051】
半導体構造体10の第1半導体層11の表面11aは、凹凸構造を有する。表面11aは発光素子190からの光が主に取り出される出射面である。第1半導体層11は、第2半導体層12及び活性層13が形成されていない表面11bを有する。表面11bには、第1電極191が配置されており、第1半導体層11に接続されている。第2半導体層12の下面には、透光性電極20が配置されている。透光性電極20の下面には、第2電極192が配置されている。第2電極192は透光性電極20を介して第2半導体層12に接続されている。
【0052】
半導体構造体10の下面には、透光性電極20、第1電極191及び第2電極192を覆うように、絶縁膜30が配置されている。絶縁膜30は、例えば、DBRである。絶縁膜30には、第1開口部31及び第2開口部32を有する。第1開口部31内には第1電極191が露出しており、第2開口部32内には第2電極192が露出している。
【0053】
絶縁膜30の下面には、反射膜40が配置されている。反射膜40は、例えば、チタン(Ti)層と、アルミニウム銅合金(AlCu)層を含む積層膜である。反射膜40は、半導体構造体10の中央部上、すなわち、領域R3に配置される中央部分41と、半導体構造体10の周辺部上、すなわち、領域R4に配置される周辺部分42と、を有する。中央部分41の厚さは周辺部分42の厚さよりも厚い。周辺部分42の厚さは中央部分41から遠ざかるにつれて薄くなっている。
【0054】
半導体構造体10の側面及び下面には、絶縁膜50が配置されている。絶縁膜50は、透光性電極20、第1電極191、第2電極192、絶縁膜30及び反射膜40を覆っている。絶縁膜50は、開口部51及び52を有する。平面視で、開口部51内には絶縁膜30の第1開口部31が位置し、開口部52内には絶縁膜30の第2開口部32が位置している。第1半導体層11の表面11aの外周部には、保護膜81が配置されている。半導体構造体10の上面上には、保護膜81を覆うように、保護膜82が配置されている。
【0055】
絶縁膜50の下面上には、第1導電膜61及び第2導電膜62が相互に離隔して配置されている。第1導電膜61は、絶縁膜50の開口部51及び絶縁膜30の第1開口部31を介して、第1電極191に接続されている。第2導電膜62は、絶縁膜50の開口部52及び絶縁膜30の第2開口部32を介して、第2電極192に接続されている。
【0056】
第1導電膜61の下面には2つの第1接合部材71が配置されており、第2導電膜62の下面には2つの第2接合部材72が配置されている。各第1接合部材71及び各第2接合部材72の形状は略直方体状である。
【0057】
各第1接合部材71は、第1端部71dと第2端部71eを有する。第1端部71dは反射膜40の中央部分41の直下の領域、すなわち、領域R3に位置する。第2端部71eは反射膜40の周辺部分42上、すなわち、領域R4に位置する。第1端部71dの厚さは第2端部71eの厚さよりも薄い。
【0058】
各第2接合部材72は、第3端部72dと第4端部72eを有する。第3端部72dは反射膜40の中央部分41の直下の領域、すなわち、領域R3に位置する。第4端部72eは反射膜40の周辺部分42上、すなわち、領域R4に位置する。第3端部72dの厚さは第4端部72eの厚さよりも薄い。
【0059】
第1接合部材71の下面である第1面71bは、図18に示す工程において、第2支持基板200の第1接続部221と接触する面である。第2接合部材72の下面である第2面72bは、図18に示す工程において、第2支持基板200の第2接続部222と接触する面である。2つの第1面71bと2つの第2面72bは、同一平面上に位置している。換言すれば、2つの第1面71bと2つの第2面72bは、仮想的な平面70pの一部である。このような第1面71b及び第2面72bを形成することで、第1接合部材71と第1接続部221との接合性及び第2接合部材72と第2接続部222との接合性を向上させることができる。この結果、発光素子190と第2支持基板200との接合性が向上する。
【0060】
(効果)
本実施形態によれば、第1接合部材71において、平面視で発光素子190の内周部に位置する第1端部71dの厚さが、外周部に位置する第2端部71eの厚さよりも薄い。同様に、第2接合部材72において、平面視で発光素子190の内周部に位置する第3端部72dの厚さが、外周部に位置する第4端部72eの厚さよりも薄い。これにより、図18に示す工程において、第1接合部材71と第2接合部材72が接合したときに、第1接合部材71の第2接合部材72側への延出と、第2接合部材72の第1接合部材71側への延出とを抑えることができる。この結果、接合後の第1接合部材71と第2接合部材72が相互に接触し、短絡することを低減できる。このため、発光素子190を第2支持基板200に接合する際の信頼性が向上する。
【0061】
<第2の実施形態>
図23は、本実施形態に係る発光装置の製造方法を示す平面図である。
図23は、第2支持基板200に接合する前の発光素子190aを示している。
【0062】
図23に示すように、本実施形態に係る発光素子190aにおいては、第1の実施形態に係る発光素子190と比較して、第1接合部材71と第2接合部材72との距離が大きい。例えば、平面視で、第1端部71dと第3端部72dとの距離を、第2端部71eと半導体構造体10の外縁との間の距離または第4端部72eと半導体構造体10の外縁との間の距離よりも大きくする。これにより、第1接合部材71及び第2接合部材72が接合したときに、第1接合部材71と第2接合部材72が相互に接触することをより低減できる。本実施形態における上記以外の方法及び効果は、第1の実施形態と同様である。
【0063】
<第3の実施形態>
図24図25は、本実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図26は、本実施形態に係る発光装置の製造方法を示す平面図である。
図26は、第2支持基板200に接合する前の発光素子190bを示している。
【0064】
本実施形態においては、先ず、図1図9に示す工程を実施する。
次に、図24に示すように、導電膜60上に、マスク170を形成する。マスク170には、例えば、フォトリソグラフィ法により、複数の第1孔171a及び171bと、複数の第2孔172a及び172bを形成する。平面視で、第1孔171a及び第2孔172aは領域R3に配置し、第1孔171b及び第2孔172bは領域R4に配置する。
【0065】
次に、図11及び図12に示す工程と同様な工程を実施する。
次に、図25に示すように、マスク170及びマスク160を除去する。これにより、導電膜60の一部が除去されて、導電膜60の残部が第1導電膜61及び第2導電膜62となる。また、第1孔171a内に第1接合部材71fが形成され、第1孔171b内に第1接合部材71gが形成され、第2孔172a内に第2接合部材72fが形成され、第2孔172b内に第2接合部材72gが形成される。このようにして、反射膜40上に、第1半導体層11に接続された複数の第1接合部材71f及び71gと、第2半導体層12に接続され、平面視で第1接合部材71f及び71gと離隔して配置された複数の第2接合部材72f及び72gと、を形成する。
【0066】
平面視における第1接合部材71f及び71gと第2接合部材72f及び72gの形状は、例えば、長方形である。平面視において、第1接合部材71f及び第2接合部材72fは領域R3内に位置し、第1接合部材71g及び第2接合部材72gは領域R3よりも広い領域R4に位置するため、第2接合部材72f及び72gの面積は、第1接合部材71f及び71gの面積よりも大きくしてよい。これにより、第1接合部材71及び第2接合部材72の面積を増加させ、発光素子190bと第2支持基板200との接合性を向上させることができる。
【0067】
平面視で、第1接合部材71f及び第2接合部材72fは領域R3に位置し、第1接合部材71g及び第2接合部材72gは領域R4に位置する。第1接合部材71fの厚さは第1接合部材71gの厚さよりも薄い。第2接合部材72fの厚さは第2接合部材72gの厚さよりも薄い。第1接合部材71fの厚さと第1接合部材71gの厚さの差、及び第2接合部材72fの厚さと第2接合部材72gの厚さの差は、例えば、0.1μm以上0.5μm以下である。
【0068】
次に、図14図16に示す工程と同様な工程を実施する。
これにより、図26に示すように、発光素子190bが作製される。発光素子190bにおいては、第1導電膜61上に、第1接合部材71f及び71gがそれぞれ2つずつ配置されている。また、第2導電膜62上に、第2接合部材72f及び72gがそれぞれ2つずつ配置されている。
【0069】
図25に示すように、第1接合部材71fの上面、すなわち、図18に示す工程において第1接合部材71fが第2支持基板200の第1接続部221と接触する面を第1接合面73fとする。第1接合部材71gの上面、すなわち、図18に示す工程において第1接合部材71gが第1接続部221と接触する面を第2接合面73gとする。第2接合部材72fの上面、すなわち、図18に示す工程において第2接合部材72fが第2支持基板200の第2接続部222と接触する面を第3接合面74fとする。第2接合部材72gの上面、すなわち、図18に示す工程において第2接合部材72gが第2接続部222と接触する面を第4接合面74gとする。第1接合面73f、第2接合面73g、第3接合面74f及び第4接合面74gは、同一平面上に位置する。換言すると、第1接合面73f、第2接合面73g、第3接合面74f及び第4接合面74gは、仮想的な平面75pの一部である。このような第1接合面73f、第2接合面73g、第3接合面74f及び第4接合面74gを形成することで、発光素子190bと第2支持基板200との接合性を向上することができる。以後の工程は、図17図19に示す工程と同様である。
【0070】
本実施形態によれば、図18に示す工程において、第1接合部材と第2接合部材が接触することを低減しつつ、各第1接合部材及び各第2接合部材に印加される単位面積当たりの荷重を増加させることができる。これにより、第1接合部材及び第2接合部材が接合しやすくなり、発光素子190bと第2支持基板200との接合性が向上する。本実施形態における上記以外の方法及び効果は、第1の実施形態と同様である。
【0071】
本発明は、以下の態様を含む。
【0072】
(付記1)
第1基板と、前記第1基板の上面に配置され、第1導電型の第1半導体層、活性層及び第2導電型の第2半導体層とを含む半導体構造体と、を有する第1支持基板を準備する工程と、
前記半導体構造体上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に反射膜を形成する工程と、
前記反射膜上に、前記第1半導体層に接続された第1接合部材と、前記第2半導体層に接続され、平面視で前記第1接合部材と離隔して配置された第2接合部材と、を形成する工程と、
第2基板と、前記第2基板の上面に配置された第1接続部及び第2接続部と、を有する第2支持基板を準備する工程と、
前記第1接続部に前記第1接合部材を接合し、前記第2接続部に前記第2接合部材を接合する工程と、
を備え、
前記反射膜は、前記半導体構造体の中央部上に配置される中央部分と、前記半導体構造体の周辺部上に配置される周辺部分と、を有し、前記中央部分の厚さは前記周辺部分の厚さよりも厚く、
前記第1接合部材及び前記第2接合部材を形成する工程において、
前記第1接合部材は、前記反射膜の中央部分上に位置する第1端部と、前記反射膜の周辺部分上に位置する第2端部と、を有し、前記第1端部の厚さは前記第2端部の厚さよりも薄く、
前記第2接合部材は、前記反射膜の中央部分上に位置する第3端部と、前記反射膜の周辺部分上に位置する第4端部と、を有し、前記第3端部の厚さは前記第4端部の厚さよりも薄い発光装置の製造方法。
【0073】
(付記2)
前記第1接合部材及び前記第2接合部材を形成する工程において、前記第1接合部材は前記第1接続部と接触する第1面を有し、前記第2接合部材は前記第2接続部と接触する第2面を有し、前記第1面と前記第2面とは同一平面上に位置する付記1に記載の発光装置の製造方法。
【0074】
(付記3)
前記反射膜上に、前記第1半導体層に接続される第1導電膜と、前記第2半導体層に接続される第2導電膜と、を形成する工程をさらに備え、
前記第1接合部材及び前記第2接合部材を形成する工程において、2つの前記第1接合部材を前記第1導電膜上に形成し、2つの前記第2接合部材を前記第2導電膜上に形成する付記1または2に記載の発光装置の製造方法。
【0075】
(付記4)
第1基板と、前記第1基板の上面に配置され、第1導電型の第1半導体層、活性層及び第2導電型の第2半導体層とを含む半導体構造体と、を有する第1支持基板を準備する工程と、
前記半導体構造体上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に反射膜を形成する工程と、
前記反射膜上に、前記第1半導体層に接続された複数の第1接合部材と、前記第2半導体層に接続され、平面視で前記第1接合部材と離隔して配置された複数の第2接合部材と、を形成する工程と、
第2基板と、前記第2基板の上面に配置された第1接続部及び第2接続部と、を有する第2支持基板を準備する工程と、
前記第1接続部に前記複数の第1接合部材を接合し、前記第2接続部に前記複数の第2接合部材を接合する工程と、
を備え、
前記反射膜は、前記半導体構造体の中央部上に配置される中央部分と、前記半導体構造体の周辺部上に配置される周辺部分と、を有し、前記中央部分の厚さは前記周辺部分の厚さよりも厚く、
前記第1接合部材及び前記第2接合部材を形成する工程において、前記複数の第1接合部材のうち、前記反射膜の前記中央部分上に配置された前記第1接合部材の厚さは、前記反射膜の前記周辺部分上に配置された前記第1接合部材の厚さよりも薄く、前記複数の第2接合部材のうち、前記反射膜の前記中央部分上に配置された前記第2接合部材の厚さは、前記反射膜の前記周辺部分上に配置された前記第2接合部材の厚さよりも薄い発光装置の製造方法。
【0076】
(付記5)
前記第1接合部材及び前記第2接合部材を形成する工程において、前記反射膜の前記中央部分上に配置された前記第1接合部材が前記第1接続部と接触する第1接合面と、前記反射膜の前記周辺部分上に配置された前記第1接合部材が前記第1接続部と接触する第2接合面と、前記反射膜の前記中央部分上に配置された前記第2接合部材が前記第2接続部と接触する第3接合面と、前記反射膜の前記周辺部分上に配置された前記第2接続部材が前記第2接続部と接触する第4接合面と、は同一平面上に位置する付記4に記載の発光装置の製造方法。
【0077】
(付記6)
前記第1接合部材及び前記第2接合部材を形成する工程は、
前記反射膜上に、前記第1接合部材が形成される領域に位置する第1孔と、前記第2接合部材が形成される領域に位置する第2孔と、を有するマスクを形成する工程と、
前記第1孔内及び前記第2孔内に導電性材料を配置する工程と、
前記導電性材料の上面と前記第1基板の前記上面とを平行に近付ける工程と、
前記マスクを除去する工程と、
を有する付記1~5のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【0078】
(付記7)
前記反射膜を形成する工程は、
前記絶縁膜上に、前記反射膜が形成される予定の領域の周囲に配置される第1部分と、前記第1部分の上部から前記周辺部分が形成される予定の領域上に延出し、前記絶縁膜から離れた第2部分とを有し、前記中央部分が形成される予定の領域上には配置されないマスクを形成する工程と、
前記マスク上と前記絶縁膜上とに反射性材料を配置する工程と、
前記マスクを除去する工程と、
を有する付記1~6のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【0079】
(付記8)
前記第1支持基板と前記第2支持基板とを接合する工程の後に、
前記第1接続部と前記第1接合部材が接合されて形成された第1導電部材の表面、及び、前記第2接続部と前記第2接合部材が接合されて形成された第2導電部材の表面に、導電層を無電解めっきにより形成する工程をさらに備えた付記1~7のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【0080】
(付記9)
前記第1接合部材及び前記第2接合部材、並びに、前記第1接続部及び前記第2接続部は金を含む付記1~8のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【0081】
(付記10)
前記第1接合部材及び前記第2接合部材の厚さは、2μm以上30μm以下である付記1~9のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【0082】
(付記11)
平面視で、前記半導体構造体の形状は矩形であり、前記半導体構造体の一辺の長さは50μm以下である付記1~10のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、例えば、自動車のヘッドランプの光源等に利用することができる。
【符号の説明】
【0084】
10 半導体構造体
10b 溝
11 第1半導体層
11a 表面
11b 表面
12 第2半導体層
13 活性層
20 透光性電極
30 絶縁膜
31 第1開口部
32 第2開口部
40 反射膜
40a 反射性材料
41 中央部分
42 周辺部分
50 絶縁膜
51、52 開口部
60 導電膜
61 第1導電膜
62 第2導電膜
70p 平面
71、71f、71g 第1接合部材
71a 導電性材料
71b 第1面
71c 下面
71d 第1端部
71e 第2端部
72、72f、72g 第2接合部材
72a 導電性材料
72b 第2面
72c 下面
72d 第3端部
72e 第4端部
73f 第1接合面
73g 第2接合面
74f 第3接合面
74g 第4接合面
75p 平面
80 保護膜
81 保護膜
82 保護膜
100 第1支持基板
110 第1基板
110a 上面
150 マスク
151 第1部分
152 第2部分
160 マスク
161 第1開口部
162 第2開口部
170 マスク
171、171a、171b 第1孔
172、172a、172b 第2孔
180 中間体
181 樹脂層
182 支持基板
184 接着層
185 支持基板
190、190a、190b 発光素子
191 第1電極
192 第2電極
200 第2支持基板
210 第2基板
221 第1接続部
222 第2接続部
231 第1導電部材
232 第2導電部材
240 導電層
R1、R2、R3、R4 領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26