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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025030300
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】合わせガラスのリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20250228BHJP
   C03B 33/02 20060101ALI20250228BHJP
   B09B 3/35 20220101ALI20250228BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
C03C27/12 Z
C03B33/02
B09B3/35 ZAB
B09B5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023135470
(22)【出願日】2023-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 公裕
(72)【発明者】
【氏名】江畑 研一
【テーマコード(参考)】
4D004
4G015
4G061
【Fターム(参考)】
4D004AA18
4D004AB03
4D004BA06
4D004BA07
4D004CA02
4D004CA04
4D004CA12
4D004CC05
4G015FA01
4G015FB01
4G061AA14
4G061BA02
4G061CB05
4G061CB19
4G061CD02
4G061CD18
4G061DA51
4G061DA61
(57)【要約】
【課題】使用済みの合わせガラスを再資源化することができる、技術を提供する。
【解決手段】合わせガラスのリサイクル方法は、車外側から車内側に第1ガラス板と中間膜と第2ガラス板とをこの順番で有し、車内側から見たときに透過領域と遮光領域とを有し、前記遮光領域の一部に金属層を有する、合わせガラスのリサイクル方法である。リサイクル方法は、前記合わせガラスを、前記金属層を含む第1切断片と、前記金属層を含まない第2切断片と、にウォータージェットで切断することと、前記第2切断片における前記第1ガラス板と前記第2ガラス板を破砕することと、前記破砕した前記第1ガラス板に由来するガラス片と前記中間膜に由来する樹脂片とを分離すると共に、前記破砕した前記第2ガラス板に由来するガラス片と前記中間膜に由来する樹脂片とを分離することと、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車外側から車内側に第1ガラス板と中間膜と第2ガラス板とをこの順番で有し、車内側から見たときに透過領域と遮光領域とを有し、前記遮光領域の一部に金属層を有する、合わせガラスのリサイクル方法であって、
前記合わせガラスを、前記金属層を含む第1切断片と、前記金属層を含まない第2切断片と、にウォータージェットで切断することと、
前記第2切断片における前記第1ガラス板と前記第2ガラス板を破砕することと、
前記破砕した前記第1ガラス板に由来するガラス片と前記中間膜に由来する樹脂片とを分離すると共に、前記破砕した前記第2ガラス板に由来するガラス片と前記中間膜に由来する樹脂片とを分離することと、
を有する、合わせガラスのリサイクル方法。
【請求項2】
前記金属層は、前記第1ガラス板と前記第2ガラス板の間に設けられる、請求項1に記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【請求項3】
前記ウォータージェットは、加圧した水をノズルから噴射することで発生する噴流であり、
前記噴流は、前記加圧した水と気泡を含む、請求項1又は2に記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【請求項4】
前記ノズルは、前記加圧した水と気体を混合する混合室と、前記混合室に前記加圧した水を供給する第1流路と、前記混合室に気体を供給する第2流路と、前記混合室で混合した前記加圧した水と前記気泡を前記合わせガラスに向けて噴射する第3流路と、を有する、請求項3に記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【請求項5】
前記第2流路は、前記第2流路と前記混合室との圧力差を利用して、前記気体である空気を前記混合室に供給する、請求項4に記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【請求項6】
前記分離することは、
前記第2切断片を回転ドラムの内部に入れることと、
前記回転ドラムを取り囲む処理槽に処理液を溜めることで、前記回転ドラムの内部の下部空間に処理液に溜めることと、
前記回転ドラムを回転させることと、
前記回転ドラムの内周面から外周面まで貫通するスクリーン穴が、前記樹脂片よりも小さく、前記ガラス片を選択的に通過させることと、
を有する、請求項1又は2に記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【請求項7】
前記回転ドラムの外周面に、モータの回転駆動力を前記回転ドラムに伝達する伝達部が設けられる、請求項6に記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【請求項8】
前記回転ドラムの内周面に、突起部が設けられる、請求項6に記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【請求項9】
前記処理槽の底部は、前記ガラス片を重力で集める傾斜面を有する、請求項6に記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【請求項10】
前記処理槽の底部と回収槽とをつなぐ回収ラインが、前記処理槽の底部から前記回収槽に向けて前記ガラス片を前記処理液と共に送ることと、
前記回収槽が、前記ガラス片を、前記処理液と分離して回収することと、
前記回収槽と前記処理槽とをつなぐ還流ラインが、前記回収槽から前記処理槽に前記処理液を戻すことと、
を有する、請求項6に記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【請求項11】
前記処理槽の底部と回収槽とをつなぐ回収ラインが、前記処理槽の底部から前記回収槽に向けて前記ガラス片を前記処理液と共に送ることと、
前記回収槽が、前記ガラス片を、前記処理液と分離して回収することと、
前記回収ラインと分岐ラインの合流地点において前記分岐ラインから前記回収槽に向かう前記処理液の流れを形成することで、前記合流地点に向けて前記処理槽の底部から前記処理液を引き込むことと、
を有する、請求項6に記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【請求項12】
前記処理槽の内部から外部に前記処理液を取り出し、前記処理槽の内部に戻す循環ラインの途中に設けられた温度調整器が、前記処理液の温度を調整することを有する、請求項6に記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【請求項13】
前記処理液は水と界面活性剤を含み、前記処理液の温度が40℃~80℃である、請求項6に記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、合わせガラスのリサイクル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、合わせガラスの加工方法が記載されている。合わせガラスは、2枚のガラス板と、2枚のガラス板を接着する中間膜と、を有する。特許文献1では、アブレシブジェット加工装置を用いて合わせガラスを切断する。アブレシブジェット加工は、加圧した水に研磨材を添加して対象物を加工する技術である。特許文献1には、研磨材として、例えばガーネット砥粒が好適であることが記載されている。
【0003】
特許文献2には、合わせガラスを構成するガラス板と中間膜を分離する分離装置が記載されている。分離装置は、処理液を収容する液槽と、液槽の内部において回転させられるバレル容器と、処理液の温度を調整する温度調整装置と、を備える。合わせガラスは、予めガラス板を破砕した上で、バレル容器の内部に投入され、処理液に浸漬される。バレル容器を回転させることで、ガラス板と中間膜にせん断応力を加えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-178614号公報
【特許文献2】国際公開第2007/111385号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
合わせガラスは、例えば車両用窓ガラスとして使用される。使用済みの車両の再資源化の要望があり、使用済みの合わせガラスの再資源化の要望がある。
【0006】
本開示の一態様は、使用済みの合わせガラスを再資源化することができる、技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る合わせガラスのリサイクル方法は、車外側から車内側に第1ガラス板と中間膜と第2ガラス板とをこの順番で有し、車内側から見たときに透過領域と遮光領域とを有し、前記遮光領域の一部に金属層を有する、合わせガラスのリサイクル方法である。当該リサイクル方法は、前記合わせガラスを、前記金属層を含む第1切断片と、前記金属層を含まない第2切断片と、にウォータージェットで切断することと、前記第2切断片における前記第1ガラス板と前記第2ガラス板を破砕することと、前記破砕した前記第1ガラス板に由来するガラス片と前記中間膜に由来する樹脂片とを分離すると共に、前記破砕した前記第2ガラス板に由来するガラス片と前記中間膜に由来する樹脂片とを分離することと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、使用済みの合わせガラスを再資源化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る合わせガラスのリサイクル方法を示すフローチャートである。
図2図2は、車内側から見た合わせガラスの一例を示す図である。
図3図3は、車内側から見た合わせガラスの切断予定線の一例を示す図である。
図4図4は、合わせガラスの一例を示す断面図である。
図5図5は、図1のステップS102の一例を示す断面図である。
図6図6は、図1のステップS103の一例を示す断面図である。
図7図7は、切断装置の一例を示す図である。
図8図8は、分離装置の一例を示す図である。
図9図9は、図8のIX-IX線に沿った断面図であって、回転ドラムの回転中心線が水平になっている状態の一例を示す断面図である。
図10図10は、回転ドラムの回転中心線が斜めになっている状態の一例を示す断面図である。
図11図11は、図9のXI-XI線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。明細書中、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0011】
[合わせガラス]
まず、図2図4を参照して、車両用窓ガラスである合わせガラス10の一例について説明する。図4に示すように、合わせガラス10は、例えば、車外側から車内側に向けて、第1ガラス板11と中間膜12と第2ガラス板13とをこの順番で有する。中間膜12は、第1ガラス板11と第2ガラス板13とを接着する。なお、合わせガラス10を構成するガラス板の枚数は3枚以上であってもよい。その場合、合わせガラス10を構成する中間膜の枚数は2枚以上である。
【0012】
第1ガラス板11は、無機ガラスである。無機ガラスとしては、例えばソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス等が挙げられる。第2ガラス板13も、同様に、無機ガラスである。無機ガラスは、未強化ガラス、強化ガラスのいずれでもよい。未強化ガラスは、溶融ガラスを板状に成形し、徐冷したものである。強化ガラスは、未強化ガラスの表面に圧縮応力層を形成したものである。強化ガラスは、物理強化ガラス(例えば風冷強化ガラス)、化学強化ガラスのいずれでもよい。
【0013】
第1ガラス板11は、図示しないが、車外側に向けて凸に形成される。第2ガラス板13も、同様に、車外側に向けて凸に形成される。ガラス板の曲げ成形としては、重力成形、又はプレス成形等が用いられる。曲げ成形において均一に加熱したガラス板を軟化点付近の温度から急冷し、ガラス表面とガラス内部との温度差によってガラス表面に圧縮応力を生じさせることで、ガラス表面を物理強化してもよい。曲げ成形の後、イオン交換法等によってガラス表面に圧縮応力を生じさせることで、ガラス表面を化学強化してもよい。
【0014】
中間膜12は、一般的な樹脂、例えばポリビニルブチラール樹脂(PVB)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)等の熱可塑性樹脂により形成される。中間膜12は、加熱されると、接着性を発現する。中間膜12は、単層構造、複数の層構造のいずれでもよい。
【0015】
合わせガラス10は、車内側から見たときに、可視光を透過する透過領域A1と、可視光を遮る遮光領域A2と、を有してもよい。遮光領域A2は、例えば図2及び図3にドットパターンで示す領域であり、合わせガラス10の外周に沿って形成される。遮光領域A2は、第1遮光層14と第2遮光層16の少なくとも1つによって形成される。
【0016】
第1遮光層14は、図4に示すように、例えば第1ガラス板11の車内側の表面11aに設けられる。第1遮光層14は、後述する第1金属層15を車外側から隠す。第1金属層15は、第1遮光層14の車内側の面に形成される。第1遮光層14は、第1ガラス板11の車内側の表面11aにセラミックカラーペーストを塗布し、焼成することで形成する。セラミックカラーペーストは、例えば、ガラス粉末と黒色顔料を含む。セラミックカラーペーストの焼成は、第1ガラス板11の曲げ成形のための熱処理と同時に行われてよい。
【0017】
第2遮光層16は、例えば第2ガラス板13の車内側の表面13aに設けられる。第2遮光層16は、後述する第2金属層17を車外側から隠す。第2金属層17は、第2遮光層16の車内側の面に形成される。第2遮光層16は、第2ガラス板13の車内側の表面13aにセラミックカラーペーストを塗布し、焼成することで形成する。セラミックカラーペーストの焼成は、第2ガラス板13の曲げ成形のための熱処理と同時に行われてよい。
【0018】
図2及び図3に示すように、合わせガラス10は、車内側から見たときに、遮光領域A2の一部に、第1金属層15と第2金属層17の少なくとも1つを有してもよい。第1金属層15と第2金属層17は、例えば電熱線又はアンテナ線である。電熱線は、合わせガラス10の表面に付いた曇り(例えば水滴)又は氷を除去すべく、合わせガラス10を加熱する。アンテナ線は、電波を受信又は発信する。第1金属層15と第2金属層17は、画像を表示する液晶パネルの一部であってもよい。
【0019】
合わせガラス10は、第1遮光層14と第2遮光層16の両方を有してもよいし、いずれか一方のみを有してもよい。また、合わせガラス10は、第1金属層15と第2金属層17の両方を有してもよいし、いずれか一方のみを有してもよい。例えば、合わせガラス10は、第1遮光層14と第1金属層15と第2遮光層16を有し、第2金属層17を有しなくてもよい。この場合、第2遮光層16は、第1金属層15を車内側から隠す。
【0020】
合わせガラス10は、第1ガラス板11、中間膜12及び第2ガラス板13をこの順で重ねて積層体を作製し、積層体をオートクレーブ等で加圧、加熱することにより作製される。積層体を作製する前に、第1ガラス板11及び第2ガラス板13は、熱処理され、曲げ成形される。なお、積層体は、第2ガラス板13、中間膜12及び第1ガラス板11をこの順で重ねたものであってもよい。
【0021】
合わせガラス10の厚さは、好ましくは2.8mm~10mmであり、より好ましくは3.0mm~8.0mmである。第1ガラス板11の厚さは、好ましくは1.1mm~3.6mmであり、より好ましくは1.8mm~3.0mmである。第2ガラス板13の厚さは、好ましくは0.5mm~2.7mmであり、より好ましくは0.5mm~2.3mmである。中間膜12の厚さは、好ましくは0.5mm~3.0mmであり、より好ましくは0.5mm~2.8mmである。
【0022】
本実施形態に係る合わせガラスは、図2~4で例示した車両用窓ガラス(自動車用フロントガラス)に限られない。合わせガラスは、リアガラス、サイドガラス、ルーフガラス等の自動車用窓ガラス、又は電車等で利用される車両用窓ガラス等であってよい。
【0023】
[合わせガラスのリサイクル方法]
図1に示すように、合わせガラス10のリサイクル方法は、例えば、ステップS101~S103を有する。ステップS101は、合わせガラス10をウォータージェットで切断することを含む。ウォータージェットは、一般的な切断工具に比べて、中間膜12の切断面が荒れるのを抑制でき、さらに粉塵の発生を抑制できる。また、ウォータージェットが合わせガラスに衝突する際の幅(図7の左右方向の距離)は、例えば0.5mm以下と小さいため、ウォータージェットは、一般的な切断工具に比べて、合わせガラスを精度良く切断できる。
【0024】
ステップS101は、図3に示すように、合わせガラス10を第1切断片21と第2切断片22とに切断することを含む。第1切断片21は、第1金属層15と第2金属層17の少なくとも1つを含む。一方、第2切断片22は、第1金属層15と第2金属層17のどちらも含まない。第1切断片21を除去した上で、第2切断片22をガラス原料と樹脂原料の少なくとも1つとして再利用する際に、これらの原料に対する金属の混入を防止できる。
【0025】
第1切断片21は、第1ガラス板11と第2ガラス板13の間に設けられる金属層、例えば第1金属層15を含んでもよい。第1金属層15は、第2金属層17とは異なり、合わせガラス10の表面に露出してないので、研削、エッチング又はブラスト等で除去不能である。それゆえ、第1金属層15を除去するには、合わせガラス10を第1切断片21と第2切断片22とに切断することが好ましい。
【0026】
第2切断片22は、第1金属層15と第2金属層17を含まなければよく、第1遮光層14と第2遮光層16の少なくとも1つを含んでもよい。第1遮光層14と第2遮光層16は、鉛(Pb)を含まなければ、ガラス原料に混入しても問題ない。なお、第1遮光層14と第2遮光層16が鉛を含む場合、第2切断片22は、第1遮光層14と第2遮光層16のどちらも含まないことが好ましい。
【0027】
合わせガラス10を切断する前に、例えば、作業員は、第1金属層15と第2金属層17の位置を目視で確認し、その位置を合わせガラス10の表面にマーカーで書き込む。切断装置100(図7参照)は、合わせガラス10の表面に書き込まれたマークをカメラ(不図示)等で撮像し、画像を処理することで、合わせガラス10の切断予定線の位置を決める。その後、切断装置100は、予め決めた切断予定線に沿って合わせガラス10を切断する。
【0028】
なお、第2切断片22が第1遮光層14と第2遮光層16のどちらも含まないように、切断装置100が合わせガラス10を切断してもよい。この場合、作業員は、第1金属層15と第2金属層17の位置を確認しなくて済む。切断装置100は、合わせガラス10をカメラ等で撮像し、画像を処理することで、透過領域A1と遮光領域A2の境界線を検出し、その検出結果を基に切断予定線の位置を決める。
【0029】
ステップS102は、図5に示すように、第2切断片22における第1ガラス板11と第2ガラス板13を破砕することを含む。第2切断片22は、第1ガラス板11の一部であるガラス片と、中間膜12の一部である樹脂片と、第2ガラス板13の一部であるガラス片と、をこの順番で有する。
【0030】
ステップS102は、樹脂片の両側に付着しているガラス片を破砕する。このとき、樹脂片は、ガラス片とは異なり、破砕されない。樹脂片は、柔らかく、衝撃を吸収するからである。破砕後の第2切断片22は、樹脂片の両側に、樹脂片よりも小さなガラス片が多数付着した構成になる。図5に示すガラス片の厚さ方向に延びる複数の実線は、ガラスの亀裂が進展した状態を表す。
【0031】
ステップS102においてガラス片を破砕する破砕装置は、一般的なものであればよく、特に限定されない。破砕装置は、本実施形態では第2切断片22を再資源化すべく第2切断片22におけるガラス片を破砕するが、第1切断片21を再資源化すべく第1切断片21におけるガラス片を破砕してもよい。
【0032】
ステップS103は、図6に示すように、破砕した第1ガラス板11由来のガラス片と中間膜12由来の樹脂片とを分離すると共に、破砕した第2ガラス板13由来のガラス片と中間膜12由来の樹脂片とを分離することを含む。分離した樹脂片とガラス片とは、大きさの違いを利用して、分別回収することが可能である。樹脂片は、ガラス片よりも大きい。
【0033】
ガラス片の再資源化だけではなく、樹脂片の再資源化も可能である。樹脂片の面積が大きいほど、樹脂片のリサイクル効率が良い。樹脂片の面積は、40000mm以上(縦200mm以上、横200mm以上)であることが好ましい。樹脂片の面積は、ハンドリング性の観点から、1000000mm以下であることが好ましい。一方、破砕したガラス片の面積は、2500mm以下(縦50mm以下、横50mm以下)であることが好ましい。ガラス片は、樹脂片と分離した後で、さらに破砕されてもよい。
【0034】
ステップS103は、破砕後の第2切断片22を処理液に浸漬することで、第2切断片22を構成するガラス片と樹脂片を分離することを含む。ガラス片を予め破砕しておけば、処理液がガラス片と樹脂片の界面に浸み込みやすい。処理液は、水を含むことが好ましい。水は、ガラス片と樹脂片の水素結合を切断することができる。処理液の温度は、40℃~80℃であることが好ましい。処理液の温度が40℃以上であれば、水素結合を切断する効果が得られやすい。処理液の温度が80℃以下であれば、処理液中の水分が蒸発するのを防止できる。
【0035】
処理液は、界面活性剤をさらに含むことが好ましい。界面活性剤は、樹脂片の一部と樹脂片の他の一部が接着するのを抑制する。これにより、樹脂片が折り畳まれるのを抑制でき、折り畳まれた樹脂片の内側にガラス片が巻き込まれるのを抑制できる。したがって、ガラス片と樹脂片の分離を進めることができる。
【0036】
界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば特許文献2に記載のものが挙げられる。界面活性剤の含有量は、界面活性剤の種類に応じて適宜設定されるが、0.03質量%~2質量%であることが好ましい。処理液のpHは、環境負荷の観点から、6.5~8.5であることが好ましい。
【0037】
なお、合わせガラスのリサイクル方法は、ステップS101~S103以外のステップを有してもよい。本実施形態では第1切断片21を除去した上で、第2切断片22をガラス原料と樹脂原料の少なくとも1つとして再利用するが、第1切断片21から金属層を取り除くことが可能であれば、第1切断片21をガラス原料と樹脂原料の少なくとも1つとして再利用することも可能である。
【0038】
また、合わせガラスのリサイクル方法は、第1切断片21から金属層の少なくとも一部を回収するステップを有してもよい。第1金属層15と第2金属層17は、例えば銀(Ag)、タングステン(W)、銅(Cu)又はこれらの合金を含む。金属層の少なくとも一部を回収することで、これらの金属を再資源化できる。
【0039】
[合わせガラスの切断方法(ステップS101)及び切断装置]
次に、図7を参照して、切断装置100の一例について説明する。切断装置100は、例えば上記ステップS101で使用される。切断装置100は、合わせガラス10をウォータージェット101で切断する。ウォータージェット101は、加圧した水をノズル110から噴射することで発生する噴流である。切断装置100は、ノズル110と、ノズル110に対して加圧した水を供給する供給部120と、を備える。
【0040】
供給部120は、例えば水を加圧するポンプを含む。供給部120がノズル110に供給する水の圧力は、好ましくは300MPa以上であり、より好ましくは350MPa以上である。上記水の圧力は、高いほど好ましいが、水の流路を構成する部品の耐久性の観点から、好ましくは1000MPa以下であり、より好ましくは500MPa以下である。供給部120がノズル110に供給する水の流量は、好ましくは1.0L/分~10.0L/分であり、より好ましくは3.0L/分~5.0L/分である。
【0041】
ノズル110は、ウォータージェット101を噴射する。噴射方向は、本実施形態では下方向であるが、特に限定されない。ノズル110と合わせガラス10の配置が逆である場合、噴射方向は上方向である。噴射方向は、斜め下方向又は斜め上方向であってもよい。
【0042】
合わせガラス10は、ウォータージェット101の流れ方向に沿って、第1ガラス板11と中間膜12と第2ガラス板13とをこの順番で有する。なお、第1ガラス板11と第2ガラス板13の配置は逆でもよい。つまり、合わせガラス10は、ウォータージェット101の流れ方向に沿って、第2ガラス板13と中間膜12と第1ガラス板11とをこの順番で有してもよい。
【0043】
合わせガラス10は、加圧した水のみで安定して切断することは困難である。例えば、第1ガラス板11又は第2ガラス板13を切断できないことがある。あるいは、中間膜12を切断できないことがある。特許文献1に記載のごとく加圧した水に研磨材を添加すれば、合わせガラス10を安定して切断することが可能であるが、切断片を研磨材が汚染してしまう。研磨材は、ステップS103で回収される破砕後のガラス片と同程度以下の大きさである。それゆえ、ガラス片と研磨材とは、分別回収することが難しい。したがって、研磨材が切断片を汚染してしまうと、切断片をガラス原料として再利用し難くなる。なお、切断片は、第1切断片21と第2切断片22のいずれでもよい。
【0044】
本実施形態のノズル110は、加圧した水に気泡を含めて噴射する。ノズル110は、アブレシブジェット加工用のものを流用してもよい。ノズル110は、研磨材の代わりに、気体を、加圧した水に混合する。本実施形態のウォータージェット101は、加圧した水と気泡を含む噴流である。加圧した水に気泡を含めることで、加圧した水に部分的な断水状態を断続的に生じさせ、水圧の粗密状態を作出する。これにより、合わせガラス10に対して衝撃を断続的に加えることができ、第1ガラス板11と第2ガラス板13を効率的に砕くことができる。このとき、合わせガラス10の切断位置においてガラスのひび割れが生じるが、切断片をガラス原料と樹脂原料の少なくとも1つとして再利用する観点からは問題はない。
【0045】
ウォータージェット101は、まず、ノズル110に近い方の第1ガラス板11を砕き、生じたガラス屑を衝撃で吹き飛ばすことで、中間膜12に至る流れを確保する。その後、ウォータージェット101は、中間膜12を切り裂き、続いて、ノズル110から遠い方の第2ガラス板13を砕く。このようにして、合わせガラス10を切断することができる。
【0046】
ノズル110は、研磨材の代わりに気泡を利用することで、合わせガラス10を切断することができ、且つ合わせガラス10を切断する際にコンタミネーションを抑制することができる。気泡は、研磨材とは異なり、切断片を汚染することがない。よって、切断片をガラス原料として再利用することが可能になる。また、切断片を再利用するに当たり、洗浄工程を新たに設ける必要がないため、製造コストを低減できる。
【0047】
ノズル110は、加圧した水に気泡を含めて噴射することで、合わせガラス10の切断音の騒音レベルを低下でき、また、距離Dの許容範囲を広くできる。距離Dは、ノズル110と合わせガラス10の距離である。距離Dの許容範囲は、合わせガラス10を安定して切断できる距離Dの範囲である。距離Dが遠過ぎると、合わせガラス10に衝突する際のウォータージェット101の直径が大きくなり過ぎ、切断精度の低下や、圧力低下による未切断が発生してしまう。
【0048】
距離Dの許容範囲が広ければ、合わせガラス10の表面が曲面であり、その表面の高さが変化することで距離Dが変化する場合であっても、ノズル110又は合わせガラス10をノズル110の噴射方向に移動しなくて済む。距離Dは、10mm~200mmの範囲に収めることが好ましく、10mm~150mmの範囲に収めることがより好ましい。
【0049】
切断装置100は、ノズル110の噴射方向と交差する方向に、ノズル110と合わせガラス10を相対的に移動することで、合わせガラス10を切断する。合わせガラス10の切断速度は、合わせガラス10を構成する各部材の厚さと材質に応じて適宜設定されるが、好ましくは15m/分以下であり、より好ましくは12m/分以下である。合わせガラス10の切断速度は、切断効率の観点から、好ましくは1m/分以上であり、より好ましくは4m/分以上である。
【0050】
ノズル110は、加圧した水と気体を混合する混合室111と、混合室111に加圧した水を供給する第1流路112と、混合室111に気体を供給する第2流路113と、混合室111で混合した加圧した水と気泡を合わせガラス10に向けて噴射する第3流路114と、を有する。混合室111において多数の気泡を水に分散できる。
【0051】
第1流路112と第3流路114とは、混合室111を挟んで、同一直線上に設けられることが好ましい。これにより、加圧した水が混合室111を介して第1流路112から第3流路114に流れ込みやすい。一方、第2流路113は、本実施形態では第1流路112と第3流路114に対して垂直に設けられるが、斜めに設けられてもよい。
【0052】
第2流路113は、第2流路113と混合室111との圧力差を利用して、気体である空気を混合室111に供給することが好ましい。空気は、研磨材に比べて流動性が高い。それゆえ、第2流路113と混合室111との圧力差によって空気の安定供給が可能である。また、第2流路113と混合室111との圧力差を利用すれば、切断装置100の構造を簡略化できる。なお、第2流路113は、空気の代わりに窒素等の不活性ガスを混合室111に供給することも可能である。
【0053】
[合わせガラスの分離方法(ステップS103)及び分離装置]
次に、図8図11を参照して、分離装置200の一例について説明する。分離装置200は、上記ステップS103で使用される。分離装置200は、予め破砕した第1ガラス板11と中間膜12とを分離すると共に、予め破砕した第2ガラス板13と中間膜12とを分離する。分離装置200は、本実施形態では第2切断片22を構成するガラス片と樹脂片を分離するが、第1切断片21を構成するガラス片と樹脂片を分離してもよい。
【0054】
図8及び図9に示すように、分離装置200は、例えば、回転ドラム210と、処理槽220と、モータ230と、を備える。回転ドラム210は、合わせガラスを内部に収容する。回転ドラム210は、本実施形態では第2切断片22を内部に収容するが、第1切断片21を内部に収容してもよい。処理槽220は、回転ドラム210を取り囲むと共に、回転ドラム210の内部の下部空間に処理液を溜める。図9図11において、破線Lは、処理液の液面の高さを示す。第2切断片22は、回転ドラム210の内部において処理液に浸漬される。処理液は、ガラス片と樹脂片を分離する。モータ230は、回転ドラム210を回転させる。回転ドラム210を回転させることで、ガラス片と樹脂片にせん断応力を加えることができる。
【0055】
回転ドラム210は、回転中心線Rを中心に対称な形状を有する。回転ドラム210は、本実施形態では図11に示すように円筒形状を有するが、角筒形状を有してもよい。回転ドラム210は、軸方向片側(図9において右側)に入口211を有し、軸方向反対側(図9において左側)に出口212を有する。第2切断片22が入口211から内部に投入され、樹脂片が出口212から外部に取り出される。入口211と出口212は別々に設けられるが、両方を兼ねるものが1つ設けられてもよい。また、回転ドラム210は、回転ドラム210の内周面から外周面まで貫通するスクリーン穴213を有する。
【0056】
スクリーン穴213は、第2切断片22の樹脂片よりも小さく、樹脂片を回転ドラム210の内部に留める。また、スクリーン穴213は、第2切断片22のガラス片よりも大きく、ガラス片を選択的に通過させる。これにより、樹脂片から分離したガラス片が樹脂片に再付着するのを抑制でき、ガラス片と樹脂片を円滑に分離できる。
【0057】
スクリーン穴213を通過したガラス片は、処理槽220の底部に落下する。処理槽220の底部は、ガラス片を重力で集める傾斜面221を有してもよい。複数(例えば4つ)の傾斜面221が、下方に向けて先細り状の角錘を形成する。角錘の下端にガラス片を集めることができる。処理槽220の底部が複数の角錐を有することで、1つの角錐を有する場合に比べ、処理槽220の高さを低くできる。
【0058】
回転ドラム210の外周面には、モータ230の回転駆動力を回転ドラム210に伝達する伝達部214が設けられてもよい。伝達部214は、例えばギヤを含む。なお、伝達部214はプーリを含んでもよく、モータ230の回転駆動力はタイミングベルトとプーリを介して回転ドラム210に伝達されてもよい。
【0059】
伝達部214を回転ドラム210の外周面に設けることで、回転中心線R上に回転軸を設けずに済む。そのため、回転軸と第2切断片22の干渉、特に回転軸に樹脂片が巻き付くことを防止でき、作業性を向上できる。伝達部214は、回転ドラム210の軸方向端部に設けられることが好ましく、入口211又は出口212(図8及び図9では入口211)を形成する端部に設けられることが好ましい。
【0060】
回転ドラム210の内周面には、突起部215が設けれられてもよい。突起部215の形状は、本実施形態では棒状であるが、板状であってもよい。突起部215は、回転ドラム210の周方向に沿って間隔をおいて複数設けられる。また、突起部215は、回転ドラム210の軸方向に沿って間隔をおいて複数設けられる。
【0061】
突起部215は、回転ドラム210と共に回転することで、第2切断片22を引っ掛けながら持ち上げる。その後、第2切断片22は、自重で落下し、回転ドラム210の内周面、又は処理液の液面に叩きつけられる。これにより、ガラス片と樹脂片にせん断応力を加えることができる。
【0062】
分離装置200は、図9に示すように回転ドラム210の回転中心線Rが水平になる状態と、図10に示すように回転ドラム210の回転中心線Rが斜めになる状態との間で、回転ドラム210を揺動させる揺動機構240を備えてもよい。揺動機構240は、図8に示すように、例えば、一対の固定フレーム241と、一対の固定フレーム241に水平に架け渡される揺動軸250と、揺動軸250を中心に回転させられる揺動フレーム251と、を有する。
【0063】
一対の固定フレーム241は、回転ドラム210を挟んで設けられる。一対の固定フレーム241は、それぞれ、例えば、鉛直に立てられた複数本の柱242と、複数本の柱242の上端に水平に架け渡される梁243と、梁243に固定される軸受244と、有する。回転ドラム210を挟んで設けられる一対の軸受244が、揺動軸250を回転自在に支持する。
【0064】
揺動軸250は、上方から見たときに、回転ドラム210の回転中心線Rと直交するように配置される。揺動軸250は、本実施形態では回転ドラム210の軸方向中央(図9及び図10において左右方向中央)に設けられるが、回転ドラム210の軸方向一端(図9及び図10において左端又は右端)に設けられてもよい。
【0065】
揺動フレーム251は、回転ドラム210を、回転中心線Rを中心に回転自在に支持する。揺動フレーム251は、例えば、揺動軸250と一体化されるメインフレーム252と、メインフレーム252を挟んで設けられる一対の鉛直板253と、一対の鉛直板253のそれぞれに回転自在に設けられる回転コマ254と、を有する。図8に示すように、回転コマ254の外周面が回転ドラム210の内周面に接触する。
【0066】
回転コマ254は、回転ドラム210の入口211において、回転中心線Rから等距離の位置に複数(例えば2つ)設けられてもよい。また、回転コマ254は、回転ドラム210の出口212において、回転中心線Rから等距離の位置に複数(例えば2つ)設けられてもよい。なお、回転コマ254の数は、特に限定されない。入口211と出口212にそれぞれ1つずつ回転コマ254が設けられてもよい。
【0067】
回転コマ254は、回転中心線Rを中心に回転ドラム210を回転自在に支持する。モータ230が回転ドラム210を回転させると、回転ドラム210の回転に追従して回転コマ254が回転させられる。回転コマ254が固定されている場合に比べて、摩擦抵抗を低減でき、モータ230の回転駆動力を低減できる。
【0068】
揺動フレーム251は、モータ230が取り付けられる取付台255を有する。取付台255は、例えば鉛直板253に設けられる。取付台255は、一対の鉛直板253のうち、入口211に対向する鉛直板253に設けられる。なお、取付台255は、出口212に対向する鉛直板253に設けられてもよい。取付台255の位置は、モータ230の位置に応じて選択される。
【0069】
揺動機構240は、駆動源259(図8参照)を有してもよい。駆動源259は、一対の固定フレーム241に対して揺動フレーム251を揺動させることで、図9に示すように回転ドラム210の回転中心線Rが水平になる状態と、図10に示すように回転ドラム210の回転中心線Rが斜めになる状態との間で、回転ドラム210を揺動させる。
【0070】
駆動源259は、例えば油圧シリンダを含む。油圧シリンダは、図8に示すように、回転ドラム210を挟んで一対設けられる。油圧シリンダは、一対の固定フレーム241のそれぞれに取り付けられ、伸縮することで揺動フレーム251を揺動させる。なお、駆動源259は、油圧シリンダに限定されない。例えば、駆動源259は、揺動軸250を回転させるモータを含んでもよい。
【0071】
分離装置200は、揺動機構240を制御する制御部260を備えてもよい。制御部260は、例えばコンピュータで構成される。制御部260は、モータ230が回転ドラム210を回転させながら、スクリーン穴213がガラス片を選択的に通過させる際に、回転ドラム210の回転中心線Rを水平にする制御を行なう。これにより、第2切断片22の全体を均等に処理液に浸漬できる。
【0072】
制御部260は、樹脂片が回転ドラム210の内部から外部に取り出される際に、回転ドラム210の回転中心線Rを斜めにする制御を行なう。これにより、出口212を入口211よりも下方にすることができ、出口212に向けて樹脂片を自重で寄せることができる。よって、樹脂片を出口212から容易に取り出すことができる。なお、第2切断片22が回転ドラム210の入口211から内部に投入される際に、回転ドラム210の回転中心線Rを斜めにする制御を行なってもよい。これにより、入口211と処理槽220との間隙を小さくできるので、第2切断片22を入口211から容易に投入することができる。
【0073】
制御部260は、回転ドラム210の回転中心線Rを常に斜めにするのではなく、樹脂片とガラス片を分離する際には回転ドラム210の回転中心線Rを水平にする。これにより、回転ドラム210の内部で、樹脂片の全体を均等に処理液に浸漬できるため、樹脂片の全体で樹脂片とガラス片を分離できる。
【0074】
回転ドラム210の回転中心線Rを常に斜めにして、樹脂片を自重で入口211から出口212に向けて移動させながら、樹脂片とガラス片を分離することも考えられる。この場合、樹脂片の全体が均等に処理液に浸漬していないため、樹脂片とガラス片を分離する時間の管理が難しい。
【0075】
そこで、本実施形態の制御部260は、回転ドラム210の回転中心線Rを常に斜めにするのではなく、樹脂片とガラス片を分離する際には回転ドラム210の回転中心線Rを水平にする。これにより、樹脂片の全体が均等に処理液に浸漬しているため、樹脂片とガラス片を分離する時間を管理しやすく、作業性を向上できる。
【0076】
図8に示すように、分離装置200は、回収ライン270と、回収槽271と、を備えてもよい。回収ライン270は、処理槽220の底部から処理槽220の外部に、ガラス片を処理液と共に送る。回収槽271は、回収ライン270が送ったガラス片を処理液と分離して回収する。回収槽271は、ガラス片と処理液を分離するフィルターを有する。分離装置200は、還流ライン272をさらに備えてもよい。還流ライン272は、回収槽271においてガラス片から分離した処理液を、処理槽220に戻す。これにより、処理液を再利用でき、処理液の廃棄量を削減できる。
【0077】
分離装置200は、分岐ライン273と、分岐ライン273に接続されるエジェクタ部274と、をさらに備えてもよい。分岐ライン273は、回収ライン270の途中で合流する。分岐ライン273は、分岐ライン273と回収ライン270の合流地点275に向けて真上又は斜め上(図8では真上)に延びる第1接続管273aを有する。回収ライン270は、第1接続管273aから連続的にまっすぐ真上又は斜め上(図8では真上)に延びる第2接続管270aと、上方に向かうほど第1接続管273aに近づく第3接続管270bと、を有する。第1接続管273aと第2接続管270aと第3接続管270bが上記のように接続されていれば、エジェクタ部274が所望の流れを形成しやすい。
【0078】
エジェクタ部274は、合流地点275において分岐ライン273から回収槽271に向かう処理液の流れを形成することで、合流地点275に向けて処理槽220の底部から処理液を引き込む。引き込む処理液は、ガラス片を含んでおり、合流地点275から回収槽271に向けて押し流される。エジェクタ部274は、例えばポンプを含む。
【0079】
エジェクタ部274は、ガラス片を含まない処理液を圧送することができる。分岐ライン273とエジェクタ部274がなく、回収ライン270の途中にポンプが設けられる場合、そのポンプがガラス片を含む処理液を吸い込んで吐き出す過程で、傷んでしまうおそれがある。本実施形態によれば、ポンプがガラス片で傷むのを抑制できる。
【0080】
図9及び図10に示すように、分離装置200は、循環ライン276と、ポンプ277と、温度調整器278と、を備えてもよい。循環ライン276は、処理槽220の内部から外部に処理液を取り出し、処理槽220の内部に戻す。処理液を循環することで、処理液における界面活性剤の濃度を均一化できる。ポンプ277は、循環ライン276の途中に設けられ、処理液を圧送する。温度調整器278は、循環ライン276の途中で処理液の温度を調整する。温度調整器278は、例えば電気ヒータを含む。温度調整器278は、例えば処理液に対して水蒸気を供給することで、処理液を加熱する。処理液を循環しながら加熱することで、処理液の温度を均一化できる。
【0081】
図9及び図10に示すように、分離装置200は、処理液供給部279を備えてもよい。処理液供給部279は、新しい処理液を処理槽220に供給する。処理液供給部279は、本実施形態では循環ライン276を介して処理槽220に処理液を供給するが、処理槽220に直接処理液を供給してもよい。図示しないが、分離装置200は、処理液排出部を備えてもよい。処理液排出部は、使用済み処理液を処理槽220から分離装置200の外部に排出する。
【0082】
上記の実施形態等に関し、下記の付記を開示する。
【0083】
[付記1]
車外側から車内側に第1ガラス板と中間膜と第2ガラス板とをこの順番で有し、車内側から見たときに透過領域と遮光領域とを有し、前記遮光領域の一部に金属層を有する、合わせガラスのリサイクル方法であって、
前記合わせガラスを、前記金属層を含む第1切断片と、前記金属層を含まない第2切断片と、にウォータージェットで切断することと、
前記第2切断片における前記第1ガラス板と前記第2ガラス板を破砕することと、
前記破砕した前記第1ガラス板に由来するガラス片と前記中間膜に由来する樹脂片とを分離すると共に、前記破砕した前記第2ガラス板に由来するガラス片と前記中間膜に由来する樹脂片とを分離することと、
を有する、合わせガラスのリサイクル方法。
【0084】
[付記2]
前記金属層は、前記第1ガラス板と前記第2ガラス板の間に設けられる、付記1に記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【0085】
[付記3]
前記ウォータージェットは、加圧した水をノズルから噴射することで発生する噴流であり、
前記噴流は、前記加圧した水と気泡を含む、付記1又は2に記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【0086】
[付記4]
前記ノズルは、前記加圧した水と気体を混合する混合室と、前記混合室に前記加圧した水を供給する第1流路と、前記混合室に気体を供給する第2流路と、前記混合室で混合した前記加圧した水と前記気泡を前記合わせガラスに向けて噴射する第3流路と、を有する、付記3に記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【0087】
[付記5]
前記第2流路は、前記第2流路と前記混合室との圧力差を利用して、前記気体である空気を前記混合室に供給する、付記4に記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【0088】
[付記6]
前記分離することは、
前記第2切断片を回転ドラムの内部に入れることと、
前記回転ドラムを取り囲む処理槽に処理液を溜めることで、前記回転ドラムの内部の下部空間に処理液に溜めることと、
前記回転ドラムを回転させることと、
前記回転ドラムの内周面から外周面まで貫通するスクリーン穴が、前記樹脂片よりも小さく、前記ガラス片を選択的に通過させることと、
を有する、付記1~5のいずれか1つに記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【0089】
[付記7]
前記回転ドラムの外周面に、モータの回転駆動力を前記回転ドラムに伝達する伝達部が設けられる、付記6に記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【0090】
[付記8]
前記回転ドラムの内周面に、突起部が設けられる、付記6又は7に記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【0091】
[付記9]
前記処理槽の底部は、前記ガラス片を重力で集める傾斜面を有する、付記6~8のいずれか1つに記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【0092】
[付記10]
前記処理槽の底部と回収槽とをつなぐ回収ラインが、前記処理槽の底部から前記回収槽に向けて前記ガラス片を前記処理液と共に送ることと、
前記回収槽が、前記ガラス片を、前記処理液と分離して回収することと、
前記回収槽と前記処理槽とをつなぐ還流ラインが、前記回収槽から前記処理槽に前記処理液を戻すことと、
を有する、付記6~9のいずれか1つに記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【0093】
[付記11]
前記処理槽の底部と回収槽とをつなぐ回収ラインが、前記処理槽の底部から前記回収槽に向けて前記ガラス片を前記処理液と共に送ることと、
前記回収槽が、前記ガラス片を、前記処理液と分離して回収することと、
前記回収ラインと分岐ラインの合流地点において前記分岐ラインから前記回収槽に向かう前記処理液の流れを形成することで、前記合流地点に向けて前記処理槽の底部から前記処理液を引き込むことと、
を有する、付記6~10のいずれか1つに記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【0094】
[付記12]
前記処理槽の内部から外部に前記処理液を取り出し、前記処理槽の内部に戻す循環ラインの途中に設けられた温度調整器が、前記処理液の温度を調整することを有する、付記6~11のいずれか1つに記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【0095】
[付記13]
前記処理液は水と界面活性剤を含み、前記処理液の温度が40℃~80℃である、付記6~12のいずれか1つに記載の合わせガラスのリサイクル方法。
【0096】
以上、本開示に係る合わせガラスのリサイクル方法について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除及び組合せが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0097】
10 合わせガラス
11 第1ガラス板
12 中間膜
13 第2ガラス板
15 第1金属層(金属層)
17 第2金属層(金属層)
21 第1切断片
22 第2切断片
101 ウォータージェット
110 ノズル
111 混合室
112 第1流路
113 第2流路
114 第3流路
210 回転ドラム
213 スクリーン穴
214 伝達部
215 突起部
220 処理槽
221 傾斜面
230 モータ
270 回収ライン
271 回収槽
272 還流ライン
273 分岐ライン
275 合流地点
276 循環ライン
278 温度調整器
A1 透過領域
A2 遮光領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11