(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003059
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】硬化性樹脂組成物、ソルダーレジスト用樹脂材料、硬化物、絶縁材料およびレジスト部材
(51)【国際特許分類】
C08G 59/68 20060101AFI20241226BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20241226BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20241226BHJP
G03F 7/038 20060101ALI20241226BHJP
G03F 7/031 20060101ALI20241226BHJP
C08F 299/00 20060101ALN20241226BHJP
【FI】
C08G59/68
G03F7/004 503Z
G03F7/027 515
G03F7/038 503
G03F7/031
C08F299/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103520
(22)【出願日】2023-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141601
【弁理士】
【氏名又は名称】貴志 浩充
(74)【代理人】
【識別番号】100179866
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 駿介
(72)【発明者】
【氏名】西田 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】清水 郁馬
(72)【発明者】
【氏名】亀山 裕史
【テーマコード(参考)】
2H225
4J036
4J127
【Fターム(参考)】
2H225AC36
2H225AC44
2H225AC46
2H225AC54
2H225AC65
2H225AC70
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2H225AD02
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2H225CA11
2H225CB05
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2H225CC13
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4J127FA41
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高いアルカリ現像性、優れた潜在性および優れた感度を有し、かつ、硬化物における優れた耐熱性を発現可能な硬化性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】酸基および重合性不飽和基を有する樹脂と、硬化剤と、光ラジカル重合開始剤と、光塩基発生剤とを含み、光塩基発生剤が、例えば9-アントリルメチルN,N-ジエチルカルバメート、および(Z)-{[ビス(ジアルキルアミノ)メチリデン]アミノ}-N-アルキル(アルキルアミノ)メタンイミニウムテトラキス(3-フルオロフェニル)ボレートからなる群より選択される1種以上である、硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸基および重合性不飽和基を有する樹脂と、
硬化剤と、
光ラジカル重合開始剤と、
光塩基発生剤と、
を含み、
前記光塩基発生剤が、以下の式(1)および式(2)からなる群より選択される1種以上である、硬化性樹脂組成物。
【化1】
(式(1)中、
Aは、以下の1~7の構造からなる群から選択され、
【化2】
R
1は、各々独立して、Hまたは直鎖もしくは分岐のC
1~C
6のアルキル基であり、
*は、式(1)との結合部分であり;
式(2)中、Arは、それぞれ独立して、アリール基であり、
R
2は、それぞれ独立して、直鎖または分岐のC
1~C
6アルキルおよびC
3~C
6シクロアルキルからなる群より選択される。)
【請求項2】
前記酸基および重合性不飽和基を有する樹脂が、酸変性エポキシ(メタ)アクリレートおよび酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上であり、
前記酸変性エポキシ(メタ)アクリレートが、エポキシ樹脂と、不飽和一塩基酸と、多塩基酸無水物との反応生成物であり、
前記酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートが、酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂と、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物との反応生成物である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記式(1)が、
【化3】
である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記式(2)の4つのArが、3-フルオロフェニルである、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記式(2)が、
【化4】
である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記式(2)が、
【化5】
である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
前記硬化剤が、エポキシ樹脂である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の硬化性樹脂組成物からなる、ソルダーレジスト用樹脂材料。
【請求項9】
請求項1に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物。
【請求項10】
請求項9に記載の硬化物からなる、絶縁材料。
【請求項11】
請求項9に記載の硬化物からなる、レジスト部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性樹脂組成物、ソルダーレジスト用樹脂材料、硬化物、絶縁材料およびレジスト部材に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板上に電子部品を実装してはんだ付けする際に、実装部以外の部分にはんだが付着するのを防止する材料として、あるいは、配線の酸化および腐食を半永久的に防止する被膜を形成する材料としてソルダーレジストが広く用いられている(例えば、特許文献1)。このようなソルダーレジストのパターンを形成する技術として、微細なパターンを正確に形成できるフォトレジスト法があり、特に環境面の配慮から、アルカリ現像型の液状フォトレジスト法が主流となっている。
【0003】
ソルダーレジスト膜の形成では、一般的に、基板上にソルダーレジスト用材料を塗布し、60~100℃程度で予熱して有機溶剤を除去して乾燥させ、次いで、フォトマスクを介してUVを照射して露光し、次いで、アルカリ水溶液によって未露光部を現像し、次いで、140~200℃程度で加熱してソルダーレジスト膜を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-075994号公報
【特許文献2】特許第7231114号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ソルダーレジスト膜を形成する材料には、高いアルカリ現像性、優れた潜在性および照射されるUVへの優れた感度(以下、「感度」ということがある)を有し、かつ、硬化物における優れた耐熱性を発現可能なことが求められる。
【0006】
「優れた潜在性」とは、低温域(0~100℃程度)では硬化反応が進まず、高温域(100℃以上)で硬化反応が進む性質をいう。
【0007】
これに対して、特許文献2では、優れた作業安定性および潜在性を有し、耐熱性および基材密着性に優れた硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物を提供する課題に対して、酸基および重合性不飽和基を有する樹脂と、非共有電子対を持つ特定のヘテロ原子を分子内に有する化合物および金属塩を必須原料とする化合物とを含有する硬化性樹脂組成物を開示している。しかし、特許文献2では、アルカリ現像性と感度については開示がない。
【0008】
そこで、本発明は、高いアルカリ現像性、優れた潜在性および優れた感度を有し、かつ、硬化物における優れた耐熱性を発現可能な硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る硬化性樹脂組成物は、
酸基および重合性不飽和基を有する樹脂と、
硬化剤と、
光ラジカル重合開始剤と、
光塩基発生剤と、
を含み、
前記光塩基発生剤が、以下の式(1)および式(2)からなる群より選択される1種以上である、硬化性樹脂組成物である。
【化1】
(式(1)中、
Aは、以下の1~7の構造からなる群から選択され、
【化2】
R
1は、各々独立して、Hまたは直鎖もしくは分岐のC
1~C
6のアルキル基であり、
*は、式(1)との結合部分であり;
式(2)中、Arは、それぞれ独立して、アリール基であり、
R
2は、それぞれ独立して、直鎖または分岐のC
1~C
6アルキルおよびC
3~C
6シクロアルキルからなる群より選択される。)これにより、高いアルカリ現像性、優れた潜在性および優れた感度を有し、かつ、硬化物における優れた耐熱性を発現可能である。
【0010】
本発明の硬化性樹脂組成物の一実施形態では、前記酸基および重合性不飽和基を有する樹脂が、酸変性エポキシ(メタ)アクリレートおよび酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上であり、
前記酸変性エポキシ(メタ)アクリレートが、エポキシ樹脂と、不飽和一塩基酸と、多塩基酸無水物ととの反応生成物であり、
前記酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートが、酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂と、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物との反応生成物である。
【0011】
本発明の硬化性樹脂組成物の一実施形態では、前記式(1)が、
【化3】
である。
【0012】
本発明の硬化性樹脂組成物の一実施形態では、前記式(2)の4つのArが、3-フルオロフェニルである。
【0013】
本発明の硬化性樹脂組成物の一実施形態では、前記式(2)が、
【化4】
である。
【0014】
本発明の硬化性樹脂組成物の一実施形態では、前記式(2)が、
【化5】
である。
【0015】
本発明の硬化性樹脂組成物の一実施形態では、前記硬化剤が、エポキシ樹脂である。
【0016】
本発明のソルダーレジスト用樹脂材料は、上記硬化性樹脂組成物からなる。
【0017】
本発明の硬化物は、上記硬化性樹脂組成物の硬化物である。
【0018】
本発明の絶縁材料は、上記硬化物からなる。
【0019】
本発明のレジスト部材は、上記硬化物からなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、高いアルカリ現像性、優れた潜在性および優れた感度を有し、かつ、硬化物における優れた耐熱性を発現可能な硬化性樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。これらの記載は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【0022】
本発明において、2以上の実施形態を任意に組み合わせることができる。
【0023】
本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートからなる群より選択される1種以上を意味する。本明細書において、(メタ)アクリレート化合物は、アクリレート化合物およびメタクリレート化合物からなる群より選択される1種以上を意味する。
【0024】
本明細書において、「反応原料」とは、化合または分解などの化学反応により目的の化合物を得るために用いられ、目的の化合物の化学構造を部分的に構成する化合物を指す。用語「反応原料」には、溶剤、触媒など化学反応の助剤の役割を担う物質であって、目的の化合物の化学構造を部分的に構成しない物質は含まれない。
【0025】
本明細書における「構造単位」とは、反応または重合時に形成される化学構造の単位(繰り返し単位)を指す。換言すると、反応または重合より形成される生成化合物において、当該反応または重合に関与する化学結合の構造以外の部分構造をいい、いわゆる残基をいう。
【0026】
本明細書に記載の材料、成分、化合物、樹脂、触媒および溶剤は、別段の記載がない限り、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
本明細書において、脂環式多塩基酸無水物は、酸無水物基が脂環構造に結合している化合物を意味し、芳香環の有無は問わない。
【0028】
(硬化性樹脂組成物)
本発明に係る硬化性樹脂組成物は、
酸基および重合性不飽和基を有する樹脂と、
硬化剤と、
光ラジカル重合開始剤と、
光塩基発生剤と、
を含み、
前記光塩基発生剤が、以下の式(1)および式(2)からなる群より選択される1種以上である、硬化性樹脂組成物である。
【化6】
式(1)中、
Aは、以下の1~7の構造からなる群から選択され、
【化7】
R
1は、各々独立して、Hまたは直鎖もしくは分岐のC
1~C
6のアルキル基であり、
*は、式(1)との結合部分であり;
式(2)中、Arは、それぞれ独立して、アリール基であり、
R
2は、それぞれ独立して、直鎖または分岐のC
1~C
6アルキルおよびC
3~C
6シクロアルキルからなる群より選択される。
【0029】
・酸基および重合性不飽和基を有する樹脂
酸基および重合性不飽和基を有する樹脂としては、特に限定されず、公知の酸基および重合性不飽和基を有する樹脂を用いることができる。酸基および重合性不飽和基を有する樹脂としては、例えば、特許文献1および2に記載の酸基および重合性不飽和基を有する樹脂などが挙げられる。
【0030】
本発明の硬化性樹脂組成物の一実施形態では、酸基および重合性不飽和基を有する樹脂が、酸変性エポキシ(メタ)アクリレートおよび酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上である。
【0031】
・酸変性エポキシ(メタ)アクリレート
酸変性エポキシ(メタ)アクリレートとしては、特に限定されず、公知の酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを用いることができる。好適な一実施形態では、酸変性エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂と、不飽和一塩基酸と、多塩基酸無水物ととの反応生成物である。別の好適な実施形態では、酸変性エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂と、不飽和一塩基酸と、多塩基酸無水物と、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物との反応生成物である。
【0032】
・エポキシ樹脂
酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを形成するエポキシ樹脂としては、特に限定されず、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂などが挙げられる。この他、特許文献1および2に記載のエポキシ樹脂なども挙げられる。ただし、本発明では、グリシジル(メタ)アクリレートは、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物として扱い、エポキシ樹脂には含めないものとする。
【0033】
好適な一実施形態では、酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを形成するエポキシ樹脂は、ノボラック型エポキシ樹脂およびナフタレン型エポキシ樹脂からなる群より選択される1種以上である。
【0034】
・不飽和一塩基酸
酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを形成する不飽和一塩基酸としては、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、α-シアノ桂皮酸、β-スチリルアクリル酸、β-フルフリルアクリル酸;これらのエステル化物、酸ハロゲン化物および酸無水物なども挙げられる。この他、特許文献2の一般式(1)で表される化合物なども挙げられる。
【0035】
好適な一実施形態では、酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを形成する不飽和一塩基酸は、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群より選択される1種以上である。
【0036】
酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを形成する際のエポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との割合としては、例えば、エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対して、不飽和一塩基酸が0.95~1.10モルである。一実施形態では、エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対して、不飽和一塩基酸の割合が、0.95モル以上、0.96モル以上、0.97モル以上または0.98モル以上である。別の実施形態では、エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対して、不飽和一塩基酸の割合が、1.10モル以下、1.05モル以下、1.04モル以下または1.03モル以下である。
【0037】
・多塩基酸無水物
酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを形成する多塩基酸無水物としては、特に限定されず、例えば、脂肪族多塩基酸無水物、脂環式多塩基酸無水物などが挙げられる。
【0038】
脂肪族多塩基酸無水物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸の酸無水物などが挙げられる。
【0039】
脂環式多塩基酸無水物としては、例えば、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸の酸無水物などが挙げられる。
【0040】
この他、多塩基酸無水物としては、特許文献2に記載の芳香族多塩基酸無水物、脂肪族多塩基酸無水物の酸ハロゲン化物、脂環式多塩基酸無水物の酸ハロゲン化物、芳香族多塩基酸無水物の酸ハロゲン化物なども挙げられる。
【0041】
好適な一実施形態では、酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを形成する多塩基酸無水物は、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、コハク酸無水物およびシクロヘキサンジカルボン酸無水物からなる群より選択される1種以上である。
【0042】
酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを形成する際のエポキシ樹脂と多塩基酸無水物との割合としては、例えば、エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対して、多塩基酸無水物が0.20~1.05モルである。一実施形態では、エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対して、多塩基酸無水物の割合が、0.20モル以上、0.25モル以上または0.30モル以上である。別の実施形態では、エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対して、多塩基酸無水物の割合が、1.05モル以下、1.00モル以下、0.98モル以下または0.95モル以下である。
【0043】
・エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物
酸変性エポキシ(メタ)アクリレートの反応原料には、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0044】
酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを形成するエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、特に限定されず、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、4-ヒドロキシブチルメタクリレートグリシジルエーテル、エポキシシクロへキシルメチルアクリレート、エポキシシクロへキシルメチルメタクリレートなどのグリシジル基を有する(メタ)アクリレートモノマー;ジヒドロキシベンゼンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0045】
好適な一実施形態では、酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを形成するエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物は、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、4-ヒドロキシブチルメタクリレートグリシジルエーテル、エポキシシクロへキシルメチルアクリレートおよびエポキシシクロへキシルメチルメタクリレートからなる群より選択される1種以上である。
【0046】
酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを形成する際のエポキシ樹脂とエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物との割合としては、例えば、エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対して、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物のエポキシ基が0.10~0.40モルである。一実施形態では、エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対して、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物のエポキシ基の割合が、0.10モル以上、0.15モル以上または0.20モル以上である。別の実施形態では、エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対して、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物のエポキシ基の割合が、0.40モル以下、0.35モル以下または0.30モル以下である。
【0047】
酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを形成する反応原料中のエポキシ樹脂、不飽和一塩基酸、多塩基酸無水物およびエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物の総量は、例えば、70~90質量%である。一実施形態では、酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを形成する反応原料中のエポキシ樹脂、不飽和一塩基酸、多塩基酸無水物およびエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物の総量は、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上または85質量%以上である。別の実施形態では、酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを形成する反応原料中のエポキシ樹脂、不飽和一塩基酸、多塩基酸無水物およびエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物の総量は、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下または75質量%以下である。
【0048】
・酸変性エポキシ(メタ)アクリレートの製造
酸変性エポキシ(メタ)アクリレートの製造方法は、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂と、不飽和一塩基酸と、多塩基酸無水物と、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物とを含む反応原料の全てを一括で反応させる方法により酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを製造してもよいし、反応原料を順次反応させる方法で製造してもよい。
【0049】
一実施形態では、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とを反応させて中間生成物(1)を合成し、次いで、中間生成物(1)に多塩基酸無水物を反応させて中間生成物(2)を合成し、次いで、中間生成物(2)にエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応させて、酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを製造する。
【0050】
中間生成物(1)および(2)の合成では、例えば、80~160℃の温度範囲、1~20時間の反応時間とすることができる。また、中間生成物(2)とエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物との反応では、例えば、80~160℃の温度範囲、1~20時間の反応時間とすることができる。
【0051】
中間生成物(2)とエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物との割合としては、例えば、中間生成物(2)の酸基1モルに対して、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物のエポキシ基が0.05モル以上、0.10モル以上、0.5モル以下または0.4モル以下である。
【0052】
酸変性エポキシ(メタ)アクリレートの製造では、例えば、特許文献2に記載の有機溶剤および塩基性触媒を用いてもよい。
【0053】
・酸変性アミドイミド(メタ)アクリレート
酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートとしては、特に限定されず、公知の酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートを用いることができる。好適な一実施形態では、酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートは、酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂と、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物との反応生成物である。別の好適な実施形態では、酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートは、酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂と、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物との反応生成物である。さらに別の好適な実施形態では、酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートは、酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂と、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物と、ポリカルボン酸無水物との反応生成物である。
【0054】
・酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂
酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートを形成する酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリイソシアネート化合物と、ポリカルボン酸またはポリカルボン酸無水物との反応生成物などが挙げられる。
【0055】
酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂は、酸基と酸無水物基の少なくとも一方を有していればよく、酸基と酸無水物基を有していてもよい。一実施形態では、アミドイミド樹脂は、酸無水物基を有する。
【0056】
・ポリイソシアネート化合物
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート化合物、これらのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体などが挙げられる。この他、特許文献1に記載のポリイソシアネート化合物(a1)なども挙げられる。
【0057】
好適な一実施形態では、酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートを形成するポリイソシアネート化合物は、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体である。
【0058】
・ポリカルボン酸
ポリカルボン酸としては、例えば、シクロヘキサンテトラカルボン酸、トリメリット酸などが挙げられる。この他、特許文献1に記載のポリカルボン酸も挙げられる。
【0059】
・ポリカルボン酸無水物
ポリカルボン酸無水物としては、例えば、シクロヘキサントリカルボン酸、トリメリット酸など、上記ポリカルボン酸の無水物などが挙げられる。この他、特許文献1に記載のポリカルボン酸無水物も挙げられる。
【0060】
好適な一実施形態では、酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートを形成するポリカルボン酸無水物は、シクロヘキサントリカルボン酸無水物およびトリメリット酸無水物からなる群より選択される1種以上である。
【0061】
・ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物
ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレートなどが挙げられる。この他、特許文献1に記載のモノヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物(B1)およびジヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物(B2)なども挙げられる。
【0062】
酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートは、酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂とヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物に加えて、その他の原料を含む反応原料の反応生成物であってもよい。一実施形態では、酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートは、酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂と、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物との反応生成物である。
【0063】
・エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物
酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートの反応原料には、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0064】
酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートを形成するエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、酸変性エポキシ(メタ)アクリレートで説明したエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。
【0065】
好適な一実施形態では、酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートを形成するエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物は、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、4-ヒドロキシブチルメタクリレートグリシジルエーテル、エポキシシクロへキシルメチルアクリレートおよびエポキシシクロへキシルメチルメタクリレートからなる群より選択される1種以上である。
【0066】
・ポリカルボン酸無水物
酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートを形成する反応原料には、ポリカルボン酸無水物が含まれていてもよい。ポリカルボン酸無水物としては、例えば、コハク酸無水物などが挙げられる。この他、ポリカルボン酸無水物としては、例えば、特許文献1に記載のポリカルボン酸無水物(a2)などが挙げられる。
【0067】
酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートを形成する反応原料中の酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物およびポリカルボン酸無水物の総量は、例えば、70~90質量%である。一実施形態では、酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートを形成する反応原料中の酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物およびポリカルボン酸無水物の総量は、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上または85質量%以上である。別の実施形態では、酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートを形成する反応原料中の酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物およびポリカルボン酸無水物の総量は、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下または75質量%以下である。
【0068】
・酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートの製造
酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートの製造方法は、特に限定されず、例えば、酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂と、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、任意にエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物と、任意にポリカルボン酸無水物とを含む反応原料の全てを一括で反応させる方法により酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートを製造してもよいし、反応原料を順次反応させる方法で製造してもよい。また、特許文献1の製造方法を用いてもよい。
【0069】
一実施形態では、酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂とヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とを反応させて中間生成物(1)を合成し、次いで、中間生成物(1)にエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応させて、酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートを製造する。
【0070】
酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂とヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物の割合としては、例えば、酸基および酸無水物基の一方または両方の合計1モルに対して、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物が0.9~10モルである。あるいは、酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂とヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物の割合としては、例えば、酸無水物基の合計1モルに対して、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物が0.9~1.1モルである。
【0071】
酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂中の酸無水物基の含有量は、中性条件下、即ち、酸無水物基を開環させない条件での酸価と、水の存在下など、酸無水物基を開環させた条件での酸価との差分から算出することができる。
【0072】
中間生成物(1)の合成は、例えば、塩基性触媒を用いて、有機溶剤中で、90~140℃の温度範囲とすることができる。また、中間生成物(1)とエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物との反応では、例えば、塩基性触媒を用いて、有機溶剤中で、90~140℃の温度範囲とすることができる。
【0073】
中間生成物(1)とエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物との割合としては、例えば、中間生成物(1)のカルボキシ基1モルに対して、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物が0.3~1.1モルである。
【0074】
酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートの製造では、例えば、特許文献2に記載の有機溶剤および塩基性触媒を用いてもよい。
【0075】
・硬化剤
硬化剤としては、例えば、エポキシ樹脂、アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、フェノール樹脂硬化剤などが挙げられる。好適な実施形態では、硬化剤は、エポキシ樹脂である。
【0076】
硬化剤としての、エポキシ樹脂としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0077】
ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、α-ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、β-ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0078】
アラルキル型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0079】
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、例えば、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0080】
この他、特許文献1および2に記載の硬化剤としてのエポキシ樹脂も挙げられる。
【0081】
アミン硬化剤、酸無水物硬化剤およびフェノール樹脂硬化剤としては、例えば、特開2023-037525号公報に記載のアミン硬化剤、酸無水物硬化剤およびフェノール樹脂硬化剤が挙げられる。
【0082】
硬化性樹脂組成物における硬化剤の量は、例えば、酸基および重合性不飽和基を有する樹脂100質量部に対して、10~40質量部である。
【0083】
・光ラジカル重合開始剤
光ラジカル重合開始剤としては、公知の光ラジカル重合開始剤を用いることができる。光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン(商品名Omnirad 907)などが挙げられる。この他、例えば、特許文献2に記載の光ラジカル重合開始剤なども挙げられる。
【0084】
硬化性樹脂組成物における光ラジカル重合開始剤の量は、例えば、酸基および重合性不飽和基を有する樹脂100質量部に対して、0.1~10質量部である。一実施形態では、光ラジカル重合開始剤の量は、酸基および重合性不飽和基を有する樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上、1.0質量部以上、2.0質量部以上、3.0質量部以上、3.5質量部以上、4.0質量部以上または5.0質量部以上である。別の実施形態では、光ラジカル重合開始剤の量は、酸基および重合性不飽和基を有する樹脂100質量部に対して、10質量部以下、6.0質量部以下、5.0質量部以下、4.0質量部以下または3.5質量部以下である。
【0085】
・光塩基発生剤
本発明の硬化性樹脂組成物における光塩基発生剤は、以下の式(1)および式(2)からなる群より選択される1種以上である。
【化8】
式(1)中、
Aは、以下の1~7の構造からなる群から選択され、
【化9】
R
1は、各々独立して、Hまたは直鎖もしくは分岐のC
1~C
6のアルキル基であり、
*は、式(1)との結合部分であり;
式(2)中、Arは、それぞれ独立して、アリール基であり、
Bは、ホウ素であり、
R
2は、それぞれ独立して、直鎖または分岐のC
1~C
6アルキルおよびC
3~C
6シクロアルキルからなる群より選択される。
【0086】
・式(1)の光塩基発生剤
式(1)の光塩基発生剤は、非イオン型であり、UVの照射によって上記1~7の構造の*部分がHに変わった2級アミンを発生する。
【0087】
1の構造におけるR1は、各々独立して、Hまたは直鎖もしくは分岐のC1~C6のアルキル基である。直鎖もしくは分岐のC1~C6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基などが挙げられる。一実施形態では、R1は、両方がメチル基、エチル基およびn-プロピル基からなる群より選択される1種以上である。別の実施形態では、R1は、両方がエチル基である。
【0088】
式(1)のアントリル環は、非置換でもよいし、アルキル基およびハロゲンなどで置換されていてもよい。ハロゲンは、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素などが挙げられる。
【0089】
一実施形態では、式(1)のAは、構造1、構造2、構造3および構造4からなる群より選択される1種以上である。別の実施形態では、式(1)のAは、構造1(R1が、両方エチル基である)、構造2、構造3および構造4からなる群より選択される1種以上であり、この場合、構造1(R1が、両方エチル基)を有する式(1)の化合物は、9-アントリルメチル N,N-ジエチルカルバメート(富士フイルム和光純薬社の商品名:WPBG-018)であり、構造2を有する式(1)の化合物は、9-アントリルメチル ピペリジン-1-カルバメート(富士フイルム和光純薬社の商品名:WPBG-015)であり、構造3を有する式(1)の化合物は、9-アントリルメチル N-シクロヘキシルカルバメート(富士フイルム和光純薬社の商品名:WPBG-041)であり、構造4を有する式(1)の化合物は、9-アントリルメチル N,N-ジシクロヘキシルカルバメート(富士フイルム和光純薬社の商品名:WPBG-172)である。
【0090】
一実施形態では、前記式(1)が、
【化10】
、すなわち、9-アントリルメチル N,N-ジエチルカルバメートである。
【0091】
・式(2)の光塩基発生剤
式(2)の光塩基発生剤は、イオン型であり、UVの照射によってカチオン部分のHが脱離した塩基を発生し得る。
【0092】
式(2)中、Arは、それぞれ独立して、アリール基である。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基およびフェナントリル基などが挙げられる。アリール基は、置換または非置換のどちらでもよい。アリール基の置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素などのハロゲンが挙げられる。一実施形態では、Arは、2-フルオロフェニル、3-フルオロフェニルおよび4-フルオロフェニルからなる群より選択される1種以上である。
【0093】
本発明の硬化性樹脂組成物の一実施形態では、前記式(2)の4つのArが、3-フルオロフェニルである。
【0094】
R2は、それぞれ独立して、直鎖または分岐のC1~C6アルキルおよびC3~C6シクロアルキルからなる群より選択される。
【0095】
直鎖または分岐のC1~C6アルキルとしては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基などが挙げられる。
【0096】
C3~C6シクロアルキルとしては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基が挙げられる。
【0097】
一実施形態では、R2は、メチル基およびシクロヘキシル基である。
【0098】
本発明の硬化性樹脂組成物の一実施形態では、前記式(2)が、
【化11】
である。
【0099】
本発明の硬化性樹脂組成物の一実施形態では、前記式(2)が、
【化12】
、すなわち、(Z)-{[ビス(ジメチルアミノ)メチリデン]アミノ}-N-シクロヘキシル(シクロヘキシルアミノ)メタンイミニウムテトラキス(3-フルオロフェニル)ボレート(富士フイルム和光純薬社の商品名:WPBG-345)である。
【0100】
一実施形態では、光塩基発生剤は、9-アントリルメチル N,N-ジエチルカルバメート(WPBG-018)および(Z)-{[ビス(ジメチルアミノ)メチリデン]アミノ}-N-シクロヘキシル(シクロヘキシルアミノ)メタンイミニウムテトラキス(3-フルオロフェニル)ボレート(WPBG-345)からなる群より選択される1種以上である。
【0101】
硬化性樹脂組成物における光塩基発生剤の量は、例えば、酸基および重合性不飽和基を有する樹脂100質量部に対して、0.5~10質量部である。一実施形態では、光塩基発生剤の量は、酸基および重合性不飽和基を有する樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上、0.6質量部以上、0.7質量部以上、0.8質量部以上、0.9質量部以上、1.0質量部以上、1.1質量部以上、1.2質量部以上、1.3質量部以上、1.4質量部以上、1.5質量部以上、1.6質量部以上、1.7質量部以上、1.8質量部以上、1.9質量部以上、2.0質量部以上、3.0質量部以上、4.0質量部以上または5.0質量部以上である。別の実施形態では、光塩基発生剤の量は、酸基および重合性不飽和基を有する樹脂100質量部に対して、10質量部以下、5.0質量部以下、4.0質量部以下、3.0質量部以下、2.0質量部以下、1.9質量部以下、1.8質量部以下、1.7質量部以下、1.6質量部以下、1.5質量部以下、1.4質量部以下、1.3質量部以下、1.2質量部以下、1.1質量部以下または1.0質量部以下である。
【0102】
・任意成分
硬化性樹脂組成物は、酸基および重合性不飽和基を有する樹脂、硬化剤、光ラジカル重合開始剤および光塩基発生剤に加えて、任意成分を含んでいてもよい。任意成分としては、例えば、硬化促進剤、他の樹脂、重合禁止剤、酸化防止剤、難燃剤、充填剤、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、紫外線安定剤、保存安定化剤などが挙げられる。
【0103】
一実施形態では、硬化性樹脂組成物は、特許文献2の金属塩(b2)を実質的に含まない。すなわち、硬化性樹脂組成物は、金属がマンガン、鉄、コバルト、銅、ジルコニウム、ビスマス、レアアースおよびバリウムからなる群より選ばれる1種以上から選択され、炭素原子数8~15の脂肪酸の金属塩である脂肪酸金属塩を実質的に含まない。
【0104】
硬化性樹脂組成物は、酸基および重合性不飽和基を有する樹脂、硬化剤、光ラジカル重合開始剤、光塩基発生剤および任意の成分を混合することにより得ることができる。
【0105】
また、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物は、例えば、半導体デバイス用途における、ソルダーレジスト、絶縁材料、パッケージ材、アンダーフィル材、回路素子などのパッケージ接着層;集積回路素子と回路基板の接着層;薄型ディスプレイ用途における、薄膜トランジスタ保護膜、液晶カラーフィルタ保護膜、レジスト部材およびスペーサーなどに好適に用いることができる。
【0106】
本発明の硬化性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射することで硬化物を得ることができる。活性エネルギー線としては、例えば、紫外線などが挙げられる。
【0107】
紫外線発生源としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光およびLEDなどが挙げられる。
【0108】
硬化性樹脂組成物の硬化方法は特に限定されず、公知の光硬化性樹脂組成物の硬化方法を用いることができる。例えば、特開2023-028337号に記載の硬化方法を用いることができる。
【0109】
本発明に係るソルダーレジスト用樹脂材料は、上記いずれかに記載の硬化性樹脂組成物からなる。
【0110】
本発明に係る硬化物は、上記いずれかに記載の硬化性樹脂組成物の硬化物である。
【0111】
本発明に係るレジスト部材は、上記硬化物からなる。
【0112】
本発明のレジスト部材は、例えば、ソルダーレジスト用樹脂材料を基板上に塗布し、60~100℃程度で乾燥させた後、所望のパターンが形成されたフォトマスクを通して活性エネルギー線で露光させ、アルカリ水溶液で未露光部を現像し、更に140~200℃程度で加熱硬化させて得ることができる。
【0113】
基板としては、例えば、銅およびアルミニウムなどの金属が挙げられる。
【0114】
本発明に係る絶縁材料は、上記硬化物からなる。絶縁材料は、上述の硬化物からなることを特徴とする。絶縁材料は、ビルドアップ基板用層間絶縁材料、ビルドアップ用接着フィルム等の回路基板用絶縁材料、回路基板用絶縁材料および電子部品内蔵用基板用絶縁材料などに用いることができる。
【実施例0115】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【0116】
・酸価
得られた酸基および重合性不飽和基を有する樹脂の酸価は、JIS K0070:1992の中和滴定法に基づいて測定した。
【0117】
実施例の合成で使用した成分の詳細は以下のとおりである。
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂:DIC社製、商品名「EPICLON N-680」、軟化点86℃、エポキシ当量:214g/当量
イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体:EVONIK社製、商品名「VESTANAT T-1890/100」、NCO%=17.2%
ペンタエリスリトールポリアクリレート混合物:東亜合成社製、商品名「アロニックス M-306」、水酸基価:159.7mgKOH/g
(2-エチルヘキサノイル)(tert-ブチル)ペルオキシド:日本油脂社製、商品名「パーブチルO」
【0118】
実施例で使用した材料および装置の詳細は以下のとおりである。
銅箔:古河産業社製、電解銅箔「F2-WS」18μm
フォトマスク:コダック社製、商品名「コダック フォトグラフィック ステップ タブレット No.2」
粘弾性測定装置(DMA):レオメトリック社製、固体粘弾性測定装置「SOLIDS ANALYZER RSAII」
示差走査熱量分析装置(DSC):METTLER TOLEDO社製、「DSC3+」
【0119】
表中の成分の詳細は以下のとおりである。
樹脂A1:後述する合成例1で合成した酸基および重合性不飽和基を有する樹脂A1
樹脂A2:後述する合成例2で合成した酸基および重合性不飽和基を有する樹脂A2
硬化剤:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、DIC社製、商品名「EPICLON N-680」、エポキシ当量:214g/当量
有機溶剤:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
光重合開始剤:2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、IGM Resins社製、商品名「Omnirad 907」
比較ホウ素含有化合物B31:後述する特許文献2の合成例43に従い合成した。
比較光塩基発生剤:富士フイルム和光純薬社の商品名「WPBG-266」
比較光塩基発生剤:富士フイルム和光純薬社の商品名「WPBG-300」
比較光塩基発生剤:富士フイルム和光純薬社の商品名「WPBG-140」
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
【0120】
化合物名とその略称は以下のとおりである。
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート:DGMEA
【0121】
合成例1:酸基および重合性不飽和基を有する樹脂A1の合成
温度計、撹拌器および還流冷却器を備えたフラスコに、DGMEA123質量部を入れ、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂214質量部を溶解し、ジブチルヒドロキシトルエン0.9質量部およびメトキノン0.2質量部加えた。次いで、アクリル酸72質量部およびトリフェニルホスフィン1.4質量部を添加した。次いで、空気を吹き込みながら120℃で10時間反応を行なった。次いで、その反応混合物に、DGMEA72質量部およびテトラヒドロ無水フタル酸76質量部を加えて110℃で3時間反応させて、酸基および重合性不飽和基を有する樹脂A1(酸変性エポキシアクリレート)を得た。樹脂A1の不揮発分は、65質量%で、固形分酸価は、80mgKOH/gであった。
【0122】
合成例2:酸基および重合性不飽和基を有する樹脂A2の合成
温度計、撹拌器および還流冷却器を備えたフラスコに、DGMEA499.7質量部を入れ、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体244.3質量部および無水トリメリット酸192.0質量部を溶解し、ジブチルヒドロキシトルエン1.0質量部を添加した。その混合物を窒素雰囲気下で160℃、6時間反応させ、NCO%が0.1以下となっていることを確認した。次いで、その反応混合物にメトキノン0.4質量部を加えた後、ペンタエリスリトールポリアクリレート混合物147.6質量部およびトリフェニルホスフィン3.5質量部を添加し、空気を吹き込みながら110℃で5時間反応を行なった。その後、グリシジルメタクリレート165.0質量部を添加し、110℃で6時間反応させた。次に、無水コハク酸110.4質量部を加え110℃で5時間反応させて、酸基および重合性不飽和基を有する樹脂A2(酸変性アミドイミド(メタ)アクリレート)を得た。樹脂A2の不揮発分は、62質量%で、固形分酸価は、80mgKOH/gであった。
【0123】
合成例3:酸基および重合性不飽和基を有する樹脂A3の合成
グリシジルメタクリレート80質量部、メタクリル酸メチル20質量部、DGMEA55.6質量部および(2-エチルヘキサノイル)(tert-ブチル)ペルオキシド5質量部を予め混合して、混合物を調製した。次いで、温度計、撹拌器および還流冷却器を備えたフラスコに、DGMEA66.7質量部を添加し、窒素雰囲気下で120℃に昇温した。次いで、そのフラスコに調製した混合物を3時間かけて滴下した。次いで、120℃で10時間、反応させた。次いで、そのフラスコにメチルハイドロキノン0.1質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.9質量部、アクリル酸40.6質量部およびトリフェニルホスフィン0.9質量部を添加し、空気を吹き込み、撹拌しながら、120℃で12時間反応させた。次いで、そのフラスコに3-メチル-8-オキサビシクロ[4.3.0]ノナン-7,9-ジオン42.6質量部およびDGMEA15.9質量部を添加し、110℃で5時間反応させて、酸基および重合性不飽和基を有する樹脂A3を得た。樹脂A3の不揮発分は、57質量%で、固形分酸価は、80mgKOH/gであった。樹脂A3は、エポキシ樹脂と、不飽和一塩基酸と、多塩基酸無水物との反応生成物ではない。また、樹脂A3は、酸変性アミドイミド(メタ)アクリレートではない。
【0124】
比較ホウ素含有化合物B31の合成
特許文献2の合成例43に従い、温度計、攪拌器、および還流冷却器を備えたフラスコに、ホウ酸トリブチル18.88質量部とベンジルアルコール115.5質量部とピコリン酸10.0質量部を加え50℃で1時間反応させてホウ酸トリブチルとピコリン酸の錯体溶液144.4質量部を得た。次いで、その錯体溶液に8-キノリノール(分子量145.2g/mol)11.79質量部を添加して70℃で1時間撹拌して、比較ホウ素含有化合物B31を得た。
【0125】
実施例1~5、比較例1~7
表1に示す配合で各成分を混合して硬化性樹脂組成物を調製した。表1中、有機溶剤以外は、固形分量を表す。
【0126】
【0127】
実施例1~5および比較例1~7の硬化性樹脂組成物を用いて、以下の評価1~2を行った。
【0128】
評価1:感度
硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基板上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分間乾燥させた。次いで、フォトマスクを介してメタルハライドランプを用いて500mJ/cm2の紫外線を硬化性樹脂組成物の塗膜に照射した。その塗膜を1質量%の炭酸ナトリウム水溶液で180秒間現像して、残存した段数で評価した。結果を表1に合わせて示す。残存段数が多いほど感度に優れる。
【0129】
評価2:乾燥管理幅
硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いて7枚のガラス基板上にそれぞれ膜厚50μmとなるように塗布して、7つの塗膜を形成した。次いで、その7つの塗膜を80℃で20分間、30分間、40分間、50分間、60分間、70分間または80分間乾燥させ、乾燥時間が異なるサンプルを作成した。次いで、その塗膜を1%炭酸ナトリウム水溶液で30℃180秒間現像した。基板上に残渣が残らなかったサンプルの80℃での乾燥時間を乾燥管理幅として評価した。結果を表1に合わせて示す。
【0130】
本発明では、アルカリ現像性の指標として、乾燥管理幅により評価した。現像性について、基板上の硬化性樹脂組成物の塗膜を乾燥した後の露光において、乾燥に伴う加熱によっても未露光部がアルカリ現像後に残存しないほど、露光部と未露光部とのコントラストが高まり、現像性に優れると言える。逆に、乾燥に伴う加熱によって未露光部がアルカリ現像後に残存するほど、露光部と未露光部とのコントラストが低下し、現像性に劣ると言える。そして、乾燥管理幅の評価では、アルカリ現像後の未露光部の残渣が生じにくい乾燥時間(分)の範囲を測定し、乾燥管理幅が大きい、すなわち、乾燥時間が長いほど、現像性に優れる。
【0131】
実施例6~10、比較例8~14
表2に示す配合で各成分を混合して硬化性樹脂組成物を調製した。表2中、有機溶剤以外は、固形分量を表す。
【0132】
【0133】
実施例6~10および比較例8~14の硬化性樹脂組成物を用いて、以下のように耐熱性を評価した。
【0134】
評価3:耐熱性
硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いて銅箔上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分間乾燥させた。次いで、メタルハライドランプを用いて10kJ/m2の紫外線を照射した後、160℃で1時間加熱して、硬化塗膜を形成した。次いで、硬化塗膜を銅箔から剥離した。その硬化塗膜から6mm×40mmの試験片を切り出した。試験片について、粘弾性測定装置を用いて、引張り法:周波数1Hz、昇温速度3℃/分の条件で、弾性率変化を測定した。そして、弾性率変化が最大となる(tanδ変化率が最も大きい)温度をガラス転移温度(Tg)とした。Tgが高いほど、耐熱性に優れる。結果を表2に合わせて示す。
【0135】
実施例11~15、比較例15~21
表3に示す配合で各成分を混合して硬化性樹脂組成物を調製した。表3中、有機溶剤以外は、固形分量を表す。
【0136】
【0137】
実施例11~15および比較例15~21の硬化性樹脂組成物を用いて、以下のように潜在性を評価した。
【0138】
評価4:潜在性
DSC装置を用いて、サンプル量4.0~8.0mg、アルミ製サンプルパンサイズφ5×2.5mm、昇温速度3℃/分、窒素流量40mL/分、温度範囲0~180℃の条件で硬化性樹脂組成物の発熱開始温度を測定した。コンピューターにより自動計算した「オンセット(Onset)温度」を発熱開始温度とした。発熱開始温度が高いほど、潜在性に優れる。結果を表3に合わせて示す。
【0139】
実施例では、高いアルカリ現像性、優れた潜在性および優れた感度を有し、かつ、硬化物における優れた耐熱性を発現可能な硬化性樹脂組成物を提供することができた。
本発明によれば、高いアルカリ現像性、優れた潜在性および優れた感度を有し、かつ、硬化物における優れた耐熱性を発現可能な硬化性樹脂組成物を提供することができる。