IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 小林製薬株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003182
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/192 20060101AFI20241226BHJP
   A61K 31/045 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20241226BHJP
   A61K 47/08 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20241226BHJP
   A61K 31/19 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 31/4402 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
A61K31/192
A61K31/045
A61K47/10
A61K47/08
A61K47/44
A61K31/19
A61K31/4402
A61P29/00
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103712
(22)【出願日】2023-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏延
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA13
4C076BB31
4C076CC05
4C076DD37N
4C076DD38
4C076DD40N
4C076DD50
4C076EE53N
4C076FF11
4C076FF34
4C086AA02
4C086BC17
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA63
4C086NA11
4C086ZB11
4C086ZC75
4C206AA02
4C206CA09
4C206DA14
4C206DA23
4C206KA01
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA37
4C206MA83
4C206NA11
4C206ZB11
4C206ZC75
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、フェルビナク及びメントールの経皮浸透性が向上した外用組成物を提供することである。
【解決手段】(A)フェルビナク、(B)メントール、(C)エタノール及び(D)水を含み、前記(C)成分が64重量%を超えない量で含む外用組成物は、(A)成分及び(B)成分の経皮吸収性が向上している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)フェルビナク、(B)メントール、(C)エタノール及び(D)水を含み、前記(C)成分が64重量%を超えない量で含む、外用組成物。
【請求項2】
前記(C)成分の含有量が30~64重量%である、請求項1に記載の外用組成物。
【請求項3】
さらに(E)カンフルを含む、請求項1に記載の外用組成物。
【請求項4】
前記(A)成分の含有量1重量部当たり、前記(E)成分の含有量が0.01重量部以上である、請求項3に記載の外用組成物。
【請求項5】
前記(B)成分の含有量1重量部当たり、前記(E)成分の含有量が0.005重量部以上である、請求項3に記載の外用組成物。
【請求項6】
さらに(F)ユーカリ油を含む、請求項1に記載の外用組成物。
【請求項7】
前記(A)成分の含有量1重量部当たり、前記(F)成分の含有量が0.005重量部以上である、請求項6に記載の外用組成物。
【請求項8】
前記(B)成分の含有量1重量部当たり、前記(F)成分の含有量が0.0025重量部以上である、請求項6に記載の外用組成物。
【請求項9】
グリチルレチン酸、並びに/若しくは、クロルフェニラミン及び/又はその塩をさらに含む、請求項1に記載の外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェルビナク及びメントールの浸透性が向上した外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フェルビナクは、解熱、鎮痛、及び消炎作用を有している非ステロイド性消炎鎮痛剤であり、外用組成物に使用されている。また、メントール等のモノテルペンは、冷涼感を呈するため、外用組成物の使用感の向上を目的として使用されており、消炎鎮痛用の組成物において使用実感を高めるために配合されることもある。
【0003】
例えば、特許文献1には、フェルビナク等の非ステロイド性抗炎症薬及びメントール等のモノテルペンを含む外用医薬組成物に、プロピレングリコールを10重量%超の含有量で含有させることで、冷涼感を向上させることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、粘着基剤と、メントール等のテルペンと、セバシン酸エステルと、アルキルグリセリルエーテルと、フェルビナク等の非ステロイド系鎮痛消炎薬とを含む経皮吸収貼付剤が、非ステロイド系鎮痛消炎薬の経皮吸収性に優れることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-096994号公報
【特許文献2】特開2008-013494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2の外用薬は、フェルビナク及びメントールの組み合わせを含むことができる。このような外用薬は、配合成分の経皮浸透性について未だ改善の余地がある。そこで、本発明は、フェルビナク及びメントールの経皮浸透性が向上した外用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、フェルビナク及びメントールを水中に含む外用組成物に、所定量のエタノールを配合することで、フェルビナク及びメントールの経皮吸収性が向上することを見出した。このように経皮吸収性が向上した外用組成物に、さらにカンフル及び/又はユーカリ油を配合することで、経皮吸収性がより一層向上することも見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0008】
即ち、本開示は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)フェルビナク、(B)メントール、(C)エタノール及び(D)水を含み、前記(C)成分が64重量%を超えない量で含む、外用組成物。
項2. 前記(C)成分の含有量が30~64重量%である、項1に記載の外用組成物。
項3. さらに(E)カンフルを含む、項1又は2に記載の外用組成物。
項4. 前記(A)成分の含有量1重量部当たり、前記(E)成分の含有量が0.01重量部以上である、項3に記載の外用組成物。
項5. 前記(B)成分の含有量1重量部当たり、前記(E)成分の含有量が0.005重量部以上である、項3又は4に記載の外用組成物。
項6. さらに(F)ユーカリ油を含む、項1~5に記載の外用組成物。
項7. 前記(A)成分の含有量1重量部当たり、前記(F)成分の含有量が0.005重量部以上である、項6に記載の外用組成物。
項8. 前記(B)成分の含有量1重量部当たり、前記(F)成分の含有量が0.0025重量部以上である、項6又は7に記載の外用組成物。
項9. グリチルレチン酸、並びに/若しくは、クロルフェニラミン及び/又はその塩をさらに含む、項1~8のいずれかに記載の外用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フェルビナク及びメントールの経皮浸透性が向上した外用組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の外用組成物は、(A)フェルビナク(以下において「(A)成分」とも記載する。)、(B)メントール(以下において「(B)成分」とも記載する。)、(C)エタノール(以下において「(C)成分」とも記載する。)及び(D)水(以下において「(D)成分」とも記載する。)を含み、前記(C)成分が64重量%を超えない量で含むことを特徴とする。本開示の外用組成物は、さらに、(E)カンフル(以下において「(E)成分」とも記載する。)及び/又は(F)ユーカリ油(以下において「(F)成分」とも記載する。)を含んでもよい。
【0011】
(A)フェルビナク
本開示の外用組成物は、(A)成分としてフェルビナクを含む。フェルビナクは、フェニル酢酸系の非ステロイド性抗炎症薬として公知の薬剤である。
【0012】
本開示の外用組成物における(A)成分の含有量は、備えさせるべき薬効等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.1~15重量%、好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~5重量%、さらに好ましくは2~4重量%が挙げられる。
【0013】
(B)メントール
本開示の外用組成物は、(B)成分としてメントールを含む。メントールとしては、d体、l体、dl体のいずれであってもよいが、好ましくはl体が挙げられる。また、メントールとして、メントールを含む精油を使用してもよい。メントールを含む精油としては、ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油等が挙げられる。
【0014】
本開示の外用組成物における(B)成分の含有量としては特に限定されず、付与すべき冷涼感等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.5~10重量%、好ましくは1~9重量%、より好ましくは3~8重量%、さらに好ましくは4~7重量%、一層好ましくは5~6.5重量%が挙げられる。なお、本明細書における(B)の含有量及び比率に関する記載は、(B)成分の配合にメントールを含む精油を使用する場合は、当該精油に含まれるメントール量に換算した値である。
【0015】
(C)エタノール
本開示の外用組成物は、(C)成分としてエタノールを含む。本開示の外用組成物において、(C)成分は、所望の経皮吸収性向上効果を得るため、64重量%を超えない量で含まれる。
【0016】
本開示の外用組成物において、経皮吸収性をより一層向上させる観点から、(C)成分の含有量は、好ましくは30~64重量%、34~64重量%、36~64重量%、好ましくは42~64重量%、46~64重量%、48~64重量%、52~64重量%、さらに好ましくは56~62重量%又は58~62重量%が挙げられる。
【0017】
本開示の外用組成物において、(A)成分と(C)成分との比率については、上記各成分の含有量に応じて定まるが、経皮吸収性をより一層向上させる観点から、(A)成分1重量部に対する(C)成分の含有量で、好ましくは21重量部を超えない比率が挙げられ、より好ましくは10~21重量部11~21重量部、12~21重量部、さらに好ましくは14~21重量部、15~21重量部、16~21重量部、17~21重量部、一層好ましくは18~20重量部又は19~20重量部が挙げられる。
【0018】
本開示の外用組成物において、(B)成分と(C)成分との比率については、上記各成分の含有量に応じて定まるが、経皮吸収性をより一層向上させる観点から、(B)成分1重量部に対する(C)成分の含有量で、好ましくは10.5重量部を超えない比率が挙げられ、より好ましくは5~10.5重量部、5.5~10.5重量部、6~10.5重量部、さらに好ましくは7~10.5重量部、7.5~10.5重量部、8~10.5重量部、8.5~10.5重量部、一層好ましくは9~10.3重量部又は9.5~10.3重量部が挙げられる。
【0019】
(D)水
本開示の外用組成物は、(D)成分として水を含む。本開示の外用組成物における(D)成分の量については特に限定されないが、例えば15~60重量%、好ましくは17~40重量%、より好ましくは19~30重量%、さらに好ましくは20~25重量%が挙げられる。
【0020】
(E)カンフル
本開示の外用組成物は、(A)成分及び(B)成分の経皮吸収性を向上させる目的で、(E)成分としてカンフルをさらに含むことができる。
【0021】
カンフルとしては、d体、l体、dl体のいずれであってもよいが、好ましくはd体が挙げられる。
【0022】
本開示の外用組成物における(E)成分の含有量については特に限定されないが、(A)成分の含有量1重量部当たりの(E)成分の含有量として、例えば0.01重量部以上が挙げられ、経皮吸収性をより一層向上させる観点から、好ましくは0.03重量部以上、より好ましくは0.06重量部以上、さらに好ましくは0.08重量部以上が挙げられる。(A)成分の含有量1重量部当たりの(E)成分の含有量は、その上限においても特に限定されないが、例えば0.3重量部以下、0.25重量部以下、0.2重量部以下、0.15重量部以下、又は0.12重量部以下が挙げられる。
【0023】
また、本開示の外用組成物において、(B)成分の含有量1重量部当たりの(E)成分の含有量として、例えば0.005重量部以上が挙げられ、経皮吸収性をより一層向上させる観点から、好ましくは0.015重量部以上、より好ましくは0.03重量部以上、さらに好ましくは0.04重量部以上が挙げられる。(B)成分の含有量1重量部当たりの(E)成分の含有量は、その上限においても特に限定されないが、例えば0.15重量部以下、0.12重量部以下、0.1重量部以下、0.08重量部以下、又は0.06重量部以下が挙げられる。
【0024】
本開示の外用組成物における(E)成分の具体的な含有量については、例えば0.03重量%以上が挙げられ、経皮吸収性をより一層向上させる観点から、好ましくは0.09重量%以上、より好ましくは0.18重量%以上、さらに好ましくは0.25重量%以上が挙げられる。(E)成分の含有量は、その上限においても特に限定されないが、例えば0.9重量%以下、0.75重量%部以下、0.6重量%以下、0.45重量%以下、又は0.35重量%以下が挙げられる。
【0025】
(F)ユーカリ油
本開示の外用組成物は、(A)成分及び(B)成分の経皮吸収性を向上させる目的で、(F)成分としてユーカリ油をさらに含むことができる。
【0026】
ユーカリ油は、ユーカリ Eucalyptus globulus、例えば E.globulus Labillardiere、またはその他近縁植物(Myrtaceae )の葉を水蒸気蒸留して得た精油である。本開示においては、好ましくはE.globulus Labillardiereの精油が用いられる。
【0027】
ユーカリ油としては、好ましくは、シネオールを主成分として含むものが挙げられ、より好ましくは、主成分のシネオールに加えて、α-ピネン、リモネン、p-シメン等のモノテルペン炭化水素;ピノカルベオール、α-テルピネオール等のモノテルペンアルコール;グロブロール、レドール等のセスキテルペンアルコール;テルペンケトン等の少なくともいずれかが含まれる。なお、ユーカリ油に含まれるシネオールの含有量としては、例えば55重量%以上、好ましくは65重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、一層好ましくは75重量%以上又は80重量%以上が挙げられ、その上限としては、90重量%以下、好ましくは85重量%以下が挙げられる。
【0028】
本開示の外用組成物における(F)成分の含有量については特に限定されないが、(A)成分の含有量1重量部当たりの(F)成分の含有量として、例えば0.005重量部以上が挙げられ、経皮吸収性をより一層向上させる観点から、好ましくは0.015重量部以上、より好ましくは0.03重量部以上、さらに好ましくは0.04重量部以上が挙げられる。(A)成分の含有量1重量部当たりの(F)成分の含有量は、その上限においても特に限定されないが、例えば0.15重量部以下、0.12重量部以下、0.1重量部以下、0.08重量部以下、又は0.06重量部以下が挙げられる。
【0029】
また、本開示の外用組成物において、(B)成分の含有量1重量部当たりの(F)成分の含有量として、例えば0.0025重量部以上が挙げられ、経皮吸収性をより一層向上させる観点から、好ましくは0.008重量部以上、より好ましくは0.015重量部以上、さらに好ましくは0.02重量部以上が挙げられる。(B)成分の含有量1重量部当たりの(F)成分の含有量は、その上限においても特に限定されないが、例えば0.08重量部以下、0.06重量部以下、0.05重量部以下、0.04重量部以下、又は0.03重量部以下が挙げられる。
【0030】
本開示の外用組成物における(F)成分の具体的な含有量については、例えば0.015重量%以上が挙げられ、経皮吸収性をより一層向上させる観点から、好ましくは0.045重量%以上、より好ましくは0.09重量%以上、さらに好ましくは0.12重量%以上が挙げられる。(F)成分の含有量は、その上限においても特に限定されないが、例えば0.45重量%以下、0.35重量%部以下、0.3重量%以下、0.23重量%以下、又は0.17重量%以下が挙げられる。
【0031】
その他の成分
本開示の外用組成物は、上述の(A)成分~(D)成分、並びに場合により配合される(E)成分及び/又は(F)成分の他に、製剤形態に応じた添加剤及び/又は基剤をさらに含有していてもよいし、含有していなくてもよい。含有の有無を問わない当該添加剤及び基剤としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、等張化剤、可塑剤、分散剤、乳化剤、溶解補助剤、湿潤化剤、安定化剤、懸濁化剤、粘着剤、コーティング剤、光沢化剤、油性基剤[例えば、油脂(脂肪酸のグリセリンエステル)、鉱物油、ワックス類又はロウ類、エステル油(例えば、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、オレイン酸エチル等)、高級(炭素数10~24)脂肪酸、高級(炭素数10~24)脂肪酸と1価低級(炭素数1~5)アルコールとエステル、高級(炭素数10~24)アルコール等]、水溶性高分子、界面活性剤、金属石鹸、(C)成分以外の1価低級(炭素数3~5)アルコール、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、オクタンジオール、1,3-ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、D-ソルビトール等の脂肪族多価アルコール等)、有機酸(例えば、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、アジピン酸)又はその塩、アミノアルコール(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N,N-ジブチルエタノールアミン、N-アミノエチルエタノールアミン、n-プロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)、pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、防腐剤、矯味剤、香料、粉体、増粘剤、色素、キレート剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの添加剤及び基剤の含有量については、使用する添加剤及び基剤の種類、本発明の外用組成物の製剤形態等に応じて適宜設定される。
【0032】
本開示の外用組成物においては、上記添加剤及び基剤の中でも、(A)成分及び/又は(B)成分の経皮吸収性をより一層高める観点から、好ましくは、多価アルコール(より好ましくは、プロピレングリコール、オクタンジオール、1,3-ブタンジオール、エチレングリコール、グリセリン、D-ソルビトールが挙げられ、さらに好ましくはプロピレングリコールが挙げられる。)、及び/又はアミノアルコール(より好ましくは、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N,N-ジブチルエタノールアミン、N-アミノエチルエタノールアミン、n-プロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンが挙げられ、さらに好ましくはジイソプロパノールアミンが挙げられる。)が挙げられる。
【0033】
本開示の外用組成物が上記多価アルコールを含む場合の多価アルコール含有量としては、例えば1~9重量%、好ましくは3~8.5重量%、より好ましくは5~8重量%、さらに好ましくは6~7.5重量%が挙げられる。本開示の外用組成物が上記アミノアルコールを含む場合のアミノアルコール含有量としては、例えば0.5~2.5重量%、好ましくは1~2.2重量%、さらに好ましくは1.5~2重量%が挙げられる。
【0034】
本開示の外用組成物は、上述の(A)成分~(D)成分、並びに場合により配合される(E)成分及び/又は(F)成分の他に、薬学的又は香粧学的な生理機能を発揮できる薬効成分が、含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。含有の有無を問わない当該薬効成分としては、例えば、ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、抗炎症剤、殺菌剤、鎮痒剤、保湿剤、血行促進成分、ビタミン類、ムコ多糖類等が挙げられる。これらの薬効成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよいまた、本発明の乳化組成物においてこれらの薬効成分を含有させる場合、その含有量については、使用する薬効成分の種類、期待する効果等に応じて適宜設定すればよい。
【0035】
本開示の外用組成物においては、上記の薬効成分の中でも、(A)成分及び/又は(B)成分の経皮吸収性、特に(A)成分による効果をより一層高める観点から、具体例として、グリチルレチン酸、並びに、クロルフェニラミン及びその塩(マレイン酸塩、フマル酸塩等の有機酸塩;塩酸塩、硫酸塩等の無機酸塩等が挙げられ、好ましくはマレイン酸塩が挙げられる。)からなる群より選択されるクロルフェニラミン類の少なくともいずれかを含むことが好ましく、グリチルレチン酸及びクロルフェニラミン類の両方を含むことがより好ましい。本開示の外用組成物がグリチルレチン酸を含む場合、及び本開示の外用組成物がクロルフェニラミン類を含む場合、グリチルレチン酸、クロルフェニラミン類それぞれの成分の含有量としては、いずれも、好ましくは0.03~0.2重量%、好ましくは0.05~0.15重量%、より好ましくは0.07~0.12重量%が挙げられ;(A)成分1重量部に対するグリチルレチン酸、クロルフェニラミン類それぞれの成分の含有量として、好ましくは0.01~0.06重量部、好ましくは0.015~0.05重量部、より好ましくは0.02~0.04重量部が挙げられ;(B)成分1重量部に対するグリチルレチン酸、クロルフェニラミン類それぞれの成分の含有量として、好ましくは0.005~0.03重量部、好ましくは0.007~0.025重量部、より好ましくは0.01~0.02重量部が挙げられる。
【0036】
製剤形態
本開示の外用組成物の製剤形態については、経皮投与可能であることを限度として特に制限されず、例えば、液剤(非懸濁液、懸濁液)、フォーム剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは液剤(非懸濁液)が挙げられる。これらの製剤形態への調製は、第十七改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の方法に従って、適宜、製剤形態に応じた添加剤を用いて製剤化することにより行うことができる。
【0037】
また、本開示の外用組成物は、製剤形態等に応じ、経皮投与可能な任意の容器に収容されることができる。本開示の外用組成物が液剤である場合、容器の具体例としては、易塗布性の容器として、容器内から容器外へ液体を漏出可能な連通部を有する内キャップ(具体的には、吸液性素材(刷毛、布帛、スポンジ等)付きキャップ)を備える容器、及びロールオンタイプの容器等が挙げられる。
【実施例0038】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0039】
(1)外用組成物の調製
表1及び2に示す配合比率で各成分を混合し、非懸濁液剤である外用医薬組成物を調製した。なお、ユーカリ油としては、Eucalyptus globulus Labillardiereの精油であり、シネオールを82重量%含むものを用いた。
【0040】
(2)浸透性試験
(2-1)(A)フェルビナク浸透性試験
ヘアレスマウスの皮膚を用い、フランツセル試験でフェルビナクの浸透性を定量した。具体的には、フランツセルにセットしたヘアレスマウスの皮膚に表1の外用医薬組成物0.1mLを塗布し、1時間後にレセプター溶液から0.3mLを回収し、HPLCによりフェルビナクを定量した。比較例1の外用医薬組成物での定量値を1とした場合の、各実施例の相対値を導出した。結果を表1に示す。
【0041】
(2-2)(B)メントール浸透性試験
ヒトの上腕内側を用い、テープストリッピング法でメントールの浸透量を定量した。具体的には、ヒトの上腕内側の2.0×2.0cmに表1の外用医薬組成物4gを塗布し、5分後、セロハンテープで皮膚(角質)を剥離し、剥離した皮膚(角質)中のl-メントールをガスクロマトグラフィーで定量した。比較例1の外用医薬組成物での定量値を1とした場合の、各実施例の相対値を導出した。結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
(3)鎮痛効果試験
肩こりを有する10名を対象に、表2の外用医薬組成物を患部に塗布し、5分後の鎮痛効果について、痛みの改善効果が感じられた場合を5点、どちらともいえない場合を3点、痛みの改善効果が感じられない場合を1点とする5段階のビジュアル・アナログ・スケール(VAS)で評価し、5点をつけた人数を算出した。結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
(結果1)
表1から明らかなとおり、(A)成分及び(B)成分を(D)成分中に含む外用組成物に、(C)成分を実施例1~7に制限された量で配合することで、(A)成分及び(B)成分の経皮吸収性が向上した。特に実施例4~7に示す通り、さらに(E)成分及び/又は(F)成分を配合することで、(A)成分及び(B)成分の経皮吸収性がより一層向上した。
【0046】
また、エタノール量を制限することによる(A)成分の経皮吸収性向上効果は、表2に示される通り、(A)成分による鎮痛効果の向上効果にも表れていた。特に、実施例9の外用医薬組成物による鎮痛効果の向上効果が各段顕著であった。
【0047】
(結果2)
表1及び表2の外用医薬組成物において、(A)成分を、他の消炎鎮痛剤であるロキソプロフェンナトリウム又はジクロフェナクナトリウムに置換して同様に評価した。その結果、消炎鎮痛剤として(A)成分を用いた場合の方が、(A)成分及び(B)成分の浸透性向上効果が高く、且つ、鎮痛効果の向上効果も高かった。