(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003383
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】ALDによって層を形成する方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20241226BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20241226BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C23C16/455
H01L21/316 X
H01L21/318 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024098822
(22)【出願日】2024-06-19
(31)【優先権主張番号】63/509,636
(32)【優先日】2023-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ディーター・ピエルー
(72)【発明者】
【氏名】クェンティン・ニキタス・ニコラス・ライオネル・エリック・トリカス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー・クネペン
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ・ヴィバ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA06
4K030AA11
4K030AA14
4K030BA02
4K030BA10
4K030BA12
4K030BA17
4K030BA18
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4K030BA46
4K030EA03
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4K030JA10
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4K030KA04
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4K030KA41
5F058BC03
5F058BC08
5F058BF04
5F058BF23
5F058BF24
5F058BF27
5F058BF29
5F058BF30
5F058BF37
(57)【要約】
【課題】ALDによって層を形成する方法を提供する。
【解決手段】ALDによって1つ以上の基材上に材料の層を形成する方法が開示される。ここに記述される方法の実施形態は、間に挟まれたパージパルスを有する少なくとも2回の前駆体パルスを含む複数の堆積サイクルを実施して、1つ以上の基材上に材料の層を形成することを含む。各堆積サイクルの間、少なくとも2回の前駆体パルスの各前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力と、間に挟まれたパージパルス中のプロセスチャンバ圧力との比は、互いに等しい、または異なる。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子層堆積によって1つ以上の基材上に材料の層を形成する方法であって、
-プロセスチャンバ内に前記1つ以上の基材を提供することと、
-複数の堆積サイクルを実施し、それによって前記1つ以上の基材上に前記材料の前記層を形成することであって、各堆積サイクルが、間に挟まれたパージパルスを有する少なくとも2回の前駆体パルスを含む、ことと、を含み、
各堆積サイクル中のプロセスチャンバ圧力が、約0.1Torr~約10Torrの範囲内であり、各堆積サイクル中に、前記少なくとも2回の前駆体パルスの各前駆体パルス中の前記プロセスチャンバ圧力と、間に挟まれたパージパルス中の前記プロセスチャンバ圧力との比が、互いに等しい、または互いに異なる、方法。
【請求項2】
前記少なくとも2回の前駆体パルスの第1の前駆体パルス中の前記プロセスチャンバ圧力と前記間に挟まれたパージパルス中の前記プロセスチャンバ圧力との第1の比が、前記少なくとも2回の前駆体パルスの第2の前駆体パルス中の前記プロセスチャンバ圧力と前記間に挟まれたパージパルス中の前記プロセスチャンバ圧力との第2の比より低い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロセスチャンバ圧力が、前記間に挟まれたパージパルス中は同じであり、かつ前記第1の前駆体パルス中および前記第2の前駆体パルス中の前記プロセスチャンバ圧力より低く、また前記第2の前駆体パルス中の前記プロセスチャンバ圧力が、前記第1の前駆体パルス中の前記プロセスチャンバ圧力より高い、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の前駆体パルス中の前記プロセスチャンバ圧力が、前記第1の前駆体パルス中の前記プロセスチャンバ圧力より少なくとも2倍高い、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の前駆体パルス中の前記プロセスチャンバ圧力が、前記第1の前駆体パルス中の前記プロセスチャンバ圧力より少なくとも5倍高い、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の前駆体パルス中の前記プロセスチャンバ圧力が、前記第1の前駆体パルス中の前記プロセスチャンバ圧力より少なくとも10倍高い、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の前駆体パルスが、前記材料の前駆体ガスを提供することを含み、かつ前記第2の前駆体パルスが、酸素含有前駆体ガスを提供すること、または窒素含有前駆体ガスを提供することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記材料の前記前駆体ガスの前記プロセスチャンバ圧力が、約0.1Torr~約5.0Torrの範囲内である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記間に挟まれたパージパルスの各々の前記プロセスチャンバ圧力が、約0.1Torr~約1.0Torrの範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の前駆体パルスおよび前記第2の前駆体パルスのうちの少なくとも1つが、1秒~5分持続する、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記材料の前記前駆体ガスが遷移金属を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記材料の前記前駆体ガスが遷移金属塩化物の蒸気を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記材料の前記前駆体ガスが、HfCl4、TaCl5、TiCl4、MoCl5、MoO2Cl2、VCl4の蒸気を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記材料の前記前駆体ガスが、第III族元素または第IV族元素を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記材料の前記前駆体ガスが、Al(CH3)3またはAlCl3を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記材料の前記前駆体ガスが、Si含有ガスを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記Si含有ガスがハロゲン化ケイ素である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記材料の前記前駆体ガスが、オクタ-クロロ-トリ-シラン、ヘキサ-クロロ-ジ-シランまたは四塩化ケイ素を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記原子層堆積が、700℃未満の温度にて実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、前記複数の堆積サイクルを実施した後、その場および外部での熱処理プロセスのうちの少なくとも1つを実施することをさらに含み、前記熱処理プロセスが、O3、O2、H2OおよびN2のうちの少なくとも一つを含む雰囲気下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記原子層堆積が、200℃~450℃の範囲内の温度で実施され、かつ前記材料の前記前駆体ガスがAl(CH3)3を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項22】
前記熱処理プロセスが、その場で、450℃~1000℃の範囲内の温度にて、かつ0.1Torr~10Torrの範囲内のプロセスチャンバ圧力で、15分~5時間の範囲内の持続時間の間実施される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記熱処理プロセスが、約1000℃の温度にて、1分~5分の範囲内の持続時間の間、外部で実施される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記方法が、前記複数の堆積サイクルを前記実施すること、および前記その場および前記外部での熱処理プロセスのうちの少なくとも1つを前記実施することを繰り返すことをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記1つ以上の基材が、長軸方向に延在する基材キャリア内に配設された複数の基材であり、前記基材キャリアが、前記プロセスチャンバ内に受容可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
原子層堆積装置を備える基材処理システムであって、前記原子層堆積装置が、
-1つ以上の基材上に層を形成するように構成された、プロセスチャンバと、
-前記プロセスチャンバを加熱し、かつ前記プロセスチャンバ内のプロセス温度を維持するように構成されたヒーターと、
-前記プロセスチャンバ内のプロセス圧力を達成し、かつ維持するように構成された圧力コントローラと、
-少なくとも2つの前駆体貯蔵モジュールと、
-非一時的コンピュータ可読媒体内に記憶された命令を実行し、かつ前記原子層堆積装置に、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法に従って、前記1つ以上の基材上に前記材料の層を形成させるように構成される、コントローラと、を備える、基材処理システム。
【請求項27】
前記原子層堆積装置が、垂直炉バッチ原子層堆積装置である、請求項26に記載の基材処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体処理に関する。より具体的には、本開示は、原子層堆積(ALD)によって基材上に層を形成する方法、および層を形成するためのALD装置を備える基材処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
基材上に層を形成するための材料堆積は、半導体デバイスの製造における重要なプロセス工程の一つであり続けている。原子層堆積は、特に、層厚さの制御された調整も可能にする場合があるコンフォーマル層を形成する利点を提供する。
【0003】
ALDに関連付けられた課題の1つは、サイクル当たりの成長に関連する場合があり、これは、堆積プロセスのスループットにも影響を与えるためである場合がある。これは、サイクル時間だけでなく、製造に対する操業コストにも悪影響を有する場合がある。
【0004】
さらに、バッチ処理用に調整された装置の使用により、複数の基材を一度に処理することができ、ALDに関連付けられた今後の課題は、厚さの均一性に関連する場合がある。堆積プロセスにおける厚さの均一性の欠如は、半導体製造において行われる必要がある後続の処理と関連付けられる場合があるさらなる課題をもたらす場合がある。
【0005】
したがって、ALDプロセスを改善する必要性がある場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
この概要は、選択された概念を、簡略化した形態で紹介するために提供される。これらの概念は、下記の開示の例示の実施形態の「発明を実施するための形態」において、さらに詳細に記述される。この「発明の概要」は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図せず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図しない。
【0007】
ALDプロセスを改善することが、本開示の目的であってもよい。より具体的には、ALDによって形成される層の最適化されたサイクル当たりの成長速度および最適化されたスループット、改善された厚さ均一性、および改善された電気的特性を提供することが目的であってもよい。汚染レベルが低減されたALDによって形成される層を提供することがさらに目的であってもよい。これらの目的を少なくとも部分的に達成するために、本開示は、独立請求項で定義される、ALDによって1つ以上の基材上に層を形成するための方法、および層を形成するためのALD装置を備える基材処理システムを提供してもよい。さらなる実施形態は、従属請求項で提供される。
【0008】
第一の態様では、本開示は、原子層堆積(ALD)によって1つ以上の基材上に材料の層を形成する方法に関する。方法は、プロセスチャンバ内に1つ以上の基材を提供することを含んでもよい。方法は、複数の堆積サイクルを実施し、それによって、材料の層を1つ以上の基材上に形成することをさらに含んでもよい。各堆積サイクルは、間に挟まれたパージパルスを有する少なくとも2回の前駆体パルスを含んでもよい。各堆積サイクル中のプロセスチャンバ圧力は、約0.1Torr~約10Torrの範囲内であってもよい。各堆積サイクルの間、少なくとも2回の前駆体パルスの各前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力と、間に挟まれたパージパルス中のプロセスチャンバ圧力との比は、互いに等しくてもよく、または異なってもよい。
【0009】
本開示の第1の態様の実施形態による方法は、ALDによって1つ以上の基材上に材料の層を形成することを可能にする場合がある。特に、本開示の第1の態様の実施形態による方法は、ALDによって複数の基材上に材料の層を形成することを可能にする場合がある。
【0010】
層の成長速度の増加が得られる場合があることは、第1の態様の実施形態の利点である場合がある。成長速度の増加は、堆積プロセスのスループットを改善することをさらに可能する場合がある。
【0011】
基材のウエハ内不均一性(WIWNU)が低減される場合があることはさらに、第1の態様の実施形態の利点である場合がある。これは、複数の基材上に層を形成する時にさらに有利である場合がある。これは、層堆積が実行される基材の表面にわたって層の均一な厚さを改善することを可能にする場合がある。これは、有利なことに、例えば、さらなる層堆積、リソグラフィー、およびエッチングなどの半導体製造での後続のプロセスに対する収率を改善するのに役立つ場合がある。
【0012】
ALDプロセスによって形成された層を含んで作製された半導体デバイスの信頼性が、改善された厚さの均一性のおかげで改善される場合があることはさらに、第1の態様の実施形態の利点である場合がある。
【0013】
層内の汚染レベルが低減される場合があることもまた、第1の態様の実施形態の利点である場合がある。これは有利なことに、例えば、炭素汚染または水素汚染などの低減に関連する場合がある。
【0014】
ALDプロセスによって形成された層を含んで作製された半導体デバイスの電気的特性が、汚染の低減のおかげで改善される場合があることはさらに、第1の態様の実施形態の利点である場合がある。
【0015】
第2の態様では、本開示は、基材処理システムに関する。基材処理システムは、原子層堆積(ALD)装置を備えてもよい。ALD装置は、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された命令を実行し、そして本開示の第1の態様の実施形態による方法に従って、ALD装置に1つ以上の基材上に材料の層を形成させるように構成されてもよいコントローラ(1080)を備えてもよい。
【0016】
本開示の第2の態様の実施形態による基材処理システムは、堆積プロセスに対するスループットの増加を可能にする場合がある。これは、堆積プロセスのサイクル時間を減少するのに役立つ場合がある。半導体業界では、これはチップ生産のサイクル時間の減少として反映される場合がある。
【0017】
当然のことながら、図内の要素は単純および明瞭のために図示されており、また必ずしも実寸に比例して描かれていない。例えば、図内の要素のうちの一部の寸法は、本開示の図示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【0018】
図面では、別段の記載のない限り、同様の要素に対して同様の参照番号が使用されることになる。特許請求の範囲における参照記号は、範囲を限定していると理解されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1a】本開示の第1の態様の実施形態による、例示的な方法のフローチャート。
【
図1b】本開示の第1の態様による、一実施形態のフローチャート。
【
図2】本開示の第2の態様の実施形態による基材処理システム内に備えられるALD装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ある特定の実施形態および実施例を下記に開示するが、本発明の具体的に開示された実施形態および/または使用、ならびにその明白な修正および均等物を超えて本発明が延長することは、当業者によって理解されるであろう。それ故に、開示された本発明の範囲は、後述する特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0021】
本明細書で使用される場合、「基材」という用語は、修飾されてもよい、またはその上にデバイス、回路、もしくは膜が形成されてもよい、単一または複数の任意の下地材料を含む、単一または複数の任意の下地材料を指す場合がある。「基材」は、連続的または非連続的、剛直または可撓性、固体または多孔質、およびそれらの組み合わせであってもよい。基材は、粉末、プレート、またはワークピースなどの任意の形態であってもよい。プレートの形態の基材は、様々な形状およびサイズのウエハを含んでもよい。基材は、例えば、ケイ素、シリコンゲルマニウム、酸化ケイ素、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、および炭化ケイ素を含む半導体材料から作製されてもよい。
【0022】
一例として、粉末の形態の基材は、医薬品製造のための用途を有する場合がある。多孔質基材は、ポリマーを含んでもよい。ワークピースの例としては、医療機器(例えば、ステントおよびシリンジ)、宝石類、ツーリングデバイス、電池製造のための構成要素(例えば、アノード、カソード、またはセパレータ)、または光起電力電池の構成要素などが挙げられてもよい。
【0023】
連続基材は、堆積プロセスが生じるプロセスチャンバの境界を越えて延在してもよい。一部のプロセスでは、連続基材は、プロセスチャンバを通して移動してもよく、これによりプロセスは基材の端部に達するまで継続される。連続基材は、任意の適切な形態で連続基材の製造および出力を可能にするために、連続基材供給システムから供給されてもよい。
【0024】
連続基材の非限定的な例としては、シート、不織布膜、ロール、箔、ウェブ、可撓性材料、連続フィラメントまたは繊維(例えば、セラミック繊維またはポリマー繊維)の束が挙げられてもよい。連続基材はまた、非連続基材がその上へと載置される担体またはシートも含んでもよい。
【0025】
本明細書に提示された例示は、任意の特定の材料、構造、またはデバイスの実際の姿であることを意味せず、本開示の実施形態を記述するために使用される、単に理想化された表現にすぎない。
【0026】
示され、かつ記述された特定の実装は、本発明およびその最良の形態の例示であり、態様および実施の範囲をいかなるやり方でも、別の方法で限定することを意図しない。実際、簡潔のために、従来の製造、関連、調製、およびシステムの他の機能的態様を詳細に記述していない場合がある。さらに、様々な図に示される接続線は、様々な要素間の例示的な機能的関係および/または物理的連結を表すことを意図する。多くの代替的もしくは追加的な機能的関係、または物理的接続が実際のシステムにおいて存在してもよく、また/または一部の実施形態では存在しなくてもよい。
【0027】
本明細書に記述される構成および/または取り組みは本質的に例示的であり、またこれらの特定の実施形態または実施例は、数多くの変形が可能であるため、限定的な意味と考えられるべきではないことが理解されるべきである。本明細書に記述される具体的なルーチンまたは方法は、任意の数の処理方策のうちの1つ以上を代表する場合がある。それ故に、例示された様々な動作は、例示された順序で実施されてもよく、または他の順序で実施されてもよく、または場合によっては省略されてもよい。
【0028】
本開示の主題は、本明細書に開示の様々なプロセス、システム、および構成、ならびに他の特徴、機能、動作および/または特性のすべての新規かつ自明でない組み合わせおよび部分組み合わせだけでなく、そのありとあらゆる均等物も含む。
【0029】
本明細書で使用される場合、「備える(comprising)」という用語は、その後に列挙される手段に制限されるものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。この用語は、他の要素または工程を除外するものではない。それ故に、この用語は、記載された特徴、工程、または構成要素が、言及されるように存在を特定するものとして解釈されるべきである。しかしながら、1つ以上の他の工程、構成要素、もしくは特徴、またはそれらの群が存在すること、または追加されることを妨げない。
【0030】
本明細書全体を通して、様々な場所における「実施形態」への参照は、必ずしもすべて同じ実施形態を指すとは限らないが、そのように指す場合もある。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、本開示から当業者には明らかであることになるように、1つ以上の実施形態では、任意の好適な様態で組み合わせられてもよい。
【0031】
本明細書全体を通して、「一部の実施形態(some embodiments)」への言及は、これらの実施形態に関連して記述される特定の構造、特徴工程が、本発明の実施形態の一部の中に含まれることを意味する。それ故に、本明細書全体を通して様々な場所で出現する「一部の実施形態では」などの句は、必ずしもすべてが同じ実施形態の収集を指すとは限らないが、そのように指す場合もある。
【0032】
本明細書全体を通して、「1つの実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」への参照は、実施形態に関連して記述された特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。それ故に、本明細書全体を通して様々な箇所での句「1つの実施形態では」または「一実施形態では」の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らないが、同じ実施形態を指す場合もある。
【0033】
特許請求の範囲において使用される「実質的に含む」という用語は、具体的に述べられたものより多くのさらなる構成要素、すなわち、言及される材料、化合物、または組成物の本質的な特性に実質的に影響を与えないものが、存在することができるが、必ずしも存在しなければならないわけではないことを指すことに留意されたい。
【0034】
本明細書および特許請求の範囲における第1、第2、第3、およびこれに類する用語は、類似の要素を区別するために使用される。これらは、時間的に、空間的に、ランク付けして、または任意の他の様態で、順序を記述するために必ずしも使用されるわけではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で互換性があり、また本明細書に記述される開示の実施形態は、本明細書に記述または図示される以外の順序で動作の能力を有することが、理解されるべきである。
【0035】
以下の用語は、本開示の理解を助けるためにのみ提供される。
【0036】
本明細書で使用される場合、および別段の定めがない限り、「間に挟まれたパージパルス」という用語は、前駆体パルス同士の間の不活性ガスの提供を指す場合がある。間に挟まれたパージパルスはまた、「間に挟まれた排出パルス」とも称される場合があり、これによりプロセスチャンバへと提供される前駆体は、気相で互いに接触しない。
【0037】
本明細書で使用される場合、また別段の定めがない限り、「WIWNUを低減する」という用語は、例えば、基材の中心から縁部へなど、基材の表面全体にわたる層の厚さの変動の低減を指す場合がある。
【0038】
ここで、本開示のいくつかの実施形態の発明を実施するための形態によって本開示を記述する。本開示の他の実施形態を、本開示の技術的教示から逸脱することなく、当業者の知識に従って構成することができることは明らかである。本開示は、本明細書に含まれる特許請求の範囲の条件によってのみ制限される。
【0039】
図1aおよび
図1bは、本開示の第1の態様の実施形態による例示的な方法のフローチャートを示す。
【0040】
1つ以上の基材上にALDによって材料の層を形成する方法(100)が、本明細書に記述される。
【0041】
方法(100)は、プロセスチャンバ内に1つ以上の基材を提供すること(110)を含んでもよい。
【0042】
一部の実施形態では、1つ以上の基材は、プロセスチャンバへと一緒に提供されてもよい。
【0043】
それ故に、一部の実施形態では、1つ以上の基材は、複数の基材であってもよい。複数の基材は、長軸方向に延在する基材キャリア内に配設されてもよい。基材キャリアは、プロセスチャンバ内に受容可能であってもよい。一部の実施形態では、長軸方向は、水平方向であってもよい。一部の実施形態では、長軸方向は垂直方向であってもよい。
【0044】
したがって、一部の実施形態では、プロセスチャンバは、装置が配備される地面に対して垂直方向に延在する半導体装置内に備えられてもよい。一部の実施形態では、半導体装置は垂直炉であってもよい。これは、より短い間しか持続しないALD堆積サイクルと比較して、パルス間の切り替えがより遅く実行される場合があるように、数分の程度の持続時間内にALD堆積サイクルの各々を実施する利点を提供する場合がある。
【0045】
一部の実施形態では、1つ以上の基材は、プロセスチャンバへと一度に1つずつ提供されてもよく、それによって、1つ以上の基材は、単一の基材を保持するように構築および配設された基材支持体上に配設されてもよい。それ故に、プロセスチャンバは、半導体処理装置内に備えられる少なくとも2つのプロセスチャンバのうちの1つであってもよい。
【0046】
一部の実施形態では、プロセスチャンバは、半導体処理装置内に備えられた単一のプロセスチャンバであってもよい。
【0047】
方法(100)は、複数の堆積サイクルを実施すること(120)であって、それによって、材料の層を1つ以上の基材上に形成することをさらに含んでもよい。各堆積サイクルは、間に挟まれたパージパルス(123)を有する少なくとも2回の前駆体パルス(121、122)を含んでもよい。
【0048】
少なくとも2回の前駆体パルスの各々は、前駆体ガスを提供することを含んでもよい。前駆体ガスの各々は、キャリアガスの存在下で提供されてもよい。実施形態によっては、キャリアガスは、N2、および貴ガス(例えば、Ar、Ne、He、Xe、およびKrなど)を含んでもよい。
【0049】
一部の実施形態では、キャリアガスは、実質的にN2、Ar、He、Ne、Xe、Kr、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0050】
実施形態によっては、少なくとも2回の前駆体パルスの各々は、互いに異なってもよい。
【0051】
図1bに概略的に表されるように、各堆積サイクル(120)内の少なくとも2回の前駆体パルス(121、122)の間、および各堆積サイクル(120)を完了する前の前駆体パルスの後に、間に挟まれたパージパルスが提供されてもよい。間に挟まれたパージパルスは、前駆体パルスの間に不活性ガスをプロセスチャンバへと提供することを含んでもよい。
【0052】
一部の実施形態では、間に挟まれたパージパルス(123)の各々は、実質的に同じ様態で(例えば、同じ不活性ガスを同じ流量で、同じプロセスチャンバ温度で、かつ同じプロセスチャンバ圧力でなど)プロセスチャンバへと提供されてもよい。
【0053】
一部の実施形態では、間に挟まれたパージパルス(123)の各々は、互いに異なるプロセスチャンバへと提供されてもよい。間に挟まれたパージパルスの各々の持続時間は、例えば、どの前駆体ガスをパージする必要があるかに応じて互いに異なってもよい。その点で、酸素含有前駆体ガス(例えば、H2Oなど)の提供後に実行される間に挟まれたパージパルスは、材料の前駆体ガスの提供より長くてもよい。
【0054】
各堆積サイクル中のプロセスチャンバ圧力は、約0.1Torr~約10Torrの範囲内であってもよい。各堆積サイクルの間、各前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力と、間に挟まれたパージパルス中のプロセスチャンバ圧力との比は、互いに等しくてもよく、または異なってもよい。
【0055】
それ故に、一部の実施形態では、各堆積サイクル内、特に各前駆体パルスと間に挟まれたパージパルスとの間の堆積サイクル内のプロセスチャンバ圧力の変動は同じであってもよい。
【0056】
別の例示的な実施形態では、層の形成は、間に挟まれたパージパルスによって分離される、互いに異なる2回の前駆体パルスを使用して実行されてもよい。間に挟まれたパージパルス中のプロセスチャンバ圧力は、0.1Torrに設定されてもよい。第1の前駆体パルスおよび第2の前駆体パルスの両方の間のプロセスチャンバ圧力は、1.5Torr~5Torrの範囲内の圧力値に設定されてもよい。
【0057】
実施形態によっては、第1の前駆体パルスおよび第2の前駆体パルスの両方の間のプロセスチャンバ圧力は、少なくとも1.5Torr~最大で2Torr、または少なくとも2Torr~最大で2.5Torr、または少なくとも2.5Torr~最大で3Torr、または少なくとも3Torr~最大で3.5Torr、または少なくとも3.5Torr~最大で4Torr、または少なくとも4Torr~最大で4.5Torr、または少なくとも4.5Torr~最大で5Torrの範囲内の圧力値に設定されてもよい。
【0058】
一部の実施形態では、各堆積サイクル内、特に各前駆体パルスと間に挟まれたパージパルスとの堆積サイクルの間のプロセスチャンバ圧力の変動は、互いに異なってもよい。
【0059】
例示的な実施形態では、層の形成は、間に挟まれたパージパルスによって分離される、互いに異なる2回の前駆体パルスを使用して実行されてもよい。間に挟まれたパージパルス中のプロセスチャンバ圧力は、0.1Torrに設定されてもよい。第1の前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力は、1Torrに設定されてもよく、また第2の前駆体パルス中は、10Torrに設定されてもよい。
【0060】
実施形態によっては、少なくとも2回の前駆体パルスの各々の間、および間に挟まれたパージパルスの各々の間のプロセスチャンバ圧力は、前駆体パルスから後続の間に挟まれたパージパルスへと進む時のプロセスチャンバ圧力の変動が、例えば、少なくとも5回のプロセスチャンバ圧力の振れを作り出すように選ばれてもよい。これは、間に挟まれたパージパルス中のプロセスチャンバ圧力と比較して、前駆体パルスの提供中により高いプロセスチャンバ圧力において達成される場合がある層の核形成を容易にするのに有利である場合がある。
【0061】
理論に束縛されることを望むものではないが、例えば、1Torr未満などのより低いプロセス圧力値でALDによって膜形成を実施することは、サイクル当たりの成長の低減につながり、これは次いで、プロセスに対するスループットの低減につながる場合があると言われる場合がある。さらに、基材の縁部と中心との間の飽和レベルの差異は、不良なWIWNUにつながる場合がある。これは、例えば、O3が酸素含有前駆体ガスとして使用される時に経験される場合がある。一方で、例えば、1Torr超などのより高いプロセス圧力値でALDによって膜形成を実施することは、サイクル当たりの成長を改善し、それによってプロセスのスループットを増加させるのに役立つ場合がある。さらに、基材の縁部と中心との間に得られるより高い飽和レベルは、形成される層の厚さの変動の低減につながり、それによってWIWNUを改善する場合がある。これは、例えば、O3が酸素含有前駆体ガスとして使用される時に経験される場合がある。しかしながら、より高いプロセス圧力値でALDによって膜形成を実施することは、粒子形成へとつながる場合がある。これは、パージ時間の増加をさらに必要とする場合がある。
【0062】
したがって、前駆体パルスから後続の間に挟まれたパージパルスへと進む時に圧力の振れを実施することによってALDによって膜形成を実施することは、堆積された層のサイクル当たりの成長速度(GPC)を増加させることを可能にする場合がある。増加した成長速度は、例えば、サイクル当たり1A°を上回ってもよい。これは結果として、堆積プロセスのスループットの増加につながる場合がある。これは、基材の各々のWIWNUを低減する利点をさらに提供する場合がある。これは結果として、層堆積が実行される基材の表面にわたって層の均一な厚さを達成することを可能にする場合がある。
【0063】
実施形態によっては、原子層堆積は、700℃未満の温度で実施されてもよい。これは、サイクル当たりの成長速度が改善された層を形成する可能性を可能にする場合がある。
【0064】
一部の実施形態では、原子層堆積は、20℃~700℃の範囲内の温度で実施されてもよい。このプロセスウィンドウは、より低いプロセス温度だけでなくより高いプロセス温度でも層の形成を実施することを可能にする場合があり、それによってサイクル当たりの成長速度の改善を達成することができる。
【0065】
一部の実施形態では、原子層堆積は、少なくとも20℃~最大で100℃、または少なくとも100℃~最大で200℃、または少なくとも200℃~最大で300℃、または少なくとも300℃~最大で400℃、または少なくとも400℃~最大で500℃、または少なくとも500℃~最大で600℃、または少なくとも600℃~最大で700℃の範囲内の温度で実施されてもよい。
【0066】
実施形態によっては、少なくとも2回の前駆体パルスのうちの第1の前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力と、間に挟まれたパージパルス中のプロセスチャンバ圧力との第1の比は、少なくとも2回の前駆体パルスのうちの第2の前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力と、間に挟まれたパージパルス中のプロセスチャンバ圧力との第2の比より低くてもよい。
【0067】
これは、各堆積サイクル内のプロセスチャンバ圧力の変動を強化することをさらに可能にする場合がある。それ故に、これは、堆積された層のGPCの増加にさらに寄与する場合がある。
【0068】
実施形態によっては、プロセスチャンバ圧力は、間に挟まれたパージパルス中は同じであってもよく、また第1の前駆体パルス中および第2の前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力より低くてもよい。これは、堆積サイクル内で前駆体パルスから後続の間に挟まれたパージパルスへと進む時に、プロセスチャンバ内に圧力の振れを作り出すのに役立つ。さらに、第2の前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力は、第1の前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力より高くてもよい。第2の前駆体パルスの提供後にパージする時、第1の前駆体パルスの提供後と比較して、プロセスチャンバ圧力のより高い変動は、このようにして作り出されてもよい。
【0069】
実施形態によっては、第1の前駆体パルスは、第2の前駆体パルスとは異なってもよい。
【0070】
実施形態によっては、第1の前駆体パルスと第2の前駆体パルスとの間のプロセスチャンバ圧力の変動は、サイクル当たりの成長速度を改善するように構成されてもよい。
【0071】
それ故に、一部の実施形態では、第2の前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力は、第1の前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力より少なくとも2倍高くてもよい。
【0072】
一部の実施形態では、第2の前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力は、第1の前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力より少なくとも5倍高くてもよい。
【0073】
一部の実施形態では、第2の前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力は、第1の前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力より少なくとも10倍高くてもよい。
【0074】
第1の前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力と比較して、第2の前駆体パルス中のより高いプロセスチャンバ圧力は、基材の表面全体にわたる層厚さの均一性を改善するのに役立つ場合がある。これはまた、前駆体の分解を低減するのにも有利である場合がある。さらに、粒子形成が低減される場合がある。ALDプロセス中に、層形成はまた、プロセスチャンバの内表面上にも生じる場合がある。この層の剥離または破損は、粒子形成につながる場合がある。
【0075】
実施形態によっては、第1の前駆体パルスは、材料の前駆体ガスを提供することを含んでもよく、また第2の前駆体パルスは、酸素含有前駆体ガスを提供すること、または窒素含有前駆体ガスを提供することを含んでもよい。
【0076】
第1の前駆体の提供は、層形成が行われる基材の表面の化学吸着をもたらす場合があり、これにより第1の前駆体の単分子層が基材の表面を覆う。次いで、酸素含有前駆体ガスの提供は酸化物層の形成につながる場合があり、一方で窒素含有前駆体ガスの提供は窒化物層の形成につながる場合がある。
【0077】
実施形態によっては、材料の前駆体ガスは、液体源前駆体または固体源前駆体から得られる場合がある。したがって、少なくとも2つの前駆体貯蔵モジュールのうちの1つ、および当該前駆体貯蔵モジュールからプロセスチャンバ(1040)へのそれぞれの接続は、材料の前駆体ガスを生成および移送するように構築および配設されてもよい。
【0078】
実施形態によっては、材料の前駆体ガスは、金属有機前駆体であってもよい。
【0079】
一部の実施形態では、材料の前駆体ガスは、遷移金属を含んでもよい。一部の実施形態では、材料の前駆体ガスは、遷移金属塩化物の蒸気を含んでもよい。遷移金属塩化物の蒸気は、キャリアガスの助けを借りてプロセスチャンバへと提供されてもよい。一部の実施形態では、材料の前駆体ガスは、実質的に遷移金属塩化物の蒸気を含んでもよい。
【0080】
一部の実施形態では、材料の前駆体ガスは、HfCl4、TaCl5、TiCl4、MoCl5、ZrCl4、MoO2Cl2、VCl4の蒸気を含んでもよい。
【0081】
一部の実施形態では、材料の前駆体ガスは、第III族元素または第IV族元素を含んでもよい。
【0082】
実施形態によっては、材料の前駆体ガスは、Al(CH3)3またはAlCl3を含んでもよい。酸素含有前駆体ガスまたは窒素含有前駆体ガスである第2の前駆体パルスに応じて、窒化アルミニウムまたは酸化アルミニウム層が形成されてもよい。
【0083】
実施形態によっては、材料の前駆体ガスは、Si含有ガスを含んでもよい。酸素含有前駆体ガスまたは窒素含有前駆体ガスである第2の前駆体パルスに応じて、窒化ケイ素または酸化ケイ素層が形成されてもよい。
【0084】
実施形態によっては、Si含有ガスは、金属有機ケイ素前駆体であってもよい。
【0085】
実施形態によっては、Si含有ガスは、ハロゲン化ケイ素であってもよい。これは、ALDによるケイ素含有層の形成につながる場合がある。ハロゲン化ケイ素は、式SinX2n+2によって表されてもよく、式中、Xはハロゲンであり、また式中、nは少なくとも1~5の整数である。
【0086】
一部の実施形態では、材料の前駆体ガスは、オクタクロロトリシラン、ヘキサクロロジシラン、または四塩化ケイ素を含んでもよい。言い換えれば、ハロゲン化ケイ素は、オクタクロロトリシラン、ヘキサクロロジシラン、または四塩化ケイ素であってもよい。
【0087】
実施形態によっては、材料の前駆体ガスのプロセスチャンバ圧力は、約0.1Torr~約5.0Torrの範囲内であってもよい。
【0088】
実施形態によっては、材料の前駆体ガスのプロセスチャンバ圧力は、少なくとも約0.1Torr~最大で約0.5Torr、または少なくとも約0.5Torr~最大で約1.0Torr、または少なくとも約1Torr~最大で約1.5Torr、または少なくとも約1.5Torr~最大で約2.0Torr、または少なくとも約2.0Torr~最大で約2.5Torr、または少なくとも約2.5Torr~最大で約3.0Torr、または少なくとも約3.0Torr~最大で約3.5Torr、または少なくとも約3.5Torr~最大で約4.0Torr、または少なくとも約4.0Torr~最大で約4.5Torr、または少なくとも約4.5Torr~最大で約5.0Torrの範囲内であってもよい。
【0089】
一部の実施形態では、材料の前駆体ガスのプロセスチャンバ圧力は、約0.2Torr~約0.5Torrの範囲内であってもよい。
【0090】
実施形態によっては、間に挟まれたパージパルスの各々のプロセスチャンバ圧力は、約0.1Torr~約1.0Torrの範囲内であってもよい。
【0091】
実施形態によっては、間に挟まれたパージパルスの各々のプロセスチャンバ圧力は、少なくとも約0.1Torr~最大で約0.2Torr、または少なくとも約0.2Torr~最大で約0.3Torr、または少なくとも約0.3Torr~最大で約0.4Torr、または少なくとも約0.4Torr~最大で約0.5Torr、または少なくとも約0.5Torr~最大で約0.6Torr、または少なくとも約0.6Torr~最大で約0.7Torr、または少なくとも約0.7Torr~最大で約0.8Torr、または少なくとも約0.8Torr~最大で約0.9Torr、または少なくとも約0.9Torr~最大で1.0Torrの範囲内であってもよい。
【0092】
実施形態によっては、第1の前駆体パルスおよび第2の前駆体パルスのうちの少なくとも1つは、1秒~5分間持続してもよい。
【0093】
一部の実施形態では、第1の前駆体パルスおよび第2の前駆体パルスのうちの少なくとも1つは、2秒~5秒持続してもよい。
【0094】
一部の実施形態では、各堆積サイクルは、3回の前駆体パルスを含んでもよい。これは、三元化合物、ドープ層、窒化物層、ドープ窒化物層、酸化物層、ドープ酸化物層、炭化物層、またはドープ炭化物層を含む層の形成を可能にするうえで有利である場合がある。それ故に、これらの実施形態では、3回の前駆体パルスのうちの少なくとも1回は、材料の前駆体ガスを提供することを含んでもよい。形成される層に応じて、提供される残りの前駆体は、酸素含有前駆体ガス、窒素含有前駆体ガス、ドーパントを含むガス、またはそれらの組み合わせから選ばれてもよい。
【0095】
一部の実施形態では、プロセスチャンバ圧力は、間に挟まれたパージパルス中は同じであってもよく、またこれは、3回の前駆体パルスのうちのいずれか1回中のプロセスチャンバ圧力より低くてもよい。これは、堆積サイクル内で前駆体パルスから後続の間に挟まれたパージパルスへと進む時に、プロセスチャンバ内に圧力の振れを作り出すのに役立つ。
【0096】
一部の実施形態では、間に挟まれたパージパルス(123)の各々は、実質的に同じ様態で(例えば、同じ不活性ガスを同じ流量で、同じプロセスチャンバ温度で、かつ同じプロセスチャンバ圧力でなど)プロセスチャンバへと提供されてもよい。
【0097】
一部の実施形態では、間に挟まれたパージパルス(123)の各々は、互いに異なるプロセスチャンバへと提供されてもよい。間に挟まれたパージパルスの各々の持続時間は、例えば、どの前駆体ガスをパージする必要があるかに応じて互いに異なってもよい。その点で、酸素含有前駆体ガス(例えば、H2Oなど)の提供後に実行される間に挟まれたパージパルスは、3回の前駆体パルスのうちのいずれか1つの提供より長くてもよい。
【0098】
一部の実施形態では、前駆体パルスのうちのいずれか1回中のプロセスチャンバ圧力は、残りの前駆体パルスのうちのいずれか1回中のプロセスチャンバ圧力より高くてもよく、それによって圧力の振れを作り出す役にさらに立ち、それによって残りの前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力は互いに同じであってもよく、または互いに異なっていてもよい。
【0099】
一部の実施形態では、3回の前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力は同じであってもよい。
【0100】
例示的な実施形態では、第1の前駆体パルスは、材料の前駆体ガスとしてオクタ-クロロ-トリ-シラン(Si3Cl8-OCTS)を提供することを含んでもよい。第2の前駆体パルスは、窒素含有前駆体ガスとしてNH3を含んでもよい。例えば、トリエチルボラン((CH3CH2)3B-TEB)などの有機ボランを提供することを含んでもよい第3の前駆体パルスが存在してもよい。3回の前駆体パルスの各々の後に、各堆積サイクル内に間に挟まれたパージパルスが続いてもよい。
【0101】
一部の実施形態では、各堆積サイクルは、4回の前駆体パルスを含んでもよい。これは、四元化合物を含む層の形成を可能にするのに有利である場合がある。
【0102】
実施形態によっては、4回の前駆体パルスのうちの少なくとも1回は、材料の前駆体ガスを提供することを含んでもよい。形成される層に応じて、提供される残りの前駆体は、酸素含有前駆体ガス、窒素含有前駆体ガス、ドーパントを含むガス、またはそれらの組み合わせから選ばれてもよい。
【0103】
一部の実施形態では、プロセスチャンバ圧力は、間に挟まれたパージパルス中は同じであってもよく、またこれは、4回の前駆体パルスのうちのいずれか1回中のプロセスチャンバ圧力より低くてもよい。これは、堆積サイクル内で前駆体パルスから後続の間に挟まれたパージパルスへと進む時に、プロセスチャンバ内に圧力の振れを作り出すのに役立つ。
【0104】
一部の実施形態では、間に挟まれたパージパルス(123)の各々は、実質的に同じ様態で(例えば、同じ不活性ガスを同じ流量で、同じプロセスチャンバ温度で、かつ同じプロセスチャンバ圧力でなど)プロセスチャンバへと提供されてもよい。
【0105】
一部の実施形態では、間に挟まれたパージパルス(123)の各々は、互いに異なるプロセスチャンバへと提供されてもよい。間に挟まれたパージパルスの各々の持続時間は、例えば、どの前駆体ガスをパージする必要があるかに応じて互いに異なってもよい。その点で、酸素含有前駆体ガス(例えば、H2Oなど)の提供後に実行される間に挟まれたパージパルスは、4回の前駆体パルスのうちのいずれか1つの提供より長くてもよい。
【0106】
一部の実施形態では、前駆体パルスのうちのいずれか1回中のプロセスチャンバ圧力は、残りの前駆体パルスのうちのいずれか1回中のプロセスチャンバ圧力より高くてもよく、それによって圧力の振れを作り出す役にさらに立ち、それによって残りの前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力は互いに同じであってもよく、または互いに異なっていてもよい。
【0107】
一部の実施形態では、4回の前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力は同じであってもよい。
【0108】
実施形態によっては、方法は、複数の堆積サイクルを実施した後に熱処理プロセスを実施することをさらに含んでもよい。熱処理プロセスは、その場および外部での熱処理プロセスのうちの少なくとも1つであってもよい。熱処理プロセスの雰囲気、温度、圧力に応じて、有利なことに、層内の汚染を低減することを可能にする場合がある。
【0109】
熱処理プロセスは、O3、O2、H2O、およびN2のうちの少なくとも1つを含んでもよい雰囲気下で実施されてもよい。この熱処理プロセスは、例えば、炭素汚染または水素汚染などのALD層内の汚染を低減するのに役立つ場合がある。
【0110】
一部の実施形態では、熱処理プロセスは、所望のALD層厚さを形成した後に実施されてもよい。それ故に、方法(100)は、所望の厚さを得るのを補助する複数の堆積サイクルを実施した後に熱処理を実施することをさらに含んでもよい。言い換えれば、熱処理プロセスは、所望の厚さを有するALD層の形成の完了に伴い後で実施されてもよい。
【0111】
一部の実施形態では、方法(100)は、複数の堆積サイクルの実施と、その場および外部での熱処理プロセスのうちの少なくとも1つの実施と、を繰り返すことをさらに含んでもよい。これは、所望のALD層の形成を漸増的に完了するだけでなく、各漸増層における汚染のその後の除去を助けるのにも有利である場合がある。
【0112】
実施形態によっては、原子層堆積は、200℃~450℃の範囲内の温度で実施されてもよく、また材料の前駆体ガスは、Al(CH3)3として示されるトリメチルアルミニウム(TMA)を含んでもよい。堆積サイクルは、酸素含有前駆体ガスをさらに含み、それによって酸化アルミニウム層を形成してもよい。酸素含有ガスは、実施形態によっては、O3、H2O、O2、H2O2、N2O、またはそれらの組み合わせであってもよい。組み合わせが使用される場合、異なる酸素含有ガスの流れは、逐次的に実施されてもよい、言い換えれば、1つのタイプの酸素含有ガスの流れが、もう一方のタイプの酸素含有ガスの流れの後に続いてもよい。これは、より低いプロセス温度にて酸化アルミニウム層を形成する利点を提供する場合があり、それによってサイクルに対する成長速度の改善が達成される場合がある。
【0113】
例示的な実施形態では、H2OとO3の組み合わせが使用されてもよい。
【0114】
これは、基材にわたってWIWNUが低減された酸化アルミニウム層を得るうえでさらに有利である場合がある。WIWNUの低減は、より高いプロセスチャンバ圧力における前駆体パルスから、その後のより低いプロセスチャンバ圧力における間に挟まれたパージパルスへと進む場合の、プロセスチャンバの圧力の振れからもたらされる場合がある。特に、WIWNUの低減は、TMA前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力より高い酸素含有前駆体パルス中のプロセスチャンバ圧力を有することからもたらされる場合がある。
【0115】
実施形態によっては、原子層堆積は、少なくとも200℃~最大で250℃、または少なくとも250℃~最大で300℃、または少なくとも300℃~最大で350℃、または少なくとも350℃~最大で400℃、または少なくとも400℃~最大で450℃の範囲内の温度で実施されてもよい。
【0116】
実施形態によっては、熱処理プロセスは、その場での熱処理プロセス、外部での熱処理プロセス、または両方の組み合わせであってもよい。
【0117】
それ故に、一部の実施形態では、熱処理プロセスは、450℃~1000℃の範囲内の温度にてその場で実施されてもよい。これらの実施形態でのプロセスチャンバ圧力は、15分~5時間の範囲内の持続時間の間、0.1Torr~10Torrの範囲内であってもよい。その場での熱処理プロセスは、O3、O2、H2O、およびN2を含む雰囲気下で実施されてもよい。
【0118】
実施形態によっては、温度は、少なくとも450℃~最大で550℃、または少なくとも550℃~最大で650℃、または少なくとも650℃~最大で750℃、または少なくとも750℃~最大で850℃、または少なくとも850℃~最大で1000℃であってもよい。
【0119】
一部の実施形態では、熱処理プロセスは、約1000℃の温度にて外部で実施されてもよい。この外部での熱処理は、1分~5分の範囲内の持続時間の間実施されてもよい。外部での熱処理プロセスは、N2およびO2を含む雰囲気下で実施されてもよい。
【0120】
例示的な実施形態では、酸化アルミニウム層は、複数の堆積サイクルの各堆積サイクルにおいて、前駆体ガスとしてTMA、また酸素含有前駆体ガスとしてO3とH2Oの組み合わせを使用して、200℃のプロセス温度にてALDによって形成されてもよい。所望の層形成に続いて、本明細書に開示されるようなその場での熱処理は、O3、O2、H2O、およびN2を含む雰囲気下で約600℃の温度にて実施されてもよい。
【0121】
原子層堆積装置を備える基材処理システムが本明細書にさらに記述される。
図2は、基材処理システム内に備えられてもよいALD装置を概略的に示す。
【0122】
ALD装置(1000)は、1つ以上の基材上に層を形成するように構成されてもよいプロセスチャンバ(1040)を備えてもよい。装置(1000)はまた、プロセスチャンバ(1040)内をプロセス温度に加熱および維持するために構成されてもよいヒーター(1060)もさらに備えてもよい。プロセス温度は、プロセスチャンバの内側に位置付けられた熱電対を使用して測定されてもよい。熱電対は、長軸方向軸に沿って異なるゾーンに定置されてもよく、それによってマルチゾーン温度測定を得ることを可能にする。
【0123】
装置(1000)はまた、プロセスチャンバ(1040)内のプロセス圧力を達成および維持するために構成されてもよい圧力コントローラ(1070)もさらに備えてもよい。プロセス圧力は、圧力トランスデューサを使用することによって測定されてもよい。少なくとも2つの前駆体貯蔵モジュール(1010、1020)が、装置(1000)内にさらに備えられてもよい。少なくとも2つの前駆体貯蔵モジュールの各々の中に貯蔵される前駆体は、互いに異なっていてもよい。少なくとも2つの前駆体貯蔵モジュールのうちの1つ(1010)が、材料の前駆体ガスを保持するように構築および配設されてもよい一方で、もう一方の前駆体貯蔵モジュール(1020)は、酸素含有前駆体ガスまたは窒素含有前駆体ガスを保持するように構築および配設されてもよい。装置(1000)は、非一時的コンピュータ可読媒体内に記憶された命令を実行し、そして本開示の第1の態様による方法の実施形態に従って、原子層堆積装置に1つ以上の基材上に材料の層を形成させるように構成されてもよいコントローラをさらに備えてもよい。
【0124】
実施形態によっては、材料の前駆体ガスは、液体源前駆体または固体源前駆体から得られる場合がある。したがって、少なくとも2つの前駆体貯蔵モジュールのうちの1つは、材料の前駆体ガスを少なくとも生成および保持するように構築および配設されてもよい。当該前駆体貯蔵モジュールからプロセスチャンバ(1040)へのそれぞれの接続は、材料の前駆体ガスをプロセスチャンバ(1040)へと移送するように構築および配設されてもよい。
【0125】
装置(1000)は、排気ガス出口(1050)をさらに備えてもよい。排気ガス出口(1050)は、少なくとも2つの前駆体ガスの一部分をプロセスチャンバ(1040)から除去するように構築および配設されてもよい。プロセスチャンバ(1040)から除去される少なくとも2つの前駆体ガスの部分は、基材上の物理吸着によって形成されてもよいさらなる単分子層であってもよい。
【0126】
実施形態によっては、ALD装置(1000)は、垂直炉バッチALD装置であってもよい。複数の基材が、プロセスチャンバ(1040)内に、基材ボート内に配設されて受容されてもよい。
【0127】
装置(1000)は、少なくとも2つの前駆体ガスおよび間に挟まれたパージガスをプロセスチャンバ(1040)へと提供するように構築および配設されたガスインジェクタ(図には示さず)をさらに備えてもよい。ガスインジェクタは、実施形態では、マルチホールガスインジェクタであってもよい。
【0128】
本開示の実施形態は、本明細書に添付の特許請求の範囲およびその法的均等物により定義されるため、これらの実施形態は本発明の範囲を限定しない。任意の均等な実施形態は、本発明の範囲内にあることが意図される。互いに異なる本開示の修正は、本明細書に開示されるものに加えて、当業者には明らかとなる場合がある。こうした修正およびそこから由来する実施形態も、本明細書に添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0129】
1000 装置
1010 前駆体貯蔵モジュール
1020 前駆体貯蔵モジュール
1040 プロセスチャンバ
1050 排気ガス出口
1060 ヒーター
1070 圧力コントローラ
【外国語明細書】