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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025034164
(43)【公開日】2025-03-13
(54)【発明の名称】マイクロニードルアレイの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20250306BHJP
【FI】
A61M37/00 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023140376
(22)【出願日】2023-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(71)【出願人】
【識別番号】000176626
【氏名又は名称】三島光産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(72)【発明者】
【氏名】引間 知広
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 高廣
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA71
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB19
4C267BB20
4C267BB24
4C267BB31
4C267BB39
4C267BB40
4C267CC01
4C267CC05
4C267GG02
4C267GG03
4C267GG22
4C267GG23
4C267HH08
(57)【要約】
【課題】超音波振動用の設備を利用することなく、マイクロニードルに対する空洞の形成を抑制可能なマイクロニードルアレイの製造方法を提供する。
【解決手段】複数のマイクロニードルが形成されたマイクロニードルアレイを、複数のマイクロニードルにそれぞれ対応する複数の微細穴13を有する凹部14が形成された型15を用いて製造するマイクロニードルアレイの製造方法において、凹部14に液体16を入れて各微細穴13を液体16で満たす工程Aと、各微細穴13の内表面に付着している気泡17及び液体16内に存在する気泡を減圧処理により各微細穴13から除去する工程Bと、マイクロニードルアレイを構成するゲル状組成物18を凹部14に加える工程Cと、乾燥処理によりゲル状組成物18の溶媒及び液体16を蒸発させてマイクロニードルアレイを成形する工程Dとを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマイクロニードルが形成されたマイクロニードルアレイを、前記複数のマイクロニードルにそれぞれ対応する複数の微細穴を有する凹部が形成された型を用いて製造するマイクロニードルアレイの製造方法において、
前記凹部に液体αを入れて前記各微細穴を該液体αで満たす工程Aと、
前記各微細穴の内表面に付着している気泡及び前記液体α内に存在する気泡を減圧処理により前記各微細穴から除去する工程Bと、
前記マイクロニードルアレイを構成するゲル状組成物を前記凹部に加える工程Cと、
乾燥処理により前記ゲル状組成物の溶媒及び前記液体αを蒸発させて前記マイクロニードルアレイを成形する工程Dとを有することを特徴とするマイクロニードルアレイの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のマイクロニードルアレイの製造方法において、前記工程Bの後、前記凹部内の前記各微細穴の外側に溢れている前記液体αを取り除く工程B-2を前記工程Cの前に有することを特徴とするマイクロニードルアレイの製造方法。
【請求項3】
請求項1記載のマイクロニードルアレイの製造方法において、前記工程Cで前記凹部内に入れられた前記ゲル状組成物に対して減圧による脱気を行う工程C-2を前記工程Dの前に有することを特徴とするマイクロニードルアレイの製造方法。
【請求項4】
請求項3記載のマイクロニードルアレイの製造方法において、前記ゲル状組成物及び前記液体αからなる組成物βが前記マイクロニードルアレイの生成に対して余剰となる量の前記ゲル状組成物を前記工程Cで前記凹部に加え、前記組成物βの余剰分を、前記凹部内の該組成物βの上部から取り除く工程C-3を、前記工程C-2の後で前記工程Dの前に有することを特徴とするマイクロニードルアレイの製造方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のマイクロニードルアレイの製造方法において、前記液体αは、前記ゲル状組成物より粘性が低く、かつ、該ゲル状組成物と親和性があることを特徴とするマイクロニードルアレイの製造方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載のマイクロニードルアレイの製造方法において、前記液体αは、前記ゲル状組成物の溶媒と同じ物質、蒸留水又はエタノールのいずれかであることを特徴とするマイクロニードルアレイの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、医療や美容の分野で使用されている注射器の代わりに利用可能なマイクロニードルアレイの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
注射器による薬剤や美容成分等の体内への注入(以下、これらをまとめて「投薬」とも言う)には、皮下や血管に直接投薬できるというメリットがある反面、痛みや腫れを招いたり、注射を何度も行うことに伴い皮膚に注射痕が生じたりするというデメリットがある。更に、多くの場合、注射行為は医療従事者によりなされるため、定期的に注射が必要な患者は、医療機関等を度々訪問する必要があった。それらの注射のデメリット等の解消に、微小針(例えば、直径が0.3~0.5mm)であるマイクロニードルが平板上に多数(例えば、1cmあたり30~300個)設けられた樹脂製のマイクロニードルアレイを注射の代わりに利用することが考えられる(特許文献1参照)。
【0003】
マイクロニードルを皮下の無痛点に到達する長さにすればマイクロニードルアレイによる投薬時の痛みを抑制可能である。また、マイクロニードルアレイを表皮に貼り当てることにより投薬が可能となることから、利用者自身が自宅で容易に投薬を行うことによって、所定の機関を訪れる負担を無くすことができる。更に、薬剤等を含有した溶解型のマイクロニードルは皮膚内で溶解するため、皮膚にマイクロニードルアレイを貼付するだけで、穿刺から投薬までの処理を完了できる。従って、簡便な投薬が可能で、投薬の個人差が生じにくい。
【0004】
そして、そのようなマイクロニードルアレイを製造する方法の具体例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の製造方法は、型(モールド)の凹部に液状組成物を充填した後、凹部内の液状組成物に超音波振動を加えて液状組成物から気泡を除去し、形成されたマイクロニードルに気泡を起因とする空洞が生じるのを抑制する。これによって、転写性が高いマイクロニードルの製造が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-157925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、当該製造方法は、超音波振動用の設備を要するという課題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、超音波振動用の設備を利用することなく、マイクロニードルに対する空洞の形成を抑制可能なマイクロニードルアレイの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う本発明に係るマイクロニードルアレイの製造方法は、複数のマイクロニードルが形成されたマイクロニードルアレイを、前記複数のマイクロニードルにそれぞれ対応する複数の微細穴を有する凹部が形成された型を用いて製造するマイクロニードルアレイの製造方法において、前記凹部に液体αを入れて前記各微細穴を該液体αで満たす工程Aと、前記各微細穴の内表面に付着している気泡及び前記液体α内に存在する気泡を減圧処理により前記各微細穴から除去する工程Bと、前記マイクロニードルアレイを構成するゲル状組成物を前記凹部に加える工程Cと、乾燥処理により前記ゲル状組成物の溶媒及び前記液体αを蒸発させて前記マイクロニードルアレイを成形する工程Dとを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るマイクロニードルアレイの製造方法は、型の凹部に液体αを入れて各微細穴を液体αで満たす工程Aと、各微細穴の内表面に付着している気泡及び液体α内に存在する気泡を減圧処理により各微細穴から除去する工程Bと、マイクロニードルアレイを構成するゲル状組成物を凹部に加える工程Cと、乾燥処理によりゲル状組成物の溶媒及び液体αを蒸発させてマイクロニードルアレイを成形する工程Dとを有するので、超音波振動用の設備を用いることなく、マイクロニードルに対する空洞の形成を抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係るマイクロニードルアレイの製造方法で製造されるマイクロニードルアレイの説明図である。
図2】変形例に係るマイクロニードルの説明図である。
図3】(A)、(B)、(C)はそれぞれ、マイクロニードルアレイを製造する様子を示す説明図である。
図4】(A)、(B)、(C)はそれぞれ、マイクロニードルアレイを製造する様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係るマイクロニードルアレイの製造方法で製造されるマイクロニードルアレイ10は、板状の台座11と台座11の一側にそれぞれ形成された複数(多数)のマイクロニードル12を備えている。
【0011】
本実施の形態において、各マイクロニードル12は、図1に示すように、先端に向けて細くなった円錐状であり、基側端部(底面)が台座11に連結され台座11に立った状態で設けられている。なお、各マイクロニードル12は円錐状である必要はなく、楕円錐状や多角錐状(三角錐状や四角錘状等)等であってもよい。更に、錐体状以外の形状であってもよく、例えば、図2に示すように、先側で薬剤の固形物を保持できるよう、先側に溝や窪みを有するマイクロニードルを採用することもできる。各マイクロニードル12の形状や大きさ等は等しくてもよいし、異なっていてもよい。
【0012】
本実施の形態では、マイクロニードルアレイ10が樹脂の一例であるポリビニルピロリドンを主成分として形成されている。但し、これには限定されず、樹脂を主成分として、若しくは、樹脂及び生体由来材料を組み合わせたものを主成分として、又は、それ以外の成分でマイクロニードルアレイ10を形成することができる。樹脂として、ポリビニルピロリドンの他、例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリコール酸、変性ポリビニルアルコール、カゼイン及び変性澱粉のいずれか1又は2以上の組合せを採用できる。
【0013】
生体由来材料として、例えば、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチン及びセルロースのいずれか1又は2以上の組み合わせを採用できる。また、マイクロニードルアレイ10は、樹脂及び生体由来材料以外の成分、例えば、アルミナやジルコニア等のセラミック又はステンレス鋼やコバルト合金やチタン合金等の金属を含んでいてもよい。
台座11の形状は特に限定がなく、正方形状、長方形状又は円形状にすることができる。本実施の形態では、台座11には1cmあたり10~1000本のマイクロニードル12が形成されている。
【0014】
次に、マイクロニードルアレイ10の製造方法について説明する。
マイクロニードルアレイ10の製造には、図3(A)に示すように、複数のマイクロニードル12にそれぞれ対応する複数の微細穴13を有する凹部14が一側に形成された板状の型(モールド)15が用いられる。微細穴13がマイクロニードル12に対応するとは、微細穴13の大きさや形状が、形成されるマイクロニードル12の形状や大きさに等しいことを意味し、以下に記すマイクロニードルアレイ10の製造方法を経て、1つの微細穴13に1つのマイクロニードル12が形成される。型15は樹脂、金属又はセラミックによって構成可能である。
【0015】
まず、図3(A)に示すように、凹部14が上側に位置するように水平に配した状態で、型15を図示しない部材で支持し、凹部14に液体16(液体α)を入れて各微細穴13を液体16で満たす(工程A)。凹部14に液体16を入れると、凹部14の内表面(各微細穴13の内表面を含む)に気泡17が生じる。本実施の形態では、液体16として純水の一例である蒸留水を用いているが、液体16は後で凹部14に投入されるマイクロニードルアレイ10を構成する(後にマイクロニードルアレイ10となる)ゲル状組成物18(図3(C)参照)より粘性が低く、且つ、ゲル状組成物18との親和性が良好な(親和性がある)物質であればよく、液体16として、超純水、純水の一例である脱塩水若しくは精製水、又は、エタノール等のアルコールを採用可能である。また、液体16にゲル状組成物18の溶媒と同じ物質を用いることにより、ゲル状組成物18との親和性が良好となり、更に、マイクロニードルアレイ10の製造に用いる材料を少なくすることができる。
【0016】
また、本実施の形態では、図示しない部材で支持された型15が水平ではなく傾いて配置される場合を考慮して、安定して全ての微細穴13を液体16で満たした状態にするように、全ての微細穴13(の空間)の合計容量より多い量の液体16が、工程Aで、凹部14に入れられる。工程Aで凹部14に入れる液体16の量について、種々の検証の結果、後述する工程B-2にて凹部14内の各微細穴13の外側に溢れている液体16を取り除くので、必要以上に液体16を入れると、凹部14内の各微細穴13の外側に溢れている液体16を取り除く際の作業効率の観点から好ましくない。そのため本実施の形態では、目視により、凹部14に入れる液体16の量を調整している。
【0017】
次に、液体16が凹部14に入れられた型15を減圧容器に収容した後、図3(B)に示すように、各微細穴13の内表面に付着している気泡17(空気)及び液体16内に存在する気泡(空気)を、減圧容器内を減圧して(即ち、減圧処理により)、凹部14の微細穴13以外の部分の内表面に付着している気泡17及び液体16内に溶解した空気と共に除去する(ここまで、工程B)。本実施の形態では、-1.5MPa以上-0.8MPaの減圧を5分以上(好ましくは10分以上、より好ましくは15分以上)行うことで、各微細穴13の内表面に付着している気泡17及び液体16内に溶解した空気も完全に(実質的に完全に)取り除くようにしている。気泡及び溶解した空気を取り除いた後(工程Bの後)、凹部14内の各微細穴13の外側に溢れている液体16を取り除く(工程B-2)。
【0018】
工程B-2の後、図3(C)、図4(A)に示すように、常温(15℃以上30℃以下)でゲル状組成物18を凹部14に加えて液体16及びゲル状組成物18からなる組成物19(組成物βの一例)が凹部14内に入った状態にする(工程C)。本実施の形態では、ゲル状組成物18は蒸留水にポリビニルピロリドンを加えたポリビニルピロリドン濃度10質量%以上30質量%以下の組成物であり、粘度は概略3~10Pa・sである。
【0019】
その後、型15を減圧容器から取り出し、デシケータ等に収容し乾燥処理(加温処理も含む)により凹部14内の組成物19から溶媒(本実施の形態では、水分)の一部又は実質的に全体を蒸発(即ち、ゲル状組成物18の溶媒及び液体16を蒸発)させて固化させ、図4(B)に示すように、マイクロニードルアレイ10を型15(凹部14)内で成形する(工程D)。型15内で成形されたマイクロニードルアレイ10は、図4(C)に示すように型15から取り出される。
【0020】
本実施の形態では、工程Cの後で工程Dの前に、組成物19(液体16及び工程Cで凹部14内に入れられたゲル状組成物18)に対して減圧容器内の減圧による脱気を行う(工程C-2)。この脱気の処理により、図4(A)に示すように、組成物19の上部(表層)には気泡(泡)20が発生(出現)する。ここで、本実施の形態では、組成物19がマイクロニードルアレイ10の生成に対して余剰となる量のゲル状組成物18を工程Cで凹部14に加えるようにし、組成物19の余剰分を、凹部14内の組成物19の上部から取り除き、乾燥処理前に組成物19の上部の気泡20を安定して除去するようにしている(工程C-3)。
【0021】
このように、最終的にマイクロニードルアレイ10の主成分となる成分(本実施の形態では樹脂)を含むゲル状組成物18を型15の凹部14に投入する前に、ゲル状組成物18より粘度が低い液体16を型15の凹部14に投入し気泡17を除去することによって、マイクロニードルアレイ10(特にマイクロニードル12)の空洞の発生を安定して回避できることを検証により確認している。
なお、作業効率の観点から、型15を減圧容器に入れた状態で工程A、B、B-2、C及びC-2の処理を全て行うのが好適である。
【実施例0022】
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実験について説明する。
実験では、以下に記す実施例に係る方法及び比較例に係る方法によりマイクロニードルアレイをそれぞれ製造し、マイクロニードルの高さ(長さ)を計測した。
【0023】
実施例:
型の凹部に蒸留水を入れ、-0.95MPaで10分間減圧した後、微細穴の外側に溢れている蒸留水を取り除き、マイクロニードルアレイを構成するゲル状組成物(具体的には、所定濃度のポリビニルピロリドン溶液)を加えて、-0.95MPaで20分間減圧した後、過剰なゲル状組成物を蒸留水と共に型の凹部から取り除き、デシケータ内で質量が実質的に変化しなくなるまで24~48時間乾燥させてマイクロニードルアレイを製造した。
【0024】
比較例:
型の凹部にゲル状組成物(所定濃度のポリビニルピロリドン溶液)を加えて、-0.95MPaで20分間減圧した後、過剰なゲル状組成物を型の凹部から取り除き、デシケータ内で質量が実質的に変化しなくなるまで24~48時間乾燥させてマイクロニードルアレイを製造した。
【0025】
実施例の方法及び比較例の方法にて、1000μmの高さのマイクロニードルを形成するように設計した型を利用して、濃度20質量%及び濃度25質量%のゲル状組成物を用いてそれぞれ2個(合計4個)のマイクロニードルアレイを製造した。各マイクロニードルアレイは52本のマイクロニードルを有し、無作為に選んだ8本のマイクロニードルの高さを計測した。実験結果を以下の表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
表1において、「20%PVP」及び「25%PVP」は濃度20質量%のゲル状組成物及び濃度25質量%のゲル状組成物をそれぞれ意味し、「水あり」及び「水なし」は実施例及び比較例をそれぞれ表す。
実験結果から、いずれの濃度のゲル状組成物に対しても、実施例が比較例に比べて、8本のマイクロニードルの高さ平均が高く、マイクロニードルの形状が設計値に近く(先端が尖った形状に)なった。
【0028】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、型の凹部内のゲル状組成物に対して減圧による脱気を行う工程C-2を省略することができる。
【0029】
ここで、工程C-2を省略した場合、即ち、型の凹部に液体αを入れ、減圧処理した後、ゲル状組成物を加えて、脱気処理を経ることなく乾燥処理を行ってマイクロニードルアレイを製造した場合でも、型の凹部にゲル状組成物を入れ(液体αを事前に入れず)、減圧により脱気した後、乾燥処理を行ってマイクロニードルアレイを製造した場合よりも、マイクロニードルの形状を設計値に近づけられることを確認した。なお、工程C-2を省略するよりも工程C-2を行うほうがマイクロニードルの形状が設計値通りとなることは言うまでもない。
【0030】
また、工程Cで組成物βがマイクロニードルアレイの生成に対して余剰となる量のゲル状組成物を凹部に加える必要はなく、マイクロニードルアレイの生成に必要な量だけの組成物βが凹部に入ったようにする量のゲル状組成物を工程Cで凹部に加えてもよい。
そして、工程Aで、型の全ての微細穴の合計容量より多い量の液体αを凹部に入れる必要はなく、凹部に入れる液体αの量を型の全ての微細穴の合計容量と等しくしてもよい。
更に、マイクロニードルアレイの生成に対してゲル状組成物が余剰となる量のゲル状組成物を工程Cで加えなくてもよく、マイクロニードルアレイの生成に対応するゲル状組成物が型の凹部内に入った状態となるようにゲル状組成物の量を調整できる。
【符号の説明】
【0031】
10:マイクロニードルアレイ、11:台座、12:マイクロニードル、13:微細穴、14:凹部、15:型、16:液体、17:気泡、18:ゲル状組成物、19:組成物、20:気泡
図1
図2
図3
図4