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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003695
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】走査計量学のための計量学ターゲット
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
H01L21/66 J
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024189634
(22)【出願日】2024-10-29
(62)【分割の表示】P 2021576864の分割
【原出願日】2020-06-24
(31)【優先権主張番号】62/867,142
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/598,146
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒル アンドリュー ブイ
(72)【発明者】
【氏名】マナッセン アムノン
(72)【発明者】
【氏名】ラレド ジラド
(72)【発明者】
【氏名】フェレール ヨエル
(72)【発明者】
【氏名】ギノベカー マーク
(72)【発明者】
【氏名】レヴィンスキー ウラジミル
(57)【要約】
【課題】高いスループットの計量学のためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】計量学システム100は、走査方向に沿って移動中のサンプル102を画像化する走査計量学ツールに結合されたコントローラ116を含む。コントローラ116は、サンプル102上の計量学ターゲットの画像を走査計量学ツールから受け取り、計量学ターゲットは、走査方向に対して直角の横方向に沿って分散しているセルを含む第1の測定群、および走査方向に沿って第1の測定群から分離された、横方向に沿って分散しているセルを含む第2の測定群を含む。コントローラ116は、さらに、第1の計量学群中の第1のセットのセルのうちの少なくとも1つに基づいて少なくとも第1の計量学測値を生成し、第2の計量学群中の第1のセットのセルのうちの少なくとも1つに基づいて少なくとも第2の計量学測値を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量学ターゲットであって、
サンプル上の横方向に沿って分散している1つ以上のセルを含む第1の測定群であって、前記サンプル上の前記横方向が走査方向に対して直角であり、前記第1の測定群中の前記1つ以上のセルが、走査計量学ツールによって同時に測定されるように構成され、前記走査計量学ツールを使用して測定されると少なくとも第1の計量学測値を提供するようにさらに構成される、第1の測定群と、
前記サンプル上の前記横方向に沿って分散している1つ以上のセルを含む第2の測定群であって、前記第2の測定群が前記走査方向に沿って前記第1の測定群から分離されており、前記第2の測定群中の前記1つ以上のセルが、前記走査計量学ツールによって同時に測定されるように構成され、前記走査計量学ツールを使用して測定されると少なくとも第2の計量学測値を提供するようにさらに構成される、第2の測定群と
を備えることを特徴とする計量学ターゲット。
【請求項2】
請求項1に記載の計量学ターゲットであって、前記サンプル上の前記横方向に沿って分散している1つ以上のセルをそれぞれ含む1つ以上の追加測定群であって、前記1つ以上の追加測定群が前記走査方向に沿って前記第1の測定群および前記第2の測定群から分離されており、前記少なくとも1つの追加測定群のうちの各追加測定群中の前記1つ以上のセルが、前記走査計量学ツールによって同時に測定されるように構成され、前記走査計量学ツールを使用して測定されると少なくとも追加計量学測値を提供するようにさらに構成される、1つ以上の追加測定群を備えることを特徴とする計量学ターゲット。
【請求項3】
請求項1に記載の計量学ターゲットであって、
前記第1の計量学測値が、前記サンプル上の第1の方向に沿ったオーバーレイ計量学測値を含み、
前記第2の計量学測値が、前記サンプル上の前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿ったオーバーレイ計量学測値を含む
ことを特徴とする計量学ターゲット。
【請求項4】
請求項3に記載の計量学ターゲットであって、前記サンプル上の前記第1の方向に沿った前記オーバーレイ測値が、前記第1の測定群の前記1つ以上のセルの中の2つ以上のセットの印刷要素の相対位置に基づき、前記サンプル上の前記第2の方向に沿った前記オーバーレイ測値が、前記第2の測定群の前記1つ以上のセルの中の2つ以上のセットの印刷要素の相対位置に基づくことを特徴とする計量学ターゲット。
【請求項5】
請求項3に記載の計量学ターゲットであって、前記第1の測定群が2つ以上のセルを含み、前記サンプル上の前記第1の方向に沿った前記オーバーレイ測値が、前記第1の測定群中の前記2つ以上のセルにわたって分散している2つ以上のセットの印刷要素の回転対称の中心の相対位置に基づき、前記第2の測定群が2つ以上のセルを含み、前記サンプル上の前記第2の方向に沿った前記オーバーレイ測値が、前記第2の測定群中の前記2つ以上のセルにわたって分散している2つ以上のセットの印刷要素の回転対称の中心の相対位置に基づくことを特徴とする計量学ターゲット。
【請求項6】
請求項3に記載の計量学ターゲットであって、前記第1の測定群が2つ以上のセルを含み、前記サンプル上の前記第1の方向に沿った前記オーバーレイ測値が、前記第1の測定群中の前記2つ以上のセルにわたって分散している2つ以上のセットの印刷要素の反射対称の軸の相対位置に基づき、前記第2の測定群が2つ以上のセルを含み、前記サンプル上の前記第2の方向に沿った前記オーバーレイ測値が、前記第2の測定群中の前記2つ以上のセルにわたって分散している2つ以上のセットの印刷要素の反射対称の軸の相対位置に基づくことを特徴とする計量学ターゲット。
【請求項7】
請求項1に記載の計量学ターゲットであって、第1のセットのセルまたは第2のセットのセルのうちの少なくとも一方が、2つ以上の全く同じセルを含むことを特徴とする計量学ターゲット。
【請求項8】
請求項1に記載の計量学ターゲットであって、前記第1の測定群または前記第2の測定群のうちの少なくとも一方が、1セットの周期印刷要素を有するセルを含むことを特徴とする計量学ターゲット。
【請求項9】
請求項1に記載の計量学ターゲットであって、前記第1の計量学測値または前記第2の計量学測値のうちの少なくとも一方が、前記サンプルの1つ以上の層を製造する際のリソグラフィツールのプロセスパラメータを含むことを特徴とする計量学ターゲット。
【請求項10】
請求項9に記載の計量学ターゲットであって、前記1つ以上のプロセスパラメータが、前記リソグラフィツールの中で前記サンプルの前記1つ以上の層のうちの任意の層を露光する際の前記サンプルの焦点位置または前記サンプル上の照明適用量のうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする計量学ターゲット。
【請求項11】
請求項1に記載の計量学ターゲットであって、前記第1の計量学測値または前記第2の計量学測値のうちの少なくとも一方が、オーバーレイ計量学測値、限界寸法計量学測値、または側壁角測値を含むことを特徴とする計量学ターゲット。
【請求項12】
請求項1に記載の計量学ターゲットであって、前記第1の計量学測値または前記第2の計量学測値のうちの少なくとも一方が、
前記サンプル上の1つ以上の印刷要素の大きさ、場所、または配向のうちの少なくとも1つ
を含むことを特徴とする計量学ターゲット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にオーバーレイ計量学(メトロロジー)に関し、より詳細には走査オーバーレイ計量学システムのために適したターゲットに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、米国特許法§119(e)の下に、発明者としてAndy Hill、Amnon Manassen、Gilad Laredo、Yoel Feler、Mark GhinovkerおよびVladimir Levinskiの名前で2019年6月26日に出願した、Scan Overlay (OVL) Targetという名称の米国仮出願第62/867,142号の利益を主張するものであり、この米国仮出願は、その全体を本願に引用して援用する。
【0003】
計量学システムは、典型的には、専用の計量学ターゲットを解析することによって製品上計量学を提供しており、製造されたパターン要素の特性は、1つ以上の関心の計量学メトリクスを示す。それには限定されないが製品上オーバーレイ(OPO)計量学などの、製品上計量学のための設計ルールの縮小および仕様要求の増加によって、半導体製造プロセスの複数のレベルにおけるサンプリング要件の増加が進んでいる。このサンプリングの増加は、オーバーレイモデルにおけるより高い複雑性、および計量学データに応じたリソグラフィシステムのためのより正確な修正をさらに可能にし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0090302号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながらサンプリング要件の増加は、計量学のスループットに負の影響を及ぼし得る。したがって高いスループットの計量学のためのシステムおよび方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つ以上の例証的実施形態による計量学(メトロロジー)システムが開示される。一例証的実施形態では、システムは走査計量学ツールに結合されたコントローラを含み、走査計量学ツールは走査方向に沿って移動中のサンプルを画像化する。別の例証的実施形態では、コントローラは、サンプル上の計量学ターゲットの画像を走査計量学ツールから受け取る。別の例証的実施形態では、計量学ターゲットは、サンプル上の横方向に沿って分散している1つ以上のセルを含む第1の測定群を含み、サンプル上のこの横方向は走査方向に対して直角である。別の例証的実施形態では、計量学ターゲットは、サンプル上の横方向に沿って分散している1つ以上のセルを含む第2の測定群をさらに含み、第2の測定群は、走査方向に沿って第1の測定群から分離されている。別の例証的実施形態では、コントローラは、第1の計量学群中の第1のセットのセルのうちの少なくとも1つに基づいて少なくとも第1の計量学測値を生成する。別の例証的実施形態では、コントローラは、第2の計量学群中の第2のセットのセルのうちの少なくとも1つに基づいて少なくとも第2の計量学測値を生成する。
【0007】
本開示の1つ以上の例証的実施形態による計量学システムが開示される。一例証的実施形態では、システムは、走査方向に沿って移動中のサンプルを画像化するための走査計量学ツールを含む。別の例証的実施形態では、システムは走査計量学ツールに結合されたコントローラを含む。別の例証的実施形態では、コントローラは、サンプル上の計量学ターゲットの画像を走査計量学ツールから受け取る。別の例証的実施形態では、計量学ターゲットは、サンプル上の横方向に沿って分散している1つ以上のセルを含む第1の測定群を含み、サンプル上のこの横方向は走査方向に対して直角である。別の例証的実施形態では、計量学ターゲットは、サンプル上の横方向に沿って分散している1つ以上のセルを含む第2の測定群をさらに含み、第2の測定群は、走査方向に沿って第1の測定群から分離されている。別の例証的実施形態では、コントローラは、第1の計量学群中の第1のセットのセルのうちの少なくとも1つに基づいて少なくとも第1の計量学測値を生成する。別の例証的実施形態では、コントローラは、第2の計量学群中の第2のセットのセルのうちの少なくとも1つに基づいて少なくとも第2の計量学測値を生成する。
【0008】
本開示の1つ以上の例証的実施形態による計量学ターゲットが開示される。一例証的実施形態では、ターゲットは、サンプル上の横方向に沿って分散している1つ以上のセルを含む第1の測定群を含み、サンプル上のこの横方向は走査方向に対して直角である。別の例証的実施形態では、第1の測定群中の1つ以上のセルは、走査計量学ツールによって同時に測定することができ、走査計量学ツールを使用して測定されると少なくとも第1の計量学測値をさらに提供することができる。別の例証的実施形態では、ターゲットは、サンプル上の横方向に沿って分散している1つ以上のセルを含む第2の測定群を含み、第2の測定群は、走査方向に沿って第1の測定群から分離されている。別の例証的実施形態では、第2の測定群中の1つ以上のセルは、走査計量学ツールによって同時に測定することができ、走査計量学ツールを使用して測定されると少なくとも第2の計量学測値をさらに提供することができる。
【0009】
上記の一般的な説明および以下の詳細な説明は、いずれも単に例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求される本発明を必ずしも制限するものではないことを理解されたい。本明細書に組み込まれ、また、本明細書の一部を構成している添付の図面は本発明の実施形態を示したものであり、一般的な説明と相俟って本発明の原理を説明する役割を果している。
【0010】
本開示の多くの利点は、添付の図を参照することによって当業者にはより良好に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の1つ以上の実施形態による走査計量学システムを示すブロック図である。
図2】本開示の1つ以上の実施形態による、測定中、サンプルが静止している静的モード計量学測定のために適した静的計量学ターゲットの上面図である。
図3】本開示の1つ以上の実施形態による走査計量学ターゲットの概念図である。
図4A】本開示の1つ以上の実施形態による、直交方向に沿ったオーバーレイ計量学のための2つの測定群を有する走査計量学ターゲットの上面図であり、これらの2つの測定群のうちの各測定群内のセルは回転対称を示している。
図4B】本開示の1つ以上の実施形態による、直交方向に沿ったオーバーレイ計量学のための2つの測定群を有する走査計量学ターゲットの上面図であり、これらの2つの測定群のうちの各測定群内のセルは回転対称を示している。
図4C】本開示の1つ以上の実施形態による、複数の全く同じセルを有する走査計量学ターゲットの上面図である。
図4D】本開示の1つ以上の実施形態による、2つの測定群を有する走査計量学ターゲットの上面図であり、これらの2つの測定群のうちの各測定群内のセルは反射対称を示している。
図5】本開示の1つ以上の実施形態による、それぞれ直交方向に沿ったオーバーレイ計量学のためのものである3つのセルを備えた2つのセル群を有する走査計量学ターゲットの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面に示されている、開示される主題について詳細に参照する。本開示は、特定の実施形態およびその特定の特徴に関連してとりわけ示され、また、説明されている。本明細書において示されている実施形態は、制限するものとしてではなく、実例による説明として解釈すべきである。本開示の精神および範囲を逸脱することなく、様々な形態および詳細の変更および変形を加えることができることは当業者には容易に明らかであるはずである。
【0013】
本開示の実施形態は、計量学ツールの焦点体積を通して並進されている間に、計量学ターゲットが計量学ツールによって特性化される、走査に基づく計量学のためのシステムおよび方法を対象としている。
【0014】
計量学ターゲットは、典型的には、1つ以上の印刷特性の正確な表現を提供するように設計された、明確に画定された印刷要素を含むことができる。この点に関して、計量学ターゲットの印刷要素の測定された(例えば計量学ツールによって)特性は、製造されているデバイスと関連する印刷デバイス要素を表すことができる。さらに、計量学ターゲットは、典型的には、1つ以上の測定セルを有するものとして特性化され、各セルはサンプル上の1つ以上の層に印刷要素を含む。この場合、計量学測定は、単一のセルの中、または複数のセルの間の印刷要素の大きさ、配向または場所(例えばパターン配置)の任意の組合せの測定に基づくことができる。
【0015】
例えばオーバーレイ計量学ターゲットの1つ以上のセルは、各層の要素の相対位置が特定の層のオフセット誤差(例えばパターン配置誤差(PPE:pattern placement errors))、またはサンプル層同士の間の位置決め誤差と関連するオーバーレイ誤差を示すことができるように配置された2つ以上のサンプル層の上に印刷要素を含むことができる。別の例として、プロセス感応計量学ターゲットは、単一のサンプル層の上に印刷要素を含むことができ、印刷要素の1つ以上の特性(例えば幅または限界寸法(CD:critical dimension)、側壁角、位置、等々)は、それらに限定されないが、リソグラフィステップ中の照明の適用量、またはリソグラフィステップ中のリソグラフィツール内のサンプルの焦点位置などの1つ以上のプロセスメトリクスを示す。
【0016】
計量学システムは、様々な技法を使用して計量学ターゲットを検査することができる。例えば計量学システムは、移動および測定(MAM:move-and-measure)動作モードを使用して計量学ターゲットを検査することができ、サンプルは、関心の計量学ターゲットを測定視野内に置くべく並進され、サンプルが静止している間に測定が実施され、サンプルは、次に、関心の追加計量学ターゲットを測定視野内に置くべく並進される。別の例として、計量学システムは、サンプルが移動中である(例えば走査動作モードにある)間に計量学ターゲットを検査することができる。例えば走査計量学ツールは、サンプルが測定場を通って走査方向に沿って走査されている間、サンプルを連続的に解析することができる。さらに、走査計量学ツールは、走査方向に沿って分散している複数の隣接するターゲットを単一の走査で効果的に検査することも可能であり、これは、MAMツールに関連する、時間を消費する整定時間要件を除去する。走査計量学ツールについては、一般に、2018年3月21日に出願した米国特許出願第15/761,830号に記載されており、この米国特許出願は、本願に引用して援用する。
【0017】
本開示の実施形態は、走査動作モードを使用した検査のために適した計量学ターゲットを対象としている。本明細書においては、動作モードが異なるため、走査計量学ツールはMAM計量学ツールとは異なる誤差源を有していることが認識される。詳細には、MAM計量学ツールは、1つ以上のセルの画像を単一のフレームで捕捉することができるが、走査計量学ツールは、典型的には、サンプルが走査されている間にライン毎に画像を生成する。したがって走査計量学ツールは、それらに限定されないが、画像の様々な部分に様々な程度の影響を及ぼす振動誤差またはジッター誤差などの時間で変化する誤差に対して敏感であり得る。
【0018】
したがって本開示に従って設計された走査計量学ターゲット(同じくこのようなターゲットを測定するためのシステム)は1つ以上の測定群を含み、測定群は、サンプルの走査方向に対して直角の方向に沿って分散した共通の計量学測定のために設計された1つ以上のセルを含む。この点に関して、各測定群内のセルは、測定中における時間で変化する誤差の影響を軽減するために同時に検査される。例えば走査速度誤差または走査位置誤差などの測定誤差は、各測定群中のすべてのセルに対して共通であり、これは、測定群内のセルの一貫性のある正確な測定を容易にし得る。
【0019】
さらに、本開示に従って設計された走査計量学ターゲットは、走査方向に沿って分散している任意の数の測定群を含むことができる。時間で変化する誤差は、1つの測定群中のセルに対して、異なる測定群中のセルとは異なる影響を及ぼし得るが、計量学測定は、典型的には(排他的ではないが)単一の測定群内のセルを包含しているため、これらの誤差は、計量学測定に対して最小の影響を有し得る。
【0020】
測定群は、任意の数の計量学測値を生成するように設計された1つ以上のセルの任意の組合せを含むことができる。例えばオーバーレイ計量学の文脈においては、走査計量学ターゲットは、第1の方向(例えばX-方向)のオーバーレイ測定のために適したセルを有する第1の測定群、および直交する第2の方向(例えばY-方向)のオーバーレイ測定のために適したセルを有する第2の測定群を含むことができる。別の例として、走査計量学ターゲットは、第1の方向および第2の方向の両方のオーバーレイ測定のために適したセルを共通の測定群中に含むことができる。
【0021】
本開示の追加実施形態は、本明細書において説明されている走査計量学ターゲットを解析するのに適した走査計量学ツールを対象としている。例えば走査計量学ツールは、走査計量学ターゲットが測定場に対して移動している間、走査計量学ターゲットを連続的に解析し、セル群の各々と関連する計量学信号を受け取り、また、計量学信号から計量学データを生成することができる。さらに、走査計量学ツールは、各セル群内のセルに共通の測定アルゴリズムを適用して、対応する計量学信号から計量学データを生成することも可能である。
【0022】
本開示の追加実施形態は、走査計量学ターゲットを生成するのに適した1つ以上のパターンマスクを対象としている。例えばパターンマスクは、走査計量学ターゲットを製造するためのサンプルの上にリソグラフィシステムの中で画像化されるのに適したパターン要素を含むことができる。詳細には、パターンマスクは、サンプルの上に製造される特定の層と関連する1つ以上のセル群の1つ以上のセルの中にパターン要素を含むことができる。さらに複数のパターンマスクが、多層走査計量学ターゲット(例えば走査オーバーレイターゲット、等々)を製造するための複数のサンプル層の上に製造するためのパターン要素を含むことができる。
【0023】
以下、図1ないし図4を参照して、走査計量学ターゲットを使用した計量学のためのシステムおよび方法についてより詳細に説明する。
【0024】
図1は、本開示の1つ以上の実施形態による走査計量学システム100を示すブロック図である。走査計量学システム100は、サンプル102が測定場に対して走査されている間、サンプル102またはその一部を解析するための様々な構成要素を含むことができる。例えば走査計量学システム100は、サンプル102が走査されている間、サンプル102上の走査計量学ターゲットを解析するように構成することができ、サンプル102については、以下でより詳細に説明される。
【0025】
一実施形態では、走査計量学システム100は、照明ビーム106を生成するように構成された照明源104を含む。別の実施形態では、走査計量学システム100は、照明ビーム106をサンプル102の上に導くための1つ以上の構成要素を含む照明経路108を含む。別の実施形態では、走査計量学システム100は、サンプル放射112を集光するための1つ以上の構成要素を含む集光経路110を含む。別の実施形態では、走査計量学システム100は、集光経路110からサンプル放射112の少なくとも一部を捕捉するように構成された検出器114を含む。別の実施形態では、走査計量学システム100は、測定に先立って、測定中、および/または測定後に、サンプル102および/または照明ビーム106を調整するように構成された走査サブシステム(例えば1つ以上の並進ステージ、ビームスキャナー、等々)を含む。
【0026】
別の実施形態では、走査計量学システム100はコントローラ116を含む。別の実施形態では、コントローラ116は1つ以上のプロセッサ118を含む。別の実施形態では、1つ以上のプロセッサ118は、メモリ媒体120すなわちメモリに保持されている一組のプログラム命令を実行するように構成されている。さらに、コントローラ116は、メモリ媒体120に記憶されている、プロセッサ118による実行が可能な1つ以上のプログラム命令を含んだ1つ以上のモジュールを含むことができる。コントローラ116のプロセッサ118は、当技術分野で知られている任意の処理要素を含むことができる。この意味では、プロセッサ118は、アルゴリズムおよび/または命令を実行するように構成された任意のマイクロプロセッサ型デバイスを含むことができる。一実施形態では、プロセッサ118は、本開示全体を通して説明されている走査計量学システム100を動作させるように構成されたプログラムを実行するように構成された、デスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、画像コンピュータ、パラレルプロセッサまたは任意の他のコンピュータシステム(例えばネットワーク化コンピュータ)からなっていてもよい。「プロセッサ」という用語は、非一時的メモリ媒体120からのプログラム命令を実行する1つ以上の処理要素を有する任意のデバイスを包含するべく広義に定義され得ることがさらに認識される。
【0027】
メモリ媒体120は、関連するプロセッサ118による実行が可能なプログラム命令を記憶するのに適した、当技術分野で知られている任意の記憶媒体を含むことができる。例えばメモリ媒体120は非一時的メモリ媒体を含むことができる。追加例として、メモリ媒体120は、それらに限定されないが、リードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気または光メモリデバイス(例えばディスク)、磁気テープ、ソリッドステートドライブ、等々を含むことができる。メモリ媒体120は、プロセッサ118を有する共通のコントローラハウジングに収納され得ることがさらに留意される。一実施形態では、メモリ媒体120は、プロセッサ118およびコントローラ116の物理的場所に対して遠隔に配置することができる。例えばコントローラ116のプロセッサ118は、ネットワーク(例えばインターネット、イントラネット、等々)を介してアクセスすることができる遠隔メモリ(例えばサーバ)にアクセスすることができる。したがって以上の説明を本発明に対する制限として解釈してはならず、以上の説明は単なる例証にすぎない。
【0028】
コントローラ116は、走査計量学システム100の任意の構成要素と通信結合することができる。一実施形態では、コントローラ116は、走査計量学システム100の1つ以上の構成要素からデータを受け取る。例えばコントローラ116は、検出器114から、走査計量学ターゲットと関連する計量学信号(例えば1つ以上の画像、等々)を受け取ることができる。別の実施形態では、コントローラ116は、本開示の1つ以上の処理ステップを実施する。別の例として、コントローラ116は、サンプルステージ134から、位置、速度または他の関連するパラメータを示す位置フィードバックを受け取ることができる。別の実施形態では、コントローラ116は、検出器114からの計量学信号を解析または別の方法で処理する。例えばコントローラ116は、走査計量学ターゲットからの、それらに限定されないが、オーバーレイデータ、1つ以上のリソグラフィステップ中のサンプル102の焦点位置、または1つ以上のリソグラフィステップ中の照明適用量などの計量学信号に基づいて計量学データを生成することができる。別の実施形態では、コントローラ116は、走査計量学システム100の構成要素を指示または別の方法で制御するための1つ以上の制御信号を生成することができる。コントローラ116は、それらに限定されないが、検出器114、サンプルステージ134、照明源104を含む走査計量学システム100の任意の構成要素、または照明経路108あるいは集光経路110の任意の構成要素に対する制御信号を生成することができる。
【0029】
さらに、走査計量学システム100は、当技術分野で知られている任意のタイプの計量学システムとして動作することも可能である。一実施形態では走査計量学システム100は画像化計量学システムであり、サンプル102の1つ以上の画像に基づいて計量学データを生成することができる。別の実施形態では走査計量学システム100は散乱測定計量学システムであり、計量学データは、サンプル102による照明ビーム106の回析および/または散乱と関連する1つ以上のひとみ画像に基づいている。
【0030】
さらに図1を参照して、走査計量学システム100の様々な構成要素についてより詳細に説明する。
【0031】
照明源104は、当技術分野で知られている任意のタイプの光源を含むことができる。さらに、照明源104は、任意の選択されたスペクトル内容を有することができる。
【0032】
一実施形態では、照明源104は、それには限定されないが、1つ以上のレーザ源などの1つ以上のコヒーレント源を含む。この点に関して、照明源104は、高い可干渉性(例えば高い空間的可干渉性および/または時間的可干渉性)を有する照明ビーム106をもたらすことができる。例えば照明源104は、それらに限定されないが、1つ以上のスーパコンティニュームレーザまたは白色光レーザなどの1つ以上の広帯域レーザを含むことができる。別の例として、照明源104は1つ以上の狭帯域レーザを含むことができる。さらに別の例として、照明源104は、同調可能スペクトル強度を有する照明ビーム106を提供するための1つ以上の同調可能レーザを含むことができる。さらに、コヒーレント照明源104は、任意のタイプの技術または製品設計に基づくことができる。例えば照明源104は、それらに限定されないが、1つ以上のファイバレーザ、1つ以上のダイオードレーザまたは1つ以上のガスレーザの任意の組合せを含むことができる。
【0033】
別の実施形態では、照明源104は、低いまたは部分的な可干渉性(例えば空間的および/または時間的可干渉性)を有する照明ビーム106を提供するための1つ以上の低い可干渉性源を含む。例えば照明源104は、1つ以上の発光ダイオード(LED:light emitting diodes)を含むことができる。別の例として、照明源104は、それらに限定されないが、LSPランプ、LSPバルブ、またはレーザ源によってプラズマ状態に励起されると広帯域照明を放出することができる1つ以上の要素を含むのに適したLSPチャンバなどのレーザ持続プラズマ(LSP:laser-sustained plasma)源を含むことができる。別の例として、照明源104は、それらに限定されないが、アーク燈、放電ランプ、無電極ランプなどのランプ源を含むことができる。
【0034】
さらに、照明源104は任意の組合せの光源を含むことができる。一実施形態では、照明源104は、広帯域照明を提供するための1つ以上のスーパコンティニュームレーザ源、およびその1つ以上のスーパコンティニュームレーザ源のスペクトルにおけるギャップを補足するための1つ以上の部分的に可干渉性の高輝度LEDを含む。
【0035】
照明源104は、任意の選択された時間的特性を有する光をさらに提供することができる。一実施形態では、照明源104は、持続波照明ビーム106を提供するための1つ以上の持続波源を含む。別の実施形態では、照明源104は、パルス化または別の方法で変調された照明ビーム106を提供するための1つ以上のパルス源を含む。例えば照明源104は、1つ以上のモードロックレーザ、1つ以上のQ-スイッチレーザ、等々を含むことができる。
【0036】
一実施形態では、照明経路108は1つ以上のレンズ122を含む。別の実施形態では、照明経路108は、照明ビーム106を修正および/また調節するのに適した1つ以上の光学構成要素124を含む。例えば1つ以上の光学構成要素124は、それらに限定されないが、1つ以上の偏光子、1つ以上のフィルタ、1つ以上のビームスプリッタ、1つ以上の拡散板、1つ以上のホモジナイザ、1つ以上のアポダイザ、または1つ以上のビームシェーパを含むことができる。
【0037】
別の実施形態では、走査計量学システム100は、サンプル102の上に照明ビーム106を集束させるための対物レンズ126を含む。
【0038】
サンプル放射112は、サンプル102が放射する、それらに限定されないが、光または粒子を含む任意のタイプの放射を含むことができる。例えばサンプル放射112は、サンプル102で反射および/または散乱した照明ビーム106の一部を含むことができる。別の例として、サンプル放射112は、サンプル102による照明ビーム106の吸収によって誘導されたルミネセンスを含むことができる。別の例として、サンプル放射112は、サンプル102からの、それらに限定されないが、照明ビーム106に応答した後方散乱電子または二次電子などの粒子を含むことができる。
【0039】
一実施形態では、集光経路110は1つ以上のレンズ128を含む。別の実施形態では、集光経路110は、照明ビーム106を修正および/または調節するのに適した1つ以上の光学構成要素130を含む。例えば1つ以上の光学構成要素130は、それらに限定されないが、1つ以上の偏光子、1つ以上のフィルタ、1つ以上のビームスプリッタ、1つ以上の拡散板、1つ以上のアポダイザ、または1つ以上のビームシェーパを含むことができる。
【0040】
別の実施形態では、走査計量学システム100はビームスプリッタ132を含む。例えば図1に示されているように、ビームスプリッタ132は、照明ビーム106をサンプル102へ導くこと、およびサンプル放射112を集光することの両方を対物レンズ126が実施することができるよう、照明経路108および集光経路110の両方に対して共通であってもよい。別の実施形態では、図示されていないが、照明経路108および集光経路110は、それぞれ照明ビーム106をサンプル102へ導き、また、サンプル放射112を集光するための個別のレンズを含むことができる。
【0041】
検出器114は、当技術分野で知られている、サンプル102から受け取ったサンプル放射112を捕捉するのに適した任意の光検出器を含むことができる。一実施形態では、検出器114は、1つ以上の画像を捕捉するのに適した多重ピクセル検出器を含む。例えば検出器114は、それらに限定されないが、電荷結合デバイス(CCD:charge-coupled device)、相補性金属酸化物半導体(CMOS:complementary metal-oxide semiconductor)デバイスを含むことができる。検出器114は、走査計量学システム100の任意の結像平面に配置することができる。例えば検出器114は、サンプル102に対して共役の平面に配置してサンプル102の画像を生成することができる。別の実例では、検出器114は、ひとみ平面(またはその共役)に配置してひとみ画像を生成することができる。
【0042】
さらに、走査計量学システム100は、複数の検出器114(例えば走査計量学システム100による複数の計量学測定(例えば複数の計量学ツール)を容易にするために1つ以上のビームスプリッタによって生成された複数のビーム経路と関連する)を含むことができる。別の実施形態では、検出器114は、サンプル102が放射する放射の波長を識別するのに適した分光検出器を含むことができる。
【0043】
別の実施形態では、走査計量学システム100は、計量学測定中、測定場に対してサンプル102を走査するための走査サブシステムを含む。一実施形態では、図1に示されているように、走査サブシステムは、サンプル102を走査計量学システム100の測定場内に確保し、および/または位置決めするためのサンプルステージ134を含む。例えばサンプルステージ134は、サンプル102を対物レンズ126の焦点体積内に位置決めし、配向することができる。別の実施形態では、サンプルステージ134は、それらに限定されないが、線形並進ステージ、回転ステージまたは先端/傾斜ステージなどの1つ以上の調整可能ステージを含む。別の実施形態では、図示されていないが、走査サブシステムは、サンプル102に対して照明ビーム106を走査するための1つ以上のビーム走査光学系(例えば回転可能ミラー、検流計、等々)を含む。
【0044】
検出器114は、当技術分野で知られている任意の技法を使用して走査している間、計量学信号(例えばサンプル平面画像および/またはひとみ平面画像)を生成するように構成することができる。一実施形態では、検出器114は、選択された画像尤度内(例えば画像ぼやけ、コントラスト、鮮明度、等々)での走査中に1つ以上の画像を捕捉するための十分な捕捉時間および/またはリフレッシュ速度を有する2Dピクセルアレイを含む。別の実施形態では、検出器114は、一度に1ラインのピクセルの画像を連続的に生成するためのライン走査検出器を含む。別の実施形態では、検出器114は時間遅延積分(TDI:time-delay integration)検出器を含む。TDI検出器は、サンプル102の移動がTDI検出器における電荷転送クロック信号に対して同期が取られる場合、サンプル102の連続画像を生成することができる。詳細には、TDI検出器は、ピクセルの列への露光から電荷を獲得し、また、走査方向に沿って、ピクセルの隣接する列と列の間で電荷を転送するためのクロックパルスを含む。走査方向に沿ったサンプル102の移動がTDI検出器における電荷転送に対して同期が取られる場合、走査中、電荷が連続的に蓄積する。このプロセスは、電荷がピクセルの最後の列に到達するまで継続し、次に検出器から読み出される。この方法によれば、単一のライン走査カメラを使用した場合に可能であると思われる時間フレームより長い時間フレームにわたって対象の画像が蓄積される。この比較的より長い収集時間により、画像中の光子雑音レベルが低くなる。さらに、画像と電荷の同期移動は、記録される画像中のぼやけを防止する。
【0045】
次に図2ないし図4を参照して、様々な計量学ターゲット設計についてより詳細に説明する。
【0046】
図2は、本開示の1つ以上の実施形態による、測定中、サンプル102が静止している静的モード(例えばフレームモード)計量学測定のために適した静的計量学ターゲット202の上面図である。
【0047】
例えば図2の静的計量学ターゲット202は、場合によっては、サンプル102の2つの層の間の位置決め誤差を決定するためのオーバーレイ計量学のために適している。詳細には、静的計量学ターゲット202は、ここでは静的計量学ターゲット202の象限として表されている4つのセル204a~dを含むことができる。各セル204a~dは、サンプル102の第1の層の上に配置された第1の層印刷要素206、およびサンプル102の第2の層の上に配置された第2の層印刷要素208を含むことができる。
【0048】
さらに、セル204aおよびセル204dは、図2に示されているX方向に沿ったオーバーレイ測定を提供するように構成することができる。例えばX方向に沿ったオーバーレイ測定は、各セル内またはセル204aとセル204dの間の第1の層印刷要素206および第2の層印刷要素208の相対位置を直接比較することによって実施することができる。別の実例では、X方向に沿ったオーバーレイ測定は、セル204aおよびセル204dにわたって分散している第1の層印刷要素206同士の間の回転対称の点(例えば回転対称、反射対称、鏡面対称、等々)と、セル204aおよびセル204dにわたって分散している第2の層印刷要素208同士の間の対称の点とを比較することによって実施することができる。同様に、セル204bおよびセル204cは、図2に示されているY方向に沿ったオーバーレイ測定を提供するように構成することができる。
【0049】
本明細書においては、静的測定(例えばMAM動作モード)のために構成された計量学ツールは、静的計量学ターゲット202の画像を単一の測定視野210(例えば単一のフレーム)で捕捉することができることが認識される。したがって計量学測定に対する計量学ツールの時間で変化する誤差の影響は、概ね、静的計量学ターゲット202のすべての画像を生成するために必要な露光時間程度の時間フレームで生じる時間で変化する誤差の影響に制限することができる。さらに、セル204a~dのすべてが単一の画像で同時に画像化されるため、時間で変化する誤差は、すべて、画像の様々な部分に対して共通の影響を有することになる。この点に関して、時間で変化する誤差は、通常、セル204a(またはセル204b)と関連する画像の一部と、セル204d(またはセル204c)と関連する画像の一部との間に相違を導入し得ない。
【0050】
しかしながら本明細書においては、走査測定のために構成された走査計量学システム100は、サンプル102が測定場を通って並進されている間に、静的計量学ターゲット202の画像をライン毎に生成することができることがさらに認識される。したがって時間で変化する誤差は、セル204a(またはセル204b)と関連する画像の部分と、セル204d(またはセル204c)と関連する画像の部分との間に、オーバーレイ計量学測定に直接影響を及ぼし得る相違を導入し得る。
【0051】
次に図3ないし図5を参照して、走査モード測定のために適した計量学ターゲットについて、本開示の1つ以上の実施形態に従って説明する。
【0052】
図3は、本開示の1つ以上の実施形態による走査計量学ターゲット302の概念図である。
【0053】
一実施形態では、走査計量学ターゲット302は、サンプル102上に分散した複数の測定セル304を含み、各セル304は、サンプル102の1つ以上の層の上に、選択された計量学測定を提供するように設計された印刷要素を含む。例えばオーバーレイ計量学測定は、リソグラフィの間、サンプル102の2つ以上の層の上のパターン要素間の相対位置を利用して、関連する層の位置決め誤差を決定することができ、パターン要素は、走査計量学ターゲット302の1つ以上のセル304の中に配置されている。別の例として、セル304は、1つ以上のサンプル層の上に印刷要素を含むことができ、それらに限定されないが、大きさ、限界寸法(CD)または位置などの特性は、露光中の1つ以上のプロセスパラメータ(例えばサンプル102の焦点位置、照明適用量、等々)を示す。
【0054】
別の実施形態では、走査計量学ターゲット302中のセル304は、走査方向308(例えば測定中にサンプル102が走査される方向)に沿って分散している1つ以上の測定群306内に編成されている。例えば各測定群306は、走査方向308に対して直角の横方向310に沿って分散している任意の数のセル304を含むことができ、また、走査計量学ターゲット302は、走査方向308に沿った任意の数の測定群306を含むことができる。
【0055】
本明細書においては、走査計量学システム100は、計量学性能に負の影響を及ぼし得る、関連する複数の誤差源を有し得ることが認識される。詳細には、走査計量学システム100は走査に沿った連続画像を生成するため、それらに限定されないが、振動またはジッターなどの時間で変化する誤差の影響は、他の部分に対する連続画像の特定の部分の変化(例えば連続画像中の空間変化)として出現し得る。例えば走査方向308と関連する誤差は、横方向に沿った連続画像の特定の部分に横方向のシフトを誘導し得る。別の例として、走査方向308に沿った並進速度(例えば走査速度)と関連する誤差は、連続画像の一部の伸びまたは縮みとして出現し得る。
【0056】
計量学の文脈においては、システム誘導誤差に起因する連続画像中の空間変化は、サンプルに関する情報を画像から抽出するように設計された計量学アルゴリズムの性能に負の影響を及ぼし得る。例えばオーバーレイ計量学は、サンプル102の2つ以上の層の上の画像化された特徴の相対位置に基づいて、サンプル層同士の間の位置決め誤差を測定することができる。しかしながら画像中の空間変化は、場合によっては画像中の特徴の場所に直接影響を及ぼし、したがって測定誤差に直接寄与し得る。別の例として、限界寸法計量学は、画像中の特徴の大きさに基づいてサンプル上の特徴の大きさを測定することができる。しかしながら画像中の空間変化は、場合によっては、走査方向308に沿った異なる場所における特徴の画像化された大きさに直接影響を及ぼし、したがって走査方向308に沿った一貫性のない測定結果に対して直接寄与し得る。
【0057】
したがって本開示の実施形態では、共通の計量学測定と関連するセル304は、共通の測定群306内に配置されるように配列することができる。この点に関して、各測定群306内のセル304は、時間で変化する誤差の影響を軽減するために同時に測定することができる。本明細書においては、時間で変化する誤差は、各測定群306内のセル304に依然として影響を及ぼし得ることが認識される。しかしながら測定群306の測定時間の程度のタイムスケール上で生じるのは時間で変化する誤差のみである(例えば走査方向308に沿って測定した最も大きいセル304のほぼ大きさ)。さらに、たとえこのタイムスケール上で生じるこれらの誤差であっても、測定群306内のすべてのセル304に同様に影響を及ぼすことになる。
【0058】
しかしながら計量学アルゴリズムは、異なる測定群306中のセル304の利用を予め排除していないことを理解されたい。本明細書においては、解析された、走査方向308に沿った画像の一部の大きさを大きくすると、時間で変化する誤差の影響が大きくなり得ることが単に企図されているにすぎない。
【0059】
走査計量学ターゲット302は、任意の選択された数の測定群306を含むことができ、各測定群306は、任意の選択された計量学測定のために適した任意の数のセル304を含む。一実施形態では、走査計量学ターゲット302は、第1の方向(例えばX方向)に沿ったオーバーレイ測定を提供するように設計された1つ以上のセル304を有する第1の測定群306、および第2の方向(例えばY方向)に沿ったオーバーレイ測定を提供するように設計された1つ以上のセル304を有する第2の測定群306を含むことができる。この点に関して、第1の方向に沿ったオーバーレイ計量学と関連する第1の測定群306中のセル304は、正確な計量学データを提供するために同時に測定することができる。同様に、第1の方向に沿ったオーバーレイ計量学と関連する第2の測定群306中のセル304も同時に測定することができる。別の実施形態では、走査計量学ターゲット302は、複数の方向(例えばX方向およびY方向)に沿ったオーバーレイ測定を提供するように設計された共通の測定群306の中に1つ以上のセル304を含むことができる。この点に関して、複数の方向に沿ったオーバーレイ計量学と関連する共通の測定群306中のセル304は同時に測定することができる。別の実施形態では、走査計量学ターゲット302は、CD計量学を提供するように設計された1つ以上のセル304を共通の測定群306の中に含み、それにより走査計量学ターゲット302中の異なる場所における特徴のためのCD測定に対する時間で変化する誤差の影響を最小化または別の方法で軽減することができる。別の実施形態では、走査計量学ターゲット302は、プロセス計量学データ(例えばリソグラフィツールにおける照明適用量、焦点位置、等々)を提供するように設計された1つ以上のセル304を共通の測定群306の中に含み、それによりプロセス計量学測定に対する時間で変化する誤差の影響を最小化または別の方法で軽減することができる。したがって特定の数または特定のレイアウトの測定群306を走査計量学ターゲット302の中に提供する例は、単に例証として提供されたものにすぎず、制限するものとして解釈してはならないことを理解されたい。
【0060】
一実施形態では、走査計量学ターゲット302は1つ以上の測定群306を含み、各測定群306内の様々な測定群306は、サンプル102上の共通の方向と関連する計量学測定(例えばオーバーレイ、プロセス監視、等々)を提供する。例えば走査計量学ターゲット302は、第1の方向に沿った計量学測定を提供するセル304を含むことができる第1の測定群306、および第1の方向とは異なる第2の方向に沿った計量学測定を提供するセル304を含むことができる第2の測定群306を含むことができる。第1の方向および第2の方向は、必ずしもそうである必要はないが直交していてもよい。さらに、第1の方向および第2の方向は、必ずしもそうである必要はないが、走査方向308および横方向310に対応していてもよい。
【0061】
したがって測定群306は、選択された関心の計量学測定を提供するのに適した任意の選択されたパターンを有する印刷要素を有するセル304を含むことができる。一実施形態では、測定群306は、周期印刷要素を有する少なくとも1つのセル304を含む。例えば周期印刷要素は、選択された方向に沿った共通の間隔を有する複数(例えば3つ以上)の要素を含むことができる。さらに、複数の要素は、必ずしもそうである必要はないが、共通の大きさを有することができる。
【0062】
次に図4Aないし図5を参照して、走査計量学ターゲット302の様々な構成について、本開示の1つ以上の実施形態に従って説明する。例えば本明細書においては、オーバーレイは、当技術分野で知られている任意の測定アルゴリズムに基づいてオーバーレイ測定を提供するように設計することができることが企図されている。例えば測定方向に沿ったオーバーレイ測値は、異なる露光ステップを使用して生成された印刷要素の相対位置または対称(例えば回転対称、反射対称、等々)の点を直接比較することによって生成することができる。さらに、図4Aないし図5に示されている走査計量学ターゲット302の構成はオーバーレイ計量学のために設計されているが、本開示に従って構成される走査計量学ターゲット302はオーバーレイ計量学に限定されないことを理解されたい。したがって本明細書においては、当業者は、本明細書において例証されている実施形態の中で説明されている特徴および動作原理を追加計量学ターゲット設計に拡張することができることが企図されている。
【0063】
図4Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、直交方向に沿ったオーバーレイ計量学のための2つの測定群306a、bを有する走査計量学ターゲット302の上面図であり、これらの2つの測定群306a、bのうちの各測定群内のセル304は回転対称を示している。
【0064】
一実施形態では、走査計量学ターゲット302は、横方向310に沿って分散している第1のセル304aおよび第2のセル304bを含む第1の測定群306a、および横方向310に沿って分散している第3のセル304cおよび第4のセル304dを含む第2の測定群306bを含む。第2の測定群306bは、走査方向308に沿って第1の測定群306から分離されている。さらに、セル304a~dは、第1のセットの印刷要素402および第2のセットの印刷要素404を有するものとして描写されている。第1のセットの印刷要素402および第2のセットの印刷要素404は、異なる処理ステップを使用して印刷することができる。例えば第1のセットの印刷要素402はサンプル102の第1の層の上に製造することができ、また、第2のセットの印刷要素404はサンプルの第2の層の上に製造することができる。別の例として、第1のセットの印刷要素402および第2のセットの印刷要素404は、異なる処理ステップでサンプル102の共通の層の上に製造することができる。
【0065】
さらに、セル304a~dのうちの任意のセルは、選択された関心の計量学測定を提供するのに適した任意の選択されたパターンを有する印刷要素を有するセル304を含むことができる。例えば測定群306aおよび/または測定群306bは、周期印刷要素を有する少なくとも1つのセル304を含むことができる。例えば周期印刷要素は、選択された方向に沿った共通の間隔を有する複数(例えば3つ以上)の要素を含むことができる。さらに、複数の要素は、必ずしもそうである必要はないが、共通の大きさを有することができる。
【0066】
一実施形態では、第1の測定群306a中の第1のセル304aおよび第2のセル304bは、第1の方向(例えばX方向)に沿ったオーバーレイ測定を提供するように構成され、一方、第2の測定群306b中の第3のセル304cおよび第4のセル304dは、第2の方向(例えばY方向)に沿ったオーバーレイ測定を提供するように構成される。この点に関して、第1の測定群306a中の第1のセル304aおよび第2のセル304bは、第1の方向に沿った関連する計量学測定に対する時間で変化する誤差の影響を最小化または別の方法で軽減するために同時に画像化することができる。同様に、第2の測定群306b中の第3のセル304cおよび第4のセル304dは、第2の方向に沿った関連する計量学測定に対する時間で変化する誤差の影響を最小化または別の方法で軽減するために同じく同時に画像化することができる。
【0067】
さらに、図4Aの走査計量学ターゲット302は、それには限定されないが、セル304の回転対称に基づくオーバーレイ計量学のためによく適している可能性がある。例えばセル304bは、測定群306a中の第1のセットの印刷要素402の回転対称の点406を、測定群306a中の第2のセットの印刷要素404の回転対称の点408に対して比較することによって、X方向に沿ったオーバーレイ測値を生成することができるよう、オーバーレイ誤差がない場合におけるセル304aの180度回転に対応するように設計することができる。図4Aでは、同様に、セル304dは、測定群306b中の第1のセットの印刷要素402の回転対称の点410を、測定群306b中の第2のセットの印刷要素404の回転対称の点412に対して比較することによって、Y方向に沿ったオーバーレイ測値を生成することができるよう、オーバーレイ誤差がない場合におけるセル304cの180度回転に対応するように設計することができる。この点に関して、回転対称セル304の測定は、走査計量学システム100の回転誤差を軽減または別の方法で小さくすることができる。
【0068】
本明細書においては、測定群306のセル304内における要素の様々な配列は所望の対称を提供することができることが企図されている。図4Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、直交方向に沿ったオーバーレイ計量学のための2つの測定群306a、bを有する走査計量学ターゲット302の上面図であり、これらの2つの測定群306a、bのうちの各測定群内のセル304は回転対称を示している。詳細には、図4Bの測定群306b中のセル304c、dは、Y方向(例えば測定方向)に沿って分散しており、図4Aの走査計量学ターゲット302と比較すると、Y方向に沿った測定群306bの長さが長くなっている。
【0069】
本明細書においては、走査計量学ターゲット302は複数の方向における走査に適しており、共通のターゲットを使用して、異なる方向に沿って獲得された測値の比較を容易にし得ることがさらに企図されている。例えば図4Bの走査計量学ターゲット302はX方向に沿って走査することができる(例えば図4Bに示されている走査方向308および横方向310は交換することができる)。
【0070】
しかしながら図4Aおよび図4Bに示されている180度回転対称は、単に例証を目的として提供されたものにすぎず、制限するものとして解釈してはならないことを理解されたい。どちらかと言えば走査計量学ターゲット302(または測定群306中のセル304の任意の群)は、互いに任意の量(例えば45度、90度、等々)だけ回転したバージョンに対応し得る。
【0071】
さらに、本明細書において既に説明したように、測定群306中のセル304は何らかの回転対称を有する必要はない。
【0072】
別の実施形態では、測定群306は複数の全く同じセル304を含む。図4Cは、本開示の1つ以上の実施形態による、複数の全く同じセル304c、dを有する走査計量学ターゲット302の上面図である。したがってY方向に沿ったオーバーレイ測値は、セル304c上およびセル304d上で個別にオーバーレイ測定を実施し(例えばそれぞれセル304cおよびセル304dの中の第1のセットの印刷要素402および第2のセットの印刷要素404の相対位置および/または対称の点に基づいて)、次に個別の測値を平均して走査計量学システム100の回転誤差を相殺することによって生成することができる。
【0073】
別の実施形態では、測定群306は、所望の測定方向(例えばX方向、Y方向、等々)に沿った反射対称(例えば鏡面対称、1-D対称、等々)を有するように設計された1つ以上の対のセル304を含む。図4Dは、本開示の1つ以上の実施形態による、2つの測定群306a、bを有する走査計量学ターゲット302の上面図であり、これらの2つの測定群306a、bのうちの各測定群内のセル304は反射対称を示している。例えば測定群306a中の第1のセットの印刷要素402および第2のセットの印刷要素404は、X方向に沿ったオーバーレイ測定を、測定群306a中の第1のセットの印刷要素402の対称の軸と、測定群306a中の第2のセットの印刷要素404の対称の軸との比較と関連付けることができるよう、軸414の周りに対称になるように設計することができる。同様に、測定群306b中の第1のセットの印刷要素402および第2のセットの印刷要素404は、Y方向に沿ったオーバーレイ測定を、測定群306b中の第1のセットの印刷要素402の対称の軸と、測定群306b中の第2のセットの印刷要素404の対称の軸との比較と関連付けることができるよう、軸416の周りに対称になるように設計することができる。
【0074】
別の実施形態では、測定群306は、同じ計量学測定ではあるが、レイアウトが異なる印刷要素(例えば第1のセットの印刷要素402および第2のセットの印刷要素404)を有する計量学測定を提供する複数のセル304を含む。例えばセル304の中の印刷要素は、要素同士の間、要素のセグメント同士の間、要素非対称同士の間、等々の間のピッチの変化を含むことができる。この点に関して、複数のセル304と関連する計量学信号を使用して、プロセス誤差および/またはパターン配置誤差(PPE)を監視することができ、プロセス誤差は印刷要素の変化に敏感である。
【0075】
別の実施形態では、特定のセル304は、故意に挿入されたスキュー(例えばオフセット)を有するパターン要素(例えば格子、等々)を含むことができる。この点に関して、セル304の計量学測定を利用して、アルゴリズムおよび/またはフラグによる残差最小化を提供することができる。
【0076】
しかしながらそれぞれ図4Aないし図4Dに示されている2つのセル304を有する測定群306の例証は、単に例証を目的として提供されたものにすぎず、制限するためのものとして解釈してはならないことを理解されたい。走査計量学ターゲット302の測定群306は、任意の数のセル304を含むことができる。
【0077】
図5は、本開示の1つ以上の実施形態による、それぞれ直交方向に沿ったオーバーレイ計量学のためのものである3つのセル304を備えた2つの測定群306を有する走査計量学ターゲット302の上面図である。例えば走査計量学ターゲット302は、セル304a~cを有する第1の測定群306a、およびセル304d~fを有する第2の測定群306bを含むことができる。さらに、図5に示されているように、セル304同士の間の対称は、異なる測定群306同士の間で異なっていてもよい。例えば第1の測定群306aは、2つの回転変形形態を有するセル304を含み、一方、第2の測定群306bは全く同じセル304を含む。
【0078】
本明細書において説明されている主題は、時には他の構成要素内に包含されている、あるいは他の構成要素と接続されている異なる構成要素を例証している。このような描写されたアーキテクチャは単に例示的なものにすぎないこと、また、実際、同じ機能性を達成する多くの他のアーキテクチャを実現することが可能であることを理解されたい。概念的な意味では、同じ機能性を達成するための任意の構造の構成要素が、所望の機能性が達成されるよう、効果的に「関連付けられている」。したがって本明細書においては、特定の機能性を達成するために組み合わされた任意の2つの構成要素は、アーキテクチャまたは中間の構成要素に無関係に所望の機能性が達成されるよう、互いに「関連している」と見なすことができる。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素は、同じく、所望の機能性を達成するために互いに「接続されている」または「結合されている」と見なすことができ、また、そのように関連付けることができる任意の2つの構成要素は、同じく、所望の機能性を達成するために互いに「結合可能」であると見なすことができる。結合可能の特定の例は、それらに限定されないが、物理的に相互作用可能な構成要素および/または物理的に相互作用する構成要素、および/または無線による相互作用可能な構成要素および/または無線で相互作用する構成要素、および/または論理的に相互作用可能な構成要素および/または論理的に相互作用する構成要素を含む。
【0079】
本開示およびそれに付随する多くの利点は、以上の説明によって理解されるものと思われ、また、開示された主題から逸脱することなく、あるいはその本質的な利点のすべてを犠牲にすることなく、形態、構造および構成要素の配置に様々な変更を加えることができることは明らかであろう。説明されている形態は単に説明的なものにすぎず、以下の特許請求の範囲はこのような変更を包含し、また、このような変更を含むことが意図されている。さらに、本発明は添付の特許請求の範囲によって定義されていることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5