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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025040597
(43)【公開日】2025-03-25
(54)【発明の名称】積層体、包装材
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/08 20060101AFI20250317BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20250317BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20250317BHJP
【FI】
B32B27/08
B32B7/12
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023147500
(22)【出願日】2023-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【弁理士】
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】寺村 美里
(72)【発明者】
【氏名】新居 正光
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AC07
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA13
3E086BA15
3E086BA24
3E086BA33
3E086BA35
3E086BB01
3E086BB02
3E086BB05
3E086BB22
3E086BB41
3E086BB51
3E086BB52
3E086BB68
3E086CA01
3E086CA28
3E086DA08
4F100AA01C
4F100AK03A
4F100AK03B
4F100AK21C
4F100AK24C
4F100AK69C
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100CB00C
4F100GB23
4F100JD02C
4F100JL11C
4F100JL12B
4F100JL16
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】
リサイクル性に優れたガスバリア性積層体、当該積層体を用いた包装材を提供する。
【解決手段】
第一の基材と、第一の基材と同じ樹脂種を含み、ヒートシール性を有する第二の基材と、第一の基材と第二の基材との間に配置されたガスバリア性接着層とを含み、第一の基材および第二の基材の少なくとも一方が、水性の非ハロゲン含有樹脂を含み、膜厚が0.1μm以上1μm以下であるバリア層を含む積層体、これを用いて得られる包装材により上記課題を解決する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の基材と、
前記第一の基材と同じ樹脂種を含み、ヒートシール性を有する第二の基材と、
前記第一の基材と前記第二の基材との間に配置されたガスバリア性接着層とを含み、
前記第一の基材および前記第二の基材の少なくとも一方が、水性の非ハロゲン含有樹脂を含み、膜厚が0.1μm以上1μm以下であるバリア層を含む積層体。
【請求項2】
前記バリア層が、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリカルボン酸、ポリエチレンイミンから選ばれる少なくとも一種を含む請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記バリア層が、無機化合物を含む請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
前記第一の基材と前記第二の基材とが、オレフィン系樹脂を含む請求項1に記載の積層体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の積層体からなる包装材。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の積層体を原料とするリサイクルプラスチック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクル性に優れたガスバリア性積層体、当該ガスバリア性積層体を用いて得られる包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
食品や日用品の包装に用いられる包装材料は通常、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムといったヒートシール性のフィルムと、ポリエステルフィルムやナイロンフィルムとった耐熱性および強度に優れる樹脂フィルムとを、接着剤を用いて貼り合わせた積層体からなる(特許文献1、2)。このような積層体に利用される接着剤として、ポリオールとイソシアネートからなる2液型ポリウレタン系の接着剤が知られている。
【0003】
一方近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、包装材料をリサイクルして使用することが試みられている。しかしながら、上記のような異種の樹脂フィルムを貼り合わせた積層体では種類ごとに樹脂を分離することが難しく、リサイクルに適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-004799号公報
【特許文献2】特開2004-238050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような背景に鑑み為されたものであって、リサイクル性に優れたガスバリア性積層体、当該積層体を用いた包装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第一の基材と、第一の基材と同じ樹脂種を含み、ヒートシール性を有する第二の基材と、第一の基材と第二の基材との間に配置されたガスバリア性接着層とを含み、第一の基材および第二の基材の少なくとも一方が、水性の非ハロゲン含有樹脂を含み、膜厚が0.1μm以上1μm以下であるバリア層を含む積層体に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の積層体によれば、リサイクル性に優れたガスバリア性積層体、包装材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<積層体>
本発明の積層体は、第一の基材と、第二の基材と、バリア層と、ガスバリア性接着層とを含む。以下本発明の積層体について詳述する。
【0009】
(第一の基材)
第一の基材は、化学的、物理的強度に優れるフィルム、シート(なお以下では特記しない限り、フィルムはフィルムとシートの総称でもある)であれば特に制限なく用いることができる。また、基材は単層フィルムであってもよいし、多層積層フィルムであってもよい。後述する包装材の内容物、種類、内容物充填後の加熱処理の有無等の使用条件に応じて適宜選択することができる。
【0010】
第一の基材の具体例としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテン、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の樹脂フィルム、Kコート延伸ポリプロピレンフィルム、Kコート延伸ナイロンフィルム、これらの2以上のフィルムを積層した複合フィルムが例示されるがこれに限定されない。
【0011】
また、バイオマス由来成分を含有する材料で形成させたフィルムを使用するのも好ましい。バイオマスフィルムは各社から販売されているほか、例えば、一般財団法人日本有機資源協会に記載のバイオマス認定商品一覧に挙げられるようなシートを使用することができる。
【0012】
具体的によく知られているフィルムは、バイオマス由来のエチレングリコールを原料としたものである。バイオマス由来のエチレングリコールは、バイオマスを原料として製造されたエタノール(バイオマスエタノール)を原料としたものである。例えば、バイオマスエタノールを、従来公知の方法により、エチレンオキサイドを経由してエチレングリコールを生成する方法等により、バイオマス由来のエチレングリコールを得ることができる。また、市販のバイオマスエチレングリコールを使用してもよく、例えば、インディアグライコール社から市販されているバイオマスエチレングリコールを好適に使用することができる。
【0013】
あるいは、ISO16620またはASTMD6866で規定されたバイオマスプラスチック度で区別されたバイオマス原料を使用したものも流通している。大気中では1012個に1個の割合で放射性炭素14Cが存在し、この割合は大気中の二酸化炭素でも変わらないので、この二酸化炭素を光合成で固定化した植物の中でも、この割合は変わらない。このため、植物由来樹脂の炭素には放射性炭素14Cが含まれる。これに対し、化石燃料由来樹脂の炭素には放射性炭素14Cがほとんど含まれない。そこで、加速器質量分析器で樹脂中の放射性炭素14Cの濃度を測定することにより、樹脂中の植物由来樹脂の含有割合、すなわちバイオマスプラスチック度を求めることができる。ISO16620またはASTM D6866で規定されたバイオマスプラスチック度が80%以上、好ましくは90%以上であるバイオマスプラスチックである植物由来の低密度ポリエチレンとしては、例えば、Braskem社製の商品名「SBC818」「SPB608」「SBF0323HC」「STN7006」「SEB853」「SPB681」等が挙げられ、これらを原料として使用したフィルムを好適に使用することができる。
【0014】
第一の基材の膜厚は特に限定されず、成型性や透明性の観点から、1~300μmの範囲で適宜選択すればよい。好ましくは1~100μmの範囲である。1μmを下回ると強度が不足し、300μmを超えると剛性が高くなり過ぎ、加工が困難になる恐れがある。
【0015】
第一の基材は、何等かの表面処理、例えばコロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理等の物理的な処理や、化学薬品を用いた酸化処理等の化学的な処理、その他処理が施されたものであってもよい。
【0016】
第一の基材は、例えば上述した樹脂から選ばれる1種または2種以上を用い、押出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等、従来公知の製膜化法により製造することができる。あるいは上述した樹脂から選ばれる2種以上の樹脂を使用し、多層共押し出し製膜化法により製造することができる。フィルムの強度、寸法安定性、耐熱性の観点から、テンター方式、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してもよい。
【0017】
第一の基材は、必要に応じて添加剤が含んでいてもよい。具体的には、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離型性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができる。添加剤の添加量は、他の性能に影響を与えない範囲で調整する。
【0018】
(第二の基材)
第二の基材はフィルムを含み、熱によって溶融し相互に融着するヒートシール性を有する。フィルムは、第一の基材と同様のものを用いることができる。
【0019】
フィルムは1軸方向または2軸方向に延伸した延伸フィルムであってもよいし、未延伸フィルムであってもよい。2軸方向に延伸する場合、例えば50~100℃のロール延伸機により2~4倍に縦延伸し、さらに90~150℃の雰囲気のテンター延伸機により3~5倍に横延伸した後、同テンターにより100~240℃の雰囲気下で熱処理して得られる。また延伸フィルムは同時二軸延伸、逐次二軸延伸をしてもよい。
【0020】
第二の基材の膜厚は任意に選択し得るが、包装材料としての強度等の観点から、5~500μmとすることが好ましい。より好ましくは10~250μmである。
【0021】
第二の基材は、フィルム自体がヒートシール性を有する場合はフィルムのみであってもよいし、フィルムにヒートシール性樹脂と溶剤とを含むヒートシール剤を塗工し、溶剤を乾燥させてヒートシール層を形成したものであってもよい。
【0022】
ヒートシール性樹脂としては、例えば、セラック類、ロジン類、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、硝化綿、酢酸セルロース、セルロースアセチルプロピオネート、セルロースアセチルブチレート、塩化ゴム、環化ゴム、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化エチレンビニルアセテート樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン-ビニルアルコール樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、カゼイン、アルキッド樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられ、これらは一種類または二種類以上組み合わせて使用してもよい。リサイクル性の観点からはフィルムと同じ樹脂種を用いることが好ましいが、本発明の積層体の総膜厚の90%が同じ樹脂種であれば容易にリサイクル可能なため、ヒートシール剤に用いられるヒートシール性樹脂はフィルムと異なっていてもよい。
【0023】
ヒートシール剤としては、これらの樹脂を有機溶剤に溶解したタイプ、水または水性の有機溶剤に溶解したタイプ、あるいはアクリル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョン、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン-ビニルアルコール系エマルジョン、エチレン-メタクリル酸系エマルジョン、ポリオレフィン系エマルジョン、エチレンビニルアセテート系エマルジョンなどを水または水性の有機溶剤中に分散させたエマルジョンタイプなど、いずれの形態のものであってもよい。
【0024】
有機溶剤としては、特に制限はないが、たとえばトルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150等の芳香族炭化水素系、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル系の各種有機溶剤が挙げられる。
【0025】
水性の有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロハキサノン等のケトン系、エチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、エチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル等のグリコールエーテル等が挙げられる。
【0026】
ヒートシール剤は、ヒートシール性の樹脂、溶剤以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、ワックス、フィラー、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、粘着付与剤、防腐剤、抗菌剤、防錆剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0027】
ヒートシール剤の塗工方法としては公知の方法が使用できる。例えばロールコーター、グラビアコーター、フレキソコーター、エアドクターコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、トランスファロールコーター、キスコーター、カーテンコーター、キャストコーター、スプレイコーター、ダイコーター、オフセット印刷機、スクリーン印刷機等を使用できる。また塗工後オーブン等で乾燥工程を設けてもよい。
【0028】
ヒートシール層の膜厚(ヒートシール剤の塗布量(固形分))は任意でよく、一例として、0.5g/m~5g/mである。
【0029】
第二の基材は、第一の基材と同じ樹脂種を含む。これにより、リサイクル性に優れた積層体とすることができる。第一の基材、第二の基材はともにポリエステル樹脂またはオレフィン系樹脂を含むことが好ましく、オレフィン樹脂を含むことがより好ましい。第一の基材と第二の基材がともにポリエステル樹脂を含む場合、第一の基材は例えばPETフィルムであり、第二の基材はヒートシール性を有するPETフィルムである。第一の基材と第二の基材がともにオレフィン樹脂を含む場合、第一の基材は例えば二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、二軸延伸ポリエチレンフィルム(OPE)、一軸延伸ポリエチレンフィルム(MDOPE)、高密度ポリエチレンフィルム(HDPE)から選ばれ、第二の基材は未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)、低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)から選ばれる。
【0030】
(バリア層)
第一の基材および第二の基材の少なくとも一方は、バリア層を含む。バリア層は、低湿度下(一例として湿度50%以下)での酸素バリア性に優れる水性(水溶性または水膨潤性)の非ハロゲン含有樹脂を含む層である。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリカルボン酸、ポリアルキレンイミン等が挙げられる。バリア層の膜厚は0.1μm以上1μm以下である。
【0031】
エチレンビニルアルコール共重合体は、エチレンとビニルエステルの共重合体を加水分解して得ることができる。ビニルエステルとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられ、1種または2種以上を組合わせて用いることができる。酢酸ビニルを用いることが好ましい。
【0032】
エチレンビニルアルコール共重合体におけるエチレン単位の含有量は20モル%以上60モル%以下であることが好ましい。20モル%未満であると、耐屈曲性、粘度安定性、溶融成型時の熱安定性が低下する傾向にある。60モル%を超えるとガスバリア性が低下する傾向にある。エチレン、ビニルエステル以外の成分、例えばプロペン、1-ブテン、イソブチレン、1,3-ブタジエン、酢酸イソプロペニル、酢酸2-プロペニル、スチレン、α-メチルスチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、N-ビニル-N-メチルホルムアミド、ビニルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-(ヒドロキシメチル)-N-ビニルホルムアミドアクリル酸ヒドロキシエチル、メチルビニルケトンおよびジアセトンアクリルアミド等を共重合してもよいが、これらの成分は30モル%以下に留めることが好ましい。
【0033】
ガスバリア性、粘度安定性、溶融成形時の熱安定性、耐湿性等に優れることからエチレンビニルアルコール共重合体のケン化度は、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましい。完全ケン化したものであってもよい。ケン化度は、例えば、OMNICソフトウェアにより制御されたNicolet 5700FTIR分光計を用いて、FTIRにより測定することができる。
【0034】
エチレンビニルアルコール共重合体は融点が180℃未満であることが好ましく、130℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度は45℃以上65℃以下であることが好ましい。
【0035】
ポリビニルアルコールは上述したようなビニルエステル共重合体を加水分解して得ることができる。ケン化度は、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましい。完全ケン化したものであってもよい。
ポリビニルアルコールの融点は200℃以上であることが好ましい。また、ポリビニルアルコールのガラス転移温度は65℃以上85℃以下であることが好ましい。
【0036】
エチレンビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールのガラス転移温度、融点は次のようにして測定する。
示差走査熱量測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製DSC-7000、以下DSCとする)を用い、試料5mgを20mL/minの窒素気流下で30℃から10℃/minでT℃まで昇温した後10分保持し、その後10℃/minでT℃まで冷却して熱履歴を除去する。T℃にて5分保持した後、再び10℃/minでT℃まで昇温させてDSC曲線を測定し、2度目の昇温工程で観測される測定結果における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点をガラス転移点とし、このときの温度をガラス転移温度とする。また、2度目の昇温工程で観測される吸熱曲線の最大ピーク温度を融点とする。
【0037】
<T≦Tであり、Tは試料のガラス転移温度よりも十分低く、T及びTは試料の融点よりも少なくとも30℃以上高い温度である。一例としてTは200℃であり、Tは-80℃であり、Tは200℃であるが、測定する試料に合わせて適宜調整される。
【0038】
ポリアルキレンイミンは、ポリアルキレンイミン骨格を有する樹脂であり、アルキレンイミン(例えば、エチレンイミン、プロピレンイミン)の1種又は2種以上を常法により重合して得られる。ポリアルキレンイミンは、直鎖状ポリアルキレンイミン鎖からなる直鎖ポリアルキレンイミンであってもよいし、分岐状ポリアルキレンイミン鎖を有する分岐ポリアルキレンイミンであっても構わない。
【0039】
ポリアルキレンイミンとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミンが挙げられる。ポリアルキレンイミンは、ポリアルキレンイミン鎖の少なくとも一部の窒素原子に置換基(例えば、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシエチル基)が導入されたものであってもよい。テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンビスアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、ポリチタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、チタンステアレート等の有機金属化合物で変性されたものを用いてもよく、2種以上のポリアルキレンイミンを併用することもできる。
【0040】
ポリアルキレンイミンが分岐状の場合、その分岐の程度はポリアルキレンイミンが有する1級、2級、3級アミノ基の割合で表すことができる。一例として1級アミノ基の割合が 20~40%、2級アミノ基の割合が30~60%、3級アミノ基の割合が20~35%であるポリアルキレンイミンを用いることが好ましい。ポリアルキレンイミンに含まれる1級、2級、3級アミン基の割合は、13C-NMR分光法により測定することができる。分岐ポリアルキレンイミンは、好ましくは分岐ポリエチレンイミンである。
【0041】
ポリアルキレンイミンの数平均分子量は適宜調整され得るが、一例として5,000以上100,000以下である。ポリアルキレンイミンの数平均分子量は、プルランを標準物質としてGPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)法によって測定することができる。
【0042】
ポリカルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸の単独重合体、共重合体、これらの塩から選ばれる少なくとも一種である。ポリカルボン酸塩としては、ポリカルボン酸のアルカリ金属塩、4級アンモニウム塩、アルカノールアミン塩等が挙げられる。
ポリカルボン酸は重量平均分子量が1,000~50,000程度のものが好ましい。
【0043】
本発明の一実施形態において、バリア層は第一の基材および/または第二の基材の表面に積層、共押出、吹きつけ、蒸着、またはコーティングにより設けられる。
本発明の一実施形態において、バリア層は第一の基材および/または第二の基材中に、共押出により設けられる。
【0044】
バリア層をコーティングにより設ける場合は、上述の樹脂を溶剤に溶解あるいは分散させてコーティング剤を調製し、これを塗布する。溶剤としては、水、水に溶解する水溶性有機溶剤等が使用できる。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。カビまたはバクテリアの発生を防止することができるため、長期保存の観点からは紫外線照射または過酸化水素添加等によって滅菌された水を用いることが好ましい。
【0045】
水溶性有機溶剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類;ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールなどのジオール類;ラウリン酸プロピレングリコールなどのグリコールエステル;ジエチレングリコールモノエチル、ジエチレングリコールモノブチル、ジエチレングリコールモノヘキシル、カルビトールなどのジエチレングリコールエーテル類;プロピレングリコールエーテル、ジプロピレングリコールエーテル、およびトリエチレングリコールエーテルを含むセロソルブなどのグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ブチルアルコール、ペンチルアルコールなどのアルコール類;スルホラン、エステル、ケトン、γ-ブチロラクトンなどのラクトン類、N-(2-ヒドロキシエチル)ピロリドンなどのラクタム類、グリセリンおよびそのポリアルキレンオキサイド付加物など、水性有機溶剤として知られる他の各種の溶剤などを挙げることができる。これらの水性有機溶剤は、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0046】
基材中にバリア層を設ける場合は、例えば3台の押出機のうち2台にポリエチレンなどの基材の材料を、1台にエチレンビニルアルコール共重合体などのバリア層の材料を供給し、共押出してポリエチレン/エチレンビニルアルコール共重合体/ポリエチレンのように基材中にバリア層が設けられたフィルムを得る。
【0047】
バリア層は、無機化合物を含むことも好ましい。これにより、よりガスバリア性に優れた積層体とすることができる。無機化合物としては、含水ケイ酸塩(フィロケイ酸塩鉱物等)、カオリナイト-蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等、アンチゴライト、クリソタイル等)、パイロフィライト-タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライ等)、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等)、バーミキュライト族粘土鉱物(バーミキュライト等)、雲母又はマイカ族粘土鉱物(白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等)、緑泥石族(クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等)、ハイドロタルサイト、板状硫酸バリウム、ベーマイト、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。これらの鉱物は天然粘土鉱物であっても合成粘土鉱物であってもよい。無機化合物は1種または2種以上を併用することができる。
【0048】
無機化合物は、形状が粒子状のものであってもよいし、板状のもので合ってもよい。なお本明細書において無機化合物の形状が粒子状とは、アスペクト比が1~1.5のものをいい、板状とはアスペクト比が1.5を超えるものをいう。板状無機化合物のアスペクト比の上限は特に制限されないが、塗工性の観点から100以下であることが好ましい。
【0049】
無機化合物の平均粒径は特に制限されないが、無機化合物の形状が粒子状の場合は一例として10nm以上であるであることが好ましい。平均粒径の上限は適宜調整されるが一例として1μm以下である。なお本明細書において無機化合物の平均粒径とは、無機化合物の粒度分布を光散乱式測定装置で測定した場合の出現頻度が最も高い粒径をいう。
無機化合物の形状が板状である場合は、その厚さが一例として0.05μm以上0.1μm、長さが0.1μm以上10μmであることが好ましい。無機化合物の厚さ、長さは粒度分布と同様の方法にて測定される。
【0050】
第一の基材と第二の基材がともにバリア層を有する場合、第一の基材、第二の基材ともに基材表面にバリア層を有していてもよいし、第一の基材、第二の基材ともに基材中にバリア層を有していてもよい。第一の基材は基材表面にバリア層を有し、第二の基材は基材中にバリア層を有していてもよいし、第一の基材は基材中にバリア層を有し、第二の基材は基材表面にバリア層を有していてもよい。
バリア層が第一の基材の表面に設けられる場合、バリア層は第一の基材と後述するガスバリア性接着層との間に位置するよう配置されることが好ましい。
バリア層が第二の基材の表面に設けられる場合、バリア層は第二の基材と後述するガスバリア性接着層との間に位置するよう配置されることが好ましい。
【0051】
(ガスバリア性接着層)
ガスバリア性接着層は、ガスバリア性接着剤の硬化塗膜である。ガスバリア接着層は第一の基材と第二の基材との間に配置され、直接または他の層を介してこれらの基材を貼り合わせる。なお、本明細書においてガスバリア性接着剤とは、3g/m(固形分)で塗布した塗膜の23℃0%RHでの酸素バリア性が300cc/m/day/atm以下、または水蒸気バリア性が120g/m/day以下の、少なくとも一方の条件を満足するものをいう。本発明で好ましく用いられるガスバリア性接着剤としては、下記(A1)~(A3)の少なくとも1種のポリエステルポリオール(A)を含むポリオール組成物(X)と、1分子中に少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物(以下単にイソシアネート化合物(B)ともいう)を含むポリイソシアネート組成物(Y)とからなる2液型接着剤が挙げられる。
【0052】
(1)オルト配向性多価カルボン酸を含む多価カルボン酸と、多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステルポリオール(A1)
(2)イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A2)
(3)重合性炭素-炭素二重結合を有するポリエステルポリオール(A3)
【0053】
ポリエステルポリオール(A1)の合成に用いられるオルト配向性多価カルボン酸としては、オルトフタル酸又はその酸無水物、ナフタレン2,3-ジカルボン酸又はその酸無水物、ナフタレン1,2-ジカルボン酸又はその酸無水物、アントラキノン2,3-ジカルボン酸又はその酸無水物、及び2,3-アントラセンカルボン酸又はその酸無水物等が挙げられる。これらの化合物は、芳香環の任意の炭素原子に置換基を有していても良い。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i-プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、フェニル基又はナフチル基等が挙げられる。
【0054】
ポリエステルポリオール(A1)の合成に用いられる多価カルボン酸は、オルト配向性多価カルボン酸以外の多価カルボン酸を含んでいてもよい。オルト配向性多価カルボン酸以外の多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸;無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和結合含有多価カルボン酸;1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の酸無水物或いはエステル形成性誘導体、p-ヒドロキシ安息香酸、p-(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の芳香族多価カルボン酸等が挙げられ、1種または2種以上を併用することができる。中でも、コハク酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、イソフタル酸及びその酸無水物が好ましい。
【0055】
多価カルボン酸が、オルト配向性多価カルボン酸以外の多価カルボン酸を含む場合、多価カルボン酸全量に占めるオルト配向性多価カルボン酸の割合が40~100質量%であることが好ましい。
【0056】
ポリエステルポリオール(A1)の合成に用いられる多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、エチレングリコールを含むことがより好ましい。
【0057】
多価アルコールは上記以外の多価アルコールを併用してもよく、例えば1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等の脂肪族ジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,2,4-ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスルトール等の三価以上の多価アルコール、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらのエチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族等の芳香族多価フェノール等を例示することができる。
【0058】
ポリエステルポリオール(A1)が3個以上の水酸基を有する場合(便宜上ポリエステルポリオール(a1)とする)、水酸基の一部を酸基で変性してもよい。このようなポリエステルポリオールを以下ではポリエステルポリオール(A1’)ともいう。ポリエステルポリオール(A1’)は、ポリエステルポリオール(a1)に、多価カルボン酸またはその酸無水物を反応させて得られる。多価カルボン酸で変性する水酸基の割合は、ポリエステルポリオール(a1)が備える水酸基の1/3以下とすることが好ましい。変性に用いる多価カルボン酸としては、無水コハク酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、無水フタル酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物、オレイン酸、ソルビン酸等が挙げられるがこれに限定されない。
【0059】
ポリエステルポリオール(A2)は、例えば、イソシアヌル環を有するトリオールと、オルト配向性芳香族多価カルボン酸を含む多価カルボン酸と、多価アルコールとを反応させて得られる。イソシアヌル環を有するトリオールとしては、例えば、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸等のイソシアヌル酸のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。オルト配向性芳香族多価カルボン酸、多価カルボン酸、多価アルコールはポリエステルポリオール(A1)と同様のものを用いることができる。
【0060】
イソシアヌル環を有するトリオール化合物としては1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、または1,3,5-トリス(2-ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸を用いることが好ましい。オルト配向性芳香族多価カルボン酸としては、オルトフタル酸無水物を用いることが好ましい。多価アルコールとしては、エチレングリコールを用いることが好ましい。
【0061】
ポリエステルポリオール(A3)は、多価カルボン酸、多価アルコールとして重合性炭素-炭素二重結合をもつ成分を使用することにより得られる。
【0062】
重合性炭素-炭素二重結合をもつ多価カルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸及びその酸無水物、3-メチル-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸及びその酸無水物等が挙げられる。炭素原子数が少ないほど分子鎖が過剰に柔軟にならずに酸素透過しにくいと推定されることから、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸が好ましい。
重合性炭素-炭素二重結合をもつ多価アルコールとしては、2-ブテン-1,4-ジオール等があげられる。
【0063】
上記に加えて重合性炭素-炭素二重結合を有しない多価カルボン酸、多価アルコールを併用してもよい。このような多価カルボン酸、多価アルコールとしては、ポリエステルポリオール(A1)、(A2)と同様のものを用いることができる。多価カルボン酸はコハク酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、オルトフタル酸、オルトフタル酸の酸無水物、イソフタル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましく、オルトフタル酸及びその酸無水物の少なくとも一種を用いることがより好ましい。多価アルコールはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましく、エチレングクリコールを用いることがより好ましい。
【0064】
ポリエステルポリオール(A)の水酸基価は、20mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましい。水酸基価が20mgKOH/gより小さい場合、分子量が大きすぎるためポリオール組成物(A)の粘度が高くなり、例えば無溶剤型接着剤として適用する場合の塗工温度を高くする必要がある。水酸基価が250mgKOH/gを超える場合、硬化塗膜の架橋密度が高くなりすぎ、接着強度が低下する場合がある。
【0065】
ポリエステルポリオール(A)が酸基を有する場合、酸価は200mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が200mgKOH/gを超える場合、ポリオール組成物(X)とポリイソシアネート組成物(Y)との反応が早くなり過ぎ、塗工適性が低下するおそれがある。酸価の下限は特に制限されないが、一例として20mgKOH/g以上である。酸価が20mgKOH/g以上であると分子間の相互作用により良好なガスバリア性や初期凝集力が得られる。ポリエステルポリオール(A)の水酸基価はJIS-K0070に記載の水酸基価測定方法にて、酸価はJIS-K0070に記載の酸価測定法にて測定することができる。
【0066】
ポリエステルポリオール(A)の数平均分子量は300~5000であると接着性とガスバリア性とのバランスに優れる程度の架橋密度が得られるため特に好ましい。より好ましくは数平均分子量が350~3000である。数平均分子量は得られた水酸基価と設計上の水酸基の官能基数から計算により求める。
【0067】
ポリエステルポリオール(A)のガラス転移温度は基材への密着性とガスバリア性とのバランスから-30℃以上80℃以下であることが好ましく、0℃以上60℃以下であることがより好ましく、25℃以上60℃以下であることがさらに好ましい。
【0068】
ポリエステルポリオール(A)は、ポリエステルポリオール(A1)~(A3)をジイソシアネート化合物との反応によるウレタン伸長により数平均分子量1000~15000としたポリエステルポリウレタンポリオール、であってもよい。ウレタン伸長したポリエステルポリオールには一定以上の分子量成分とウレタン結合とが存在するため、優れたガスバリア性を持ち、初期凝集力に優れ、ラミネート用の接着剤として優れる。
【0069】
ガスバリア性を有する2液型接着剤の一成分であるポリイソシアネート組成物(Y)は、イソシアネート化合物(B)を含む。イソシアネート化合物(B)としては、従来公知のものを特に制限なく用いることができ、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート或いはこれらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、メタキシリレンアルコール、1,3-ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4-ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メタキシリレンジアミンなどの低分子活性水素化合物およびそのアルキレンオキシド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などと反応させて得られるアダクト体が挙げられる。ポリエステルポリオール(A1)~(A3)とジイソシアネート化合物とを、水酸基とイソシアネート基の比率をイソシアネート過剰で反応させて得られるポリエステルポリイソシアネートを用いてもよい。これらは1種または2種以上を併用することができる。
【0070】
また、イソシアネート化合物としてブロック化イソシアネートを用いてもよい。イソシアネートブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなそのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3-ジクロロ-2-プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t-ブタノール、t-ペンタノール、などの第3級アルコール類、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピロラクタムなどのラクタム類が挙げられ、その他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とイソシアネートブロック化剤とを公知慣用の適宜の方法より付加反応させて得られる。
【0071】
中でも、良好なガスバリア性が得られることからキシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート由来の骨格を有するイソシアネート化合物を用いることがより好ましい。
【0072】
このようなイソシアネート化合物としては、ジイソシアネートの3量体、アミンとの反応により合成されるビューレット体、アルコールと反応してなるアダクト体が挙げられる。3量体、ビューレット体と比べ、溶剤型接着剤に用いられる有機溶剤への溶解性が良好なことから、接着剤が溶剤型の場合はアダクト体を用いることが好ましい。アダクト体としては、上記の低分子活性水素化合物の中から適宜選択されるアルコールと反応してなるアダクト体が使用できるが、中でも、トリメチロールプロパン、グリセロール、トリエタノールアミン、メタキシレンジアミンのエチレンオキシド付加物とのアダクト体が好ましい。
【0073】
また、ポリオール組成物(X)として、ポリエステルポリオール(A1’)のようにカルボン酸基が残存しているポリエステルポリオールを含む組成物を用いる場合には、ポリイソシアネート組成物(Y)がエポキシ化合物を含んでいてもよい。エポキシ化合物としてはビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p-オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4-ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
【0074】
エポキシ化合物を用いる場合には、硬化を促進する目的で汎用公知のエポキシ硬化促進剤を本発明の目的が損なわれない範囲で適宜添加してもよい。
【0075】
ポリオール組成物(X)として、ポリエステルポリオール(A3)のように重合性炭素-炭素二重結合を有するポリオールを含む組成物を用いる場合には、炭素-炭素二重結合の重合を促進するために公知の重合触媒を併用することができ、一例として遷移金属錯体が挙げられる。遷移金属錯体は、重合性二重結合を酸化重合させる能力を備える化合物であれば特に限定されない。例えば、コバルト、マンガン、鉛、カルシウム、セリウム、ジルコニウム、亜鉛、鉄、銅等の金属と、オクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、ステアリン酸、樹脂酸、トール油脂肪酸、桐油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、大豆油脂肪酸等との塩を用いることができる。遷移金属錯体の配合量はポリオール組成物(X)に含まれる樹脂固形分に対して0~10質量部が好ましく、より好ましくは0~3質量部である。
【0076】
ポリオール組成物(X)とポリイソシアネート組成物(Y)とは、ポリオール組成物(X)に含まれる水酸基と、ポリイソシアネート組成物(Y)に含まれるイソシアネート基との当量比が1/0.5~1/10となるよう配合することが好ましく、1/1~1/5となるよう配合することがより好ましい。イソシアネート化合物が過剰の場合、接着剤の硬化塗膜に残留した余剰のイソシアネート化合物が接着層からブリードアウトするおそれがある。一方、ポリイソシアネート組成物(Y)に含まれる反応性の官能基が不足すると、接着強度が不足するおそれがある。
【0077】
ガスバリア性接着剤には、接着性およびガスバリア性を損なわない範囲で各種添加剤を配合してもよい。
【0078】
このような添加剤として、無機充填剤を用いてもよい。無機充填剤としては、シリカ、アルミナ、アルミニウムフレーク、ガラスフレーク等が挙げられる。特に無機充填剤として板状無機化合物を用いると、接着強度、ガスバリア性、遮光性等が向上するため好ましい。板状無機化合物としては、含水ケイ酸塩(フィロケイ酸塩鉱物等)、カオリナイト-蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等、アンチゴライト、クリソタイル等)、パイロフィライト-タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライ等)、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等)、バーミキュライト族粘土鉱物(バーミキュライト等)、雲母又はマイカ族粘土鉱物(白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等)、緑泥石族(クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等)、ハイドロタルサイト、板状硫酸バリウム、ベーマイト、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。これらの鉱物は天然粘土鉱物であっても合成粘土鉱物であってもよい。板状無機化合物は1種または2種以上を併用することができる。
【0079】
板状無機化合物は、層間に電荷を有するイオン性のものであってもよいし、電荷を持たない非イオン性のものであってもよい。層間の電荷の有無は接着層のガスバリア性に直接大きな影響を与えない。しかしながらイオン性の板状無機化合物や水に対して膨潤性を有する無機化合物は溶剤型接着剤への分散性が劣り、添加量を増加させると接着剤と増粘したり、チキソ性となったりして塗工適性が低下するおそれがある。このため板状無機化合物層間電化を持たない非イオン性であることが好ましい。
【0080】
板状無機化合物の平均粒径は、特に制限されないが、一例として0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。0.1μmよりも小さいと、酸素分子の迂回経路が長くならず、ガスバリア性の向上が十分には期待できない。平均粒径の上限は特に制限されないが、粒径が大きすぎると塗工方法によっては塗工面にスジ等の欠陥が生じる場合がある。このため、一例として平均粒径は100μm以下であることが好ましく、20μm以下であることが好ましい。なお本明細書において板状無機化合物の平均粒径とは、板状無機化合物の粒度分布を光散乱式測定装置で測定した場合の出現頻度が最も高い粒径をいう。
【0081】
板状無機化合物のアスペクト比は酸素の迷路効果によるガスバリア性の向上のためには高い方が好ましい。具体的には3以上が好ましく、更に好ましくは10以上、最も好ましくは40以上である。
【0082】
板状無機化合物の配合量は任意であるが、一例として、ポリオール組成物(X)、ポリイソシアネート組成物(Y)、板状無機化合物の固形分総質量を100質量としたときに、板状無機化合物の配合量が5~50質量部である。
【0083】
ガスバリア性接着剤が接着促進剤を含んでいてもよい。接着促進剤としては、加水分解性アルコキシシラン化合物等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系等のカップリング剤、エポキシ樹脂等が挙げられる。シランカップリング剤やチタネート系カップリング剤は、各種フィルム材料に対する接着性を向上させる効果が期待できる。
【0084】
ガスバリア性接着層に耐酸性が必要な場合には、ガスバリア性接着剤が公知の酸無水物を含んでいてもよい。酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、コハク酸無水物、ヘット酸無水物、ハイミック酸無水物、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドラフタル酸無水物、テトラプロムフタル酸無水物、テトラクロルフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7-ナフタリンテトラカルボン酸2無水物、5-(2,5-オキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、スチレン無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
【0085】
必要に応じて、更に酸素捕捉機能を有する化合物等を添加してもよい。酸素捕捉機能を有する化合物としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。
【0086】
ガスバリア性接着剤が下記一般式(1)または(2)で表される化合物を含んでいてもよい。
【0087】
【化1】
(一般式(1)中、R~Rは、水素原子、炭素数1~30のアルキル基、(メタ)アクリロイル基、置換基を有してもよいフェニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基から選ばれる基であるが、少なくとも一つは水素原子であり、nは、1~4の整数を表す。)
【0088】
【化2】
(一般式(2)中、R~Rは、水素原子、炭素数1~30のアルキル基、(メタ)アクリロイル基、置換基を有してもよいフェニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基から選ばれる基であり、m、lは1~4の整数、pは0~30の整数、qは0~30の整数を表すが、pとqが共に0である場合を除く。)
【0089】
上記一般式(1)、(2)で表される化合物の具体例としては、リン酸、ピロリン酸、トリリン酸、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、イソドデシルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、2-ヒドロキシエチルメタクリレートアシッドホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸等が挙げられる。
【0090】
上記一般式(1)または(2)で表される化合物の配合量は、ガスバリア性接着剤の固形分全量の0.005~10質量%であることが好ましく、0.01~1質量%であることがより好ましい。
【0091】
塗布直後の各種フィルム材料に対する粘着性を向上させるために、必要に応じてキシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂などの粘着付与剤を添加しても良い。これらを添加する場合にその配合量は、ポリオール組成物(X)とポリイソシアネート組成物(Y)の固形分総量100質量部に対して0.01~5質量部の範囲が好ましい。
【0092】
ポリオール組成物(X)がポリエステルポリオール(A2)を含む場合、重合性炭素-炭素二重結合を反応させる方法として活性エネルギー線を使用することもできる。活性エネルギー線としては公知の技術が使用でき、電子線、紫外線、或いはγ線等の電離放射線等を照射して硬化させることができる。紫外線で硬化させる場合、高圧水銀灯、エキシマランプ、メタルハライドランプ等を備えた公知の紫外線照射装置を使用することができる。
【0093】
紫外線を照射して硬化させる場合には、必要に応じて、紫外線の照射によりラジカル等を発生する光(重合)開始剤をポリエステルポリオール(A2)100質量部に対して0.1~20質量部程度添加することが好ましい。
【0094】
ラジカル発生型の光(重合)開始剤としては、ベンジル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等の水素引き抜きタイプや、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルフェニルケトン等の光開裂タイプが挙げられる。これらの中から単独或いは複数のものを組み合わせて使用することができる。
【0095】
その他、ガスバリア性接着剤が安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、結晶核剤等を含んでいてもよい。これらの各種添加剤は予めポリオール組成物(X)およびポリイソシアネート組成物(Y)のいずれか一方、または両方に添加しておいてもよいし、ポリオール組成物(X)とポリイソシアネート組成物(Y)とを混合する際に添加してもよい。
【0096】
本発明で用いられるガスバリア性接着剤は、溶剤型、無溶剤型いずれの形態であってもよい。本明細書において溶剤型接着剤とは、接着剤を基材に塗工した後に、オーブン等で加熱して塗膜中の有機溶剤を揮発させた後に他の基材と貼り合せる方法、いわゆるドライラミネート法に用いられる形態をいう。用いられる溶剤としては、トルエン、キシレン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、トルオール、キシロール、n-ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリオール組成物(X)およびポリイソシアネート組成物(Y)のいずれか一方、もしくは両方が上述した有機溶剤を含む。溶剤型の場合、ポリオール組成物(X)またはポリイソシアネート組成物(Y)の構成成分の製造時に反応媒体として使用された溶剤が、更に塗装時に希釈剤として使用される場合もある。
【0097】
無溶剤型接着剤とは、接着剤を基材に塗工した後に、オーブン等で加熱して溶剤を揮発させる工程を経ずに他の基材と貼り合せる方法、いわゆるノンソルベントラミネート法に用いられる形態をいう。ポリオール組成物(X)およびポリイソシアネート組成物(Y)のいずれもが、上述した有機溶剤を実質的に含まない。ポリオール組成物(X)またはポリイソシアネート組成物(Y)の構成成分や、その原料の製造時に反応媒体として使用された有機溶剤が除去しきれずに、ポリオール組成物(X)やポリイソシアネート組成物(Y)中に微量の有機溶剤が残留してしまっている場合は、有機溶剤を実質的に含まないと解される。また、ポリオール組成物(X)が低分子量アルコールを含む場合、低分子量アルコールはポリイソシアネート組成物(Y)と反応して塗膜の一部となるため、塗工後に揮発させる必要はない。従ってこのような形態も無溶剤型接着剤として扱う。
【0098】
ガスバリア性接着剤が溶剤型である場合、第一の基材と第二の基材のどちらか一方に、ガスバリア性接着剤をグラビアロール等のロールを用いて塗布し、オーブン等での加熱により有機溶剤を揮発させた後、他方を貼り合せて本発明の積層体を得る。ラミネート後にエージング処理を行うことが好ましい。エージング温度は室温~80℃、エージング時間は12~240時間が好ましい。
【0099】
ガスバリア性接着剤が無溶剤型である場合、第一の基材と第二の基材のどちらか一方に予め40℃~100℃程度に加熱しておいたガスバリア性接着剤をグラビアロール等のロールを用いて塗布した後、直ちに他方を貼り合せて本発明の積層体を得る。ラミネート後にエージング処理を行うことが好ましい。エージング温度は室温~70℃、エージング時間は6~240時間が好ましい。
【0100】
ガスバリア性接着剤の塗布量は、適宜調整する。溶剤型の場合、一例として固形分量が1g/m以上10g/m以下、好ましくは1g/m以上5g/m以下となるよう調整する。無溶剤型の場合、接着剤の塗布量が一例として1g/m以上10g/m以下、好ましくは1g/m以上5g/m以下である。
【0101】
(印刷層)
本発明の積層体は印刷層が設けられていてもよい。印刷層は、第一の基材とガスバリア接着層との間、または第一の基材のガスバリア接着層とは反対側の面に、文字、図形、記号、その他所望の絵柄等が、印刷インキを用いて印刷された層である。第一の基材上にバリア層が設けられている場合は、印刷層はバリア層上に直接または他の層を介して設けられる。即ち印刷層はバリア層とガスバリア性接着層との間に配置される。第一の基材上にバリア層が設けられていない場合は、印刷層は第一の基材上に直接設けられてもよいし、例えば第一の基材と印刷層との密着性を向上させるためのプライマー層を介して設けられていてもよい。
【0102】
あるいは、リサイクル性向上の観点からは、後述するリサイクルプラスチックの製造方法において印刷層を除去しやすくするための脱墨プライマーを介して印刷層が設けられていてもよい。
印刷層を除去せずに本発明の積層体や包装材をリサイクルプラスチックの製造に供する場合は、リサイクルプラスチックの着色を抑制するため、印刷層の面積は極力少ない方が好ましい。積層体の単位面積あたりの印刷層が設けられている部分の割合が50%以下であることが好ましく、30%以下であることが好ましく、10%以下であることが好ましい。
【0103】
印刷方法や印刷インキには特に限定されず、公知の印刷方法や印刷インキを用いることができる。前記の基材として使用するフィルムに多用されるのは、グラビア印刷方法、フレキソ印刷方法、平版オフセット印刷方法、インクジェット記録印刷方法等を使用した印刷インキが多い。またこれらの印刷方法と、紫外線(UV)や、LED、電子線(EB)等の活性エネルギー線で硬化させる方法や、熱で硬化させる方法等を組み合わせた印刷インキも使用される。また、使用する溶剤により、水性インキ、有機溶剤型インキという言い方をする場合もある。
【0104】
具体的には、グラビア印刷インキやフレキソ印刷インキ(業界により、グラビア印刷インキとフレキソ印刷インキをリキッドインキと称することがある)、平版オフセット印刷用紫外線硬化型インキ、平版オフセット印刷用電子線硬化型インキ、インクジェット記録印刷用紫外線硬化型インキ、インクジェット記録印刷用電子線硬化型インキ、等が挙げられる。またバイオマス原料を用いたバイオマスインキも適宜使用される。
【0105】
印刷インキは樹脂、着色剤、溶剤を必須の成分として含むものであってもよいし、樹脂と溶剤を含み、着色剤を実質的に含まない、いわゆるクリアインキであってもよい。印刷層は第一の基材の全面に設けられていてもよいし、一部のみに設けられていてもよい。
【0106】
印刷インキがグラビア印刷インキまたはフレキソ印刷インキである場合を例に挙げて説明すると、印刷インキに用いられる樹脂は特に限定されるものではなく、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン‐マレイン酸樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、セルロース系樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂等が挙げられ、1種または2種以上を併用できる。好ましくはポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂から選ばれる少なくとも1種、あるいは2種以上である。
【0107】
印刷インキに用いられる着色剤としては、酸化チタン、弁柄、アンチモンレッド、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛などの無機顔料、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料当の有機顔料、炭酸カルシウム、カオリンクレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルクなどの体質顔料が挙げられる。
【0108】
印刷インキに用いられる有機溶剤は、芳香族炭化水素系有機溶剤を含まないことが好ましい。より具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶剤、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタンなどの脂肪族炭化水素系有機溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの脂環族炭化水素系有機溶剤などが挙げられ、1種または2種以上を組合わせて用いることができる。
【0109】
本発明に使用するリキッド印刷インキは、持続的に発展すべき循環型社会の構築(サステナビリティ)を考慮し、植物由来原料を使用したグラビア印刷インキまたはフレキソ印刷インキを使用することも好ましい。
【0110】
植物由来原料としては例えば、セルロースアセテートプロピオネート樹脂や硝化綿等の繊維素系樹脂や、大豆油由来、パーム油由来、米糠油由来等天然油に由来するダイマー酸あるいは重合脂肪酸を使用したポリアミド樹脂や、ポリカルボン酸として、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、グルタル酸、リンゴ酸等、ポリオールとして、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンチレングリコール、1,10-ドデカンジオール、ダイマージオール、イソソルビド等、ポリイソシアネートとして、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、ダイマージイソシアネート等の植物由来原料から合成したバイオマスポリウレタンや、ロジン樹脂等が挙げられる。
【0111】
バイオマスグラビア印刷インキまたはフレキソ印刷インキとしては、一般社団法人日本有機資源協会に記載の市販品を利用することもできる。
【0112】
(積層体の構成)
本発明の積層体の構成例としては、例えば、
(1)第一の基材/ガスバリア性接着層/第二の基材
(2)第一の基材/印刷層/ガスバリア性接着層/第二の基材
(3)印刷層/第一の基材/ガスバリア性接着層/第二の基材
等が挙げられる。上記構成例において、第一の基材および第二の基材のいずれかまたは両方がバリア層を有することについては上記で説明した通りである。
【0113】
また本発明の積層体はさらに他の基材を含んでいてもよく、このような積層体の構成例としては、
(4)第一の基材/接着層/第三の基材/接着層/第二の基材
(5)第一の基材/印刷層/接着層/第三の基材/接着層/第二の基材
(6)印刷層/第一の基材/接着層/第三の基材/接着層/第二の基材
等が挙げられる。構成例(4)~(6)において、二層の接着層のいずれかまたは両方が上述したガスバリア性接着層である。二層の接着層のうち一方のみがガスバリア性接着層である場合、他方の接着層は任意の接着剤により形成することができる。このような接着剤としては例えば、一液型または二液型のウレタン系接着剤が挙げられる。第三の基材としては、第一の基材と同じ樹脂種を含み、第一の基材と同様のものを用いることができる。
【0114】
上記構成例(4)~(6)において、第一の基材はバリア層を有していてもよいOPPフィルム、OPEフィルムのいずれかであり、第二の基材はバリア層を有していてもよいCPPフィルム、LLDPEのいずれかであり、第三の基材はOPPフィルムかOPEフィルムのいずれかであることが好ましい。
【0115】
また本発明の積層体は、リサイクル性の観点から金属箔層を含まないことが好ましい。本発明の積層体はこれらの層を含まなくてもガスバリア性に優れるものであるため、第一の基材および/または第二の基材が、一般的に積層体にガスバリア性を付与するために採用されるシリカやアルミナ等の無機蒸着層や、アルミニウムなどの金属蒸着層を含んでいてもよいが、含まなくてもよい。
【0116】
<包装材>
本発明の積層体は、食品や医薬品などの保護を目的とする多層包装材料として使用することができる。多層包装材料として使用する場合には、内容物や使用環境、使用形態に応じてその層構成は変化し得る。
【0117】
本発明の包装材は、例えば、本発明の積層体のヒートシール層を対向して重ね合わせた後、その周辺端部をヒートシールして得られる。製袋方法としては、本発明の積層体を折り曲げるか、あるいは重ねあわせてその内層の面(シーラントフィルムの面)を対向させ、その周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、その他のヒートシール型等の形態によりヒートシールする方法が挙げられる。本発明の包装材は内容物や使用環境、使用形態に応じて種々の形態をとり得る。自立性包装材(スタンディングパウチ)等も可能である。ヒートシールの方法としては、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
【0118】
本発明の包装材に、その開口部から内容物を充填した後、開口部をヒートシールして本発明の包装材を使用した製品が製造される。充填される内容物としては、米菓、豆菓子、ナッツ類、ビスケット・クッキー、ウェハース菓子、マシュマロ、パイ、半生ケーキ、キャンディ、スナック菓子などの菓子類、パン、スナックめん、即席めん、乾めん、パスタ、無菌包装米飯、ぞうすい、おかゆ、包装もち、シリアルフーズなどのステープル類、漬物、煮豆、納豆、味噌、凍豆腐、豆腐、なめ茸、こんにゃく、山菜加工品、ジャム類、ピーナッツクリーム、サラダ類、冷凍野菜、ポテト加工品などの農産加工品、ハム類、ベーコン、ソーセージ類、チキン加工品、コンビーフ類などの畜産加工品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練製品、かまぼこ、のり、佃煮、かつおぶし、塩辛、スモークサーモン、辛子明太子などの水産加工品、桃、みかん、パイナップル、りんご、洋ナシ、さくらんぼなどの果肉類、コーン、アスパラガス、マッシュルーム、玉ねぎ、人参、大根、じゃがいもなどの野菜類、ハンバーグ、ミートボール、水産フライ、ギョーザ、コロッケなどを代表とする冷凍惣菜、チルド惣菜などの調理済食品、バター、マーガリン、チーズ、クリーム、インスタントクリーミーパウダー、育児用調整粉乳などの乳製品、液体調味料、レトルトカレー、ペットフードなどの食品類が挙げられる。また、本発明の包装材はタバコ、使い捨てカイロ、輸液パック等の医薬品、化粧品、真空断熱材などの包装材料としても使用され得る。
【0119】
あるいは、本発明の包装材は、本発明の積層体を使用した蓋材であってもよい。
【0120】
<リサイクルプラスチック>
本発明の積層体及び包装材はリサイクル性に優れ、リサイクルプラスチックの原料として使用され得る。本発明のリサイクルプラスチックは、本発明の積層体、包装材を原料として再生されたものである。積層体、包装材をリサイクルする方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができる。一例として、積層体、包装材を破砕し、溶融混錬した後ペレット化、成形する方法や、溶融混錬、ペレット化は経ずに、積層体、包装材を破砕したものを、直接成型機に投入し、成形機加熱筒内で溶融混錬し成形原料とする方法などが挙げられる。
【0121】
積層体、包装材は公知の破砕機を用いて破砕することができる。破砕機としては特に制限されず、例えば、ジョークラッシャー、インパクトクラッシャー、カッターミル、スタンプミル、リングミル、ローラーミル、ジェットミル、又はハンマーミルを用いる方法が挙げられる。印刷物又は積層体(A)の断片のサイズは辺の長さが1mm~40mmであることが好ましく、より好ましくは8mm~20mmである。
【0122】
破砕された積層体、包装材は、加熱溶融に供される前に洗浄されていることが好ましい。洗浄方法はバッチ式あるいは連続式等が挙げられ、水、洗剤、中和剤、アルカリ水溶液を用いてもよい。また、洗浄された積層体、包装材は脱水、乾燥されていることが好ましい。脱水の方式としては遠心脱水方式、乾燥方式としては熱風乾燥方式が好適である。
【0123】
破砕された積層体、包装材は、120~280℃で加熱溶融され、さらに混錬される。積層体、包装材を溶融する際の温度は、積層体または包装材のガラス転移温度や溶融温度、ペレット化する際の形状、成形工程で加わる圧力当を考慮し調整されうる。混錬時のスクリューの回転数は一例として50~1000RPMである。
【0124】
このようにして溶融混錬された積層体、包装材は、冷却、細断してペレットとなる。ペレット化する方法としては例えば、ホットカット方式、ストランドカット方式等が挙げられるが特に制限されない。ペレットへの異物の混入を防ぐため、溶融混錬された積層体、包装材の吐出部にはスクリーンメッシュが設けられていることが好ましい。スクリーンメッシュとしては、平織、綾織、平畳織及び綾畳などの織製織と、パンチングメタルのタイプが挙げられる。スクリーンメッシュのサイズは吐出部の圧力や、目詰まりを考慮し、好ましくは40メッシュ以上であり、より好ましくは80メッシュ以上、さらに好ましくは120メッシュ以上である。冷却方法としては、例えば空冷、風冷、水冷が挙げられる。本発明においては、水冷工程を含むことが好ましい。20℃~80℃に冷却することが好ましく、30℃~60℃に冷却することがより好ましい。
【0125】
本発明の積層体は、第一の基材と第二の基材とが同じ樹脂種からなりリサイクル性に優れるため、そのまま上記のようなリサイクルプラスチックの製造に供することができるが、例えば水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ溶液に一定時間浸漬させて、第一の基材と第二の基材を剥離させた後にリサイクルプラスチックの製造に用いてもよい。併せて印刷層を除去した後にリサイクルプラスチックの製造に用いてもよい。印刷層は公知の方法により除去することができる。バリア層が第一の基材および/または第二の基材の表面に設けられ、ポリビニルアルコールを含む場合、バリア層は第一の基材と第二の基材との剥離、または接着剤層、インキ層、コーティング層の分離を容易にする脱離層としての役割をも果たすためよりリサイクル性に優れ好ましい。
【0126】
本発明のリサイクルプラスチックは、公知の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、フェノール系及びリン系からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤;脂肪酸アミド系、アルキレン脂肪酸アミド系、金属石鹸系、及びエステル系からなる群より選ばれる少なくとも1種の滑剤;ヒンダードアミン系の耐候安定剤;酸価が5mgKOH/g以下のワックス;脂肪酸スルホン酸塩及び脂肪酸エステル系からなる群より選ばれる少なくとも1種の帯電防止剤;が挙げられる。
【0127】
本発明のリサイクルプラスチックは、原料として、本発明の積層体、包装材に加えてバージンプラスチックを含んでいてもよい。加えられるバージンプラスチックは、第一の基材および第二の基材と同じ樹脂種のものを用いる。バージンプラスチックは、本発明の積層体、包装材をペレット化する際に加えてもよいし、ペレット化した本発明のリサイクルプラスチックを成形する際に加えてもよい。ペレット化する際と、リサイクルプラスチックを成形する際の両方で加えてもよい。本発明の積層体、包装材をペレット化する際に併用するバージンブラスチックの使用量は、一例として、積層体、包装材:バージンプラスチックが100:0~25:75(質量比)の範囲である。ペレット化した本発明のリサイクルプラスチックを成形する際に使用するバージンプラスチックの使用量は、一例として、リサイクルプラスチック:バージンプラスチックが100:0~25:75(質量比)の範囲である。
【0128】
本発明のリサイクルプラスチックは、種々のプラスチック製品の原料として利用することができる。プラスチック製品としては、例えば、運送用のパレットやコンテナ、ボトルなどの容器、ハンガー、文房具、ポットやカップ、使い捨てのカトラリー、遊具等が挙げられるがこれに限定されない。フィルムとして再生することもできるし、再生フィルムを成型して例えば果物等を運搬する際の緩衝材などに用いることもできるがこれに限定されない。