(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025040966
(43)【公開日】2025-03-25
(54)【発明の名称】ジエン系高靭性エラストマーおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 236/06 20060101AFI20250317BHJP
C08F 212/08 20060101ALI20250317BHJP
C08F 226/02 20060101ALI20250317BHJP
【FI】
C08F236/06
C08F212/08
C08F226/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024157062
(22)【出願日】2024-09-10
(31)【優先権主張番号】63/537,904
(32)【優先日】2023-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 委託研究(開発項目「ムーンショット型研究開発事業/地域環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現/非可食性バイオマスを原料とした海洋分解可能なマルチロック型バイオポリマーの研究開発」)、産業技術力強化法第17条の適用を受けるもの
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 典
(72)【発明者】
【氏名】中川 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉江 尚子
【テーマコード(参考)】
4J100
【Fターム(参考)】
4J100AB02P
4J100AS02P
4J100AS02Q
4J100HA61
4J100HB29
4J100HC36
4J100HC43
4J100HC47
4J100HC48
4J100HC77
4J100HD01
4J100HD16
4J100HE14
4J100JA15
(57)【要約】
【課題】優れた機械的特性を有する新規なジエン系ポリマーおよびその簡便な製造方法を提供すること。
【解決手段】式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位と、式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位とを含むエラストマーであって、5000以上の分子量を有するエラストマーが提供される。
(式中、R
1 、R
2 、R
3 およびR
4 は本開示に記載されている)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位と
【化1】
(式中、R
1およびR
2 は、独立して、水素、置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のフェニルアルキル、または-OTMSである)
式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位と
【化2】
(式中、R
3およびR
4 は、独立して、水素または置換もしくは非置換のC1-C5アルキルである)
を含むエラストマーであって、5000以上の分子量を有するエラストマー。
【請求項2】
R1およびR2 の一方が水素である、請求項1に記載のエラストマー。
【請求項3】
前記エラストマーを構成する全単位に対して、式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位の割合が1~20mol%であり、式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位の割合が80~99mol%である、請求項1に記載のエラストマー。
【請求項4】
式(I)で表されるエラストマー。
【化3】
(式中、R
1およびR
2は、独立して、水素、 置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のフェニルアルキル、または-OTMSであり、
R
3およびR
4 は、独立して、水素、または置換もしくは非置換のC1-C5アルキルであり、
x:yのモル比は99:1~60:40である)
【請求項5】
式(3)で表されるエポキシ単位と、
【化4】
式(4)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位と
【化5】
(式中、R
3およびR
4 は、独立して、水素、または置換もしくは非置換のC1-C5アルキルである)
を含む共重合体を、ルイス酸触媒の存在下、溶媒中でアミンと反応させることを含む、エラストマーの製造方法。
【請求項6】
アミンが第一級アミンを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
共役ジエン重合体とm-クロロペルオキシ安息香酸とを反応させて、式(3)で表されるエポキシ単位および式(4)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位とを含む共重合体を形成することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
共役ジエン系重合体が、ブタジエン系重合体、イソプレン系重合体、または芳香族ビニル-共役ジエン共重合体を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか1項に記載のエラストマーを含有する組成物。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか1項に記載のエラストマーを含有するゴム改良剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ジエン誘導体エラストマーおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、優れた機械的特性と良好な耐薬品性により、様々な産業や生活必需品において高分子材料の利用が顕著に増加している(非特許文献1~3)。しかし、金属やセラミック材料に匹敵する機械的特性を持つ高分子材料の調製は、依然として課題となっている(非特許文献4)。高分子材料の機械的特性を向上させる簡単な戦略は、水素結合(H-bond)を導入することで、高い機械的靭性、自己修復性、自己回復性を実現することである(非特許文献5~8)。しかしながら、強すぎる水素結合を導入すると、水素結合が自己組織化したり凝集したりする傾向があるため、しばしば満足のいく動的特性が得られないことがある(非特許文献1および9)。
【0003】
我々は以前の研究で、ポリブタジエン(PB)骨格にビシナルジオールを埋め込むことにより、エントロピー駆動型の水素結合を導入し、優れた機械的特性と動的特性を得ることに成功した(非特許文献10)。しかし、この合成法は汎用的ではなく、既存の市販材料に対する単純な改良法として適用することはできなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Song, P.; Wang, H. High‐performance polymeric materials through hydrogen‐bond cross‐linking. Advanced Materials 2020, 32 (18), 1901244.
【非特許文献2】Stachowiak, T.; Postawa, P.; Malinska, K.; Drozdz, D.; Pudelko, A. Comparison of Physical and Thermal Properties of Mulching Films Made of Different Polymeric Materials. Materials 2022, 15 (21), 7610.
【非特許文献3】Nofal, M. M.; Aziz, S. B.; Hadi, J. M.; Karim, W. O.; Dannoun, E. M.; Hussein, A. M.; Hussen, S. A. Polymer composites with 0.98 transparencies and small optical energy band gap using a promising green methodology: Structural and optical properties. Polymers 2021, 13 (10), 1648.
【非特許文献4】Bonderer, L. J.; Studart, A. R.; Gauckler, L. J. Bioinspired design and assembly of platelet reinforced polymer films. Science 2008, 319 (5866), 1069-1073.
【非特許文献5】Cordier, P.; Tournilhac, F.; Soulie-Ziakovic, C.; Leibler, L. Self-healing and thermoreversible rubber from supramolecular assembly. Nature 2008, 451 (7181), 977-980.
【非特許文献6】Chen, Y.; Kushner, A. M.; Williams, G. A.; Guan, Z. Multiphase design of autonomic self-healing thermoplastic elastomers. Nature chemistry 2012, 4 (6), 467-472.
【非特許文献7】Wu, X.; Wang, J.; Huang, J.; Yang, S. Robust, stretchable, and self-healable supramolecular elastomers synergistically cross-linked by hydrogen bonds and coordination bonds. ACS applied materials & interfaces 2019, 11 (7), 7387-7396.
【非特許文献8】Nakagawa, S.; Xia, J.; Yoshie, N. Quantifying the effects of cooperative hydrogen bonds between vicinal diols on polymer dynamics. Soft Matter 2022, 18 (6), 1275-1286.
【非特許文献9】Hellmann, J.; Hilger, C.; Stadler, R. Cooperative self‐assembling in statistical copolymers: a new approach to high‐temperature thermoplastic elastomers. Polymers for Advanced Technologies 1994, 5 (12), 763-774.
【非特許文献10】Kim, C.; Nakagawa, S.; Seshimo, M.; Ejima, H.; Houjou, H.; Yoshie, N. Tough supramolecular elastomer via entropy-driven hydrogen bonds between vicinal diols. Macromolecules 2020, 53 (10), 4121-4125
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、優れた機械的特性を有する新規なジエン系ポリマーおよびその簡便な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は例えば、以下に記載の主題を包含する。
項1.
式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位と
【0007】
【0008】
(式中、R1およびR2 は、独立して、水素、置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のフェニルアルキル、または -OTMSである)
式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位と
【0009】
【0010】
(式中、R3およびR4 は、独立して、水素または置換もしくは非置換のC1-C5アルキルである)
を含むエラストマーであって、5000以上の分子量を有するエラストマー。
【0011】
項2.
R1およびR2 の一方が水素である、項1に記載のエラストマー。
【0012】
項3.
前記エラストマーを構成するすべての単位に対して、式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位の割合が1~20mol%であり、式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位の割合が80~99mol%である、項1に記載のエラストマー。
【0013】
項4.
式(I)で表されるエラストマー。
【0014】
【0015】
(式中、R1およびR2は、独立して、水素、 置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のフェニルアルキル、または-OTMSであり、
R3およびR4 は、独立して、水素、または置換もしくは非置換のC1-C5アルキルであり、
x:yのモル比は99:1~60:40である)
項5.
式(3)で表されるエポキシ単位と
【0016】
【0017】
式(4)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位と
【0018】
【0019】
(式中、R 3およびR4 は、独立して、水素、または置換もしくは非置換のC1-C5アルキルである)
を含む共重合体を、ルイス酸触媒の存在下、溶媒中でアミンと反応させることを含む、エラストマーの製造方法。
【0020】
項6.
アミンが第一級アミンを含む、項5に記載の方法。
【0021】
項7.
共役ジエン重合体とm-クロロペルオキシ安息香酸とを反応させて、式(3)で表されるエポキシ単位と式(4)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位とを含む共重合体を形成することをさらに含む、項5に記載の方法。
【0022】
項8.
共役ジエン系重合体が、ブタジエン系重合体、イソプレン系重合体、または芳香族ビニル-共役ジエン共重合体を含む、項7に記載の方法。
【0023】
項9.
項1~4のいずれか1項に記載のエラストマーを含有する組成物。
【0024】
項10.
項1~4のいずれか1項に記載のエラストマーを含有するゴム改良剤。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1A】
図1Aは、ポリマーPB、PB-E20、PB-DE20、およびPB-Bu20のNMRスペクトルである。
【
図1B】
図1BはエラストマーSBS、SBS-Bu12、及びSBS-DE12のNMRデータである。
【
図1C】
図1CはエラストマーPB-AEOTMS12及びPB-AEOH12のNMRデータである。
【
図1D】
図1DはエラストマーPB-AE2OTMS12のNMRデータである。
【
図1E】
図1EはエラストマーPB-B12のNMRデータである。
【
図1F】
図1FはエラストマーエラストマーPI-Bu12のNMRデータである。
【
図2A】
図2Aは、エラストマーPB、PB-Bu12、PB-Bu20の引張試験である。横軸:歪み(%)、縦軸:応力(Mpa)
【
図2B】
図2Bは、エラストマーPB-Bu12、PB-Bu20、PB-Bu23、PB-Bu33、PB-Bu40の引張試験である。横軸:歪み(%)、縦軸:応力(Mpa)
【
図3A】
図3Aは、エラストマーPB-Bu12のサイクル一軸伸長実験の応力・ひずみ曲線である。
【
図3B】
図3Bは、エラストマーPB-Bu12を300%stainで引っ張ったサイクル数に対するヒステレシス回復力のグラフ。サイクル2から6は、それぞれ1分、30分、1時間、3時間、6時間の待ち時間に相当する。
【
図4】
図4は、エラストマーPB、PB-DE12、PB-DE20の引張試験である。
【
図5】
図5は、エラストマーPB-Et12、PB-DE12、PB-Et20の引張試験である。
【
図6】
図6Bは、エラストマーSBS、SBS-Bu12、SBS-Et12、SBS-DE12の引張試験である。
【
図7】
図7はPB-AEOTMS12及びPB-AEOH12の引張試験である。
【
図8】
図8はPB-AE2OTMS12の引張試験である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書において、「含有する」は、「実質的にのみからなる」、及び「のみからなる」も包含する概念である。
【0027】
本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。また、本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値又は実施例から一義的に導き出せる値に置き換えてもよい。更に、本明細書において、「~」で結ばれた数値は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
【0028】
以下、本開示に包含される実施形態についてさらに説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本開示の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより発明の範囲が限定されることはない。
【0029】
本明細書で使用する場合、ビシナルアミノアルコール(VAA)という用語は、2つの隣接する炭素原子、1つの炭素原子に結合したアミン由来の窒素原子、およびもう一つの炭素原子に結合したヒドロキシルを有する部分を指す。
【0030】
本明細書で使用する場合、C1-C5は、1~5個の炭素原子数を意味する。
【0031】
式(1)または式(I)中のR1 が置換C1-C5アルキル、置換フェニルまたは置換フェニルアルキルである場合、置換基はハロゲン(例えば、-F、-Cl、-Brおよび-I)、アルコキシ、または-OTMSであってよい。-OTMSは-o-トリメチルシリルを指す。
【0032】
式(1)または式(I)中のR2 が置換C1-C5アルキル、置換フェニルまたは置換フェニルアルキルである場合、置換基はハロゲン(例えば、-F、-Cl、-Brおよび-I)、アルコキシ、または-OTMSであってよい。
【0033】
式(2)、式(I)または式(4)中のR3 が置換C1-C5アルキルである場合、置換基はハロゲン(例えば、-F、-Cl、-Brおよび-I)または-OTMSであってよい。
【0034】
式(2)、式(I)または式(4)中のR4 が置換C1-C5アルキルである場合、置換基はハロゲン(例えば、-F、-Cl、-Brおよび-I)または-OTMSであってよい。
【0035】
本発明者らは、オレフィン由来のジエンポリマーにエントロピー駆動型の水素結合を導入する極めて簡単な改質戦略を提案する。得られたポリマーは優れた機械的特性を示す。得られたポリマーはさらに、自己回復性または自己修復性をはじめとする優れた動的機能性を示し得る。
【0036】
一つの態様において、式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位と
【0037】
【0038】
(式中、R1およびR2 は、独立して、水素、置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のフェニルアルキル、または-OTMSである)
式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位と
【0039】
【0040】
(式中、R3およびR4 は、独立して、水素または置換もしくは非置換のC1-C5アルキルである)
を含むエラストマーであって、5000以上の分子量を有するエラストマーが提供される。
【0041】
エラストマーの分子量は10000以上であってもよい。 エラストマーの分子量の上限は特に限定されないが、例えば1000000である。本明細書において、エラストマーの分子量はクロマトグラフィーにより測定することができ、ゲル浸透クロマトグラフィー (GPC、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)とも言う)により測定される数平均分子量であることが好ましい。
【0042】
いくつかの実施形態において、R1及びR2 の一方は水素である。
【0043】
いくつかの実施形態において、エラストマーを構成する全単位に対して、式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位の割合は1~99mol%であり、式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位の割合は1~99mol%である。
【0044】
いくつかの実施形態において、エラストマーを構成する全単位に対して、式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位の割合は1~40mol%であり、式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位の割合は60~99mol%である。
【0045】
いくつかの実施形態において、エラストマーを構成する全単位に対して、式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位の割合は1~20mol%であり、式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位の割合は80~99mol%である。
【0046】
いくつかの実施形態において、エラストマーを構成する全単位に対して、式(3)'で表されるエポキシ単位の量は5mol%以下である。
【0047】
【0048】
(式中、Rは水素、またはC1-C5アルキルである)。
【0049】
いくつかの実施形態において、上記のいずれかのエラストマーは、式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位と、式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位とを含むポリマー鎖の両末端にヒドロキシを有するエラストマーを除く。
【0050】
一実施形態において、式(I)で表されるエラストマーが提供される。
【0051】
【0052】
(式中、R1およびR2 は、独立して、水素、置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のフェニルアルキル、または-OTMSであり、
R3およびR4 は、独立して、水素、または置換もしくは非置換のC1-C5アルキルであり、
x:yのモル比は99:1~60:40である)
【0053】
別の態様において、式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位と、
【0054】
【0055】
(式中、R1およびR2 は、独立して、水素、置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のフェニルアルキル、または-OTMSである)
式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位と、
【0056】
【0057】
(式中、R3およびR4 は、独立して、水素または置換もしくは非置換のC1-C5アルキルである)
式(15)で表されるスチレン単位と、
【0058】
【0059】
を含むエラストマーであって、10000以上の分子量を有するエラストマーが提供される。
【0060】
エラストマーの分子量の上限は特に限定されないが、例えば1000000である。
【0061】
式(1)のR1およびR2 、ならびに式(2)のR3およびR4については上記に説明した通りである。
【0062】
いくつかの実施形態において、エラストマーを構成する全単位に対して、式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位の割合は1~98mol%であり、式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位の割合は1~98mol%であり、式(15)で表されるスチレン単位の割合は2~98mol%である。
【0063】
いくつかの実施形態において、式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位の割合と式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位の割合の合計を100mol%として、式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位の割合は1~40mol%であり、式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位の割合は60~99mol%である。
【0064】
別の実施形態において、式(II)で表されるエラストマーが提供される。
【0065】
【0066】
(式中、R1およびR2 は、独立して、水素、置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のフェニルアルキル、または-OTMSであり、
R3およびR4 は、独立して、水素、または置換もしくは非置換のC1-C5アルキルであり、
x:yのモル比は99:1~60:40であり、
m:nのモル比は50:50~1:99である)
x:(m+n):yの比は、モル基準で好ましくは1:98:1~59:2:39であってよい。
【0067】
式(II)のR1およびR2、ならびに式(2)のR3およびR4については 式(1)のR1およびR2 、ならびに式(2)のR3およびR4に関して上記に説明した通りである。
【0068】
別の態様において、式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位と、
【0069】
【0070】
(式中、R1およびR2 は、独立して、水素、置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のフェニルアルキル、または-OTMSである)
式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位と、
【0071】
【0072】
(式中、R3およびR4 は、独立して、水素または置換もしくは非置換のC1-C5アルキルである)
式(16)で表される1,2-ブタジエン単位と、
【0073】
【0074】
を含むエラストマーであって、5000以上の分子量を有するエラストマーが提供される。
【0075】
エラストマーの分子量は10000以上であってもよい。
【0076】
エラストマーの分子量の上限は特に限定されないが、例えば1000000である。
【0077】
式(1)のR1およびR2 、ならびに式(2)のR3およびR4については上記に説明した通りである。
【0078】
いくつかの実施形態において、エラストマーを構成する全単位に対して、式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位の割合は1~98mol%であり、式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位の割合は1~98mol%であり、式(16)で表される1,2-ブタジエン単位の割合は2~98mol%である。
【0079】
いくつかの実施形態において、式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位の割合と式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位の割合の合計を100mol%として、式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位の割合は1~40mol%であり、式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位の割合は60~99mol%である。
【0080】
別の実施形態において、式(IV)で表されるエラストマーが提供される。
【0081】
【0082】
(式中、R1およびR2 は、独立して、水素、置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のフェニルアルキル、または-OTMSであり、
R3およびR4 は、独立して、水素、または置換もしくは非置換のC1-C5アルキルであり、
(x+y):zのモル比は99:1~60:40である)
【0083】
別の態様において、式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位と、
【0084】
【0085】
(式中、R1およびR2 は、独立して、水素、置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のフェニルアルキル、または-OTMSである)
式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位と、
【0086】
【0087】
(式中、R3およびR4 は、独立して、水素または置換もしくは非置換のC1-C5アルキルである)
式(15)で表されるスチレン単位と、
【0088】
【0089】
式(16)で表される1,2-ブタジエン単位と、
【0090】
【0091】
を含むエラストマーであって、10000以上の分子量を有するエラストマーが提供される。
【0092】
エラストマーの分子量の上限は特に限定されないが、例えば1000000である。
【0093】
式(1)のR1およびR2 、ならびに式(2)のR3およびR4については上記に説明した通りである。
【0094】
いくつかの実施形態において、エラストマーを構成する全単位に対して、式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位の割合は1~40mol%であり、式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位の割合は99~60mol%であり、式(15)で表されるスチレン単位の割合は1~99mol%であり、式(16)で表される1,2-ブタジエン単位の割合は0~50mol%である。
【0095】
別の実施形態において、式(V)で表されるエラストマーが提供される。
【0096】
【0097】
(式中、R1およびR2 は、独立して、水素、置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のフェニルアルキル、または-OTMSであり、
R3およびR4 は、独立して、水素、または置換もしくは非置換のC1-C5アルキルであり、
(x+y):zのモル比は100:0~50:50であり、
(m+n):(x+y+z) のモル比は0:100 ~ 99:1である。
【0098】
別の態様において、式(3)で表されるエポキシ単位と
【0099】
【0100】
式(4)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位と
【0101】
【0102】
(式中、R3およびR4 は、独立して、水素、または置換もしくは非置換のC1-C5アルキルである)
を含む共重合体を、ルイス酸触媒の存在下、溶媒中でアミンと反応させることを含む、エラストマーの製造方法が提供される。
【0103】
上記製造方法により、式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位と、式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位とを含むエラストマーであって、10000以上の分子量を有するエラストマーが提供される。また、特定の実施形態では、上述の式(I)で表されるエラストマーが提供される。
【0104】
別の実施形態では、式(3)で表されるエポキシ単位と、式(4)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位と、式(15)で表されるスチレン単位とを含む共重合体を、ルイス酸触媒の存在下、溶媒中でアミンと反応させることを含む、エラストマーの製造方法が提供される。
【0105】
上記製造方法により、式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位と、式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位と、式(15)で表されるスチレン単位とを含むエラストマーであって、10000以上の分子量を有するエラストマーが提供される。また、特定の実施形態では、上述の式(II)で表されるエラストマーが提供される。
【0106】
別の実施形態では、式(3)で表されるエポキシ単位と、式(4)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位と、式(16)で表される1,2-ブタジエン単位とを含む共重合体を、ルイス酸触媒の存在下、溶媒中でアミンと反応させることを含む、エラストマーの製造方法が提供される。
【0107】
上記製造方法により、式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位と、式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位と、式(16)で表される1,2-ブタジエン単位とを含むエラストマーであって、10000以上の分子量を有するエラストマーが提供される。また、特定の実施形態では、上述の式(IV)で表されるエラストマーが提供される。
【0108】
別の実施形態では、式(3)で表されるエポキシ単位と、式(4)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位と、式(15)で表されるスチレン単位と、式(16)で表される1,2-ブタジエンとを含む共重合体を、ルイス酸触媒の存在下、溶媒中でアミンと反応させることを含む、エラストマーの製造方法が提供される。
【0109】
上記製造方法により、式(1)で表されるビシナルアミノアルコール単位と、式(2)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位と、式(15)で表されるスチレン単位と、式(16)で表される1,2-ブタジエン単位とを含むエラストマーであって、10000以上の分子量を有するエラストマーが提供される。また、特定の実施形態では、上述の式(V)で表されるエラストマーが提供される。
【0110】
ルイス酸触媒としてはZnCl2、EtAlCl2, SnCl4などが挙げられるがこれに限定されない。
【0111】
溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、トルエンなどが挙げられるがこれに限定されない。
【0112】
アミンは、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0113】
アミンは例えばNHR1R2で表すことができる。R1およびR2は式(1)のR1およびR2に関して説明した通りである。
【0114】
いくつかの実施形態において、アミンは第一級アミンを含む。第一級アミンの例としては、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、および2-エチルヘキシルアミンなどの脂肪族モノアミン;シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、およびノルボルニルアミンなどの脂環式モノアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン;イソホロンジアミンなどの脂環式ジアミン;およびトルイジン、キシリジン、イソプロピルアニリン、ベンジルアミン、フェネチルアミンなどの芳香族アミン;が挙げられる。上記方法は、共役ジエン重合体とm-クロロペルオキシ安息香酸とを反応させて、式(3)で表されるエポキシ単位と式(4)で表されるブト-1-エン-1,4-ジイル単位とを含む共重合体を形成することをさらに含んでいてもよい。
【0115】
いくつかの実施形態において、共役ジエンポリマーは、ブタジエンベースポリマー、イソプレンベースポリマー、または芳香族ビニル-共役ジエンコポリマーを含む。
【0116】
別の態様では、上記のエラストマーのいずれか1つを含む組成物が提供される。
【0117】
別の態様では、上記のエラストマーのいずれか1つを含むゴム改良剤が提供される。
【0118】
ビシナルアミノアルコール(VAA)含有ポリマーの合成手順をスキーム1に示す。この方法で使用できるアミン(アミン化合物とも言う)の例を以下の例1に示す。式(5)で表されるポリマー、式(7)で表されるポリマー、および式(9)で表されるポリマーはそれぞれポリブタジエン(PB)、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、ポリイソプレン(PI)である。エポキシ化後のポリマーは、PB-E-X、SBS-E-X、PI-E-Xと命名される。ここで、Eはエポキシ基を有するブロックを示し、Xはエポキシ基のモル比を示す。式(6)で表されるポリマー、式(8)で表されるポリマー、および式(10)で表されるポリマーは、それぞれポリマーPB-E-X、SBS-E-XおよびPI-E-Xの例である。エポキシ化後、得られたポリマーは開環反応を起こし、それぞれポリマーPB-A-X、SBS-A-X、PI-A-Xが得られるが、ここで、Aはアミノ基の種類(例えば、ブチルアミン(Bu)、ジエチルアミン(DE))を示し、X(%)はこれらのアミノ基のモル比を示す。X(%)の範囲は、例えば、好ましくは1~99、より好ましくは1~40、さらに好ましくは1~20と規定される。式(I-1)で表されるポリマー、式、(II-1)で表されるポリマーおよび式(III-1)で表されるポリマーは、それぞれ、ポリマーPB-A-X、SBS-A-XおよびPI-A-Xの例である。
【0119】
スキーム1において、式(6)で表されるポリマーおよび式(I-1)で表されるポリマーのそれぞれにおけるx:yのモル比は、好ましくは99:1~1:99、より好ましくは99:1~60:40、さらに好ましくは99:1~80:20である。式(7)で表されるポリマーにおけるx:y:zの比は、モル基準で好ましくは1:98:1~49:2:49である。式(8)で表されるポリマーおよび式(II-1)で表されるポリマーのそれぞれにおけるx:yの比は、モル基準で好ましくは50:50~1:99である。式(8)で表されるポリマーおよび式(II-1)で表されるポリマーのそれぞれにおけるm:nの比は、モル基準で好ましくは1:99~40:60である。式(10)で表されるポリマーにおけるx:yのモル比は、好ましくは99:1~1:99、より好ましくは99:1~60:40、さらに好ましくは99:1~80:20である。式(IV)で表されるポリマー中のx:yのモル比は、好ましくは99:1~1:99、より好ましくは99:1~60:40、さらに好ましくは99:1~80:20である。
【0120】
式(I-1)で表されるポリマー、式(II-1)で表されるポリマー、式(III-1)で表されるポリマーの各々において、R1およびR2 は、独立して、水素、置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のフェニルアルキル、または-OTMSである。
【0121】
【0122】
【0123】
また、さらなるビシナルアミノアルコール(VAA)含有ポリマーの合成手順をスキーム2に示す。この方法でも、スキーム1で使用したのと同じアミンを使用できる。式(11)で表されるポリマーおよび式(13)で表されるポリマーは1,2-ブタジエン単位を有する。エポキシ化後、式(12)で表されるポリマーおよび式(14)で表されるポリマーがそれぞれ得られる。エポキシ化後、得られたポリマーは開環反応を起こし、アミノ基を有する式(IV-1)で表されるポリマーおよび式(V-1)で表されるポリマーがそれぞれ得られる。
【0124】
式(IV-1)で表されるポリマーおよび式(V-1)で表されるポリマーにおけるアミノ基のモル比(%)の範囲は、例えば、好ましくは1~99、より好ましくは1~40、さらに好ましくは1~20と規定される。
【0125】
スキーム2において、式(12)で表されるポリマーおよび式(IV-1)で表されるポリマーのそれぞれにおける(x+y):zのモル比は、好ましくは99:1~1:99、より好ましくは99:1~60:40、さらに好ましくは99:1~80:20である。x:yの比は、モル基準で好ましくは99:1~1:99であり、より好ましくは99:1~80:20であり、例えば80:20~95:5である。式(12)で表されるポリマーおよび式(IV-1)で表されるポリマーのそれぞれにおけるx:zの比はモル基準で好ましくは1:99~40:60である。
式(13)で表されるポリマーにおけるm:(x+y):nの比は、モル基準で好ましくは1:98:1~49:2:49である。式(14)で表されるポリマーおよび式(V-1)で表されるポリマーのそれぞれにおける(x+y):zの比は、モル基準で好ましくは99:1~60:40である。式(14)で表されるポリマーおよび式(V-1)で表されるポリマーのそれぞれにおけるx:zの比は、モル基準で好ましくは99:1~60:40である。
【0126】
【0127】
以下の実施例は、例示のみを意図したものであり、何ら本発明の技術的範囲を限定することを意図するものではない。特に断らない限り、試薬は、市販されているか、又は当技術分野で慣用の手法、公知文献の手順に従って入手又は調製する。
【実施例0128】
実施例
試薬
ポリブタジエン(Mw =200k)は株式会社ブリヂストンから、スチレン-ブタジエン-スチレン(Mw =84k)は旭化成株式会社から、ブチルアミン(純度98%以上)、ジエチルアミン(純度99%以上)、m-クロロ過安息香酸(純度69.0~75.0%)は和光純薬工業株式会社から購入した。反応溶媒のテトラヒドロフランは和光純薬工業株式会社から購入した。試薬および溶媒は、入手したものをそのまま使用した。
【0129】
合成例1:PB-E12の調製
マグネチックスターラーを備えたシュレンクフラスコに、乾燥窒素雰囲気下、ポリブタジエン(Mw =200k、1 g、ブタジエン繰り返し単位約18.5 mmol)をTHF 100 mLに溶解させた溶液を加えた。これに、0.55 gのmCPBA(水による純度69.0~75.0%)をTHF 20 mLに溶解させた溶液を30分以内に滴下した。その後、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空蒸発により除去した。濾過後、少量のジクロロメタン(3 mL)を加え、ポリマーを冷MeOH中で再沈殿させた。沈殿物を集め、60℃で真空乾燥した(0.89 g, 84 %)。
【0130】
合成例2:PB-E20の調製
マグネチックスターラーを備えたシュレンクフラスコに、乾燥窒素雰囲気下、ポリブタジエン(Mw =200k、1 g、ブタジエン繰り返し単位約18.5 mmol)をTHF 100 mLに溶解させた溶液を加えた。これに1.1 gのmCPBA(水による純度69.0~75.0%)をTHF 20 mLに溶解させた溶液を30分以内に滴下した。その後、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空蒸発により除去した。濾過後、少量のジクロロメタン(3 mL)を加え、ポリマーを冷MeOH中で再沈殿させた。沈殿物を回収し、60℃で真空乾燥した(0.86 g, 81 %)。
【0131】
合成例3:PB-E23の調製
マグネチックスターラー付きシュレンクフラスコに、乾燥窒素雰囲気下、THF 100 mL中のポリブタジエン(Mw=200k、1 g、ブタジエン繰り返し単位約18.5 mmol)の溶液を加えた。これに、1.3 gのmCPBA(水による純度69.0~75.0%)をTHF 20 mLに溶解させた溶液を30分以内に滴下した。その後、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空蒸発により除去した。濾過後、少量のジクロロメタン(3 mL)を加え、ポリマーを冷MeOH中で再沈殿させた。沈殿物を集め、60℃で真空乾燥した。
【0132】
合成例4:PB-E33の調製
マグネチックスターラー付きシュレンクフラスコに、乾燥窒素雰囲気下、THF 100 mL中のポリブタジエン(Mw=200k、1 g、ブタジエン繰り返し単位約18.5 mmol)の溶液を加えた。これに、1.8 gのmCPBA(水による純度69.0~75.0%)をTHF 20 mLに溶解させた溶液を30分以内に滴下した。その後、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空蒸発により除去した。濾過後、少量のジクロロメタン(3 mL)を加え、ポリマーを冷MeOH中で再沈殿させた。沈殿物を集め、60℃で真空乾燥した。
【0133】
合成例5:PPB-E40の調製
マグネチックスターラー付きシュレンクフラスコに、乾燥窒素雰囲気下、THF 100 mL中のポリブタジエン(Mw=200k、1 g、ブタジエン繰り返し単位約18.5 mmol)の溶液を加えた。これに、2.2 gのmCPBA(水による純度69.0~75.0%)をTHF 20 mLに溶解させた溶液を30分以内に滴下した。その後、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空蒸発により除去した。濾過後、少量のジクロロメタン(3 mL)を加え、ポリマーを冷MeOH中で再沈殿させた。沈殿物を集め、60℃で真空乾燥した。
【0134】
合成例6:SBS-E12の調製
マグネチックスターラーを備えたシュレンクフラスコに、乾燥窒素雰囲気下スチレン-ブタジエン-スチレンポリマー(Mw =84k、1 g、ブタジエン繰り返し単位約14.5 mmol)をTHF 50 mLに溶解させた溶液を加えた。これに、0.53 gのmCPBA(水による純度69.0~75.0%)をTHF 20 mLに溶解させた溶液を30分以内に滴下した。その後、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空蒸発により除去した。濾過後、少量のジクロロメタン(3 mL)を加え、ポリマーを冷MeOH中で再沈殿させた。沈殿物を集め、60℃で真空乾燥した(0.88 g, 85 %)。
【0135】
合成例7:SBS-E20の調製
マグネチックスターラーを備えたシュレンクフラスコに、乾燥窒素雰囲気下、スチレン-ブタジエン-スチレンポリマー(Mw =84k、1 g、ブタジエン繰り返し単位約14.5 mmol)をTHF 50 mLに溶解させた溶液を加えた。これに、0.88 gのmCPBA(水による純度69.0~75.0%)をTHF 20 mLに溶解させた溶液を30分以内に滴下した。その後、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空蒸発により除去した。濾過後、少量のジクロロメタン(3 mL)を加え、ポリマーを冷MeOH中で再沈殿させた。沈殿物を集め、60℃で真空乾燥した(0.87 g, 84 %)。
【0136】
合成例8: PI-E12の調製
マグネチックスターラーを備えたシュレンクフラスコに、乾燥窒素雰囲気下、ポリイソプレン(Mw =200k、1 g、イソプレン繰り返し単位約14.71 mmol)をTHF 100 mLに溶解させた溶液を加えた。これに、0.55 gのmCPBA(水による純度69.0~75.0%)をTHF 20 mLに溶解させた溶液を30分以内に滴下した。その後、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空蒸発により除去した。濾過後、少量のジクロロメタン(3 mL)を加え、ポリマーを冷MeOH中で再沈殿させた。沈殿物を集め、真空下、60℃で乾燥させた。(0.77 g, 74.6 %)
なお、合成例のポリブタジエン(PB)ポリマー及びスチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)
ポリマー中の繰り返し単位の構成モル比は表1に記載の通りであった。
【0137】
【0138】
実施例1:PB-Bu12の調製
密閉可能なバイアル瓶(耐圧:2MPa)にマグネチックスターラーを装備し、これにPB-E12を0.5g(Ca.1.2mmolエポキシ基、1当量)、塩化亜鉛を0.16g(1.15mmol、1当量)、乾燥THFを 3mL加えた。この後、ブチルアミン(1.5 mL, 15.16 mmol, 12.6 当量)を混合物に滴下した。バイアル瓶を密閉し、混合物を110℃で24時間撹拌した。氷冷メタノールに2回沈殿させ、沈殿物を回収し、60℃で真空乾燥し、ポリマー(0.48 g, 96 %)を得た。
【0139】
実施例2:PB-Bu20の調製
密閉可能なバイアル瓶(耐圧:2 MPa)にマグネチックスターラーを装備し、これにPB-E20を0.5 g(Ca. 1.92 mmol エポキシ基、1 当量)、塩化亜鉛を0.26 g(1.911 mmol、1 当量)、乾燥THFを3 ml加えた。この後、ブチルアミン(3 mL, 30.35 mmol, 15.8 当量)を混合物に滴下した。バイアル瓶を密閉し、混合物を110℃で24時間撹拌した。氷冷メタノールに2回沈殿させ、沈殿物を回収し、60℃で真空乾燥し、ポリマー(0.41 g, 82 %)を得た。
【0140】
実施例3:PPB-Bu23の調製
密閉可能なバイアル瓶(耐圧:2 MPa)にマグネチックスターラーを取り付け、これにPB-E23 0.5 g(Ca. 2.21 mmol エポキシ基、1 eq)、塩化亜鉛 0.26 g(1.911 mmol、1 eq)、乾燥THF 3 mlを加えた。この後、ブチルアミン(3 mL, 30.35 mmol, 15.8 eq.)を混合物に滴下した。バイアル瓶を密閉し、混合物を110℃で24時間撹拌した。氷冷メタノールに2回沈殿させ、沈殿物を回収し、60℃で真空乾燥し、ポリマーを得た。
【0141】
実施例4:PPB-Bu33の調製
密閉可能なバイアル瓶(耐圧:2 MPa)にマグネチックスターラーを取り付け、これにPB-E33 0.5 g(Ca. 3.17 mmol エポキシ基、1 eq)、塩化亜鉛 0.26 g(1.911 mmol、1 eq)、乾燥THF 3 mlを加えた。この後、ブチルアミン(3 mL, 30.35 mmol, 15.8 eq.)を混合物に滴下した。バイアル瓶を密閉し、混合物を110℃で24時間撹拌した。氷冷メタノールに2回沈殿させ、沈殿物を回収し、60℃で真空乾燥し、ポリマーを得た。
【0142】
実施例5:PPB-Bu40の調製
密閉可能なバイアル瓶(耐圧:2 MPa)にマグネチックスターラーを取り付け、これにPB-E40 0.5 g(Ca. 3.84 mmol エポキシ基、1 eq)、塩化亜鉛 0.26 g(1.911 mmol、1 eq)、乾燥THF 5 mlを加えた。この後、ブチルアミン(3 mL, 30.35 mmol, 15.8 eq.)を混合物に滴下した。バイアル瓶を密閉し、混合物を110℃で36時間撹拌した。氷冷メタノールに2回沈殿させ、沈殿物を回収し、60℃で真空乾燥し、ポリマーを得た。
【0143】
実施例6:PB-DE12の調製
密閉可能なバイアル瓶(耐圧:2MPa)にマグネチックスターラーを装備し、これにPB-E12を0.5g(Ca.1.2mmol エポキシ基、1当量)、塩化亜鉛を0.26g(1.911mmol、1当量)、乾燥THFを 3mL加えた。この後、ジエチルアミン(1.5 mL, 14.6 mmol, 12.15 当量)を混合物に滴下した。バイアル瓶を密閉し、混合物を100℃で24時間撹拌した。氷冷メタノールに2回沈殿させ、沈殿物を回収し、60℃で真空乾燥し、ポリマー(0.41 g, 82 %)を得た。
【0144】
実施例7:PB-DE20の調製
密閉可能なバイアル瓶(耐圧:2MPa)にマグネチックスターラーを取り付け、これにPB-E20を0.5g(Ca.1.92mmol エポキシ基、1当量)、塩化亜鉛を0.26g(1.911mmol、1当量)、乾燥THFを3mL加えた。この後、ジエチルアミン(3 mL, 29.17 mmol, 15.2 当量)を混合物に滴下した。バイアル瓶を密閉し、混合物を110℃で24時間撹拌した。氷冷メタノールに2回沈殿させ、沈殿物を回収し、60℃で真空乾燥し、ポリマー(0.45 g, 90 %)を得た。
【0145】
実施例8: PB-Et12の調製
密閉可能なバイアル瓶(耐圧:2MPa)にマグネチックスターラーを取り付け、これにPB-E12を0.5g(Ca.1.2mmolエポキシ基、1eq)、塩化亜鉛を0.26g(1.911mmol、1eq)、乾燥THFを3mL加えた。この後、3 mLのエチルアミンTHF溶液(THF中約10%、約2 mol/L)を混合物に滴下した。バイアル瓶を密閉し、混合物を110℃で24時間撹拌した。氷冷メタノールに2回沈殿させ、沈殿物を回収し、60℃で真空乾燥し、ポリマー(0.43 g, 80 %)を得た。
【0146】
実施例9: PB-Et20の調製
密閉可能なバイアル瓶(耐圧:2 MPa)にマグネチックスターラーを取り付け、これにPB-E20 0.5 g(Ca. 1.92 mmol エポキシ基、1 eq.)、塩化亜鉛 0.26 g(1.911 mmol、1 eq.)および乾燥THF 5 mlを加えた。この後、4 mLのエチルアミンTHF溶液(THF中約10%、約2 mol/L)を混合物に滴下した。バイアル瓶を密閉し、混合物を110℃で24時間撹拌した。氷冷メタノールに2回沈殿させ、沈殿物を回収し、60℃で真空乾燥し、ポリマー(0.40 g, 71 %)を得た。
【0147】
実施例10:SBS-Bu12の調製
密閉可能なバイアル瓶(耐圧:2 MPa)にマグネチックスターラーを取り付け、これにSBS-E12を0.5 g(Ca. 0.87 mmol エポキシ基、1 当量)、塩化亜鉛を 0.118 g(0.87 mmol、1 当量)、乾燥THFを3 ml加えた。この後、ブチルアミン(1.5 mL, 15.16 mmol, 12.6 当量)を混合物に滴下した。バイアル瓶を密閉し、混合物を110℃で24時間撹拌した。氷冷メタノールに2回沈殿させ、沈殿物を回収し、60℃で真空乾燥し、ポリマー(0.43 g, 86 %)を得た。
【0148】
実施例11: SBS-Et12の調製
密封可能なバイアル瓶(耐圧:2 MPa)にマグネチックスターラーを取り付け、これにSBS-E12 0.5 g(Ca. 0.87 mmol エポキシ基、1 eq)、塩化亜鉛 0.118 g(0.87 mmol、1 eq)および乾燥THF 3 mlを加えた。この後、3 mLのエチルアミンTHF溶液(THF中約10%、約2 mol/L)を混合物に滴下した。バイアル瓶を密閉し、混合物を110℃で24時間撹拌した。氷冷メタノールに2回沈殿させ、沈殿物を回収し、60℃で真空乾燥し、ポリマー(0.42 g, 78 %)を得た。
【0149】
実施例12: SBS-DE12の調製
密閉可能なバイアル瓶(耐圧:2MPa)にマグネチックスターラーを取り付け、これにSBS-E12を0.5g(Ca.0.87mmol エポキシ基、1eq)、塩化亜鉛を0.118g(0.87mmol、1eq)、乾燥THFを3mL加えた。この後、ジエチルアミン(1.5 mL, 14.6 mmol, 12.1 eq.)を混合物に滴下した。バイアル瓶を密閉し、混合物を110℃で24時間撹拌した。氷冷メタノールに2回沈殿させ、沈殿物を回収し、60℃で真空乾燥し、ポリマー(0.37 g, 66 %)を得た。
【0150】
実施例13: PB-AEOTMS12の調製
密閉可能なバイアル瓶(耐圧:2MPa)にマグネチックスターラーを備え、これにPB-E12を0.5g(Ca.1.2mmolエポキシ基、1eq)、塩化亜鉛を0.26g(1.911mmol、1eq)、乾燥THFを3ml加えた。この後、2gの2-((トリメチルシリル)オキシ)エタン-1-アミン(15.0 mmol, 12.5 eq.)を混合物に滴下した。バイアル瓶を密閉し、混合物を110℃で24時間撹拌した。氷冷メタノールに2回沈殿させ、沈殿物を回収し、60℃で真空乾燥し、ポリマー (0.48 g, 78 %) を得た。
【0151】
【0152】
実施例14: PB-AEOH12の調製
マグネチックスターラーを備えた2つ口フラスコに、PB-AEOTMS12 0.25 gをTHF 10 mLに溶解させた溶液を入れた。これに、NaOH 100 mg及びH2O 2 mLをTHF 5 mLに溶解させた溶液を加えた。得られた混合物を室温で12時間撹拌した。氷冷メタノールに2回沈殿させ、沈殿物を回収し、60℃の真空下で乾燥させ、ポリマー(0.17 g, 71 %)を得た。
【0153】
実施例15: PB-AE2OTMS12の調製
密閉可能なバイアル瓶(耐圧:2MPa)にマグネチックスターラーを取り付け、これにPB-E12を0.5g(Ca.1.2mmolエポキシ基、1eq)、塩化亜鉛を0.26g(1.911mmol、1eq)、乾燥THFを3ml加えた。この後、3.5 gの2,2,8,8-テトラメチル-3,7-ジオキサ-2,8-ジシラノナン-5-アミン(14.8 mmol, 12.5 eq.)を混合物に滴下した。バイアル瓶を密閉し、混合物を110℃で24時間撹拌した。氷冷メタノールに2回沈殿させ、沈殿物を回収し、60℃で真空乾燥し、ポリマー(0.40 g, 46 %)を得た。
【0154】
【0155】
実施例16: PB-B12の調製
密閉可能なバイアル瓶(耐圧:2MPa)にマグネチックスターラーを取り付け、これにPB-E12を0.5g(Ca.1.2mmolエポキシ基、1eq)、塩化亜鉛を0.26g(1.911mmol、1eq)、乾燥THFを3ml加えた。この後、フェニルメタンアミン1.3 g (12.4 mmol, 10.0 eq.)を混合物に滴下した。バイアル瓶を密閉し、混合物を110℃で24時間撹拌した。氷冷メタノールに2回沈殿させ、沈殿物を回収し、60℃で真空乾燥し、ポリマー(0.39 g, 74 %)を得た。
【0156】
【0157】
実施例17: PI-Bu12の調製
密閉可能なバイアル瓶(耐圧:2MPa)にマグネチックスターラーを取り付け、これにPI-E12を0.5g(Ca.0.88mmolエポキシ基、1eq)、塩化亜鉛を0.12g(0.88mmol、1eq)、乾燥THFを3mL加えた。この後、ブチルアミン(2 mL, 20.22 mmol, 10 eq.)を混合物に滴下した。バイアル瓶を密閉し、混合物を110℃で48時間撹拌した。氷冷メタノールに2回沈殿させ、沈殿物を回収し、60℃で真空乾燥し、ポリマー(0.19 g, 35 %)を得た。
【0158】
比較例1:PB-Bu20の合成(触媒なし)
マグネチックスターラーを備えたシュレンクフラスコに、乾燥窒素雰囲気下、THF 10 mL中のPB-E20の溶液を加えた。これにブチルアミン3mLの溶液を滴下した。その後、得られた混合物を70℃で12時間還流した。生成物をNMRで分析したが、反応は起こらなかった。
【0159】
比較例2:PB-Bu20(触媒:LiBr)の合成
マグネチックスターラーを備えたシュレンクフラスコに、乾燥窒素雰囲気下、0.2gのLiBrと、THF 10mL中のPB-E20の溶液を加えた。これにブチルアミン3mLの溶液を滴下した。その後、得られた混合物を70℃で12時間還流した。生成物をNMRで分析したが、反応は起こらなかった。
【0160】
図1Aは、NMRによって得られたPB、PB-E20、PB-Bu20、PB-DE20のポリマー形成データである。
図1BはエラストマーSBS、SBS-Bu12、及びSBS-DE12のNMRデータである。
図1CはエラストマーPB-AEOTMS12及びPB-AEOH12のNMRデータである。
図1DはエラストマーPB-AE2OTMS12のNMRデータである。
図1EはエラストマーPB-B12のNMRデータである。
図1FはエラストマーエラストマーPI-Bu12のNMRデータである。
【0161】
PB-E12、PB-E23、PB-E33、PB-E40、SBS-E12、SBS-E20、PI-E12、PB-Bu12、PPB-Bu23、PPB-Bu33、PPB-Bu40、PB-DE12、PB-Et12、PB-Et20、SBS-Et12、SBS-PB-AEOTMS12の生成もNMRで確認した(データは示さず)。
【0162】
改質ポリマーの分子量の測定
実施例1,2,6,8及び9のゲル浸透クロマトグラフィーの測定結果を表2に示す。
【0163】
【0164】
改質ポリマーの機械的特性
本明細書の実施例において、エラストマーの試験片(1.33 mm(幅) * 8 mm(長さ) * Ca. 0.2 mm(厚み))に対する引張試験を、公称ひずみ速度0.10秒-1にほぼ対応する50mm/分の伸長速度で実施した。
【0165】
図2Aおよび2Bに示すように、ポリマーPB-Bu12、PB-Bu20、PB-DE12、PB-DE20、およびPBの引張試験において、純粋なPBは約0.1MPaの破断応力と約440%の破断伸び(破断伸度とも言う)を示した。VAA導入後のエラストマーは、
図2Aおよび2Bに示すように、良好な引張性能を示した。
【0166】
図2Aに示すように、PB-Bu12およびPB-Bu20は、それぞれ3.3MPaおよび6.5MPaの破断応力に対して著しい靭性の向上を示した。純粋なPBエラストマーと比較して、PB-Buエラストマーは約30~70倍の靭性向上を示した。さらに、エラストマー挙動も向上し、PB-Bu12は約1200%の破断伸びを示し、PB-Bu20は約800%の破断伸びを示した。PB-Bu23、PB-Bu33、B-Bu40もPBに比べて靭性の向上と破断伸びを示した。
【0167】
図3AはPB-Bu12の300%でのサイクル一軸伸長試験の結果である。1分間の回復後、エラストマーは約50%の回復を見せ、1時間以上の回復後には70%以上が回復した。これにより、PB-Bu12が優れた回復性を示した。
【0168】
図3BはPB-Bu12のサイクル一軸伸長試験から計算されたヒステリシスリカバリーである。
【0169】
図4に示すように、ジエチルアミン導入後のも優れた機械的特性を示した。PB-DE12は、伸びと応力の両方で高い性能を示した。さらに、PB-DE20は、破断伸びが約4500%という最高のエラストマー挙動を示した。
【0170】
図5に示すように、PB-Et12およびPB-Et20は、それぞれ13.0 Mpaおよび7.0 Mpaの破断応力に対して著しい靭性の向上を示した。純粋なPBエラストマーと比較して、PB-Buエラストマーは約60~150倍の靭性向上を示した。さらに、PB-Et12は約1000%の破断伸びを示した。
【0171】
スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)ポリマーであるSBSとエラストマーであるSBS-Bu12、SBS-Et12、SBS-DE12について、VAA改質の前後で引張試験を行い、結果を
図6Bに示す。VAA改質なしのSBSエラストマーは、約12MPaの破断応力と約1500%の破断伸びを示した。また、ビシナルブチルアミンアルコールを12%導入したSBS-Bu12は、約32MPaの優れた靭性と約1200%の破断伸びを示した。SBS-Et12及びSBS-DE12もSBS-Bu12と同様に靭性が増大していた。
【0172】
図7の引張試験において、PB-AEOTMS12はPB-AEOH12と比較して破断応力及び破断伸びが増大した。
【0173】
図8の引張試験において、PB-AE2OTMS12は、約200Mpaの破断応力と約1700%の破断伸びを示した。
【0174】
図9の引張試験において、PB-E12は、約0.35Mpaの降伏点に達し、約3800%の高い破断伸びを示した。