IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 藤森工業株式会社の特許一覧

特開2025-4344積層体の製造方法および積層体の製造装置
<>
  • 特開-積層体の製造方法および積層体の製造装置 図1
  • 特開-積層体の製造方法および積層体の製造装置 図2
  • 特開-積層体の製造方法および積層体の製造装置 図3
  • 特開-積層体の製造方法および積層体の製造装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004344
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】積層体の製造方法および積層体の製造装置
(51)【国際特許分類】
   B32B 37/02 20060101AFI20250107BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20250107BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20250107BHJP
   B05D 1/38 20060101ALI20250107BHJP
   B05D 3/12 20060101ALI20250107BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20250107BHJP
   C09J 7/35 20180101ALI20250107BHJP
   C09J 7/29 20180101ALI20250107BHJP
【FI】
B32B37/02
B32B27/32 E
B05D7/24 301P
B05D1/38
B05D3/12 C
C09J201/00
C09J7/35
C09J7/29
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103967
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】ZACROS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】桑原 弘嗣
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4D075AC28
4D075AC88
4D075AE03
4D075BB49X
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA04
4D075DB36
4D075DC36
4D075EA35
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK04
4F100AK04A
4F100AK04B
4F100AK04C
4F100AK42
4F100AK48
4F100AK63
4F100AT00A
4F100AT00B
4F100AT00C
4F100CB00
4F100CB00B
4F100CB00D
4F100CB00E
4F100CB03
4F100CB03C
4F100EA02
4F100EH46
4F100EH46B
4F100EH46D
4F100EH46E
4F100EJ37
4F100EJ38
4F100EJ38A
4F100EJ55A
4F100EJ64A
4F100EJ86
4F100EJ86B
4F100EJ86D
4F100EJ86E
4F100GB15
4F100JL00
4F100JL01
4F100JL02
4F100JL04
4F100JL12
4F100JL12C
4F100JL16
4J004AA07
4J004AB03
4J004CA04
4J004CA06
4J004CB03
4J004CC03
4J004CD08
4J004CE01
4J004FA06
4J040DA001
4J040EC001
4J040EF001
4J040JA09
4J040JB01
4J040LA11
4J040MA02
4J040MA10
4J040MB03
4J040MB09
4J040NA08
(57)【要約】
【課題】生産性に優れた積層体の製造方法および積層体の製造装置を提供する。
【解決手段】中間樹脂層12として、片面のみに表面処理を有する樹脂フィルムを供給し、中間樹脂層12がロール状に巻回されることなく、展開された状態において、中間樹脂層12の表面処理を有する片面に、第1樹脂層を積層する第1積層手段33Aと、中間樹脂層12の前記片面とは反対側の面に、表面処理を施す表面処理手段と、表面処理手段の後で、中間樹脂層12の表面処理が施された反対側の面に、第2樹脂層を積層する第2積層手段33Bと、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間樹脂層の両面にそれぞれ第1樹脂層および第2樹脂層を積層した積層体の製造方法であって、
前記中間樹脂層として、片面のみに表面処理を有する樹脂フィルムを供給し、
前記中間樹脂層がロール状に巻回されることなく、展開された状態において、
前記中間樹脂層の前記表面処理を有する前記片面に、前記第1樹脂層を積層する第1積層工程と、
前記中間樹脂層の前記片面とは反対側の面に、表面処理を施す表面処理工程と、
前記表面処理工程の後で、前記中間樹脂層の前記表面処理が施された前記反対側の面に、前記第2樹脂層を積層する第2積層工程と、を有することを特徴とする積層体の製造方法。
【請求項2】
前記第1積層工程に先立って、前記中間樹脂層の前記表面処理を有する前記片面に積層される側で、前記第1樹脂層に接着剤を塗布する第1塗布工程と、前記第1塗布工程で塗布された前記接着剤を乾燥させる第1乾燥工程とを有し、
前記第1積層工程および前記表面処理工程の後で、前記第2積層工程に先立って、前記中間樹脂層の前記表面処理が施された前記反対側の面に接着剤を塗布する第2塗布工程と、前記第2塗布工程で塗布された前記接着剤を乾燥させる第2乾燥工程とを、有することを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項3】
前記中間樹脂層、前記第1樹脂層および前記第2樹脂層が、それぞれポリエチレンを主体とする樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
【請求項4】
前記中間樹脂層が二軸延伸ポリエチレン樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
【請求項5】
前記第1樹脂層が基材樹脂層であり、前記第2樹脂層がシーラント樹脂層であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
【請求項6】
前記表面処理工程が、前記表面処理としてコロナ処理を施す工程であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
【請求項7】
中間樹脂層の両面にそれぞれ第1樹脂層および第2樹脂層を積層した積層体の製造装置であって、
前記中間樹脂層として、片面のみに表面処理を有する樹脂フィルムを供給し、
前記中間樹脂層がロール状に巻回されることなく、展開された状態において、
前記中間樹脂層の前記表面処理を有する前記片面に、前記第1樹脂層を積層する第1積層手段と、
前記中間樹脂層の前記片面とは反対側の面に、表面処理を施す表面処理手段と、
前記表面処理手段の後で、前記中間樹脂層の前記表面処理が施された前記反対側の面に、前記第2樹脂層を積層する第2積層手段と、を有することを特徴とする積層体の製造装置。
【請求項8】
前記第1積層手段に先立って、前記中間樹脂層の前記表面処理を有する前記片面に積層される側で、前記第1樹脂層に接着剤を塗布する第1塗布手段と、前記第1塗布手段で塗布された前記接着剤を乾燥させる第1乾燥手段とを有し、
前記第1積層手段および前記表面処理手段の後で、前記第2積層手段に先立って、前記中間樹脂層の前記表面処理が施された前記反対側の面に接着剤を塗布する第2塗布手段と、前記第2塗布手段で塗布された前記接着剤を乾燥させる第2乾燥手段とを、有することを特徴とする請求項7に記載の積層体の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体の製造方法および積層体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の包装袋に使用される積層体として、特許文献1には、ポリエチレンを主成分とするシーラントフィルムに基材フィルムがラミネートされた包装用フィルムが記載されている。特許文献1の段落0010には、シーラントフィルムを基材フィルムとラミネートする際には、コロナ処理等の表面処理によって、接着剤に対する密着性を高めることが示唆されている。
【0003】
従来の包装袋に使用される複合フィルムは、内側にシーラント、外側に耐熱性基材が積層されている。例えば、特許文献1には、基材フィルムとして、ナイロンフィルムやポリエステルフィルムなどが例示されている。しかし、異種の樹脂を含む包装袋は、プラスチック製容器包装としてのリサイクルが難しいという問題がある。
【0004】
近年、リサイクルを容易にするため、単一または同種の樹脂を用いるモノマテリアルの容器包装が提唱されている。例えば、特許文献2の段落0003には、価格や廃棄物処理の問題から、ポリエチレンを主体とする樹脂フィルムを用いて、包装袋を製造することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-238510号公報
【特許文献2】特許第4536457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ポリエチレンは耐熱性が低いことから、ポリエチレンを主体としたモノマテリアルの積層体を製造するには、生産性が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、生産性に優れた積層体の製造方法および積層体の製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記の態様を含む。
【0009】
第1の態様は、中間樹脂層の両面にそれぞれ第1樹脂層および第2樹脂層を積層した積層体の製造方法であって、前記中間樹脂層として、片面のみに表面処理を有する樹脂フィルムを供給し、前記中間樹脂層がロール状に巻回されることなく、展開された状態において、前記中間樹脂層の前記表面処理を有する前記片面に、前記第1樹脂層を積層する第1積層工程と、前記中間樹脂層の前記片面とは反対側の面に、表面処理を施す表面処理工程と、前記表面処理工程の後で、前記中間樹脂層の前記表面処理が施された前記反対側の面に、前記第2樹脂層を積層する第2積層工程と、を有することを特徴とする積層体の製造方法である。
【0010】
第2の態様は、前記第1積層工程に先立って、前記中間樹脂層の前記表面処理を有する前記片面に積層される側で、前記第1樹脂層に接着剤を塗布する第1塗布工程と、前記第1塗布工程で塗布された前記接着剤を乾燥させる第1乾燥工程とを有し、前記第1積層工程および前記表面処理工程の後で、前記第2積層工程に先立って、前記中間樹脂層の前記表面処理が施された前記反対側の面に接着剤を塗布する第2塗布工程と、前記第2塗布工程で塗布された前記接着剤を乾燥させる第2乾燥工程とを、有することを特徴とする第1の態様の積層体の製造方法である。
【0011】
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記中間樹脂層、前記第1樹脂層および前記第2樹脂層が、それぞれポリエチレンを主体とする樹脂フィルムであることを特徴とする。
第4の態様は、第1~3のいずれか1の態様において、前記中間樹脂層が二軸延伸ポリエチレン樹脂フィルムであることを特徴とする。
【0012】
第5の態様は、第1~4のいずれか1の態様において、前記第1樹脂層が基材樹脂層であり、前記第2樹脂層がシーラント樹脂層であることを特徴とする。
第6の態様は、第1~5のいずれか1の態様において、前記表面処理工程が、前記表面処理としてコロナ処理を施す工程であることを特徴とする。
【0013】
第7の態様は、中間樹脂層の両面にそれぞれ第1樹脂層および第2樹脂層を積層した積層体の製造装置であって、前記中間樹脂層として、片面のみに表面処理を有する樹脂フィルムを供給し、前記中間樹脂層がロール状に巻回されることなく、展開された状態において、前記中間樹脂層の前記表面処理を有する前記片面に、前記第1樹脂層を積層する第1積層手段と、前記中間樹脂層の前記片面とは反対側の面に、表面処理を施す表面処理手段と、前記表面処理手段の後で、前記中間樹脂層の前記表面処理が施された前記反対側の面に、前記第2樹脂層を積層する第2積層手段と、を有することを特徴とする積層体の製造装置である。
【0014】
第8の態様は、前記第1積層手段に先立って、前記中間樹脂層の前記表面処理を有する前記片面に積層される側で、前記第1樹脂層に接着剤を塗布する第1塗布手段と、前記第1塗布手段で塗布された前記接着剤を乾燥させる第1乾燥手段とを有し、前記第1積層手段および前記表面処理手段の後で、前記第2積層手段に先立って、前記中間樹脂層の前記表面処理が施された前記反対側の面に接着剤を塗布する第2塗布手段と、前記第2塗布手段で塗布された前記接着剤を乾燥させる第2乾燥手段とを、有することを特徴とする第7の態様の積層体の製造装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、片面のみに表面処理を有する中間樹脂層が展開された状態で、第1樹脂層との積層、反対側の表面処理、第2樹脂層との積層を連続的に行うので、生産性に優れている。
【0016】
特に、両面に表面処理を有するポリエチレン樹脂フィルムを中間樹脂層として供給する場合に比べて、中間樹脂層のブロッキングを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】積層体の一例を示す断面図である。
図2】積層体の製造装置の一例を示す構成図である。
図3】第1積層工程の前に、表面処理工程を行う例を示す部分構成図である。
図4】第1積層工程の後で、表面処理工程を行う例を示す部分構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
【0019】
図1に示す積層体10は、シーラント樹脂層11と、中間樹脂層12と、基材樹脂層13とをこの順で有する。中間樹脂層12と、シーラント樹脂層11または基材樹脂層13との間は、それぞれ接着層14,15を介して接合してもよい。
【0020】
実施形態の積層体10では、中間樹脂層12の両面にそれぞれ第1樹脂層および第2樹脂層が積層される。シーラント樹脂層11および基材樹脂層13は、それぞれ第1樹脂層および第2樹脂層の一例である。より具体的には、基材樹脂層13は、第1樹脂層の好適な一例であり、積層体10の最外層であってもよい。シーラント樹脂層11は、第2樹脂層の好適な一例であり、積層体10の最内層であってもよい。
【0021】
図2に、積層体10の製造装置の一例を示す。シーラント樹脂層11、中間樹脂層12、基材樹脂層13は、それぞれロール状に巻回された樹脂フィルムとして、供給されている。これらの供給手段としては、ロール状の樹脂フィルムを保管して、外周側から樹脂フィルムを長さ方向に引き出し可能な供給装置が挙げられる。シーラント樹脂層11、中間樹脂層12、基材樹脂層13は、それぞれ長さ方向に搬送されながら処理される。
【0022】
積層体10の製造装置は、シーラント樹脂層供給手段21、中間樹脂層供給手段22、基材樹脂層供給手段23を備えている。シーラント樹脂層供給手段21は、シーラント樹脂層11の供給手段である。中間樹脂層供給手段22は、中間樹脂層12の供給手段である。基材樹脂層供給手段23は、基材樹脂層13の供給手段である。
【0023】
中間樹脂層12と、シーラント樹脂層11または基材樹脂層13との間を接着する際、接着力の向上や安定を図るためには、中間樹脂層12の両面に表面処理を施すことが好ましい。また、シーラント樹脂層11または基材樹脂層13においても、必要に応じて、中間樹脂層12と接着される側の面に表面処理を施してもよい。
【0024】
表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理などが挙げられる。これらの表面処理により、樹脂フィルムの表面に官能基が生成する等、表面状態を改質、活性化することができる。特に、樹脂フィルムの材料が、ポリオレフィン系樹脂など、極性基に乏しい合成樹脂である場合には、親和性を向上することができる。
【0025】
しかし、両面に表面処理を施した樹脂フィルムをロール状に巻回すると、両面の表面処理を施した表面が相互に接触して、固着する場合がある。その結果、樹脂フィルムをロール状から平坦状に展開することが困難になり、ブロッキングの問題が発生するおそれがある。
【0026】
中間樹脂層供給手段22は、中間樹脂層12として、片面のみに表面処理を有する樹脂フィルムを供給する。これにより、片面のみに表面処理を有する中間樹脂層12がロール状に巻回されても、固着しにくく、ブロッキングを抑制することができる。ロール状の中間樹脂層12において、表面処理を有する面は、ロールの内周側でも、ロールの外周側でもよい。
【0027】
実施形態では、中間樹脂層12がロール状に巻回されることなく、中間樹脂層12が展開された状態において、次の(1)~(3)の工程を行う。
【0028】
(1)第1積層工程として、中間樹脂層12の表面処理を有する片面に、第1樹脂層を積層する。具体例においては、第1樹脂層は基材樹脂層13である。
(2)表面処理工程として、中間樹脂層12の前記片面とは反対側の面に、表面処理を施す。
(3)第2積層工程として、中間樹脂層12の表面処理が施された反対側の面に、第2樹脂層を積層する。具体例においては、第2樹脂層はシーラント樹脂層11である。
【0029】
(3)の第2積層工程は、(2)の表面処理工程の後で行われる。(2)の表面処理工程は、(1)の第1積層工程の前に行うこともできるし、第1積層工程の後で行うこともできる。
【0030】
中間樹脂層供給手段22は、第1積層工程を行う第1積層手段33Aに対して、片面のみに表面処理を有する中間樹脂層12を供給する。この際、中間樹脂層12の表面処理を有する片面12aは、基材樹脂層13と積層される側に配置される。
【0031】
中間樹脂層12の表面処理を有する片面12aとは反対側の面には、表面処理手段40を用いて、表面処理が施される。表面処理が施された反対側の面12bは、図2に示すように、第2積層工程を行う第2積層手段33Bにおいて、シーラント樹脂層11と向かい合わせて積層される。
【0032】
図3に示すように、第1積層工程の前に、表面処理工程を行う場合は、中間樹脂層12が基材樹脂層13と重ね合わされる前に、表面処理手段40を用いて、表面処理が施される。表面処理が施される中間樹脂層12は、中間樹脂層供給手段22から展開状態で供給されており、反対側の面12bに対する表面処理が可能になっている。
【0033】
図4に示すように、第1積層工程の後に、表面処理工程を行う場合は、中間樹脂層12が基材樹脂層13と積層された後で、表面処理手段40を用いて、表面処理が施される。表面処理が施される中間樹脂層12は、展開状態で基材樹脂層13と積層されながら搬送れており、反対側の面12bに対する表面処理が可能になっている。
【0034】
第1積層手段33Aを用いた第1積層工程と、第2積層手段33Bを用いた第2積層工程とを経て、製造された積層体10は、積層体巻取手段20において、ロール状に巻き取られる。積層体巻取手段20としては、樹脂フィルム等の積層体10をロール状にする巻取装置が挙げられる。
【0035】
第1積層工程において、基材樹脂層供給手段23から供給される基材樹脂層13は、片面のみに表面処理を有する樹脂フィルムであってもよい。これにより、片面のみに表面処理を有する基材樹脂層13がロール状に巻回されても、固着しにくく、ブロッキングを抑制することができる。ロール状の基材樹脂層13において、表面処理を有する面は、ロールの内周側でも、ロールの外周側でもよい。
【0036】
第2積層工程において、シーラント樹脂層供給手段21から供給されるシーラント樹脂層11は、片面のみに表面処理を有する樹脂フィルムであってもよい。これにより、片面のみに表面処理を有するシーラント樹脂層11がロール状に巻回されても、固着しにくく、ブロッキングを抑制することができる。ロール状のシーラント樹脂層11において、表面処理を有する面は、ロールの内周側でも、ロールの外周側でもよい。
【0037】
図1に示すように、積層体10は、中間樹脂層12と、シーラント樹脂層11または基材樹脂層13との間に、接着層14,15が介在してもよい。接着層14,15は、例えば、接着剤、アンカーコート剤等の接着成分を含有する組成物から形成されてもよい。接着剤は、接着成分を溶剤に溶解または分散させた溶剤型の接着剤でもよく、接着成分が無溶剤で流動化された無溶剤型の接着剤でもよい。
【0038】
中間樹脂層12の表面処理を有する片面12aを、基材樹脂層13と積層する際には、片面12aまたは基材樹脂層13の少なくとも一方に、接着剤を塗布してもよい。また、中間樹脂層12の表面処理が施された反対側の面12bを、シーラント樹脂層11と積層する際には、反対側の面12bまたはシーラント樹脂層11の少なくとも一方に、接着剤を塗布してもよい。
【0039】
図2に示す例では、第1積層工程に先立って、第1樹脂層となる基材樹脂層13に接着剤を塗布した後、この接着剤を乾燥させる工程を有する。第1塗布手段31Aは、基材樹脂層13に接着剤を塗布する塗布装置である。第1乾燥手段32Aは、基材樹脂層13に塗布した接着剤を乾燥させる乾燥装置である。基材樹脂層13に接着剤が塗布される面は、中間樹脂層12の表面処理を有する片面12aに積層される側にある。
【0040】
また、図示例では、第1積層工程および表面処理工程の後で、第2積層工程に先立って、中間樹脂層12に接着剤を塗布した後、この接着剤を乾燥させる工程を有する。第2塗布手段31Bは、中間樹脂層12に接着剤を塗布する塗布装置である。第2乾燥手段32Bは、中間樹脂層12に塗布した接着剤を乾燥させる乾燥装置である。中間樹脂層12に接着剤が塗布される面は、中間樹脂層12の表面処理が施された反対側の面12bである。
【0041】
図示例の製造装置は、第1塗布手段31A、第1乾燥手段32A、第1積層手段33Aを含む第1ユニット30Aと、第2塗布手段31B、第2乾燥手段32B、第2積層手段33Bを含む第2ユニット30Bと、を備える。具体例として、タンデム型のラミネート装置が挙げられる。
【0042】
接着層14,15に用いられる塗布装置は、特に限定されないが、グラビアコーター、ナイフコーター、リバースコーター、バーコーター、スプレーコーター、スピンコーター、ダイコーター、スリットコーター、ロールコーター、ディップコーター等が挙げられる。それぞれの接着層14,15が、2層以上または2回以上重ねて塗布されてもよい。
【0043】
第1塗布手段31Aには、接着層15の接着剤を有する接着剤供給手段25が設けられている。第2塗布手段31Bには、接着層14の接着剤を有する接着剤供給手段24が設けられている。接着剤供給手段24,25は、特に限定されないが、パン、液槽などの開放系供給装置でもよく、ダイ、ノズル等の密閉系供給装置でもよい。
【0044】
第1積層工程に先立って、第1樹脂層に接着層15を形成するか、中間樹脂層に接着層15を形成するかは任意である。また、第2積層工程に先立って、第2樹脂層に接着層14を形成するか、中間樹脂層に接着層14を形成するかは任意である。よって、接着層14,15をそれぞれ1回、樹脂フィルムに形成する場合は、次の(i)~(iv)に示す4とおりが挙げられる。
【0045】
(i)第1積層工程において、第1樹脂層に接着層15を形成した後に、第1樹脂層と中間樹脂層とを積層し、第2積層工程において、中間樹脂層に接着層14を形成した後に、第2樹脂層と中間樹脂層とを積層する。
【0046】
(ii)第1積層工程において、中間樹脂層に接着層15を形成した後に、第1樹脂層と中間樹脂層とを積層し、第2積層工程において、中間樹脂層に接着層14を形成した後に、第2樹脂層と中間樹脂層とを積層する。
【0047】
(iii)第1積層工程において、第1樹脂層に接着層15を形成した後に、第1樹脂層と中間樹脂層とを積層し、第2積層工程において、第2樹脂層に接着層14を形成した後に、第2樹脂層と中間樹脂層とを積層する。
【0048】
(iv)第1積層工程において、中間樹脂層に接着層15を形成した後に、第1樹脂層と中間樹脂層とを積層し、第2積層工程において、第2樹脂層に接着層14を形成した後に、第2樹脂層と中間樹脂層とを積層する。
【0049】
図2に示す例は、上記(i)において、第1樹脂層を基材樹脂層13とし、第2樹脂層をシーラント樹脂層11とした場合に相当する。第2樹脂層がシーラント樹脂層11である場合には、第1樹脂層が基材樹脂層13であることが好ましい。
【0050】
シーラント樹脂層11の耐熱性が低いことから、第2乾燥手段32Bの加熱がシーラント樹脂層11に与える影響を、抑制することが好ましい。この観点では、上記(i)または(ii)の方法を用いて、第2積層工程において、中間樹脂層12に接着層14を形成した後に、シーラント樹脂層11と中間樹脂層12とを積層することが好ましい。
【0051】
特に図示しないが、上記(ii)または(iv)の場合において、中間樹脂層12に接着層15を形成する際は、中間樹脂層12の表面処理を有する片面12aに接着剤が塗布される。さらに、中間樹脂層12に対し、第1塗布手段31Aで塗布された接着剤を、第1乾燥手段32Aで乾燥させてもよい。
【0052】
特に図示しないが、上記(iii)または(iv)の場合において、第2樹脂層に接着層14を形成する際は、第2樹脂層のうち、中間樹脂層12の反対側の面12bに積層される側に接着剤が塗布される。さらに、第2樹脂層に対し、第2塗布手段31Bで塗布された接着剤を、第2乾燥手段32Bで乾燥させてもよい。
【0053】
上記(iii)または(iv)の場合は、中間樹脂層12の片側で、接着層15を介して第1樹脂層を積層する工程と、中間樹脂層12の反対側で、接着層14を介して第2樹脂層を積層する工程とを、任意の順序で行うことができる。つまり、第1積層工程と第2積層工程の前後は任意である。さらに、第1塗布工程と第2塗布工程の前後は任意であり、第1乾燥工程と第2乾燥工程の前後も任意である。
【0054】
中間樹脂層、第1樹脂層および第2樹脂層が、それぞれポリオレフィンを主体とする樹脂フィルムであってもよく、さらには、それぞれがポリエチレンを主体とする樹脂フィルムであってもよい。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。
【0055】
ポリオレフィンを主体とする樹脂フィルムにおいて、ポリオレフィン系樹脂の割合は、1種または2種以上の合計で、50重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましい。さらには、ポリエチレンを主体とする樹脂フィルムにおいて、ポリエチレン系樹脂の割合は、1種または2種以上の合計で、50重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましい。
【0056】
前記樹脂フィルムに用いられるポリエチレン系樹脂は、エチレンの単独重合体(ホモポリマー)でもよく、エチレンを主体とする共重合体(コポリマー)でもよい。エチレン以外のモノマー(コモノマー)としては、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィン、ノルボルネン等の環状オレフィン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のビニル系モノマー等の1種または2種以上が挙げられる。ポリエチレン系樹脂が無水カルボン酸変性等の変性樹脂であってもよい。ポリエチレン系樹脂が、酢酸ビニル等のエステル基を有するモノマーを共重合している場合は、エステル基の一部がケン化されて、ビニルアルコールを含む共重合体となっていてもよい。
【0057】
前記ポリエチレン系樹脂の構成モノマーにおけるエチレンの割合は、50重量%以上が好ましく、例えば、80~100重量%でもよい。エチレンまたはコモノマーは、石油等の化石資源に由来する化合物でもよく、植物等のバイオマスに由来する化合物でもよい。前記ポリエチレン系樹脂層に含まれる樹脂が、ポリエチレン系樹脂のみでもよく、他の樹脂を含有してもよい。前記ポリエチレン系樹脂の少なくとも一部が、リサイクルされたポリエチレン系樹脂を含んでもよい。
【0058】
積層体10に含まれる樹脂フィルムは、樹脂以外の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、特に限定されないが、例えば、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、着色剤、架橋剤、相溶化剤等が挙げられる。添加剤は、樹脂に相溶する成分でもよく、樹脂に相溶しない成分でもよい。
【0059】
シーラント樹脂層11は、無延伸のポリエチレン系樹脂から形成されることが好ましい。シーラント樹脂層11を形成する材料の具体例としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等が挙げられる。シーラント樹脂層11の厚さは、特に限定されないが、例えば、60~180μm程度が挙げられる。シーラント樹脂層11は単層でもよく、共押出等による多層の積層構造を有してもよい。
【0060】
中間樹脂層12または基材樹脂層13を形成する材料の具体例としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。中間樹脂層12または基材樹脂層13の厚さは、特に限定されないが、例えば、10~50μm程度が挙げられる。
【0061】
中間樹脂層12または基材樹脂層13は、延伸されたポリオレフィン系樹脂から形成されることが好ましい。中間樹脂層12は、一軸延伸でもよく、二軸延伸でもよい。基材樹脂層13は、一軸延伸でもよく、二軸延伸でもよい。シーラント樹脂層11と隣接する中間樹脂層12を二軸延伸としてもよい。
【0062】
延伸された樹脂フィルムにおける延伸方向、延伸倍率などは特に限定されないが、搬送(MD)方向または交差(TD)方向のいずれかに一方または両方延伸してもよい。延伸倍率は、MD方向、TD方向ともに、2~10倍の範囲内であることが好ましい。MD方向の延伸倍率とTD方向の延伸倍率とが、互いに等しくてもよく、異なってもよい。
【0063】
積層体10に含まれるポリエチレン系樹脂層の数は、中間樹脂層、第1樹脂層および第2樹脂層が各1層(合計3層)でもよく、4層以上でもよい。各ポリエチレン系樹脂層において、ポリエチレン系樹脂層の全重量または樹脂成分全体におけるポリエチレン系樹脂の割合は、80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、100重量%であってもよい。
【0064】
接着層14,15は、接着剤から形成されてもよく、アンカーコート剤から形成されてもよい。接着層14,15を形成する材料としては、特に限定されないが、ウレタン系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、ポリエチレンイミン、チタンアルコキシド等の有機チタン化合物等が挙げられる。接着層14,15の厚さは、例えば、0.1~10μm程度、1~6μm程度、3~4μm程度が挙げられる。
【0065】
積層体10にバリア性を付与するには、アルミニウム等の金属、シリカやアルミナ等の無機化合物を薄膜状に積層してもよい。例えば、中間樹脂層12および/または基材樹脂層13の少なくとも片面に、上述の金属または無機化合物からなるバリア層を蒸着、めっき等によって成膜してもよい。
【0066】
積層体10は、印刷層(図示せず)を有してもよい。例えば、中間樹脂層12および/または基材樹脂層13の内面または外面に印刷層を積層してもよい。印刷層は、グラビア印刷、凸版印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット等の印刷方式でインキをベタ状またはパターン状に印刷することにより、形成することができる。印刷層の厚さは、特に限定されないが、0.5~10μm程度が挙げられる。
【0067】
印刷層は、積層体10の全面に形成してもよく、積層体10の面内の一部に形成してもよい。2層以上の印刷層を重ね合わせてもよい。印刷層は、溶剤型インキを用いて形成してもよく、EB印刷を用いて無溶剤で形成してもよい。溶剤型インキは、水、有機溶剤、植物油などの溶剤を含有してもよい。溶剤を用いた印刷後は、溶剤の揮発やインキの硬化等によりインキを乾燥させることができる。インキの乾燥を促進するため、加熱、紫外線照射等を実施してもよい。インキが無溶剤の場合は、加熱なしで印刷することも可能である。
【0068】
ポリエチレン系樹脂によるモノマテリアルの容器包装のためには、積層体10の全重量に対し、ポリエチレン系樹脂の合計が80重量%以上であり、ポリエチレン系樹脂以外の材料の合計が20重量%以下であることが好ましく、ポリエチレン系樹脂の合計が90重量%以上であり、ポリエチレン系樹脂以外の材料の合計が10重量%以下であることがより好ましい。
【0069】
積層体10は、包装袋の作製に用いることができる。包装袋は、少なくとも1の部材が、積層体10から形成されていればよい。包装体の用途は、使い捨て用、詰め替え用、貯蔵用、物品等の収納用など、特に限定されないが、液体を内封する用途に好適であり、内容物を消費する際に使用される本体容器に対して、1回または複数回、内容物を詰め替える用途には特に好適である。
【0070】
積層体10を用いて形成される包装体としては、パウチ、バッグなどの包装袋、チューブ、コンテナ、スリーブ包装、ストリップ包装、蓋材等が挙げられる。包装袋の具体例としては、特に限定されないが、三方シール袋、四方シール袋、ピロー袋、平袋、ガセット袋、スタンディングパウチ等が挙げられる。積層体10が柔軟な積層フィルムである場合は、軟包装の包装体を形成することができる。
【0071】
包装袋は、充填口、注出口等を有してもよい。例えば、積層体10の成形により、注出口が包装袋の上部または隅部で細く突出する形状に形成されてもよい。包装袋は、積層体10とは別に成形した部材からなるスパウトタイプでもよい。
【0072】
包装袋は、開封部または外周部に、切り取りを行う部位を有してもよい。切り取りを行う部位は、ミシン目、ノッチ、ハーフカット溝などのようにフィルムの厚さ方向に加工した構造を有してもよい。切り取り箇所は、印刷等による矢印、線、ドット等の表示を有してもよい。
【0073】
包装体の寸法は、特に限定されるものではないが、例えば詰め替え容器の用途では、上下方向の高さが100~500mm程度、左右方向の幅が70~300mm程度、充填量としては100cm~5000cm程度が挙げられる。内容物の状態としては、液体、粉体、粒体等の流体、あるいは物品等の固形物が挙げられる。内容物の種類としては、特に限定されないが、洗剤、薬剤、化粧品、医薬品、飲料、調味料、インキ、塗料、燃料等が挙げられる。
【0074】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、構成要素の追加、置換、省略、その他の変更が挙げられる。
【実施例0075】
以下、実施例として、より具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0076】
<製造方法の説明>
製造方法A(事前処理が片面、製造が1工程)では、次の(A-1)~(A-3)により、積層体を製造した。製造方法Aでは、あらかじめ、片面のみにコロナ処理を施した中間樹脂層が用いられる。
【0077】
(A-1)ロールから展開した基材樹脂層の片面に接着剤を塗布し、乾燥した後、基材樹脂層の接着層と、片面のみにコロナ処理を施した中間樹脂層のコロナ処理面とを向かい合わせてラミネートした。
(A-2)上記(A-1)で得られたラミネートフィルムを展開した状態のまま、基材樹脂層がラミネートされた側とは反対側の面で、中間樹脂層にコロナ処理を施した。
(A-3)上記(A-2)で得られたラミネートフィルムを展開した状態のまま、中間樹脂層にコロナ処理を施した面に接着剤を塗布し、乾燥した後、中間樹脂層の接着層と、シーラント樹脂層と向かい合わせてラミネートし、得られた積層体をロール状に巻き取った。
【0078】
製造方法B(事前処理が両面、製造が1工程)では、次の(B-1)~(B-2)により、積層体を製造した。製造方法Bでは、あらかじめ、両面にコロナ処理を施した中間樹脂層が用いられる。
【0079】
(B-1)ロールから展開した基材樹脂層の片面に接着剤を塗布し、乾燥した後、基材樹脂層の接着層と、両面にコロナ処理を施した中間樹脂層の片面とを向かい合わせてラミネートした。
(B-2)上記(B-1)で得られたラミネートフィルムを展開した状態のまま、基材樹脂層がラミネートされた側とは反対側で、中間樹脂層のコロナ処理面に接着剤を塗布し、乾燥した後、中間樹脂層の接着層と、シーラント樹脂層と向かい合わせてラミネートし、得られた積層体をロール状に巻き取った。
【0080】
製造方法C(事前処理が片面、製造が3工程)では、次の(C-1)~(C-3)により、積層体を製造した。製造方法Cでは、あらかじめ、片面のみにコロナ処理を施した中間樹脂層が用いられるが、ラミネートまたはコロナ処理が終わると、フィルムがロール状に巻き取られる。
【0081】
(C-1)ロールから展開した基材樹脂層の片面に接着剤を塗布し、乾燥した後、基材樹脂層の接着層と、片面のみにコロナ処理を施した中間樹脂層のコロナ処理面とを向かい合わせてラミネートし、ロール状に巻き取った。
(C-2)上記(C-1)で得られたラミネートフィルムをロールから展開し、基材樹脂層がラミネートされた側とは反対側の面で、中間樹脂層にコロナ処理を施し、ロール状に巻き取った。
(C-3)上記(C-2)で得られたラミネートフィルムをロールから展開し、中間樹脂層にコロナ処理を施した面に接着剤を塗布し、乾燥した後、中間樹脂層の接着層と、シーラント樹脂層と向かい合わせてラミネートし、得られた積層体をロール状に巻き取った。
【0082】
<積層体の製造>
実施例1では、MDO-PE25μm/BO-LLDPE25μm/LLDPE130μmの積層体を、製造方法A(事前処理が片面、製造が1工程)により製造した。
実施例2では、MDO-PE25μm/MDO-PE25μm/LLDPE130μmの積層体を、製造方法A(事前処理が片面、製造が1工程)により製造した。
【0083】
比較例1では、PET12μm/Ny12μm/PE120μmの積層体を、製造方法B(事前処理が両面、製造が1工程)により製造した。
比較例2では、MDO-PE25μm/BO-LLDPE25μm/LLDPE130μmの積層体を、製造方法C(事前処理が片面、製造が3工程)により製造した。
比較例3では、MDO-PE25μm/BO-LLDPE25μm/LLDPE130μmの積層体を、製造方法B(事前処理が両面、製造が1工程)により製造した。
【0084】
以上の積層体の層構成は、基材樹脂層/中間樹脂層/シーラント樹脂層の順に示した。これらの層構成において、PEはポリエチレン、LLDPEは直鎖状低密度ポリエチレン、Nyはナイロン、PETはポリエチレンテレフタレート、MDO-は一軸延伸、BO-は二軸延伸を表し、μm単位の数値は樹脂フィルムの厚さである。
【0085】
<リサイクル性の評価>
積層体のリサイクル性は、対象の積層体に含まれる樹脂フィルムがPEのみである場合を良(○)、PPまたはPE以外の樹脂フィルムが含まれる場合を否(×)と評価した。
【0086】
<生産性の評価>
積層体の生産性は、樹脂フィルムをロールから展開し、所定の加工を施してから、ロール状に巻き取るまでを1回の工程とし、回数が1回の場合を良(○)、回数が3回の場合を否(×)と評価した。
【0087】
<加工適性の評価>
加工適性は、中間樹脂層をロールから展開するときに、ブロッキングが問題とならない場合を良(○)、ブロッキングが問題となる場合を否(×)と評価した。
【0088】
<評価結果>
実施例1の評価結果は、リサイクル性:○、生産性:○、加工適性:○であった。
実施例2の評価結果は、リサイクル性:○、生産性:○、加工適性:○であった。
比較例1の評価結果は、リサイクル性:×、生産性:○、加工適性:○であった。
比較例2の評価結果は、リサイクル性:○、生産性:×、加工適性:○であった。
比較例3の評価結果は、リサイクル性:○、生産性:○、加工適性:×であった。
【符号の説明】
【0089】
10…積層体、11…シーラント樹脂層、12…中間樹脂層、12a…表面処理を有する片面、12b…表面処理が施された反対側の面、13…基材樹脂層、14,15…接着層、20…積層体巻取手段、21…シーラント樹脂層供給手段、22…中間樹脂層供給手段、23…基材樹脂層供給手段、24,25…接着剤供給手段、30A…第1ユニット、30B…第2ユニット、31A…第1塗布手段、31B…第2塗布手段、32A…第1乾燥手段、32B…第2乾燥手段、33A…第1積層手段、33B…第2積層手段、40…表面処理手段。
図1
図2
図3
図4