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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004377
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 5/00 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
F24F5/00 L
F24F5/00 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104029
(22)【出願日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519135633
【氏名又は名称】公立大学法人大阪
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】間宮 尚
(72)【発明者】
【氏名】篠儀 大典
(72)【発明者】
【氏名】堤 淳祥
(72)【発明者】
【氏名】菅野 一敏
(72)【発明者】
【氏名】小川 博之
(72)【発明者】
【氏名】宮川 和代
(72)【発明者】
【氏名】山口 佳代
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 正樹
(72)【発明者】
【氏名】中尾 正喜
(72)【発明者】
【氏名】中曽 康壽
(72)【発明者】
【氏名】西岡 真稔
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BF02
3L054BF11
3L054BG09
(57)【要約】
【課題】蓄冷熱と冷房とを並行して行えるとともに、定常的に外気を用いた冷房を行うことができる空調システムを提供する。
【解決手段】一実施形態に係る空調システム1は、冷房を行う空調機2からの第1熱媒体B1を外気への放熱によって冷却する放熱機器3と、放熱機器3によって冷却され、かつ空調機2に供給される第1熱媒体B1を冷却させる冷凍機4と、地中Gに設けられた帯水層蓄冷部6と、帯水層蓄冷部6を通る第2熱媒体B2と空調機2に供給される第1熱媒体B1との間で熱交換を行う第1熱交換器7と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷房を行う空調機からの第1熱媒体を外気への放熱によって冷却する放熱機器と、
前記放熱機器によって冷却され、かつ前記空調機に供給される前記第1熱媒体を冷却させる冷凍機と、
地中に設けられた帯水層蓄冷部と、
前記帯水層蓄冷部を通る第2熱媒体と前記空調機に供給される前記第1熱媒体との間で熱交換を行う第1熱交換器と、
を備える、
空調システム。
【請求項2】
前記放熱機器は、空冷によって前記放熱を行う、
請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記放熱機器は、水冷によって前記放熱を行う、
請求項1に記載の空調システム。
【請求項4】
前記放熱機器は、冷却塔と、前記冷却塔を通る水と前記第1熱媒体との熱交換を行う第2熱交換器とを有する、
請求項3に記載の空調システム。
【請求項5】
前記放熱機器は、
第3熱媒体を放熱によって冷却する複数の放熱装置と、
複数の前記放熱装置のそれぞれから前記第3熱媒体が供給される第1ヘッダと、
複数の前記放熱装置のそれぞれから前記第3熱媒体が供給される第2ヘッダと、
を有し、
前記第1ヘッダおよび前記第2ヘッダの少なくともいずれかにおける前記第3熱媒体の冷熱が前記第1熱媒体に供給される、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷房を行う空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、地中熱システムが記載されている。地中熱システムは、熱源井戸設備と、熱源機と、補助熱交換器と、冷却塔と、複数のポンプと、複数の開閉弁と、モード切替部およびモード決定部を含む中央制御部とを備える。地中熱システムは、主に冬期において蓄冷熱運転モードで運転し、熱源井戸設備に冷熱を備蓄する。地中熱システムは、主に夏期において放冷熱運転モードで運転し、熱源井戸設備の冷熱を放出する。
【0003】
地中熱利用システムは、開閉弁およびポンプを含む1次側冷媒回路、2次側冷媒回路、第1補助冷媒回路、第2補助冷媒回路、第1拡張冷媒回路、ならびに第2拡張冷媒回路を備える。モード切替部は、1次側冷媒回路、2次側冷媒回路、第1補助冷媒回路、第2補助冷媒回路、第1拡張冷媒回路、および第2拡張冷媒回路のうち、少なくとも1つが作動するように各開閉弁の開閉を制御する。中央制御部は、熱源機、冷却塔、各ポンプ、および井戸設備制御部のそれぞれを制御する。
【0004】
特許文献2には、サーバールームを有するデータセンターに設けられる空調システムが記載されている。空調システムは、建築物の少なくともいずれかの部屋の冷房を行う間接外気冷房装置を備える。間接外気冷房装置は、空調機と、室外機と、空調機および室外機の間において冷媒を流通させる配管とを備える。
【0005】
間接外気冷房装置は2本の配管を備える。2本の配管のうちの一方では空調機から室外機に冷媒が供給され、2本の配管のうちの他方では室外機から空調機に冷媒が供給される。空調機は、第1の空調機コイルと、第2の空調機コイルと、空調機送風機とを備える。第1の空調機コイルは、室外機から配管を介して冷却された冷媒を入力するとともに、配管を介して暖められた冷媒を室外機に出力する。第2の空調機コイルは、冷凍機によって冷却された冷媒を入力する。空調機送風機は、第1の空調機コイルおよび第2の空調機コイルによって冷却された空気をサーバルームに送風する。
【0006】
室外機は、室外機コイルと、室外機コイルによって熱交換されて暖められた外気を送風する室外機送風機とを備える。室外機コイルは、冷媒を流通させるとともに外気と冷媒との間で熱交換させて冷媒を冷却する熱交換器である。室外機コイルは、暖まった冷媒を、空調機から配管を介して入力するとともに、熱交換されて冷却された冷媒を、配管を介して空調機に出力する。このように、間接外気冷房装置は、外気を用いてデータセンターのサーバールームの冷房を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6857883号公報
【特許文献2】特許第6431453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した地中熱システムは、熱源井戸設備に冷熱を備蓄する蓄冷熱運転モードと、熱源井戸設備の冷熱を放出する放冷熱運転モードとを有する。しかしながら、冷房が定常的に必要な施設では、蓄冷熱と冷房とを並行して行うことが必要な場合がある。前述した間接外気冷房装置では、室外機が取り入れた外気を用いてサーバールームの冷房を行う。しかしながら、この間接外気冷房装置では、外気の温度が低いときにしか外気を冷房として使えないので、定常的に外気を用いた冷房を行うことができないという問題が生じうる。
【0009】
本開示は、蓄冷熱と冷房とを並行して行えるとともに、定常的に外気を用いた冷房を行うことができる空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る空調システムは、(1)冷房を行う空調機からの第1熱媒体を外気への放熱によって冷却する放熱機器と、放熱機器によって冷却され、かつ空調機に供給される第1熱媒体を冷却させる冷凍機と、地中に設けられた帯水層蓄冷部と、帯水層蓄冷部を通る第2熱媒体と空調機に供給される第1熱媒体との間で熱交換を行う第1熱交換器と、を備える。
【0011】
この空調システムは、空調機からの第1熱媒体を外気への放熱によって冷却する放熱機器を備え、放熱機器によって冷却された第1熱媒体は空調機に供給される。したがって、この空調機によって定常的に外気を用いた冷房を行うことができる。空調システムは、地中に設けられた帯水層蓄冷部を備え、帯水層蓄冷部には第2熱媒体が流通する。空調システムは、空調機に供給される第1熱媒体を冷却させる冷凍機と、空調機に供給される第1熱媒体と第2熱媒体との間で熱交換を行う第1熱交換器とを備える。したがって、冷凍機によって冷却された第1熱媒体が空調機に供給されることによって冷房を行うとともに、第1熱交換器において第1熱媒体の冷熱が第2熱媒体に供給されることによって帯水層蓄冷部への蓄冷を行うことができる。よって、蓄冷熱と冷房とを並行して行うことができる。
【0012】
(2)上記(1)において、放熱機器は、空冷によって放熱を行ってもよい。この場合、外気の冷熱を第1熱媒体に供給することにより、第1熱媒体を空冷によって冷却させることができる。
【0013】
(3)上記(1)において、放熱機器は、水冷によって放熱を行ってもよい。この場合、外気によって冷却された水の冷熱が第1熱媒体に供給されることにより、第1熱媒体を水冷によって冷却させることができる。
【0014】
(4)上記(3)において、放熱機器は、冷却塔と、冷却塔を通る水と第1熱媒体との熱交換を行う第2熱交換器とを有してもよい。この場合、第2熱交換器において冷却塔の水の冷熱が第1熱媒体に供給される。したがって、冷却塔の水が空調機に向かって流れることを抑制できる。
【0015】
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、放熱機器は、第3熱媒体を放熱によって冷却する複数の放熱装置と、複数の放熱装置のそれぞれから第3熱媒体が供給される第1ヘッダと、複数の放熱装置のそれぞれから第3熱媒体が供給される第2ヘッダと、を有してもよい。第1ヘッダおよび第2ヘッダの少なくともいずれかにおける第3熱媒体の冷熱が第1熱媒体に供給されてもよい。この場合、空調機に供給される第1熱媒体に対する熱量を自在に変更することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、蓄冷熱と冷房とを並行して行えるとともに、定常的に外気を用いた冷房を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係る空調システムを示す図である。
図2】第2実施形態に係る空調システムを示す図である。
図3】第3実施形態に係る空調システムを示す図である。
図4】(a)、(b)および(c)は、第1実施形態に係る空調システムの運転モードを示す図である。
図5】(a)、(b)および(c)は、第1実施形態に係る空調システムの運転モードを示す図である。
図6】(a)および(b)は、第1実施形態に係る空調システムの運転モードを示す図である。
図7】(a)および(b)は、第1実施形態に係る空調システムの運転モードを示す図である。
図8】(a)、(b)および(c)は、第3実施形態に係る空調システムの運転モードを示す図である。
図9】(a)および(b)は、変形例に係る空調システムの放熱機器の詳細の例を示す図である。
図10】(a)および(b)は、変形例に係る空調システムの放熱機器の詳細の例を示す図である。
図11】(a)および(b)は、変形例に係る空調システムを示す図である。
図12】実施形態に係る空調方法の工程の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る空調システムの実施形態について説明する。図面の説明において同一または相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化または誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る空調システム1の構成を示す図である。例えば、空調システム1は、極寒地向けとされている。空調システム1は、第1熱媒体B1が通る複数の流路Rを有する。本開示において「熱媒体」とは、加熱または冷却が行われて装置に所望の温度の熱を供給するための液体または気体等の流体を示している。
【0020】
例えば、空調システム1は、建物に設けられる。例えば、空調システム1が設けられる建物は、一年中冷房が行われる建物である。「一年中冷房が行われる建物」は、一例として、サーバが設置されたサーバルームを備えるデータセンターである。また、当該建物は、物流倉庫であってもよい。複数の流路Rを通る第1熱媒体B1は、冷媒であり、例えば、不凍液である。
【0021】
空調システム1は、冷房を行う空調機2と、空調機2からの第1熱媒体B1を外気への放熱によって冷却する放熱機器3とを有する。本開示において、「放熱機器」は、1台の放熱機器であってもよいし、複数台の放熱機器群であってもよい。空調機2は、例えば、サーバルーム内もしくは別室に設けられており、サーバルームの冷房を行う。空調システム1は、複数の放熱機器3を有する。一例として、空調システム1は、3台の放熱機器3を有する。
【0022】
放熱機器3は、例えば、空冷放熱器である。この場合、放熱機器3は、空冷によって複数の流路Rを流れる第1熱媒体B1を冷却する。すなわち、放熱機器3は、空冷によって第1熱媒体B1の放熱を行う。例えば、複数の放熱機器3は、第1放熱機器3b、第2放熱機器3cおよび第3放熱機器3dを含む。
【0023】
空調システム1は、放熱機器3によって冷却され、かつ空調機2に供給される第1熱媒体B1を冷却させる冷凍機4と、地中Gに設けられた帯水層蓄熱部5と、地中Gにおける帯水層蓄熱部5とは異なる場所に設けられた帯水層蓄冷部6と、第1熱交換器7とを有する。空調システム1は、帯水層蓄熱部5から第1熱交換器7を介して帯水層蓄冷部6まで延在する流路Tを有し、流路Tには第2熱媒体B2が通される。第1熱交換器7は、帯水層蓄熱部5および帯水層蓄冷部6を通る第2熱媒体B2と、空調機2に供給される第1熱媒体B1との間で熱交換を行う。
【0024】
例えば、冷凍機4は、蒸発器4bと、凝縮器4cとを備える。帯水層蓄熱部5および帯水層蓄冷部6は、地中Gの帯水層に設けられる。帯水層は、不透水層に挟まれ、かつ水で飽和した砂層または砂利層であるため、断熱性に優れており、かつ熱容量が大きい。例えば、帯水層蓄熱部5は夏期に温熱を貯めて、帯水層蓄冷部6は冬期に冷熱を貯める。帯水層蓄熱部5および帯水層蓄冷部6によって、大規模長期蓄熱が可能となる。
【0025】
例えば、夏期には冷凍機4によって空調機2に供給する第1熱媒体B1が冷却される。しかしながら、夏期の冷房負荷の脱炭素化を実現させるためには、放熱機器3および帯水層蓄冷部6による第1熱媒体B1の冷却が必要となりうる。本実施形態において、空調システム1は、外気の気温および湿度が低い冬期に外気冷房を行うとともに帯水層蓄冷部6に冷熱を蓄積し、夏期に帯水層蓄冷部6に蓄積された冷熱を用いることによって冷凍機4の負荷を低減するシステムである。
【0026】
空調機2に供給される第1熱媒体B1が通る複数の流路Rの例について詳細に説明する。複数の流路Rは、空調機2から第1放熱機器3bまで延びる流路R1と、第1放熱機器3bから空調機2まで延びる流路R2とを含む。流路R1では空調機2から第1放熱機器3bに向かって第1熱媒体B1が流れ、流路R2では第1放熱機器3bから空調機2に向かって第1熱媒体B1が流れる。
【0027】
第1放熱機器3bは、空調機2から流路R1を介して流入した第1熱媒体B1を放熱および空冷によって冷却する。第1放熱機器3bによって冷却された第1熱媒体B1は、流路R2を通って空調機2に供給される。一例として、空調機2から流路R1に流出する第1熱媒体B1の温度は25℃であり、流路R2から空調機2に流入する第1熱媒体B1の温度は15℃である。
【0028】
流路Rは、流路R1から枝分かれして冷凍機4まで延びる流路R3と、冷凍機4から流路R2まで延びる流路R4とを含む。例えば、流路R3および流路R4は冷凍機4の蒸発器4bに接続されている。流路R1および流路R2を流れる第1熱媒体B1の一部は、流路R3を通って冷凍機4(蒸発器4b)に流入して冷凍機4によって冷却される。冷凍機4によって冷却された第1熱媒体B1は流路R4および流路R2を通って空調機2に供給される。
【0029】
流路Rは、第2放熱機器3cから冷凍機4まで延びる流路R5と、第3放熱機器3dから空調機2まで延びる流路R6と、冷凍機4から流路R6まで延びる流路R7と、第2放熱機器3cから流路R7まで延びる流路R8とを含む。例えば、流路R5および流路R7は、冷凍機4の凝縮器4cに接続されている。冷凍機4では、蒸発器4bで冷熱を発生し、凝縮器4cで温熱を発生する。例えば、凝縮器4cからの温熱を有する第1熱媒体B1は、流路R5を通って第2放熱機器3cに流れ込み、第2放熱機器3cによって冷却された後に流路R8に流れ込む。
【0030】
流路R6では空調機2から第3放熱機器3dに向かって第1熱媒体B1が流れ、流路R7、流路R5、流路R8および流路12には流路R6および後述する流路R10を通る第1熱媒体B1の一部が流れる。第2放熱機器3cは、流路R5を介して流入した第1熱媒体B1を空冷による放熱で冷却する。第2放熱機器3cによって冷却された第1熱媒体B1は、流路R8を通って冷凍機4(凝縮器4c)に供給される。
【0031】
流路Rは、第3放熱機器3dから第1熱交換器7まで延びる流路R9と、第1熱交換器7から空調機2まで延びる流路R10とを含む。第3放熱機器3dは、流路R6を介して空調機2から流入した第1熱媒体B1を放熱および空冷によって冷却する。第3放熱機器3dによって冷却された第1熱媒体B1は、流路R9を通って第1熱交換器7に供給される。
【0032】
第1熱交換器7は、流路R9を介して第3放熱機器3dから流入した第1熱媒体B1と、流路Tを通る第2熱媒体B2との間で熱交換を行う。例えば、第3放熱機器3dからの第1熱媒体B1の冷熱が第1熱交換器7を介して第2熱媒体B2に供給され、第2熱媒体B2に供給された冷熱が帯水層蓄冷部6に蓄積される。
【0033】
また、帯水層蓄冷部6からの第2熱媒体B2の冷熱が第1熱交換器7を介して第1熱媒体B1に供給され、第1熱媒体B1に供給された冷熱が空調機2に供給されてもよい。流路R10では、第1熱交換器7によって熱交換された第1熱媒体B1が空調機2に供給される。
【0034】
流路Rは、流路R1から流路R5を介して流路R6まで延びる流路R11と、流路R2から流路R8を介して流路R9まで延びる流路R12と、流路R9から流路R6まで延びる流路R13とを含む。流路R11では流路R1から流路R5および流路R6に向かって第1熱媒体B1が流れ、流路R12では流路R9から流路R8および流路R2に向かって第1熱媒体B1が流れる。流路R13では流路R9から流路R6に向かって第1熱媒体B1が流れる。
【0035】
空調システム1は、例えば、複数の流路Rの間に設けられた複数のバルブVと、複数の流路Rの間に設けられた複数のポンプP1と、流路Tの間に設けられた複数のポンプP2と、複数のバルブV、複数のポンプP1、および複数のポンプP2を制御する制御部とを備える。この制御部が複数のバルブVの開閉、ならびに、複数のポンプP1および複数のポンプP2の稼働を制御することにより、流路R1~流路R13における第1熱媒体B1の流れ、および流路Tにおける第2熱媒体B2の流れが制御される。
【0036】
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態に係る空調システム1Aの構成を示す図である。空調システム1Aの構成の一部は、前述した空調システム1の構成の一部と同一である。よって、以下では、空調システム1の説明と重複する説明を同一の符号を付して適宜省略する。空調システム1Aは、空冷によって放熱を行う放熱機器3に代えて、水冷によって放熱を行う放熱機器3Aを有する。
【0037】
放熱機器3Aは、冷却塔8と、冷却塔8を通る水Wと第1熱媒体B1との熱交換を行う第2熱交換器9とを有する。冷却塔8は水Wを冷却する。例えば、空調システム1Aは、湿球温度が0℃以下であることが少なく冷却塔を用いることが可能な地域向けとされている。
【0038】
放熱機器3Aは、冷却塔8と第2熱交換器9との間で水Wが行き来する流路Uと、流路Uに設けられたポンプP3とを備える。前述した制御部は、ポンプP3の稼働を制御する。これにより、第2熱交換器9から水Wが冷却塔8に流入するとともに、冷却塔8によって冷却された水Wが第2熱交換器9に供給される。
【0039】
空調システム1Aは第1熱媒体B1が流れる流路R1~R13を有し、例えば、空調システム1Aにおいて第1熱媒体B1は水である。空調システム1Aは複数の放熱機器3Aを有し、例えば、複数の放熱機器3Aは第1放熱機器3f、第2放熱機器3gおよび第3放熱機器3hを含む。第1放熱機器3fの第2熱交換器9には流路R1および流路R2が接続されており、第2放熱機器3gの第2熱交換器9には流路R5および流路R8が接続されており、第3放熱機器3hの第2熱交換器9には流路R6および流路R9が接続されている。
【0040】
第1放熱機器3fは、空調機2から流路R1を介して流入した第1熱媒体B1を放熱および水冷によって冷却する。このとき、第1放熱機器3fの第2熱交換器9を流れる第1熱媒体B1が当該第2熱交換器9を流れる水Wによって冷却される。第2放熱機器3gは、例えば、流路R5を介して流入した第1熱媒体B1を放熱および水冷によって冷却する。
【0041】
このとき、第2放熱機器3gの第2熱交換器9を流れる第1熱媒体B1が当該第2熱交換器9を流れる水Wによって冷却される。同様に、第3放熱機器3hは、流路R6を介して空調機2から流入した第1熱媒体B1を放熱および水冷によって冷却する。このとき、第3放熱機器3hの第2熱交換器9を流れる第1熱媒体B1が当該第2熱交換器9を流れる水Wによって冷却される。
【0042】
(第3実施形態)
図3は、第3実施形態に係る空調システム1Bの構成を示す図である。空調システム1Bは、空冷によって放熱を行う放熱機器3と、水冷によって放熱を行う放熱機器3Aとを備える。空調システム1Bは、流路R11、流路R12および流路R13に代えて、流路R14、流路R15および流路R16と、熱交換器10とを備える。例えば、流路R1~流路R4には不凍液としての第1熱媒体B1が流通し、流路R5~流路R10には水としての第1熱媒体B1が流通する。流路R14~流路R16には水Wが流通する。
【0043】
空調システム1Bは複数の放熱機器3Aを備え、複数の放熱機器3Aは第1放熱機器3jおよび第2放熱機器3kを含む。流路R14は、第1放熱機器3jの流路Uから第2放熱機器3kの流路Uまで延びている。流路R15は第1放熱機器3jの流路Uから熱交換器10まで延びており、流路R16は第2放熱機器3kの流路Uから熱交換器10まで延びている。流路R14~流路R16および熱交換器10によって、第1放熱機器3jと第2放熱機器3kとの間における容量の融通が可能とされている。
【0044】
次に、空調システムの動作の例について説明する。まず、前述した空調システム1の動作の例について図4図7を参照しながら説明する。なお、図4以降の図では、煩雑さを回避するため図1図3と重複する符号の図示を適宜省略している。
【0045】
まず、図4(a)に示される例(以下では第1モードと称する)について説明する。なお、図4(a)以降において、バルブVのうち、黒塗りされているバルブVは閉じられているバルブVを示しており、白抜きされているバルブVは開かれているバルブVを示している。図4(a)以降において、流路R1~流路R13のうち、太線で示している流路R1~R13は第1熱媒体B1が流れている流路を示しており、細線で示している流路R1~流路R13は第1熱媒体B1が流れていない流路を示している。
【0046】
第1モードにおいて、空調システム1は、間接外気冷房のみによって冷房を行う。第1モードでは、空調機2から第1熱媒体B1が第1放熱機器3bに流入し、第1放熱機器3bが流入した第1熱媒体B1を冷却する。第1放熱機器3bによって冷却された第1熱媒体B1は、流路R2を介して空調機2に供給される。
【0047】
流路R1を流れる第1熱媒体B1の一部は、流路R11および流路R5を介して第2放熱機器3cに流入するとともに、流路R11および流路R6を介して第3放熱機器3dに流入する。第2放熱機器3cおよび第3放熱機器3dのそれぞれは、流入した第1熱媒体B1を冷却する。
【0048】
第2放熱機器3cによって冷却された第1熱媒体B1は、流路R8および流路R12を通って流路R2に合流し、その後空調機2に供給される。第3放熱機器3dによって冷却された第1熱媒体B1は、流路R9および流路R12を通って流路R2に合流し、その後空調機2に供給される。
【0049】
以上、第1モードでは、複数台(一例として3台)の放熱機器3を用いて間接外気冷房だけで冷房を行う。第1モードは、第1放熱機器3b、第2放熱機器3cおよび第3放熱機器3dの総容量の範囲における好適な容量を使用するモードである。第1モードでは、放熱機器3によって使用される容量を調整することにより、放熱の伝熱面積が変化し、空調機2への第1熱媒体B1の供給温度が変化する。これにより、好適な温度と量の冷熱を好適なポンプP1の動力によって空調機2に供給することができる。
【0050】
図4(b)は空調システム1の第2モードを示す図である。第2モードの一部の動作は、前述した第1モードの一部の動作と同一である。よって、以下の説明では、第1モードと重複する説明を適宜省略する。第2モードでは、第3放熱機器3dを用いたフリークーリングによる帯水層蓄熱を冷房と並行して行う。
【0051】
第2モードでは、第1熱交換器7から第1熱媒体B1が流路R6を介して第3放熱機器3dに流入し、第3放熱機器3dが流入した第1熱媒体B1を冷却する。第3放熱機器3dによって冷却された第1熱媒体B1は、流路R9を介して第1熱交換器7に供給される。第1熱交換器7は、冷却された第1熱媒体B1の冷熱を流路Tを通る第2熱媒体B2に伝達して第2熱媒体B2を冷却する。冷却された第2熱媒体B2は帯水層蓄冷部6に流れる。これにより、帯水層蓄冷部6に冷熱が蓄積される。以上、第2モードによれば、空調システム1によって冷房および蓄冷を並行して行うことが可能である。
【0052】
図4(c)は空調システム1の第3モードを示す図である。第3モードにおいて、空調システム1は、間接外気冷房によって第1熱媒体B1を冷却し、冷凍機4で第1熱媒体B1をさらに除熱して第1熱媒体B1を空調機2に供給する。すなわち、第1放熱機器3bによって冷却された第1熱媒体B1は、流路R2および流路R3を通って冷凍機4(蒸発器4b)に流入し、冷凍機4によって冷却される。冷凍機4によって冷却された第1熱媒体B1は、流路R4および流路R2を通って空調機2に流入する。
【0053】
例えば、第1放熱機器3b、第2放熱機器3cおよび第3放熱機器3dの容量は、固定されておらず、変更可能とされている。第2放熱機器3cには、冷凍機4(凝縮器4c)から流路R5を介して第1熱媒体B1が流入する。第2放熱機器3cは流入した第1熱媒体B1を冷却し、第2放熱機器3cによって冷却された第1熱媒体B1は流路R8を通って冷凍機4に流入する。
【0054】
第3放熱機器3dには、冷凍機4(凝縮器4c)から流路R5、流路R11および流路R6を介して第1熱媒体B1が流入する。第3放熱機器3dは流入した第1熱媒体B1を冷却し、第3放熱機器3dによって冷却された第1熱媒体B1は流路R9、流路R12および流路R8を通って冷凍機4に流入する。
【0055】
第3モードでは、複数の放熱機器3のうちの一部(第1放熱機器3b)が空調機2の間接外気冷房のために用いられ、複数の放熱機器3のうちの残部(第2放熱機器3cおよび第3放熱機器3d)が冷凍機4の凝縮器4cの冷却のために用いられる。凝縮器4cにおける第1熱媒体B1の温度が低いほど冷凍機4の効率を上げることができるので、第3モードでは、間接外気冷房を行うとともに冷凍機4の効率を上げることができる。
【0056】
図5(a)は空調システム1の第4モードを示す図である。第4モードは、第3放熱機器3dの稼働が第3モードとは異なる。第3放熱機器3dは、第2モードと同様、第1熱交換器7から流入した第1熱媒体B1を冷却し、冷却した第1熱媒体B1を第1熱交換器7に供給する。
【0057】
第1熱交換器7は第1熱媒体B1の冷熱を第2熱媒体B2に伝達させて第2熱媒体B2を冷却し、冷却された第2熱媒体B2が帯水層蓄冷部6に供給されることによって帯水層蓄冷部6に冷熱が蓄積される。第4モードでは、複数の放熱機器3の一部(第1放熱機器3b)は間接外気冷房を行い、複数の放熱機器3の一部(第2放熱機器3c)は冷凍機4の凝縮器4cを冷却し、複数の放熱機器3の残部(第3放熱機器3d)は帯水層蓄冷部6への蓄冷を行う。したがって、第4モードでは、空調システム1は、間接外気冷房、冷凍機4の効率の向上、および帯水層蓄冷部6への蓄冷、を並行して行うことができる。
【0058】
図5(b)は空調システム1の第5モードを示す図である。第5モードでは、空調機2が冷凍機4によって冷却された第1熱媒体B1を用いて冷房を行う。冷凍機4の蒸発器4bには、空調機2から流路R1および流路R3を介して第1熱媒体B1が流入する。蒸発器4bは流入した第1熱媒体B1を冷却し、蒸発器4bによって冷却された第1熱媒体B1は流路R4および流路R2を介して空調機2に供給される。
【0059】
第1放熱機器3bには、流路R5、流路R11および流路R1を介して冷凍機4の凝縮器4cから第1熱媒体B1が流入する。第1放熱機器3bは流入した第1熱媒体B1を冷却し、第1放熱機器3bによって冷却された第1熱媒体B1は流路R2、流路R12、流路R8および流路R7を通って冷凍機4の凝縮器4cに供給される。
【0060】
第2放熱機器3cには、流路R5を介して凝縮器4cから第1熱媒体B1が流入する。第2放熱機器3cは流入した第1熱媒体B1を冷却し、第2放熱機器3cによって冷却された第1熱媒体B1は流路R8および流路R7を通って凝縮器4cに供給される。第3放熱機器3dには、流路R5、流路R11および流路R6を介して凝縮器4cから第1熱媒体B1が流入する。第3放熱機器3dは流入した第1熱媒体B1を冷却し、第3放熱機器3dによって冷却された第1熱媒体B1は流路R9、流路R12、流路R8および流路R7を通って凝縮器4cに供給される。
【0061】
以上、第5モードでは、第1放熱機器3b、第2放熱機器3cおよび第3放熱機器3dによって第1熱媒体B1が冷却され、第1放熱機器3b、第2放熱機器3cおよび第3放熱機器3dによって冷却された第1熱媒体B1が凝縮器4cに供給される。したがって、冷凍機4の効率を一層高めることができる。
【0062】
図5(c)は空調システム1の第6モードを示す図である。第6モードでは、冷凍機4によって冷却された第1熱媒体B1を用いて空調機2が冷房を行うとともに、複数の放熱機器3のうちの一部(第3放熱機器3d)が帯水層蓄冷部6への蓄冷を行う。第1放熱機器3bおよび第2放熱機器3cは、第5モードと同様、冷却した第1熱媒体B1を冷凍機4の凝縮器4cに供給する。
【0063】
第3放熱機器3dは、第2モードと同様、第1熱交換器7から流入した第1熱媒体B1を冷却し、冷却した第1熱媒体B1を第1熱交換器7に供給する。そして、第1熱交換器7が第1熱媒体B1の冷熱を第2熱媒体B2に伝達させることによって帯水層蓄冷部6に冷熱を蓄積する。
【0064】
図6(a)は空調システム1の第7モードを示す図である。第7モードでは、冷凍機4によって冷却された第1熱媒体B1を用いて空調機2が冷房を行い、第1放熱機器3b、第2放熱機器3cおよび第3放熱機器3dが帯水層蓄冷部6への蓄冷を行うとともに、第1熱交換器7を通った第1熱媒体B1が凝縮器4cに供給される。
【0065】
第7モードでは、冷凍機4の熱源水として、第1放熱機器3b、第2放熱機器3cおよび第3放熱機器3dからの冷熱と、帯水層蓄冷部6からの冷熱が用いられる。第7モードでは、第1熱媒体B1は、第1放熱機器3b、第2放熱機器3cおよび第3放熱機器3dによって冷却された後に、第1熱交換器7において帯水層蓄冷部6から流れる第2熱媒体B2によってさらに除熱されて冷凍機4(凝縮器4c)に導かれる。第7モードは、帯水層蓄冷部6が放冷を行う帯水層放冷モードである。第7モードでは、さらに高効率な冷房を行うことが可能となる。
【0066】
図6(b)は空調システム1の第7モードの変形パターンを示す図である。当該変形パターンでは、第1放熱機器3b、第2放熱機器3cおよび第3放熱機器3dによって冷却された第1熱媒体B1に帯水層蓄冷部6に貯蔵された冷熱(第2熱媒体B2)が供給されて冷凍機4(凝縮器4c)に送られる。図6(b)に示される変形パターンでは、第1放熱機器3bによって冷却された第1熱媒体B1、第2放熱機器3cによって冷却された第1熱媒体B1、および第3放熱機器3dによって冷却された第1熱媒体B1の一部が第1熱交換器7を通らずに冷凍機4に供給される。この点が図6(a)に示される第7モードとは異なっている。
【0067】
図7(a)は空調システム1の第8モードを示す図である。第8モードでは、冷凍機4によって冷却された第1熱媒体B1と、帯水層蓄冷部6に蓄冷された冷熱とを用いて空調機2による冷房が行われる。第1放熱機器3b、第2放熱機器3cおよび第3放熱機器3dは、冷凍機4(凝縮器4c)に供給される第1熱媒体B1を冷却し、冷凍機4(蒸発器4b)が冷却した第1熱媒体B1を空調機2に供給する。帯水層蓄冷部6に蓄冷された冷熱は、第1熱交換器7を経由して空調機2に供給される。第8モードは、帯水層蓄冷部6が放冷を行う帯水層放冷モードである。
【0068】
図7(b)は空調システム1の第8モードの変形パターンを示す図である。図7(b)の当該変形パターンが図7(a)と異なる点は、空調機2からの第1熱媒体B1が第3放熱機器3dによって冷却され、第3放熱機器3dによって冷却された第1熱媒体B1が第1熱交換器7において熱交換される。第1熱交換器7は帯水層蓄冷部6に貯蔵された冷熱を第1熱媒体B1に供給し、当該冷熱が供給された第1熱媒体B1が空調機2に流入する。
【0069】
以上、第1実施形態に係る空調システム1における第1モードから第8モードについて説明した。この第1モードから第8モードは、第2実施形態に係る空調システム1A、および第3実施形態に係る空調システム1Bにおいても実行可能である。以下では、図8(a)、図8(b)および図8(c)を参照しながら、第3実施形態に係る空調システム1Bの帯水層放冷モード(第7モードおよび第8モード)について説明する。
【0070】
図8(a)は空調システム1Bの第7モードを示す図である。図8(a)では、冷凍機4によって冷却された第1熱媒体B1を用いて空調機2が冷房を行う。図8(a)では、冷凍機4(凝縮器4c)から放熱機器3A(第1放熱機器3jおよび第2放熱機器3k)に向かう第1熱媒体B1の経路、放熱機器3Aから第1熱交換器7に向かう第1熱媒体B1の経路、および、第1熱交換器7から冷凍機4(凝縮器4c)に向かう第1熱媒体B1の経路が直列に繋がっている。
【0071】
この第7モードでは、第1熱媒体B1が放熱機器3Aにおいて冷却され、放熱機器3Aにおいて冷却された第1熱媒体B1には第1熱交換器7において冷熱が供給される。この冷熱が供給された第1熱媒体B1が冷凍機4(凝縮器4c)に供給される。第7モードにおいて、第1放熱機器3jおよび第2放熱機器3kの容量は、固定されておらず、変更可能とされている。
【0072】
図8(b)は空調システム1Bの第8モードを示す図である。図8(b)では、冷凍機4によって冷却された第1熱媒体B1、および帯水層蓄冷部6の冷熱によって冷却された第1熱媒体B1によって空調機2が冷房を行う。第8モードでは、冷凍機4の熱源水として、放熱機器3A(第1放熱機器3jおよび第2放熱機器3k)が用いられる。帯水層蓄冷部6の冷熱は、第1熱交換器7を介して空調機2に供給される。第8モードにおいて、第1放熱機器3jおよび第2放熱機器3kの容量は、固定されておらず、変更可能とされている。
【0073】
図8(c)は空調システム1Bの第8モードの変形パターンを示す図である。当該変形パターンでは、図8(b)と同様、冷凍機4によって冷却された第1熱媒体B1と帯水層蓄冷部6の冷熱とによって空調機2が冷房を行う。当該変形パターンでは、冷凍機4の熱源水として、第1放熱機器3jが用いられる。第2放熱機器3kは空調機2からの第1熱媒体B1を冷却し、第2放熱機器3kによって冷却された第1熱媒体B1が第1熱交換器7を介して空調機2に供給される。
【0074】
次に、複数の放熱機器の容量を変更するシステムについて図9および図10を参照しながら説明する。図9(a)は、第1変形例に係る空調システムの放熱機器11を示している。放熱機器11は、第3熱媒体B3を放熱によって冷却する複数の放熱装置である放熱装置12b,12c,12d・・・12pと、放熱装置12b,12c,12d・・・12pのそれぞれから第3熱媒体B3が供給される第1ヘッダ13b、第2ヘッダ13cおよび第3ヘッダ13dとを備える。
【0075】
放熱機器11は、例えば、前述した空調システム1(図1参照)の第1放熱機器3b、第2放熱機器3cおよび第3放熱機器3dに代えて設けられる。第1ヘッダ13bには流路R1が接続されており、第2ヘッダ13cには流路R5が接続されており、第3ヘッダ13dには流路R6が接続されている。第1ヘッダ13bには流路R1を介して第1熱媒体B1が流入し、第2ヘッダ13cには流路R5を介して第1熱媒体B1が流入し、第3ヘッダ13dには流路R6を介して第1熱媒体B1が流入する。
【0076】
以上のように、放熱機器11には、流路R1、流路R5および流路R6のそれぞれから第1熱媒体B1が流入する。放熱機器11は、後述する放熱装置12b,12c,12d・・・12pの働きで流入した第1熱媒体B1を冷却する。なお、第1変形例に係る空調システムは、図示しないが流路R2、流路R8および流路R9に冷却した第1熱媒体B1を流す放熱機器を備えており、当該放熱機器の構成は放熱機器11の構成と同様である。
【0077】
第1ヘッダ13b、第2ヘッダ13cおよび第3ヘッダ13dのそれぞれは、放熱装置12b,12c,12d・・・12pのそれぞれから延びる複数の流路14と、各流路14に設けられた複数のバルブ15とを有する。第1ヘッダ13b、第2ヘッダ13cおよび第3ヘッダ13dのそれぞれの複数のバルブ15は、前述した制御部によって開閉制御される。これにより、第1ヘッダ13b、第2ヘッダ13cおよび第3ヘッダ13dにおける第3熱媒体B3の容量が変更可能とされている。第1ヘッダ13b、第2ヘッダ13cおよび第3ヘッダ13dは、流入した第1熱媒体B1を第3熱媒体B3として放熱装置12b,12c,12d・・・12pに供給する。
【0078】
図9(b)は、第2変形例に係る空調システムの放熱機器21を示している。放熱機器21の一部の構成は、前述した放熱機器11の一部の構成と同一である。よって、以下では、放熱機器11の構成と重複する説明を同一の符号を付して適宜省略する。放熱機器21は、放熱装置12b,12c,12d・・・12pと、放熱装置12b,12c,12d・・・12pのそれぞれに第3熱媒体B3を供給する第1ヘッダ23bと、放熱装置12b,12c,12d・・・12pのそれぞれから第3熱媒体B3が供給される第2ヘッダ23cとを備える。
【0079】
第1ヘッダ23bには流路R1、流路R5および流路R6が接続されており、第2ヘッダ23cには流路R2、流路R8および流路R9が接続されている。第1ヘッダ23bには流路R1、流路R5および流路R6を介して第1熱媒体B1が流入し、第2ヘッダ23cからは流路R2、流路R8および流路R9に第1熱媒体B1を流出する。
【0080】
第1ヘッダ23bは、放熱装置12b,12c,12d・・・12pのそれぞれから延びる複数の流路24bと、各流路24bに設けられた複数のバルブ25bとを有する。第2ヘッダ23cは、放熱装置12b,12c,12d・・・12pのそれぞれから延びる複数の流路24cと、各流路24cに設けられた複数のバルブ25cとを有する。
【0081】
バルブ25bおよびバルブ25cは、前述した制御部によって開閉制御される。これにより、第1ヘッダ23bおよび第2ヘッダ23cにおける第3熱媒体B3の容量が変更可能とされている。第1ヘッダ23bおよび第2ヘッダ23cは、それぞれ第1熱媒体B1を第3熱媒体B3に分岐、第3熱媒体B3を第1熱媒体B1に合流する。第1ヘッダ23bで分岐された第3熱媒体B3は、放熱装置12b,12c,12d・・・12pで冷却された後、第2ヘッダ23cで第1熱媒体B1として合流され、流路R2,R8,R9に流出する。
【0082】
図10(a)は、第3変形例に係る空調システムの放熱機器31を示している。放熱機器31は、第3熱媒体B3を放熱によって冷却する複数の放熱装置である冷却塔32a,32b,32c,32d,32e・・・32pと、冷却塔32a,32b,32c,32d,32e・・・32pのそれぞれから第3熱媒体B3が供給される第1ヘッダ33b、第2ヘッダ33cおよび第3ヘッダ33dと備える。さらに、放熱機器31は、第1ヘッダ33bに接続された熱交換器34bと、第2ヘッダ33cに接続された熱交換器34cと、第3ヘッダ33dに接続された熱交換器34dとを備える。
【0083】
放熱機器31は、例えば、前述した空調システム1A(図2参照)の第1放熱機器3f、第2放熱機器3gおよび第3放熱機器3hに代えて設けられる。熱交換器34bには流路R1および流路R2が接続されており、熱交換器34cには流路R5および流路R8が接続されており、熱交換器34dには流路R6および流路R9が接続されている。
【0084】
熱交換器34bには流路R1を介して第1熱媒体B1が流入し、熱交換器34cには流路R5を介して第1熱媒体B1が流入し、熱交換器34dには流路R6を介して第1熱媒体B1が流入する。熱交換器34bからは冷却された第1熱媒体B1が流路R2に流出し、熱交換器34cからは冷却された第1熱媒体B1が流路R8に流出し、熱交換器34dからは冷却された第1熱媒体B1が流路R9に流出する。
【0085】
第1ヘッダ33b、第2ヘッダ33cおよび第3ヘッダ33dのそれぞれは、冷却塔32a,32b,32c,32d,32e・・・32pのそれぞれから延びる複数の流路35と、各流路35に設けられた複数のバルブ36とを有する。第1ヘッダ33b、第2ヘッダ33cおよび第3ヘッダ33dのそれぞれの複数のバルブ36は、前述した制御部によって開閉制御される。
【0086】
これにより、第1ヘッダ33b、第2ヘッダ33cおよび第3ヘッダ33dにおける第3熱媒体B3の容量が変更可能とされている。第1ヘッダ33bにおける第3熱媒体B3の冷熱は熱交換器34bを介して第1熱媒体B1に供給され、第2ヘッダ33cにおける第3熱媒体B3の冷熱は熱交換器34cを介して第1熱媒体B1に供給され、第3ヘッダ33dにおける第3熱媒体B3の冷熱は熱交換器34dを介して第1熱媒体B1に供給される。
【0087】
図10(b)は、第4変形例に係る空調システムの放熱機器41を示している。放熱機器41の一部の構成は、前述した放熱機器31の一部の構成と同一である。以下では、放熱機器31の構成と重複する説明を同一の符号を付して適宜省略する。放熱機器41は、冷却塔32a,32b,32c,32d,32e・・・32pと、冷却塔32a,32b,32c,32d,32e・・・32pのそれぞれに第3熱媒体B3を供給する第1ヘッダ43bと、冷却塔32a,32b,32c,32d,32e・・・32pのそれぞれから第3熱媒体B3が供給される第2ヘッダ43cとを備える。
【0088】
第1ヘッダ43bは、熱交換器34b,34c,34dのそれぞれに接続されており、熱交換器34b,34c,34dのそれぞれと第3熱媒体B3の流出入を行う。第2ヘッダ43cは、第1ヘッダ43bと同様、熱交換器34b,34c,34dのそれぞれに接続されており、熱交換器34b,34c,34dのそれぞれと第3熱媒体B3の流出入を行う。
【0089】
第1ヘッダ43bは、冷却塔32a,32b,32c,32d,32e・・・32pのそれぞれから延びる複数の流路45bと、各流路45bに設けられた複数のバルブ46bとを有する。第2ヘッダ43cは、冷却塔32a,32b,32c,32d,32e・・・32pのそれぞれから延びる複数の流路45cと、各流路45cに設けられた複数のバルブ46cとを有する。
【0090】
バルブ46bおよびバルブ46cは、前述した制御部によって開閉制御される。これにより、第1ヘッダ43bおよび第2ヘッダ43cにおける第3熱媒体B3の容量が変更可能とされている。第2ヘッダ43cにおける第3熱媒体B3の冷熱は、熱交換器34b,34c,34dで第1熱媒体B1に供給され、冷熱が供給された第1熱媒体B1が熱交換器34b,34c,34dのそれぞれから流路R2,R8,R9に流出する。
【0091】
次に、空調システムのさらなる変形例について図11を参照しながら説明する。図11(a)は、第5変形例に係る空調システム51を示す図である。空調システム51は、空調機2から流路R1,R6まで延びる流路R21と、空調機2から流路R2,R10まで延びる流路R22とを有する点が第1実施形態に係る空調システム1とは異なる。空調システム51は、流路R21を介して第1熱媒体B1を複数の放熱機器3(例えば第1放熱機器3b、第2放熱機器3cおよび第3放熱機器3d)に並行して送る。空調システム51は、複数の放熱機器3によって冷却された第1熱媒体B1が流路R21、流路R22に合流されてから空調機2に送られる。
【0092】
図11(b)は、第6変形例に係る空調システム61を示す図である。空調システム61は、空調機2から流路R1,R6まで延びる流路R31と、空調機2から流路R2,R10まで延びる流路R32とを有する点が第2実施形態に係る空調システム1Aとは異なる。空調システム61は、上記の空調システム51と同様、流路R31を介して第1熱媒体B1を複数の放熱機器3A(第1放熱機器3f、第2放熱機器3gおよび第3放熱機器3h)に並行して送り、複数の放熱機器3Aによって冷却された第1熱媒体B1が流路R31、流路R32に合流されてから空調機2に送られる。
【0093】
次に、本実施形態に係る空調方法の例について図12を参照しながら説明する。以下では、図12のフローチャートを参照しながら空調システム1の各機器の稼働方法の例について説明する。まず、空調システム1の運転モードを選択する(ステップS1)。例えば、運転モードの選択としては、冷房蓄冷モード、冷房モードおよび冷房放冷モードのいずれかが選択される。
【0094】
冷房蓄冷モードが選択された場合には、ステップS2に移行し、外気乾球温度Tより予測温度TACが高く損失が生じないか否かが判定される(ステップS3)。ステップS3において予測温度TACが高く損失が生じないと判定された場合には、ステップS4に移行する。
【0095】
ステップS4では、外気乾球温度Tが所定温度X1以下であるか否かが判定される。一例として、所定温度X1は0℃である。ステップS4において外気乾球温度Tが所定温度X1以下であると判定された場合には、第1蓄冷パターンを実行する。第1蓄冷パターンでは、空調機2から第1熱媒体B1が第3放熱機器3dに流入し、第3放熱機器3dが流入した第1熱媒体B1を冷却し、第3放熱機器3dによって冷却された第1熱媒体B1の冷熱が第1熱交換器7を介して帯水層蓄冷部6に蓄冷される。第1蓄冷パターンにおいて、第1放熱機器3b、第2放熱機器3cおよび冷凍機4の稼働は前述した第2モード(図4(b))と同様である。
【0096】
ステップS4において、外気乾球温度Tが所定温度X1以下でないと判定された場合には、第2蓄冷パターンを実行する。第2蓄冷パターンは、前述した第2モード(図4(b))と同様の蓄冷パターンである。第2蓄冷パターンでは、第1熱交換器7から第1熱媒体B1が流路R6を介して第3放熱機器3dに流入し、第3放熱機器3dが流入した第1熱媒体B1を冷却し、第3放熱機器3dによって冷却された第1熱媒体B1の冷熱が帯水層蓄冷部6に蓄冷される。
【0097】
ステップS1において冷房モードが選択された場合、または、ステップS3において外気乾球温度Tより予測温度TACが高くなく損失が生じると判定された場合には、ステップS5に移行して冷房モードとなる。そして、ステップS6に移行し、外気乾球温度Tが所定温度X2以下であるか否かが判定される。所定温度X2は所定温度X1より高く、一例として、所定温度X2は7.5℃である。
【0098】
ステップS6において、外気乾球温度Tが所定温度X2以下であると判定された場合、第1冷房パターンを実行する。第1冷房パターンは、前述した第1モード(図4(a))と同様の冷房パターンである。第1冷房パターンでは、冷凍機4および帯水層蓄冷部6を用いずに、間接外気冷房のみによって冷房を行う。すなわち、複数台の放熱機器3を用いて間接外気冷房だけで冷房を行う。
【0099】
ステップS6において、外気乾球温度Tが所定温度X2以下でないと判定された場合、第2冷房パターンを実行する。第2冷房パターンは、前述した第3モード(図4(c))と同様の冷房パターンである。第2冷房パターンにおいて、空調システム1は、間接外気冷房によって第1熱媒体B1を冷却しつつ、さらに冷凍機4で第1熱媒体B1を冷却して空調機2に供給する。第2冷房パターンでは、複数の放熱機器3のうちの一部(第1放熱機器3b)が空調機2の間接外気冷房のために用いられ、複数の放熱機器3のうちの残部(第2放熱機器3cおよび第3放熱機器3d)が冷凍機4の凝縮器4cの冷却のために用いられる。
【0100】
ステップS1において、冷房放冷モードが選択された場合には、ステップS7に移行し、外気乾球温度Tが予測温度TAC以上であり損失が生じないか否かが判定される(ステップS8)。ステップS8において、外気乾球温度Tが予測温度TAC以上でなく損失が生じると判定された場合には、ステップS5およびステップS6に移行して前述した第1冷房パターンおよび第2冷房パターンのいずれかが実行される。
【0101】
ステップS8において、外気乾球温度Tが予測温度TAC以上であり損失が生じると判定された場合には、ステップS9に移行する。ステップS9では、外気乾球温度Tが所定温度X3より高いか否かが判定される。例えば、所定温度X3は、所定温度X1および所定温度X2よりも高い。一例として、所定温度X3は20℃である。ステップS9において、外気乾球温度Tが所定温度X3より高いと判定された場合には、第1放冷パターンを実行する。
【0102】
第1放冷パターンは、前述した第8モードの変形パターン(図7(a))と同様の放冷パターンである。ステップS9において、外気乾球温度Tが所定温度X3より高いと判定された場合には、冷凍機4によって冷却された第1熱媒体B1と、帯水層蓄冷部6に蓄冷された冷熱とを用いて空調機2による冷房を行う。複数の放熱機器3は冷凍機4の凝縮器4cに供給される第1熱媒体B1を冷却し、冷凍機4が蒸発器4bで冷却した第1熱媒体B1を空調機2に供給する。帯水層蓄冷部6に蓄冷された冷熱は、第1熱交換器7を経由して空調機2に供給される。
【0103】
ステップS9において、外気乾球温度Tが所定温度X3より高くないと判定された場合には、第2放冷パターンを実行する。第2放冷パターンは、前述した第8モード(図7(b))と同様の放冷パターンである。第2放冷パターンでは、冷凍機4によって冷却された第1熱媒体B1と、放熱機器3によって第1熱媒体B1をプレクールするとともに帯水層蓄冷部6の冷熱によって第1熱媒体B1を冷却して空調機2に導く。すなわち、空調機2からの第1熱媒体B1は、第3放熱機器3dによって冷却されて第1熱交換器7において熱交換されてから空調機2に供給される。
【0104】
本実施形態に係る空冷方法の工程は、以上の第1蓄冷パターン、第2蓄冷パターン、第1冷房パターン、第2冷房パターン、第1放冷パターンおよび第2放冷パターンが実行された後に終了する。このように、空調システム1では、帯水層蓄冷部6への蓄冷、放熱機器3による第1熱媒体B1の放熱、帯水層蓄冷部6による第1熱媒体B1の冷却(放冷)、および冷凍機4による第1熱媒体B1の冷却、を種々のパターンに応じて実行することができる。
【0105】
次に、本実施形態に係る空調システム1から得られる作用効果についてより詳細に説明する。空調システム1は、空調機2からの第1熱媒体B1を外気への放熱によって冷却する放熱機器3を備え、放熱機器3によって冷却された第1熱媒体B1は空調機2に供給される。したがって、この空調機2によって定常的に外気を用いた冷房を行うことができる。
【0106】
空調システム1は、地中Gに設けられた帯水層蓄冷部6を備え、帯水層蓄冷部6には第2熱媒体B2が通される。空調システム1は、空調機2に供給される第1熱媒体B1を冷却させる冷凍機4と、空調機2に供給される第1熱媒体B1と第2熱媒体B2との間で熱交換を行う第1熱交換器7を備える。したがって、冷凍機4によって冷却された第1熱媒体B1が空調機2に供給されることによって冷房を行うとともに、第1熱交換器7において第1熱媒体B1の冷熱が第2熱媒体B2に供給されることによって帯水層蓄冷部6への蓄冷を行うことができる。よって、蓄冷熱と冷房とを並行して行うことができる。この作用効果は、前述した空調システム1A、空調システム1B、および第1~第6変形例に係る空調システムからも同様に得られる。
【0107】
前述した空調システム1のように、放熱機器3は、空冷によって放熱を行ってもよい。この場合、外気の冷熱を第1熱媒体B1に供給することにより、第1熱媒体B1を空冷によって冷却させることができる。
【0108】
前述した空調システム1Aのように、放熱機器3Aは、水冷によって放熱を行ってもよい。この場合、外気によって冷却された水の冷熱が第1熱媒体B1に供給されることにより、第1熱媒体B1を水冷によって冷却させることができる。
【0109】
前述した空調システム1Aのように、放熱機器3Aは、冷却塔8と、冷却塔8を通る水Wと第1熱媒体B1との熱交換を行う第2熱交換器9とを有してもよい。この場合、第2熱交換器9において冷却塔8の水Wの冷熱が第1熱媒体B1に供給される。したがって、冷却塔8の水Wが空調機2に向かって流れることを抑制できる。
【0110】
前述した第1変形例に係る空調システム(図9(a)参照)のように、放熱機器11は、第3熱媒体B3を放熱によって冷却する放熱装置12b,12c,12d・・・12pと、放熱装置12b,12c,12d・・・12pのそれぞれに第3熱媒体B3を供給する第1ヘッダ13bと、放熱装置12b,12c,12d・・・12pのそれぞれに第3熱媒体B3を供給する第2ヘッダ13cと、放熱装置12b,12c,12d・・・12pのそれぞれに第3熱媒体B3を供給する第3ヘッダ13dと、を有してもよい。放熱装置12b,12c,12d・・・12pで冷却された第3熱媒体B3は、図示しないヘッダを介して流路R2、流路R8、流路R9へ導かれる。第1ヘッダ13b、第2ヘッダ13cおよび第3ヘッダ13dの少なくともいずれかにおける第3熱媒体B3の冷熱が第1熱媒体B1として供給されてもよい。この場合、空調機2に供給される第1熱媒体B1に対する温度と熱量を自在に変更することができる。
【0111】
以上、本開示に係る空調システムの種々の実施形態、および種々の変形例について説明した。しかしながら、本開示に係る空調システムは、前述した各実施形態または各変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内においてさらに変形することが可能である。すなわち、空調システムの各部の機能、数および配置態様は上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。以上、第1実施形態~第3実施形態および第1変形例~第6変形例について説明したが、本開示に係る空調システムは、第1実施形態~第3実施形態および第1変形例~第6変形例から選択された形態の一部と、当該形態とは異なる残部とが組み合わされた空調システムであってもよい。このように、前述した第1実施形態~第3実施形態および第1変形例~第6変形例は適宜組み合わせることが可能である。
【0112】
例えば、前述した実施形態では、空調機2、放熱機器3、冷凍機4、帯水層蓄熱部5、帯水層蓄冷部6および第1熱交換器7を備えた空調システム1について説明した。しかしながら、空調システムの全体構成は適宜変更可能であり、空調システムの流路の構成も、前述した流路R等に限られず適宜変更可能である。
【0113】
例えば、前述した空調システム1では、第1放熱機器3b、第2放熱機器3cおよび第3放熱機器3dという3台の放熱機器を備える例について説明した。しかしながら、空調システムが備える放熱機器の数は、1台、2台または4台以上であってもよく、特に限定されない。
【0114】
前述した実施形態では、データセンターのサーバルームの空調を行う空調機2を備えた空調システム1について説明した。しかしながら、空調システムの空調機は、サーバルーム以外の空調を行うものであってもよい。さらに、空調システムは、データセンターに限られず種々の建物に適用させることが可能である。
【符号の説明】
【0115】
1,1A,1B…空調システム、2…空調機、3,3A…放熱機器、3b…第1放熱機器、3c…第2放熱機器、3d…第3放熱機器、3f…第1放熱機器、3g…第2放熱機器、3h…第3放熱機器、3j…第1放熱機器、3k…第2放熱機器、4…冷凍機、4b…蒸発器、4c…凝縮器、5…帯水層蓄熱部、6…帯水層蓄冷部、7…第1熱交換器、8…冷却塔、9…第2熱交換器、10…熱交換器、11…放熱機器、12b,12c,12d,12p…放熱装置、13b…第1ヘッダ、13c…第2ヘッダ、13d…第3ヘッダ、14…流路、15…バルブ、21…放熱機器、23b…第1ヘッダ、23c…第2ヘッダ、24b,24c…流路、25b,25c…バルブ、31…放熱機器、32a,32b,32c,32d,32e,32p…冷却塔、33b…第1ヘッダ、33c…第2ヘッダ、33d…第3ヘッダ、34b,34c,34d…熱交換器、35…流路、36…バルブ、41…放熱機器、43b…第1ヘッダ、43c…第2ヘッダ、45b,45c…流路、46b,46c…バルブ、51,61…空調システム、B1…第1熱媒体、B2…第2熱媒体、B3…第3熱媒体、G…地中、P1,P2,P3…ポンプ、R,R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11,R12,R13,R14,R15,R16,R21,R22,R31,R32,T,U…流路、V…バルブ、W…水。
図1
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