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特開2025-4761前駆体レベルモニタリングのための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004761
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】前駆体レベルモニタリングのための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/44 20060101AFI20250107BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
C23C16/44 B
C23C16/455
【審査請求】未請求
【請求項の数】32
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024100611
(22)【出願日】2024-06-21
(31)【優先権主張番号】63/510,293
(32)【優先日】2023-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンッティ・ニスカネン
(72)【発明者】
【氏名】フィンセント・ファンダロン
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA09
4K030AA11
4K030BA10
4K030BA12
4K030EA01
4K030HA01
4K030KA41
(57)【要約】
【課題】前駆体レベルモニタリングのための方法およびシステムを提供する。
【解決手段】前駆体容器内の前駆体の量を決定するために採用することができる方法および関連するシステム、前駆体容器、データ処理システム、コンピュータプログラム製品、およびコンピュータ可読媒体。ここに記述される方法の実施形態は、プロセッサによって、時間の関数として少なくとも圧力の分析シーケンスを実行し、それによって前駆体の残量を定量化することを含むことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
-前駆体容器から前記前駆体容器と流体接続の状態にある前駆体ラインへと複数の前駆体パルスを提供することであって、前記前駆体容器が前駆体を備える、ことと、
-圧力ゲージによって、複数の圧力パルスを含む時間の関数としての圧力を感知することと、
-プロセッサによって、少なくとも時間の関数としての圧力の分析シーケンスを実行し、それによって前駆体の残量を定量化することと、
-前記前駆体の前記残量を所定の前駆体量と比較することと、
-前記前駆体の前記残量が前記所定の前駆体量を超える場合、十分な前駆体信号を生成すること、または
-前記前駆体の前記残量が最大で前記所定の前駆体量と等しい場合、不十分な前駆体信号を生成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記前駆体が固体状態にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前駆体が金属中心および一つ以上のリガンドを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の前駆体パルスからの前記前駆体パルスが、立ち上がり部分、保持部分、および減衰部分のうちの少なくとも1つを含み、かつ前記前駆体の前記残量が、前記立ち上がり部分、前記保持部分、および前記減衰部分のうちの1つ以上を分析することによって決定される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記立ち上がり部分が直線状のセグメントを含み、かつ前記前駆体の前記残量が極めて低いと定量化される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記圧力ゲージが、前記前駆体容器内に位置付けられる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記立ち上がり部分が飽和セグメントを含み、かつ前記前駆体の前記残量が十分であると定量化される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記十分な前駆体信号が生成される場合、前記前駆体ラインを介して前記前駆体容器と流体接続の状態にある反応チャンバ内の前記前駆体を使用して周期的堆積プロセスが実行される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記不十分な前駆体信号が生成される場合、前記不十分な前駆体信号が、前記前駆体ラインを介して前記前駆体容器と流体接続の状態にある反応チャンバ内の前記前駆体を使用してシステムが周期的堆積プロセスを実行することを防止する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
前記前駆体の前記残量が、前記立ち上がり部分を分析することによって決定され、かつ前記立ち上がり部分を分析することが、指数関数、4パラメータロジスティック関数、およびアレニウス関数から選択される関数を使用して、前記立ち上がり部分を適合させることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記指数関数が、形態P(t)=A-Bexp(-Ct)の3パラメータ指数関数であって、ここでA、B、およびCが正の実数である、請求項10に記載の方法またはシステム。
【請求項12】
前記前駆体容器が、感知された静電容量を測定するように構築および配設される静電容量センサをさらに備え、かつ前記分析シーケンスが、時間の関数としての前記圧力に加えて、前記感知された静電容量に基づいて前記前駆体の前記残量を決定することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
前記分析シーケンスが、
-前記感知された静電容量に基づいて、静電容量由来の前記前駆体の残量を決定することと、
-時間の関数としての前記圧力に基づいて、圧力由来の前記前駆体の残量を決定することと、
-前記静電容量由来の前記前駆体の残量と、前記圧力由来の前記前駆体の残量と、を比較することと、
-前記静電容量由来の前記前駆体の残量と前記圧力由来の前記前駆体の残量とが、所定の誤差限界内で等しい場合、前記前駆体の前記残量を定量化することが、前記前駆体の前記残量を、前記静電容量由来の前記前駆体の残量と、前記圧力由来の前記前駆体の残量と、またはそれらの補間された値と等しく設定することと、
-そうでない場合、エラー信号を生成する、ことと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
システムであって、
-前駆体を備える前駆体容器へと動作的に接続するように構築および配設された前駆体容器コネクタと、
-前駆体ラインを介して前記前駆体容器と流体接続の状態にある反応チャンバであって、前記前駆体ラインを介して前記前駆体容器から複数の前駆体パルスを受容するように構築および配設された、反応チャンバと、
-時間の関数としての圧力を感知するために構築および配設された圧力ゲージであって、時間の関数としての前記圧力が、複数の圧力パルスを含む、圧力ゲージと、
-プロセッサであって、
-時間の関数としての少なくとも前記圧力を分析し、それによって前記前駆体の残量を定量化することを含む分析シーケンスを実行し、
-前記前駆体の前記残量を所定の前駆体量と比較し、かつ
-前記前駆体の前記残量が前記所定の前駆体量を超える場合、十分な前駆体信号を生成し、かつ
-前記前駆体の前記残量が最大で前記所定の前駆体量と等しい場合、不十分な前駆体信号を生成するように構築および配設されたプロセッサと、を備える、システム。
【請求項15】
前記前駆体が固体状態にある、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記前駆体が金属中心および一つ以上のリガンドを含む、請求項14または15に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の前駆体パルスからの前記前駆体パルスが、立ち上がり部分、保持部分、および減衰部分のうちの少なくとも1つを含み、かつ前記前駆体の前記残量が、前記立ち上がり部分、前記保持部分、および前記減衰部分のうちの1つ以上を分析することによって決定される、請求項14または15に記載のシステム。
【請求項18】
前記立ち上がり部分が直線状のセグメントを含み、かつ前記前駆体の前記残量が極めて低いと定量化される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記圧力ゲージが、前記前駆体容器内に位置付けられる、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記立ち上がり部分が飽和セグメントを含み、かつ前記前駆体の前記残量が十分であると定量化される、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記十分な前駆体信号が生成される場合、前記前駆体ラインを介して前記前駆体容器と流体接続の状態にある反応チャンバ内の前記前駆体を使用して周期的堆積プロセスが実行される、請求項14または15に記載のシステム。
【請求項22】
前記不十分な前駆体信号が生成される場合、前記不十分な前駆体信号が、前記前駆体ラインを介して前記前駆体容器と流体接続の状態にある反応チャンバ内の前記前駆体を使用して前記システムが周期的堆積プロセスを実行することを防止する、請求項14または15に記載のシステム。
【請求項23】
前記前駆体の前記残量が、前記立ち上がり部分を分析することによって決定され、かつ前記立ち上がり部分を分析することが、指数関数、4パラメータロジスティック関数、およびアレニウス関数から選択される関数を使用して、前記立ち上がり部分を適合させることを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項24】
前記指数関数が、形態P(t)=A-Bexp(-Ct)の3パラメータ指数関数であって、ここでA、B、およびCが正の実数である、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記前駆体容器が、感知された静電容量を測定するように構築および配設される静電容量センサをさらに備え、かつ前記分析シーケンスが、時間の関数としての前記圧力に加えて、前記感知された静電容量に基づいて前記前駆体の前記残量を決定することを含む、請求項14または15に記載のシステム。
【請求項26】
前記分析シーケンスが、
-前記感知された静電容量に基づいて、静電容量由来の前記前駆体の残量を決定することと、
-時間の関数としての前記圧力に基づいて、圧力由来の前記前駆体の残量を決定することと、
-前記静電容量由来の前記前駆体の残量と、前記圧力由来の前記前駆体の残量と、を比較することと、
-前記静電容量由来の前記前駆体の残量と前記圧力由来の前記前駆体の残量とが、所定の誤差限界内で等しい場合、前記前駆体の前記残量を定量化することが、前記前駆体の前記残量を、前記静電容量由来の前記前駆体の残量と、前記圧力由来の前記前駆体の残量と、またはそれらの補間された値と等しく設定することと、
-そうでない場合、エラー信号を生成する、ことと、を含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前駆体、圧力ゲージ、および静電容量センサを備える前駆体容器であって、
-前記前駆体容器が、前駆体ラインを介して反応チャンバへと流体的に接続可能であり、前記反応チャンバおよび前記前駆体ラインが蒸着システム内に備えられ、前記反応チャンバが、前記前駆体ラインを介して前記前駆体容器から複数の前駆体パルスを受容するように構築および配設され、
-前記圧力ゲージが、時間の関数としての圧力を感知するように構築および配設され、時間の関数としての前記圧力は、複数の圧力パルスを含み、
-前記静電容量センサが、感知された静電容量を測定するように構築および配設され、
-前記前駆体容器が、前記蒸着システム内に含まれるプロセッサへと動作的に接続可能であり、前記プロセッサが、
-時間の関数としての前記圧力および前記感知された静電容量の一方または両方を分析し、それによって前記前駆体の残量を定量化することを含む分析シーケンスを実行し、
-前記前駆体の前記残量を所定の前駆体量と比較し、かつ
-前記前駆体の前記残量が前記所定の前駆体量を超える場合、十分な前駆体信号を生成し、かつ
-前記前駆体の前記残量が最大で前記所定の前駆体量と等しい場合、不十分な前駆体信号を生成するように構築および配設される、前駆体容器。
【請求項28】
前記前駆体が、固体前駆体である、請求項27に記載の前駆体容器。
【請求項29】
前記前駆体が、中心および1つ以上のリガンドを含み、前記中心が遷移金属、ポスト遷移金属、ランタニド、および半金属から選択され、かつ前記1つ以上のリガンドは独立して、アレーン、ハロゲン化物、アルキル、シクロペンタジエニル、アミド、キレート窒素含有リガンド、アルコキシド、ベータ-ジケトネート、およびカルボニルからなるリストから選択される、請求項27または28に記載の前駆体容器。
【請求項30】
データ処理ユニットであって、
-時間の関数としての圧力を受信するように構築および配設され、時間の関数としての前記圧力が、複数の圧力パルスを含む、受信ユニットと、
-少なくとも時間の関数としての前記圧力の分析シーケンスを実行し、それによって前駆体の残量を定量化するように構築および配設される分析ユニットと、
-前記前駆体の前記残量を所定の前駆体量と比較するように構築および配置される比較ユニットと、
-生成ユニットであって、前記生成ユニットが、
-前記前駆体の前記残量が前記所定の前駆体量を超える場合、十分な前駆体信号を生成し、かつ
-前記前駆体の前記残量が前記所定の前駆体量と最大で等しい場合、不十分な前駆体信号を生成するように構成および配設される、生成ユニットと、を含む、データ処理ユニット。
【請求項31】
請求項30に記載のデータ処理ユニットに、請求項1または2に記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項32】
請求項31に記載のコンピュータプログラム製品をその上に記憶している、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、集積デバイス製造の分野に属し、具体的には、集積回路製造のための蒸着ツール、システム、およびプロセスの分野、そしてより具体的には、半導体製造プロセスのための前駆体容器内の前駆体、例えば固体前駆体の量を決定するための技術の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
半導体および半導体製造プロセスのさらなる進歩に伴い、製造プロセス中のより優れた均一性およびプロセス制御に対するニーズがある。
【0003】
原子層堆積(ALD)、エピタキシー、および化学蒸着(CVD)などのプロセス中に、気体、液体、または固体の形態であってもよい前駆体は、ワークピースの上へと堆積される、またはワークピースと接触する。これらの前駆体は、多くの場合、前駆体コンテナまたは前駆体容器に貯蔵され、そこから反応チャンバ内のワークピースに輸送される。
【0004】
プロセスが実施されている間、前駆体材料の枯渇に起因する製造欠陥を防止するために、前駆体容器内の前駆体の量をモニターすることが有利な場合がある。プロセス品質を確保し、前駆体容器変更の効率的なスケジューリングを可能にし、高価な化学物質の使用を最大化し、かつ在庫管理を改善するため、前駆体容器内の前駆体材料の残量をモニターする能力は重要である。
【0005】
レベル感知は気体材料または液体材料については業界標準である一方で、固体前駆体材料の残量をモニターすることはより複雑である。典型的に、前駆体材料は、前駆体容器を通してキャリアガスを流すことによって、前駆体容器から反応器チャンバへと搬送され、それによって、その後プロセスチャンバへと提供される、キャリアガスと気化した固体前駆体とを含むプロセスガスを生成する。製造プロセスに採用されるプロセス条件のいくつか(例えば、高温の範囲、キャリアガスの使用など)は、特に分解能および精度が重要である場合に、前駆体レベルのモニタリングが既存のレベル感知システムにとって困難になる結果をもたらす。
【0006】
したがって、半導体製造プロセスのための前駆体容器内の固体前駆体の量をモニターするための改善された方法および装置に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
前駆体容器から前駆体容器と流体接続の状態にある前駆体ラインへと複数の前駆体パルスを提供することを含む方法が本明細書に記述される。前駆体容器は、前駆体を備えることができる。方法は、圧力ゲージによって、複数の圧力パルスを含む時間の関数としての圧力を感知することを含むことができる。方法は、プロセッサによって、時間の関数として少なくとも圧力の分析シーケンスを実行し、それによって前駆体の残量を定量化することをさらに含むことができる。方法は、前駆体の残量を所定の前駆体量と比較することをさらに含むことができる。前駆体の残量が所定の前駆体量を超える場合、十分な前駆体信号を生成することができる。前駆体の残量が最大で所定の前駆体量と等しい場合、不十分な前駆体信号を生成することができる。
【0008】
前駆体、例えば、固体前駆体を含む前駆体容器に動作的に接続するために構築および配設された前駆体容器コネクタを備えるシステムが、本明細書にさらに記述される。反応チャンバは、前駆体ラインを介して前駆体容器と流体接続することができる。反応チャンバは、前駆体ラインを介して前駆体容器から複数の前駆体パルスを受容するように構築および配設することができる。システムは、圧力を時間の関数として感知するように構築および配設される圧力ゲージをさらに備えることができる。時間の関数としての圧力は、複数の圧力パルスを含むことができる。システムは、プロセッサをさらに備えることができる。プロセッサは、少なくとも圧力を時間の関数として分析し、それによって前駆体の残量を定量化することと、前駆体の残量を所定の前駆体量と比較することと、前駆体の残量を所定の前駆体量と比較することと、を含む分析シーケンスを実行するように構築および配設することができる。前駆体の残量が所定の前駆体量を超える場合、プロセッサは、十分な前駆体信号を生成することができる。前駆体の残量が最大で所定の前駆体量と等しい場合、プロセッサは、不十分な前駆体信号を生成することができる。
【0009】
一部の実施形態では、前駆体は固体状態にある。
【0010】
一部の実施形態では、前駆体は、金属中心と1つ以上のリガンドとを含む。
【0011】
一部の実施形態では、複数のパルスからのパルスは、立ち上がり部分、保持部分、および減衰部分のうちの少なくとも1つを含む。前駆体の残量は、立ち上がり部分、保持部分、および減衰部分のうちの1つ以上を分析することによって決定することができる。
【0012】
一部の実施形態では、立ち上がり部分は直線状のセグメントを含む。こうした実施形態では、前駆体の残量は、極めて低いとして定量化することができる。
【0013】
一部の実施形態では、圧力ゲージは、前駆体容器内に位置付けられる。
【0014】
一部の実施形態では、立ち上がり部分は飽和セグメントを含み、そして前駆体の残量は十分であるとして定量化される。一部の実施形態では、立ち上がり部分の飽和セグメントは、保持部分であると考えることができ、または保持部分としてモデル化することができる。
【0015】
一部の実施形態では、十分な前駆体信号が生成される場合、前駆体ラインを介して前駆体容器と流体接続の状態にある反応チャンバ内の前駆体を使用して周期的堆積プロセスを実行することができる。
【0016】
一部の実施形態では、不十分な前駆体信号が生成された場合、不十分な前駆体信号は、システムが前駆体ラインを介して前駆体容器と流体接続の状態にある反応チャンバ内の前駆体を使用して周期的堆積プロセスを実行することを防止する。
【0017】
一部の実施形態では、前駆体の残量は、立ち上がり部分を分析することによって決定される。立ち上がり部分を分析することは、指数関数、4パラメータロジスティック関数、およびアレニウス関数から選択される関数を使用して、立ち上がり部分を適合することを含むことができる。
【0018】
一部の実施形態では、指数関数は、P(t)=A-B*exp(-Ct)の形態の3パラメータ指数関数である。A、B、およびCは、正の実数とすることができる。
【0019】
一部の実施形態では、前駆体容器は、構築された静電容量センサをさらに備える。前駆体容器は、感知された静電容量を測定するように配設することができる。分析シーケンスは、時間の関数としての圧力に加えて、感知された静電容量に基づいて前駆体の残量を決定することを含むことができる。
【0020】
一部の実施形態では、分析シーケンスは、感知された静電容量に基づいて、静電容量由来の前駆体の残量を決定することと、時間の関数としての圧力を基づいて、圧力由来の前駆体の残量を決定することと、静電容量由来の前駆体の残量と圧力由来の前駆体の残量とを比較することと、静電容量由来の前駆体の残量と圧力由来の前駆体の残量とが、所定の誤差限界内で等しい場合、前駆体の残量を定量化することが、前駆体の残量を静電容量由来の前駆体の残量と等しい、圧力由来の前駆体の残量と等しい、またはそれらの補間された値と等しいと設定することと、そうでない場合、エラー信号を生成することと、を含む。
【0021】
前駆体、圧力ゲージ、および静電容量センサを備える前駆体容器が本明細書にさらに記述される。前駆体容器は、前駆体ラインを介して反応チャンバへと流体的に接続可能とすることができる。反応チャンバおよび前駆体ラインを、蒸着システム内に備えることができる。反応チャンバは、前駆体ラインを介して前駆体容器から複数の前駆体パルスを受容するように構築および配設することができる。圧力ゲージは、時間の関数としての圧力を感知するために構築および配設することができ、時間の関数としての圧力は、複数の圧力パルスを含む。静電容量センサは、感知された静電容量を測定するために構築および配設することができる。前駆体容器は、蒸着システム内に備えられるプロセッサへと動作的に接続可能とすることができ、プロセッサは、時間の関数としての圧力と感知された静電容量とのうちの一方または両方を分析し、それによって、前駆体の残量を定量化することと、前駆体の残量を所定の前駆体量と比較することと、前駆体の残量が所定の前駆体量を超える場合、十分な前駆体信号を生成することと、前駆体の残量が所定の前駆体量と最大で等しい場合、不十分な前駆体信号を生成することとを含む分析シーケンスを実行するように構築および配設される。
【0022】
一部の実施形態では、前駆体は、固体前駆体を含む。
【0023】
一部の実施形態では、前駆体は、中心および1つ以上のリガンドを含み、中心は遷移金属、ポスト遷移金属、ランタニド、および半金属から選択され、1つ以上のリガンドは独立して、アレーン、ハロゲン化物、アルキル、シクロペンタジエニル、アミド、キレート窒素含有リガンド、アルコキシド、ベータ-ジケトネート、およびカルボニルからなるリストから選択される。
【0024】
複数の圧力パルスを含む、時間の関数としての圧力を受信するように構築および配設された受信ユニットと、少なくとも時間の関数としての圧力の分析シーケンスを実行して、それによって、前駆体の残量を定量化するように構築および配設された分析ユニットと、前駆体の残量を所定の前駆体量と比較するように構築および配設される比較ユニットと、生成ユニットであって、前駆体の残量が所定の前駆体量を超える場合に、十分な前駆体信号を生成するように構築および配設された生成ユニットと、前駆体の残量が所定の前駆体量と最大で等しい場合に、不十分な前駆体信号を生成するようにさらに構築および配設される生成ユニットと、を備えるデータ処理ユニットが、本明細書にさらに記述される。
【0025】
本明細書に記述されるようなデータ処理ユニットに、本明細書に記述されるような方法の工程を実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品が、本明細書にさらに記述される。
【0026】
本明細書に記述されるようなコンピュータプログラム製品をその上に記憶したコンピュータ可読媒体が、本明細書にさらに記述される。
【0027】
この概要は、選択された概念を、簡略化した形態で紹介するために提供される。これらの概念は、下記の開示の例示の実施形態の「発明を実施するための形態」において、さらに詳細に記述される。この「発明の概要」は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図せず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、処理システム100の一実施形態を示す。
図2A図2Aは、サブシステム200の実施形態を示す。
図2B図2Bは、サブシステム200の実施形態を示す。
図3図3は、満杯の容器に対する時間の関数としての圧力発生の実施例を示す。
図4A図4Aは、前駆体パルスの実施形態の定型化された圧力対時間曲線400を示す。
図4B図4Bは、前駆体パルスの実施形態の定型化された圧力対時間曲線400を示す。
図4C図4Cは、前駆体パルスの実施形態の定型化された圧力対時間曲線400を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
当然のことながら、図内の要素は単純および明瞭のために図示されており、また必ずしも実寸に比例して描かれていない。例えば、図内の要素のうちの一部の寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【0030】
ある特定の実施形態および実施例を下記に開示するが、本発明の具体的に開示された実施形態および/または使用、ならびにその明白な修正および均等物を超えて本発明が延長することは、当業者によって理解されるであろう。それ故に、開示された本発明の範囲は、後述する特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0031】
本明細書で使用される「基材」という用語は、修正されてもよい、またはデバイス、回路、もしくは膜がその上に形成されてもよい単一または複数の任意の下地材料を含む、単一または複数の任意の下地材料を指す場合がある。「基材」は、連続的または非連続的、剛直または可撓性、固体または多孔質、およびそれらの組み合わせであってもよい。基材は、粉末、プレート、またはワークピースなどの任意の形態であってもよい。プレートの形態の基材は、様々な形状およびサイズのウエハを含んでもよい。基材は、例えば、ケイ素、シリコンゲルマニウム、酸化ケイ素、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、および炭化ケイ素を含む半導体材料から作製されてもよい。
【0032】
一例として、粉末の形態の基材は、医薬品製造のための用途を有する場合がある。多孔質基材は、ポリマーを含んでもよい。ワークピースの例としては、医療機器(例えば、ステントおよびシリンジ)、宝石類、ツーリングデバイス、電池製造のための構成要素(例えば、アノード、カソード、またはセパレータ)、または光起電力電池の構成要素などが挙げられてもよい。
【0033】
連続基材は、堆積プロセスが生じるプロセスチャンバの境界を越えて延在してもよい。一部のプロセスでは、連続基材は、プロセスチャンバを通して移動してもよく、これによりプロセスは基材の端部に達するまで継続される。連続基材は、任意の適切な形態で連続基材の製造および出力を可能にするために、連続基材フィーディングシステムから供給されてもよい。
【0034】
連続基材の非限定的な例としては、シート、不織布膜、ロール、箔、ウェブ、可撓性材料、連続フィラメントまたは繊維(例えば、セラミック繊維またはポリマー繊維)の束が挙げられてもよい。連続基材はまた、非連続基材がその上へと載置される担体またはシートも含んでもよい。
【0035】
本明細書で使用される場合、「堆積プロセス」という用語は、前駆体(および/または反応物質)を反応チャンバの中へと導入して、基材の上を覆って層を堆積させることを指すことができる。「周期的堆積プロセス」は、「堆積プロセス」の実施例である。
【0036】
「周期的堆積プロセス(cyclic deposition process)」または「周期的堆積プロセス(cyclical deposition process)」という用語は、基材上に層を堆積させるための前駆体(および/または反応物質)の反応チャンバの中への逐次的導入を指すことができ、また原子層堆積(ALD)、周期的化学蒸着(周期的CVD)、およびALD構成要素および周期的CVD構成要素を含むハイブリッド周期的堆積プロセスなどの処理技法を含む。
【0037】
「原子層堆積」という用語は、堆積サイクル、典型的に複数の連続的な堆積サイクルがプロセスチャンバ内で行われる蒸着プロセスを指すことができる。本明細書で使用される場合、原子層堆積という用語はまた、前駆体/反応性ガス、およびパージ(例えば、不活性キャリア)ガスの交互パルスを用いて実施される場合、原子層化学蒸着、原子層エピタキシー(ALE)、分子線エピタキシー(MBE)、ガス源MBE、有機金属MBE、および化学ビームエピタキシーなどの関連する用語によって指定されるプロセスを含むことも意味する。パルスは、基材を前駆体または反応物質へと曝露することを含むことができる。これは、例えば、基材が存在する反応チャンバに前駆体または反応物質を導入することによって行うことができる。追加的または代替的に、基材を前駆体に曝露することは、反応物質または前駆体が存在する基材処理システム中の位置に、基材を移動させることを含むことができる。
【0038】
概して、ALDプロセスについては、各サイクル中に、前駆体は、反応チャンバの中へと導入され、そして堆積表面(例えば、以前のALDサイクルから以前に堆積された材料または他の材料を含むことができる、基材表面)の上へと化学吸着され、また追加的な前駆体と容易に反応しない(すなわち、自己限定的な反応)材料の単分子層または準単分子層を形成する。その後、化学吸着した前駆体を堆積表面上で所望の材料へと変換するのに使用するために、反応物質(例えば、別の前駆体または反応ガス)がその後プロセスチャンバの中へと導入されてもよい。反応物質は、前駆体とのさらなる反応の能力を有することができる。あらゆる過剰な前駆体をプロセスチャンバから除去するために、かつ/またはあらゆる過剰な反応物質および/または反応副生成物を反応チャンバから除去するために、1つ以上のサイクル中に(例えば各サイクルの各工程中に)、パージする工程を利用することができる。
【0039】
本明細書で使用される場合、「パージ」という用語は、互いに反応するガスの2つのパルスの間に、不活性ガスまたは実質的に不活性なガスが、反応チャンバへと提供される手順を指してもよい。例えば、例えば、貴ガスを使用するパージは、前駆体パルスと反応物質パルスとの間に提供されてもよく、それ故に、前駆体と反応物質との間の気相の相互作用を回避する、または少なくとも最小化する。一部の実施形態では、「パージ」は、反応性パージガスが、互いに反応し、かつパージガスと反応する2つのガスのパルスの間に反応チャンバへと提供される手順を指す場合がある。
【0040】
当然のことながら、パージおよびパルスは、時間的に、または空間的に、または両方、のいずれかで達成することができる。例えば、時間的なパージの事例では、パージ工程は、例えば、第1の前駆体を反応チャンバへと提供し、パージガスを反応チャンバへと提供し、そして第2の前駆体を反応チャンバへと提供し、層がその上に堆積される基材は移動しないという、時系列で使用することができる。例えば、空間的パージの事例では、パージ工程は、以下の形態、すなわち、基材を、第1の前駆体が連続的に供給される第1の場所から、パージガスカーテンを通して、第2の前駆体が連続的に供給される第2の場所へと移動させるという形態を取ることができる。例えば、時間的パルスの事例では、その前後に不活性ガスが反応チャンバへと提供される所定の時間の長さの間、前駆体を提供することができる。例えば、空間的パルスの事例では、基材は、前駆体が提供され、かつ1つ以上の不活性パージガスカーテンによって囲まれる所定の場所を通して移動することができる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「前駆体」は、ガス状になることができ、かつ本明細書に記述されるように、堆積プロセスの間に組み込まれてもよい要素を含む化学式によって表すことができる、ガスまたは材料を含む。
【0042】
本明細書に提示される例示は、任意の特定の材料、構造、またはデバイスの実際の姿であることを意味せず、本開示の実施形態を記述するために使用される、単に理想化された表現にすぎない。
【0043】
示され、かつ記述された特定の実装は、本発明およびその最良の形態の例示であり、態様および実施の範囲をいかなるやり方でも、別の方法で限定することを意図しない。実際、簡潔のために、従来の製造、関連、調製、およびシステムの他の機能的態様を詳細に記述していない場合がある。さらに、様々な図に示される接続線は、様々な要素間の例示的な機能的関係および/または物理的連結を表すことを意図する。多くの代替的もしくは追加的な機能的関係、または物理的接続が実際のシステムにおいて存在してもよく、また/または一部の実施形態では存在しなくてもよい。
【0044】
本明細書に記述される構成および/または取り組みは本質的に例示的であり、またこれらの特定の実施形態または実施例は、数多くの変形が可能であるため、限定的な意味と考えられるべきではないことが理解されるべきである。本明細書に記述される具体的なルーチンまたは方法は、任意の数の処理方策のうちの1つ以上を代表する場合がある。それ故に、例示された様々な動作は、例示される順序で実施されてもよく、他の順序で実施されてもよく、または一部の事例では省略されてもよい。
【0045】
使用中である間に前駆体容器内に含まれる前駆体の量を決定することを可能にする方法、システム、コンピュータプログラム製品、前駆体容器、およびコンピュータ可読媒体が、本明細書に記述される。こうした情報は、前駆体枯渇に関連する処理の不良を防止するために非常に有利とすることができる。
【0046】
本明細書に記述されるような方法の一部の実施形態では、前駆体容器から前駆体容器と流体接続の状態にある前駆体ラインへと複数の前駆体パルスが提供される。前駆体容器は、完全に満杯とすることができ、または部分的に空とすることができる。言い換えれば、前駆体容器は、前駆体を含むことができる。例えば、前駆体容器は、100%、90%、80%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、または5%の前駆体で充填することができる。当然のことながらこれらの割合は、質量割合として、すなわち、「前駆体容器内に残っている前駆体の量の質量」を「前駆体容器が満杯の時の前駆体容器内の前駆体の質量」で割ったものとして、好適に表現することができる。
【0047】
原子層堆積プロセスなどのパルス堆積プロセスの通常の動作中に、弁を逐次的に動作させて、前駆体容器から反応チャンバへと複数のパルスで前駆体を提供することができる。例えば、2つの交互の工程a)およびb)を含む以下のシーケンスを、例えば、固体前駆体のために使用することができる:a)容器弁が閉鎖され、いかなる前駆体も前駆体容器から提供されず、そして前駆体が昇華するにつれて、容器内の前駆体は前駆体の蒸気圧へと漸近的に上昇する;b)容器弁が開放され、前駆体は前駆体容器から提供され、前駆体容器内の圧力は減少する。発明者らは驚くべきことに、結果としてもたらされた圧力増加および圧力減少のうちの少なくとも1つを使用して、前駆体容器内の残りの前駆体の量を特徴付けることができることを発見した。
【0048】
それ故に、ここに記述される方法の実施形態は、圧力ゲージによって、複数の圧力パルスを含む時間の関数としての圧力を感知することを含むことができる。一部の実施形態では、これらの圧力増加は、前駆体容器内に位置付けられた圧力ゲージによって測定することができる。一部の実施形態では、圧力減少は、前駆体容器内に位置付けられた圧力ゲージによって、または前駆体容器の下流かつ反応チャンバの上流の前駆体ライン内に位置付けられた圧力ゲージによって測定することができる。
【0049】
ここに記述される方法の実施形態は、プロセッサによって、時間の関数としての少なくとも圧力の分析シーケンスを実行することを含むことができる。それ故に、前駆体の残量を定量化することができる。
【0050】
ここに記述される方法の実施形態は、前駆体の残量を所定の前駆体量と比較することを含むことができる。前駆体の残量が所定の前駆体量を超える場合、十分な前駆体信号を生成することができる。一方で、前駆体の残量が最大で所定の前駆体量と等しい場合、不十分な前駆体信号を生成することができる。一部の実施形態では、十分な前駆体信号は、前駆体を採用する蒸着プロセスを実行させることができる。一部の実施形態では、不十分な前駆体信号は、前駆体を採用する蒸着プロセスを実行するのを防止させることができる。
【0051】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるような方法は、第1の時間に第1の所定の前駆体量を得ることと、第2の時間に第2の所定の前駆体量を得ることと、を含むことができる。こうした実施形態では、前駆体消費の速度は、第1の所定の前駆体量、第2の所定の前駆体量、第1の時間、および第2の時間から得ることができる。一部の実施形態では、前駆体消費の速度は、前駆体の差分を時間の差分で割ったものに等しく、前駆体の差分は、第2の所定の前駆体量から第1の所定の前駆体量を引いたものに等しく、また時間の差分は、第2の時間から第1の時間を引いたものに等しい。
【0052】
一部の実施形態では、本明細書に記述されるような方法は、前駆体消費の速度が所定の前駆体量を超える時、過剰な前駆体消費信号を生成することを含むことができる。過剰な前駆体消費信号が生成される時、例えば、前駆体の流れを停止することによって、問題の前駆体を採用する堆積プロセスを自動的に終了することができる。
【0053】
一部の実施形態では、圧力測定は、パルス中、例えば、単一のパルス中に用量を導出するために採用することができる。用量は、単一のパルス中に前駆体容器から抜き出される前駆体の総量を指すことができる。一部の実施形態では、用量は、前駆体容器の内側に位置付けられた圧力ゲージを使用して測定することができる。一部の実施形態では、前駆体容器は閉鎖され、すなわち、その入口弁および出口弁は、2つの後続のパルスの間、前のパルスと次のパルスとの間、閉鎖される。こうした実施形態では、用量は、前のパルスの直後の圧力測定、および次のパルスの直前の圧力測定によって決定することができる。前のパルスの直後と比較した、次のパルスの直前の気相中の追加の分子の量は、用量と等しい。この量は、理想気体の法則または実在気体の法則(ファンデルワールス)などの気体の法則を使用して容易に導出することができる。
【0054】
一部の実施形態では、本明細書に記述されるような前駆体容器は、固体形態の前駆体、すなわち固体前駆体を含む。
【0055】
用量は、容器入口および/または出口弁が開放される直前に見られる。これは、その間に弁が閉鎖され、かつ容器が分離された時に行われる増加に由来する。
【0056】
システムが、本明細書にさらに記述される。一部の実施形態では、システムは、原子層堆積などの周期的気相堆積方法を実行するように構築および配設することができる。一部の実施形態では、システムは、本明細書に記述されるような方法を実行するように構築および配設される。
【0057】
本明細書に記述されるようなシステムは、前駆体容器へと動作的に接続するために構築および配設された前駆体容器コネクタを備えることができる。前駆体容器は、前駆体を備える。一部の実施形態では、前駆体容器はシステム内に備えられる。
【0058】
システムは、前駆体容器と前駆体ラインを介して流体接続の状態にある反応チャンバをさらに備えることができる。反応チャンバは、前駆体ラインを介して前駆体容器から複数の前駆体パルスを受容するように構築および配設することができる。
【0059】
システムは、圧力を時間の関数として感知するように構築および配設される圧力ゲージをさらに備えることができる。時間の関数としての圧力は、複数の圧力パルスを含むことができる。
【0060】
システムは、プロセッサをさらに備えることができる。プロセッサは、時間の関数としての少なくとも圧力を分析し、それによって前駆体の残量を定量化することを含む分析シーケンスを実行するように構築および配設することができる。分析シーケンスは、前駆体の残量を所定の前駆体量と比較することをさらに含むことができる。分析シーケンスは、前駆体の残量を所定の前駆体量と比較することをさらに含むことができる。前駆体の残量が所定の前駆体量を超える場合、プロセッサは、十分な前駆体信号を生成することができる。前駆体の残量が最大で所定の前駆体量と等しい場合、プロセッサは、不十分な前駆体信号を生成することができる。
【0061】
図1は、1つ以上のプロセスチャンバ102と、前駆体ガス源104と、ガス源105と、反応物質ガス源106と、パージガス源108と、排気110と、プロセス制御ユニット112と、を備える、処理システム100の実施形態を示す。
【0062】
プロセスチャンバ102は、原子層堆積(ALD)または化学蒸着(CVD)反応チャンバなどの任意の好適なプロセスチャンバを含むことができる。
【0063】
前駆体ガス源104は、前駆体容器、および本明細書に記述されるような1つ以上の前駆体を、単独で、または1つ以上のキャリアガス(例えば、貴ガス)と混合して含むことができる。好適なことに、少なくとも1つの前駆体容器は、本明細書に記述されるような静電容量センサシステムを備える。
【0064】
反応物質ガス源106は、容器、および本明細書に記述されるような1つ以上の反応物質を、単独で、または1つ以上のキャリアガスと混合して含むことができる。パージガス源108は、1つ以上の貴ガス(He、Ne、Ar、Kr、および/またはXeなど)を含むことができる。4つのガス源104~108を用いて図示されているが、システム100は任意の好適な数のガス源を含むことができる。ガス源104~108は、流量コントローラ、弁、ヒーター、およびこれに類するものを各々含むことができるライン114~118を介して、プロセスチャンバ102へと連結することができる。ガス源のうちの少なくとも1つは、本明細書に開示されるような圧力ベースおよび静電容量ベースの前駆体レベル感知機構のうちの少なくとも1つを備える。
【0065】
排気110は、1つ以上の真空ポンプを含むことができる。
【0066】
プロセス制御ユニット112は、反応器システム100内に含まれる弁、マニホールド、ヒーター、ポンプ、および他の構成要素を選択的に動作させるための電子回路およびソフトウェアを含む。こうした回路および構成要素は、前駆体およびパージガスを、それぞれの供給源104~108から導入するように動作する。プロセス制御ユニット112は、ガスパルスシーケンスのタイミング、基材および/またはプロセスチャンバの温度、プロセスチャンバ内の圧力、ならびに様々な他の動作を制御して、システム100の適切な動作を提供することができる。プロセス制御ユニット112は、プロセスチャンバ102の中へ、および外へと前駆体、反応物質、およびパージガスの流れを制御するために、電気的にまたは空気式で弁を制御するための制御ソフトウェアを含むことができる。プロセス制御ユニット112は、ある特定のタスクを実行するソフトウェアまたはハードウェア構成要素、例えば、FPGAまたはASICなどのモジュールを含むことができる。モジュールは、有利なことに、制御システムのアドレス指定可能な記憶媒体上に常駐するように構成することができ、かつ1つ以上のプロセスを実行するように構成することができる。
【0067】
異なる数および種類の前駆体源および反応物質源、ならびにパージガス源を含む、システム100の他の構成が可能である。さらに、当然のことながら、プロセスチャンバ202の中へとガスを選択的にフィードするという目標を達成するために使用されてもよい、弁、導管、前駆体源、およびパージガス源の多くの配設がある。さらに、システムの概略表現として、図示の単純化のために多くの構成要素が省略されており、またこうした構成要素としては、例えば、様々な弁、マニホールド、精製器、ヒーター、容器、通気、および/またはバイパスが挙げられてもよい。
【0068】
反応器システム100の動作中に、半導体ウエハなどの基材(図示せず)が、例えば、基材ハンドリングシステムからプロセスチャンバ102へと移送される。基材がプロセスチャンバ102へと移送されると、ガス源104~108からの1つ以上のガス(前駆体、反応物質、キャリアガス、および/またはパージガスなど)は、プロセスチャンバ102の中へと導入される。
【0069】
前駆体、圧力ゲージ、および静電容量センサを備える前駆体容器が本明細書にさらに記述される。前駆体容器は、前駆体ラインを介して反応チャンバへと流体的に接続される、また接続可能とすることができる。反応チャンバおよび前駆体ラインを、蒸着システム内に備えることができる。反応チャンバは、前駆体ラインを介して前駆体容器から複数の前駆体パルスを受容するように構築および配設することができる。圧力を時間の関数として感知するように、圧力ゲージを構築および配設することができる。時間の関数としての圧力は、複数の圧力パルスを含むことができる。静電容量センサは、感知された静電容量を測定するために構築および配設される。感知された静電容量は、前駆体の残量を示すことができる。さらに、前駆体容器は、蒸着システム内に含まれるプロセッサへと動作的に接続可能とすることができる。プロセッサは、時間の関数としての圧力と感知した静電容量とのうちの一方または両方を分析することを含む分析シーケンスを実行するように構築および配設することができる。それ故に、前駆体の残量を定量化することができる。プロセッサは、前駆体の残量を所定の前駆体量と比較するようにさらに構築および配設することができる。プロセッサは、前駆体の残量が所定の前駆体量を超える場合、十分な前駆体信号を生成するように、さらに構築および配設することができる。プロセッサは、前駆体の残量が最大でも所定の前駆体量と等しい場合、不十分な前駆体信号を生成するように、さらに構築および配設することができる。
【0070】
データ処理ユニットが、本明細書にさらに記述される。データ処理ユニットは、一部の実施形態では、プロセッサを含むことができる。データ処理ユニットは、圧力を時間の関数として受信するように構築および配設される受信ユニットを備えることができる。時間の関数としての圧力は、複数の圧力パルスを含む。データ処理ユニットは、分析ユニットをさらに含むことができる。分析ユニットは、少なくとも時間の関数としての圧力の分析シーケンスを実行するように構築および配設することができる。それ故に、前駆体の残量を定量化することができる。分析ユニットは、前駆体の残量を所定の前駆体量と比較するようにさらに構築および配設された比較ユニットをさらに備える。分析ユニットは、生成ユニットをさらに備える。生成ユニットは、前駆体の残量が所定の前駆体量を超える場合、十分な前駆体信号を生成するように、構築および配設することができる。生成ユニットは、前駆体の残量が最大でも所定の前駆体量と等しい場合、不十分な前駆体信号を生成するように、さらに構築および配設することができる。
【0071】
本明細書に記述されるようなデータ処理ユニットに、本開示の実施形態による方法の工程を実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品が、本明細書にさらに記述される。
【0072】
本開示によるコンピュータプログラム製品をその上に記憶したコンピュータ可読媒体が、本明細書にさらに記述される。
【0073】
本開示による一部の実施形態では、前駆体は固体状態とすることができる。言い換えれば、また一部の実施形態では、前駆体は固体前駆体である、実質的に固体前駆体からなる、または固体前駆体を含むことができる。
【0074】
一部の実施形態では、前駆体は、前駆体中心と1つ以上のリガンドとを含む。前駆体中心は、例えば、金属中心、または半金属中心を含むことができる。金属中心の例としては、遷移金属中心、アルカリ金属中心、アルカリ土類金属中心、ポスト遷移金属中心、および希土類金属中心が挙げられる。好適な金属中心としては、アルミニウム、インジウム、およびスズが挙げられる。好適な半金属中心としては、ケイ素およびゲルマニウムが挙げられる。好適な希土類金属中心としては、ランタンなどのランタニドが挙げられる。
【0075】
一部の実施形態では、1つ以上のリガンドは、アレーン、ハロゲン化物、アルキル、シクロペンタジエニル、アミド、キレート窒素含有リガンド、アルコキシド、ベータ-ジケトネート、およびカルボニルからなるリストから独立して選択される。例えば、好適な金属ビスアレーンは、M(Bz)およびM(RBz)を含み、Mは、遷移金属であり、Bzは、ベンゼン環であり、またRは、ベンゼン環上のC1~C3アルキル置換基であり、例えば、Ru(Cp)であり、ここでCpはシクロペンタジエニルである。好適な遷移金属としては、タングステン、モリブデン、およびルテニウムが挙げられる。好適な遷移金属ハロゲン化物としては、MoClおよびHfClが挙げられる。例えば、好適な遷移金属ベータジケトネートは、W(thd)3を含み、ここで、thdは、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオンを表す。
【0076】
好適な前駆体は、例えば、“Barry, Sean Thomas, Peter George Gordon, and Vincent Vandalon. “Common Precursors and Surface Mechanisms for Atomic Layer Deposition.” Reference Module in Chemistry, Molecular Sciences and Chemical Engineering. Elsevier, 2022.”(その全体が参照により組み込まれる)に記述される。
【0077】
さらなる参照が、前駆体容器210と、前駆体ライン220と、圧力ゲージ215、225と、を備えるサブシステム200の実施形態を示す、図2Aおよび図2Bに対してなされる。図2Aの実施形態では、圧力ゲージ215は、前駆体容器210内に取り付けられる。図2Bの実施形態では、圧力ゲージ225は、前駆体ライン220内に取り付けられる。
【0078】
ここで図2Aの実施形態を参照すると、本開示の一部の実施形態では、圧力ゲージ215は、前駆体容器210内に備えられる。圧力ゲージ215は、前駆体容器210が圧力容器210が埋め込まれるシステムの残りの部分から分離されている場合、容器圧力増加特性をモニターすることができる。具体的には、単一のALDサイクル中に、前駆体容器は短い時間の間のみ開放することができ、サイクル中のほとんどの時間、すべての容器弁(図示せず)は閉鎖することができる。容器弁が閉鎖している時、前駆体蒸気が容器の内側で生成され、そして容器内の圧力は徐々に増加する。この圧力増加の速度および全体的な形状は、本開示の実施形態では、前駆体の残量を特徴付けるために使用することができる。
【0079】
具体的には、蒸気生成およびその後の圧力増加(速度および非線形性)は、容器内で使用可能な前駆体の量に依存する可能性がある。容器が空である場合、前駆体蒸気生成からのいかなる圧力増加もない。ほぼ空の状態では、圧力増加は、外見から判断すると線形とすることができる。容器が満杯である時は、圧力増加曲線は、当初の線形領域に、蒸気圧が飽和に達することによって生じる、遅い、徐々に遅くなる増加が続く、飽和している曲線となる可能性がある。この挙動は、線形増加を有する曲線および漸近線によって制限される湾曲部である、3パラメータ指数関数を用いて(例えば)モデル化することができる。曲線形状は、正しい係数を有する傾斜によって表すことができ、これは、蒸気生成現象を、選ばれた傾斜関数を使用して正しくモデル化することができる(合理的な時間制限内で)ことを意味し、これは実際の前駆体量が傾斜係数と相関することにつなげることができる。追加的または代替的に、4パラメータロジスティック、およびアレニウスタイプの式などの圧力曲線を適合させるために、他の傾斜関数を採用することができる。
【0080】
満杯の容器に対する時間の関数としての圧力発生の実施例を図3に示し、ここで時間は秒単位で与えられ、また圧力はTorrで与えられる。時間の関数としての圧力を、形態P(t)=A-Bexp(-Ct)の3つの指数関数を使用して適合し、Aは5.94であり、Bは6.3であり、Cは0.24である。
【0081】
圧力開示の一部の実施形態では、圧力ゲージは、前駆体容器の下流で、かつ反応チャンバの上流の前駆体ライン内に備えられる。しかしながら有利なことに、圧力ゲージは前駆体容器内に位置付けられる。圧力ゲージを前駆体容器内に取り付けることは、前駆体容器が前駆体ライン内に取り付けられる時と比較して、より正確な測定をもたらすことができる。
【0082】
前駆体パルスの実施形態の定型化された圧力対時間曲線400を示す図4Aを参照すると、複数のパルスからのものは、立ち上がり部分410、保持部分420、および減衰部分430のうちの少なくとも1つを含む。その結果、前駆体の残量は、立ち上がり部分410、保持部分420、および減衰部分430のうちの1つ以上を分析することによって決定することができる。一部の実施形態では、また定型化された圧力対時間曲線400の別の実施形態を示す図4Bを参照すると、複数のパルスからのものは、立ち上がり部分410および減衰部分430を含むことができる。
【0083】
一部の実施形態では、前駆体の残量は、立ち上がり部分410に基づいて定量化される。
【0084】
一部の実施形態では、立ち上がり部分410は、直線状のセグメントを含み、そして前駆体の残量は極めて低いものと定量化される。例えば、「極めて低い」は、前駆体容器が空またはほとんど空であることを意味することができ、例えば、「ほとんど空」は、前駆体容器が満杯の20%以下、または満杯の15%以下、または満杯の10%以下、または満杯の5%以下であることを意味することができる。
【0085】
立ち上がり部分410が直線状のセグメントを含む時、または飽和セグメントを含む時を決定することは、統計的な方法を使用して達成することができる。例えば、飽和または曲がっていることは、立ち上がり部分が飽和セグメントを含む場合の正しくない仮定であるべき仮説「立ち上がり部分は直線状である」から開始し、そして立ち上がり部分に直線状の適合を実施することによって試験されてもよい。直線状の適合のR二乗が0.95(95%)より高い場合、自身が間違っていること証明することができず、そして立ち上がり部分が直線状のセグメントを含むという結論を受け入れる必要がある。R二乗が0.95未満である場合、線が真っ直ぐであること、および代替的な結論、すなわち、立ち上がり部分が飽和セグメントを含む結論を示すことを確実に言うことはできない。
【0086】
一部の実施形態では、立ち上がり部分410は飽和セグメントを含む。こうした事例では、前駆体の残量は、十分であるとして定量化することができる。飽和セグメントを含む立ち上がり部分410を、図4Bおよび図4Cに示す。
【0087】
一部の実施形態では、測定された圧力は、図4Aおよび図4Bに示すように、立ち上がり部分410の間に増加する可能性がある。これは、例えば、圧力ゲージが前駆体ライン内に取り付けられた時に生じる可能性がある。
【0088】
一部の実施形態では、図4Cに示すように、測定された圧力は、立ち上がり部分中に減少する可能性がある。これは、例えば、圧力ゲージが前駆体容器内に取り付けられた時に生じる可能性がある。
【0089】
一部の実施形態では、前駆体の残量は、立ち上がり部分を分析することによって決定される。立ち上がり部分を分析することは、関数を使用して立ち上がり部分を適合することを含むことができる。関数は、例えば、指数関数、4パラメータロジスティック関数、およびアレニウス関数から選択することができる。
【0090】
一部の実施形態では、ロジスティック関数は、形態F(x)=D+(A-D)/(1+(x/C)^Bの4パラメータ関数であり、ここでA、B、C、およびDは実数、例えば、正の実数または負の実数である。
【0091】
一部の実施形態では、指数関数は、形態P(t)=A-Bexp(-Ct)の3パラメータ指数関数であり、ここでA、B、およびCは実数、例えば、正の実数または負の実数である。こうした形態は、図2Bに示すように、圧力ゲージ225が前駆体ライン220内に取り付けられる時に生じることができる。
【0092】
一部の実施形態では、指数関数は、形態P(t)=A+Bexp(-Ct)の3パラメータ指数関数であり、ここでA、B、およびCは実数、例えば、正の実数または負の実数である。こうした形態は、図2Aに示すように、圧力ゲージ215が前駆体容器210内に取り付けられる時に生じることができる。
【0093】
一部の実施形態では、具体的には十分な前駆体信号が生成される時に、前駆体ラインを介して前駆体容器と流体接続の状態にある反応チャンバ内の前駆体を使用して周期的堆積プロセスを実行することができる。それ故に、周期的堆積プロセスを実行することができる。
【0094】
一部の実施形態では、不十分な前駆体信号が生成された場合、不十分な前駆体信号は、システムが前駆体ラインを介して前駆体容器と流体接続の状態にある反応チャンバ内の前駆体を使用して周期的堆積プロセスを実行することを防止する。
【0095】
本開示による圧力ベースの前駆体レベル測定を提供することは、前駆体の残量を測定することを可能にし、そしてそれによって、いつ容器を再充填する必要があるかという疑問に答えることを可能にする。それにもかかわらず、任意の1つの測定方法は必ずしも間違えようのないものはなく、また前駆体レベル測定は誤ったものである可能性がある。実際、前駆体容器内の材料の量を測定できる場合、化学物質が完全なままであるか、または意図されたように挙動するかはまだ保証されていない。したがって、前駆体レベル測定に冗長性を追加し、かつ追加的な前駆体レベルセンサを取り付けることが有用である可能性がある。例えば、静電容量前駆体レベルセンサを、圧力ベースの前駆体レベルセンサに加えて採用することができる。実際、前駆体容器の内側で何が起こっているかの包括的な実態を提供するために、両方のセンサタイプがシステムで使用されてもよい。ここでの利点は、同様のことを見ているが、異なる現象に基づく、2つのタイプの独立した観察を有することである。センサデータが整列されると、容器の安定した動作レジームを示す。しかしながら、データが一致しない時には、安定性、潜在的な不安定性の源、および源の機能停止の予測の改善に関する貴重な情報を提供する。一部の実施形態では、静電容量データおよび圧力データの両方に基づく前駆体レベルの決定は、1つのタイプのデータ単独に基づく前駆体レベルの決定より正確とすることができる。
【0096】
それ故に、一部の実施形態では、前駆体容器は、感知された静電容量を測定するために構築および配設される静電容量センサをさらに備える。こうした実施形態では、分析シーケンスは、時間の関数としての圧力に加えて、感知された静電容量に基づいて前駆体の残量を決定することを含むことができる。
【0097】
好適な静電容量センサは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第63/369,695号に記述される。
【0098】
一部の実施形態では、分析シーケンスは、感知された静電容量に基づいて、静電容量由来の前駆体の残量を決定することを含むことができる。また、圧力由来の前駆体の残量は、時間の関数としての圧力に基づいて決定することができる。次いで、静電容量由来の前駆体の残量と圧力由来の前駆体の残量とを比較することができる。これらのパラメータが所定の誤差範囲内で等しいことは、適切な動作を示す場合がある。逆に、これらのパラメータが、所定の誤差範囲内で等しくはないことは、前駆体レベル測定中の誤差の発生を示すことができる。一部の実施形態では、システムは、静電容量由来の前駆体の残量と圧力由来の前駆体の残量とが所定の誤差範囲内で等しくない場合に、基材を処理することを防止することができる。
【0099】
それ故に、正しく測定された前駆体の残量を示すことができる、静電容量由来の前駆体の残量と圧力由来の前駆体の残量とが、10%、5%、2%、1%、または0.1%などの所定の誤差限界内である場合、前駆体の残量を定量化することが、前駆体の残量を、静電容量由来の前駆体の残量と、圧力由来の前駆体の残量と、またはそれらの補間された値と等しく設定することを含む。補間された値は、例えば、前駆体の圧力由来の残量と前駆体の静電容量由来の残量との平均、加重平均、または平均値を指すことができる。そうでない場合、すなわち、静電容量由来の前駆体の残量と圧力由来の前駆体の残量とが所定の誤差限界内で等しくない場合、エラー信号を生成することができる。
【0100】
一部の実施形態では、圧力測定および静電容量測定は、前駆体安定性を導出するために採用される。実際、静電容量前駆体レベル測定が、圧力測定より実質的に高い充填レベルを示す時、例えば、静電容量由来の前駆体レベルが、圧力由来の前駆体レベルより10%、20%、30%、または40%高い場合、前駆体は不安定であると決定することができる。例えば、静電容量測定が50%の充填レベルを示し、また圧力測定が10%の充填レベルを示す場合、前駆体は、少なくとも部分的に分解していると推論することができ、すなわち前駆体は不安定であると推定することができる。
【0101】
一部の実施形態では、圧力測定および静電容量測定は、充填レベルおよび予想される枯渇を導出するために採用される。実際、これらの2つの異なる感知機構は、充填レベルおよび消費速度(分解および類似のものを介した前駆体の喪失を含む)の堅実な推定を得るために、協力して使用することができる。前駆体の「損失速度」の見積もりがある場合、合理的に高い信頼水準で再充填(および生産中のバックアップツール)を推定し、スケジュールすることができる。
【0102】
本開示の主題は、本明細書に開示の様々なプロセス、システム、および構成、ならびに他の特徴、機能、動作および/または特性のすべての新規かつ自明でない組み合わせおよび部分的組み合わせだけでなく、そのありとあらゆる均等物も含む。
【符号の説明】
【0103】
100 処理システム
102 プロセスチャンバ
104 前駆体ガス源
105 ガス源
106 反応物質ガス源
108 パージガス源
110 排気
112 プロセス制御ユニット
114、115、116、118 ライン
200 サブシステム
210 前駆体容器
220 前駆体ライン
215、225 圧力ゲージ
400 圧力対時間曲線
410 立ち上がり部分
420 保持部分
430 減衰部分
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
【外国語明細書】