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特開2025-4767黒色感光性樹脂組成物、これを用いた黒色隔壁、表示装置および黒色隔壁製造方法
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  • 特開-黒色感光性樹脂組成物、これを用いた黒色隔壁、表示装置および黒色隔壁製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004767
(43)【公開日】2025-01-15
(54)【発明の名称】黒色感光性樹脂組成物、これを用いた黒色隔壁、表示装置および黒色隔壁製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20250107BHJP
   G03F 7/075 20060101ALI20250107BHJP
   H10K 59/122 20230101ALI20250107BHJP
   H10K 59/173 20230101ALI20250107BHJP
   H10K 50/86 20230101ALI20250107BHJP
   H10K 59/38 20230101ALI20250107BHJP
   H10K 50/858 20230101ALI20250107BHJP
   H10K 77/10 20230101ALI20250107BHJP
   H10K 50/844 20230101ALI20250107BHJP
   H10K 71/40 20230101ALI20250107BHJP
   H10K 85/10 20230101ALI20250107BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20250107BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20250107BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20250107BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20250107BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20250107BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G03F7/004 501
G03F7/004 504
G03F7/075 501
G03F7/004 502
H10K59/122
H10K59/173
H10K50/86 865
H10K59/38
H10K50/858
H10K77/10
H10K50/844 445
H10K71/40
H10K85/10
G02B5/20 101
C09D7/61
C09D133/00
C09D4/02
G03F7/20 501
G09F9/30 365
G09F9/30 349C
G09F9/30 349B
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024101414
(22)【出願日】2024-06-24
(31)【優先権主張番号】10-2023-0082163
(32)【優先日】2023-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2024-0068608
(32)【優先日】2024-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジュホ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ベク ソン
(72)【発明者】
【氏名】キ,スンボム
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジウン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジホン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ドンヒョン
【テーマコード(参考)】
2H148
2H197
2H225
3K107
4J038
5C094
【Fターム(参考)】
2H148BC07
2H148BC59
2H148BD05
2H148BD11
2H148BD21
2H148BE36
2H148BF07
2H148BF16
2H148BG06
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2H197CA07
2H197CA09
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2H197HA05
2H197JA22
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2H225BA16P
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2H225CC01
2H225CC13
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3K107FF14
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3K107GG28
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5C094HA08
5C094JA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光学密度が高く、低温硬化が可能で、2μm以下の超高解像度でパターンの形成が可能な黒色感光性樹脂組成物、これを用いて製造された黒色隔壁、黒色隔壁を含む表示装置および黒色隔壁の製造方法を提供すること。
【解決手段】(A)バインダー樹脂、(B)ラクタムブラック(Lactam Black)を含む黒色着色剤、(C)光重合性モノマー、(D)光重合開始剤、および(E)溶媒を含み、1μm当り光学密度(Optical Density:OD)が1.5以上の黒色感光性樹脂組成物、これを用いて製造された黒色隔壁、黒色隔壁を含む表示装置および黒色隔壁の製造方法が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー樹脂、
ラクタムブラック(Lactam Black)を含む黒色着色剤、
光重合性モノマー、
光重合開始剤、および
溶媒を含み、
1μm当り光学密度(Optical Density:OD)が1.5以上である、黒色感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記黒色着色剤は、前記黒色感光性樹脂組成物の総量に対して60重量%~80重量%の割合で含まれる、請求項1に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記黒色着色剤は、前記ラクタムブラックミルベースで構成される、請求項1に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記黒色感光性樹脂組成物は、1μm当り光学密度(Optical Density:OD)が2.0以上である、請求項3に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記黒色感光性樹脂組成物は、100℃以下の温度で硬化が可能である、請求項1に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂を含む、請求項1に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記アクリル系バインダー樹脂は、340g/mol以上の二重結合当量を有する、請求項6に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記黒色感光性樹脂組成物は、前記黒色感光性樹脂組成物の総量に対して
前記バインダー樹脂を1重量%~10重量%、
前記黒色着色剤を60重量%~80重量%、
前記光重合性モノマーを0.5重量%~5重量%、
前記光重合開始剤を0.1重量%~3重量%、および
前記溶媒を残部量含む、請求項1に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記黒色感光性樹脂組成物は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオ-ル、シラン系カップリング剤、レーベリング剤、界面活性剤、重合禁止剤、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含む、請求項1に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の黒色感光性樹脂組成物を用いて製造される、黒色隔壁。
【請求項11】
請求項10に記載の黒色隔壁を含む表示装置。
【請求項12】
請求項10に記載の黒色隔壁と、
シリコンウェーハ上に蒸着されたOLED層、前記OLED層上に積層される無機層、前記無機層上に積層される保護接着層、および前記保護接着層上に積層され、前記OLED層で発生した白色光を複数の有色光に変換するカラーフィルター層を含み、
前記カラーフィルター層は、赤色カラーフィルター、緑色カラーフィルターおよび青色カラーフィルターと、を含み、
前記黒色隔壁が、前記カラーフィルターのそれぞれの間に位置する、マイクロOLED表示装置。
【請求項13】
前記保護接着層上に位置し、前記カラーフィルター層および前記黒色隔壁を囲むマイクロレンズアレイをさらに含む、請求項12に記載のマイクロOLED表示装置。
【請求項14】
前記保護接着層の厚さは、1μm以下である、請求項12に記載のマイクロOLED表示装置。
【請求項15】
前記カラーフィルター層の厚さは、1.1μm~1.6μmである、請求項12に記載のマイクロOLED表示装置。
【請求項16】
前記黒色隔壁の厚さは、0.5μm~1.2μmである、請求項12に記載のマイクロOLED表示装置。
【請求項17】
前記無機層の厚さは、2μm以下である、請求項12に記載のマイクロOLED表示装置。
【請求項18】
請求項1~9のいずれか一項に記載の黒色感光性樹脂組成物を塗布するステップ、
前記塗布後、100℃以下の温度でプリベーキングするステップ、
前記プリベーキング後、i線で露光するステップおよび
現像するステップ
を含む黒色隔壁製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、黒色感光性樹脂組成物、これを用いた黒色隔壁、表示装置および黒色隔壁製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、VR(Virtual Reality)、AR(Augmented Reality)およびMR(Mixed Reality)機器に適用することができる表示パネルとして、自ら光を発する自発光型(Emissive)マイクロ有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、以下「OLED」と記す。)表示パネルに対する関心が高まっている。
【0003】
一般的なOLED表示パネル対して画素の大きさが10倍程度小さいマイクロOLED表示パネルの場合、既存のファインメタルマスク(FMM:Fine Metal Mask)を用いた技術では赤色(R)/緑色(G)/青色(B)の各発光層を精巧に形成することが難しく、カラーフィルターが適用される。
【0004】
マイクロOLED表示パネルに適用されるカラーフィルターは、感光性を有する有機材料で構成されるが、このような有機材料に分散された形で存在する粒子は、RGBごとに広い帯域幅の透過スペクトルを持つため、色再現率(Color Gamut)が低く、微細な構造では光漏れ現象が発生するという短所がある。
【0005】
低い色再現率を改善するための代案として、無機材料のカラーフィルターを検討することができるが、無機材料のカラーフィルターは、RGBごとに狭い帯域幅の透過スペクトルを持つため、色再現率(Color Gamut)が高いが、その一方で光漏れ現象が過度に発生する短所がある。したがって、高い色再現率を提供すると同時に、光漏れ現象を完全に遮断できる技術開発が必要とされている。
【0006】
一方、感光性樹脂組成物は、カラーフィルター、液晶表示素子や有機発光素子などを用いた表示装置の製造に不可欠な材料である。例えば、カラー液晶表示装置に用いられるカラーフィルターには、コントラストや発色効果を高めるために、赤、緑、青等の着色層の境界部分に黒色隔壁層のようなブラックマトリクスを形成するための感光性樹脂膜が必要であり、この感光性樹脂膜は主に黒色感光性樹脂組成物で形成されるものである。
【0007】
しかし、従来知られている黒色感光性樹脂組成物を用いて黒色隔壁層などの硬化膜を製造する場合、一般に150℃を超える高温で硬化工程(ベ-キング)を行うことになる。したがって、表示装置上に直接硬化膜を形成する場合、表示装置の内部に設けられる素子が劣化する可能性があるという問題がある。
【0008】
これに対し、低温で硬化が可能であり、光漏れ現象などを完全に遮断することができ、超高解像度に対応したパターンの実現が可能なマイクロOLED用黒色感光性樹脂組成物を開発しようとする研究が続いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一実施形態は、光学密度が高く、低温硬化が可能で、2μm以下の超高解像度でパターンの形成が可能な黒色感光性樹脂組成物を提供することである。
【0010】
他の一実施形態は、感光性樹脂組成物を用いて製造された黒色隔壁を提供することである。
【0011】
また他の一実施形態は、黒色隔壁を含む表示装置を提供することである。
【0012】
また他の一実施形態は、黒色隔壁製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態は、(A)バインダー樹脂、(B)ラクタムブラック(Lactam Black)を含む黒色着色剤、(C)光重合性モノマー、(D)光重合開始剤、および(E)溶媒を含み、1μm当りの光学密度(Optical Density:OD)が1.5以上の黒色感光性樹脂組成物を提供する。
【0014】
黒色着色剤は、黒色感光性樹脂組成物の総量に対して60重量%~80重量%含むことができる。
【0015】
黒色着色剤は、ラクタムブラックミルベースで構成することができる。
【0016】
黒色感光性樹脂組成物は、1μm当り光学密度(Optical Density:OD)が2.0以上とすることができる。
【0017】
黒色感光性樹脂組成物は、100℃以下の温度で硬化可能とすることができる。
【0018】
バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂を含むことができる。
【0019】
アクリル系バインダー樹脂は、340g/mol以上の二重結合当量を有することができる。
【0020】
黒色感光性樹脂組成物は、黒色感光性樹脂組成物総量に対して、(A)バインダー樹脂1重量%~10重量%、(B)黒色着色剤60重量%~80重量%、(C)光重合性モノマー0.5重量%~5重量%、(D)光重合開始剤0.1重量%~3重量%、および(E)溶媒残部量を含むことができる。
【0021】
黒色感光性樹脂組成物は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオ-ル、シラン系カップリング剤、レーベリング剤、界面活性剤、重合禁止剤、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含むことができる。
【0022】
他の一実施形態は、黒色感光性樹脂組成物を用いて製造された黒色隔壁を提供する。
【0023】
また他の一実施形態は、黒色隔壁を含む表示装置を提供する。
【0024】
表示装置は、シリコンウェーハ上に蒸着されたOLED層、OLED層上に積層される無機層、無機層上に積層される保護接着層および保護接着層上に積層され、OLED層で発生した白色光を複数の有色光に変換するカラーフィルター層を含み、カラーフィルター層は、赤色カラーフィルター、緑色カラーフィルターおよび青色カラーフィルターを含み、それぞれのカラーフィルターの間に黒色隔壁が位置するマイクロOLED表示装置であってもよい。
【0025】
表示装置は、保護接着層上に位置し、カラーフィルター層および黒色隔壁を囲むマイクロレンズアレイをさらに含むマイクロOLED表示装置であってもよい。
【0026】
保護接着層の厚さは、1μm以下であってもよい。
【0027】
カラーフィルター層の厚さは、1.1μm~1.6μmであってもよい。
【0028】
黒色隔壁の厚さは、0.5μm~1.2μmであってもよい。
【0029】
無機層の厚さは、2μm以下であってもよい。
【0030】
また他の一実施形態は、黒色感光性樹脂組成物を塗布するステップ、塗布後、100℃以下の温度でプリベーキングするステップ、プリベーキング後、i線で露光するステップおよび現像するステップを含む黒色隔壁製造方法を提供する。
【0031】
その他本発明の一実施形態の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一実施形態によるラクタムブラック含有黒色感光性樹脂組成物を低温硬化して製造した黒色隔壁が含まれているマイクロOLED表示装置は、光漏れ現象を遮断する機能に優れ、また、超高解像度パターンを実現することが可能であり、最近、市場で発売され始めたVR(Virtual Reality)、AR(Augmented Reality)およびMR(Mixed Reality)機器に適用することができる。つまり、本発明の一実施形態は、低温で硬化が可能であり、優れた耐薬品性を有する黒色隔壁の形成のための黒色感光性樹脂組成物を提供しようとするものであり、より具体的には、100℃以下のプリベーキング(Pre-bake)時の温度および光硬化のみ(i線露光)で高い信頼性およびパターン性を有する黒色感光性樹脂組成物を提供しようとするものであり、既存材料との相違点は、100℃以下の低温で硬化が可能であり、2μm以下の超高解像度パターンを実現することが可能な特徴を有する、そして1.5以上、具体的に2.0以上の光学密度(/μm)を有する黒色材料である点にある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態によるマイクロOLED表示装置の構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、これによって本発明が限定されるものではなく、本発明の一実施形態は後述する特許請求の範囲によって画定されるものに限定されるものではない。
【0035】
本明細書において、特に記載がない限り、「アルキル基」とは、C1~C20アルキル基を意味し、「アルケニル基」とは、C2~C20アルケニル基を意味し、「シクロアルケニル基」とは、C3~C20シクロアルケニル基を意味し、「ヘテロシクロアルケニル基」とは、C3~C20ヘテロシクロアルケニル基を意味し、「アリール基」とは、C6~C20アリール基を意味し、「アリールアルキル基」とは、C6~C20アリールアルキル基を意味し、「アルキレン基」とは、C1~C20アルキレン基を意味し、「アリレン基」とは、C6~C20アリレン基を意味し、「アルキルアリレン基」とは、C6~C20アルキルアリレン基を意味し、「ヘテロアリレン基」とは、C3~C20ヘテロアリレン基を意味し、「アルコキシレン基」とは、C1~C20アルコキシレン基を意味する。
【0036】
本明細書において、特に記載がない限り、「置換」とは、少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、C1~C20アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミン基、イミノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバミル基、チオール基、エステル基、エーテル基、カルボキシル基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、リン酸またはその塩、C1~C20アルキル基、C2~C20アルケニル基、C2~C20アルキニル基、C6~C20アリール基、C3~C20シクロアルキル基、C3~C20シクロアルケニル基、C3~C20シクロアルキニル基、C2~C20ヘテロシクロアルキル基、C2~C20ヘテロシクロアルケニル基、C2~C20ヘテロシクロアルキニル基、C3~C20ヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせの置換基で置換されたものを意味する。
【0037】
また、本明細書において特に記載がない限り、「ヘテロ」とは、式中にN、O、SおよびPのうち少なくとも一つのヘテロ原子を少なくとも一つ含むことを意味する。
【0038】
また、本明細書で特に記載がない限り、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」と「メタクリレート」の両方を意味し、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の両方を意味する。
【0039】
本明細書で特に定義がない限り、「組み合わせ」とは、混合または共重合を意味する。 また、「共重合」とは、ブロック共重合乃至ランダム共重合を意味し、「共重合体」とは、ブロック共重合体乃至ランダム共重合体を意味する。
【0040】
本明細書に示される化学式において、別途定義がない限り、化学結合が表示されるべき位置に化学結合が表示されていない場合は、その位置に水素原子が結合されていることを意味する。
【0041】
本明細書において、特に定義がない限り、「*」は、同一または異なる原子または化学式と連結する部分を意味する。
【0042】
一実施形態による黒色感光性樹脂組成物は、(A)バインダー樹脂、(B)ラクタムブラック(Lactam Black)を含む黒色着色剤、(C)光重合性モノマー、(D)光重合開始剤、および(E)溶媒を含み、1μm当り光学密度(Optical Density:OD)が1.5以上である。
【0043】
従来カラーフォトレジストは、赤色、緑色、青色のカラーパターンで実現されるネガ型感光性液状材料であり、液状材料の組成を少しずつ変化させる方向で技術開発が行われた。例えば、カラーパターンを実現する色材である顔料分散液の種類や含有量を変化させて色純度を改善させようとしたり、バインダー樹脂や光重合開始剤の組成を変えることによりパターン性を改善させようとしたり、レーベリング剤などのその他の添加剤の使用によりコーティング性や色均一性などを改善させようとするなどの努力が続けられてきた。
【0044】
一実施形態による感光性樹脂組成物は、赤色、緑色、青色のカラーフィルター間に位置する黒色隔壁を構成することができる黒色感光性樹脂組成物であり、次世代ディスプレイのVR(Virtual Reality)、AR(Augmented Reality)およびMR(Mixed Reality)用ディスプレイに最適化できるように、高色再現、高解像度に対応した画素の実現、光漏れ現象の防止および超高解像度パターンの実現ができるように設計されており、さらに低温での熱処理と光硬化だけで高い信頼性およびパターン性を有することができるので、工程面からも非常に有利である。
【0045】
以下、各成分について具体的に説明する。
【0046】
(A)バインダー樹脂
バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂を含むことができる。
【0047】
アクリル系バインダー樹脂は、第1エチレン性不飽和モノマーおよびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和モノマーの共重合体であり、一つ以上のアクリル系反復単位を含む樹脂である。
【0048】
第1エチレン性不飽和モノマーは、一つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和モノマーであり、その具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸またはこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0049】
第1エチレン性不飽和モノマーは、アクリル系バインダー樹脂の総量に対して5重量%~50重量%、例えば10重量%~40重量%含むことができる。
【0050】
第2エチレン性不飽和モノマーは、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボキシ酸エステル化合物、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボキシ酸アミノアルキルエステル化合物、酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボキシ酸ビニルエステル化合物、グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボキシ酸グリシジルエステル化合物、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物、などが挙げることができ、これらを単独でまたは二つ以上混合して使用することができる。
【0051】
アクリル系バインダー樹脂の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これに限定されるものではなく、これらを単独または2種以上を配合して使用することもできる。
【0052】
アクリル系バインダー樹脂は、3,000g/mol~20,000g/molの重量平均分子量を有することができ、340g/mol以上の二重結合当量を有することができる。アクリル系バインダー樹脂の重量平均分子量および二重結合当量が前記した範囲にある場合、優れたパターン形成性を有し、作製された薄膜は優れたな機械的および熱的特性を有することができる。
【0053】
バインダー樹脂は、エポキシ系バインダー樹脂をさらに含むことができる。
【0054】
バインダー樹脂は、エポキシ系バインダー樹脂をさらに含むことにより、耐熱性を向上させることができる。エポキシ系バインダー樹脂は、例えば、フェノールノボラックエポキシ樹脂、テトラメチルビフェニルエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂またはこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0055】
さらに、エポキシ系バインダー樹脂を含むバインダー樹脂は、後述する顔料などの着色剤の分散安定性を確保すると同時に、現像過程で所望の解像度の画素が形成されるようにすることができる。
【0056】
エポキシ系バインダー樹脂は、バインダー樹脂の総量に対して1重量%~10重量%、例えば5重量%~10重量%含むことができる。エポキシ系バインダー樹脂が範囲で含まれる場合、残膜率および耐薬品性が大きく改善される。
【0057】
エポキシ系バインダー樹脂のエポキシ当量(epoxy equivalent weight)は、150g/eq~200g/eqとすることができる。範囲内のエポキシ当量を有するエポキシ系バインダー樹脂がバインダー樹脂内に含まれる場合、形成されたパターンの硬化度向上およびパターンが形成された構造内における着色剤の固着に有利な効果を有する。
【0058】
バインダー樹脂は、固形分の形で後述する溶媒に溶解され、感光性樹脂組成物を構成することができる。この場合、固形分形態のバインダー樹脂は、溶媒に溶解したバインダー樹脂溶液の総量に対して、約0.1重量%~30重量%、例えば20重量%~30重量%とすることができる。
【0059】
また、バインダー樹脂は、感光性樹脂組成物の総量に対して0.1重量%~20重量%、具体的に0.5重量%~15重量%、例えば1重量%~10重量%含むことができる。バインダー樹脂が範囲内に含まれる場合、優れた感度、現像性、解像度およびパターンの直進性を得ることができる。
【0060】
(B)黒色着色剤
一実施形態による感光性樹脂組成物内の黒色着色剤は、遮光性を高めて黒色を容易に実現するために、ラクタムブラック(Lactam Black)を含むことができる。
【0061】
一般に遮光性を向上させるためにカーボンブラックを単独で黒色着色剤として使用することが多いが、カーボンブラックだけを単独で使用する場合、光学密度が優れるものの、電気的特性など光学密度以外の他の特性が低下するため、好ましくない。特に、カーボンブラックだけを単独で使用する場合、紫外線(UV)領域の透過率が低下し、低温硬化および高解像度パターンの形成が不可能であり、VR(Virtual Reality)、AR(Augmented Reality)およびMR(Mixed Reality)機器などに適用される次世代ディスプレイのマイクロOLED表示装置への適用が難しい可能性がある。
【0062】
これに、黒色着色剤として有機黒色顔料(例えば、RGBブラックなどのカラー混色など)を使用する試みもあったが、カーボンブラックを単独で使用する場合より相対的に遮光性は若干落ちる可能性があるものの、十分な遮光性能を有すると共に電気的特性など他の特性をより向上させることが確認された。しかし、光学密度が不足しており、カーボンブラックを単独で使用したときよりも優れているということであって、依然として紫外線(UV)領域の透過率が不足してパターンが不良であるため、同様に次世代ディスプレイのマイクロOLED表示装置への適用が難しい可能性がある。
【0063】
そして、このような傾向は、感光性樹脂組成物内の黒色着色剤に有機黒色顔料と共にカーボンブラックをさらに含む場合にも同様である。
【0064】
そこで、本発明者らは、従来の黒色着色剤のカーボンブラックや有機黒色顔料の代わりにラクタムブラックを使用することにより、前述した問題を解決できることを確認し、本発明を完成するに至った。具体的には、一実施形態による黒色感光性樹脂組成物に含まれるラクタムブラック含有黒色着色剤の含有量を、黒色感光性樹脂組成物総量に対して60重量%~80重量%、例えば60重量%~70重量%とすることができるというものである。この場合、1μm当りの光学密度(Optical Density:OD)を1.5以上、より具体的には2.0以上に制御することが極めて容易となり、さらに、紫外線(UV)領域の透過率の低下を防止し、低温硬化および2μm以下の高解像度パターンの形成も容易になり、次世代ディスプレイのマイクロOLED表示装置に無理なく適用することができる。
【0065】
例えば、黒色着色剤は、ラクタムブラックをミルベース(Millbase)で構成することができる。
【0066】
ラクタムブラックミルベースは、固形分のラクタムブラック、分散剤および後述する溶媒を含むことができる。具体的には、ラクタムブラックを分散剤で予め表面処理して使用したり、組成物製造時にラクタムブラックと共に分散剤を添加して使用したりすることができる。固形分のラクタムブラックの含有量は、ラクタムブラックミルベース総量に対して5重量%~40重量%、例えば8重量%~30重量%とすることができる。
【0067】
分散剤としては、非イオン性分散剤、負イオン性分散剤、正イオン性分散剤などを使用することができる。分散剤の具体的な例としては、ポリアルキレングリコールおよびそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどを挙げることができ、これらを単独でまたは二つ以上混合して使用することができる。
【0068】
市販されている分散剤の製品を例示すると、BYK社製のDISPERBYK-101、DISPERBYK-130、DISPERBYK-140、DISPERBYK-160、DISPERBYK-161、DISPERBYK-162、DISPERBYK-163、DISPERBYK-164、DISPERBYK-165、DISPERBYK-166、DISPERBYK-170、DISPERBYK-171、DISPERBYK-182、DISPERBYK-2000、DISPERBYK-2001など、EFKAケミカル社製のEFKA-47、EFKA-47EA、EFKA-48、EFKA-49、EFKA-100、EFKA-400、EFKA-450など、ゼネカ(Zeneka)社製のSolsperse 5000、Solsperse 12000、Solsperse 13240、Solsperse 13940、Solsperse 17000、Solsperse 20000、Solsperse 24000GR、Solsperse 27000、Solsperse 28000など、または味の素(Ajinomoto)社製のPB711、PB821などがある。
【0069】
分散剤は、黒色感光性樹脂組成物総量に対して0.1重量%~15重量%含むことができる。分散剤が範囲内に含まれる場合、組成物の分散性が優れているため、黒色隔壁製造時の安定性、現像性およびパターン性が優れている。
【0070】
ラクタムブラックは、水溶性無機塩および湿潤剤を用いて前処理して使用することもできる。ラクタムブラックを前処理して使用する場合、ラクタムブラックの平均粒径を微細化することができる。
【0071】
前処理は、ラクタムブラックを水溶性無機塩および湿潤剤と共にニーディング(kneading)するステップ、そしてニーディングステップで得られた顔料をろ過および水洗するステップを経て行うことができる。
【0072】
ニーディングは、40℃~100℃の温度で行うことができ、ろ過および水洗は、水などを使用して無機塩を水洗した後、ろ過して行うことができる。
【0073】
水溶性無機塩の例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどが挙げられるが、これに限定されない。湿潤剤は、顔料および水溶性無機塩が均一に混合され、顔料が容易に粉砕できる媒介体の機能を有し、その例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンポリエチレングリコールなどのアルコールなどを挙げることができ、これらを単独または二つ以上混合して使用することができる。
【0074】
ニーディングステップを経たラクタムブラックは、5nm~200nm、例えば5nm~150nmの平均粒径を有することができる。ラクタムブラックの平均粒径が範囲内である場合、ラクタムブラックミルベースでの安定性に優れ、画素の解像度を低下させる恐れがない。
【0075】
黒色着色剤は、ラクタムブラックの他に、前述したカーボンブラックおよび/またはRGBブラックなどのカラー混色などの有機黒色顔料をさらに含むこともできる。
【0076】
(C)光重合性モノマー
一実施形態による黒色感光性樹脂組成物内の光重合性モノマーは、単一の化合物であってもよく、互いに異なる2種の化合物の混合物であってもよい。
【0077】
光重合性モノマーが互いに異なる2種の化合物の混合物である場合、2種の化合物のいずれか一つは、下記の化学式1で表される官能基を少なくとも2つ以上含む化合物であってもよい。
【化1】

化学式1中、
は、水素原子または置換または非置換のC1~C10アルキル基であり、
は、単一結合または置換または非置換のC1~C10アルキレン基である。
【0078】
例えば、化学式1で表される官能基を少なくとも2つ以上含む化合物は、化学式1で表される官能基を2つ~6つ含むことができる。この場合、パターン形成工程で露光時に十分な重合を起こし、耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れたパターンを形成することができる。
【0079】
例えば、化学式1で表される官能基を少なくとも2つ以上含む化合物は、下記化学式2または下記化学式3で表示される化合物であることができる。
【化2】

【化3】

化学式2および化学式3中、
p、q、rおよびsは、それぞれ独立して、1~10の整数である。
【0080】
光重合性モノマーが互いに異なる2種の化合物の混合物である場合、2種の化合物のうち他の一つは少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル酸の一官能性または多官能性エステル化合物であってもよい。
【0081】
少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル酸の一官能性または多官能性エステル化合物は、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートまたはこれらの組み合わせであってもよい。
【0082】
少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル酸の一官能性または多官能性エステル化合物の市販品を例示すると以下の通りである。(メタ)アクリル酸の一官能エステルの例としては、東亜合成化学工業株式会社製のアロニクス(登録商標)M-101、M-111、M-114など、日本化薬株式会社製のKAYARAD(登録商標)TC-110S、TC-120Sなど、大阪有機化学工業株式会社製のV-158、V-2311などを挙げることができる。(メタ)アクリル酸の二官能エステルの例としては、東亜合成化学工業株式会社製のアロニクス(登録商標)M-210、M-240、M-6200など、日本化薬株式会社製のKAYARAD(登録商標)HDDA、HX-220、R-604など、大阪有機化学工業株式会社製のV-260、V-312、V-335HPなどを挙げることができる。(メタ)アクリル酸の三官能エステルの例としては、東亜合成化学工業株式会社製のアロニクス(登録商標)M-309、M-400、M-405、M-450、M-7100、M-8030、M-8060など、日本化薬株式会社製のKAYARAD(登録商標)TMPTA、DPCA-20、-30、-60、-120など、大阪有機化学工業株式会社製のV-295、-300、-360、-GPT、-3PA、-400などを挙げることができる。これらの製品を単独で使用または2種以上を使用することができる。
【0083】
光重合性モノマーは、より優れた現像性を付与するために、酸無水物に処理して使用することもできる。
【0084】
光重合性モノマーは、黒色感光性樹脂組成物総量に対して0.5重量%~10重量%、例えば0.5重量%~5重量%、例えば1重量%~5重量%含むことができる。光重合性モノマーが範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に起こり、信頼性に優れ、パターンの耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れ、解像度および密着性も優れている。
【0085】
(D)光重合開始剤
一実施形態による黒色感光性樹脂組成物は、光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物などを使用することができる。
【0086】
アセトフェノン系化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-4-(メチルチオ)フェニル)-2-モポリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-4-モポリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0087】
ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3'-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0088】
チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
【0089】
ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0090】
トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3',4'-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4'-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0091】
オキシム系化合物の例としては、O-アシルオキシム系化合物、2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(O-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用することができる。O-アシルオキシム系化合物の具体的な例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾエ-ト、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾエ-ト、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテートおよび1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1-オンオキシム-O-アセテートなどを使用することができる。
【0092】
光重合開始剤としては、化合物の他にもカルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、非イミダゾール系化合物などを使用することができる。
【0093】
光重合開始剤は、黒色感光性樹脂組成物総量に対して0.1重量%~5重量%、例えば0.1重量%~3重量%含むことができる。光重合開始剤が範囲内に含まれる場合、カラーフィルター製造のためのパターン形成工程で露光時に光重合が十分に行われ、感度が優れ、透過率が改善される。
【0094】
(E)溶媒
溶媒は、黒色着色剤を含む顔料分散液、バインダー樹脂、光重合性モノマーおよび光重合開始剤との相溶性を有し、かつ反応しない物質が使用できる。
【0095】
溶媒の例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類、ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラハイドロフランなどのエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類、メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステル類、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチルなどのオキシ酢酸アルキルエステル類、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなどのアルコキシ酢酸アルキルエステル類、3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなどの3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチルなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類、2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピルなどの2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸メチルなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エステル類、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキル類のモノオキシモノカルボン酸アルキルエステル類、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチルなどのエステル類、ピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類などがあり、また、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒を挙げられる。
【0096】
これらの中でも、相溶性および反応性を考慮して、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、2-ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類が使用できる。
【0097】
溶媒は、感光性樹脂組成物総量に対して残部量、例えば10重量%~40重量%、例えば10重量%~30重量%含むことができる。溶媒が範囲内に含まれる場合、黒色感光性樹脂組成物が適切な粘度を有するため、黒色隔壁製造時の公正性に優れている。
【0098】
(F)その他添加剤
一方、黒色感光性樹脂組成物は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオ-ル、シラン系カップリング剤、レーベリング剤、界面活性剤、重合禁止剤またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含むことができる。
【0099】
シラン系カップリング剤は、基板との密着性などを改善するために、ビニル基、カルボキシル基、メタクリルオキシ基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有することができる。
【0100】
シラン系カップリング剤の例としては、トリメトキシシリルベンズ酸、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシトキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどを挙げることができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0101】
シラン系カップリング剤は、感光性樹脂組成物100重量部に対して0.01重量部~10重量部含むことができる。シラン系カップリング剤が範囲内に含まれる場合、密着性、保存性などが優れている。
【0102】
また、感光性樹脂組成物は、必要に応じて、コーティング性向上および欠点発生防止効果のために、界面活性剤、例えば、フッ素系界面活性剤および/またはシリコン系界面活性剤をさらに含むことができる。
【0103】
フッ素系界面活性剤は、BM Chemie社のBM-1000、BM-1100など、DIC株式会社製のメーカーパックF142D、F172、F173、F183、F554、F556など、スリーエムジャパン株式会社製のプロラードFC-135、FC-170C、FC-430、FC-431など、AGC株式会社製のサーフロン(登録商標)S-112、S-113、S-131、S-141、S-145など、東レシリコーン株式会社製のSH-28PA、-190、-193、SZ-6032、SF-8428などの名称で市販されているものを使用することができる。
【0104】
シリコン系界面活性剤としては、BYK Chem社製のBYK-307、BYK-333、BYK-361N、BYK-051、BYK-052、BYK-053、BYK-067A、BYK-077、BYK-301、BYK-322、BYK-325などの名称で市販されているものを使用することができる。
【0105】
界面活性剤は、感光性樹脂組成物100重量部に対して0.001重量部~5重量部で使用することができる。界面活性剤が範囲内に含まれる場合、コーティングの均一性が確保され、染みが発生せず、IZO基板またはガラス基板に対する湿潤性(wetting)に優れている。
【0106】
重合禁止剤は、ハイドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせを含むことができるが、必ずしもこれに限定されない。一実施形態による黒色感光性樹脂組成物がハイドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせをさらに含むことにより、黒色感光性樹脂組成物をコーティング後、露光中に常温架橋を防止することができる。
【0107】
例えば、ハイドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせは、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、2,5-ビス(1,1-ジメチルブチル)ハイドロキノン、2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ハイドロキノン、カテコール、t-ブチルカテコール、4-メトキシフェノール、ピロカロール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2-ナフトール、トリス(N-ヒドロキシ-N-ニトロソフェニルアミナトー-O,O')アルミニウム(Tris(N-hydroxy-N-nitrosophenylaminato-O,O')aluminium)またはこれらの組み合わせを含むことができるが、必ずしもこれに限定されない。
【0108】
ハイドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせは、分散液の形で使用することができ、分散液の形の重合禁止剤は、黒色感光性樹脂組成物総量に対して0.001重量%~3重量%、例えば0.01重量%~1重量%含むことができる。重合禁止剤が範囲内に含まれる場合、常温経時問題を解決すると同時に、感度低下および表面剥離現象を防止することができる。
【0109】
また黒色感光性樹脂組成物は、物性を阻害しない範囲内で酸化防止剤、安定剤などの他の添加剤を一定量添加することもできる。
【0110】
一実施形態による黒色感光性樹脂組成物は、ポジ型である場合もあり、ネガ型である場合もあるが、遮光性を有する組成物の露光および現像後、パターンがノープールされる領域の残基(residue)をより完全に除去するためには、ネガ型であることがより好ましい。
【0111】
他の一実施形態は、前述した感光性樹脂組成物を露光、現像および硬化して製造された黒色隔壁を提供する。
【0112】
黒色隔壁製造方法は以下の通りである。
【0113】
(1)塗布および塗装膜形成ステップ
感光性樹脂組成物を所定の前処理をしたガラス基板またはITO基板などの基板上に、スピンまたはスリットコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、アプリケータ法などの方法を使用して所望の厚さに塗布した後、100℃で1分~10分間加熱して溶剤を除去することにより感光性樹脂膜を形成する。このステップにより、画質染みの改善などが可能である。
【0114】
(2)露光ステップ
得られた感光性樹脂膜に必要なパターン形成のためにフォトマスクを介してi線の活性線を照射する。照射に使用される光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、金属ハロゲン化物ランプ、アルゴンガスレーザなどを使用することができ、場合によりX線、電子線なども利用できる。
【0115】
露光量は、組成物各成分の種類、配合量および乾燥膜の厚さによって異なるが、高圧水銀灯を使用する場合には500mJ/cm(365nmセンサーによる)以下である。このステップにより、画素サイズの微調整が可能となり、高解像度の実現を可能となる。
【0116】
(3)現像ステップ
現像方法としては、露光ステップに続き、アルカリ性水溶液を現像液として利用し、不要な部分を溶解、除去することにより、露光部分だけを残存させてパターンを形成する。このステップにより、プロファイルを形成し、高解像度を実現することができる。
【0117】
(4)後処理ステップ
工程で現像によって得られた画像パターンを耐熱性、耐光性、密着性、耐クラック性、耐薬品性、高強度および保存安定性などの面で優れたパターンを得るための後加熱工程がある。例えば、現像後、250℃のコンベクションオーブンで1時間加熱することができる。このステップにより、均一性を確保し、鮮明度を改善することができる。
【0118】
また他の一実施形態は、黒色隔壁を含む表示装置を提供する。
【0119】
表示装置は、マイクロ有機発光素子(OLED)表示装置であってもよい。
【0120】
図1を参照して説明すると、マイクロ有機発光素子(OLED)表示装置は、シリコンウェーハ上に蒸着されたOLED層、OLED層上に積層される無機層、無機層上に積層される保護接着層および保護接着層上に積層され、OLED層で発生した白色光を複数の有色光に変換するカラーフィルター層を含み、カラーフィルター層は、赤色カラーフィルター、緑色カラーフィルターおよび青色カラーフィルターを含み、それぞれのカラーフィルターの間には黒色隔壁が介在することができる。
【0121】
従来は、ガラス基板やポリイミド基板にOLEDが蒸着されたOLED層を使用していたが、一実施形態によるマイクロOLED表示装置は、シリコンウェーハ上にOLEDが蒸着されているため、マイクロディスプレイの実現に有利である。このようなマイクロディスプレイは次世代ディスプレイとして脚光を浴びており、マイクロディスプレイはMRなどの機器に適用される予定である。実際にアップル社、メタ社、LGディスプレイ社などは全て次世代MR機器市場に既に参入しているか、または参入を予告している。
【0122】
例えば、マイクロOLED表示装置は、マイクロレンズアレイをさらに含むことができる。マイクロレンズアレイは、接着層上に位置し、カラーフィルター層および黒色隔壁を囲むことができる。
【0123】
このような構造のマイクロOLED表示装置は、高集積シリコンウェーハ上に白色OLEDが蒸着され、画素単位で駆動することができ、3μm以下の解像度でパターニングされたカラーフィルター層を通して透過波長制御が容易であるため、高色再現および高解像度確保に有利である。
【0124】
例えば、保護接着層としては、バインダー樹脂、光重合開始剤、光重合性モノマー、溶媒などを含む組成物の硬化層であることができ、下部無機層が凹凸をなくしてクラックの発生を防止し、カラーフィルター層の付置力を高めることができる。
【0125】
例えば、保護接着層の厚さは1μm以下であってもよい。この場合、効果をより極大化することができる。
【0126】
例えば、カラーフィルター層の厚さは、1.1μm~1.6μmであることができる。
【0127】
例えば、黒色隔壁の厚さは、0.5μm~1.2μmであることができる。
【0128】
カラーフィルター層および黒色隔壁のそれぞれの厚さがのように制御される場合、マイクロOLED表示装置の実現により有利である。
【0129】
例えば、無機層の厚さは2μm以下であってもよい。白色OLEDであっても、光が常にOLED層と垂直方向にのみ拡散するわけではないので、赤色、緑色および青色の混色が必然的に発生することになる。従来は、このような混色防止のために、OLED層上に無機層を蒸着していた。しかし、無機層の蒸着によっても混色が完全に防止されるわけではないので、一実施形態では、無機層を薄膜化、例えば、無機層の厚さを2μm以下に制御することにより、微細な光漏れ現象を防止することができる。さらに、カラーフィルター層の間に黒色隔壁を位置させることにより、高解像度を実現することができる。
【0130】
さらに、黒色隔壁の材料となる黒色感光性樹脂組成物は、黒色材料であるため、光硬化特性などに問題があるが、一実施形態による黒色感光性樹脂組成物は、前述のように、プリベーキング時の低温硬化およびi線による光硬化のみで硬化膜の製造が可能であるため、従来の黒色隔壁を有する表示装置とは、実現可能な解像度において、あまりにも大きな差が生じることになる。
【0131】
以下、本発明の望ましい実施例を記載する。ただし、下記の実施例は、本発明の望ましい一実施例であって、本発明が下記の実施例によって限定されるものではない。
【実施例0132】
(感光性樹脂組成物製造)
実施例1ないし実施例6、比較例1および比較例2
下記表1に記載の組成で、溶媒に光重合開始剤を溶解した後、2時間常温で攪拌した。ここに、バインダー樹脂、光重合性モノマーを添加し、1時間常温で攪拌した。ここに、その他の添加剤および黒色着色剤を添加した後、1時間常温で攪拌した後、溶液全体を2時間攪拌した。溶液に対して3回のろ過を行い、不純物を除去して感光性樹脂組成物を製造した。
【表1】
【0133】
(A)バインダー樹脂
アクリル系バインダー樹脂(SP-RY92-M10、Resoc(レゾナック))340g/mol以上の二重結合当量)
【0134】
(B)黒色着色剤
(B-1)ラクタムブラックミルベース(BC4001、サカタインクス株式会社製、固形分15重量%)
(B-2)カーボンブラックミルベース(CI-M463、サカタインクス株式会社製、固形分15重量%)
(B-3)赤色顔料ミルベース(BA6228、サカタインクス株式会社製、固形分15重量%)
(B-4)緑色顔料ミルベース(BJ1564、サカタインクス株式会社製、固形分15重量%)
(B-5)青色顔料ミルベース(BB6136、サカタインクス株式会社製、固形分15重量%)
【0135】
(C)光重合性モノマー
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(DPHA、日本化薬社製)
【0136】
(D)光重合開始剤
オキシム系開始剤(SPI-03W、三養社製)
【0137】
(E)溶媒
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、シグマアルドリッチ(Sigma-Aldrich)社製)
【0138】
(F)その他の添加剤
(F-1)レーベリング剤(F-556、DIC社製)
(F-2)界面活性剤(KBM-503、信越化学工業社製)
(F-3)重合禁止剤(MHQ、JHChem社製)
【0139】
評価1
実施例1~実施例6、比較例1および比較例2による感光性樹脂組成物を10cm*10cmITOガラス(抵抗30Ω)に塗布し、100℃のホットプレートで、1分間プロキシタイプ(proxy type)で加熱し、再び1分間コンタクトタイプ(contact type)で加熱し、1μm厚さの感光性樹脂膜を形成した。エックスライト(X-Rite)社の361Tデンシトメーター(densitometer)を使用して樹脂膜の光学密度(OD)を測定し、その結果を下記表2に示した。
【表2】
【0140】
評価2
感光性樹脂膜がコーティングされた基板を様々な大きさのパターンが刻まれたマスクを使用して露光器(ウシオ(Ushio)社製のUX-1200SM-AKS02)で露光量の変化を与えながら露光した後、常温で2.38%のTMAH溶液(水系現像液)で現像して露光部を溶解して除去した後、純水で50秒間洗浄してパターンを形成して硬化膜を得た。
【0141】
得られた硬化膜に対して、パターンの解像度測定のためにマイクロ光学顕微鏡(オリンパス社製のSTM6-LM)を用いてパターンの最小サイズを観察し、解像度を測定した。即ち、2μmパターニングされた帯状の線幅(CD:critical dimension、単位:μm)が3μm未満時の最適露光量において、硬化後の最小パターンサイズを測定した。線幅が1.5μm以下の場合は◎、線幅が2μm以下の場合は○、2μm超過3μm未満の場合は△、3μm以上の場合はXで評価し、その結果を下記表3に示した。
【表3】
【0142】
表2および表3を通して、一実施形態による黒色感光性樹脂組成物は、高い光学密度を有する100℃以下の低温硬化が可能な組成物であり、3μm未満の超高解像度パターン実現が可能であり、マイクロOLED表示装置に適用可能であることが確認できる。
【0143】
本発明は、本明細書に開示された実施形態及び実施例に限定されるものではなく、異なる様々な形態で製造することができ、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明の技術思想や本質的な特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施することができることを理解できるであろう。したがって、本明細書で開示された実施形態及び実施例は、すべての点で例示的なものであり、限定的ではないと理解されるべきである。
図1