(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004965
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】麺生地の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/109 20160101AFI20250108BHJP
A23L 7/10 20160101ALI20250108BHJP
【FI】
A23L7/109 C
A23L7/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104889
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】301049777
【氏名又は名称】日清製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 久美子
(72)【発明者】
【氏名】宮田 敦行
(72)【発明者】
【氏名】津田 恭征
【テーマコード(参考)】
4B023
4B046
【Fターム(参考)】
4B023LC05
4B023LE26
4B023LG06
4B023LK08
4B023LP07
4B023LP15
4B046LA02
4B046LA05
4B046LB01
4B046LB04
4B046LB09
4B046LB10
4B046LC01
4B046LC07
4B046LG02
4B046LG04
4B046LG16
4B046LG29
4B046LG53
4B046LP01
4B046LP10
4B046LP15
4B046LP41
4B046LP51
4B046LP69
(57)【要約】
【課題】高アミロース小麦粉を多く含有するにもかかわらず良好な食感を有する麺類の提供。
【解決手段】麺類の製造方法であって、高アミロース小麦粉を50質量%以上含有する原料粉と、食用塩を含有する水とを混合して麺生地を調製すること、及び、該麺生地から生麺を製造することを含み、該高アミロース小麦粉が、コンカナバリンA法で分析された総澱粉中のアミロース含有量が40質量%以上の小麦粉であり、該食用塩の量が、該原料粉100質量部に対して5.5~10質量部である、方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
麺類の製造方法であって、
高アミロース小麦粉を50質量%以上含有する原料粉と、食用塩を含有する水とを混合して麺生地を調製すること、及び、
該麺生地から生麺を製造すること、
を含み、
該高アミロース小麦粉が、コンカナバリンA法で分析された総澱粉中のアミロース含有量が40質量%以上の小麦粉であり、
該食用塩の量が、該原料粉100質量部に対して5.5~10質量部である、
方法。
【請求項2】
前記原料粉が前記高アミロース小麦粉以外の小麦粉を含有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記麺生地の調製及び麺生地からの生麺の製造が機械製麺により行われる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記生麺を乾麺にすることなく加熱調理することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記加熱調理した麺類を冷蔵又は冷凍することをさらに含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記麺類がうどん又は中華麺である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記高アミロース小麦粉がSBEIIaの活性が低い改変小麦由来の小麦粉である、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺生地の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
穀物に含まれる澱粉にはアミロースとアミロペクチンが含まれる。アミロースは、消化酵素による消化性が悪く、そのため、ヒトの消化酵素で消化されない難消化性成分、すなわち食物繊維として機能し得、難消化性澱粉に分類される。近年、澱粉合成に関連する酵素に変異を有することでアミロース含有量を増加させた高アミロース小麦が開発されている(非特許文献1、2)。特許文献1~4には、澱粉分枝酵素SBEIIaの遺伝子の点変異を有し、SBEIIaの活性が低下しており、穀粒に含まれる澱粉のアミロース含有量が高い高アミロース小麦が開示されている。しかし一方で、アミロースは食品がパサついたり硬くなったりする原因でもある。例えば、前述の非特許文献2には、高アミロース小麦から製造したパンが、通常の小麦を使用したものと比べて膨らみが悪く品質に劣っていたこと、一方で、高アミロース小麦粉の配合によりパスタのようなテクスチャーの中華麺が得られたことが記載されている。そのため、ベーカリーや麺類では、食品の食感をソフトで口当たりのよいものにしたい場合、アミロース含有量の低い穀粉が利用されることがある。
【0003】
従来、麺類、特にうどんや乾麺類の製造においては、生地に食塩が添加されることがある。生地の圧延や成形、場合によりさらに混捏を手作業で行う手打ちうどんの製造においては、一般に、麺の食感や手作業の作業性を考慮して、水分量が比較的多い柔らかい麺生地を製造する一方、該水分量の高い生地が手作業での圧延や成形の際にまとまりやすくなるように、生地への食塩の添加量も比較的多い。これに対し、機械で混捏、圧延や成形を行う機械製麺では、製麺の作業性のために食塩を添加する必要はなく、生地の食塩量は相対的に低い。また乾麺の製造では、乾燥速度を制御するために、生地の塩分量を調整することがある。
【0004】
特許文献5には、副原料として食塩、かんすい、食用油脂、アルコール、乳酸ナトリウム、及び水を含み、水分活性が0.85以上0.90未満である、茹でこぼし不要の生中華麺が記載されており、また、該水分活性を低くすることで製麺性、麺の結着が改善されること、水分活性の低下のため、生中華麺の通常の配合量よりも多量の食塩を麺に配合すること、主原料粉100重量部に対して食塩2~4重量部が好ましいことが記載されている。特許文献6には、小麦粉を主体とする穀粉類100質量部に対し、かんすい原料を粉体の状態で混合した後、加水、混捏して、乾麺の麺生地を調製すること、その際に、乾麺の変色を抑制する観点から、該穀粉類100質量部に対し食塩を1.5~4.0質量部配合することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2007-504803号公報
【特許文献2】特表2008-526690号公報
【特許文献3】特表2015-504301号公報
【特許文献4】特表2019-527054号公報
【特許文献5】特開2017-029079号公報
【特許文献6】特開2020-129987号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】J Jpn Assoc Dietary Fiber Res, 2003, 7(1):20-25
【非特許文献2】Trends in Food Science and Technology, 2006, 17:448-456
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
健康志向の観点から、食物繊維を豊富に含有する麺類が求められている。高アミロース小麦粉は有望な食物繊維素材の1つである。しかしながら、高アミロース小麦粉を高配合した麺類は、食感に脆さを感じやすい。本発明は、高アミロース小麦粉を多く含んでいるにもかかわらず良好な食感を有する麺類を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、代表的実施形態として、以下を提供する。
〔1〕麺類の製造方法であって、
高アミロース小麦粉を50質量%以上含有する原料粉と、食用塩を含有する水とを混合して麺生地を調製すること、及び、
該麺生地から生麺を製造すること、
を含み、
該高アミロース小麦粉が、コンカナバリンA法で分析された総澱粉中のアミロース含有量が40質量%以上の小麦粉であり、
該食用塩の量が、該原料粉100質量部に対して5.5~10質量部である、
方法。
〔2〕前記原料粉が前記高アミロース小麦粉以外の小麦粉を含有する、〔1〕記載の方法。
〔3〕前記麺生地の調製及び麺生地からの生麺の製造が機械製麺により行われる、〔1〕又は〔2〕記載の方法。
〔4〕前記生麺を乾麺にすることなく加熱調理することをさらに含む、〔1〕~〔3〕のいずれか1項記載の方法。
〔5〕前記加熱調理した麺類を冷蔵又は冷凍することをさらに含む、〔4〕記載の方法。
〔6〕前記麺類がうどん又は中華麺である、〔1〕~〔5〕のいずれか1項記載の方法。
〔7〕前記高アミロース小麦粉がSBEIIaの活性が低い改変小麦由来の小麦粉である、〔1〕~〔6〕のいずれか1項記載の方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明により製造した麺類は、高アミロース小麦粉を多く含有しているにもかかわらず、良好な食感を有することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、麺類の製造方法を提供する。本発明の麺類の製造方法(以下、本発明の方法ともいう)により提供される麺類としては、中華麺、うどん、冷や麦、素麺、そば、パスタなどが挙げられ、特に限定されない。
【0011】
本発明により提供される麺類は、高アミロース小麦粉を含有する。当該高アミロース小麦粉は、アミロース含有量が、好ましくは40質量%以上、より好ましくは43質量%以上、さらに好ましくは47質量%以上の小麦粉である。
【0012】
小麦粉のアミロース含有量とは、該小麦粉に含まれる総澱粉中のアミロース含有量をいう。本明細書における小麦粉のアミロース含有量は、コンカナバリンA(ConA)法により分析された値として定義され、例えば、該小麦粉をMegazyme社のアミロース/アミロペクチン分析キット(AMYLOSE/AMYLOPECTIN ASSAY KIT)で分析することで測定することができる。従来一般的なアミロース含有量の分析方法としては、(1) アミロースのヨウ素に対する結合能の高さを利用した方法(ヨウ素親和力測定法;例えば電流滴定法、比色定量法、AACC61-03法など)、(2) アミロペクチンとConAが特異的に結合することを利用した方法(ConA法)が知られている。しかし(1)を利用した方法ではアミロース量がより高く算出される傾向がある。例えば、非特許文献1や非特許文献2に記載されるSGP-1遺伝子の機能欠失型変異(null変異)を有する高アミロース小麦粉のアミロース含有量は、ヨウ素親和力測定法では37質量%程度であるが、ConA法では31質量%程度である。なお、従来一般的な小麦粉のアミロース含有量は、ヨウ素親和力測定法では32質量%未満、ConA法では28質量%未満である。
【0013】
本発明において使用され得る高アミロース小麦粉の例としては、澱粉分枝酵素SBEIIaの活性が低い改変小麦由来の小麦粉が挙げられる。そのような改変小麦由来の小麦粉の例としては、特許文献1~4に記載される、SBEIIaの遺伝子の変異を有し、SBEIIaの活性が低下している高アミロース小麦由来の小麦粉が挙げられる。より具体的な例としては、穀粒中のSBEIIaタンパク質の量又は活性が野生型小麦穀粒中の量又は活性の2%よりも低い高アミロース小麦由来の小麦粉、1つ以上、例えば1つ又は2つのSBEIIa遺伝子のnull変異を有する高アミロース小麦由来の小麦粉、などが挙げられる。
【0014】
本発明で使用される高アミロース小麦粉は、前述した高アミロース小麦の穀粒を通常の手順で製粉することによって製造することができる。例えば、本発明で使用される高アミロース小麦粉は、該高アミロース小麦の穀粒の胚乳画分のみを実質的に含む小麦粉であってもよく、又は、該高アミロース小麦の穀粒の胚乳画分に加えてさらに胚芽やふすま画分を含む小麦粉(例えば全粒粉)であってもよい。
【0015】
本発明により提供される麺類の原料粉における前記高アミロース小麦粉の含有量は、該原料粉の総質量中、50質量%以上、すなわち50~100質量%、好ましくは60~100質量%である。
【0016】
前記原料粉は、前記高アミロース小麦粉以外の小麦粉(以下、他の小麦粉ともいい、典型的にはアミロース含有量が28質量%未満の小麦粉)を含有していてもよい。該他の小麦粉の例としては、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉などが挙げられ、これらのいずれか1種又はいずれか2種以上を使用することができる。該原料粉における該他の小麦粉の含有量は、該原料粉の総質量中、50質量%以下、すなわち0~50質量%、好ましくは10~50質量%、より好ましくは40質量%以下、すなわち0~40質量%、さらに好ましくは10~40質量%である。
【0017】
前記原料粉における小麦粉(前記高アミロース小麦粉及び他の小麦粉を含む)の総含有量は、該原料粉の総質量中、好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。
【0018】
前記原料粉は、澱粉類を含有していてもよい。該澱粉類の例としては、特に限定されず、例えば、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉などの未加工澱粉、及びそれに加工(例えば、架橋化、リン酸化、アセチル化、エーテル化、酸化、α化など)を施した加工澱粉が挙げられる。本発明において、上記に挙げた澱粉類は、いずれか1種又はいずれか2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0019】
前記原料粉は、小麦粉以外の他の穀粉を含有していてもよい。当該他の穀粉の例としては、ライ麦粉、大麦粉、コーンフラワー、米粉、そば粉などが挙げられ、これらのいずれか1種又はいずれか2種以上を使用することができる。
【0020】
前記原料粉が澱粉類及び/又は小麦粉以外の他の穀粉を含有する場合、該澱粉類及び他の穀粉の該原料粉における合計含有量は、該原料粉の総質量中、好ましくは10~45質量%、より好ましく10~40質量%、さらに好ましくは10~30質量%である。
【0021】
前記原料粉は、さらに、麺類の製造に通常使用され得る他の材料を含有することができる。当該他の材料としては、例えば、蛋白質、糖類、粉末醤油等の調味料、油脂、乳化剤、増粘剤、膨張剤、アルカリ剤(かんすい等)などが挙げられ、これらのいずれか1種又はいずれか2種以上を使用することができる。蛋白質としては、グルテン、大豆蛋白、卵蛋白、乳蛋白などが挙げられる。本発明の原料粉における当該他の材料の配合は、製造する麺類に所望される性質に応じて適宜変更することができる。該原料粉は、前記澱粉類及び/又は小麦粉以外の他の穀粉を含有する場合、グルテンを含有することが好ましい。その際、該原料粉におけるグルテンの含有量は、該原料粉の総質量中、好ましくは0.5~15質量%、より好ましくは1~10質量%である。該原料粉における当該他の材料の総含有量は、好ましくは、該原料粉の総質量中10質量%以下である。該原料粉における穀粉類及び澱粉類(前記高アミロース小麦粉、他の小麦粉、澱粉類、及び他の穀粉を含む)の総含有量は、好ましくは、該原料粉の総質量中90質量%以上である。
【0022】
前記原料粉と練水とを混合して麺生地を調製する。本発明の方法において、麺生地の調製に用いられる練水は、食用塩を含有する水である。本発明で用いる食用塩としては、塩化ナトリウムを主成分とする塩であればよく、例えば、食塩、並塩、岩塩、天日塩、粗塩、藻塩などを使用することができる。該練水に含まれる該食用塩の量は、該原料粉100質量部に対して5.5~10質量部、好ましくは6~10質量部である。麺類の風味の点から、該食用塩の量は10質量部を超えないことが好ましい。本発明の方法において、該練水を構成する水と食用塩は、予め混合してから原料粉に添加されることが好ましいが、該練水を構成する水と食用塩とをそれぞれ原料粉に添加、混合してもよい。該練水には、水と食用塩以外の成分、例えばかんすい等が含まれていてもよい。
【0023】
次いで、調製した麺生地から生麺を製造する。本発明において、原料粉からの麺生地の調製、及び調製した麺生地からの生麺の製造は、機械製麺により行うことができる。該麺生地は、前記原料粉と食用塩を含有する練水とを用いる以外は、通常の機械製麺の手順に従って調製することができる。具体的には、該原料粉と練水とを機械式ミキサー、例えば製麺ミキサーを用いて混捏して麺生地を調製する。このとき、前述した高アミロース小麦粉、他の小麦粉、澱粉類、他の穀粉、及び他の材料は、一度に又は任意の順序で混合することができる。該原料粉に対する該練水の量は、適宜調整すればよいが、該原料粉100質量部に対する水の量(食用塩の量を含まない)として、好ましくは40~67質量部、より好ましくは40~57質量部である。本発明では、高アミロース小麦粉を使用することで、従来のアミロース含量の小麦粉を使用する場合と比べてやや加水量が多い条件でも麺生地を製造することができる。
【0024】
調製した麺生地から生麺を製造する工程は、通常の機械製麺の手順に従って行うことができる。例えば、該麺生地は、圧延、複合、切出し等の工程を含むロール製麺、押出し製麺、それらの組み合わせなどにより、生麺へと成形することができる。該麺生地の調製工程、及び麺生地からの生麺の製造工程は、通常使用される製麺機(例えばロール製麺機、押出し製麺機など)を用いて行うことができる。
【0025】
製造された前記生麺は、加熱調理され、喫食される。本発明においては、該生麺をそのまま、又は半生麺(水分20質量%以上)もしくは乾麺(水分20質量%未満)に調製してから加熱調理すればよいが、好ましくは、該生麺を乾麺にすることなく加熱調理する。好ましくは、該生麺は、乾燥工程を経ることなく加熱調理され、喫食される。ここで乾燥工程とは、温度又は湿度管理環境下で、麺類の水分量を積極的に低下させるための工程をいい、静置や保管に伴う水分量の減少とは異なる。したがって好ましくは、本発明の方法において製造される麺類は、生麺のまま喫食用に加熱調理される麺類である。該麺類の加熱調理の手順は、常法に従えばよく、例えば、茹で、蒸しなどが挙げられる。該麺類が喫食可能にα化されるように加熱調理すればよい。加熱調理された調理済み麺類は、冷蔵又は冷凍されてもよい。本発明で製造された麺類は、調理後に冷蔵又は冷凍保存した場合でも、食感の脆さが抑えられ、良好な食感を有することができる。したがって好ましくは、本発明で製造される麺類は、生麺を調理後冷蔵又は冷凍保存した、冷蔵又は冷凍調理済み麺類である。
【実施例0026】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0027】
材料
・高アミロース小麦由来小麦粉(HAW):SBEIIa変異遺伝子を有する、SBEIIaの発現量の低い小麦穀粒から得られた小麦粉。アミロース含有量47.4質量%(総澱粉中)
・中力粉:普通小麦(ASW)由来、アミロース含有量21.3質量%(総澱粉中)
・準強力粉:普通小麦由来、アミロース含有量23.5質量%(総澱粉中)
・澱粉:エーテル化架橋タピオカ澱粉
アミロース含量はアミロース/アミロペクチン分析キット(Megazyme社)により測定した。
【0028】
試験例1 うどん
表1~2記載の組成で、原料粉と、食塩を含有する練水とを混合し、製麺ミキサーによりミキシングして生地を調製した。該生地をロール製麺機で圧延及び複合して麺帯を作製し、切り刃(#10角)で切り出してうどんの生麺線を製造した(麺厚3mm)。得られた生麺線を歩留まりが170%程度となるように熱湯で茹で、水洗冷却して茹で麺を製造した。
【0029】
<評価>
(茹で麺)
茹で直後の麺の食感(滑らかさ、粘り、脆さ)を、訓練された10名のパネラーにより下記評価基準で評価し、10名の評価の平均点を求めた。
(冷蔵麺)
前記茹で麺を個食に包装し、冷蔵庫(4℃)で24時間保存した。冷蔵後の麺の食感(滑らかさ、粘り、脆さ)を、上記と同じ10名のパネラーにより下記評価基準で評価し、10名の評価の平均点を求めた。
(冷凍麺)
前記茹で麺を個食に包装し、急速冷凍庫(-40℃)で急速凍結し、-18℃で冷凍保存した。1週間保存後の冷凍麺を、電子レンジ(1500W)で品温70℃になるまで加熱解凍した。解凍後の麺の食感(滑らかさ、粘り、脆さ)を、上記と同じ10名のパネラーにより下記評価基準で評価し、10名の評価の平均点を求めた。
【0030】
<評価基準>
滑らかさ(つるみ)
5点:対照例よりも非常に滑らかである
4点:対照例よりも滑らかである
3点:対照例よりもやや滑らかである
2点:対照例と同等の滑らかさである
1点:対照例よりも滑らかさに劣る
粘り
5点:対照例よりも非常に粘りがある
4点:対照例よりも粘りがある
3点:対照例よりもやや粘りがある
2点:対照例と同等の粘りである
1点:対照例よりも粘りがない
脆さ
5点:対照例よりも脆さが非常に抑えられている
4点:対照例よりも脆さが抑えられている
3点:対照例よりも脆さがやや抑えられている
2点:対照例と同等の脆さである
1点:対照例よりも脆い
【0031】
評価結果を表1~2に示す。
【0032】
【0033】
【0034】
試験例2 中華麺
表3記載の組成で、原料粉と、かんすい及び食塩を含有する練水とを混合し、製麺ミキサーによりミキシングして生地を調製した。該生地をロール製麺機で圧延及び複合して麺帯を作製し、切り刃(#18角)で切り出して中華麺の生麺線を製造した(麺厚1.7mm)。得られた生麺線を歩留まりが175%程度となるように熱湯で茹で、水洗冷却して茹で麺を製造した。
【0035】
<評価>
前記生麺線にほぐれ剤を噴霧した後、個食に包装し、冷蔵庫(4℃)で24時間保存した。冷蔵後の麺の食感(滑らかさ、脆さ)を試験例1と同様に評価した。評価結果を表3に示す。
【0036】