(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025049957
(43)【公開日】2025-04-04
(54)【発明の名称】ワーク保持装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20250327BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023158497
(22)【出願日】2023-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】八木 隆之
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA53
5F131CA07
5F131EC32
5F131EC62
5F131EC65
(57)【要約】
【課題】ダイシングフレームの歪みや反りを矯正し、安定して吸着保持可能なワーク保持装置を提供する。
【解決手段】ダイシングフレーム11にダイシングテープ12を介して貼着されたウエハWを保持する装置であって、ウエハWを吸着保持可能なチャック部15と、チャック部15の外周に凹設された収納部16と、を備えているチャックテーブル14と、上面18dに開口する吸着孔18eが形成され、収納部16内に配置されてダイシングフレーム11を吸着保持可能なチャックプレート18と、を備え、吸着孔18は、チャックテーブル14、ダイシングフレーム11及びダイシングテープ12で囲まれた密閉空間27に連通され、密閉空間27に負圧が供給されると、ダイシングテープ12のダイシングフレーム11とウエハWとを接続する接続領域12aがチャックテーブル14に接近するように撓む構成とした。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイシングフレームにダイシングテープを介して貼着されたワークを保持するワーク保持装置であって、
前記ワークを吸着保持可能なチャック部と、前記チャック部の外周に凹設された収納部と、を備えているチャックテーブルと、
上面に開口する吸着孔が形成され、前記収納部内に配置されて前記ダイシングフレームを吸着保持可能なチャックプレートと、
を備え、
前記吸着孔は、前記チャックテーブル、前記ダイシングフレーム及び前記ダイシングテープで囲まれた密閉空間に連通され、
前記密閉空間に負圧が供給されると、前記ダイシングテープの前記ダイシングフレームと前記ワークとを接続する接続領域が前記チャックテーブルに接近するように撓む、
ことを特徴とするワーク保持装置。
【請求項2】
前記吸着孔の開口は、前記チャックプレートの前記ダイシングフレームを載置する載置領域から前記載置領域より内側で前記ダイシングフレームを載置しない非載置領域に亘って形成されていることを特徴とする請求項1に記載のワーク保持装置。
【請求項3】
前記吸着孔の開口は、前記チャックプレートの前記ダイシングフレームを載置する載置領域に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のワーク保持装置。
【請求項4】
前記ダイシングフレームを前記チャックプレートに向けて押圧可能なチャックサポートローダをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のワーク保持装置。
【請求項5】
前記チャックサポートローダは、前記ダイシングフレームが前記チャックプレートに保持されていない非保持状態において、前記ダイシングフレームを前記チャックプレートに向けて押圧し、前記ダイシングフレームが前記チャックプレートに保持された保持状態において、前記ダイシングフレームの押圧を解除することを特徴とする請求項4に記載のワーク保持装置。
【請求項6】
前記チャックプレートは、前記収納部の底面を覆うように形成されている請求項1に記載のワーク保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体デバイスの製造工程において、ダイシングフレームにダイシングテープを介して貼着されたウエハ等のワークを保持するワーク保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程において、ウエハを薄化するために、研削装置を用いてウエハの研削加工が行われている。研削装置は、ウエハを吸引保持するチャックテーブルと、チャックテーブルに吸引保持したウエハを研削加工する研削砥石を有する研削手段と、を備えている。
【0003】
また、研削砥石でウエハを研削するとき、ウエハが反っていると、チャックテーブルでウエハの吸引保持を行っても、所望する状態に保持できないことがある。
【0004】
そこで、従来、ウエハを搬送セットする方法として、中央に開口を有するダイシングフレームにダイシングテープを貼着し、ダイシングフレームの開口から露出しているダイシングテープに、ウエハの一方の面を貼着できるようにしたワークユニットを用意し、ワークユニットにウエハをセットした状態で、チャックテーブルに搬送する構造が知られている(例えば、特許文献1)。
【0005】
一方、ウエハが取り付けられたワークユニットを保持する保持装置としては、中央部分に、ダイシングテープを介してウエハを吸引して保持するウエハ保持部を設けているとともに、ウエハ保持部の外側周囲に、ダイシングフレームを吸引して保持するフレーム保持部を設けた、チャックテーブルを使用する保持装置が知られている(同じく、特許文献1)。特許文献1での保持装置は、ウエハをチャックテーブルのウエハ保持部で吸引保持するとともに、チャックテーブルのウエハ保持部に配設されるダイシングフレームを、ダイシングフレームの上面がウエハの仕上がり時の上面高さ位置よりも低い位置に引き下げ、その引き下げた位置でチャックテーブルに吸引保持している。
【0006】
特許文献1に記載される保持装置では、チャックテーブルのウエハ保持部に設けた吸引口(第二吸引口)と、ウエハとダイシングフレームの間に対応して、同じくチャックテーブルに設けた吸引口(第一吸引口)とで、それぞれ空気を吸い出し、ダイシングテープをチャックテーブルに吸引保持している。しかしながら、ダイシングフレームの板厚が小さく剛性が小さく、ダイシングテープの張力に起因してダイシングフレームに歪みや反りが発生している場合、ダイシングフレームの反り等に伴ってダイシングテープにも反り等が生じて、ダイシングテープを吸引保持できない虞がある。
【0007】
そこで、研削加工中は、ワークユニットのダイシングフレームをダイシングテープと共にフレーム保持部に強制的に吸引して保持する構造にしたワーク保持装置もあり、例えば
図9及び
図10に示すような構造が知られている。
【0008】
図9及び
図10に示すワーク保持装置100は、チャックテーブル110とチャックプレート120と、
図10に示すワークユニット130を備えている。なお、
図9は、ワーク保持装置100において、ワークユニット130がチャックテーブル110上にセットされる前の状態であって、ワークユニット130は取り除かれている。よって、
図9では、チャックテーブル110とチャックプレート120を示している斜視図である。一方、
図10は、チャックテーブル110にワークユニット130がセットされた状態での要部拡大断面図になる。
【0009】
図9及び
図10において、ワークユニット130は、中央に開口131を有するダイシングフレーム132に、ダイシングフレーム132の開口131を塞いで貼着したダイシングテープ133を備えており、開口131に露出しているダイシングテープ133上に、ワークとして円板状をしたウエハWを貼着し、ウエハWとダイシングテープ133とダイシングフレーム132とを一体化したものである。ウエハWは、ダイシングテープ133に表面が貼着され、裏面は研削砥石等により研削される被研削面となっている。
【0010】
チャックテーブル110は、ウエハWと相似形の保持面111aを有したチャック部111と、チャック部111の外周に凹設されて環状をした収納部112と、を備えている。収納部112の底面112aには、収納部112の外側内周面112bと略等しい外径を有するリング円状のチャックプレート120が配置されている。
【0011】
また、収納部112の底面112aには、チャックプレート120が配置される位置に対応して、収納部112の上下に貫通している12個の吸引孔112dが、収納部112の周方向に点在して設けられている。また、収納部112の底面112aには、チャックプレート120と重ならない内側内周面112cの領域から外れた位置に、例えばリンス工程等において収納部112内に残った洗浄液体等を外部に排出する、他端がチャックテーブル110の外周面に開口している複数個の水抜き孔112eが、周方向に点在して設けられている。
【0012】
一方、収納部112内に配置されたチャックプレート120には、収納部112の吸引孔112dに対応して、12個の吸引孔120aが形成されている。すなわち、収納部112内に配置されたチャックプレート120の吸引孔120aは、収納部112内において吸引孔112dと上下で対応し、互いに連通している。そして、吸引孔112dと吸引孔120aには、図示しない負圧供給手段の負圧源が繋がれており、収納部112内のチャックプレート120上に配置されたダイシングフレーム132を、負圧源からの負圧で、ダイシングテープ133を介してチャックプレート120上に吸引して保持できる。
図10(a)は、このようにしてチャックテーブル110が、ウエハWと共にワークユニット130を吸引して保持している状態を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、
図9及
図10(a)に示すワーク保持装置では、チャック部111においてウエハWを吸引保持し、収納部112内においてダイシングフレーム132を、チャックプレート120を介して収納部112の底面112aに向けて吸引保持する構造ではあるが、ダイシングテープ133の張力に起因してダイシングフレーム132に反り等が生じている場合、ダイシングフレーム132をチャックプレート120で吸着保持できない。
【0015】
また、
図9及
図10(a)に示すワーク保持装置には、チャックテーブル110における収納部112の底面112aに、水抜き孔112eが設けられている。そのため、吸引孔120aでダイシングフレーム132を吸引したとき、例えば
図10(b)に示すように、水抜き孔112eを通って収納部112内にリーク流121aとして外気が侵入し、そのリーク流121aにより負圧による吸引力が弱められ、ダイシングフレーム132をチャックプレート120上に瞬時に垂直に引いて吸引することができない。また、ダイシングフレーム132をチャックプレート120上に瞬時に垂直に引いて吸引できないことから、収納部112の外側内周面112bに対してダイシングフレーム132の外周面が傾き、ダイシングフレーム132の外周面と収納部112の外側内周面112bとの間に隙間が生じて、リーク流121bが発生する場合がある。そのリーク流121a及びリーク流121bが発生した場合には、ダイシングフレーム132の吸着エラーが発生する。
【0016】
そこで、ダイシングフレームの歪みや反りを矯正し、安定して吸着保持可能なワーク保持装置を提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載の発明は、ダイシングフレームにダイシングテープを介して貼着されたワークを保持するワーク保持装置であって、前記ワークを吸着保持可能なチャック部と、前記チャック部の外周に凹設された収納部と、を備えているチャックテーブルと、上面に開口する吸着孔が形成され、前記収納部内に配置されて前記ダイシングフレームを吸着保持可能なチャックプレートと、を備え、前記吸着孔は、前記チャックテーブル、前記ダイシングフレーム及び前記ダイシングテープで囲まれた密閉空間に連通され、前記密閉空間に負圧が供給されると、前記ダイシングテープの前記ダイシングフレームと前記ワークとを接続する接続領域が前記チャックテーブルに接近するように撓む、ワーク保持装置を提供する。
【0018】
この構成によれば、負圧を供給する吸着孔は、チャックテーブル、ダイシングフレーム及びダイシングテープで囲まれた密閉空間に連通されている。したがって、吸着孔を通して密閉空間に負圧が供給されると、ダイシングテープのうち、ダイシングフレームとワークとを接続する接続領域がチャックテーブルに接近するように撓み、ダイシングテープの張力が緩和される。そして、ダイシングフレームに歪みや反りが生じている場合は、ダイシングテープの張力の緩和により、反り等が矯正され、ダイシングフレームはチャックプレートに密着する。
【0019】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記吸着孔の開口は、前記チャックプレートの前記ダイシングフレームを載置する載置領域から前記載置領域より内側で前記ダイシングフレームを載置しない非載置領域に亘って形成されている、ワーク保持装置を提供する。
【0020】
この構成によれば、吸着孔の開口が、チャックプレートのダイシングフレームを載置する載置領域から載置領域より内側で、ダイシングフレームを載置しない非載置領域に亘って形成されている。したがって、チャックプレート上にダイシングフレームが載置されていても、密閉空間には非載置領域における吸着孔を通して負圧を広範囲に亘って安定して供給することができる。
【0021】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記吸着孔の開口は、前記チャックプレートの前記ダイシングフレームを載置する載置領域に形成されている、ワーク保持装置を提供する。
【0022】
この構成によれば、吸着孔を通して密閉空間に負圧が供給されると、ダイシングテープのうち、ダイシングフレームとワークとを接続する接続領域がチャックテーブルに接近するように撓むことにより、ダイシングテープの張力が緩和されるため、ダイシングフレームの反り等が矯正されて、ダイシングフレームがチャックプレートに密着する。
【0023】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記ダイシングフレームを前記チャックプレートに向けて押圧可能なチャックサポートローダをさらに備えている、ワーク保持装置を提供する。
【0024】
この構成によれば、チャックプレート上に配置されて来たダイシングフレームを、チャックサポートローダでチャックプレートに向けて押圧し、ダイシングフレームをチャックプレートに密着させた状態で負圧を供給するので、チャックプレートに対してダイシングフレームをより確実に吸引保持できる。
【0025】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の構成において、前記チャックサポートローダは、前記ダイシングフレームが前記チャックプレートに保持されていない非保持状態において、前記ダイシングフレームを前記チャックプレートに向けて押圧し、前記ダイシングフレームが前記チャックプレートに保持された保持状態において、前記ダイシングフレームの押圧を解除する、ワーク保持装置を提供する。
【0026】
この構成によれば、ダイシングプレート上に搬送されたダイシングフレームが吸引保持されてない非保持状態の間は、チャックサポートローダによりダイシングフレームをチャックプレートに向けて押圧し、ダイシングフレームが吸引保持状態になると、チャックサポートローダによるダイシングフレームの押圧を解除するので、ダイシングプレート上に搬送されたダイシングフレームが、ダイシングプレートに吸引保持されるまでの間、ダイシングフレームをチャックプレートに対して確実に保持できる。
【0027】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記チャックプレートは、前記収納部の底面を覆うように形成されている、ワーク保持装置を提供する。
【0028】
この構成によれば、チャックプレートが、収納部の底面を覆う状態にして形成されているので、チャックプレートを収納部の底面に対して密着させて安定した状態で配置することができる。また、これにより、チャックプレート上に保持されるダイシングプレートも、チャックプレートを介して収納部に安定した状態で保持できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、負圧を供給する吸着孔を、チャックテーブル、ダイシングフレーム及びダイシングテープで囲まれた密閉空間に連通させて設けている。したがって、吸着孔を通して密閉空間に負圧が供給されると、ダイシングテープのうち、ダイシングフレームとワークとを接続する接続領域がチャックテーブルに接近するように撓むことにより、ダイシングテープの張力が緩和されるため、ダイシングフレームの反り等が矯正されて、ダイシングフレームがチャックプレートに密着される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施の形態に係るワーク保持装置の概略構成を模式的に示す斜視図である。
【
図2】同上ワーク保持装置におけるチャックプレートを配置した状態で示すチャックテーブルの概略外観斜視図である。
【
図3】同上ワーク保持装置におけるチャックサポートローダの概略構成を示すものであり、(a)はチャックサポートローダの斜視図、(b)は(a)の概略A-A線拡大断面図である。
【
図4】同上ワーク保持装置を使用してワークを研削加工する作業工程の流れの一例を示す図で、(a)はチャックテーブル上にワークを取り付けたワークユニットを搬送して来た直後の状態を示す図、(b)はワークユニットのダイシングフレームをチャックプレートに向けて押し付けている状態を示す図、(c)はワークを取り付けたワークユニットをチャックテーブルに吸着保持した状態を示す図、(d)はチャックテーブルに吸着保持したワークを研削砥石で研削する状態を示す図である。
【
図5】吸着口から負圧を供給したときに、ダイシングテープの接続領域における撓み行程を説明する図で、(a)は負圧が供給される前の状態を示す図、(b)は負圧の供給が開始された直後の状態を示す図、(c)は接続領域が十分に引かれてワークユニットを所定の位置に保持した状態を示す図である。
【
図6】同上ワーク保持装置におけるチャックテーブルに一部を変形したチャックプレートを配置した状態で示す斜視図である。
【
図7】同上変形したチャックプレートを使用して吸着口から負圧を供給したときに、ダイシングテープの接続領域における撓み行程を説明する図で、(a)は負圧が供給される前の状態を示す図、(b)は負圧の供給が開始された直後の状態を示す図、(c)は接続領域が十分に引かれてワークユニットを所定の位置に保持した状態を示す図である。
【
図8】
図1から
図5に示した同上ワーク保持装置の更なる一変形例を示す要部拡大断面図である。
【
図9】従来のワーク保持装置の一例を示し、チャックプレートを配置した状態でチャックテーブルの概略外観斜視図である。
【
図10】
図9に示すチャックテーブルに、ワークを取り付けたワークユニットを吸引保持した状態で示す要部拡大断面図であり、(a)は問題を指摘する前の図、(b)は従来の問題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、ダイシングフレームの歪みや反りを矯正し、安定して吸着保持可能なワーク保持装置を提供するという目的を達成するために、ダイシングフレームにダイシングテープを介して貼着されたワークを保持するワーク保持装置であって、前記ワークを吸着保持可能なチャック部と、前記チャック部の外周に凹設された収納部と、を備えているチャックテーブルと、上面に開口する吸着孔が形成され、前記収納部内に配置されて前記ダイシングフレームを吸着保持可能なチャックプレートと、を備え、前記吸着孔は、前記チャックテーブル、前記ダイシングフレーム及び前記ダイシングテープで囲まれた密閉空間に連通され、前記密閉空間に負圧が供給されると、前記ダイシングテープの前記ダイシングフレームと前記ワークとを接続する接続領域が前記チャックテーブルに接近するように撓む、構成としたことにより実現した。
【実施例0032】
以下、本発明の実施形態に係る一実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例において、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0033】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0034】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
【0035】
また、以下の説明において、上下や左右等の方向を示す表現は、絶対的なものではなく、本発明のワーク保持装置の各部が描かれている姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。また、実施例の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付している。
【0036】
図1は本発明に係るワーク保持装置10の概略構成を模式的に示す斜視図であり、半導体デバイスの製造工程において、ワークとしてウエハWを使用し、そのウエハWを薄化するためにワーク保持装置10を使用して研削加工する場合を一例としている。また、ウエハWを搬送セットする方法として、中央に開口11aを有するダイシングフレーム11にダイシングテープ12を貼着し、ダイシングフレーム11の開口から露出しているダイシングテープ12にウエハWの一方の面を貼着できるようにしたワークユニット13を用意し、そのワークユニット13にウエハWをセットし、ワークユニット13と共にチャックテーブル14に向けて搬送する場合を一例としている。
【0037】
チャックテーブル14には、ダイシングテープ12を介してウエハWを負圧で吸着保持可能な、ウエハWと相似形の保持面15aを有するチャック部15と、チャック部15の外周に凹設された環状の収納部16を有するフレーム保持手段17と、を備えている。チャック部15は、図示しない負圧供給手段に接続されており、負圧供給手段から保持面15aに負圧を供給できるようになっている。一方、フレーム保持手段17は、その最上部がチャック部15の保持面15aよりも低い高さ位置に形成されている。また、フレーム保持手段17における収納部16の底面16aには、外周が収納部16の外側内周面16bと略等しく、内周が収納部16の内側内周面16cと略等しい、環状をしたチャックプレート18が配置されている。
【0038】
図2は、チャックプレート18を配置した状態で示すチャックテーブル14の概略外観斜視図である。
図1に
図2を加えて、チャックテーブル14及びチャックプレート18の構成を更に説明する。チャックテーブル14における収納部16の底面16aには、上下に貫通している複数の吸着孔16dが、収納部16の周方向に点在して形成されている。吸着孔16dの一端は、底面16aに開口している。一方、吸着孔16dの他端は、チャックテーブル14の下面に導かれて、図示しない負圧供給手段に接続されており、負圧供給手段から収納部16内に負圧を供給できるようになっている。
【0039】
チャックプレート18は、チャックテーブル14における収納部16の環状形状と略等しく、収納部16の底面16a上に、下面18aを底面16aに略密着させるとともに、外周面18bを外側内周面16bに当接させ、また内周面18cを内側内周面に当接させて配置されている。なお、チャックプレート18は、チャックプレート18上にワークユニット13のダイシングフレーム11が載置されたときに、そのダイシングフレーム11の上面11bがフレーム保持手段17の最上部17aよりも低い高さ位置となるように形成されている。また、チャックプレート18には、収納部16の底面16aに形成されている吸着孔16dに各々対応させて、上面18dと下面18aに貫通している複数の吸着孔18eが形成されている。そして、チャックプレート18は、吸着孔18eを収納部16の吸着孔16dに上下方向で対応させて、収納部16内に配設される。
図1及び
図2はその状態を示している。さらに、吸着孔18eと吸着孔16dの位置は、チャックプレート18のダイシングフレーム11を載置する載置領域内、すなわちダイシングフレーム11の略真下に形成してある。
【0040】
搬送手段19は、搬送アーム20と、軸体21を介して搬送アーム20に回動及び上下方向移動可能に取り付けられた把持アーム体22と、を備えている。搬送アーム20は把持アーム体22を所定の位置から所定の位置に向けて移動させるものであり、把持アーム体22は、ワークユニット13を把持して、搬送アーム20の動きにより、ワークユニット13を所定の位置からチャックテーブル14上に往復搬送するものである。
【0041】
把持アーム体22は、軸体21を中心として、軸体21の上下方向に重ねられて、上側に配置されたチャックサポートアーム23と、チャックサポートアーム23の下側に配置されたチャックサポートローダ24と、を有している。
【0042】
チャックサポートローダ24は、ダイシングフレーム11と対向可能な外周先端部に、環状をしたパッド材25を、ダイシングフレーム11側に突出させて設けている。パッド材25は、チャックサポートローダ24に設けられている昇降制御機構24aの制御で上下方向に水平移動可能であり、下方向に水平移動することにより、収納部16内でチャックプレート18上に配置されているダイシングフレーム11をチャックプレート18の上面18dに向けて略平行に押圧して、そのダイシングフレーム11をチャックプレート18上に密着させて保持可能になっている。
【0043】
チャックサポートアーム23は、ダイシングフレーム11と対向可能な外周先端部に、4個の吸着部26を、同心円状に配置して設けている。吸着部26は、図示しない負圧供給手段に接続されており、ウエハWを取り付けているダイシングフレーム11を所定の位置において負圧で吸着し、ワークユニット13を把持してチャックテーブル14上まで搬送した後、負圧を解除すると、チャックテーブル14上に配置できるようになっている。
【0044】
図4は、ワーク保持装置10を使用してウエハWの研削加工をするときにおける、ワーク保持装置10の動作手順の一例を示す概略動作図であり、
図5は、チャックテーブル14、ダイシングフレーム11及びダイシングテープ12で囲まれた密閉空間27内に、吸着孔16dと吸着孔18eを通して負圧供給手段から負圧が供給されたときに、ダイシングフレーム11とウエハWとを接続しているダイシングテープ12の接続領域12aがチャックテーブル14側に撓んでダイシングテープ12の張力が緩和され、ダイシングフレーム11に反り等が生じている場合に、ダイシングフレーム11の反り等が略平坦に矯正される様子を説明する部分拡大断面図である。
【0045】
図1から
図3に示したワーク保持装置10の動作を、
図4及び
図5を加えて次に説明する。まず、ウエハWは、
図1に示すように、ダイシングテープ12上に表面が貼着され、裏面が被研削面として上側に向いて配置されたワークユニット13が用意される。
【0046】
次いで、
図1の矢印(A)で示すように、所定の位置において、搬送手段19における把持アーム体22の吸着部26が、ウエハWを取り付けているワークユニット13におけるダイシングフレーム11を負圧で吸着保持し、ワークユニット13を把持する。
【0047】
続いて、
図1の矢印(B)で示すように、搬送手段19は、ワークユニット13をチャックテーブル14上まで搬送する。そして、ウエハWを、ダイシングテープ12を介してチャック部15の保持面15a上に配置すると共に、ダイシングフレーム11を、収納部16内のチャックプレート18と対応する位置に配置する。また、ダイシングフレーム11がチャックプレート18上に配置されたら、吸着部26に対する負圧供給を停止し、吸着部26によるワークユニット13の吸着保持を解き、非保持状態にする(
図4(a)参照)。なお、この状態では、ダイシングフレーム11はチャックプレート18上に密着して配置されていない。
【0048】
次に、
図4(b)に示すように、把持アーム体22におけるチャックサポートローダ24が、パッド材25と共にワークユニット13上に下降される。その後、昇降制御機構24aを駆動して、パッド材25がダイシングフレーム11上に当接し、ダイシングフレーム11をチャックプレート18に押し付ける。ダイシングフレーム11がチャックプレート18に押し付けられると、チャックテーブル14とダイシングフレーム11とダイシングテープ12とで囲まれた密閉空間27が形成される。この密閉空間27内には、負圧供給手段と接続された吸着孔18eと吸着孔16dが連通している。したがって、負圧供給手段を動作させると、吸着孔16d、吸着孔18eを通して密閉空間27内を負圧にできると共に、チャック部15の保持面15a上を負圧にできる。
【0049】
負圧供給手段によりチャック部15の保持面15a上を負圧になると、その保持面15a上にウエハWがダイシングテープ12を介して吸着保持される。
【0050】
一方、収納部16側では、負圧供給手段により、ダイシングフレーム11の下面11cとチャックプレート18の上面18dとの間の僅かな隙間を介し、吸着孔16d、吸着孔18eを通して密閉空間27内に負圧が徐々に供給される。また、密閉空間27内が負圧になるに伴って、その負圧が、ダイシングテープ12のダイシングフレーム11とウエハWとを接続する接続領域12aに、接続領域12aを内側(チャックプレート18の上面18d側)に撓ませる、
図5(b)中に矢印30aで示す力が働く。そして、
図4(c)及び
図5(c)に示すように、負圧供給に連動して、接続領域12aが収納部16側に吸引されて撓み、ダイシングテープ12に径方向に向かって作用する張力が緩和される。そして、ダイシングフレーム11の剛性に対してダイシングテープ12の張力が過大で、ダイシングフレーム11に歪みや反りが生じている場合に、ダイシングフレーム11に生じている反り等が矯正されて、ダイシングフレーム11が、チャックプレート18の上面18dと略平行に吸着保持される。この場合、本実施例のワーク保持装置10では、従来装置で設けていた水抜き孔を設けていないので、密閉空間27内の負圧制御が良好に行われ、接続領域12aの撓みとダイシングフレーム11の反り等の矯正とダイシングフレーム11の吸着とを一括して行うことができる。なお、ダイシングフレーム11が、チャックプレート18の上面18dに吸着保持されると、パッド材25は昇降制御機構24aの制御で上昇され、ダイシングフレーム11から離れて所定の位置まで戻る。
【0051】
また、吸引保持状態(吸着保持)になると、チャックサポートローダ24における、パッド材25によるダイシングフレーム11の押圧が解かれた後も、引き続きワークユニット13をチャックテーブル14上に吸着保持し、同時にダイシングテープ12を介してウエハWをチャック部15の保持面15a上に吸着保持できる。
【0052】
ウエハWがチャック部15の保持面15a上に吸着保持されたら、ワークユニット13をチャックテーブル14上に残したまま、把持アーム体22が所定の位置まで戻る。続いて、
図1の矢印(C)及び
図4(d)に示すように、下面に研削砥石31を取り付けた研削ホイール30が保持面15a上に送られて来て、回転している研削砥石31をウエハWの裏面に押し付けて研削加工をする。
【0053】
また、研削砥石31による研削加工が終了したら、研削ホイール30は研削砥石31と共に、所定の位置へ戻る。また、負圧供給手段による負圧供給も停止し、チャック部15における保持面15aへの負圧がなくなると共に、ダイシングフレーム11に対する負圧もなくなる。
【0054】
次いで、把持アーム体22が再びチャックテーブル14上に移動して来る。そして、吸着部26でダイシングフレーム11を吸着保持し、把持アーム体22が、研削加工後のウエハWをワークユニット13と共に所定の位置へ搬送する。これにより、研削加工の一連の動作が終了する。
【0055】
したがって、本実施例によるワーク保持装置10によれば、開口となるチャックプレート18の吸着孔18e(及び収納部16の吸着孔16d)が、チャックプレート18のダイシングフレーム11を載置する載置領域から載置領域より内側で、ダイシングフレーム11を載置しない非載置領域に亘って形成されている。これにより、チャックプレート18上にダイシングフレーム11が載置されていても、密閉空間には非載置領域における吸着孔18eを通して、負圧を広範囲に亘って供給することができ、密着機能を低下させることはない。
【0056】
また、吸着孔18e(吸着孔16d)の開口は、チャックプレート18のダイシングフレーム11を載置する載置領域から載置領域より内側でダイシングフレーム11を載置しない非載置領域に亘って形成されているので、負圧供給手段による密閉空間27への負圧供給をスムーズに行わせることができる。
【0057】
また、ダイシングフレーム11をチャックプレート18に向けて押圧可能なパッド材25を設けたチャックサポートローダ24を備えており、チャックプレート18上に配置されて来たダイシングフレーム11を、チャックサポートローダ24におけるパッド材25でチャックプレート18に向けて押圧し、ダイシングフレーム11をチャックプレート18に密着させた状態で負圧を供給することができるので、チャックプレート18に対してダイシングフレーム11を確実に吸引保持できる。
【0058】
また、チャックサポートローダ24は、ダイシングフレーム11がチャックプレート18に保持されていない非保持状態において、ダイシングフレーム11をチャックプレート18に向けて押圧し、ダイシングフレーム11がチャックプレート18に保持された保持状態において、ダイシングフレーム11の押圧を解除するようにしているので、チャックプレート18上に搬送されたダイシングフレーム11が吸引保持されるまでの間、ダイシングフレーム11をチャックプレート18に対して確実に保持できる。
【0059】
なお、本実施例では、吸着孔16dと吸着孔18eを各々複数個設けた構造を開示したが、吸着孔16dと吸着孔18eは少なくとも1個以上設ければよいものである。
【0060】
図6及び
図7は、本発明に係るワーク保持装置10の一変形例を示すものである。
図1~
図5に示したワーク保持装置10では、吸着孔18e(吸着孔16d)の開口を、チャックプレート18のダイシングフレーム11を載置する載置領域から少し外れた位置に設けた構造を開示した。この変形例のワーク保持装置10の構造では、吸着孔16dに連通している吸着孔18eの開口を、チャックプレート18の、ダイシングフレーム11を載置する載置領域内に設けたものであり、他の構成は
図1~
図5と同一であるから、同一の構成部分は同一符号を付して重複説明を省略する。
【0061】
なお、
図6は、チャックプレート18を配置した状態で示す、チャックテーブル14とチャックプレート18の概略外観斜視図であり、
図7は、
図6に示すチャックプレート18を使用して吸着孔16dに連通している吸着孔18eから負圧を供給したときに、ダイシングテープの接続領域における撓み行程を説明する図で、(a)は負圧が供給される前の状態を示す図、(b)は負圧の供給が開始された直後の状態を示す図、(c)は接続領域が十分に引かれてワークユニット13を所定の位置に保持した状態を示す図である。
【0062】
図6及び
図7において、チャックテーブル14は、
図2に示したチャックテーブル14と略同じ構造であり、収納部16の底面16aには、上下に貫通している複数の吸着孔16dが、収納部16の周方向に点在して形成されている。なお、
図6及び
図7では、吸着孔16dに連通している吸着孔18eの開口を、チャックプレート18の、ダイシングフレーム11を載置する載置領域内に設けている。
【0063】
図6及び
図7に示すチャックプレート18は、チャックテーブル14における収納部16の環状形状と略等しく、収納部16の底面16a上に、下面18aを底面16aに略密着させるとともに、外周面18bを外側内周面16bに当接させ、また内周面18cを内側内周面に当接させて配置されている。チャックプレート18には、収納部16の底面16aに設けられている吸着孔16dに各々対応させて、上面18dと下面18aに貫通している複数の吸着孔18eが形成されているとともに、チャックプレート18の上面18dに、吸着孔18eとそれぞれ連通している負圧供給溝18fを設けている。負圧供給溝18fは、チャックプレート18の上面18dに開口しているとともに、吸着孔18eから収納部16の内側内周面16cと当接するチャックプレート18の外周面に亘って形成されている。すなわち、吸着孔18eの開口から延長して設けられている負圧供給溝18fは、吸着孔18eの開口から延長した開口として、チャックプレート18のダイシングフレーム11を載置する載置領域から載置領域より内側でダイシングフレームを載置しない非載置領域に亘って形成されている。
【0064】
次に、
図6及び
図7に示したチャックプレート18の動作を、
図7(a)~(c)の順に説明すると、ウエハWを取り付けたワークユニット13は、
図1~
図5で示したワーク保持装置10と同様に、把持アーム体22の吸着部26に把持され、チャックテーブル14上まで搬送される。そして、ウエハWがダイシングテープ12を介してチャック部15の保持面15a上に配置されると共に、ダイシングフレーム11が、収納部16内のチャックプレート18上に配置される。また、把持アーム体22におけるチャックサポートローダ24が、パッド材25と共にワークユニット13上に下降されて、
図7(a)に示すように、パッド材25がダイシングフレーム11をチャックプレート18に押し付ける。また、ダイシングフレーム11がチャックプレート18に押し付けられると、チャックテーブル14とダイシングフレーム11とダイシングテープ12とで囲まれた密閉空間27が形成される。この密閉空間27内には、負圧供給手段と接続された吸着孔18eと吸着孔16dと負圧供給溝18fが連通している。したがって、負圧供給手段を動作させると、吸着孔16d、吸着孔18e、負圧供給溝18fを通して密閉空間27内を負圧にすることができると共に、チャック部15の保持面15a上を負圧にすることができる。
【0065】
負圧供給手段によりチャック部15の保持面15a上を負圧になると、その保持面15a上にウエハWがダイシングテープ12を介して吸着保持される。
【0066】
一方、収納部16側では、負圧供給手段により吸着孔16d、吸着孔18e、負圧供給溝18fを通して密閉空間27内に負圧が供給されると、その負圧が、ダイシングテープ12のうちダイシングフレーム11とウエハWとを接続する接続領域12aを、内側(チャックプレート18の上面18d側)に撓ませる
図7(b)中に矢印30aで示す力が働く。そして、
図7(c)に示すように、負圧供給に連動して、接続領域12aが収納部16側に吸引されて撓み、ダイシングテープ12に径方向に向かって作用する張力が緩和される。そして、ダイシングフレーム11の剛性に対してダイシングテープ12の張力が過大で、ダイシングフレーム11に歪みや反りが生じている場合に、ダイシングフレーム11に生じている反り等が矯正されて、ダイシングフレーム11が、チャックプレート18の上面18dと略平行に吸着保持される。この場合も、本実施例のワーク保持装置10では、従来装置で設けていた水抜き孔を設けていないので、密閉空間27内の負圧制御が良好に行われ、接続領域12aの撓みとダイシングフレーム11の反り等の矯正とダイシングフレーム11の吸着とを一括して行うことができる。
【0067】
したがって、この変形例として示すワーク保持装置10では、吸着孔18eの開口に連通している負圧供給溝18f、すなわち吸着孔16d、吸着孔18eの開口となる負圧供給溝18fが、チャックプレート18のダイシングフレーム11を載置する載置領域から載置領域より内側で、ダイシングフレーム11を載置しない非載置領域に亘って形成しているので、チャックプレート18上にダイシングフレーム11が載置されていても、密閉空間27には非載置領域における吸着孔16d、吸着孔18eの開口となる負圧供給溝18fを通して負圧を広範囲に亘って供給することができる。
【0068】
なお、本変形例では、吸着孔16dと吸着孔18eを各々複数個設けるとともに、チャックプレート18に吸着孔18eに連通した負圧供給溝18fを複数設けた構造を開示したが、吸着孔16dと吸着孔18e及び負圧供給溝18fは、少なくとも1個以上設ければよいものである。
【0069】
また、
図8に示すように、2つの吸着孔18eが、チャックプレート18の径方向において互いに離間して設けられ、一方の吸着孔18eの開口を、チャックプレート18のダイシングフレーム11を載置する載置領域内に設け、他方の吸着孔18eの開口を、チャックプレート18の載置領域より内側でダイシングフレーム11を載置しない非載置領域に設けても構わない。これにより、チャックプレート18上にダイシングフレーム11が載置されていても、非載置領域に設けられた吸着孔18eの開口から密閉空間27へ負圧を安定して供給することができる。
【0070】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を成すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。