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特開2025-5206温度センサ、基板処理装置、半導体装置の製造方法及び温度制御システム
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  • 特開-温度センサ、基板処理装置、半導体装置の製造方法及び温度制御システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005206
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】温度センサ、基板処理装置、半導体装置の製造方法及び温度制御システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20250108BHJP
   H01L 21/324 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/324 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105293
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 高行
(72)【発明者】
【氏名】村田 等
(72)【発明者】
【氏名】中西 堅斗
【テーマコード(参考)】
5F045
【Fターム(参考)】
5F045AA06
5F045AD01
5F045AE01
5F045BB03
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EC02
5F045EK06
5F045EK22
5F045GB05
5F045GB15
(57)【要約】
【課題】基板への各種処理に影響なく、基板を処理する処理空間内に温度センサを配置することが可能な技術を提供する。
【解決手段】基板支持具の支持部に支持されている基板間に形成される処理空間に配置される測温部と、前記測温部が内部に設けられる検出部と、前記検出部を水平方向に支持するように鉛直方向に沿って延在する柱部と、を含み、前記検出部の下端は、前記支持部の下端と同じ高さ位置、または、より高い位置に配置され、前記柱部の前記処理空間側の表面は、前記支持部を水平方向に支持する支柱部の前記処理空間側の表面より前記処理空間から離れて配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持具の支持部に支持されている基板間に形成される処理空間に配置される測温部と、前記測温部が内部に設けられる検出部と、前記検出部を水平方向に支持するように鉛直方向に沿って延在する柱部と、を含み、
前記検出部の下端は、前記支持部の下端と同じ高さ位置、または、より高い位置に配置され、
前記柱部の前記処理空間側の表面は、前記支持部を水平方向に支持する支柱部の前記処理空間側の表面より前記処理空間から離れて配置されている
温度センサ。
【請求項2】
前記支持部の側面視において、前記検出部は、前記支持部の外形の内側に包含される位置に配置される、請求項1記載の温度センサ。
【請求項3】
前記支持部の側面視において、前記検出部および前記支持部は前記基板の周縁部よりも前記基板の内側に延出しており、前記検出部の前記基板の周縁部から前記基板の内側への延出量は、前記支持部の前記基板の周縁部から前記基板の内側への延出量よりも短く構成される請求項1記載の温度センサ。
【請求項4】
前記支持部の側面視において、前記検出部および前記支持部は前記基板の周縁部よりも前記基板の内側に延出しており、前記支持部は前記検出部よりも前記基板の内側へ延出するよう構成される請求項1記載の温度センサ。
【請求項5】
前記支持部の側面視において、前記検出部の先端は、前記支持部の先端と前記基板の周縁部との間に位置するよう配置される請求項1記載の温度センサ。
【請求項6】
前記検出部の断面積は、前記支持部の断面積よりも小さく構成される請求項1記載の温度センサ。
【請求項7】
前記測温部が前記基板の周縁部に配置されるよう構成されている請求項1記載の温度センサ。
【請求項8】
前記測温部が前記基板の裏面付近に配置されているよう構成されている請求項1記載の温度センサ。
【請求項9】
前記測温部は、前記基板支持具と共に動作するように取り付けられている請求項1記載の温度センサ。
【請求項10】
前記検出部または前記柱部は、前記基板支持具と接触しないよう構成される請求項1記載の温度センサ。
【請求項11】
前記検出部は、前記処理空間の前記基板が配置されている領域に少なくとも一つ又はそれ以上設けられる請求項1記載の温度センサ。
【請求項12】
前記基板を加熱する複数の加熱領域を有し、
前記検出部は、前記基板と対向する前記加熱領域毎に設けられるように構成される請求項1記載の温度センサ。
【請求項13】
前記柱部の上端に設けられ、前記基板支持具に前記柱部を接続する上端接続部を有する請求項1記載の温度センサ。
【請求項14】
前記柱部の下端に設けられ、前記基板支持具に前記柱部を接続する下端接続部を有する請求項1記載の温度センサ。
【請求項15】
基板支持具の支持部に支持されている基板間に形成される処理空間に配置される測温部と、前記測温部が内部に設けられる検出部と、前記検出部を水平方向に支持するように鉛直方向に沿って延在する柱部と、を含み、前記検出部の下端は、前記支持部の下端と同じ高さ位置、または、より高い位置に配置され、前記柱部の前記処理空間側の表面は、前記支持部を水平方向に支持する支柱部の前記処理空間側の表面より前記処理空間から離れて配置されている温度センサと、
を備える基板処理装置。
【請求項16】
前記基板支持具を回転させる回転機構と、
前記温度センサと、前記基板を処理する処理室の外側で接続され、前記基板支持具と一体となって回転するように構成される送信部と、
前記処理室の外側で、前記送信部から出力される信号を受信する受信部と、
を備える請求項15記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記送信部と、前記受信部と、は直近に配置されるよう構成されている請求項16記載の基板処理装置。
【請求項18】
前記基板を上方から見た平面視において、前記検出部の長手方向の延長線上が、前記基板の中心に重ならない位置に配置されている請求項15記載の基板処理装置。
【請求項19】
基板支持具の支持部に支持されている基板間に形成される処理空間に配置される測温部と、前記測温部が内部に設けられる検出部と、前記検出部を水平方向に支持するように鉛直方向に沿って延在する柱部と、を含み、前記検出部の下端は、前記支持部の下端と同じ高さ位置、または、より高い位置に配置され、前記柱部の前記処理空間側の表面は、前記支持部を水平方向に支持する支柱部の前記処理空間側の表面より前記処理空間から離れて配置されている温度センサにより検出される温度を用いて加熱機構を制御して前記基板を処理温度にする工程と、
前記処理温度で前記基板を処理する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項20】
基板支持具の支持部に支持されている基板間に形成される処理空間に配置される測温部と、前記測温部が内部に設けられる検出部と、前記検出部を水平方向に支持するように鉛直方向に沿って延在する柱部と、を含み、前記検出部の下端は、前記支持部の下端と同じ高さ位置、または、より高い位置に配置され、前記柱部の前記処理空間側の表面は、前記支持部を水平方向に支持する支柱部の前記処理空間側の表面より前記処理空間から離れて配置されている温度センサと、
前記温度センサにより検出される温度を用いて前記基板の温度を制御する制御部と、
を備えた温度制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、温度センサ、基板処理装置、半導体装置の製造方法及び温度制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、ウエハ(以後、基板ともいう)上に所定の処理が行われることがある(例えば特許文献1,2参照)。これらの文献には、ボート(以後、基板支持具ともいう)と共に移動する温度センサにより検出される温度を用いて、処理室の温度を制御する技術が記載されている。しかしながら、温度センサを処理空間に配置しようとすると、基板に対する各種処理の妨げになることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/059722号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2023/053172号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板への各種処理に影響なく、基板を処理する処理空間内に温度センサを配置することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
基板支持具の支持部に支持されている基板間に形成される処理空間に配置される測温部と、前記測温部が内部に設けられる検出部と、前記検出部を水平方向に支持するように鉛直方向に沿って延在する柱部と、を含み、
前記検出部の下端は、前記支持部の下端と同じ高さ位置、または、より高い位置に配置され、
前記柱部の前記処理空間側の表面は、前記支持部を水平方向に支持する支柱部の前記処理空間側の表面より前記処理空間から離れて配置されている
技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板への各種処理に影響なく、基板を処理する処理空間内に温度センサを配置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る基板処理装置の概略を示す縦断面図である。
図2図2は、本開示の一実施形態に係る第1~第3温度センサを説明するための概略図である。
図3図3(A)は、本開示の一実施形態に係る第1温度センサと基板支持具との位置関係を説明するための側面図である。図3(B)は、本開示の一実施形態に係る第1温度センサと基板支持具との位置関係を説明するための上面図である。
図4図4は、本開示の一実施形態に係る第1温度センサが基板支持具に取り付けられた状態を示す斜視図である。
図5図5(A)は、本開示の一実施形態に係る第1温度センサの上端に取り付けられる上端接続部を示す斜視図である。図5(B)は、図5(A)に示す上端接続部の側面図である。
図6図6は、本開示の一実施形態に係る基板処理装置における回転機構周辺の概略を示す縦断面図である。
図7図7は、本開示の一実施形態に係る基板処理装置におけるコントローラのハードウェア構成を示す図である。
図8図8は、本開示の一実施形態に係る基板処理装置における温度コントローラのハードウェア構成を示す図である。
図9図9(A)は、本開示の一実施形態に係る基板処理装置で行われる基板処理シーケンスを説明するための図である。図9(B)は、図9(A)における基板処理シーケンスの各ステップにおける温度変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一態様について、主に図1図9を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間において、実質的に同一の要素には同一の符号を付し、各要素が最初に登場した図面において当該要素の説明を行い、以降の図面では特に必要がない限りその説明を省略する。明細書中に特段の断りが無い限り、各要素は一つに限定されず、複数存在してもよい。
【0009】
(1)基板処理装置の構成
基板処理装置10の構成について、図1を用いて説明する。
【0010】
図1に示すように、基板処理装置10は、支持された縦形の反応管(プロセスチューブ)11を備えており、反応管11は互いに同心円に配置された外管(アウタチューブ)12と内管(インナチューブ)13とから構成されている。外管12は石英(SiO)により構成されて、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に一体成形されている。内管13は上下両端が開口した円筒形状に形成されている。内管13の筒中空部は、基板支持具(基板保持体、保持具ともいう)としてのボート31が搬入される処理室14を形成しており、内管13の下端側(開口空間)はボート31を出し入れするための炉口部15を構成している。
【0011】
外管12と内管13との間の下端部は、略円筒形状に構築された炉口フランジ部としてのマニホールド16によって気密封止されている。外管12及び内管13の交換等のために、マニホールド16は外管12及び内管13にそれぞれ着脱自在に取り付けられている。
【0012】
外管12と内管13との隙間によって排気路17が、横断面形状が一定幅の円形リング形状に構成されている。図1に示されているように、マニホールド16の側壁の上部には排気管18の一端が接続されており、排気管18は排気路17の最下端部に通じた状態になっている。排気管18の他端には圧力コントローラ21によって制御される排気装置19が接続されており、排気管18の途中には圧力センサ20が接続されている。圧力コントローラ21は圧力センサ20からの測定結果に基づいて排気装置19をフィードバック制御するように構成されている。
【0013】
マニホールド16には下端開口を閉塞する蓋体(シールキャップ)25が垂直方向下側から接するようになっている。蓋体25はマニホールド16の外径と略等しい円盤形状に構築されており、筐体2の移載室(搬送室)3に設備されたボートカバー37に保護された昇降機構(ボートエレベータ)26によって垂直方向に昇降されるように構成されている。これにより、ボート31は、処理室14と処理室14に隣接して下方に設けられる移載室3との間を移動することが可能である。昇降機構26はモータ駆動の送りねじ軸装置及びベローズ等によって構成されており、昇降機構26のモータ27は駆動コントローラ28によって制御されるように構成されている。蓋体25の中心線上には回転軸30が配置されて回転自在に支持されている。回転軸30は駆動コントローラ28によって制御されるモータ29により回転駆動されるように構成されている。回転軸30の上端にはボート31が垂直に支持されている。本実施形態では、回転軸30とモータ29により回転機構301を構成する。つまり、回転機構301は、ボート31を回転させるように構成されている。
【0014】
マニホールド16の下方に位置する蓋体25にはガス導入管22が内管13の炉口部15に通じるように配設されている。ガス導入管22には原料ガス供給装置、反応ガス供給装置及び不活性ガス供給装置(以下、ガス供給装置23と総称する。)が接続されている。ガス供給装置23はガス流量コントローラ24によって制御されるように構成されている。ガス導入管22から炉口部15に導入されたガスは、内管13の処理室14内を流通して排気路17を通って排気管18によって排気される。
【0015】
ボート31は上下で一対の端板32,33と、これらの間に垂直に架設された三本の支柱部としての支柱(柱)34とを備えている。三本の支柱34には多数の保持溝である、基板1を支持する支持部35が長手方向に等間隔に設けられている。三本の支柱34において同一の段に設けられた支持部35同士は、互いに対向して開口するようになっている。ボート31は三本の支柱34の同一段の支持部35間に基板1を挿入されることにより、複数枚の基板1を水平にかつ互いに中心を揃えた状態に整列させて保持するようになっている。また、三本の支柱34の同一段の支持部35間に断熱板120を挿入されることにより、複数枚の断熱板120を水平にかつ互いに中心を揃えた状態に整列させて保持するようになっている。
【0016】
つまり、ボート31は、複数枚の基板1が保持される端板32から端板38間の基板処理領域と、複数枚の断熱板120が保持される端板38から端板33間の断熱板領域とを区別するように構成され、基板処理領域の下方に断熱板領域が配置されるよう構成されている。端板38と端板33の間に保持される断熱板120により断熱部36が構成される。
【0017】
回転軸30はボート31を蓋体25の上面から持ち上げた状態に支持するように構成されている。断熱部36は、炉口部15に設けられ、炉口部15を断熱するよう構成されている。また、蓋体25の下にはボート31を回転するモータ29があり、そのモータ29は中空モータ構造となっており、回転軸30がモータ29を貫通している。
【0018】
反応管11の外側には、加熱機構としてのヒータユニット40が同心円上に配置されて、筐体2に支持された状態で設置されている。
【0019】
図2に示すように、ヒータユニット40は縦方向に複数ゾーンに分割制御可能なように、ゾーン毎にヒータが設けられ、複数のヒータが積み重なって構成されている。すなわち、ヒータユニット40は、基板1を加熱する複数の加熱領域を有する。ヒータユニット40は、例えば、上から順に、U、CU、C、CL、Lの5つのゾーンに分割されている。そして、それぞれのゾーン毎に第1温度センサとしての基板熱電対211と、第2温度センサとしての内部熱電対66と、第3温度センサとしてのヒータ熱電対65と、が設置されている。図2では、処理基板は「1」と表記し、図示を省略している。
【0020】
ヒータ熱電対65は、ヒータユニット40の近傍に設けられ、ゾーン毎にヒータの温度を測定するように構成されている。温度コントローラ64はヒータ熱電対65からの測定結果に基づいてヒータユニット40をフィードバック制御するように構成されている。これにより、ヒータユニット40は、ボート31に保持される基板処理領域内の基板1を加熱するよう構成される。
【0021】
内部熱電対66は、外管12の内側の、内管13と外管12の間に設けられ、内管13と外管12との間の温度を測定するように構成されている。内部熱電対66は1つの保護管の中にゾーン数に応じた数の熱電対が収められている構造となっており、温度を測定する測温部がゾーンに対向した位置に設けられている。ヒータ熱電対65と同様に、温度コントローラ64は、内部熱電対66からの測定結果に基づいてヒータユニット40をフィードバック制御するように構成されている。
【0022】
基板熱電対211は、ボート31に取り付けられ、基板1の近傍に設けられて、基板1の温度を測定するように構成されている。基板熱電対211は、詳細には後述するが、基板1の温度を測定する測温部211bと、測温部211bを構成する素線を包含するケーブル211cを含む構成となっている。図2に示すように、測温部211bはすべてのゾーンに対向した位置に設けられている例が示されている。基板熱電対211は、ボート31が回転し基板1が回転する時に、基板1と共に回転するように構成されている。また、基板熱電対211は、ボート31が昇降するとき、基板1と共に昇降するよう構成されている。すなわち、測温部211bは、ボート31と共に動作するように取り付けられている。ヒータ熱電対65や内部熱電対66と同様に、温度コントローラ64は、基板熱電対211からの測定結果に基づいてヒータユニット40をフィードバック制御するように構成されている。
【0023】
すなわち、ヒータユニット40は、基板熱電対211、内部熱電対66およびヒータ熱電対65のそれぞれの測温部が、基板1と対向する加熱領域毎に設けられるように構成されている。つまり、基板熱電対211、内部熱電対66およびヒータ熱電対65の各々の測温部の高さが略同一となるように配置される。このため、各加熱領域に配置されている基板1の温度を正確に測定することができる。なお、基板熱電対211、内部熱電対66、及びヒータ熱電対65は、温度を電気信号として測定できるものであれば良く、熱電対に限らず、測温抵抗体などの他のセンサでも良い。また、基板熱電対211以外の他の温度センサとしては、内部熱電対66とヒータ熱電対65の両方のうちいずれかを用いる。
【0024】
回転軸30にはケーブル211cを通す孔が貫通しており、ハーメチックシールなどを使って真空シールをしつつ、ケーブル211cを処理室14の外側(例えば、回転軸30の下部)の送信部221まで引き出せる構造となっている。
【0025】
送信部221と受信部222は、処理空間の外側である、移載室3に配置されている。送信部221は回転軸30の中心と同軸に固定され、回転軸30と共に回転し、昇降するように構成されている。すなわち、送信部221は、基板熱電対211と、基板1を処理する処理室14の外側で接続され、ボート31と一体となって回転し、昇降するように構成されている。送信部221は、ケーブル211cを介して入力された基板熱電対211からの電気信号(電圧)を、電波に乗せて無線伝送で送信することが可能なように構成されている。
【0026】
また、受信部222は、送信部221の直近に配置されている。受信部222は、送信部221から出力される信号を受信するように構成されている。なお、受信部222は、移載室3に設けられているが、この形態に限定されることはない。移載室3の外に配置されていてもよく、基板処理装置10から離れた位置に配置されていてもよい。
【0027】
次に、基板熱電対211について、図3(A)及び図3(B)を用いて詳述する。
【0028】
基板熱電対211は、測温部211bと、測温部211bが内部に設けられる検出部2111と、検出部2111を水平方向に支持するように鉛直方向に沿って延在する柱部2112と、を含む構成となっている。検出部2111と柱部2112は、例えば円筒状であって、内部に測温部211bとケーブル211cを通すように構成されている。これにより、測温部211bとケーブル211cを処理空間から隔離することができる。検出部2111と柱部2112は、例えば一体的に形成される。検出部2111と柱部2112は、耐熱性の良い同じ材質(材料)で形成され、例えば石英により形成される。検出部2111と柱部2112を、ボート31と同じ材質である例えば石英で構成することにより、基板処理への影響を低減することができる。このため、基板1の温度を正確に測定でき、基板処理における基板温度の制御時間を大幅に短縮することができる。
【0029】
検出部2111の下端は、支持部35の下端と同じ高さ位置、または、より高い位置に配置されるように構成されている。また、柱部2112の処理空間側であって基板1側の表面は、支持部35を水平方向に支持する支柱34の処理空間側であって基板1側の表面より処理空間、すなわち基板1から離れて配置されている。検出部2111は、処理空間の基板1が配置されている領域に少なくとも一つ又はそれ以上(図2においては5つ)設けられる。検出部2111が処理空間に配置されているため、基板1の温度を正確に測定することができる。
【0030】
測温部211bは、ボート31の支持部35に支持されている基板1間に形成される処理空間に配置されるように構成されている。また、測温部211bは、基板1の裏面付近の、基板1の周縁部に配置されている。具体的には、測温部211bは、基板1の周端より基板1の内側(基板1の中心側ともいう)に配置されている。また、測温部211bは、支柱34の近傍に配置されている。ここで「支柱34の近傍」とは、支持部35に基板1を保持した状態で、支柱34と基板1の中心との間の中間位置よりも支柱34に近い位置に配置されていることを意味する。このように、基板熱電対211(測温部211b)が基板1を処理する空間(基板と基板の間の空間)に配置されている構成となっているので、ヒータ熱電対65や内部熱電対66よりも基板1に近い処理空間の温度を測定することができる。このため、基板1の温度をより正確に測定することができ、制御時間を大幅に短縮することができる。
【0031】
図3(A)に示されているように、支持部35の側面視において、検出部2111は、支持部35の外形の内側に包含される位置に配置される。すなわち、支持部35の側面視において、検出部2111は、支持部35の外形よりも小さく構成される。また、検出部2111の断面積は、支持部35の断面積よりも小さく構成される。
【0032】
図3(A)に示されているように、検出部2111および支持部35は基板1の周縁部よりも基板1の内側に延出している。支持部35は、検出部2111よりも基板1の内側へ延出するよう構成されている。検出部2111の基板1の周縁部から基板1の内側への延出量は、支持部35の基板1の周縁部から基板1の内側への延出量よりも短く構成されている。すなわち、検出部2111の先端は、支持部35の先端と基板1の周縁部との間に位置するよう配置されている。
【0033】
また、図3(B)に示すように、基板1を上方から見た平面視において、検出部2111の長手方向の延長線上が、基板1の中心Oに重ならない位置に配置されている。言い換えれば、検出部2111の長手方向が、基板1の中心方向と0度でない角度で配置されている。また、検出部2111の長手方向が基板1の周端部に沿うように角度を付けて配置するようにしてもよい。これにより、より基板1に検出部2111を寄せることができ、基板熱電対211を狭い空間に収めることができる。
【0034】
なお、図3は、支持部35の側面視において、検出部2111は、支持部35の外形の内側に包含される位置に配置されるよう構成する一例を示す図であり、上述のように、検出部2111の下端は、支持部35の下端と同じ高さ位置、または、より高い位置に配置されていればよいので、検出部2111の長手方向の延長線上が、基板1の中心Oに向くように構成してもよい。
【0035】
上述したように、検出部2111の下端が、支持部35の下端と同じ高さ位置、または、より高い位置に配置するよう構成することにより、基板1のボート31との搬送時における基板1と基板熱電対211の接触(干渉)を回避することができる。従い、基板熱電対211が配置されているかどうかは関係なく、基板1とボート31との間の搬送が可能となる。また、基板熱電対211の配置位置による基板1の処理への影響を低減することができる。特に、図3に示すように、検出部2111が、支持部35の外形の内側に包含される位置に配置されるよう構成することにより、基板1の処理への影響を低減する効果が期待できる。
【0036】
次に、図4図6を用いて、本実施形態における基板熱電対211がどのようにしてボート31に取付けられているかを説明する。
【0037】
基板熱電対211は、ボート31の支柱34の近傍で基板1の配列方向に立設するように配置されている。柱部2112の上端には、上端接続部212が設けられている。上端接続部212は、ボート31の端板32に基板熱電対211を接続するように構成されている。また、柱部2112の下端には、下端接続部213が設けられている。下端接続部213は、ボート31の端板33に基板熱電対211を接続するように構成されている。
【0038】
つまり、基板熱電対211は、上端接続部212と下端接続部213を介してボート31に取り付けられるように構成されている。このため、検出部2111及び柱部2112は、ボート31と接触しないよう構成され、基板1の温度に影響を与えないように構成されている。これにより、基板1の処理への影響を低減することができ、基板温度の制御時間を大幅に短縮することができる。
【0039】
上端接続部212は、柱部2112の上端に接続される円筒状の第1部材2120と、第1部材2120の上部に第1部材2120と同心円上に連続する円筒状の第2部材2121と、第2部材2121から略水平方向に延びる平板状の第3部材2122と、第3部材2121の下面に設けられる円筒状の第4部材2123と、を有する。第2部材2121と第3部材2122は、R状に連続して接続されている。また、第4部材2123の端板32との当接面は、角がR状に形成されている。
【0040】
下端接続部213は、柱部2112の下端に接続され、リング状の端板33の上面に固定される第1部材2131と、柱部2112の下端に接続される第2部材2132と、第2部材2132に接続される第3部材2133と、を有する。第2部材2132と第3部材2133は、例えば円筒状であって、内部にケーブル211cを通すように構成されている。第2部材2132は、柱部2112内のケーブル211cを、回転軸30の内部に配置される第3部材2133内に配置させるように構成されている。下端接続部213は、処理空間の下部と回転軸30の内部に配置されるケーブル211cを処理空間から隔離するために用いられる。下端接続部213は、例えば石英により構成されている。
【0041】
下端接続部213内のケーブル211cは、AD変換ボード224を介して送信部221に接続されている。AD変換ボード224は、回転軸30と共に回転し、昇降する回転台223に載置されている。AD変換ボード224は、ケーブル211cを介して入力された基板熱電対211からの電気信号(電圧)をデジタル変換して、送信部221へ送信する。そして、送信部221は、デジタル信号を電波に乗せて無線伝送で受信部222へ送信するように構成されている。
【0042】
受信部222は送信部221が送信した信号を受信し、受信したデジタル信号に基づいて温度データを、後述する表示・入力装置206又は温度コントローラ64に入力するように構成されている。
【0043】
次に、制御部としての制御用コンピュータであるコントローラ200について図7を用いて説明する。
【0044】
図7に示すように、コントローラ200は、中心部としてのCPU(Central Processing Unit)201及びメモリ202などを含むコンピュータ本体203と、通信部としての通信IF(Inter face)204と、記憶部としての記憶装置205と、表示部(操作部)としての表示・入力装置206とを有する。つまり、コントローラ200は一般的なコンピュータとしての構成部分を含んでいる。
【0045】
CPU201は、操作部の中枢を構成し、記憶装置205に記憶された制御プログラムを実行し、表示・入力装置206からの指示に従って、記憶装置205に記録されているレシピ(例えば、プロセス用レシピ)を実行する。また、一時記憶部としてのメモリ202は、CPU201のワークエリアとして機能する。
【0046】
また、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、記憶装置205を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、記憶装置205を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。なお、メモリ202や記憶装置205は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、メモリ202単体のみを含む場合、記憶装置205単体のみを含む場合、または、それの両方を含む場合がある。
【0047】
通信部としての通信IF204は、圧力コントローラ21、ガス流量コントローラ24、駆動コントローラ28、温度コントローラ64(これらをまとめてサブコントローラということもある。)と通信経路によって電気的に接続されている。コントローラ200は、この通信IF204を介してサブコントローラと各部品の動作に関するデータをやり取りすることができる。
【0048】
図8に示すように、温度コントローラ64は、制御部64aと、通信IF64bと、熱電対入力部64cと、制御出力部64dとを有する。
【0049】
制御部64aは、CPU及びメモリ等を含む一般的なコンピュータとしてのハードウェア構成を有する。制御部64aは、制御プログラムを実行することによって、通信IF64b及び熱電対入力部64cにより取得した情報を用いて、後述する温度制御アルゴリズムに従った制御演算を実行し、制御出力部64dへ演算結果を出力する。
【0050】
通信IF64bは、上位コントローラであるコントローラ200等と接続するための有線IFを有し、コントローラ200から目標温度及び制御パラメータ等の情報を受信したり、制御演算結果や温度情報を送信したりする。また、通信IF64bは、昇降機構26の駆動コントローラ28から、ボート位置情報を受信する。また、通信IF64bは、割り当て情報等を含む表示・入力装置206で設定された設定情報を受信する。受信したこれらの情報は、メモリに一時的に格納される。
【0051】
熱電対入力部64cは、ボート31に固定された送信部221と接続するための無線IFである受信部222とを有する。また、熱電対入力部64cは、基板熱電対211、ヒータ熱電対65及び内部熱電対66から温度に相当する電気信号を入力しデジタル信号に変換して、制御部64aへ出力する。制御出力部64dは、制御部64aから受信した演算結果に基づいて、ヒータユニット40の温度制御を行うためのヒータ制御信号を出力する。
【0052】
以後の説明では、ヒータ熱電対65により検出された温度をヒータ温度、ヒータ熱電対65を使用した温度制御をヒータ温度制御と呼称する。また、基板熱電対211により検出された温度を基板温度、基板熱電対211を使用した温度制御を基板温度制御と呼称する。また、内部熱電対66により検出された温度を炉内温度、内部熱電対66を使用した温度制御を炉内温度制御と呼称する。
【0053】
次に、図9(A)および図9(B)を用いて、基板処理装置10で行われる基板処理シーケンスの一例について説明する。下記において、温度コントローラ64は、基板熱電対211、ヒータ熱電対65及び内部熱電対66の少なくともいずれかにより検出される温度を用いてヒータユニット40を制御する。
【0054】
ステップS101(待機ステップ)は、処理室14の温度を待機温度(準備温度)の目標温度T0に安定される処理である。ステップS101では基板1はまだ処理室14に投入されていない。
【0055】
ステップS102(ボートロードステップ)は、ボート31に保持された基板1を処理室14へ投入する処理である。駆動コントローラ28は、昇降機構26によってボート31を上昇させて処理室14に搬入する。
【0056】
処理室14への搬入前においてボート31及び基板1の温度は処理室14の温度(すなわち、T0)より低い。また、基板1を処理室14へ投入した結果、処理室14外の雰囲気(室温)が処理室14に導入される。これらのため、図9(B)に示すように、処理室14の温度は一時的にT0より低くなる。その後、温度コントローラ64による制御により処理室14の温度は若干の時間を経て再びT0に安定する。本実施形態においては、基板熱電対211を用いて温度を検出しているので目標温度T0に安定させているため、従来のヒータ熱電対65及び内部熱電対66の少なくともいずれかにより検出される温度を用いて目標温度T0に安定させる時間よりも短縮することができる。なお、図9(B)では処理基板を処理室14へ投入した後の安定時間、及び、次のステップS103の目標温度をステップS101と等しく図示されているが、ステップS103の要求条件(処理温度)に対応して投入後の目標温度が異なる場合もある。本明細書における処理温度とは基板1の温度または処理室14の温度のことを意味する。これらは、以下の説明においても同様である。
【0057】
ステップS103(処理ステップ)は、基板1に所定の処理を施すために処理室14の温度を処理温度の目標温度T0で維持して安定させる処理である。温度コントローラ64は、目標温度T0に温度センサの測定温度が近づくようにヒータユニット40を制御する。例えば、温度コントローラ64は、基板熱電対211により検出される温度が目標温度T0に近づくようにヒータユニット40を制御する。このとき、基板熱電対211は、処理空間に配置されているが、その検出部2111の下端がボート31の支持部35の下端と同じか、又はそれよりも高い位置に配置されるように構成されているため、基板1の表面からの高さが支持部35より大きいため、基板1の表面での処理に対する影響は抑制される。また、基板熱電対211の柱部2112は、支持部35と近傍に配置されており、支持部35を基準に側面視において、柱部2112の処理空間側の表面は、支持部35を水平方向に支持する支柱部34の処理空間側の表面より処理空間から離れて配置されているため、処理空間、つまり基板1から離れているため、基板1の表面での処理に対する影響は抑制される。
【0058】
ステップS104(ボートアンロードステップ)は、処理が施された基板1をボート31と共に処理室14から引き出す処理である。駆動コントローラ28は、昇降機構26によってボート31を下降させて移載室3に搬出(搬送)する。
【0059】
処理を施すべき未処理の基板1が残っている場合には、処理済基板1をボート31から退避させ、代わりに未処理の基板1と入れ替えられ、これらステップS101~S104の一連の処理が繰り返される。
【0060】
ステップS101~S104は、目標温度に対し、処理室14の温度が予め定められた微小温度範囲にあり、かつ、予め定められた時間以上その状態が続くといった安定状態を得た後に実施するように構成されている。
【0061】
本態様によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0062】
(a)本実施形態によれば、基板熱電対211と接触(干渉ともいう)することなく、基板1のボート31への搬送処理を可能にすることができる。また、基板処理時の処理ガスの影響を低減することができる。従い、基板熱電対211を基板1付近の処理空間に配置できるので、目標温度に安定するまでの時間を短縮することができ、結果として、一連の処理における基板温度の制御時間を大幅に短縮することができる。
【0063】
(b)本実施形態によれば、支持部35の側面視において、基板熱電対211をボート31内に収まるように配置できるので、基板1の処理への影響を低減することができる。従い、処理空間内に配置される基板熱電対211による温度に基づいて、基板温度を制御することができるので、目標温度に安定するまでの時間を短縮することができ、結果として、一連の処理における温度制御時間の短縮が期待できる。
【0064】
(c)本実施形態によれば、基板熱電対211を基板1に接近させることができるので、基板1の温度の正確に測定することができるだけでなく、目標温度に安定するまでの時間を短縮することができ、結果として、基板処理における制御時間を大幅に短縮することができる。
【0065】
(d)本実施形態によれば、基板熱電対211をボート31に取り付けて、ボート31と共に動作させることができるため、ボート31の動作による温度揺らぎの影響を受けずに、基板1の温度を測定することができる。例えば、回転に伴う揺らぎが生じても高精度な温度制御が可能である。
【0066】
(e)本実施形態によれば、検出部2111と柱部2112がボート31と同じ材質であるため、基板1の処理への影響を低減することができるので、基板1の温度を正確に測定でき、基板処理における基板温度の制御時間を大幅に短縮することができる。
【0067】
(f)本実施形態によれば、検出部2111や柱部2112が、ボート31と接触しないように構成されているため、検出部2111や柱部2112が、基板1の温度に影響を与えないようにすることができる。このため、基板1の処理への影響を低減することができるので、基板温度の制御時間を大幅に短縮することができる。
【0068】
(g)本実施形態によれば、送信部221と受信部222を同じ処理空間の外側に配置させるため、無線伝送距離を短く出来るため、妨害や干渉の影響を受けにくい高品質な通信が可能となる。
【0069】
(h)本実施形態によれば、送信部221と受信部222とを直近に配置することにより、電磁誘導によるワイヤレス給電が可能となる。これにより、回転部のバッテリーが不要となる事でメンテナンス性を向上させることができる。
【0070】
(i)本実施形態によれば、回転軸30の中心と送信部221の中心を同軸構造にすることにより、ボート31を回転させても軸がずれずに無線伝送が可能となる。
【0071】
(j)本実施形態によれば、基板熱電対211の検出部2111が角度をつけて配置されるため、より基板1に検出部2111を寄せることができ、基板熱電対211を狭い空間に収めることができる。
【0072】
以上、本開示の実施形態について具体的に説明した。しかしながら、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0073】
例えば、基板処理装置として、半導体製造装置だけでなくLCD装置のようなガラス基板を処理する装置でも適用できる。また、プロセスは特に限定されずに何でもよい。成膜処理であれば、例えば、CVD、PVD、酸化膜、窒化膜、またはその両方を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理等、特に膜種に限定されることはない。更に、成膜以外のアニール処理、酸化処理、窒化処理、拡散処理等の処理であっても構わない。
【符号の説明】
【0074】
1・・・・基板
31・・・ボート(基板支持具)
35・・・支持部
211・・基板熱電対(温度センサ)
211b・測温部
212・・検出部
213・・柱部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9