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特開2025-5221有機薄膜、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005221
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】有機薄膜、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 85/60 20230101AFI20250108BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20250108BHJP
   H10K 71/16 20230101ALI20250108BHJP
   H10K 50/17 20230101ALI20250108BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20250108BHJP
   C07D 471/04 20060101ALN20250108BHJP
【FI】
H10K85/60
H10K59/10
H10K71/16
H10K50/17
H10K50/15
C07D471/04 112T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105319
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100164471
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 大和
(74)【代理人】
【識別番号】100119530
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】大野 拓
(72)【発明者】
【氏名】深川 弘彦
(72)【発明者】
【氏名】清水 貴央
【テーマコード(参考)】
3K107
4C065
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC12
3K107CC21
3K107CC45
3K107DD72
3K107DD73
3K107DD78
3K107GG04
4C065AA04
4C065AA19
4C065BB09
4C065CC09
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH03
4C065JJ01
4C065KK03
4C065LL01
4C065PP03
4C065QQ04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】蒸着プロセスで製造でき、有機EL素子の駆動電圧を低減でき、駆動安定性を向上可能な有機薄膜、並びに、それを用いた有機EL素子を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される構造を有する有機薄膜、並びに、陰極9と陽極3との間に、発光層6と下記式(1)で表される材料を含む層4を有する有機エレクトロルミネッセンス素子。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される構造を有するフェナントロリン誘導体を含むことを特徴とする、有機薄膜。
【化1】
【請求項2】
陰極と陽極との間に、発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記陽極と前記発光層との間に、下記式(1)で表される構造を有するフェナントロリン誘導体である第1材料を含む層を有することを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化2】
【請求項3】
前記陽極と前記発光層との間に、前記第1材料を含む層と、正孔を輸送する第2材料を含む層と、の積層膜を有する、請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
前記陽極と前記発光層との間に、前記第1材料と、正孔を輸送する第2材料と、を含む層を有し、
前記発光層と、前記第1材料と前記第2材料とを含む層と、の間に、前記第2材料を含む層を有する、請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具えることを特徴とする、表示装置。
【請求項6】
請求項2~4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具えることを特徴とする、照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機薄膜、有機エレクトロルミネッセンス(以下、エレクトロルミネッセンス(電界発光)を「EL」と記す場合がある。)素子、表示装置及び照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、薄く、柔軟でフレキシブルである。また、有機EL素子を用いた表示装置は、現在主流となっている液晶表示装置及びプラズマ表示装置と比べて、高輝度、高精細な表示が可能である。また、有機EL素子を用いた表示装置は、液晶表示装置に比べて視野角が広い。このため、有機EL素子を用いた表示装置は、現在、テレビや携帯電話のディスプレイ等としての利用の拡大が進んでいる。また、有機EL素子は、照明装置としての利用も期待されている。
【0003】
有機EL素子を用いた表示装置の場合、製造プロセスとして(印刷)塗布プロセスと真空蒸着プロセスが存在する。現在、各メーカーにおいては、低電圧駆動且つ長寿命な製品を製作するため、材料を高真空下で加熱して昇華させ、基板に成膜する真空蒸着プロセスが一般的である。そして、有機EL素子では、ITO等の陽極から正孔を有機層内に注入する際に、p型のドーパント材料を添加して正孔注入性能を向上させる手法が広く用いられている。
【0004】
一般的な正孔注入材料としては、ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル(HAT-CN)、2,3,5,6-テトラフルオロ-7,7,8,8-テトラシアノ-キノジメタン(F4-TCNQ)の他、1,3,4,5,7,8-ヘキサフルオロテトラシアノナフトキノジメタン(F6-TNAP)のように、大きな電子親和力(EA:~5.6eV)により、イオン化ポテンシャル(IP:~5.5eV)が比較的小さい正孔輸送性のホスト材料との間に電荷移動錯体を形成する材料や、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルホナート)(PEDOT:PSS)のように、スルホン酸等の強酸性ドーパントを添加した材料が挙げられる。一方で、4-トリフルオロメチル安息香酸など、カルボン酸やリン酸を配位子とし、フッ素を含む材料を用いて溶液中で自己組織化単分子膜(SAM)を陽極上に形成することにより、陽極の仕事関数を増大させて、正孔輸送性の材料に正孔を注入し易くする手法も用いられている(非特許文献1)。
【0005】
電荷移動錯体を形成する材料としては、蒸着プロセスに適応できる材料が多く報告されているものの、材料の電子親和力によってホスト材料のイオン化ポテンシャルの制限があり、材料自体の正孔注入性や、電荷移動錯体による着色に起因するEL発光の吸収が懸念される。
【0006】
これに対して、酸性のドーパントを使用することにより、陽極から有機膜への正孔注入障壁を下げることが可能であり、透明な正孔注入層を作ることができる可能性がある。しかしながら、スルホン酸含有材料は、その高い酸性度により下部電極であるITO陽極を溶解し、溶け出したインジウムイオンが発光層近傍まで移動して、素子の駆動寿命を損なうことが確認されている(非特許文献2)。
【0007】
更に、SAMに代表されるフッ素(F)含有低分子材料は、分子構造によっては基板表面にダイポールモーメントによる分極を発生させることができ、陽極から有機層への正孔注入障壁を下げることができる。しかしながら、SAM材料は、溶液中で長時間のプロセスでしか安定した成膜が行えないため、生産性が低く、汎用的な有機ELディスプレイの製造プロセスとしては実用的ではない。
【0008】
これに対して、電子注入層側の材料として、フェナントロリン誘導体を利用して、電極表面の原子に配位させ、仕事関数を大きく変えることが近年報告されている(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Jian Lin他,Adv.Funct.Mater.,1907265(2019)
【非特許文献2】Sung Jin Jo他,J.Appl.Phys.,103,114502(2008)
【非特許文献3】Fukagawa他,Nat.Commun.,3700(2020)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の通り、電荷移動錯体を形成する材料は、着色を防ぎつつ電子親和力を大きくするのが難しく、一方、透明な正孔注入材料として報告されているフッ素含有SAM材料は、分子量が小さく、蒸着プロセスの適用が困難である。
【0011】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決し、蒸着プロセスで製造でき、有機EL素子の駆動電圧を低減でき、駆動安定性を向上可能な有機薄膜を提供することを課題とする。
また、本発明は、かかる有機薄膜を用いた有機EL素子、並びに、該有機EL素子を具えた表示装置及び照明装置を提供することを更なる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、有機EL素子の陽極と発光層との間に位置する正孔注入層に使用することで、有機EL素子の正孔注入性能及び駆動安定性の双方を高めることが可能で、且つ真空蒸着法により成膜可能な材料について種々の検討を行った。その結果、フェナントロリンにフッ素含有フェニル基を導入した特定の構造のフェナントロリン誘導体が蒸着プロセスによる有機EL素子の製造に好適であり、該フェナントロリン誘導体を有機EL素子の正孔注入層に用いることで、蒸着プロセスを適用した有機EL素子の駆動電圧が低減され、駆動安定性が向上して、上記課題を解決できることに想到し、本発明に到達したものである。即ち、上記課題を解決する本発明の有機薄膜、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置の要旨構成は、以下の通りである。
【0013】
[1] 下記式(1)で表される構造を有するフェナントロリン誘導体を含むことを特徴とする、有機薄膜。
【化1】
上記[1]に記載の本発明の有機薄膜は、蒸着プロセスで製造することが可能で、また、有機EL素子に適用することで、有機EL素子の駆動電圧を低減でき、駆動安定性を向上させることができる。
【0014】
[2] 陰極と陽極との間に、発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記陽極と前記発光層との間に、下記式(1)で表される構造を有するフェナントロリン誘導体である第1材料を含む層を有することを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化2】
上記[2]に記載の本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、蒸着プロセスで製造することが可能で、また、駆動電圧が低く、駆動安定性に優れる。
【0015】
[3] 前記陽極と前記発光層との間に、前記第1材料を含む層と、正孔を輸送する第2材料を含む層と、の積層膜を有する、[2]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
上記[3]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子は、駆動電圧が更に低く、駆動安定性が更に向上している。
【0016】
[4] 前記陽極と前記発光層との間に、前記第1材料と、正孔を輸送する第2材料と、を含む層を有し、
前記発光層と、前記第1材料と前記第2材料とを含む層と、の間に、前記第2材料を含む層を有する、[2]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
上記[4]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子も、駆動電圧が低く、駆動安定性が向上している。
【0017】
[5] [2]~[4]のいずれか一つに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具えることを特徴とする、表示装置。
上記[5]に記載の本発明の表示装置は、駆動電圧が低く、駆動安定性に優れる。
【0018】
[6] [2]~[4]のいずれか一つに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具えることを特徴とする、照明装置。
上記[6]に記載の本発明の照明装置は、駆動電圧が低く、駆動安定性に優れる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、蒸着プロセスで製造でき、有機EL素子の駆動電圧を低減でき、駆動安定性を向上可能な有機薄膜を提供することができる。
また、本発明によれば、かかる有機薄膜を用いた、駆動電圧が低く、駆動安定性に優れた有機EL素子、並びに、該有機EL素子を具えた表示装置及び照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の有機EL素子の一例を説明するための概略断面図である。
図2】構造式(1)で表されるフェナントロリン誘導体の19F-NMRスペクトルである。
図3】構造式(1)で表されるフェナントロリン誘導体のH-NMRスペクトルである。
図4】実施例1及び比較例1~3で作製した有機EL素子の印加電圧と輝度の関係を示したグラフである。
図5】実施例1及び比較例1~3で作製した有機EL素子の印加電圧と電流密度の関係を示したグラフである。
図6】実施例1及び比較例1~3で作製した有機EL素子の外部量子効率と電流密度の関係を示したグラフである。
図7】実施例1及び比較例1~3で作製した有機EL素子の初期輝度10,000cd/cmとした場合の輝度の経時変化を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の有機薄膜、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置を、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
【0022】
[有機薄膜]
本実施態様の有機薄膜は、下記式(1)で表される構造を有するフェナントロリン誘導体を含むことを特徴とする。
前記有機薄膜は、一実施形態においては、下記式(1)で表される構造を有するフェナントロリン誘導体である第1材料を含む単一の膜であり、他の実施形態では、前記第1材料と、正孔を輸送する第2材料と、を含む単一の膜であり、更に他の実施形態においては、前記第1材料を含む膜と、前記第2材料を含む膜と、の積層膜であることを特徴とする。
【化3】
【0023】
上記式(1)で表される構造を有するフェナントロリン誘導体は、加熱により分解し難く、昇華し易く、また、保管安定性にも優れる。そのため、蒸着プロセスに適用することができる。
また、上記式(1)で表される構造を有するフェナントロリン誘導体は、フェナントロリン環の窒素が基板側に配位するため、加熱等を必要とせず電気陰性度の高いフッ素が後から製膜される正孔輸送層側を向くことになり、正孔輸送層の材料から電子を引き抜いて正孔を発生させることができる。そのため、上記式(1)で表される構造を有するフェナントロリン誘導体を、有機EL素子に適用することで、有機EL素子の駆動安定性を向上させることができる。
また、本実施形態の有機薄膜は、正孔を輸送可能な第2材料を含む場合、該第2材料が正孔を輸送するため、例えば、有機EL素子の、発光層と陽極との間に配置することで、正孔注入性能が向上し、有機EL素子の駆動電圧を低減できる。
また、上記式(1)で表される構造を有するフェナントロリン誘導体を有機EL素子に適用することで、ITO等からなる陽極上の仕事関数を5.9eV以上にすることができ、有機EL素子の駆動電圧を更に低減でき、駆動安定性を向上させることができる。
従って、本実施形態の有機薄膜は、蒸着プロセスで製造することが可能で、また、有機EL素子に適用することで、有機EL素子の駆動電圧を低減でき、駆動安定性を向上させることができる。
【0024】
前記第2材料は、正孔を輸送する材料であればよく、有機材料であることが好ましい。第2材料として、より好ましくは、最高占有軌道(HOMO)準位が4.0eV~7.0eVの有機材料であり、その中でも、HOMO準位が4.5eV~6.0eVのp型有機半導体材料が特に好ましい。例えば、有機EL素子の正孔輸送層の材料として、下記に示す従来公知のいずれの材料を用いてもよいが、これらの中でも、上記HOMO準位の要件を満たす材料が好ましい。また、各種p型の高分子材料や、各種p型の低分子材料を単独又は組み合わせて用いることができる。
【0025】
前記p型の高分子材料(有機ポリマー)としては、例えば、ポリアリールアミン、フルオレン-アリールアミン共重合体、フルオレン-ビチオフェン共重合体、ポリ(N-ビニルカルバゾール)、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p-フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂又はそれらの誘導体等が挙げられる。また、これらの高分子材料は、他の化合物との混合物として用いることもできる。一例として、ポリチオフェンを含有する混合物としては、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン/スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等が挙げられる。
【0026】
前記p型の低分子材料としては、1,1-ビス(4-ジ-パラ-トリアミノフェニル)シクロへキサン、1,1’-ビス(4-ジ-パラ-トリルアミノフェニル)-4-フェニル-シクロヘキサン等のアリールシクロアルカン系化合物、4,4’,4”-トリメチルトリフェニルアミン、N,N,N’,N’-テトラフェニル-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(TPD1)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-メトキシフェニル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(TPD2)、N,N,N’,N’-テトラキス(4-メトキシフェニル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(TPD3)、N,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(α-NPD)、4,4’-ビス[N-フェニル-N-[4’-ジフェニルアミノ-1,1’-ビフェニル-4-イル]アミノ]-1,1’-ビフェニル(TPTE)、トリス(4-カルバゾリル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)等のアリールアミン系化合物、N,N,N’,N’-テトラフェニル-パラ-フェニレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(パラ-トリル)-パラ-フェニレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(メタ-トリル)-メタ-フェニレンジアミン(PDA)等のフェニレンジアミン系化合物、カルバゾール、N-イソプロピルカルバゾール、N-フェニルカルバゾール、4,4’-ビス(9-カルバゾリル)-2,2’-ジメチルビフェニル(CDBP)等のカルバゾール系化合物、スチルベン、4-ジ-パラ-トリルアミノスチルベン等のスチルベン系化合物、OxZ等のオキサゾール系化合物、トリフェニルメタン、4,4’,4”-トリス(N-3-メチルフェニル-N-フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)等のトリフェニルメタン系化合物、1-フェニル-3-(パラ-ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ベンジン(シクロヘキサジエン)系化合物、トリアゾール等のトリアゾール系化合物、イミダゾール等のイミダゾール系化合物、1,3,4-オキサジアゾール、2,5-ジ(4-ジメチルアミノフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、アントラセン、9-(4-ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のアントラセン系化合物、フルオレノン、2,4,7-トリニトロ-9-フルオレノン、2,7-ビス(2-ヒドロキシ-3-(2-クロロフェニルカルバモイル)-1-ナフチルアゾ)フルオレノン等のフルオレノン系化合物、ポリアニリン等のアニリン系化合物、シラン系化合物、1,4-ジチオケト-3,6-ジフェニル-ピロロ-(3,4-c)ピロロピロール等のピロール系化合物、フルオレン等のフルオレン系化合物、ポルフィリン、金属テトラフェニルポルフィリン等のポルフィリン系化合物、キナクリドン等のキナクリドン系化合物、フタロシアニン、銅フタロシアニン、テトラ(t-ブチル)銅フタロシアニン、鉄フタロシアニン等の金属又は無金属のフタロシアニン系化合物、銅ナフタロシアニン、バナジルナフタロシアニン、モノクロロガリウムナフタロシアニン等の金属又は無金属のナフタロシアニン系化合物、N,N’-ジ(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ジフェニル-ベンジジン、N,N,N’,N’-テトラフェニルベンジジン等のベンジジン系化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、TPTE、TCTA等のアリールアミン系化合物が特に好ましい。
【0027】
本実施形態の有機薄膜は、式(1)で表される構造を有するフェナントロリン誘導体を含む単一の膜であってもよいし、前記第1材料を含む膜と、正孔を輸送する第2材料を含む膜と、の混合膜であってもよい。単一の膜であっても、混合膜であっても、蒸着プロセスで製造することが可能であり、また、有機EL素子に適用することで、有機EL素子の駆動電圧を低減でき、駆動安定性を向上させることができるが、この場合第1材料を単体で成膜する方がより好ましい。
【0028】
本実施形態のうち混合膜の場合、有機薄膜に含まれる第1材料と第2材料との比率は、特に限定されるものではなく、第2材料に使用する化合物の種類に応じて適宜決定できる。第1材料と第2材料との比率は、質量比(第1材料:第2材料)で0.1:99.9~1:1であることが好ましく、0.5:99.5~1:2であることが更に好ましく、1:99~1:3であることがより一層好ましい。上記比率である場合、有機薄膜に第1材料と第2材料とが含まれていることによる正孔輸送性及び正孔注入性の向上効果が顕著となる。
【0029】
前記有機薄膜の成膜方法としては、抵抗加熱等の真空蒸着法が好ましい。
有機薄膜を蒸着プロセスにより製造する場合、有機EL素子を構成する他の層を蒸着プロセスにより製造する場合と同様の方法により行うことができる。上記式(1)で表される構造を有するフェナントロリン誘導体を単体で製膜する製造方法のほかに、上記式(1)で表される構造を有するフェナントロリン誘導体である第1材料と、正孔を輸送する第2材料と、を同時に有機薄膜の被形成面上に蒸着する工程を含む有機薄膜の製造方法も、本発明の有機薄膜の製造方法の好適な実施形態の1つである。
【0030】
[有機EL素子]
本実施態様の有機エレクトロルミネッセンス素子は、陰極と陽極との間に、発光層を有し、前記陽極と前記発光層との間に、上記式(1)で表される構造を有するフェナントロリン誘導体である第1材料を含む層を有することを特徴とする。
【0031】
本実施形態の有機EL素子は、上述した、加熱により分解し難く、保管安定性に優れ、上記式(1)で表される構造を有するフェナントロリン誘導体を用いているため、蒸着プロセスで製造することができ、また、駆動電圧が低く、駆動安定性に優れる。更に、上記式(1)で表される構造を有するフェナントロリン誘導体である第1材料を含む層は、高い仕事関数により、従来直接正孔注入が難しかった高イオン化ポテンシャル材料に対しても正孔を注入できるため、正孔輸送層に高イオン化ポテンシャル材料を用いることができる。そのため、本実施形態の有機EL素子は、発光層からの電子をブロックできて高効率が得られる他、正孔輸送層/発光層材料のイオン化ポテンシャル差によるエネルギー差が原因で発生する障壁の影響を無くすことができ、更なる低駆動電圧及び長寿命化が望める。
【0032】
本実施形態の有機EL素子は、前記陽極と前記発光層との間に、前記第1材料を含む層と、正孔を輸送する第2材料を含む層と、の積層膜を有することが好ましい。この場合、駆動電圧が更に低くなり、駆動安定性が更に向上する。
ここで、第1材料を含む層と、第2材料を含む層と、のいずれが陽極側に配置されていてもよいが、第1材料を含む層が陽極側に配置されていることが好ましく、即ち、発光層と、第1材料を含む層と、の間に、第2材料を含む層を有することが好ましい。
【0033】
また、本実施形態の有機EL素子は、前記陽極と前記発光層との間に、前記第1材料と、正孔を輸送する第2材料と、を含む層を有し、前記発光層と、前記第1材料と前記第2材料とを含む層との間に、前記第2材料を含む層を有することも好ましい。この場合も、駆動電圧が低くなり、駆動安定性が向上する。
前記第1材料と前記第2材料とを含む層において、第1材料と第2材料との比率は、特に限定されるものではなく、第2材料に使用する化合物の種類に応じて適宜決定できる。第1材料と第2材料との比率は、質量比(第1材料:第2材料)で0.1:99.9~1:1であることが好ましく、0.5:99.5~1:2であることが更に好ましく、1:99~1:3であることがより一層好ましい。上記比率である場合、第1材料と第2材料とが含まれていることによる正孔輸送性及び正孔注入性の向上効果が顕著となる。
【0034】
上記式(1)で表される構造を有するフェナントロリン誘導体である第1材料、及び前記正孔を輸送する第2材料については、上述の「有機薄膜」の項で述べた通りである。
【0035】
次に、本発明の有機EL素子について、例を挙げて詳細に説明する。
図1は、本発明の有機EL素子の一例を説明するための概略断面図である。図1に示す本実施形態の有機EL素子1は、陽極3と陰極9との間に発光層6を有する。図1に示す有機EL素子1では、陽極3と発光層6との間に、本発明の有機薄膜、即ち、上記式(1)で表される構造を有するフェナントロリン誘導体を含む正孔注入層4を有している。
本実施形態の有機EL素子1は、基板2上に、陽極3と、正孔注入層4と、正孔輸送層5と、発光層6と、電子輸送層7と、電子注入層8と、陰極9と、がこの順に形成された積層構造を有する。
【0036】
図1に示す有機EL素子1は、基板2と反対側に光を取り出すトップエミッション型のものであってもよいし、基板2側に光を取り出すボトムエミッション型のものであってもよい。
【0037】
(基板)
基板2の材料としては、樹脂材料、ガラス材料等が挙げられる。基板2の材料は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
基板2に用いられる樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等が挙げられる。基板2の材料として、樹脂材料を用いた場合、柔軟性に優れた有機EL素子1が得られるため好ましい。
一方、基板2に用いられるガラス材料としては、石英ガラス、ソーダガラス等が挙げられる。
【0038】
有機EL素子1がボトムエミッション型のものである場合には、基板2の材料として、透明基板を用いる。
一方、有機EL素子1がトップエミッション型のものである場合には、基板2の材料として、透明基板だけでなく、不透明基板を用いてもよい。不透明基板としては、例えば、アルミナのようなセラミックス材料からなる基板、ステンレス鋼のような金属板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成した基板、樹脂材料で構成された基板等が挙げられる。
【0039】
前記基板2の平均厚さは、基板2の材料等に応じて決定でき、0.1~30mmであることが好ましく、0.1~10mmであることがより好ましい。なお、基板2の平均厚さは、デジタルマルチメーター、ノギスにより測定できる。
【0040】
(電極)
本実施形態の有機EL素子1において、陽極3及び陰極9としては、公知の導電性材料を適宜用いることができるが、光取り出しのために少なくともいずれか一方は透明であることが好ましい。公知の透明導電性材料の例としては、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化インジウム)、IZO(インジウムドープ酸化亜鉛)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、FTO(フッ素ドープ酸化インジウム)等が挙げられる。これら透明導電性材料の上に厚み0.1~3nm程度の異種金属及び金属酸化物極薄膜が積層されていてもよい。
一方、不透明な導電性材料の例としては、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、バリウム、錫、インジウム、銅、銀、イッテルビウムやこれらの合金等が挙げられる。
陽極3としては、これらの中でも、ITO、IZO、FTOが好ましい。
一方、陰極9としては、これらの中でも、Al、AgMg、AgYb合金が好ましい。
【0041】
前記陽極3の平均厚さは、特に制限されないが、10~500nmであることが好ましく、70~200nmであることが更に好ましい。なお、陽極3の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
【0042】
前記陰極9の平均厚さは、特に限定されないが、10~1000nmであることが好ましく、30~150nmであることが更に好ましい。また、不透過な材料を用いる場合でも、例えば、平均厚さを10~30nm程度にすることで、トップエミッション型及び透明型の陰極9として使用することができる。なお、陰極9の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
【0043】
(正孔注入層)
正孔注入層4は、上記有機薄膜と同じ構成をとることができ、この構成により正孔注入性と安定性を向上させた正孔注入層4が形成可能である。
また、上述した有機薄膜の一部を正孔注入層4とし、有機薄膜の他の一部を後述する正孔輸送層5としてもよい。例えば、第1材料と第2材料の混合膜を正孔注入層4とし、第2材料からなる膜を正孔輸送層5とする構成であってもよく、第1材料のみからなる膜を正孔注入層4とし、第2材料のみからなる膜を正孔輸送層5とする構成であってもよく、第2材料と第1材料の積層膜を正孔注入層4とし、第2材料のみからなる膜を正孔輸送層5とする構成であってもよく、第1材料と第2材料との混合膜を正孔注入層4兼正孔輸送層5としてもよい。
なお、正孔注入層4が第1材料(ドーパント)と第2材料(ホスト材料)とを含む場合は、第1材料と第2材料との比率は、質量比(第1材料:第2材料)で0.1:99.9~1:1であることが好ましく、1:99~1:2であることが更に好ましい。
【0044】
正孔注入層4の平均厚さは、特に限定されないが、1~1000nmであることが好ましく、1~50nmであることがより好ましい。
正孔注入層4の平均厚さは、例えば、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
【0045】
(正孔輸送層)
正孔輸送層5の材料としては、正孔輸送層の材料として通常用いることができるいずれの化合物も用いることができ、各種p型の高分子材料や、各種p型の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができる。例えば、上述した有機薄膜の第2材料として例示した各種材料を適用することができる。
【0046】
前記p型の高分子材料(有機ポリマー)としては、例えば、ポリアリールアミン、フルオレン-アリールアミン共重合体、フルオレン-ビチオフェン共重合体、ポリ(N-ビニルカルバゾール)、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p-フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂又はそれらの誘導体等が挙げられる。また、これらの高分子材料は、他の化合物との混合物として用いることもできる。
【0047】
前記p型の低分子材料としては、1,1-ビス(4-ジ-パラ-トリアミノフェニル)シクロへキサン、1,1’-ビス(4-ジ-パラ-トリルアミノフェニル)-4-フェニル-シクロヘキサン等のアリールシクロアルカン系化合物、4,4’,4”-トリメチルトリフェニルアミン、N,N,N’,N’-テトラフェニル-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(TPD1)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-メトキシフェニル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(TPD2)、N,N,N’,N’-テトラキス(4-メトキシフェニル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(TPD3)、N,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(α-NPD)、4,4’-ビス[N-フェニル-N-[4’-ジフェニルアミノ-1,1’-ビフェニル-4-イル]アミノ]-1,1’-ビフェニル(TPTE)、トリス(4-カルバゾリル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)等のアリールアミン系化合物、N,N,N’,N’-テトラフェニル-パラ-フェニレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(パラ-トリル)-パラ-フェニレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(メタ-トリル)-メタ-フェニレンジアミン(PDA)等のフェニレンジアミン系化合物、カルバゾール、N-イソプロピルカルバゾール、N-フェニルカルバゾール、4,4’-ビス(9-カルバゾリル)-2,2’-ジメチルビフェニル(CDBP)等のカルバゾール系化合物、スチルベン、4-ジ-パラ-トリルアミノスチルベン等のスチルベン系化合物、OxZ等のオキサゾール系化合物、トリフェニルメタン、4,4’,4”-トリス(N-3-メチルフェニル-N-フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)等のトリフェニルメタン系化合物、1-フェニル-3-(パラ-ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ベンジン(シクロヘキサジエン)系化合物、トリアゾール等のトリアゾール系化合物、イミダゾール等のイミダゾール系化合物、1,3,4-オキサジアゾール、2,5-ジ(4-ジメチルアミノフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、アントラセン、9-(4-ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のアントラセン系化合物、フルオレノン、2,4,7-トリニトロ-9-フルオレノン、2,7-ビス(2-ヒドロキシ-3-(2-クロロフェニルカルバモイル)-1-ナフチルアゾ)フルオレノン等のフルオレノン系化合物、ポリアニリン等のアニリン系化合物、シラン系化合物、1,4-ジチオケト-3,6-ジフェニル-ピロロ-(3,4-c)ピロロピロール等のピロール系化合物、フルオレン等のフルオレン系化合物、ポルフィリン、金属テトラフェニルポルフィリン等のポルフィリン系化合物、キナクリドン等のキナクリドン系化合物、フタロシアニン、銅フタロシアニン、テトラ(t-ブチル)銅フタロシアニン、鉄フタロシアニン等の金属又は無金属のフタロシアニン系化合物、銅ナフタロシアニン、バナジルナフタロシアニン、モノクロロガリウムナフタロシアニン等の金属又は無金属のナフタロシアニン系化合物、N,N’-ジ(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ジフェニル-ベンジジン、N,N,N’,N’-テトラフェニルベンジジン等のベンジジン系化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、TCTA等のアリールアミン系化合物や、4,4’-ビス(9-カルバゾリル)-2,2’-ジメチルビフェニル(CDBP)等のイオン化ポテンシャルが5.9eV以上のカルバゾール含有材料が特に好ましい。イオン化ポテンシャルが高い材料を用いることにより、発光層5からの電子をブロックできるほか、正孔輸送層/発光層材料のイオン化ポテンシャル差によるエネルギー差が原因で発生する障壁の影響をなくすことができ、低駆動電圧化が望める。
【0048】
正孔輸送層5の平均厚さは、特に限定されないが、10~150nmであることが好ましく、20~100nmであることがより好ましい。
正孔輸送層5の平均厚さは、例えば、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
【0049】
(発光層)
本実施形態の有機EL素子1において、発光層6を形成する材料としては、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよく、これらを混合して用いてもよい。なお、本発明において低分子材料とは、高分子材料(重合体)ではない材料を意味し、分子量が低い有機化合物を必ずしも意味するものではない。
【0050】
発光層6を形成する高分子材料としては、例えば、トランス型ポリアセチレン、シス型ポリアセチレン、ポリ(ジ-フェニルアセチレン)(PDPA)、ポリ(アルキル,フェニルアセチレン)(PAPA)等のポリアセチレン系化合物;ポリ(パラ-フェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(2,5-ジアルコキシ-パラ-フェニレンビニレン)(RO-PPV)、シアノ-置換-ポリ(パラ-フェニレンビニレン)(CN-PPV)、ポリ(2-ジメチルオクチルシリル-パラ-フェニレンビニレン)(DMOS-PPV)、ポリ(2-メトキシ,5-(2’-エチルヘキソキシ)-パラ-フェニレンビニレン)(MEH-PPV)等のポリパラフェニレンビニレン系化合物;ポリ(3-アルキルチオフェン)(PAT)、ポリ(オキシプロピレン)トリオール(POPT)等のポリチオフェン系化合物;ポリ(9,9-ジアルキルフルオレン)(PDAF)、ポリ(ジオクチルフルオレン-アルト-ベンゾチアジアゾール)(F8BT)、α,ω-ビス[N,N’-ジ(メチルフェニル)アミノフェニル]-ポリ[9,9-ビス(2-エチルヘキシル)フルオレン-2,7-ジル](PF2/6am4)、ポリ(9,9-ジオクチル-2,7-ジビニレンフルオレニル-オルト-コ(アントラセン-9,10-ジイル)等のポリフルオレン系化合物;ポリ(パラ-フェニレン)(PPP)、ポリ(1,5-ジアルコキシ-パラ-フェニレン)(RO-PPP)等のポリパラフェニレン系化合物;ポリ(N-ビニルカルバゾール)(PVK)等のポリカルバゾール系化合物;ポリ(メチルフェニルシラン)(PMPS)、ポリ(ナフチルフェニルシラン)(PNPS)、ポリ(ビフェニリルフェニルシラン)(PBPS)等のポリシラン系化合物;更には特開2011-184430号公報、特開2012-151148号公報に記載のホウ素化合物系高分子材料等が挙げられる。
【0051】
発光層6を形成する低分子材料としては、例えば、3配位のイリジウム錯体であるfac-トリス(3-メチル-2-フェニルピリジナト-N,C2’-)イリジウム(III)(Ir(mppy))、ファクトリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy))、8-ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq)、トリス(4-メチル-8-キノリノレート)アルミニウム(III)(Almq)、8-ヒドロキシキノリン亜鉛(Znq)、(1,10-フェナントロリン)-トリス-(4,4,4-トリフルオロ-1-(2-チエニル)-ブタン-1,3-ジオネート)ユーロピウム(III)(Eu(TTA)(phen))、2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィンプラチナム(II)等の各種金属錯体;ジスチリルベンゼン(DSB)、ジアミノジスチリルベンゼン(DADSB)等のベンゼン系化合物、ナフタレン、ナイルレッド等のナフタレン系化合物、フェナントレン等のフェナントレン系化合物、クリセン、6-ニトロクリセン等のクリセン系化合物、ペリレン、N,N’-ビス(2,5-ジ-t-ブチルフェニル)-3,4,9,10-ペリレン-ジ-カルボキシイミド(BPPC)等のペリレン系化合物、コロネン等のコロネン系化合物、アントラセン、ビススチリルアントラセン等のアントラセン系化合物、ピレン等のピレン系化合物、4-(ジ-シアノメチレン)-2-メチル-6-(パラ-ジメチルアミノスチリル)-4H-ピラン(DCM)等のピラン系化合物、アクリジン等のアクリジン系化合物、スチルベン等のスチルベン系化合物、4,4’-ビス[9-ジカルバゾリル]-2,2’-ビフェニル(CBP)、4,4’-ビス(9-エチル-3-カルバゾビニレン)-1,1’-ビフェニル(BCzVBi)等のカルバゾール系化合物、2,5-ジベンゾオキサゾールチオフェン等のチオフェン系化合物、ベンゾオキサゾール等のベンゾオキサゾール系化合物、ベンゾイミダゾール等のベンゾイミダゾール系化合物、2,2’-(パラ-フェニレンジビニレン)-ビスベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール系化合物、ビスチリル(1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン)、テトラフェニルブタジエン等のブタジエン系化合物、ナフタルイミド等のナフタルイミド系化合物、クマリン等のクマリン系化合物、ペリノン等のペリノン系化合物、オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、アルダジン系化合物、1,2,3,4,5-ペンタフェニル-1,3-シクロペンタジエン(PPCP)等のシクロペンタジエン系化合物、キナクリドン、キナクリドンレッド等のキナクリドン系化合物、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン等のピリジン系化合物、2,4-ジフェニル-6-ビス(12-フェニルインドロ)[2,3-a]カルバゾール-11-イル)-1,3,5-トリアジン(DIC-TRZ)等のトリアジン系化合物、2,2’,7,7’-テトラフェニル-9,9’-スピロビフルオレン等のスピロ化合物、フタロシアニン(HPc)、銅フタロシアニン等の金属又は無金属のフタロシアニン系化合物、更には特開2009-155325号公報及び特許第5660371号公報に記載のホウ素化合物材料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。また、量子ドットやペロブスカイト材料も発光層として用いることができる。
【0052】
発光層6の平均厚さは、特に限定されないが、10~150nmであることが好ましく、20~100nmであることがより好ましい。
発光層6の平均厚さは、触針式段差計により測定してもよいし、水晶振動子膜厚計により発光層6の成膜時に測定してもよい。
【0053】
(電子輸送層)
電子輸送層7の材料としては、電子を輸送可能な公知の材料を広く用いることができ、具体的には、フェニル-ジピレニルホスフィンオキサイド(POPy)等のホスフィンオキサイド誘導体、トリス-1,3,5-(3’-(ピリジン-3”-イル)フェニル)ベンゼン(TmPhPyB)等のピリジン誘導体、(2-(3-(9-カルバゾリル)フェニル)キノリン(mCQ))等のキノリン誘導体、2-フェニル-4,6-ビス(3,5-ジピリジルフェニル)ピリミジン(BPyPPM)、4,6-ビス(3,5-ジ(ピリジン-3-イル)フェニル)-2-メチルピリミジン(B3PyMPM)等のピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、バソフェナントロリン(BPhen)等のフェナントロリン誘導体、2,4-ビス(4-ビフェニル)-6-(4’-(2-ピリジニル)-4-ビフェニル)-[1,3,5]トリアジン(MPT)、2,4,6-トリス(m-ピリジン-3-イル-フェニル)トリアジン(TmPPyTz)等のトリアジン誘導体、3-フェニル-4-(1’-ナフチル)-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール(TAZ)等のトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル-1,3,4-オキサジアゾール)(PBD)等のオキサジアゾール誘導体、2,2’,2”-(1,3,5-ベントリイル)-トリス(1-フェニル-1-H-ベンズイミダゾール)(TPBI)等のイミダゾール誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、ビス[2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(Zn(BTZ))、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq)等に代表される各種金属錯体、2,5-ビス(6’-(2’,2”-ビピリジル-1,1-ジメチル-3,4-ジフェニルシロール(PyPySPyPy)等のシロール誘導体に代表される有機シラン誘導体、特開2013-239691号公報、国際公開第2014/133141号、特開2016-172728号公報、特開2016-199507号公報及び特開2016-199508号公報に記載のホウ素含有化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0054】
電子輸送層7の平均厚さは、特に限定されないが、10~150nmであることが好ましく、20~100nmであることが、より好ましい。
電子輸送層7の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
【0055】
(電子注入層)
電子注入層8に用いられる材料は、陰極9の仕事関数と電子輸送層7のLUMOレベル等の観点から選ばれる。電子輸送層7を設けない場合には、発光層6に用いる材料のLUMOレベルを考慮して選ばれる。電子注入層8の材料は、有機化合物でも無機化合物でもよい。電子注入層8が、無機化合物からなるものである場合には、例えば、アルカリ金属や、アルカリ土類金属の他、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、炭酸セシウム等を用いることができる。また、電子注入層8が、有機化合物からなるものである場合には、例えば、8-キノリノラトリチウム(Liq)等を用いることができる。
【0056】
電子注入層8の平均厚さは、1nmから数μm程度まで許容できるが、低電圧で駆動できる有機EL素子とする点から、1~1000nmであることが好ましく、2~100nmであることが更に好ましい。電子注入層8の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
【0057】
(形成方法)
図1に示す有機EL素子1は、基板2上に、陽極3と、正孔注入層4と、正孔輸送層5と、発光層6と、電子輸送層7と、電子注入層8と、陰極9をこの順に形成することにより製造できる。陽極3、正孔注入層4、正孔輸送層5、発光層6、電子輸送層7、電子注入層8、陰極9の各層の形成方法は、特に限定されず、各層に用いられる材料の特性に合わせて、従来公知の種々の形成方法を適宜用いて形成できる。各層を形成する方法としては、気相成膜法であるプラズマCVD、熱CVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、溶射法、そして液相成膜法である電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、ゾル・ゲル法、MOD法、スプレー熱分解法、微粒子分散液を用いたドクターブレード法、スピンコート法、インクジェット法、スクリーンプリンティング法等の印刷技術等を用いることができる。これらの方法は、各層の材料の特性に応じて選択するのが好ましく、層ごとに作製方法が異なっていてもよい。
【0058】
本実施形態の有機EL素子1は、発光層6の材料を適宜選択することによって発光色を変化させることができるし、カラーフィルター等を併用して所望の発光色を得ることもできる。このため、本発明の有機EL素子は、表示装置や照明装置に好適に用いることができる。
【0059】
(他の例)
本発明の有機EL素子は、上述した実施形態において説明した有機EL素子に限定されるものではない。
具体的には、上述した実施形態においては、基板2と発光層6との間に陽極3が配置された順構造の有機EL素子1を例に挙げて説明したが、本発明の有機EL素子は、基板と発光層との間に陰極が配置された逆構造のものであってもよい。
【0060】
また、本発明の有機EL素子においては、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層は、必要に応じて形成すればよく、設けられていなくてもよい。
また、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極の各層は、1層で形成されているものであってもよいし、2層以上からなるものであってもよい。
また、本発明の有機EL素子は、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極の各層の間に、他の層を有するものであってもよい。具体的には、有機EL素子の特性をさらに向上させる等の理由から、必要に応じて、電子阻止層等を有していてもよい。
【0061】
[表示装置]
本発明の表示装置は、上記の有機エレクトロルミネッセンス素子を具えることを特徴とする。本発明の表示装置は、上述した駆動電圧が低く、駆動安定性に優れた有機EL素子を具えるため、駆動電圧が低く、駆動安定性に優れる。本発明の表示装置は、上述した有機エレクトロルミネッセンス素子の他に、表示装置に一般に用いられる他の部品を具えることができる。
【0062】
[照明装置]
本発明の照明装置は、上記の有機エレクトロルミネッセンス素子を具えることを特徴とする。本発明の照明装置は、上述した駆動電圧が低く、駆動安定性に優れた有機EL素子を具えるため、駆動電圧が低く、駆動安定性に優れる。本発明の照明装置は、上述した有機エレクトロルミネッセンス素子の他に、照明装置に一般に用いられる他の部品を具えることができる。
【実施例0063】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0064】
<NMRの測定方法>
JEOL社のAL400を用いた。なお、分光計はAL-Series分光計であり、プローブはTH5ATFG2プローブである。
【0065】
<構造式(1)で表されるフェナントロリン誘導体の合成方法>
以下の反応スキームに従って、構造式(1)で表されるフェナントロリン誘導体を合成した。
【化4】
【0066】
「式(2-2)で表される化合物の合成工程」
500mLの反応器に、式(2-1)で表される5-ブロモ-1,3-ジフロオロ-2-(トリメチルフルオロメチル)ベンゼン(12.5g,47.9mmol,1.0eq.)、無水THF(125mL)を加えた。この溶液を-78℃に冷却した後、イソプロピルマグネシウムブロミド(1.0MのTHF溶液)(57.4mL,57.4mmol,1.2eq.)を滴下し、冷却バスを外して、5℃迄昇温した。氷冷下5℃で1時間撹拌後、-40℃程度に冷却し、トリイソプロポキシボラン(11.7g,62.2mmol,1.3eq.)を一度に加えた。冷却バスを外し、この薄褐色溶液を室温下、18時間撹拌した。この懸濁液に1Nの塩酸(60mL)を加え、15分間撹拌後、2層に分けた。水層を酢酸エチル(100mL×2)で抽出し、有機層を合わせ、市水、飽和食塩水にて順次洗浄、乾燥、濃縮し、薄黄色の粘稠な液体(16.9g)を得た。これにIPE、ヘプタンを加えて超音波洗浄し、析出した固体を濾取し、無色の固体である式(2-2)で表される化合物(3.62g,16.0mmol,33%)を得た。
【0067】
「式(1)で表されるフェナントロリン誘導体の合成工程」
50mLの反応器に、式(2-3)で表される4,7-ジブロモ-1,10-フェナントロリン(0.5g,2.01mmol,1.0eq.)、式(2-2)で表される化合物(1.0g,4.43mmol,3.0eq.)、2Mの炭酸カリウム水溶液(3.67mL,7.35mmol,5.0eq.)、脱気トルエン(5mL)、脱気THF(5mL)を加えた。この懸濁液にt-BuP(1.0Mのトルエン溶液)(0.14mL,0.147mmol,0.10eq.)、Pd(OAc)(33mg,0.147mmol,0.10eq.)を加え、再度減圧下、3分間撹拌し、脱気を行った。この懸濁液をバス温90℃にて1時間撹拌後、100℃に昇温し、同温で16時間撹拌した。この溶液をTLCにて分析後、市水でクエンチし、有機層をクロロホルム(25mL×2)で抽出し、市水、飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮して、薄茶色の固体(0.85g)を得た。これをカラム精製(SiO=40g,ヘプタン/クロロホルム=1/1→1/2)し、ベージュ色の固体(0.55g)を得た。これをエタノールにて加熱分散洗浄、濾過、減圧下乾燥を行い、無色の粉末である式(1)で表されるフェナントロリン誘導体(0.38g,0.703mmol,47%)を得た。
合成した式(1)で表されるフェナントロリン誘導体のNMR解析スペクトルを図2及び図3に示す。
【0068】
(実施例1)
<有機EL素子の製造>
以下に示す方法により、図1に示す構造の有機EL素子1を製造した。
基板2として、ITOからなる厚み100nmのパターニングされた電極(陽極3)が形成されている平均厚さ0.7mmの市販されている透明ガラス基板を用意した。そして、陽極3を有する基板2を、弱アルカリ洗浄剤中、アセトン中、イソプロパノール中で超音波洗浄し、その後、UVオゾン洗浄を30分間行った。その後、大気下で、150℃、30分のアニール処理を実施した。
次に、基板2を真空蒸着装置のチャンバー内の基板ホルダーに固定し、真空蒸着装置のチャンバー内を1.5×10-5Paの圧力となるまで減圧して、抵抗加熱による真空蒸着法により、正孔注入層4、正孔輸送層5、発光層6、電子輸送層7、電子注入層8、陰極9を連続して形成した。
【0069】
まず、上記構造式(1)で表されるフェナントロリン誘導体からなる厚み1.0nmの正孔注入層4を形成した。
【0070】
続いて、下記構造式で表される化合物(TCTA)からなる厚み35nmの正孔輸送層5を形成した。
【化5】
【0071】
続いて、下記構造式で表される化合物(DIC-TRZ)をホストとし、下記構造式で表される化合物(Ir(mppy))をドーパントとして30nm共蒸着し、発光層6を成膜した。この時、ドープ濃度は、Ir(mppy)が発光層6全体に対して3質量%となるようにした。
【化6】
【0072】
次に、発光層6まで形成した基板上に、下記構造式で表される化合物(B3PyMPM)を40nm、続いてフッ化リチウム(LiF)を0.8nm成膜し、それぞれ電子輸送層7、電子注入層8を形成した。
【化7】
【0073】
次に、電子注入層8まで形成した基板上に、アルミニウムからなる膜厚100nmの陰極9を成膜した。
なお、陰極9は、ステンレス製の蒸着マスクを用いて、蒸着面が幅3mmの帯状になるように形成し、作製した有機EL素子1の発光面積を9mmとした。
【0074】
(比較例1)
実施例1において、ITOからなる陽極3上に、正孔注入層4を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の有機EL素子1を得た。
【0075】
(比較例2)
実施例1において、ITOからなる陽極3上に、下記構造式で表される化合物(ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル、HAT-CN)を5nm成膜した膜を正孔注入層4とした以外は、実施例1と同様にして、比較例2の有機EL素子1を得た。
【化8】
【0076】
(比較例3)
実施例1において、ITOからなる陽極3上に、下記構造式で表される化合物(F4-TCNQ)を1.2nm成膜した膜を正孔注入層4とした以外は、実施例1と同様にして、比較例3の有機EL素子1を得た。
【化9】
【0077】
<有機EL素子の発光特性測定>
実施例1、比較例1~3で作製した有機EL素子に対して、ケースレー社製の「2400型ソースメーター」を用いて電圧を印加し、コニカミノルタ社製の「LS-100」を用いて輝度を測定し、印加電圧と輝度の関係、印加電圧と電流密度の関係、電流密度と外部量子効率の関係、及び初期輝度10,000nitsとした場合の輝度の定電流密度下の経時変化を調べた。その結果を図4図7に示す。
【0078】
<結果>
実施例1において、比較例1~3に対し低駆動電圧且つ長寿命な有機EL素子が得られており、式(1)で表されるフェナントロリン誘導体を蒸着成膜することによる低電圧化且つ長寿命化の効果が表れている。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の有機薄膜は、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、照明装置等に利用できる。
【符号の説明】
【0080】
1:有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子
2:基板
3:陽極
4:正孔注入層
5:正孔輸送層
6:発光層
7:電子輸送層
8:電子注入層
9:陰極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7