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特開2025-5537連結車両の走行シミュレーション方法及び走行シミュレーションシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005537
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】連結車両の走行シミュレーション方法及び走行シミュレーションシステム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20250109BHJP
   B62D 12/02 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G05D1/02 H
G05D1/02 Y
B62D12/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105741
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000116655
【氏名又は名称】愛知製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】安藤 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】番場 達也
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301HH18
(57)【要約】
【課題】連結車両を構成する牽引車や台車の軌跡を効率良く予測するためのシミュレーション方法を提供すること。
【解決手段】操舵輪である前輪と固定舵の後輪とを備える牽引車21を先頭にして2台の台車22A・Bが直列で連なる連結車両2の走行をシミュレーションする方法においては、牽引車21の後輪の軸の中点である後軸中心RCを沿わせるための走行計画線10Lを経路に設定する処理と、後軸中心RCが走行計画線10Lに沿うように牽引車21を走行させるときの牽引車21の前軸中心FCの軌跡を求める処理と、前軸中心FCの軌跡に基づき各台車22A・Bの軌跡を求める処理と、を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵輪である前輪と固定舵の後輪とを備える牽引車を先頭にして1台または2台以上の複数の台車が直列で連なる連結車両の走行をシミュレーションする方法であって、
前記牽引車の後輪の軸の中点である後軸中心RCを沿わせるための走行計画線を経路に設定する処理と、
前記後軸中心RCが前記走行計画線に沿うように前記牽引車を走行させるときの該牽引車の前輪の軸の中点である前軸中心FCの軌跡及び該牽引車の方位を求める処理と、
前記前軸中心FCの軌跡及び該牽引車の方位に基づき、前記1台または2台以上の複数の台車の軌跡及び方位を求める処理と、を含む連結車両の走行シミュレーション方法。
【請求項2】
請求項1において、前記連結車両のうちの進行方向前側の前記牽引車あるいは台車の方位を基準として、当該牽引車あるいは当該台車により直接、牽引される台車の方位を求める処理を含み、
前記1台または2台以上の複数の台車の軌跡及び方位を求める処理において、
前記牽引車を起点として進行方向前側の前記牽引車または台車から進行方向後ろ側の台車に向かって順次、前記方位を求める処理を実行することにより、前記1台または2台以上の複数の台車の方位を求め、
前記前軸中心FCの軌跡、前記牽引車の方位、および前記1台または2台以上の複数の台車の方位、に基づいて当該1台または2台以上の複数の台車の軌跡を求める、連結車両の走行シミュレーション方法。
【請求項3】
請求項1において、前記走行計画線は、直線の軌跡、円弧の軌跡、及びレーンチェンジの軌跡によって構成される軌跡であり、
前記レーンチェンジの軌跡は、当該レーンチェンジの前後で進路の方向を変更することなく幅方向における進路の位置を変更する軌跡である、連結車両の走行シミュレーション方法。
【請求項4】
請求項1において、前記牽引車及び前記1台または2台以上の複数の台車が通過する領域を、前記連結車両の通過領域として求める処理を含む連結車両の走行シミュレーション方法。
【請求項5】
請求項4において、前記連結車両のはみ出しが禁止される禁止領域が設定されており、
前記連結車両の通過領域の中に前記禁止領域と重なる領域が有るか否かを判定する処理を含む、連結車両の走行シミュレーション方法。
【請求項6】
請求項1または5において、前記牽引車の操舵角が最大値を超えるか否かの閾値処理と、
前記連結車両のうちの進行方向前側の前記牽引車あるいは台車の方位と、当該牽引車あるいは当該台車により直接、牽引される台車の方位と、の間の角度的な偏差である牽引折れ角が最大値を超えるか否かの閾値処理と、を含む連結車両の走行シミュレーション方法。
【請求項7】
操舵輪である前輪と固定舵の後輪とを備える牽引車を先頭にして1台または2台以上の複数の台車が直列で連なる連結車両の走行をシミュレーションするシステムであって、
前記連結車両を移動させる経路に対し、前記牽引車の後輪の軸の中点である後軸中心RCを沿わせるための走行計画線を設定する処理部と、
前記後軸中心RCが前記走行計画線に沿うように前記牽引車を走行させるときの該牽引車の前輪の軸の中点である前軸中心FCの軌跡及び該牽引車の方位を求める処理部と、
前記前軸中心FCの軌跡及び該牽引車の方位に基づき、前記1台または2台以上の複数の台車の軌跡及び方位を求める処理部と、を含む連結車両の走行シミュレーションシステム。
【請求項8】
請求項7において、前記連結車両のうちの進行方向前側の前記牽引車あるいは台車の方位を基準として、当該牽引車あるいは当該台車により直接、牽引される台車の方位を求める処理部を含み、
前記1台または2台以上の複数の台車の軌跡及び方位を求める処理部は、
前記牽引車を起点として進行方向前側の前記牽引車または台車から進行方向後ろ側の台車に向かって順次、前記方位を求める処理を実行することにより、前記1台または2台以上の複数の台車の方位を求め、
前記前軸中心FCの軌跡、前記牽引車の方位、および前記1台または2台以上の複数の台車の方位、に基づいて当該1台または2台以上の複数の台車の軌跡を求めるように構成されている、連結車両の走行シミュレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結車両の走行軌跡のシミュレーションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、製品や部品の搬送効率を向上するため、牽引車が台車を牽引する連結車両が利用されている(例えば、特許文献1参照。)。連結車両によれば、1台の車両だけでは運びきれない大量の製品や部品を同時に搬送できる。連結車両の運用に当たっては、牽引車に連結された各台車が通路からはみ出さないよう、牽引車の軌跡を設定する必要がある。
【0003】
下記の特許文献1には、スタート地点からゴール地点に至る経路が複数、存在している場合に、最も効率良く車両が走行するための経路を探索するためのシステムが記載されている。このシステムは、複数の経路のコスト比較により、最適な経路を探索しようとしている。
【0004】
特許文献1のシステムでは、経路を構成する区間毎に、牽引車の単独走行の軌跡および牽引走行の軌跡が予め決定されている。そして、各区間における単独走行の軌跡および牽引走行の軌跡には、それぞれ、コストが設定されている。このシステムでは、経路を構成する各区間につき、単独走行であるか牽引走行であるかに応じたコストが選択されて積算され、これにより、経路毎のコストが経路コストとして求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-114188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の連結車両では、次のような課題がある。すなわち、牽引車の単独軌跡の決定は比較的容易である一方、牽引車に台車が連結された連結車両の場合、牽引車と台車とで走行軌跡が異なる等の特有の事情が生じるため、各区間における牽引走行の軌跡をどのように決定するか、いかにして効率良く牽引走行の軌跡を決定するか、に技術的な課題がある。
【0007】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、連結車両を構成する牽引車や台車の軌跡を効率良く予測するためのシミュレーション方法及びシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、操舵輪である前輪と固定舵の後輪とを備える牽引車を先頭にして1台または2台以上の複数の台車が直列で連なる連結車両の走行をシミュレーションする方法であって、
前記牽引車の後輪の軸の中点である後軸中心RCを沿わせるための走行計画線を経路に設定する処理と、
前記後軸中心RCが前記走行計画線に沿うように前記牽引車を走行させるときの該牽引車の前輪の軸の中点である前軸中心FCの軌跡及び該牽引車の方位を求める処理と、
前記前軸中心FCの軌跡及び該牽引車の方位に基づき、前記1台または2台以上の複数の台車の軌跡及び方位を求める処理と、を含む連結車両の走行シミュレーション方法にある。
【0009】
本発明の一態様は、操舵輪である前輪と固定舵の後輪とを備える牽引車を先頭にして1台または2台以上の複数の台車が直列で連なる連結車両の走行をシミュレーションするシステムであって、
前記連結車両を移動させる経路に対し、前記牽引車の後輪の軸の中点である後軸中心RCを沿わせるための走行計画線を設定する処理部と、
前記後軸中心RCが前記走行計画線に沿うように前記牽引車を走行させるときの該牽引車の前輪の軸の中点である前軸中心FCの軌跡及び該牽引車の方位を求める処理部と、
前記前軸中心FCの軌跡及び該牽引車の方位に基づき、前記1台または2台以上の複数の台車の軌跡及び方位を求める処理部と、を含む連結車両の走行シミュレーションシステムにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、連結車両の走行をシミュレーションする際、まず、後軸中心RCを沿わせるための走行計画線が設定される。本発明においては、走行計画線に基づいて前軸中心FCの軌跡が求められ、さらに、1台または2台以上の複数の台車の軌跡が求められる。
【0011】
走行計画線は、後軸中心RCの軌跡となり得る線である。後軸中心RCの軌跡をなす走行計画線を基準にすれば、牽引車を操舵する際の制御目標として好適な前軸中心FCの軌跡を効率良く求めることができる。また、後軸中心RCは、台車を牽引する際の支点に近く位置している。このような後軸中心RCの軌跡をなす走行計画線を基準にすれば、台車の軌跡を効率良く求めることができる。
【0012】
このように本発明の連結車両の走行シミュレーション方法及び走行シミュレーションシステムによれば、後軸中心RCを沿わせるための走行計画線を設定することにより、連結車両の軌跡を効率良く求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】走行シミュレーションシステムの概要を示す説明図。
図2】連結車両の説明図。
図3】連結車両の構成を示すシステム図。
図4】車両仕様の説明図。
図5】走行計画線を入力するための表示画面の正面図。
図6】経路に設定された走行計画線(走行計画線座標)を例示する説明図。
図7】走行シミュレーションの流れを示す説明図。
図8】前軸中心FCの軌跡を例示する説明図。
図9】後軸中心RCが走行計画線に沿うように走行する連結車両を例示する説明図。
図10】連結車両の通過領域を例示する説明図。
図11】連結車両の通過が推奨されない非推奨領域を例示する説明図。
図12】磁気センサモジュールの通過領域を例示する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、前輪操舵の牽引車21が台車22A・Bを牽引する連結車両2の走行シミュレーション方法、及び走行シミュレーションシステム1Sに関する例である。この内容について、図1図12を用いて説明する。
【0015】
連結車両2の走行環境は、例えば、工場や物流倉庫などの屋内環境や、工場などの敷地内の屋外環境、等である。走行環境では、図1のごとく、連結車両2が走行可能な通路12によって経路10が構成されている。なお、本例の説明において、通路12は、車両が走行可能な領域を意味している。一方、経路10は、連結車両2が移動する道筋であって幅や面積などを持たない概念である。
【0016】
経路10(図1)は、左右を逆転した略C字状の通路12により形成された道筋である。通路12は、幅4mの一定幅の領域である。通路12は、車両の進入・はみ出しが禁止されている禁止領域13により囲まれて形成されている。横長の長方形の4辺のうちの左辺(縦方向の短辺)を除く3辺よりなる略C字状の通路12のうち、横方向の上辺に相当する通路12A及び下辺に相当する通路12Cの長さが20mで、縦方向の右辺に相当する通路12Bの長さが10mとなっている。
【0017】
経路10は、上辺の通路12Aに設けられたスタート地点STから出発し、右辺の通路12Bを通過して下辺の通路12Cに設けられたゴール地点GLに至る道筋である。スタート地点ST及びゴール地点GLは、スタート時あるいはゴール時における牽引車21の位置を示している。連結車両2の全長のため、スタート地点STとゴール地点GLとの間には、通路12A・Cの長手方向における位置的なずれが生じている。上辺の通路12Aの途中にスタート地点STが位置しているのに対して、ゴール地点GLは下辺の通路12Cの端部近くに位置している。
【0018】
実際の経路10には、連結車両2の走行をガイドするための個片状の磁気マーカ(図示略)が間隔を空けて配設される。連結車両2の走行軌跡のシミュレーション結果は、経路10上の磁気マーカの配設位置を計画する際の有用な情報となる。牽引車21に取り付けられる後述の磁気センサモジュールが真上を通過するよう、磁気マーカを配置する必要があるからである。
【0019】
連結車両2は、図2のごとく、駆動輪を備える先頭の牽引車21と、2台の台車22(台車22A・B)と、により構成されている。連結車両2では、2台の台車22A・Bが牽引車21に対して直列に接続されている。牽引車21は、長さ2m、幅1mであり、台車22A・Bは、長さ1.8m、幅1mである。連結車両2の全長は、およそ6mである。
【0020】
牽引車21は、操舵輪である左右一対の前輪211と、駆動輪である後輪212と、を有している。前輪211の最大操舵角は60度である。後輪212は、回転軸の軸方向が固定された固定舵の車輪である。牽引車21の後部には、連結フック219が後方に向けて延設されている。また、牽引車21の最後尾には、磁気マーカを検出するための磁気センサモジュール3が取り付けられている。台車22を牽引する牽引車21は、例えば角を回り込む際に大回りを要する傾向がある。牽引車21の最後尾は、牽引車21の大回りの影響が少ないため、磁気センサモジュール3の取付位置として好適である。
【0021】
磁気センサモジュール3は、磁気センサ(図示略)が間隔を空けて複数、組み込まれている棒状のセンサユニットである。磁気センサモジュール3は、その長手方向が車幅方向に沿うよう、牽引車21に取り付けられている。棒状の磁気センサモジュール3の長さは、牽引車21の車幅に近い長さである。車幅方向に沿って延設された棒状の磁気センサモジュール3であれば、磁気マーカに対する牽引車21の車幅方向の位置的なずれに依らず、磁気マーカを確実性高く検出できる。
【0022】
台車22(22A・B)は、自在輪である前輪221と、固定舵の後輪222と、を備える四輪の車両である。台車22は、牽引車21あるいは先行する台車22に連結するための連結バー220を有すると共に、後続する台車22を連結するための連結フック229を備えている。連結バー220及び連結フック229は、車両の前後方向に沿うように延設されている。連結フック229は、牽引車21の連結フック219と同じ仕様のものである。
【0023】
連結バー220は、連結フック219、229を係止するための孔(図示略)を備えている。牽引車21の連結フック219と、前側の台車22Aの連結バー220と、の組合せにより連結部28Aが形成されている。また、前側の台車22Aの連結フック229と、後ろ側の台車22Bの連結バー220と、の組合せにより連結部28Bが形成されている。
【0024】
連結部28A・Bでは、鉛直方向の仮想軸である牽引軸280が形成されている。牽引軸280は、前側の車両の方位(向き)に相対して後ろ側の車両の方位が回動する際の中心をなす軸である。前側の車両の方位と、後ろ側の車両の方位と、の角度偏差である折れ角(牽引折れ角)の最大値は45度である。牽引軸280は、前側の車両と後ろ側の車両との間隙に位置している。牽引軸280と、被牽引車両である台車22A・Bの後輪の軸(後軸222A)との距離(牽引軸間距離)は1.3mである。
【0025】
ここで参考のため、牽引車21のシステム構成を説明する。牽引車21は、図3の通り、磁気センサモジュール3、連結車両2の走行を制御する制御ユニット40、慣性航法を実現するためのIMU(Inertial Measurement Unit)42、後輪212を回転駆動するモータユニット44、操舵輪である前輪211を操舵する操舵ユニット46、等を含んで構成されている。
【0026】
制御ユニット40は、牽引車21の走行を制御するユニットである。制御ユニット40は、操舵ユニット46やモータユニット44を介して前輪211の舵角や後輪212の回転角速度を制御する。制御ユニット40は、各種の演算を実行するCPU(Central Processing Unit)のほか、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリ素子等を含めて構成された電子回路(図示略)を備えている。
【0027】
制御ユニット40には、磁気センサモジュール3、操舵ユニット46、モータユニット44、に加えて、地図データベース48を構成するメモリ装置や後輪212の回転に応じてパルスを出力する車輪速ユニット442が接続されている。制御ユニット40は、車輪速ユニット442が出力するパルスを利用して車速を特定する。
【0028】
地図データベース48は、通路12や経路10の形状を表す走行用マップデータを記憶するデータベースである。走行用マップデータが表す地図上では、経路10上に配設された磁気マーカがひも付けられている。走行用マップデータを参照すれば、磁気マーカの位置を特定可能である。走行用マップデータには、連結車両2が走行する際の目標の軌跡を割り付け可能である。走行用マップデータを参照することで、目標の軌跡を読み出し可能である。
【0029】
目標の軌跡は、例えば、牽引車21の前輪211の軸の中心である前軸中心FCの軌跡である。連結車両2が経路10を移動する際、磁気センサモジュール3が磁気マーカを検出し、さらに、検出された磁気マーカに対する横偏差(牽引車21の横ずれ量)が特定される。磁気マーカに対する横偏差は、牽引車21の方位を考慮して目標の軌跡に対する前軸中心FCの横偏差に変換される。目標の軌跡に対する前軸中心FCの横偏差は、牽引車21の操舵制御の対象となり得る。例えば前軸中心FCの横偏差を抑制する操舵制御を含む走行制御が牽引車21に適用され、これにより連結車両2が経路10を移動できる。
【0030】
次に、本例の走行シミュレーションシステム1Sを構成するコンピュータ装置であって、本例の走行シミュレーション方法を実行するシミュレーション装置1(図1)について説明する。シミュレーション装置1は、演算処理機能を有する本体153、液晶ディスプレイ151やプリンタなどの出力デバイス、キーボード155やマウスなどの入力デバイス、を含む装置である。本体153には、CPUを利用する電子回路が形成された電子基板や、ソリッドステートドライブやハードディスクドライブ等の記憶装置、等が収容されている。
【0031】
シミュレーション装置1には、走行計画線10Lを入力するためのアプリケーションプログラムがインストールされている。走行計画線10Lは、スタート地点STからゴール地点GLに至る経路10を連結車両2が移動する際、牽引車21の後軸の中心である後軸中心RCを通過させる軌跡をなす線である。このアプリケーションプログラムは、液晶ディスプレイ151等の表示画面上で走行計画線10Lを入力するためのユーザーインタフェースを提供する。オペレータは、表示画面上のグラフィカルな操作によって走行計画線10Lを入力可能である。なお、グラフィカルな操作の内容については、図5を参照して後述する。
【0032】
本体153は、LAN(Local Area Network)等の通信ポートやUSBポート等を備えており、これらのポートを介して各種データの入出力が可能である。本体153が外部から取得するデータには、例えばマップデータや車両仕様などがある。マップデータは、図1に例示する経路10、通路12、禁止領域13の2次元的な座標を表すデータである。シミュレーション装置1が取得するマップデータは、地図データベース48(図3参照。)が記憶する上記の走行用マップデータと共用しても良く、異なる仕様のデータであっても良い。
【0033】
本体153が外部に出力するデータとしては、連結車両2が経路10を移動する際の軌跡を表すデータや走行可否の判定結果などがある。走行可否の判定結果は、入力された走行計画線10Lに基づき、連結車両2が通路12を走行できるか否かの判定結果である。判定結果の出力態様は、例えば液晶ディスプレイ151の表示画面上での表示であっても良く、プリンタ等による印字出力であっても良い。
【0034】
シミュレーション装置1は、ソフトウェアプログラムをCPUが実行することで、以下の各部としての機能を実現可能である。
(1)走行計画線設定部:アプリケーションプログラムを利用して例えばオペレータが入力した走行計画線10Lの座標(走行計画線座標)を、経路10に設定する処理部。走行計画線設定部は、走行計画線座標をマップデータ上に対応付けることにより、走行計画線を経路10に設定する。
(2)牽引車軌跡推定部:牽引車21の前輪211の軸の中点である前軸中心FCの軌跡及び牽引車21の方位(姿勢)を求める処理部。牽引車軌跡推定部は、走行計画線10Lに沿って後軸中心RCが移動するための前軸中心FCの軌跡及び牽引車21の方位を求める。
(3)台車方位推定部:台車22A・Bの方位を推定する処理部。台車方位推定部は、連結車両2のうちの進行方向前側の牽引車21あるいは台車22の方位を基準として、牽引車21あるいは台車22により直接、牽引される台車22の方位を求める。
(4)台車軌跡推定部:連結車両2を構成する台車22A・Bの軌跡を求める処理部。
(5)走行可否判定部:連結車両2が通路12を走行可能か否かを判定する処理部。走行可否判定部は、牽引車軌跡推定部が求めた牽引車21の軌跡及び方位、台車軌跡推定部が求めた台車22A・Bの軌跡及び方位、に基づき、連結車両2が経路10を移動する際、各車両が通過する通過領域を求める。そして走行可否判定部は、各車両の通過領域に基づき、連結車両2がスタート地点STから出発してゴール地点GLに到達できるか否かを判定する。
【0035】
次に、以上の通り構成された走行シミュレーションシステム1Sが実行する本例の走行シミュレーション方法を説明する。本例の走行シミュレーション方法を実施する際、牽引車21の仕様データ、被牽引車両である台車22の仕様データ、走行計画線10Lのデータ、および通路12の座標データ、禁止領域13の座標データ、等が入力データとなる。
【0036】
牽引車21の仕様データは、例えば表1の通りである。表1中に例示する値は、図4中の各寸法の値等である。
【表1】
【0037】
例えば表1中のL0は、牽引車21の前軸211Aと後軸212Aとの間の距離、すなわちホイールベースである。例えば寸法W0は、牽引車21の幅である。例えば寸法H0は、後軸212Aから後方の牽引軸280までの距離である。α_maxは、寸法ではなく、操舵輪である前輪211の最大操舵角度である。α_rate_maxは、寸法ではなく、最大操舵角速度である。
【0038】
台車22の仕様データは、例えば表2の通りである。表2中に例示する値は、図4中の各寸法の値等である。
【表2】
【0039】
例えば表2中のnumは、寸法ではなく、牽引車21に牽引される台車22の台数である。例えばL1は、前側の牽引軸280から後軸222Aまでの距離(牽引軸間距離)である。例えばH1は、後軸222Aから後ろ側の牽引軸280までの距離である。例えばβ_maxは、連結部28の最大折れ角である。折れ角(牽引折れ角)とは、牽引車21の方位(向き)と台車22Aの方位との角度的な偏差、あるいは前側の台車22Aの方位と後ろ側の台車22Bの方位との角度的な偏差である。
【0040】
本例の走行シミュレーション方法では、オペレータが入力した走行計画線10Lに基づき、牽引車21および台車22A・Bの軌跡及び方位が算出される。そして、牽引車21および台車22A・Bの軌跡及び方位に基づき、連結車両2の通過領域が特定される。本例の走行シミュレーション方法は、後出の図7を参照して説明する通り、走行計画線設定処理P1、牽引車軌跡推定処理P2、台車軌跡推定処理P3、走行可否判定処理P4、を含む方法である。
【0041】
以下、オペレータによる走行計画線10Lの入力方法の説明に続いて、走行計画線設定処理P1、牽引車軌跡推定処理P2、台車軌跡推定処理P3、走行可否判定処理P4、の内容を順番に説明する。
【0042】
(走行計画線の入力方法)
上記のごとく、シミュレーション装置1は、走行計画線10Lを入力するためのアプリケーションプログラムを実行可能である。このアプリケーションプログラムでは、液晶ディスプレイ151等の表示画面上で走行計画線10Lの入力が可能である。アプリケーションプログラムの実行に応じて、図5の通り、経路10や通路12を表示するメインウィンドウ15Wが表示されると共に、走行計画線10Lを入力するためのツールボックス15Tが表示される。
【0043】
メインウィンドウ15W(図5)の経路10や通路12は、外部から取得する上記のマップデータに基づいて表示される。ツールボックス15Tには、拡大ボタンや縮小ボタンなどの表示態様を切り替える操作ボタンや、直線ボタン、円弧ボタン、レーンチェンジボタンなど入力モードを切り替える操作ボタン、等が設けられている。
【0044】
直線ボタンは、走行計画線10Lとして直線の軌跡を入力するモードに切り替えるためのボタンである。円弧ボタンは、走行計画線10Lとして円弧の軌跡を入力するモードに切り替えるためのボタンである。レーンチェンジボタンは、走行計画線10Lとしてレーンチェンジの軌跡を入力するモードに切り替えるためのボタンである。ここで、レーンチェンジの軌跡は、当該レーンチェンジの前後で進路の方向を変更することなく幅方向における進路の位置を変更する軌跡である。
【0045】
例えば直線の軌跡を入力するモードに切り替えた状態では、マウス等の操作により直線の軌跡を走行計画線10Lとして入力できる。マウス等により始点と終点とを設定すれば、始点から終点に至る直線の軌跡を走行計画線10Lとして入力できる。図5は、スタート地点STを始点として設定した後、終点として点P1を設定したことにより、スタート地点STから点P1に至る直線の軌跡を入力した状態である。
【0046】
例えば、図5のごとく円弧の軌跡を入力するモードに切り替えた後、始点として点P1を設定し、終点として点P2を設定すれば、点P1と点P2とを結ぶ円弧の軌跡を入力できる。例えばマウス等の入力デバイスを用いてカーソルCを移動させ、画面上の位置を選択することで、始点や終点を設定できる。このようにして、アプリケーションプログラム上において、直線の軌跡、円弧の軌跡、レーンチェンジの軌跡を適宜、組み合わせてスタート地点STとゴール地点GLとの間を切れ目なく結ぶことで走行計画線10Lを入力できる。
【0047】
本例のシミュレーション装置1が実行するアプリケーションプログラムを利用すれば、直線の軌跡、円弧の軌跡、レーンチェンジの軌跡を適宜、組み合わせるだけで走行計画線10Lを入力できる(図6参照。)。アプリケーションプログラムを利用すれば、特別な知識や技術がなくても連結車両2の走行計画が可能である。
【0048】
(走行計画線設定処理P1)
走行計画線設定処理P1(図7)は、入力された走行計画線10Lを経路10に設定する処理である。この走行計画線設定処理P1では、走行計画線10Lの座標である走行計画線座標をマップデータに対応付けることにより、走行計画線10Lが経路10に設定される。走行計画線設定処理P1では、走行計画線10Lという線で定義された走行計画が、離散的な座標である走行計画線座標に変換される。走行計画線設定処理P1を実施した後のマップデータは、経路10及び通路12に対する走行計画線10L(走行計画線座標)の位置関係が特定されたものとなる。
【0049】
(牽引車軌跡推定処理P2)
牽引車軌跡推定処理P2(図7)は、牽引車21の前軸中心FCの軌跡10F(図8)及び牽引車21の方位を推定するための処理である。この牽引車軌跡推定処理P2では、離散的な走行計画線座標を通過するように後軸中心RCを移動させる場合の前軸中心FCの軌跡10F及び牽引車21の方位が推定される。前軸中心FCの軌跡10F及び牽引車21の方位(姿勢)は、ホイールベースや操舵角範囲等の牽引車21の仕様、及び走行計画線座標、に基づいて求められる。
【0050】
具体的には、後軸中心RCと前軸中心FCとの位置的な差分の分だけ、走行計画線座標から牽引車21の方位に沿って位置的にずらすことで、後軸中心RCが走行計画線座標を通過する場合の前軸中心FCの位置を算出できる。後軸中心RCが走行計画線10Lに沿うように連結車両2が走行する際、前軸中心FCは、例えば図9に例示する軌跡をなす。牽引車軌跡推定処理P2では、前軸中心FCの軌跡10F及び方位(姿勢)に加えて、操舵角(前輪)が経路10上の各位置で算出される。
【0051】
なお、走行計画線10Lにおける直線と円弧の接続部などにおいて、操舵角の変化が滑らかになるように前軸中心FCの軌跡10Fを調整することがある。上記の接続部においては、牽引車21の内輪差のため、走行計画線10Lをなす円弧よりも外周側の曲線を前軸中心FCが通過するようになる。走行計画線10Lをなす直線に沿って移動する前軸中心FCが、走行計画線10Lをなす円弧の外周側の曲線に乗り移ったり、この外周側の曲線から走行計画線10Lをなす直線に乗り移ったり、する場合、前軸中心FCの軌跡を調整すると良い。上記のような前軸中心FCの乗り移りの際、例えば、いわゆるレーンチェンジの軌跡となるように前軸中心FCの軌跡を調整すれば操舵角の変化を滑らかにできる。
【0052】
(台車軌跡推定処理P3)
台車軌跡推定処理P3は、牽引車21により牽引される台車22A・Bの軌跡及び方位を推定するための処理である。台車軌跡推定処理P3では、牽引車軌跡推定処理P2で算出された前軸中心FCの軌跡10F及び操舵角を連結車両モデルに適用することで、後続する2台の台車22の軌跡及び姿勢(方位)が先頭から順に算出される。台車軌跡推定処理P3は、いわば、仮想空間であるシミュレーション空間において台車22A・Bを走行させる処理である。
【0053】
連結車両モデルは、牽引軸280を介して被牽引車両である台車22が牽引されるモデルである。本例の連結車両モデルは、各車両の軌跡を算出する多重連結の2輪モデルである。この連結車両モデルでは、牽引車21の前輪舵角(操舵角)→牽引車21のヨー角(方位、姿勢)→連結部28Aの折れ角→台車22Aのヨー角(方位、姿勢)→連結部22Bの折れ角→台車22Bのヨー角(方位、姿勢)、という順番で角度が求められ、各車両の軌跡が算出される。この連結車両モデルでは、遠心力の影響が少ない低速時の多重連結車両の運動を表す関係が定式化されている。車両モデルの定式化に際しては、牽引軸280と後軸222Aとの牽引軸間距離や牽引軸280周りの折れ角範囲等、被牽引車両の仕様(表2参照。)が反映される。
【0054】
台車軌跡推定処理P3は、牽引車21と前側の台車22A、及び前側の台車22Aと後ろ側の台車22B、の組合せについて、順番に実行される。牽引車21と前側の台車22Aとの組合せでは、牽引車21の前軸中心FCの軌跡10Fの座標が連結車両モデルに適用され、牽引軸280の軌跡および被牽引車両である台車22Aの方位が求められる。
【0055】
前側の台車22Aと後ろ側の台車22Bの組合せでは、台車22Aの前側の連結部28Aの牽引軸280の軌跡の座標が連結車両モデルに適用され、被牽引車両である台車22Bの前側の連結部28Bの軌跡及び台車22Bの方位が求められる。さらに、台車軌跡推定処理P3では、牽引軸280周りの連結部28A・Bの折れ角(牽引折れ角)が、経路10上の各位置で求められる。
【0056】
(走行可否判定処理P4)
走行可否判定処理P4は、走行計画線10Lに基づいて連結車両2が通路12を走行できるか否かを判定する処理である。走行可否判定処理P4では、連結車両2が通路12を通過できるか否かに加えて、牽引車21の操舵角の適否、連結部28A・Bの折れ角の適否が判定される。操舵角の適否は、経路10上における最大操舵角を超える操舵角の有無により判断される。連結部28A・Bの折れ角の適否は、経路10上における最大折れ角を超える折れ角の有無により判断される(閾値処理)。
【0057】
走行可否判定処理P4では、牽引車21の軌跡及び姿勢(方位)、2台の台車22A・Bの軌跡及び姿勢(方位)、に基づき、連結車両2が通路12を通過できるか否かが判断される。走行可否判定処理P4では、連結車両2を構成する各車両(牽引車21及び2台の台車22)の通過領域を重ね合わせることで、図10のごとく、幅方向において最も外側の左右の点が特定される。経路10上の各位置における、これら左右外側の点は、図10のごとく、連結車両2の通過領域10Rの幅方向の外縁10Jをなしている。
【0058】
走行可否判定処理P4では、連結車両2の通過領域10Rが通路12内に収まっていれば、連結車両2が通路12を通過可能と判断される。一方、連結車両2の通過領域10Rが、通路12を領域的に確定する禁止領域13に入り込んでいる場合には、連結車両2が通路12を通過不可能と判断される。走行可否判定処理P4による判定結果は、例えば液晶ディスプレイ151等による表示画面上で表示される。
【0059】
以上のように、本例の走行シミュレーション方法は、後軸中心RCの軌跡をなす走行計画線10Lを経路10に設定して連結車両2の走行をシミュレーションする方法である。この走行シミュレーション方法によれば、走行計画線10Lに基づいて、連結車両2の通過領域10Rや、牽引車21の操舵角や、被牽引車両である台車22A・Bの牽引折れ角(折れ角)を推定できる。連結車両2の通過領域10R、牽引車21の操舵角、及び台車22A・Bの牽引折れ角、に基づけば、走行計画線10Lに基づいて連結車両2が通路12を走行可能であるか否か、効率良く判定できる。
【0060】
本例の走行シミュレーション方法により求められる前軸中心FCの軌跡10Fは、連結車両2の先頭車両である牽引車21を操舵制御する際の目標の軌跡となり得る。目標の軌跡に対する制御対象点を牽引車21の前部に配置すれば、走行計画線10Lに対する連結車両2の蛇行を抑えて制御安定性を高めることができる。
【0061】
さらに、本例の走行シミュレーション方法における走行計画線10Lは、直線の軌跡と、円弧の軌跡と、レーンチェンジの軌跡と、を適宜、組み合わせたものである。本例のシミュレーション装置1が実行するアプリケーションプログラムを利用すれば、直線の軌跡、円弧の軌跡、レーンチェンジの軌跡を適宜、組み合わせるだけで走行計画線10Lを入力でき、特別な知識や技術がなくても連結車両2の走行計画が可能である。
【0062】
予め複数種類の走行計画線を入力しておき、それぞれ、走行可否を判定すると良い。走行可と判定された走行計画線が複数の場合に、最適な走行計画線を選択する処理を実行することも良い。例えば、経路10を移動する間の操舵角の最大値が最も小さい走行計画線を、最適な走行計画線10Lとして選択しても良く、経路10を移動する間の折れ角の最大値が最も小さい走行計画線を、最適な走行計画線10Lとして選択しても良い。連結車両2の通過領域10Rの外縁10J(図10)と、走行計画線10Lと、の間の幅方向の距離の最大値が最も小さい走行計画線を、最適な走行計画線10Lとして選択しても良い。連結車両2の通過領域10Rと禁止領域13との間の幅方向の距離の最小値が最も大きい走行計画線を、最適な走行計画線10Lとして選択することも良い。さらに、連結車両2の通過が推奨されない非推奨領域131を通路12に設定することも良い。例えば、図11の通り、非推奨領域131は、禁止領域13に接するように設定できる。連結車両2の通過領域10Rと非推奨領域131とが重なる箇所の数、あるいは重なる面積、が最も少ない走行計画線を、最適な走行計画線10Lとして選択することも良い。
【0063】
牽引車21の軌跡及び方位(姿勢)を求めれば、連結車両2が経路10を移動する際に磁気センサモジュール3が通過する磁気検知領域10D(図12)を特定できる。磁気検知領域10Dは、連結車両2の移動中に、磁気センサモジュール3により磁気が検出される領域である。磁気検知領域10Dの情報は、連結車両2の走行軌跡のシミュレーション結果として得られる情報のひとつである。磁気検知領域10Dは、経路10上の磁気マーカの配設位置を計画する際の有用な情報となる。磁気検知領域10Dに磁気マーカを配置すれば、経路10を移動する連結車両2が確実性高く磁気マーカを検知できる。
【0064】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
【符号の説明】
【0065】
1 シミュレーション装置
1S 走行シミュレーションシステム
10 経路
10L 走行計画線
10R 通過領域
10J (通過領域の)外縁
12(12A~C) 通路
13 禁止領域
2 連結車両
21 牽引車
211 前輪(操舵輪)
211A 前軸
212 後輪
212A 後軸
22(22A・B) 台車
221 前輪
222 後輪
222A 後軸
28(28A・B) 連結部
280 牽引軸
3 磁気センサモジュール
40 制御ユニット
48 地図データベース
FC 前軸中心
RC 後軸中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12