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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006697
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】潤滑油組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 171/00 20060101AFI20250109BHJP
   C10M 107/02 20060101ALI20250109BHJP
   C10M 105/32 20060101ALI20250109BHJP
   C10N 10/12 20060101ALN20250109BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20250109BHJP
   C10N 40/25 20060101ALN20250109BHJP
【FI】
C10M171/00
C10M107/02
C10M105/32
C10N10:12
C10N30:00 Z
C10N40:25
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107660
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【弁理士】
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【弁理士】
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100158481
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 俊秀
(74)【代理人】
【識別番号】100217663
【弁理士】
【氏名又は名称】末広 尚也
(72)【発明者】
【氏名】藤田 翔一郎
(72)【発明者】
【氏名】山下 潤
(72)【発明者】
【氏名】中植 大介
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BA02A
4H104BA04A
4H104BA07A
4H104BB08A
4H104BB31A
4H104BB41A
4H104CB14A
4H104DA02A
4H104EA03C
4H104EB05
4H104EB08
4H104FA06
4H104LA20
4H104PA41
(57)【要約】
【課題】より低温におけるオイル蒸発量が少なく、かつ省燃費性を向上し得る潤滑油組成物の開発が望まれていた。
【解決手段】基油(A)として、炭素数が14以上16未満の炭化水素基を含む留分が、基油(A)全量基準で0.10~0.60質量%の範囲にあり、炭素数が16以上18未満の炭化水素基を含む留分が、基油(A)全量基準で、0.35~1.85質量%の範囲にあるものを含む、潤滑油組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基油(A)として、炭素数が14以上16未満の炭化水素基を含む留分が、基油(A)全量基準で0.10~0.60質量%の範囲にあり、炭素数が16以上18未満の炭化水素基を含む留分が、基油(A)全量基準で、0.35~1.85質量%の範囲にあるものを含む、潤滑油組成物。
【請求項2】
無灰系摩擦調整剤(C1)を含み、無灰系摩擦調整剤(C1)の重量平均分子量(Mw)が100以上5万未満である、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項3】
無灰系摩擦調整剤(C1)を含み、無灰系摩擦調整剤(C1)の重量平均分子量(Mw)が1,000以上5万未満である、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項4】
基油(A)として、ポリα-オレフィン(A1)及びエステル系油(A2)からなる群から選択される1種以上の基油をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
【請求項5】
基油(A)として、エステル系油(A2)を含む、請求項4に記載の潤滑油組成物
【請求項6】
櫛形ポリマー(B1)を含む粘度指数向上剤(B)をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
【請求項7】
モリブデン系摩擦調整剤(C2)をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
オイル蒸発性の指標として、ASTM D5800で規定されている250℃におけるNOACK試験が広く使用されているが、エンジンの高度化に伴い、NOACK値と実使用環境下におけるオイル蒸発量(消費量)との相関が得られないことがある。そのような中で、より低温におけるオイル蒸発性の値が実際のオイル消費量と相関があることが報告されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】自動車技術会論文集,Vol.52, No.6, November 2021
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況下、より低温におけるオイル蒸発量が少なく、かつ省燃費性を向上し得る潤滑油組成物の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の留分の基油を所定量用いることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記態様を提供する。
[1]基油(A)として、炭素数が14以上16未満の炭化水素基を含む留分が、基油(A)全量基準で0.10~0.60質量%の範囲にあり、炭素数が16以上18未満の炭化水素基を含む留分が、基油(A)全量基準で、0.35~1.85質量%の範囲にあるものを含む、潤滑油組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明の好適な一態様は、250℃より低温における、オイル蒸発量の少ない潤滑油組成物を提供する。また、本発明の好適な一態様は、40℃における動粘度が小さく、省燃費性を向上し得る潤滑油組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に記載された数値範囲については、上限値及び下限値を任意に組み合わせることができる。例えば、数値範囲として「好ましくは30~100、より好ましくは40~80」と記載されている場合、「30~80」との範囲や「40~100」との範囲も、本明細書に記載された数値範囲に含まれる。また、例えば、数値範囲として「好ましくは30以上、より好ましくは40以上であり、また、好ましくは100以下、より好ましくは80以下である」と記載されている場合、「30~80」との範囲や「40~100」との範囲も、本明細書に記載された数値範囲に含まれる。
加えて、本明細書に記載された数値範囲として、例えば「60~100」との記載は、「60以上(60又は60超)、100以下(100又は100未満)」という範囲であることを意味する。
さらに、本明細書に記載された上限値及び下限値の規定において、それぞれの選択肢の中から適宜選択して、任意に組み合わせて、下限値~上限値の数値範囲を規定することができる。
加えて、本明細書に記載された好ましい態様として記載の各種要件は複数組み合わせることができる。
【0008】
〔潤滑油組成物の構成〕
本発明の一態様の潤滑油組成物は、基油(A)(以下、「成分(A)」ともいう)として、炭素数が14以上16未満の炭化水素基を含む留分が、基油(A)全量基準で0.10~0.60質量%の範囲にあり、炭素数が16以上18未満の炭化水素基を含む留分が、基油(A)全量基準で、0.35~1.85質量%の範囲にあるものを含む。
本構成によれば、150℃におけるNOACK値を規定値未満とすることができるため、実使用環境下においてもオイル消費量の少ない潤滑油組成物を得ることができる。また、本構成によれば、40℃における動粘度が小さい省燃費性に優れる潤滑油組成物を得ることができる。
なお、本明細書において、150℃におけるNOACK値は、ASTM D5800に準拠して、150℃、12時間で測定した値を意味する(以下、NOACK 150℃とも言うことがある。)。
以下、本発明の一態様の潤滑油組成物に含まれる各成分の詳細について説明する。
【0009】
<成分(A):基油>
本発明の潤滑油組成物は、基油(A)として、炭素数が14以上16未満の炭化水素基を含む留分が、基油(A)全量基準で0.10~0.60質量%の範囲にあり、炭素数が16以上18未満の炭化水素基を含む留分が、基油(A)全量基準で、0.35~1.85質量%の範囲にあるものを使用する。基油(A)の個々の留分を上記範囲とすることで、NOACK 150℃の値を5質量%以下に調整することができ、エンジンの実使用環境下におけるオイル消費性を改善することができる。また、基油(A)の個々の留分を上記範囲とすることで、40℃における動粘度を25mm/s以下の省燃費性に優れる潤滑油組成物を得ることができる。
炭素数が14以上16未満の炭化水素基を含む留分は、0.10質量%以上、0.15質量%以上であり、0.60質量%以下であることが、NOACK 150℃の値を満足し、省燃費性を向上させる観点で好ましい。
炭素数が16以上18未満の炭化水素基を含む留分は、0.35質量%以上、0.40質量%以上、0.50質量%以上であり、一方で1.85質量%以下、1.80質量%以下、1.70質量%以下、1.60質量%以下であることが、NOACK 150℃の値を満足し、省燃費性を向上させる観点で好ましい。
上記のような基油(A)は、後述の実施例に記載の方法で測定される個々の留分の測定結果に基づいて、上記炭素数の炭化水素基を含む個々の留分の範囲に合わせたものを用いることができる。
また、基油(A)は、例えば、以下に記載する鉱油の組合せ、合成油の組合せ又は鉱油と合成油との組み合わせを行い、後述の実施例に記載の方法で測定される個々の留分の測定結果を考慮しながら、上記炭素数の炭化水素基を含む個々の留分の範囲に合わせることによって本発明の基油(A)を作ることができる。
【0010】
本発明の潤滑油組成物に含まれる、炭素数が14以上16未満の炭化水素基を含む留分、及び、炭素数が16以上18未満の炭化水素基を含む留分は、例えば、上記炭素数の炭化水素基を含むように鉱油及び/又は合成油を混合して得たものである。当該留分を構成する鉱油としては、例えば、パラフィン系原油、中間基系原油、ナフテン系原油等の原油を常圧蒸留して得られる常圧残油;これらの常圧残油を減圧蒸留して得られる留出油;当該留出油を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、及び水素化精製等の精製処理を1つ以上施して得られる精製油;等が挙げられる。
本発明の一態様の潤滑油組成物で用いる基油(A)は、これらの鉱油を1種単独で用いたものであってもよいし、複数の鉱油を併用した混合油であってもよい。
【0011】
また、本発明の一態様の潤滑油組成物で用いる基油(A)は、合成油を1種単独で用いたものであってもよく、複数の合成油を併用した混合油であってもよい。さらに、本発明の一態様の潤滑油組成物で用いる基油(A)は、鉱油と合成油を併用した混合油であってもよい。合成油としては、例えば、α-オレフィンやその単独重合体、又はα-オレフィン共重合体(例えば、エチレン-α-オレフィン共重合体等の炭素数8~14のα-オレフィン共重合体)等のポリα-オレフィン;イソパラフィン;ポリアルキレングリコール;ポリフェニルエーテル等のエーテル系油;ポリオールエステル、二塩基酸エステル、モノエステル等のエステル系油;アルキルベンゼン;アルキルナフタレン;天然ガスからフィッシャー・トロプシュ法等により製造されるワックス(GTLワックス(Gas To Liquids WAX))を異性化することで得られる合成油(GTL)、ガスを原料として製造されたオレフィンをオリゴマー化した合成油(Ethylene To Liquid(ETL))等が挙げられる。これらの合成油は、再生可能な資源から製造されてもよい。
【0012】
これらの中でも、本発明の一態様で用いる基油は、API(米国石油協会)基油カテゴリーのグループ2及びグループ3に分類される鉱油、並びに、合成油から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0013】
また、本発明の一態様の潤滑油組成物は、ポリα-オレフィン(A1)及びエステル系油(A2)からなる群から選択される1種以上の基油をさらに含有することが好ましい。これらの基油を含有することで、NOACK 150℃の値を満足しつつ、省燃費性を向上し得る潤滑油組成物とすることができる。
ポリα-オレフィン(A1)として、具体的には、上述したα-オレフィンやその単独重合体、α-オレフィン共重合体(例えば、エチレン-α-オレフィン共重合体等の炭素数8~14のα-オレフィン共重合体)等が挙げられる。
エステル系油(A2)として、具体的には、上述したポリオールエステル、二塩基酸エステル及びモノエステル等が挙げられる。より具体的には、エステル系油(A1)として、トリデカン酸トリメチロールプロパン、パルミチン酸2-エチルヘキシル及びセバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)等が挙げられる。
本発明の一態様において、基油(A)として、ポリα-オレフィン(A1)及びエステル系油(A2)からなる群から選択される1種以上の基油を含有する場合、含有するポリα―オレフィン(A1)若しくはエステル系油(A2)又はこれらの混合物の含有量は、NOACK 150℃の値を満足し、省燃費性を向上させる観点から、潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは3.0質量%以上、より好ましくは5.0質量%以上、更に好ましくは7.0質量%以上であり、また、ゴム材の劣化を抑制する観点の観点から、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは9.0質量%以下である。
【0014】
本発明の一態様で用いる基油(A)の100℃における動粘度は、好ましくは2.5mm/s以上、より好ましくは2.8mm/s以上、更に好ましくは3.0mm/s以上であり、また、好ましくは4.5mm/s以下、より好ましくは4.1mm/s以下、更に好ましくは3.8mm/s以下である。
基油の100℃における動粘度が2.5mm/s以上であれば、油膜保持のため好ましい。一方、基油の100℃における動粘度が4.5mm/s以下であれば、粘性抵抗による動力損失を抑えることができ、燃費改善効果が得られるため好ましい。本発明の一態様において、基油(A)として混合油を用いる場合、当該混合油の100℃動粘度が上記範囲であることが好ましい。
【0015】
また、本発明の一態様で用いる基油の粘度指数は、温度変化による粘度変化を抑えると共に、省燃費性の向上の観点から、好ましくは80以上、より好ましくは90以上、更に好ましくは100以上、より更に好ましくは110以上である。
本明細書において、動粘度及び粘度指数は、ASTM D455に準拠して測定又は算出された値を意味する。
【0016】
本発明の一態様の潤滑油組成物において、基油(A)の含有量としては、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、70質量%以上、75質量%以上、また、99.9質量%以下、98質量%以下、95質量%以下である。
【0017】
<成分(B):粘度指数向上剤>
本発明の一態様の潤滑油組成物は、櫛形ポリマー(B1)を含む粘度指数向上剤(B)をさらに含有する。粘度指数向上剤(B)として、櫛形ポリマー(B1)を含有することにより、潤滑油組成物の省燃費性を向上させることができる。櫛形ポリマー(B1)としては、高分子量の側鎖が出ている三叉分岐点を主鎖に数多くもつ構造を有する重合体であればよい。本発明の一態様で用いる櫛形ポリマー(B1)は、マクロモノマー(x1)に由来する構成単位(X1)を少なくとも有する重合体が好ましい。この構成単位(X1)が、上述の「高分子量の側鎖」に該当する。
なお、本発明において、上記の「マクロモノマー(x1)」とは、重合性官能基を有する高分子量モノマーのことを意味し、末端に重合性官能基を有する高分子量モノマーであることが好ましい。
【0018】
本発明の一態様で用いる櫛形ポリマー(B1)は、1種類のマクロモノマー(x1)に由来する構成単位(X1)のみからなる単独重合体でもよく、2種類以上のマクロモノマー(x1)に由来する構成単位(X1)を含む共重合体であってもよい。
また、本発明の一態様で用いる櫛形ポリマー(B1)は、マクロモノマー(x1)に由来する構成単位と共に、マクロモノマー(x1)以外の他のモノマーに由来する構成単位(X2)を含む共重合体であってもよい。
このような櫛形ポリマーの具体的な構造としては、モノマー(x2)に由来する構成単位(X2)を含む主鎖に対して、マクロモノマー(x1)に由来する構成単位(X1)を含む側鎖を有する共重合体が好ましい。
【0019】
モノマー(x2)としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、窒素原子含有ビニル単量体、水酸基含有ビニル単量体、リン原子含有単量体、脂肪族炭化水素系ビニル単量体、脂環式炭化水素系ビニル単量体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、エポキシ基含有ビニル単量体、ハロゲン元素含有ビニル単量体、不飽和ポリカルボン酸のエステル、(ジ)アルキルフマレート、(ジ)アルキルマレエート、芳香族炭化水素系ビニル単量体等が挙げられる。
【0020】
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値である。
【0021】
また、本発明の一態様の潤滑油組成物において、櫛形ポリマー(B1)の含有量としては、省燃費性を向上させる観点から、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは5.0質量%以上、より好ましくは5.5質量以上、更に好ましくは6.0質量%以上である。また、櫛形ポリマー(B1)の含有量は、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは14.0質量%以下、より好ましくは13.0質量%以下、更に好ましくは12.5質量%以下である。
【0022】
また、本発明の一態様で用いる粘度指数向上剤(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の櫛形ポリマー(B1)以外の他のポリマーからなる粘度指数向上剤を含有してもよく、含有しなくてもよい。
そのような他のポリマーとしては、例えば、ポリメタクリレート、分散型ポリメタクリレート、オレフィン系共重合体(例えば、エチレン-プロピレン共重合体など)、分散型オレフィン系共重合体、スチレン系共重合体(例えば、スチレン-ジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体など)等の櫛形ポリマーには該当しない重合体が挙げられる。
【0023】
<成分(C):摩擦調整剤>
本発明の一態様の潤滑油組成物は、無灰系摩擦調整剤(C1)及びモリブデン系摩擦調整剤(C2)からなる群から選択される少なくとも1種の摩擦調整剤(C)をさらに含有する。上記の摩擦調整剤(C)を含有することで、優れた摩擦特性を有する潤滑油組成物とすることができる。本発明の一態様の潤滑油組成物は、摩擦特性をより向上させる観点から、摩擦調整剤(C)として、無灰系摩擦調整剤(C1)及びモリブデン系摩擦調整剤(C2)をともに含有する。
【0024】
<無灰系摩擦調整剤(C1)>
本発明の一態様で用いる無灰系摩擦調整剤(C1)としては、特に制限されないが、例えば、アミン化合物、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、ウレア系化合物、ヒドラジド系化合物等の無灰系摩擦調整剤(C1)が挙げられる。無灰系摩擦調整剤(C1)は、1種単独又は2種以上を併用してもよい。
無灰摩擦調整剤(C1)を含有することで、優れた摩擦特性を有する潤滑油組成物とすることが出来るとともに、本発明の一態様の潤滑油組成物が、基油(A)としてエステル系油(A2)を含有するものであっても、特定の重量平均分子量(Mw)を有する無灰系摩擦調整剤(C1)を配合することで、摩擦特性を良好に維持することができ、その結果、省燃費性能を良好に維持することができる。
【0025】
本発明の一態様において、無灰系摩擦調整剤(C1)の重量平均分子量(Mw)は、摩擦特性を向上させる観点から、100以上5万未満、100以上1万未満、100以上1000未満、1000以上1万未満、又は1万以上5万未満であることが好ましく、1000以上5万未満であることがより好ましい。
【0026】
本発明の一態様において、無灰系摩擦調整剤(C1)の合計含有量は、優れた摩擦特性を有する潤滑油組成物とする観点から、潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上であり、また、1.0質量%以下、0.8質量%以下、0.5質量%以下であってもよい。
【0027】
<モリブデン系摩擦調整剤(C2)>
本発明の一態様で用いるモリブデン系摩擦調整剤(C2)としては、例えば、ジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)、ジチオリン酸モリブデン(MoDTP)及びモリブデン酸のアミン塩等のモリブデン系化合物が挙げられる。モリブデン系摩擦調整剤(C2)は、1種単独又は2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、本発明の一態様の潤滑油組成物は、モリブデン系摩擦調整剤(C2)として、ジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)を含有することが好ましい。
【0028】
<<ジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)>>
本発明の一態様で用いるジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)としては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
【化1】
【0029】
式(1)中、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数4~18の炭化水素基であり、好ましくは、炭素数5~18のアルキル基、炭素数5~18のアルケニル基、炭素数5~18のシクロアルキル基、炭素数6~18のアリール基、炭素数7~18のアルキルアリール基、又は炭素数7~18のアリールアルキル基である。
【0030】
炭素数5~18のアルキル基としては、例えば、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0031】
炭素数5~18のアルケニル基としては、例えば、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基等が挙げられる。
【0032】
炭素数5~18のシクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、プロピルシクロヘキシル基、ブチルシクロヘキシル基、ヘプチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0033】
炭素数6~18のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられる。
【0034】
炭素数7~18のアルキルアリール基としては、例えば、トリル基、ジメチルフェニル基、ブチルフェニル基、ノニルフェニル基、メチルベンジル基、ジメチルナフチル基等が挙げられる。
【0035】
炭素数7~18のアリールアルキル基としては、例えば、フェニルメチル基、フェニルエチル基、ジフェニルメチル基等が挙げられる。
【0036】
本発明の一態様において、ジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)の含有量は、優れた摩擦特性を有する潤滑油組成物とする観点から、潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.6質量%以上であり、また、1.0質量%以下、0.9質量%以下、0.8質量%以下であってもよい。
【0037】
<各種添加剤>
本発明の一態様の潤滑油組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、各種添加剤を含有してもよい。
このような各種添加剤としては、例えば、流動点降下剤、酸化防止剤、金属系清浄剤、無灰系分散剤、耐摩耗剤、防錆剤、消泡剤、極圧添加剤等が挙げられる。
これらの潤滑油用添加剤は、それぞれ、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
これらの各種添加剤のそれぞれの含有量は、本発明の効果を損なわない範囲内で、適宜調整することができるが、潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、それぞれの添加剤ごとに独立して、通常0.001~15質量%、好ましくは0.005~10質量%、より好ましくは0.01~5質量%である。
【0039】
また、上記の添加剤としての機能を複数有する化合物(例えば、耐摩耗剤及び極圧添加剤としての機能を有する化合物)を用いてもよい。
【0040】
[流動点降下剤]
本発明の一態様の潤滑油組成物は、さらに流動点降下剤を含有してもよい。流動点降下剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いる流動点降下剤としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩素化パラフィンとナフタレンとの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合物、ポリメタクリレート、ポリアルキルスチレン等が挙げられる。
【0041】
[酸化防止剤]
本発明の一態様の潤滑油組成物は、さらに酸化防止剤を含有してもよい。酸化防止剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いる酸化防止剤としては、例えば、アルキル化ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、アルキル化フェニルナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤;2、6-ジ-t-ブチルフェノール、4,4’-メチレンビス(2,6ージーtーブチルフェノール)、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、n-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤;フェノチアジン、ジオクタデシルサルファイド、ジラウリル-3,3'-チオジプロピオネート、2-メルカプトベンゾイミダゾール等の硫黄系酸化防止剤;等が挙げられる。
【0042】
[金属系清浄剤]
本発明の一態様の潤滑油組成物は、さらに金属系清浄剤を含有してもよい。金属系清浄剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いる金属系清浄剤としては、金属スルホネート、金属サリシレート、及び金属フェネート等の金属塩が挙げられる。また、当該金属塩を構成する金属原子としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる金属原子が好ましく、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、又はバリウムがより好ましく、カルシウム、マグネシウムが更に好ましい。
【0043】
[無灰系分散剤]
本発明の一態様の潤滑油組成物は、さらに無灰系分散剤を含有してもよい。無灰系分散剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いる無灰系分散剤としては、アルケニルコハク酸イミドが好ましく、ホウ素化合物、アルコール、アルデヒド、ケトン、アルキルフェノール、環状カーボネート、エポキシ化合物、及び有機酸等から選ばれる1種以上と反応させた、変性アルケニルコハク酸イミドであってもよい。
【0044】
[耐摩耗剤]
本発明の一態様の潤滑油組成物は、さらに耐摩耗剤を含有してもよい。耐摩耗剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いる耐摩耗剤としては、例えば、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、リン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛、ジスルフィド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類、硫化エステル類、チオカーボネート類、チオカーバメート類、ポリサルファイド類等の硫黄含有化合物;亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、ホスホン酸エステル類、及びこれらのアミン塩又は金属塩等のリン含有化合物;チオ亜リン酸エステル類、チオリン酸エステル類、チオホスホン酸エステル類、及びこれらのアミン塩又は金属塩等の硫黄及びリン含有耐摩耗剤が挙げられる。
【0045】
[防錆剤]
本発明の一態様の潤滑油組成物は、さらに防錆剤を含有してもよい。防錆剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いる防錆剤としては、例えば、脂肪酸、アルケニルコハク酸ハーフエステル、脂肪酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸アミン、酸化パラフィン、アルキルポリオキシエチレンエーテル等が挙げられる。
【0046】
[消泡剤]
本発明の一態様の潤滑油組成物は、さらに消泡剤を含有してもよい。消泡剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いる消泡剤としては、例えば、アルキルシリコーン系消泡剤、フルオロシリコーン系消泡剤、フルオロアルキルエーテル系消泡剤等が挙げられる。
【0047】
[極圧添加剤]
本発明の一態様の潤滑油組成物は、さらに極圧添加剤を含有してもよい。極圧添加剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いる極圧添加剤としては、例えば、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、リン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛、ジスルフィド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類、硫化エステル類、チオカーボネート類、チオカーバメート類、ポリサルファイド類等の硫黄含有化合物;亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、ホスホン酸エステル類、及びこれらのアミン塩又は金属塩等のリン含有化合物;チオ亜リン酸エステル類、チオリン酸エステル類、チオホスホン酸エステル類、及びこれらのアミン塩又は金属塩等の硫黄及びリン含有耐摩耗剤が挙げられる。
【0048】
〔潤滑油組成物の製造方法〕
本発明の一態様の潤滑油組成物の製造方法としては、特に制限はなく、基油(A)に、必要に応じて、他の各種添加剤を配合する工程を有する、方法であることが好ましい。各成分の配合の順序は適宜設定することができる。
【0049】
〔潤滑油組成物の性状〕
本発明の一態様の潤滑油組成物の100℃における動粘度は、好ましくは5.0mm/s以上、より好ましくは5.5mm/s以上、更に好ましくは6.1mm/s以上であり、また、好ましくは12.5mm/s以下、より好ましくは10.0mm/s以下、更に好ましくは9.3mm/s以下である。
【0050】
本発明の一態様の潤滑油組成物は、ASTM D5800に準拠して、150℃、12時間で測定したNOACK値が、好ましくは5質量%以下であり、下限値は特に限定はされないが、例えば、3質量%以上である。
【0051】
本発明の一態様の潤滑油組成物を試料油として、後述の実施例に記載の方法で測定した摩擦係数の値は、好ましくは0.110以下、より好ましくは0.106以下、更に好ましくは0.085未満、より更に好ましくは0.084以下である。摩擦係数の値が上記範囲である潤滑油組成物は、摩擦特性に優れたものであるといえる。
【0052】
〔潤滑油組成物の用途〕
本発明の潤滑油組成物は、150℃におけるNOACK値を指標としたオイル蒸発量が少ないことから、内燃機関の潤滑に好適に使用し得る。
そのため、本発明は、下記[I]の内燃機関、及び、下記[II]の潤滑油組成物の使用方法も提供する。
[I]上述の本発明の一態様の潤滑油組成物を充填してなる、内燃機関。
[II]上述の本発明の一態様の潤滑油組成物を内燃機関の潤滑に適用する、潤滑油組成物の使用方法。
【0053】
本発明は以下の態様を含み得る。
[1]基油(A)として、炭素数が14以上16未満の炭化水素基を含む留分が、基油(A)全量基準で0.10~0.60質量%の範囲にあり、炭素数が16以上18未満の炭化水素基を含む留分が、基油(A)全量基準で、0.35~1.85質量%の範囲にあるものを含む、潤滑油組成物。
[2]無灰系摩擦調整剤(C1)を含み、無灰系摩擦調整剤(C1)の重量平均分子量(Mw)が100以上5万未満である、[1]に記載の潤滑油組成物。
[3]無灰系摩擦調整剤(C1)を含み、無灰系摩擦調整剤(C1)の重量平均分子量(Mw)が1,000以上5万未満である、[1]に記載の潤滑油組成物。
[4]基油(A)として、ポリα-オレフィン(A1)及びエステル系油(A2)からなる群から選択される1種以上の基油をさらに含む、[1]~[3]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
[5]基油(A)として、エステル系油(A2)を含む、[4]に記載の潤滑油組成物。
[6]櫛形ポリマー(B1)を含む粘度指数向上剤(B)をさらに含む、[1]~[5]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
[7]モリブデン系摩擦調整剤(C2)をさらに含む、[1]~[6]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
【実施例0054】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた各成分及び得られた潤滑油組成物の各種物性値等は、下記の方法に準拠して測定した。
【0055】
(1)動粘度及び粘度指数
ASTM D455に準拠して測定及び算出した。40℃における動粘度が25mm/s以下のものを合格と判定した。
(2)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)
Waters社製の「1515アイソクラティックHPLCポンプ」、「2414示差屈折率(RI)検出器」に、東ソー社製のカラム「TSKguardcolumn SuperHZ-L」を1本、及び「TSKSuperMultipore HZ-M」を2本、上流側からこの順で取り付け、測定温度:40℃、移動相:テトラヒドロフラン、流速:0.35mL/分、試料濃度1.0mg/mLの条件で測定し、標準ポリスチレン換算にて求めた。
(3)炭素数14以上16未満及び炭素数16以上18未満の炭化水素基を含む留分量
以下の測定装置を用いて、以下の測定条件により、炭素数8以上10未満、炭素数10以上12未満、以後、炭素数を2ずつ増加し、炭素数36以上38未満までの範囲で、各炭素数の炭化水素基を含む留分のピーク面積を算出し、すべてのピーク面積に対する炭素数14以上16未満の炭化水素基を含む留分、及び、すべてのピーク面積に対する炭素数16以上18未満の炭化水素基を含む留分の割合をそれぞれ算出した。
(測定装置)
装置:(株)島津製作所 GC-2014
検出器の種類:FID
カラム:パックドカラム
充填剤:Silicone OV-1 1.5%・Shinwasorb-S 60/80
(測定条件)
インジェクター温度:360℃
ディテクター温度:360℃
昇温条件:初期温度60℃
昇温速度:10℃/min
昇温最終温度:350℃
昇温最終温度保持時間:5min
ガスの流量:N 45mL/min
(4)NOACK 150℃
ASTM D5800に準拠して、150℃、12時間で測定した。NOACK 150℃の値が5質量%以下のものを合格と判定した。
(5)摩擦係数
[摩擦係数の評価]
SRV試験機(Optimol社製)を用い、下記の条件にて、調製した潤滑油組成物を使用した際の摩擦係数を測定した。
まず、30℃から140℃まで10℃ごとに昇温しながら、各温度5分間、下記の条件にて摺動しながら試験を行った。
上記の30℃での試験における最終の1分間にて、摩擦係数を1秒ごとに測定し、最終の1分間の中での摩擦係数の平均値を算出した。
・シリンダ:AISI52100
・鏡面ディスク:AISI52100(最大高さ粗さ(Rz):0.20μm未満)
・振動数:50Hz
・振幅:1.5mm
・荷重:400N
・温度:30~140℃ 10℃毎に昇温
・試験時間:各温度5分間
摩擦係数は、実施例1の試料油を用いて測定した30℃での摩擦係数を基準として、下記式で算出した改善率を指標として評価した。なお、表1~2の「-」は、摩擦係数の測定が未実施であることを意味する。
式:改善率=100-(各実施例の30℃での摩擦係数/実施例1の30℃での摩擦係数×100)
【0056】
実施例1~18、比較例1~4
表1~2に示す各種成分及びその他の添加剤を、表1~2に示す配合量にて添加して混合して、潤滑油組成物をそれぞれ調製した。なお、表1~2中の粘度指数向上剤の配合量は、希釈油を含む配合量として記載している。当該潤滑油組成物の調製に使用した、各成分の詳細は以下のとおりである。
【0057】
<成分(A):基油>
・基油(A):炭素数が14以上16未満の留分、及び炭素数が16以上18未満の留分が、それぞれ表1~2に記載の値になるように、表1~2に記載の基油(1)~(22)を用いて調整した基油。基油(1)~(22)は、100℃動粘度が2.61~4.45mm/s、粘度指数が111~164の範囲であった。
<成分(B):粘度指数向上剤>
・櫛形ポリマー(B1):高分子量の側鎖が出ている三叉分岐点を主鎖に数多くもつ構造を有する櫛形ポリマー(Mw=26万、Mw/Mn=3.1、樹脂分=23%)
<成分(C):摩擦調整剤>
・無灰系摩擦調整剤(C1)(1):ステアリルジエタノールアミン(Mw=350、N含有量=4.2重量%、樹脂分=99%)
・無灰系摩擦調整剤(C1)(2)ポリメタクリレート(Mw=9800、N含有量=0.25重量%、樹脂分=78%)。
・無灰系摩擦調整剤(C1)(3):ポリメタクリレート(Mw=18000、N含有量=0.24重量%、樹脂分=67%)。
・無灰系摩擦調整剤(C1)(4):ポリメタクリレート(Mw=57000、N含有量=0.40重量%、樹脂分=33.2%)
・モリブデン系摩擦調整剤(C2):ジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)(式(1)中のR~Rがそれぞれ独立して8または13の炭化水素基であり、X~Xが酸素原子である化合物。モリブデン原子の含有量=10.0質量%、硫黄原子の含有量=11.5質量%。
<その他の添加剤>
・清浄剤、分散剤、ZnDTP、酸化防止剤、金属不活性化剤、消泡剤、及び摩擦調整剤を混合してなる添加剤混合物。
【0058】
【表1】
【表2】
【0059】
表1~2の結果から、基油(A)として、炭素数が14以上16未満の炭化水素基を含む留分が、基油(A)全量基準で0.10~0.60質量%の範囲にあり、炭素数が16以上18未満の炭化水素基を含む留分が、基油(A)全量基準で、0.35~1.85質量%の範囲にあるものを含む実施例1~18の潤滑油組成物は、150℃におけるNOACK値が5質量%以下であり、オイル蒸発量が少ないものであった。また、実施例1~18の潤滑油組成物は、40℃における動粘度が25mm/s以下であり、省燃費性に優れたものであった。一方、比較例1~4の潤滑油組成物は、150℃におけるNOACK値又は40℃における動粘度が合格基準を満たさないものであった。