(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025071910
(43)【公開日】2025-05-09
(54)【発明の名称】ポリアセタール樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 59/00 20060101AFI20250430BHJP
C08K 9/04 20060101ALI20250430BHJP
C08K 5/3492 20060101ALI20250430BHJP
C08K 3/38 20060101ALI20250430BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20250430BHJP
C08L 91/06 20060101ALI20250430BHJP
【FI】
C08L59/00
C08K9/04
C08K5/3492
C08K3/38
C08K3/04
C08L91/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023182335
(22)【出願日】2023-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】390006323
【氏名又は名称】ポリプラスチックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】原科 初彦
(72)【発明者】
【氏名】勝地 広和
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AE032
4J002CB001
4J002DA039
4J002DK008
4J002DL006
4J002EU187
4J002FA046
4J002FB076
4J002FB086
4J002FB146
4J002FB266
4J002FD016
4J002FD099
(57)【要約】
【課題】機械的特性に優れ、かつ、耐熱水性に優れたポリアセタール樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】本発明のポリアセタール樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂を100質量部、(B)ガラス繊維を1質量部以上100質量部以下、および(C)含窒素官能基を有するトリアジン誘導体を0.002質量部以上10質量部以下含有する。前記(B)ガラス繊維は、ブロック化イソシアネート化合物、アミノシランカップリング剤、エポキシ樹脂およびポリウレタン樹脂から選択される少なくとも1種とホウ酸化合物とを含む表面処理剤で表面処理されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリアセタール樹脂を100質量部、
(B)ガラス繊維を1質量部以上100質量部以下、および
(C)含窒素官能基を有するトリアジン誘導体を0.002質量部以上10質量部以下含有し、
前記(B)ガラス繊維は、ブロック化イソシアネート化合物、アミノシランカップリング剤、エポキシ樹脂およびポリウレタン樹脂から選択される少なくとも1種とホウ酸化合物とを含む表面処理剤で表面処理されている、ポリアセタール樹脂組成物。
【請求項2】
前記(C)含窒素官能基を有するトリアジン誘導体がメラミンである、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項3】
(D)ホウ酸化合物を0.001質量部以上1.0質量部以下含有する、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項4】
前記ホウ酸化合物がオルトホウ酸である、請求項3に記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項5】
(E)カーボンブラックを0.01質量部以上15質量部以下含有する、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項6】
前記カーボンブラックがアセチレンブラックである、請求項5に記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項7】
(F)ポリオレフィンワックスを0.01質量部以上5質量部以下含有する、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項8】
前記ポリオレフィンワックスがポリエチレンワックスである、請求項7に記載のポリアセタール樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアセタール樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアセタール樹脂は、機械的性質、耐疲労性、耐摩擦・摩耗性、耐薬品性および成形性に優れているため、自動車部品、電気・電子機器部品、その他の精密機械部品、建材・配管部材、生活・化粧用部品、医用部品等の分野において広く利用されている。このような用途の拡大、多様化に伴い、その品質に対する要求はより高くなっている。たとえば、ポリアセタール樹脂の強度や剛性等の機械的特性を向上させるために、強化剤としてガラス系無機充填材を配合することが知られている。
【0003】
しかしながら、ポリアセタール樹脂は活性に乏しく、またガラス系無機充填材も活性に乏しいため、単にポリアセタール樹脂にガラス系無機充填材を配合し、溶融混練しただけでは両者の密着性は不十分となり、所望する機械的特性の向上が得られない場合が多い。そこで、ポリアセタール樹脂とガラス系無機充填材との密着性を向上させて機械的特性を向上させるための各種方法が提案されている。
【0004】
たとえば、特許文献1には、ポリアセタール樹脂にガラス系無機充填材とホウ酸化合物とを添加することが検討されており、特許文献2には、ブロック化イソシアネートおよび特定のシラン化合物で表面処理したガラス繊維を用いることが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-151298号公報
【特許文献2】特開平3-079631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の検討により、ポリアセタール樹脂の機械的特性を向上させることができたものの、耐熱水性についてはさらなる改善が求められた。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、機械的特性に優れ、かつ、耐熱水性に優れたポリアセタール樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行ったところ、ホウ酸化合物を含む表面処理剤で表面処理されたガラス繊維を用いることにより、機械的特性および耐熱水性に優れたポリアセタール樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
[1](A)ポリアセタール樹脂を100質量部、(B)ガラス繊維を1質量部以上100質量部以下、および(C)含窒素官能基を有するトリアジン誘導体を0.002質量部以上10質量部以下含有し、前記(B)ガラス繊維は、ブロック化イソシアネート化合物、アミノシランカップリング剤、エポキシ樹脂およびポリウレタン樹脂から選択される少なくとも1種とホウ酸化合物とを含む表面処理剤で表面処理されている、ポリアセタール樹脂組成物。
[2]前記(C)含窒素官能基を有するトリアジン誘導体がメラミンである、[1]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
[3](D)ホウ酸化合物を0.001質量部以上1.0質量部以下含有する、[1]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
[4]前記ホウ酸化合物がオルトホウ酸である、[3]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
[5](E)カーボンブラックを0.01質量部以上15質量部以下含有する、[1]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
[6]前記カーボンブラックがアセチレンブラックである、[5]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
[7](F)ポリオレフィンワックスを0.01質量部以上5質量部以下含有する、[1]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
[8]前記ポリオレフィンワックスがポリエチレンワックスである、[7]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、機械的特性に優れ、かつ、耐熱水性に優れたポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に制限されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更が可能である。
【0012】
[ポリアセタール樹脂組成物]
本発明の一実施形態に係るポリアセタール樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂を100質量部、(B)ガラス繊維を1質量部以上100質量部以下、および(C)含窒素官能基を有するトリアジン誘導体を0.002質量部以上10質量部以下含有する。
【0013】
<(A)ポリアセタール樹脂>
本発明の一実施形態に係るポリアセタール樹脂は、ホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。
【0014】
<ホモポリマー>
ホモポリマーとは、単一のモノマーから構成される重合体のことをいう。また、ポリアセタール重合体におけるホモポリマーとは、繰り返し単位としてオキシメチレン基(-OCH2-)のみを主鎖に有する重合体のことをいう。
【0015】
ホモポリマーは、ホルムアルデヒドを、重合触媒存在下で、アニオン重合することにより得ることができる。なお、重合工程で得られる粗ポリオキシメチレンの末端を、エーテル化剤、エステル化剤などを用いて安定化させることを要する。
【0016】
本発明の一実施形態において、ホモポリマーは、上述の方法で重合したホモポリマーを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。当該市販品の例には、デルリン(デュポン(米国)社製、「デルリン」は同社の登録商標)、テナック(旭化成株式会社製、「テナック」は同社の登録商標)などが含まれる。
【0017】
<コポリマー>
コポリマーとは、2以上のモノマーから構成される共重合体のことをいう。また、ポリアセタール重合体におけるコポリマーとは、オキシメチレン基(-OCH2-)を主鎖に有し、かつ、分子中に炭素数が2以上のオキシアルキレン基等の他の基も有する共重合体のことをいう。
【0018】
コポリマーは、重合触媒存在下で、トリオキサンと、トリオキサンと共重合可能なコモノマーと、を共重合させることにより得ることができる。
【0019】
(トリオキサン)
トリオキサンは、ホルムアルデヒドの環状三量体である。なお、トリオキサンは、一般的には酸性触媒の存在下で、ホルムアルデヒド水溶液を反応させることによって得られ、蒸留などの方法により精製されている。
【0020】
(コモノマー)
コモノマーは、少なくとも1つの炭素-炭素結合を有する環状エーテルおよび環状ホルマールからなる群から選択されることが好ましい。
【0021】
コモノマーの例には、1,3-ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4-ブタンジオールホルマール、1,3-ジオキサン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン等が含まれる。これらの中では、重合安定性の観点から、1,3-ジオキソランが好ましい。
【0022】
また、コモノマーとして、ブタンジオールジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテルやジホルマールのような2個の重合性環状エーテル基、または環状ホルマール基を有する化合物、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の3個以上の重合性環状エーテル基または環状ホルマール基を有する化合物を用いることもできる。これらのコモノマーを用いることによって、分岐構造や架橋構造が形成されたポリアセタール樹脂を得ることができる。
【0023】
コポリマーの重合は、公知の方法およびバッチ式、連続式などの公知の重合装置を用いることができる。
【0024】
コポリマーは、上述の方法で重合したコポリマーを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。市販品の例には、ジュラコン(ポリプラスチックス株式会社製、「ジュラコン」は同社の登録商標)などが含まれる。
【0025】
また、本発明の一実施形態に係るポリアセタール樹脂は、その分子量に関しては特に制限はなく、溶融成形加工性を有するもの(たとえば、ISO1133に準拠して、190℃、2160g荷重下で測定を行ったメルトフローレート(MFR)が1.0g/10分以上100g/10分以下)であることが好ましい。なお、MFRは、例えば、メルトインデクサ L220型(株式会社立山科学ハイテクノロジーズ製)を用いて測定することができる。
【0026】
<(B)ガラス繊維>
本発明の一実施形態に係るガラス繊維は、ブロック化イソシアネート化合物、アミノシランカップリング剤、エポキシ樹脂およびポリウレタン樹脂から選択される少なくとも1種とホウ酸化合物とを含む表面処理剤で表面処理されている。
【0027】
ガラス繊維とは、長さ方向に直角に切断した断面形状が真円状または多角形状の繊維状の材料である。ガラス繊維の例には、Aガラス、Cガラス、Eガラス、Rガラス、Dガラス、Mガラス、およびSガラス等が含まれる。
【0028】
ガラス繊維の形態は、単繊維や複数本の単繊維を撚り合わせたものを連続的に巻き取ったガラスロービング、長さ1~10mmに切りそろえたチョップドストランド(数平均繊維長が1~10mmのガラス繊維)、長さ10~500μmに粉砕したミルドファイバー(数平均繊維長が10~500μmのガラス繊維)等のいずれであってもよい。これらは、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
また、ガラス繊維の単繊維直径は、特に制限されないが、8μm以上20μm以下が好ましい。ガラス繊維の単繊維直径が当該範囲内であると、機械的特性に優れ、かつ、耐熱水性に優れたポリアセタール樹脂組成物が得られる。なお、「単繊維直径」とは、JIS R 3420に準拠して測定される25個のフィラメント断面の直径の平均値のことをいう。
【0030】
≪表面処理剤≫
上述したように、ガラス繊維を表面処理するための表面処理剤は、ブロック化イソシアネート化合物、アミノシランカップリング剤、エポキシ樹脂およびポリウレタン樹脂から選択される少なくとも1種とホウ酸化合物とを含む。
【0031】
(ブロック化イソシアネート化合物)
ブロック化イソシアネート化合物とは、イソシアネート化合物のイソシアネート基にブロック化剤を反応させることで得られる化合物のことをいう。ブロック化イソシアネート化合物は、常温では安定であるが、ある一定条件下で加熱するとブロック化剤が開裂してイソシアネート基が発生する化合物である。
【0032】
ブロック化イソシアネート化合物の原料であるイソシアネート化合物の例には、脂肪族、脂環族(以下、「脂環式」ともいう)および芳香族のイソシアネート化合物が含まれる。これらの中では、ポリアセタール樹脂との相溶性や適合性の観点から、脂肪族もしくは脂環式イソシアネート化合物が好ましく、脂肪族もしくは脂環式ジイソシアネート化合物、または当該ジイソシアネートを多量化したポリイソシアネートがより好ましい。
【0033】
脂肪族ジイソシアネートは、炭素数が4以上30以下が好ましく、炭素数5以上10以下がより好ましい。脂肪族ジイソシアネートの例には、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジイルジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が含まれる。
【0034】
脂環式ジイソシアネートは、炭素数が8以上18以下が好ましく、炭素数が10以上15以下がより好ましい。脂環式ジイソシアネートの例には、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が含まれる。
【0035】
芳香族ジイソシアネートの例には、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等が含まれる。
【0036】
ポリイソシアネートは、一分子当たり少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物が好ましい。ポリイソシアネートの例には、トリレンジイソシアネートもしくはジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、m-キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチル-m-キシリレンジイソシアネート等のアラルキルジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族もしくは脂環式ジイソシアネート類と多価アルコール類とを反応させてなるイソシアネート基を有するプレポリマー類、ジイソシアネート類を環化三量化させてなるイソシアヌレート環を有するプレポリマー類、またはジイソシアネート類と水とを反応させてなるビュレット構造を有するポリイソシアネート等が含まれる。
【0037】
これらの中では、得られる組成物の耐衝撃性、耐久性および工業的入手の容易さの観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、またはヘキサメチレンジイソシアネートの多量体(例えば、2量体、(環状)3量体、5量体、7量体、9量体、11量体、またはそれらの混合物など)が好ましい。なお、これらは、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
ブロック化イソシアネート化合物は、上述のイソシアネート化合物の反応基を、公知のブロック化剤で公知の方法によりブロックしたものを特に制限なく使用できる。
【0039】
ブロック化剤の例には、メチルエチルケトオキシム、アセトキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム系ブロック化剤、フェノール、クレゾール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、キシレノール等のフェノール系ブロック化剤、メタノール、エタノール、ブタノール、2-エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール系ブロック化剤、ε-カプロラクタム等のラクタム系ブロック化剤、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エステル等のジケトン系ブロック化剤、チオフェノール等のメルカプタン系ブロック化剤、チオ尿素等の尿素系ブロック化剤、イミダゾール系ブロック化剤、カルバミン酸系ブロック化剤、重亜硫酸塩等が含まれる。これらの中では、ラクタム系ブロック化剤、オキシム系ブロック化剤、ジケトン系ブロック化剤が好ましい。
【0040】
(アミノシランカップリング剤)
アミノシランカップリング剤とは、一分子中にアルコキシ基が結合した珪素原子と、窒素原子を含有する官能基とを含有している化合物である。
【0041】
アミノシランカップリング剤の例には、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N’-ビス〔3-(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’-ビス〔3-(トリエトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’-ビス〔3-(メチルジメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’-ビス〔3-(トリメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N’-ビス〔3-(トリエトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン等が含まれる。
【0042】
これらの中では、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、またはN-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランが好ましく、3-アミノプロピルトリメトキシシランまたは3-アミノプロピルトリエトキシシランがより好ましい。なお、アミノシランカップリング剤は、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
アミノシランカップリング剤を、上述のブロック化イソシアネート化合物と組み合わせて用いることにより、ポリアセタール樹脂とガラス繊維との接着性を向上させることができる。
【0044】
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂の例には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノ一ルAD型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型もしくはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、それらの水添タイプまたはエーテル変性物、フェノキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂等が含まれる。なお、エポキシ樹脂は、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】
これらの中でも、ガラス繊維の集束性、耐熱水性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、またはフェノールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
【0046】
(ポリウレタン樹脂)
ポリウレタン樹脂は、集束性等の観点から、キシリレンジイソシアネートを主とするポリイソシアネート成分と、ポリエステルポリオールを主とするポリオール成分とから得られる樹脂が好ましい。ここで、キシリレンジイソシアネートの例には、o-キシリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネートおよびこれらの混合物が含まれる。これらの中では、m-キシリレンジイソシアネートが好ましい。
【0047】
ポリエステルポリオールの例には、多価アルコールと多価カルボン酸との脱水縮合により得られる縮合系ポリエステルポリオール、多価アルコールをベースとしてラクトンの開環重合により得られるラクトン系ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールの末端がラクトンでエステル変性されたエステル変性ポリオール、およびこれらの共重合ポリエステルポリオール等が含まれる。
【0048】
縮合系ポリエステルポリオールに用いられる多価アルコールの例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が含まれる。
【0049】
縮合系ポリエステルポリオールに用いられる多価カルボン酸の例には、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸等が含まれる。
【0050】
ラクトン系ポリエステルポリオールの例には、ポリ(ε-カプロラクトン)ポリオール等が含まれる。
【0051】
ポリエステルポリオールの重量平均分子量(Mw)は、500以上4000以下が好ましい。ここで、重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算された値である。
【0052】
ポリウレタン樹脂は、キシリレンジイソシアネートとポリエステルポリオールとを30℃~130℃で無溶媒下または少量の有機溶媒存在下で加熱することにより製造できる。なお、加熱反応を行う際には、上述の多価アルコールを鎖延長剤として適宜共存させてもよい。また、有機溶媒は、特に制限はされないが、イソシアネートと反応せず、かつ、水と混和性のあるものが好ましい。有機溶媒の例には、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等が含まれる。
【0053】
ポリウレタン樹脂は、上述のブロック化イソシアネート化合物およびアミノシランカップリング剤とともに、有機溶剤中に溶解、または水中に分散させて使用することが好ましい。ポリウレタン樹脂を含む水性エマルジョンの製造方法の例には、自己乳化法、乳化剤を使用する方法が含まれる。なお、これらの方法を組み合わせてもよい。
【0054】
(ホウ酸化合物)
ホウ酸化合物の例には、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、オルトホウ酸の脱水物等が含まれる。これらの中では、オルトホウ酸が好ましい。ホウ酸化合物を含むことにより、ポリアセタール樹脂組成物の強度や耐熱水性を大きく向上させることができる。
【0055】
表面処理剤を構成する上述の各成分の添加量は、表面処理前のガラス繊維100質量部に対して、ブロック化イソシアネート化合物、アミノシランカップリング剤、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、およびホウ酸化合物が、それぞれ0.1~10質量部、0.001~0.3質量部、0.05~1質量部、0.05~1質量部、0.01~1質量部が好ましく、0.3~3質量部、0.01~0.2質量部、0.05~0.8質量部、0.05~0.3質量部、0.01~0.5質量部がより好ましい。また、ブロック化イソシアネート化合物、アミノシランカップリング剤、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、およびホウ酸化合物の質量比は94~45:1~15:5~40:5~40:1~40が好ましく、92~50:2~12:6~38:6~38:2~35がより好ましい。
【0056】
表面処理されたガラス繊維の含有量は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下が好ましく、5質量部以上75質量部以下がより好ましく、10質量部以上60質量部以下が特に好ましい。表面処理されたガラス繊維の含有量が上記範囲内であると、ポリアセタール樹脂組成物の機械的強度、および耐熱水性を高めることができる。
【0057】
表面処理されたガラス繊維がブロック化イソシアネート化合物、アミノシランカップリング剤、エポキシ樹脂およびポリウレタン樹脂から選択される少なくとも1種とホウ酸化合物とを含む表面処理剤で表面処理されたものであるか否かは、ポリアセタール樹脂組成物からガラス繊維を溶剤抽出し、例えば、熱分解GC/MSを用いて成分分析をすることで特定できる。
【0058】
<(C)含窒素官能基を有するトリアジン誘導体>
含窒素官能基を有するトリアジン誘導体(以下、「トリアジン誘導体」ともいう)の例には、メラミン、N-メチロールメラミン、N、N’-ジメチロールメラミン、N、N’、N’’-トリメチロールメラミン、N、N、N’、N’’-テトラメチロールメラミン、またはそれらの混合物等のメチロールメラミン、メチロールメラミンのアルコキシメチル誘導体(例えば、特開昭55-157645号公報に記載のアルコキシメチルメラミン、特公平7-116346号公報に記載のメラミンプレポリマー等)、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、2,4-ジアミノ-6-ブチル-sym-トリアジン等のグアナミン化合物、N-ブチルメラミン、N-フェニルメラミン、N,N-ジフェニルメラミン、N,N-ジアリルメラミン、N,N’,N-トリフェニルメラミン、アメリン、2,4-ジアミノ-6-ベンジルオキシ-sym-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-ブトキシ-sym-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-シクロヘキシル-sym-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-クロロ-sym-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-メルカプト-sym-トリアジン、2,4-ジオキシ-6-アミノ-sym-トリアジン、2-オキシ-4,6-ジアミノ-sym-トリアジン、1,1-ビス(3,5-ジアミノ-2,4,6-トリアジニル)メタン、1,2-ビス(3,5-ジアミノ-2,4,6-トリアジニル)エタン〔別称(サクシノグアナミン)〕、1,3-ビス(3,5-ジアミノ-2,4,6-トリアジニル)プロパン、1,4-ビス(3,5-ジアミノ-2,4,6-トリアジニル)ブタン、メチレン化メラミン、エチレンジメラミン、トリグアナミン、メラミンシアヌレート、エチレンジメラミンシアヌレート、トリグアナミンシアヌレート等が含まれる。トリアジン誘導体は、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0059】
これらの中では、ベンゾグアナミンやアセトグアナミン等のグアナミン化合物、メチロールメラミン、メチロールメラミンのアルコキシメチル誘導体、またはメラミンが好ましく、メラミンがより好ましい。
【0060】
トリアジン誘導体の含有量は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.002質量部以上10質量部以下が好ましく、0.01質量部以上2質量部以下がより好ましく、0.03質量部以上1質量部以下が特に好ましい。
【0061】
トリアジン誘導体の含有量が0.002質量部以上であると、ポリアセタール樹脂組成物の機械的特性を向上させることができ、10質量部以下であると、ポリアセタール樹脂組成物からの滲み出し等を低減することができる。
【0062】
本発明の一実施形態に係るポリアセタール樹脂組成物は、表面処理された(B)ガラス繊維、(C)トリアジン誘導体を含むことにより、機械的特性に優れ、かつ、耐熱水性に優れたポリアセタール樹脂組成物が得られる。本発明者らは、当該効果は、ある特定量の範囲内での特定の表面処理剤に含まれる化合物の相互作用による相乗効果によるためと推測している。
【0063】
<(D)ホウ酸化合物>
本発明の一実施形態に係るポリアセタール樹脂組成物は、ホウ酸化合物を含んでいてもよい。当該ホウ酸化合物は、上述の表面処理剤に含まれるホウ酸化合物と同様のホウ酸化合物を用いることができる。上述のホウ酸化合物の中では、オルトホウ酸が好ましい。
【0064】
ホウ酸化合物の含有量は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0質量部以上3質量部以下が好ましく、0.01質量部以上2質量部以下がより好ましく、0.01質量部以上1質量部以下が特に好ましい。ホウ酸化合物を上記範囲で含むことにより、械的特性に優れ、かつ、耐熱水性に優れたポリアセタール樹脂組成物が得られる。
【0065】
<(E)カーボンブラック>
本発明の一実施形態に係るポリアセタール樹脂組成物は、カーボンブラックを含んでいてもよい。カーボンブラックは、樹脂着色に用いられる一般的に入手可能なものであれば、特に制限されるものではない。
【0066】
カーボンブラックの例には、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック等が含まれる。これらの中では、アセチレンブラックが好ましい。
【0067】
カーボンブラックの含有量は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0質量部以上1質量部以下が好ましく、0.05質量部以上1質量部以下がより好ましい。
【0068】
<(F)ポリオレフィンワックス>
本発明の一実施形態に係るポリアセタール樹脂組成物は、ポリオレフィンワックスを含んでいてもよい。ポリオレフィンワックスは、一般的に入手可能なものであれば、特に制限されない。
【0069】
ポリオレフィンワックスの例には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブテンワックス等のポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、サゾールワックス等の長鎖炭化水素ワックスおよびその誘導体、ポリエステルワックスおよびその誘導体、ポリアミドワックスおよびその誘導体等が含まれる。これらの中では、ポリエチレンワックスが好ましい。
【0070】
ポリオレフィンワックスの含有量は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0質量部以上1質量部以下が好ましく、0.05質量部以上0.3質量部以下がより好ましい。ポリオレフィンワックスを当該範囲で含むことにより、黒色の成形品を得るために、ポリアセタール樹脂組成物にカーボンブラックを添加することにより生じ得る物性の低下を抑制することができる。
【0071】
<その他の添加物>
本発明の一実施形態に係るポリアセタール樹脂組成物は、アミノシランカップリング剤以外の公知のカップリング剤で表面処理されたガラス繊維を含有していてもよい。カップリング剤の例には、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、クロム系、ジルコニウム系、ボラン系カップリング剤等が含まれる。
【0072】
また、本発明の一実施形態に係るポリアセタール樹脂組成物には、公知の各種安定剤・添加剤を含んでいてもよい。
【0073】
安定剤の例には、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、含窒素塩基性化合物、アルカリもしくはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、無機塩、カルボン酸塩等が含まれる。添加剤の例には、染料、顔料等の着色剤、蛍光増白剤、滑剤、核剤、離型剤、帯電防止剤、界面活性剤等が含まれる。
【0074】
また、本発明の目的を阻害しない範囲で、ガラス繊維以外の公知の無機、有機、および金属等の繊維状、板状、または粉粒状等の充填剤を含むことができる。充填剤の例には、タルク、マイカ、ウォラストナイト、炭素繊維、ガラスビーズ等が含まれる。
【0075】
[成形品]
本発明の一実施形態に係る成形品は、(A)ポリアセタール樹脂、表面処理されている(B)ガラス繊維、および(C)含窒素官能基を有するトリアジン誘導体を含むポリアセタール樹脂組成物から構成される。また、当該ポリアセタール樹脂組成物は、(D)ホウ酸化合物、(E)カーボンブラック、および(F)ポリオレフィンワックスの少なくとも1種を含んでいてもよい。なお、当該成形品にはポリアセタール樹脂組成物からなる部品等だけでなく、粉体状、ペレット状等に加工したポリアセタール樹脂も含まれる。
【0076】
上述の構成成分を含むポリアセタール樹脂組成物を用いることにより、械的特性に優れ、かつ、耐熱水性に優れたポリアセタール樹脂組成物が得られる。
【実施例0077】
以下、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら制限されるものではない。
【0078】
<ポリアセタール樹脂組成物の製造方法>
以下に示すようにして、表1~4に示されるポリアセタール樹脂組成物を製造した。
【0079】
ポリアセタール樹脂100質量部が投入された容器に、ガラス繊維、トリアジン誘導体、ホウ酸化合物、カーボンブラック、ポリオレフィンワックスを表1~4に示す量で配合し、ベント付き二軸押出機を用いて、シリンダーの温度が220℃であり、ベント部の真空度が5mmHgである条件下で溶融混錬して押し出し、表1~4に示されるポリアセタール樹脂組成物を得た。このとき、ガラス繊維は、サイドフィードにて添加した。なお、表1~4中の数値の単位は質量部である。
【0080】
表1~4に示されるポリアセタール樹脂組成物の各構成成分は次のとおりである。
【0081】
<(A)ポリアセタール樹脂>
(A-1)ポリアセタール樹脂(トリオキサン96.7質量%と1,3-ジオキソラン3.3質量%とを共重合させてなるポリアセタール共重合体(MFR:45g/10min)
(A-2)ポリアセタール樹脂(トリオキサン96.7質量%と1,3-ジオキソラン3.3質量%とを共重合させてなるポリアセタール共重合体(MFR:9g/10min)
【0082】
MFRの測定は、ISO1133に準拠して、190℃、2160g荷重下で測定を行った。MFRは、メルトインデクサ L220型(株式会社立山科学ハイテクノロジーズ製)を用いて測定した。
【0083】
<(B)ガラス繊維>
ガラス繊維(B-1)~(B-8)は、単繊維直径10μmのチョップドストランドであり、以下に示す表面処理剤で表面処理されている。表面処理剤の各成分の種類および含有量を以下に示す。なお、表面処理剤の各成分の含有量は、未処理のガラス繊維を100質量部として規定したものである。
【0084】
(B-1)
・ブロック化イソシアネート:メチルエチルケトオキシムでブロックされたヘキサメチレンイソシアネート(1.0質量部)
・アミノシランカップリング剤:3-アミノプロピルトリエトキシシラン(0.1質量部)
・ポリウレタン樹脂(0.2質量部)
・エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(0.2質量部)
・ホウ酸化合物:オルトホウ酸(0.05質量部)
(B-2)
・ブロック化イソシアネート:メチルエチルケトオキシムでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネート三量体(0.8質量部)
・アミノシランカップリング剤:3-アミノプロピルトリエトキシシラン(0.1質量部)
・エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(0.1質量部)
・ホウ酸化合物:オルトホウ酸(0.1質量部)
(B-3)
・ブロック化イソシアネート:メチルエチルケトオキシムでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネート三量体(0.8質量部)
・アミノシランカップリング剤:アミノプロピルトリエトキシシラン(0.1質量部)
・エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(0.1質量部)
・ホウ酸化合物:オルトホウ酸(0.15質量部)
(B-4)
・ブロック化イソシアネート:メチルエチルケトオキシムでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネート三量体(1.2質量部)
・アミノシランカップリング剤:3-アミノプロピルトリエトキシシラン(0.1質量部)
・ポリウレタン樹脂(0.2質量部)
・エポキシ樹脂:ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(0.2質量部)
・ホウ酸化合物:オルトホウ酸(0.2質量部)
(B-5)
・ブロック化イソシアネート:ε-カプロラクタムでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット(1.2質量部)
・アミノシランカップリング剤:3-アミノプロピルトリエトキシシラン(0.1質量部)
・エポキシ樹脂:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(0.1質量部)
・ホウ酸化合物:オルトホウ酸(0.15質量部)
(B-6)
・アミノシランカップリング剤:3-アミノプロピルトリエトキシシラン(0.1質量部)
・ポリウレタン樹脂(0.2質量部)
・エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(0.2質量部)
(B-7)
・ブロック化イソシアネート:メチルエチルケトオキシムでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネート三量体(0.8質量部)
・アミノシランカップリング剤:3-アミノプロピルトリエトキシシラン(0.1質量部)
・エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(0.1質量部)
(B-8)
・ブロック化イソシアネート:メチルエチルケトオキシムでブロックされたヘキサメチレンイソシアネート三量体(1.2質量部)
・アミノシランカップリング剤:3-アミノプロピルトリエトキシシラン(0.1質量部)
・ポリウレタン樹脂(0.2質量部)
エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(0.2質量部)
【0085】
<(C)含窒素官能基を有するトリアジン誘導体>
・メラミン
【0086】
<(D)ホウ酸化合物>
・オルトホウ酸
【0087】
<(E)カーボンブラック>
・アセチレンブラック
【0088】
<(F)ポリオレフィンワックス>
・ポリエチレンワックス
【0089】
[評価]
<機械的特性評価>
表1~4のポリアセタール樹脂組成物を射出成形機に投入し、ISO3167に準拠して試験片を作製した。これらの試験片を用いて、引張強度(ISO527-1,2に準拠)、曲げ強度(ISO178に準拠)、ノッチ付きシャルピー衝撃強度(測定雰囲気:23℃、50%RH、ISO179・1eAに準拠)の測定を行った。機械的特性の評価結果を表1~4に示す。
【0090】
<耐熱水性評価>
上述の方法で作製した試験片を、120℃の熱水の入ったオートクレーブに1日浸漬させた後に取り出し、機械的特性評価と同じ測定条件で引張強度(熱水処理後の引張強度)を測定した。評価結果を表1~4に示す。
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
表1~4に示されるように、ガラス繊維を表面処理するための表面処理剤に、ホウ酸化合物を含むことにより、機械的特性に優れ、かつ、耐熱水性に優れたポリアセタール樹脂組成物が得られることがわかった。
本発明より、本発明のポリアセタール樹脂組成物は、優れた機械的特性および耐熱水性を有することからポリアセタール樹脂組成物の進展および普及に貢献することが期待される。