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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008291
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】車両用照明構造
(51)【国際特許分類】
   B60Q 3/208 20170101AFI20250109BHJP
   B60Q 3/64 20170101ALI20250109BHJP
【FI】
B60Q3/208
B60Q3/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110317
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000251060
【氏名又は名称】林テレンプ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】風呂谷 育浩
(72)【発明者】
【氏名】小山 潤
(72)【発明者】
【氏名】光武 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 大地
(72)【発明者】
【氏名】山川 宏
【テーマコード(参考)】
3K040
【Fターム(参考)】
3K040AA02
3K040CA05
3K040GA01
3K040GC01
(57)【要約】
【課題】車両の窓ガラスを効果的に発光させ得る照明構造を提供する。
【解決手段】
車両用の照明構造であって、第1ガラス板と、中間膜と、第2ガラス板とが積層された合わせガラス構造を持つ本体と、前記第1ガラス板のみを含む段差部とを有する窓ガラスと、少なくとも一つの照明ユニットを備え、該照明ユニットは、複数の光源と、光源を支持する支持体と、光源から出光した光を導光して、前記本体と前記段差部との境界における第2ガラス板の端面に入光させる導光体とを含み、前記導光体が、光源を収納し、光源から発光した光を受光する受光面を有する収納部と、前記本体と前記段差部の境界における第2ガラス板の端面に対置される発光面と、前記受光面と発光面との間に配置され、受光面で受光した光を窓ガラスの厚み方向において、光源から離間した位置まで導光する導光部とを備え、前記導光体と前記支持体との間に前記光源が密閉される、照明構造とする。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の窓ガラスを発光させる車両用の照明構造であって、
窓ガラスと、少なくとも一つの照明ユニットを備え、
前記窓ガラスは、第1ガラス板と、中間膜と、第2ガラス板とがこの順に積層された合わせガラスであり、
前記窓ガラスは、合わせガラス構造を有する本体と、厚み方向に見たとき、前記第1ガラス板と前記第2ガラス板のうち前記第1ガラス板のみを含む段差部とを有し、
前記照明ユニットは、複数の光源と、前記光源を支持する支持体と、前記光源1から出光した光を導光して、前記本体と前記段差部の境界における前記第2ガラス板の端面に入光させる導光体とを含み、
前記導光体が、前記光源を収納し、前記光源から発光した光を受光する受光面を有する収納部と、前記本体と前記段差部の境界における前記第2ガラス板の端面に対置される発光面と、前記受光面と前記発光面との間に配置され、前記受光面で受光した光を前記窓ガラスの厚み方向において、前記光源から離間した位置まで導光する導光部とを備え、前記導光体と前記支持体との間に前記光源が密閉される、照明構造。
【請求項2】
請求項1に記載の照明構造において、前記導光体の前記導光部が、前記受光面から該導光体に入射した光を反射する第一反射面と、前記第一反射面で反射された光を前記発光面に向けて反射する第二反射面とをそなえ、
前記第一反射面は、前記導光体の断面において、該第一反射面に接する面が前記発光面に対してなす角度θ1が、前記発光面に向かうに従って小さくなる曲面であって、
前記第二反射面は、前記導光体の断面において、該第二反射面に接する面が前記発光面に対してなす角度θ2が、前記発光面に向かうにしたがって大きくなる曲面であることを特徴とする、照明構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の照明構造において、
前記段差部は、前記窓ガラスの周縁部に部分的に設けられ、
前記照明ユニットは、少なくとも部分的に前記段差部に収納される、照明構造。
【請求項4】
請求項1または2に記載の照明構造において、前記窓ガラスの表面に対し垂直な断面において、前記窓ガラスに入光する光の入射角が20°以下となる光が、前記光源の全光束の40%以上である、照明構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用照明構造に関し、より具体的には、車両の窓ガラス(例えばルーフガラス)を発光させる照明構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、実用性および/または意匠性の向上を目的として、各種の照明構造が設置されている。車両のルーフには、窓ガラス(グレージング)を設置してサンルーフとして使用する場合がある。一例として特許文献1には、発光ダイオードまたは光ファイバを光源として車両の窓ガラスを発光させる発光車両グレージングを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5802684号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、窓ガラス(グレージング)の端面または表面に発光ダイオードまたは光ファイバを設置し、窓ガラスを発光させている。しかし、発明者等が検討したところ、このような構成では、光源から発した光の利用効率が低く、照明効果に対してエネルギー効率が低かった。上記の事情に鑑み、本発明は、出射光を効率的に利用し、窓ガラスを広い範囲で発光させることのできる照明構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の構成は、車両の窓ガラスを発光させる車両用の照明構造であって、
窓ガラスと、少なくとも一つの照明ユニットを備え、
前記窓ガラスは、第1ガラス板と、中間膜と、第2ガラス板とがこの順に積層された合わせガラスであり、
前記窓ガラスは、合わせガラス構造を有する本体と、厚み方向に見たとき、前記第1ガラス板と前記第2ガラス板のうち前記第1ガラス板のみを含む段差部とを有し、
前記照明ユニットは、複数の光源と、前記光源を支持する支持体と、前記光源から出光した光を導光して、前記本体と前記段差部との境界における前記第2ガラス板の端面に入光させる導光体とを含み、
前記導光体が、前記光源を収納し、前記光源から発光した光を受光する受光面を有する収納部と、前記本体と前記段差部との境界における前記第2ガラス板の端面に対置される発光面と、前記受光面と前記発光面との間に配置され、前記受光面で受光した光を前記窓ガラスの厚み方向において、前記光源から離間した位置まで導光する導光部とを備え、前記導光体と前記支持体との間に前記光源が密閉される、照明構造である。
【0006】
上記構成の照明構造によれば、複数の光源から出射した光を導光体を介して入光させることにより、窓ガラス(例えばルーフガラス)を効率的に発光させることができる。その際、導光部の形状を適切に設計することにより、複数の光源から発した光を混合し発光効率を高めるとともに、密閉構造により、光源を保護することができる。
【0007】
上記の車両用照明構造において、前記導光体の前記導光部が、前記受光面から該導光体に入射した光を反射する第一反射面と、前記第一反射面で反射された光を前記発光面に向けて反射する第二反射面とを備え、
前記第一反射面は、前記導光体の断面において、該第一反射面に接する面が前記発光面に対してなす角度θ1が、前記発光面に向かうに従って小さくなる曲面であって、
前記第二反射面は、前記導光体の断面において、該第二反射面に接する面が前記発光面に対してなす角度θ2が、前記発光面に向かうにしたがって大きくなる曲面であることを特徴とする、照明構造であってもよい。
【0008】
上記の車両用照明構造によれば、窓ガラスに入光した光を端面から離れた部位まで導光でき、広い領域で照明を行うことが出来る。
【0009】
上記の車両用照明構造において、前記段差部は、前記窓ガラスの周縁部に部分的に設けられ、前記照明ユニットは、少なくとも部分的に前記段差部に収納される、照明構造であってもよい。窓ガラスの周縁部に上記照明構造を配置することにより、窓ガラスを広い範囲で発光させることができる。
【0010】
上記照明構造は、窓ガラスの表面に対し垂直な断面において、前記窓ガラスに入光する光の入射角が20°以下となる光が、前記光源1の全光束の40%以上である、照明構造であってもよい。これにより、光の利用効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の照明構造によれば、窓ガラスの端面に直接光源を配置する場合に比べ、高い発光効率で窓ガラスを発光させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用照明構造を示す、(A)裏面側から見た底面図、及び(B)概略側面図である。
図2図1(A)にIIで示す部分の拡大図である。
図3図1(B)にIIIで示す部分の拡大図である。
図4図1の照明構造が備える照明ユニットの各部の構成を示す斜視図である。
図5図4に示す照明ユニットを組み立てた状態を示す平面図である。
図6図4に示す照明ユニットを組み立てた状態を示す正面図である。
図7図5にVII-VII線で示す部分の断面図である。
図8図5にVIII-VIII線で示す部分の断面図である。
図9】窓ガラスの段差部の断面構造を示す断面図である。
図10】照明御ユニットの光源から発して図9の段差部端面に入光する光の光路をシュミレーションした結果を示す図である。
図11】照明ユニット端部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1(A)は、本発明の一実施形態に係る車両用照明構造1を裏面側から見た底面図であり、図1(B)は、同じ照明構造1の概略側面図である。図1(A)、(B)に示すように、照明構造1は、窓ガラス10と、該窓ガラス10の周縁部10aに部分的に設けられた段差部(切り欠き部)10b内に配置された照明ユニット20とからなる。なお、図1の実施形態では、四個の照明ユニット20が、四か所の段差部10bに配置されているが、段差部10bおよび照明ユニット20の数は、窓ガラスのサイズ、形状、照明の設計などに応じ、適宜選択できる。また、窓ガラス10を効果的に発光させるため、窓ガラス10に公知の散乱層(図示せず)を設けてよい。
【0014】
図2は、図1(A)にIIで示す部分の拡大図であり、図3は、図1(B)にIIIで示す部分の拡大図である。窓ガラス10の本体10cは第1ガラス板(外側ガラス板)11、第2ガラス板(内側ガラス板)12および中間膜13からなる合わせガラス構造をとり、周縁部10aの一部において、第2ガラス板12と中間膜13が切り欠かれて、第1ガラス板のみを含む段差部10bが設けられている。照明ユニット20は、段差部10bに配置されて、第1ガラス板11に固定され、ハーネス21を介して電源(図示せず)に接続される。
【0015】
図4は、照明ユニット20の構成部材を示す斜視図である。照明ユニット20は、電源ソケット22でハーネス21と接続され、LEDからなる複数(図の例では10個)の光源23を支持する支持体(LED基板)24と、支持体24上に配置された導光体25と、支持体24を収納するケース部材26とを備える。支持体24は、ネジ27により、導光体25に固定され、ケース部材26も導光体25に嵌合される。照明ユニット20は、導光体の上面25aに貼り付けられた両面接着テープ29を介して窓ガラス10に固定される。またケース部材26には、通気用の開口26aが設けられており、開口26aは防水性を有する通気性のフィルム28で封止される。
【0016】
図5は、組み立てられた照明ユニットの平面図、図6は正面図である。図7は、図5にVII-VIIで示す部分の断面図、図8は、図5にVIII-VIIIで示す部分の断面図である。図5に示す照明ユニット20の長さ(図1の窓ガラス10の縁10aに沿った寸法)D、及び幅Wは、搭載する光源23の数に応じて設定される。図8に示すように、導光体25は、光源23を収納し、前記光源23から発光した光を受光する受光面25bを有する収納部25cと、段差部10bに面する窓ガラス本体10cの端面(図10の10d)に対置される発光面25dと、前記受光面25bと前記発光面25dとの間に配置され、前記受光面25bで受光した光を前記窓ガラスの厚み方向において、前記光源から離間した位置まで導光する導光部25eを備え、該導光体25と支持体24との間に光源23が密閉される。また受光面25b、導光部25e、発光面25dを以下、レンズ部25fと呼ぶ場合もある。
【0017】
図9は、窓ガラス10の段差部10b近傍の断面構造を示す図である。自動車の合わせガラスは、通常、ソーダガラスなどの透明性の高い素材からなる第1ガラス板(外側ガラス板)11と第2ガラス板(内側ガラス板)12がポリビニルブチラール(PVB)などからなる中間膜13を挟む構造を有している。本実施形態でも、窓ガラス10の本体10cは、合わせガラス構造をとるが、窓ガラス10の周縁部10aの一部で、第2ガラス板12と中間膜13が切り欠かれて段差部10bを構成している。段差部10bには、第1ガラス板11のみがあり、該第1ガラス板11の表面11aと、段差部10bと本体10cの境界における、窓ガラス10の端面10d、すなわち中間膜13の端面13aおよび第2ガラス板12の端面12aに囲まれる空間(段差部空間)14に、照明ユニット20が少なくとも部分的に収納される。窓ガラス10を照明体として使用するためには、第2ガラス板12に入光した光L1を第2ガラス板12の表面12bと、第2ガラス板12と中間膜13との界面12cで反射させながら、導光する必要がある。発明者等が光学構造について検討した結果、上記の導光を行うには、第2ガラス板12の表面12bおよび段差部10bに面する窓ガラス10の端面10dに対し垂直な断面において、窓ガラス10に入光する光の入射角θを好ましくは30度以下、より好ましくは20度以下に調整すべきことがわかった。入射角θを高角とすると、入射光L2は中間膜13に入射し、角度により第1ガラス板を透過して散逸するか、入射光L3が中間膜13と第1ガラス板11との界面13aで反射された場合も、中間膜13により吸収される割合が多くなる。そこで、光源から出光する光束のなるべく多くが、入射角20度以下となる光学構造について検討を行った。
【0018】
図10は、光源から導光体25のレンズ部25fに入射して導光され、窓ガラス10に入射する光の光路をシュミレーションした結果を示す図である。導光体25の受光面25bから入光した光は、まず導光部25eの下面(第一反射面)25gで反射したのち、導光部25eの上面(第二反射面)25hで一度または二度反射して段差部10bに面する窓ガラス10の端面10c、すなわち第2ガラス板の端面12aまたは中間膜の端面13aに入射する。断面構造における輪郭で見ると、受光面25bと発光面25dは互いに平行な直線状をなし、第一反射面25gは、下に凸な曲線、第二反射面25hは上に凸な曲線状をなしている。但し、第一反射面25gの接線と発光面25dなす角度、第二反射面25hと発光面25dのなす角度は、ともに90度以下である。
【0019】
すなわち、第一反射面25gは、導光体25の断面において、該第一反射面25gに接する面が発光面25dに対してなす角度θ1が、発光面25dに向かうに従って小さくなる曲面であり、第二反射面25hは、導光体25の断面において、該第二反射面25hに接する面が発光面25dに対してなす角度θ2が、発光面25dに向かうにしたがって大きくなる曲面である。
【0020】
レンズ部25fが上記のような形状をとる導光体25において、さらに窓ガラス10の発光効率を高める形状について検討を行った。図11は、発光ユニット20端部の断面構造を示す図であり、導光体25の発光面25dと、収納部25cの上面25aに対し垂直な断面を示している。断面において、導光体25の導光部25e上面の最下部と、第一反射面25gの距離T1は、導光部25eの下面の最上部と、第二反射面25h最上部との距離T2よりも小さいことが好ましく、第一反射面25gの曲率半径R1は、第二反射面25hの曲率半径R2よりも小さいことが好ましい。例えば、T1/T2は0.5~1、好ましくは0.7~0.9であり、R1/R2は、0.1~1.0、好ましくは0.3~0.8であってもよい。図11に示す構成において、導光部25eの幅、すなわち、受光面25bから発光面25dまでの最短距離wは、3.0~15.0mm、曲率半径R1は1.0~8.0mm、曲率半径R2は2.0~10.0mm、T1は1.0~5.0mm、T2は1.0~5.0mm程度であることが好ましい。
【0021】
上記構成により、図9の窓ガラス10の表面に対し垂直な断面において窓ガラスに入光する光の入射角θが20°以下となる光を、光源(LED)の全光束の40%以上とすることができる。
【0022】
上記構成の車両用照明構造1において、光源としては通常LEDを用いることができる。LEDの発光色は特に限定されず、赤、青、緑の単色LED、白色LED、あるいはフルカラーLEDを用いてもよい。支持体(LED基板)としては、通常のガラスエポキシ基板(FR4)にLED発光用の配線を加工したものを使用できる。ケース部材は、ポリカーボネート、ABS樹脂等のエンジニアリングプラスチックから形成できる。導光体としては、PMMAなどのアクリル樹脂を用いることができる。
【0023】
窓ガラス10を構成する第1ガラス板11および第2ガラス板12は、無機ガラスでもよいし、有機ガラスでもよい。無機ガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラスなどを用いることができる。有機ガラスとしては、ポリカーボネートガラス、アクリルガラスなどを用いてもよい。中間膜13としては、熱可塑性のポリビニルブチラール(PVB)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等を用いることができる。
【0024】
窓ガラス10は、平面でもよいが、車室側に対してやや凸な曲面をなすものであってもよい。第2ガラス板12および第1ガラス板11は、それぞれ1.0~6.0mm程度の厚みを有するものでもよく、中間膜13は0.1~1.2mm程度の厚みを有するものでもよい。中間膜13と第2ガラス板12との界面に光学パターンを設けてもよい。例えば、中間膜13を二層構造として、片方の層に光学パターンを設けてもよい。
【0025】
図5の発光ユニット20のサイズ、形状は特に制限されないが、窓ガラスを有効利用する観点から、窓ガラスの縁から内側へかけての幅Wは、5mm~20mm程度とすることが好ましい。また、発光効率の観点から、発光ユニット20の導光体25は、平面視で、窓ガラスの内側にむけて凸となる曲面を有するものであることが好ましい。各発光ユニットには、1~30個程度のLEDを1.5mm~50mm程度の間隔で設置してもよい。
本発明の照明構造は、例えば自動車のルーフガラスに用いることができる。また照明構造を使用する車両は四輪車に限定されず、鉄道車両の窓ガラスに用いてもよい。
【実施例0026】
本発明の効果を検証するため、図1に示すような構成の照明構造を作成した。窓ガラスとしては、1500mm×1000mm、厚み2mmのソーダライムガラス2枚を中間膜で挟んだものを使用した。中間膜は、厚さ0.8mmのポリビニルブチラールと、厚さ0.025mmのパターン付ポリビニルブチラールの二層構造からなるものとし、後者には、散乱層として、直径3mmの円形の散乱パターンを20mm間隔で設けた。この窓ガラスの長辺縁の4か所において、第2ガラス板と中間膜を略円弧状に切り欠き、長手方向の幅158.3mm、奥行き18.5mm、それぞれに10個のフルカラーLEDを搭載した発光ユニット設置した。
【0027】
上記の試作品を使用し、赤色、緑色、青色の発光色について、電流20mAでの発光状態を調べたところ、窓ガラス周縁部10a(図1参照)からの距離に対する発光輝度は下記の表のようになった。赤色光では、窓ガラス縁部10aから300mmを超えたあたりで発光は減衰したが、緑色光、および青色光では窓ガラス縁部10aから500mm程度の箇所でも輝度を計測可能な発光状態が観察され、本発明の構成により、窓ガラスのほぼ全面を発光させ得ることが観察された。また、赤色光と、緑色光および/または青色光との混合色とすることにより、波長による発光輝度の減衰の差を生かして、色調の変化を演出し得ることも確認された。なお、発光輝度は、(コニカミノルタ社製の分光輝度計CS-2000)を用いて測定した。
【0028】
【表1】
【符号の説明】
【0029】
1 車両用照明構造
10 窓ガラス
10a 周縁部
10b 段差部
10c 本体
10d 端面
11 第1ガラス板
12 第2ガラス板
13 中間膜
20 照明ユニット
21 ハーネス
22 電源ソケット
23 光源(LED)
24 支持体(LED基板)
25 導光体
25a 上面
25b 受光面
25c 収納部
25d 発光面
25e 導光体
25g 第一反射面
25h 第二反射面
26 ケース部材
27 ネジ
28 フィルム
29 接着テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11