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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008521
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/20 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
G01N3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110758
(22)【出願日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 真
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA07
2G061AB03
2G061BA04
2G061CB17
2G061DA01
2G061EA01
2G061EB05
(57)【要約】
【課題】複数種類の試験を実施することができる試験装置を提供すること。
【解決手段】試験装置1は、チップの裏面を支持する支持台210と、支持台210で支持されたチップを押圧する押圧ユニット220と、押圧ユニット220がチップを押圧する際の荷重を計測する荷重計測器223とを備え、押圧ユニット220は、支持台210で支持されたチップを押圧して3点曲げ試験を行う第1試験用圧子227と、支持台210で支持されたチップを押圧して4点曲げ試験を行う第2試験用圧子228と、を有し、支持台210で支持されたチップを押圧ユニットで押圧する際に、第1試験用圧子227と第2試験用圧子228とが選択自在に構成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験片の下面を支持する支持台と、該支持台で支持された試験片を押圧する押圧ユニットと、該押圧ユニットが試験片を押圧する際の荷重を計測する荷重計測器と、を備えた試験装置であって、
該押圧ユニットは、該支持台で支持された試験片を押圧して第1の試験を行う第1試験用圧子と、該支持台で支持された試験片を押圧して第1の試験とは異なる第2の試験を行う第2試験用圧子と、を有し、
該支持台で支持された試験片を該押圧ユニットで押圧する際に該第1試験用圧子と該第2試験用圧子とが選択自在に構成される、試験装置。
【請求項2】
該支持台は、所定の間隔を有して配設されるとともに、それぞれ第1方向に伸長し試験片の下面を支持する一対の支持部を有し、
該第1試験用圧子は、該支持部で支持された試験片の上面に当接し押圧する該第1方向に伸長した第1端部を含み、
該第2試験用圧子は、該支持部で支持された試験片の上面にそれぞれ当接し押圧する該第1方向に伸長した第2端部と、該第2端部に隣接する第3端部と、を含む、請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
該第1試験用圧子と、該第2試験用圧子とは、該第1方向に並設される、請求項2に記載の試験装置。
【請求項4】
該支持台は、該第1試験用圧子で押圧される試験片が載置される第1試験用領域と、該第1方向において該第1試験用領域に隣接し該第2試験用圧子で押圧される試験片が載置される第2試験用領域と、を含み、
該第1試験用領域は、該第1試験用圧子に対面し、該第2試験用領域は該第2試験用圧子に対面する、請求項3に記載の試験装置。
【請求項5】
該試験片を保持する保持面を有し保持した試験片を該支持台上に載置する搬送ユニットを備え、
該搬送ユニットは、該第1の試験を行う試験片を該第1試験用領域に搬送し、該第2の試験を行う試験片を該第2試験用領域に搬送する、請求項4に記載の試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験片の強度を測定する試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試験片の強度を測定するために3点曲げ試験が広く利用されている。そして、3点曲げ試験によって試験片の強度を測定するための試験装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-94832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、試験片の強度を測定するために4点曲げ試験も広く利用されており、複数の試験種類を実施できる試験装置が切望されている。
【0005】
本発明の目的は、複数種類の試験を実施することができる試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の試験装置は、試験片の下面を支持する支持台と、該支持台で支持された試験片を押圧する押圧ユニットと、該押圧ユニットが試験片を押圧する際の荷重を計測する荷重計測器と、を備えた試験装置であって、該押圧ユニットは、該支持台で支持された試験片を押圧して第1の試験を行う第1試験用圧子と、該支持台で支持された試験片を押圧して第1の試験とは異なる第2の試験を行う第2試験用圧子と、を有し、該支持台で支持された試験片を該押圧ユニットで押圧する際に該第1試験用圧子と該第2試験用圧子とが選択自在に構成されることを特徴とする。
【0007】
前記試験装置において、該支持台は、所定の間隔を有して配設されるとともに、それぞれ第1方向に伸長し試験片の下面を支持する一対の支持部を有し、該第1試験用圧子は、該支持部で支持された試験片の上面に当接し押圧する該第1方向に伸長した第1端部を含み、該第2試験用圧子は、該支持部で支持された試験片の上面にそれぞれ当接し押圧する該第1方向に伸長した第2端部と、該第2端部に隣接する第3端部と、を含んでも良い。
【0008】
前記試験装置において、該第1試験用圧子と、該第2試験用圧子とは、該第1方向に並設されても良い。
【0009】
前記試験装置において、該支持台は、該第1試験用圧子で押圧される試験片が載置される第1試験用領域と、該第1方向において該第1試験用領域に隣接し該第2試験用圧子で押圧される試験片が載置される第2試験用領域と、を含み、該第1試験用領域は、該第1試験用圧子に対面し、該第2試験用領域は該第2試験用圧子に対面しても良い。
【0010】
前記試験装置において、該試験片を保持する保持面を有し保持した試験片を該支持台上に載置する搬送ユニットを備え、該搬送ユニットは、該第1の試験を行う試験片を該第1試験用領域に搬送し、該第2の試験を行う試験片を該第2試験用領域に搬送しても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、複数種類の試験を実施することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態1に係る試験装置の構成例の一部を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示された試験装置の要部の斜視図である。
図3図3は、図1に示された試験装置の測定対象のチップに分割されたウェーハの斜視図である。
図4図4は、図1に示された試験装置の強度測定機構を示す斜視図である。
図5図5は、図4に示しされた強度測定機構の支持台と圧子を第1方向に直交する第2方向であるX軸方向からみた側面図である。
図6図6は、図4に示された強度測定機構の第1試験用圧子の先端を示す正面図である。
図7図7は、図4に示された強度測定機構の第2試験用圧子の先端を示す正面図である。
図8図8は、図1に示された試験装置が支持台の第1試験用領域にチップを載置した状態を示す断面図である。
図9図9は、図1に示された試験装置が支持台の第2試験用領域にチップを載置した状態を示す断面図である。
図10図10は、図8に示されたチップが破壊された状態を示す断面図である。
図11図11は、図9に示されたチップが破壊された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0014】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る試験装置を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る試験装置の構成例の一部を示す斜視図である。図2は、図1に示された試験装置の要部の斜視図である。図3は、図1に示された試験装置の測定対象のチップに分割されたウェーハの斜視図である。
【0015】
実施形態1に係る図1及び図2に示す試験装置1は、図3に示すウェーハ10から個々に分割された試験片であるチップ14を破壊して、チップ14の強度を測定するチップ破壊装置である。
【0016】
(ウェーハ)
実施形態1では、ウェーハ10は、シリコン、サファイア、ガリウムなどを基板11とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等である。ウェーハ10は、基板11の表面11-1に格子状に形成された複数の分割予定ライン12によって格子状に区画された領域にデバイス13が形成されている。実施形態1において、ウェーハ10は、外周縁に環状フレーム16が装着された支持部材である粘着テープ15が裏面11-2に貼着されて、環状フレーム16に支持されて、ウェーハユニット17を構成している。即ち、実施形態1では、ウェーハ10は、粘着テープ15により支持されている。また、ウェーハ10は、分割予定ライン12に沿って個々のチップ14に個片化されている。なお、チップ14は、基板11の一部とデバイス13とを備える。
【0017】
なお、実施形態1では、ウェーハ10は、基板11の表面11-1にデバイス13が形成されているが、本発明では、試験装置1がウェーハ10を個々のチップ14に分割する所謂後工程の加工条件の妥当性を評価するために用いられる場合には、表面11-1にデバイス13が形成されていなくても良い。
【0018】
(試験装置)
試験装置1は、図1に示すように、装置本体2上に設けられウェーハユニット17を複数収容するカセット4が載置されるカセット載置台3と、カセット4にウェーハユニット17を出し入れする搬出入ユニット5と、カセット4から搬出されたウェーハユニット17又はカセット4に搬入される前のウェーハユニット17が仮置きされる一対の仮置きレール6と、フレーム固定ユニット7と、制御ユニット400とを備える。
【0019】
カセット4は、複数のウェーハユニット17を鉛直方向と平行なZ軸方向に間隔をあけて収容する収容容器であって、ウェーハ10を出し入れする開口8が設けられている。カセット載置台3は、上面にカセット4が載置され、カセット4を鉛直方向と平行なZ軸方向に昇降させる。
【0020】
一対の仮置きレール6は、装置本体2上でかつカセット載置台3に載置されるカセット4の開口8の幅方向の両端に設けられ、水平方向と平行な第1方向であるY軸方向に直線状に延びている。一対の仮置きレール6は、互いに平行に配置され、Y軸方向に直交しかつ水平方向と平行な第2方向であるX軸方向に沿って互いに間隔をあけて配置されている。一対の仮置きレール6は、ウェーハユニット17の環状フレーム16が仮置きされる。
【0021】
フレーム固定ユニット7は、環状のフレーム支持部材18と、フレーム支持部材18の上方に配置されかつ固定された環状のフレーム押さえ部材19と、フレーム支持部材18を昇降させる図示しない昇降機構とを備える。フレーム支持部材18は、上昇される前では上面が仮置きレール6の上面と同一平面上に位置して、ウェーハユニット17の環状フレーム16が載置される。フレーム固定ユニット7は、フレーム支持部材18の上面にウェーハユニット17の環状フレーム16が載置されると、昇降機構がフレーム支持部材18を上昇させて、フレーム押さえ部材19とフレーム支持部材18との間に環状フレーム16を挟み込んで、ウェーハユニット17を固定する。
【0022】
搬出入ユニット5は、図示しない移動機構によりY軸方向に移動自在に設けられている。搬出入ユニット5は、カセット4からウェーハユニット17を搬出して、仮置きレール6上に仮置きした後、フレーム固定ユニット7の降下したフレーム支持部材18の上面までウェーハユニット17を搬出して、フレーム支持部材18の上面に載置する。また、搬出入ユニット5は、フレーム固定ユニット7の降下したフレーム支持部材18の上面上のウェーハユニット17を仮置きレール6を介してカセット4内に搬入する。
【0023】
また、試験装置1は、図2に示すように、フレーム固定ユニット7をY軸方向とX軸方向とに移動する移動機構30と、突き上げ機構50と、撮像カメラ60と、搬送ユニット20と、チップ観察機構100と、強度測定機構200とを備える。
【0024】
移動機構30は、装置本体2上に設けられかつ移動テーブル40をX軸方向に移動するX軸移動機構32と、X軸移動機構32によりX軸方向に移動される移動テーブル40上に設けられかつフレーム固定ユニット7をY軸方向に移動するY軸移動機構42とを備える。X軸移動機構32は、一対の仮置きレール6とY軸方向に並ぶ位置と一対の仮置きレール6から離れる位置とに亘って移動テーブル40即ちフレーム固定ユニット7をX軸方向に移動する。各移動機構32,42は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ36,46、ボールねじ36,46を軸心回りに回転させる周知のモータ38,48及び移動テーブル40又はフレーム固定ユニット7をX軸方向又はY軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレール34,44を備える。
【0025】
(突き上げ機構)
突き上げ機構50は、X軸移動機構32により一対の仮置きレール6から離れる位置に位置付けられたフレーム固定ユニット7の下方に配置される。突き上げ機構50は、装置本体2の凹部9内に設けられ、X軸移動機構32により一対の仮置きレール6から離れる位置に位置付けられたフレーム固定ユニット7で固定されたウェーハユニット17の粘着テープ15を介していずれかのチップ14を突き上げるものである。
【0026】
突き上げ機構50は、全体が一体として、モータ等で構成される昇降機構(図示せず)と接続され、Z軸方向に沿って昇降する。突き上げ機構50は、中空の円筒状に形成されたテープ保持部51と、テープ保持部51の内部に配置された四角柱状の突き上げ部52とを有する。テープ保持部51の上面は、水平方向と平行に平坦に形成され、テープ保持部51の周方向に沿って同心円状に形成された複数の吸引溝が形成されている。吸引溝はそれぞれ、突き上げ機構50の内部に形成された吸引路及び開閉弁を介して、エジェクタ等でなる吸引源に接続している。
【0027】
突き上げ部52は、上面の平面形状がチップ14の平面形状よりも小さい四角形に形成されている。突き上げ部52は、モータ等で構成される昇降ユニットと接続され、テープ保持部51に対して相対的にZ軸方向に沿って昇降可能である。
【0028】
突き上げ機構50は、フレーム固定ユニット7で保持された環状フレーム16を含むウェーハユニット17が上方に位置付けられた状態で、テープ保持部51の上面の吸引溝が吸引源により吸引されて、テープ保持部51の上面にピックアップすべきチップ14の周囲の粘着テープ15を吸引保持する。突き上げ機構50は、テープ保持部51の上面にピックアップすべきチップ14の周囲の粘着テープ15を吸引保持して、突き上げ部52が上昇されることで、チップ14を粘着テープ15よりも上方に突き上げて、チップ14の外周縁を粘着テープ15から剥離する。なお、突き上げ機構50の寸法は、チップ14のサイズに応じて適宜調整される。
【0029】
撮像カメラ60は、凹部9上のフレーム固定ユニット7により固定されたウェーハユニット17のウェーハ10の全体を撮像可能な位置に配置される。撮像カメラ60は、フレーム固定ユニット7により固定されたウェーハ10の全体を撮像する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。撮像カメラ60は、フレーム固定ユニット7により固定されたウェーハユニット17のウェーハ10の全体を撮影して、ウェーハ10の所定のチップ14と突き上げ機構50との位置合わせを行なうため等の画像を得、得た画像を制御ユニット400に出力する。
【0030】
(搬送ユニット)
搬送ユニット20は、ピックアップ機構70と、コレット移動手段であるコレット移動機構80とを有する。
【0031】
ピックアップ機構70は、複数のチップ14に分割され粘着テープ15で支持されたウェーハ10から突き上げ機構50により突き上げされた所定のチップ14をピックアップするものである。ピックアップ機構70は、図2に示すように、コレット移動機構80によりY軸方向とZ軸方向とに移動される移動基台72と、移動基台72からコレット移動機構80から離れる方向にX軸方向に延在したアーム74と、アーム74の先端に設けられチップ14を保持するコレット76とを備える。
【0032】
コレット76は、アーム74の先端の下端部に取り付けられている。コレット76は、下面77がエジェクタ等でからなる吸引源に接続して、吸引源により吸引されて、チップ14を吸引保持する保持面をなしている。即ち、搬送ユニット20は、チップ14を保持する保持面である下面77を有している。ピックアップ機構70は、コレット76の下面77に突き上げ機構50により突き上げられたチップ14を吸引保持し、コレット移動機構80により上昇されることで、所定のチップ14を粘着テープ15からピックアップする。
【0033】
また、実施形態1では、試験装置1は、突き上げ機構50の上面側に粘着テープ15からピックアップされる際にチップ14にかかる荷重を計測する計測手段であるロードセルを備えても良い。ロードセルは、計測結果を制御ユニット400に出力する。なお、本発明では、計測手段であるロードセルをピックアップ機構70のコレット76の下面77側に設けても良い。
【0034】
コレット移動機構80は、チップ14を粘着テープ15からピックアップするピックアップ位置と、強度測定機構200の後述する支持台210上にチップ14を載置する載置位置との間でコレット76を移動するものである。コレット移動機構80は、装置本体2上に設けられかつ移動テーブル90をY軸方向に移動する第2Y軸移動機構82と、第2Y軸移動機構82によりY軸方向に移動される移動テーブル90上に設けられかつ移動基台72即ちピックアップ機構70をZ軸方向に移動するZ軸移動機構92とを備える。
【0035】
第2Y軸移動機構82は、突き上げ機構50の上面とコレット76の下面77がZ軸方向に対面するピックアップ位置から移動テーブル90即ちピックアップ機構70をY軸方向に沿って強度測定機構200に向かって移動する。各移動機構82,92は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ86,96、ボールねじ86,96を軸心回りに回転させる周知のモータ88,98及び移動テーブル90又はピックアップ機構70をY軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレール84,94を備える。
【0036】
チップ観察機構100は、チップ14の表面11-1、裏面11-2及び側面を撮像して観察するものである。チップ観察機構100は、図1及び図2に示すように、装置本体2上の突き上げ機構50のY軸方向の隣りに配置された下方撮像ユニット102と、側方撮像ユニット112と、チップ14の上下を反転するチップ反転機構150とを備える。
【0037】
下方撮像ユニット102は、ピックアップ機構70のコレット76に保持されたチップ14を下方から撮像する下方撮像カメラ103を備える。下方撮像カメラ103は、コレット76の移動経路と重なる位置に配置されている。下方撮像ユニット102は、下方撮像カメラ103がチップ14を下方から撮像し、撮像して得た画像を制御ユニット400に出力する。
【0038】
側方撮像ユニット112は、チップ14を側方から即ちチップ14の側面を撮像するものである。側方撮像ユニット112は、下方撮像ユニット102のY軸方向の隣りに配置され、実施形態1では、下方撮像ユニット102よりも突き上げ機構50から離れた側に配置されている。
【0039】
側方撮像ユニット112は、チップ14を支持する柱状のチップ支持台114と、チップ14の側面を撮像する側面撮像カメラ113とを備える。
【0040】
チップ支持台114は、装置本体2から上方に向かって延びており、下方撮像カメラ103とY軸方向に並ぶ位置(即ち、コレット76の移動経路と重なる位置)に配置されている。チップ支持台114は、上面が水平方向と平行に平坦に形成され、上面上にピックアップ機構70のコレット76により搬送されたチップ14を支持する。また、チップ支持台114は、図示しない回転駆動源と接続されており、回転駆動源によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転する。
【0041】
側面撮像カメラ113は、チップ支持台114の上面上に配置されたチップ14の側面を撮影可能な位置に配置されている。側面撮像カメラ113は、チップ14の側面を撮像する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。側面撮像カメラ113は、チップ支持台114の上面に配置されたチップ14の側面を撮像し、撮像して得た画像を制御ユニット400に出力する。
【0042】
なお、試験装置1は、コレット76の移動経路と重なる位置にチップ支持台114を設けているため、コレット76によってチップ14をチップ支持台114の上面に配置できる。
【0043】
側方撮像ユニット112は、チップ支持台114によって支持されたチップ14の一側面を側面撮像カメラ113によって撮像する。その後、チップ支持台114を所定の角度回転させた後、側面撮像カメラ113によってチップ14の他の側面を撮像する。このようにして、側方撮像ユニット112は、側面撮像カメラ113によってチップ14の全ての側面(例えば、チップ14の4辺の側面)が撮像し、チップ14の厚さや、チップ14に形成された欠け(チッピング)の大きさ等を含んだ画像を得て、得た画像を制御ユニット400に出力する。また、側方撮像ユニット112は、チップ支持台114の回転角度を制御することにより、チップ14が強度測定機構200に配置される際における、チップ14の水平方向の向き(角度)を調整できる。
【0044】
上記の下方撮像ユニット102及び側方撮像ユニット112により、チップ観察機構100は、コレット76にピックアップされたチップ14の表面11-1、裏面11-2及び側面を撮像する。なお、本発明では、チップ14の側面を撮像する側面撮像カメラ113は、コレット76によって保持された状態のチップ14の側面を撮像可能な位置に設けられていてもよい。この場合、チップ14をチップ支持台114で支持することなくチップ14の側面を観察できるため、チップ14をチップ支持台114上に配置することによってチップ14の裏面11-2等が傷つくことを防止できる。
【0045】
チップ反転機構150は、側方撮像ユニット112のチップ支持台114の上方に配置されている。チップ反転機構150は、先端部でチップ14を保持した状態で、X軸方向と平行な軸心回りに基底部151を180°回転可能に構成されている。
【0046】
チップ反転機構150は、チップ14の上下に反転する際、チップ14を支持したチップ支持台114の上面に対して、図1及び図2中に実線で示す位置から基底部151を180°回転させて、図1及び図2中に点線で示す位置に位置付ける。チップ反転機構150は、先端部にチップ14を吸引保持し、基底部151を180°回転して、チップ14の上下を反転する。
【0047】
チップ反転機構150により反転されたチップ14は、ピックアップ機構70のコレット76により吸引保持されて、チップ反転機構150の先端部の吸引保持が停止した後、コレット移動機構80に移動されるコレット76により下方撮像ユニット102上又は強度測定機構200に搬送される。このように、チップ反転機構150は、チップ14の上下を反転する。
【0048】
(強度測定機構)
図4は、図1に示された試験装置の強度測定機構を示す斜視図である。図5は、図4に示しされた強度測定機構の支持台と圧子を第1方向に直交する第2方向であるX軸方向からみた側面図である。図6は、図4に示された強度測定機構の第1試験用圧子の先端を示す正面図である。図7は、図4に示された強度測定機構の第2試験用圧子の先端を示す正面図である。
【0049】
強度測定機構200は、ピックアップ機構70でピックアップされたチップ14の強度を計測する計測手段である。強度測定機構200は、チップ観察機構100とY軸方向の隣りに配置され、実施形態1では、チップ観察機構100よりも突き上げ機構50から離れた側に配置されている。また、実施形態1では、強度測定機構200は、コレット76の移動経路と重なる位置に配置されている。
【0050】
強度測定機構200は、図4に示すように、下部容器201(図1及び図2に示す)と、支持台210と、押圧ユニット220とを備える。下部容器201は、装置本体2上に配置され、上側に開口部202が形成された箱状に形成されている。
【0051】
支持台210は、ピックアップ機構70のコレット76によりピックアップされかつチップ観察機構100により表面11-1、裏面11-2及び側面が撮像されたチップ14を支持するものである。支持台210は、下部容器201内に収容され、コレット76の移動経路と重なる位置に配置されている。このために、コレット移動機構80は、コレット76を突き上げ機構50にZ軸方向に対向する位置から支持台210にZ軸方向に対向する位置に移動する。
【0052】
支持台210は、図4に示すように、チップ14を支持する一対の長尺支持部205と、長尺支持部205それぞれのX軸方向における位置と一対の長尺支持部205間の間隔とを変更する支持台移動機構219とを備える。一対の長尺支持部205は、互いにX軸方向に所定の間隔をあけて配設されている。長尺支持部205は、それぞれ、支持部材211と、接触部材214とを備える。
【0053】
支持部材211は、直方体状に形成されている。一対の長尺支持部205の支持部材211は、互いにX軸方向に間隔をあけて配置され、互いの間に所定の間隔が設けられている。また、一対の支持部材211は、上面の長手方向がY軸方向に沿って配置されている。一対の支持部材211は、上面側に強度が測定されるチップ14がコレット76等により配置される。このために、搬送ユニット20は、ウェーハユニット17からピックアップしたチップ14を支持台210上に載置する。なお、実施形態1では、支持部材211即ち支持台210は、チップ14の下面である裏面11-2側が載置され、裏面11-2を支持する。
【0054】
支持部材211は、それぞれ上面の互いに隣接する縁部に上方に突出する柱状(棒状)の支持突起213(支持部に相当)が形成され、上面の前述した縁部以外が接触部材214で被覆されている。即ち、支持台210は、一対の支持突起213を有する。支持突起213は、例えばステンレス鋼材等の金属でなり、所定の間隔を有して配設されるとともに、それぞれY軸方向と平行に伸長し、チップ14の裏面11-2側を支持する。なお、実施形態1では、支持突起213の上面の断面形状は、上方に凸の曲面に形成されている。
【0055】
接触部材214は、支持突起213よりも柔軟な材質(例えば、スポンジゴム等)により構成され、厚みが一定の板状に形成されている。接触部材214は、平面形状が矩形状に形成され、変形していない状態の厚みが支持突起213の上面からの突出量よりも厚い。
【0056】
接触部材214は、上面にチップ14の裏面11-2が重ねられて、チップ14を支持する。このために、接触部材214の上面は、チップ14の裏面11-2を支持する。なお、実施形態1では、変形していない状態の接触部材214の上面は、支持突起213の上端よりも1mm程度上方に配置される。このために、支持部材211上に配置されたチップ14は、裏面11-2が支持突起213から間隔をあけて、接触部材214の上面に接触する。また、支持突起213の上端213-1には、圧子227,228がチップ14を押圧すると、接触部材214が変形してチップ14の裏面11-2に接触して、裏面11-2を支持する。
【0057】
支持台移動機構219は、各支持部材211をX軸方向に移動させるものであって、装置本体2に固定された固定板215に回転自在に設けられたボールねじ216と、ボールねじ216を回転するモータ217と、各支持部材211をX軸方向に移動自在に支持するガイドレール218とを備える。
【0058】
押圧ユニット220は、支持台210に支持されたチップ14を押圧し、チップ14の押圧時に押圧ユニット220にかかる荷重を測定するとともに、支持台210に支持されたチップ14を押圧して破壊するものである。押圧ユニット220は、下部容器201の上方に設けられている。
【0059】
押圧ユニット220は、図4に示すように、移動手段である移動機構230と、移動基台221と、第1試験用圧子227と、第2試験用圧子228とを備える。
【0060】
移動機構230は、圧子227,228を一対の長尺支持部205で支持されたチップ14に対して相対的にZ軸方向に近接移動させるものである。移動機構230は、装置本体2から上方に延びて装置本体2に固定された支持板231と、支持板231に軸心回りに回転自在に支持されたボールねじ232と、ボールねじ232を軸心回りに回転するモータ233と、移動基台221をZ軸方向に移動自在に支持するガイドレール234とを備える。
【0061】
支持板231、ボールねじ232及びガイドレール234の長手方向は、Z軸方向と平行である。ボールねじ232は、移動基台221に設けられたねじ孔に螺合している。ガイドレール234は、支持板231に取り付けられている。移動機構230は、モータ233がボールねじ232を軸心回りに回転することで、移動基台221を介して圧子227をZ軸方向に移動する。
【0062】
移動基台221は、直方体状に形成され、下面側に下方に延びた円筒状の第1支持部材222が接続されており、第1支持部材222の下端側にロードセル等からなる荷重計測手段である荷重計測器223が固定されている。荷重計測器223は、圧子227,228が一対の長尺支持部205で支持されたチップ14を押圧する荷重を計測し、計測結果を制御ユニット400に出力する。即ち、押圧ユニット220は、圧子227,228が一対の長尺支持部205で支持されたチップ14を押圧する際の荷重を計測する荷重計測器223を備える。
【0063】
荷重計測器223の下側には、円筒状の第2支持部材224を介して挟持部材225が取り付けられている。挟持部材225は、正面視で略門型形状に形成されており、互いに対向する一対の挟持面226間に一対の長尺支持部205によって支持されたチップ14を押圧する圧子227,228が固定されている。
【0064】
第1試験用圧子227は、支持台210で支持されたチップ14を押圧して第1の試験である3点曲げ試験を行うものである。第2試験用圧子228は、支持台210で支持されたチップ14を押圧して第1の試験とは異なる第2の試験である4点曲げ試験を行うものである。圧子227,228は、長尺支持部205の上方で且つ一対の長尺支持部205の間の上方に配置され、長尺支持部205の支持突起213と平行にY軸方向に伸張しているとともに、図4及び図5に示すように、Y軸方向に並設されている。
【0065】
第1試験用圧子227は、下方に向かうにしたがって幅が狭くなる先細りの一体の板状に形成され、図6に示すように、下端に下側に凸の曲面に形成された第1端部227-1を含む。第1端部227-1は、Y軸方向に伸長している。第2試験用圧子228は、一体の板状に形成され、図7に示すように、下端に下方に向かうにしたがって幅が狭くなる先細りでかつ下側に凸の曲面に形成された第2端部228-2と第3端部228-3とを含む。第2端部228-2と第3端部228-3とは、X軸方向に隣接し、それぞれY軸方向に伸長しているとともに、互いに同一形状に形成されて下端が同一平面上に位置する。
【0066】
第1端部227-1、第2端部228-2及び第3端部228-3は、支持台210の支持突起213で支持されたチップ14の上面である表面11-1にそれぞれ当接し、押圧するものである。圧子227,228は、上端がY軸方向と平行に挟持部材225により支持され、各端部227-1,228-2,228-3が一対の長尺支持部205間の上方に配置される。なお、実施形態1では、第1試験用圧子227が、第2試験用圧子228よりもチップ観察機構100寄り即ち搬送ユニット20のチップ14の搬送経路の上流側に配置されている。
【0067】
また、実施形態1にかかる試験装置1では、チップ14が載置される支持台210上は、図4及び図5に示すように、第1試験用圧子227で押圧されるチップ14が載置される第1試験用領域210-1と、Y軸方向において第1試験用領域210-1に隣接しかつ第2試験用圧子228で押圧されるチップ14が載置される第2試験用領域210-2とを含む。第1試験用領域210-1は、Z軸方向に沿って第1試験用圧子227に対面し、第2試験用領域210-2は、Z軸方向に沿って第2試験用圧子228に対面する。
【0068】
このように、実施形態1において、支持台210上の第1試験用領域210-1と第2試験用領域210-2とは、Y軸方向に並設されている。また、実施形態1では、支持台210のY軸方向の全長と、圧子227,228を合わせたY軸方向の全長とが等しく、第1試験用領域210-1のY軸方向の全長と第1試験用圧子227の第1端部227-1のY軸方向の全長とが略等しく、第2試験用領域210-2のY軸方向の全長と第2試験用圧子228の第2端部228-2及び第3端部228-3のY軸方向の全長とが略等しい。
【0069】
強度測定機構200は、チップ14の抗折強度を測定する際は、移動基台221と圧子227,228等を移動機構230により上方に位置付けた状態で、支持台移動機構219により一対の支持部材211のX軸方向における位置を調整するとともに、チップ14の寸法等に応じた間隔に一対の支持部材211間の間隔を調整する。強度測定機構200は、一対の支持部材211上にコレット76等によりチップ14が載置される。このときチップ14は、両端部が支持部材211によって支持され、中央部が長尺支持部205間と重なる。
【0070】
なお、チップ14を一対の支持部材211上に配置する際にチップ14の裏面11-2側が支持突起213と接触すると、配置の際の衝撃によってチップ14の裏面11-2側が傷つくことがある。この場合、チップ14の抗折強度が変化してしまい、複数のチップ14の抗折強度を同一の条件で測定することが困難になることがある。
【0071】
このため、実施形態1では、強度測定機構200は、支持部材211の上面側に柔軟な材料でなる接触部材214を設けて、接触部材214の上面が支持突起213の上端よりも上方に位置する。実施形態1では、強度測定機構200は、チップ14を一対の支持部材211上に配置すると、チップ14が支持突起213に接触することなく接触部材214の上面と接触し、上面で支持される。これにより、強度測定機構200は、チップ14を配置する際にチップ14の裏面11-2側が支持突起213と接触して傷つくことを防止でき、チップ14の抗折強度の変化を抑制できる。
【0072】
強度測定機構200は、移動基台221と圧子227,228と上部容器240等を移動機構30により降下させて、圧子227,228でチップ14を押圧し、チップ14の押圧によって圧子227,228にかかる荷重(Z軸方向の力)を荷重計測器223によって計測し、計測結果を適宜制御ユニット400に出力しながら圧子227,228でチップ14を破壊する。強度測定機構200は、チップ14の一対の支持突起213及び第1試験用圧子227の第1端部227-1を用いた3点曲げ試験を行い、この3点曲げ試験中の荷重を計測し、計測結果を制御ユニット400に出力する。また、強度測定機構200は、チップ14の一対の支持突起213及び第2試験用圧子228の第2端部228-2及び第3端部228-3を用いた4点曲げ試験を行い、この4点曲げ試験中の荷重を計測し、計測結果を制御ユニット400に出力する。
【0073】
なお、強度測定機構200は、チップ14に3点曲げ試験を行う際には、チップ14を支持台210の第1試験用領域210-1上で支持し、支持したチップ14を第1試験用圧子227の第1端部227-1で押圧して破壊する。また、強度測定機構200は、チップ14に4点曲げ試験を行う際には、チップ14を支持台210の第2試験用領域210-2上で支持し、支持したチップ14を第2試験用圧子228の第2端部228-2及び第2端部228-2で押圧して破壊する。
【0074】
(制御ユニット)
制御ユニット400は、試験装置1の上述した各ユニットをそれぞれ制御して、各チップ14に対する測定動作を試験装置1に実施させるものである。制御ユニット400は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット400の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、試験装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して試験装置1の上述した各ユニットに出力する。
【0075】
また、制御ユニット400は、測定動作の状態や画像などを表示する表示画面301を有する表示手段である表示ユニット300と、制御ユニット400に接続されかつオペレータが試験装置1の制御ユニット400に情報などを入力する際に用いる入力手段であるタッチパネル302とが接続されている。表示ユニット300は、液晶表示装置などにより構成される。タッチパネル302は、表示ユニット300の表示画面301に重ねられる。
【0076】
次に、前述した構成の試験装置1のチップ14を破壊して荷重を測定する測定動作を説明する。図8は、図1に示された試験装置が支持台の第1試験用領域にチップを載置した状態を示す断面図である。図9は、図1に示された試験装置が支持台の第2試験用領域にチップを載置した状態を示す断面図である。図10は、図8に示されたチップが破壊された状態を示す断面図である。図11は、図9に示されたチップが破壊された状態を示す断面図である。
【0077】
試験装置1は、オペレータ等により複数のウェーハユニット17を収容したカセット4をカセット載置台3に設置され、タッチパネル302等が操作されて、測定条件が制御ユニット400に入力される。なお、測定条件は、各ウェーハユニット17の各チップ14の位置と、各チップ14に実施される試験が3点曲げ試験であるか4点曲げ試験であるかを1対1で対応付けられた情報を含む。
【0078】
試験装置1は、制御ユニット400がオペレータの測定開始指示を受け付けると、制御ユニット400が搬出入ユニット5を制御して測定前のウェーハ10を含むウェーハユニット17をカセット4から搬出させて一対の仮置きレール6上に仮置きさせ、搬出入ユニット5を制御して、仮置きレール6上に仮置きされたウェーハユニット17の環状フレーム16をフレーム固定ユニット7の降下したフレーム支持部材18上に載置させる。制御ユニット400は、フレーム固定ユニット7を制御して、フレーム支持部材18を上昇させて、ウェーハユニット17をフレーム固定ユニット7で固定した後、移動機構30を制御して、フレーム固定ユニット7により固定されたウェーハユニット17を突き上げ機構50上に位置付ける。
【0079】
試験装置1は、制御ユニット400が撮像カメラ60にフレーム固定ユニット7に固定されたウェーハユニット17のウェーハ10を撮像させて、ウェーハ10の所定のチップ14と突き上げ機構50との位置合わせを遂行する。試験装置1は、制御ユニット400が、突き上げ機構50を制御して、突き上げ部52を上昇させて所定のチップ14を突き上げて、ピックアップ機構70等を制御して所定のチップ14をコレット76に吸引保持する。試験装置1は、制御ユニット400がチップ観察機構100を制御して、測定条件で定められた表面11-1、裏面11-2及び側面を撮像してこれらの画像を取得し、記憶装置に記憶した後、強度測定機構200の一対の長尺支持部205上にチップ14の裏面11-2を載置する。
【0080】
この際、試験装置1は、制御ユニット400が測定条件を参照してコレット76に吸引保持したチップ14が3点曲げ試験を行うチップである場合には、図8に示すように、チップ14を支持台210上の第1試験用領域210-1に搬送する。また、試験装置1は、制御ユニット400が測定条件を参照してコレット76に吸引保持したチップ14が4点曲げ試験を行うチップである場合には、図9に示すように、チップ14を支持台210上の第2試験用領域210-2に搬送する。こうして、搬送ユニット20は、3点曲げ試験を行うチップ14を第1試験用領域210-1に搬送し、4点曲げ試験を行うチップ14を第2試験用領域210-2に搬送する。
【0081】
実施形態1において、試験装置1は、制御ユニット400が強度測定機構200を制御して圧子227,228等を移動機構230により降下させて、圧子227,228の端部227-1,228-2,228-3をチップ14の表面11-1側に接触させ、チップ14を圧子227,228により押圧する。また、チップ14の押圧によって圧子227,228にかかる荷重(Z軸方向の力)が、荷重計測器223によって計測され、計測結果が適宜制御ユニット400に出力される。
【0082】
試験装置1は、制御ユニット400が強度測定機構200を制御して、圧子227,228等を更に降下させて、チップ14を圧子227,228により更に押圧し、チップ14を支持する接触部材214を変形させるとともにチップ14を撓ませる。その結果、チップ14の裏面11-2側が支持部材211の支持突起213と接触して、チップ14が一対の支持突起213によって支持され、チップ14を押圧する圧子227にかかる荷重が増大する。なお、このとき、接触部材214の柔軟性によっては、接触部材214の変形のみが生じチップ14の撓みが生じない場合もある。
【0083】
試験装置1は、制御ユニット400が強度測定機構200を制御して、圧子227,228を更に降下させ、圧子227,228からチップ14に付与される押圧力を所定の値を超えさせて、図10及び図11に示すように、チップ14を破壊する。チップ14が破壊されると、荷重計測器223によって測定される荷重が最大値からゼロになる。そのため、強度測定機構200は、荷重計測器223によって測定された荷重の値の変化からチップ14が破壊されたタイミングを検出できる。また、荷重計測器223によって測定された荷重の最大値が、チップ14の強度に対応する。試験装置1は、制御ユニット400がチップ14が破壊されたタイミングを検出すると、強度測定機構200を制御して、移動機構230により圧子227,228を上昇させる。
【0084】
試験装置1は、チップ14に3点曲げ試験を実施する際には、図10に示すように、支持台210の第1試験用領域210-1に載置されたチップ14を第1試験用圧子227の第1端部227-1で押圧して、チップ14を破壊する。また、試験装置1は、チップ14に4点曲げ試験を実施する際には、図11に示すように、支持台210の第2試験用領域210-2に載置されたチップ14を第2試験用圧子228の第2端部228-2及び第3端部228-3で押圧して、チップ14を破壊する。
【0085】
こうして、試験装置1は、支持台210で支持されたチップ14を押圧ユニット220で押圧する際に、3点曲げ試験を行う場合に第1試験用圧子227で押圧して破壊し、4点曲げ試験を行う場合に第2試験用圧子228で押圧して破壊して、第1試験用圧子227と第2試験用圧子228とが選択自在に構成される。試験装置1は、測定条件で定められたチップ14を圧子227,228で順に押圧し破壊して、荷重を測定すると、ウェーハユニット17をカセット4に収容して測定動作を終了する。
【0086】
以上説明したように、実施形態1に係る試験装置1は、チップ14に第1の試験である3点曲げ試験を行うための第1試験用圧子227と、第1の試験とは異なる第2の試験である4点曲げ試験を行うための第2試験用圧子228と、を有し、支持台210で支持されたチップ14を押圧ユニット220で押圧する際に第1試験用圧子227と第2試験用圧子228とが選択自在に構成される。
【0087】
その結果、実施形態1に係る試験装置1は、複数種類の試験を実施することができるという効果を奏する。
【0088】
また、試験装置1は、圧子227,228、特に、第2試験用圧子228が一体に板状に形成されているので、第2端部228-2と第3端部228-3とが一体化しており、特に第2の試験である4点曲げ試験を行う際の確認や調整を容易に行うことができる。
【0089】
なお、本発明は、上記実施形態等に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本発明では、支持台210と押圧ユニット220とを第1方向であるY軸方向に相対的に移動させる移動機構を設けて、測定条件において、支持台210上に載置されたチップ14を圧子227,228のいずれかで押圧し破壊して、3点曲げ試験と4点曲げ試験のうちいずれかを実施しても良い。
【符号の説明】
【0090】
1 試験装置
11-1 表面(上面)
11-2 裏面(下面)
14 チップ(試験片)
20 搬送ユニット
210 支持台
210-1 第1試験用領域
210-2 第2試験用領域
213 支持突起(支持部)
220 押圧ユニット
223 荷重計測器
227 第1試験用圧子
227-1 第1端部
228 第2試験用圧子
228-2 第2端部
228-3 第3端部
Y 第1方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11