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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025085224
(43)【公開日】2025-06-05
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20250529BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20250529BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20250529BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20250529BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/039 601
G02B1/04
G02B3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023198941
(22)【出願日】2023-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】磯部 信吾
(72)【発明者】
【氏名】倉田 岬
(72)【発明者】
【氏名】引田 二郎
【テーマコード(参考)】
2H225
【Fターム(参考)】
2H225AE03P
2H225AE06P
2H225AF18P
2H225AF25P
2H225AF42P
2H225AF43P
2H225AF79P
2H225AF85P
2H225AF99P
2H225AH04
2H225AJ04
2H225AJ48
2H225AN39P
2H225AN57P
2H225BA01P
2H225BA22P
2H225CA19
2H225CB08
2H225CC03
2H225CC15
(57)【要約】
【課題】フォトリソグラフィー特性に優れ、耐薬品性に優れる樹脂膜を形成できる感光性樹脂組成物と、当該感光性樹脂組成物の硬化物と、前述の感光性樹脂組成物を用いる硬化物の製造方法と、前述の感光性樹脂組成物を用いる光学素子の製造方法とを提供すること。
【解決手段】ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)と、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する光酸発生剤(B)と、架橋剤(C)と、を含む感光性樹脂組成物において、フェノール性水酸基の一部がアセタール型保護基されているポリヒドロスチレン樹脂(A)と、2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(C1)とを用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)と、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する光酸発生剤(B)と、架橋剤(C)と、を含む感光性樹脂組成物であって、
前記ポリヒドロスチレン樹脂(A)において、フェノール性水酸基の一部がアセタール型保護基により保護されており、
前記架橋剤(C)は、2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(C1)である、
感光性樹脂組成物。
【請求項2】
さらに、熱酸発生剤(D)を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記光酸発生剤(B)が、波長200nm以上300nm以下の活性光線又は放射線に感応し酸を発生させる光酸発生剤(B-a)である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記光酸発生剤(B)が、ジアゾメタン型光酸発生剤(B1)、及び/又はオニウム塩型光酸発生剤(B2)を含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)100質量部に対して、1.0質量部以上20質量部以下の前記架橋剤(C)を含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物の硬化物。
【請求項7】
基材上に、n種のマイクロレンズを含む複数のマイクロレンズを備える、光学素子の製造方法であって、
前記nは、2以上の整数であり、
前記製造方法が、前記基材上に樹脂膜を形成することと、
前記樹脂膜上に、前記複数のマイクロレンズの形状に応じた形状のマスクを形成することと、
前記マスクとともに、前記樹脂膜をエッチングすることにより、前記マスクの形状が転写された、前記複数のマイクロレンズを形成することと、を含み、
前記マスクが、下記(i)~(iii):
(i)前記樹脂膜上に、第m番目の感光性樹脂組成物を塗布して、第m番目の塗布膜を形成することと、
(ii)前記第m番目の塗布膜を、露光、及び現像して、前記基材上の第m番目のマイクロレンズが形成される位置に対応する位置に第m番目のドットを形成することと、
(iii)前記第m番目のドットを加熱することで、前記第m番目のドットを前記第m番目のマイクロレンズの形状に応じた形状に変形させることと、
の操作を、n回繰り返し行うことにより形成され、
前記mは、1以上n以下の整数であり、
前記マスクの形成において使用される、第1番目~第n番目の前記感光性樹脂組成物は、同一であっても異なっていてもよく、
第1番目~第n番目の前記感光性樹脂組成物のうちの少なくとも1つが、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物であり、
請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物を用いて前記塗布膜を形成する場合、露光後、且つ現像前に、前記塗布膜を加熱しない、製造方法。
【請求項8】
前記nが2である、請求項7に記載の光学素子の製造方法。
【請求項9】
前記マスクの形成において、前記樹脂膜上に最初に塗布される感光性樹脂組成物が、前記感光性樹脂組成物である、請求項7に記載の光学素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、当該感光性樹脂組成物の硬化物、及び前述の感光性樹脂組成物を用いる光学素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラ、ビデオカメラ等には、固体撮像素子が用いられている。この固体撮像素子には、CCD(charge-coupled device)イメージセンサや、CMOS(complementary metal-oxide semiconductor)イメージセンサが用いられている。イメージセンサには集光率の向上を目的とした微細な集光レンズ(以下、マイクロレンズと呼ぶ)が設けられている。
【0003】
かかるマイクロレンズを形成する方法として、サーマルフロー法と呼ばれる方法が工業的に広く採用されている。
サーマルフロー法においては、まず、CCD素子等の上部にフォトレジスト膜が形成される。フォトレジスト膜は、感光性樹脂組成物等により構成される膜である。その後、フォトレジスト膜を、露光、現像することで、素子上に樹脂からなるドットパターンを形成する。ドットパターンは、マイクロレンズが形成されるべき箇所に位置する、複数のドットからなる。ドットパターンを構成する各ドットは、略円筒形状、又は略円錐台形状を有する。ドットパターンを、ドットを構成する樹脂材料のガラス転移点以上の温度で加熱することでドットを構成する樹脂材料が流動し、表面張力により、各ドットの形状が半球状のレンズ形状に変化する。このようにして、マイクロレンズのパターンが形成される(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
また、CCD又はCMOSイメージセンサ用マイクロレンズの作製方法の1つとして、エッチバック法が知られている。この方法では、まず、カラーフィルター上にマイクロレンズ用樹脂層を形成する。次いで、上記特許文献1に記載のサーマルフロー法と同様の方法により、感光性樹脂組成物を用いて、マイクロレンズ用樹脂層上にレンズパターンを形成する。このようにして形成されたレンズパターンをエッチングマスクとして下層のマイクロレンズ用樹脂層をエッチバックし、レンズパターン形状をマイクロレンズ用樹脂層に転写することによってマイクロレンズが作製される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-15245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光学素子の用途によっては、光学素子中に、サイズ、屈折率、又は形状の異なるマイクロレンズが形成される場合がある。
この場合、上記のサーマルフロー法やエッチバック法において、マイクロレンズのパターンや、マイクロレンズ形状を有するマスクパターンを形成するためには、多くの作業工程が必要である。そうすると、ドット、マイクロレンズのパターン、マイクロレンズ形状を有するマスクパターン等が、光学素子の製造工程において、有機溶媒等の薬液に頻繁にさらされる。
また、光学素子中に、サイズ、屈折率、又は形状の異なるマイクロレンズを形成するためには、所望するサイズ、屈折率、又は形状のマイクロレンズやマスクパターンを所定の位置に形成する必要がある。このためには、感光性樹脂組成物に、良好なフォトリソグラフィー特性が求められる。
以上の通り、マイクロレンズの形成に用いられる感光性樹脂組成物には、優れたフォトリソグラフィー特性と、耐薬品性に優れる樹脂膜を形成できることとが求められる。
【0007】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、フォトリソグラフィー特性に優れ、耐薬品性に優れる樹脂膜を形成できる感光性樹脂組成物と、当該感光性樹脂組成物の硬化物と、前述の感光性樹脂組成物を用いる硬化物の製造方法と、前述の感光性樹脂組成物を用いる光学素子の製造方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)と、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する光酸発生剤(B)と、架橋剤(C)と、を含む感光性樹脂組成物において、フェノール性水酸基の一部がアセタール型保護基されているポリヒドロスチレン樹脂(A)と、2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(C1)とを用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。具体的には本発明は以下のものを提供する。
【0009】
本発明の第1の態様は、ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)と、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する光酸発生剤(B)と、架橋剤(C)と、を含む感光性樹脂組成物であって、
前記ポリヒドロスチレン樹脂(A)において、フェノール性水酸基の一部がアセタール型保護基により保護されており、
前記架橋剤(C)は、2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(C1)である、感光性樹脂組成物である。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様にかかる感光性樹脂組成物の硬化物である。
【0011】
本発明の第3の態様は、
基材上に、n種のマイクロレンズを含む複数のマイクロレンズを備える、光学素子の製造方法であって、
nは、2以上の整数であり、
製造方法が、基材上に樹脂膜を形成することと、
樹脂膜上に、複数のマイクロレンズの形状に応じた形状のマスクを形成することと、
マスクとともに、樹脂膜をエッチングすることにより、マスクの形状が転写された、複数のマイクロレンズを形成することと、を含み、
マスクが、下記(i)~(iii):
(i)樹脂膜上に、第m番目の感光性樹脂組成物を塗布して、第m番目の塗布膜を形成することと、
(ii)第m番目の塗布膜を、露光、及び現像して、基材上の第m番目のマイクロレンズが形成される位置に対応する位置に第m番目のドットを形成することと、
(iii)第m番目のドットを加熱することで、第m番目のドットを第m番目のマイクロレンズの形状に応じた形状に変形させることと、
の操作を、n回繰り返し行うことにより形成され、
mは、1以上n以下の整数であり、
マスクの形成において使用される、第1番目~第n番目の感光性樹脂組成物は、同一であっても異なっていてもよく、
第1番目~第n番目の感光性樹脂組成物のうちの少なくとも1つが、第1の態様にかかる感光性樹脂組成物であり、
第1の態様にかかる感光性樹脂組成物を用いて塗布膜を形成する場合、露光後、且つ現像前に、塗布膜を加熱しない、製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フォトリソグラフィー特性に優れ、耐薬品性に優れる樹脂膜を形成できる感光性樹脂組成物と、当該感光性樹脂組成物の硬化物と、前述の感光性樹脂組成物を用いる光学素子の製造方法とを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
≪感光性樹脂組成物≫
感光性樹脂組成物は、ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)と、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する光酸発生剤(B)と、架橋剤(C)とを含む。
ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)において、フェノール性水酸基の一部がアセタール型保護基により保護されている。
架橋剤(C)は、2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(C1)である。
上記の構成を備える感光性樹脂組成物は、フォトリソグラフィー特性に優れる。また、上記の構成を備える感光性樹脂組成物を用いる場合、耐薬品性に優れる樹脂膜が形成される。
【0014】
<ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)>
感光性樹脂組成物は、ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)を含む。ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)において、フェノール性水酸基の一部がアセタール型保護基により保護されている。
かかるポリヒドロキシスチレン樹脂(A)は、露光により光酸発生剤(B)が発生させる酸の作用により良好に脱保護され、現像液に対して溶解性が変化する。このため、上記のポリヒドロキシスチレン樹脂(A)を含む感光性樹脂組成物を用いて、現像を含むフォトリソグラフィー法によりパターン化された樹脂膜を形成すると、所望する形状にパターニングされた樹脂膜を得やすい。現像液としては、所望する形状にパターニングされた樹脂膜を得やすいことから、アルカリ現像液を用いるのが好ましい。
【0015】
ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)の好適な例としては、下記式(a1)で表される構成単位、及び下記式(a2)で表される構成単位を有する樹脂が挙げられる。以下、式(a1)で表される構成単位を、「構成単位(a1)」とも記す。式(a2)で表される構成単位を、「構成単位(a2)」とも記す。
【0016】
【化1】
(式(a1)中、Ra1は、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、又はハロゲン化アルキル基である。Ra2は水素原子、又はアルキル基である。pは、1以上5以下の整数である。qは、0以上4以下の整数である。)
【0017】
【化2】
(式(a2)中、Ra3は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、又はハロゲン化アルキル基である。Ra4、Ra5、及びRa6は、それぞれ独立に、水素原子、又はアルキル基である。Ra7は、アルキル基、又はシクロアルキル基である。rは、1以上5以下の整数である。s、及びtは、それぞれ独立に、0以上4以下の整数である。)
【0018】
式(a1)、及び式(a2)中、Ra1、及びRa3は、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、又はハロゲン化アルキル基である。
a1、及びRa3としてのアルキル基の炭素原子数は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。Ra1、及びRa3としてのアルキル基の炭素原子数は、1以上5以下が好ましい。Ra1、及びRa3としてのアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。Ra1、及びRa3としてのアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、及びネオペンチル基等が挙げられる。工業的にはメチル基が好ましい。
【0019】
a1、及びRa3としてのハロゲン原子、又はハロゲン化アルキルにおけるハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられる。これらの中では、フッ素原子が好ましい。ハロゲン化アルキル基としては、上述した炭素原子数1以上5以下のアルキル基における一部又は全部の水素原子がハロゲン原子で置換された基が好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。ハロゲン化アルキル基の好適な具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、及びノナフルオロブチル基等のフッ素化アルキル基が挙げられる。
【0020】
a1、及びRa3としては、水素原子、及びメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0021】
a2、及びRa4としてのアルキル基の炭素原子数は、1以上5以下が好ましい。Ra2、及びRa4としてのアルキル基の好適な例は、Ra1、及びRa3としてのアルキル基の好適な例と同様である。
【0022】
q、s、及びtは、それぞれ独立に0以上4以下の整数である。これらのうち、q、s、及びtは0又は1であることが好ましく、特に工業上0であることが好ましい。
【0023】
式(a1)において、qが1である場合、Ra2の置換位置は、式(a1)中のベンゼン環上の、Ra1と結合する炭素原子に結合する炭素原子の位置に対して、o-位、m-位、p-位のいずれでもよい。
qが2以上4以下の整数である場合、Ra2は、式(a1)中のベンゼン環上の任意の位置に結合し得る。
【0024】
式(a2)において、tが1である場合、Ra4の置換位置は、式(a2)中のベンゼン環上の、Ra3と結合する炭素原子に結合する炭素原子の位置に対して、o-位、m-位、p-位のいずれでもよい。
tが2以上4以下の整数である場合、Ra4は、式(a2)中のベンゼン環上の任意の位置に結合し得る。
【0025】
式(a1)において、pは、1以上5以下の整数であり、1以上3以下の整数が好ましく、1がより好ましい。
式(a2)において、sは、0以上4以下の整数であり、0以上3以下の整数が好ましく、0又は1がより好ましい。
pが1であるか、sが1である場合、式(a1)、及び式(a2)における水酸基の置換位置は、式(a1)、又は式(a2)中のベンゼン環上の、Ra1、又はRa3と結合する炭素原子に結合する炭素原子の位置に対して、o-位、m-位、p-位のいずれでもよく、式(a1)、又は式(a2)で表される構成単位を与える単量体が容易に入手可能で低価格であることからp-位が好ましい。
式(a1)において、pが2以上5以下の整数であるか、式(a2)において、sが2以上4以下の整数である場合、水酸基は、式(a1)、及び式(a2)中のベンゼン環上の任意の位置に結合し得る。
【0026】
式(a2)において、rは1以上5以下の整数であり、1以上3以下の整数が好ましく、1がより好ましい。
rが1である場合、式(a2)における-C(Ra5)(Ra6)ORa7で表される基の置換位置は、式(a2)中のベンゼン環上の、Ra3と結合する炭素原子に結合する炭素原子の位置に対して、o-位、m-位、p-位のいずれでもよい。
式(a2)において、rが2以上5以下の整数である場合、-C(Ra5)(Ra6)ORa7で表される基は、式(a2)中のベンゼン環上の任意の位置に結合し得る。
【0027】
式(a2)中の-C(Ra5)(Ra6)ORa7で表されるアセタール型保護基において、Ra5、及びRa6は、それぞれ独立に、水素原子、又はアルキル基である。Ra7は、アルキル基又はシクロアルキル基である。Ra5、Ra6、及びRa7の少なくとも2種は、互いに結合して環を形成してもよい。
【0028】
a5、又はRa6としてのアルキル基の炭素原子数は、1以上6以下が好ましい。Ra5、又はRa6としてのアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
a7としてのアルキル基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましい。Ra7としてのアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
a7としてのシクロアルキル基の炭素原子数は、例えば、3以上10以下が好ましい。
【0029】
Ra、Ra6、又はRa7としてのアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、及びネオペンチル基等が挙げられる。
a7としてのシクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。
【0030】
式(a2)中の-C(Ra5)(Ra6)ORa7で表されるアセタール型保護基の具体例としては、1-メトキシエチル基、1-エトキシエチル基、1-n-プロポキシエチル基、1-イソプロポキシエチル基、1-n-ブトキシエチル基、1-イソブトキシエチル基、1-tert-ブトキシエチル基、1-シクロヘキシロキシエチル基、1-メトキシプロピル基、1-エトキシプロピル基、1-メトキシ-1-メチル-エチル基、及び1-エトキシ-1-メチルエチル基等が挙げられる。
【0031】
ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)は、1種又は2種以上の構成単位(a1)を含んでいてもよい。ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)は、1種又は2種以上の構成単位(a2)を含んでいてもよい。
ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)における構成単位(a1)の比率と、構成単位(a2)の比率との合計は、ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)を構成する全構成単位のモル数に対し、50モル%以上100モル%以下が好ましく、70モル%以上100モル%以下がより好ましく、80モル%以上100モル%以下がさらに好ましく、90モル%以上100モル%以下が特に好ましく、100モル%が最も好ましい。
【0032】
構成単位(a1)のモル数と、構成単位(a2)のモル数との合計に対する、構成単位(a2)のモル数の割合は、10モル%以上60モル%以下が好ましく、20モル%以上40モル%以下がより好ましい。この比率は、ヒドロキシスチレンに由来する水酸基の保護率である。保護率が上記範囲内であると、パターニング特性が特に良好である感光性樹脂組成物を得やすい。
【0033】
ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)を構成する全構成単位のモル数に対する、構成単位(a2)のモル数の割合は、10モル%以上60モル%以下が好ましく、20モル%以上40モル%以下がより好ましい。
【0034】
ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)は、構成単位(a1)、及び構成単位(a2)以外のその他の構成単位(a3)を含んでいてもよい。
その他の構成単位(a3)を与える他の単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、及びマレイミド類等が挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0035】
(メタ)アクリル酸エステルの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、tert-オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2-ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルにおいて、脂環式骨格を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
【0036】
(メタ)アクリルアミド類の例としては、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N-アリール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-アリール(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル-N-メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0037】
アリル化合物の例としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等のアリルエステル類;アリルオキシエタノール;等が挙げられる。
【0038】
ビニルエーテル類の例としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1-メチル-2,2-ジメチルプロピルビニルエーテル、2-エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等の脂肪族ビニルエーテル;ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニル-2,4-ジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等のビニルアリールエーテル;等が挙げられる。
【0039】
ビニルエステル類の例としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル-β-フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、テトラクロロ安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。
【0040】
スチレン類の例としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、4-メトキシ-3-メチルスチレン、ジメトキシスチレン等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2-ブロモ-4-トリフルオロメチルスチレン、4-フルオロ-3-トリフルオロメチルスチレン等のハロスチレン;等が挙げられる。
【0041】
マレイミド類としては、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-n-プロピルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-n-ブチルマレイミド、N-n-ペンチルマレイミド、N-n-ヘキシルマレイミド等の炭素原子数1以上10以下のアルキル基でN置換されたマレイミド;N-シクロペンチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-シクロヘプチルマレイミド等の炭素原子数3以上20以下の脂環式基でN置換されたマレイミド:N-フェニルマレイミド、N-α-ナフチルマレイミド、N-β-ナフチルマレイミド等の炭素原子数6以上20以下のアリール基でN置換されたN-アリールマレイミド;N-ベンジルマレイミド、N-フェネチルマレイミド等の炭素原子数7以上20以下のアラルキル基でN置換されたN-アラルキルマレイミドが挙げられる。
【0042】
ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、5000以上30000以下であることが好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0043】
<光酸発生剤(B)>
感光性樹脂組成物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する光酸発生剤(B)を含む。露光により光酸発生剤(B)が発生させる酸の作用により、ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)が脱保護され、現像液に対して溶解性が変化することにより、感光性樹脂組成物をフォトリソグラフィー法によりパターニングに好適に適用できる。
【0044】
光酸発生剤(B)としては、特に限定されず、これまで感光性樹脂組成物に配合されている光酸発生剤を特に限定なく用いることができる。光酸発生剤(B)としては、波長200nm以上300nm以下の活性光線又は放射線に感応し酸を発生させる光酸発生剤(B-a)が好ましい。
光酸発生剤(B)としては、ヨードニウム塩やスルホニウム塩等のオニウム塩型光酸発生剤;オキシムスルホネート型光酸発生剤;ジアゾメタン型光酸発生剤;ニトロベンジルスルホネート型光酸発生剤;イミノスルホネート型光酸発生剤;ジスルホン型光酸発生剤等が挙げられる。
これらのなかでは、フォトリソグラフィー特性に優れる感光性樹脂組成物を得やすいことから、ジアゾメタン型光酸発生剤又はオニウム塩型光酸発生剤が好ましい。以下、ジアゾメタン型酸発生剤を、ジアゾメタン型光酸発生剤(B1)とも記す。オニウム塩型酸発生剤を、オニウム塩型光酸発生剤(B2)とも記す。
以下、ジアゾメタン型光酸発生剤(B1)、及びオニウム塩型光酸発生剤(B2)について説明する。
【0045】
〔ジアゾメタン型光酸発生剤(B1)〕
以下、ジアゾメタン型光酸発生剤(B1)について説明する。
ジアゾメタン型光酸発生剤(B1)としては、例えば、ビス(アルキルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロアルキルスルホニル)ジアゾメタン、及びビス(アリールスルホニル)ジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタン化合物が挙げられる。
【0046】
ビススルホニルジアゾメタン化合物の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1-ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4-ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
【0047】
ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタンを、ジアゾメタン型光酸発生剤(B2)として用いることもできる。ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタンとしては、例えば、1,3-ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4-ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6-ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10-ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2-ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3-ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6-ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、及び1,10-ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン等が挙げられる。
【0048】
〔オニウム塩型光酸発生剤(B2)〕
オニウム塩型光酸発生剤(B2)の好適な例としては、下式(b-1)で表される化合物、又は式(b-2)で表される化合物が挙げられる。以下、式(b-1)で表される化合物を「(b-1)成分」ともいう。式(b-2)で表される化合物を「(b-2)成分」ともいう。
【0049】
【化3】
(式(b-1)、及び式(b-2)中、R101及びR104~R105は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、又は置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基である。R104とR105とは互いに結合して環を形成してもよい。R102は、炭素原子数1以上5以下のフッ素化アルキル基、又はフッ素原子である。Y101は、酸素原子を含む2価の連結基、又は単結合である。V101~V103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基、又はフッ素化アルキレン基である。L101~L102は、それぞれ独立に、単結合、又は酸素原子である。mは、1以上の整数である。M’m+は、m価のオニウムカチオンである。)
【0050】
(アニオン部)
以下、(b-1)成分を構成するアニオン部について説明する。
式(b-1)中、R101は、置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよいアルキル基、又は置換基を有してもよいアルケニル基である。
【0051】
101が、置換基を有してもよい環式基である場合、当該環式基としては、環状炭化水素基が好ましい。当該環状炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂環式炭化水素基であってもよい。脂環式炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
【0052】
101としての芳香族炭化水素基の炭素原子数は、6以上30以下が好ましく、6以上20以下がより好ましく、6以上15以下がさらに好ましく、6以上10以下が特に好ましい。ただし、芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、上記の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まない。
【0053】
101としての芳香族炭化水素基に含まれる芳香族炭化水素環の具体例としては、ベンゼン環、フルオレン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、及びビフェニル環が挙げられる。
【0054】
101としての環式基は、上記の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環を含んでいてもよい。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
【0055】
101としての芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフタレン-1-イル基、ナフタレン-2-イル基、4-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、及び2-フェニルフェニル基等が挙げられる。
【0056】
101としての脂環式炭化水素基は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が挙げられる。
この構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基の炭素原子数は、3以上20以下が好ましく、3以上12以下がより好ましい。
【0057】
脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1以上の水素原子を除いた基が好ましい。当該モノシクロアルカンの炭素原子数は、3以上6以下が好ましい。モノシクロアルカンの具体例としては、シクロペンタン、及びシクロヘキサン等が挙げられる。
多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。当該ポリシクロアルカンの炭素原子数は、7以上30以下が好ましい。当該ポリシクロアルカンの具体例としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、及びテトラシクロドデカン等の架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン;ステロイド骨格を有する環式基等の縮合環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンが挙げられる。
【0058】
101としての脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカン、又はポリシクロアルカンから水素原子を1つ以上除いた基が好ましく、ポリシクロアルカンから水素原子を1つ除いた基がより好ましく、アダマンチル基、及びノルボルニル基が特に好ましく、アダマンチル基が最も好ましい。
【0059】
脂環式炭化水素基に結合してもよい、直鎖状の脂肪族炭化水素基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましく、1以上4以下がさらに好ましく、1以上3以下が最も好ましい。直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましい。直鎖状のアルキレン基の好適な具体例としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基(エチレン基)、プロパン-1,3-ジイル基(トリメチレン基)、ブタン-1,4-ジイル基(テトラメチレン基)、及びペンタン-1,5-ジイル基(ペンタメチレン基)等が挙げられる。
【0060】
脂環式炭化水素基に結合してもよい、分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の炭素原子数は、2以上10以下が好ましく、3以上6以下がより好ましく、3又は4がさらに好ましく、3が最も好ましい。分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、-C(CH)(CHCH)-、-C(CH)(CHCHCH)-、-C(CHCH-等のアルキルメチレン基;-CH(CH)CH-、-CH(CH)CH(CH)-、-C(CHCH-、-CH(CHCH)CH-、-C(CHCH-CH-等のアルキルエチレン基;-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-等のアルキルトリメチレン基;-CH(CH)CHCHCH-、-CHCH(CH)CHCH-等のアルキルテトラメチレン基等のアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素原子数1以上5以下の直鎖状のアルキル基が好ましい。
【0061】
101としての環式基は、ラクトン含有環式基、後述する式(b-r2-1)~(b-r2-4)で表される-SO-含有環式基、その他の複素環式基が挙げられる。
【0062】
「-SO-含有環式基」とは、その環骨格中に-SO-結合を含む環を含有する環式基である。-SO-含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。-SO-含有環式基が-SO-含有環のみからなる場合、当該-SO-含有環式基は、単環式基である。-SO-含有環式基が、2以上の-SO-環からなるか、-SO-環とともに、-SO-環構造の他の構造の環を有する場合は、当該-SO-含有環式基は、多環式基である。
-SO-含有環式基としては、特に、その環骨格中に-O-SO-結合を含む環式基が好ましい。かかる環式基は、スルトン(sultone)環を含有する。
-SO-含有環式基として、より具体的には、下記式(b-r2-1)~(b-r2-4)で表される基が挙げられる。
【0063】
【化4】
(式(b-r2-1)~(b-r2-4)中、Rb21は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、-COOR”、-OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基、又はシアノ基であり;R”は、水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は-SO-含有環式基であり;B”は、酸素原子を含んでいてもよい炭素原子数1以上5以下のアルキレン基、硫黄原子を含んでいてもよい炭素原子数1以上5以下のアルキレン基、酸素原子、又は硫黄原子であり;n’は0、1、又は2である。)
【0064】
式(b-r2-1)~(b-r2-4)中、Rb21としてのアルキル基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましい。当該アルキル基は、直鎖状、又は分岐鎖状であってよい。当該アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、及びn-ヘキシル基等が挙げられる。これらのなかでは、メチル基、及びエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0065】
b21としてのアルコキシ基としては、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基が好ましい。当該アルコキシ基は、直鎖状、又は分岐鎖状であってよい。当該アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、及びn-ヘキシルオキシ基等が挙げられる。これらのなかでは、メトキシ基、及びエトキシ基が好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
【0066】
b21としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。これらのなかでは、フッ素原子が好ましい。
【0067】
b21としてのハロゲン化アルキル基としては、Rb21としてのアルキル基の水素原子の一部又は全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。当該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
【0068】
b21としての-COOR”、及び-OC(=O)R”において、R”は、いずれも水素原子、アルキル基、脂環式炭化水素基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は-SO-含有環式基である。R”としての脂環式炭化水素基は、フッ素原子、又はフッ素化アルキル基で置換されていてもよい。
【0069】
式(b-r2-1)~(b-r2-4)中、B”としての炭素原子数1以上5以下のアルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。当該アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。当該アルキレン基が酸素原子又は硫黄原子を含む場合、その具体例としては、当該アルキレン基の末端又は炭素原子間に-O-、又は-S-が介在する基が挙げられ、例えばO-CH-、-CH-O-CH-、-S-CH-、-CH-S-CH-等が挙げられる。B”としては、炭素原子数1以上5以下のアルキレン基、又は-O-が好ましく、炭素原子数1以上5以下のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
以下、式(b-r2-1)~(b-r2-4)で表される基の具体例を挙げる。式中の「Ac」は、アセチル基を示す。
【0070】
【化5】
【0071】
【化6】
【0072】
【化7】
【0073】
式(b-1)中、R101としての環式基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、及びニトロ基等が挙げられる。
【0074】
置換基としてのアルキル基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、及びtert-ブチル基がより好ましい。
置換基としてのアルコキシ基としては、炭素原子数1以上5以下のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素原子数1以上5以下のハロゲン化アルキル基が好ましく、ハロゲン化メチル基、ハロゲン化エチル基、ハロゲン化プロピル基、ハロゲン化n-ブチル基、ハロゲン化tert-ブチル基がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、アルキル基における一部の水素原子がハロゲン原子に置換された基であってもよく、アルキル基における全部の水素原子がハロゲン原子に置換されたきであってもよい。
置換基としてのカルボニル基は、環式基に含まれる環を構成するメチレン基(-CH-)を置換する基である。
【0075】
101としての鎖状のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
直鎖状のアルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上15以下がより好ましく、1以上10以下が最も好ましい。
直鎖状のアルキル基の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル気、及びn-イコシル基等が挙げられる。
【0076】
分岐鎖状のアルキル基の炭素原子数は、3以上20以下が好ましく、3以上15以下がより好ましく、3以上10以下が最も好ましい。分岐鎖状のアルキル基の好適な具体例としては、1-メチルエチル基(イソプロピル基)、1-メチルプロピル基(sec-ブチル基)、2-メチルプロピル基(イソブチル基)、1-メチルブチル基(sec-ペンチル基)、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基(イソブチル基)、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、及び4-メチルペンチル基等が挙げられる。
【0077】
置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基:
101としての鎖状のアルケニル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。鎖状のアルケニル基の炭素原子数は、2以上10以下が好ましく、2以上5以下がより好ましく、2以上4以下がさらに好ましく、3が特に好ましい。直鎖状のアルケニル基の好適な具体例としては、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、及びブテニル基等が挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基の好適な具体例としては、例えば、1-メチルビニル基、1-メチルプロペニル基、及び2-メチルプロペニル基等が挙げられる。
上記のアルケニル基のなかでは、直鎖状のアルケニル基が好ましく、ビニル基、及びプロペニル基がより好ましく、ビニル基が特に好ましい。
【0078】
101としての鎖状のアルキル基、又は鎖状のアルケニル基が有してもよい置換基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、及び上記のR101としての環式基等が挙げられる。
【0079】
101としては、置換基を有してもよい環式基が好ましく、置換基を有してもよい環状の炭化水素基がより好ましい。より具体的には、フェニル基、ナフチル基、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、ラクトン含有環式基、及び式(b-r2-1)~(b-r2-4)で表される-SO-含有環式基等が好ましい。
【0080】
式(b-1)中、Y101は、単結合、又は酸素原子を含む2価の連結基である。
101が酸素原子を含む2価の連結基である場合、当該Y101は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、例えば炭素原子、水素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、例えば、酸素原子(-O-)、-C(=O)-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NH-、カルボニル基、-O-C(=O)-O-等の酸素原子含有連結基;当該酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。この組み合わせに、さらにスルホニル基(-SO-)が連結されていてもよい。かかる酸素原子を含む2価の連結基としては、例えば下記式(b-y-1)~(b-y-7)で表される連結基が挙げられる。
【0081】
【化8】
(式(b-y-1)~(b-y-5)中、V’101は、単結合、又は炭素原子数1以上5以下のアルキレン基であり、V’102は、炭素原子数1以上30以下の2価の飽和炭化水素基である。)
【0082】
V’102としての2価の飽和炭化水素基は、鎖状飽和炭化水素基であっても、環状飽和炭化水素基であっても、鎖状飽和炭化水素基と環状飽和炭化水素基との組み合わせであってもよい。V’102としての2価の飽和炭化水素基は、アルキレン基であるのが好ましい。当該アルキレン基の炭素原子数は、1以上30以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上5以下がさらに好ましい。
【0083】
V’101及びV’102としてのアルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、直鎖状であるのが好ましい。
V’101及びV’102としてのアルキレン基の具体例としては、メチレン基;-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、-C(CH)(CHCH)-、-C(CH)(CHCHCH)-、及び-C(CHCH-等のアルキルメチレン基;エチレン基(-CHCH-);-CH(CH)CH-、-CH(CH)CH(CH)-、-C(CHCH-、及び-CH(CHCH)CH-等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(-CHCHCH-);-CH(CH)CHCH-、及び-CHCH(CH)CH-等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基(-CHCHCHCH-);-CH(CH)CHCHCH-、及び-CHCH(CH)CHCH-等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基(-CHCHCHCHCH-)等が挙げられる。
【0084】
また、V’101、又はV’102としてのアルキレン基において、一部のメチレン基が、炭素原子数5以上10以下の2価の脂肪族環式基で置換されていてもよい。当該脂肪族環式基は単環式基でも多環式基でもよい。
単環式基である脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。当該モノシクロアルカンの炭素原子数は、3以上6以下が好ましい。モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基としては、シクロペンチレン基、及びシクロへキシレン基等が挙げられる。これらのなかでは、シクロへキシレン基がより好ましい。
多環式基である脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。当該ポリシクロアルカンの炭素原子数は、7以上12以下が好ましい。ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基としては、アダマンタンジイル基、ノルボルナンジイル基、イソボルナンジイル基、トリシクロデカンジイル基、及びテトラシクロドデカンジイル基等が挙げられる。これらのなかでは、アダマンタン-1,5-ジイル基、及びアダマンタン-2,6-ジイル基がより好ましい。
【0085】
当該脂肪族環式基は、置換基を有してもよい。この置換基としては、例えば、-RP1、-RP2-O-RP1、-RP2-CO-RP1、-RP2-CO-ORP1、-RP2-O-CO-RP1、-RP2-OH、-RP2-CN、及び-RP2-COOH等が挙げられる。
P1は、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数3以上20以下の環状飽和炭化水素基、又は炭素原子数6以上30以下の芳香族炭化水素基である。RP2は、単結合、炭素原子数1以上10以下の2価の鎖状飽和炭化水素基、炭素原子数3以上20以下の2価の脂肪族環状飽和炭化水素基、又は炭素原子数6以上30以下の2価の芳香族炭化水素基である。
P1及びRP2は、上記の鎖状飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、及び芳香族炭化水素基が有する水素原子の一部、又は全部が、フッ素原子で置換された基であってもよい。
上記の環状炭化水素基は、上記置換基を1種単独で1つ以上有してもよいし、上記置換基のうち複数種を各1つ以上有してもよい。
【0086】
炭素原子数1以上10以下の1価のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
炭素原子数3以上20以下の1価の環状飽和炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、及びシクロドデシル基等のシクロアルキル基;ビシクロ[2.2.2]オクタニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニル基、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカニル基、アダマンチル基等の多環式飽和炭化水素基が挙げられる。
炭素原子数6以上30以下の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、フルオレニル基、ナフチル基、アントリル基、及びフェナントリル基が挙げられる。
【0087】
101としては、エステル結合を含む2価の連結基、又はエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、上記式(b-y-1)~(b-y-5)でそれぞれ表される連結基がより好ましい。
【0088】
式(b-1)中、V101は、単結合、アルキレン基、又はフッ素化アルキレン基である。V101としてのアルキレン基、及びフッ素化アルキレン基の炭素原子数は、1以上4以下が好ましい。V101としてのフッ素化アルキレン基としては、V101としてのアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。なかでも、V101としては、単結合、及び炭素原子数1以上4以下のフッ素化アルキレン基が好ましい。
【0089】
式(b-1)中、R102は、フッ素原子、又は炭素原子数1以上5以下のフッ素化アルキル基である。R102としては、フッ素原子、及び炭素原子数1以上5以下のパーフルオロアルキル基が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
【0090】
101が単結合である場合、式(b-1)で表されるアニオン部の具体例としては、トリフルオロメタンスルホネートアニオン、及びパーフルオロブタンスルホネートアニオン等のフッ素化アルキルスルホネートアニオンが挙げられる。Y101が酸素原子を含む2価の連結基である場合、式(b-1)で表されるアニオン部の具体例としては、下記式(ba-1)~(ba-3)で表されるアニオンが挙げられる。
【0091】
【化9】
(式(ba-1)~(ba-3)中、R”101は、置換基を有してもよい脂肪族環式基、1価の複素環式基、又は置換基を有してもよいアルキル基である。R”102は、置換基を有してもよい脂肪族環式基、ラクトン含有環式基、又は式(b-r2-1)~(b-r2-4)で表される-SO-含有環式基である。R”103は、置換基を有してもよい芳香族環式基、置換基を有してもよい脂肪族環式基、又は置換基を有してもよいアルケニル基である。V”101は、単結合、炭素原子数1以上4以下のアルキレン基、又は炭素原子数1以上4以下のフッ素化アルキレン基である。R102は、フッ素原子、又は炭素原子数1以上5以下のフッ素化アルキル基である。v”は、それぞれ独立に0以上3以下の整数であり、q”は、それぞれ独立に0以上20以下の整数であり、n”は0又は1である。)
【0092】
R”101、R”102、及びR”103としての置換基を有してもよい脂肪族環式基は、式(b-1)中のR101としての脂環式炭化水素基として例示された基であるのが好ましい。置換基としては、式(b-1)中のR101としての脂環式炭化水素基を置換してもよい置換基と同様の基が挙げられる。
【0093】
R”103としての置換基を有してもよい芳香族環式基は、式(b-1)中のR101について、環状の炭化水素基としての芳香族炭化水素基として例示した基であるのが好ましい。置換基としては、式(b-1)中のR101としての芳香族炭化水素基を置換してもよい置換基と同様の基が挙げられる。
【0094】
R”101としての置換基を有してもよい鎖状のアルキル基は、式(b-1)中のR101としての鎖状のアルキル基として例示した基であるのが好ましい。
R”103としての置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基は、式(b-1)中のR101としての鎖状のアルケニル基として例示した基であるのが好ましい。
【0095】
以下、(b-2)成分を構成するアニオン部について説明する。
式(b-2)中、R104、及びR105は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基である。これらの基の例としては、それぞれ、式(b-1)中のR101と同様の基が挙げられる。R104とR105とは、互いに結合して環を形成していてもよい。
104、及びR105としては、置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、アルキル基、又はフッ素化アルキル基がより好ましい。アルキル基、及びフッ素化アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
アルキル基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上7以下がより好ましく、1以上3以下がさらに好ましい。R104、及びR105としてのアルキル基の炭素原子数は、オニウム塩型酸発生剤(B2)が溶剤に溶解しやすいこと等から、小さいほど好ましい。また、R104、及びR105としてのフッ素化アルキル基について、酸の強度が強い点と、波長250nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が高い点とから、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど好ましい。フッ素化アルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70~100%、さらに好ましくは90~100%である。最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基である。
式(b-2)中、V102、V103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基、又はフッ素化アルキレン基であり、それぞれ、式(b-1)中のV101と同様の結合、又は基が挙げられる。
式(b-2)中、L101、L102は、それぞれ独立に単結合、又は酸素原子である。
【0096】
(カチオン部)
式(b-1)、式(b-2)、式(b-3)中、M’m+は、m価のオニウムカチオンを表す。オニウムカチオンとしては、スルホニウムカチオンが好ましい。
mは、1以上の整数である。
【0097】
M’m+で表される有機カチオンとしては、特に制限されず、従来知られるオニウム塩型酸発生剤を構成するカチオン部として知られている有機カチオンを適宜用いることができる。かかるカチオン部としては、スルホニウムカチオンが好ましい。
具体例としては、例えば、下記式(bc-1)、又は(bc-2)で表されるスルホニウムカチオンが挙げられる。
【化10】
(式(bc-1)、及び(bc-2)中、Rbc1~Rbc8は、それぞれ独立に置換基を有してもよいアリール基、アルキル基、シクロアルキル基、又はアルケニル基を表す。Rbc1~Rbc5は、互いに結合して式中の硫黄原子とともに環を形成してもよい。Rbc6~Rbc7は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素原子数1以上5以下のアルキル基を表す。Rbc8は、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいSO-含有環式基である。Lbc1は、-C(=O)-又は-C(=O)-O-を表す。)
【0098】
式(bc-1)及び(bc-2)中、Rbc1~Rbc5としてのアリール基としては、炭素原子数6以上20以下の無置換のアリール基が挙げられる。無置換のアリール基としては、フェニル基、及びナフチル基が好ましい。
bc1~Rbc5としてのアルキル基の炭素原子数は1以上30以下が好ましい。
bc1~Rbc5としてのシクロアルキル基の炭素原子数は3以上30以下が好ましい。
bc1~Rbc5としてのアルケニル基の炭素原子数は、2以上10以下が好ましい。
bc1~Rbc5、及びRbc8が有してもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、アリール基、下記式(bc-r-1)~(bc-r-7)でそれぞれ表される基等が挙げられる。
【0099】
【化11】
(式(bc-r-1)~(bc-r-7)中、R’b11は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよいアルキル基、又は置換基を有してもよいアルケニル基である。)
【0100】
R’b11としての環式基としては、環状炭化水素基が好ましい。当該環状炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂環式炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素環と、脂肪族炭化水素環とを含む基であってもよい。脂環式炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。脂環式炭化水素基は、好ましくは飽和脂環式炭化水素基である。
【0101】
R’b11としての芳香族炭化水素基の炭素原子数は3以上30以下が好ましく、5以上30以下がより好ましく、5以上20以下がさらに好ましく、6以上15以下が特に好ましく、6以上10以下が最も好ましい。ただし、当該炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まない。
【0102】
R’b11としての芳香族炭化水素基に含まれる芳香族炭化水素環の具体例としては、ベンゼン環、フルオレン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、及びビフェニル環が挙げられる。
【0103】
R’b11としての環式基は、上記の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環を含んでいてもよい。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
【0104】
R’b11としての芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフタレン-1-イル基、ナフタレン-2-イル基、4-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、及び2-フェニルフェニル基等が挙げられる。
【0105】
R’b11としての脂環式炭化水素基の炭素原子数は、3以上20以下が好ましく、3以上12以下がより好ましい。
脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基は、シクロアルキル基である。シクロアルキル基の炭素原子数は、3以上6以下が好ましい。シクロアルキル基の好適な具体例としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。当該ポリシクロアルカンの炭素原子数は、7以上30以下が好ましい。ポリシクロアルカンの好適な具体例としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、及びテトラシクロドデカン等の架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン;ステロイド骨格を有する環式基等の縮合環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンが挙げられる。
【0106】
なかでも、R’b11としての脂環式炭化水素基としては、アダマンチル基、及びノルボルニル基が好ましく、アダマンチル基がより好ましい。
【0107】
R’b11としての環状の炭化水素基は、ヘテロ原子を含む複素環であってもよい。具体的にはラクトン含有環式基、式(b-r2-1)~(b-r2-4)で表される-SO-含有環式基、その他の複素環式基が挙げられる。
【0108】
式(bc-r-1)~(bc-r-7)中のR’b11としての環式基における置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、及びニトロ基等が挙げられる。
置換基としてのアルキル基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、及びtert-ブチル基がより好ましい。
置換基としてのアルコキシ基としては、炭素原子数1以上5以下のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、及びtert-ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、及びエトキシ基がさらに好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基等の水素原子の一部、又は全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
置換基としてのカルボニル基は、環状の炭化水素基を構成するメチレン基(-CH-)を置換する基である。
【0109】
R’b11としてのアルキル基は、直鎖状、及び分岐鎖状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく1以上15以下がより好ましく、1以上10以下がさらに好ましい。
分岐鎖状のアルキルの炭素原子数は、3以上20以下が好ましく、3以上15以下がより好ましく、3以上10以下がさらに好ましい。
分岐鎖状のアルキルの具体例としては、イソプロピル基、sec-ブチル基、イソブチル基、sec-ペンチル基、2-メチルブチル基、イソペンチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、及び4-メチルペンチル基等が挙げられる。
【0110】
R’b11としてのアルケニル基は、直鎖状、及び分岐鎖状のいずれでもよい。
直鎖状のアルケニル基の炭素原子数は、2以上10以下が好ましく、2以上5以下がより好ましく、2以上4以下がさらに好ましく、3が特に好ましい。
直鎖状のアルケニル基の具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、及びブテニル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルケニル基の具体例としては、1-メチルビニル基、1-メチルプロペニル基、及び2-メチルプロペニル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、直鎖状のアルケニル基が好ましく、ビニル基、及びプロペニル基がより好ましく、ビニル基が特に好ましい。
【0111】
R’b11としてのアルキル基、及びアルケニル基が有してもよい置換基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、及び上記R’b11としての環式基等が挙げられる。
【0112】
なかでも、R’b11としては、置換基を有してもよい環式基が好ましく、置換基を有してもよい環状の炭化水素基がより好ましい。より具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、ラクトン含有環式基、式(b-r2-1)~(b-r2-4)で表される-SO-含有環式基等が好ましい。
【0113】
式(bc-1)又は(bc-2)中のRbc1~Rbc3のうちの2つが、互いに結合して式中の硫黄原子とともに環を形成する場合、硫黄原子、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子や、カルボニル基、-SO-、-SO-、-SO-、-COO-、-CONH-又は-N(RN)-(当該RNは炭素原子数1以上5以下のアルキル基である。)等の官能基を介して結合してもよい。形成される環としては、式中の硫黄原子をその環骨格に含む1つの環が、硫黄原子を含めて、3~10員環であることが好ましく、5~7員環であることが特に好ましい。環の具体例としては、チオフェン環、チアゾール環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、9H-チオキサンテン環、チオキサントン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、テトラヒドロチオフェニウム環、及びテトラヒドロチオピラニウム環等が挙げられる。
【0114】
bc6~Rbc7は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1以上5以下のアルキル基を表す。Rbc6~Rbc7は、好ましくは、水素原子、又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基である。Rbc6、及びRbc7の双方がアルキル基である場合、Rbc6、及びRbc7が相互に結合して環を形成してもよい。
【0115】
bc8は、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいSO-含有環式基である。
bc8がアリール基である場合、当該アリール基としては、炭素原子数6以上20以下の無置換のアリール基が好ましく、フェニル基、ナフタレン-1-イル基、及びナフタレン-2-イル基がより好ましい。
bc8がアルキル基である場合、当該アルキル基は、鎖状又は環状のアルキル基であってよい。当該アルキル基の炭素原子数は、1以上30以下が好ましい。
bc8がアルケニル基である場合、当該アルケニル基の炭素原子数は、2以上10以下が好ましい。
bc8としての置換基を有してもよいSO-含有環式基は、好ましくは「-SO-含有多環式基」である。
【0116】
式(bc-1)で表される好適なカチオンを以下に示す。
【0117】
【化12】
【0118】
【化13】
【0119】
【化14】
(式(bc-1-35)~(bc-1-37)中、g1、g2、及びg3は括弧内の基の繰返し数を示し、g1は1以上5の整数であり、g2は0以上20以下の整数であり、g3は0以上20以下の整数である。)
【0120】
【化15】
【0121】
【化16】
【0122】
【化17】
【0123】
【化18】
(式中、R”b11は、水素原子、又は置換基であり、当該置換基は、Rbc1~Rbc5、及びRbc8が有してもよい置換基と同様である。)
【0124】
【化19】
【0125】
式(bc-2)で表されるカチオンの好適な具体例としては、下記式(bc-2-1)~(bc-2-6)で表されるカチオンが挙げられる。
【0126】
【化20】
【0127】
オニウム塩型光酸発生剤(B2)のカチオン部としては、式(bc-1)、及び(bc-2)で表される。中でも、式(bc-1-1)~(bc-1-6)、(bc-1-52)~(bc-1-60)で表されるカチオンが好ましい。
【0128】
上記のオニウム塩型光酸発生剤(B2)のなかでは、下記式(b-1-1)で表される化合物が好ましい。
【0129】
【化21】
(式(b-1-1)中、Rb1~Rb3は、ぞれぞれ独立に、置換基を有してもよいアリール基を表す。Rb1~Rb3のいずれか2つが互いに結合して式中の硫黄原子とともに環を形成してもよい。R101は、置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよいアルキル基、又は置換基を有してもよいアルケニル基である。R102は、炭素原子数1以上5以下のフッ素化アルキル基、又はフッ素原子である。Y101は、酸素原子を含む2価の連結基、又は単結合である。V101は、単結合、又は酸素原子である。)
【0130】
式(b-1-1)中、R101、Y101,V101、及びR102は、式(b-1)中のR101、Y101,V101、及びR102と同様である。
b1~Rb3は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリール基である。Rb1~Rb3のいずれか2つは、相互に結合して式中の硫黄原子とともに環を形成してもよい。Rb1~Rb3におけるアリール基は、上記式(bc-1)のRbc1~Rbc3におけるアリール基と同様である。アリール基が有してもよい置換基は、上記式(bc-1)のRbc1~Rbc3におけるアリール基が有してもよい置換基と同様である。
b1~Rb3のいずれか2つが互いに結合して式中の硫黄原子とともに形成する環としては、上記式(bc-1)のRbc1~Rbc3が、相互に結合して式中の硫黄原子とともに形成する環と同様のものが挙げられる。
【0131】
感光性樹脂組成物において、光酸発生剤(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
感光性樹脂組成物における光酸発生剤(B)の含有量は、ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)100質量部に対して、0.5質量部以上30質量部以下、好ましくは0.5質量部以上15質量部以下であり、より好ましくは1質量部以上10質量以下である。
光酸発生剤(B)の含有量が、上記の範囲内であると、フォトリソグラフィー特性が特に良好な感光性樹脂組成物を得やすい。
【0132】
<架橋剤(C)>
感光性樹脂組成物は、架橋剤(C)を含む。架橋剤(C)は、2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(C1)である。多官能エポキシ化合物(C1)は、ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)が有するフェノール性水酸基と反応して、ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)を架橋する。多官能エポキシ化合物(C1)としては、所望する効果が損なわれない限りにおいて、特に限定されない。
【0133】
多官能エポキシ化合物(C1)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂;ダイマー酸グリシジルエステル、及びトリグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジル-p-アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、及びテトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂;フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、2-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-2-[4-[1,1-ビス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、及び1,3-ビス[4-[1-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-1-[4-[1-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]-2-プロパノール等の3官能型エポキシ樹脂;ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、及びテトラグリシドキシビフェニル等の4官能型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0134】
架橋剤(C)の使用量は、感光性樹脂組成物が良好に硬化する限り特に限定されない。架橋剤(C)の使用量は、例えば、ポリヒドロキシスチレン樹脂100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下が好ましく、1質量部以上40質量部以上がより好ましく、2質量部以上30質量部以下がさらに好ましい。
【0135】
<熱酸発生剤(D)>
感光性樹脂組成物は、さらに熱酸発生剤(D)を含んでいてもよい。感光性樹脂組成物が熱酸発生剤(D)を含有する場合、感光性樹脂組成物が加熱された際に、熱により発生する酸の作用によって、ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)と架橋剤(C)との架橋反応が特に良好に進行する。熱酸発生剤(D)としては、例えば、分解開始温度が120~200℃である熱酸発生剤が挙げられる。熱酸発生剤(D)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0136】
熱酸発生剤(D)は、カチオン部とアニオン部とからなり、上記カチオン部が下記式(dc)で表されるカチオンである熱酸発生剤を含むことが好ましい。かかる熱酸発生剤を用いることにより、樹脂(A)から酸解離性基がより脱離しやすくなるため、フェノール性水酸基又はカルボキシル基が生成しやすくなり、結果として、硬化性樹脂組成物の硬化性が向上しやすい。
【0137】
【化22】
(式(dc)中、Rdc1、Rdc2、及びRdc3は、それぞれ独立に炭素原子数が1以上6以下であるアルキル基である。)
【0138】
式(dc)において、Rdc1、Rdc2、及びRdc3としてのアルキル基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、及びn-ヘキシル基が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。Rd01、Rd02、及びRd03が全てメチル基であるのが特に好ましい。
【0139】
つまり、式(dc)で表されるカチオンとしては、下記式(dc-1)で表されるカチオンが好ましい。
【化23】
【0140】
式(dc)で表されるカチオンへの対アニオンとしては、例えば、AsF 、SbF 、PF 、CFSO 、下記式(da-1)で表されるアニオン、及び下記式(da-2)で表されるアニオン等が挙げられる。
【0141】
【化24】
(式(da-1)中、Rda1、Rda2、Rda3、及びRda4は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基であり、Rda1、Rda2、Rda3、及びRda4のうちの少なくとも1つが置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。)
【0142】
【化25】
(式(da-2)中、Rda5、Rda6、Rda7、及びRda8は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基であり、Rda5、Rda6、Rda7、及びRda8のうちの少なくとも1つが置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。)
【0143】
式(da-1)中のRda1~Rda4としての炭化水素基又は複素環基の炭素原子数は特に限定されないが、1以上50以下が好ましく、1以上30以下がより好ましく、1以上20以下が特に好ましい。
【0144】
da1~Rda4としての炭化水素基の具体例としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、直鎖状又は分岐鎖状のアルキニル基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及びアラルキル基等が挙げられる。
前述の通り、Rda1~Rda4のうちの少なくとも1つは置換基を有してもよい芳香族基であり、Rda1~Rda4の3つ以上が置換基を有してもよい芳香族基であるのがより好ましく、Rda1~Rda4の全てが置換基を有してもよい芳香族基であるのが特に好ましい。
【0145】
da1~Rda4としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基としては、炭素原子数1以上18以下のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3以上18以下のハロゲン化脂肪族環式基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、炭素原子数1以上18以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基、炭素原子数2以上19以下の脂肪族アシル基、炭素原子数7以上15以下の芳香族アシル基、炭素原子数2以上19以下の脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数7以上15以下の芳香族アシルオキシ基、炭素原子数1以上18以下のアルキルチオ基、炭素原子数6以上14以下のアリールチオ基、窒素原子に結合する1又は2の水素原子が炭素原子数1以上18以下の炭化水素基で置換されていてもよいアミノ基、及びハロゲン原子が挙げられる。
da1~Rda4としての炭化水素基が芳香族炭化水素基である場合、当該芳香族炭化水素基は、炭素原子数1以上18以下のアルキル基、炭素原子数2以上18以下のアルケニル基、及び炭素原子数2以上18以下のアルキニル基からなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0146】
da1~Rda4としての炭化水素基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されず,1であっても2以上の複数であってもよい。置換基の数が複数である場合、当該複数の置換基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0147】
da1~Rda4がアルキル基である場合の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、及びn-イコシル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、イソヘキシル基、2-エチルヘキシル基、及び1,1,3,3-テトラメチルブチル基等の分岐鎖アルキル基が挙げられる。
【0148】
da1~Rda4がアルケニル基、又はアルキニル基である場合の好適な例としては、アルキル基として好適な上記の基に対応するアルケニル基、及びアルキニル基が挙げられる。
【0149】
da1~Rda4が芳香炭化水素基である場合の好適な例としては、フェニル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基、ビフェニル-4-イル基、ビフェニル-3-イル基、ビフェニル-2-イル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
【0150】
da1~Rda4が脂環式炭化水素基である場合の好適な例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、及びシクロデシル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、及びピナニル基等の架橋式脂肪族環式炭化水素基が挙げられる。
【0151】
da1~Rda4がアラルキル基である場合の好適な例としては、ベンジル基、フェネチル基、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、α-ナフチルエチル基、及びβ-ナフチルエチル基等が挙げられる。
【0152】
da1~Rda4が複素環基である場合の好適な例としては、チエニル基、フラニル基、セレノフェニル基、ピラニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェノチアジニル基、フェナジニル基、キサンテニル基、チアントレニル基、フェノキサジニル基、フェノキサチイニル基、クロマニル基、イソクロマニル基、ジベンゾチエニル基、キサントニル基、チオキサントニル基、及びジベンゾフラニル基等が挙げられる。
【0153】
式(da-2)中のRda5~Rda8としては、式(da-1)中のRda1~Rda4について前述した基と同様の基が挙げられる。
【0154】
以上説明した式(da-1)で表されるアニオン部の好適な具体例としては、
テトラキス(4-ノナフルオロビフェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(1-ヘプタフルオロナフチル)ガリウムアニオン、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ガレートアニオン、
テトラキス(2-ノナフェニルビフェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(2-ヘプタフルオロナフチル)ガリウムアニオン、
テトラキス(7-ノナフルオロアントリル)ガリウムアニオン、
テトラキス(4’-(メトキシ)オクタフルオロビフェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(2,4,6-トリス(トリフルオロメチル)フェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(2,3-ビス(ペンタフルオロエチル)ナフチル)ガリウムアニオン、
テトラキス(2-イソプロポキシ-ヘキサフルオロナフチル)ガリウムアニオン、
テトラキス(9,10-ビス(ヘプタフルオロプロピル)ヘプタフルオロアントリル)ガリウムアニオン、
テトラキス(9-ノナフルオロフェナントリル)ガレートアニオン、
テトラキス(4-[トリ(イソプロピル)シリル]-テトラフルオロフェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(9,10-ビス(p-トリル)-ヘプタフルオロフェナントリル)ガリウムアニオン、
テトラキス(4-[ジメチル(t-ブチル)シリル]-テトラフルオロフェニル)ガリウムアニオン、
モノフェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ガリウムアニオン、及び
モノパーフルオロブチルトリス(ペンタフルオロフェニル)ガリウムアニオン等が挙げられ、より好ましくは、以下のアニオンが挙げられる。
【0155】
【化26】
【0156】
また、式(da-2)で表されるアニオン部の好適な具体例としては、
テトラキス(4-ノナフルオロビフェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(1-ヘプタフルオロナフチル)ホウ素アニオン、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(2-ノナフェニルビフェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(2-ヘプタフルオロナフチル)ホウ素アニオン、
テトラキス(7-ノナフルオロアントリル)ホウ素アニオン、
テトラキス(4’-(メトキシ)オクタフルオロビフェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(2,4,6-トリス(トリフルオロメチル)フェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(2,3-ビス(ペンタフルオロエチル)ナフチル)ホウ素アニオン、
テトラキス(2-イソプロポキシ-ヘキサフルオロナフチル)ホウ素アニオン、
テトラキス(9,10-ビス(ヘプタフルオロプロピル)ヘプタフルオロアントリル)ホウ素アニオン、
テトラキス(9-ノナフルオロフェナントリル)ホウ素アニオン、
テトラキス(4-[トリ(イソプロピル)シリル]-テトラフルオロフェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(9,10-ビス(p-トリル)-ヘプタフルオロフェナントリル)ホウ素アニオン、
テトラキス(4-[ジメチル(t-ブチル)シリル]-テトラフルオロフェニル)ホウ素アニオン、
モノフェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素アニオン、及び
モノパーフルオロブチルトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素アニオン等が挙げられ、より好ましくは、以下のアニオンが挙げられる。
【0157】
【化27】
【0158】
以上で例示した対アニオンの中では、CFSO 及び((CB)が好ましい。なお、「C」は、ペンタフルオロフェニル基を表す。
【0159】
式(dc)で表されるカチオンからなるカチオン部と、アニオン部とからなる化合物の好適な具体例としては、式(dc-1)で表されるカチオンと、AsF とからなる四級アンモニウム塩、式(dc-1)で表されるカチオンと、SbF とからなる四級アンモニウム塩、式(dc-1)で表されるカチオンと、PF とからなる四級アンモニウム塩、式(dc-1)で表されるカチオンと、CFSO とからなる四級アンモニウム塩、及び式(dc-1)で表されるカチオンと、((CB)とからなる四級アンモニウム塩が挙げられる。これらの中では、式(dc-1)で表されるカチオンと、CFSO とからなる四級アンモニウム塩、及び式(dc-1)で表されるカチオンと、((CB)とからなる四級アンモニウム塩がより好ましい。
【0160】
感光性樹脂組成物における熱酸発生剤(D)の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。感光性樹脂組成物における熱酸発生剤(D)の含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、0.1質量部以上15量部以下が好ましく、0.3質量部以上10質量部以下がより好ましく、透明性の観点で0.4質量部以上5質量部以下が特に好ましい。
【0161】
<有機溶剤(S)>
感光性樹脂組成物は、有機溶剤(S)を含有してもよい。感光性樹脂組成物が有機溶剤(S)を含有することで、感光性樹脂組成物の塗布性や、感光性樹脂組成物を用いて形成されるポジ型感光性樹脂組成物層の膜厚の調整が容易である。有機溶剤(S)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0162】
有機溶剤(S)の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、及びジプロピレングリコールモノアセテート、並びにこれらのモノメチルエーテル(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル、又はモノフェニルエーテル等の多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサン等の環式エーテル類;蟻酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;等を挙げることができる。
【0163】
感光性樹脂組成物中、有機溶剤(S)の含有量は、ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)100質量部に対して、50質量部以上3,000質量部以下であることが好ましく、100質量部以上2,000質量部以下であることがより好ましい。含有量が上記範囲内であると、感光性樹脂組成物の塗布性が向上しやすく、感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂組成物を用いて形成される塗布膜の膜厚の調整が容易である。
【0164】
<その他の成分>
感光性樹脂組成物は、所望する効果が損なわれない範囲で、上記の各成分とともに、種々の添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、従来より、感光性樹脂組成物に配合されている種々の添加剤から適宜選択され得る。その他の成分の具体例としては、クエンチャー、ポリビニル樹脂、界面活性剤、並びに酸又は酸無水物等が挙げられる。
【0165】
感光性樹脂組成物は、クエンチャーを含んでいてもよい。クエンチャーとしては、通常、低分子化合物(非重合体)が用いられている。クエンチャーとしては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミンが挙げられる。クエンチャーとしては、脂肪族アミンが好ましく、第二級脂肪族アミン、及び第三級脂肪族アミンが特に好ましい。ここで、脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンである。脂肪族アミンが有する脂肪族基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましい。
【0166】
脂肪族アミンとしては、例えば、アンモニア(NH)の水素原子の少なくとも1つが、炭素原子数20以下のアルキル基で置換されたアルキルアミン、アンモニア(NH)の水素原子の少なくとも1つがヒドロキシアルキル基で置換されたアルカノールアミン、及び環式アミンが挙げられる。
【0167】
アルキルアミン及びアルカノールアミンの具体例としては、n-ヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、n-オクチルアミン、n-ノニルアミン、n-デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-n-ヘプチルアミン、ジ-n-オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-n-ペンチルアミン、トリ-n-ヘキシルアミン、トリ-n-ヘプチルアミン、トリ-n-オクチルアミン、トリ-n-ノニルアミン、トリ-n-デシルアミン、トリ-n-ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ-n-オクタノールアミン、トリ-n-オクタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。これらのなかでは、トリアルキルアミン、及びアルカノールアミンが好ましい。
【0168】
環式アミンとしては、例えば、含窒素複素環化合物が挙げられる。含窒素複素環化合物としては、単環式脂肪族アミンであっても、多環式脂肪族アミンであってもよい。
【0169】
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、及びピペラジン等が挙げられる。脂肪族多環式アミンの炭素原子数は、6以上10以下が好ましい。脂肪族多環式アミンとして、具体的には、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
【0170】
その他の脂肪族アミンとしては、具体的には、トリス(2-メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2-(2-メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(2-メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(1-メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(1-エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(1-エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2-{2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン等が挙げられる。
【0171】
芳香族アミンとしては、具体的には、アニリン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾール又はこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、2,6-ジイソプロピルアニリン、2,2’-ジピリジル、4,4’-ジピリジル等が挙げられる。
【0172】
クエンチャーは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。感光性樹脂組成物に含まれるクエンチャーの量は、ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)100質量部に対して、0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましい。
【0173】
感光性樹脂組成物は、形成される被膜の可塑性を向上させるため、ポリビニル樹脂を含有していてもよい。ポリビニル樹脂の具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリヒドロキシスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニル安息香酸、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルフェノール、及びこれらの共重合体等が挙げられる。
【0174】
感光性樹脂組成物は、支持体との接着性を向上させるため、密着助剤を含有していてもよい。
【0175】
感光性樹脂組成物は、塗布性、消泡性、レベリング性等を向上させるため、界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤の具体例としては、BM-1000、BM-1100(いずれもBMケミー社製)、メガファックF142D、メガファックF172、メガファックF173、メガファックF183(いずれもDIC社製)、フロラードFC-135、フロラードFC-170C、フロラードFC-430、フロラードFC-431(いずれも住友スリーエム社製)、サーフロンS-112、サーフロンS-113、サーフロンS-131、サーフロンS-141、サーフロンS-145(いずれも旭硝子社製)、SH-28PA、SH-190、SH-193、SZ-6032、SF-8428(いずれも東レシリコーン社製)、ポリフォックスPF-136A、ポリフォックスPF-156A、ポリフォックスPF-151N、ポリフォックスPF-636、ポリフォックスPF-656、ポリフォックスPF-6520(いずれもOMNOVA Solutions社製)等の市販のフッ素系界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0176】
感光性樹脂組成物は、現像液に対する溶解性を微調整するために、酸又は酸無水物を含有していてもよい。
【0177】
酸及び酸無水物の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、n-酪酸、イソ酪酸、n-吉草酸、イソ吉草酸、安息香酸、桂皮酸等のモノカルボン酸類;乳酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、m-ヒドロキシ安息香酸、p-ヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ桂皮酸、3-ヒドロキシ桂皮酸、4-ヒドロキシ桂皮酸、5-ヒドロキシイソフタル酸、シリンギン酸等のヒドロキシモノカルボン酸類;シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、1,2,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸等の多価カルボン酸類;無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバニル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス無水トリメリタート、グリセリントリス無水トリメリタート等の酸無水物;等を挙げることができる。
【0178】
<感光性樹脂組成物の製造方法>
感光性樹脂組成物は、上記各成分を通常の方法で混合及び撹拌することで調製することができる。必要に応じ、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散機を用いて分散及び混合を行ってもよい。また、混合した後で、さらにメッシュ、メンブランフィルタ等を用いて濾過してもよい。
【0179】
≪硬化物≫
前述の感光性樹脂組成物を加熱することで、ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)が架橋剤(C)で架橋され硬化物が形成される。かかる硬化物は、耐薬品性に優れる。
【0180】
≪光学素子の製造方法≫
前述の通り、感光性樹脂組成物は、加熱されることで耐薬品性に優れる硬化物を与える。このため、前述の感光性樹脂組成物は、基材上に、n種のマイクロレンズを含む複数のマイクロレンズを備える、光学素子の製造方法において、好適に使用される。かかる製造方法において、感光性樹脂組成物の硬化物が、有機溶媒等の薬液に頻繁に接触する。
n種のマイクロレンズは、互いに相違する。n種のマイクロレンズが互いに相違する点は、特に限定されない。例えば、n種のマイクロレンズは、屈折率や光線透過率等の光学特性、耐溶剤性や耐薬品性等の化学的特性、硬度や弾性率等の機械的特性、マイクロレンズを構成する材料の化学的組成、サイズ、及び形状等の1つ以上において、互いに相違する。典型的には、n種のマイクロレンズは、サイズにおいて互いに相違する。
【0181】
以下、基材上に、n種のマイクロレンズを含む複数のマイクロレンズを備える、光学素子の製造方法について説明する。
【0182】
上記の製造方法において、nは、2以上の整数である。nは、2以上4以下の整数が好ましく、2、又は3がより好ましく、2が特に好ましい。つまり、2種のマイクロレンズを備える光学素子が好ましく製造される。
【0183】
上記の製造方法は、基材上に樹脂膜を形成することと、
樹脂膜上に、複数のマイクロレンズの形状に応じた形状のマスクを形成することと、
マスクとともに、樹脂膜をエッチングすることにより、マスクの形状が転写された、複数のマイクロレンズを形成することを含む。
【0184】
樹脂膜は、レンズ材料層として基材上に形成される。基材としては、フォトダイオード(有機フォトダイオード、無機フォトダイオード等)等を含む画像素子、カラーフィルター層等が設けられたシリコンウェーハ、場合により反射防止膜がさらに形成されたシリコンウェーハ等の基板等が挙げられる。
【0185】
次いで、樹脂膜上に、複数のマイクロレンズの形状に応じた形状のマスクを形成する。
マスクは、下記(i)~(iii):
(i)樹脂膜上に、第m番目の感光性樹脂組成物を塗布して、第m番目の塗布膜を形成することと、
(ii)第m番目の塗布膜を、露光、及び現像して、基材上の第m番目のマイクロレンズが形成される位置に対応する位置に第m番目のドットを形成することと、
(iii)第m番目のドットを加熱することで、第m番目のドットを前記第m番目のマイクロレンズの形状に応じた形状に変形させることと、
の操作を、n回繰り返し行うことにより形成される。
上記のmは、1以上n以下の整数であり、
マスクの形成において使用される、第1番目~第n番目の感光性樹脂組成物は、同一であっても異なっていてもよい。
第1番目~第n番目の前記感光性樹脂組成物のうちの少なくとも1つが前述の感光性樹脂組成物である。
【0186】
以下、第1番目のマイクロレンズの形成するための、マイクロレンズ形状のマスクを樹脂膜上に形成する方法について説明する。
まず、樹脂膜上に、第1番目の感光性樹脂組成物を塗布して、第1番目の塗布膜を形成する。
第1番目の感光性樹脂組成物としては、前述のエッチバック法においてマイクロレンズ形状のマスクを形成するための使用されている感光性樹脂組成物を特に限定なく用いることができる。第1番目の感光性樹脂組成物としては、前述の感光性樹脂組成物が好ましい。
【0187】
第1番目の感光性樹脂組成物を塗布する方法は、特に限定されない。例えば、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター、スリットコーター等の接触転写型塗布装置や、スピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて、第1番目の感光性樹脂組成物を、所望の膜厚となるよう塗布して第1番目の塗布膜を形成できる。
【0188】
感光性樹脂組成物からなる第1番目の塗布膜に対して、適宜、加熱処理(プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理)を施して第1番目の塗布膜中の溶剤を除去してもよい。
上記加熱処理の条件は、感光性樹脂組成物の各成分の種類、配合割合、塗布膜厚等によって異なる。加熱温度は、例えば、60℃以上150℃以下が好ましく、70℃以上140℃以下がより好ましい。加熱時間は、例えば、0.5分以上60分以下が好ましく、1分以上50分以下がより好ましい。
第1番目の塗布膜の膜厚は、好ましくは100nm以上4.0μm以下、より好ましくは400nm以上2.0μm以下の範囲である。
【0189】
次いで、第1番目の塗布膜を、露光、及び現像して、基材上の第1番目のマイクロレンズが形成される位置に対応する位置に第1番目のドットを形成する。
【0190】
露光は、所定の位置に第1番目のドットが形成されるように位置選択的に行われる。位置選択的な露光は、例えば、所望のマスクパターンを介して行うことができる。露光に用いる光線の波長は、特に限定されない。露光は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。
【0191】
次いで、露光された第1番目の塗布膜を現像する。これにより、不要な部分を溶解及び除去する。塗布膜は、露光後、且つ現像前に、加熱しないのが好ましい。
【0192】
現像は、アルカリ現像プロセスの場合は、アルカリ現像液を用いて現像が行われる。溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)を用いて現像が行われる。
【0193】
アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノナン等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。また、上記アルカリ類の水溶液にメタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。アルカリ現像液としては、濃度0.1質量%以上10質量%以下のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液が好ましい。
【0194】
有機系現像液としては、ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)(露光前のポリヒドロキシスチレン樹脂(A))を溶解し得る有機溶剤であればよい。有機系現像液として使用される有機溶剤は、公知の有機溶剤から適宜選択できる。有機溶剤の好適な例としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、ニトリル系溶剤、アミド系溶剤、及びエーテル系溶剤等の極性溶剤、並びに炭化水素系溶剤等が挙げられる。
【0195】
ケトン系溶剤は、C-C(=O)-Cで表される構造を有する有機溶剤である。エステル系溶剤は、カルボン酸エステル基を有する有機溶剤である。アルコール系溶剤は、アルコール性水酸基を有する有機溶剤である。ニトリル系溶剤は、ニトリル基を有する有機溶剤である。アミド系溶剤は、カルボン酸アミド基を含む有機溶剤である。カルボン酸アミド基中の窒素原子は、有機基、好ましくは炭化水素基で置換されていてもよい。エーテル系溶剤は、エーテル結合を有機溶剤である。
【0196】
有機溶剤の中には、構造中に上記各溶剤を特徴づける官能基を複数種含む有機溶剤も存在するが、その場合は、有機溶剤が有する官能基を含むいずれの溶剤種にも該当するものとする。例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテルは、上記分類中のアルコール系溶剤、エーテル系溶剤のいずれにも該当するものとする。
炭化水素系溶剤は、ハロゲン化されていてもよい炭化水素からなり、ハロゲン原子以外の置換基を有さない炭化水素溶剤である。ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
有機系現像液が含有する有機溶剤としては、上記の中でも、極性溶剤が好ましく、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、及びニトリル系溶剤が好ましい。
【0197】
現像時間は、第1番目の感光性樹脂組成物の組成や第1番目の塗布膜の膜厚等によっても異なるが、通常、20秒以上5分以下である。現像方法は、液盛り法、ディッピング法、パドル法、スプレー現像法等のいずれでもよい。
【0198】
現像された第1番目の塗布膜は、必要に応じて、流水等により洗浄された後、乾燥される。このようにして、第1番目のドットからなるドットパターンが形成される。
【0199】
次いで、第1番目のドットを加熱することで、第1番目のドットを第1番目のマイクロレンズの形状に応じた形状に変形させる。このようにして、樹脂膜上に、第1番目のマイクロレンズの形状に応じた形状のマスクを形成することができる。
加熱の条件は、第1番目の感光性樹脂組成物中の各成分の種類、配合割合、塗布膜厚等によって異なる。例えば、加熱温度は、100℃以上200℃以下が好ましく、120℃以上150℃以下がより好ましい。加熱時間は、例えば、1分以上30分間以下が好ましく、3分以上10分以下がより好ましい。
【0200】
以上のようにして、樹脂膜上に第1番目のマイクロレンズの形状に応じた形状のマスクが形成される。
【0201】
次いで、第1番目のマイクロレンズの形状に応じた形状のマスクをその表面に備える樹脂膜上に、第2番目の感光性樹脂組成物を用いて、第2番目のマイクロレンズの形状に応じた形状のマスクを形成する。第2番目のマイクロレンズの形状に応じた形状のマスクを形成する方法は、第1番目のマイクロレンズの形状に応じた形状のマスクを形成する方法と同様である。
第2番目の感光性樹脂組成物としては、前述の第1番目の感光性樹脂組成物が好ましい。
【0202】
このような操作を、n回繰り返して行うことにより、n種類のマイクロレンズの形状に応じた、n種類のマスクが、樹脂膜上に形成される。
n種類のマスクを備える樹脂膜に対して、マスクとともに、樹脂膜がエッチングされるようにエッチングを行うことで、n種類のマスクの形状が転写された、複数のマイクロレンズが基材上に形成される。
【0203】
以上の通り、本発明者により、以下の(1)~(9)が提供される。
(1)ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)と、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する光酸発生剤(B)と、架橋剤(C)と、を含む感光性樹脂組成物であって、
ポリヒドロスチレン樹脂(A)において、フェノール性水酸基の一部がアセタール型保護基により保護されており、
架橋剤(C)は、2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(C1)である、
感光性樹脂組成物。
(2)さらに、熱酸発生剤(D)を含む、(1)に記載の感光性樹脂組成物。
(3)光酸発生剤(B)が、波長200nm以上300nm以下の活性光線又は放射線に感応し酸を発生させる光酸発生剤(B-a)である、(1)又は(2)に記載の感光性樹脂組成物。
(4)光酸発生剤(B)が、ジアゾメタン型光酸発生剤(B1)、及び/又はオニウム塩型光酸発生剤(B2)を含む、(1)から(3)のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
(5)ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)100質量部に対して、1.0質量部以上20質量部以下の架橋剤(C)を含む、(1)から(4)のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
(6)(1)から(5)のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物の硬化物。
(7)基材上に、n種のマイクロレンズを含む複数のマイクロレンズを備える、光学素子の製造方法であって、
nは、2以上の整数であり、
製造方法が、基材上に樹脂膜を形成することと、
樹脂膜上に、複数のマイクロレンズの形状に応じた形状のマスクを形成することと、
マスクとともに、樹脂膜をエッチングすることにより、マスクの形状が転写された、複数のマイクロレンズを形成することと、を含み、
マスクが、下記(i)~(iii):
(i)樹脂膜上に、第m番目の感光性樹脂組成物を塗布して、第m番目の塗布膜を形成することと、
(ii)第m番目の塗布膜を、露光、及び現像して、前記基材上の第m番目のマイクロレンズが形成される位置に対応する位置に第m番目のドットを形成することと、
(iii)第m番目のドットを加熱することで、第m番目のドットを第m番目のマイクロレンズの形状に応じた形状に変形させることと、
の操作を、n回繰り返し行うことにより形成され、
mは、1以上n以下の整数であり、
マスクの形成において使用される、第1番目~第n番目の感光性樹脂組成物は、同一であっても異なっていてもよく、
第1番目~第n番目の感光性樹脂組成物のうちの少なくとも1つが、(1)から(6)のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物であり、
(1)から(6)のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物を用いて塗布膜を形成する場合、露光後、且つ現像前に、塗布膜を加熱しない、製造方法。
(8)nが2である、(7)に記載の光学素子の製造方法。
(9)マスクの形成において、樹脂膜上に最初に塗布される感光性樹脂組成物が、感光性樹脂組成物である、(8)又は(9)に記載の光学素子の製造方法。
【実施例0204】
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0205】
〔実施例1~実施例8、比較例1、及び比較例2〕
実施例、及び比較例において、ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)として、下記の単位からなる樹脂A-1を用いた。
樹脂A-1の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、20,000である。樹脂A-1の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、1.1である。
【0206】
【化28】
【0207】
実施例、及び比較例において、ジアゾメタン型酸発生剤(B1)として、下記B1-1を用いた。
B1-1:ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタンを用いた。
実施例、及び比較例において、オニウム塩型酸発生剤(B2)として、下記B2-1を用いた。
【化29】
【0208】
実施例、及び比較例において、架橋剤(C)として、下記化合物C-1~C-3を用いた。
【化30】
【0209】
実施例、及び比較例において、熱酸発生剤(D)として、下記化合物D-1及びD-2を用いた。
【化31】
【0210】
表1に記載の種類の樹脂(A)100質量部と、表1に記載の種類、及び量の光酸発生材(B)と、表1に記載の量の架橋剤(C)と、熱酸発生剤(D)を、固形分濃度が10wt%になるように混合溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/乳酸エチル=60/40(質量比))に溶解させて、各実施例、及び各比較例の感光性樹脂組成物を得た。
【0211】
得られた感光性樹脂組成物を用いて、以下の方法に従って、感光性樹脂組成物のパターニング特性と、硬化膜の耐薬品性とを評価した。これらの評価結果を表1に記す。
【0212】
<パターニング特性評価>
膜厚0.16μmの下層反射防止膜と、膜厚1μmの熱硬化性アクリル樹脂の硬化膜とを、その表面に備えるシリコン基板において、アクリル樹脂の硬化膜上に、各実施例、各比較例の感光性樹脂組成物をスピンコーターを用いて塗布した。シリコン基板上に塗布された感光性樹脂組成物を、100℃で60秒間ベークして、膜厚550nmの塗布膜を得た。
形成された塗布膜に対して、ドット径0.40μm、ドット間隔0.30μmのドットパターン形成用のマスクを介して、KrFエキシマレーザー(NSR-S203、ニコン社製)をNA/s=0.68/0.75で露光を行った。
露光後の塗布膜を、濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に室温で60秒間接触させて現像を行った。
現像後の、シリコン基板上に形成されたパターン形状を走査型電子顕微鏡(SEM)により上空及び断面方向から確認し、以下の基準に従い、パターニング特性を評価した。
A:解像可能であった。
C:解像不可であった。
【0213】
<耐薬品性評価>
膜厚0.16μmの下層反射防止膜と、膜厚1μmの熱硬化性アクリル樹脂の硬化膜とを、その表面に備えるシリコン基板において、アクリル樹脂の硬化膜上に、各実施例、各比較例の感光性樹脂組成物をスピンコーターを用いて塗布した。シリコン基板上に塗布された感光性樹脂組成物を、100℃で60秒間ベークして、膜厚550nmの塗布膜を得た。
形成された塗布膜に対して、ドット径0.40μm、ドット間隔0.30μmのドットパターン形成用のマスクを介して、KrFエキシマレーザー(NSR-S203、ニコン社製)をNA/s=0.68/0.75で露光を行った。
露光後の塗布膜を、濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に室温で60秒間接触させて現像を行った。
現像後、140℃で5分間ベークして、マイクロレンズが形成されたシリコン基板(M1)を得た。
次いで、マイクロレンズが形成されたシリコン基板上に、KrFレジスト(TDUR-P3435、東京応化工業株式会社製)をスピンコーターを用いて塗布した。シリコン基板上に塗布されたKrFレジストを、100℃で60秒間ベークして、膜厚550nmの塗布膜を得た。
塗布膜に対して、KrFエキシマレーザー(NSR-S203、ニコン社製)をNA/s=0.68/0.75で全面露光を行った。露光後の塗布膜を、100℃で90秒間ベークした。
ベーク後、濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に室温で60秒間接触させて現像を行った。
現像後、150℃で5分間ベークして、マイクロレンズが形成されたシリコン基板(M2)を得た。
M1のマイクロレンズの高さT1と、M2のマイクロレンズの高さT2とから、下記式に基づいて残膜率を算出した。
残膜率(%)=T2/T1×100
算出された残膜率に基づいて、以下の基準に従い、耐薬品性を評価した。
A:レンズ高さの残膜率が、90%以上であった。
B:レンズ高さの残膜率が、80%以上90%未満であった。
C:レンズ高さの残膜率が、80%未満であった。
【0214】
【表1】
【0215】
実施例1~8から、ポリヒドロキシスチレン樹脂(A)と、光酸発生剤(B)と、架橋剤(C)とを含む感光性樹脂組成物において、フェノール性水酸基の一部がアセタール型保護基により保護されているポリヒドロキシスチレン樹脂(A)と、分子中に、2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物である架橋剤(C)とを用いることにより、フォトリソグラフィー特性に優れ、耐薬品性に優れるマイクロレンズを形成できる感光性樹脂組成物が得られることが分かる。