(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008586
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】文字入力支援装置、文字入力支援システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 40/129 20200101AFI20250109BHJP
G06F 40/117 20200101ALI20250109BHJP
【FI】
G06F40/129
G06F40/117
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110863
(22)【出願日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】阿部 晋矢
(72)【発明者】
【氏名】萩尾 勇太
(72)【発明者】
【氏名】安岡 諒
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 辰哉
(72)【発明者】
【氏名】藤井 翔子
【テーマコード(参考)】
5B109
【Fターム(参考)】
5B109SA14
(57)【要約】
【課題】ユーザが、単に入力文字列を作成し、仮名漢字文字列に変換する操作を行うだけで、特段の作業なしに構造化文字列などを生成できるようにする。
【解決手段】本発明にかかる文字入力支援装置は、入力文字列が入力される入力部と、前記入力文字列を用いた検索要求に応じて、前記入力文字列に対応する属性情報を含む1つ以上のエンティティを返すナレッジベースと、前記ナレッジベースが返した1つ以上のエンティティが入力されて前記エンティティを出力し、出力した前記エンティティのいずれか1つを選択するユーザの操作に応じて、前記入力文字列を構造化し、構造化された前記入力文字列を出力する文字入力支援部と、前記文字入力支援部が出力した前記エンティティを表示するプレビュー部と、構造化された前記入力文字列を保存するデータ保存部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力文字列が入力される入力部と、
前記入力文字列を用いた検索要求に応じて、前記入力文字列に対応する属性情報を含む1つ以上のエンティティを返すナレッジベースと、
前記ナレッジベースが返した1つ以上のエンティティが入力されて前記エンティティを出力し、出力した前記エンティティのいずれか1つを選択するユーザの操作に応じて、前記入力文字列を構造化し、構造化された前記入力文字列を出力する文字入力支援部と、
前記文字入力支援部が出力した前記エンティティを表示するプレビュー部と、
構造化された前記入力文字列を保存するデータ保存部と、
を備える文字入力支援装置。
【請求項2】
前記属性情報は、前記入力文字列に対応する情報を含み、
前記ナレッジベースは、前記検索要求に用いられた前記入力文字列に対応する情報を含む前記エンティティを返す、
請求項1に記載の入力支援装置。
【請求項3】
前記文字入力支援部は、入力された前記エンティティを前記入力文字列の変換候補とし、前記プレビュー部に出力する、
請求項1に記載の文字入力支援装置。
【請求項4】
出力した前記エンティティのいずれか1つを選択するユーザの操作は、前記入力文字列の変換候補のいずれかを特定する操作であり、
前記プレビュー部は、前記文字入力支援部から前記入力文字列の変換候補を入力されて表示し、
前記文字入力支援部は、前記入力文字列の変換候補のいずれかを特定する操作を、前記入力部を介して入力される、
請求項3に記載の文字入力支援装置。
【請求項5】
前記文字入力支援部は、前記入力文字列の変換候補のいずれかを特定する操作に応じて、前記ナレッジベースが返した前記エンティティを、構造化された前記入力文字列に加えることにより、前記入力文字列を構造化する、
請求項4に記載の文字入力支援装置。
【請求項6】
入力文字列を用いた検索要求に応じて、前記入力文字列に対応する属性情報を含むエンティティを返すナレッジベースと、
構造化処理装置と、
を備える文字入力支援システムであって、
前記構造化処理装置は、
前記入力文字列を入力される入力部と、
前記入力文字列を用いた前記検索要求に応じて前記ナレッジベースが返した1つ以上のエンティティが入力されて前記エンティティを出力し、出力した前記エンティティのいずれか1つを選択するユーザの操作に応じて、前記入力文字列を構造化し、構造化された前記入力文字列を出力する文字入力支援部と、
前記文字入力支援部が出力した前記エンティティを表示するプレビュー部と、
構造化された前記入力文字列を保存するデータ保存部と、
を備える、
文字入力支援システム。
【請求項7】
入力文字列を入力されるステップと、
前記入力文字列を用いた検索要求に応じて、前記入力文字列に対応する属性情報を含む1つ以上のエンティティを返すステップと、
前記検索要求に応じて返された1つ以上のエンティティを出力し、出力した前記エンティティのいずれか1つを選択するユーザの操作に応じて入力された前記入力文字列を構造化し、構造化した前記入力文字列を出力するステップと、
出力した前記エンティティを表示するステップと、
構造化した前記入力文字列を保存するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザにより入力された文字列から構造化された文字列を生成する文字入力支援装置、文字入力支援システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々なデータを含む文字列に、XMLおよびRDFなどによりメタデータを付与して構造化し、再利用しやすくする工夫がされてきた。さらに、このような構造化文書の生成をサポートするフォーマッタに関する提案がなされている(特許文献1)。このように、構造化された文字列は、以下、「構造化文字列」と記載され、「構造化文字列」のみを含む文書は、「構造化文書」と記載される。
【0003】
また、データベースを利用して構造化文書を生成することにより、構造化文書の作成を支援したり、利用を促したりする技術も提案されている(特許文献2)。また、IME(登録商標)など、文字入力の支援のために、アルファベットまたは仮名により入力された文字列(入力文字列)を、仮名と漢字とを含む文字列(仮名漢字文字列)に変換(仮名漢字変換)するための入力支援用の技術や製品が提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-312353号公報
【特許文献2】特開2012-008663号公報
【特許文献3】特開2014-029646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の構造化文書は文書のメタデータとして、XMLおよびRDFなどにより構造化されるが、そのデータは文章、例えば日本語の文字列自体を構造化するものではない。またIMEは文章、文字列自体を入力するツールで、変換を行う際に変換の精度を上げるためデータベースを活用する例はあるが、文字列自体は通常の文字列である。
【0006】
通常の文字列は一度テキストになってしまうと、入力を行ったユーザが入力時に検討していた情報の一部が抜け落ちてしまう。例えば、ユーザが「今日の渋谷の天気は晴れ」と入力する際に、「こんにち」ではなく「きょう」と読むつもりで「今日」を入力したことや、「渋谷駅」のピンポイントではなく、「渋谷」という地域全体を意識して入力したといった情報が抜け落ちる。
【0007】
また、単語の切れ目もユーザには自明だが、通常の文字列となると失われる情報である。日本語は、例えば、英語と異なり単語の区切りがスペースなどで自明ではないため、単語の区切りは一度テキストになると失われる。他にも「重力」、「加速度」の連続する2つの単語と、「重力加速度」という1つの単語のどちらを入力者が意識して「重力加速度」という文字を入力したかなどは、入力者には自明であっても、通常の文字列となってしまうと失われてしまう。これらの通常の文字列となることで失われる情報を、後から推測することは難しい。
【0008】
本発明は、ユーザが単に入力文字列を作成し、仮名漢字文字列に変換する操作を行うだけで、特段の作業なしに構造化文字列および構造化文書を生成できるようにし、また、入力された構造化文字列および構造化文書に含まれるデータを、他のアプリケーションにおいて、有効で確実に利用できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる文字入力支援装置は、入力文字列が入力される入力部と、前記入力文字列を用いた検索要求に応じて、前記入力文字列に対応する属性情報を含む1つ以上のエンティティを返すナレッジベースと、前記ナレッジベースが返した1つ以上のエンティティが入力されて前記エンティティを出力し、出力した前記エンティティのいずれか1つを選択するユーザの操作に応じて、前記入力文字列を構造化し、構造化された前記入力文字列を出力する文字入力支援部と、前記文字入力支援部が出力した前記エンティティを表示するプレビュー部と、構造化された前記入力文字列を保存するデータ保存部とを備える。
【0010】
また、前記属性情報は、前記入力文字列に対応する情報を含み、前記ナレッジベースは、前記検索要求に用いられた前記入力文字列に対応する情報を含む前記エンティティを返す。
【0011】
また、前記文字入力支援部は、入力された前記エンティティを前記入力文字列の変換候補とし、前記プレビュー部に出力する。
【0012】
また、出力した前記エンティティのいずれか1つを選択するユーザの操作は、前記入力文字列の変換候補のいずれかを特定する操作であり、前記プレビュー部は、前記文字入力支援部から前記入力文字列の変換候補を入力されて表示し、前記文字入力支援部は、前記入力文字列の変換候補のいずれかを特定する操作を、前記入力部を介して入力される。
【0013】
また、前記文字入力支援部は、前記入力文字列の変換候補のいずれかを特定する操作に応じて、前記ナレッジベースが返した前記エンティティを、構造化された前記入力文字列に加えることにより、前記入力文字列を構造化する。
【0014】
また、本発明にかかる文字入力支援システムは、入力文字列を用いた検索要求に応じて、前記入力文字列に対応する属性情報を含むエンティティを返すナレッジベースと、構造化処理装置とを備える文字入力支援システムであって、前記構造化処理装置は、前記入力文字列を入力される入力部と、前記入力文字列を用いた前記検索要求に応じて前記ナレッジベースが返した1つ以上のエンティティが入力されて前記エンティティを出力し、出力した前記エンティティのいずれか1つを選択するユーザの操作に応じて、前記入力文字列を構造化し、構造化された前記入力文字列を出力する文字入力支援部と、前記文字入力支援部が出力した前記エンティティを表示するプレビュー部と、構造化された前記入力文字列を保存するデータ保存部とを備える。
【0015】
また、本発明にかかるプログラムは、入力文字列が入力されるステップと、前記入力文字列を用いた検索要求に応じて、前記入力文字列に対応する属性情報を含む1つ以上のエンティティを返すステップと、前記検索要求に応じて返された1つ以上のエンティティを出力し、出力した前記エンティティのいずれか1つを選択するユーザの操作に応じて入力された前記入力文字列を構造化し、構造化した前記入力文字列を出力するステップと、出力した前記エンティティを表示するステップと、構造化した前記入力文字列を保存するステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザが単に入力文字列を作成し、仮名漢字文字列に変換する操作を行うだけで、特段の作業なしに構造化文字列および構造化文書を生成でき、また、入力された構造化文字列および構造化文書に含まれるデータを、他のアプリケーションにおいて、有効で確実に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、文字入力支援装置1の構成を示す図である。
【
図2A】
図2Aは、
図1に示したナレッジベース12に含まれるエンティティを例示する図である。
【
図2B】
図2Bは、
図1に示したナレッジベース12に含まれるエンティティを例示する図である。
【
図3】
図3は、入力文字列「きょう」の変換候補として表示され、ユーザにより選択されたエンティティを例示する図である。
【
図4】
図4は、文字入力支援部102が構造化文字列などに加える文字列を例示する図である。
【
図5】
図5は、
図1に示した文字入力支援装置1の構成要素の間で行われるデータ入出力を示すシーケンス図である。
【
図6】
図6は、文字入力支援装置1が生成した構造化文字列などを例示する図である。
【
図7A】
図7Aは、構造化文字列などの修正に用いられるUI画面を例示する図である。
【
図7B】
図7Bは、構造化文字列などの修正に用いられるUI画面を例示する図である。
【
図7C】
図7Cは、構造化文字列などの修正に用いられるUI画面を例示する図である。
【
図7D】
図7Dは、修正後の構造化文字列などを例示する図である。
【
図7E】
図7Eは、修正後の構造化文字列などに含まれる「池袋(駅名)」に対応するナレッジベース12のエンティティを例示する図である。
【
図8】
図8は、字幕の生成および表示のためのデータの入出力を示すシーケンス図である。
【
図9A】
図9Aは、字幕表示装置により生成された字幕を例示する図である。
【
図9B】
図9Bは、字幕表示装置により生成された字幕を例示する図である。
【
図10】
図10は、原稿システム画面生成装置3の構成を示す図である。
【
図11】
図11は、
図10に示した原稿システム画面生成装置3の画面生成部30により生成された原稿システム画面を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施形態]
まず、添付図面を参照して本発明の第1の実施形態を詳細に説明する。なお、図面において共通する構成要素および処理には同一の参照符号が付されている。
【0019】
以下、文字入力支援装置1を説明する。
図1は、文字入力支援装置1の構成を示す図である。
図1に示すように、文字入力支援装置1は、構造化処理部10とナレッジベース12とを備える。なお、ナレッジベース12は、「ナレッジデータベース」および「知識データベース」などとも呼ばれる。
【0020】
構造化処理部10は、制御部(不図示)および記憶部(不図示)の他、各種の入出力インタフェースなどを備えた情報処理装置(コンピュータ)であってもよい。以降、構造化処理装置10ともいう。同様に、ナレッジベース12は、データベース処理装置(コンピュータ)であってもよい。いずれも制御部は、記憶部に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、本実施形態における各機能を実現する。制御部は、CPUであってよい。
【0021】
構造化処理部10は、入力部100、文字入力支援部102、プレビュー部104およびデータ保存部106を備える。なお、ナレッジベース12は、複数の構造化処理装置10により共用されうる。複数の構造化処理装置10がナレッジベース12を共有すると、文字入力支援システムを形成しうる。
【0022】
文字入力支援装置1は、構造化処理装置10の文字入力支援部102およびデータ保存部106とナレッジベース12との他、入力部100およびプレビュー部104などの各種の入出力インタフェースやディスプレイ(不図示)などを備えた情報処理装置(コンピュータ)である。文字入力支援装置1は、入力文字列を構造化することにより構造化文字列および構造化文書を生成する。なお、構造化文書は、構造化文字列のみを含み、構造化文字列と構造化文書との間には、実質上の技術的差異はない。
【0023】
データ保存部106は、構造化処理装置10の記憶部であり、ハードウェア群を文字入力支援装置1として機能させるための各種プログラムおよび各種データを記憶する。データ保存部106は、ROM、RAM、フラッシュメモリまたはハードディスクドライブ(HDD)などであってよく、複数のデバイスで構成されてよい。
【0024】
なお、文字入力支援装置1は、構造化処理装置10とナレッジベース12とが1つのコンピュータにおいて一体に構成されることを想定する。しかしながら、文字入力支援装置1は、これには限られず、構造化処理装置10とナレッジベース12とが別々のコンピュータにおいて構成されてもよい。
【0025】
まず、ナレッジベース12を説明する。ナレッジベース12は、文字入力支援部102が文字列を構造化文字列および構造化文書にする前に予め用意される複数のエンティティ(entity)を記憶して含むデータベースである。ナレッジベース12に含まれる複数のエンティティそれぞれには、固有のリンクが付される。
【0026】
図2Aおよび
図2Bは、
図1に示したナレッジベース12に含まれるエンティティを例示する図である。なお、図示の都合により、ナレッジベース12に含まれるエンティティは、
図2Aおよび
図2Bに2分割されて示されている。
【0027】
また、
図2Aおよび
図2Bには、構造化文字列「今日の渋谷の天気は晴れ」に含まれる7つの単語(「今日」、「の」、「渋谷」、「の」、「天気」、「は」および「晴れ」)に対応する12のエンティティのみが例示されている。ただし、ナレッジベース12に含まれるエンティティはこれらに限定されない。ナレッジベース12は、構造化文字列および構造化文書の生成に用いられる可能性がある全ての単語に対応する数多くのエンティティを記憶して含みうる。
【0028】
なお、
図2Aおよび
図2Bに示すナレッジベース12のエンティティにおいては、単語およびその属性が、TurtleによりRDF記述されて構造化される。以下、ナレッジベース12のエンティティおよび構造化処理装置10が生成する構造化文字列および構造化文書が、TurtleによりRDF記述される場合が具体例とされる。なお、構造化文字列および構造化文書は、必ずしもRDF記述される必要はなく、RDB(Relational Data Base)など検索のために用いられる他の形式で記述されてよい。
【0029】
RDFは、トリプル(Triple)と呼ばれる3つのデータの組により、主語(subject)、述語(predicate)および目的語(object)の関係性を記述し、URI(Uniform Resource Identifier)で示される情報の関係を有向グラフで表す枠組みである。なお、TurtleによりRDF記述されたデータから、必要な情報を抽出するためのクエリ言語としてSPARQLがある。
【0030】
図2Aおよび
図2Bに示すように、ナレッジベース12は、リンク「<#今日>」、「<#の>」、「<#渋谷(地名)>」、「<#渋谷1>」、「<#渋谷2>」、「<#天気>」、「<#天気1>」、「<#天気2>」、「<#は>」、「<#晴れ>」、「<#晴れ1>」および「<#晴れ2>」をそれぞれ含む12のエンティティを含む。
【0031】
リンク「<#今日>」を含むエンティティにおいては、上記構造化文字列または構造化文書に含まれる単語「今日」の属性情報が定義される。このエンティティは、リンク「<#今日>」の後に、属性情報「schema:name “今日”;」、「schema:description“日付に関する情報”;」、「schema:typicalAgeRange “8”;」および「<読み>“きょう”」を含む。なお、属性情報「schema:typicalAgeRange」が必要ないときには、例えば、「schema:typicalAgeRange “Null”;」あるいは「schema:typicalAgeRange “-1”;」などの無効な値で示されることがある。
【0032】
このエンティティに含まれる属性情報「schema:name “今日”;」のうち、「name」は名称を示し、この文字列により、このエンティティの名称が漢字の文字列「今日」であることが定義される。さらに、この漢字の文字列「今日」は、このエンティティをテキストなどに含まれる仮名漢字文字列において表記するための文字として用いられる。
【0033】
このエンティティに含まれる属性情報「schema:description“日付に関する情報”;」のうち、「description」は配列を示す。つまり、この属性情報により、リンク「<#今日>」により示される単語「今日」が、「日付に関する情報であること」が示される。
【0034】
このエンティティに含まれる属性情報「schema:typicalAgeRange“8”;」は、例えば、この文字列に振り仮名を必要とする年齢層が8歳未満であることを示す。属性情報「<読み>“きょう”」は構造化文字列または構造化文書に含まれる単語「今日」の読み「きょう」を示す。
【0035】
以上説明したように、このエンティティに含まれるこれらの文字列により、リンク「<#今日>」が示す「今日」の属性情報として、このエンティティに対応する単語をテキストにおいて表示するときの文字列「今日」、文字列に振り仮名を必要とする年齢層「8歳未満」および単語「今日」の読み「きょう」が定義される。
【0036】
リンク「<#の>」を含むエンティティにおいては、上記構造化文字列または構造化文書に含まれる2つの単語「の」の属性情報「schema:name“の”」が定義される。なお、「今日の渋谷の天気は晴れ」には2つの「の」が含まれるが、これら2つの「の」は同じ品詞で同じ用法で用いられるので、リンク「<#の>」を含むエンティティの数は1つとされる。
【0037】
リンク「<#渋谷(地名)>」を含むエンティティにおいては、上記構造化文字列または構造化文書に含まれる単語「渋谷」の属性情報「schema:description“渋谷の地名を表す”」および次のエンティティを示す「<nextPart><#渋谷1>」が定義される。文字列「<nextPart><#渋谷1>」は、単語「渋谷」の属性情報の続きが、リンク「<#渋谷1>」を含むエンティティにおいて定義されることを示す。
【0038】
リンク「<#渋谷1>」を含むエンティティにおいては、上記構造化文字列または構造化文書に含まれる単語「渋谷」のうち、「渋」について、属性情報「schema:name“渋”」、「<読み>“しぶ”」、「schema:typicalAgeTange“12”」および「<nextPart><#渋谷2>」が定義される。
【0039】
リンク「<#渋谷2>」を含むエンティティにおいては、上記構造化文字列または構造化文書に含まれる単語「渋谷」のうち、「谷」について、属性情報「schema:name“谷”」、「<読み>“や”」、「schema:typicalAgeTange“8”」および「<nextPart><#渋谷(地名)>」が定義される。このように、リンク「<#渋谷2>」に属性情報「<nextPart><#渋谷(地名)>」が用いられることにより、単語「渋谷」に関する属性情報が循環的に用いられうる。
【0040】
リンク「<#天気>」を含むエンティティにおいては、上記構造化文字列または構造化文書に含まれる単語「渋谷」の属性情報「schema:name“天気”」および次のエンティティを示す「<nextPart><#天気1>」が定義される。
【0041】
リンク「<#天気1>」を含むエンティティにおいては、上記構造化文字列または構造化文書に含まれる単語「天気」のうち、「天」について、属性情報「<読み>“てん”、「schema:typicalAgeTange“7”」および「<nextPart><#天気2>」が定義される。
【0042】
リンク「<#天気2>」を含むエンティティにおいては、上記構造化文字列または構造化文書に含まれる単語「天気」のうち、「気」について、属性情報「schema:name“気”」、「<読み>“き”」、「schema:typicalAgeTange“7”」および「<nextPart><#天気>」が定義される。
【0043】
リンク「<#は>」を含むエンティティにおいては、属性情報「schema:name“は”;」が定義される。
【0044】
リンク「<#晴れ>」を含むエンティティにおいては、属性情報「schema:name“晴れ”;」および「<nextPart><#晴れ1>」が定義される。
【0045】
リンク「<#晴れ1>」を含むエンティティにおいては、属性情報「schema:name“晴”;」、「<読み>“は”」、「schema:typicalAgeRange “7”」および「<nextPart><#晴れ2>」が定義される。
【0046】
リンク「<#晴れ2>」を含むエンティティにおいては、属性情報「schema:name“れ”;」および「<nextPart><#晴れ>」が定義される。
【0047】
図2Aおよび
図2Bに示した構造化文字列または構造化文書に含まれる各単語に対応するリンクを含むエンティティの属性情報「schema:name」が示す文字を並べることにより、仮名漢字文字列「今日の渋谷の天気は晴れ」が得られることは当業者にとって自明であろう。
【0048】
なお、文字入力支援装置1の処理またはユーザが必要とするのであれば、各エンティティは、構造化文字列および構造化文書に含まれる単語の品詞などの属性情報をさらに含んでよい。あるいは、文字入力支援装置1またはユーザにとって不要であれば、エンティティは、属性情報のうち、適宜、文字列「schema:typicalAgeRange “7”」などを含まなくてよい。
【0049】
文字入力支援部102は、ナレッジベース12に対して、入力部100に入力された文字列を用いて、クエリ言語SPARQLなどによるエンティティの検索要求を行う。文字入力支援部102は、文字入力支援部102からの検索要求に応じて、検索要求に用いられた文字列に対応するエンティティ、および、文字列に関係するエンティティを検索する。
【0050】
さらに、ナレッジベース12は、検索の結果として得られたエンティティを文字入力支援部102に出力する。あるいは、ナレッジベース12は、リンクを用いた他の装置(
図1において不図示)から検索要求を受信し、受信した検索要求に応じて、このリンクが付されたエンティティを検索し、検索結果として得られたエンティティを、検索要求を出力した文字入力支援部102または他の装置に出力する。
【0051】
また、ナレッジベース12は、他の装置から入力された情報を示す文字列を、
図2Aおよび
図2Bを参照して説明したように構造化言語により記述して構造化文字列および構造化文書を生成し、新たなエンティティとして記憶する。新たなエンティティは、それ以前からナレッジベース12に含まれていた他のエンティティとともにナレッジベース12に記憶され、ナレッジベース12に含まれることとなる。
【0052】
次に、構造化処理装置10(
図1)の各要素を説明する。入力部100は、キーボード、マイクおよびマウスなどの入力デバイスを含む。入力部100には、ユーザの入力デバイスに対する入力操作に応じて、ユーザにより入力文字列が入力される。構造化処理装置10において、この入力文字列が構造化の対象となる。なお、入力部100は、マイクからユーザ音声により入力文字列が入力されるときには、ユーザの音声を文字列に変換する音声認識装置(不図示)を含む。
【0053】
なお、マイクを用いた入力文字列の入力は、例えば、ニュース番組の放送中に字幕を生成するときに行われる。入力部100は、ユーザが入力した入力文字列を示す入力信号を、文字入力支援部102に対して出力する。
【0054】
プレビュー部104は、入力部100および文字入力支援部102を介して入力された入力文字列、ならびに文字入力支援部102から入力された変換候補、構造化文字列および構造化文書をディスプレイに表示し、ユーザに提示する。
【0055】
なお、一般に知られているように、変換候補は、アルファベット文字または仮名文字の入力文字列を、仮名漢字変換して得られる仮名漢字文字列の候補である。プレビュー部104による変換候補および文字列などの表示により、ユーザは、自らが構造化処理装置10に入力した入力文字列、入力文字列の変換候補、および、変換候補の選択に応じて生成された構造化文字列および構造化文書を確認できる。
【0056】
なお、プレビュー部104は、入力文字列、変換候補、および、構造化文字列または構造化文書を、例えば、ディスプレイの画面に表示された複数のウィンドウそれぞれに表示してよい。あるいは、プレビュー部104は、これらを1つのウィンドウを分割した複数の領域それぞれに表示してよい。
【0057】
データ保存部106は、ハードウェア群を文字入力支援装置1として機能させるための各種プログラムおよび各種データの他に、文字入力支援部102から入力された構造化文字列および構造化文書を記憶し、保存させる。データ保存部106は、保存した構造化文字列および構造化文書を、他の装置からの要求に応じて出力する。データ保存部106から他の装置に出力された構造化文字列および構造化文書は、後述する実施例に示すように、要求元に提供され、様々な用途に用いられうる。
【0058】
文字入力支援部102は、ナレッジベース12、入力部100、プレビュー部104およびデータ保存部106と接続される。文字入力支援部102は、入力部100から入力信号を受ける。文字入力支援部102は、入力信号を入力文字列に変換する。さらに、文字入力支援部102は、入力文字列を用いてナレッジベース12にエンティティの検索要求を出力し、この検索要求を受信したナレッジベース12による検索結果として得られた1つ以上のエンティティを受ける。
【0059】
文字入力支援部102は、ナレッジベース12から受けたエンティティを、プレビュー部104に出力して表示させ、入力文字を仮名漢字文字列に変換する際の候補を示す変換候補としてユーザに提示させる。例えば、文字入力支援部102が文字列「きょう」または「k」を入力部100から受けると、文字入力支援部102は、文字列「きょう」または「k」を用いて、ナレッジベース12にエンティティの検索要求を出力する。
【0060】
ナレッジベース12は、検索要求に用いられた仮名文字列「きょう」などを用いて、各エンティティにおいて構造化された属性情報を検索する。なお、文字入力支援部102は、アルファベット文字「k」を用いてナレッジベース12にエンティティの検索要求を出力こともできる。この場合には、文字入力支援部102は、入力文字列「k」から、「カ行」の文字を先頭とする1以上の仮名文字列、例えば、「きょう(今日)」、「きのう(機能)」および「きょねん(去年)」などを予測し、ナレッジベース12に検索要求に用いる仮名文字としうる。
【0061】
ナレッジベース12は、「<読み>“きょう”」(
図2A)および必要に応じて「きょう」などに関係する読みを属性情報として含むエンティティを、文字入力支援部102に出力する。文字入力支援部102は、ナレッジベース12が出力したエンティティを受け、受けたエンティティを含む変換候補をプレビュー部104に出力して表示させる。
【0062】
図3は、入力文字列「きょう」の変換候補として表示され、ユーザにより選択されたエンティティを例示する図である。なお、
図3に示したエンティティは、
図2Aに示したリンク「<#今日>」を含むエンティティと同じである。
図4は、
図3に示したエンティティがユーザにより選択されたときに、構造化文字列または構造化文書に加えられるリンクを示す図である。
【0063】
ユーザは、例えば、マウスまたは上下左右ボタンを操作して、プレビュー部104によりディスプレイに表示された変換候補から所望のエンティティを選択し、キーボードのエンターキーを押下することにより変換候補の選択を確定させられる。文字入力支援部102は、入力部100を介して、
図3に示したエンティティがユーザにより選択されたことを示す選択情報の入力があったときには、
図4に示すように、このエンティティのリンクを構造化文字列または構造化文書に加える。
【0064】
文字入力支援部102は、
図3に示したエンティティがユーザにより選択されると、
図4に示すように、選択されたエンティティのリンクを、文字列「<#text1>」、「schema;hasPart[」、「schema:position 1;」および「<#term><#今日>」により、構造化文字列または構造化文書に加える。
【0065】
なお、リンク「<#term><#今日>」が、構造化文字列または構造化文書の先頭に加えられるときには、文字入力支援部102は、
図2Aに示したように、文字列「@base <http://example.org>.」、「@prefix schema: <http://schema.org>.」、「<#text1>」、「schema:hasPart[」および「schema:position 1;」の後に、このエンティティのリンクの文字列「<#term><#今日>.」を加える。これらの文字列に含まれる「position」は位置を示し、「hasPart」は部分を示し、「#term」は単語を示す。
【0066】
つまり、文字入力支援装置1の入力部100、文字入力支援部102、プレビュー部104およびナレッジベース12が、以下の(1)~(7)の処理が繰り返されることにより、構造化文字列または構造化文書を含むテキストが生成される。詳しくは、ユーザにより(1)の処理が実行されると、その都度、(2)~(7)の処理が実行される。
【0067】
(1)ユーザが、入力部100に入力文字列を入力する;
(2)入力部100が入力文字列を文字入力支援部102に出力する;
(3)文字入力支援部102が入力文字列を用いてナレッジベース12にエンティティの検索要求を出力する;
(4)ナレッジベース12が文字入力支援部102からの検索要求を受けて、検索要求に用いられた入力文字に対応する1つ以上のエンティティを検索結果として文字入力支援部102に出力する;
(5)文字入力支援部102がナレッジベース12から検索結果として得られたエンティティを受け、受けたエンティティを変換候補としてプレビュー部104に表示させ、ユーザに提示する;
(6)文字入力支援部102が、ユーザによる変換候補のいずれかを選択する操作を示す選択操作情報を、入力部100を介して受ける;および
(7)文字入力支援部102が、選択されたエンティティのリンクを構造化文字列または構造化文書に加える。
【0068】
このように、文字入力支援装置1によれば、ユーザは、単に入力文字列を作成し、仮名漢字文字列に変換する操作を行うだけで、構造化された仮名漢字文字列または日本語のテキストを生成できる。つまり、これらの処理により、構造化された仮名漢字文字列または日本語のテキストに含まれる単語と、ナレッジベース12のエンティティに含まれる属性情報とが、リンクを介して対応付けられ、接続される。
【0069】
次に、文字入力支援装置1の全体的な処理を説明する。
図5は、
図1に示した文字入力支援装置1の入力部100、文字入力支援部102、プレビュー部104、データ保存部106およびナレッジベース12の間で行われるデータ入出力を示すシーケンス図である。
図5に示すように、ユーザは、例えば、キーボードに対して入力文字列を入力する(S100)。入力部100は、入力文字列を示す入力信号を文字入力支援部102に対して出力する(S102)。
【0070】
文字入力支援部102は、入力部100から入力信号を受け、入力信号を入力文字列に変換する(S104)。文字入力支援部102は、入力文字列を用いて、ナレッジベース12にエンティティの検索要求を行う(S106)。ナレッジベース12は、検索要求に用いられた入力文字列を用いてエンティティを検索し、検索結果として1つ以上のエンティティを得る(S108)。ナレッジベース12は、検索の結果として得られたエンティティを、文字入力支援部102に出力する(S110)。
【0071】
文字入力支援部102は、エンティティを変換候補としてプレビュー部104に出力し(S112)、プレビュー部104がユーザに提示する(S114)。ユーザが、変換候補を見てそのいずれかを選択する選択操作を行うと(S116)、入力部100には選択操作が入力され、文字入力支援部102に選択操作を示す選択情報を出力する(S118)。
【0072】
文字入力支援部102は、変換候補として選択されたエンティティ(
図2Aおよび
図2B)に含まれるリンクを構造化文字列または構造化文書に加える(S120)。文字入力支援部102は、リンクが加えられた構造化文字列または構造化文書を、データ保存部106に出力して記憶させ(S122)、プレビュー部104に出力して表示させる(S124)。プレビュー部104は、ユーザにより選択された変換候補が確定したことをユーザに提示する(S126)。S100~S126の処理が繰り返されることにより、構造化文字列または構造化文書が生成される。
【0073】
図6は、文字入力支援装置1が生成した構造化文字列または構造化文書を例示する図である。文字入力支援装置1の構造化処理装置10は、
図2Aおよび
図2Bに示したエンティティを含むナレッジベース12を利用して、
図3~
図5を参照して説明した処理を、必要とされるだけ繰り返し、
図6に示すような構造化文字列または構造化文書を生成する。
【0074】
文字入力支援部102は、構造化文字列または構造化文書「今日の渋谷の天気は晴れ」に含まれる単語「今日」~「晴れ」それぞれに対応するエンティティには、リンク「<#今日>」~「<#晴れ>」それぞれが含まれる。文字入力支援部102は、これらのリンクを、変換候補のうち、ユーザにより選択されたエンティティそれぞれから順次、取得する。
【0075】
さらに、文字入力支援部102は、順次、取得したリンク「<#今日>」~「<#晴れ>」それぞれに、文字列「<#term>」を順次、前置する。さらに、文字入力支援部102は、「<#term>」を前置したリンク「<#今日>」~「<#晴れ>」を、文字列「schema:hasPart[position 1; ]」の「; ]」の部分に、順次、挿入する。これらの処理の結果、文字入力支援部102は、文字列「schema:hasPart[position 1;<#term><#今日>];」~「schema:hasPart[position 7;<#term><#晴れ>].」を生成する。
【0076】
文字入力支援部102は、このようにして得られた文字列に、構造化文字列または構造化文書による記述に必要とされる文字列、例えば、「@base <http://example.org>.」、「@prefix schema: <http://schema.org>.」および「<#text1>」を前置する。これらの処理の結果、文字入力支援部102は、仮名漢字文字列「今日の渋谷の天気は晴れ」を構造化し、構造化文字列または構造化文書とする。
【0077】
なお、ここに示した文字列から構造化文字列または構造化文書を生成する処理の手順は例示であり、文字入力支援部102は、これ以外の処理手順で文字列から構造化文字列または構造化文書を生成してよい。このようなときには、例えば、文字入力支援部102は、まず、入力文字列からテキスト「今日の渋谷の天気は晴れ」を生成し、このテキストを形態素分析などにより単語に分割し、さらに、単語をナレッジベース12から得たエンティティに含まれるリンクを用いて構造化して構造化文字列または構造化文書とする。
【0078】
以上説明したように、構造化文字列または構造化文書において、構造化文字列または構造化文書に含まれる単語それぞれは、ナレッジベース12に含まれるエンティティのリンクを含む。従って、単語それぞれに含まれるリンクを用いてナレッジベース12に含まれるエンティティを参照することにより、ユーザは、構造化文字列または構造化文書に含まれる単語それぞれの漢字の読み、意味および概念などの属性を知ることができ、曖昧さが解消される。
【0079】
また、文字入力支援装置1により、ユーザが通常のテキスト入力の操作をするだけで、構造化文字列および構造化文書が生成されうる。従って、文字入力支援装置1によれば、ユーザが構造化文字列および構造化文書を生成するための特段の作業を必要としない。また、構造化文字列および構造化文書の利用によりナレッジベース12などのデータベースへの接続が容易となる。
【0080】
従って、構造化文字列および構造化文書は、様々な用途において有効で確実に利用されうる。なお、ここに示した仮名文字列「きょうのしぶやのてんきははれ」、および、構造化文字列または構造化文書「今日の渋谷の天気は晴れ」は単なる例示であって、文字入力支援装置1は、任意の入力文字列を構造化して構造化文字列または構造化文書を生成できる。以上、文字入力支援装置1の基本的な機能および処理フローについて説明した。
【0081】
[変形例]
次に、本発明の第1の変形例として、文字入力支援装置1が生成した構造化文字列または構造化文書を修正するための処理を説明する。文字入力支援装置1の文字入力支援部102は、入力部100を介して入力されるユーザの操作を示す情報に応じて、構造化文字列または構造化文書を修正する。
【0082】
図7A~
図7Cは、構造化文字列または構造化文書の修正に用いられるUI(ユーザインターフェース)画面を例示する図である。ユーザは、文字入力支援部102が生成した構造化文字列または構造化文書の一部または全部を修正することがある。このようなときには、文字入力支援部102には、入力部100を介して修正のためのユーザの操作が入力される。文字入力支援部102は、入力された操作に応じて、例えば、
図7Aに示すように、テキストとして「今日の渋谷の・・・」と表示される構造化文字列または構造化文書を単語ごとに区切り、文字列「『今日』『の』『渋谷』『の』・・・」とする。
【0083】
文字入力支援部102は、このように区切った文字列をプレビュー部104に出力する。プレビュー部104は、文字入力支援部102から入力された文字列を、
図7Aに示すように、ディスプレイの画面に表示されたUI画面に表示し、ユーザに提示する。
【0084】
さらに、ユーザが、
図7Aに示したUI画像に含まれる文字列のうち、「渋谷」に対する操作を行うと、文字入力支援部102は、この操作を、入力部100を介して入力させる。文字入力支援部102は、
図6に示した構造化文字列または構造化文書に含まれるリンク「<#渋谷(地名)>」を読み出す。さらに、文字入力支援部102は、操作の対象となった単語「渋谷」とそのリンク「<#渋谷(地名)>」とを、プレビュー部104に出力する。プレビュー部104は、
図7Bに示すように、捜査の対象となった「渋谷」をUI画面の文字列の項目に表示し、リンク「<#渋谷(地名)>」をリンクの項目に表示する。
【0085】
ユーザが、
図7Bに示したUI画面に対して、
図7Cに示すように、単語「渋谷」を「池袋」に、リンク「#渋谷(地名)」を「#池袋(駅名)」に修正する操作を行うと、文字入力支援部102には、入力部100を介してこれらの修正が入力される。文字入力支援部102は、
図7Cに示すように、構造化文字列または構造化文書に含まれる文字列、UI画面のなかの文字列およびリンクを、ユーザの修正操作に応じて、「渋谷」から「池袋」に、また、「渋谷(地名)」から「池袋(駅名)」に変更する。
【0086】
図7Dは、修正後の構造化文字列または構造化文書を例示する図である。
図7Eは、修正後の構造化文字列または構造化文書に含まれる「池袋(駅名)」に対応するナレッジベース12のエンティティを例示する図である。文字入力支援部102は、
図6に示した構造化文字列または構造化文書のうち、
図7Dに下線付きの太字で示すように、「渋谷」のリンク「<#渋谷(地名)>」を、「池袋」のリンク「<#池袋(駅名)>」と修正する。さらに、文字入力支援部102は、修正した構造化文字列または構造化文書を、ディスプレイなどに出力して表示させる。また、文字入力支援部102は、構造化文字列または構造化文書を、データ保存部106に記憶させ、保存させる。
【0087】
なお、リンク「<#池袋(駅名)>」を含むエンティティは、修正前にナレッジベース12に含まれており、その内容は、
図7Eに示す通りである。つまり、リンク「<#池袋(駅名)>」を含むエンティティは、文字列「<schema:description“池袋駅を示す”」および「<nextPart><#池袋1>」を構造化された属性情報として含む。リンク「<#池袋1>」を含むエンティティは、文字列「<schema:name“池”」、「<読み>“いけ”」、「schema:typicalAgeRange “7”」および「<nextPart><#池袋2>」を構造化された属性情報として含む。リンク「<#池袋2>」を含むエンティティは、文字列「<schema:name“袋”」、「<読み>“ぶくろ”」、「schema:typicalAgeRange “12”」および「<nextPart><#池袋(駅名)>」を構造化された属性情報として含む。
【0088】
次に、本発明の第2の変形例を説明する。本変形例においては、文字入力支援装置1は、構造化処理装置10およびナレッジベース12(
図1)、さらに字幕表示装置(
図8)を備える。本変形例の文字入力支援装置1は、例えば、放送装置(テレビなど)の画面に表示する字幕データを生成するために利用され得る。
図8は、字幕の生成および表示のためのデータの入出力を示すシーケンス図である。構造化処理装置10(
図1)は、構造化文字列または構造化文書を生成し、データ保存部106に記憶させ、保存させる。字幕表示装置は、文字入力支援装置1のデータ保存部106から、構造化文書を含む構造化文書ファイルを読み出す(S140)。
【0089】
字幕表示装置は、読み出した構造化文書ファイルを処理し、構造化文書ファイルに含まれる構造化文書のなかの漢字(例えば、「渋谷」)に読み仮名(ルビ)を付す必要があるか否かを判定する(S142)。字幕表示装置は、この漢字を用いて、ナレッジベース12にエンティティの検索要求を出力する(S144)。ナレッジベース12は、字幕表示装置からの検索要求を受信し、エンティティの検索要求に用いられた漢字に対応するエンティティを検索し、検索結果として得られたエンティティを字幕表示装置に送信する。字幕表示装置は、ナレッジベース12からエンティティを受信し、漢字の読み仮名(例えば、「しぶや」)を得る(S146)。
【0090】
字幕表示装置は、S146の処理により得られた読み仮名(例えば、「しぶや」)を、ナレッジベース12へのエンティティの検索要求に用いた漢字(例えば、「渋谷」)に対応付けて読み仮名(ルビ)を生成する。字幕表示装置は、字幕表示装置から受信した構造化文字列または構造化文書を表すテキストを生成し、さらに、テキストに含まれる漢字に読み仮名を付して字幕データを生成する(S148)。
【0091】
図9Aおよび
図9Bは、字幕表示装置により生成された字幕を例示する図である。
図9Aに示すように、字幕表示装置は、生成した字幕データを文字入力支援装置1の文字入力支援部102を介してプレビュー部104に送信し、
図9Aに示すように、全ての漢字に読み仮名が付された字幕データをディスプレイの下部などに字幕として表示させる(S150)。
【0092】
字幕表示装置は、生成した字幕データを、ARIB-TTML、IMSCまたはWebVTTのフォーマットに変換して放送装置などの他の装置に出力する(S152)。なお、
図9Aに示した字幕データは、放送装置により利用され、例えば、テレビ画面に字幕を表示するために用いられうる。
【0093】
なお、
図2Aに示したエンティティにおいて、リンク「<#渋谷1>」の部分は、文字列「schema:typicalAgeRange“12”」を含む。このような「schema:typicalAgeRange」の情報を用いて、
図9Aに示した字幕に含まれる漢字の一部だけに読み仮名を付すこともできる。
【0094】
例えば、字幕表示装置のユーザは、字幕を読む視聴者が8歳以上であると想定し、
図9Bに示すように、字幕表示装置に、単語「渋谷」のみに読み仮名「しぶや」を付した字幕を生成させることができる。
図2Aおよび
図2Bに示すように、リンク<#今日>が付され、単語「今日」に対応するエンティティは、振り仮名を必要とする年齢層が8歳未満であることを設定する数値が付された文字列「schema:typicalAgeRange “8”」を含む。また、リンク<#天気1>および<#天気2>が付され、漢字「天」および「気」からなる単語「天気」に対応するエンティティなどは振り仮名を必要とする年齢層が7歳未満であることを設定する数値が付された文字列「schema:typicalAgeRange “7”」を含む。また、リンク<#渋谷1>が付され、単語「渋谷」のうちの漢字「渋」に対応するエンティティは、振り仮名を必要とする年齢層が12歳未満であることを設定する数値が付された文字列「schema:typicalAgeRange “12”」を含む。
【0095】
このように、各エンティティに含まれる文字列「schema:typicalAgeRange」に数値が付されているとき、ユーザが、字幕を読む視聴者の年齢を8歳以上と字幕表示装置に設定する。すると、字幕表示装置は、各エンティティに含まれる文字列「schema:typicalAgeRange」の数値、および、ユーザによる年齢の設定に従って、エンティティの文字列「schema:typicalAgeRange」の数値が12(9以上)とされた漢字「渋」を含む単語「渋谷」のみに読み仮名を付した字幕を生成し、表示する。
【0096】
以下、本発明の第3の変形例を説明する。
図10は、原稿システム画面生成装置3の構成を示す図である。
図10に示すように、原稿システム画面生成装置3は、
図1に示した構造化処理装置10およびナレッジベース12と、画面生成部30および天気予報情報源32とを備える。
【0097】
なお、ナレッジベース12は、ニュース放送開始より前に、予め交通情報に関するエンティティを含む。さらに、ナレッジベース12は、天気予報情報源32から得られた天気予報情報から、ニュース放送開始より前に、予め、天気予報情報に関するエンティティを生成する。構造化処理装置10(
図1)の文字入力支援部102には、ニュース原稿を作成するユーザによる入力文字列が入力部100を介して入力され、文字入力支援部102は、ニュース原稿の構造化文字列または構造化文書を生成する。生成された構造化文字列または構造化文書は、画面生成部30に出力され、画面生成部30は、この構造化文字列または構造化文書を受信する。
【0098】
原稿システム画面生成装置3において、画面生成部30は、文字入力支援部102が生成したニュース原稿の構造化文字列または構造化文書に含まれる複数の仮名漢字文字列を用いて、ナレッジベース12にエンティティの検索要求を出力する。ナレッジベース12は、画面生成部30からの検索要求を受信し、この検索要求に応じて、ニュース原稿の構造化文字列または構造化文書に含まれ、上述したように互いに関連付けられた「地名」および「駅名」に対応する交通情報および天気予報情報のエンティティを画面生成部30に送信する。
【0099】
画面生成部30は、構造化処理装置10から受信したニュース原稿の構造化文字列または構造化文書をテキストで示すニュース情報と、ナレッジベース12から受信した地名、例えば「池袋」に関係する交通情報および天気予報情報とを生成する。さらに、画面生成部30は、生成したニュース情報、交通情報および天気予報情報を含む原稿システム画面を生成する。つまり、原稿システム画面生成装置3によれば、ニュース原稿に含まれる地名としての「池袋」に関係する情報だけでなく、駅名としての「池袋」に関係する情報を、例えば、ニュース番組に出演してニュース原稿を読み上げているアナウンサーに提供できる。
【0100】
図11は、
図10に示した原稿システム画面生成装置3の画面生成部30により生成された原稿システム画面を例示する図である。なお、
図11には、ナレッジベース12に含まれるエンティティにより、「池袋(地名)」と「池袋(駅名)」とが関連付けられた場合を示す。
図11に示すように、原稿システム画面の左半分には、地名としての「池袋」において催されているイベントのニュースの構造化文字列または構造化文書をテキストとして表す画面が表示される。原稿システム画面は、上述したように、アナウンサーに提示される。
【0101】
一方、原稿システム画面の右上には、駅名としての「池袋」を通る特定の鉄道路線に生じた遅延、および、特定の鉄道線路以外が正常に運転されている旨の情報を示す画面が表示される。さらに、原稿システム画面の右下には、地名としての「池袋」の付近の天気予報情報を示す画面が表示される。なお、駅名としての「池袋」を通る鉄道路線のうち、何らかの異常が発生している鉄道線路の情報のみを赤い字で表示するなど、必要に応じて原稿システム画面に表示された文字を色分けしてよい。
【0102】
原稿システム画面を見ることにより、ニュース番組に出演しているアナウンサーが、ニュース原稿に含まれる地名に関係する交通あるいは天気予報に重大な情報があれば気づくことができる。従って、アナウンサーは適宜、交通あるいは天気予報に生じた重大な情報を読み上げることができる。
【0103】
本発明にかかる文字入力支援装置による処理は、前述したようにソフトウェアにより実現され得る。この処理がソフトウェアにより実現されるときには、このソフトウェアを構成するプログラムは、ユーザのコンピュータにインストールされて実行される。このようなプログラムは、リムーバブルメディアによりユーザのコンピュータに配布されてインストールされ、または他のコンピュータからネットワークを介してユーザのコンピュータに配布され、インストールされ得る。さらに、ユーザのコンピュータに必ずしもこのソフトウェアを構成するプログラムが配布されなくてよく、例えば、Webサービスとしてユーザのコンピュータに提供され得る。
【0104】
本発明について詳述したが、本発明は上述した個々の実施形態に限定されない。これらの実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、または、特許請求の範囲に記載された内容とその均等物から導き出される本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、置き換え、変更、部分的削除などがされうる。また、これらの実施形態は、組み合わせて実施されうる。例えば、上述した実施形態において、各動作の順序や各処理の順序は、一例として示したものであり、これらに限定されない。また、上述した実施形態の説明に数値または数式が用いられている場合も同様である。
【符号の説明】
【0105】
1 文字入力支援装置
10 構造化処理装置(構造化処理部)
100 入力部
102 文字入力支援部
104 プレビュー部
106 データ保存部
12 ナレッジベース
3 原稿システム画面生成装置
30 画面生成部
32 天気予報情報源