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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008736
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】発光素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10H 20/00 20250101AFI20250109BHJP
【FI】
H01L33/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111163
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】古波 直人
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241CA74
5F241CA75
5F241CA76
(57)【要約】
【課題】設計上の発光素子領域の形状と得られる発光素子領域の形状との間の誤差を小さくすることができる発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】発光素子の製造方法は、基板と、前記基板上に配置された半導体構造体とを有するウェハを準備する工程と、前記半導体構造体を分割して複数の発光素子領域を形成する工程と、を有し、前記発光素子領域を形成する工程は、前記半導体構造体の上に複数の第1マスクを形成する工程と、前記半導体構造体の前記第1マスクから露出する部分を除去して前記基板を前記半導体構造体から露出させる工程と、を有し、前記第1マスクを形成する工程において、前記複数の第1マスクの各々は、前記複数の発光素子領域のうちの1つを形成する予定の第1領域を覆うとともに、平面視で前記第1領域よりも大きい面積を有する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に配置された半導体構造体とを有するウェハを準備する工程と、
前記半導体構造体を分割して複数の発光素子領域を形成する工程と、
を有し、
前記発光素子領域を形成する工程は、
前記半導体構造体の上に複数の第1マスクを形成する工程と、
前記半導体構造体の前記第1マスクから露出する部分を除去して前記基板を前記半導体構造体から露出させる工程と、
を有し、
前記第1マスクを形成する工程において、前記複数の第1マスクの各々は、前記複数の発光素子領域のうちの1つを形成する予定の第1領域を覆うとともに、平面視で前記第1領域よりも大きい面積を有する、発光素子の製造方法。
【請求項2】
平面視における前記第1領域の形状は、互いに平行な2つの第1辺と、前記第1辺よりも長く互いに平行な2つの第2辺とを有する形状であり、
平面視における前記第1マスクの形状は、前記第1領域と重なり、前記第1辺に平行な2つの第3辺と、前記第3辺よりも長く前記第2辺に平行な2つの第4辺とを有する形状である基部と、前記第1領域の前記第2辺の外側に位置する第1部分と、前記第1領域の前記第1辺の外側に位置する第2部分と、を有し、
平面視で、前記第1部分の外縁と前記基部の前記第4辺との間の最大距離は、前記第2部分の外縁と前記基部の前記第3辺との間の最大距離よりも大きい、請求項1に記載の発光素子の製造方法。
【請求項3】
前記半導体構造体は、前記基板の上に配置されたn側半導体層と、前記n側半導体層の上に配置された活性層と、前記活性層の上に配置されたp側半導体層と、を有し、
前記発光素子領域を形成する工程は、前記第1マスクを形成する工程の前に、
前記半導体構造体の上に複数の第2マスクを形成する工程と、
前記半導体構造体の前記第2マスクから露出する部分を、前記p側半導体層及び前記活性層の総厚さよりも大きく、前記n側半導体層の厚さよりも小さい厚さで除去して、前記n側半導体層を前記p側半導体層及び前記活性層から露出させる工程と、
を有する、請求項1又は2に記載の発光素子の製造方法。
【請求項4】
前記複数の第2マスクを形成する工程において、平面視で、前記複数の第2マスクの各々の外縁は、前記p側半導体層及び前記活性層を残す予定の第2領域の外縁と一致し、
前記n側半導体層を前記p側半導体層及び前記活性層から露出させる工程において、前記第2マスクが前記第2領域を覆う状態が維持される、請求項3に記載の発光素子の製造方法。
【請求項5】
前記第1マスクの厚さは、前記第2マスクの厚さよりも大きい、請求項3に記載の発光素子の製造方法。
【請求項6】
平面視で、前記第1部分の外縁と前記基部の前記第4辺との間の最大距離は、前記第2部分の外縁と前記基部の前記第3辺との間の最大距離の1.2倍以上2.0倍以下である、請求項2に記載の発光素子の製造方法。
【請求項7】
平面視において、前記第1部分の外縁の一部は、前記基部の前記第4辺を二等分する垂直二等分線上において前記基部の前記第4辺から外側に凸である弧状である、請求項2に記載の発光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板上に複数の発光セルが配置された発光素子が提案されている。このような発光素子の製造過程では、基板上に配置された半導体構造体を分割して複数の発光セルを形成している。半導体構造体の分割の際には、半導体構造体の発光セルを形成しようとする部分を覆い、他の部分を露出するレジストマスクを用いたエッチングが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-195370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の発光素子の製造方法のように、比較的厚い半導体構造をエッチングする場合、設計上の発光素子領域の形状と得られる発光素子領域の形状との間の誤差が大きくなりやすい。
【0005】
本開示は、設計上の発光素子領域の形状と得られる発光素子領域の形状との間の誤差を小さくすることができる発光素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の一態様によれば、発光素子の製造方法は、基板と、前記基板上に配置された半導体構造体とを有するウェハを準備する工程と、前記半導体構造体を分割して複数の発光素子領域を形成する工程と、を有し、前記発光素子領域を形成する工程は、前記半導体構造体の上に複数の第1マスクを形成する工程と、前記半導体構造体の前記第1マスクから露出する部分を除去して前記基板を前記半導体構造体から露出させる工程と、を有し、前記第1マスクを形成する工程において、前記複数の第1マスクの各々は、前記複数の発光素子領域のうちの1つを形成する予定の第1領域を覆うとともに、平面視で前記第1領域よりも大きい面積を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、設計上の発光素子領域の形状と得られる発光素子領域の形状との間の誤差を小さくすることができる発光素子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る発光素子の製造方法を示す上面図(その1)である。
図2】実施形態に係る発光素子の製造方法を示す上面図(その2)である。
図3】実施形態に係る発光素子の製造方法を示す上面図(その3)である。
図4】実施形態に係る発光素子の製造方法を示す上面図(その4)である。
図5】実施形態に係る発光素子の製造方法を示す上面図(その5)である。
図6】実施形態に係る発光素子の製造方法を示す上面図(その6)である。
図7】実施形態に係る発光素子の製造方法を示す上面図(その7)である。
図8】実施形態に係る発光素子の製造方法を示す上面図(その8)である。
図9】発光素子領域を形成する予定の第1領域を示す上面図である。
図10】第1マスクを示す上面図である。
図11】実施形態に係る発光素子の製造方法を示す断面図(その1)である。
図12】実施形態に係る発光素子の製造方法を示す断面図(その2)である。
図13】実施形態に係る発光素子の製造方法を示す断面図(その3)である。
図14】実施形態に係る発光素子の製造方法を示す断面図(その4)である。
図15】実施形態に係る発光素子の製造方法を示す断面図(その5)である。
図16】実施形態に係る発光素子の製造方法を示す断面図(その6)である。
図17】実施形態に係る発光素子の製造方法を示す断面図(その7)である。
図18】実施形態に係る発光素子の製造方法を示す断面図(その8)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示を実施するための実施形態を説明する。以下の説明は、本開示の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示を以下の記載に限定するものではない。
【0010】
各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態に分けて示す場合があるが、異なる実施形態や実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後に示す実施形態では、先に示した実施形態との異なる事項について主に説明し、先に示した実施形態と共通の事柄について重複する説明を省略することがある。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合がある。図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略したり、断面図として切断面のみを示す端面図を用いたりする場合がある。また、以下の説明では、XYZ直交座標系を用いるが、当該座標系は、説明のために定めるものであって、基板等の姿勢について限定するものではない。また、任意の点からみて、+Z側を上方、上側または上ということがあり、-Z側を下方、下側または下ということがある。
【0011】
本実施形態は発光素子の製造方法に関する。図1図8は、実施形態に係る発光素子の製造方法を示す上面図である。図9は、発光素子領域を形成する予定の第1領域を示す上面図である。図10は、第1マスクを示す上面図である。図11図18は、実施形態に係る発光素子の製造方法を示す断面図である。図11図18は、それぞれ図1図8中のXI-XI線、XII-XII線、XIII-XIII線、XIV-XIV線、XV-XV線、XVI-XVI線、XVII-XVII線、XVIII-XVIII線に沿った断面図に相当する。本実施形態では、図8及び図18に示す発光素子1を製造する。発光素子1は、X方向に並ぶ2つの発光素子領域40を有する。
【0012】
本実施形態では、まず、図1及び図11に示すように、基板20と、半導体構造体30とを有するウェハ10を準備する工程を行う。基板20は、例えばサファイア基板等の絶縁基板である。半導体構造体30は基板20上に配置される。半導体構造体30は、n側半導体層31と、活性層32と、p側半導体層33とを有する。n側半導体層31は基板20の上に配置され、活性層32はn側半導体層31の上に配置され、p側半導体層33は活性層32の上に配置される。n側半導体層31の厚さT1は、p側半導体層33及び活性層32の総厚さT2より大きい。例えば、n側半導体層31の厚さT1は5.0μm以上15.0μm以下であり、p側半導体層33及び活性層32の総厚さT2は0.5μm以上1.0μm以下である。例えば、半導体構造体30の材料には、III-V族化合物半導体又はII-VI族化合物半導体等の化合物半導体が用いられる。半導体構造体30には、例えば、窒化物半導体が用いられる。
【0013】
ウェハ10は、発光素子1とする予定の複数のチップ領域5を有する。平面視におけるチップ領域5の形状は、例えば各辺の長さが100μm以上2000μm以下、好ましくは500μm以上2000μm以下の矩形状である。複数のチップ領域5はX方向及びY方向に一定の間隔で配置される。例えば、隣り合う2つのチップ領域5の間の距離は、例えば5μm以上30μm以下である。図1には、X方向に並ぶ2つのチップ領域5を示す。チップ領域5の各々は、図6に示す発光素子領域40を形成する予定の2つの第1領域41を有する。2つの第1領域41はX方向に並ぶ。平面視における第1領域41の形状は、X方向に平行な短辺と、Y方向に平行な長辺とを有する長方形状である。長方形状を有する第1領域41の角部は、丸みを有する形状であってよい。図8に示すように、発光素子1の各々は2つの発光素子領域40を有する。
【0014】
図9に示すように、第1領域41は、互いに平行な2つの第1辺41Sと、第1辺41Sよりも長く互いに平行な2つの第2辺41Lとを有する。第1辺41SはX方向に平行であり、第2辺41LはY方向に平行である。第1領域41は、p側半導体層33及び活性層32が除去されてn側半導体層31が露出する予定の第3領域43と、p側半導体層33及び活性層32が除去されずに残る予定の第2領域42とを有する。
【0015】
次いで、図2及び図12に示すように、半導体構造体30の上に複数の第2マスク60を形成する工程を行う。第2マスク60は、半導体構造体30の第2領域42の上に形成され、第2マスク60から半導体構造体30の他の部分(第3領域43を含む)が露出する。この時、平面視で、複数の第2マスク60の各々の外縁60Eは、第2領域42の外縁42Eと一致する。第2マスク60は、例えばレジストマスクである。
【0016】
次いで、図3及び図13に示すように、半導体構造体30の第2マスク60から露出する部分を、p側半導体層33及び活性層32の総厚さT2よりも大きく、n側半導体層31の厚さT1よりも小さい厚さT3で除去して、n側半導体層31をp側半導体層33及び活性層32から露出させる工程を行う。この結果、半導体構造体30の第2マスク60から露出していた部分に凹部70が形成される。厚さT3、すなわち凹部70の深さは、例えば0.5μm以上1.5μm以下である。p側半導体層33及び活性層32から露出した部分のn側半導体層31の厚さは、例えば5.0μm以上15.0μm以下である。半導体構造体30を除去する工程は、例えば反応性イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)により行われ、ウェハ10の温度は100℃程度となる。
【0017】
次いで、図4及び図14に示すように、第2マスク60を除去し、半導体構造体30の上に複数の第1マスク50を形成する工程を行う。第1マスク50は、第1領域41を覆うとともに、平面視で第1領域41よりも大きい面積を有する。
【0018】
図10に示すように、平面視における第1マスク50の形状は、基部53と、2つの第1部分51と、2つの第2部分52とを有する。基部53の形状は、平面視で、第1領域41と重なり、第1領域41の第1辺41Sに平行な2つの第3辺53Sと、第3辺53Sよりも長く第1領域41の第2辺41Lに平行な2つの第4辺53Lとを有する形状である。第3辺53SはX方向に平行であり、第4辺53LはY方向に平行である。第1部分51は、平面視で第1領域41の第2辺41Lの外側に位置し、第2部分52は、平面視で第1領域41の第1辺41Sの外側に位置する。
【0019】
第1部分51の外縁51Eは、Y方向で2つの第2部分52の中間に近い部分ほど、基部53から離れるように湾曲した形状を有する。平面視において、第1部分51の外縁51Eの一部は、基部53の第4辺53Lを二等分する垂直二等分線55上において基部53の第4辺53Lから外側に凸である弧状である。また、第2部分52の外縁52Eは、Y方向で2つの第1部分51の中間に近い部分ほど、基部53から離れるように湾曲した形状を有する。平面視において、第2部分52の外縁52Eの一部は、基部53の第3辺53Sを二等分する垂直二等分線56上において基部53の第3辺53Sから外側に凸である弧状である。
【0020】
例えば、平面視で、第1部分51の外縁51Eと基部53の第4辺53Lとの間の最大距離L1は、第2部分52の外縁52Eと基部53の第3辺53Sとの間の最大距離L2よりも大きい。最大距離L1は最大距離L2の、好ましくは1.2倍以上2.0倍以下であり、より好ましくは1.3倍以上1.8倍以下であり、更に好ましくは1.4倍以上1.6倍以下である。例えば、最大距離L1は1.0μm以上2.0μm以下であり、最大距離L2は0.5μm以上1.5μm以下である。
【0021】
次いで、図5及び図15に示すように、半導体構造体30の第1マスク50から露出する部分を除去して基板20を半導体構造体30から露出させる工程を行う。半導体構造体30を除去する工程は、上記したように、例えばRIEにより行われる。RIEの際に、ウェハ10の温度は100℃程度となり、第1マスク50にウェハ10の熱が伝わる。このため、RIEを行っている間に、第1マスク50の温度が上昇し、第1マスク50が徐々に収縮する。収縮の量は第1マスク50の体積が大きいほど大きい。第1マスク50の厚さは、比較的厚い半導体層を除去する場合、半導体層の厚さに応じて厚くする必要がある。上記のように、第1マスク50から露出していた部分のn側半導体層31の厚さは、例えば10.0μm以上15.0μm以下であり、第1マスク50は、この厚さに応じた厚さT50を有する。例えば、厚さT50は10μm以上20μm以下である。従って、第1マスク50は、比較的厚さが薄いマスクに比べて収縮しやすい。この時、平面視における第1マスク50の形状において、第1部分51と第2部分52とを比べると第1部分51の方が第2部分52よりも収縮し、垂直二等分線55の近傍において第1部分51が大きく収縮する。この結果、第1マスク50を用いて半導体構造体30を除去する工程の前では、第1マスク50が、平面視で第1領域41からはみ出た第1部分51及び第2部分52を有していても、第1マスク50を用いて半導体構造体30を除去する工程の後には、第1マスク50の基部53、第1部分51、及び第2部分52がそれぞれ収縮することにより第1マスク50の全体が概ね第1領域41と重なるようになる。また、RIEにより第1マスク50の厚さは若干薄くなる。
【0022】
次いで、図6及び図16に示すように、第1マスク50を除去する。このように、半導体構造体30を分割することにより複数の発光素子領域40が形成される。発光素子領域40は、概ね第1領域41と重なるように形成される。発光素子領域40において、p側半導体層33からn側半導体層31の一部が露出する。また、発光素子領域40の周囲に基板20が露出する。例えば、チップ領域5内で隣り合う2つの発光素子領域40の間の距離は5μm以上20μmである。
【0023】
次いで、図7及び図17に示すように、発光素子領域40及び基板20を覆う絶縁膜81を形成する。次いで、絶縁膜81に、n側半導体層31を露出する開口部81nと、p側半導体層33を露出する開口部(図示せず)とを形成する。次いで、n側半導体層31を露出する開口部81nを通じてn側半導体層31に電気的に接続されるn側電極82nと、p側半導体層33を露出する開口部を通じてp側半導体層33に電気的に接続されるp側電極82pとを形成する。例えば、絶縁膜81は、Si、Ti、Zr、Nb、Ta、Alからなる群より選択された少なくとも一種の酸化物又は窒化物の膜である。例えば、n側電極82n及びp側電極82pの材料としては、Au、Pt、Pd、Rh、Ni、W、Mo、Cr、Ti、Al、Cu等の金属、またはこれら金属の合金が用いられる。また、n側電極82n及びp側電極82pが、単層膜から構成されていてよく、積層膜から構成されていてもよい。
【0024】
次いで、図8及び図18に示すように、基板20を分割することで複数のチップ領域5を互いに分離する。このようにして、複数の発光素子1を製造することができる。
【0025】
このように、本実施形態では、第1マスク50が基部53、第1部分51及び第2部分52を有している。このため、半導体構造体30の第1マスク50から露出する部分を除去するRIEの際に第1マスク50が収縮するものの、RIEの終了時には、第1マスク50の収縮により第1マスク50の全体が概ね第1領域41と重なるようになる。従って、発光素子領域40を形成する予定の第1領域41の形状と、RIEを通じて得られる発光素子領域40の形状との間の誤差を小さくすることができる。第1領域41は設計上の発光素子領域40に相当するため、本実施形態によれば、設計上の発光素子領域40の形状と得られる発光素子領域40の形状との間の誤差を小さくすることができる。
【0026】
なお、半導体構造体30の第2マスク60から露出する部分を除去するRIEの際にも第2マスク60にウェハ10の熱が伝わり収縮するが、第2マスク60は実質的に収縮せず、この工程では、第2マスク60が第2領域42を覆う状態が維持されやすい。これは、この工程で除去する部分の厚さT3が、例えば0.5μm以上1.5μm以下であり、第2マスク60は、この厚さT3に応じた厚さT60を有すればよく、第2マスク60の体積が、収縮の量を無視できる程度に小さいためである。すなわち、第2マスク60の厚さT60は第1マスク50の厚さT50よりも小さくてよい。
【0027】
また、第1マスク50は、平面視における第1マスク50の4つの隅部から離れた部分が大きく収縮しやすい。本実施形態では、最大距離L1が最大距離L2よりも大きいため、第1部分51が第2部分52よりも大きく収縮しやすく、第1マスク50の収縮により第1マスク50の全体が第1領域41と重なりやすい。最大距離L1が最大距離L2の1.2倍以上2.0倍以下であると、第1マスク50の収縮により第1マスク50の全体が第1領域41と特に重なりやすい。
【0028】
また、平面視において、第1部分51の外縁51Eの一部は、垂直二等分線55上において基部53の第4辺53Lから外側に凸である弧状であるため、平面視で、第1部分51の外縁51Eは第1マスク50の収縮により第1領域41の第2辺41Lに重なりやすい。
【0029】
本明細書は、下記の実施形態を含む。
1.
基板と、前記基板上に配置された半導体構造体とを有するウェハを準備する工程と、
前記半導体構造体を分割して複数の発光素子領域を形成する工程と、
を有し、
前記発光素子領域を形成する工程は、
前記半導体構造体の上に複数の第1マスクを形成する工程と、
前記半導体構造体の前記第1マスクから露出する部分を除去して前記基板を前記半導体構造体から露出させる工程と、
を有し、
前記第1マスクを形成する工程において、前記複数の第1マスクの各々は、前記複数の発光素子領域のうちの1つを形成する予定の第1領域を覆うとともに、平面視で前記第1領域よりも大きい面積を有する、発光素子の製造方法。
2.
平面視における前記第1領域の形状は、互いに平行な2つの第1辺と、前記第1辺よりも長く互いに平行な2つの第2辺とを有する形状であり、
平面視における前記第1マスクの形状は、前記第1領域と重なり、前記第1辺に平行な2つの第3辺と、前記第3辺よりも長く前記第2辺に平行な2つの第4辺とを有する形状である基部と、前記第1領域の前記第2辺の外側に位置する第1部分と、前記第1領域の前記第1辺の外側に位置する第2部分と、を有し、
平面視で、前記第1部分の外縁と前記基部の前記第4辺との間の最大距離は、前記第2部分の外縁と前記基部の前記第3辺との間の最大距離よりも大きい、上記1に記載の発光素子の製造方法。
3.
前記半導体構造体は、前記基板の上に配置されたn側半導体層と、前記n側半導体層の上に配置された活性層と、前記活性層の上に配置されたp側半導体層と、を有し、
前記発光素子領域を形成する工程は、前記第1マスクを形成する工程の前に、
前記半導体構造体の上に複数の第2マスクを形成する工程と、
前記半導体構造体の前記第2マスクから露出する部分を、前記p側半導体層及び前記活性層の総厚さよりも大きく、前記n側半導体層の厚さよりも小さい厚さで除去して、前記n側半導体層を前記p側半導体層及び前記活性層から露出させる工程と、
を有する、上記1又は2に記載の発光素子の製造方法。
4.
前記複数の第2マスクを形成する工程において、平面視で、前記複数の第2マスクの各々の外縁は、前記p側半導体層及び前記活性層を残す予定の第2領域の外縁と一致し、
前記n側半導体層を前記p側半導体層及び前記活性層から露出させる工程において、前記第2マスクが前記第2領域を覆う状態が維持される、上記3に記載の発光素子の製造方法。
5.
前記第1マスクの厚さは、前記第2マスクの厚さよりも大きい、上記3又は4に記載の発光素子の製造方法。
6.
平面視で、前記第1部分の外縁と前記基部の前記第4辺との間の最大距離は、前記第2部分の外縁と前記基部の前記第3辺との間の最大距離の1.2倍以上2.0倍以下である、上記2に記載の発光素子の製造方法。
7.
平面視において、前記第1部分の外縁の一部は、前記基部の前記第4辺を二等分する垂直二等分線上において前記基部の前記第4辺から外側に凸である弧状である、上記2に記載の発光素子の製造方法。
【符号の説明】
【0030】
1:発光素子
10:ウェハ
20:基板
30:半導体構造体
31:n側半導体層
32:活性層
33:p側半導体層
40:発光素子領域
41:第1領域
41S:第1辺
41L:第2辺
42:第2領域
42E:外縁
43:第3領域
50:第1マスク
51:第1部分
52:第2部分
51E、52E:外縁
53:基部
53S:第3辺
53L:第4辺
55、56:垂直二等分線
60:第2マスク
60E:外縁
図1
図2
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