(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008871
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】ベーカリー食品用組成物、ベーカリー食品用生地、ベーカリー食品の製造方法、及びベーカリー食品の食感改良方法
(51)【国際特許分類】
A21D 2/18 20060101AFI20250109BHJP
A21D 13/60 20170101ALI20250109BHJP
A21D 10/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A21D2/18
A21D13/60
A21D10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111460
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】302042678
【氏名又は名称】株式会社J-オイルミルズ
(72)【発明者】
【氏名】江嵜 豪
(72)【発明者】
【氏名】中島 庸博
(72)【発明者】
【氏名】圓井 あゆ
(72)【発明者】
【氏名】長畑 雄也
(72)【発明者】
【氏名】長澤 大輔
【テーマコード(参考)】
4B032
【Fターム(参考)】
4B032DB24
4B032DG02
4B032DK02
4B032DK03
4B032DK12
4B032DK15
4B032DK18
4B032DK47
4B032DK48
4B032DL20
4B032DP08
4B032DP25
4B032DP26
4B032DP33
4B032DP47
(57)【要約】
【課題】 もちもち感、しっとり感、口どけ、及び歯切れのバランスが良好な食感を有するベーカリー食品を提供する。
【解決手段】 以下の成分(A)~(C)を含む、ベーカリー食品用組成物。以下の成分(A)~(C)を含む、ベーカリー食品用生地。成分(A)以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物:(1)澱粉含量が75質量%以上(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×103以上5×104以下(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下(4)目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下、成分(B)α化澱粉(成分(A)は除く)、成分(C)エーテル化澱粉、架橋澱粉、及びエーテル化架橋澱粉からなる群から選ばれる少なくとも1種(成分(A)又は成分(B)は除く)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)~(C):
成分(A)以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物
(1)澱粉含量が75質量%以上
(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×103以上5×104以下
(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
成分(B)α化澱粉(成分(A)は除く)
成分(C)エーテル化澱粉、架橋澱粉、及びエーテル化架橋澱粉からなる群から選ばれる少なくとも1種(成分(A)又は成分(B)は除く)
を含む、ベーカリー食品用組成物。
【請求項2】
以下の成分(A)~(C):
成分(A)以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物
(1)澱粉含量が75質量%以上
(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×103以上5×104以下
(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
成分(B)α化澱粉(成分(A)は除く)
成分(C)エーテル化澱粉、架橋澱粉、及びエーテル化架橋澱粉からなる群から選ばれる少なくとも1種(成分(A)又は成分(B)は除く)
を含む、ベーカリー食品用生地。
【請求項3】
前記ベーカリー食品用生地中の前記成分(A)、前記成分(B)、及び前記成分(C)の合計含有量が3質量%以上50質量%以下である、請求項2に記載のベーカリー食品用生地。
【請求項4】
前記ベーカリー食品用生地中の前記成分(B)の含有量が、前記成分(A)に対する質量比で0.1以上10以下である、請求項2に記載のベーカリー食品用生地。
【請求項5】
前記ベーカリー食品用生地中の前記成分(C)の含有量が、前記成分(A)に対する質量比で0.1以上10以下である、請求項2に記載のベーカリー食品用生地。
【請求項6】
前記ベーカリー食品がドーナツ類である、請求項2に記載のベーカリー食品用生地。
【請求項7】
請求項2~6に記載のベーカリー食品用生地を加熱調理する工程を含む、ベーカリー食品の製造方法。
【請求項8】
請求項2~6に記載のベーカリー食品用生地を加熱調理することを特徴とする、ベーカリー食品の食感改良方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベーカリー食品用組成物、ベーカリー食品用生地、ベーカリー食品の製造方法、及びベーカリー食品の食感改良方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドーナツやパン等のベーカリー食品において、もちもち感及びしっとり感を有するベーカリー食品が好まれている。特許文献1には、天然および/または化工ワキシーコーンスターチおよびα化澱粉を組み合わせたベーカリー製品用ミックスを用いたベーカリー製品について、適度にしっとりしやわらかいモチモチ感を有することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、もちもち感及びしっとり感とともに、口どけ及び歯切れのバランスが良好な独特な食感を有するベーカリー食品の開発が求められている。よって、本発明の目的は、もちもち感、しっとり感、口どけ、及び歯切れのバランスが良好な食感を有するベーカリー食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意研究の結果、特定の成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含むベーカリー食品用生地を用いてベーカリー食品を製造することで、もちもち感、しっとり感、口どけ、及び歯切れのバランスが良好な食感を有するベーカリー食品が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明によれば、以下のベーカリー食品用組成物、ベーカリー食品用生地、ベーカリー食品の製造方法、及びベーカリー食品の食感改良方法が提供される。
[1] 以下の成分(A)~(C):
成分(A)以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物
(1)澱粉含量が75質量%以上
(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×103以上5×104以下
(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
成分(B)α化澱粉(成分(A)は除く)
成分(C)エーテル化澱粉、架橋澱粉、及びエーテル化架橋澱粉からなる群から選ばれる少なくとも1種(成分(A)又は成分(B)は除く)
を含む、ベーカリー食品用組成物。
[2] 以下の成分(A)~(C):
成分(A)以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物
(1)澱粉含量が75質量%以上
(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×103以上5×104以下
(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
成分(B)α化澱粉(成分(A)は除く)
成分(C)エーテル化澱粉、架橋澱粉、及びエーテル化架橋澱粉からなる群から選ばれる少なくとも1種(成分(A)又は成分(B)は除く)
を含む、ベーカリー食品用生地。
[3] 前記ベーカリー食品用生地中の前記成分(A)、前記成分(B)、及び前記成分(C)の合計含有量が3質量%以上50質量%以下である、[2]に記載のベーカリー食品用生地。
[4] 前記ベーカリー食品用生地中の前記成分(B)の含有量が、前記成分(A)に対する質量比で0.1以上10以下である、[2]又は[3]に記載のベーカリー食品用生地。
[5] 前記ベーカリー食品用生地中の前記成分(C)の含有量が、前記成分(A)に対する質量比で0.1以上10以下である、[2]~[4]に記載のベーカリー食品用生地。
[6] 前記ベーカリー食品がドーナツ類である、[2]~[5]に記載のベーカリー食品用生地。
[7] [2]~[6]に記載のベーカリー食品用生地を加熱調理する工程を含む、ベーカリー食品の製造方法。
[8] [2]~[6]に記載のベーカリー食品用生地を加熱調理することを特徴とする、ベーカリー食品の食感改良方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、もちもち感、しっとり感、口どけ、及び歯切れのバランスが良好な食感を有するベーカリー食品を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について、さらに詳細に説明する。なお、本明細書において数値範囲の上限値及び下限値を示したときは、上限値及び下限値を適宜組み合わせることができ、それにより得られた数値範囲も開示しているものとする。
【0009】
[1.ベーカリー食品用組成物]
本実施形態のベーカリー食品用組成物は、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含む。本実施形態のベーカリー食品用組成物は、粉粒状であることが好ましい。
【0010】
(成分(A))
本実施形態において、成分(A)は、具体的には、澱粉を主成分としてなる粉粒状物である。成分(A)は、以下の条件(1)~(4)を満たす。
(1)澱粉含量が75質量%以上
(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×103以上5×104以下
(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
【0011】
条件(1)に関し、成分(A)は、成分(A)全体に対して澱粉を75質量%以上含み、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上含む。
また、成分(A)中の澱粉含量の上限に制限はなく、成分(A)全体に対してたとえば100質量%以下であるが、ベーカリー食品の性状等に応じて99.5質量%以下、99質量%以下等としてもよい。
【0012】
成分(A)において、澱粉は、たとえば食品用の澱粉であり、各種由来のものを用いることができる。たとえば、澱粉として、ハイアミロースコーンスターチ、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ等のとうもろこし澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、ハイアミロース小麦澱粉、米澱粉、緑豆澱粉やエンドウ澱粉等の豆澱粉、サゴヤシ澱粉などの澱粉及びこれらの澱粉を化学的、物理的又は酵素的に加工した加工澱粉などから、1種以上を適宜選ぶことができる。ベーカリー食品の食感の改良の観点から、澱粉は、好ましくはタピオカ澱粉、とうもろこし澱粉、米澱粉及び豆澱粉から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはタピオカ澱粉及びとうもろこし澱粉から選ばれる1種又は2種である。
同様の観点から、澱粉の由来原料は、好ましくはキャッサバ、とうもろこし、米及び豆からなる群から選ばれる1種又は2種以上である。
【0013】
条件(2)に関し、成分(A)は、具体的には、低分子化澱粉と、低分子化澱粉以外の澱粉とを含む。
まず、低分子化澱粉について説明する。
低分子化澱粉の原料澱粉中のアミロース含量は、ベーカリー食品の食感の改良の観点から、5質量%以上であり、好ましくは12質量%以上、より好ましくは22質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらにより好ましくは45質量%以上、より一層好ましくは55質量%以上、さらにまた好ましくは65質量%以上である。
なお、低分子化澱粉の原料澱粉中のアミロース含量の上限に制限はなく、たとえば100質量%以下であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
【0014】
低分子化澱粉の原料であるアミロース含量5質量%以上の澱粉として、ハイアミロースコーンスターチ、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ等のとうもろこし澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、ハイアミロース小麦澱粉、米澱粉、緑豆澱粉やエンドウ澱粉等の豆澱粉、サゴヤシ澱粉及び、これらの原料を化学的、物理的又は酵素的に加工した加工澱粉からなる群から選択される1種又は2種以上を用いることができる。ベーカリー食品の食感の改良の観点から、アミロース含量5質量%以上の澱粉は、好ましくはハイアミロースコーンスターチ、コーンスターチ、タピオカ澱粉、及び豆澱粉から選択される1種又は2種以上であり、より好ましくはハイアミロースコーンスターチである。ハイアミロースコーンスターチとしては、たとえばアミロース含量40質量%以上のものが入手可能である。アミロース含量5質量%以上の澱粉は、より好ましくはアミロース含量が40質量%以上のハイアミロースコーンスターチである。
【0015】
成分(A)中の低分子化澱粉の含有量は、ベーカリー食品の食感の改良の観点から、3質量%以上であり、好ましくは8質量%以上、より好ましくは13質量%以上である。同様の観点から、成分(A)中の低分子化澱粉の含有量は、45質量%以下であり、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。ここで、成分(A)中の低分子化澱粉の含有量は、成分(A)全体に対する量である。
【0016】
低分子化澱粉のピーク分子量は、ベーカリー食品の食感の改良の観点から、3×103以上であり、好ましくは8×103以上である。同様の観点から、低分子化澱粉のピーク分子量は、5×104以下であり、好ましくは3×104以下であり、より好ましくは1.5×104以下である。なお、低分子化澱粉のピーク分子量の測定方法については、実施例の項に記載する。
【0017】
ここで、低分子化澱粉は、その製造安定性に優れる観点から、好ましくは、酸処理澱粉、酸化処理澱粉及び酵素処理澱粉からなる群から選択される1種又は2種以上であり、より好ましくは酸処理澱粉である。
【0018】
酸処理澱粉を得る際の酸処理の条件は問わないが、たとえば、以下のように処理することができる。
まず、原料であるアミロース含量5質量%以上の澱粉と水を反応装置に投入した後、さらに酸を投入する。あるいは水に無機酸をあらかじめ溶解させた酸水と原料の澱粉を反応装置に投入する。酸処理をより安定的におこなう観点からは、反応中の澱粉の全量が水相内に均質に分散した状態、又はスラリー化した状態にあることが望ましい。そのためには、酸処理をおこなう上での澱粉スラリーの濃度を、たとえば10質量%以上50質量%以下、好ましくは20質量%以上40質量%以下の範囲になるように調整する。スラリー濃度が高すぎると、スラリー粘度が上昇し、均一なスラリーの攪拌が難しくなる場合がある。
【0019】
酸処理に用いられる酸として、具体的には塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸が挙げられ、種類、純度などを問わず利用できる。
【0020】
酸処理反応条件については、たとえば酸処理時の無機酸濃度は、酸処理澱粉を安定的に得る観点から、0.05規定度(N)以上4N以下が好ましく、0.1N以上4N以下がより好ましく、0.4N以上3N以下がさらに好ましい。また、同様の観点から、反応温度は、30℃以上70℃以下が好ましく、35℃以上70℃以下がより好ましく、35℃以上65℃以下がさらに好ましい。反応時間は、同様の観点から、0.5時間以上120時間以下が好ましく、1時間以上72時間以下がより好ましく、1時間以上48時間以下がさらに好ましい。
【0021】
成分(A)は、上記低分子化澱粉以外の澱粉を含む。成分(A)中の低分子化澱粉以外の澱粉としては、たとえば前述した澱粉の中から選択して使用することができる。好ましくは、成分(A)中の低分子化澱粉以外の澱粉は、とうもろこし澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、豆澱粉及びこれらの加工澱粉からなる群から選択される1種又は2種以上を含み、より好ましくはコーンスターチを含み、さらに好ましくはコーンスターチである。
【0022】
また、成分(A)は、冷水膨潤度について特定の条件(3)を満たすとともに、粒度が特定の条件(4)を満たす構成となっている。
まず、条件(3)に関し、ベーカリー食品の食感の改良の観点から、成分(A)の25℃における冷水膨潤度は5以上であり、好ましくは6以上であり、さらに好ましくは6.5以上である。また、同様の観点から、成分(A)の25℃における冷水膨潤度は20以下であり、好ましくは17以下、より好ましくは13以下、さらに好ましくは12以下である。ここで、成分(A)の冷水膨潤度の測定方法については、実施例の項に記載する。
【0023】
次に、成分(A)の粒度を説明する。
なお、以下の篩は、具体的にはJIS-Z8801-1規格の篩である。
条件(4)に関し、成分(A)中の目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分(粒子)の含有量は、ベーカリー食品の食感の改良の観点から、成分(A)全体に対して50質量%以上であり、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは90質量%以上、より一層好ましくは95質量%以上である。また、同様の観点から、成分(A)中の目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量は、成分(A)全体に対して100質量%以下であり、好ましくは99質量%以下である。
【0024】
成分(A)中の目開き0.5mmの篩の篩下かつ目開き0.075mmの篩の篩上の画分の含有量は、ベーカリー食品の食感の改良の観点から、成分(A)全体に対して好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらにより好ましくは50質量%以上、より一層好ましくは70質量%以上であり、また、たとえば100質量%以下であり、好ましくは90質量%以下である。
【0025】
成分(A)中の目開き0.25mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量は、ベーカリー食品の食感の改良の観点から、成分(A)全体に対して好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、さらにより好ましくは35質量%以上であり、また、たとえば100質量%以下であり、好ましくは99質量%以下である。
【0026】
また、成分(A)は、澱粉以外の成分を含んでもよい。澱粉以外の成分の具体例としては、色素や炭酸カルシウム、硫酸カルシウムなどの不溶性塩が挙げられる。成分(A)は、不溶性塩を配合することが好ましく、不溶性塩の配合量は、0.1質量%以上2質量%以下であることがより好ましい。
【0027】
次に、成分(A)の製造方法を説明する。成分(A)の製造方法は、たとえば、以下の工程を含む。
(低分子化澱粉の調製工程)アミロース含量5質量%以上の澱粉を低分子化処理してピーク分子量が3×103以上5×104以下の低分子化澱粉を得る工程。
(加熱糊化工程)原料に低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、かつ低分子化澱粉と低分子化澱粉以外の澱粉の合計が75質量%以上である、原料を加熱糊化して加熱糊化物を得る工程。
【0028】
低分子化澱粉の調製工程は、アミロース含量5質量%以上の澱粉を分解して低分子化澱粉とする工程である。ここでいう分解とは、澱粉の低分子化を伴う分解をいい、代表的な分解方法として酸処理や酸化処理、酵素処理による分解が挙げられる。この中でも、分解速度やコスト、分解反応の再現性の観点から、好ましくは酸処理である。
【0029】
加熱糊化工程において、原料を加熱糊化する方法は限定されず、一般的な方法を用いることができる。具体的には、ドラムドライヤー、ジェットクッカー、エクストルーダー、スプレードライヤーなどの機械を使用した方法が知られているが、本実施形態において、冷水膨潤度が上述した特定の条件を満たす成分(A)をより確実に得る観点から、エクストルーダーやドラムドライヤーによる加熱糊化が好ましく、エクストルーダーがより好ましい。エクストルーダー処理する場合は通常、澱粉を含む原料に加水して水分含量を10~60質量%程度に調整した後、たとえばバレル温度30~200℃、出口温度80~180℃、スクリュー回転数100~1,000rpm、熱処理時間5~60秒の条件で、加熱糊化させる。
【0030】
本実施形態において、たとえば上記特定の原料を加熱糊化する工程、及び、上記工程により加熱糊化して得られた加熱糊化物を、必要に応じて、粉砕し、篩い分けをし、大きさを適宜調整することにより、条件(3)及び(4)を満たす成分(A)を得るとよい。
【0031】
以上により得られる成分(A)は、低分子化澱粉を含む澱粉粉粒状物であって、条件(1)~(4)を満たす構成となっているため、成分(A)をベーカリー食品用生地に配合することで、食感が良好なベーカリー食品を得ることができる。
【0032】
(成分(B))
本実施形態において、成分(B)は、α化澱粉(但し、成分(A)は除く)である。α化澱粉は、澱粉をα化処理(糊化処理)して得られる。α化澱粉は1種単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
α化澱粉の原料澱粉としては、たとえば、ハイアミロースコーンスターチ、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ等のとうもろこし澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、ハイアミロース小麦澱粉、米澱粉、緑豆澱粉やエンドウ澱粉等の豆澱粉、サゴヤシ澱粉などの澱粉及びこれらの澱粉を化学的、物理的又は酵素的に加工した加工澱粉などから、1種以上を適宜選ぶことができる。ベーカリー食品の食感の改良の観点から、α化澱粉の原料澱粉は、好ましくはタピオカ澱粉、とうもろこし澱粉、馬鈴薯澱粉、米澱粉、豆澱粉、及びそれらの加工澱粉からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはタピオカ澱粉、とうもろこし澱粉、及びそれらの加工澱粉からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、さらに好ましくはタピオカ澱粉、ワキシーコーンスターチ、及びそれらの加工澱粉からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、さらにより好ましくはワキシーコーンスターチ及びアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0034】
α化澱粉のα化処理の方法は特に限定されないが、たとえば、ジェットクッカー処理、ドラムドライヤー処理、エクストルーダー処理等が挙げられる。
α化澱粉のα化度は、ベーカリー食品の食感の改良の観点から、好ましくは55%以上であり、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、さらにより好ましくは80%以上、より一層好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。ここで、α化澱粉のα化度は、BAP法(β-アミラーゼ・プルラナーゼ法)に則って測定する。詳細な測定方法は、実施例の項に記載する。
【0035】
(成分(C))
本実施形態において、成分(C)は、エーテル化澱粉、架橋澱粉、及びエーテル化架橋澱粉からなる群から選ばれる少なくとも1種(但し、成分(A)又は成分(B)は除く)である。
【0036】
エーテル化澱粉は、澱粉をエーテル化処理して得られる。エーテル化処理は常法により行うことができ、エーテル化澱粉として市販品を使用することもできる。エーテル化澱粉は、エーテル化処理に加えて、さらにその他の化学的処理、物理的処理、酵素的処理等を施されていてもよい(但し、後述のエーテル化架橋澱粉は除く)。前記化学的処理としては、たとえば、酸処理、アルカリ処理、酸化処理、アセチル化等のエステル化処理等が挙げられる。前記物理的処理としては、たとえば、油脂加工処理、加熱処理、湿熱処理、ボールミル処理、微粉砕処理等が挙げられる。このような処理は、1種の処理が単独で施されていてもよく、また2種以上の処理が組み合わされて施されていてもよい。
ベーカリー食品の食感の改良の観点から、エーテル化澱粉は、好ましくはヒドロキシプロピル化澱粉である。
【0037】
架橋澱粉は、澱粉を架橋処理して得られる。架橋処理は常法により行うことができ、架橋澱粉として市販品を使用することもできる。架橋澱粉は、架橋処理に加えて、さらにその他の化学的処理、物理的処理、酵素的処理等を施されていてもよい(但し、後述のエーテル化架橋澱粉は除く)。前記化学的処理や物理的処理の例示としては、前述のエーテル化澱粉の項で記載した通りである。
ベーカリー食品の食感の改良の観点から、架橋澱粉は、好ましくはリン酸架橋澱粉及びアジピン酸架橋澱粉からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0038】
エーテル化架橋澱粉は、澱粉をエーテル化処理及び架橋処理して得られる。エーテル化処理及び架橋処理は常法により行うことができ、エーテル化架橋澱粉として市販品を使用することもできる。エーテル化架橋澱粉は、エーテル化処理及び架橋処理に加えて、さらにその他の化学的処理、物理的処理、酵素的処理等を施されていてもよい。前記化学的処理や物理的処理の例示としては、前述のエーテル化澱粉の項で記載した通りである。
ベーカリー食品の食感の改良の観点から、エーテル化架橋澱粉は、好ましくはヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉及びヒドロキシプロピル化アジピン酸架橋澱粉からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉である。
【0039】
成分(C)の原料澱粉としては、たとえば、ハイアミロースコーンスターチ、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ等のとうもろこし澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、ハイアミロース小麦澱粉、米澱粉、緑豆澱粉やエンドウ澱粉等の豆澱粉、サゴヤシ澱粉などから、1種以上を適宜選ぶことができる。ベーカリー食品の食感の改良の観点から、成分(C)の原料澱粉は、好ましくはタピオカ澱粉、とうもろこし澱粉、米澱粉、及び豆澱粉からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはタピオカ澱粉及びとうもろこし澱粉からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、さらに好ましくはタピオカ澱粉及びワキシーコーンスターチからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0040】
本実施形態のベーカリー食品用組成物は、さらに穀粉を含むことが好ましい。穀粉としては、薄力粉、中力粉、強力粉、全粒粉等の小麦粉、米粉、大麦粉、ライ麦粉、ハト麦粉、そば粉、トウモロコシ粉、ヒエ粉、アワ粉等が挙げられる。ベーカリー食品用組成物は、小麦粉を含むことがより好ましい。
【0041】
また、本実施形態のベーカリー食品用組成物は、前述の成分(A)、成分(B)、成分(C)、及び穀粉以外の成分をさらに含んでもよい。他の成分として、たとえば、澱粉(但し、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を除く);全卵粉等の乾燥卵;イーストやベーキングパウダー等の膨張剤;グルテン等のタンパク質;粉状の調味料;着色料;乳化剤等が挙げられる。前記他の成分は粉粒状であることが好ましい。
【0042】
ベーカリー食品用組成物中の成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の合計含有量は、ベーカリー食品の食感の改良の観点から、ベーカリー食品用組成物全体に対して、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、さらにより好ましくは15質量%以上、より一層好ましくは20質量%以上である。また、たとえば、100質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、35質量%以下等であってよい。
【0043】
ベーカリー食品用組成物中の前記成分(B)の含有量は、ベーカリー食品の食感の改良の観点から、前記成分(A)に対する質量比で好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.5以上、さらにより好ましくは0.7以上、より一層好ましくは0.8以上である。また、同様の観点から、ベーカリー食品用組成物中の前記成分(B)の含有量は、前記成分(A)に対する質量比で好ましくは10以下であり、より好ましくは8以下、さらに好ましくは5以下、さらにより好ましくは3以下、より一層好ましくは2.5以下である。
【0044】
ベーカリー食品用組成物中の前記成分(C)の含有量は、ベーカリー食品の食感の改良の観点から、前記成分(A)に対する質量比で好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.5以上、さらにより好ましくは0.7以上、より一層好ましくは0.8以上である。また、同様の観点から、ベーカリー食品用組成物中の前記成分(C)の含有量は、前記成分(A)に対する質量比で好ましくは10以下であり、より好ましくは8以下、さらに好ましくは6以下、さらにより好ましくは5以下、より一層好ましくは4以下である。
【0045】
前述のベーカリー食品用組成物をベーカリー食品用生地に配合することで、食感が良好なベーカリー食品を得ることができるため、当該ベーカリー食品用組成物は、ベーカリー食品の食感改良剤として使用できる。
【0046】
[2.ベーカリー食品用生地及びその製造方法]
本実施形態のベーカリー食品用生地は、前述の成分(A)、前述の成分(B)、及び前述の成分(C)を含む。
【0047】
ベーカリー食品用生地中の成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の合計含有量は、ベーカリー食品の食感の改良の観点から、ベーカリー食品用生地全体に対して、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上、さらにより好ましくは8質量%以上、より一層好ましくは10質量%以上である。また、同様の観点から、ベーカリー食品用生地中の成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の合計含有量は、ベーカリー食品用生地全体に対して、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、さらにより好ましくは30質量%以下、より一層好ましくは20質量%以下である。
【0048】
ベーカリー食品用生地中の前記成分(B)の含有量は、ベーカリー食品の食感の改良の観点から、前記成分(A)に対する質量比で好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.5以上、さらにより好ましくは0.7以上、より一層好ましくは0.8以上である。また、同様の観点から、ベーカリー食品用生地中の前記成分(B)の含有量は、前記成分(A)に対する質量比で好ましくは10以下であり、より好ましくは8以下、さらに好ましくは5以下、さらにより好ましくは3以下、より一層好ましくは2.5以下である。
【0049】
ベーカリー食品用生地中の前記成分(C)の含有量は、ベーカリー食品の食感の改良の観点から、前記成分(A)に対する質量比で好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.5以上、さらにより好ましくは0.7以上、より一層好ましくは0.8以上である。また、同様の観点から、ベーカリー食品用生地中の前記成分(C)の含有量は、前記成分(A)に対する質量比で好ましくは10以下であり、より好ましくは8以下、さらに好ましくは6以下、さらにより好ましくは5以下、より一層好ましくは4以下である。
【0050】
本実施形態のベーカリー食品用生地は、さらに穀粉を含むことが好ましく、小麦粉を含むことがより好ましい。穀粉は、[1.ベーカリー食品用組成物]で前述した通りである。ベーカリー食品用生地中の穀粉の含有量は、ベーカリー食品の食感の改良の観点から、ベーカリー食品用生地全体に対して、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは18質量%以上、さらにより好ましくは20質量%以上、より一層好ましくは22質量%以上である。また、同様の観点から、ベーカリー食品用生地中の穀粉の含有量は、ベーカリー食品用生地全体に対して、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、さらにより好ましくは45質量%以下、より一層好ましくは40質量%以下である。
【0051】
本実施形態のベーカリー食品用生地は、さらに油脂組成物を含むことが好ましい。本実施形態の油脂組成物は、食用油脂の含有量が50質量%以上であり、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であり、また100質量%以下である。また、油脂組成物には、食用油脂と共に油溶性の成分を含有することができる。油溶性の成分としては、トコフェロール、着色料、香料、乳化剤などが挙げられる。
【0052】
油脂組成物に用いられる食用油脂としては限定されないが、たとえば、菜種油、大豆油、コーン油、ゴマ油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、米油、綿実油、紅花油、ヒマワリ油、オリーブ油、亜麻仁油、落花生油、サル脂、カカオ脂、シア脂などの植物油脂;牛脂、豚脂、鶏脂、乳脂、魚油などの動物油脂;及び中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの合成油脂が挙げられる。また、上記植物油脂、動物油脂及び合成油脂に分別、水素添加、エステル交換等を施した加工油脂が挙げられる。
【0053】
また、油脂組成物としては、菜種油、大豆油、オリーブ油等の室温(20℃)で液状の油脂組成物;バター、マーガリン、ショートニング、及びファットスプレッドなどの室温(20℃)で固型の油脂組成物のいずれの状態のものを使用することができるが、固型であることが好ましい。ここで油脂組成物が室温(20℃)で液状であるとは、具体的には、室温(20℃)で流動性を有し、上昇融点15℃未満の油脂であることをいう。上昇融点は、「基準油脂分析試験法2.2.4.2-1996」に記載の方法に従って測定される。
【0054】
本実施形態のベーカリー食品用生地中の油脂組成物の含有量は、ベーカリー食品の種類に応じて適宜選択すればよい。ベーカリー食品用生地中の油脂組成物の含有量は、ベーカリー食品用生地全体に対して、たとえば、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、8質量%以上、10質量%以上等であってよく、また、40質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下等であってよい。
【0055】
本実施形態のベーカリー食品用生地中の食用油脂の含有量は、ベーカリー食品の種類に応じて適宜選択すればよい。ベーカリー食品用生地中の食用油脂の含有量は、ベーカリー食品用生地全体に対して、たとえば、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、8質量%以上、10質量%以上等であってよく、また、40質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下等であってよい。
【0056】
本実施形態のベーカリー食品用生地は、さらに水を含むことが好ましい。ここで水とは、通常の水のみでなく、牛乳、豆乳、果汁、野菜ジュース等の水の代わりに使用される液体の水分も含まれる。また、コーヒー粉末等のフレーバーを溶かした水溶液なども使用可能である。但し、前述の成分(A)、成分(B)、成分(C)、穀粉、及び油脂組成物中に含まれる水は除く。なお、当該水の温度は特に限定されず、熱水として配合してもよい。ベーカリー食品用生地中の水の含有量は、ベーカリー食品の食感の改良の観点から、ベーカリー食品用生地全体に対して、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上、さらにより好ましくは10質量%以上、より一層好ましくは12質量%以上である。また、同様の観点から、ベーカリー食品用生地中の水の含有量は、ベーカリー食品用生地全体に対して、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、さらにより好ましくは40質量%以下、より一層好ましくは30質量%以下である。
【0057】
本実施形態のベーカリー食品用生地は、前述の成分以外のその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、グルテン、大豆蛋白質等の蛋白質;澱粉(但し、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を除く);砂糖、果糖、ブドウ糖、異性化糖、転化糖、オリゴ糖、トレハロース、糖アルコール、はちみつ等の糖類;食塩;生イースト、ドライイースト、セミドライイースト等のパン酵母類;全卵、卵黄、卵白、卵白粉、全卵粉等の卵類;乳化剤;pH調整剤;重曹、ベーキングパウダー等の膨化剤;香料等の通常のベーカリー食品の製造に使用される成分が挙げられる。
【0058】
本実施形態のベーカリー食品用生地の製造方法は、前述の成分(A)、前述の成分(B)、及び前述の成分(C)を含む原料を混捏する工程(以下、単に「混捏工程」ともいう。)を含む。
【0059】
前記混捏工程における混捏条件に制限はなく、たとえばパン用ミキサーや製菓用ミキサー等を用いて混捏することができる。混捏時の温度は室温でもよいし、温度低下を抑制するために保温又は加温することや、温度上昇を抑制するために冷却することもできる。混捏時間に制限はなく、たとえば1分以上60分以下混捏してもよい。
【0060】
また、前記混捏工程における原料を混捏する手順に制限はなく、たとえば次のような例が挙げられる。
例1)成分(A)、成分(B)、及び成分(C)をその他の粉体原料に加えて混合した後、粉体以外の原料(水や油脂組成物等)を加えて混捏する;
例2)成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含む全ての原料を一度に混捏する;
例3)湯種生地原料を混捏して湯種生地を調製した後、当該湯種生地をその他の原料と混捏する(この場合、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)は湯種生地原料として配合してもよく、湯種生地と混捏するその他の原料として配合してもよい)
【0061】
前記例3の場合、湯種生地の調製において、加熱工程を含むことが好ましい。加熱工程における加熱方法に制限はなく、たとえば、湯種生地原料に用いる水として熱水を使用することで加熱する方法が挙げられる。
前記熱水は、具体的には50℃以上の水であり、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、より一層好ましくは80℃以上の水である。熱水の温度の上限に制限はなく、たとえば100℃以下である。
【0062】
また、前記加熱工程における加熱方法の別態様としては、たとえば、湯種生地原料を混捏後、加熱する方法;湯種生地原料を加熱しながら混捏する方法等が挙げられる。加熱方法としては、ニーダー加熱、マイクロ波加熱、ジュール加熱、蒸気加熱、レトルト加熱、湯煎などの方法がある。加熱時は、湯種生地原料を直接加熱してもよく、パウチ袋等に充填した状態で間接的に加熱してもよい。前記加熱工程における湯種生地の温度は、ベーカリー食品の食感の改良の観点から、好ましくは50℃以上であり、より好ましくは60℃以上、さらにより好ましくは70℃以上、より一層好ましくは80℃以上である。また、同様の観点から、好ましくは120℃以下であり、より好ましくは110℃以下、さらに好ましくは100℃以下、さらにより好ましくは95℃以下である。
【0063】
また、本実施形態のベーカリー食品用生地の製造方法は、前記混捏工程後、ベーカリー食品の製造工程に通常用いられる発酵工程及び成形工程をおこなうこともできる。発酵工程は、たとえば、3℃から50℃程度の発酵槽内で5分から3日間発酵をおこなうことができる。
【0064】
さらに、本実施形態のベーカリー食品用生地の製造方法は、前記混捏工程後、前記成形工程前又は成形工程後の段階で、ベーカリー食品用生地を保存する工程を含んでもよい。たとえば、ベーカリー食品用生地を10℃以下で冷蔵保存したり、0℃以下で冷凍保存することができる。
【0065】
[3.ベーカリー食品及びその製造方法]
本実施形態におけるベーカリー食品の製造方法は、前述のベーカリー食品用生地を加熱調理する工程を含む。
【0066】
加熱調理する方法の具体例としては、焼成、蒸し、フライ調理等が挙げられ、焼成及びフライ調理から選択される1種又は2種の加熱調理が好ましい。
【0067】
焼成の場合の具体例としては、フライパンやホットプレートによる焼成、オーブンによる焼成等が挙げられる。好ましくはオーブンによる焼成である。加熱調理の温度は好ましくは150~260℃、より好ましくは160~250℃である。加熱調理の時間は好ましくは4~60分であり、より好ましくは6~50分である。
【0068】
フライ調理の場合の具体例としては、たとえば、150~250℃に熱したフライ油で2~20分フライ調理することができる。
フライ調理に使用するフライ油は限定されないが、たとえば、菜種油、大豆油、コーン油、ゴマ油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、米油、綿実油、紅花油、ヒマワリ油、オリーブ油、亜麻仁油、落花生油、サル脂、カカオ脂、シア脂などの植物油脂;牛脂、豚脂、鶏脂、乳脂、魚油などの動物油脂;及び中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの合成油脂が挙げられる。また、上記植物油脂、動物油脂及び合成油脂に分別、水素添加、エステル交換等を施した加工油脂が挙げられる。フライ油は好ましくは植物油脂であり、より好ましくは菜種油、大豆油、コーン油、パーム油、パーム核油、及び米油からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0069】
本実施形態において得られるベーカリー食品の具体例としては、食パン、ドッグパン、バターロール、デニッシュ、クロワッサン等のパン類;イーストドーナツ、ケーキドーナツ等のドーナツ類;スコーン、パウンドケーキ、スポンジケーキ、シフォンケーキ、ロールケーキ、バターケーキ、マフィン、カップケーキ、ホットケーキ、フィナンシェ、ブッセ、ワッフル、マドレーヌ、パイ等の焼菓子等が挙げられる。ベーカリー食品は、好ましくはパン類及びドーナツ類からなる群から選択される1種であり、より好ましくはドーナツ類である。
【0070】
本実施形態におけるベーカリー食品は、加熱調理後に常温保存、冷蔵保存、又は冷凍保存してもよく、常温保存又は冷蔵保存することが好ましい。常温保存の温度は15℃超30℃以下である。冷蔵保存の温度は0℃超15℃以下であり、好ましくは2℃以上10℃以下であり、より好ましくは3℃以上8℃以下である。冷凍保存の温度は0℃以下である。保存時間は、好ましくは10分以上30日以下であり、より好ましくは1時間以上10日以下であり、さらに好ましくは5時間以上5日以下であり、さらにより好ましくは12時間以上3日以下である。
【0071】
[4.ベーカリー食品の食感改良方法]
本実施形態において、前述のベーカリー食品用生地を加熱調理することで、ベーカリー食品の食感を改良させることができる。中でも、ベーカリー食品の保存後におけるベーカリー食品の食感を改良させることができる。
【0072】
本実施形態における食感とは、具体的には、もちもち感、しっとり感、口どけ及び歯切れからなる群から選ばれる1以上の食感をいう。
ここで、「もちもち感」とは、咀嚼時に柔らかい弾力がありモチ様の食感があることをいう。「しっとり感」とは、食品を口に入れたときにみずみずしさがあることをいう。「口どけ」とは、食品を口に入れたときに舌の上で食品が唾液と混じり溶けてなくなるまでの時間が短いことをいい、時間が短いほど口どけがよいことを示す。「歯切れ」とは、歯でかみ切るときの噛みきりやすさをいう。
【実施例0073】
以下に、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の主旨はこれらに限定されるものではない。以下の例において、断りのない場合、「%」とは、「質量%」である。また、断りのない場合、「部」とは、「質量部」である。
【0074】
実施に際しては、以下の原料を使用した。
[成分(A)]
粉粒状物1:後述する製造例2で製造した粉粒状物1
[成分(B)]
α化アセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉:株式会社J-オイルミルズ製「ジェルコールGT-α」
α化ワキシーコーンスターチ:株式会社J-オイルミルズ製「ジェルコールAPY」
[成分(C)]
ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉:株式会社J-オイルミルズ製「ジェルコールPOT」(エーテル化澱粉)
ヒドロキシプロピル化リン酸架橋ワキシーコーンスターチ:株式会社J-オイルミルズ製「ジェルコールA-15」(エーテル化架橋澱粉)
アセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉:株式会社J-オイルミルズ製「アクトボディATP-27」(架橋澱粉)
アセチル化アジピン酸架橋ワキシーコーンスターチ:株式会社J-オイルミルズ製「ジェルコールCT―2」(架橋澱粉)
【0075】
[穀粉]
強力粉:株式会社ニップン製「イーグル」
フランスパン用粉:日清製粉株式会社製「リスドオル」
[油脂組成物]
マーガリン:株式会社J-オイルミルズ製「グランマスタープリメランi」(食用油脂含有量:80質量%以上)
ショートニング:株式会社J-オイルミルズ製「マイブロートEZ200LT」(食用油脂含有量:99質量%以上)
[その他の成分]
上白糖:DM三井製糖株式会社製「上白糖」
生地改良剤:株式会社J-オイルミルズ製「マックスパワー」
セミドライイースト:オリエンタル酵母工業株式会社製「オリエンタルイースト」
食塩:公益財団法人塩事業センター製「食塩」
ベーキングパウダー:株式会社アイコク製「ベーキングパウダーFアップ」
グラニュー糖:DM三井製糖株式会社製「グラニュ糖」
【0076】
<成分(A)の製造>
(製造例1)低分子化澱粉の製造
粉粒状物1の原料となる低分子化澱粉として酸処理ハイアミロースコーンスターチを製造した。
ハイアミロースコーンスターチ(株式会社J-オイルミルズ製「HS-7」、アミロース含量70質量%)を水に懸濁して35.6%(w/w)スラリーを調製し、50℃に加温した。そこへ、攪拌しながら4.25Nに調製した塩酸水溶液をスラリー質量比で1/9倍量加え反応を開始した。16時間反応後、3%NaOHで中和し、水洗、脱水、乾燥し、酸処理ハイアミロースコーンスターチを得た。
得られた酸処理ハイアミロースコーンスターチのピーク分子量を後述の方法で測定したところ、ピーク分子量は1.2×104であった。
【0077】
(ピーク分子量の測定方法)
ピーク分子量の測定は、東ソー株式会社製HPLCユニットを使用しておこなった(ポンプDP-8020、RI検出器RS-8021、脱気装置SD-8022)。
(1)試料を粉砕し、JIS-Z8801-1規格の篩で、目開き0.15mm篩下の画分を回収した。この回収画分を移動相に1mg/mLとなるように懸濁し、懸濁液を100℃3分間加熱して完全に溶解した。0.45μmろ過フィルター(ADVANTEC社製、DISMIC-25HP PTFE 0.45μm)を用いてろ過を行い、ろ液を分析試料とした。
(2)以下の分析条件で分子量を測定した。
カラム:TSKgel α-M(7.8mmφ、30cm)(東ソー株式会社製)2本
流量:0.5mL/分
移動相:5mM 硝酸ナトリウム含有90%(v/v)ジメチルスルホキシド溶液
カラム温度:40℃
分析量:0.2mL
(3)検出器データを、ソフトウェア(マルチステーションGPC-8020modelIIデータ収集ver5.70、東ソー株式会社製)にて収集し、分子量ピークを計算した。
検量線には、分子量既知のプルラン(Shodex Standard P-82、昭和電工株式会社製)を使用した。
【0078】
(冷水膨潤度の測定方法)
(1)試料を、水分計(研精工業株式会社製、型番MX-50)を用いて、125℃で加熱乾燥させて水分測定し、得られた水分値から乾燥物質量を算出した。
(2)この乾燥物質量換算で試料1gを25℃の水50mLに分散した状態にし、30分間25℃の恒温槽の中でゆるやかに撹拌した後、3000rpmで10分間遠心分離(遠心分離機:日立工機社製、日立卓上遠心機CT6E型;ローター:T4SS型スイングローター;アダプター:50TC×2Sアダプター)し、沈殿層と上澄層に分けた。
(3)上澄層を取り除き、沈殿層質量を測定し、これをB(g)とした。
(4)沈殿層を乾固(105℃、恒量)したときの質量をC(g)とした。
(5)BをCで割った値を冷水膨潤度とした。
【0079】
(製造例2)粉粒状物1の製造
成分(A)として、粉粒状物1を以下の手順で製造した。
コーンスターチ(株式会社J-オイルミルズ製「コーンスターチY」)79質量%、製造例1で得られた酸処理ハイアミロースコーンスターチ20質量%、及び炭酸カルシウム1質量%を充分に均一になるまで袋内で混合した。2軸エクストルーダー(幸和工業社製KEI-45)を用いて、混合物を加圧加熱処理した。処理条件は、以下の通りである。
原料供給:450g/分(熱処理時間:約10秒)
加水:原料全体に対して17質量%となるよう加水した
バレル温度:原料入口から出口に向かって50℃、70℃及び100℃
出口温度:100~110℃
スクリューの回転数250rpm
このようにしてエクストルーダー処理により得られた加熱糊化物を110℃にて乾燥し、水分含量を10質量%に調整した。
次いで、乾燥した加熱糊化物を、卓上カッター粉砕機で粉砕した後、JIS-Z8801-1規格の篩で篩分けした。篩分けした加熱糊化物を、所定の配合割合で混合し、表1に示す粒度分布を有する粉粒状物1を調製した。前述の方法で測定した粉粒状物1の25℃における冷水膨潤度を表1にあわせて示す。
【0080】
【0081】
<α化度の測定>
α化処理物(成分(A)及び成分(B))について、「β-アミラーゼ-プルラナーゼ(BAP)法」によりα化度測定をおこなった。
(1)事前にα化処理物を粉砕し、JIS-Z8801-1規格の篩で目開き0.15mmを通過する粒度に調整したものを測定試料として用いた。
(2)澱粉科学第28巻第4号第235~240頁(1981年、出版者:日本澱粉学会)の「β-アミラーゼ・プルラナーゼ(BAP)系を用いた澱粉の糊化度、老化度の新測定法」に記載される方法に従って、α化処理物中の澱粉のα化度(%)を測定した。
測定の結果、粉粒状物1のα化度は51%、α化アセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉のα化度は100%、α化ワキシーコーンスターチのα化度は100%であった。
【0082】
<試験例1>
表2に示す配合で、以下の方法により各比較例及び実施例のイーストドーナツを製造した。
【0083】
[比較例1-1~1-4、実施例1-1~1-5]
1.水、全卵、マーガリン及びショートニング以外の原料をパン用ミキサー(関東混合機株式会社製「カントーミキサー HP-20M」)に入れ混合した。
2.上記1.に水、全卵を投入し、低速で4分、中速で7分混捏した。
3.上記2.にマーガリン、ショートニングを投入して、さらに中速で7分混捏し、27℃の生地を得た。
4.得られた生地をミキサーから取り出し、温度27℃相対湿度75%に設定したドウコンディショナーにて60分間発酵させた。
5.発酵後の生地を55g毎に分割し、25℃にて20分間静置した。
6.上記5.の生地を丸めなおして直径5cm程度の円盤状に成形した。
7.成形後の生地を温度32℃相対湿度75%に設定したホイロにて50分間発酵させた。
8.発酵後の生地をフライ油(パーム油、株式会社J-オイルミルズ製「ゴールドフレックスDX」)にて以下の条件でフライ調理し、イーストドーナツを得た。
フライ温度:180℃、フライ時間:5分間(片面2分半ずつ)
【0084】
[実施例1-6~1-7]
A.湯種工程
1.熱水以外の湯種生地原料をパン用ミキサー(関東混合機株式会社製「カントーミキサー HP-20M」)に入れ、ビーターを使用し混合した。
2.次に熱水を投入し、低速1分、中速2分で混捏し、湯種生地を得た。
3.湯種生地が乾燥しないようにポリ袋で密閉包装し、冷蔵庫に入れて粗熱を除去した。
B.本捏工程
1.全卵、マーガリン及びショートニング以外の原料をパン用ミキサー(関東混合機株式会社製「カントーミキサー HP-20M」)に入れ混合した。
2.上記1.に全卵及びA.で得た湯種生地を投入し、低速で4分、中速で7分混捏した。
3.上記2.にマーガリン、ショートニングを投入して、さらに中速で7分混捏し、27℃の生地を得た。
4.得られた生地をミキサーから取り出し、温度27℃相対湿度75%に設定したドウコンディショナーにて60分間発酵させた。
5.発酵後の生地を55g毎に分割し、25℃にて20分間静置した。
6.上記5.の生地を丸めなおして直径5cm程度の円盤状に成形した。
7.成形後の生地を温度32℃相対湿度75%に設定したホイロにて50分間発酵させた。
8.発酵後の生地をフライ油(パーム油、株式会社J-オイルミルズ製「ゴールドフレックスDX)にて以下の条件でフライ調理し、イーストドーナツを得た。
フライ温度:180℃、フライ時間:5分間(片面2分半ずつ)
【0085】
得られたイーストドーナツを25℃で1日保存後及び3日保存後に専門パネル5名で食し、以下の基準によりドーナツの食感を評価した。評点は専門パネルの平均点とし、各項目3点以上を合格とした。評価結果を表2にあわせて示す。
【0086】
(もちもち感)
5:非常にもちもち感がある
4:もちもち感がある
3:ややもちもち感がある
2:もちもち感がほとんどなく、固い
1:もちもち感が全くなく、非常に固い
(しっとり感)
5:非常にしっとりしている
4:しっとりしている
3:ややしっとりしている
2:パサつく
1:非常にパサつく
(口どけ)
5:口の中でなくなるまでの時間が非常に短い
4:口の中でなくなるまでの時間が短い
3:口の中でなくなるまでの時間がやや短い
2:口の中でなくなるまでの時間が長い
1:口の中でなくなるまでの時間が非常に長い
(歯切れ)
5:非常に歯切れが良い
4:歯切れが良い
3:やや歯切れが良い
2:歯切れが悪い
1:非常に歯切れが悪く、ヒキがある
【0087】
【0088】
表2より、各実施例では、1日保存後及び3日保存後の何れにおいても、もちもち感、しっとり感、口どけ、及び歯切れの全ての食感が良好であった。一方、各比較例では、1日保存後及び3日保存後の何れにおいても、上記食感のうち一つ以上の食感が良好ではなかった。
【0089】
<試験例2>
表3に示す配合で、以下の方法により各比較例及び実施例のケーキドーナツを製造した。
【0090】
1.水、全卵及び卵黄以外の原料を製菓用ミキサー(ホバート・ジャパン株式会社製「ミキサーN50」)に入れ混合した。
2.上記1.に水、全卵及び卵黄を投入し、低速で1分、中速で2分混捏し、25℃の生地を得た。
3.得られた生地を取り出し絞り袋に移し、25℃にて60分間静置した。
4.上記3.の生地を15g毎にボール状に絞った。
5.絞った生地をフライ油(パーム油、株式会社J-オイルミルズ製「ゴールドフレックスDX)にて以下の条件でフライ調理し、ケーキドーナツを得た。
フライ温度:190℃、フライ時間:2分間(片面1分ずつ)
【0091】
得られたケーキドーナツを25℃で1日保存後に専門パネル5名で食し、試験例1と同じ基準によりケーキドーナツの食感を評価した。評点は専門パネルの平均点とし、各項目3点以上を合格とした。評価結果を表3にあわせて示す。
【0092】
【0093】
表3より、各実施例では、1日保存後において、もちもち感、しっとり感、口どけ、及び歯切れの全ての食感が良好であった。一方、比較例2-1では、1日保存後において、上記全ての食感が良好ではなかった。