(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009241
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】光モジュール及び光モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/30 20060101AFI20250110BHJP
G02B 6/122 20060101ALI20250110BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
G02B6/30
G02B6/122
G02B6/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112106
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 賢司
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
【Fターム(参考)】
2H137AB05
2H137AB06
2H137AB08
2H137BA03
2H137BA31
2H137BA53
2H137BB02
2H137BB12
2H137BC73
2H137BC76
2H137CA13B
2H137CA34
2H137CA75
2H137CB03
2H137CB24
2H137CB25
2H137CB32
2H137CC02
2H137CC03
2H137EA03
2H137EA05
2H137HA01
2H147AB04
2H147AB05
2H147CA01
2H147CA28
2H147CA30
2H147CC02
2H147CC07
2H147CC12
2H147CC13
2H147EA13A
2H147FC09
2H147GA19
2H147GA26
(57)【要約】
【課題】簡易に調芯できる光モジュールを提供する。
【解決手段】光モジュール20は、基板30上に形成された第1クラッド層50と、第1クラッド層50を厚さ方向に貫通する第1溝部51と、第1クラッド層50の上面に形成された第2クラッド層60とを有する。光モジュール20は、第1クラッド層50及び第2クラッド層60を厚さ方向に貫通する第2溝部62と、第1クラッド層50の上面に搭載されたシリコンフォトニクス部品70と、第2溝部62に嵌合されたシングルモードファイバ80とを有する。シリコンフォトニクス部品70は、本体部71の下面よりも下方に位置する光軸A1を有する。本体部71の下面は、第1クラッド層50の上面に接触している。光軸A1は、第1溝部51に収容されている。シングルモードファイバ80の外周面は、第2溝部62の底面に接触するとともに、第2溝部62の内壁面64に接触している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された第1クラッド層と、
前記第1クラッド層を厚さ方向に貫通する第1溝部と、
前記第1クラッド層の上面に形成された第2クラッド層と、
前記第1クラッド層及び前記第2クラッド層を厚さ方向に貫通するとともに、前記第1溝部に連通する第2溝部と、
前記第2クラッド層から露出する前記第1クラッド層の上面に搭載されたシリコンフォトニクス部品と、
前記第2溝部に嵌合されたシングルモードファイバと、を有し、
前記シリコンフォトニクス部品は、本体部と、前記本体部の下面よりも下方に突出した位置に設けられる光軸とを有し、
前記本体部の下面は、前記第1クラッド層の上面に接触しており、
前記本体部の側面は、前記第2クラッド層の側面に接触しており、
前記光軸は、前記第1溝部に収容されており、
前記シングルモードファイバの外周面は、前記第2溝部の底面に接触するとともに、前記第2溝部の内壁面に接触しており、
前記光軸は、前記シングルモードファイバのコアに対向している光モジュール。
【請求項2】
前記シングルモードファイバは、円柱状に形成されており、
前記第2溝部の平面形状は、第1方向に延びる長方形状に形成されており、
前記第2溝部は、前記第1方向と直交する第2方向において互いに対向する一対の前記内壁面を有し、
前記シングルモードファイバの外周面は、前記一対の内壁面の両方に接触しており、
前記光軸は、前記第1方向から見た平面視において、前記第2溝部の前記第2方向の中心に重なるように設けられている請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記一対の内壁面の各々は、前記第2クラッド層の上面から前記基板に向かうに連れて前記第2溝部の前記第2方向の中心に近づくように傾斜している請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記第2溝部の前記第2方向に沿う開口幅は、前記第1溝部の前記第2方向に沿う開口幅よりも大きい請求項2に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記基板の上面に形成された金属層を有し、
前記金属層は、前記第2クラッド層と平面視で重なるように形成されており、
前記第1クラッド層は、前記金属層を被覆するように前記基板の上面に形成されており、
前記第2溝部は、前記金属層の上面を露出するように形成されており、
前記シングルモードファイバの外周面は、前記第2溝部から露出する前記金属層の上面に接触している請求項1に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記光軸のサイズは、前記コアのサイズよりも小さい請求項1に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記シリコンフォトニクス部品と前記シングルモードファイバとを接合する光学接着剤を有し、
前記光学接着剤は、前記シリコンフォトニクス部品と前記シングルモードファイバとの間の隙間に充填されている請求項1に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記第2溝部は、前記第1クラッド層のみの単層部分に延びる延長溝部を有し、
前記光軸は、前記第1溝部及び前記延長溝部に収容されている請求項1に記載の光モジュール。
【請求項9】
基板上に、第1溝部を有する第1クラッド層を形成する工程と、
前記第1クラッド層の上面に第2クラッド層を形成する工程と、
前記第1クラッド層と前記第2クラッド層とを厚さ方向に貫通するとともに、前記第1溝部に連通する第2溝部を形成する工程と、
本体部と前記本体部の下面よりも下方に突出した位置に設けられた光軸とを有するシリコンフォトニクス部品を、前記第2クラッド層から露出する前記第1クラッド層の上面に搭載する工程と、
前記第2溝部にシングルモードファイバを嵌合する工程と、を有し、
前記シリコンフォトニクス部品は、前記本体部の下面が前記第1クラッド層の上面に接触され、前記本体部の側面が前記第2クラッド層の側面に接触されるとともに、前記光軸が前記第1溝部に収容された状態で、前記第1クラッド層の上面に搭載され、
前記シングルモードファイバは、前記第2溝部の底面と前記第2溝部の内壁面とに接触された状態で、前記第2溝部に嵌合される光モジュールの製造方法。
【請求項10】
前記基板の上面に金属層を形成する工程を有し、
前記第1クラッド層は、前記金属層を被覆するように前記基板の上面に形成され、
前記第2溝部は、レーザ加工法により、前記第1クラッド層と前記第2クラッド層とを厚さ方向に貫通して前記金属層の上面を露出するように形成される請求項9に記載の光モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュール及び光モジュールの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光通信に使用される光モジュールとしては、シリコンフォトニクス部品と光ファイバとを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。光モジュールでは、シリコンフォトニクス部品の光軸と光ファイバのコアとを精度良く位置合わせする必要がある。すなわち、光モジュールでは、シリコンフォトニクス部品と光ファイバとの光軸を合わせる調芯を高精度に行う必要がある。特に、光ファイバがシングルモードファイバである場合には、そのシングルモードファイバのコア径が10μm程度であるため、位置合わせにおいて数μmしか位置ずれを許容できず、高精度の調芯が要求される。このような調芯には、アクティブアライメントが用いられる。アクティブアライメントでは、シリコンフォトニクス部品から光を出射させながらその光の分布をモニタし、最も光が強くなるようにシリコンフォトニクス部品に対してシングルモードファイバを位置合わせする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、アクティブアライメントは、専用の装置と長い作業時間とを必要とする。そこで、簡易な方法によってシリコンフォトニクス部品とシングルモードファイバとを調芯できる技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、基板と、前記基板上に形成された第1クラッド層と、前記第1クラッド層を厚さ方向に貫通する第1溝部と、前記第1クラッド層の上面に形成された第2クラッド層と、前記第1クラッド層及び前記第2クラッド層を厚さ方向に貫通するとともに、前記第1溝部に連通する第2溝部と、前記第2クラッド層から露出する前記第1クラッド層の上面に搭載されたシリコンフォトニクス部品と、前記第2溝部に嵌合されたシングルモードファイバと、を有し、前記シリコンフォトニクス部品は、本体部と、前記本体部の下面よりも下方に突出した位置に設けられる光軸とを有し、前記本体部の下面は、前記第1クラッド層の上面に接触しており、前記本体部の側面は、前記第2クラッド層の側面に接触しており、前記光軸は、前記第1溝部に収容されており、前記シングルモードファイバの外周面は、前記第2溝部の底面に接触するとともに、前記第2溝部の内壁面に接触しており、前記光軸は、前記シングルモードファイバのコアに対向している。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一観点によれば、簡易に調芯できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態の光モジュールを示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態の光モジュールを示す概略平面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態の光モジュールを示す概略断面図(
図2における3-3線断面図)である。
【
図4】
図4は、一実施形態の光モジュールを示す概略断面図(
図2における4-4線断面図)である。
【
図5】
図5は、一実施形態の光モジュールを示す概略断面図(
図2における5-5線断面図)である。
【
図6】
図6は、一実施形態の光モジュールの製造方法を示す概略平面図である。
【
図7】
図7は、一実施形態の光モジュールの製造方法を示す概略平面図である。
【
図8】
図8は、一実施形態の光モジュールの製造方法を示す概略断面図(
図7における8-8線断面図)である。
【
図9】
図9は、一実施形態の光モジュールの製造方法を示す概略平面図である。
【
図10】
図10は、一実施形態の光モジュールの製造方法を示す概略断面図(
図9における10-10線断面図)である。
【
図11】
図11は、一実施形態の光モジュールの製造方法を示す概略斜視図である。
【
図12】
図12は、一実施形態の光モジュールの製造方法を示す概略平面図である。
【
図13】
図13は、一実施形態の光モジュールの製造方法を示す概略断面図(
図12における13-13線断面図)である。
【
図14】
図14は、一実施形態の光モジュールの製造方法を示す概略断面図(
図12における14-14線断面図)である。
【
図15】
図15は、一実施形態の光モジュールの製造方法を示す概略斜視図である。
【
図16】
図16は、一実施形態の光モジュールの製造方法を示す概略断面図である。
【
図17】
図17は、一実施形態の光モジュールの製造方法を示す概略断面図である。
【
図18】
図18は、一実施形態の光モジュールの製造方法を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、便宜上、特徴を分かりやすくするために特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを梨地模様に代えて示し、一部の部材のハッチングを省略している。各図面では、相互に直交するX軸、Y軸、Z軸を図示している。以下の説明では、便宜上、X軸に沿って延びる方向をX軸方向と称し、Y軸に沿って延びる方向をY軸方向と称し、Z軸に沿って延びる方向をZ軸方向と称する。なお、本明細書において、「平面視」とは、特に記載がない限り、対象物をZ軸方向から見ることを言う。また、本明細書において、「平面形状」とは、特に記載がない限り、対象物をZ軸方向から見た形状のことを言う。また、本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。本明細書における「対向」とは、2つの部材が互いに離れている場合だけでなく、2つの部材が互いに接触している場合も含む。
【0009】
(光モジュール20の全体構成)
図1及び
図2に示すように、光モジュール20は、基板30と、金属層40と、第1クラッド層50と、第2クラッド層60とを有している。光モジュール20は、基板30に搭載された1以上(本実施形態では、1つ)のシリコンフォトニクス部品70と、基板30に搭載された1以上(本実施形態では、1つ)のシングルモードファイバ80とを有している。
【0010】
図1に示すように、シングルモードファイバ80は、光信号を伝搬するコア81と、そのコア81の外周を包囲するクラッド82とを有している。シングルモードファイバ80は、円柱状に形成されている。シングルモードファイバ80のサイズは、任意の大きさに設定することができる。本実施形態のシングルモードファイバ80の直径(外径)は、125μmである。シングルモードファイバ80のコア径、つまりコア81の直径は、例えば、10μm程度である。
【0011】
(基板30の構成)
基板30は、例えば、平板状に形成されている。基板30は、例えば、平面視矩形状に形成されている。基板30には、シリコンフォトニクス部品70が実装されている。基板30には、シリコンフォトニクス部品70以外の光機能素子や電子部品が搭載されていてもよい。光機能素子としては、例えば、発光素子、光変調器、光増幅器、光減衰器などを挙げることができる。基板30は、例えば、基板30に実装された電子部品等と電気的に接続される配線を有する配線基板である。
【0012】
(金属層40の構成)
金属層40は、基板30の上面に設けられている。金属層40は、例えば、基板30の上面にべた状に形成されている。
図2に示すように、金属層40は、例えば、平面視矩形状に形成されている。金属層40の材料としては、例えば、銅又は銅合金を用いることができる。金属層40の厚さは、例えば、10μm~15μm程度とすることができる。
【0013】
(第1クラッド層50及び第2クラッド層60の構成)
図3及び
図4に示すように、第1クラッド層50は、例えば、基板30の上面に設けられている。第1クラッド層50は、例えば、金属層40の上面に設けられている。
図3に示すように、第1クラッド層50は、例えば、金属層40の上面の一部を被覆するように基板30の上面に形成されている。第1クラッド層50は、例えば、金属層40の上面の一部を露出するように形成されている。第1クラッド層50は、例えば、X軸方向に延びるように形成されている。
【0014】
第2クラッド層60は、第1クラッド層50の上面に設けられている。第2クラッド層60は、第1クラッド層50の上面の一部を被覆するように形成されている。第2クラッド層60は、例えば、X軸方向において、第1クラッド層50の上面のうち図中右側の部分を被覆するように形成されている。第2クラッド層60は、シリコンフォトニクス部品70に対向する側面61を有している。側面61は、第2クラッド層60のX軸方向の端面のうち図中左側に向く端面である。
【0015】
第1クラッド層50及び第2クラッド層60の材料としては、例えば、エポキシ樹脂などを用いることができる。第1クラッド層50及び第2クラッド層60の材料としては、例えば、フィラーを含有していない樹脂材料であることが好ましい。第1クラッド層50の材料と第2クラッド層60の材料とは、互いに同一の材料であってもよいし、互いに異なる材料であってもよい。本実施形態では、第1クラッド層50の材料と第2クラッド層60の材料とが互いに同一の材料である。
【0016】
図5に示すように、第1クラッド層50の厚さT1、具体的には金属層40の上面から第1クラッド層50の上面までの厚さT1は、55μm~65μm程度とすることができる。第1クラッド層50の厚さT1は、例えば、シングルモードファイバ80の直径に応じて設定される。第1クラッド層50の厚さT1は、例えば、シリコンフォトニクス部品70の光導波路75の突出量に応じて設定される。本実施形態の第1クラッド層50の厚さT1は、62.5μmである。第2クラッド層60の厚さT2、具体的には第1クラッド層50の上面から第2クラッド層60の上面までの厚さT2は、55μm~65μm程度とすることができる。第2クラッド層60の厚さT2は、例えば、シングルモードファイバ80の直径に応じて設定される。本実施形態の第2クラッド層60の厚さT2は、60μmである。
【0017】
第1クラッド層50には、第1溝部51が形成されている。第1溝部51は、第1クラッド層50を厚さ方向(ここでは、Z軸方向)に貫通するように形成されている。第1溝部51は、金属層40の上面又は基板30の上面を露出するように形成されている。第1溝部51の内壁面は、例えば、第1クラッド層50の上面に対して垂直に延びるように形成されている。
図2に示すように、第1溝部51は、例えば、X軸方向に沿って延びている。第1溝部51は、例えば、Y軸方向において、第1クラッド層50の中央部に設けられている。第1溝部51の平面形状は、例えば、X軸方向に延びる長方形状に形成されている。第1溝部51のY軸方向に沿う開口幅は、例えば、55μm~65μm程度とすることができる。
【0018】
第2クラッド層60には、第2溝部62が形成されている。第2溝部62は、例えば、X軸方向に沿って延びている。第2溝部62は、X軸方向において、第2クラッド層60の全長にわたって延びている。第2溝部62は、第2クラッド層60を2つに分断するように形成されている。第2溝部62は、例えば、Y軸方向において、第2クラッド層60の中央部に設けられている。第2溝部62は、第1溝部51と連通するように形成されている。第2溝部62は、X軸方向において第1溝部51と連通するように形成されている。第2溝部62は、例えば、第2クラッド層60から露出する第1クラッド層50まで延びるように形成されている。すなわち、第2溝部62は、第1クラッド層50のみの単層部分に延びる延長溝部63を有している。本実施形態の延長溝部63は、第2クラッド層60の側面61よりも図中左側に延びるように形成されている。第2溝部62の平面形状は、例えば、X軸方向に延びる長方形状に形成されている。第2溝部62は、Y軸方向に所定の開口幅を有している。
【0019】
図5に示すように、第2溝部62は、第2クラッド層60と第1クラッド層50とを厚さ方向に貫通するように形成されている。第2溝部62は、金属層40の上面を露出するように形成されている。換言すると、第2溝部62から露出する金属層40の上面が第2溝部62の底面を構成している。第2溝部62は、一対の内壁面64を有している。一対の内壁面64は、第2溝部62の幅方向(ここでは、Y軸方向)において互いに対向している。各内壁面64は、例えば、第2クラッド層60の上面から金属層40に向かうに連れて第2溝部62の幅方向の中心に近づくように傾斜して形成されている。このため、第2溝部62は、例えば、第2クラッド層60の上面から金属層40に向かうに連れて開口幅が小さくなるテーパ状に形成されている。各内壁面64は、例えば、断面視において、段差無く直線状に延びるように傾斜した平面に形成されている。すなわち、各内壁面64は、一定の傾斜角度で傾斜するように形成されている。ここで、本明細書において、傾斜角度は、内壁面64と金属層40の上面とがなす角度において、鋭角の角度をいう。本実施形態の内壁面64は、83度の傾斜角度で傾斜するように形成されている。換言すると、本実施形態の第2溝部62は、片側7度で内側に傾くテーパ角度を有している。すなわち、本実施形態の第2溝部62は、両側14度で内側に傾くテーパ角度を有している。
【0020】
第2溝部62の開口幅、つまり第2溝部62のY軸方向に沿う開口幅は、第1溝部51の開口幅、つまり第1溝部51のY軸方向に沿う開口幅よりも大きい。第2溝部62の下端における開口幅は、第1溝部51の開口幅よりも大きい。第2溝部62の上端における開口幅は、例えば、第2溝部62の下端における開口幅よりも大きく、第1溝部51の開口幅よりも大きい。第2溝部62の上端における開口幅は、例えば、140μm~150μm程度とすることができる。本実施形態では、第2溝部62の上端における開口幅が142μmに設定されている。
【0021】
図2に示すように、延長溝部63は、第1溝部51と連通するように形成されている。延長溝部63は、第2クラッド層60から露出する第1クラッド層50を厚さ方向に貫通するように形成されている。延長溝部63のY軸方向に沿う開口幅は、第1溝部51のY軸方向に沿う開口幅よりも大きい。このため、延長溝部63と第1溝部51との境界部分には、段差が形成されている。
【0022】
(シリコンフォトニクス部品70の構成)
シリコンフォトニクス部品70は、第2クラッド層60から露出する第1クラッド層50の上面に搭載されている。シリコンフォトニクス部品70は、例えば、図示しない接着剤により、第1クラッド層50の上面に接着されている。接着剤としては、例えば、熱硬化性の接着剤を用いることができる。シリコンフォトニクス部品70は、例えば、発光素子や受光素子などの光学素子を含んでいる。
【0023】
図4に示すように、シリコンフォトニクス部品70は、本体部71と、本体部71の下面から突出する光導波路75とを有している。本体部71は、例えば、直方体状に形成されている。
図2に示すように、本体部71は、第2クラッド層60の側面61に対向する側面72を有している。側面72は、本体部71のX軸方向の端面のうち図中右側に向く端面である。
【0024】
図4に示すように、光導波路75は、本体部71の下面から下方に突出するように形成されている。光導波路75は、X軸方向に沿って延びている。光導波路75は、X軸方向に沿って延びる光軸A1を有している。光軸A1は、本体部71の下面よりも下方に突出した位置に設けられている。光軸A1は、例えば、X軸方向から見た平面視において、光導波路75の平面中心に設けられている。光導波路75は、図示は省略するが、例えば、光信号を伝搬するコアと、そのコアの外周を包囲するクラッドとを有している。光導波路75の光軸A1のサイズ(例えば、コア径)は、例えば、シングルモードファイバ80のコア81のサイズ(例えば、コア径)よりも小さい。光導波路75の光軸A1のサイズは、例えば、1μm以下である。本体部71の下面からの光導波路75の突出量は、例えば、2μm~5μm程度とすることができる。
【0025】
光導波路75は、シングルモードファイバ80に対向する端面76を有している。端面76は、光導波路75のうち光軸A1が延びる光軸方向の端面であって、図中右側を向く端面である。端面76は、例えば、シリコンフォトニクス部品70が発光能力を有する場合には発光面(光出射面)となり、シリコンフォトニクス部品70が発光能力を有さない場合には受光面となる。端面76は、例えば、本体部71の側面72と面一になるように形成されている。
【0026】
図3に示すように、シリコンフォトニクス部品70は、本体部71の下面を第1クラッド層50の上面に対向させた状態で、且つ本体部71の側面72を第2クラッド層60の側面61に接触させた状態で、第1クラッド層50の上面に搭載されている。シリコンフォトニクス部品70は、本体部71の下面と第1クラッド層50の上面とが図示しない接着剤によって互いに接着されることにより、第1クラッド層50の上面に固定されている。
図2に示すように、シリコンフォトニクス部品70は、光導波路75が第1溝部51及び延長溝部63に収容されるように、第1クラッド層50の上面に搭載されている。シリコンフォトニクス部品70は、Y軸方向において、光軸A1が第2溝部62の中心に一致するように位置合わせされた状態で、第1クラッド層50の上面に搭載されている。すなわち、光軸A1は、X軸方向から見た平面視において、第2溝部62のY軸方向の中心に重なるように設けられている。
【0027】
ここで、シリコンフォトニクス部品70は、本体部71の下面が第1クラッド層50の上面に接触されることによって、Z軸方向における光軸A1の位置が調整されている。シリコンフォトニクス部品70は、本体部71の側面72が第2クラッド層60の側面61に接触されることによって、X軸方向における光軸A1の位置が調整されている。
【0028】
(シングルモードファイバ80の構成)
図1に示すように、シングルモードファイバ80は、第2溝部62に嵌合されている。シングルモードファイバ80は、第2溝部62の内部に収容されている。
図5に示すように、シングルモードファイバ80は、第2溝部62の底部に露出する金属層40の上面に搭載されている。シングルモードファイバ80の下部における外周面は、金属層40の上面に接触している。シングルモードファイバ80の外周面は、第2溝部62の内壁面64に接触している。シングルモードファイバ80の外周面は、第2溝部62の一対の内壁面64の両方に接触している。
【0029】
シングルモードファイバ80のコア81は、X軸方向において、シリコンフォトニクス部品70の光導波路75に対向している。例えば、X軸方向から見た平面視において、コア81の平面中心が光導波路75の平面中心(つまり、光軸A1)と重なるように、シングルモードファイバ80及びシリコンフォトニクス部品70が配置されている。ここで、シングルモードファイバ80は、第2溝部62から露出する金属層40の上面に接触されることによって、Z軸方向におけるコア81の位置が調整されている。また、シングルモードファイバ80は、第2溝部62の内壁面64に接触されることによって、Y軸方向におけるコア81の位置が調整されている。具体的には、シングルモードファイバ80の外周面が第2溝部62の一対の内壁面64の両方に接触されることによって、シングルモードファイバ80のコア81が第2溝部62の幅方向(ここでは、Y軸方向)の中心に配置されるように調整されている。換言すると、第2溝部62は、一対の内壁面64の両方がシングルモードファイバ80の外周面に接触された状態で、シングルモードファイバ80を内部に収容可能な大きさに形成されている。第2溝部62は、シングルモードファイバ80の下部における外周面が金属層40の上面に接触された状態で、一対の内壁面64の両方がシングルモードファイバ80の外周面に接触される大きさに形成されている。
【0030】
図4に示すように、シングルモードファイバ80は、シングルモードファイバ80の長さ方向(ここでは、X軸方向)の端面83がシリコンフォトニクス部品70の側面72及び端面76に突き当たるように設けられている。但し、シングルモードファイバ80とシリコンフォトニクス部品70との間には、隙間が生じる場合がある。
【0031】
シングルモードファイバ80は、光学接着剤90によりシリコンフォトニクス部品70と接合されている。シングルモードファイバ80は、例えば、光学接着剤90により、シリコンフォトニクス部品70の光導波路75と光学的に接続(光結合)されている。光学接着剤90は、例えば、シングルモードファイバ80とシリコンフォトニクス部品70との間の隙間を充填するように形成されている。シングルモードファイバ80とシリコンフォトニクス部品70との間の隙間に光学接着剤90が充填されることにより、空気反射を防止してシングルモードファイバ80とシリコンフォトニクス部品70との結合効率を高めることができる。光学接着剤90は、例えば、シングルモードファイバ80の端面83全面を被覆するように形成されている。光学接着剤90は、光導波路75の端面76全面を被覆するように形成されている。光学接着剤90は、例えば、光導波路75の下面の一部を被覆するように形成されている。光学接着剤90は、例えば、シングルモードファイバ80の上部における外周面を被覆するように形成されている。光学接着剤90は、例えば、シングルモードファイバ80の上部における外周面よりも上方に盛り上がるように形成されている。光学接着剤90は、例えば、シリコンフォトニクス部品70の本体部71の側面72の一部を被覆するように形成されている。光学接着剤90としては、例えば、紫外線硬化型の光学接着剤を用いることができる。光学接着剤90としては、光導波路75のコアの屈折率やシングルモードファイバ80のコア81の屈折率に近い屈折率を有する光学接着剤を用いることができる。
【0032】
(光モジュール20の製造方法)
次に、
図6~
図18にしたがって、光モジュール20の製造方法について説明する。なお、説明の便宜上、最終的に光モジュール20の各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。
【0033】
まず、
図6に示す工程では、基板30の上面に金属層40を形成する。続いて、基板30の上面に、金属層40を覆うように第1クラッド層50を形成する。このとき、本例の第1クラッド層50は、X軸方向において、第1クラッド層50の全長にわたって延びる第1溝部51を有するように形成される。例えば、基板30の上面全面に第1クラッド層50となる感光性樹脂層(図示略)を形成し、フォトリソグラフィ法に基づいて露光・現像を行った後に、感光性樹脂層を硬化させることにより、第1溝部51を有する第1クラッド層50を形成する。第1溝部51を設けたことにより、第1クラッド層50はY軸方向において2つに分断されている。なお、感光性樹脂層の形成方法としては、例えば、液状の感光性樹脂を基板30の上面に塗布するようにしてもよいし、半硬化状態の感光性樹脂シートを基板30の上面にラミネートするようにしてもよい。
【0034】
次に、
図7及び
図8に示す工程では、第1クラッド層50の上面に第2クラッド層60を形成する。具体的には、第1溝部51により分断された2つの第1クラッド層50の各々の上面に第2クラッド層60を形成する。例えば、第1クラッド層50の上面全面に第2クラッド層60となる感光性樹脂層(図示略)を形成し、フォトリソグラフィ法に基づいて露光・現像を行った後に、感光性樹脂層を硬化させることにより、第2クラッド層60を形成する。本工程により、2つの第1クラッド層50の各々の上面に第2クラッド層60が形成され、Y軸方向において互いに離れて設けられた2つの第2クラッド層60が形成される。
図7に示すように、各第2クラッド層60は、X軸方向において、各第1クラッド層50の上面の一部のみに形成される。各第2クラッド層60は、平面視において、金属層40と重なるように形成される。各第2クラッド層60のY軸方向に沿う寸法は、各第1クラッド層50のY軸方向に沿う寸法よりも小さい。このため、
図8に示すように、2つの第2クラッド層60の間には、第1溝部51よりも開口幅の大きい溝部65が設けられる。なお、溝部65のY軸方向に沿う開口幅は、例えば、65μm~75μm程度とすることができる。
【0035】
続いて、
図9及び
図10に示す工程では、第1クラッド層50及び第2クラッド層60に第2溝部62を形成する。
図9に示すように、第2溝部62は、第2クラッド層60のX軸方向の全長にわたって延びるように形成される。第2溝部62は、第2クラッド層60から露出する第1クラッド層50に延長された延長溝部63を有するように形成される。延長溝部63を含む第2溝部62は、例えば、
図7及び
図8に示した第1溝部51及び溝部65の開口幅を広げるように形成される。第2溝部62は、例えば、エキシマレーザやYAGレーザによるレーザ加工法によって形成することができる。例えば、第2溝部62に高い寸法精度が要求される場合には、エキシマレーザを用いることが好ましい。本実施形態では、エポキシ樹脂からなる第1クラッド層50及び第2クラッド層60に対してKrFエキシマレーザを照射することにより、第2溝部62が形成される。このようにKrFエキシマレーザを用いると、
図10に示すように、一対の内壁面64が片側7度、つまり両側14度で内側に傾くテーパ角度を有するように形成される。なお、本工程では、金属層40がレーザ加工のストッパ層として機能する。これにより、例えば、過剰なレーザ加工によって、第1クラッド層50の下層の基板30が薄化されることを抑制できる。
【0036】
次に、
図11に示す工程では、本体部71と光導波路75とを有するシリコンフォトニクス部品70を準備する。続いて、シリコンフォトニクス部品70を、金属層40と第1溝部51を有する第1クラッド層50と第2溝部62を有する第2クラッド層60とが形成された基板30の上方に配置する。
【0037】
次いで、
図12~
図14に示す工程では、シリコンフォトニクス部品70を、第1クラッド層50の上面に搭載する。
図13に示すように、シリコンフォトニクス部品70は、本体部71の下面を第1クラッド層50の上面に接触させた状態で、第1クラッド層50の上面に搭載される。このとき、本体部71の下面と第1クラッド層50の上面との間には、図示しない熱硬化性の接着剤が塗布されている。また、
図14に示すように、シリコンフォトニクス部品70は、本体部71の下面から下方に突出する光導波路75及び光軸A1が第1溝部51の内部に収容されるように、第1クラッド層50の上面に搭載される。これらにより、光導波路75の高さ方向(ここでは、Z軸方向)における光軸A1の位置を、本体部71の下面と第1クラッド層50の上面との接触によって精度良く位置決めすることができる。また、
図12及び
図13に示すように、シリコンフォトニクス部品70は、本体部71の側面72を第2クラッド層60の側面61に突き当てるようにして第1クラッド層50の上面に搭載される。これにより、光導波路75の光軸方向(ここでは、X軸方向)における光軸A1の位置、具体的には光軸方向における端面76の位置を、本体部71の側面72と第2クラッド層60の側面61との突き当てによって精度良く位置決めすることができる。さらに、
図12及び
図14に示すように、シリコンフォトニクス部品70は、光導波路75の光軸A1が第2溝部62の幅方向(ここでは、Y軸方向)の中心に一致するように位置合わせされた状態で、第1クラッド層50の上面に搭載される。このようなY軸方向における光軸A1の位置合わせは、例えば、アライメントマーク等を用いた画像認識により行うことができる。
【0038】
以上の工程により、
図12~
図14に示すように、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向における光軸A1の位置を好適に位置決めすることができる。その後、
図12~
図14に示した構造体に対して加熱処理を施し、本体部71の下面と第1クラッド層50の上面との間に塗布されていた熱硬化性の接着剤(図示略)を硬化させる。これにより、光導波路75の光軸A1が所望の位置に位置決めされた状態で、シリコンフォトニクス部品70が第1クラッド層50の上面に固定される。
【0039】
次に、
図15及び
図16に示す工程では、コア81とクラッド82とを有するシングルモードファイバ80を準備する。続いて、シングルモードファイバ80を、第2クラッド層60の上方から第2溝部62の内側に嵌合する。このとき、
図16に示すように、第2溝部62の各内壁面64が、第2クラッド層60の上面に近づくに連れて第2溝部62の開口幅が広がるように傾斜して形成されている。このため、第2溝部62にシングルモードファイバ80を嵌合する際に、シングルモードファイバ80の外周面が第2溝部62の内壁面64に接触しながらスライドすることを抑制できる。
【0040】
図17に示すように、シングルモードファイバ80が第2溝部62に嵌合されると、第2溝部62に露出する金属層40の上面にシングルモードファイバ80が載置される。すなわち、シングルモードファイバ80の下部における外周面が金属層40の上面に接触される。これにより、第2溝部62の深さ方向(ここでは、Z軸方向)におけるコア81の位置を、シングルモードファイバ80の外周面と金属層40の上面との接触によって精度良く位置決めすることができる。具体的には、Z軸方向において、コア81の中心を、金属層40の上面からシングルモードファイバ80の半径(本実施形態では、62.5μm)の距離だけ離れた位置に位置決めすることができる。これにより、コア81の中心は、Z軸方向において、光導波路75の光軸A1と一致するように位置合わせされる。換言すると、金属層40の上面にシングルモードファイバ80が載置された場合に、Z軸方向において、コア81の中心と光導波路75の光軸A1とが一致するように、第1クラッド層50の厚さT1が調整されている。本実施形態では、金属層40の上面から第1クラッド層50の上面までの厚さT1が62.5μmに設定されている。
【0041】
また、シングルモードファイバ80が第2溝部62に嵌合されると、第2溝部62の一対の内壁面64の両方がシングルモードファイバ80の外周面に接触される。これにより、第2溝部62の幅方向(ここでは、Y軸方向)におけるコア81の位置を、シングルモードファイバ80の外周面と第2溝部62の内壁面64との接触によって精度良く位置決めすることができる。具体的には、Y軸方向において、コア81の中心を、第2溝部62の幅方向の中心に位置決めすることができる。これにより、コア81の中心は、Y軸方向において、光導波路75の光軸A1と一致するように位置合わせされる。
【0042】
以上の工程により、シングルモードファイバ80のコア81の中心が、Y軸方向及びZ軸方向の双方において、光導波路75の光軸A1と一致するように位置合わせされる。すなわち、シングルモードファイバ80を第2溝部62に嵌合させるという簡易な方法によって、コア81の中心と光導波路75の光軸A1とが一致するように位置合わせすることができる。
【0043】
さらに、
図18に示すように、シングルモードファイバ80は、第2溝部62の長さ方向(ここでは、X軸方向)の端面83をシリコンフォトニクス部品70の側面72に突き当てるようにして第2溝部62(
図17参照)に嵌合される。これにより、第2溝部62の長さ方向におけるコア81の位置、特に端面83の位置を、端面83とシリコンフォトニクス部品70の側面72との突き当てによって精度良く位置決めすることができる。なお、シングルモードファイバ80の端面83とシリコンフォトニクス部品70の側面72との間には隙間が生じる場合がある。
【0044】
以上の工程により、シングルモードファイバ80のコア81の中心が、X軸方向とY軸方向とZ軸方向との三方向において、シリコンフォトニクス部品70の光軸A1と一致するように位置合わせされる。これにより、シリコンフォトニクス部品70の光軸A1とシングルモードファイバ80のコア81とを高精度に調芯することができる。
【0045】
次に、
図18に示す工程では、光学接着剤90により、シングルモードファイバ80とシリコンフォトニクス部品70とを接合する。例えば、ディスペンサ等を用いて、シングルモードファイバ80とシリコンフォトニクス部品70との間に未硬化の光学接着剤90を塗布する。その後、紫外線を照射して光学接着剤90を硬化させることにより、シングルモードファイバ80とシリコンフォトニクス部品70とが光学接着剤90によって接合される。なお、シングルモードファイバ80の端面83とシリコンフォトニクス部品70の側面72との間に隙間が生じている場合には、その隙間にも光学接着剤90が充填される。
【0046】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)光モジュール20は、基板30と、基板30上に形成された第1クラッド層50と、第1クラッド層50を厚さ方向に貫通する第1溝部51と、第1クラッド層50の上面に形成された第2クラッド層60とを有する。光モジュール20は、第1クラッド層50及び第2クラッド層60を厚さ方向に貫通するとともに、第1溝部51に連通する第2溝部62を有する。光モジュール20は、第2クラッド層60から露出する第1クラッド層50の上面に搭載されたシリコンフォトニクス部品70と、第2溝部62に嵌合されたシングルモードファイバ80とを有する。シリコンフォトニクス部品70は、本体部71と、本体部71の下面よりも下方に突出した位置に設けられた光軸A1とを有する。本体部71の下面は、第1クラッド層50の上面に接触している。本体部71の側面72は、第2クラッド層60の側面61に接触している。光軸A1は、第1溝部51に収容されている。シングルモードファイバ80の外周面は、第2溝部62の底面に接触するとともに、第2溝部62の内壁面64に接触している。光軸A1は、シングルモードファイバ80のコア81に対向している。
【0047】
この構成によれば、シリコンフォトニクス部品70が、本体部71の下面を第1クラッド層50の上面に接触させた状態で、第1クラッド層50の上面に搭載される。また、シリコンフォトニクス部品70は、本体部71の下面よも下方に突出した位置に設けられた光軸A1が第1溝部51の内部に収容されるように、第1クラッド層50の上面に搭載される。これらにより、第1クラッド層50の厚さ方向(本実施形態では、Z軸方向)における光軸A1の位置を、本体部71の下面と第1クラッド層50の上面との接触によって精度良く位置決めすることができる。すなわち、Z軸方向における光軸A1の位置は、第1クラッド層50の厚さT1を調整することによって精度良く調整することができる。また、シングルモードファイバ80は、第2溝部62の底面に外周面が接触された状態で、第2溝部62の内側に嵌合される。これにより、第1クラッド層50の厚さ方向(本実施形態では、Z軸方向)におけるコア81の位置を、シングルモードファイバ80の外周面と第2溝部62の底面との接触によって精度良く位置決めすることができる。すなわち、Z軸方向におけるコア81の位置は、第2溝部62の深さ、つまり第1クラッド層50の厚さT1及び第2クラッド層60の厚さT2を調整することによって精度良く調整することができる。したがって、第1クラッド層50の厚さT1をシングルモードファイバ80の直径等に応じて調整するとともに、第2溝部62にシングルモードファイバ80を嵌合することによって、Z軸方向において、光軸A1とコア81とを精度良く位置合わせできる。この結果、シングルモードファイバ80を第2溝部62に嵌合させるという簡易な方法によって、光軸A1とコア81とのZ軸方向における位置合わせを精度良く行うことができる。ひいては、簡易な方法によって、シリコンフォトニクス部品70とシングルモードファイバ80とを精度良く調芯することができる。
【0048】
(2)さらに、シリコンフォトニクス部品70を駆動させることなく、シリコンフォトニクス部品70とシングルモードファイバ80とを調芯することができる。このため、シリコンフォトニクス部品70を駆動させることが難しい場合であっても、シリコンフォトニクス部品70とシングルモードファイバ80とを精度良く調芯することができる。
【0049】
(3)第2溝部62の平面形状は、X軸方向(第1方向)に延びる長方形状に形成されている。第2溝部62は、X軸方向と直交するY軸方向(第2方向)において互いに対向する一対の内壁面64を有している。シングルモードファイバ80の外周面は、一対の内壁面64の両方に接触している。光軸A1は、X軸方向から見た平面視において、第2溝部62のY軸方向の中心に重なるように設けられている。
【0050】
この構成によれば、シングルモードファイバ80が、Y軸方向に互いに対向する一対の内壁面64の両方に外周面が接触された状態で、第2溝部62の内側に嵌合される。これにより、第2溝部62の幅方向(ここでは、Y軸方向)におけるコア81の位置を、シングルモードファイバ80の外周面と一対の内壁面64との接触によって精度良く位置決めすることができる。具体的には、Y軸方向において、コア81の中心を、第2溝部62の幅方向の中心に位置決めすることができる。この結果、シングルモードファイバ80を第2溝部62に嵌合させるという簡易な方法によって、Y軸方向及びZ軸方向におけるコア81の位置決めを精度良く行うことができる。このとき、シリコンフォトニクス部品70の光軸A1が第2溝部62の幅方向の中心に一致するように、画像認識等により位置合わせされると、Y軸方向において、光軸A1とコア81とを精度良く位置合わせできる。ここで、画像認識等によるシリコンフォトニクス部品70の位置合わせは、Y軸方向の一方向における光軸A1の位置合わせを行えば良い。このため、Y軸方向とZ軸方向の二方向における光軸A1の位置合わせを画像認識等で行う場合に比べて、Y軸方向における光軸A1の位置合わせを簡易に行うことができる。
【0051】
(4)シリコンフォトニクス部品70は、本体部71の側面72を第2クラッド層60の側面61に突き当てるようにして第1クラッド層50の上面に搭載される。これにより、光導波路75の光軸方向(ここでは、X軸方向)における光軸A1の位置、具体的には光軸方向における端面76の位置を、本体部71の側面72と第2クラッド層60の側面61との突き当てによって精度良く位置決めすることができる。この結果、シリコンフォトニクス部品70を第2クラッド層60の側面61に突き当てるという簡易な方法によって、X軸方向における光軸A1の位置を精度良く位置決めすることができる。
【0052】
(5)シングルモードファイバ80は、シングルモードファイバ80の長さ方向(ここでは、X軸方向)の端面83をシリコンフォトニクス部品70の側面72に突き当てるようにして第2溝部62に嵌合される。これにより、シングルモードファイバ80の長さ方向におけるコア81の位置、特に端面83の位置を、端面83とシリコンフォトニクス部品70の側面72との突き当てによって精度良く位置決めすることができる。この結果、シングルモードファイバ80をシリコンフォトニクス部品70に突き当てるという簡易な方法によって、光軸A1とコア81とのX軸方向における位置合わせを精度良く行うことができる。
【0053】
(6)一対の内壁面64の各々は、第2クラッド層60の上面から基板30に向かうに連れて第2溝部62のY軸方向の中心に近づくように傾斜している。この構成では、第2溝部62が、第2クラッド層60の上面に近づくに連れて開口幅が広がるように形成される。このため、第2溝部62にシングルモードファイバ80を嵌合する際に、シングルモードファイバ80の外周面が第2溝部62の内壁面64に接触しながらスライドすることを抑制できる。これにより、シングルモードファイバ80の外周面及び第2溝部62の内壁面64が摩耗することを好適に抑制できる。
【0054】
(7)基板30の上面に形成された金属層40を有する。第1クラッド層50は、金属層40を被覆するように基板30の上面に形成されている。第2溝部62は、金属層40の上面を露出するように形成されている。この構成によれば、レーザ加工法により第2溝部62を形成する際に、金属層40をレーザ加工のストッパ層として利用することができる。これにより、過剰なレーザ加工によって、第1クラッド層50の下層の基板30が薄化されることを抑制できる。したがって、第2溝部62の深さを所望の深さに精度良く形成することができる。この結果、Z軸方向におけるコア81の位置合わせ精度をより向上させることができる。
【0055】
(8)シリコンフォトニクス部品70とシングルモードファイバ80との間の隙間に光学接着剤90が充填されている。これにより、シリコンフォトニクス部品70とシングルモードファイバ80との間に隙間が生じる場合であっても、その隙間における空気反射を防止してシングルモードファイバ80とシリコンフォトニクス部品70との結合効率を高めることができる。
【0056】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0057】
・上記実施形態における第2溝部62の構造は適宜変更することができる。例えば、延長溝部63を省略してもよい。例えば、第2溝部62の各内壁面64を、第2クラッド層60の上面に対して垂直に延びるように形成してもよい。
【0058】
・第1クラッド層50を、金属層40の上面全面を被覆するように形成してもよい。
・第1クラッド層50を、金属層40の上面のみに形成してもよい。すなわち、第1クラッド層50は、金属層40から露出する基板30の上面に形成されていなくてもよい。
【0059】
・第1溝部51の形成領域は適宜変更することができる。例えば、第1溝部51は、シリコンフォトニクス部品70の光導波路75を収容可能であれば、X軸方向の長さを短くしてもよい。
【0060】
・金属層40の形成領域は適宜変更することができる。金属層40は、第2溝部62と平面視で重なる位置に設けられていれば、Y軸方向の長さを短くしてもよい。
・金属層40を省略してもよい。
【符号の説明】
【0061】
20 光モジュール
30 基板
40 金属層
50 第1クラッド層
51 第1溝部
60 第2クラッド層
61 側面
62 第2溝部
63 延長溝部
64 内壁面
70 シリコンフォトニクス部品
71 本体部
72 側面
75 光導波路
76 端面
80 シングルモードファイバ
81 コア
82 クラッド
83 端面
90 光学接着剤
A1 光軸
T1 厚さ
T2 厚さ