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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025097857
(43)【公開日】2025-07-01
(54)【発明の名称】流体機械及び熱サイクルシステム
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/46 20060101AFI20250624BHJP
【FI】
F04D29/46 B
F04D29/46 C
F04D29/46 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】34
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214317
(22)【出願日】2023-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】天野 俊輔
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AA13
3H130AA14
3H130AB12
3H130AB22
3H130AB27
3H130AB47
3H130AC11
3H130BA66A
3H130BA71A
3H130CA02
3H130CA03
3H130CA07
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130EA03A
3H130EB01A
(57)【要約】
【課題】流体機械の回転数を変えずに、効率を大幅に低下させずに、同一ヘッド時の流量を調整することができ、流量調整を速くかつ短時間で行う。
【解決手段】流体機械10は、羽根車21を有する回転構造体20と、シュラウド壁31を有するケーシング30と、羽根車21よりも下流側に設けられているとともにシュラウド壁31に対して相対的に移動可能であって流路FPに対する突出量APが可変である第1部材40と、羽根車21よりも上流側において羽根車21に向けてシュラウド壁31に沿う流体FLの流れを調整可能な第2部材50とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽根主板と羽根板とを有する羽根車と、前記羽根車を回転可能に支持する回転軸とを有する回転構造体と、
前記回転構造体を回転可能に収容するとともに、前記羽根板に対向するシュラウド壁と、前記羽根主板に対向する主板側壁と、流体が流入する入口と、前記流体が流出する出口とを有するケーシングと、
前記入口から前記出口に向かう第1方向に前記流体の少なくとも一部が流れる流路と、
前記主板側壁と前記シュラウド壁との間において前記羽根車よりも下流側に設けられ、前記シュラウド壁に対して相対的に移動可能であり、前記羽根車の下流側の端部の近傍における前記流路に対する突出量が可変である第1部材と、
前記第1方向における前記羽根車よりも上流側において前記シュラウド壁に配置され、前記第1方向において前記羽根車に向けて前記シュラウド壁に沿う流体の流れを調整可能な第2部材と、
を有する、
流体機械。
【請求項2】
前記第2部材は、前記第2部材の上流側に位置する上流面と、前記第2部材の下流側に位置する下流面とを有し、
前記第2部材は、前記羽根車に向けて前記シュラウド壁に沿う前記流体のうち、前記上流面に向けて流れる前記流体の流量よりも、前記下流面よりも下流側に向けて流れる前記流体の流量を減少させるように構成されている、
請求項1に記載の流体機械。
【請求項3】
前記第1方向に直交する方向に平行な前記流路の断面における前記流路の径方向において、前記第2部材は、前記シュラウド壁に対して相対的に移動可能であり、
前記シュラウド壁に対して前記第2部材が移動することによって、前記第2部材は、前記シュラウド壁の近傍における前記流体の流量を減少させるように構成されている、
請求項2に記載の流体機械。
【請求項4】
前記第2部材は、前記シュラウド壁の一部を構成する弾性部材を有し、
前記弾性部材を変形させることによって、前記第2部材は、前記シュラウド壁の近傍における前記流体の流量を減少させるように構成されている、
請求項2に記載の流体機械。
【請求項5】
前記第2部材は、
前記第1方向の上流側において前記流路の内壁に配置された上流突起と、
前記第1方向において前記上流突起よりも下流側における前記流路の内壁に配置された下流突起と、
を有し、
前記第1方向に直交する方向に平行な前記流路の断面における前記流路の周方向において、前記上流突起及び前記下流突起が互いに相対的に回転可能であり、
前記上流突起及び前記下流突起の相対回転によって、前記第2部材は、前記シュラウド壁の近傍における前記流体の流量を減少させるように構成されている、
請求項2に記載の流体機械。
【請求項6】
前記第2部材は、前記第1方向に直交する方向に平行な前記流路の断面における前記流路の径方向に交差する方向かつ前記第1方向に交差する方向に延びる軸部を有し、
前記軸部の周りに前記第2部材が回転することによって、前記第2部材は、前記シュラウド壁の近傍における前記流体の流量を減少させるように構成されている、
請求項2に記載の流体機械。
【請求項7】
前記第2部材は、前記第1方向に直交する方向に平行な前記流路の断面における前記流路の径方向に延びる軸部を有し、
前記軸部の周りに前記第2部材が回転することによって、前記第2部材は、前記シュラウド壁の近傍における前記流体の流量を減少させるように構成されている、
請求項2に記載の流体機械。
【請求項8】
前記羽根車は、前記流路における前記羽根車の上流側に位置するとともに前記流路に連通する羽根車入口を有し、
前記第2部材は、前記第1方向における前記第2部材と前記羽根車入口との間の距離を調整することによって、前記第2部材は、前記シュラウド壁の近傍における前記流体の流量を減少させるように構成されている、
請求項2に記載の流体機械。
【請求項9】
羽根主板と羽根板とを有する羽根車と、前記羽根車を回転可能に支持する回転軸とを有する回転構造体と、
前記回転構造体を回転可能に収容するとともに、前記羽根板に対向するシュラウド壁と、前記羽根主板に対向する主板側壁と、流体が流入する入口と、前記流体が流出する出口とを有するケーシングと、
前記入口から前記出口に向かう第1方向に前記流体の少なくとも一部が流れる流路と、
前記主板側壁と前記シュラウド壁との間において前記羽根車よりも下流側に設けられ、前記シュラウド壁に対して相対的に移動可能であり、前記羽根車の下流側の端部の近傍における前記流路に対する突出量が可変であり、前記第1方向における上流側に向けて突出する突起部を有する第1部材と、
を有する、
流体機械。
【請求項10】
前記回転軸が延在する軸方向に見て、前記第1部材は、前記回転軸から径方向に離れた位置に配置されている、
請求項1又は請求項9に記載の流体機械。
【請求項11】
前記軸方向に見て、前記第1部材は、環状形状を有する、
請求項10に記載の流体機械。
【請求項12】
前記軸方向に見て、前記第1部材は、円形形状、長円形状、楕円形状、又は多角形形状を有する、
請求項11に記載の流体機械。
【請求項13】
前記軸方向に見て、前記第1部材は、非環状形状を有する、
請求項10に記載の流体機械。
【請求項14】
前記軸方向に見て、前記第1部材は、前記回転軸から径方向に配置された複数の分割部を有し、
前記複数の分割部は、前記第1部材の周方向に沿って離間している、
請求項13に記載の流体機械。
【請求項15】
前記第1部材は、前記複数の分割部と、前記周方向において前記複数の分割部が形成されていない隙間部とを有し、
前記軸方向に見て、前記隙間部が形成されていない環状形状における前記第1部材の面積割合を1.0とすると、
前記軸方向に見て、前記周方向に沿って形成される前記隙間部の合計の面積割合は、0.2以下である、
請求項14に記載の流体機械。
【請求項16】
前記第1部材は、前記第1方向における上流側に向けて突出する突起部と、前記第1部材が延在する延在方向に延びる基部とを有し、
前記突起部は、前記主板側壁に対向する第1延在部を有し、
前記第1延在部は、前記基部の一部に設けられており、前記基部から前記羽根車に向けて延在する、
請求項1又は請求項9に記載の流体機械。
【請求項17】
前記第1部材は、前記第1延在部に対向する第2延在部を有し、
前記基部は、前記シュラウド壁に収容される収容領域を有し、
前記第2延在部は、前記収容領域に設けられている、
請求項16に記載の流体機械。
【請求項18】
前記第1部材は、前記第1方向における上流側に向けて突出する突起部と、前記第1部材が延在する延在方向に延びる基部とを有し、
前記基部は、前記羽根車に対向する基部上流面を有し、
前記突起部は、前記基部上流面に設けられた窪み部を有する、
請求項1又は請求項9に記載の流体機械。
【請求項19】
前記窪み部の断面形状は、曲部及び角部のうち少なくとも一方を有する形状である、
請求項18に記載の流体機械。
【請求項20】
前記第1部材は、前記第1部材が延在する延在方向に延びる基部を有し、
前記基部は、
前記羽根車に対向する基部上流面と、
前記基部上流面とは反対側にある基部下流面と、
前記基部上流面から前記基部下流面に向けて延びるように前記基部に設けられた貫通孔と、
を有する、
請求項1又は請求項9に記載の流体機械。
【請求項21】
前記第1部材は、前記流路に突出している前記第1部材のうち最も先端に位置する先端部を有し、
前記先端部は、前記シュラウド壁の内部に前記第1部材が収容されて前記第1部材の前記突出量が最小となる最小位置と、前記シュラウド壁から前記流路に向けて突出する前記第1部材の前記突出量が最大となる最大位置と、前記最大位置と前記最小位置との間の中間位置と、に配置可能である、
請求項1又は請求項9に記載の流体機械。
【請求項22】
前記先端部が前記最小位置に配置された場合、
前記流体は、前記第1部材に衝突せずに、前記流路を前記入口から前記出口に向けて流れる、
請求項21に記載の流体機械。
【請求項23】
前記先端部が前記最大位置又は前記中間位置に配置された場合、
前記羽根車と前記シュラウド壁との間における前記流路には、第1領域、第2領域、及び第3領域が生じ、
前記第1領域においては、前記流体が前記第1部材に衝突せずに前記流路を前記入口から前記出口に向けて流れ、
前記第2領域においては、前記流体が前記第1部材に向けて流れて前記第1部材に衝突し、
前記第3領域においては、前記第1部材に衝突した前記流体が前記第1方向とは反対側の第2方向に向けて流れる、
請求項21に記載の流体機械。
【請求項24】
前記羽根車は、前記流路における前記羽根車の下流側に位置する羽根車出口を有し、
前記羽根車は、前記流路における前記羽根車の上流側に位置するとともに前記流路に連通する羽根車入口を有し、
前記羽根車は、前記シュラウド壁に対向する仕切部材を有し、
前記仕切部材は、前記羽根車出口よりも前記羽根車入口の近くに位置する羽根開口部を有し、
前記仕切部材は、前記第2領域と前記第3領域との間の境界に位置し、
前記流体は、前記羽根開口部を経由して、前記第3領域から前記第2領域へ流入する、
請求項23に記載の流体機械。
【請求項25】
前記羽根車は、前記流路における前記羽根車の下流側に位置する羽根車出口を有し、
前記羽根車出口の近傍での前記第2領域における前記羽根板の角度に関し、
前記羽根板の角度を前記羽根車の径方向に対して0度とし、かつ、前記羽根板の角度を前記羽根車の回転方向に対して正の値とした場合、
前記羽根板の角度の最大値は、0度又は正の値である、
請求項23に記載の流体機械。
【請求項26】
前記羽根車は、前記流路における前記羽根車の下流側に位置する羽根車出口を有し、
前記羽根車出口の近傍での前記第3領域における前記羽根板の角度に関し、
前記羽根板の角度を前記羽根車の径方向に対して0度とし、かつ、前記羽根板の角度を前記羽根車の回転方向に対して正の値とした場合、
前記羽根板の角度の最小値は、0度又は負の値である、
請求項23に記載の流体機械。
【請求項27】
前記第1部材は、前記第1部材が延在する延在方向に延びる基部を有し、
前記基部は、
前記羽根車に対向する基部上流面と、
前記基部上流面とは反対側にある基部下流面と、
前記基部上流面から前記基部下流面に向けて延びるように前記基部に設けられた貫通孔と、
を有し、
前記流路を流れる前記流体の一部は、前記第1方向とは反対側の第2方向に向けて前記貫通孔を流れて、前記基部上流面に達し、前記第2領域に流れる前記流体に合流する、
請求項23に記載の流体機械。
【請求項28】
前記第2方向に向けて前記貫通孔を流れた前記流体と前記第2領域に流れる前記流体とが合流することで、前記基部上流面において合流流体が生じ、
前記合流流体は、前記第3領域における前記流体の流れを加速させる、
請求項27に記載の流体機械。
【請求項29】
前記第1部材に連結されており、前記シュラウド壁に対して前記第1部材を相対的に移動させる第1駆動部を有する、
請求項1又は請求項9に記載の流体機械。
【請求項30】
前記第2部材に連結されており、前記シュラウド壁に対して前記第2部材を相対的に移動させる、第2駆動部を有する、
請求項1に記載の流体機械。
【請求項31】
前記第1部材に連結されており、前記シュラウド壁に対して前記第1部材を相対的に移動させる第1駆動部を有し、
前記第1駆動部と前記第2駆動部は、前記第1部材及び前記第2部材が互いに同期するように前記第1部材及び前記第2部材を移動させる、
請求項30に記載の流体機械。
【請求項32】
前記第1部材及び前記第2部材を移動させる駆動部を有し、
前記駆動部は、前記第1部材に連結されており、前記シュラウド壁に対して前記第1部材を相対的に移動させ、
前記駆動部は、前記第2部材に連結されており、前記シュラウド壁に対して前記第2部材を相対的に移動させ、
前記駆動部は、前記第1部材及び前記第2部材が互いに同期するように前記第1部材及び前記第2部材を移動させる、
請求項1に記載の流体機械。
【請求項33】
前記羽根車は、前記羽根主板から離間するように前記羽根板に接合された側板を有し、
前記側板は、前記シュラウド壁に対向している、
請求項1又は請求項9に記載の流体機械。
【請求項34】
請求項1又は請求項9に記載の流体機械を備える、
熱サイクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体機械及び熱サイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸込ベーンを備えるターボ式圧縮機が知られている。このような圧縮機においては、吸込ベーンの角度を変更することによって、羽根の吸込側における流体の流れに対して適量の旋回流れを予め与えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05-157095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、ターボ式流体機械の流量QとヘッドHとの関係(QH曲線)について、ヘッドが同一なら、同一回転数での流量は変わらないことが知られている。
従来の吸込ベーンを備えた流体機械においては、効率を低下させずに、同一ヘッド時の流量を調整することが難しく、吸込ベーンの動作から実際に流量が変化するまでの時間の遅れが大きいという問題があった。
【0005】
本発明の一態様は、流体機械の回転数を変えずに、効率を大幅に低下させずに、同一ヘッド時の流量を調整することができ、流量調整を速くかつ短時間で行うことができる流体機械及び熱サイクルシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る流体機械は、羽根主板と羽根板とを有する羽根車と、前記羽根車を回転可能に支持する回転軸とを有する回転構造体と、前記回転構造体を回転可能に収容するとともに、前記羽根板に対向するシュラウド壁と、前記羽根主板に対向する主板側壁と、流体が流入する入口と、前記流体が流出する出口とを有するケーシングと、前記入口から前記出口に向かう第1方向に前記流体の少なくとも一部が流れる流路と、前記主板側壁と前記シュラウド壁との間において前記羽根車よりも下流側に設けられ、前記シュラウド壁に対して相対的に移動可能であり、前記羽根車の下流側の端部の近傍における前記流路に対する突出量が可変である第1部材と、前記第1方向における前記羽根車よりも上流側において前記シュラウド壁に配置され、前記第1方向において前記羽根車に向けて前記シュラウド壁に沿う流体の流れを調整可能な第2部材と、を有する。
【0007】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記第2部材は、前記第2部材の上流側に位置する上流面と、前記第2部材の下流側に位置する下流面とを有し、前記第2部材は、前記羽根車に向けて前記シュラウド壁に沿う前記流体のうち、前記上流面に向けて流れる前記流体の流量よりも、前記下流面よりも下流側に向けて流れる前記流体の流量を減少させるように構成されてもよい。
【0008】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記第1方向に直交する方向に平行な前記流路の断面における前記流路の径方向において、前記第2部材は、前記シュラウド壁に対して相対的に移動可能であり、前記シュラウド壁に対して前記第2部材が移動することによって、前記第2部材は、前記シュラウド壁の近傍における前記流体の流量を減少させるように構成されてもよい。
【0009】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記第2部材は、前記シュラウド壁の一部を構成する弾性部材を有し、前記弾性部材を変形させることによって、前記第2部材は、前記シュラウド壁の近傍における前記流体の流量を減少させるように構成されてもよい。
【0010】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記第2部材は、前記第1方向の上流側において前記流路の内壁に配置された上流突起と、前記第1方向において前記上流突起よりも下流側における前記流路の内壁に配置された下流突起と、を有し、前記第1方向に直交する方向に平行な前記流路の断面における前記流路の周方向において、前記上流突起及び前記下流突起が互いに相対的に回転可能であり、前記上流突起及び前記下流突起の相対回転によって、前記第2部材は、前記シュラウド壁の近傍における前記流体の流量を減少させるように構成されてもよい。
【0011】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記第2部材は、前記第1方向に直交する方向に平行な前記流路の断面における前記流路の径方向に交差する方向かつ前記第1方向に交差する方向に延びる軸部を有し、前記軸部の周りに前記第2部材が回転することによって、前記第2部材は、前記シュラウド壁の近傍における前記流体の流量を減少させるように構成されてもよい。
【0012】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記第2部材は、前記第1方向に直交する方向に平行な前記流路の断面における前記流路の径方向に延びる軸部を有し、前記軸部の周りに前記第2部材が回転することによって、前記第2部材は、前記シュラウド壁の近傍における前記流体の流量を減少させるように構成されてもよい。
【0013】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記羽根車は、前記流路における前記羽根車の上流側に位置するとともに前記流路に連通する羽根車入口を有し、前記第2部材は、前記第1方向における前記第2部材と前記羽根車入口との間の距離を調整することによって、前記第2部材は、前記シュラウド壁の近傍における前記流体の流量を減少させるように構成されてもよい。
【0014】
本発明の一態様に係る流体機械は、羽根主板と羽根板とを有する羽根車と、前記羽根車を回転可能に支持する回転軸とを有する回転構造体と、前記回転構造体を回転可能に収容するとともに、前記羽根板に対向するシュラウド壁と、前記羽根主板に対向する主板側壁と、流体が流入する入口と、前記流体が流出する出口とを有するケーシングと、前記入口から前記出口に向かう第1方向に前記流体の少なくとも一部が流れる流路と、前記主板側壁と前記シュラウド壁との間において前記羽根車よりも下流側に設けられ、前記シュラウド壁に対して相対的に移動可能であり、前記羽根車の下流側の端部の近傍における前記流路に対する突出量が可変であり、前記第1方向における上流側に向けて突出する突起部を有する第1部材と、を有する。
【0015】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記回転軸が延在する軸方向に見て、前記第1部材は、前記回転軸から径方向に離れた位置に配置されてもよい。
【0016】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記軸方向に見て、前記第1部材は、環状形状を有してもよい。
【0017】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記軸方向に見て、前記第1部材は、円形形状、長円形状、楕円形状、又は多角形形状を有してもよい。
【0018】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記軸方向に見て、前記第1部材は、非環状形状を有してもよい。
【0019】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記軸方向に見て、前記第1部材は、前記回転軸から径方向に配置された複数の分割部を有し、前記複数の分割部は、前記第1部材の周方向に沿って離間してもよい。
【0020】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記第1部材は、前記複数の分割部と、前記周方向において前記複数の分割部が形成されていない隙間部とを有し、前記軸方向に見て、前記隙間部が形成されていない環状形状における前記第1部材の面積割合を1.0とすると、前記軸方向に見て、前記周方向に沿って形成される前記隙間部の合計の面積割合は、0.2以下であってもよい。
【0021】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記第1部材は、前記第1方向における上流側に向けて突出する突起部と、前記第1部材が延在する延在方向に延びる基部とを有し、前記突起部は、前記主板側壁に対向する第1延在部を有し、前記第1延在部は、前記基部の一部に設けられており、前記基部から前記羽根車に向けて延在してもよい。
【0022】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記第1部材は、前記第1延在部に対向する第2延在部を有し、前記基部は、前記シュラウド壁に収容される収容領域を有し、前記第2延在部は、前記収容領域に設けられてもよい。
【0023】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記第1部材は、前記第1方向における上流側に向けて突出する突起部と、前記第1部材が延在する延在方向に延びる基部とを有し、前記基部は、前記羽根車に対向する基部上流面を有し、前記突起部は、前記基部上流面に設けられた窪み部を有してもよい。
【0024】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記窪み部の断面形状は、曲部及び角部のうち少なくとも一方を有する形状であってもよい。
【0025】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記第1部材は、前記第1部材が延在する延在方向に延びる基部を有し、前記基部は、前記羽根車に対向する基部上流面と、前記基部上流面とは反対側にある基部下流面と、前記基部上流面から前記基部下流面に向けて延びるように前記基部に設けられた貫通孔と、を有してもよい。
【0026】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記第1部材は、前記流路に突出している前記第1部材のうち最も先端に位置する先端部を有し、前記先端部は、前記シュラウド壁の内部に前記第1部材が収容されて前記第1部材の前記突出量が最小となる最小位置と、前記シュラウド壁から前記流路に向けて突出する前記第1部材の前記突出量が最大となる最大位置と、前記最大位置と前記最小位置との間の中間位置と、に配置可能であってもよい。
【0027】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記先端部が前記最小位置に配置された場合、前記流体は、前記第1部材に衝突せずに、前記流路を前記入口から前記出口に向けて流れてもよい。
【0028】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記先端部が前記最大位置又は前記中間位置に配置された場合、前記羽根車と前記シュラウド壁との間における前記流路には、第1領域、第2領域、及び第3領域が生じ、前記第1領域においては、前記流体が前記第1部材に衝突せずに前記流路を前記入口から前記出口に向けて流れ、前記第2領域においては、前記流体が前記第1部材に向けて流れて前記第1部材に衝突し、前記第3領域においては、前記第1部材に衝突した前記流体が前記第1方向とは反対側の第2方向に向けて流れてもよい。
【0029】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記羽根車は、前記流路における前記羽根車の下流側に位置する羽根車出口を有し、前記羽根車は、前記流路における前記羽根車の上流側に位置するとともに前記流路に連通する羽根車入口を有し、前記羽根車は、前記シュラウド壁に対向する仕切部材を有し、前記仕切部材は、前記羽根車出口よりも前記羽根車入口の近くに位置する羽根開口部を有し、前記仕切部材は、前記第2領域と前記第3領域との間の境界に位置し、前記流体は、前記羽根開口部を経由して、前記第3領域から前記第2領域へ流入してもよい。
【0030】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記羽根車は、前記流路における前記羽根車の下流側に位置する羽根車出口を有し、前記羽根車出口の近傍での前記第2領域における前記羽根板の角度に関し、前記羽根板の角度を前記羽根車の径方向に対して0度とし、かつ、前記羽根板の角度を前記羽根車の回転方向に対して正の値とした場合、前記羽根板の角度の最大値は、0度又は正の値であってもよい。
【0031】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記羽根車は、前記流路における前記羽根車の下流側に位置する羽根車出口を有し、前記羽根車出口の近傍での前記第3領域における前記羽根板の角度に関し、前記羽根板の角度を前記羽根車の径方向に対して0度とし、かつ、前記羽根板の角度を前記羽根車の回転方向に対して正の値とした場合、前記羽根板の角度の最小値は、0度又は負の値であってもよい。
【0032】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記第1部材は、前記第1部材が延在する延在方向に延びる基部を有し、前記基部は、前記羽根車に対向する基部上流面と、前記基部上流面とは反対側にある基部下流面と、前記基部上流面から前記基部下流面に向けて延びるように前記基部に設けられた貫通孔と、を有し、前記流路を流れる前記流体の一部は、前記第1方向とは反対側の第2方向に向けて前記貫通孔を流れて、前記基部上流面に達し、前記第2領域に流れる前記流体に合流してもよい。
【0033】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記第2方向に向けて前記貫通孔を流れた前記流体と前記第2領域に流れる前記流体とが合流することで、前記基部上流面において合流流体が生じ、前記合流流体は、前記第3領域における前記流体の流れを加速させてもよい。
【0034】
本発明の一態様に係る流体機械は、前記第1部材に連結されており、前記シュラウド壁に対して前記第1部材を相対的に移動させる第1駆動部を有してもよい。
【0035】
本発明の一態様に係る流体機械は、前記第2部材に連結されており、前記シュラウド壁に対して前記第2部材を相対的に移動させる、第2駆動部を有してもよい。
【0036】
本発明の一態様に係る流体機械は、前記第1部材に連結されており、前記シュラウド壁に対して前記第1部材を相対的に移動させる第1駆動部を有し、前記第1駆動部と前記第2駆動部は、前記第1部材及び前記第2部材が互いに同期するように前記第1部材及び前記第2部材を移動させてもよい。
【0037】
本発明の一態様に係る流体機械は、前記第1部材及び前記第2部材を移動させる駆動部を有し、前記駆動部は、前記第1部材に連結されており、前記シュラウド壁に対して前記第1部材を相対的に移動させ、前記駆動部は、前記第2部材に連結されており、前記シュラウド壁に対して前記第2部材を相対的に移動させ、前記駆動部は、前記第1部材及び前記第2部材が互いに同期するように前記第1部材及び前記第2部材を移動させてもよい。
【0038】
本発明の一態様に係る流体機械においては、前記羽根車は、前記羽根主板から離間するように前記羽根板に接合された側板を有し、前記側板は、前記シュラウド壁に対向してもよい。
【0039】
本発明の一態様に係る熱サイクルシステムは、上述した態様に係る流体機械を備える。
【発明の効果】
【0040】
本発明の一態様によれば、流体機械の回転数を変えずに、効率を大幅に低下させずに、同一ヘッド時の流量を調整することができ、流量調整を速くかつ短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の第1実施形態に係る流体機械を示す断面図である。
図2A】本発明の第1実施形態に係る流体機械の要部を示す断面図であって、第1部材及び第2部材の駆動を説明する図である。
図2B】本発明の第1実施形態に係る流体機械の要部を示す断面図であって、第1部材及び第2部材の駆動を説明する図である。
図3A】本発明の第1実施形態に係る流体機械の要部を示す断面図であって、軸方向から見た第1部材の構造を示す図である。
図3B】本発明の第1実施形態に係る流体機械における第1部材の変形例を示す断面図であって、軸方向から見た第1部材の構造を示す図である。
図4A】本発明の第1実施形態に係る流体機械における第2部材の第1変形例を示す断面図である。
図4B】本発明の第1実施形態に係る流体機械における第2部材の第2変形例を示す断面図である。
図4C】本発明の第1実施形態に係る流体機械における第2部材の第3変形例を示す断面図である。
図4D】本発明の第1実施形態に係る流体機械における第2部材の第3変形例を示す斜視図である。
図4E】本発明の第1実施形態に係る流体機械における第2部材の第3変形例を示す斜視図である。
図4F】本発明の第1実施形態に係る流体機械における第2部材の第4変形例を示す断面図である。
図4G】本発明の第1実施形態に係る流体機械における第2部材の第5変形例を示す断面図である。
図4H】本発明の第1実施形態に係る流体機械における第2部材の第6変形例を示す断面図である。
図4I】本発明の第1実施形態に係る流体機械における第2部材の第7変形例を示す断面図である。
図4J】本発明の第1実施形態に係る流体機械における第2部材の第8変形例を示す断面図である。
図5A】本発明の第2実施形態に係る流体機械の要部を示す断面図であって、第1部材の駆動を説明する図である。
図5B】本発明の第2実施形態に係る流体機械における第1部材の第1変形例を示す断面図である。
図5C】本発明の第2実施形態に係る流体機械における第1部材の第2変形例を示す断面図である。
図5D】本発明の第2実施形態に係る流体機械における第1部材の第3変形例を示す斜視図である。
図5E】本発明の第2実施形態に係る流体機械における第1部材の第4変形例を示す斜視図である。
図5F】本発明の第2実施形態に係る流体機械における第1部材の第5変形例を示す断面図である。
図5G】本発明の第2実施形態に係る流体機械における第1部材の第6変形例を示す断面図である。
図5H】本発明の第2実施形態に係る流体機械における第1部材の第6変形例を示す断面図である。
図5I】本発明の第2実施形態に係る流体機械における第1部材の第7変形例を示す断面図である。
図5J】本発明の第2実施形態に係る流体機械における第1部材の第8変形例を部分的に示す断面図である。
図6A】流体機械における一般的な羽根板を部分的に示す斜視図であって、羽根板の角度の定義と、速度三角形とを説明するための図である。
図6B】本発明の第3実施形態に係る流体機械における羽根車を示す断面図であって、羽根に生じる領域を説明するための図である。
図6C】本発明の第3実施形態に係る流体機械における羽根板の角度を説明するためのグラフである。
図7A】本発明の第3実施形態に係る流体機械の効果を説明するための図である。
図7B】本発明の第3実施形態に係る流体機械の効果を説明するための図である。
図7C】本発明の第3実施形態に係る流体機械の効果を説明するための図である。
図7D】本発明の第3実施形態に係る流体機械の効果を説明するための図である。
図8A】本発明の第4実施形態に係る流体機械における羽根車を示す断面図であって、羽根車に設けられた仕切部材を説明するための図である。
図8B】本発明の第4実施形態に係る流体機械における羽根車の変形例を示す断面図である。
図9】本発明の第5実施形態に係る流体機械における羽根車を示す断面図である。
図10A】本発明の第5実施形態に係る流体機械における羽根車の変形例を示す断面図である。
図10B】本発明の第5実施形態に係る流体機械における羽根車の変形例を示す断面図である。
図11】本発明の第6実施形態に係る熱サイクルシステムの一例を示す概略構成図である。
図12】本発明の第6実施形態に係る熱サイクルシステムにおける作動流体の状態変化を圧力-エンタルピ線図上に記載したサイクル図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の実施形態に係る流体機械及び熱サイクルシステムについて図面を参照して説明する。
実施形態に係る説明では、同一又は類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。図面は模式的又は概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率等は、必ずしも現実のものと同一とは限らない。
【0043】
実施形態に係る説明では、「第1」「第2」「第3」といった序数詞を用いる場合がある。この序数詞は、序数詞で記載された部材の個数を示していない。複数の部材の各々が別個の部材であることを示すために序数詞を用いる場合がある。
【0044】
文言「対向」は、2つの部材の位置関係を示す文言である。この位置関係においては、2つの部材が対向していることを意味するだけでなく、2つの部材の間に他の部材が介在されていることも意味する。同様の解釈は、文言「設け」、「配置」、「接続」にも適用される。
【0045】
流体機械の説明においては、方向の用語として、文言「軸方向AD」、「径方向RD」、「周方向CD」、「第1方向FD」、及び「第2方向SD」が用いられる。
軸方向ADは、回転構造体20の回転軸22が延在する方向である。
径方向RDは、回転構造体20の羽根主板24の中心から外周に向かう方向である。
周方向CDは、回転構造体20の羽根主板24の外周に沿った方向である。
第1方向FDは、ケーシング30の入口33から出口34に向けて流体FLが流れる方向である。
第2方向SDは、第1方向FDとは反対の方向である。
文言「軸方向AD」、「径方向RD」、「周方向CD」、「第1方向FD」、及び「第2方向SD」は、流体機械の各々を構成する複数の部材の相互の位置関係、又は、複数の部材の各々の形状や構造を説明するために用いる文言であり、流体機械の各々の姿勢を定義しない。
【0046】
<第1実施形態>
<流体機械>
図1に示すように、流体機械10は、回転構造体20と、ケーシング30と、流路FPと、第1部材40と、第2部材50と、第1駆動部D1と、第2駆動部D2とを有する。
本実施形態に係る流体機械10は、いわゆるオープン羽根車を備える横軸ポンプである。なお、流体機械10の構造は、軸流ポンプ、斜流ポンプ、遠心ポンプ等の公知のポンプ、圧縮機にも適用することが可能である。
【0047】
<回転構造体>
回転構造体20は、羽根車21と、回転軸22と、支持部材23とを有する。
羽根車21は、羽根主板24と、複数の羽根板25とを有する。
羽根主板24は、羽根板25を支持する部材である。羽根主板24及び複数の羽根板25によって、いわゆる、インペラ(羽根車)が構成されている。
軸方向ADの周りにおいて、回転構造体20は、ケーシング30の内部で回転するように構成されている。
【0048】
さらに、羽根車21は、羽根車入口26及び羽根車出口27を有する。
羽根車入口26は、流路FPにおける羽根車21の上流側に位置する。羽根車入口26は、流路FPに連通する。羽根車入口26は、回転構造体20において、流体FLが羽根車21に流入する部位である。
羽根車出口27は、流路FPにおける羽根車21の下流側に位置する。羽根車出口27は、流路FPに連通する。羽根車出口27は、回転構造体20において、流体FLが羽根車21から流出する部位である。
【0049】
<羽根板>
複数の羽根板25は、軸方向ADにおいて羽根主板24から延びるように羽根主板24に設けられている。複数の羽根板25は、羽根主板24の周方向CDに並んでいる。
複数の羽根板25の各々の形状は、特に限定されない。
複数の羽根板25の各々は、羽根主板24の中心領域から外周領域に向けて延びる曲面を有してもよい。羽根主板24からの複数の羽根板25の各々の高さは、径方向RDにおいて変化するように設定されてもよい。複数の羽根板25の各々の形状は、径方向RDにおいて変化するような曲面を有してもよい。
【0050】
羽根車21は、回転軸22に固定されている。回転軸22の回転に伴って、羽根車21は、回転可能である。
支持部材23は、ケーシング30と回転軸22との間に配置されている。支持部材23は、軸受とシール部材とを含む。軸受は、回転軸22を回転可能に支持する。シール部材は、例えば、メカニカルシールである。
回転軸22は、不図示の駆動装置に接続されている。駆動装置において発生する動力が回転軸22に伝達されると、回転軸22が回転し、回転軸22の回転に伴って羽根車21が回転する。駆動装置は、例えば、公知のモータである。
【0051】
<ケーシング>
ケーシング30は、シュラウド壁31と、主板側壁32と、入口33と、出口34とを有する。
シュラウド壁31は、回転構造体20を回転可能に収容するとともに、羽根板25に対向する。
主板側壁32は、羽根主板24に対向する。
入口33には、流体FLが流入する。言い換えると、入口33は、流体FLをケーシング30に向けて吸い込む、吸い込み口である。
出口34から流体FLが流出する。言い換えると、出口34は、流体FLをケーシング30から吐き出す、吐き出し口である。
【0052】
図2A及び図2Bに示すように、ケーシング30は、シュラウド壁31に設けられた第1部材収容溝35を有する。第1部材40は、第1部材収容溝35に収容されており、第1部材収容溝35の延在方向に移動可能である。
【0053】
<流路>
流路FPは、ケーシング30における入口33と出口34との間の空間である。この空間には、羽根主板24と、複数の羽根板25と、第1部材40の少なくとも一部と、第2部材50の少なくとも一部とが配置されている。
流路FPには、入口33から出口34に向かう第1方向FDにおいて流体FLの少なくとも一部が流れる。
【0054】
<第1部材>
第1部材40は、主板側壁32とシュラウド壁31との間において羽根車21よりも下流側に設けられている。言い換えると、第1部材40は、羽根車21の下流側における下流側領域DRに位置する。
第1部材40は、シュラウド壁31に対して相対的に移動可能である。
羽根車21の下流側の端部の近傍における流路FPに対する第1部材40の突出量APは、可変である。言い換えると、羽根車出口27の近傍における流路FPに対する第1部材40の突出量APは、可変である。
【0055】
図2A及び図2Bに示すように、第1部材40は、流路FPに突出している第1部材40のうち最も先端に位置する先端部41を有する。
流路FPに対する第1部材40の突出量APに関し、第1部材40の先端部41は、最小位置P0と、最大位置PXと、中間位置PMと、に配置可能である。
ここで、最小位置P0とは、シュラウド壁31の内部に第1部材40が収容されて第1部材40の突出量APが最小となる位置である。シュラウド壁31に対する先端部41の位置に関し、最小位置P0の位置は、任意に設定される。
例えば、第1方向FDに見て、シュラウド壁31の位置と先端部41の位置とが一致している状態が、突出量APが最小位置P0に配置されると、定義してもよい。
また、第1方向FDに見て、シュラウド壁31から先端部41が凹んでいる状態が、突出量APが最小位置P0に配置されると、定義してもよい。
また、第1方向FDに見て、シュラウド壁31から先端部41が僅かに突出している状態が、突出量APが最小位置P0に配置されると、定義してもよい。
最大位置PXとは、シュラウド壁31から流路FPに向けて突出する第1部材40の突出量APが最大となる位置である。
【0056】
中間位置PMとは、最大位置PXと最小位置P0との間において任意に設定される位置である。中間位置は、最大位置PXと最小位置P0との間におけるちょうど中央の位置であってもよいし、中央の位置からずれた位置であってもよい。つまり、中間位置は、最小位置P0よりも最大位置PXに近い位置でもよい。また、中間位置は、最大位置PXよりも最小位置P0に近い位置でもよい。言い換えると、中間位置は、最大位置PXと最小位置P0との間における変位可能な先端部41の位置であるため、中間位置を可変位置と称してもよい。
【0057】
図3Aに示すように、軸方向ADに見て、第1部材40は、回転軸22から径方向RDに離れた位置に配置されている。なお、図3Aは、第1部材40と回転軸22との相対的な位置を説明するための図である。図3Aにおいては、第1部材40及び回転軸22以外の流体機械10を構成する部材は、省略されている。
図3Aに示す例においては、軸方向ADに見て、第1部材40は、環状形状を有する。言い換えると、第1部材40は、円形形状を有する。第1部材40が環状形状を有する場合、第1部材40の形状は、円形形状に限定されず、長円形状、楕円形状、又は多角形形状を有してもよい。
また、軸方向ADに見て、第1部材40は、非環状形状を有してもよい。
【0058】
<第2部材>
第2部材50は、第1方向FDにおける羽根車21よりも上流側においてシュラウド壁31に配置されている。言い換えると、第2部材50は、羽根車21の上流側における上流側領域URに位置する。
第2部材50は、第1方向FDにおいて羽根車21に向けてシュラウド壁31に沿う流体FLの流れを調整可能である。
【0059】
具体的に、第2部材50が駆動することにより、第2部材50は、シュラウド壁31の近くを流れる流体FLに淀みを発生させることが可能である。言い換えると、シュラウド壁31の近くにおける流体FLのスムーズな流れを抑制することが可能である。
また、第2部材50の移動量を調整することによって、流体FLに発生する淀みの程度を調整することが可能である。
【0060】
言い換えると、第2部材50は、第2部材50の上流側に位置する上流面50Uと、第2部材50の下流側に位置する下流面50Lとを有する。第2部材50は、羽根車21に向けてシュラウド壁31に沿う流体FLのうち、上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量と、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量とを調整することができる。
特に、第2部材50は、羽根車21に向けてシュラウド壁31に沿う流体FLのうち、上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量よりも、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量を減少させるように構成されている。
「流量の調整」とは、「流量を増加させること」、「流量を減少させること」、及び「流量比を調整すること」の意味を含む。また、以下の説明では、後述する「流体FLの還流」を発生させる点で、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量を減少させることを主に説明するが、流量が減少した下流面50Lの下流側における流体FLの流量を増加させることも可能である。
【0061】
具体的に、第2部材50の周囲を流れる流体FLについて説明する。
流体機械10の駆動に伴って、流体FLは、入口33から出口34に向けて流れる。第2部材50に向けて流れる流体FLのうちの一部は、上流面50Uに向けて流れて、上流面50Uに衝突する。上流面50Uに衝突した流体FLは、シュラウド壁31から離れるような流れを形成する。このような流れを形成する流体FLは、上流面50Uに衝突していない他の流体FLの流れに合流して、第2部材50を越えて、羽根車入口26に向けて流れていく。
このような第2部材50の上流側における流体FLの流れにおいて、上流面50Uに衝突するように第2部材50に流れる流体FLの流量は、「上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量QU」である。また、上流面50Uに向けて流れる流体FLは、例えば、図2A及び図2Bにおける符号UPで示された領域を流れる流体である。
【0062】
次に、入口33から出口34に向けて流れる流体FLのうち、第2部材50を越えた直後の流体FLの一部は、下流面50Lに沿うように、かつ、シュラウド壁31に近づくような流れを形成する。このような流れを形成する流体FLは、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる。
このような第2部材50の下流側における流体FLの流れにおいて、下流面50Lに沿うように、かつ、シュラウド壁31に近づくように流れる流体FLの流量は、「下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量QL」である。また、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLは、例えば、図2A及び図2Bにおける符号LPで示された領域を流れる流体である。
【0063】
第2部材50が駆動することにより、第2部材50は、「上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量QU」よりも、「下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量QL」が減少させることが可能である。言い換えると、第2部材50は、下流面50Lと羽根車入口26との間を流れる流体FLの流量QLを減少させることが可能である(QU>QL)。
【0064】
<第1駆動部及び第2駆動部>
第1駆動部D1は、第1部材40に連結されており、シュラウド壁31に対して第1部材40を相対的に移動させるように構成されている。
第2駆動部D2は、第2部材50に連結されており、シュラウド壁31に対して第2部材50を相対的に移動させるように構成されている。
第1駆動部D1及び第2駆動部D2の各々の構造は、特に限定されない。例えば、電力によって駆動するモータであってもよいし、流体機械10に流れる流体FLの圧力を利用して第1部材40及び第2部材50の各々を駆動させるバルブであってもよい。
【0065】
第1駆動部D1と第2駆動部D2は、第1部材40及び第2部材50が互いに同期するように第1部材40及び第2部材50を移動させてもよい。
【0066】
<作用効果>
次に、第1実施形態に係る流体機械10の作用効果を説明する。
流体機械10において、回転構造体20が回転することで複数の羽根板25が流体FLを押し出し、ケーシング30の入口33から出口34に向けて流体FLが流路FPを流動する。この状態で、第1部材40が移動し、流路FPに対する第1部材40の突出量APが調整される。また、第2部材50が移動し、流体FLに発生する淀みの程度が調整される。
【0067】
<第1部材の移動による突出量の調整>
<最小位置における先端部の配置>
まず、図2Aに示すように、第1部材40の先端部41が最小位置P0に配置された場合について説明する。この場合、流体FLは、第1部材40に衝突せずに、流路FPを入口33から出口34に向けて流れる。
具体的に、流体機械10の入口33に供給された流体FLの流量を100%とすると、流体機械10の出口34から吐出する流体FLの流量は100%である。
【0068】
<最小位置から中間位置への先端部の移動>
突出量APの調整によって第1部材40の先端部41が最小位置P0から中間位置PMへ移動する場合について説明する。
図2Bに示すように第1部材40の先端部41が中間位置PMに配置された場合、羽根車21とシュラウド壁31との間における流路FPには、第1領域R1、第2領域R2、及び第3領域R3が生じる。
第1領域R1においては、流体FLが第1部材40に衝突せずに流路FPを入口33から出口34に向けて流れる。
第2領域R2においては、先端部41が最大位置PXに配置された場合よりも少ない流量で、流体FLが第1部材40に向けて流れて第1部材40に衝突する。
第3領域R3においては、先端部41が最大位置PXに配置された場合よりも少ない流量で、第1部材40に衝突した流体FLが第1方向FDとは反対側の第2方向SDに向けて流れる。
【0069】
先端部41が最小位置P0から中間位置PMに移動した場合の作用を具体的に説明する。第1部材40の先端部41が最小位置P0に配置された場合の流体機械10の入口33から吸い込まれる流体FLの流量を100%とする。この場合、流体機械10の出口34から吐出する流体FLの流量は、約90%である。残り10%の流量は、第1部材40に衝突する。第1部材40は、羽根車出口27よりも径方向RDの外側にあるため、角運動量保存則により流体FLの速度が減少し流体FLの圧力が高くなる。また、羽根車出口27の第1方向FDの下流側に第1部材40が存在するため、第3領域R3では、第1部材40が最小位置P0に配置された場合と比較して流体FLの流動が妨げられる。これにより、羽根車出口27における圧力が低くなる。このため、第2領域R2と第3領域R3との間で圧力差が生じる。したがって、第2領域R2において第1方向FDに向けて流れる流体FLは、第1部材40に衝突することで第2方向SDに向けて流れ、第3領域R3に流入する。言い換えると、第2領域R2及び第3領域R3において流体FLの還流が生じる。これにより、流体機械10の入口33から吸い込まれる流体FLの流量は、第1部材40の先端部41が最小位置P0に配置された場合の流量に対して90%となる。したがって、流体機械10の流量を減少させることができる。
【0070】
第2領域R2及び第3領域R3における流体FLの還流についてより具体的に説明する。
以下の説明では、第1領域R1において第1方向FDを流れる流体FLを流体FL1と称し、第2領域R2において第1方向FDを流れる流体FLを流体FL2と称し、第3領域R3において第2方向SDを流れる流体FLを流体FL3と称する場合がある。
羽根車出口27の第3領域R3において第2方向SDに向けて流れる流体FL3は、第3領域R3において羽根車21に対して仕事をなし、流体FL3の圧力が低くなりつつ、流体FL3は、羽根車入口26に向けて第3領域R3を流れる。流体FL3は、羽根車入口26に達する前に、第2領域R2に入って流体FL2として第2領域R2を流れる。ここで、流体FL3が流体FL2に変換される際に、つまり、第2領域R2において再び第1方向FDに流体FL2が流れる際に、流体FL2が羽根車21から仕事をされ、流体FL2の圧力が高くなる。言い換えると、第2領域R2及び第3領域R3において流体FLの還流が生じる。したがって、流体機械10の入口33から吸い込まれる流体FLの流量は、第1部材40の先端部41が最小位置P0に配置された場合の90%となる。
【0071】
さらに、上述した還流の作用は、第2部材50によって促進される。
第2部材50は、上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量よりも、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量を減少させる。このため、第2部材50は、下流面50Lと羽根車21との間に供給される流体FLの流量を減少させる。これにより、第2部材50は、流体機械10の入口33から取り込まれた流体FLが第3領域R3に入ることを妨げる。第2部材50は、下流面50Lよりも下流側における第2領域R2及び第3領域R3の発生を促進させる。
さらに、第1部材40及び第2部材50が流体機械10に設けられているため、第1部材40と第2部材50との間において還流生成領域を発生させ、還流生成領域において上述した第2領域R2及び第3領域R3における流体FL2、FL3の効果を促進させる。
【0072】
<中間位置から最小位置への先端部の移動>
突出量APの調整によって第1部材40の先端部41が中間位置PMから最小位置P0へ移動する場合について説明する。
第1部材40の先端部41の配置は、第1部材40の先端部41が中間位置PMに配置された図2Bに示す配置から、第1部材40の先端部41が最小位置P0に配置された図2Aに示す配置に戻る。
【0073】
第1部材40に流体FLが衝突しなくなるため、第2領域R2及び第3領域R3における流体FLの還流が速やかに無くなる。このため、第1部材40の先端部41が最小位置P0に配置された場合の流体機械10の入口33から吸い込まれる流体FLの流量を100%とすると、流体機械10の出口34から吐出する流体FLの流量は、100%になる。言い換えると、流体機械10の流量の減少によって流れていなかった10%の流量が出口34から速やかに吐出されるとともに、入口33から10%の流量が速やかに吸い込まれる。つまり、流体FLの流量を速やかに増加させることができる。
【0074】
<最小位置から最大位置への先端部の移動>
突出量APの調整によって第1部材40の先端部41が最小位置P0から最大位置PXへ移動する場合について説明する。
図2Bに示すように、第1部材40の先端部41が最大位置PXに配置された場合、羽根車21とシュラウド壁31との間における流路FPには、第1領域R1、第2領域R2、及び第3領域R3が生じる。
第1領域R1においては、流体FLが第1部材40に衝突せずに流路FPを入口33から出口34に向けて流れる。
第2領域R2においては、流体FLが第1部材40に向けて流れて第1部材40に衝突する。
第3領域R3においては、第1部材40に衝突した流体FLが第1方向FDとは反対側の第2方向SDに向けて流れる。
【0075】
先端部41が最小位置P0から最大位置PXに移動した場合の作用を具体的に説明する。第1部材40の先端部41が最小位置P0に配置された場合の流体機械10の入口33から吸い込まれる流体FLの流量を100%とする。この場合、流体機械10の出口34から吐出する流体FLの流量は、約80%である。残り20%の流量は、第1部材40に衝突する。第1部材40は、羽根車出口27よりも径方向RDの外側にあるため、角運動量保存則により流体FLの速度が減少し流体FLの圧力が高くなる。また、羽根車出口27の第1方向FDの下流側に第1部材40が存在するため、第3領域R3では、第1部材40が最小位置P0に配置された場合と比較して流体FLの流動が妨げられる。これにより、羽根車出口27における圧力が低くなる。このため、第2領域R2と第3領域R3との間で圧力差が生じる。したがって、第2領域R2において第1方向FDに向けて流れる流体FLは、第1部材40に衝突することで第2方向SDに向けて流れ、第3領域R3に流入する。言い換えると、第2領域R2及び第3領域R3において流体FLの還流が生じる。これにより、流体機械10の入口33から吸い込まれる流体FLの流量は、第1部材40の先端部41が最小位置P0に配置された場合の流量に対して80%となる。したがって、流体機械10の流量を減少させることができる。
【0076】
第2領域R2及び第3領域R3における流体FLの還流についてより具体的に説明する。
羽根車出口27の第3領域R3において第2方向SDに向けて流れる流体FL3は、第3領域R3において羽根車21に対して仕事をなし、流体FL3の圧力が低くなりつつ、流体FL3は、羽根車入口26に向けて第3領域R3を流れる。流体FL3は、羽根車入口26に達する前に、第2領域R2に入って流体FL2として第2領域R2を流れる。ここで、流体FL3が流体FL2に変換される際に、つまり、第2領域R2において再び第1方向FDに流体FL2が流れる際に、流体FL2が羽根車21から仕事をされ、流体FL2の圧力が高くなる。言い換えると、第2領域R2及び第3領域R3において流体FLの還流が生じる。したがって、流体機械10の入口33から吸い込まれる流体FLの流量は、第1部材40の先端部41が最小位置P0に配置された場合の80%となる。
【0077】
さらに、上述した還流の作用は、第2部材50によって促進される。
第2部材50は、上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量よりも、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量を減少させる。このため、第2部材50は、下流面50Lと羽根車21との間に供給される流体FLの流量を減少させる。これにより、第2部材50は、流体機械10の入口33から取り込まれた流体FLが第3領域R3に入ることを妨げる。第2部材50は、下流面50Lよりも下流側における第2領域R2及び第3領域R3の発生を促進させる。
さらに、第1部材40及び第2部材50が流体機械10に設けられているため、第1部材40と第2部材50との間において還流生成領域を発生させ、還流生成領域において上述した第2領域R2及び第3領域R3における流体FL2、FL3の効果を促進させる。
【0078】
<最大位置から最小位置への先端部の移動>
突出量APの調整によって第1部材40の先端部41が最大位置PXから最小位置P0へ移動する場合について説明する。
第1部材40の先端部41の配置は、第1部材40の先端部41が最大位置PXに配置された図2Bに示す配置から、第1部材40の先端部41が最小位置P0に配置された図2Aに示す配置に戻る。
【0079】
第1部材40に流体FLが衝突しなくなるため、第2領域R2及び第3領域R3における流体FLの還流が速やかに無くなる。このため、第1部材40の先端部41が最小位置P0に配置された場合の流体機械10の入口33から吸い込まれる流体FLの流量を100%とすると、流体機械10の出口34から吐出する流体FLの流量は、100%になる。言い換えると、流体機械10の流量の減少によって流れていなかった20%の流量が出口34から速やかに吐出されるとともに、入口33から20%の流量が速やかに吸い込まれる。つまり、流体FLの流量を速やかに増加させることができる。
【0080】
上述した実施形態によれば、シュラウド壁31に対して第1部材40が相対的に移動することで、流路FPに対する第1部材40の突出量APを調整することができる。これにより、流体機械の回転数を変えずに、効率を大幅に低下させずに、同一ヘッド時の流量を調整することができ、流量調整を速くかつ短時間で行うことができる。
【0081】
上述した実施形態においては、第2部材50の移動によって、シュラウド壁31の近くを流れる流体FLに発生する淀みの程度を調整することができる。このため、第1部材40のみを最小位置P0から中間位置PMや最大位置PXに配置して第2部材50が最も流体FLの淀みの程度が最小となる位置に配置された場合に比べて、第3領域R3における流体FLの流動が妨げられる度合が増加する。このため、羽根車出口27の第3領域R3における流体FL3の圧力がさらに低くなり、第2領域R2において第1方向FDに向けて流れる流体FL2は、第1部材40に衝突することで第3領域R3を第2方向SDに向けて流れ、第2領域R2及び第3領域R3において更なる流体FLの還流が生じる。これにより、流体機械10の回転数を変えずに、効率を大幅に低下させずに、同一ヘッド時の流量を更に調整することができ、流量調整を速くかつ短時間で行うことができる。
【0082】
このように、第1部材40や第2部材50を用いる本実施形態に係る流体機械10によれば、従来のような吸込ベーンを用いた高コストの予旋回装置を用いる必要がない。言い換えると、本実施形態によれば、簡素な構造により、低コストで、上述した効果を得ることができる。
さらに、予旋回装置を用いる流量調整においては、羽根車が流体になす仕事を減少させるため、一般的に安定運転可能なヘッドの低下を伴う。そのため、運転可能範囲の減少に対してトレードオフの関係となることが多い。
これに対し、本実施形態によれば、羽根車21を流れる流体FL2、FL3を第2領域R2及び第3領域R3において発生する還流によって制御している。このため、原理的に、ヘッドの低下が無いため、運転可能範囲が減少することがない。したがって、従来の予旋回装置によって流量を調整する構成よりも、本実施形態に係る流体機械10が優れている。
【0083】
なお、流体機械10によって得られる流量減少の程度は、上述した実施形態に限定されない。つまり、10%、20%といった流量減少に限定されず、第1部材40の突出量APの調整や第2部材50の位置の調整によって、数%~数十%といった流量を調整することもできる。
【0084】
<第1部材の変形例>
次に、図3Bを参照して、第1部材の変形例を説明する。
ここで、図1図2Bを参照して説明した同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
【0085】
図3Bに示すように、軸方向ADに見て、第1部材40Aは、回転軸22から径方向RDに配置された複数の分割部42を有する。
複数の分割部42は、第1部材40Aの周方向CDに沿って配置している。複数の分割部42のうち互いに隣り合う2つの分割部は、離間している。
【0086】
第1部材40Aは、複数の分割部42と、周方向において複数の分割部42が形成されていない隙間部43とを有する。隙間部43は、互いに隣り合う2つの分割部の間に形成されている。軸方向ADに見て隙間部43が形成されていない環状形状における第1部材40Aの面積割合を1.0とすると、軸方向ADに見て周方向に沿って形成される隙間部43の合計の面積割合は、0.2以下である。
言い換えると、図3Bに示す第1部材40Aは、8つの分割部42と、8つの隙間部43とを有するため、8つの分割部42の合計の面積割合は、0.8以上となり、8つの隙間部43の合計の面積割合は、0.2以下となる。
【0087】
図3Bに示す例では、第1部材40Aは、8つの分割部42と、8つの隙間部43とを有する。分割部42の個数は、8つに限定されない。分割部42の個数は、7つ以下であってもよいし、9つ以上であってもよい。また、周方向における分割部42の長さに関し、8つの分割部42のうち少なくとも2つの分割部42の長さが同じであってもよい。つまり、8つの分割部42の長さは同じであってもよい。8つの分割部42のうち少なくとも2つの分割部42の長さが互いに異なってもよい。
【0088】
<第2部材の変形例>
次に、図4A図4Iを参照して、第2部材の変形例を説明する。
ここで、図1図2Bを参照して説明した同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
なお、複数の変形例の各々において、第2部材は、第2駆動部D2によって駆動される。第2駆動部D2と第2部材との間には、動力を伝達するための伝達機構、又は、動力伝達方向を変換する公知の変換機構が設けられている。
【0089】
<第2部材の第1変形例>
図4Aに示すように、ケーシング30は、シュラウド壁31に設けられた第2部材収容溝36を有する。第2部材50Aは、第2部材収容溝36に収容されており、第2部材収容溝36の延在方向である径方向RDに移動可能である。つまり、流路FPの断面における流路FPの径方向RDにおいて、第2部材50Aは、シュラウド壁31に対して相対的に移動可能である。
【0090】
具体的に、第2部材50Aは、2つの板部材50AF、50ASを有する。板部材50AF、50ASの各々は、流路FPに面する端面50AEを有する。2つの端面50AEが互いに対向するように、板部材50AF、50ASの各々は、第2部材収容溝36に収容されている。符号26Pは、羽根車入口26の位置を示している。
【0091】
第2部材50と同様に、第2部材50Aは、上流面50Uと下流面50Lとを有する。つまり、板部材50AF、50ASの各々が上流面50Uと下流面50Lとを有する。第2部材50Aは、シュラウド壁31に対して第2部材50Aが移動することによって、羽根車21に向けてシュラウド壁31に沿う流体FLのうち、上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量よりも、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量を減少させるように構成されている。言い換えると、第2部材50Aは、領域UPを流れる流体FLの流量QUよりも、領域LPを流れる流体FLの流量QLを減少させるように構成されている(QU>QL)。つまり、下流面50Lと羽根車入口26との間の領域LPにおける流体FLの流量QLを減少させるように構成されている。下流面50Lと位置26Pとの間の距離、すなわち、第1方向FDにおける領域LPの幅は、上述した流体FLの還流の効果が得られるように適切に設定される。
【0092】
具体的に、シュラウド壁31から端面50AEが突出するように第2部材50Aが移動することによって、流路FPにおける上流面50Uの露出面積が増加し、かつ、流路FPにおける下流面50Lの露出面積が増加する。流体FLが上流面50Uに衝突する流量が増加する。これにより、上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量よりも、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量を減少させることが可能である。
【0093】
また、言い換えると、シュラウド壁31に対して第2部材50Aが移動することによって、つまり、板部材50AF、50ASの相対移動に伴って、板部材50AF、50ASの端面50AEの間の距離は増減する。これにより、板部材50AF、50ASの間を流れる流体FLの流動面積51を調整することが可能である。
つまり、第1方向FDに直交する方向PDに平行な流路FPの断面において、すなわち、径方向RDに平行な流路FPの断面において、第2部材50Aは、流路FPを流れる流体FLの流動面積51を調整するように構成されている。
このように構成された第2部材50Aは、上述した第2部材50と同様に、第1方向FDにおいて羽根車21に向けてシュラウド壁31に沿う流体FLの流れを調整可能である。したがって、流体FLの流動面積51を調整することによって、流体FLに発生する淀みの程度を調整することが可能である。
【0094】
<第2部材の第2変形例>
図4Bに示すように、第2部材50Bは、シュラウド壁31の一部を構成する2つの弾性部材50BF、50BSを有する。弾性部材50BF、50BSの各々は、流路FPに面する端面50BEを有する。2つの弾性部材50BF、50BSは、2つの端面50BEの間の距離が変化するように弾性変形が可能である。なお、弾性部材50BF、50BSは、シュラウド壁31とは別体でもよい。符号26Pは、羽根車入口26の位置を示している。
【0095】
第2部材50と同様に、第2部材50Bは、上流面50Uと下流面50Lとを有する。つまり、弾性部材50BF、50BSの各々が上流面50Uと下流面50Lとを有する。弾性部材50BF、50BSの各々において、第1方向FDに沿って上流面50U、端面50BE、及び下流面50Lが順に連なっている。第2部材50Bは、弾性部材50BF、50BSを変形させることによって、羽根車21に向けてシュラウド壁31に沿う流体FLのうち、上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量よりも、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量を減少させるように構成されている。言い換えると、第2部材50Bは、領域UPを流れる流体FLの流量QUよりも、領域LPを流れる流体FLの流量QLを減少させるように構成されている(QU>QL)。つまり、下流面50Lと羽根車入口26との間の領域LPにおける流体FLの流量QLを減少させるように構成されている。下流面50Lと位置26Pとの間の距離、すなわち、第1方向FDにおける領域LPの幅は、上述した流体FLの還流の効果が得られるように適切に設定される。
【0096】
具体的に、シュラウド壁31から突出するように弾性部材50BF、50BSが変形することによって、流体FLが上流面50Uに衝突する流量が増加する。これにより、上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量よりも、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量を減少させることが可能である。
【0097】
また、言い換えると、第2部材50Bは、弾性部材50BF、50BSの各々を変形させることによって、流動面積51を調整するように構成されている。
このように構成された第2部材50Bは、上述した第2部材50と同様に、第1方向FDにおいて羽根車21に向けてシュラウド壁31に沿う流体FLの流れを調整可能である。したがって、2つの弾性部材50BF、50BSの変形量、すなわち、流体FLの流動面積51を調整することによって、流体FLに発生する淀みの程度を調整することが可能である。
【0098】
<第2部材の第3変形例>
図4Cに示すように、第2部材50Cは、上流突起50CUと、下流突起50CLとを有する。上流突起50CUは、第1方向FDの上流側USにおいて流路FPの内壁WLに配置されている。下流突起50CLは、第1方向FDにおいて上流突起50CUよりも下流側DSにおける流路FPの内壁WLに配置されている。流路FPの断面における流路FPの周方向CDにおいて、上流突起50CU及び下流突起50CLが互いに相対的に回転可能である。符号26Pは、羽根車入口26の位置を示している。
【0099】
ここで、図4D及び図4Eを参照して具体的に述べる。
図4Dに示すように、上流突起50CUは、第1方向FDに見て、流路FPの内壁WLに配置された状態で、時計回り方向CW又は反時計回り方向CCWに回転可能である。
一方、図4Eに示すように、下流突起50CLは、流路FPの内壁WLに固定されている。これにより、上流突起50CU及び下流突起50CLが互いに相対的に回転可能となっている。
なお、下流突起50CLが時計回り方向CW又は反時計回り方向CCWに回転可能であってもよい。この場合、上流突起50CUが流路FPの内壁WLに固定されている。また、上流突起50CU及び下流突起50CLの各々が回転可能であってもよい。
図4D及び図4Eに示すように、周方向CDにおける2つの上流突起50CUの間には、隙間部50Sが形成されている。第1方向FDに見て、隙間部50S又は上流突起50CUに重なるように下流突起50CLが配置されている。上流突起50CU及び下流突起50CLの相対回転によって、下流突起50CLによって覆われる隙間部50Sの面積が調整される。
【0100】
第2部材50と同様に、第2部材50Cは、上流面50Uと下流面50Lとを有する。上流面50Uは、第1方向FDに流れる流体FLが衝突する上流突起50CUの面と、第1方向FDに流れる流体FLが衝突するとともに隙間部50Sに位置する下流突起50CLの面に相当する。下流面50Lは、下流突起50CLの下流側の面に相当する。
【0101】
第2部材50Cは、上流突起50CU及び下流突起50CLが相対的に回転することによって、羽根車21に向けてシュラウド壁31に沿う流体FLのうち、上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量よりも、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量を減少させるように構成されている。言い換えると、第2部材50Cは、領域UPを流れる流体FLの流量QUよりも、領域LPを流れる流体FLの流量QLを減少させるように構成されている(QU>QL)。つまり、下流面50Lと羽根車入口26との間の領域LPにおける流体FLの流量QLを減少させるように構成されている。下流面50Lと位置26Pとの間の距離、すなわち、第1方向FDにおける領域LPの幅は、上述した流体FLの還流の効果が得られるように適切に設定される。
【0102】
具体的に、上流突起50CU及び下流突起50CLが相対的に回転することによって、流体FLが上流面50Uに衝突する流量が増加する。これにより、上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量よりも、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量を減少させることが可能である。
【0103】
また、言い換えると、上流突起50CU及び下流突起50CLの相対回転に応じて、第1方向FDに見て上流突起50CUと下流突起50CLとの重なりによって形成された隙間部50Sの隙間面積を調整することによって、流動面積51を調整する。
このように構成された第2部材50Cは、上述した第2部材50と同様に、第1方向FDにおいて羽根車21に向けてシュラウド壁31に沿う流体FLの流れを調整可能である。したがって、下流突起50CLに対する上流突起50CUの相対的な回転量、すなわち、流体FLの流動面積51を調整することによって、流体FLに発生する淀みの程度を調整することが可能である。
【0104】
<第2部材の第4変形例>
図4Fに示すように、第2部材50Dは、方向XDに延びる軸部50DAを有する。
ここで、方向XDは、流路FPの断面における流路FPの径方向RDに交差する方向であり、かつ、第1方向FDに交差する方向である。板部材である第2部材50Dは、軸部50DAによって、軸部50DAの周りに回転可能に支持されている。第2部材50Dは、軸部50DAの周りに回転することによって、流動面積51を調整するように構成されている。符号26Pは、羽根車入口26の位置を示している。
【0105】
第2部材50と同様に、第2部材50Dは、上流面50Uと下流面50Lとを有する。軸部50DAの周りに第2部材50Dが回転することによって、羽根車21に向けてシュラウド壁31に沿う流体FLのうち、上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量よりも、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量を減少させるように構成されている。言い換えると、第2部材50Dは、領域UPを流れる流体FLの流量QUよりも、領域LPを流れる流体FLの流量QLを減少させるように構成されている(QU>QL)。つまり、下流面50Lと羽根車入口26との間の領域LPにおける流体FLの流量QLを減少させるように構成されている。下流面50Lと位置26Pとの間の距離、すなわち、第1方向FDにおける領域LPの幅は、上述した流体FLの還流の効果が得られるように適切に設定される。
【0106】
具体的に、軸部50DAの周りに第2部材50Dが回転することによって、流体FLが上流面50Uに衝突する流量が増加する。これにより、上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量よりも、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量を減少させることが可能である。
【0107】
このように構成された第2部材50Dは、上述した第2部材50と同様に、第1方向FDにおいて羽根車21に向けてシュラウド壁31に沿う流体FLの流れを調整可能である。したがって、軸部50DAの周りにおける第2部材50Dの回転量、すなわち、流体FLの流動面積51を調整することによって、流体FLに発生する淀みの程度を調整することが可能である。
【0108】
<第2部材の第5変形例>
上述した図4Fにおいては、2つの軸部50DAを示したが、軸部50DAの本数は3以上であってもよい。図4Gに示すように、第2部材50Eは、流路FPの内壁WLに沿うように6つの軸部50DAが配置された構造を有する。6つの軸部50DAの各々には、板部材50EFが設けられている。板部材50EFは、軸部50DAによって、軸部50DAの周りに回転可能に支持されている。板部材50EFは、上流面50Uと下流面50Lとを有する。軸部50DAの周りに板部材50EFが回転することによって、羽根車21に向けてシュラウド壁31に沿う流体FLのうち、上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量よりも、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量を減少させるように構成されている。言い換えると、板部材50EFは、領域UPを流れる流体FLの流量QUよりも、領域LPを流れる流体FLの流量QLを減少させるように構成されている(QU>QL)。つまり、下流面50Lと羽根車入口26との間の領域LPにおける流体FLの流量QLを減少させるように構成されている。下流面50Lと位置26Pとの間の距離、すなわち、第1方向FDにおける領域LPの幅は、上述した流体FLの還流の効果が得られるように適切に設定される。
【0109】
具体的に、軸部50DAの周りに板部材50EFが回転することによって、流体FLが上流面50Uに衝突する流量が増加する。これにより、上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量よりも、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量を減少させることが可能である。
【0110】
また、言い換えると、板部材50EFは、6つの軸部50DAの各々の周りに回転することによって、流動面積51を調整するように構成されている。
流体FLの流動面積51を調整することによって、流体FLに発生する淀みの程度を調整することが可能である。
【0111】
<第2部材の第6変形例>
図4Hに示すように、第2部材50Fは、流路FPの断面における流路FPの径方向RDに延びる軸部50FAを有する。板部材である第2部材50Fは、軸部50FAによって、軸部50FAの周りに回転可能に支持されている。軸部50FAは、第1方向FDにおける第2部材50Fの下流側の端部に設けられている。符号26Pは、羽根車入口26の位置を示している。軸部50FAの周りに第2部材50Fが回転しても、第2部材50Fは、符号26Pに示す位置よりも下流側に配置されることがない。
【0112】
第2部材50と同様に、第2部材50Fは、上流面50Uと下流面50Lとを有する。 軸部50FAの周りに第2部材50Fが回転することによって、羽根車21に向けてシュラウド壁31に沿う流体FLのうち、上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量よりも、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量を減少させるように構成されている。言い換えると、第2部材50Fは、領域UPを流れる流体FLの流量QUよりも、領域LPを流れる流体FLの流量QLを減少させるように構成されている(QU>QL)。つまり、下流面50Lと羽根車入口26との間の領域LPにおける流体FLの流量QLを減少させるように構成されている。下流面50Lと位置26Pとの間の距離、すなわち、第1方向FDにおける領域LPの幅は、上述した流体FLの還流の効果が得られるように適切に設定される。
【0113】
具体的に、軸部50FAの周りに第2部材50Fが回転することによって、流体FLが上流面50Uに衝突する流量が増加する。これにより、上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量よりも、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量を減少させることが可能である。
【0114】
このように構成された第2部材50Fは、軸部50FAの周りに回転することによって、流動面積51を調整するように構成されている。したがって、軸部50FAの周りにおける第2部材50Fの回転量、すなわち、流体FLの流動面積51を調整することによって、流体FLに発生する淀みの程度を調整することが可能である。
【0115】
<第2部材の第7変形例>
上述した図4Hにおいては、2つの軸部50FAを示したが、軸部50FAの本数は3以上であってもよい。図4Iに示すように、第2部材50Gは、流路FPの内壁WLに沿うように6つの板部材50FFが配置された構造を有する。6つの板部材50FFの各々は、軸部50FAによって、軸部50FAの周りに回転可能に支持されている。板部材50FFは、上流面50Uと下流面50Lとを有する。軸部50FAの周りに板部材50FFが回転することによって、羽根車21に向けてシュラウド壁31に沿う流体FLのうち、上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量よりも、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量を減少させるように構成されている。言い換えると、板部材50FFは、領域UPを流れる流体FLの流量QUよりも、領域LPを流れる流体FLの流量QLを減少させるように構成されている(QU>QL)。つまり、下流面50Lと羽根車入口26との間の領域LPにおける流体FLの流量QLを減少させるように構成されている。下流面50Lと位置26Pとの間の距離、すなわち、第1方向FDにおける領域LPの幅は、上述した流体FLの還流の効果が得られるように適切に設定される。
【0116】
具体的に、軸部50FAの周りに板部材50FFが回転することによって、流体FLが上流面50Uに衝突する流量が増加する。これにより、上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量よりも、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量を減少させることが可能である。
【0117】
また、言い換えると、板部材50FFは、6つの軸部50FAの各々の周りに回転することによって、流動面積51を調整するように構成されている。
流体FLの流動面積51を調整することによって、流体FLに発生する淀みの程度を調整することが可能である。
【0118】
<第2部材の第8変形例>
図4Jに示すように、第2部材50Hは、第1方向FDにおける第2部材50Hと羽根車入口26との間の距離DTを調整可能である。図4Jにおいて、符号26Pは、羽根車入口26の位置を示している。符号P1は、第2部材50Hが羽根車入口26に最も近づいた第2部材50Hの位置を示している。位置P1において、第2部材50Hと羽根車入口26との間の距離は、DT1である。符号P2は、第2部材50Hが羽根車入口26から最も離れた第2部材50Hの位置を示している。位置P2において、第2部材50Hと羽根車入口26との間の距離は、DT2である。距離DT2は、距離DT1よりも大きい。
【0119】
第2部材50と同様に、第2部材50Hは、上流面50Uと下流面50Lとを有する。第2部材50Hは、位置P1と位置P2との間に配置することが可能であり、第2部材50Hが位置P1に配置された場合には、第2部材50Hを羽根車入口26に近づけることが可能である。これにより、羽根車21に向けてシュラウド壁31に沿う流体FLのうち、上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量よりも、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量を減少させるように構成されている。言い換えると、第2部材50Hは、領域UPを流れる流体FLの流量QUよりも、領域LPを流れる流体FLの流量QLを減少させるように構成されている(QU>QL)。つまり、下流面50Lと羽根車入口26との間の領域LPにおける流体FLの流量QLを減少させるように構成されている。下流面50Lと位置26Pとの間の距離、すなわち、第1方向FDにおける領域LPの幅は、上述した流体FLの還流の効果が得られるように適切に設定される。
【0120】
具体的に、第2部材50Hを羽根車入口26に近づけることによって、上流面50Uに向けて流れる流体FLの流量よりも、下流面50Lよりも下流側に向けて流れる流体FLの流量を減少させることが可能である。
【0121】
言い換えると、流体FLの流れは、第2部材50Hの配置に応じて変化する。第2部材50Hを位置P1と位置P2との間で移動させることにより、流体FLに発生する淀みの程度を調整することが可能である。
【0122】
<駆動部の変形例>
図1に示す例では、流体機械10は、2つの駆動部として、第1駆動部D1及び第2駆動部D2を有する。流体機械10は、1つの駆動部によって第1部材40及び第2部材50を移動させてもよい。
つまり、1つの駆動部は、第1部材40及び第2部材50に連結されており、シュラウド壁31に対して第1部材40を相対的に移動させ、かつ、シュラウド壁31に対して第2部材50を相対的に移動させるように構成されている。
この構成においては、1つの駆動部は、第1部材40及び第2部材50が互いに同期するように第1部材40及び第2部材50を移動させてもよい。
【0123】
<第2実施形態>
<流体機械>
上述した実施形態においては、流体機械10が、流路FPに対する突出量APを調整可能な第1部材40と、シュラウド壁31に沿う流体FLの流れを調整可能な第2部材50とを備える場合について説明した。
以下に述べる第2実施形態では、第2部材50を用いずに、流体機械が第1部材のみを駆動させる場合を説明する。
ここで、図1図2Bを参照して説明した同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。また、第1部材をシュラウド壁31に対して相対的に移動させる駆動部の図示を省略している。
【0124】
第1実施形態と同様に、第2実施形態に係る流体機械は、回転構造体20と、ケーシング30と、流路FPと、第1駆動部D1とを有する。
さらに、第2実施形態に係る流体機械は、第1実施形態に係る第1部材40に代えて、第1部材60Aを有する。
【0125】
<第1部材>
第1部材60Aは、第1部材40と概ね同様の構成を有する。その一方、第1部材60Aは、第1部材が突起部を有する点で、第1部材40とは異なる。
図5Aに示すように、第1部材60Aは、突起部61と、基部62と、を有する。
基部62は、第1部材60Aが延在する延在方向に延びる。本実施形態において、第1部材60Aが延在する延在方向は、軸方向ADに相当する。なお、第1部材60Aの延在方向は、軸方向ADに傾斜する方向であってもよい。
【0126】
突起部61は、第1方向FDにおける上流側に向けて突出するように基部62に設けられている。突起部61は、主板側壁32に対向する第1延在部63を有する。第1延在部63は、基部62の一部に設けられており、基部62から羽根車21に向けて延在する。第1延在部63は、第1方向FDに平行な方向に延在している。第1延在部63は、第1部材60Aのうち最も先端に位置する先端部60Xを有する。先端部60Xは、上述した先端部41に対応する部位である。
【0127】
第1部材60Aは、第1延在部63に対向する第2延在部64を有する。基部62は、シュラウド壁31に収容される収容領域65を有する。第2延在部64は、基部62の収容領域65に設けられている。シュラウド壁31に設けられた第1部材収容溝35は、第1方向FDにおける第2延在部64の長さに相当する幅を有する。これにより、突出量APの調整に伴って、第1部材収容溝35は、第2延在部64を収容することが可能である。
【0128】
<作用効果>
次に、第2実施形態に係る流体機械の作用効果を説明する。
第2実施形態に係る流体機械において、回転構造体20が回転することで複数の羽根板25が流体FLを押し出し、ケーシング30の入口33から出口34に向けて流体FLが流路FPを流動する。この状態で、第1部材60Aが移動し、図2A及び図2Bを参照して説明したように、流路FPに対する第1部材60Aの突出量APが調整される。
【0129】
図2A及び図2Bに示すように、突出量APの調整によって、第1部材60Aの先端部60Xが最小位置P0から中間位置PMへ移動することが可能であり、また、第1部材60Aの先端部60Xが最小位置P0から最大位置PXへ移動することが可能である。
この場合、第2領域R2において第1方向FDに向けて流れる流体FLは、第1部材60Aに衝突する。第1部材60Aに衝突した流体FLは、第3領域R3において第2方向SDに向けて流れる。第2領域R2及び第3領域R3において流体FLの還流が生じる。これにより、流体機械の流量を減少させることができる。
特に、第1部材60Aは、基部62、第1延在部63、及び第2延在部64を有しているため、基部62、第1延在部63、及び第2延在部64で囲まれた領域に流体FLが流れ込むことで、流体FLの還流の発生を促進させることができる。
【0130】
また、突出量APの調整によって、第1部材60Aの先端部60Xが中間位置PMから最小位置P0へ移動することが可能であり、また、第1部材60Aの先端部60Xが最大位置PXから最小位置P0へ移動することが可能である。
この場合、第1部材60Aによる流体FLの圧縮状態が急激に解消され、第2領域R2及び第3領域R3における流体FLの還流が速やかに無くなり、還流していた流体FLの流量が出口34から速やかに吐出され、入口33から流体FLが新たに速やかに吸い込まれる。すなわち、流体FLの流量を速やかに増加させることができる。
【0131】
<第1部材の変形例>
次に、図5B図5Jを参照して、第1部材の変形例を説明する。
ここで、図1図2B及び図5Aを参照して説明した同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
【0132】
<第1部材の第1変形例>
図5Bに示す第1部材60Bは、第2延在部64を備えていない点で、第1部材60Aとは異なっている。つまり、第1部材60Bは、第1延在部63と基部62とを有する。図5Bに示す例では、ケーシング30は、シュラウド壁31に設けられた収容部37を有する。収容部37は、第1延在部63に応じた形状を有している。先端部60Xが最小位置P0に配置された場合、収容部37は、第1延在部63を収容するように構成されている。
このような構成において、流路FPに対する第1部材60Bの突出量APが調整される。第1部材60Bにおいては、第1部材60Aと同様又は類似の効果を得ることができる。
【0133】
<第1部材の第2変形例>
図5Cに示す第1部材60Cは、第1方向FDに傾斜する方向に延在する点で、第1部材60Bとは異なっている。
突起部61の第1延在部63は、第1方向FDにおける上流側に向けて突出している。
このような構成においても、流路FPに対する第1部材60Cの突出量APが調整される。第1部材60Cにおいては、第1部材60Aと同様又は類似の効果を得ることができる。
【0134】
<第1部材の第3変形例>
図5Dに示す第1部材60Dは、基部62の構造の点で、第1部材60Aとは異なっている。
基部62は、第1基部62Fと第2基部62Sとを有する。第1基部62Fは、先端部60Xが最小位置P0、中間位置PM、及び最大位置PXの各々に配置された場合であっても、第1部材収容溝35に位置する。第2基部62Sは、第1基部62Fと第1延在部63との間に設けられた部位である。第2基部62Sは、第1方向FDにおける上流側に向かう傾斜面を有する。第1延在部63は、第2基部62Sの傾斜面に接続されている。
このような構成においても、流路FPに対する第1部材60Dの突出量APが調整される。第1部材60Dにおいては、第1部材60Aと同様又は類似の効果を得ることができる。
【0135】
<第1部材の第4変形例>
図5Eに示す第1部材60Eは、突起部61及び基部62の構造の点で、第1部材60Aとは異なっている。
第1部材60Eは、第1部材60Aと同様に、基部62を有する。基部62は、羽根車21に対向する基部上流面62Uを有する。突起部61は、基部上流面62Uに設けられた窪み部62Rを有する。窪み部62Rは、底部62Bと、底部62Bを挟む2つの傾斜面62Kを有している。底部62Bは、窪み部62Rを形成する部位のうち、第1方向FDにおいて基部上流面62Uから最も離れた部位である。断面形状に関し、底部62B及び2つの傾斜面62Kは、角部を形成している。傾斜面62Kは、突起部61に相当する。つまり、底部62Bの周囲に突起部61が形成されている。言い換えると、突起部61は、窪み部62Rの一部を形成している。
【0136】
このような窪み部62Rを有する第1部材60Eにおいても、突出量APが調整され、第1部材60Aと同様の作用が得られる。
具体的に、図2A及び図2Bに示すように、突出量APの調整によって、第1部材60Eの先端部60Xが最小位置P0から中間位置PMへ移動することが可能であり、また、第1部材60Eの先端部60Xが最小位置P0から最大位置PXへ移動することが可能である。
この場合、第2領域R2において第1方向FDに向けて流れる流体FLは、第1部材60Eに衝突することで第2方向SDに向けて流れ、第2領域R2及び第3領域R3において流体FLの還流が生じる。これにより、流体機械の流量を減少させることができる。
特に、第1部材60Eは、基部62に設けられた窪み部62Rを有しているため、窪み部62Rに流体FLが流れ込むことで、流体FLの還流の発生を促進させることができる。
【0137】
また、突出量APの調整によって、第1部材60Eの先端部60Xが中間位置PMから最小位置P0へ移動することが可能であり、また、第1部材60Eの先端部60Xが最大位置PXから最小位置P0へ移動することが可能である。
この場合、第1部材60Eによる流体FLの圧縮状態が急激に解消され、第2領域R2及び第3領域R3における流体FLの還流が速やかに無くなる。すなわち、流体FLの流量を速やかに増加させることができる。
【0138】
<第1部材の第5変形例>
図5Fに示す第1部材60Fは、窪み部62Rの断面形状の点で、第1部材60Eとは異なっている。
具体的に、窪み部62Rは、底部62Bと、底部62Bの周囲に位置する曲面62Cを有している。断面形状に関し、底部62B及び曲面62Cは、曲部を形成している。曲面62Cは、突起部61に相当する。つまり、底部62Bの周囲に突起部61が形成されている。言い換えると、突起部61は、窪み部62Rの一部を形成している。
このような構成においても、流路FPに対する第1部材60Cの突出量APが調整される。第1部材60Fにおいても、第1部材60Eと同様又は類似の効果を得ることができる。
【0139】
<第1部材の第6変形例>
図5Gに示す第1部材60G及び図5Hに示す第1部材60Hの各々は、窪み部62Rの大きさの点で、第1部材60Fとは異なっている。
第1部材60Gの窪み部62Rの深さDPは、第1方向FDにおいて第1部材60Fの窪み部62Rの深さよりも大きい。第1部材60Hの窪み部62Rの幅WDは、径方向RDにおいて第1部材60Fの窪み部62Rの幅よりも広い。
第1部材60G及び第1部材60Hの各々に示すように、窪み部62Rの深さDPや幅WDを自在に変更可能である。このような構成においても、第1部材60Eと同様又は類似の効果を得ることができる。
【0140】
<第1部材の第7変形例>
図5Iに示す第1部材60Iは、基部62に貫通孔が設けられている点で、第1部材60Fとは異なっている。図5Iに示す第1部材60Iにおいては、突起部61及び窪み部62Rが省略されている。以下に説明する第7変形例を、突起部61又は窪み部62Rを有する第1部材に適用することができる。
【0141】
第1部材60Iにおいて、基部62は、羽根車21に対向する基部上流面62Uと、基部上流面62Uとは反対側にある基部下流面62Dとを有する。さらに、基部62は、基部上流面62Uから基部下流面62Dに向けて延びるように基部62に設けられた貫通孔62Pを有する。言い換えると、貫通孔62Pは、基部上流面62Uに開口する開口部と、基部下流面62Dに開口する開口部とを有する。
なお、図5Iに示す第1部材60Iにおいては、1つの貫通孔62Pのみが示されているが、第1部材60Iの全体に、複数の貫通孔62Pが設けられている。
【0142】
<作用効果>
次に、第1部材60Iを備える流体機械の作用効果を説明する。
流体機械において、回転構造体20が回転することで複数の羽根板25が流体FLを押し出し、ケーシング30の入口33から出口34に向けて流体FLが流路FPを流動する。この状態で、貫通孔62Pを有する第1部材60Iが移動し、図2A及び図2Bを参照して説明したように、流路FPに対する第1部材60Iの突出量APが調整される。
【0143】
図2A及び図2Bに示すように、突出量APの調整によって、第1部材60Iの先端部60Xが最小位置P0から中間位置PMへ移動することが可能であり、また、第1部材60Iの先端部60Xが最小位置P0から最大位置PXへ移動することが可能である。
この場合、第2領域R2において第1方向FDに向けて流れる流体FLは、第1部材60Iに衝突することで第2方向SDに向けて流れ、第2領域R2及び第3領域R3において流体FLの還流が生じる。これにより、流体機械の流量を減少させることができる。
【0144】
ここで、基部下流面62Dは、基部上流面62Uよりも径方向RDの外側にある。このため、角運動量保存則により、第1部材60Iに衝突せずに第1方向FDに流れる流体FLの速度は、径方向RDの外側に向かって減少する。また、第1部材60Iに衝突せずに第1方向FDに流れる流体FLの圧力は、径方向RDの外側に向かって高くなる。基部下流面62Dは、基部上流面62Uよりも径方向RDの外側にある。このため、基部上流面62Uにおける圧力よりも、基部下流面62Dにおける圧力が高い。
【0145】
第1部材60Iは、貫通孔62Pを有するため、流路FPを流れる流体FLの一部は、第2方向SDに向けて貫通孔62Pを流れる。貫通孔62Pを流れた流体FLは、基部上流面62Uに達し、第2領域R2に流れる流体FLに合流する。つまり、第2方向SDに向けて貫通孔62Pを流れた流体FLと、第1方向FDに向けて第2領域R2に流れる流体FLとが合流する。これにより、基部上流面62Uにおいて合流流体が生じる。合流流体は、第3領域R3における流体FLの流れを加速させる。
このため、貫通孔62Pを有する第1部材60Iを用いることで、合流流体が発生し、第2領域R2及び第3領域R3における流体FLの還流の発生を促進させることができる。
【0146】
<第1部材の第8変形例>
図5Jに示す第1部材60Jは、基部62に設けられた貫通孔62Pが径方向RDに対して傾斜している点で、第1部材60Iとは異なっている。
図5Jに示すように、基部62には、周方向CDにおいて複数の貫通孔62Pが設けられている。複数の貫通孔62Pは、例えば、周方向CDにおいて等間隔で設けられている。複数の貫通孔62Pの各々は、径方向RDに対して傾斜するように延在している。
このような構成においても、第1部材60Iと同様又は類似の効果を得ることができる。
【0147】
<第2実施形態の変形例>
上述した第2実施形態及び第1部材の変形例においては、第1部材60A~60Jが第2実施形態に係る流体機械に適用される場合を説明した。第1部材60A~60Jは、第1実施形態に係る流体機械10に適用することも可能である。この場合、第1部材60A~60Jのうちの一つと、第2部材50とを協働させることができる。また、第1部材60A~60Jのうちの一つと、第1実施形態の変形例で説明した第2部材50A~50Gのうちの一つとを協働させることができる。
【0148】
<第3実施形態>
<羽根板>
次に、第3実施形態に係る羽根板25について説明する。以下の説明では、複数の羽根板25のうちの1つの羽根板25について説明する。
ここで、図1図2Bを参照して説明した同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。図6A及び図6Bにおいては、流体機械を構成する構成要素のうち、羽根車及び羽根板以外の構成要素は省略されている。
【0149】
図6Aは、一般的な羽根板125、一般的な羽根主板124、及び一般的な羽根車出口127を示している。
また、図6Aは、羽根車出口127に位置する羽根板125の先端部分における速度ベクトルである速度三角形が示されている。符号Wは、羽根車に対する流体の相対的な速度(相対速度)を意味する。符号Uは、羽根主板124の周速を意味する。符号Cは、相対速度Wと、周速Uを足し合わせることで得られるベクトル和である。ベクトル和は、流出した流体FLの絶対速度である。速度三角形を参照した説明は、後述する。
【0150】
図6Aに示すように、羽根板125は、羽根主板124の中心から羽根車出口127に向けて延びている。ここで、径方向RDに平行な軸線AXに対して、羽根車出口127での羽根板125の角度を符号Bで定義する。言い換えると、羽根車出口127での羽根板125は、角度Bで、径方向RDに平行な軸線AXに傾斜している。
角度Bの値の正負に関し、軸線AXを基準とした場合、羽根車21の回転方向+Rにおける角度Bは正の値(+B)と定義し、これに対し、回転方向+Rとは反対の逆方向-Rにおける角度Bは負の値(-B)と定義する。このように羽根板125の角度を定義したとき、一般的な圧縮機やポンプの羽根車では羽根板125の角度は、負の値又は0となる。特に、羽根車入口26における羽根板125の角度は、負の値である。
その理由は、次の通りである。
羽根車に流入する流体の流れは、通常、軸方向ADに平行で周方向CDの成分を持たない。このため、回転(図6Aでは右周り、回転方向+R)していて周方向CDの速度を持つ羽根板125に対して、周方向CDと逆方向の相対速度を有する流体が流入する。このような流体が無衝突で羽根板125に流入するように、羽根板125の入口を周方向CDに傾ける必要がある。
【0151】
次に、図6Bを参照して、本実施形態を説明する。
図6Bに示すように、羽根車21とシュラウド壁31との間における流路FPには、第1部材の突出量APに応じて、上述した第1領域R1、第2領域R2、及び第3領域R3が生じる。このため、羽根板25においても、第1領域R1、第2領域R2、及び第3領域R3が生じる。言い換えると、軸方向ADにおける羽根板25の高さZに応じて、第1領域R1、第2領域R2、及び第3領域R3が生じる。なお、図6Bにおいて、符号Z0は、羽根板25の高さがゼロの場合を意味しており、羽根主板24の表面の位置を示している。羽根板25の高さが位置Z0から増加するにしたがって、羽根板25には、第1領域R1、第2領域R2、及び第3領域R3が順に生じる。
【0152】
図6Cに示すグラフにおいて、Bは図6Aで説明した羽根車出口27の近傍での羽根板25の角度を意味しており、Zは図6Bで説明した軸方向ADにおける羽根板25の高さを意味している。
符号SL1に示す実線は、羽根板25の形状の一例を示している。
実線SL1に示すように、羽根板25の高さが位置Z1よりも相当低い位置では、羽根板25の角度Bは、負の値である。
羽根板25の高さが増加するにしたがって、羽根板25の角度Bの値は増加し、角度Bの値は、負の値から正の値に変わる。
さらに、羽根板25の高さの増加に伴って、羽根板25の角度Bの値は増加し、羽根板25の高さが位置Z1に達すると、角度Bの値は、最も高い正の値となる。
ここで、位置Z1は、図6Bに示す羽根板25における第2領域R2に相当する。
次に、羽根板25の高さの増加に伴って、羽根板25の角度Bの値は減少し始め、角度Bの値は、正の値から負の値に変わる。
さらに、羽根板25の高さの増加に伴って、羽根板25の角度Bの値は減少し、羽根板25の高さが位置Z2に達すると、角度Bの値は、負の値となる。
ここで、位置Z2は、図6Bに示す羽根板25における第3領域R3に相当する。
【0153】
本実施形態においては、羽根板25の高さが位置Z1にある場合における角度Bの値は正の値となっているが、角度Bの値は0度でもよい。また、羽根板25の高さが位置Z2にある場合における角度Bの値は負の値となっているが、角度Bの値は0度でもよい。点の間における角度の分布も上述した実施形態に限定されない。
【0154】
すなわち、羽根車出口27の近傍での第2領域R2における羽根板25の角度Bに関し、羽根板25の角度Bを羽根車21の径方向RDに対して0度とし、かつ、羽根板25の角度Bを羽根車21の回転方向+Rに対して正の値とした場合、羽根板25の角度Bの最大値は、0度又は正の値である。
特に、羽根板25の角度Bに関する上記条件は、第1部材40の先端部41が最大位置PXに配置された場合において、より好ましい。
【0155】
また、羽根車出口27での第3領域R3における羽根板25の角度Bに関し、羽根板25の角度Bを羽根車21の径方向RDに対して0度とし、かつ、羽根板25の角度Bを羽根車21の回転方向+Rに対して正の値とした場合、羽根板25の角度Bの最小値は、0度又は負の値である。
特に、羽根板25の角度Bに関する上記条件は、第1部材40の先端部41が最大位置PXに配置された場合において、より好ましい。
【0156】
<作用効果>
図7A図7Dを参照して、本実施形態の作用効果を説明する。
図7A図7Dに示す速度三角形は、流体機械において第1部材40がシュラウド壁31から突出した場合において、羽根車21の第2領域R2から流出した流体FLが、第1部材40に衝突して羽根車21の第3領域R3に流入する際の流体FLと羽根車21の外周の速度(周速)の関係を示している。
【0157】
図7Aは、本実施形態に係る羽根車21において羽根車出口27の第2領域R2から流体FLが流出する際の速度三角形を示す。
符号Uは、羽根車出口27における回転方向における速度(周速)である。
符号Wは、流体FLが羽根車21から流出する速度であり、羽根車21に対する流体FLの相対速度である。本実施形態に係る羽根車21では、羽根車出口27の近傍で羽根板25の第2領域R2における角度Bの最大値が正の値である。このため、相対速度Wは、角度Bが正の値となる方向に向くベクトルを有する。
符号Cは、相対速度Wと周速Uとのベクトル和であり、羽根車21から流出した流体FLの絶対速度である。
【0158】
図7Bは、本実施形態に係る羽根車出口27の第2領域R2から流出した流体FLが第1部材40に衝突して、流体FLの速度の径方向RDに向く成分が反転して羽根車出口27の第3領域R3に流体FLが流入する際の速度三角形を示す。
符号C2REは、第1部材40に衝突して反転した流体FLの絶対速度である。
ここでは、流体FLが羽根車21の第2領域R2を出てから第3領域R3に流入するまでに損失はないと仮定している。流体FLは、羽根車出口27から流出した際と同じ周速Uで回転する羽根車出口27の第3領域R3に流入する。流体FLの羽根車21に対する相対速度W2REは、ベクトル演算により、絶対速度C2REから周速Uを差し引くことによって得られる。これにより、図7Bに示す相対速度W2REが得られる。
【0159】
ここで、本実施形態に係る流体機械においては、羽根車出口27の近傍の第3領域R3における羽根角度の最小値が負の値である。このため、羽根車出口27の近傍の第3領域R3における羽根板25の羽根角度が流入する流体FLの相対速度に沿うように、流体FLが第3領域R3に流入する。
このため、羽根車出口27の第3領域R3に流体FLが流入する際の損失を最小にすることができ、第3領域R3と第2領域R2における還流による損失を最小にすることができる。
【0160】
したがって、第1部材40がシュラウド壁31から突出することによって流体機械の吸込み流量を減少又は調整させている際にも、効率の低下を最小限に抑制することができる。ここで、吸込み流量は、吐出流量と等しい。
また、羽根車出口27の近傍の第3領域R3における羽根板25の角度の最小値が負の値である。このため、羽根板25の角度が正の値である場合と比較して、羽根板25の角度の定義を上記の通り説明したように、羽根板25の角度が負の値である羽根車入口26における羽根板25の角度との差が小さい。したがって、第3領域R3の羽根板25の曲がりを抑制することができる。
【0161】
第3領域R3は、シュラウド壁31の近くにある。したがって、第1領域R1や第2領域R2よりも羽根板25の子午面における距離が短い。なお、短い区間で羽根板25の角度の変化が大きいと、羽根板25の曲がりが大きくなる。羽根板25の曲がりが大きくなると、流体FLの流れが羽根板25に沿って流れなくなるといった、所謂剥離が発生し、羽根車21の効率が低下する。
本実施形態に係る羽根車21では、羽根車出口27の近傍の第3領域R3における羽根板25の角度の最小値が負の値である。このため、羽根車21の効率が低下しない。
【0162】
図7Cは、本実施形態に係る羽根車21のうち、羽根車出口27の近傍の第2領域R2における羽根板25の角度が0である場合の羽根車出口27の第2領域R2から流体FLが流出する際の速度三角形を示す。
速度の記号の意味は、上述した記号の意味と同じである。
羽根車出口27の第2領域R2から流出する流体FLは、径方向RDを向いた羽根板25に沿って角度0で流出する。これにより、図7Cに示す絶対速度Cが得られる。
【0163】
図7Dは、本実施形態に係る羽根車21のうち、羽根車出口27の近傍の第3領域R3における羽根板25の角度が0である場合において、羽根車出口27の第2領域R2から流出した流体FLが第1部材40に衝突して流体FLの速度の径方向RDの外向きの成分が反転して羽根車出口27の第3領域R3に流入する際の速度三角形を示す。
第1部材40に衝突して反転した流体FLは、絶対速度C2REで、周速Uで回転する羽根車出口27の第3領域R3に流入する流体FLは、径方向RD方向内向きの相対速度で流入する。
ここで、本実施形態に係る流体機械においては、羽根車出口27の近傍の第3領域R3における羽根角度の最小値が0である。このため、羽根車出口27の近傍の第3領域R3における羽根板25の羽根角度が流入する流体FLの相対速度に沿うように、流体FLが第3領域R3に流入する。
このため、羽根車出口27の第3領域R3に流体FLが流入する際の損失を最小にすることができ、第3領域R3と第2領域R2における還流による損失を最小にすることができる。
【0164】
したがって、第1部材40がシュラウド壁31から突出することによって流体機械の吸込み流量を減少又は調整させている際にも、効率の低下を最小限に抑制することができる。ここで、吸込み流量は、吐出流量と等しい。
また、羽根車出口27の近傍の第3領域R3における羽根板25の角度の最小値が0である。このため、羽根板25の角度が正の値である場合と比較して、羽根板25の角度の定義を上記の通り説明したように、羽根板25の角度が負の値である羽根車入口26における羽根板25の角度との差が小さい。したがって、第3領域R3の羽根板25の曲がりを抑制することができる。
【0165】
第3領域R3は、シュラウド壁31の近くにある。したがって、第1領域R1や第2領域R2よりも羽根板25の子午面における距離が短い。なお、短い区間で羽根板25の角度の変化が大きいと、羽根板25の曲がりが大きくなる。羽根板25の曲がりが大きくなると、流体FLの流れが羽根板25に沿って流れなくなるといった、所謂剥離が発生し、羽根車21の効率が低下する。
本実施形態に係る羽根車21では、羽根車出口27の近傍の第3領域R3における羽根板25の角度の最小値が0であるため、羽根車21の効率が低下しない。
【0166】
以上説明したように、第3実施形態に係る羽根板25を用いることにより、第1実施形態によって得られる効果をさらに高めることができる。
すなわち、損失を最小限にしながら第2領域R2及び第3領域R3において流体FLの還流の発生を促進させることができる。流体機械10における流量減少を促進させることができるため、流量の減少又は調整を促進しながらも効率の低下を最小限に抑制することができる。
なお、図6Cに示す点線DL1、DL2は、羽根板25の形状の変形例を示している。点線DL1、DL2の各々においても、上述した効果が得られる。
上述した説明では、第1部材40を用いる場合を説明したが、第1部材40に代えて、上述した第1部材60A~60Jの各々が用いられてもよい。
【0167】
<第4実施形態>
<羽根車>
次に、第4実施形態に係る羽根車21について説明する。
ここで、図1図2Bを参照して説明した同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。図8Aにおいては、流体機械を構成する構成要素のうち、羽根車以外の構成要素は省略されている。
【0168】
羽根車21は、シュラウド壁31に対向する仕切部材28を有する。仕切部材28は、羽根開口部28Pを有する。羽根開口部28Pは、羽根車出口27よりも羽根車入口26の近くに位置する。仕切部材28は、例えば、羽根板25に固定されている。これにより、羽根主板24と仕切部材28との間の間隔が維持され、かつ、シュラウド壁31と仕切部材28との間の間隔が維持されている。特に、仕切部材28は、羽根主板24とシュラウド壁31との間において、第2領域R2と第3領域R3との間の境界に位置する。
【0169】
<作用効果>
次に、仕切部材28を備える羽根車21の作用効果を説明する。
上述したように、突出量APの調整によって、第2領域R2においては、流体FLは、第1方向FDに向けて流れる。第2領域R2を流れる流体FLが第1部材に衝突することで、流体FLは、第3領域R3において第2方向SDに向けて流れる。このとき、仕切部材28は、第2領域R2を流れる流体FLと、第3領域R3を流れる流体FLとを切り分ける。さらに、第3領域R3を流れる流体FLは、羽根開口部28Pを経由して、第3領域R3から第2領域R2へ流入する。
したがって、羽根車21に仕切部材28が設けられていることによって、第2領域R2を流れる流体FLの流動を促進させることができ、第3領域R3を流れる流体FLの流動を促進させることができる。このため、第2領域R2及び第3領域R3における流体FLの還流を促進させる。これにより、流体機械の流量を減少させることができる。
【0170】
<第4実施形態の変形例>
次に、図8Bを参照して、第1部材の変形例を説明する。
ここで、図8Aを参照して説明した同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
図8Bに示す羽根車21は、羽根開口部28Pの位置の点で、図8Aに示す構造とは異なっている。図8Bに示す羽根車21において、羽根開口部28Pは、羽根車出口27よりも羽根車入口26の近くに位置するとともに、仕切部材28の上流側の端部に位置している。言い換えると、羽根開口部28Pは、羽根車入口26に位置している。
このような構成においても、仕切部材28によって、第2領域R2を流れる流体FLの流動を促進させることができ、第3領域R3を流れる流体FLの流動を促進させることができる。このため、第2領域R2及び第3領域R3における流体FLの還流を促進させる。これにより、流体機械の流量を減少させることができる。
【0171】
図8Bに示す例においては、図8Aにおける羽根開口部28Pの位置よりも、上流側に羽根開口部28Pが配置されている。このため、第1方向FDにおいて、第2領域R2における流体FLが流れる長さを長くすることができ、第3領域R3における流体FLが流れる長さを長くすることができる。言い換えると、羽根開口部28Pの位置を調整することにより、第2領域R2及び第3領域R3における流体FLの還流の程度を調整することができる。
【0172】
<第5実施形態>
<羽根板>
ここで、図1図2Bを参照して説明した同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。図9においては、流体機械を構成する構成要素のうち、羽根車以外の構成要素は省略されている。
【0173】
図9に示す羽根車21Aは、側板29を有する。側板29は、羽根主板24から離間するように羽根板25に接合されている。側板29は、シュラウド壁31に対向している。このような構成を有する羽根車21Aは、いわゆる、クローズ羽根車である。
羽根車21Aは、上述した第1実施形態、第2実施形態、及び変形例に適用することが可能である。したがって、第1実施形態、第2実施形態、及び変形例と同様又は類似の効果を得ることができる。
【0174】
<羽根板の変形例>
図10Aに示す羽根車21Aは、図8Aを参照して説明した仕切部材28を有する。
図10Aに示すように、仕切部材28は、側板29と羽根主板24との間に配置されている。仕切部材28及び側板29の各々は、例えば、羽根板25に固定されている。これにより、羽根主板24と仕切部材28との間の間隔が維持され、仕切部材28と側板29との間の間隔が維持され、かつ、側板29とシュラウド壁31との間の間隔が維持されている。特に、仕切部材28は、羽根主板24とシュラウド壁31との間において、第2領域R2と第3領域R3との間の境界に位置する。
【0175】
羽根車21Aにおいて、仕切部材28は、第2領域R2を流れる流体FLと、第3領域R3を流れる流体FLとを切り分ける。さらに、第3領域R3を流れる流体FLは、羽根開口部28Pを経由して、第3領域R3から第2領域R2へ流入する。このため、第2領域R2を流れる流体FLの流動を促進させることができ、第3領域R3を流れる流体FLの流動を促進させることができる。このため、第2領域R2及び第3領域R3における流体FLの還流を促進させる。これにより、流体機械の流量を減少させることができる。
【0176】
図10Bに示す羽根車21Aは、図8Bを参照して説明した仕切部材28を有する。
このような構成においても、仕切部材28によって、第2領域R2を流れる流体FLの流動を促進させることができ、第3領域R3を流れる流体FLの流動を促進させることができる。このため、第2領域R2及び第3領域R3における流体FLの還流を促進させる。これにより、流体機械の流量を減少させることができる。
【0177】
<第6実施形態>
<熱サイクルシステム>
上述した第1実施形態~第5実施形態に係る流体機械10は、熱サイクルシステムに適用することが可能である。
図11及び図12を参照して、流体機械10を備える熱サイクルシステムを説明する。
熱サイクルシステム70は、圧縮機71と、凝縮器72と、膨張弁73と、蒸発器74と、第1供給ポンプ75と、第2供給ポンプ76とを備える。
熱サイクルシステム70は、例えば、冷凍機やヒートポンプである。
【0178】
圧縮機71は、作動流体蒸気Aを圧縮して高温高圧の作動流体蒸気Bとする。圧縮機71は、上述した流体機械10の一例である。作動流体は、例えば、水、炭化水素、フッ素系物質等である。フッ素系物質は、例えば、フロン等である。
凝縮器72は、圧縮機71から排出された作動流体蒸気Bを冷却し、液化して低温高圧の作動流体Cとする。凝縮器72は、例えば、熱交換器である。熱交換器の形状、種類、構造等は、特に限定されない。
膨張弁73は、凝縮器72から排出された作動流体Cを膨張させて低温低圧の作動流体Dとする。
蒸発器74は、膨張弁73から排出された作動流体Dを加熱して高温低圧の作動流体蒸気Aとする。蒸発器74は、例えば、熱交換器である。熱交換器の形状、種類、構造等は、特に限定されない。
第1供給ポンプ75は、蒸発器74に負荷流体Eを供給する。ここで、負荷流体Eは、例えば、水、不凍液、空気等である。
第2供給ポンプ76は、凝縮器72に流体FLを供給する。
【0179】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、請求の範囲によって制限されている。
【符号の説明】
【0180】
10…流体機械、20…回転構造体、21、21A…羽根車、22…回転軸、23…支持部材、24…羽根主板、25…羽根板、26…羽根車入口、27…羽根車出口、28…仕切部材、28P…羽根開口部、29…側板、30…ケーシング、31…シュラウド壁、32…主板側壁、33…入口、34…出口、35…第1部材収容溝、36…第2部材収容溝、37…収容部、41、60X…先端部、42…分割部、43…隙間部、50、50A、50B、50C、50D、50E、50F、50G、50H…第2部材、50AE…端面、50AF、50AS、50EF、50FF…板部材、50BE…端面、50BF…弾性部材、50BS…弾性部材、50CL…下流突起、50CU…上流突起、50DA、50FA…軸部、51…流動面積、40、40A、60A、60B、60C、60D、60E、60F、60G、60H、60I、60J…第1部材、61…突起部、62…基部、62B…底部、62C…曲面、62D…基部下流面、62F…第1基部、62K…傾斜面、62P…貫通孔、62R…窪み部、62S…第2基部、62U…基部上流面、63…第1延在部、64…第2延在部、65…収容領域、70…熱サイクルシステム、71…圧縮機、72…凝縮器、73…膨張弁、74…蒸発器、75…第1供給ポンプ、76…第2供給ポンプ、D1…第1駆動部、D2…第2駆動部、DR…下流側領域、FL…流体、FP…流路、R1…第1領域、R2…第2領域、R3…第3領域、UR…上流側領域、US…上流側、WL…内壁
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12