(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009841
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】リチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/052 20100101AFI20250109BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20250109BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20250109BHJP
H01M 10/0569 20100101ALI20250109BHJP
H01M 10/0567 20100101ALI20250109BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20250109BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M4/525
H01M4/505
H01M10/0569
H01M10/0567
H01M10/0568
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024074206
(22)【出願日】2024-05-01
(31)【優先権主張番号】10-2023-0083708
(32)【優先日】2023-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朴 相 禹
(72)【発明者】
【氏名】崔 ▲ヒョン▼ 奉
(72)【発明者】
【氏名】金 相 勳
(72)【発明者】
【氏名】朴 弘 烈
(72)【発明者】
【氏名】金 多 ▲ヒョン▼
(72)【発明者】
【氏名】金 善 大
(72)【発明者】
【氏名】楊 叡 知
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ04
5H029AJ05
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL12
5H029AL13
5H029AL18
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ18
5H050AA07
5H050AA10
5H050BA17
5H050CA08
5H050CB02
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB12
5H050CB29
5H050HA02
5H050HA18
(57)【要約】
【課題】高電圧および高温条件でもコバルトフリー(コバルト-free)リチウムニッケルマンガン系酸化物を含む正極の構造崩壊を抑制するリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】実施形態によるリチウム二次電池は正極活物質を含む正極;負極活物質を含む負極;ならびにリチウム塩、非水性有機溶媒、および添加剤を含む電解液を含み、前記正極活物質はコバルト-freeリチウムニッケルマンガン系酸化物を含み、前記非水性有機溶媒はエチレンカーボネートを5重量%以下で含み、前記添加剤はトリアルキルシリル(Trialkylsilyl)基を含むリン系化合物を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質を含む正極;
負極活物質を含む負極;ならびに
リチウム塩、非水性有機溶媒、および添加剤を含む電解液を含み、
前記正極活物質はコバルトフリー(コバルト-free)リチウムニッケルマンガン系酸化物を含み、
前記非水性有機溶媒はエチレンカーボネートを5重量%以下で含み、
前記添加剤はトリアルキルシリル(Trialkylsilyl)基を含むリン系化合物を含む、
リチウム二次電池。
【請求項2】
前記添加剤は、トリアルキルシリル基を含むホスフェイト系化合物、トリアルキルシリル基を含むホスファイト系化合物、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項3】
前記添加剤は、下記化学式1で表される化合物、下記化学式2で表される化合物、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のリチウム二次電池:
【化1】
【化2】
上記化学式1および2中、
R
1~R
6はそれぞれ独立して、同一であるか異なり、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【請求項4】
前記添加剤は、トリメチルシリルホスフェイト、トリメチルシリルホスファイト、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項5】
前記添加剤は、前記電解液総量に対して、0.1~10.0重量%で含まれる、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項6】
前記添加剤は、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、アジポニトリル(AN)、コハク酸ニトリル(SN)、1,3,6-ヘキサントリシアニド(HTCN)、プロペンスルトン(PST)、プロパンスルトン(PS)、リチウムテトラフルオロボレート(LiBF4)、リチウムジフルオロホスフェイト(LiPO2F2)、および2-フルオロビフェニル(2-FBP)のうちの少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項7】
前記非水性有機溶媒は、鎖状カーボネートのみから構成されるものである、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項8】
前記鎖状カーボネートは下記化学式3で表される、請求項7に記載のリチウム二次電池:
【化3】
上記化学式3中
R
7およびR
8はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【請求項9】
前記非水性有機溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、およびエチルメチルカーボネート(EMC)のうちの少なくとも2種である、請求項8に記載のリチウム二次電池。
【請求項10】
前記非水性有機溶媒は、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)を10:90~50:50の体積比で含むものである、請求項9に記載のリチウム二次電池。
【請求項11】
前記リチウム塩は、LiPF6、LiBF4、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(lithium difluoro(oxalate)borate:LiDFOB)、LiPO2F2、LiSbF6、LiAsF6、Li(FSO2)2N(リチウムビスフルオロスルホニルイミド;lithium bis(fluorosulfonyl)imide;LiFSI)、LiC4F9SO3、LiClO4、LiAlO2、LiAlCl4、LiN(CpF2p+1SO2)(CqF2q+1SO2)(ここで、pおよびqは1~20の整数である)、LiCl、LiI、およびLiB(C2O4)2(リチウムビスオキサラトボレート(lithium bis(oxalato) borate;LiBOB)からなる群より選択される一つまたは二つ以上を含むものである、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項12】
前記コバルト-freeリチウムニッケルマンガン系酸化物は、下記化学式4で表されるリチウム複合酸化物を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池:
[化学式4]
LiaNixMnyM1
zM2
wO2±bXc
上記化学式4中、
0.5≦a<1.8、0≦b≦0.1、0≦c≦0.1、0≦w<0.1、0.6≦x<1.0、0<y<0.4、0<z<0.1、w+x+y+z=1であり、
M1およびM2はそれぞれ独立してAl、Mg、Ti、Zr、Cr、Sr、V、B、W、Mo、Nb、Si、Ba、Ca、Ce、Cr、FeおよびNbから選択される一つ以上の元素であり、XはS、F、PおよびClから選択される一つ以上の元素である。
【請求項13】
前記化学式4は、下記化学式4-1で表される、請求項12に記載のリチウム二次電池:
[化学式4-1]
LiaNix1Mny1Alz1M2
w1O2±bXc
上記化学式4-1中、
0.5≦a<1.8、0≦b≦0.1、0≦c≦0.1、0≦w1<0.1、0.6≦x1<1.0、0<y1<0.4、0<z1<0.1、w1+x1+y1+z1=1であり、
M2はそれぞれ独立してMg、Ti、Zr、Cr、Sr、V、B、W、Mo、Nb、Si、Ba、Ca、Ce、Cr、FeおよびNbから選択される一つ以上の元素であり、XはS、F、PおよびClから選択される一つ以上の元素である。
【請求項14】
前記化学式4-1のx1は0.6≦x1≦0.79、y1は0.2≦y1≦0.39、z1は0.01≦z1<0.1である、請求項13に記載のリチウム二次電池。
【請求項15】
前記リチウム二次電池は充電上限電圧が4.35V以上である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
リチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話、ノートパソコン、電気自動車など電池を使用する電子機器の急速な普及に伴ってエネルギー密度が高くて高容量である二次電池の需要が急速に増大している。これにより、リチウム二次電池の性能向上のための研究開発が活発に行われている。
【0003】
リチウム二次電池はリチウムイオンの挿入(intercalation)および脱離(deintercalation)が可能な活物質を含む正極および負極と、電解液を含む電池であって、リチウムイオンが正極および負極で挿入/脱離される時の酸化および還元反応によって電気エネルギーを生産する。
【0004】
特に、IT機器が次第に高性能化されるにつれて高容量の電池が要求されている状況であり、電圧領域の拡張を通じて高容量化を実現することによってエネルギー密度を高めることができるが、高電圧領域では電解液が酸化されて正極性能を劣化させるという問題点がある。
【0005】
特に、正極活物質として利用されるコバルトフリー(コバルト-free)リチウムニッケルマンガン系酸化物は正極活物質組成中にコバルトを含まず、ニッケル、マンガンなどが主成分として構成された正極活物質であって、これを含む正極は経済的であり高いエネルギー密度を実現することができて次世代正極活物質として脚光を浴びている。
【0006】
しかし、コバルト-freeリチウムニッケルマンガン系酸化物を含む正極は高電圧環境で使用時、正極構造崩壊によって遷移金属溶出が起こり、これによるセル内部ガス発生および容量減少などの問題を引き起こすことがある。このような遷移金属溶出現象は高温環境で深化する傾向があり、溶出された遷移金属は負極表面に析出されて副反応を誘発することがあって、電池の抵抗増加、電池の寿命および出力特性低下の原因になる。
【0007】
これにより、高電圧および高温条件でもコバルト-freeリチウムニッケルマンガン系酸化物を含む正極の構造崩壊を抑制する技術が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一実施形態は、高電圧および高温条件でもコバルト-freeリチウムニッケルマンガン系酸化物を含む正極の構造崩壊を抑制するリチウム二次電池を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態は、正極活物質を含む正極;負極活物質を含む負極;ならびにリチウム塩、非水性有機溶媒、および添加剤を含む電解液を含み、前記正極活物質はコバルト-freeリチウムニッケルマンガン系酸化物を含み、前記非水性有機溶媒はエチレンカーボネートを5重量%以下で含み、前記添加剤はトリアルキルシリル(Trialkylsilyl)基を含むリン系化合物を含む、リチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0010】
一実施形態によるリチウム二次電池は、コバルト-freeリチウムニッケルマンガン系酸化物を含む正極を使用しながらも、高電圧および高温条件でも前記正極の構造崩壊が抑制されて、安定性および寿命特性が向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態によるリチウム二次電池を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、これは例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されず、本発明は後述の請求項の範疇によってのみ定義されるだけである。
【0013】
本明細書で特別な言及がない限り、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」あるという時、これは他の部分「の直上に」ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。
【0014】
本明細書で特別な言及がない限り、単数で表わしたものは複数も含むことができる。同時に、特別な言及がない限り、「AまたはB」は「Aを含むか、Bを含むか、AおよびBを含む」を意味することができる。
【0015】
本明細書で「これらの組み合わせ」とは、構成物の混合物、積層物、複合体、共重合体、合金、ブレンド、および反応生成物などを意味することができる。
【0016】
本明細書で「置換」とは、別途の定義がない限り、置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アミノ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアミン基、ニトロ基、置換もしくは非置換の炭素数1~40のシリル基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~10のアルキルシリル基、炭素数6~30のアリールシリル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数2~30のヘテロアリール基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~10のフルオロアルキル基、シアノ基、またはこれらの組み合わせで置換されたことを意味する。
【0017】
本発明の一例で、「置換」は、置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、ハロゲン基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~10のアルキルシリル基、炭素数6~30のアリールシリル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数2~30のヘテロアリール基、炭素数1~10のフルオロアルキル基またはシアノ基で置換されたことを意味する。また、本発明の具体的な一例で、「置換」は、置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、ハロゲン基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数1~10のフルオロアルキル基またはシアノ基で置換されたことを意味する。また、本発明の具体的な一例で、「置換」は、置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、ハロゲン基、炭素数1~5のアルキル基、炭素数6~18のアリール基、炭素数1~5のフルオロアルキル基またはシアノ基で置換されたことを意味する。また、本発明の具体的な一例で、「置換」は、置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、シアノ基、ハロゲン基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、トリフルオロメチル基またはナフチル基で置換されたことを意味する。
【0018】
(リチウム二次電池)
一実施形態は、正極活物質を含む正極;負極活物質を含む負極;ならびにリチウム塩、非水性有機溶媒、および添加剤を含む電解液を含み、前記正極活物質はコバルト-freeリチウムニッケルマンガン系酸化物を含み、前記非水性有機溶媒はエチレンカーボネートを5重量%以下で含み、前記添加剤はトリアルキルシリル(Trialkylsilyl)基を含むリン系化合物を含む、リチウム二次電池を提供する。
【0019】
一般にコバルト-freeリチウムニッケルマンガン系酸化物は構造的な不安定性が強くて、高電圧条件で遷移金属(特に、Ni)の溶出現象が発生し、リチウム二次電池の安定性および寿命が急激に増加するおそれがある。
【0020】
しかし、本発明の一実施形態によるリチウム二次電池は、コバルト-freeリチウムニッケルマンガン系酸化物を含む正極を使用しながらも、高電圧および高温条件でも前記正極の構造崩壊が抑制されて、安定性および寿命特性が向上できる。
【0021】
このような効果は、エチレンカーボネートを5重量%以下で含む非水性有機溶媒およびトリアルキルシリル(Trialkylsilyl)基を含むリン系化合物添加剤の組み合わせに起因する。
【0022】
以下、前記リチウム二次電池を構成する要素をより詳しく説明する。
【0023】
添加剤
前記添加剤は、トリアルキルシリル基を含むリン系化合物を含む。
【0024】
前記トリアルキルシリル基を含むリン系化合物は、高電圧および高温条件でコバルト-freeリチウムニッケルマンガン系酸化物からの遷移金属溶出を効果的に減少させながら正極構造崩壊を抑制して、リチウム二次電池の安定性および寿命特性を改善する。
【0025】
前記添加剤は、トリアルキルシリル基を含むホスフェイト系化合物、トリアルキルシリル基を含むホスファイト系化合物、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0026】
具体的に、前記添加剤は、下記化学式1で表される化合物、下記化学式2で表される化合物、またはこれらの組み合わせを含むことができる:
【0027】
【0028】
【0029】
上記化学式1および2中、R1~R6はそれぞれ独立して、同一であるか異なり、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【0030】
より具体的に、前記化学式1および2中、R1~R6は全てメチル基であってもよい。例えば、前記添加剤は、トリメチルシリルホスフェイト(Trimethyl phosphate、TMSPa)、トリメチルシリルホスファイト(Trimethyl phosphite、TMSPi)、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0031】
前記添加剤は、前記電解液総量に対して、0.1~10.0重量%、具体的に0.5~8.0重量%、例えば0.1~5.0重量%で含まれてもよい。この範囲で、リチウム二次電池の寿命がさらに向上するか高温保存時正極と負極から発生するガスを効果的に制御することができる。
【0032】
一方、前記添加剤は、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、アジポニトリル(AN)、コハク酸ニトリル(SN)、1,3,6-ヘキサントリシアニド(HTCN)、プロペンスルトン(PST)、プロパンスルトン(PS)、リチウムテトラフルオロボレート(LiBF4)、リチウムジフルオロホスフェイト(LiPO2F2)、および2-フルオロビフェニル(2-FBP)のうちの少なくとも1種の添加剤をさらに含むことができる。前記追加添加剤は、前記トリアルキルシリル基を含むリン系化合物と組み合わせられて上昇効果を発揮することができる。
【0033】
前記追加添加剤は前記リチウム二次電池用電解液の全体100重量%に対して0.1~5.0重量%の含量で含まれてもよく、具体的に0.1~3.0重量部、例えば0.1~1.0重量%で含まれてもよい。
【0034】
添加剤の含量が前記のような場合、被膜抵抗増加を最少化して電池性能向上に寄与できる。
【0035】
非水性有機溶媒
前記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質役割を果たす。
【0036】
前記非水性有機溶媒は、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、またはアルコール系溶媒、非プロトン性溶媒またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0037】
前記カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などを使用することができる。エステル系溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、n-プロピルアセテート、ジメチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、デカノリド(decanolide)、メバロノラクトン(mevalonolactone)、バレロラクトン(valerolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などを使用することができる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、2,5-ジメチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどを使用することができる。また、ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどを使用することができる。アルコール系溶媒としてはエチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを使用することができ、非プロトン性溶媒としてはR-CN(Rは炭素数2~20の直鎖状、分枝状、または環構造の炭化水素基であり、二重結合、芳香環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキソランなどのジオキソラン類、スルホラン(sulfolane)類などを使用することができる。
【0038】
前記非水性有機溶媒は単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0039】
具体的に、前記非水性有機溶媒は、エチレンカーボネートを5重量%以下で含むことができる。
【0040】
エチレンカーボネートの含量が前述の範囲を超過して含まれる場合には高電圧駆動時にNiの活性度が増加してNiの酸化数が4価から2価に還元される傾向が強くなり、酸化安定性が低いエチレンカーボネートは酸化分解されて結果的にNiが溶出されて負極に析出される結果が示される。
【0041】
より具体的に、前記非水性有機溶媒は鎖状(chain)カーボネートのみから構成できる。この場合、高温保存時に抵抗増加率が顕著に緩和されることによって優れた高温保存特性を実現することができる。
【0042】
本明細書で鎖状カーボネートのみから構成されるという意味は、環状カーボネートなどと混合されず鎖状カーボネートの範疇に属する有機溶媒を単独または組み合わせて含むことを意味する。
【0043】
前記鎖状カーボネートは、下記化学式3で表すことができる。
【0044】
【0045】
上記化学式3中、R7およびR8はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【0046】
具体的に、前記化学式3のR7およびR8はそれぞれ独立して置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であってもよく、例えば、前記R7およびR8はそれぞれ独立して置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキル基であってもよい。
【0047】
より具体的に、前記化学式3のR7およびR8はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換のメチル基、置換もしくは非置換のエチル基、置換もしくは非置換のn-プロピル基、置換もしくは非置換のn-ブチル基、置換もしくは非置換のn-ペンチル基、置換もしくは非置換のiso-ブチル基、置換もしくは非置換のneo-ペンチル基であってもよい。
【0048】
より一層具体的に、前記非水性有機溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、およびエチルメチルカーボネート(EMC)のうちの少なくとも2種であってもよい。
【0049】
例えば、前記非水性有機溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)およびエチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒であってもよい。
【0050】
前記非水性有機溶媒は、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)を10:90~50:50の体積比で含むことができる。
【0051】
前記非水性有機溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)を50体積%を超過して含むことが電池特性改善の面でさらに有利であり得る。
【0052】
前記非水性有機溶媒は、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)を10:90~40:60、または10:90~30:70の体積比で含むことができる。
【0053】
リチウム塩
前記リチウム塩は、非水性有機溶媒に溶解されて、電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極の間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。リチウム塩の代表的な例としては、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、LiClO4、LiAlO2、LiAlCl4、LiPO2F2、LiCl、LiI、LiN(SO3C2F5)2、Li(FSO2)2N(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、LiC4F9SO3、 LiN(CpF2p+1SO2)(CqF2q+1SO2)(ここで、pおよびqは1~20の整数である)、リチウムトリフルオロメタンスルホネート、リチウムテトラフルオロエタンスルホネート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ボレート(LiDFOB)、リチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)から選択される一つまたは二つ以上を含むことができる。
【0054】
正極活物質
前記正極活物質は、コバルト-freeリチウムニッケルマンガン系酸化物を含むことができる。
【0055】
本明細書で正極活物質としてコバルト-freeリチウムニッケルマンガン系酸化物とは、正極活物質組成中にコバルトを含まずニッケル、マンガンなどが主成分として構成された正極活物質を意味する。
【0056】
前記コバルト-freeリチウムニッケルマンガン系酸化物は、下記化学式4で表されるリチウム複合酸化物のうちの少なくとも1種を含むことができる。
【0057】
[化学式4]
LiaNixMnyM1
zM2
wO2±bXc
上記化学式4中、
0.5≦a<1.8、0≦b≦0.1、0≦c≦0.1、0≦w<0.1、0.6≦x<1.0、0<y<0.4、0<z<0.1、w+x+y+z=1であり、
M1およびM2はそれぞれ独立してAl、Mg、Ti、Zr、Cr、Sr、V、B、W、Mo、Nb、Si、Ba、Ca、Ce、Cr、FeおよびNbから選択される一つ以上の元素であり、XはS、F、PおよびClから選択される一つ以上の元素である。
【0058】
具体的に、前記化学式4は、下記化学式4-1で表すことができる。
【0059】
[化学式4-1]
LiaNix1Mny1Alz1M2
w1O2±bXc
上記化学式4-1中、
0.5≦a<1.8、0≦b≦0.1、0≦c≦0.1、0≦w1<0.1、0.6≦x1<1.0、0<y1<0.4、0<z1<0.1、w1+x1+y1+z1=1であり、
M2はそれぞれ独立してMg、Ti、Zr、Cr、Sr、V、B、W、Mo、Nb、Si、Ba、Ca、Ce、Cr、FeおよびNbから選択される一つ以上の元素であり、XはS、F、PおよびClから選択される一つ以上の元素である。
【0060】
前記化学式4-1のx1は0.6≦x1≦0.79、y1は0.2≦y1≦0.39、z1は0.01≦z1<0.1であってもよい。
【0061】
正極
リチウム二次電池用正極は、電流集電体およびこの電流集電体上に形成される正極活物質層を含むことができる。前記正極活物質層は正極活物質を含み、バインダーおよび/または導電材をさらに含むことができる。
【0062】
一例として、前記正極は、犠牲正極としての役割を果たすことができる添加剤をさらに含むことができる。
【0063】
前記正極活物質の含量は正極活物質層100重量%に対して90重量%~99.5重量%であり、前記バインダーおよび導電材の含量は正極活物質層100重量%に対してそれぞれ0.5重量%~5重量%であってもよい。
【0064】
前記バインダーは、正極活物質粒子を互いによく付着させ、また正極活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たす。バインダーの代表的な例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロリド、カルボキシル化ポリビニルクロリド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン-ブタジエンゴム、(メタ)アクリレーテッドスチレン-ブタジエンゴム、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロンなどが挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0065】
前記導電材は電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず電子伝導性材料であればいずれのものも使用可能である。導電材の例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素ナノ繊維、炭素ナノチューブなどの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などを含有し金属粉末または金属繊維形態の金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物が挙げられる。
【0066】
前記電流集電体としてはAlを使用することができるが、これに限定されるのではない。
【0067】
負極活物質
負極活物質は、リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質または遷移金属酸化物を含む。
【0068】
前記リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる物質としては、炭素系負極活物質であって、例えば、結晶質炭素、非晶質炭素またはこれらの組み合わせを含むことができる。前記結晶質炭素の例としては無定形、板状、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛が挙げられ、前記非晶質炭素の例としてはソフトカーボンまたはハードカーボン、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。
【0069】
前記リチウム金属の合金としては、リチウムとNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、AlおよびSnから選択される金属の合金を使用することができる。
【0070】
前記リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質としては、Si系負極活物質またはSn系負極活物質を使用することができる。前記Si系負極活物質は、シリコン、シリコン-炭素複合体、SiOx(0<x<2)、Si-Q合金(前記Qはアルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素(Siを除く)、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせから選択される)、またはこれらの組み合わせであってもよい。前記Sn系負極活物質としては、Sn、SnO2、Sn系合金またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0071】
前記シリコン-炭素複合体は、シリコンと非晶質炭素の複合体であってもよい。一実施形態によれば、前記シリコン-炭素複合体は、シリコン粒子および前記シリコン粒子の表面に非晶質炭素がコーティングされた形態であってもよい。例えば、シリコン1次粒子が造粒された2次粒子(コア)およびこの2次粒子表面に位置する非晶質炭素コーティング層(シェル)を含むことができる。前記非晶質炭素は前記シリコン1次粒子の間にも位置して、例えば、シリコン1次粒子が非晶質炭素でコーティングできる。前記2次粒子は、非晶質炭素マトリックスに分散して存在してもよい。
【0072】
前記シリコン-炭素複合体は、結晶質炭素をさらに含んでもよい。例えば、前記シリコン-炭素複合体は、結晶質炭素およびシリコン粒子を含むコアおよびこのコア表面に位置する非晶質炭素コーティング層を含むことができる。
【0073】
前記Si系負極活物質またはSn系負極活物質は炭素系負極活物質と混合して使用することができる。
【0074】
負極
リチウム二次電池用負極は、集電体、およびこの集電体上に位置する負極活物質層を含む。前記負極活物質層は負極活物質を含み、バインダーおよび/または導電材をさらに含むことができる。
【0075】
例えば、負極活物質層は、負極活物質を90重量%~99重量%、バインダーを0.5重量%~5重量%、導電材を0重量%~5重量%で含むことができる。
【0076】
前記バインダーは、負極活物質粒子を互いによく付着させ、また負極活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たす。前記バインダーとしては、非水系バインダー、水系バインダー、乾式バインダーまたはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0077】
前記非水系バインダーとしては、ポリビニルクロリド、カルボキシル化されたポリビニルクロリド、ポリビニルフルオライド、エチレンプロピレン共重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリイミドまたはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0078】
前記水系バインダーは、スチレン-ブタジエンゴム、(メタ)アクリレーテッドスチレンブタジエンゴム、(メタ)アクリロニトリル-ブタジエンゴム、(メタ)アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリエピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、エチレンプロピレンジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ラテックス、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、およびこれらの組み合わせから選択されるものであってもよい。
【0079】
前記負極バインダーとして水系バインダーを使用する場合、粘性を付与することができるセルロース系化合物をさらに含むことができる。このセルロース系化合物としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、またはこれらのアルカリ金属塩などを1種以上混合して使用することができる。前記アルカリ金属としてはNa、KまたはLiを使用することができる。
【0080】
前記乾式バインダーは繊維化が可能な高分子物質であって、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリエチレンオキシドまたはこれらの組み合わせであってもよい。
【0081】
前記導電材は電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず電子伝導性材料であればいずれのものも使用可能である。具体的な例としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素ナノ繊維、炭素ナノチューブなどの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などを含み金属粉末または金属繊維形態の金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物が挙げられる。
【0082】
前記負極集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材、およびこれらの組み合わせから選択されるものを使用することができる。
【0083】
セパレータ
リチウム二次電池の種類によって正極と負極の間にセパレータが存在することもある。このようなセパレータとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオライドまたはこれらの2層以上の多層膜が使用でき、ポリエチレン/ポリプロピレンの2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレンの3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層セパレータなどのような混合多層膜が使用できるのはもちろんである。
【0084】
前記セパレータは多孔性基材、そして多孔性基材の一面または両面に位置する有機物、無機物またはこれらの組み合わせを含むコーティング層を含むことができる。
【0085】
前記多孔性基材は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、サイクリックオレフィンコポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ガラス繊維、テフロン、およびポリテトラフルオロエチレンから選択されたいずれか一つの高分子、またはこれらのうちの2種以上の共重合体または混合物から形成された高分子膜であってもよい。
【0086】
前記有機物は、ポリビニリデンフルオライド系重合体または(メタ)アクリル系重合体を含むことができる。
【0087】
前記無機物は、Al2O3、SiO2、TiO2、SnO2、CeO2、MgO、NiO、CaO、GaO、ZnO、ZrO2、Y2O3、SrTiO3、BaTiO3、Mg(OH)2、べーマイト(boehmite)およびこれらの組み合わせから選択される無機粒子を含むことができるが、これに限定されるのではない。
【0088】
前記有機物と無機物は一つのコーティング層に混合されて存在するか、有機物を含むコーティング層と無機物を含むコーティング層が積層された形態で存在してもよい。
【0089】
リチウム二次電池
図1に本発明の一実施形態によるリチウム二次電池の分解斜視図を示した。
図1を参照すれば、リチウム二次電池100は、正極10と負極20の間にセパレータ30が介された電極組立体40、そして電極組立体40が内蔵されるケース50を含むことができる。正極10、負極20、およびセパレータ30は電解液(図示せず)で含浸されていてもよい。リチウム二次電池100は、
図1のように、ケース50を密封する密封部材60を含むことができる。
【0090】
一実施形態によるリチウム二次電池は円筒型、角型、パウチ型など多様な形態の電池に適用することができ、本発明がこれに制限されるわけではない。
【0091】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池は自動車、携帯電話機、および/または多様な形態の電気装置などに適用することができ、本発明がこれに制限されるわけではない。
【0092】
充電上限電圧
前記リチウム二次電池は、充電上限電圧が4.35V以上、具体的に4.35V~4.55V、例えば4.35V~4.75Vであってもよい。
【0093】
以下、本発明の実施例および比較例を記載する。しかし、下記の実施例は本発明の一実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるのではない。
【実施例0094】
(製造例/製造比較例)
製造例1
エチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)が20:80の体積比で混合された非水性有機溶媒に、1.5Mの濃度でLiPF6を溶解させ、0.1重量%のトリメチルシリルホスフェイト(Trimethyl phosphate、TMSPa)を添加して、電解液を製造した。
【0095】
但し、前記電解液組成で、「重量%」は添加剤を含む電解液全体(リチウム塩+非水性有機溶媒+添加剤)重量に対する添加剤の相対的な重量を意味する。以下でも同様である。
【0096】
製造例2
1.0重量%のトリメチルシリルホスフェイトを添加したことを除いては前記実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0097】
製造例3
5.0重量%のトリメチルシリルホスフェイトを添加したことを除いては前記実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0098】
製造例4
0.1重量%のトリメチルシリルホスファイト(Trimethyl phosphite、TMSPi)を添加したことを除いては前記実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0099】
製造例5
1.0重量%のトリメチルシリルホスファイトを添加したことを除いては前記実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0100】
製造例6
5.0重量%のトリメチルシリルホスファイトを添加したことを除いては前記実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0101】
製造比較例1
エチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)が20:80の体積比で混合された非水性有機溶媒に、1.5Mの濃度でLiPF6を溶解させ、20重量%のエチレンカーボネート(Ethylene Carbonate、EC)を添加して、電解液を製造した。
【0102】
製造比較例2
エチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)が20:80の体積比で混合された非水性有機溶媒に、1.5Mの濃度でLiPF6を溶解させて、電解液を製造した。
【0103】
(正極活物質としてLiNi0.75Mn0.23Al0.02O2を使用した例)
実施例1-1
正極活物質としてLiNi0.75Mn0.23Al0.02O2、バインダーとしてポリビニリデンフルオライド、および導電材としてアセチレンブラックをそれぞれ96:3:1の重量比で混合して、N-メチルピロリドンに分散させて正極活物質スラリーを製造した。
【0104】
前記正極活物質スラリーを15μm厚さのアルミ箔の上にコーティングし、100℃で乾燥した後、圧延(press)して正極を製造した。
【0105】
負極活物質として人造黒鉛とSi-C複合体が93:7の重量比で混合された混合物を使用し、負極活物質とスチレン-ブタジエンゴムバインダーおよびカルボキシメチルセルロースをそれぞれ98:1:1の重量比で混合して、蒸留水に分散させて負極活物質スラリーを製造した。
【0106】
前記Si-C複合体は、人造黒鉛およびシリコン粒子を含むコアおよび前記コアの表面に石炭系ピッチがコーティングされたものを使用した。
【0107】
前記負極活物質スラリーを10μm厚さの銅箔の上にコーティングし、100℃で乾燥した後、圧延(press)して負極を製造した。
【0108】
前記製造された正極および負極と厚さ10μmのポリエチレン材質のセパレータを組み立てて電極組立体を製造し製造例1の電解液を注入してリチウム二次電池を製造した。
【0109】
実施例1-2
製造例2の電解液を使用したことを除いては前記実施例1-1と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0110】
実施例1-3
製造例3の電解液を使用したことを除いては前記実施例1-1と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0111】
実施例1-4
製造例4の電解液を使用したことを除いては前記実施例1-1と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0112】
実施例1-5
製造例5の電解液を使用したことを除いては前記実施例1-1と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0113】
実施例1-6
製造例6の電解液を使用したことを除いては前記実施例1-1と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0114】
比較例1-1
比較製造例1の電解液を使用したことを除いては前記実施例1-1と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0115】
比較例1-2
比較製造例2の電解液を使用したことを除いては前記実施例1-1と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0116】
(正極活物質としてLiCoO2を使用した例)
比較例2-1
正極活物質としてLiCoO2を使用したことを除いては前記比較例1-1と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0117】
比較例2-2
正極活物質としてLiCoO2を使用したことを除いては前記比較例1-2と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0118】
比較例2-3
正極活物質としてLiCoO2を使用したことを除いては前記実施例1-1と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0119】
比較例2-4
正極活物質としてLiCoO2を使用したことを除いては前記実施例1-2と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0120】
比較例2-5
正極活物質としてLiCoO2を使用したことを除いては前記実施例1-3と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0121】
比較例2-6
正極活物質としてLiCoO2を使用したことを除いては前記実施例1-4と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0122】
比較例2-7
正極活物質としてLiCoO2を使用したことを除いては前記実施例1-5と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0123】
比較例2-8
正極活物質としてLiCoO2を使用したことを除いては前記実施例1-6と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0124】
(正極活物質としてLiNi0.94Co0.03Al0.03O2を使用した比較例)
比較例3-1
正極活物質としてLiNi0.94Co0.03Al0.03O2を使用したことを除いては前記比較例1-1と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0125】
比較例3-2
正極活物質としてLiNi0.94Co0.03Al0.03O2を使用したことを除いては前記比較例1-2と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0126】
比較例3-3
正極活物質としてLiNi0.94Co0.03Al0.03O2を使用したことを除いては前記実施例1-1と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0127】
比較例3-4
正極活物質としてLiNi0.94Co0.03Al0.03O2を使用したことを除いては前記実施例1-2と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0128】
比較例3-5
正極活物質としてLiNi0.94Co0.03Al0.03O2を使用したことを除いては前記実施例1-3と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0129】
比較例3-6
正極活物質としてLiNi0.94Co0.03Al0.03O2を使用したことを除いては前記実施例1-4と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0130】
比較例3-7
正極活物質としてLiNi0.94Co0.03Al0.03O2を使用したことを除いては前記実施例1-5と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0131】
比較例3-8
正極活物質としてLiNi0.94Co0.03Al0.03O2を使用したことを除いては前記実施例1-6と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0132】
(評価)
評価1:高温保存特性評価
実施例および比較例のリチウム二次電池に対して△V/△I(電圧の変化/電流の変化)値で初期直流抵抗(DCIR)を測定した。ついで、電池内部の最大エネルギー状態を満充電状態(SOC100%)とし、この状態で高温(60℃)で30日間保管した後、直流抵抗を測定して、DCIR増加率(%)を下記式1によって計算した。その結果を下記表1に示した:
[式1]
DCIR増加率={(30日後DCIR-初期DCIR )/初期DCIR}×100%
【0133】
【0134】
評価2:高温保存後ガス発生量測定
実施例および比較例のリチウム二次電池に対して、60℃で10日または30日間放置した後、10日または30日目のガス発生量(ml)をリファイナリーガス分析器(Refinery Gas Analysis、RGA)を用いて測定してその結果を下記表2に示した。
【0135】
【0136】
評価3:高温寿命特性評価
実施例および比較例のリチウム二次電池に対して0.2Cで1回充放電を実施して充放電容量を測定した。
【0137】
また、実施例および比較例のリチウム二次電池を充電上限電圧(4.35Vまたは4.45V)で充電を実施した後、0.2Cで2.5Vまで定電流条件で放電してそれぞれ充電電圧別初期放電容量を測定した。
【0138】
再び0.33C充電(CC/CV、4.35Vまたは4.45V、0.025C cut-off)/1.0C放電(CC、2.5V cut-off)、45℃条件で200サイクル充放電を実施しながら放電容量を測定した。前記初期放電容量に対する放電容量比を下記表3に容量維持率と示した。
【0139】
【0140】
表1によれば、コバルト-freeリチウムニッケルマンガン系酸化物正極活物質を使用する時、コバルトを含む正極活物質を使用する場合に対比して、リチウム二次電池のDCIR増加率が減少する傾向がある。
【0141】
さらに、表2および3によれば、コバルト-freeリチウムニッケルマンガン系酸化物正極活物質を使用する場合においても、リチウム塩、非水性有機溶媒、トリアルキルシリル(Trialkylsilyl)基を含むリン系化合物を含む添加剤を含む電解液と共に使用する時、リチウム二次電池の安定性および寿命特性が全て改善される。
【0142】
加えて、実施例においても前記添加剤の含量によってDCIR増加率、高温保存特性、および高温充放電特性が変わる。これを考慮して、前記添加剤の含量を適切に制御することができる。
【0143】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属するのは当然である。