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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025098489
(43)【公開日】2025-07-02
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20250625BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20250625BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20250625BHJP
   C23C 16/46 20060101ALI20250625BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/318 B
C23C16/458
C23C16/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214641
(22)【出願日】2023-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】本間 学
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030GA02
4K030KA24
5F045AA06
5F045AB33
5F045AC12
5F045AC15
5F045AC16
5F045AC17
5F045DP15
5F045DP27
5F045DQ12
5F045EB03
5F045EB09
5F045EB10
5F045EE04
5F045EE14
5F045EF03
5F045EG02
5F045EK07
5F045EK21
5F045EM07
5F045EM09
5F045EM10
5F045EN04
5F058BA20
5F058BC08
5F058BC09
5F058BF04
5F058BF37
5F058BG01
5F058BG02
5F058BG03
5F058BG04
(57)【要約】
【課題】基板温度の面内分布を調整できる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様による基板処理装置は、真空容器と、前記真空容器内に設けられ、基板を載置する載置面が上面に形成された回転テーブルと、前記回転テーブルの下方に設けられ、輻射により前記基板を加熱する加熱部と、前記回転テーブルと前記基板との間の隙間の熱伝導率の面内分布を調整する熱伝導率調整部と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器と、
前記真空容器内に設けられ、基板を載置する載置面が上面に形成された回転テーブルと、
前記回転テーブルの下方に設けられ、輻射により前記基板を加熱する加熱部と、
前記回転テーブルと前記基板との間の隙間の熱伝導率の面内分布を調整する熱伝導率調整部と、
を備える、基板処理装置。
【請求項2】
前記熱伝導率調整部は、
前記載置面に設けられる第1吸引溝と
前記第1吸引溝に連通する第1吸引孔と、
前記第1吸引孔に接続され、バラストガスが供給される第1吸引流路と、
を有し、
前記熱伝導率調整部は、前記第1吸引流路に供給される前記バラストガスの流量を制御することで、前記隙間の熱伝導率の面内分布を調整する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記熱伝導率調整部は、
前記載置面の前記第1吸引溝とは異なる位置に設けられる第2吸引溝と、
前記第2吸引溝に連通する第2吸引孔と、
前記第2吸引孔に接続され、前記バラストガスが供給される第2吸引流路と、
を有し、
前記熱伝導率調整部は、前記第1吸引流路に供給される前記バラストガスの流量と、前記第2吸引流路に供給される前記バラストガスの流量を制御することで、前記隙間の熱伝導率の面内分布を調整する、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記熱伝導率調整部は、
前記載置面に設けられる第1吸引溝と
前記第1吸引溝に連通する第1吸引孔と、
前記第1吸引孔に接続され、バラストガスが供給される第1吸引流路と、
を有し、
前記熱伝導率調整部は、前記第1吸引流路に供給される前記バラストガスの種類を変更することで、前記隙間の熱伝導率の面内分布を調整する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記熱伝導率調整部は、
前記載置面の前記第1吸引溝とは異なる位置に設けられる第2吸引溝と
前記第2吸引溝に連通する第2吸引孔と、
前記第2吸引孔に接続され、前記バラストガスが供給される第2吸引流路と、
を有し、
前記熱伝導率調整部は、前記第1吸引流路に供給される前記バラストガス及び前記第2吸引流路に供給される前記バラストガスの少なくとも一方の種類を変更することで、前記隙間の熱伝導率の面内分布を調整する、
請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1吸引溝と前記第2吸引溝とは、前記載置面の中心軸線を中心とする同心円上に設けられる、
請求項3又は5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記隙間の圧力は、前記基板の上面側の圧力よりも低い、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記載置面の中心は、前記回転テーブルの回転軸に対して水平方向にずれた位置に設けられる、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記載置面は、前記回転テーブルの周方向に沿って複数設けられる、
請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記加熱部は、複数のヒータを含み、
前記複数のヒータは、前記回転テーブルの回転軸を中心とする同心円上に設けられる、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記回転テーブルは、石英により形成される、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記熱伝導率調整部は、前記載置面に載置された前記基板の温度の面内分布に基づいて、前記隙間の熱伝導率の面内分布を調整する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
真空容器内に設けられる回転テーブルの上面に形成された載置面に基板を載置することと、
前記載置面に前記基板が載置された前記回転テーブルを回転させることと、
前記回転テーブルの下方に設けられた加熱部が輻射により前記基板を加熱することと、
前記回転テーブルと前記基板との間の隙間の熱伝導率の面内分布を調整することと、
を有する、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の基板を載置した回転テーブルを回転させることで各基板を公転させ、回転テーブルの半径方向に沿うように配置される処理ガスの供給領域を繰り返し通過させることで、基板に各種の膜を成膜する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の装置は、輻射により複数の基板を加熱する加熱部と、加熱部から複数の基板への輻射量を調整する輻射調整部とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-125502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板温度の面内分布を調整できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理装置は、真空容器と、前記真空容器内に設けられ、基板を載置する載置面が上面に形成された回転テーブルと、前記回転テーブルの下方に設けられ、輻射により前記基板を加熱する加熱部と、前記回転テーブルと前記基板との間の隙間の熱伝導率の面内分布を調整する熱伝導率調整部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板温度の面内分布を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る基板処理装置の構成例を示す断面図である。
図2図1の基板処理装置の真空容器内の構成を示す斜視図である。
図3図1の基板処理装置の真空容器内の構成を示す平面図である。
図4図1の基板処理装置の真空容器内に設けられる回転テーブルの同心円に沿った当該真空容器の断面図である。
図5図1の基板処理装置の別の断面図である。
図6】ヒータユニットの配置の一例を示す図である。
図7】熱伝導率調整部を示す断面図である。
図8】熱伝導率調整部を示す平面図である。
図9】基板温度の面内分布を調整する方法を示す図である。
図10】圧力と熱伝導率との関係を示す図である。
図11】変形例に係る熱伝導率調整部を示す断面図である。
図12】基板温度の面内分布を調整する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔基板処理装置〕
実施形態に係る基板処理装置について説明する。図1は、実施形態に係る基板処理装置の構成例を示す断面図である。図2は、図1の基板処理装置の真空容器1内の構成を示す斜視図である。図3は、図1の基板処理装置の真空容器1内の構成を示す平面図である。図2及び図3において、天板11の図示を省略する。
【0010】
図1から図3を参照すると、基板処理装置は、ほぼ円形の平面形状を有する扁平な真空容器1と、真空容器1内に設けられ、真空容器1の中心に回転中心を有する回転テーブル2と、を備えている。
【0011】
真空容器1は、有底の円筒形状を有する容器本体12と、容器本体12の上面に対して、例えばOリング等のシール部材13(図1)を介して気密に着脱可能に配置される天板11とを有している。
【0012】
回転テーブル2は、例えば石英により形成されている。回転テーブル2は、中心部にて円筒形状のコア部21に固定されている。コア部21は、鉛直方向に伸びる回転軸22の上端に固定されている。回転軸22は真空容器1の底部14を貫通し、その下端が回転軸22(図1)を鉛直軸回りに回転させる駆動部23に取り付けられている。回転軸22及び駆動部23は、上面が開口した筒状のケース体20内に収納されている。ケース体20はその上面に設けられたフランジ部分が真空容器1の底部14の下面に気密に取り付けられており、ケース体20の内部雰囲気と外部雰囲気との気密状態が維持されている。
【0013】
回転テーブル2の上面には、図2及び図3に示されるように回転方向(周方向)に沿って複数枚(図示の例では6枚)の基板Wを載置するための円形状の凹部24が設けられている。基板Wは、例えば半導体ウエハである。図3には便宜上1個の凹部24だけに基板Wを示す。各凹部24は、回転テーブル2の回転軸22に対して水平方向にずれた位置に設けられる。各凹部24は、基板Wの直径よりも僅かに例えば4mm大きい内径と、基板Wの厚さにほぼ等しい深さとを有している。したがって、基板Wが凹部24に収容されると、基板Wの表面と回転テーブル2の表面(基板Wが載置されない領域)とが同じ高さになる。各凹部24の底面は、基板Wを載置する載置面2a(図7)となる。凹部24の底面には、基板Wの裏面を支えて基板Wを昇降させるための例えば3本の昇降ピンが貫通する貫通孔(いずれも図示せず)が形成されている。
【0014】
図2及び図3に示されるように、回転テーブル2の上方には、例えば石英からなる反応ガスノズル31、32及び分離ガスノズル41、42が真空容器1の周方向(図3の矢印Aで示される回転テーブル2の回転方向)に互いに間隔をおいて配置されている。図示の例では、後述の搬送口15から時計回り(回転テーブル2の回転方向)に、分離ガスノズル41、反応ガスノズル31、分離ガスノズル42、及び反応ガスノズル32がこの順に配列されている。これらの反応ガスノズル31、32及び分離ガスノズル41、42の基端部であるガス導入ポート31a、32a、41a、42a(図3)は、容器本体12の外周壁に固定されている。そして、反応ガスノズル31、32及び分離ガスノズル41、42は、真空容器1の外周壁から真空容器1内に導入され、容器本体12の半径方向に沿って回転テーブル2に対して水平に伸びるように取り付けられる。
【0015】
反応ガスノズル31は、配管及び流量制御器等(図示せず)を介して、原料ガスの供給源(図示せず)に接続されている。原料ガスとしては、例えばシリコン含有ガス、金属含有ガスを利用できる。
【0016】
反応ガスノズル32は、配管及び流量制御器等(図示せず)を介して、窒化ガスの供給源(図示せず)に接続されている。窒化ガスとしては、例えばアンモニア(NH)ガスを利用できる。
【0017】
分離ガスノズル41、42は、いずれも配管及び流量制御バルブ等(図示せず)を介して、分離ガスの供給源(図示せず)に接続されている。分離ガスとしては、例えばアルゴン(Ar)ガス、窒素(N)ガスを利用できる。
【0018】
反応ガスノズル31、32には、回転テーブル2に向かって開口する複数の吐出孔31h、32h(図4)が、反応ガスノズル31、32の長さ方向に沿って、例えば10mmの間隔で配列されている。反応ガスノズル31の下方領域は、原料ガスを基板Wに吸着させるための原料ガス吸着領域P1となる。反応ガスノズル32の下方領域は、原料ガス吸着領域P1において基板Wに吸着された原料ガスを窒化させる窒化ガス供給領域P2となる。
【0019】
図2及び図3を参照すると、真空容器1内には2つの凸状部4が設けられている。凸状部4は、分離ガスノズル41、42と共に分離領域Dを構成するため、後述のとおり、回転テーブル2に向かって突出するように天板11の裏面に取り付けられている。また、凸状部4は、頂部が円弧状に切断された扇型の平面形状を有し、実施形態においては、内円弧が突出部5(後述)に連結し、外円弧が、真空容器1の容器本体12の内周面に沿うように配置されている。
【0020】
図4は、反応ガスノズル31から反応ガスノズル32まで回転テーブル2の同心円に沿った真空容器1の断面を示している。図4に示されるように、天板11の裏面に凸状部4が取り付けられている。このため、真空容器1内には、凸状部4の下面である平坦な低い天井面(第1の天井面44)と、第1の天井面44の周方向両側に位置する、第1の天井面44よりも高い天井面(第2の天井面45)とが存在する。第1の天井面44は、頂部が円弧状に切断された扇型の平面形状を有している。また、図示のとおり、凸状部4には周方向中央において、半径方向に伸びるように形成された溝部43が形成され、分離ガスノズル42が溝部43内に収容されている。もう一つの凸状部4にも同様に溝部43が形成され、溝部43に分離ガスノズル41が収容されている。また、第2の天井面45の下方の空間に反応ガスノズル31、32が夫々設けられている。これらの反応ガスノズル31、32は、第2の天井面45から離間して基板Wの近傍に設けられている。図4に示されるように、凸状部4の右側の第2の天井面45の下方の空間481に反応ガスノズル31が設けられ、左側の第2の天井面45の下方の空間482に反応ガスノズル32が設けられている。
【0021】
また、凸状部4の溝部43に収容される分離ガスノズル42には、回転テーブル2に向かって開口する複数の吐出孔42h(図4参照)が、分離ガスノズル42の長さ方向に沿って、例えば10mmの間隔で配列されている。また、もう一つの凸状部4の溝部43に収容される分離ガスノズル41にも同様に、回転テーブル2に向かって開口する複数の吐出孔41hが、分離ガスノズル41の長さ方向に沿って、例えば10mmの間隔で配列されている。
【0022】
第1の天井面44は、狭い空間である分離空間Hを回転テーブル2に対して形成する。分離ガスノズル42の吐出孔42hからArガスが供給されると、Arガスは分離空間Hを通して空間481、482へ向かって流れる。このとき、分離空間Hの容積は空間481、482の容積よりも小さいため、Arガスにより分離空間Hの圧力を空間481、482の圧力に比べて高くできる。すなわち、空間481、482の間に圧力の高い分離空間Hが形成される。また、分離空間Hから空間481、482へ流れ出るArガスが、原料ガス吸着領域P1からの原料ガスと、窒化ガス供給領域P2からの窒化ガスとに対するカウンターフローとして働く。したがって、原料ガス吸着領域P1からの原料ガスと、窒化ガス供給領域P2からの窒化ガスとが分離空間Hにより分離される。よって、真空容器1内において原料ガスと窒化ガスとが混合し、反応することが抑制される。
【0023】
回転テーブル2の上面に対する第1の天井面44の高さh1は、成膜の際の真空容器1内の圧力、回転テーブル2の回転速度、分離ガス(Arガス)の流量等を考慮し、分離空間Hの圧力を空間481、482の圧力に比べて高くするのに適した高さに設定される。
【0024】
一方、天板11の下面には、回転テーブル2を固定するコア部21の外周を囲む突出部5(図2及び図3)が設けられている。突出部5は、実施形態においては、凸状部4における回転中心の側の部位と連続しており、その下面が第1の天井面44と同じ高さに形成されている。
【0025】
先に参照した図1は、図3のI-I'線に沿った断面図であり、第2の天井面45が設けられている領域を示している。一方、図5は、第1の天井面44が設けられている領域を示す断面図である。図5に示されるように、扇型の凸状部4の周縁(真空容器1の外縁側の部位)には、回転テーブル2の外端面に対向するようにL字型に屈曲する屈曲部46が形成されている。屈曲部46は、凸状部4と同様に、分離領域Dの両側から反応ガスが侵入することを抑制して、原料ガスと窒化ガスとの混合を抑制する。扇型の凸状部4は天板11に設けられ、天板11が容器本体12から取り外せるようになっていることから、屈曲部46の外周面と容器本体12との間には僅かに隙間がある。屈曲部46の内周面と回転テーブル2の外端面との隙間、及び屈曲部46の外周面と容器本体12との隙間は、例えば回転テーブル2の上面に対する第1の天井面44の高さと同様の寸法に設定されている。
【0026】
容器本体12の内周壁は、分離領域Dにおいては、屈曲部46の外周面と接近して垂直面に形成されている(図5)が、分離領域D以外の部位においては、例えば回転テーブル2の外端面と対向する部位から底部14に亘って外方に窪んでいる(図1)。以下、説明の便宜上、概ね矩形の断面形状を有する窪んだ部分を排気領域Eと記す。具体的には、原料ガス吸着領域P1に連通する排気領域を第1の排気領域E1と記し、窒化ガス供給領域P2に連通する領域を第2の排気領域E2と記す。これらの第1の排気領域E1及び第2の排気領域E2の底部には、図1から図3に示されるように、夫々、第1の排気口61及び第2の排気口62が形成されている。第1の排気口61及び第2の排気口62は、図1に示されるように各々排気管63を介して真空排気部である例えば真空ポンプ64に接続されている。また、排気管63には圧力制御器65が設けられ、真空容器1内の圧力を調整可能に構成されている。
【0027】
回転テーブル2と真空容器1の底部14との間の空間には、図1及び図5に示されるように加熱部であるヒータユニット7が設けられている。ヒータユニット7は、輻射により、回転テーブル2上の基板Wを、プロセスレシピで決められた温度に加熱する。
【0028】
図6は、ヒータユニット7の配置の一例を示す図である。図6は、回転テーブル2の上面に垂直な方向から見たときの、回転テーブル2に対するヒータユニット7の位置を示す平面図である。図6に示されるように、ヒータユニット7は、複数(例えば4個)のヒータ111、112、113、114を有する。複数のヒータ111、112、113、114は、回転テーブル2の回転軸22を中心とする同心円上に設けられる。複数のヒータ111、112、113、114は、回転テーブル2の中心側から外周側に向けてこの順に設けられる。複数のヒータ111、112、113、114は、例えば互いに独立して出力が制御される。
【0029】
回転テーブル2の周縁付近の下方には、円環状のカバー部材71が設けられている(図5)。カバー部材71は、回転テーブル2の上方空間から第1の排気領域E1及び第2の排気領域E2に至るまでの雰囲気とヒータユニット7が置かれている雰囲気とを区画して回転テーブル2の下方領域へのガスの侵入を抑制する。カバー部材71は、回転テーブル2の外縁及び外縁よりも外周側を下方から臨むように設けられた内側部材71aと、内側部材71aと真空容器1の内周面との間に設けられた外側部材71bと、を備えている。外側部材71bは、分離領域Dにおいて凸状部4の外縁に形成された屈曲部46の下方にて、屈曲部46と近接して設けられている。内側部材71aは、回転テーブル2の外縁下方(及び外縁よりも僅かに外側の部分の下方)において、ヒータユニット7を全周に亘って取り囲んでいる。
【0030】
ヒータユニット7が配置されている空間よりも回転中心の側の部位における底部14は、回転テーブル2の下面の中心部付近におけるコア部21に接近するように上方に突出して突出部12aをなしている。突出部12aとコア部21との間は狭い空間になっており、また底部14を貫通する回転軸22の貫通孔の内周面と回転軸22との隙間が狭くなっていて、これら狭い空間はケース体20に連通している。そしてケース体20にはパージガスであるArガスを狭い空間内に供給してパージするためのパージガス供給管72が設けられている。また真空容器1の底部14には、ヒータユニット7の下方において周方向に所定の角度間隔で、ヒータユニット7の配置空間をパージするための複数のパージガス供給管73が設けられている(図5には一つのパージガス供給管73を示す)。また、ヒータユニット7と回転テーブル2との間には、ヒータユニット7が設けられた領域へのガスの侵入を抑えるために、外側部材71bの内周壁(内側部材71aの上面)から突出部12aの上端との間を周方向に亘って覆う蓋部材7aが設けられている。蓋部材7aは例えば石英により形成されている。
【0031】
また、真空容器1の天板11の中心部には分離ガス供給管51が接続されていて、天板11とコア部21との間の空間52に分離ガスであるArガスを供給するように構成されている。空間52に供給された分離ガスは、突出部5と回転テーブル2との狭い隙間50を介して回転テーブル2のウエハ載置領域の側の表面に沿って周縁に向けて吐出される。隙間50は分離ガスにより空間481、482よりも高い圧力に維持され得る。したがって、隙間50により、原料ガス吸着領域P1に供給される原料ガスと窒化ガス供給領域P2に供給される窒化ガスとが、中心領域Cを通って混合することが抑制される。すなわち、隙間50(又は中心領域C)は分離空間H(又は分離領域D)と同様に機能する。
【0032】
さらに、真空容器1の側壁には、図2及び図3に示されるように、外部の搬送アーム10と回転テーブル2との間で基板Wの受け渡しを行うための搬送口15が形成されている。搬送口15は、図示しないゲートバルブにより開閉される。回転テーブル2の下方には、基板Wの受け渡し位置に対応する部位に、凹部24を貫通して基板Wを裏面から持ち上げるための受け渡し用の昇降ピン及びその昇降機構(いずれも図示せず)が設けられている。
【0033】
また、基板処理装置は、回転テーブル2と基板Wとの間の隙間の熱伝導率の面内分布を調整する熱伝導率調整部90を備える。熱伝導率調整部90については後述する。
【0034】
また、基板処理装置には、図1に示されるように、装置全体の動作のコントロールを行うためのコンピュータからなる制御部100が設けられている。制御部100のメモリ内には、制御部100の制御の下に、後述する成膜方法を基板処理装置に実施させるプログラムが格納されている。プログラムは、後述の成膜方法を実行するようにステップ群が組まれている。プログラムは、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスク等の媒体102に記憶されており、所定の読み取り装置により記憶部101へ読み込まれ、制御部100内にインストールされる。
【0035】
〔熱伝導率調整部〕
図7及び図8を参照し、熱伝導率調整部90について説明する。図7は、熱伝導率調整部90を示す断面図である。図8は、熱伝導率調整部90を示す平面図である。
【0036】
熱伝導率調整部90は、回転テーブル2の載置面2aに載置された基板Wの温度の面内分布に基づいて、載置面2aに載置された基板Wの下面側、すなわち回転テーブル2と基板Wとの間の隙間の熱伝導率の面内分布を調整する。例えば、載置面2aに基板Wが載置され、該基板Wがヒータユニット7により加熱された状態で、熱伝導率調整部90は、載置面2aに載置された基板Wの温度の面内分布に基づいて、回転テーブル2と基板Wとの間の隙間の熱伝導率の面内分布を調整する。熱伝導率調整部90は、回転テーブル2に載置される6枚の基板Wの各々に対応して設けられる。以下、6枚の基板Wのうちの1枚の基板Wに対応して設けられる熱伝導率調整部90について説明するが、残りの5枚の基板Wの各々に対応して設けられる熱伝導率調整部90についても同様であってよい。
【0037】
図7に示されるように、熱伝導率調整部90は、吸引溝91a、91b、91cと、吸引孔92a、92b、92cと、吸引流路93a、93b、93cと、開閉弁94a、94b、94cと、第1バラスト流路95a、95b、95cと、第1バラスト源96a、96b、96cと、開閉弁97a、97b、97cと、圧力制御弁98a、98b、98cと、排気装置99と、を有する。
【0038】
吸引溝91a、91b、91cは、回転テーブル2の上面に形成された載置面2aに設けられる。吸引溝91a、91b、91cは、載置面2aの中心軸線C1を中心とする同心円上に設けられる。吸引溝91a、91b、91cは、載置面2aの中心軸線C1から凹部24の外周側に向けてこの順に設けられる。
【0039】
吸引孔92a、92b、92cは、回転テーブル2内に設けられる。各吸引孔92a、92b、92cは、回転テーブル2の厚さ方向に沿って延び、回転テーブル2を貫通する。吸引孔92aは、上端が吸引溝91aと連通する。吸引孔92aは、例えば凹部24の周方向に沿って2個設けられる。2個の吸引孔92aは、載置面2aの中心軸線C1を中心とする同一円周上に設けられる。吸引孔92bは、上端が吸引溝91bと連通する。吸引孔92bは、例えば凹部24の周方向に沿って2個設けられる。2個の吸引孔92bは、載置面2aの中心軸線C1を中心とする同一円周上に設けられる。吸引孔92cは、上端が吸引溝91cと連通する。吸引孔92cは、例えば凹部24の周方向に沿って2個設けられる。2個の吸引孔92cは、載置面2aの中心軸線C1を中心とする同一円周上に設けられる。各吸引孔92a、92b、92cは、1個であってもよく、3個以上であってもよい。
【0040】
吸引流路93aは、吸引孔92aと排気装置99とを接続する。吸引流路93bは、吸引孔92bと排気装置99とを接続する。吸引流路93cは、吸引孔92cと排気装置99とを接続する。
【0041】
開閉弁94aは、吸引流路93aに設けられる。開閉弁94aは、吸引孔92aから排気装置99への流体の排出のオン及びオフを切り換えるバルブである。開閉弁94aは、開状態では吸引孔92aから排気装置99に流体を流し、閉状態では吸引孔92aから排気装置99に流体を流さない。
【0042】
開閉弁94bは、吸引流路93bに設けられる。開閉弁94bは、吸引孔92bから排気装置99への流体の排出のオン及びオフを切り換えるバルブである。開閉弁94bは、開状態では吸引孔92bから排気装置99に流体を流し、閉状態では吸引孔92bから排気装置99に流体を流さない。
【0043】
開閉弁94cは、吸引流路93cに設けられる。開閉弁94cは、吸引孔92cから排気装置99への流体の排出のオン及びオフを切り換えるバルブである。開閉弁94cは、開状態では吸引孔92cから排気装置99に流体を流し、閉状態では吸引孔92cから排気装置99に流体を流さない。
【0044】
第1バラスト流路95aは、開閉弁94aの下流において吸引流路93aに合流する。第1バラスト流路95aには、上流から順に、第1バラスト源96a、開閉弁97a、及び圧力制御弁98aが設けられる。第1バラスト源96aは、第1バラストガスの供給源である。第1バラストガスは、例えば窒素ガスである。第1バラストガスは、アルゴンガスであってもよい。開閉弁97aは、吸引流路93aへの第1バラストガスの供給のオン及びオフを切り換えるバルブである。開閉弁97aは、開状態では第1バラスト源96aから吸引流路93aに第1バラストガスを流し、閉状態では第1バラスト源96aから吸引流路93aに第1バラストガスを流さない。圧力制御弁98aは、第1バラスト源96aから吸引流路93aに供給される第1バラストガスの流量Faを調整することで、吸引流路93aの圧力を制御する。
【0045】
第1バラスト流路95bは、開閉弁94bの下流において吸引流路93bに合流する。第1バラスト流路95bには、上流から順に、第1バラスト源96b、開閉弁97b、及び圧力制御弁98bが設けられる。第1バラスト源96bは、第1バラストガスの供給源である。開閉弁97bは、吸引流路93bへの第1バラストガスの供給のオン及びオフを切り換えるバルブである。開閉弁97bは、開状態では第1バラスト源96bから吸引流路93bに第1バラストガスを流し、閉状態では第1バラスト源96bから吸引流路93bに第1バラストガスを流さない。圧力制御弁98bは、第1バラスト源96bから吸引流路93bに供給される第1バラストガスの流量Fbを調整することで、吸引流路93bの圧力を制御する。
【0046】
第1バラスト流路95cは、開閉弁94cの下流において吸引流路93cに合流する。第1バラスト流路95cには、上流から順に、第1バラスト源96c、開閉弁97c、及び圧力制御弁98cが設けられる。第1バラスト源96cは、第1バラストガスの供給源である。開閉弁97cは、吸引流路93cへの第1バラストガスの供給のオン及びオフを切り換えるバルブである。開閉弁97cは、開状態では第1バラスト源96cから吸引流路93cに第1バラストガスを流し、閉状態では第1バラスト源96cから吸引流路93cに第1バラストガスを流さない。圧力制御弁98cは、第1バラスト源96cから吸引流路93cに供給される第1バラストガスの流量Fcを調整することで、吸引流路93cの圧力を制御する。
【0047】
排気装置99は、吸引流路93a、93b、93cに接続される。排気装置99は、吸引流路93a、吸引孔92a、及び吸引溝91aを介して回転テーブル2と基板Wとの間の隙間の流体を排出する。排気装置99は、吸引流路93b、吸引孔92b、及び吸引溝91bを介して回転テーブル2と基板Wとの間の隙間の流体を排出する。排気装置99は、吸引流路93c、吸引孔92c、及び吸引溝91cを介して回転テーブル2と基板Wとの間の隙間の流体を排出する。これにより、載置面2aに載置された基板Wの下面側の圧力、すなわち回転テーブル2と基板Wとの間の隙間の圧力が、載置面2aに載置された基板Wの上面側の圧力よりも低くなる。排気装置99は、例えば真空ポンプを含む。
【0048】
図9及び図10を参照し、熱伝導率調整部90が基板温度の面内分布を調整する方法について説明する。図9は、基板温度の面内分布を調整する方法を示す図である。図9(a)において、横軸は基板Wの面内位置を示し、縦軸は基板Wの温度を示す。図9(b)において、横軸は基板Wの面内位置を示し、縦軸は回転テーブル2と基板Wとの間の隙間の圧力を示す。図9(c)において、横軸は基板Wの面内位置を示し、縦軸は回転テーブル2と基板Wとの間の隙間の熱伝導率を示す。図9(d)において、横軸は基板Wの面内位置を示し、縦軸は基板温度を示す。図10は、圧力と熱伝導率との関係を示す図であり、横軸を圧力の対数、縦軸を熱伝導率の対数とする、両対数グラフである。
【0049】
図9(a)に示されるように、基板Wの中心の温度が基板Wの端部の温度よりも高い面内分布である場合を考える。この場合、熱伝導率調整部90は、吸引流路93a、93b、93cに供給される第1バラストガスの流量Fa、Fb、Fcの大小関係がFa<Fb<Fcとなるように、圧力制御弁98a、98b、98cを制御する。これにより、図9(b)に示されるように、基板Wの端部における隙間の圧力が、基板Wの中心における隙間の圧力よりも高くなる。
【0050】
回転テーブル2と基板Wとの間の隙間では、図10に示されるように、圧力と熱伝導率とが比例する。これは、回転テーブル2と基板Wとの間の隙間のガスが分子流又は遷移流になるためである。これにより、図9(c)に示されるように、基板Wの端部における隙間の熱伝導率が、基板Wの中心における隙間の熱伝導率よりも高くなる。このため、基板Wの中心よりも基板Wの端部において回転テーブル2から基板Wに熱が伝達しやすくなる。その結果、図9(d)に示されるように、基板Wの中心の温度と基板Wの端部の温度とが等しい面内分布に調整される。
【0051】
図11を参照し、変形例に係る熱伝導率調整部90Aについて説明する。図11は、変形例に係る熱伝導率調整部90Aを示す断面図である。熱伝導率調整部90Aは、吸引流路93a、93b、93cに供給されるバラストガスの種類を変更できる構成において、熱伝導率調整部90と異なる。その他の構成については、熱伝導率調整部90と同様であってよい。以下、熱伝導率調整部90と異なる構成を中心に説明する。
【0052】
図11に示されるように、熱伝導率調整部90Aは、熱伝導率調整部90が有する構成に加えて、第2バラスト流路191a、191b、191cと、第2バラスト源192a、192b、192cと、開閉弁193a、193b、193cとを有する。
【0053】
第2バラスト流路191aは、開閉弁97aと圧力制御弁98aとの間において第1バラスト流路95aに合流する。第2バラスト流路191aには、上流から順に、第2バラスト源192a及び開閉弁193aが設けられる。第2バラスト源192aは、第2バラストガスの供給源である。第2バラストガスは、第1バラストガスよりも熱伝導率が高いガスである。第2バラストガスは、例えば水素ガスであってよい。第2バラストガスは、ヘリウムガスであってもよい。水素ガス及びヘリウムガスは、窒素ガス及びアルゴンガスよりも熱伝導率が高いガスである。開閉弁193aは、吸引流路93aへの第2バラストガスの供給のオン及びオフを切り換えるバルブである。開閉弁193aは、開状態では第2バラスト源192aから吸引流路93aに第2バラストガスを流し、閉状態では第2バラスト源192aから吸引流路93aに第2バラストガスを流さない。熱伝導率調整部90Aは、開閉弁97a及び開閉弁193aを開状態と閉状態との間で切り換えることで、吸引流路93aに供給されるバラストガスの種類を変更する。熱伝導率調整部90Aは、開閉弁97aを開状態とし、開閉弁193aを閉状態とすることで、吸引流路93aに第1バラストガスを供給する。熱伝導率調整部90Aは、開閉弁97aを閉状態とし、開閉弁193aを開状態とすることで、吸引流路93aに第2バラストガスを供給する。熱伝導率調整部90Aは、開閉弁97a及び開閉弁193aを開状態とすることで、吸引流路93aに第1バラストガス及び第2バラストガスを供給する。
【0054】
第2バラスト流路191bは、開閉弁97bと圧力制御弁98bとの間において第1バラスト流路95bに合流する。第2バラスト流路191bには、上流から順に、第2バラスト源192b及び開閉弁193bが設けられる。第2バラスト源192bは、第2バラストガスの供給源である。開閉弁193bは、吸引流路93bへの第2バラストガスの供給のオン及びオフを切り換えるバルブである。開閉弁193bは、開状態では第2バラスト源192bから吸引流路93bに第2バラストガスを流し、閉状態では第2バラスト源192bから吸引流路93bに第2バラストガスを流さない。熱伝導率調整部90Aは、開閉弁97b及び開閉弁193bを開状態と閉状態との間で切り換えることで、吸引流路93bに供給されるバラストガスの種類を変更する。熱伝導率調整部90Aは、開閉弁97bを開状態とし、開閉弁193bを閉状態とすることで、吸引流路93bに第1バラストガスを供給する。熱伝導率調整部90Aは、開閉弁97bを閉状態とし、開閉弁193bを開状態とすることで、吸引流路93bに第2バラストガスを供給する。熱伝導率調整部90Aは、開閉弁97b及び開閉弁193bを開状態とすることで、吸引流路93bに第1バラストガス及び第2バラストガスを供給する。
【0055】
第2バラスト流路191cは、開閉弁97cと圧力制御弁98cとの間において第1バラスト流路95cに合流する。第2バラスト流路191cには、上流から順に、第2バラスト源192c及び開閉弁193cが設けられる。第2バラスト源192cは、第2バラストガスの供給源である。開閉弁193cは、吸引流路93cへの第2バラストガスの供給のオン及びオフを切り換えるバルブである。開閉弁193cは、開状態では第2バラスト源192cから吸引流路93cに第2バラストガスを流し、閉状態では第2バラスト源192cから吸引流路93cに第2バラストガスを流さない。熱伝導率調整部90Aは、開閉弁97c及び開閉弁193cを開状態と閉状態との間で切り換えることで、吸引流路93cに供給されるバラストガスの種類を変更する。熱伝導率調整部90Aは、開閉弁97cを開状態とし、開閉弁193cを閉状態とすることで、吸引流路93cに第1バラストガスを供給する。熱伝導率調整部90Aは、開閉弁97cを閉状態とし、開閉弁193cを開状態とすることで、吸引流路93cに第2バラストガスを供給する。熱伝導率調整部90Aは、開閉弁97c及び開閉弁193cを開状態とすることで、吸引流路93cに第1バラストガス及び第2バラストガスを供給する。
【0056】
図12を参照し、熱伝導率調整部90Aが基板温度の面内分布を調整する方法について説明する。図12は、基板温度の面内分布を調整する方法を示す図である。図12(a)において、横軸は基板Wの面内位置を示し、縦軸は基板Wの温度を示す。図12(b)において、横軸は基板Wの面内位置を示し、縦軸は回転テーブル2と基板Wとの間の隙間の熱伝導率を示す。図10(c)において、横軸は基板Wの面内位置を示し、縦軸は基板温度を示す。
【0057】
図12(a)に示されるように、基板Wの中心の温度が基板Wの端部の温度よりも高い面内分布である場合を考える。この場合、熱伝導率調整部90Aは、吸引流路93a、93bに第1バラストガスが供給され、吸引流路93cに第2バラストガスが供給されるように、開閉弁97a、97b、97c、193a、193b、193cを制御する。具体的には、開閉弁97a、97b、193cが開状態とされ、開閉弁193a、193b、97cが閉状態とされる。これにより、図12(b)に示されるように、基板Wの端部における隙間の熱伝導率が、基板Wの中心における隙間の熱伝導率よりも高くなる。このため、基板Wの中心よりも基板Wの端部において回転テーブル2から基板Wに熱が伝達しやすくなる。その結果、図12(c)に示されるように、基板Wの中心の温度と基板Wの端部の温度とが等しい面内分布に調整される。
【0058】
以上に説明したように、実施形態に係る基板処理装置は、回転テーブル2と基板Wとの間の隙間の熱伝導率の面内分布を調整する熱伝導率調整部90を備える。この場合、回転テーブル2から基板Wへの熱伝達のしやすさが制御され、基板温度の面内分布を調整できる。
【0059】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0060】
上記の実施形態では、熱伝導率調整部90、90Aが3個の吸引流路93a、93b、93cを有する場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、熱伝導率調整部90、90Aは、1個又は2個の吸引流路を有してもよく、4個以上の吸引流路を有してもよい。
【0061】
上記の実施形態では、熱伝導率調整部90Aが各吸引流路93a、93b、93cに2種類のバラストガスを供給できるように構成される場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、熱伝導率調整部90Aは、各吸引流路93a、93b、93cに3種類以上のバラストガスを供給できるように構成されてもよい。
【0062】
上記の実施形態では、熱伝導率調整部90Aが圧力制御弁98a、98b、98cを有する場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、熱伝導率調整部90Aは、圧力制御弁98a、98b、98cを有しなくてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 真空容器
2 回転テーブル
2a 載置面
7 ヒータユニット
90 熱伝導率調整部
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12