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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025098861
(43)【公開日】2025-07-02
(54)【発明の名称】パンツ型吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/49 20060101AFI20250625BHJP
   A61F 13/494 20060101ALI20250625BHJP
【FI】
A61F13/49 315A
A61F13/49 413
A61F13/49 312Z
A61F13/49 315Z
A61F13/494 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215270
(22)【出願日】2023-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】米澤 那々子
(72)【発明者】
【氏名】長田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】正木 俊介
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA12
3B200BA13
3B200BB11
3B200BB20
3B200CA06
3B200CA08
3B200CA09
3B200CB03
3B200DA02
3B200DA21
3B200EA24
(57)【要約】
【課題】面圧が過度に高くなく、内側にたくれ難いレッグギャザーを備えたパンツ型吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸収性本体(10)と、一対のレッグギャザー部(LG)と、を有し、レッグギャザー部(LG)には、長手方向に伸縮する3本以上のレッグギャザー弾性部材(17)が、左右方向に5mm以上の間隔を空けて配置されている、パンツ型吸収性物品(1)であって、第1レッグギャザー弾性部材(17a)の収縮力は、左右方向の外側に配置された第2レッグギャザー弾性部材(17b,17c)の収縮力よりも大きく、レッグギャザー部(LG)のうち、左右方向において最も外側の端(10es)から最も内側に配置されたレッグギャザー弾性部材(17a)までの領域(ER)に、剛性付与手段を有し、剛性付与手段の少なくとも一部は、レッグギャザー弾性部材(17)と重複しておらず、長手方向に連続する部分を有している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する上下方向と左右方向とを有し、
吸収性本体と、前側胴回り部と、後側胴回り部と、を有し、
前記前側胴回り部及び前記後側胴回り部は、前記左右方向の両端部にて一対のサイド接合部によって互いに接合されており、
前記吸収性本体の前記左右方向における両側に、防漏壁部及びレッグギャザー部がそれぞれ一対ずつ設けられており、
前記レッグギャザー部には、前記吸収性本体の長手方向に沿って伸縮する3本以上のレッグギャザー弾性部材が、前記左右方向に5mm以上の間隔を空けて配置されている、パンツ型吸収性物品であって、
前記レッグギャザー弾性部材は、第1レッグギャザー弾性部材と、前記第1レッグギャザー弾性部材よりも前記左右方向の外側に配置された第2レッグギャザー弾性部材と、を有し、
前記第1レッグギャザー弾性部材を前記長手方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの前記第1レッグギャザー弾性部材の収縮力は、
前記第2レッグギャザー弾性部材を前記長手方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの前記第2レッグギャザー弾性部材の収縮力よりも大きく、
前記レッグギャザー部のうち、前記左右方向において最も外側の端から最も内側に配置された前記レッグギャザー弾性部材までの領域に、前記レッグギャザー部に剛性を付与する剛性付与手段を有し、
前記剛性付与手段の少なくとも一部は、厚さ方向に見たときに前記レッグギャザー弾性部材と重複しておらず、前記サイド接合部の下端よりも下側の領域で前記長手方向に連続する部分を有している、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載のパンツ型吸収性物品であって、
前記左右方向に隣り合って配置された2本の前記レッグギャザー弾性部材のうち、
前記左右方向の内側に配置されている前記レッグギャザー弾性部材を前記長手方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの収縮力は、
前記左右方向の外側に配置されている前記レッグギャザー弾性部材を前記長手方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの収縮力以上である、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパンツ型吸収性物品であって、
前記左右方向に隣り合って配置された2本の前記レッグギャザー弾性部材のうち、
前記左右方向の内側に配置されている前記レッグギャザー弾性部材について、自然状態における長さを前記長手方向に沿って最も伸長させたときの長さで除した値は、
前記左右方向の外側に配置されている前記レッグギャザー弾性部材について、自然状態における長さを前記長手方向に沿って最も伸長させたときの長さで除した値以下である、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項4】
請求項1または2に記載のパンツ型吸収性物品であって、
前記左右方向に隣り合って配置された2本の前記レッグギャザー弾性部材のうち、
前記左右方向の内側に配置されている前記レッグギャザー弾性部材の自然状態における断面積は、
前記左右方向の外側に配置されている前記レッグギャザー弾性部材の自然状態における断面積以上である、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項5】
請求項1または2に記載のパンツ型吸収性物品であって、
前記左右方向において、前記レッグギャザー部の最も外側の端から、最も内側に配置された前記レッグギャザー弾性部材までの領域をレッグギャザー弾性領域としたときに、
伸長状態の前記レッグギャザー弾性領域の前記左右方向における長さは、伸長状態の前記レッグギャザー部の前記左右方向における長さの半分以上であり、
前記レッグギャザー弾性領域に配置されている前記レッグギャザー弾性部材の数で、前記レッグギャザー弾性領域を前記左右方向に均等に分割した場合に、分割された各々の領域に前記レッグギャザー弾性部材が配置されている、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項6】
請求項5に記載のパンツ型吸収性物品であって、
前記レッグギャザー弾性領域を前記左右方向に均等に分割した各々の領域に、前記剛性付与手段が設けられている、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項7】
請求項5に記載のパンツ型吸収性物品であって、
厚さ方向に見たときに、前記左右方向に隣り合って配置された2本の前記レッグギャザー弾性部材の間に、前記剛性付与手段が設けられている、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項8】
請求項1または2に記載のパンツ型吸収性物品であって、
前記レッグギャザー部を前記長手方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの収縮力を、前記レッグギャザー部の幅で除した値は、
前記防漏壁部を前記長手方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの収縮力を、前記防漏壁部の幅で除した値以下である、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項9】
請求項1または2に記載のパンツ型吸収性物品であって、
前記レッグギャザー部は、厚さ方向に積層された少なくとも2層のシート部材を有し、積層された前記シート部材の間に前記レッグギャザー弾性部材が設けられており、
前記剛性付与手段は、積層された前記シート部材同士を接合することによって、前記レッグギャザー部に剛性を付与している、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項10】
請求項9に記載のパンツ型吸収性物品であって、
前記剛性付与手段は、積層された前記シート部材同士を接着剤によって接合することによって、前記レッグギャザー部に剛性を付与している、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項11】
請求項1または2に記載のパンツ型吸収性物品であって、
前記左右方向において、伸長状態の前記レッグギャザー部の最も外側の端から、最も内側に配置された前記レッグギャザー弾性部材までの領域をレッグギャザー弾性領域としたときに、
前記レッグギャザー弾性領域の面積の半分以上に前記剛性付与手段が設けられている、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項12】
請求項1または2に記載のパンツ型吸収性物品であって、
前記吸収性本体は、液吸収性の吸収体を有し、
前記吸収体よりも非肌側に、液不透過性シートが設けられており、
前記左右方向において、前記液不透過性シートの外側の端は、最も外側に配置されている前記レッグギャザー弾性部材と、外側から2番目に配置されている前記レッグギャザー弾性部材との間に位置している、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項13】
請求項1または2に記載のパンツ型吸収性物品であって、
前記左右方向において、最も外側に配置されている前記レッグギャザー弾性部材よりも外側には、前記剛性付与手段が設けられていない、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項14】
請求項1または2に記載のパンツ型吸収性物品であって、
伸長状態における前記レッグギャザー部の前記左右方向の外側の端から前記防漏壁部の起立起点までの最短距離は、
伸長状態における前記防漏壁部の前記起立起点から前記防漏壁部の先端部までの最短距離以上である、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項15】
請求項1または2に記載のパンツ型吸収性物品であって、
前記吸収性本体は、液吸収性の吸収体を有し、
前記左右方向において、前記吸収体の外側端と、前記防漏壁部の起立起点との間の領域に、
前記吸収性本体の長手方向に沿って伸縮する股下弾性部材を有する、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項16】
請求項1または2に記載のパンツ型吸収性物品であって、
前記吸収性本体は、液吸収性の吸収体を有し、
前記吸収体よりも肌側に、トップシートが設けられており、
前記トップシートの少なくとも一部が、前記防漏壁部の起立起点よりも前記左右方向の外側に配置されている、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項17】
請求項1または2に記載のパンツ型吸収性物品であって、
前記前側胴回り部及び前記後側胴回り部は、前記左右方向に伸縮する胴回り弾性部材を有しており、
厚さ方向に見たときに、前記前側胴回り部及び前記後側胴回り部の少なくとも一方で、前記胴回り弾性部材と前記レッグギャザー弾性部材とが交差する部分を有している、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脚回り開口に沿って伸縮可能なレッグギャザー(LG)を備えたパンツ型おむつ等において、レッグギャザーの幅を広くすることにより、脚繰りのフィット性を向上させつつ尿等の排泄物の横漏れを抑制する技術が知られている。例えば、特許文献1には、吸収体の両側縁から幅方向の両外側に延出する一対の延出部(レッグギャザーに相当)を備え、当該延出部の幅方向における長さを防漏カフ部の高さよりも大きくするによって、延出部(レッグギャザー)を着用者の脚に幅広くフィットさせることが可能なパンツ型おむつが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-12459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のパンツ型使い捨ておむつでは、延出部(レッグギャザー)の長手方向(吸収体の長手方向)に沿って伸縮する複数のレッグ弾性部材により、レッグギャザー部に伸縮性を付与している。しかしながら、レッグギャザー部に設けられたレッグ弾性部材が狭い間隔で多数設けられていると、レッグギャザー部の面圧が高くなり、着用者の脚繰りにかぶれや赤みを生じさせるおそれがある。逆に、レッグギャザー部に設けられるレッグ弾性部材の本数が少ないと、幅広のレッグギャザー部が内側(股間側)にたくれやすくなり、フィット性が悪化したり排泄漏れに対する不安を想起させたりするおそれがある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、面圧が過度に高くなく、内側にたくれ難いレッグギャザーを備えたパンツ型吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、互いに交差する上下方向と左右方向とを有し、吸収性本体と、前側胴回り部と、後側胴回り部と、を有し、前記前側胴回り部及び前記後側胴回り部は、前記左右方向の両端部にて一対のサイド接合部によって互いに接合されており、前記吸収性本体の前記左右方向における両側に、防漏壁部及びレッグギャザー部がそれぞれ一対ずつ設けられており、前記レッグギャザー部には、前記吸収性本体の長手方向に沿って伸縮する3本以上のレッグギャザー弾性部材が、前記左右方向に5mm以上の間隔を空けて配置されている、パンツ型吸収性物品であって、前記レッグギャザー弾性部材は、第1レッグギャザー弾性部材と、前記第1レッグギャザー弾性部材よりも前記左右方向の外側に配置された第2レッグギャザー弾性部材と、を有し、前記第1レッグギャザー弾性部材を前記長手方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの前記第1レッグギャザー弾性部材の収縮力は、前記第2レッグギャザー弾性部材を前記長手方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの前記第2レッグギャザー弾性部材の収縮力よりも大きく、前記レッグギャザー部のうち、前記左右方向において最も外側の端から最も内側に配置された前記レッグギャザー弾性部材までの領域に、前記レッグギャザー部に剛性を付与する剛性付与手段を有し、前記剛性付与手段の少なくとも一部は、厚さ方向に見たときに前記レッグギャザー弾性部材と重複しておらず、前記サイド接合部の下端よりも下側の領域で前記長手方向に連続する部分を有している、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、面圧が過度に高くなく、内側にたくれ難いレッグギャザーを備えたパンツ型吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】パンツ型使い捨ておむつ1(おむつ1)の概略斜視図である。
図2】展開かつ伸長状態のおむつ1の平面図である。
図3図2のA-A矢視を表す模式断面図である。
図4】伸長状態における吸収性本体10の平面図及び断面図である。
図5図5A及び図5Bは、従来型のパンツ型おむつを着用した際の、着用者の股下部(足繰り部)におけるレッグギャザー部LGのフィット性について説明する図である。
図6】おむつ1のレッグギャザー部LGの構造について説明する模式断面図である。
図7図7A図7Cは、LG弾性部材17の収縮力の測定方法について説明する図である。
図8】吸収性本体10の変形例について表す平面図及び断面図である。
図9】伸長状態の前側胴回り部20及び吸収性本体10について表す平面図である。
図10】おむつ1を着用した状態の着用者を横方向から見た場合について表す図である。
図11】自然状態の前側胴回り部20及び吸収性本体10について表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
(態様1)
互いに交差する上下方向と左右方向とを有し、吸収性本体と、前側胴回り部と、後側胴回り部と、を有し、前記前側胴回り部及び前記後側胴回り部は、前記左右方向の両端部にて一対のサイド接合部によって互いに接合されており、前記吸収性本体の前記左右方向における両側に、防漏壁部及びレッグギャザー部がそれぞれ一対ずつ設けられており、前記レッグギャザー部には、前記吸収性本体の長手方向に沿って伸縮する3本以上のレッグギャザー弾性部材が、前記左右方向に5mm以上の間隔を空けて配置されている、パンツ型吸収性物品であって、前記レッグギャザー弾性部材は、第1レッグギャザー弾性部材と、前記第1レッグギャザー弾性部材よりも前記左右方向の外側に配置された第2レッグギャザー弾性部材と、を有し、前記第1レッグギャザー弾性部材を前記長手方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの前記第1レッグギャザー弾性部材の収縮力は、前記第2レッグギャザー弾性部材を前記長手方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの前記第2レッグギャザー弾性部材の収縮力よりも大きく、前記レッグギャザー部のうち、前記左右方向において最も外側の端から最も内側に配置された前記レッグギャザー弾性部材までの領域に、前記レッグギャザー部に剛性を付与する剛性付与手段を有し、前記剛性付与手段の少なくとも一部は、厚さ方向に見たときに前記レッグギャザー弾性部材と重複しておらず、前記サイド接合部の下端よりも下側の領域で前記長手方向に連続する部分を有している、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【0011】
態様1のパンツ型吸収性物品によれば、LG弾性部材のピッチを広くして配置しつつ、左右方向の外側に配置されたLG弾性部材の収縮力を内側よりも弱くすることにより、着用時に、レッグギャザー部が着用者の脚の動きに追従してフィットしやすくなる。また、剛性付与手段によってレッグギャザー部の広範囲に亘って剛性が高められ、レッグギャザー部が面形状を維持しやすくなる。これらにより、面圧が過度に高くなく、内側にたくれ難いレッグギャザー部を備えたパンツ型吸収性物品が実現される。また、レッグギャザー部が着用者の脚に面でフィットしやすくなり、排泄物の横漏れが生じる等の不安をユーザーに想起させ難くすることができる。
【0012】
(態様2)
前記左右方向に隣り合って配置された2本の前記レッグギャザー弾性部材のうち、前記左右方向の内側に配置されている前記レッグギャザー弾性部材を前記長手方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの収縮力は、前記左右方向の外側に配置されている前記レッグギャザー弾性部材を前記長手方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの収縮力以上である、態様1に記載のパンツ型吸収性物品。
【0013】
態様2のパンツ型吸収性物品によれば、左右方向の内側から外側に向かってLG弾性部材の収縮力が徐々に小さくなっていくことから、レッグギャザー部が着用者の脚の動きにより追従しやすくなり、たくれも抑制されやすくなる。しがって、レッグギャザー部の面圧が過度に高くなることを抑制しつつ、着用者の脚繰り形状に沿ってフィット性を高めることができる。
【0014】
(態様3)
前記左右方向に隣り合って配置された2本の前記レッグギャザー弾性部材のうち、前記左右方向の内側に配置されている前記レッグギャザー弾性部材について、自然状態における長さを前記長手方向に沿って最も伸長させたときの長さで除した値は、前記左右方向の外側に配置されている前記レッグギャザー弾性部材について、自然状態における長さを前記長手方向に沿って最も伸長させたときの長さで除した値以下である、態様1または2に記載のパンツ型吸収性物品。
【0015】
態様3のパンツ型吸収性物品によれば、左右方向の内側から外側に向かってLG弾性部材が収縮する割合(収縮割合)が徐々に小さくなり、レッグギャザー部が着用者の脚の動きにより追従しやすくなり、たくれも抑制されやすくなる。しがって、レッグギャザー部の面圧が過度に高くなることを抑制しつつ、着用者の脚繰り形状に沿ってフィット性を高めることができる。
【0016】
(態様4)
前記左右方向に隣り合って配置された2本の前記レッグギャザー弾性部材のうち、前記左右方向の内側に配置されている前記レッグギャザー弾性部材の自然状態における断面積は、前記左右方向の外側に配置されている前記レッグギャザー弾性部材の自然状態における断面積以上である、態様1~3の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【0017】
態様4のパンツ型吸収性物品によれば、通常、LG弾性部材の断面積が大きいほど、当該LG弾性部材の直径も大きくなるため、レッグギャザー部の左右方向の内側ほど、単位面積あたりに作用する圧力の増加を抑制しやすくなる。したがって、レッグギャザー部の左右方向の内側においてLG弾性部材の収縮力を高めたとしても、面圧が過度に高くなることが抑制され、着用者の肌にLG弾性部材による線状の痕が付いてしまうことを抑制しやすい。
【0018】
(態様5)
前記左右方向において、前記レッグギャザー部の最も外側の端から、最も内側に配置された前記レッグギャザー弾性部材までの領域をレッグギャザー弾性領域としたときに、伸長状態の前記レッグギャザー弾性領域の前記左右方向における長さは、伸長状態の前記レッグギャザー部の前記左右方向における長さの半分以上であり、前記レッグギャザー弾性領域に配置されている前記レッグギャザー弾性部材の数で、前記レッグギャザー弾性領域を前記左右方向に均等に分割した場合に、分割された各々の領域に前記レッグギャザー弾性部材が配置されている、態様1~4の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【0019】
態様5のパンツ型吸収性物品によれば、レッグギャザー部にLG弾性部材が均等に配置されているため、局所的な剛性差が生じ難くなり、面形状を維持しやすくなる。また、局所的な圧力が着用者の脚繰り部にかかり難いため、肌がかぶれたり赤みが生じたりすることを抑制できる。
【0020】
(態様6)
前記レッグギャザー弾性領域を前記左右方向に均等に分割した各々の領域に、前記剛性付与手段が設けられている、態様1~5の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【0021】
態様6のパンツ型吸収性物品によれば、レッグギャザー弾性領域において、LG弾性部材の収縮力が作用する各々の領域について剛性が高められるため、レッグギャザー部のたくれ等が抑制され、面形状をより維持しやくなる。
【0022】
(態様7)
厚さ方向に見たときに、前記左右方向に隣り合って配置された2本の前記レッグギャザー弾性部材の間に、前記剛性付与手段が設けられている、態様1~6の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【0023】
態様7のパンツ型吸収性物品によれば、剛性付与手段によって、隣り合う二つのLG弾性部材の間の領域で剛性が高められることによって、LG弾性部材の間に折れ曲がり起点が形成され難くなるため、レッグギャザー部のたくれがより抑制されやすくなる。
【0024】
(態様8)
前記レッグギャザー部を前記長手方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの収縮力を、前記レッグギャザー部の幅で除した値は、前記防漏壁部を前記長手方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの収縮力を、前記防漏壁部の幅で除した値以下である、前記剛性付与手段が設けられている、態様1~7の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【0025】
態様8のパンツ型吸収性物品によれば、レッグギャザー部の単位幅当たりの収縮力が、防漏壁の単位幅当たりの収縮力よりも大きい場合と比較して、レッグギャザー部の面圧が相対的に小さくなるため、着用時において着用者の脚繰りにかぶれや赤みを生じさせ難くすることができる。
【0026】
(態様9)
前記レッグギャザー部は、厚さ方向に積層された少なくとも2層のシート部材を有し、積層された前記シート部材の間に前記レッグギャザー弾性部材が設けられており、前記剛性付与手段は、積層された前記シート部材同士を接合することによって、前記レッグギャザー部に剛性を付与している、態様1~8の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【0027】
態様9のパンツ型吸収性物品によれば、
レッグギャザー部において、厚さ方向に積層されたシート部材同士が互いに接合されることで剛性が高められ、レッグギャザー部を構成しているシート部材が平面状に維持されやすくなる。これにより、レッグギャザー部にたくれが生じ難くなる。また、接合部自体(例えば、溶着部や接着部)が剛性を有していることにより、レッグギャザー部の剛性がより確保されやすくなる。
【0028】
(態様10)
前記剛性付与手段は、積層された前記シート部材同士を接着剤によって接合することによって、前記レッグギャザー部に剛性を付与している、態様1~9の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【0029】
態様10のパンツ型吸収性物品によれば、レッグギャザー部の剛性が高められ、レッグギャザー部を構成しているシート部材が平面状に維持されやすくなり、レッグギャザー部にたくれが生じ難くなる。また、ホットメルト接着剤等の接着剤は、常温で固化しているため、接着剤自体が剛性を有し、レッグギャザー部の剛性がより確保されやすくなる。
【0030】
(態様11)
前記左右方向において、伸長状態の前記レッグギャザー部の最も外側の端から、最も内側に配置された前記レッグギャザー弾性部材までの領域をレッグギャザー弾性領域としたときに、前記レッグギャザー弾性領域の面積の半分以上に前記剛性付与手段が設けられている、態様1~10の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【0031】
態様11のパンツ型吸収性物品によれば、レッグギャザー弾性領域の半部以上の部分が、剛性付与手段によって剛性が高められることにより、該レッグギャザー弾性領域が面形状に維持されやすく、レッグギャザー部にたくれが発生することを抑制しやすい。
【0032】
(態様12)
前記吸収性本体は、液吸収性の吸収体を有し、前記吸収体よりも非肌側に、液不透過性シートが設けられており、前記左右方向において、前記液不透過性シートの外側の端は、最も外側に配置されている前記レッグギャザー弾性部材と、外側から2番目に配置されている前記レッグギャザー弾性部材との間に位置している、態様1~11の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【0033】
態様12のパンツ型吸収性物品によれば、レッグギャザー部の先端付近まで防漏フィルムが設けられていることにより、防漏フィルムが無い場合と比較してレッグギャザー部の剛性が高められ、面形状を維持しやすい。また、最も外側のLG弾性部材よりも外側には防漏フィルムが設けられていないため、レッグギャザー部の先端エッジが硬くなり難く、当該先端エッジが着用者の肌に接触した場合であっても、着用者に違和感や不快感を生じさせ難い。
【0034】
(態様13)
前記左右方向において、最も外側に配置されている前記レッグギャザー弾性部材よりも外側には、前記剛性付与手段が設けられていない、態様1~12の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【0035】
態様13のパンツ型吸収性物品によれば、レッグギャザー部の先端エッジの剛性が過度に高められず、柔軟性が維持される。したがって、着用時に当該先端エッジが着用者の肌に接触した場合であっても、着用者に違和感や不快感を生じさせ難い。
【0036】
(態様14)
伸長状態における前記レッグギャザー部の前記左右方向の外側の端から前記防漏壁部の起立起点までの最短距離は、伸長状態における前記防漏壁部の前記起立起点から前記防漏壁部の先端部までの最短距離以上である、態様1~13の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【0037】
態様14のパンツ型吸収性物品によれば、着用時において、防漏壁部が起立状態から左右方向の外側に倒れてしまったとしても、倒れた防漏壁部がレッグギャザー部の先端よりも外側にはみ出してしまうことが抑制される。したがって、レッグギャザー部と着用者の肌との間に隙間が形成され難く、着用者の脚繰りに対してレッグギャザー部を面でフィットさせやすくすることが出来る。
【0038】
(態様15)
前記吸収性本体は、液吸収性の吸収体を有し、前記左右方向において、前記吸収体の外側端と、前記防漏壁部の起立起点との間の領域に、前記吸収性本体の長手方向に沿って伸縮する股下弾性部材を有する、態様1~14の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【0039】
態様15のパンツ型吸収性物品によれば、着用時において、吸収体の左右方向の両外側が、股下弾性部材が発現する伸縮性によって肌側へ押し上げられるため、着用者の股間部に吸収体がフィットしやすくなる。また、股下弾性部材の伸縮性によってレッグギャザー部の根本側が肌側へ押し上げられるので、着用者の肌にレッグギャザー部をよりフィットさせやすくなる。
【0040】
(態様16)
前記吸収性本体は、液吸収性の吸収体を有し、前記吸収体よりも肌側に、トップシートが設けられており、前記トップシートの少なくとも一部が、前記防漏壁部の起立起点よりも前記左右方向の外側に配置されている、態様1~15の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【0041】
態様16のパンツ型吸収性物品によれば、トップシートのうち起立起点よりも外側に配置されている部分が、レッグギャザー部に剛性を付与する剛性付与手段として機能することにより、レッグギャザー部が平面形状を維持しやすく、たくれを生じ難くなる。これにより、着用時に、レッグギャザー部と着用者の肌との間に隙間が形成され難く、レッグギャザー部が脚繰りに面でフィットしやすくなる。
【0042】
(態様17)
前記前側胴回り部及び前記後側胴回り部は、前記左右方向に伸縮する胴回り弾性部材を有しており、厚さ方向に見たときに、前記前側胴回り部及び前記後側胴回り部の少なくとも一方で、前記胴回り弾性部材と前記レッグギャザー弾性部材とが交差する部分を有している、態様1~16の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【0043】
態様17のパンツ型吸収性物品によれば、胴回り弾性部材の収縮力とLG弾性部材の収縮力とが連動して、LG弾性部材が上側に引っ張り上げられやすくなるため、パンツ型吸収性物品の全体が下側に垂れ下がり難く、胴回り部やレッグギャザー部のフィット性が悪化することが抑制される。
【0044】
(態様18)
互いに交差する上下方向と左右方向とを有し、吸収性本体と、前側胴回り部と、後側胴回り部と、を有し、前記前側胴回り部及び前記後側胴回り部は、前記左右方向の両端部にて一対のサイド接合部によって互いに接合されており、前記吸収性本体の前記左右方向における両側に、防漏壁部及びレッグギャザー部がそれぞれ一対ずつ設けられており、前記レッグギャザー部には、前記吸収性本体の長手方向に沿って伸縮する3本以上のレッグギャザー弾性部材が、前記左右方向に5mm以上の間隔を空けて配置されている、パンツ型吸収性物品であって、前記レッグギャザー弾性部材は、第1レッグギャザー弾性部材と、前記第1レッグギャザー弾性部材よりも前記左右方向の外側に配置された第2レッグギャザー弾性部材と、を有し、前記第1レッグギャザー弾性部材を前記長手方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの前記第1レッグギャザー弾性部材の収縮力は、前記第2レッグギャザー弾性部材を前記長手方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの前記第2レッグギャザー弾性部材の収縮力よりも大きく、前記前側胴回り部及び前記後側胴回り部は、前記左右方向に沿った伸縮性を備えており、前記前側胴回り部を、前記サイド接合部の上端と下端との間で前記上下方向に4等分したときの上側から3番目の領域を第3前側胴回り領域、上側から4番目の領域を第4前側胴回り領域とした場合に、前記第3前側胴回り領域を、前記左右方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの前記第3前側胴回り領域の収縮力は、前記第4前側胴回り領域を、前記左右方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの前記第4前側胴回り領域の収縮力よりも大きい、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【0045】
態様18のパンツ型吸収性物品によれば、前側胴回り部において、第3前側胴回り領域及び第4前側胴回り領域の収縮力を高めることで、前側胴回り部のフィット性を高めることができる。その際、第4前側胴回り領域の収縮力を第3前側胴回り領域の収縮力よりも小さくすることで、第4前側胴回り領域の下端部が着用者の脚の動きに干渉し難くなり、前側胴回り部の位置ずれが抑制される。これにより、着用者の脚の動きや呼吸による腹部の動きに干渉することなく、前側胴回り部のフィット性を高めることができる。そして、前側胴回り部のフィット性が高められて位置ずれが生じ難くなることにより、幅広のレッグギャザー部が着用者の足繰りにピタッとフィットしやすくなる。
【0046】
(態様19)
前記前側胴回り部を、前記サイド接合部の上端と下端との間で前記上下方向に4等分したときの上側から1番目の領域を第1前側胴回り領域、上側から2番目の領域を第2前側胴回り領域とした場合、前記第1前側胴回り領域から前記第4前側胴回り領域のそれぞれについて、前記左右方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの収縮力の大きさは、前記第3前側胴回り領域が最も大きい、態様18に記載のパンツ型吸収性物品。
【0047】
態様19のパンツ型吸収性物品によれば、着用時に第3前側胴回り領域が当接する部分は、腹部の出っ張りが小さく呼吸等による変動が小さいため、当該第3前側胴回り領域の収縮力を大きくしても着用者に不快感を生じさせ難い。そして、腹部の動き(変動)が小さい部分に第3前側胴回り領域をしっかりとフィットさせて位置を固定することで、前側胴回り部の全体がずれ落ちにくくなり、前側胴回り部やレッグギャザー部のフィット性をより高めることができる。
【0048】
(態様20)
前記第3前側胴回り領域及び前記第4前側胴回り領域の収縮力の合計は、前記第1前側胴回り領域及び前記第2前側胴回り領域の収縮力の合計よりも大きい、態様18または19に記載のパンツ型吸収性物品。
【0049】
態様20のパンツ型吸収性物品によれば、前側胴回り部の上側の領域(第1前側胴回り領域20及び第2前側胴回り領域)は、着用者の腹部の出っ張りや変動が大きい部分に位置することから、締め付けが過度に強いと、着用者に不快感を生じさせやすい。一方、前側胴回り部の下側の領域(第3前側胴回り領域及び第4前側胴回り領域)は、着用者の腹部の出っ張りや変動が小さい部分に位置することから、上側の領域と比較して締め付けを強くすることで、着用者に不快感を生じさせ難く、効率的にフィット性を高めることができる。特に、腹部がポッコリとしやすい乳幼児が着用対象者である場合に、安全を確保しつつ、フィット性を高めることができるため好適である。
【0050】
(態様21)
前記後側胴回り部を、前記サイド接合部の上端と下端との間で前記上下方向に4等分したときに、上側から1番目の領域を第1後側胴回り領域、上側から2番目の領域を第2後側胴回り領域、上側から3番目の領域を第3後側胴回り領域、上側から4番目の領域を第4後側胴回り領域とした場合、前記第1後側胴回り領域から前記第4後側胴回り領域のそれぞれについて、前記左右方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの収縮力の大きさは、前記第3後側胴回り領域が最も大きい、態様18~20の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【0051】
態様21のパンツ型吸収性物品によれば、着用者の腹部のうち、出っ張りが小さく呼吸等による変動が小さい領域において、環状に連結された第3前側胴回り領域と第3後側胴回り領域とが連動することによって、胴回りに沿って大きな収縮力を作用しやすくなる。したがって、当該領域において胴回り部が位置ずれを生じにくくなり、着用者に不快感を生じさせることなく、フィット性をより向上させることができる。
【0052】
(態様22)
前記後側胴回り部を、前記サイド接合部の上端と下端との間で前記上下方向に4等分したときに、上側から1番目の領域を第1後側胴回り領域、上側から2番目の領域を第2後側胴回り領域、上側から3番目の領域を第3後側胴回り領域、上側から4番目の領域を第4後側胴回り領域とした場合、前記第1後側胴回り領域から前記第4後側胴回り領域のそれぞれについて、前記左右方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの収縮力の大きさは、前記第2後側胴回り領域が最も大きい、態様18~21の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【0053】
態様22のパンツ型吸収性物品によれば、着用者の背側において、背中と臀部との境目で括れが大きくなる部分で、第2後側胴回り領域の収縮力を大きくすることで、胴回り部がしっかり固定されやすく、ずり落ちが抑制され、フィット性が向上する。
【0054】
(態様23)
自然状態において、前記第3前側胴回り領域の前記左右方向における長さは、前記第4前側胴回り領域の前記左右方向における長さよりも短い、態様18~22の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【0055】
態様23のパンツ型吸収性物品によれば、前側胴回り部の上端と下端との間の第3前側胴回り領域において、収縮折れ起点が形成されて着用者の下腹部分の凹みに入り込みやすくなることで、前側胴回り部がずれ落ち難くなり、フィット性を向上させることができる。
【0056】
(態様24)
前記前側胴回り部を、前記サイド接合部の上端と下端との間で前記上下方向に4等分したときの上側から1番目の領域を第1前側胴回り領域、上側から2番目の領域を第2前側胴回り領域とした場合、自然状態において、前記第3前側胴回り領域及び前記第4前側胴回り領域の前記左右方向における平均の長さは、自然状態において、前記第1前側胴回り領域及び前記第2前側胴回り領域の前記左右方向における平均の長さよりも短い、態様18~23の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【0057】
態様24のパンツ型吸収性物品によれば、腹部の変動が大きい前側胴回り部の上側半分の領域で左右方向の収縮量が小さくなることにより、着用者の腹部の動きに対して前側胴回り部が干渉し難くなり、着用者に不快感を生じさせ難い。一方、腹部の変動が小さい前側胴回り部の下側半分の領域で左右方向の収縮量が大きくなることにより、着用者の下腹部の凹んだ部分に前側胴回り部が固定されやすくなり、位置ずれが生じ難くなる。これにより、前側胴回り部のフィット性を向上させることができる。
【0058】
(態様25)
前記吸収性本体と前記前側胴回り部とを接合する本体接合部を有し、前記上下方向において、前記本体接合部の上端は、前記第3前側胴回り領域の上端よりも上側に位置している、態様18~24の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【0059】
態様25のパンツ型吸収性物品によれば、上下方向において、第3前側胴回り領域の全体が、本体接合部を介して吸収性本体と接合されていることにより、第3前側胴回り領域の大きな収縮力によって吸収性本体が着用者の肌側へ押し付けられ、吸収性本体が下側へずれ落ち難くなる。したがって、吸収性本体及びその両端部に設けられたレッグギャザー部のフィット性がより向上する。
【0060】
(態様26)
前記吸収性本体は、液吸収性の吸収体を有し、前記上下方向において、前記吸収体の上端は、前記第3前側胴回り領域の上端よりも下側に位置している、態様18~25の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【0061】
態様26のパンツ型吸収性物品によれば、第3前側胴回り領域と吸収体とが重複していない部分では、第3前側胴回り領域の収縮力が剛性の高い吸収体によって阻害され難いため、着用者の下腹部の凹みに大きな収縮力を作用させることができる。これにより、吸収性本体のフィット性がより向上し、レッグギャザー部が内側にたくれてしまうことが抑制されやすくなる。
【0062】
(態様27)
前記前側胴回り部は、前記左右方向に伸縮する胴回り弾性部材を前記上下方向に間隔を空けて複数有しており、前記レッグギャザー部に配置されている前記レッグギャザー弾性部材の前記左右方向における平均ピッチは、前記第3前側胴回り領域に配置されている前記胴回り弾性部材の前記上下方向における平均ピッチよりも大きい、態様18~26の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【0063】
態様27のパンツ型吸収性物品によれば、LG弾性部材のピッチが相対的に大きいため、レッグギャザー部の面圧が過度に大きくなり難く、着用者の肌にLG弾性部材の痕が付き難くなる。
【0064】
===実施形態===
本実施形態に係るパンツ型吸収性物品として、乳幼児用のパンツ型使い捨ておむつ1(以下、単に「おむつ1」とも呼ぶ)を例に挙げて説明する。但し、パンツ型吸収性物品は、乳幼児用の使い捨ておむつに限らず、大人用の使い捨ておむつや、生理用ショーツ等としても利用可能である。
【0065】
<パンツ型使い捨ておむつ1の構成>
図1は、パンツ型使い捨ておむつ1の概略斜視図である。図2は、展開かつ伸長状態のおむつ1の平面図である。図3は、図2のA-A矢視を表す模式断面図である。
【0066】
おむつ1は、図1に示すパンツ型状態において、互いに交差する上下方向、左右方向、及び前後方向を有し、胴回り開口部BH、及び、一対の脚回り開口部LHが形成されている。上下方向において、胴回り開口部BH側を上側とし、股下側を下側とする。また、図3の断面図に示すように、おむつ1を構成する資材が積層された方向を厚さ方向といい、厚さ方向において着用者の身体(肌)と接触する側を肌側といい、着用者の身体(肌)と接触しない側を非肌側という。
【0067】
また、おむつ1の「伸長状態」とは、おむつ1が備える各弾性部材(例えば、後述するLG弾性部材17や胴回り弾性部材23,33等)を伸長させることにより、おむつ1全体(製品全体)を皺なく伸長させた状態、具体的には、おむつ1を構成する各部材(例えば、後述する吸収性本体10や,胴回り部20,30等)の寸法がその部材単体の寸法と一致又はそれに近い寸法になるまで伸長させた状態のことを言う。
【0068】
一方、おむつ1を所定時間放置したときの状態を「自然状態」という。例えば、製品状態のおむつ1をパッケージから取り出して、胴回り部20,30を左右方向の両外側に引っ張って「伸長状態」とする。この伸長状態を15秒間継続させた後、おむつ1の引っ張りを解除して机等の平面に置く。そして、このような平面平置きで5分間経過させた状態を自然状態とする。
【0069】
おむつ1は、平面視長方形状の3部材である、吸収性本体10、前側胴回り部20、及び、後側胴回り部30を有する。おむつ1の着用時において、前側胴回り部20(腹側胴回り部)は着用者の腹側部に当てられ、後側胴回り部30(背側胴回り部)は着用者の背側部に当てられる。
【0070】
図2に示す展開状態のおむつ1において、前側胴回り部20及び後側胴回り部30は、それらの長手方向がおむつ1の左右方向に沿うように配置されている。そして、左右方向における前側胴回り部20の中央部に、吸収性本体10の長手方向一方側(前側)の端部が接合され、左右方向における後側胴回り部30の中央部に、吸収性本体10の長手方向他方側(後側)の端部が接合されている。
【0071】
また、図2に示す展開状態のおむつ1において、吸収性本体10の長手方向がおむつ1の上下方向に沿うように、吸収性本体10が長手方向の所定位置(前後方向の所定位置でもある)FLにて二つ折りされ、前側胴回り部20と後側胴回り部30とが左右方向の両端部にて、熱溶着や超音波溶着等の接合手段を用いて接合され、一対のサイド接合部2,2が形成される。これにより、おむつ1は、胴回り開口部BH及び一対の脚回り開口部LHを有するパンツ型状態(図1参照)となる。なお、所定位置FLは、パンツ型状態のおむつ1においては、上下方向の下端であって、前後方向の中央となる位置である。
【0072】
(吸収性本体10)
図4は、伸長状態における吸収性本体10の平面図及び断面図である。吸収性本体10は、図3及び図4の断面図に示すように、吸収体11、及び、吸収体11よりも肌側に配置されたトップシート12、及び、吸収体11よりも非肌側に配置された防漏フィルム13、及び、防漏フィルム13よりも非肌側に配置され、吸収性本体10の外装をなす外装シート14を備えている。また、吸収性本体10の左右方向の両側には、防漏壁部LSG、及び、レッグギャザー部LGがそれぞれ一対ずつ設けられている。
【0073】
吸収体11は、尿等の排泄液を吸収して保持する吸収性コア11aと、吸収性コア11aを覆う液透過性のコアラップシート11bとを有する。吸収性コア11aとしては、高吸収性ポリマー(SAP)を含むパルプ等の液体吸収性繊維が所定の形状に成形されたものを例示できる。また、液体吸収性繊維を含まず、SAP粒子同士を固着させて平板状に成形した、所謂SAPシートを用いても良い。一方、コアラップシート11bとしては、例えばティッシュペーパーやSMS不織布等の不織布を例示できる。
【0074】
本実施形態の吸収性コア11aは、長手方向の前側端部と後側端部との間に、該前側端部及び後側端部と比較して左右方向における長さが短くなった(幅が狭くなった)くびれ部11cを有しており、図4に示されるように平面視略砂時計型の形状となっている。このくびれ部11cは、おむつ1の着用時において着用者の両脚の間に挟まれる部分であり、当該くびれ部11cにおいて吸収性コア11aの左右方向における長さが短く(幅が狭く)なっていることにより、吸収体11が着用者の股間にフィットしやすくなる。但し、吸収性コア11aの形状はこの限りでは無く、例えば吸収性コア11a(吸収体11)が矩形状であっても良い。
【0075】
トップシート12は、吸収体11を肌側から覆う液透過性のシート部材であり、例えば親水性のエアスルー不織布やスパンボンド不織布等が用いられる。本実施形態では、図4の断面図に示されるように吸収体11を巻き込むように、左右方向の両側部が非肌側に折り返されている。また、トップシート12と吸収体11との間に、トップシート12と同等のセカンドシート(不図示)が設けられていても良い。
【0076】
防漏フィルム13は、吸収体11の非肌側に設けられる通気性且つ液不透過性のシート部材であり、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂を主体としたシートに微細な孔が複数設けられた、微多孔性の通気性樹脂フィルムを用いることができる。
【0077】
外装シート14は、吸収性本体10の最も非肌側に設けられ、吸収性本体10の外装を構成するシート部材であり、例えば、エアスルー不織布やスパンボンド不織布等を用いることができる。
【0078】
外装シート14は、左右方向において吸収体11の外側端11es,11esよりも外側に延出しており、当該延出した部分が、吸収性本体10の左右方向における外側端10es,10esを折り返し位置として左右方向の内側かつ厚さ方向の肌側に折り返され、折り返し部14fを形成している。そして、外装シート14のうち折り返されていない部分と折り返し部14fとが厚さ方向に重ね合わされた状態で、レッグギャザー接合部50(以下、「LG接合部50」とも呼ぶ)を介して互いに接合されることによって、一対のレッグギャザー部LG,LGが形成される。図4では、外装シート14のうち折り返されていない部分と折り返し部14fとが、厚さ方向の間に防漏フィルム13を挟んだ状態で、第1LG接合部51~第4LG接合部54によって接合されている。
【0079】
また、レッグギャザー部LGを形成している外装シート14及び折り返し部14fの厚さ方向の間には、糸ゴム等の複数のレッグギャザー弾性部材17,17…(以下、「LG弾性部材17」とも呼ぶ)が、各々長手方向に所定の伸長倍率で伸長された状態で、左右方向に所定の間隔を空けて設けられている。これにより、レッグギャザー部LGに対して、長手方向(上下方向)に沿った伸縮性が付与される。複数のLG弾性部材17,17が左右方向に並んで配置されていることにより、レッグギャザー部LGは、図1のように吸収性本体10の左右方向の両側から外側に張り出した平面形状となる。
【0080】
本実施形態では、左右方向両側のレッグギャザー部LGに、それぞれ3本ずつのLG弾性部材17が設けられている。以下では、左右方向の最も内側に配置されているLG弾性部材17を内側LG弾性部材17a、左右方向の最も外側に配置されているLG弾性部材17を外側LG弾性部材17c、内側LG弾性部材17aと外側LG弾性部材17cとの左右方向の間に設けられたLG弾性部材17を中間LG弾性部材17bとする。なお、図4では、内側LG弾性部材17aと外側LG弾性部材17cとの間に中間LG弾性部材17bが1本だけ設けられているが、中間LG弾性部材17bが複数本設けられていても良い。すなわち、レッグギャザー部LGの左右方向における長さ(幅)に応じて、LG弾性部材17が4本以上設けられていても良い。LG弾性部材17a~17cの各々は、図4の平面図において、少なくとも実線で示される部分(吸収性本体10の長手方向における範囲)にて伸縮性を発現する。
【0081】
また、図4に示されるように、左右方向において、LG弾性部材17(内側LG弾性部材17a)よりも内側、かつ、吸収体11の左右方向外側端11esよりも外側には、糸ゴム等の股下弾性部材18が、長手方向に伸長された状態で設けられている。股下弾性部材18は、図4の平面図において、少なくとも実線で示される部分にて伸縮性を発現する。おむつ1の着用持には、股下弾性部材18が発現する伸縮性によってレッグギャザー部LG及び吸収体11が着用者の肌側に押し上げられる。これにより、レッグギャザー部LG及び吸収体11が着用者の脚繰りや股下部にフィットしやすくなり、排泄物(尿等)の横漏れを効果的に抑制することができる。
【0082】
また、図2に示されるように、股下弾性部材18の一部は、厚さ方向に見たときに、腹側の胴回り弾性部材23及び背側の胴回り弾性部材33と重複する部分を有している。これにより、股下弾性部材18による長手方向に沿った伸縮力と、胴回り弾性部材23,33による左右方向に沿った伸縮力とが連動しやすくなり、フィット性をより向上させることができる。但し、股下弾性部材18は、胴回り弾性部材23,33の何れか一方(腹側若しくは背側の一方)のみと交差しているのであっても良いし、胴回り弾性部材23,33のどちらとも交差していなくても良い。
【0083】
また、外装シート14の折り返し部14fの一部は、左右方向において吸収体11よりも外側の所定位置にて肌側に起立した起立部14sを形成している。図4では、複数のLG接合部50のうち、厚さ方向における肌側且つ左右方向における最も内側に設けられた第1LG接合部51の左右方向における内側端51eiを起立起点として、起立部14sが厚さ方向の肌側へ起立している。
【0084】
そして、起立部14sは、図4に示されるように、先端14stの位置にて左右方向の内側から外側に折り返され、厚さ方向に重ね合わされた起立部14s,14sの間には、糸ゴム等の複数の防漏壁弾性部材19が、長手方向に伸長された状態で設けられている。おむつ1の着用時には、この防漏壁弾性部材19が発現する伸縮性によって起立部14sの先端14stが起立起点51eiから肌側に起立することにより、一対の防漏壁部LSG,LSGが形成される。
【0085】
(前側胴回り部20)
前側胴回り部20は、胴回りシート21と、複数の胴回り弾性部材23,23…とを有している。胴回りシート21は、平面視長方形状のシート部材であり、図3に示されるように前側胴回り部20の上下方向における上端20etにて折り返され、厚さ方向に積層された状態で接合されている。胴回りシート21としては、例えば、SMS不織布(スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド不織布)、スパンボンド不織布、エアスルー不織布等を適用できる。また、上端20etにて折り返された胴回りシート21の厚さ方向の肌側と非肌側との間には、糸ゴム等の胴回り弾性部材23,23…が左右方向に所定の伸長倍率で伸長された状態で、上下方向に間隔を空けて複数設けられている。複数の胴回り弾性部材23が発現する伸縮性によって、前側胴回り部20に左右方向に沿った伸縮性が付与される。また、複数の胴回り弾性部材23,23…の一部は、左右方向に中央部において切断された部分を有している。
【0086】
また、前側胴回り部20は、肌面シート25を有していても良い。肌面シート25は、図3に示されるように、吸収性本体10の上端部を肌側から覆うように配置されたシート部材であり、カバーシートとしての機能を有している。これにより、おむつ1の装着時に吸収性本体10の上端エッジが着用者の肌に食い込んでしまうことが抑制される。肌面シート25は、胴回りシート21と同等の不織布等のシート部材によって形成される。但し、肌面シート25は必ずしも設けられていなくても良い。
【0087】
(後側胴回り部30)
後側胴回り部30は、前側胴回り部20とほぼ同一の構成を有する。すなわち、後側胴回り部30は、胴回りシート31と、複数の胴回り弾性部材33,33…とを有している。胴回りシート31は、胴回りシート21と略同様に、後側胴回り部30の上下方向における上端30etにて折り返され、厚さ方向に積層された状態で接合されている。また、折り返された胴回りシート31の厚さ方向の肌側と非肌側との間には、糸ゴム等の胴回り弾性部材33、33…が左右方向に所定の伸長倍率で伸長された状態で、上下方向に間隔を空けて複数設けられている。また、後側胴回り部30は、肌面シート25と略同様の肌面シート35を有していても良い。
【0088】
<レッグギャザー部LGのフィット性について>
続いて、おむつ1着用時におけるレッグギャザー部LGのフィット性について説明する。先ず、比較例として、従来のパンツ型吸収性物品において発生していたレッグギャザー部の問題点について説明する。図5A及び図5Bは、従来型のパンツ型おむつを着用した際の、着用者の股下部(足繰り部)におけるレッグギャザー部LGのフィット性について説明する図である。
【0089】
従来、パンツ型の吸収性物品では、脚繰り部におけるフィット性を向上させ、排泄物の横漏れを抑制するために、レッグギャザー部LGの左右方向における長さを長くする(幅を広くする)場合があった。その場合、幅広のレッグギャザー部を着用者の肌(脚繰り)にピタッと面でフィットさせることが重要である。すなわち、着用時において、レッグギャザー部LGと着用者の肌との間に隙間が生じないようにしっかりとフィットさせることが求められる。
【0090】
これに対して、図5Aのおむつでは、レッグギャザー部LGに設けられる弾性部材(LG弾性部材)のピッチ(左右方向における間隔)を狭くして多数のLG弾性部材を配置することにより、レッグギャザー部LG全体として伸縮力を高めている。これにより、おむつ着用時において、レッグギャザー部LGと着用者の肌との間に隙間を生じ難くすることができる。しかしながら、図5Aのような構成では、多数のLG弾性部材が発現する伸縮性によってレッグギャザー部LGの面圧が過度に高くなりやすく、着用者の脚繰りにレッグギャザー部LGが食い込む等により不快感を生じさせるおそれがある。特に、肌の敏感な乳幼児等が着用者である場合、レッグギャザー部LGが肌に強く押し当てられることで、脚繰りにかぶれや赤みを生じさせやすくなるおそれがある。
【0091】
一方、図5Bのおむつでは、レッグギャザー部LGに設けられる弾性部材(LG弾性部材)の左右方向における間隔を広くしてLG弾性部材の配置数を少なくすることで、レッグギャザー部LGの面圧が過度に高くならないようにしている。この場合、面圧が低くなることによって着用者の脚繰りへ食い込みを抑制することが可能となるが、LG弾性部材自体の本数が少ないことからレッグギャザー部LGの剛性が低下する。その結果、LG弾性部材の収縮に応じてレッグギャザー部LGが外側(先端側)から内側(根本側)へたくれやすくなるおそれがある。例えば、着用者が脚を動かした際に、LG弾性部材の位置が外側から内側へ移動すると、図5BのようにLG弾性部材が節の様に作用してレッグギャザー部LGが蛇腹のように変形してたくれが生じやすくなり、フィット性が悪化する。
【0092】
そこで、本実施形態のおむつ1では、レッグギャザー部LGの面圧が過度に高くならないようにすると共に、レッグギャザー部LGの剛性を高めることで、着用時においてレッグギャザー部LGが内側にたくれ難くなるようにしている。図6は、おむつ1のレッグギャザー部LGの構造について説明する模式断面図である。同図6は、図4の断面図の一部を拡大して表した図に相当する。
【0093】
図6に示されるように、おむつ1のレッグギャザー部LGは、左右方向において、吸収性本体10の外側端10esと、防漏壁部LSGの起立起点である第1LG接合部51の内側端51eiとの間に形成されている。そして、レッグギャザー部LGには、複数のレッグギャザー弾性部材(LG弾性部材)17が設けられている。なお、左右方向において防漏壁部LSGの起立起点(内側端51ei)と重複する位置に弾性部材が配置されている場合、当該弾性部材は、LG弾性部材17ではなく、股下弾性部材18として扱うものとする。
【0094】
本実施形態では、左右方向の内側から外側に向かって、内側LG弾性部材17a、中間LG弾性部材17b、外側LG弾性部材17cの3本のLG弾性部材17が設けられている。そして、左右方向に隣り合う2本のLG弾性部材17,17同士の間隔が、何れも5mm以上となるように、各LG弾性部材17a~17cが配置されている。5mm以上の広い間隔でLG弾性部材17が設けられていることによって、間隔が5mmよりも狭い場合と比較して、レッグギャザー部LGの単位面積あたりに作用する伸縮力が小さくなり、レッグギャザー部LGの面圧を小さくすることができる。
【0095】
さらに、おむつ1では、レッグギャザー部LGに設けられる複数のLG弾性部材17のうち、左右方向の外側に配置されたLG弾性部材17の収縮力が、なるべく小さくなるように、各LG弾性部材17が配置されている。すなわち、複数のLG弾性部材17のうち、或るLG弾性部材17を第1レッグギャザー弾性部材とし、第1レッグギャザー弾性部材よりも左右方向の外側に配置されたLG弾性部材17を第2レッグギャザー弾性部材とした場合に、第1レッグギャザー弾性部材の収縮力の方が、第2レッグギャザー弾性部材の収縮力よりも大きくなるように、LG弾性部材17が配置されている。
【0096】
例えば、図6で内側LG弾性部材17aを第1レッグギャザー弾性部材とする場合、中間LG弾性部材17b及び外側LG弾性部材17cの少なくとも何れかが第2レッグギャザー弾性部材となる。そして、内側LG弾性部材17aの収縮力が、中間LG弾性部材17b及び外側LG弾性部材17cの少なくとも何れかよりも大きくなるように、LG弾性部材17a~17cが配置される。左右方向の内側(レッグギャザー部LGの根本側)に配置されたLG弾性部材17の収縮力が強く、外側(レッグギャザー部LGの先端側)に配置されたLG弾性部材17の収縮力が弱いことにより、おむつ1の着用時に、レッグギャザー部LGが着用者の脚の動きに追従してフィットしやすくなる。したがって、外側(先端側)のLG弾性部材17が内側(根本側)に移動してしまうことが抑制され、図5Bのようにレッグギャザー部LGが内側にたくれてしまうことが抑制される。
【0097】
また、おむつ1のレッグギャザー部LGには、該レッグギャザー部LGに剛性を付与する剛性付与手段が設けられている。具体的には、レッグギャザー部LGを構成しているシート部材を厚さ方向に接合するレッグギャザー接合部50(51~54)が剛性付与手段として機能することにより、レッグギャザー部LGの剛性が高められている。本実施形態において、レッグギャザー接合部50(以下、「LG接合部50」とも呼ぶ)は、例えば、ホットメルト接着剤等の接着剤によって形成されている。
【0098】
なお、剛性付与手段にはLG弾性部材17自体は含まれないものとする。少なくとも、LG接合部50のうち、厚さ方向に見たときにLG弾性部材17と重複していない部分が、剛性付与手段として機能するものとする。図6の場合、第1LG接合部51~第3LG接合部53、及び、第4LG接合部54の少なくとも一部が剛性付与手段として機能する。
【0099】
そして、おむつ1では、剛性付与手段(LG接合部51~54)が、前側胴回り部20と後側胴回り部30とを接合しているサイド接合部2の下端2ebよりも下側の領域で吸収性本体10の長手方向に沿って連続して設けられている(図4参照)。これにより、レッグギャザー部LGの広範囲に亘って剛性が高められ、レッグギャザー部LGが面形状を維持しやすくなり、レッグギャザー部LGが内側にたくれてしまうことがより抑制されやすくなる。したがって、面圧が過度に高くなく、内側にたくれ難いレッグギャザー部LGを備えたおむつ1が実現される。つまり、LG弾性部材17の配置間隔を広くして面圧を小さくしたとしても、レッグギャザー部LGが着用者の脚に面でフィットしやすくなり、排泄物の横漏れが生じる等の不安をユーザーに想起させ難くすることができる。
【0100】
ここで、LG弾性部材17の収縮力は、以下のようにして測定することができる。図7A図7Cは、LG弾性部材17の収縮力の測定方法について説明する図である。先ず、おむつ1から、LG弾性部材17を含んだ測定対象となる部位を切り出して試験片TPを作成する。具体的には、図7Aのように展開且つ伸長状態のおむつ1の吸収性本体10を、上下方向(吸収性本体10の長手方向)において、前側胴回り部20の下端20eb(おむつ1においては、サイド接合部2の下端2ebに相当)、及び、後側胴回り部30の下端30eb(サイド接合部2の下端2eb)の位置にて切断する。次いで、切断された吸収性本体10を左右方向において防漏壁部LSGの起立起点(第1LG接合部51の内側端51ei)の位置にて切断し、レッグギャザー部LGと防漏壁部LSGとに分離する。
【0101】
次いで、レッグギャザー部LGに設けられた複数本のLG弾性部材17の各々について、LG弾性部材17から左右方向の両側に2.5mmの位置で切断し、LG弾性部材17を中心とした幅5mmの試験片TPを得る。図7Bでは、中間LG弾性部材17bを中心とした幅幅5mmの斜線で示される帯状の部分が試験片TPとして切り出される場合が示されている。同様に、内側LG弾性部材17a及び外側LG弾性部材17cについても、幅幅5mmの帯状の部分を試験片TPとして切り出す。なお、LG弾性部材17の左右方向の片側にしか幅2.5mmの領域を確保できない場合(例えば、外側LG弾性部材17cがレッグギャザー部LGの先端位置に設けられている場合等)には、片側にのみ幅2.5mmの幅を有する試験片TPとする。
【0102】
次いで、図7Cのように、自然状態の試験片TPについて、長手方向の両端部を公知の引っ張り試験機(例えば、インストロン社製万能材料試験機)のチャックで挟み込み、両チャック間の間隔Lcが100mmとなるように調整する。この状態から間隔Lcを所定の速度(100mm/min)で広げていき、試験片TPを最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させる。つまり、試験片TPの長手方向における長さが伸長状態の0.9倍の長さになるまで伸長させる。次いで、試験片TPを最も伸長させたときの0.7倍の長さまで収縮させる。つまり、試験片TPの長手方向における長さが伸長状態の0.7倍の長さになるまで収縮させる。このサイクルを2回繰り返し、2サイクル目の収縮時において、試験片TPの長手方向における長さ(チャック間の間隔Lc)が伸長状態の0.7倍になるまで収縮させたときの力の大きさ(N)を測定する。このような測定を所定回数(例えば3回)繰り返して、測定値の平均を被測定対象であるLG弾性部材17の収縮力とする。
【0103】
また、おむつ1のレッグギャザー部LGにおいて、左右方向に隣り合って配置されている2本のLG弾性部材17,17のうち、左右方向の外側に配置されているLG弾性部材17の収縮力は、内側に隣り合って配置されているLG弾性部材17の収縮力以下であることが好ましい。つまり、左右方向に隣り合って配置された2つのLG弾性部材17,17の収縮力を比較した場合、外側に配置されているLG弾性部材17の収縮力が、内側に配置されているLG弾性部材17の収縮力以下であることが好ましい。
【0104】
このような構成であれば、左右方向の内側から外側に向かってLG弾性部材17の収縮力が徐々に小さくなっていくことから、レッグギャザー部LGが着用者の脚の動きにより追従しやすくなり、レッグギャザー部LGのたくれも抑制されやすくなる。しがって、レッグギャザー部LGの面圧が過度に高くなることを抑制しつつ、着用者の脚繰り形状に沿ってフィット性をより高めることができる。
【0105】
また、レッグギャザー部LGにおいて左右方向に隣り合って配置されている2本のLG弾性部材17,17のうち、左右方向の外側に配置されているLG弾性部材17の自然状態における長さを、長手方向に沿って最も伸長させたときの長さ(すなわちLG弾性部材17の伸長状態における長さ)で除した値は、内側に隣り合って配置されているLG弾性部材17の自然状態における長さを、伸長状態における長さで除した値以下であることが好ましい。つまり、左右方向に隣り合って配置された2つのLG弾性部材17,17の収縮割合を比較した場合に、外側に配置されているLG弾性部材17の収縮割合が、内側に配置されているLG弾性部材17の収縮割合以下であることが好ましい。
【0106】
このような構成であれば、左右方向の内側から外側に向かってLG弾性部材17が収縮する割合(収縮割合)が徐々に小さくなっていく。すなわち、LG弾性部材17の収縮力が徐々に小さくなっていく。これにより、レッグギャザー部LGが着用者の脚の動きにより追従しやすくなり、レッグギャザー部LGのたくれも抑制されやすくなる。しがって、レッグギャザー部LGの面圧が過度に高くなることを抑制しつつ、着用者の脚繰り形状に沿ってフィット性を高めることができる。
【0107】
また、レッグギャザー部LGにおいて左右方向に隣り合って配置されている2本のLG弾性部材17,17のうち、左右方向の外側に配置されているLG弾性部材の自然状態における断面積は、内側に隣り合って配置されているLG弾性部材17の自然状態における断面積以上であることが好ましい。
【0108】
通常の場合、LG弾性部材17の断面積が大きいほど、当該LG弾性部材17の直径も大きくなるため、レッグギャザー部LGに対して収縮力を作用させる面積が広くなる。すなわち、レッグギャザー部LGの単位面積あたりに作用する力(圧力)の増加を抑制できる。したがって、レッグギャザー部LGの左右方向の内側においてLG弾性部材17の収縮力を高めたとしても、面圧が過度に高くなることが抑制され、着用者の肌にLG弾性部材17による線状の痕が付き難くなる。
【0109】
また、図6に示されるように、左右方向において、レッグギャザー部LGの最も外側の端10esから、最も内側に配置された内側LG弾性部材17aまでの領域を、レッグギャザー弾性領域ERとする。このとき、伸長状態のレッグギャザー弾性領域ERの左右方向における長さWerは、伸長状態のレッグギャザー部LGの左右方向における長さWlgの半分以上である。つまり、レッグギャザー部LGの半分以上で、LG弾性部材17による伸縮力が作用している。
【0110】
そして、レッグギャザー弾性領域ERに配置されているLG弾性部材17の数(おむつ1では3本)で、レッグギャザー弾性領域ERを左右方向に均等に分割(おむつ1では3等分)した場合に、分割された各々の領域に、LG弾性部材17が配置されている。図6では、レッグギャザー弾性領域ERを3等分したときの左右方向内側の領域ERaに内側LG弾性部材17aが配置され、中央の領域ERbに中間LG弾性部材17bが配置され、左右方向外側の領域ERcに外側LG弾性部材17cが配置されている。
【0111】
つまり、レッグギャザー部LGの半分以上の領域で、LG弾性部材17が均等に配置されている。仮に、LG弾性部材17の左右方向におけるピッチに偏りがあると、レッグギャザー部LGのうち局所的に弾性部材が多く存在する部分では圧力が高くなり、弾性部材が少ない領域はたくれやすくなる。これに対して、おむつ1では、レッグギャザー部LGにLG弾性部材17が均等に配置されているため、局所的な剛性差が生じ難くなり、面形状を維持しやすくなる。また、着用者の脚繰り部に局所的な圧力が作用し難いため、肌がかぶれたり赤みが生じたりすることを抑制しやすい。
【0112】
さらに、おむつ1のレッグギャザー部LGでは、レッグギャザー弾性領域ERが均等に分割(3等分)された各々の領域に、剛性付与手段が設けられている。図6では、3等分されたレッグギャザー弾性領域ERのうち、左右方向内側の領域ERaには第2LG接合部52及び第4LG接合部54が設けられている。同様に、左右方向中央の領域ERbには第3LG接合部53の一部及び第4LG接合部54が設けられ、左右方向外側の領域ERcには第3LG接合部53の一部が設けられている。これにより、LG弾性部材17の収縮力が作用する各々の領域(ERa~ERc)の剛性が高められるため、レッグギャザー部LGのたくれ等が抑制され、面形状をより維持しやくなる。
【0113】
また、レッグギャザー部LGにおいて、厚さ方向に見たときに、左右方向に隣り合って配置された2本のLG弾性部材17,17の間に剛性付与手段が設けられている。図6では、厚さ方向に見たときに、左右方向に隣り合う内側LG弾性部材17aと中間LG弾性部材17bとの間に、第2LG接合部52及び第4LG接合部54が設けられている。同様に、中間LG弾性部材17bと外側LG弾性部材17cとの間に、第3LG接合部53及び第4LG接合部54が設けられている。
【0114】
剛性付与手段によってLG弾性部材17,17の間の領域の剛性が高められることによって、LG弾性部材17,17間に折れ曲がり起点が形成され難くなるため、レッグギャザー部LGのたくれがより抑制されやすくなる。なお、図6に示される構成以外でLG接合部50(剛性付与手段)が配置されていても良い。例えば、防漏フィルム13よりも厚さ方向の肌側に内側LG弾性部材17a及び中間LG弾性部材17bが設けられ、防漏フィルム13よりも厚さ方向の非肌側に第2LG接合部52に相当する剛性付与手段が設けられているような構成であっても良い。
【0115】
また、本実施形態のおむつ1において、レッグギャザー部LGの単位幅当たりの収縮力は、防漏壁部LSGの単位幅当たりの収縮力以下である。すなわち、レッグギャザー部LGを長手方向に沿って最も伸長させたとき(伸長状態)の0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの収縮力を、レッグギャザー部LGの幅(図6の左右方向における長さWlg)で除した値は、防漏壁部LSGを長手方向に沿って最も伸長させたとき(伸長状態)の0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの収縮力を、防漏壁部LSGの幅(図6の厚さ方向における長さWlsg)で除した値以下である。
【0116】
このような構成であれば、逆の場合(レッグギャザー部LGの単位幅当たりの収縮力>防漏壁部LSGの単位幅当たりの収縮力)と比較して、レッグギャザー部LGの面圧が相対的に小さくなるため、おむつ1の着用時において着用者の脚繰りにかぶれや赤みを生じさせ難くすることができる。なお、レッグギャザー部LG及び防漏壁部LSGの単位幅当たりの収縮力は、図7で説明した方法に準じて測定することができる。すなわち、試験片TPとして、図7Aに示されるレッグギャザー部LGの部分及び、漏壁部LSGの部分をそれぞれ切り出す。そして、各々の試験片TPについて図7Cの様に引張試験を行って収縮力を測定し、試験片TPの左右方向の長さ(幅)で除することで、レッグギャザー部LG及び防漏壁部LSGの単位幅当たりの収縮力を求めることができる。
【0117】
また、上述したように、おむつ1のレッグギャザー部LGに剛性を付与する剛性付与手段は、レッグギャザー部LGを構成するシート部材同士を厚さ方向に接着する接着剤によって実現されている。具体的には、外装シート14の折り返し部14fと防漏フィルム13とを厚さ方向に接合する第1LG接合部51~第3LG接合部53(接着剤)によってレッグギャザー部LGに剛性が付与されている(図6参照)。同様に、外装シート14(折り返されていない部分)と防漏フィルム13とを厚さ方向に接合する第4LG接合部54(接着剤)によってレッグギャザー部LGに剛性が付与されている(図6参照)。
【0118】
厚さ方向に積層されたシート部材同士を接着剤によって互いに接合することで、LG弾性部材17が設けられていない部分(LG弾性部材17と重複していない部分)でもレッグギャザー部LGの剛性が高められる。そして、レッグギャザー部LGを構成している複数のシート部材が厚さ方向に積層された状態で接合されていることにより、各々のシート部材が平面状に維持されやすくなり、レッグギャザー部LG全体としてたくれが生じ難くなる。また、ホットメルト接着剤等の接着剤は、常温で固化しているため、接着剤自体が剛性を有し、レッグギャザー部LGの剛性がより確保されやすくなる。なお、剛性付与手段は接着剤に限られるものでなく、後述する溶着や、他のシート部材を設ける等の手段によって実現されるのであっても良い(図8参照)。
【0119】
また、おむつ1では、レッグギャザー弾性領域ERの面積の半分以上に、剛性付与手段が設けられている。図6では、左右方向においてレッグギャザー弾性領域ERを3等分したときの内側の領域ERa及び中央の領域ERbの面積の大部分を占める領域に第4LG接合部54が設けられており、さらに、第2LG接合部52及び第3LG接合部53も設けられている。すなわち、レッグギャザー弾性領域ERの全体の面積の2/3程度を占める領域に剛性付与手段が設けられている。LG弾性部材17による収縮力が作用するレッグギャザー弾性領域ERの半部以上の部分が、剛性付与手段によって剛性が高められていることにより、該レッグギャザー弾性領域ERが面形状に維持されやすく、たくれの発生等を抑制しやすくなっている。
【0120】
また、レッグギャザー部LGには、液不透過性のシート部材である防漏フィルム13が設けられている。そして、左右方向において、防漏フィルム13の外側端13esは、最も外側に配置されている外側LG弾性部材17cと、外側から2番目に配置されている中間LG弾性部材17bとの間に位置している(図6参照)。レッグギャザー部LGの先端(左右方向における外側端10es)付近まで防漏フィルム13が設けられていることにより、防漏フィルム13が無い場合と比較してレッグギャザー部LGの広い範囲で剛性が高められ、面形状を維持しやすくなる。一方、外側LG弾性部材17cよりも左右方向の外側には防漏フィルム13が設けられていないため、レッグギャザー部LGの先端エッジ(外側端10es)が硬くなってしまうことが抑制され、おむつ1の着用時に当該先端エッジが着用者の肌に接触した場合であっても、着用者に違和感や不快感を生じさせ難い。
【0121】
さらに言うと、おむつ1のレッグギャザー部LGで、左右方向において、最も外側に配置されている外側LG弾性部材17cよりも外側には、剛性付与手段が設けられていない(図6参照)。したがって、レッグギャザー部LGの先端エッジ(外側端10es)の剛性は高められておらず、柔軟性が維持される。これにより、おむつ1の着用時に当該先端エッジが着用者の肌に接触した場合であっても、着用者に違和感や不快感をより生じさせ難い。
【0122】
また、伸長状態におけるレッグギャザー部LGの左右方向における幅は、伸長状態における防漏壁部LSGの起立高さ(防漏壁部LSGが起立起点から起立したときの最大の高さ)以上となっている。図6では、レッグギャザー部LGの外側端10esと防漏壁部LSGの起立起点51eiとの間の左右方向における距離Wlgが、防漏壁部LSGの起立起点51eiと防漏壁部LSGの先端14stまでの距離(防漏壁部LSGの起立高さ)Wlsgよりも長くなっている(または同じ長さでも良い)。このような構成であれば、おむつ1の着用時において、防漏壁部LSGが起立状態から左右方向の外側に倒れてしまったとしても、倒れた防漏壁部LSGがレッグギャザー部LGの先端(外側端10es)よりも外側にはみ出してしまうことが抑制される。したがって、レッグギャザー部LGと着用者の肌との間に防漏壁部LSGが挟み込まれることによって隙間が形成されてしまうことが抑制され、着用者の脚繰りに対してレッグギャザー部LGを面でフィットさせやすくすることが出来る。
【0123】
また、おむつ1のレッグギャザー部LGには、長手方向に沿って伸縮する股下弾性部材18が設けられている。この股下弾性部材18は、図6に示されるように、左右方向において、吸収体11の外側端11esと、防漏壁部LSGの起立起点51ei(すなわちレッグギャザー部LGの内側端)との間に配置されている。したがって、おむつ1の着用時には、吸収体11の左右方向の両外側が、股下弾性部材18が発現する伸縮性によって肌側へ押し上げられ、着用者の股間部に吸収体11がフィットしやすくなる。特に、排泄物を吸収して吸収体11の重量が重くなった場合であっても吸収体11が下側に垂れ下がり難くなることから、吸収性本体10全体としてのフィット性が向上し、排泄漏れ等を効果的に抑制しやすくなる。また、股下弾性部材18の伸縮性によってレッグギャザー部LGの根本側が肌側へ押し上げられるので、着用者の肌にレッグギャザー部LGをよりフィットさせやすくすることができる。
【0124】
<変形例>
図8は、吸収性本体10の変形例について表す平面図及び断面図である。同図8は、図4と同様に伸長状態の吸収性本体10について表している。変形例の吸収性本体10は、図4で説明した吸収性本体10と比較して、レッグギャザー部LG、及び、トップシート12の構成の一部が異なっている。
【0125】
変形例の吸収性本体10は、レッグギャザー部LGを構成している外装シート14と、外装シート14が外側端10esにて折り返された折り返し部14fとを厚さ方向に接合する溶着部60を有している。溶着部60は、多数の第1溶着パターン61と第2溶着パターン62とが長手方向に沿って規則的に並ぶことによって構成され、溶着パターン61,62の各々は、公知の熱溶着や超音波溶着を用いて形成されている。図8では、第1溶着パターン61と第2溶着パターン62とが長手方向(上下方向)において互いに重複する部分を有するように配置されており、溶着部60全体として長手方向に連続となるように形成されている。なお、図8では、第1溶着パターン61と第2溶着パターン62とが短手方向(左右方向)においても互いに重複する部分を有するように配置されている。
【0126】
また、図8では、溶着部60の左右方向における内側端60eiを起立起点として防漏壁部LSGが起立する構成となっている。すなわち、左右方向において溶着部60がレッグギャザー部LGの根本側(防漏壁部LSGの起立起点側)に設けられているが、溶着部60がレッグギャザー部LGの先端部側(左右方向において起立起点60eiよりも外側端10esに近い側)に設けられていても良い。
【0127】
このような溶着部60によって、レッグギャザー部LGの厚さ方向に積層されたシート部材同士の接合強度がより高まり、レッグギャザー部LGがより安定する。また、溶着部60は、レッグギャザー部LGに剛性を付与する剛性付与手段としても機能する。なお、図8では、レッグギャザー部LGに溶着部60及びLG接合部50の2種類の接合部が設けられているが、LG接合部50に替えて溶着部60が形成される構成としてもよい。
【0128】
レッグギャザー部LGにおいて、厚さ方向に積層されたシート部材同士が溶着部60(LG接合部50)によって接合されることで、LG弾性部材17が設けられていない(重複していない)部分でもレッグギャザー部LGの剛性が高められる。そして、レッグギャザー部LGを構成しているシート部材が平面状に維持されやすくなり、レッグギャザー部LGがたくれ難くなる。また、溶着部60やLG接合部50(接着剤等の)自体が剛性を有していることにより、レッグギャザー部LGの剛性がより確保されやすくなる。
【0129】
また、図4に示される吸収性本体10の断面図では、トップシート12の左右方向端部が吸収体11の非肌側に折り込まれていた。これに対して、変形例の吸収性本体10では、図8に示されるように、トップシート12の左右方向における外側端12esが防漏壁部LSGの起立起点60eiよりも外側に延出して配置され、レッグギャザー部LGを構成するシート部材の一部になっている。この場合、トップシート12のうち、起立起点60eiよりも外側に配置されている部分は、レッグギャザー部LGに剛性を付与する剛性付与手段として機能する。したがって、レッグギャザー部LGが、より平面形状を維持しやすく、たくれを生じ難くなり、おむつ1の着用時に、レッグギャザー部LGと着用者の肌との間に隙間が形成され難く、脚繰りに対して面でフィットしやすくなる。
【0130】
<胴回り部20、30の伸縮性について>
続いて、前側胴回り部20及び後側胴回り部30の左右方向における伸縮性について説明する。おむつ1の着用時には、前側胴回り部20及び後側胴回り部30が左右方向に収縮して着用者の胴周りにフィットすることにより、吸収性本体10が下側にずれ落ちてしまうこと等が抑制される。逆に、胴回り部20,30の収縮力が弱いと、おむつ1全体が下側にずれ落ちてしまい、着用者の脚繰りにおけるレッグギャザー部LGのフィット性が悪化するおそれがある。
【0131】
一方で、胴回り部20,30の収縮力が過度に高いと、着用者の胴への締め付けが強くなり、着用者に違和感や不快感を生じさせやすい。また、前側胴回り部20の下端部領域は、おむつ1の着用時に着用者の脚の付け根付近に位置することから、当該前側胴回り部20の下端部における収縮力が過度に高いと、着用者の脚の動きに干渉しやすくなる。この場合、着用者の脚の動きによって前側胴回り部20の位置ずれが生じ、胴回り部20やレッグギャザー部LGのフィット性が大きく悪化する要因となる。
【0132】
そこで、本実施形態のおむつ1では、前側胴回り部20の適度な収縮力を担保しつつ、着用時において脚の動きに干渉し難くすることで、胴回り部20,30やレッグギャザー部LGのフィット性を向上させている。以下、前側胴回り部20及び後側胴回り部30の収縮力について説明する。なお、おむつ1において、前側胴回り部20及び後側胴回り部30は、上述したようにほぼ同様の構造をしているため、以下では、基本的に前側胴回り部20について説明を行い、後側胴回り部30についての説明は省略する。但し、必要に応じて、後側胴回り部30についても説明を行う場合がある。
【0133】
図9は、伸長状態の前側胴回り部20及び吸収性本体10について表す平面図である。同図9で、前側胴回り部20を上下方向において4等分したときの各領域を、上側から順に第1前側胴回り領域20A1、第2前側胴回り領域20A2、第3前側胴回り領域20A3、第4前側胴回り領域20A4とする。ここで、前側胴回り部20を上下方向において4等分するとは、前側胴回り部20の左右方向両端部に形成されている一対のサイド接合部2,2の上端2et,2et同士を結ぶ線と、一対のサイド接合部2,2の下端端2eb,2eb同士を結ぶ線とによって上下方向に挟まれた領域を、上下方向に4等分することを言う。同様に、後側胴回り部30を上下方向に4等分したときの各領域を上側から順に第1後側胴回り領域30A1、第2後側胴回り領域30A2、第3後側胴回り領域30A3、第4後側胴回り領域30A4とする。
【0134】
上述したように、前側胴回り部20には、複数の胴回り弾性部材23,23…が左右方向に伸長した状態で取り付けられていることによって、左右方向の伸縮性(収縮性)が付与されている。このとき、前側胴回り部20の第1前側胴回り領域20A1~第4前側胴回り領域20A4の各領域について、胴回り弾性部材23が発現する伸縮力(収縮力)の大きさをそれぞれ適当に調整することで、より良好なフィット性を実現することができる。
【0135】
具体的に、おむつ1の前側胴回り部20では、第3前側胴回り領域20A3の収縮力が、第4前側胴回り領域20A4よりも大きくなるようにしている。すなわち、第3前側胴回り領域20A3を、左右方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの収縮力が、第4前側胴回り領域20A4を、左右方向に沿って最も伸長させたときの0.9倍の長さまで伸長させてから0.7倍の長さまで戻したときの収縮力よりも大きくなるようにしている。
【0136】
おむつ1では、レッグギャザー部LGに設けられるLG弾性部材17のピッチ(間隔)を従来のおむつと比較して広くする(5mm以上にする)ことにより、レッグギャザー部LGの面圧が過度に大きくならず、着用者の脚繰りにかぶれや赤みを生じ難くさせることができる。一方で、レッグギャザー部LGの面圧を低くしたことで、着用者が歩行時等に脚を動かした際に、レッグギャザー部LGと着用者の肌との間に隙間が生じてしまうおそれがある。これに対して、前側胴回り部20のフィット性を高め、おむつ1の着用時に前側胴回り部20が着用者の身体(腹部)からずれ落ちに難くすることで、レッグギャザー部LGと着用者の肌との間に隙間を生じ難くすることができる。すなわち、従来のおむつと比較してLG弾性部材のピッチを広くしてレッグギャザー部LGの面圧を小さくしたとしても、前側胴回り部20を着用者の腹部からずれ難くすることで、レッグギャザー部LGと着用者の肌との間に隙間を生じ難くすることができる。
【0137】
その際、前側胴回り部20において、第3前側胴回り領域20A3の収縮力を第4前側胴回り領域20A4の収縮力よりも大きくすることで、着用者の腹部におけるおむつ1のフィット性をより高めることができる。図10は、おむつ1を着用した状態の着用者を横方向から見た場合について表す図である。
【0138】
人(着用者)の腹部は、通常、胸部から腰部にかけて徐々に前側(腹側)への出っ張りが大きくなり、下腹部あたりで出っ張りが小さくなる。おむつ1を着用した状態では、図10のように、第1前側胴回り領域20A1及び第2前側胴回り領域20A2の位置で着用者の腹部の出っ張りが大きく、第3前側胴回り領域20A3及び第4前側胴回り領域20A4の位置で腹部の出っ張りが小さくなっている。また、着用者が呼吸をした時には、第1前側胴回り領域20A1及び第2前側胴回り領域20A2の位置で腹部が大きく膨らんだりへこんだりするのに対して、第3前側胴回り領域20A3及び第4前側胴回り領域20A4の位置では、腹部の動きは小さい。したがって、おむつ1の前側胴回り部20において、第3前側胴回り領域20A3及び第4前側胴回り領域20A4の収縮力を高めることで、締め付けによる不快感を着用者に生じさせ難く、且つ、前側胴回り部20のフィット性を高めることができる。
【0139】
しかしながら、第4前側胴回り領域20A4の下端部は、おむつ1の脚回り開口部LHの一部を構成する部分であることから(図1参照)、第4前側胴回り領域20A4の収縮力が大きすぎると、着用者の脚の動きに干渉してしまい、フィット性が悪化するおそれがある。これに対して、おむつ1では、第4前側胴回り領域20A4の収縮力を第3前側胴回り領域20A3の収縮力よりも小さくすることで、第4前側胴回り領域20A4の下端部(脚回り開口部LH)が着用者の脚の動きに干渉し難くなる。これにより、着用者の身体の動き(脚の動きや、呼吸による腹部の動き)に干渉することなく、前側胴回り部20が着用者の腹部にフィットしやすくなる。そして、前側胴回り部20のフィット性が高められてずれ落ちにくくなることにより、幅広のレッグギャザー部LGが着用者の足繰りにピタッとフィットしやすくなる。
【0140】
ここで、前側胴回り部20の各領域20A1~20A4の収縮力は、図7で説明した方法に準じて、以下のようにして測定することができる。先ず、前側胴回り部20からコールドスプレー、好ましくはドライヤーを用いて吸収性本体10を剥がして、図9に示される4つの領域20A1~20A4にそれぞれ分断(切断)し、4種類の試験片TPとする。なお、領域20A1~20A4の境界上に胴回り弾性部材23が配置されている場合は、当該胴回り弾性部材23は上側(ウエスト端部側)の領域に含まれるようにする。そして、それぞれの試験片TPについて、図7Cと同様の方法で引張試験を行う。すなわち、試験片TPの左右方向における両端部を引っ張り試験器のチャックで挟み込み、左右方向における長さが伸長状態の0.9倍の長さになるまで伸長させた後、0.7倍の長さまで収縮させる。このサイクルを2回繰り返し、2サイクル目の収縮時において、試験片TPの長さが伸長状態の0.7倍になるまで収縮させたときの力の大きさ(N)を測定する。このような測定を所定回数(例えば3回)繰り返して、測定値の平均を被測定対象(領域20A1~20A4)の収縮力とする。
【0141】
また、おむつ1では、前側胴回り部20の各領域20A1~20A4のうち、第3前側胴回り領域20A3の収縮力が最も大きくなっている。着用者がおむつ1を着用した状態において、第3前側胴回り領域20A3が位置する部分は、腹部の出っ張りが小さく、呼吸等による変動も小さいため、当該第3前側胴回り領域20A3の収縮力を大きくしても着用者に不快感を生じさせ難い。そのような腹部の動き(変動)が小さい部分に第3前側胴回り領域20A3をしっかりとフィットさせて位置を固定することで、前側胴回り部20の全体がずれ落ちにくくなり、前側胴回り部20やレッグギャザー部LGのフィット性をより高めることができる。
【0142】
また、前側胴回り部20の各領域20A1~20A4のうち、第3前側胴回り領域20A3及び第4前側胴回り領域20A4の収縮力の合計は、第1前側胴回り領域20A1及び第2前側胴回り領域20A2の収縮力の合計よりも大きくなっている。前側胴回り部20の上側の領域(第1前側胴回り領域20A1及び第2前側胴回り領域20A2)は、着用者の腹部の出っ張りや変動が大きい部分に位置することから、締め付けが過度に強いと、着用者に不快感を生じさせやすい。一方、前側胴回り部20の上下方向における下側の領域(第3前側胴回り領域20A3及び第4前側胴回り領域20A4)は、着用者の腹部の出っ張りや変動が小さい部分に位置することから、上側の領域と比較して締め付けを強くしても、着用者に不快感を生じさせ難く、効率的にフィット性を高めることができる。
【0143】
特におむつ1の着用対象者として想定される乳幼児は、一般に腹部がポッコリとしやすい体型であり、また、腹部の締め付けにも弱い。そのため、前側胴回り部20の上側半分における収縮力を下側半分における収縮力より小さくすることによって、着用時の安全を確保しつつ、ポッコリお腹の乳幼児に対するフィット性を高めることができる。
【0144】
なお、おむつ1の前側胴回り部20では、第3前側胴回り領域20A3、第4前側胴回り領域20A4、第1前側胴回り領域20A1、第2前側胴回り領域20A2の順に収縮力が小さくなるように、調整されている。これにより、上述したような良好なフィット性を実現しやすい。
【0145】
また、後側胴回り部30に着目すると、おむつ1では、第1後側胴回り領域30A1~第4後側胴回り領域30A4のうち、第3後側胴回り領域30A3の収縮力が最も大きくなっている。つまり、後側胴回り部30においても、前側胴回り部20と同様に、4等分したときの上側から3番目の領域(30A3)の収縮力が最も大きくなっている。これにより、環状に連結された第3前側胴回り領域20A3と第3後側胴回り領域30A3とが連動することによって、胴回りに沿って大きな収縮力を作用しやすくなる。上述したように、着用者の腹部のうち、この領域は、出っ張りが小さく呼吸等による変動が小さい領域であるため、強い締め付けが作用したとしても着用者に不快感を生じさせ難い。そのため、変異が小さい部分を強く締め付けて、それ以外の部分の締め付けを弱めることで、着用者の身体の動きにおむつ1が追従しやすくなる。したがって、当該領域(20A3,30A3)において胴回り部20,30の収縮力を最大とすることで、胴回り部20,30の全体が位置ずれを生じにくくなり、着用者に不快感を生じさせることなく、フィット性をより向上させることができる。
【0146】
一方、後側胴回り部30において、第2後側胴回り領域30A2の収縮力が最も大きくなるようにしても良い。着用者の背側において、第2後側胴回り領域30A2が当たる領域は、図10に示されるように、背中と臀部との境目で括れが大きくなる部分である。したがって、着用者の背側において、でっぱりが小さい部分に作用する収縮力を最大とすることで、背側において後側胴回り部30の位置を固定しやすくなる。これにより、背腹の両側において着用者の胴回りに前側胴回り部20及び後側胴回り部30がしっかり固定されやすくなり、胴回り部20,30のずり落ちが抑制され、フィット性が向上する。
【0147】
図11は、自然状態の前側胴回り部20及び吸収性本体10について表す平面図である。同図11は、前側胴回り部20を図9の伸長状態から自然状態にしたときの様子を表している。図11に示されるように、自然状態のおむつ1において、第3前側胴回り領域20A3の左右方向における長さW20A3(最短部分の長さ)は、第4前側胴回り領域20A4の左右方向における長さW20A4(最短部分の長さ)よりも短くなっている。このような構成であれば、前側胴回り部20の上端と下端との間の第3前側胴回り領域20A3において、収縮折れ起点が形成されやすくなる。これにより、着用者の腹側で出っ張りの小さい下腹部分(図10の腹部の凹み部分)に第3前側胴回り領域20A3がより入り込みやすくなる。したがって、前側胴回り部20がよりずれ落ち難くなり、フィット性を向上させることができる。
【0148】
さらに、図11の自然状態において、第3前側胴回り領域20A3及び第4前側胴回り領域20A4の左右方向における平均の長さは、第1前側胴回り領域20A1及び第2前側胴回り領域20A2の左右方向における平均の長さよりも短くなっている。このような構成であれば、腹部の変動(変位)が大きい前側胴回り部20の上側半分の領域(20A1,20A2)で左右方向の収縮量が小さくなることにより、着用者の腹部の動きに対して前側胴回り部20が干渉し難くなり、着用者に不快感を生じさせ難い。一方、腹部の変動(変位)が小さい前側胴回り部20の下側半分の領域(20A3,20A4)で左右方向の収縮量が大きくなることにより、着用者の下腹部の凹んだ部分に前側胴回り部20が固定されやすくなり、位置ずれが生じ難くなる。したがって、前側胴回り部20のフィット性を向上させることができる。
【0149】
また、前側胴回り部20と吸収性本体10とは、本体接合部70によって互いに接合されている。本体接合部70は、図9の斜線部で示される上下方向に延びる複数の帯状の領域にホットメルト接着剤等の接着剤を塗布することによって形成されている。そして、上下方向において、本体接合部70の上端70etは、第3前側胴回り領域20A3の上端20lcよりも上側に位置している。すなわち、上下方向において、第3前側胴回り領域20A3の全体が、本体接合部70を介して吸収性本体10と接合されている。これにより、第3前側胴回り領域20A3の大きな収縮力によって吸収性本体10が着用者の肌側へ押し付けられ、重量が大きい吸収性本体10が下側へずれ落ち難くなる。したがって、吸収性本体10のフィット性がより向上し、レッグギャザー部LGが内側にたくれてしまうことが抑制されやすくなる。
【0150】
また、上下方向において、吸収体11の上端11etは、第3前側胴回り領域20A3の上端20lcよりも下側に位置している。すなわち、上下方向において、第3前側胴回り領域20A3と吸収体11とが重複していない部分を有する。重複していない部分では、第3前側胴回り領域20A3の収縮力が剛性の高い吸収体11によって阻害され難いため、着用者の下腹部の凹みに大きな収縮力を作用させることができる。これにより、吸収性本体10のフィット性がより向上し、レッグギャザー部LGが内側にたくれてしまうことが抑制されやすくなる。
【0151】
また、第3前側胴回り領域20A3に配置されている胴回り弾性部材23,23…の上下方向における平均ピッチは、レッグギャザー部LGに配置されているLG弾性部材17,17…の左右方向における平均ピッチよりも小さいことが好ましい。LG弾性部材17のピッチが相対的に大きくなることにより、レッグギャザー部LGの面圧が過度に大きくなり難く、着用者の肌にLG弾性部材17の線状の痕が付き難くなる。なお、LG弾性部材17のピッチを広くすると、通常、レッグギャザー部LGがたくれやすくなる(図5B参照)。しかしながら本実施形態のおむつ1では、LG弾性部材17の収縮力を適当に調整することにより、レッグギャザー弾性部材17のたくれを抑制することが可能となっている。
【0152】
また、厚さ方向に見たときに、前側胴回り部20に配置されている胴回り弾性部材23と、レッグギャザー部LGに配置されているLG弾性部材17とが交差する部分を有している(図9参照)。これにより、胴回り弾性部材23の収縮力とLG弾性部材17の収縮力とが連動して、LG弾性部材17が上側に引っ張り上げられやすくなるため、おむつ1の全体が下側に垂れ下がり難く、前側胴回り部20やレッグギャザー部LGのフィット性が悪化することが抑制される。
【0153】
また、後側胴回り部30について、厚さ方向に見たときに、後側胴回り部30に配置されている胴回り弾性部材33と、レッグギャザー部LGに配置されているLG弾性部材17とが交差していても良い。腹側と同様に、背側において胴回り弾性部材33の収縮力とLG弾性部材17の収縮力とが連動することにより、おむつ1が下側に垂れ下がり難くなり、背側におけるフィット性の悪化が抑制される。なお、前側(腹側)と後側(背側)の少なくとも何れかで胴回り弾性部材23,33とLG弾性部材17とが交差する部分を有していれば、上述の効果を得ることができる。
【0154】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない
【0155】
上述の実施形態では、糸ゴム等の胴回り弾性部材23(33)によって、胴回り部20(30)に左右方向に沿った伸縮性が付与されていたが、他の弾性部材によって伸縮性が付与されるのであっても良い。例えば、前側胴回り部20の上端部(図9の第1前側胴回り領域20A1付近)を覆うように、左右方向に伸縮する伸縮性シート(不図示)が設けられることによって、伸縮性が付与されていても良い。
【0156】
上述の実施形態では、外装シート14が吸収性本体10の左右方向における外側端10esにて折り返され、折り返し部14fによってレッグギャザー部LGや防漏壁部LSGが形成されていたが(図6等参照)、この限りでは無い。例えば、折り返し部14fに相当するシート部材が外装シート14とは異なる別体のシート部材(LG不織布とする)によって構成されていても良い。この場合、当該別体のシート部材(LG不織布)と外装シート14との厚さ方向の間にLG弾性部材が伸長状態で取り付けられることよって、レッグギャザー部LGが構成される。また、LG不織布の一部が外装シート14の左右方向外側端部を非肌側から覆うように設けられ、外装シート14の非肌側(LG不織布の肌側)にLG弾性部材が設けられる構成としても良い。
【符号の説明】
【0157】
1 おむつ(パンツ型吸収性物品)、
2 サイド接合部、2et 上端、2eb 下端、
10 吸収性本体、
10es 外側端(左右方向)、
11 吸収体、11es 外側端(左右方向)、11et 上端、
11a 吸収性コア、11b コアラップシート、11c くびれ部、
12 トップシート、
13 防漏フィルム、
14 外装シート、14f 折り返し部、14s 起立部、14st 先端、
17 LG弾性部材(レッグギャザー弾性部材)、
17a 内側LG弾性部材、17b 中間LG弾性部材、
17c 外側LG弾性部材、
18 股下弾性部材、
19 防漏壁弾性部材、
20 前側胴回り部、
20A1 第1前側胴回り領域、20A2 第2前側胴回り領域、
20A3 第3前側胴回り領域、20A4 第4前側胴回り領域、
21 胴回りシート、23 胴回り弾性部材、25 肌面シート、
30 後側胴回り部、
30A1 第1後側胴回り領域、30A2 第2後側胴回り領域、
30A3 第3後側胴回り領域、30A4 第4後側胴回り領域、
31 胴回りシート、33 胴回り弾性部材、35 肌面シート、
50 LG接合部(レッグギャザー接合部)、
51 第1LG接合部、51ei 内側端(起立起点)、
52 第2LG接合部、53 第3LG接合部、54 第4LG接合部、
60 溶着部、60ei 起立起点、
61 第1溶着パターン、62 第2溶着パターン、
70 本体接合部、
BH 胴回り開口部、LH 脚回り開口部、
LG レッグギャザー部、
LSG 防漏壁部、
ER レッグギャザー弾性領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11